夕美「クイズで」拓海「勝負?」 (34)

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夏樹「さぁ、始まりました。346プロプレゼンツ、『クイズ・DE・タイマンバトル!』この番組はタイトルの通り、1対1のクイズバトルだ。司会進行はアタシ、木村夏樹が務めるぜ。本日対戦するのはこのふたり!」


夕美「相葉夕美だよっ」

拓海「向井拓海だ」


夏樹「続いては審査員、アタシから紹介するぜ、三村かな子、難波笑美、ヘレンさんの三人だ」


かな子「よろしくね」

笑美「夏樹ちゃんでもヘレンさんはさん付けなんやな」

ヘレン「ヘーイ!」


夏樹「よし、じゃあ早速勝負について――」

拓海「ちょっと待て、審査員ってなんだよ? クイズじゃねえのか?」

夏樹「あー……そのへんも含めて今から説明しようとしてたんだけどな、まぁいいや。このクイズは、問題を出して2人に回答してもらい、正解かどうか審査員に判定してもらうって形で行う」

夕美「クイズなのに正解が決まってないの?」

夏樹「審査員が正解だと思ったものが正解だ」

拓海「全然わかんねぇぞ? どういうことだよ?」

夏樹「ま、やってりゃわかる」

夕美「ぶん投げたね」

イケメン金髪王子様の須賀京太郎様の1000の秘密

夏樹「続けるぜ。問題はいくつか種類があって、細かいルールはその都度説明が入る。そして、勝者には賞金5万円が贈られる!」

夕美「わー……い……?」

拓海「少なくねぇか?」

夏樹「それについては、よその番組なんかだと『勝者は賞金のかかった問題に挑戦』とかで、ここで超難問をぶつけて賞金なんかハナから渡す気ないようなのが多いが、これはそういうケチ臭いのは一切なし、勝てば文句なしに賞金ゲットできる」

夕美「確かにそういう番組あるけど、言っていいのかなぁ?」

夏樹「それと、タイマンだからな、回答者がたったのふたりで、そのうちひとりが勝つ。言ってしまえば回答者として出演するだけで二分の一で賞金手に入れる権利が発生することになる。そんなんで賞金が高額だと流石においしすぎるだろ。オイシイから駄目だ」

かな子「…………」

夏樹「かと言って、勝者に何も無しってんじゃ盛り上がらないからな、5万くらいならまぁいいだろってことらしいぜ」

拓海「ま、賞金はともかく、勝負だからな。やるからには勝つぜ」

夕美「私も負けないよっ」

夏樹「番組の説明としてはこんなもんだ。そろそろ行くぜ? 最初は、問題を最後まで聞いてから回答をパネルに書いてもらう。正解者には20点だ、両者正解も両者不正解もありだ」


『問題』ジャジャン!

『自分の、出身地を答えなさい』


拓海「アァ?」

夕美「え? これって……」

拓海「おっと、質問はナシだ! 回答者は黙ってパネルに書くように」

拓海「…………」

夕美「…………」


夏樹「書き終わったみたいだな。パネルオープン……審査員、夕美の回答の判定は?」


『ブブーッ』

夕美「えぇっ!? なんで!?」


夏樹「……続いて、拓海の判定は」


『ピンポンピンポーン』

拓海「おっ」



夕美の回答:横浜

拓海の回答:神奈川

夏樹「拓海に20点加算。現在20対ゼロで拓海がリードだ」

夕美「待って! なんで不正解なの!? 私間違ってないよ!」

夏樹「判定したのはアタシじゃなくて審査員だからな。審査員、理由は?」

笑美「夕美はん横浜かー、はまっこちゅうやつやな」

かな子「えっと、プロダクションの公式プロフィールだと、ふたりとも出身地は『神奈川県』になってるね」

夕美「問題じゃ都道府県で答えろなんて言われてないよ!」

笑美「ちなみに拓海はんは神奈川のどこや?」

拓海「アタシ? 横須賀市だよ」

笑美「なんで市じゃなくて県で回答したん?」

拓海「そりゃ、よその県出身だと横須賀なんて言われても何県にあんのか知らねえかもしれないだろ? 同じ神奈川県民に訊かれたら横須賀って言うけどよ、そうでないときは県で答えることにしてんだよ」

笑美「うんうん、そーゆーことや」

夕美「でっ、でも横浜は誰でもわかるでしょ?」

拓海「いや……他県だと結構怪しいぜ。アタシが馬鹿だからかもしれねぇが、有名な町でも名前としては知ってても何県にあったか出てこねぇこともあるし」

ヘレン「そう、出身地というのは世界を広く見れば見るほど大きくなるものよ。この番組は全国で放送される、ならば最低でも都道府県で答えるのが日本レベル。『横浜だったら誰でも知っているだろう』というその驕り、地方レベルよ!」

夕美「うぅ……」

夏樹「ま、納得いかないとしても審査員の判定が絶対だ。次行くぜ、続いては……大食い早食い対決!」

拓海「クイズは何処行ったんだコラァ!」

夏樹「いや、アタシは司会してるだけで内容は関わってないから」

夕美「あぁ……それでお昼食べないようにって言われてたんだ」

夏樹「えーと、牛のヒレステーキが20枚ずつ用意されてて、制限時間30分以内に多く食ったほうが勝ち。完食の場合は早いほうが勝ち。今並べられてるのがそれだな、なかなか良い肉じゃねぇか。勝者には30点、逆転のチャンスだな。じゃあ行くぜ? レディ・ゴー!」


かな子「大食いかぁ、これって拓海さん有利だよね?」

笑美「……どうやろ?」

かな子「え? いっぱい食べそうに見えるけど、意外と小食だったり?」

笑美「いや、もちろん拓海はんは食う。けど夕美はんな、あっちもああ見えて、かなり食うで」

夏樹「1分経過、どちらも2枚目に突入!(放送していいのかね、この姿)」

かな子「ほ、ほんとだ! すごく早い、ふたりとも!」

笑美「せやろ? 夕美はんのほうがちょっと早いかな……」

かな子「なん……で?」

笑美「ん?」

かな子「なんで太らないの!? 夕美さんも拓海さんも、あんなにスタイルいいのに!」

笑美「ああ、たしかに……なんでやろ?」

ヘレン「その理由は!」

笑美「わ、びっくりした」

ヘレン「基礎代謝よ」

かな子「基礎代謝! どういうことですか!?」

笑美「食いつくなぁ」

ヘレン「夕美、あの子は平熱が高いのよ」

かな子「平熱……体温ってことですか?」

ヘレン「そう。カロリー、エネルギーの消費とはすなわち温度を上げること。常人より高い体温を保ち続けるというのはそれだけで多くのエネルギーを使う」

笑美「そういえば聞いたことあるわ、冬でも夕美はんの周囲だけ暖かいとかなんとか」

かな子「ほんと? 茜ちゃんじゃなくて?」

ヘレン「茜、あの子も似た状態ではあるけど、それは常に体を動かしているからよ。だけど夕美は、ただ座っているだけでも……いえ、寝ているだけでも、絶え間なく運動を続けているようにエネルギーを消費するのよ」

かな子「ずるい! どうやったらそんなふうになれるんですか!?」

ヘレン「生まれ持った体質ね。狙ってなれるものじゃないわ」

かな子「じゃ、じゃあ拓海さんは?」

ヘレン「筋肉とおっぱいよ」

かな子「くっ、まだそっちのほうが納得できる……!」

笑美「……と、そういってる間に」

夏樹「10分経過、拓海11枚目、夕美12枚目……」


笑美「1枚差か、たいした差ちゃうけど……」

ヘレン「埋まらないでしょうね、この差は」

かな子「たしかふたりとも最初の1分で1枚食べてた。夕美さんがペースを上げてる?」

笑美「せやな、方や拓海はんは大体同じペースで食い続けてんな」

ヘレン「すぐ隣で食べているのだからリードされていることは承知してるはず、なのに追いつこうとしていない。
『自分のペースを守る』と言えば聞こえはいいけど、それはつまり相手の失速への期待ね」

笑美「らしくないな。1問目とったのが悪く出たんかな?」

ヘレン「そうね、余裕が油断を生む。リードしていることで無意識に様子見に入ってしまった」

夏樹「……15分経過、拓海17……夕美18」


かな子「なんか夏樹ちゃん、しょんぼりしてない?」

笑美「たぶん、残った分をもらえる話になってたんやな。もう余る見込みないからガッカリしとるんやろ」

かな子「拓海さんもペース上げたね」

笑美「夕美はんの勢いが衰えないのを見て、か。けどもう遅いな」


夏樹「16分45秒、夕美完食! 拓海! 勝負ありだ! 拓海もういい!」

拓海「くっ……クソッ! 負けた!」ガツガツガツ

夏樹(あぁ……最後の1枚が)


夕美:完食 16分45秒

拓海:完食 17分20秒


笑美「これ審査員いらんかったやろ」

京太郎「ヘレンさんは知ってます世界のヘレンさんですね」

菫「モバマスもスクールDMM萌えゲームミタイニストパン使用999娘以上手元に置ける状態で」

照「ようこそ恋ヶ崎女子ミタイニ毎日ログインアイテムで拡張」

尭深「それぞれの属性別に育成するカードゲーム」

誠子「近日DMM萌えサイトに配信予定」

淡「モバマスは終わりません」

夏樹「気を取り直して……次の問題だ。ウチの事務所のアイドルへのインタビューをしてる音声が流れる。ただし、声はヘリウムガス吸ったみたいな感じに加工してある。回答者はインタビューを受けているアイドルが誰か当ててくれ」

夕美「今度はまともなクイズだねっ」ゲフー

夏樹「今回は早押しだ、わかった時点で目の前のボタンを押して答える。正解したら20点加算、間違った場合は10点減少する」

拓海「へぇ、減点するのか」グエップ

夏樹「そして、先に答えたほうが不正解だった場合、音声はストップする、続きは流れねえ。もう一人は解答権を得るが、答えないこともできる。その場合減点はされない」


笑美「なんかちょっとややこしいな」

かな子「あ、そっか。続きが聞けちゃったら後のほうが有利すぎるんだよ。ふたりしかいないから最後まで聞けるもの」

笑美「はー、なるほど」

夏樹「現在のポイントは拓海20点、夕美30点だ。じゃあ、問題行くぜ」


『問題』ジャジャン

??『では、今から『ピー』ちゃんにインタビューを行います』


夕美(ちひろさんの声……名前の部分は加工で消されてるけど……)

拓海(これも手掛かりだな。ちゃん付けなら、大人組ではないと)


??『準備はいいですか『ピー』ちゃん』

???『橘です!』


拓海「名乗ってんじゃねえか!」


『ピコーン』

夏樹「はい、夕美回答どうぞ」

拓海「はっ! しまった!」

夕美「橘ありすちゃん!」

『ピンポンピンポーン』

夏樹「夕美20点加算で合計50点だ。拓海は20点」


笑美「いや、待った」

夏樹「ん? なんだ? 笑美」

笑美「拓海はんにプラス20点や」

夏樹「……どういうことだ? 正解したのは夕美だぞ?」

笑美「ありすちゃんのボケ、見事やった。名前を当てるクイズの対象でありながら、自ら名を名乗る……そうそう出来ることやあらへん」

かな子(ボケたんじゃないと思うけど)

笑美「ただあのボケは、突っ込みがないと生きないボケや。それも間が空いたら台無しや。即座の、反射的な突っ込みが要求される」

拓海(何の話だよ)

笑美「アイドルの仕事とはなんや? ファンを喜ばせることやろ。ありすちゃんは素晴らしいボケを披露した。拓海はんは適切な突っ込みをした。これこそアイドルや。ならば拓海はんにはそれにふさわしいポイントを加算するべきや」

夕美「えっと、じゃあ私の正解は?」

笑美「もちろんクイズはクイズ。夕美はんは正解して20点。拓海はんにはツッコミポイント20点をそれぞれ加算ってんでどや?」

夏樹「うーん、審査員の判定は絶対……と言ってやりたいところだが、笑美の独断で何でもありになっても困る。審査員は3人いるから最低もうひとりの同意が必要だ。おふたりはどう思う?」

かな子「私は……ごめん、ちょっとわからない、かな」

夏樹「ヘレンさんは?」

ヘレン「そうね、ツッコミポイント、加算よ」

夏樹「マジか」

笑美「マジか」

ヘレン「根拠はあるわ。先程のインタビュー音声、加工を施しているのだから、当然録音されたものよ。インタビュアーがありすの名前を呼んだ部分はピー音で隠していた。ならば、あの名乗りの部分も伏せることはできたはず。そうしなかったのはなぜ?」

夏樹「そういえばそうだな」

ヘレン「スタッフがあえて残した、そう思って間違いないわ。ならばあの部分は笑いとして昇華させることが正しい。そうでしょう?」

夏樹「なかなか説得力あるな。じゃあ審査員判定ということで拓海にも20点加算だ。夕美50点、拓海40点だな」

拓海「助かった、けど」

夕美「無茶苦茶な番組だね……」

夏樹「じゃあ次の問題行くぜ。もう1問、さっきと同じインタビュークイズだ」

『問題』ジャジャン

??『では、今から『ピー』ちゃんにインタビューを行います』


夕美(入りはさっきと同じ……)

拓海(何歳ぐらいまでちゃん付けするんだったか……)


??『準備はいいですか『ピー』ちゃん』

??『インタビュー? ふーん、悪くないかな』


拓海「隠す気あんのか!」


『ピコーン』

夏樹「はい、夕美回答どうぞ」

拓海「あぁっ、クソッ! またやっちまった!」

夕美「渋谷凛ちゃん!」


『ブブー』

夕美「はれ?」

拓海「なに……?」

夏樹「夕美マイナス10点。音声はここでストップで解答権は拓海に移る。制限時間は30秒、繰り返すが不正解の場合は減点、無回答の場合はそのままだ」

拓海(凛じゃねぇのか……)

夏樹「残り20秒」

拓海(どうする? 夕美は減点だから、ここでアタシが答えなくても点数は並べる……)

夏樹「残り10秒」

拓海(いや、余計な計算なんかするんじゃねぇ! いつだって攻めの姿勢、それが特攻隊長向井拓海だろうが!)

夏樹「5秒前」

拓海(…………)

夏樹「4、3、2」

拓海「本田未央だ!」


『ピンポンピンポーン』

夕美「えっ、未央ちゃんだったの?」

かな子「すごい……あれでわかるんだ……」

拓海「へっ、アタシも凛だと思ったけどよ、違うってことはモノマネだったんだろ? それをできそうな奴でやりそうな奴って言ったら、未央しかいねーよ」

笑美「いやー大したもんやな、これで同点か、おもろなってきたな!」

夕美「同点?」

拓海「違うだろ? アタシがリードしたはずだぜ」

笑美「いやいや、拓海はんゆーたやろ? 『隠す気あんのか』って」

夏樹「ああ、夕美が答える前にそんなこと言ってたな」

笑美「その後の反応からすると、凛ちゃんだと思ったんやな? 的外れな突っ込み、マイナス20点や」

拓海「オイオイオイ、そんなんアリかよ」

かな子「これはまぁ、仕方ないかな」

ヘレン「突っ込みで加点があったのだから、当然突っ込みで減点もありうるわね」

夏樹「満場一致だな。夕美不正解でマイナス10点。拓海正解でプラス20点に突っ込み失敗でマイナス20点。二人とも合計四十点で並びだ」

拓海「不正解より減点でけえじゃねぇかよ……」

夏樹「さて、次でいよいよ最終問題だ、ラストは……語学の200だ!」

夕美「そういうクイズじゃなかったよね」

夏樹「問題を読み上げる音声が流れて、早押しで答える。まぁスタンダードなクイズだな。配点は200点だ」

拓海「今までのは何だったんだよ」

夏樹「不正解の場合はマイナス100点。だから、先に押して正解したら勝ち、間違えたら自動的に負けってことになる」

拓海「わかりやすいじゃねぇか……けど、語学か……」

夕美「…………」

かな子「語学かぁ、単純に知識勝負なら、夕美さんかな?」

笑美「どっこいちゃうかな……夕美はん、ああ見えて結構アホやし」

かな子「でも、大学生だよ?」

ヘレン「レベルを問わなければどうとでもなるわ」

かな子「そ、そうなんですか」

笑美「それに夕美はん、たぶんテスト悪くても成績はよかったタイプやろ。推薦とかで入ったんかもしれんし」

かな子「結構失礼なこと言ってるよね?」

笑美「褒めとるつもりやけどな。真面目で活発ってなかなか両立せんもんやろ? 勉強だけできるより、よっぽど真似すんの難しい思うで」

かな子「そっか、そうかも」

笑美「ま、クイズには役に立たんやろけど」

かな子「うん……」

ヘレン「双方とも基本的な語学力は期待できない。ただし、得意分野なら話は別」

かな子「夕美さんはお花や園芸用語。拓海さんは、バイク関係とかかな?」

ヘレン「そうね、だけどおそらく拓海の出番はないでしょう。ふたりの構えを見なさい」

笑美「構えて、どっちもボタンに手添えてますが」

かな子「……夕美さん、もうボタン押してる?」

笑美「ほんまや、あれってどうなるん? 問題読み始めたらすぐ押したことになるんかな? でもそれじゃ問題聞けんし……」

ヘレン「違う。あの手のボタンは、ある程度までは押し込んでも反応しないようにできているのよ」

かな子「あ」

笑美「そうなん?」

ヘレン「いわゆる『遊び』と呼ばれるものね。車やバイクのアクセルやブレーキ、自転車のブレーキにだってあるでしょう? その遊びの分をあらかじめ押し込んでおく、早押しのコツよ」

笑美「ん? じゃあ拓海はんはなんで同じことやらんのや? バイク乗りやし、その遊びちゅうのにも気付きそうなもんやけど」

かな子「気付くわけない。拓海さん、まだ一度もあのボタン押してないもの」

笑美「…………おぉ」

ヘレン「早押しでは夕美が勝つ。あとは、答えられるかどうかよ!」

かな子「でも、ちょっと意外だったな。夕美さんって勝ち負けとかはあまり頓着しないタイプだと思ってたけど、結構本気で勝ちに行くんだね」

笑美「たしかに、1問目の判定からガッツリ噛みついてきたしな」

ヘレン「なにか心境の変化があったのかもしれないわね……しかしそれは良い変化よ。アイドルとして、人として、世界を相手にするために」

笑美「ちゅーか問題まだかいな」

   他人と競い合うということが、あまり得意じゃなかった。

   以前の私は、普通の大学生をやっていて、卒業した後はきっと、普通のOLにでもなるものだと思っていた。



夏樹「よし、じゃあラストナンバー行くぜ!」



   アイドルになってからも、どこかで思っていた。

   私は草原の片隅に咲く小さな花でいい、

   それでも元気に咲いていれば、見てくれた人が喜んでくれるかなって。



『問題』ジャジャン


   だけど、小さな花のままじゃできないこともあるって、気付いて、思い直した。



『ドイツ語で、種を意味する言葉を何と――』



   やっぱり私は、誰の目にも止まるお花になりたい。



『ピコーン』



   だから、拓海ちゃんにだって負けない。もう下は向かない。私は――



夏樹「はい、夕美回答どうぞ」



   一番大きな花になる!



夕美「ザーメン!!!」

――収録後、楽屋



夕美「…………」ドヨーン


夏樹(空気が重い)

笑美(ヘコんどるなぁ)


夏樹「一応言い訳しとくけどよ、アタシは内容知らなかったんだよ。問題はプロデューサーが作ったもんだし」

笑美「最終問題は編集でカットして同点で終わったことにするそうや、放送はされへんて」

夕美「……そう」

夏樹(どうすんだ、これ)

かな子「ゆ、夕美さん!」

夕美「……なに?」

かな子「えっと、その……呼んでみただけ! えへへ」

笑美(なんやねんそれは)

夕美「……そう」


ヘレン「ヘーイ!」

夕美「……ヘーイ」

ヘレン「…………」

笑美(アカン)

『ガチャ』

拓海「よォ」

夏樹「拓海、どこ行ってたんだよ?」

拓海「プロデューサーの野郎をシメてきた。2~3日は立ち上がれねぇと思うが……夕美も殴っとくか?」

夕美「……あとで」

かな子(殴るんだ)

拓海「それと、ほら」

夕美「なに? 封筒?」

拓海「賞金だよ、テレビ的には引き分けってことにするみたいだが、勝ったのは夕美だからな。これはお前のモンだ」

夕美「……受け取る気になれないよ」

拓海「ま、そう言うだろうと思ってたけどな、負けたアタシがもらうわけにもいかねぇ。だからよ」

夕美「?」

拓海「この金で、打ち上げしようぜ、笑美たちも連れて。飲み食いして使い切っちまえば文句ねぇだろ」

夕美「…………」

笑美「おぉ、ええやん! パーッと騒ごうや!」

ヘレン「ヘイ!」

かな子「わ、私は……?」

拓海「『たち』っつっただろ、もちろんヘレンさんもかな子もだ」

夏樹「アタシはッ!?」

拓海「なんで必死なんだよ、夏樹もだよ」


夕美「……ふふっ」

笑美(おっ)

夕美「あはははは! 面白いなぁ、みんな」

拓海「……ちったぁ気ィ晴れたか?」

夕美「うん、(プロデューサーさんは許さないけど)いつまでも萎んでられないから」

かな子(なんか間があったような)

夕美「拓海ちゃん」

拓海「ん」

夕美「ありがとね」

拓海「……次は負けねぇよ」


笑美「ええ話やな」

夏樹「そうか?」


ヘレン「まさに世界レベルね!」

かな子「ごめんなさい、わかりません」


拓海「で、なに食いに行くよ?」

夕美「焼肉食べたいなっ」

拓海「……まだ肉食うのかよ」


   ~Fin~

終わりッス。

ミスってた

>>4
× 拓海「おっと、質問はナシだ! 回答者は黙ってパネルに書くように」
〇 夏樹「おっと、質問はナシだ! 回答者は黙ってパネルに書くように」

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