大原みちる「ぱんつくったことあります?」 (9)


落ち着け。冷静になるんだ。この私に乗り越えられなかったトラブルなんてなかったじゃないか

今はこの質問の意図を沈着冷静に解き明かすのだ

まずは質問者の表情をよく観察…、ダメだ。みちるの表情はいつもと変わらない。クリクリした瞳で一切の曇りなきまなざしだ。

いや、もしかしたら私が質問を聞き間違えたのかもしれない。まったく、慌てるとろくなことにならない。

P「すまない、みちる。今なんて言ったんだ?」

みちる「あはは!Pさんが人の言葉を聞き逃すなんて珍しいですね!」

P「ああ、最近忙しいものでな」

みつる「仕方がないですよ!年末は忙しいですから」

P「心配してくれてありがとう。それでなんて言ったんだ?」

あくまでスマートに、出来るプロヂューサーらしく振舞ってそうみちるに尋ねた

きっと正確に、質問の意図が分かるようにみちるは答えてくれるはずだ

みちるは、にこっと笑い、かわいらしい犬歯を見せて、そしてまたあのまなざしで

みちる「ぱんつくったことありますか?」

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その目は、笑っているのか、冷徹に生命を奪おうとする獣の目と見分けがつかなかった

背筋に冷たいものが流れる

落ち着け。Coolになれ

なぜこんな子供だましのような質問を答えることに躊躇しているのだ。しかも相手はあのみちるだ

みちるの質問の意図はたった一つに違いないじゃあないか

みちるは自他共に認めるパン好きだ。ほんの世間話のようなノリで「パン」を作ったことがあるのか聞いただけさ

決して私が今、みちるの楽屋でみちるのパンツをもぐもぐしているところを見つかったこととは関係ないはずだ

P「当然、ぱんつくったことあるよ」


目が一瞬ぎらりと光ったような気がした

みちるの瞳は、常に人を魅了して離さない魅力がある

もしかしたらヒトが野生動物として生きていた時代に、獰猛な野獣に見つめられた時も、こんな気持ちだったのだろうか

じりっと出口の方に動く

プロデューサーとして今の状況を弁解することが、必要なはずだ。それが道理のはずだが

生命の危機には四の五のいってられない

爛々と光った眼と大きく開いた犬歯は、間違えようもなく私の生命を断とうとしている

直感がそう告げている

人の噛みつく力はどれほどのものだろうか

指のひとつやふたつは確実に飛ばされるだろう

しかも相手はあのみちるだ

石パンだろうがなんだろうがボリボリかみ砕いてしまうのだ

少しずつ出口に近づいて――

みちる「あははー!そうですよね!」


!?

どういうことだ?

みちる「やっぱり私のプロデューサーはぱんつくったことある人じゃないと務まりませんよねー」

なんということだ。みちるは私の想像をはるかに超えるパン聖人だったのか

よかった、生命の危機は去ったのだ

もぐもぐしていたパンツをごくんと呑み込んで、クリアクリンしている白い歯をキラリと見せてみちるに笑いかけた

P「当然じゃないか」

みちる「じゃあ今度パンを作ってくれますか?」

おっとそうきたか

実は料理はからきしで、パンなんて作ったことないんだがな

まあ適当にごまかしてパンを作ればいいか

P「もちろんだとも。とびきりのパンをご馳走しよう」

みちる「わあい!」

そういうと無邪気な笑顔で抱き着いてきた

HAHAHA!よしてくれよ。色々やわらかいものが当たっているじゃないか


みちる「とびきりですよ!」

P「ああ。とびきりだ」

ぎゅっと首に腕を回して密着してくるみちる

そんなに喜んでくれるとはプロデューサー冥利に尽きるというものだ

みちる「約束ですよ!じゃないと」

――がりっ

首筋に痛みが走る

何が起こったのだ?

混乱する私をよそにみちるは私の耳元に口を寄せてきて――


みちる「食べちゃいますよ?」

その瞳は、相変わらず爛々と光っていたのだった


みちる「とびきりですよ!」

P「ああ。とびきりだ」

ぎゅっと首に腕を回して密着してくるみちる

そんなに喜んでくれるとはプロデューサー冥利に尽きるというものだ

みちる「約束ですよ!じゃないと」

――がりっ

首筋に痛みが走る

何が起こったのだ?

混乱する私をよそにみちるは私の耳元に口を寄せてきて――

みちる「食べちゃいますよ?」

その瞳は、相変わらず爛々と光っていたのだった


 ― 糸冬 ―


みちるちゃんと一緒にパン作りたいです

依頼出してきます

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