健夜「そろそろ閉幕インターハイ」咲「終盤戦、ですね」 (475)

健夜「まだ終わらないインターハイ」咲「Bブロック、ですね」
健夜「まだ終わらないインターハイ」咲「Bブロック、ですね」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473073727/)の続きになります。

咲さんの性格改変注意です。
書き溜めが無いので、週1更新などざらにあるかもしれませんが、気長にお付き合い頂けたら嬉しいです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1483081118

書き忘れました。
時系列的には、前スレの>>264からとなります。

では、よろしくお願いします



【インターハイ・Bブロック、準決勝先鋒戦】





小蒔「ツモ……」

小蒔「九蓮宝燈……8000.16000」コォォォォ




恒子『き、決まったぁぁぁぁぁ!!』


恒子『なんとなんと!!永水女子、神代小蒔選手、南入して1局目に役満ツモ!!しかも、九蓮宝燈です!!』

恒子『わたくし、生で見るのは初めての役です!!』


健夜『先程までと雰囲気がガラりと変わりましたね。これは、神代選手の本領はここからでしょう』

健夜(これが、憑依できる中でも上位の実力……)

健夜(さすがに、高校生の域を越えてる)


恒子『現在トップを走るのは、今の和了りで一気に1位へ浮上したシード校、鹿児島代表の永水女子!!』


恒子『2位に着けるのは同じくシード校、東東京代表、臨海女子ですが点差はそう多くありません!!』


恒子『3位、4位の南大阪代表・姫松高校と南北海道代表・有珠山高校の両校も、点差こそ開いてはいますがまだまだ試合は分かりません!!』


健夜『そうですね。むしろ、その両校に関しては、後々から追い上げるタイプでもありますから』


健夜『かと言って、先鋒で油断して良いという訳ではありません。神代選手と辻垣内選手というトッププレイヤー相手にどれだけ食らいついていけるか』


健夜『その辺りも、注目したい所です』



恒子『ちなみに、小鍛治プロは巫女服とかどう思いますか?』

健夜『え?普通に清楚な感じで素敵だと……って、その質問の意味ある!?』


恒子『知らないのすこやん?巷では、巫女服ブームが到来してるんだよ』

健夜『そ、そうなの……?』

恒子『いや、知んないけど』

健夜『恒子ちゃん!!!』

恒子『なははー、ごめんごめんっ』



智葉「これは想像以上だな……」


漫「ちゅ、九蓮宝燈…初めて見たわこんなん…」


成香「これが神代さん…」


成香(爽さんみたいな雰囲気を感じます……)


智葉(成程。照と同じく牌に愛された子などと呼ばれているだけの実力はあるな)


智葉(……面白い)フフ


小蒔「……」コォォォォ




恒子『まだまだ準決勝は始まったばかり!!お前ら!!画面の前から動くなよぉぉ!!』


健夜『だからお前らとか言ったら……ほら、スタッフが少し睨んでたよ!?』


恒子『周りの目を気にしていてアナウンサーなんて務まるかー!!』


健夜『カッコいい台詞だけど、少しは気にしようね!?』



健夜(…はぁ……)




健夜(……咲ちゃん、何やってるかなぁ…)



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【Bブロック会場・観戦室】



真佑子「ちゅ、九蓮宝燈……」

咲「流石、神代さんって感じですね」

咲「並の実力じゃありません」

真佑子「配牌からおかしな事になってた気がするんですけど…」

咲「偶然ではありませんね。これが、神代小蒔の力です」

真佑子「あの時の大星さんよりも……何というか、凄いよ」

咲「まあ、今の1回の九蓮宝燈が、現段階の神代さんが出せる上限だと思うので流石に役満連発は無いでしょう」

真佑子「もし九蓮宝燈連打されたら、たまりませんけど……」


真佑子「というか、現段階って…まだ、上があったり…?」


咲「今回は、9段階中の7段階目くらい……でしょうかね」


咲「おそらく、ですが」


真佑子「ひぃぃ…」


真佑子「大星さんといい、神代さんといい、牌に愛された子って凄すぎます…」


咲「……私、その牌に愛された子って呼び名、あまり好きじゃないんですよね」


真佑子「えっ?」


咲「だって、牌に愛されたから、麻雀が強いみたいな言い方じゃないですか?」


咲「天江衣も、神代小蒔も、大星淡も。……宮永照も」


咲「皆、努力して培ってきた上での実力だと思いますし……愛されただけで強くなったーみたいな感じ、あんまり好きじゃないんです」


真佑子「確かに、そうかもしれないですね…牌に愛された子って一括りにしちゃうのは、失礼かも」


咲「……ま、生まれ持った才能だけで鬼みたいに強いって人も居るようですけどね」チラ


恒子『すこやんってスク水似合いそうだよね』


健夜『試合の実況して!?』




咲「……」呆れ




真佑子「……」ジ-ッ


咲「……?」


咲「何ですか?」


真佑子「ううん。宮永さんって、大人っぽいと見せかけて、実は子供っぽい所もあるのかなって」


咲「……はい?随分と突然ですね」


咲「一体、何処からそんなイメージ出てきたんです」


真佑子「うーん……何となく、かな?」


真佑子「心を許した人には、結構甘えたりするタイプなんじゃないかなぁって」クスクス


咲「なら、私は多治比さんに甘えていないので、多治比さんには心を開いていないという事ですね」


真佑子「それはそれでなんか悲しい……」


真佑子「って違くて!ほら、さっき一緒にいた子との会話とか思い出すと、私と話してるのと少し違うから」


咲「平然と会話を盗み聞きしないでくださいよ」


真佑子「あぅ」


咲「というか、会って数分の多治比さんとマホちゃんとで、接し方が違うのは当たり前でしょう」


真佑子「うん、だから……あの子とお話してる時の宮永さんは、なんて言うか……」


真佑子「そう、お日様みたいな?優しい雰囲気だったから、もしかして甘えん坊な一面とかもあるんじゃないかなって」アハハ


咲「……」


咲「……」コホン




咲「……真佑子お姉ちゃん…私…膝枕、して欲しいな……?」ギュ


真佑子「へっ!?!?」ドキッ


咲「ダメ……かな?」チラ


真佑子「えっ、その、み、宮永しゃん!?/////」


真佑子「あぅ…その…あの…」モジ


真佑子「ど、どうぞ!!!」ドキドキ






咲「……甘えるってこんな感じでしょうか?」


咲「うーん…心を開いた人にこんな態度取ってる覚えはないですね」シレッ


真佑子「……えっ?」


咲「えっ?」


真佑子「えっと…もしかして、ただシミュレーションしてただけ……?」


咲「ええ、まあ…そうですけど?」


咲「ぷっ…もしかして、本当に甘えてきたと思いました?」


真佑子「だ、だっていきなりすぎてっ!/////」


咲「あはははっ!急に膝枕求めてくる人なんて居ませんよ!」アハハ



<ヘックション!ウゥ…ダレカニウワササレトルンヤロカ…



咲「はぁ、おかしい……」クスクス


真佑子「うぅ…////」カァ


咲「……で、どうでした?」


真佑子「何がですか……?」


咲「さっきの、甘えた感じでした?」


真佑子「えっ……た、多分…?」


真佑子「何というか、凄く…守ってあげたくなった、かな…?」


咲「……そうですか。参考にします」


真佑子「う、うん……?」


真佑子(えっ、参考って……)



智葉『ロン、8000』


恒子『おっとぉ!?ここで臨海女子、辻垣内選手の満貫が、神代選手に直撃!!』


健夜『今のは振り込むように誘導されましたね』


恒子『さすが、昨年度個人戦3位の実力者です!!』





咲「へぇ…?」

真佑子「あっ」


咲「神代さんの一人舞台になるかと思いきや、ですね」チラ


智葉『……』22 33 44m 567p 78s 南南 ロン9s


咲(ダブ南を取らずイーペードラドラ赤一…)


咲「配牌で南が対子になっていたのに、出た3枚目を鳴かずに満貫直撃か……御丁寧に、引いてきた4枚目の南をツモ切りしてまで」


真佑子「私だったら、ダブ南確定させて安心しちゃうかも…」


咲「普通なら、そうしない理由がありませんしね」


真佑子「つまり、和了る以外の目的……直撃の為の行動って事ですか…?」


咲「……」ジ-


真佑子「えっ、な、何かな…?そんなに見つめられると、恥ずかしいです……////」


咲「あ、いえ別に何も。……そうですね」


咲「ダブ南を付けて、跳満ツモ和了りで1位と15000点差埋めるより、満貫ロンで16000点差を埋める方を選択したんでしょう」

咲「それか、南を鳴くもしくは暗刻にしては和了れないと踏んだか」


真佑子「でも、跳直すれば24000点縮まりますよ?」


咲「相手が初心者なら、そうしたでしょうね。でも神代小蒔だって、そんな素直な手に振り込んではくれない」


咲「だから辻垣内さんは、神代さんの聴牌察知を逆に利用したんです」


真佑子「利用?」


咲「神代さんの手は染め手。低くても倍満を聴牌していました。私なら、満貫の聴牌を察した程度ならツッパるでしょう」


真佑子「私も、自分の方が先に和了れる方に賭けちゃうかな…」


咲「けれど、仮に跳満を察知した場合はどうですか?」


真佑子「なるほど…つまり、辻垣内さんは自分の手を安くする事で警戒度を下げて、見事に直撃までしてみせた」


真佑子「という事になる訳ですか…」


咲「そこまで考えていたかは分かりませんが、可能性はあるでしょうね」


咲「それに、役牌を鳴くっていう行為は、既に役がある事の証明……つまりは、リーチするのと同意義です」


咲「当然、それをしてしまうと和了りの可能性は広くなりますが、振り込まれる期待値的には落ちてしまいますよね」


真佑子「ダブ南なんて、誰でも警戒しますもんね。ドラも見えていませんし…」


咲「まあ、普通に跳満ツモでも私は良いと思うんですけど……そこは、辻垣内さんの性格か……或いは」


咲「一度刺して置く事で、牽制をしたか」


真佑子「なるほど……」


咲「……」チラリ


智葉『……』


咲(辻垣内智葉さん、か……)


咲(臨海の先鋒で個人戦3位の実力は、伊達じゃない)


真佑子「宮永さんだったら……」


咲「はい?」


真佑子「神代さんの今の手……かなり、大きめでしたよね」


咲「ええ」


真佑子「辻垣内さんは、その辺りも察知して…その、手替わりさせずに待ってたっていうのもあると思うんですけど」


咲「ですね。確かに、4枚目の南を引いた時点で神代さんは聴牌していましたし、手替わりさせている暇も無かったかもです」


真佑子「宮永さんなら、どうやって対応しますか?」


咲「辻垣内さんと同じ配牌やツモって言う事なら、同じように満貫ロンですかね…跳満ツモでも良いですけど」


真佑子「別の配牌やツモなら……?どういうのを狙いますか?」


咲「うーん…それは、勿論役満直撃や地和って答えたい所なんですけど…現実的ではないですかね」


咲「私なら、他家をアシストしてトップの神代さんがそこに振り込むか、他家が和了るように誘導します」


真佑子「自分が和了らずに、ですか?」


咲「警戒度の調節ですよ。……そうですね」


咲「天江衣と宮永照と神代小蒔の3人と、多治比さんが打っている想像をしてください」


真佑子「……」ソ-ゾ-


真佑子「こ、怖いです……」


咲「感想は聞いてません」


咲「その面子では多治比さんは他の3人からしたらせいぜい、申し訳ないですが注意度下の上といった所でしょう」


真佑子「ですね…」


咲「しかし、東一局でいきなり多治比さんが天和和了ったらどうでしょうか?」


咲「他の3人は、嫌でも多治比さんを注意せざるを得ないでしょう?」


真佑子「た、例えが極端すぎませんか?」


咲「私、例え話が下手なんです。……つまり、こう言いたいんですよ」


咲「この試合、神代さんは辻垣内さんを特に警戒していました。まあ、全国3位で臨海の先鋒ですから、当然とも言えるでしょう」


咲「神代さん並のプレイヤーにマークされてしまえば当然、自分の麻雀も打ち辛くなりますよね」


真佑子「そういえば、東場でも何度か和了りを止められてたような……」


咲「ですです。私が同じ立場に置かれた場合は、他家をアシストしてロンさせるかツモさせるかと言いました」


咲「そうすれば、私に警戒していた神代さんは意識外からの攻撃に、注意を分散させるでしょう」


真佑子「そこを狙う……ですか」




咲「麻雀でもしもの話をしても、そんなに都合良くなんて行かないのでアレですけど」


咲「私ならそれを狙ってみますかね。もしそれで、他家が神代さんに満貫でも当ててくれてその後に、自分も満貫当てれば」


咲「24000点、差が縮まる事になりますし警戒も分散する。……ね、お得でしょう?」クスクス


真佑子「そういえば……」


真佑子「龍門渕高校の天江衣さんも1人の選手しか意識していなくて、警戒していなかった他校から直撃を受け戸惑った後、1番警戒していた選手に捲られた……」


真佑子「と何かの記事で見たことあります」


咲(みなもか……)


咲「似たような話ですね。初めから全体をくまなく警戒していれば問題は無いですが、途中で意識を分散させてしまうと、そこに必ず隙が生まれますから」


咲「逆に言えば、どんな格下相手だろうと常に負ける可能性を考えて打てる選手がいたら、その人は非常に強いです」


咲「……まあ、そんな人はそうそう居ませんけど」


真佑子「なんだか、麻雀が奥深い競技に思えてきました…」


咲「というか、こんな事まで考えなくても、自分が楽しめる様に打つのが一番ですよ」


真佑子「……うん、そうですね」ニコ


咲「はい」


咲(……そうは言っても)チラ


小蒔『……』ゴゴ


咲(神様を降ろしてる神代さんが、これ以上警戒を怠ったり、このままで終わるとは思えないけどね)


咲「……」


咲「……冷静に考えてみて、神様降ろすって何…」


真佑子「え?何か言いましたか?」


咲「あ、いえ。何も」


咲(今度また詳しく聞いてみよ…麻雀関係無しに気になるよ)




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一先ずここまででっ

そういえば、原作の方では宮永姉妹についての設定が色々明かされましたね。原作でのみなもちゃんの立ち位置が非常に気になりますね……っ

レスありがとうございますっ。
冷やし透華や他の長野の面子はもう暫くお待ちくださいっ


【先鋒決着】



恒子『先鋒戦決着ぅぅぅぅ!!!』


恒子『Bブロック準決勝先鋒戦、トップ通過を勝ち取ったのは永水女子!!!神代小蒔選手です!!!』


健夜『序盤から中盤の勢いが物凄かったですね。他校はその勢いを中々止められない結果となりました』


恒子『2位に終えたのは臨海女子、辻垣内智葉選手!!何度か神代選手から直撃を取りましたが、あと一歩及ばず!!!』


恒子『しかし、個人戦3位らしい素晴らしい闘牌を見せてくれました!』


健夜『辻垣内選手は暴れる神代選手だけでなく、姫松や有珠山の打ち筋にも対応してこの結果です。』


健夜『流石、と言って良いでしょう』


恒子『3位に付けているのは姫松高校。先鋒は上重漫選手!!強豪姫松、少々厳しい立ち上がりか!?』

健夜『何度も大きな手を聴牌していましたが、辻垣内さんに尽く潰されてしまっていましたね』


健夜『しかし、終盤に火力重視から速度重視に変えた点については、とても高く評価したいです』


恒子『相変わらず上からです!!!』


健夜『だからそんなんじゃないよっ!!』



恒子『4位に付けたのは初出場有珠山高校、本内成香選手!!強豪のエースを相手に、踏ん張りました!可愛い!』


健夜『初出場で準決勝、それも先鋒というポジションで少々怯んでしまいましたね』


健夜『しかし、ポテンシャルは十分に持っているように感じました。去年、この高校がインターハイに出てこなかったのが惜しく感じます』


恒子『福与情報によりますと、口癖はステキです!……だそうです!めっちゃ可愛い!』


健夜『アナウンサーが特定の選手に入れ込んだらダメだよ!?可愛いけど!』

恒子『小鍛治プロ、若い選手にジェラシーってるの?』


健夜『注意しただけじゃん!!』


恒子『さあさあ!!次鋒戦はどんな戦いが見られるのか!!』


恒子『お前らぁぁぁぁぁ!!!見逃すな!!!』


健夜『そろそろ突っ込むのも疲れてきたよ……』ゲンナリ





真佑子「永水女子が一先ずトップ……」


咲「辻垣内さんも惜しかったですね」


真佑子「世界の違いを感じたなぁ…」グテ-



咲「はぁ、そうですか?」


真佑子「うん…」


咲「……」


真佑子「でもだからこそ、私も努力して辿り着きたいなって思えました」グッ


咲「……そうですか」フフ


真佑子「な、なんて…私なんかが無理かなっ」


咲「かもですね」


真佑子「だよね…」


咲「まあでも」


咲「楽しみにしてますね」


真佑子「……へっ?」


咲「多治比さんがトッププロになって、私にメッセージを送ってくれるんですよね?」


咲「約束です」クスクス



真佑子「ま、待ってください!どうしてそんな事になってるんですか!?」


咲「え?だって、努力して辿り着きたいって……」


真佑子「飛躍しすぎですって!」


咲「そうですか?でもほら、目標は高く!ですよ」クスクス


真佑子「で、でもトッププロなんて……」


真佑子「私、ケーキ屋さんにもなりたいし困っちゃうよ!」


咲「えっ、そういう問題ですか」



咲「……でも、良いですねケーキ屋さん。できれば、茨城県でお店開いてくれると助かります」


咲「あ、差し入れは週5で良いですから。約束ですよ」


真佑子「ケーキ屋さんでも約束させられちゃうんですか…!?というか、差し入れ多すぎだし…」


真佑子(宮永さん、茨城県に住んでるのかな)


咲「ははは、冗談ですよ」


真佑子「からかわれた……」


プルルルルルル プルルルルルル



咲「あ、すみません…電話だ」


ピロリーン



真佑子「私も、メール…」




咲(マホちゃんだ…起きたのかな?)ピッ




咲「もしもし、マホちゃん?」

マホ『あ、先輩ですか?おはようございます!』

咲「うん、おはよう。起きたの?」

マホ『はい!お陰で元気一杯です!』

咲「そっかそっか、良かった」クスクス

マホ『えと、それでですね。マホもそちらに戻ろうと思うんですけど、同じ場所に居ますか?』

咲「うん、居るよ。迷子にもなってないしっ」フンス

マホ『わぁ!先輩凄いです!』

咲「ふふっ、でしょ?」

咲「それじゃあ、迎えに行くね?」

マホ『へっ?そんな、マホ一人で向かうので大丈夫ですよ』

咲「ううん、ちょっと座りっぱなしで疲れちゃったし、気分転換も兼ねてね」

マホ『それなら、マホは嬉しいんですけど……そのぉ…』


咲「大丈夫だって!言ったでしょ?迷子の法則!」

咲(あれ嘘だけど……)

マホ『ほぇ?あれって冗談じゃなかったんですか?』

咲「えっ」

マホ『えっ?』

咲「……バレてた?」

マホ『ふふっ、当たり前ですよー。この前のお祭りの日、迷子になって見つけた3分後にまた迷子になってたの、忘れたんですか?』クスクス

咲「……忘れたい過去だったもので…」

マホ『あははっ、先輩がマホに気を使って言ってくれたのは分かってますから!』

咲「…もう…マホちゃんには敵わないなぁ」

咲「でも、大丈夫だから待ってて?」

マホ『そうですか?…先輩がそう言うなら、待ってますね!』

咲「うん!それじゃあ、また後でね?」

マホ『はい!』


ピッ


咲「……ふぅ」チラ


真佑子「……」耳塞ぎ



咲「えっ、どうしたんですか」


真佑子「あ、電話終わった?」


真佑子「聞いちゃダメな内容かもだから、一応塞いでました」


咲「律儀ですね……。はい、終わりました」


咲「すみませんが、後輩の子をホテルまで迎えに行くので席を外しますね」


真佑子「私も、その、チームメイトの人が一緒に見ようって…」


真佑子「1人で来てるの、バレてたみたいです」タハハ


咲「そうですか」


咲「なら、さよならですね」スッ


真佑子「あ、宮永さん!」


咲「はい?」クル


真佑子「あっ、その……」


真佑子「……私」


咲「……」


真佑子「私、頑張ります」


真佑子「頑張るから、いつかまた……」


真佑子「今度は、卓の上で会いましょう」


咲「……」クス





咲「手加減は、しませんよ?」スッ


真佑子「うん、当たり前です」スッ






咲 真佑子「「また、いつか」」コツン



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多治比さん回、1スレ跨いで終了です。

今日が大晦日という事で、いつもの3人の大晦日回でも挟みたいと思いますっ
ネリ咲とかも書きたいなぁ…

【閑話・年の終わり】

~12月31日、茨城県某神社~


ワイワイ
ガヤガヤ



健夜「……」フ-

健夜「人、結構いるけど…2人とも大丈夫かな」

健夜「2人っていうか、主に咲ちゃんなんだけど……」アハハ…



咲「私が、なんですか?」

健夜「わわっ!?」ビクッ

マホ「こんばんは、健夜さん♪」

健夜「ふ、2人共……びっくりしたぁ…」

咲「お待たせしました、健夜さん」

健夜「ううん、私も今来た所だから」

咲「……そうだったんですか」

健夜「うんっ」


咲「ならもう少しゆっくり来れば良かったね、マホちゃん」

マホ「そうですねーっ!人混みを掻き分けて来たのに、損しちゃいました」

健夜「えぇ!?」ガ-ン

マホ「ふふっ、冗談ですよっ♪」

咲「にしたって、凄い人ですね……」

健夜「だね。さすが、年末の神社だよ」

マホ「あと30分程で今年も終わりですもんねー」

咲「なんだか、1年があっという間だったね」

健夜「嫌だなぁ…歳をとる早さが、年々早まってる気がするよ…」

マホ「大丈夫ですよ!健夜さん、高校生の時と全然容姿が変わってませんから!」


咲「本当にね。危ないクスリとかやってるんじゃないですか?」


マホ「ひぅっ……マホ、怖いです先輩…」ギュ


咲「よしよし…大丈夫だよ、今通報するからね」


健夜「どこから突っ込んで良いのか分からないよ!!」


健夜「あ、でも……えへへ、高校生の時と変わらないなんて、嬉しいなぁ」テヘヘヘ


咲「歳をとってるっていう事実は変わりませんけどね」


マホ「現実を見ましょう!」


健夜「マホちゃん!?」ガ-ン


健夜「うぅ…何故かマホちゃんまで辛辣だよ今日は…」


マホ「……だって、ねえ。健夜さん」


健夜「う、うん?」


マホ「気づかないんですかー?」


健夜「えっ、何を……?」


咲「ね、マホちゃん。言ったでしょ?どーせ、気付かないよって」


マホ「健夜さん、鈍感すぎです」


咲「鈍感っていうか、もう目が見えてないんじゃないかと心配になるよ」


健夜「うーん……?」ジ-ッ


咲「……」プイッ


マホ「えへへ…」


健夜「んー……」ジ-ッ


健夜「あっ!2人とも、浴衣!」


マホ「正解ですっ!」クルッ


健夜「おぉ…すっごく似合ってるよ、2人とも!」


マホ「えへへ、ありがとうございますー!」


咲「……あんまりジロジロ見ないでください、変態」プイ


マホ「またまたぁ!先輩ってば、こんな事言ってますけど、本当は健夜さんの反応を楽しみに」


咲「あー!あー!マホちゃん、余計な事言わないでっ!/////」


マホ(先輩可愛い…)


咲「べ、別に…健夜さんがこの前、浴衣姿を見たいって言ってたので着てきたとか…」


咲「そ、そんなんじゃないんですからね!?マホちゃんが着ていくって言うので、仕方なくなんですから!!////」カァ


健夜「そ、そうなんだ……うん、凄く似合ってる」ニコ


健夜「正直、見惚れちゃいそうだよ」アハハ


咲「~~~ッッッッ!!/////」


咲「さ、最初気付かなかった癖に、都合が良すぎです!///」


健夜「うっ…それは本当に申し訳ないよ」


咲「……もう、仕方ないんですから」フフ


マホ「先輩!健夜さん!早く行きましょー!」オ-イ

咲「あっ、マホちゃん待ってー!」


咲「私たちも行きますか、健夜さん」


健夜「うん、そうだね」ニコ


咲「マホちゃん待ってってばー!」テクテク

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マホ「見てください、あそこで甘酒配ってるみたいですよ!」


健夜「定番だね」


咲「そういえばこの神社、毎年配ってますね」


マホ「先輩と健夜さんは、ここの常連さんなんですか??」


健夜「あ、そういえば去年の今日は、マホちゃんはお家にいたんだったっけ」


マホ「はいです!」


咲「常連っていうか…まあ、中学1年の頃から毎年大晦日はここに来てるんだ」


マホ「ほぇ~では、毎年大晦日は2人で過ごしていたと!」


咲「ま、まあ……そうとも言えるけど…」


健夜「大変だったんだよー?今年はマホちゃんが一緒だったから良かったけど」


健夜「咲ちゃんってば、待ち合わせ場所に来る前に必ず迷子になるんだもん」


マホ「人混み凄いですからねー。当然とも言えます」


咲「えっ当然って……」ガ-ン


健夜「それなのに咲ちゃんってば、頑なに迎えに行かせてくれなくてさー」


健夜「どうして待ち合わせに拘るのか聞いても教えてくれないし」


咲「べ、別に……借りを作るのが嫌なだけです」フイッ


健夜「さっきの『待った?』『待ってない』『ならもっとゆっくり来れば~』の件も、何回もやってるんだよね」アハハ


マホ「ほうほう…なるほどぉ~」ニコニコ


マホ「先輩、可愛いです」クスクス


咲「うっ……/////」


マホ「そして健夜さんは、もう少し少女漫画とかを読んだ方が良いとマホは思うです」


健夜「え、どうして……?」


マホ「さて、どうしてでしょうねー?」


健夜「う、うーん……?」カンガエ


マホ「あ、マホ甘酒を3人分貰ってくるので、お2人はここで待っててくださいです!」


咲「あ、私も行くよ」


マホ「あの、ちょー凄い人混みに先輩を連れてなんていけませんよー!」


マホ「すぐに戻ってきますので!健夜さんは、先輩を見ててくださいですっ」タッタッタ




咲「行っちゃった…」


健夜「マホちゃん、楽しみにしてたからね」


咲「……ふふっ、そうですね」クス


咲「今年はマホちゃんにも沢山お世話になりましたし…お礼も兼ねて、もっと楽しんで貰えたら良いです」


健夜「そうだね。本当に」ニコ


咲「……」


健夜「……」ジ-ッ


咲「……?なんですか」


健夜「う、ううんっ!なんでも!」アセアセ


健夜(な、なんかいつも見ない服装だし、妙に意識しちゃうなぁ…)ドキドキ


咲「……もしかして、あんまり似合ってませんか」


健夜「へっ?」


咲「浴衣……」


健夜「い、いやいや!さっきも言ったけど、凄く似合ってるよ?」


健夜「今だって、綺麗だなーって見てたくらいで…」






咲「……ふぇっ?」


健夜「あっ……」


咲「い、いきなり何をっ……!?/////」


健夜「いやっ、その今のは」アセアセ


咲「……あぅ/////」


健夜(何言ってるの私ー!!恥ずかしいってレベルじゃないよ!)


健夜「えっと……と、とにかく凄く似合ってるよ!」


咲「そ、そうですかっ…///」


咲「その、それなら、良かったです…」ニコ


健夜(か、可愛い……っ)ドキ


健夜「咲ちゃん、その……」


マホ「とっても良い雰囲気の所すみませんが、マホ帰還しましたよー!」


健夜「ひぅ!」ビクッ


咲「お、おかえりマホちゃん!」


マホ「はい、ただいまですっ♪」


健夜「び、びっくりした…」


マホ「もしかして、もう少しゆっくり来た方が良かったですかー?」フフッ


健夜「そ、そんな事ないよ!!」


咲「う、うんうん!」


マホ(2人とも、素直じゃないんですから…)


マホ「あぁ、健夜さんは鈍感なだけでしたね~」


健夜「突然!?」ガ-ン


マホ(あ、声に出ちゃいました)テヘ


マホ「そういえばこれ!甘酒、どうぞです!」


咲「ありがと、マホちゃん」


健夜「ありがとね」


マホ「そういえば甘酒って、お酒って付いてるのにマホ達が飲んでも良いんですか?」


健夜「大丈夫だよ。お酒って言っても、アルコールなんて入って無いような物だから」


咲「甘いし、身体がポカポカして今日みたいな日に配る理由がよく分かるよ」


マホ「そうなんですね…マホ、貰いに行ってお巡りさんに捕まらないかドキドキでした」エヘヘ


マホ「そ、それじゃあ……飲んでみますっ」ドキドキ



咲「あはは…そんな緊張しなくても」


健夜「咲ちゃんも中1で初めて飲んだ時……」



咲『も、もし酔っ払ってしまったらどうしましょう……』



健夜「とか、言ってたよね」クスクス


咲「あ、あれはもう忘れてくださいよ!!////」


マホ「……んっ…」ゴク


咲「あ……どう?マホちゃん」


健夜「ジュースみたいでしょ」


マホ「ふぁ…確かに、あんまりお酒という感じはしません!」


マホ「先輩の言った通り、なんだか身体がポカポカしますねっ」ポカポカ

咲「ふふっ、でしょ?」クス


ゴーン……ゴーン…



健夜「あ…鐘が鳴り始めたね」


咲「どうします?お賽銭入れに行きますか?」


マホ「丁度、あんまり人並んでませんしそうしましょう!」


健夜「ん、そうしよっか」

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マホ「お2人は、お賽銭入れる時とか何円入れる~とか決まりありますか?」


健夜「んー…私はあんまりないかな」


咲「健夜さん、お財布に入ってる500円以下の小銭は全部入れてますもんね」


マホ「えぇ!?そ、そんな適当で良いんですか…」


健夜「あはは…なんだか、考えるのが面倒くさくって」テヘヘ


咲「この人はまったく……」ハァ


マホ「先輩はどうなんですか??」


咲「私は、毎年500円かな」


マホ「御縁(5円)の超強化版ですね!」


咲「あははっ、そうだね」クスクス


健夜「毎年思うんだけど、50円とかでも良いんじゃないの?」


咲「いえ。500円入れておけば、適当な健夜さんの分までこ縁を運んでくれるかなと思いまして」


健夜「そ、そんな意図があったの!?」


マホ(今の発言、何気に大胆発言だったのでは…)



マホ「へぇ~!ならマホも500円入れて、先輩の分までこ縁を運んであげますねっ!」


咲「ふふっ、ありがと」


健夜「じゃ、じゃあ私も500円にしようかな…?2人にこ縁が行くようにさ」


咲「いや…健夜さんは人の縁の心配をしてる暇はないと思うんですけど…」


マホ「片腹大激痛ですね!」アハハ


健夜「言われると思った!!」プンスカ


咲「……それにあなたがそうしちゃったら、私が500円にする理由、無くなっちゃいますし」ボソリ


健夜「え?今なにか…」


マホ「お2人とも!マホたちの順番ですよ!」


咲「あ、ホントだ」



マホ「お賽銭入れて~♪」チャリン


咲「健夜さんに良い縁が巡ってきますように」ププ


健夜「私はもう満足してるんだけどなぁ…」


咲「えっ……?」


マホ「鐘を鳴らして~♪」カランカラン


咲(あ、お願い事何にしよう…)


パン!パン!




マホ(今年も、先輩と健夜さんと楽しく過ごせますようにっ!)



健夜(……何かしらの進展がありますように…って、神様やっぱり今のなし!!/////)

健夜(ま、マホちゃんと咲ちゃんが元気で過ごせますように)



咲(うーん…特に無いなぁ…)

咲(えっと、去年のお願い事を叶えてくれてありがとうございました)


咲(来年も、今年と同じく皆が楽しい日々が送れますように)フフ

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健夜「咲ちゃん、何をお願いしたの?」


咲「去年と同じです」


健夜「去年……って、何をお願いしてたっけ?」


咲「一昨年と同じです」


健夜「お、一昨年は何を……?」


咲「その前の年と同じです」


健夜「そんなぁ……」ガックシ


マホ「そういう健夜さんはどうなんですか??」


健夜「わ、私!?」


健夜「私は……な、内緒で」


咲「やらしいですよ、健夜さん。変態」


健夜「なんで!?」ガーン


咲「マホちゃんは何をお願いしたの?」


マホ「マホですか?マホは、先輩がマホの気持ちに気付いてくれますようにってお願いしました♪」


咲「……へっ!?」カァ


マホ「なーんてっ!冗談ですよっ!」フフッ


咲「ま、マホちゃん……///」


マホ「そんなのは、神様に頼らなくたってマホ自身で叶えますから」ポツリ


咲「え?何か言った?」クビカシゲ


マホ「いえ、何もっ♪」


健夜「あ、後1分だよ」


マホ「ええ!?も、もうそんな時間ですか!」アワアワ


咲「あ、おみくじ引くの忘れてたや」


健夜「その辺りはまた明日とかで良いんじゃない?」


咲「それもそうですね」


咲「去年の健夜さんみたいに凶とか引いてテンション下げたくありませんし」


健夜「嫌な記憶が蘇るよ…」ズ-ン


咲「あはは」



マホ「えと、先輩、健夜さん!」


咲「うん?」


健夜「ん?」


マホ「今年も色々ありましたけど、お2人と沢山一緒に過ごせて、マホ幸せでした!」


咲「マホちゃん…」


健夜「私も、同じ気持ちかな」ニコ


咲「……ですね」フフ



咲「今年はありがとう。来年もよろしくっ」


咲「大好きだよ、マホちゃん」ニコッ


咲「……と、健夜さん…」ボソ


健夜「うん、私も…大好きだよ」クス


咲「!!」

咲「……はいっ」


マホ「マホも、大大大好きですっ♪」






マホ「お2人とも、ハッピーニューイヤー!です!」


健夜「あけましておめでとう!」


咲「今年もよろしくお願いしますっ」ペッコリン




【閑話・年の終わり、カン!】

少し早いですが、皆さん今年も良いお年をです。
今年中には、原作の方が個人戦に辿り着けたら良いですね!


【数分後・会場】



マホ「へぇ、隣に座ってた方があの松庵の」


咲「うん。それで、少しお話してたんだ」


マホ「松庵の多治比さんと言えば確か、大星さんの威圧を感じ取った方ですよね」


マホ「それほどの選手でしたか??」


咲「んー……」


咲「そうだなぁ」フフ


マホ「あ、もう大丈夫ですー」


咲「へっ?私まだ何も」


マホ「……先輩、気に入った人を思い浮かべる時決まってその顔するんですから」フイ



マホ「どーせ、好印象だったんでしょう?」ツ-ン


咲「そ、その顔ってどんな顔!?」


咲「ていうか、どうしてちょっとムスッとしてるの…?」アセアセ


マホ「別に、ムスッとなんてしてませんけど?」ムスムス


咲「してないなら目合わせて…?」


マホ「ただ、先輩は東京に来てからどれだけの方と親密になれば気が済むんだろうなーって」


マホ「思ってるだけですよー?」プイッ


咲「し、親密にって…」


マホ「……」チラリ


咲「あぅ…」アワアワ


マホ「……」

マホ「……」フゥ


マホ「ごめんなさい先輩。ちょっとイジワルしちゃいました」


咲「……」


マホ「えへへ…いけませんね、マホったら。どうにも、先輩が遠くに行っちゃうように感じて……」


咲「……」スッ


マホ「今のは冗談ですので、忘れてくださ」

咲「……えいっ!」ギュ-



マホ「ふぁ……!」ポフ


マホ「せ、先輩っ……!?/////」カァ


咲「えっと、確かにここ最近で知り合いは多くなったかもだけど……ね?」


咲「私が一番想ってるのは、マホちゃんなんだよ?」ナデナデ


マホ「ふにゃ…そ、そんな言葉に惑わされませんよっ…/////」


咲「私のただ一人…唯一の後輩だよ?」クス


咲「大切にしないはず、ないじゃん」ナデ


マホ「唯一……マホは、先輩にとって特別ですか……?///」


咲「うん、特別だよ?」ニコ


咲「だから機嫌、直して欲しいな」ナデナデ

マホ「もう……仕方ない先輩です…♪」




恒子『次鋒戦終了ぉぉぉぉ!!!』



咲「あっ…」ハナレ


マホ「あ……」シュン


恒子『Bブロック準決勝、次鋒戦を制したのは臨海女子・?慧宇選手!!』


恒子『終始安定した……所々よく分からない打ち筋でしたが、安定した闘牌で次鋒戦を終えました!』


恒子『ところで、あの打ち方ってなんなのすこやん?』


健夜『中国麻将の打ち方だって、私が何度も解説してたよね!?』ガ-ン


恒子『2位に着けているのは変わらず永水女子、そして姫松高校、有珠山高校と続いています!!』


健夜『聞いておいてスルー!?』




マホ「あんまり点数は動きませんでしたねー」


咲「元々手堅い打ち手が揃ってるし、臨海の留学生さんは完全に奥の手を隠してたからね」



マホ「中国麻将で、アジア大会の銀メダル選手でしたか~」


マホ「先輩と同じ、一年生ですね!」


咲「うん。ほんと、世界は広いなって感じるよ」チラ


マホ(世界の選手が先輩や健夜さんを見たら、きっと同じ事を言うでしょうね~)クスクス


ハオ『……』スタスタ


咲「私もさすがに中国麻将は知らないけど、あんな防御に徹した打ち方しても尚、+収支で1位抜けできる実力…」


マホ「単純に、他の学校の次鋒さん達が実力不足だったとかでは無いんですか?」


咲「ま、マホちゃんってたまに辛辣だよね…」


咲「仮にも、全国大会で準決勝に上がってきたチームの1選手達。そう簡単に、勝てる相手じゃないよ」


マホ「それもそうですね~……」


マホ「それじゃあ、次の中堅戦!先輩オススメの選手はどなたですか?」



咲「臨海女子の雀 明華かな」


マホ「先輩のお知り合いでしたね~」


咲「……あれ、私その話したっけ…?」


マホ「さっき明華さんご本人が熱く語っている所を、聞いていましたから!」


咲「えっ、でもマホちゃんが来たのは話終ってからだったよね」


マホ「途中で割って入るのもな~って思ったので、影でコッソリとです!」


咲「そうだったの?もう、盗み聞きなんて悪趣味な真似、めっだよ?」メッ


マホ「えへへ、ごめんなさい」テヘ


咲「まあ、聞いてたなら話は早いかな」





咲「……明ちゃんには中学生の頃、本気で打って1度だけ」


咲「私も、負けたことがあるから」


マホ「……へぇ」


マホ「その、宮永先輩が言う"本気"って?」


咲「靴下、脱ぐ方」


マホ「……それは、凄いですね」


咲「日本の大会は常時歌う事が出来ないし、色々とあの時と条件も違うから全力は出せないかもしれないけど」


咲「それでも明ちゃんは、強いよ」


マホ「対するは、姫松の愛宕さん永水の滝見さんに、有珠山の岩館さんですか…」


マホ「愛宕さんと明華さんの対決が、どうなるかですねー」


咲「そうだね」



明華『~~~~~~♪』LaLaLa~♪


恒子『なんだなんだー!?臨海女子、雀明華選手、突然歌い出しました!!』


健夜『これが、明ちゃ……コホン、この選手の特徴ですね……』


健夜『まるで、歌うことで何かを纏っているような』


恒子『何それ、カッコいい!!』キラキラ




マホ「綺麗な歌声ですね~」


咲「そうだね…」クス


咲「そういえば、初めて会った時に歌ってたのもこの曲だったかも」


マホ「……」スッ


咲「ん、ゾーン?」


マホ「はい」ジ-ッ


マホ「……確かに、歌う前と今では身体の活性率が段違いですね」


咲「いいなぁ清水谷さんのゾーン…私も欲しいかも」


マホ「先輩は、コレがなくても見抜けるじゃないですか~」


咲「それとこれとは別って言うかさ」


マホ「まあまあ!先輩が知れない事は、代わりにマホが先輩の目になって見ますからっ♪」


咲「それはそれは。頼もしいね」フフ


マホ「えへへ…そう言って貰えると嬉しいです」


マホ「……でもぉ…」ジ-ッ



明華『~~~~♪』LaLaLa~♪


洋榎『どうせ歌うんなら日本の曲にしてや』


明華『~~~♪』ダンゴサンキョ-ダイ


洋榎『なんでその選曲やねん!』ベシッ





咲「どうかした?(愛宕さん……相変わらずだな)」



マホ「いえ、その……」


マホ「確かに、歌った明華さんは十分に強者と呼べる実力を持っていると思います」


マホ「……けど、あの本気の先輩に勝てる程かと聞かれたら…」


咲「あぁ、そういう事かぁ…」ウ-ン


マホ「はい。明華さんを下に見ている訳ではないんですけど…やっぱり、先輩に勝っているビジョンが見えないです」


咲「んー……」


咲「本当の事を言うとあの時の対局、私はルール上では明ちゃんに負けなかったんだ」


マホ「と、いうと……」


咲「靴下脱いだ私がどうなるかって、知ってるよね」


マホ「はいです。プラマイゼロ…正確には、点数の支配ですよね」


咲「うん。だからあの時は、私のプラマイゼロを崩せたら明ちゃんの勝ちってルールでやったんだ」


マホ「この前の赤土さんの件の時みたいにですか…」


咲「ちょっと複雑な気持ちだったけど…全部を見せて欲しいって、真剣に言われちゃってね」アハハ…


マホ「でも、それなら尚更勝つ事は不可能だと思うです」


マホ「だって、先輩のあの能力は……」


咲「うん。支配が揺るがない限り、私が脳内で最初に設定した最終点数に必ず収束する」


咲「当然、プラマイゼロになる30000点を設定して対局を始めたよ」



マホ「うーん……?」


咲「あはは…簡単な話だよ」


咲「途中で、意識を奪われちゃったんだ」


マホ「き、気絶させられたとかですかっ!?」


咲「ふふっ、違う違う」クスクス


咲「明ちゃんの歌に、ちょっとね」


マホ「あっ……」


咲「最後の局だった。私が西をカンして嶺上開花でプラマイゼロで終局だったはずが…」


咲「私が歌に気を取られて支配が弱まった隙に明ちゃんってば、風牌をドラ表示牌に組み込ませてね」


マホ「その牌が西にドラとしての役割を持たせた……なるほど、明華さんは自風牌の支配ができるから」


咲「うん。まんまと、南が表示牌になって嶺上ドラ4」


咲「ね?ルール上では私がトップで勝ったけど、勝負には負けちゃったってこと」


咲「多分、私が西でカンする頻度が高いことも読まれてたし…完敗だったよ」ハハ


マホ「なるほど…」


マホ「ちなみに先輩は、本当に……」


咲「ん?」


マホ「いえ、なんでもありませんっ」


咲「……言いたい事は分かるけど、本当に全力だったよ」


咲「あの時はまだ力の制御が不安定だったから、中途半端な支配力だったかもしれないけど。」



マホ「先輩が集中を切らすほど、凄い歌だったんですかー?」


咲「あー……」


マホ「???」キョトン


咲「なんて言うか、その……////」テレテレ


マホ(な、なんですかこの初心な反応は!?)


咲「ふ、フランスで……その、好きな人に送るっていう歌を……///」カァ


マホ「…なあっ……!?」


マホ「そ、それを……せ、先輩に……?」


咲「……////」コクリ


咲「う、歌い始める前に…その…私に~って、言ってたから…」


マホ(な、なんて言うことですか…!!先輩に仏国の魔の手が……っ!)


マホ「みょ、明華さんは当時中学2年生ですよね……!?」


咲「うん…今思い出すと、よくあんな歌を私にくれたなって思うよ」


マホ「…」ジ-ッ


咲「……えへへ…/////」


マホ「なんか先輩、満更でもなさそうですけど…」


咲「へっ?」


マホ「先輩!満更!でも!な、さ、そ、う!なんですけど!!」ム-


咲「ぅわわっ!」


咲「ちょ、マホちゃん声大きいよっ!?」


マホ「先輩が得意の難聴スキルで逃げようとしたからですよっ!」プンスカ


咲「はうっ……」アウ


マホ「むーっ……」



咲「そ、そりゃ…私だって、少しは嬉しく思うよっ!」


マホ「なーっ!?そ、そそそそそ、それはつまり!?」


咲「う、うん…/////」テレ


マホ「」ガ-ン


マホ「せ、先輩、ダメです!!先輩はまだ誰にもあげるつもりは無いんですからね!?」


咲「えっ!?そ、そりゃ…今はそれなりにいるからアレだけど…」


咲「当時は、あんまり……って言うか、親しい"友達"なんて居なかったから、嬉しかったんだよっ///」






マホ「ダメったらダメ………………え、友達?」


咲「う、うん…///」カァ


マホ「えっと…先輩?」


咲「な、なにっ?」


マホ「あー……なんて言えばいいんでしょうか」


マホ「その、好きと言うのは、お友達としての好き……という意味だったんでしょうか?」


咲「ふぇ……?」


マホ「あ、聞き方が悪いですね。先輩は、そういう意味で取ったんでしょうか……?」


咲「えぇ!?/////あ、当たり前だよ!!////」


咲「マホちゃん何言ってりゅの!?/////」カミ


マホ「はぁぁぁぁ……」クテ


マホ(先輩、多分明華さんはもっと別の意味を込めて伝えたんだと思いますよ…)


マホ(まあ、それは言いませんけどっ!)


咲「ま、マホちゃんっ?」


マホ「いーえ、何もっ♪ほら先輩、試合始まりますよっ!」


咲「あ、うん…なんか、機嫌直った?」


マホ「別にマホ、機嫌悪く無かったですよ?」


咲「えぇ……?」


マホ「ふふっ、先輩手繋いで良いですか~?」


咲「えっ、どうして…?良いけど」


マホ「やたっ♪では、失礼してっ」ギュ


咲「ま、マホちゃんっ。その繋ぎ方は…////」つ恋人繋ぎ


マホ「はい?何か言いましたか、先輩っ?」キョトン


咲「な、なにも言ってません…/////」テレテレ


マホ「ふふっ、そうですか?」ギュ


咲(うぅ…なんだかマホちゃんが凄く積極的だよ……/////)


マホ「~♪」

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~その頃・対局室~


明華「~~~♪」rararara~♪


揺杏「おっ、その曲知ってる。フランスで恋人に向けて歌うっていう曲っしょ?」


明華「正確には、求愛の歌です。よく知っていますね?」


揺杏「まーね。チームメイトにそういう系が好きな中二病患者がいてさ」ケラケラ


明華「ちゅーにびょー?」ハテ


洋榎「こら北海道の2年。観光客に変な日本語教えとんとちゃうぞ」


明華「観光客では無いのですが…」ムッ


洋榎「おっ、今のツッコミええ感じやん!次はもっとこう、短くスパンと来てや」


揺杏「おねーさんこそ、変な文化教えちゃダメっしょ」


洋榎「なんやと?ボケとツッコミは世界に羽ばたくべき文化やろ!」


揺杏「どこが……?」


明華「あ、ボケとツッコミは知っています。」


明華(咲さんと健夜さんの関係ですよね)


揺杏「うっそ」


洋榎「ほらな?室内で傘差してる時点で、ボケを心得とるもんな」


明華「いえ…これは、肌が光に弱いので差しているだけですが」


洋榎「そんなガチな理由やったんかい!」ベシ


揺杏「漫才も終わった所でさ、そろそろ試合始まるよん」


洋榎「ほんまやん。よっしゃ!いっちょやったるわ」


巴「よろしくお願いします(すごい話に入り辛かった)」


揺杏「お手柔らかにおねがいしまーす」


明華(咲さんが見ている……カントクやネリーには申し訳ありませんが、手を抜いている姿を見せるわけにはいきません)




明華「よろしく、お願いします」コォォォォォォォォ

原作にて、ハオや明華は防御に徹しろと言われていましたが本気を出したらどれほど強いんでしょうかね……

前スレなどでも言いましたが、闘牌が書けないので基本は描写スキップですが、何卒ですっ

うわ……すみません、最後の巴はミスです。春でした。
脳内補完お願いします……っ

【閑話・宮永咲と…】


~インハイ期間中、東京ファミレス~



店員「いらっしゃいませ~!お客様、1名様でしょうかっ」


咲「えっと、後から2人ほど来るんですけど……構いませんか?」


店員「はい、大丈夫ですよ!」


店員「では、こちらへどうぞ~♪」


咲「ありがとうございます」ニコ


店員「もしかして、インターハイを見にこられたんですかっ?」


咲「へっ?」


店員「見慣れない制服だったものですからっ」


咲「あ、はい。そうなんです」


店員「やっぱり!」パン


店員「凄かったですよねー!私、麻雀ってよく知らないんですけど熱中して見てました!」


咲「あはは…」


店員「あ、ごめんなさい私ったら…」アセアセ


咲「いえいえ」クス


店員「では、お席こちらになります!」


店員「ご注文お決まりになりましたら、そちらのボタンからお願いしますっ」ペッコリ


咲「あ、先にホットココアだけ貰っても良いですか?」


店員「かしこまりました!少々お待ちくださいっ」


咲「どうもです」ニコ


咲(元気な店員さんだなぁ…)


咲「……」フゥ


咲「健夜さんとマホちゃん、早く来ないかなぁ…」



店員2『申し訳ありませんがお客様、この時間は高校生未満の方は保護者の方と……』


?『だーかーらー!高校生だって言ってるでしょ!』


店員2『でしたら学生証を……』


?『そんなの一々持ってきてないよ!!』


店員2『えっと……』オロオロ





咲「……?」チラ


店員「お待たせしました、ホットココアです!」コト


咲「ありがとうございます」ニコ


店員「では、ごゆっくり♪」ニコッ


咲「」ペコリ


咲「……」チラ




?『だから、高校生だって!どうして信じてくれないワケ?』


店員2『申し訳ありません……』


?『はぁ…どーしろってんのさ!』プンスカ




咲「あれって…」


咲「……」


咲「はぁ…」スッ




?『ていうか、インハイ見てないの?出てたんだけど』


店員2『申し訳ありませんが…』


?『なら、どうすれば信じてくれるのさ!』


店員2『ですからそれは……』





咲「あっ、いたいた!」


?「は……?」


店員2「えっ……」


咲「まったくもう、お店の前で待っててって言ったでしょ?」


咲「ネリーちゃんってば、私の言う事聞いてくれないんだから」プンプン


ネリー「えっ……!?さ、サキ!?」


ネリー「どうしてここn」


咲「(話を合わせてください)」パクパク


ネリー「!!」ハッ


ネリー「さ、サキー!待ってたよー」


咲「待ってたよー、じゃないよ本当にもう…」ハァ


咲「すみません、この子ご迷惑をかけませんでしたか?」ウワメヅカイ


店員2「あっ、いえ、その……」ドキ


店員2「お2人はお友達ですか?」


咲「はい。……あ、なるほど」


咲「すみません、この子小さいんですけど、ちゃんと高校生なので…」


ネリー「ちっちゃ!?」ガ-ン



店員2「い、いえ!こちらこそ申し訳ありません!」ペコペコ


店員2「いつまでも時間を取らせてしまい……」


ネリー「何その態度の変わりよう?もっとちゃんと謝っt」


ネリー「むぐっ!?」クチフサガレ


咲「あはは、こういう事よくありますから。気にしないでください」ニコ


咲「では、ご迷惑お掛けしました。ほら、行くよネリーちゃん?」ズルズル


ネリー「むーっ!むーっ!」


咲「もー、だから一緒に入ろって言ったのにー」


ネリー「んー!んー!」ムグムグ




咲(あぁ…なんだか放っておけずに……)チラ


咲(まさか、こんな事になるなんてなぁ)


――――――
――――――――――
―――――――――――――――――



ネリー「いやー助かったよ、サキ」


ネリー「あの店員、ネリーが高校生だってぜんっぜん信じてくれないし。失礼な奴」プンプン


咲「まあ、言っては失礼かもしれませんがネリーさんって小学生と言われても違和感が無いですからね」


ネリー 「サキも失礼だよ…」


咲「大体、どうして1人なんですか?」


ネリー「……1人で来てちゃダメなの?」


咲「そういう訳では…」


ネリー「明華やタヴァンは、今は同じ留学生って立場で一緒に戦ってるけど、本来は仕事の敵だしね」


ネリー「別に、一緒に夕飯食べるほど親しくする必要がないの」


咲「……ふーん」


咲「可愛い顔して、随分な考え方なんですね」


ネリー「そう?逆に、日本の高校生の仲良しごっこの方がどうかと思うけどね」


ネリー「……お金を賭けたら、あんな仲良しこよし馬鹿を見るよ」


咲「……」フム


ネリー「あ、悪かったね。こんな話して」


咲「いえ、そんな。貴女にも色々あるんでしょう、日本にまで来て麻雀をしている理由が」


咲「通って来た道で形成された考え方を否定するつもりはありませんよ」


ネリー「見た感じ、サキも普通じゃ無さそうだしね」


咲「あはは、私は普通ですよ。」


ネリー「嘘。サキみたいな空気を放ってる人間、たくさん見てきたからね」


咲「私みたいな?」


ネリー「絶望を経験した人間」


咲「……」


ネリー「……」


咲「……ふふ、そんな大層な事を経験した覚えはありませんが」


咲「世界で戦ってきたネリーさんに言って貰えるなんて光栄です」ニコ


ネリー「ネリーも、あの小鍛治健夜の教え子とこうやって話せるなんて嬉しいよ」


咲「あはは」


ネリー「ふふっ」


咲「……」


ネリー「……」


ネリー「……」グゥゥゥゥゥゥゥ


咲「あっ…」


ネリー「……うっ////」


咲「とりあえず、何か頼んだらどうです?」


ネリー「そ、そうするよ…」


ネリー「って、サキは頼まないの?」


咲「私は人を待っているので」


ネリー「え、それネリーここに居ていいの?席移動するよ?」


咲「いやいや…友達だと嘘をついたのに、そうしてしまっては意味が無いでしょう」


ネリー「ああ、そうだったね」


ネリー「なら……ネリーはサラダバーを頼むよ」


咲「……へっ」


ネリー「ふふん、タヴァンにサラダバー無料券貰ったからね」ドヤァ


咲「……」メニュ-ミル


ネリー「これがあれば、タダで好きなだけサラダが食べれるらしい」キラキラ


ネリー「それじゃ、さっそく店員を……」


咲「ちょっと待ってください…」


ネリー「なにさ?」


咲「いえ、その……」


咲「言い難いんですけど、サラダバーの時間はもう終わっています」


ネリー「えっ」


咲「今は6時ちょっと過ぎ……サラダバーは6時までです」


ネリー「……」


咲「あ、あはは…」


ネリー「……」


ネリー「えぇぇぇぇぇぇぇ!!!??」


咲「ぅわわっ!!」ビクッ


ネリー「じょ、じょーだんでしょ!?」


咲「い、いえ……残念ながら…」


咲「さっきの店員さんと揉めている時間が長かったですから…そのせいでは?」


ネリー「あいつーーー!!!」


ネリー「今から抗議してくる!!」プンスカ


咲「いや、無駄ですって!既に別のメニューに変わってしまっていますし」


ネリー「そ、そんなぁ……」


ネリー「ネリーの晩御飯が……」


咲「……?別に、サラダバー以外を頼めば良いじゃないですか」


ネリー「お金、持ち歩いてない……」


咲「……」


咲「は?」


ネリー「お金持ち歩いてないって言ってんの!」


咲「えぇ……」困惑


ネリー「し、仕方ないじゃん。故郷じゃ財布なんて持ち歩いてたらカモ同然だったんだから!」


咲「いや、ここ日本ですし…」


咲「と言うか、無料券って言いますけど多分他のメニューを最低限頼まなければ使えないと思いますよ?」


ネリー「なーっ!?」


咲「その券にも、そう書いてあると思いますが…」


ネリー「アイツぅ……そんな事一言も教えてくれなかったのに…」


咲「親切に全て教える必要無いじゃないですか。別に親しくないんでしょう」


ネリー「あぅ……そ、それはそうだけどさ…」シュン


咲「……」


ネリー「……はぁ」スッ


咲「ちょ、どこへ行くんです」


ネリー「帰る」


咲「帰るって……、ご飯食べに来たんでしょう?」


ネリー「なにそれ嫌味?お金持ってないって言ってるでしょ」


咲「それは聞きましたが…」


ネリー「いいよ。ホテルにタヴァンが持ってきたカップラーメンが腐るほどあるし」


咲「……」ピク


ネリー「朝と昼もそれ食べたから、ちょっと飽きたけど」


咲「……」ピクピク


ネリー「何も食べられないよりはマシだs」


咲「……座ってください」


ネリー「……えっ?」


咲「良いから、座って」ゴゴ


ネリー「な、なんなのさ…」スワリ


咲「はい」つメニュー


ネリー「……?」ハテナ


咲「好きなの、頼んでいいですよ。私、払いますから」


咲「ただし、しっかり野菜も頼んでくださいね」


ネリー「え……」


咲「3食カップラーメンなんて、身体を壊したらどうするんですか?」


咲「まだインハイ期間中なんですよ?タダでさえ日頃から食べてなさそうなのに…」


ネリー「さ、サキに関係ないじゃん」


咲「は?」ゴゴゴゴ


ネリー「うっ……」ビク


咲「私に関係なくても、アナタのチームメイトに迷惑が掛かるでしょう」


咲「もしもの事があって試合欠場だなんて起きたら、どうするんですか?」


ネリー「そ、そんなカップラーメンくらいで」


咲「……」ピキ


咲「良いから、グダグダ言わずに頼めと言っているんです」


咲「しっかり食べなきゃダメですよ」



ネリー「で、でも美味い話には裏が…」


咲「い い で す か ?」ゴゴゴゴゴゴゴ


ネリー「わ、分かりました…」ビクビク


咲「分かれば良いんです、分かれば」マンゾク


咲「遠慮せず、たくさん食べてくださいね」ニッコリ


ネリー「あ、ありがとう…」


ネリー(お、怒った時のママみたいだったよ……)

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_____________________________________________


ネリー「あむっ…あむ…」モグモグ


咲「……♪」ニコニコ


ネリー「パク…んっ…」パクパク


咲「あ、ネリーさん、口にソースついてます」


ネリー「ふぇ?」ペタペタ


咲「ふふっ、動かないでください」スッ


ネリー「んっ」


咲「はい、取れましたよ」クスクス


ネリー「あ、ありがと」


咲「いえいえ♪」


ネリー(な、なんかサキが急に世話焼きに…)ジ-ッ



ネリー「あむ……あ、これ美味しい…」ニヘラ


咲「もっと頼んで貰って結構ですよ?」


ネリー「どうして急にこんな世話焼きキャラになってるのさ…?」


咲「いえ別に……大した理由では無いんですけど」


ネリー「ネリーに何か要求するつもりなんじゃ……」


咲「えっ?」


ネリー「い、いや!何でもないっ!」アセアセ


咲「別に、本当に大した理由ではありませんよ」


咲「昔、同じような事があったので何となく放っておけなかっただけです」


ネリー「ふ~ん……」



咲「あ、食後のデザートも頼んで良いですよ?」


ネリー「ほんと!」キラキラ


咲「はい。たくさん食べてくださいね」クスクス


ネリー「日本にも親切な人がいたんだね…」


咲「ふふ、大袈裟ですよ」


ネリー「でも、さすがのネリーもちょっと申し訳なくなるよ」


咲「それなら、お礼として世界の話を聞かせてくださいよ」


ネリー「世界の…って、麻雀の?」


咲「はい。非常に興味があるので」


ネリー「それくらいならお易い御用だよ」


咲「ホントですか。嬉しいです」


咲「ホントですか。嬉しいです」


ネリー(サキって、なんて言うか欲が無いなぁ…)


咲「すみません、店員さん」


店員「はーいっ!」


咲「スペシャルいちごパフェと、プリンアラモード、あと抹茶ケーキください」


咲「それと、ホットココアのおかわりを」


店員「かしこまりました♪」


ネリー「さ、サキ」


咲「食べたそうに見てたの、分かりますよ」クスクス


ネリー「あ、ありがと…////」


咲「ふふ、どういたしまして」ニコッ


ネリー「……////」カァ


ネリー「そ、それじゃあ、まずはこの前の世界ジュニアの話から……」

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咲「へぇ、それは凄いですね」


ネリー「うん。……あ、これ美味しい…」パクパク


咲「じゃあ、ネリーさんもその人と対局を?」


ネリー「少しだけどね。て言うか、サキ知らない?ニーマンって、結構有名な選手だよ?」パクリ


咲「うーん…初めて聞きますね」


咲「国外の試合とか、全然見ていなかったので」


ネリー「え?でも、小鍛治健夜って確か元世界2位だったんだよね」パクパク


ネリー「あ、これも甘くて美味しい…」ニヘラ


咲「あぁ……まあ、そうなんですけど…。あんまり、当時の話はしないので」


ネリー「そーなんだ」パク


ネリー「うっ…なにこれぇ……苦い!」ナミダメ


咲「ふふ、抹茶の味ダメでした?」クス


ネリー「これが抹茶……サトハが好きだって言ってたやつだ」


咲「あ~好きそうな雰囲気出てますもんね。ダメだったら私、食べますよ?」


ネリー「も、もう一口だけ食べてみるよ。今度は美味しく感じるかも……」


ネリー「んっ…」パク


咲「……どうですか?」



ネリー「んむんむ……」


ネリー「……」


ネリー「……お願いするよ…」ススス


咲「あはは、分かりました」クスクス


ネリー「それで、話の続きなんだけど。ニーマンがさ、日本にとてつもない選手が居るって言うから興味持ったんだよね」


咲「とてつもない?」


ネリー「詳しくは知らないけど…『私の魔法から抜け出した女』って」


ネリー「もう一線からは引いてるらしいけど」


咲「ま、魔法って…なんですか、それ」


ネリー「さぁ?小鍛治健夜の事だと思ってたんだけど、違うんでしょ?」


咲「えぇ。そもそも、そのニーマンさんが活躍していた時期と健夜さんが活躍していたであろう時期では差がありすぎますし…」


咲(お母さんと同年代くらいだけど…お母さんも活躍してたのは一時期って話だしなぁ)


ネリー「まー、そんな事があって。興味持ち始めた時に臨海から留学の話が来て、日本に渡ったってわけさ」


咲「なるほど…」


咲「それで、どうですか?日本のインターハイのレベルは、世界と比べてみて」


ネリー「うーん…」


ネリー「はっきり言って拍子抜けだよ。こんな事言うと、サキは気を悪くするかもしれないけどさ」


咲「いえ…世界を経験した人の話ですし、聞かせてくださいよ」つ抹茶ケーキ


咲「あ、抹茶ケーキ美味しいです」モキュモキュ



ネリー「確かにさ?宮永照、宮永みなも、天江衣、神代小蒔とか日本の高校生の中でも最上位は世界でも通用すると思う」


咲「ふぁい」モグモグ


ネリー「けどさ、全体的になんか温いんだよね」


咲「ぬふいでふか?」モキュモキュ


ネリー「どう言えば良いかな。……例えば、サキはAブロックの準決勝見てた?」


咲「んくっ……ご馳走様でした」ペロリ


咲「はい、見てましたよ」


ネリー「そこにさ、阿知賀女子って高校が出てたでしょ」


咲「……はい。一位通過の高校ですね」



ネリー「そこで2つ例にあげるけど、まずは先鋒。松実玄…だったね」


ネリー「最後にドラを捨てた所は良いと思うよ。けどさ、あの人って1回ドラを捨てるとなんかの制約がかかるんじゃないの?」


咲「……えぇ。ドラを切ると、しばらくドラが来なくなるみたいですね」


ネリー「そういう所だよ。確かに、相手に宮永照が居たってのは辛い所だったと思う」


ネリー「けどさ、インハイに出るって決めた時点で、勝ち抜いていけば宮永照と当たる事は分かっていた事でしょ?」


ネリー「インハイに出てきてから、宮永照と当たる!どうしよう!……じゃ、ダメなんだよ」


咲「……分かっていたのだから、ドラを切らずに対処する術を闘う前に身に付けておけ。そういう事ですか」


ネリー「そう。極端な事言うとさ、それが出来ないなら先鋒に起用されるべきじゃない」


ネリー「松実みたいに大きな力を失う可能性がある選手なら尚更。もしも、決勝でドラが来なかったらどうするんだろうね?」


咲「……確実に他3校狙われるでしょうね。ドラが抑止力になっていただけで、自力が低すぎますから」


ネリー「そもそも、日本のインターハイって宮永照には勝てなくても仕方ないみたいな空気になってるし」


咲「それは……確かに、あるかもですね…」


咲「飛ばされなければ良い、という事は全校少なからず思っているかもしれません」


ネリー「そこが1つ、世界との違いだよ。少なくとも世界ジュニアで戦ったやつらは、絶対にネリーを飛ばす気で最後まで対局してた」


ネリー「国を背負って戦ってるんだしね」



咲「……二つ目は?」


ネリー「大将、高鴨穏乃のこと」


咲「やっぱりですか…」


ネリー「はっきり言って、論外」


ネリー「対局が始まってから能力が開花……しかも、自分でも使いこなせてない」


ネリー「練習試合じゃないんだよ?全国大会の、準決勝大将戦。全ての勝利は偶然ではなく必然って言うけどさ、あの勝利は偶然でしかないとネリーは思うよ」


咲「……」フム


ネリー「あくまでもネリーが戦ってきた世界ジュニアと比べてみて、だけどさ」


ネリー「対局に最高のコンディションで挑めない時点で……ね」


咲「能力が開花して急激にポテンシャルが変わったとしても、いきなりで使いこなせないようなら…」


ネリー「そう。そんな中途半端はどれだけポテンシャルを持ってても、半分の力しか出せずに潰される」


ネリー「あの勝利は、高鴨穏乃の力が偶然大星淡に対して抜群に相性が良かっただけ」


咲「やっぱり、世界は偶然では勝てませんか」


ネリー「無いとは言い切れないよ。けど、偶然に頼る選手は1人もいない」


咲「ふむ……」


ネリー「千里山の清水谷も途中から別の力が開花してたみたいだけどさ」


ネリー「あの力が最初から使えていたら、決勝に進んだのは白糸台と千里山だったと思う」


ネリー「……まあ、タラレバで話したって意味は無いんだけどね」


咲「そうですね…」



ネリー「すぐに比較出来るのはこんな所かな。」


ネリー「今は阿知賀で例えたけど、全校通してそういう温い選手が多い気がする」


咲「……私はそういう偶然の勝利でも、次の試合を必然の勝利に変えられるならいい事だと思いますけどね」


ネリー「それは絶対強者だけが言える事だよ、サキ」


咲「……」


ネリー「絶対に勝たなきゃいけないインターハイや世界大会で、サキの言う偶然の勝利なんて期待できない」


ネリー「だから、勝利を必然に結び付けられるよう、全力で戦えるようにしておくの」


ネリー「日本のインターハイを見て思ったことは、1回の対局に全てを掛けてないやつが多すぎるって事かな」


ネリー「園城寺怜みたいに、中々骨のある人もいるみたいだけど」


咲「園城寺さん?」



ネリー「あの人は、対局中に限界に辿り着いた訳じゃないでしょ?限界を越えた」


咲「あはは…まあ、使い方がなっていませんでしたけどね」


ネリー「それは言えてるね」クス


咲「……ネリーさんは、麻雀でお金を稼いでいるんでしたか…」


ネリー「うん、まあね。だからこそなのかもしんない……ネリーは一度の負けが生活に関わることもある」


ネリー「試合は必然的に勝つか、必然的に負けるかしか認められない。偶然で負けて解雇なんてされたら、ネリーは耐えられないよ」


咲「もし解雇されちゃったら、私が養ってあげますね」


ネリー「ちょ、サキ!不吉なこと言わないで」


咲「ふふっ、すみません」クスクス


咲「でもありがとうございます。とても参考になる話でした」



ネリー「い、今のはあくまでも世界ジュニアと比べた場合だからね?」


ネリー「一つの国の中の大会って視点で見れば、正直凄いレベルだとは思う」


咲「そうですか」


ネリー「でもネリーは負けないよ。こんな事をサキに話した手前、負けるなんて恥ずかしくて出来ないし」


ネリー「まあ、まだ準決勝終わってないけどさ」


咲「あー……」


咲「……実は私、Aブロックの準決勝前に阿知賀に少し協力したんですよ」


咲「なのでどちらを応援すべきかは正直迷う所ですが…頑張ってくださいね」


ネリー「えっ!?そ、そんな事してたの!?」


ネリー「ご、ごめんサキ…阿知賀に散々な事言ってたよ…」


咲「あはは、いやいや。私が聞かせて欲しいって言ったんですから」クスクス


ネリー「うぅ…サキもイジワルだよ。阿知賀の名前が出た時に教えてくれれば良かったじゃん」ム-


咲「まあまあ。機嫌治してください、ほらパフェ食べますか?」ア-ン


ネリー「……食べる…」スッ


咲「あーん……」


ネリー「あむっ……」モグモグ


ネリー「えへ、美味しい…」ポワ-


咲(なんだか子犬に餌付けしてるみたいだなぁ…)ホホエマ


プルルルルルル
プルルルルルルル




ネリー「ん、電話?」


咲「私ではありませんね」


ネリー「あ、ネリーだ」つケータイ


ネリー「ごめん、ちょっと良い?」


咲「はい。気にしないで結構ですよ」


ネリー「ありがと」ピッ




ネリー「もしもし?あ、サトハ」

ネリー「うん…まだファミレスだよ。……いや、もう終わってる」

ネリー「うん……」

ネリー「……ん、分かったよ。すぐ帰る」

ネリー「え?……いや、大丈夫だよ。良いって、1人で戻るから」

ネリー「うん、それじゃあね」



ピッ



咲「招集されましたか?」


ネリー「うん。カントクが、至急ミーティングするって言ってるみたい」



ネリー「ごめんサキ。ネリー行かなきゃ」


咲「はい。お金はもう払ってありますから、そのまま出ても大丈夫ですよ」


ネリー「いつの間に……」


咲「ふふっ、さていつでしょうね」クスクス


咲「今日はありがとうございました。ネリーさんとは1度話してみたいと思っていたので、嬉しかったです」


ネリー「ネリーとしては、ちょっと残念だよ」


咲「残念?」


ネリー「サキと会ったのがここじゃなくて雀荘だったら、麻雀打てたのにさ」


咲「あはは…ご飯食べに来たんですから」クスクス


咲「でも、私も是非ネリーさんとは打ってみたいですね」ニコリ



ネリー「そうだ!インハイ終わったらさ、帰る前に臨海に寄ってよ」


ネリー「今日のお礼も改めてしたいし…ね?」


咲「そうですね…明ちゃんとも話したいですし、考えておきます」


ネリー「むっ……」


ネリー「……別に、明華の事は考えなくたっていーじゃん」ボソ


咲「え?」


ネリー「べ、別になんでもないよっ!」


ネリー「それじゃあサキ、ほんとにありがとね」


咲「どういたしまして。準決勝……いえ」クス


ネリー「?」


咲「決勝、楽しみにしていますね」


ネリー「……ふふ、とーぜん!」


ネリー「じゃあね、サキ」フリフリ


咲「はい。ではまた、ネリーさん」フリ


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~数分後~


咲「……」フゥ


健夜「ごめん咲ちゃん、遅れちゃった!」


マホ「すみません先輩~!」


咲「いや、大丈夫だよマホちゃん。健夜さんは許しませんが」


健夜「やっぱり怒ってる!!」ガ-ン


マホ「あ、あの…マホが途中で迷子になったせいなので、あんまり健夜さんを…」


咲「えっ?あ、いやっ、事情は知ってるから!大丈夫、本気で怒ってるわけじゃないよ」アセアセ


マホ「あ、そうだったんですか…」ホッ


健夜「マホちゃん……天使だよ……」ジワ


咲「それに、話し相手が居てくれたお陰で退屈はしませんでしたし」


マホ「話し相手ですか??」


健夜「そういえば、誰かいた形跡はあるね」


咲「まあ、その事も含めて話したいことが沢山あるので、早くご飯食べましょう」


健夜「そうだね。そうしよっか」


咲「あ、マホちゃん。デザート頼む時は、抹茶ケーキに気を付けた方が良いかも」


マホ「それは暗に、マホがお子様舌って言いたいんですかー!」ガ-ン


咲「いやいや、そんなつもりは無いよ!?」


咲(今のマホちゃんの発言で、ネリーさんがお子様舌ということになっちゃったよ)


健夜「咲ちゃんもどちらかと言うと、子供っぽい舌だよね」アハハ


咲「はい?ハンバーグとエビフライが好きな健夜さんには言われたくありませんよ」


健夜「はぅ!」


マホ「それで先輩!色々と聞かせてくださいよっ」


咲「そうだね……それじゃあ、ちょっと聞いてよ」


マホ「はい!」


咲(思い返したら、ほんとおかしな出会い方だったなぁ…)クスクス


咲「実は…」


【閑話・宮永咲とネリーヴィルサラーゼ、カン】

原作でのネリ咲の関係は割りと好きだったりしますっ。
ネリーのあの捨て台詞が変なフラグにしか聞こえませんでしたが……っ

【中堅終了】


明華「ツモ……」パララララララ


明華「三暗刻、対々和、混一色、混老頭、南、西」


明華「6000,12000です」


揺杏「げっろ…」


洋榎「オーラスに三倍満かいな」


春「終局……」ポリポリ





恒子『中堅戦、終了ーッッッッ!!!』


恒子『Bブロック準決勝中堅戦、オーラスを三倍満で締めくくったのは臨海女子、雀明華選手!』


恒子『+32000点と、驚異的な実力を見せつけました!!』



恒子『小鍛治プロ、今の試合はどう見ますか?』


健夜『そうですね…少し、驚きでしょうか』


健夜『臨海女子の留学生選手は、予選から2回戦までの試合をどちらかと言うと、奥の手を見せず手堅く試合を運んで来ていたように見えました』


健夜『先ほどの次鋒戦も防御を主体に打っていましたから、中堅の明華選手もそうするのかと思っていましたが…』


恒子『バリバリの攻撃スタイルだったね!』


健夜『はい。点数上では臨海女子はかなり余裕がありますから、守りの打ち方をしていても納得だったんですが……』


健夜『決勝を見据えての実戦での調整か、はたまた彼女自身の心境の変化なのか。分かりませんが、結果として臨海女子は更に点差を広げる事になりましたね』


恒子『しかし、名門姫松主将、愛宕洋榎選手も+12000点と大活躍です!!2位は已然として永水女子ですが、徐々に点差が少なくなってきました!!』


健夜『永水女子は、最後の三倍満で親被りを喰らったのが少々痛手となりました』


健夜『愛宕洋榎選手については、流石の打ち回しでしたね。世界の選手を相手にしても怯むことなく打つ事ができていたと思います』


恒子『やっぱり、世界で活躍する選手って強いの?』


健夜『そりゃぁ……強くなきゃ世界で活躍出来ないからね』


健夜『私が過去に出場したリオデジャネイロ東風フリースタイルでも、面白い選手はたくさんいました』


恒子『ここで、手強いとか強敵とかじゃなくて面白いという言葉が出てくる辺り、小鍛治プロって感じですね!!』


健夜『も、もちろん手強い選手ばっかりだったよ!!』


恒子『話を戻しますっ!!』


健夜『いやっ、ほんとにそう思ってるからね!?』


恒子『かなり点数が凹んでしまった有珠山高校ですが、副将、大将にはエースが2人残っています!』


健夜『そうですね…』


健夜『点差がかなり開いてしまいましたが、副将と大将の選手を考えれば充分巻き返しの効く点差です』


健夜『特に大将の獅々原選手は、この点差でも1位を捲っていける実力を兼ね備えていますからね』


健夜『勝負は最後まで分からないと言いますが、この試合は本当にその通りだと思います』



恒子『わたくし福与恒子も、そんな試合の実況ができて大変幸せであります!!』


健夜『なに?その口調……』


恒子『さあさあ!注目のBブロック準決勝、副将戦は……』スゥ


健夜『……』耳塞ぎ


恒子『昼休憩の、後ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』


健夜(み、耳塞いでもうるさっ…!!)


「お疲れ様でーす。休憩入ります」




恒子「ふいぃ……」


健夜「お疲れ様、こーこちゃん」


恒子「すこやんもお疲れー。お昼どーする?」


健夜「あ、私はちょっと咲ちゃん達の所に行ってくるよ」


恒子「おっけー!それでは、咲ちゃんによろしくお伝えくださいお母様!」ペコペコ


健夜「おかっ!?な、何言うの恒子ちゃん!」


恒子「なははっ、じょーだんじょーだん!」ケラケラ


健夜「もー!!」プンスカ


健夜(さて…あんまり待たせたら悪いし、早く向かおう)



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~Bブロック会場・観戦部屋~



恒子『中堅戦、終了ーッッッッ!!!』




咲「お疲れ様、明ちゃん」


マホ「ちょっと……マホは、明華さんを甘く見ていました~」


マホ「世界ランカー…なるほど、肩書きに恥じない実力ですね」


咲「そうだね。3年前とは段違いに強くなってる」


咲「掛け値なしに、実力は日本のインターハイではトップクラスだよ」


マホ「臨海女子にはまだ2人も留学生の方がいて、大将にはあのネリーヴィルサラーぜさんが待ってるんですよねー」


?『あの子も化け物クラスですーぅ』


マホ「なんだか、臨海女子がずるく思えてきました」



咲「正直、客観的に見て他の3校が臨海に勝つのは難しいね」


咲「姫松に荒川憩が入っていたら、分からなかったけど」


マホ「あの人は、どうして姫松に行かなかったんでしょうかー?」


咲「なんか、制服が可愛いのと下剋上を果たしたいとかなんとか言ってたよね…千里山にボコボコにされてたけど…」


?「うちの噂話ですかーぁ?」ギュ-


咲「ぅわわ!?」ビクッ


マホ「び、ビックリしました…」


?「どーもーぉ!お久しぶりですーぅ!」


咲「け、憩さん…!?いつから後ろに…」


咲(そういえば、変な声が後ろからきこえてたよ…)


マホ「こんな所で何してるんですかー?」



憩「何ってーぇ……観戦やろ?」


憩「お昼行こかな~思ったら、知った顔があったんですよーぅ」


咲「は、はぁ…」


憩「にしても…」ジ-ッ


マホ「??」


憩「マホちゃん相変わらず可愛ええなーぁ!ほんま愛らしいですーぅ」ギュ-


マホ「ふぁ!!」


マホ「ちょ…憩さんやめてくださいー!!」ジタバタ


憩「久しぶりなんやしええやんかーぁ!」ワシワシ


マホ「せ、先輩助けてくださいですー!」アウアウ


咲「あ、あはは…(この人相変わらずだなぁ…)」


咲「憩さんほどほどに……」


憩「咲ちゃんも、相変わらずめちゃかわやな~!」ムギュ-


咲「ぐえっ……」


マホ「あ、こら!先輩に抱きつくのは許可してませんー!!」


憩「はぁ、はぁ…咲ちゃん可愛ええよー!」ハスハス


咲「ちょっ、憩さっ…い、息が首筋にぃ!」ジタバタ


マホ「こらぁー!!」



観客「なぁ…あれって、個人戦2位の荒川憩じゃね?」

観客2「うおっ、マジじゃん!血濡れのナース、荒川憩……」

観客3「一緒にいるのは誰だ?インハイにあんな子出てたか?」

観客X「さあ……?でも眼福だなぁ^~」


ザワザワ
ガヤガヤ



憩「おっと…有名人は辛いですーぅ」ハナレ



咲「はぁ…はぁっ……や、やっと離れた…」ハァハァ


マホ「先輩大丈夫ですかー!」


咲「うん、なんとかね…あはは……」ゼェゼェ


憩「そうそう、一つ聞いておきたい事があったんやけどーぉ」


咲「聞いておきたいこと?」


憩「咲ちゃんのスリーサイz」


マホ「はい?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


憩「ズ……やなくて!あんたら、阿知賀女子の皆さんと知り合いだったりするんー?」


咲「阿知賀?」


憩「実は、さっきまで練習試合みたいな感じで対局しててな~?」



咲「はぁ…はぁっ……や、やっと離れた…」ハァハァ


マホ「先輩大丈夫ですかー!」


咲「うん、なんとかね…あはは……」ゼェゼェ


憩「そうそう、一つ聞いておきたい事があったんやけどーぉ」


咲「聞いておきたいこと?」


憩「咲ちゃんのスリーサイz」


マホ「はい?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


憩「ズ……やなくて!あんたら、阿知賀女子の皆さんと知り合いだったりするんー?」


咲「阿知賀?」


憩「実は、さっきまで練習試合みたいな感じで対局しててな~?」


咲「観戦は嘘ですか…」


憩「嘘ちゃいますよーぉ!別室のテレビで見てたんですーぅ」


憩「まあそんでなー?2回戦ではお世辞にも強なかった阿知賀が、準決勝を勝ち抜けるまで強うなった秘訣を聞いたんよ~」


咲「あぁ、それで私たちが東京に来ている事を憩さんにバラされたと…」


憩「そうなんやけど、言い方辛辣やない~?」


マホ「質問の返答は、Yesですよ。準決勝前に、先輩に特訓を頼んで来たのでマホと健夜さんも協力したんです」


咲「そういう事です」


憩「そうだったんやねー」


マホ「全然興味無さそうです」


憩「その通りやからねー。正直、阿知賀女子がこれ以上特訓して意味があるかー聞かれたら……やんなー?」


マホ「やんなー?って言われましてもですねー」


咲「そんな、思っても無いこと口にして腹黒ラスボス感出さなくても良いですよ……」


憩「ちぇーっ。少しは乗ってくれてもええやん~」


憩「せやけど、咲ちゃんらの事教えてくれたんはグッジョブやったなー」


咲「まあ、私も久しぶりに顔を見れて嬉しかったです」


憩「わお!咲ちゃんからの告白ですーぅ!」キャ-


マホ「今のどこをどう解釈したらそうなるんですかー!!」


憩「あかん、マホちゃんが嫉妬してもうた」


憩「ほんなら、うちはそろそろ戻るわ~」


マホ「へっ?用事は何だったんですかー?」


憩「愛しの2人に会いに来ただけやけどー?」


咲「本当にそんな用事だったんですか…」


憩「咲マホ成分も補給したし、満足したわぁ~」ツヤツヤ


憩「ほんなら、すこやんにもよろしく伝えといてな~」バイバ-イ




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【荒川憩のおはなし】



~阿知賀・練習部屋~



憩「ただいま戻りましたよーぅ」ガチャ


絃「あら、おかえりなさい」


もこ「……」オカエリ


利仙「おかえりなさい」


藍子「おかー。どうよ、あいつらに会えた?」


憩「おかげさんでな~。咲マホ成分補給してきましたーぁ」


絃「ここへ連れてきてくれたら良かったのに」


もこ「……」コクコク


憩「すこやんとお昼言うとったんですよーぅ」


利仙「それなら仕方がありませんね」


穏乃「……皆さんは、咲とどういう知り合いなんですか??」


玄「あ、私も気になるのです」


憩「あー、実はな?うちらも阿知賀の皆さんみたいに、インハイ前に5人でどっかの強豪校に殴り込み行こ~って話になってたんよー」


憧「さすが個人戦上位勢……血気盛んね」


憩「もこちゃんは出場せえへんけど、楽しそうやからって付いてきてくれはったんやけどな」


玄「そんなに前から仲が良かったんだ…」


利仙「もこさんとは藍子さん繋がり、他の3人は去年の個人戦繋がりで親睦はありましたから」


憩「まあでも、流石にうちら高校生だけの資金力で全国回るなんて無理やーって事で、どっか1県だけに絞ることにしたんよ」


藍子「日本地図にダーツ投げてな」


灼「テレビで見たことあるような」


宥「それで茨城県に刺さったんだね……」


憩「当たりですよーぅ。でも慣れへん土地やったせいか、もこちゃんが迷子になってしもて」


憧(あ、なんか展開読めたわ)



もこ「…そこ、で……偶……然、咲と、会って……保護…された…」エヘ


憧(やっぱりね)


玄(も、もこさんの声初めて聞いたのです!!)


利仙「あの時は驚きを隠せませんでしたね…迎えに咲の高校まで足を運んでみれば、あの小鍛治プロまで居たのですから」


穏乃「そ、それでそれで!皆さん、あの3人と対局したんですか!」


憩「せやねー。本当は茨城1位の高校に行く予定やったんやけど、あんな大物に会ってしもうたらー」アハハ


利仙「他1人は中学生、もう1人はインハイに出場しない一年生という事で、初めは少々気が引けましたが…」


藍子「まあ、そんな心配必要なかったんだけどな」


憧「結果はどうだったんですか?」


憩「もっちろん!勝ちましたよーぅ!」ドヤッ


宥「ほ、本当ですか……!?」


利仙「……と、言いたい所なのですが、見事に大敗を喫しましたよ」


藍子「やー…もう途中からえっぐい電波バリバリだったわ、あの時は」


もこ「……咲…は、かっこよ……かった」テレ


絃「人と打ってる気がしなかったわ」


憩「ちょぉー!ネタばらし早すぎなんやけどー!」


憩「それに、うちは1回マホちゃん捲って3位になったんやから、実質勝ちみたいなもんやんー」


もこ「あれ、は…最後の……局で……マホっちが…チョンボ…した、だけ…」


憩「それでも勝ちは勝ちなんですよーぅ!」


絃「そんな訳で色々あって、親しくなった感じね」


玄「け、憩さん達でも勝てなかったんだ……」


憩「まー、あの3人はほんまもんの化け物クラスやからー」


憩「でも咲マホって可愛ええ所いっぱいあるやろー?そのギャップが堪らへんのや!」


憩「はー…あの2人妹にしたいわぁ…」


玄(分かるなぁ…で、でも私的に咲ちゃんは……お、およm)


利仙「戻ってきてください…」ペシ


憩「あいたーっ!グーは勘弁してやぁ~」ウゥ


玄「!!」ハッ


玄(わ、私は今なんて想像をっ……/////)


憩「まあすこやんは言うまでもなし、咲ちゃんとマホちゃんも人の域を越えとるからなぁ~」


憩「白糸台と清澄のダブル宮永くらいしか、良い勝負出来へんのとちゃうかな~?」


憩(そういえば、咲ちゃんも宮永姓やん……三姉妹やったりして)


利仙「神代小蒔でも、降ろす神によっては……と言った所でしょうか」


灼「清澄高校……って、確か長野の…」


穏乃「和たちの所の大将って、どんな人だっけ?」


憧「そういえば、知らないわね…でも、あの天江衣を倒したってことでしょ?」


宥「凄い子がたくさんいるんだね…」


憩「っと、そろそろお話タイムも終わりにしよか~」


藍子「だな。時間も限られてるし、対局に戻ろう」


憩「咲ちゃんと会ってテンション上がってるさかい、ちょっと手加減出来ないかもですーぅ」ズズズズ


玄「ひうっ!」ビクッ


穏乃「うぉぉぉぉ!望むところです!!」


憧「段々慣れてきたし、そろそろ1勝したいわね」


灼「よろしく」


宥「ほら、玄ちゃんも行くよ……?」


玄「う、うんっ!」


玄(うぅ…咲ちゃんの話聞いたら、途端に会いたくなっちゃったよ)


玄(メールくらいなら、してもいいかなぁ…)



【荒川憩のおはなし、カン】


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憩と利仙さん以外の3人はキャラがあまり分からなかったので、想像です。

見直していたら、時系列が自分でも訳分からなかったので、整理用に大まかな年表を投下しておきます。このスレから見て下さっているという方は、是非っ


【咲、小学5年生】
・宮永みなもと知り合う
・咲さんではなく咲ちゃん
・小鍛治健夜が前線を退いたのもこの時期




【咲、小学6年生】
・みなもと出場した大会にて±0の呪いが発現
・宮永照、その解決策を探るための照魔鏡を発現(成果なし)
・赤土晴絵と小鍛治健夜の対局映像を観る
・両親の仕事の都合により、長野から茨城へ引越し
・みなもとは喧嘩別れ、照は東京へ




【咲、中学一年生】
『春』・偶然入ったクラブチームにて、小鍛治健夜とファーストコンタクト。咲さんの±0に気付く。
・先輩である上埜久の計らいにて小鍛治健夜、咲のコーチへ(上埜久、長野へ引越し)
・宮永咲、小鍛治健夜に一度の勝利&小鍛治健夜、麻雀で初の敗北→お互い呪いから解放

『冬』・±0が点数調整の能力として再発現。
・日本へ来ていた雀明華と邂逅


【咲、中学三年生】
・宮永咲、初のネトマで"のどっち"と対局(惨敗する)
・夢乃マホ、麻雀部へ加入
・宮永咲、小鍛治健夜、夢乃マホの3人体制へ





【咲、高校一年生(現在)】
~インハイ開始前~

・荒川憩と楽しい仲間達が偶然茨城へ。知り合う
・小鍛治健夜の誘いでインハイ観戦へ
・夢乃マホ、学校のテストでチョンボをし赤点→補習のため一時帰還



~インハイ開始後、阿知賀編~

・宮永咲、観戦中に愛宕洋榎から絡まれる
・阿知賀女子、2回戦突破。会場にて宮永咲と小鍛治健夜に邂逅
・阿知賀女子、宮永咲へ協力を依頼。宮永咲、了承
・夢乃マホ東京に帰還。3人体制で阿知賀と対局(高鴨穏乃の能力を疑う)

・赤土晴絵、準決勝へのトラウマを払拭すべく、麻雀barにて宮永咲と±0を崩せば勝ちルールで対決(同卓者に瑞原はやり、三尋木咏)
・敗北するが過去との決別に成功

・宮永咲、神代小蒔と出会う




~阿知賀編、Aブロック準決勝(昼休憩まで)~

・松実玄、宮永照に圧倒されるがドラ切り、園城寺怜の協力、花田煌のサポートによりピンチを切り抜ける
・試合後、咲さんに慰められ落ちる(その間に次鋒戦、中堅戦前半終了)
・会場外にて原村和、タコス、天江衣らと邂逅
・宮永咲と夢乃マホ、お昼ご飯を食べに出かけた先で宮永照、大星淡と接触(大星淡、負けフラグを建てる)
・喫茶店にて"のどっち"の正体を知る



~阿知賀編、Aブロック準決勝(終了まで)~

・副将戦、あらたその不調に宮永咲が責任を感じる→マホに叱られ思い直す
・松実玄の言葉であらたそ復活→副将戦終了
・宮永咲から松実玄へメール(大星淡の能力考察)
・大将戦開始前、咲マホがリザベを試す。
・大将戦途中休憩時…宮永咲、へとへとな園城寺怜と接触→りゅーかの元へ連れる
・大将戦後半、穏乃の能力が発現。4校接戦の末、阿知賀女子&白糸台高校が決勝進出(アニメ展開)

・阿知賀編終了


~Bブロック編(ほぼ長野編)~

・Aブロック準決勝の次の日…宮永咲、メールに従いファミレスにて宮永照と邂逅。
・Bブロック準決勝開始前、宮永咲迷子中に同じく迷子中の東横桃子と接触。
・宮永咲、加治木ゆみからの誘いで長野勢の宿舎へ。
・宮永咲、龍門渕透華へ興味を持つ
・長野勢と対局中、福路美穂子とのイベント
・原村和の悩みを聞く→咲さんにより解決&覚醒
・原村和から清澄大将、みなもの情報を聞く→会いに走る
・途中、竹井久と再会
・宮永みなもと再会→和解
・小鍛治健夜、咲を迎えに長野宿舎へ→長野編終了




~Bブロック準決勝編(現在まで)~

・準決勝開始前、自販機へ行く途中に宮永咲迷子→雀明華と再会、ネリー&智葉と邂逅
・ウトウトする夢乃マホをホテルへ送る→その帰り愛宕洋榎と再会。
・会場にて、隣に座っていた多治比真佑子と会話→先鋒戦開始
・先鋒戦終了後、真佑子と別れマホをホテルへ迎えに。
・次鋒、中堅戦終了後、阿知賀と対局をしていた荒川憩と再会←今ココ

もしかしたら抜けている場面とかあるかも……
書き出してみて、3スレもやってるのに内容が薄いなぁと思いました……もう少し頑張りますっ

では、今日はこの辺で。


~Bブロック会場・関係者食堂~




健夜「え、荒川さんが?」


咲「はい。まったく想定していなかったので驚きでした…ね、マホちゃん」


マホ「はいです。特に用事は無くてマホ達に会いに来ただけと言ってましたけど~」


咲「なんでも、阿知賀の皆が憩さんに練習試合?を申し込んで、今特訓中らしいです」


健夜「そういえば、ちょっと小耳に挟んだなぁ」


健夜「何人かの個人戦出場組の上位勢が、集団で何かやってるーって」


マホ「賢いと言えば賢い選択ですね~。個人戦出場選手となら、団体組は対局が可能ですし」


咲「憩さん達、強いしね」


咲「あぁそういえば。憩さんが、健夜さんにもよろしく伝えておいてくれって言ってました」


健夜「あ、うん。分かったよ」


健夜「見かけたら挨拶くらいしておこうかな」


「なになに~?なんのお話~?」ニコニコ


咲「ん?」


マホ「ほぇ?」


健夜「……あちゃぁ…」


「え~、なにそのリアクション~?ちょっと傷付くんやけど~」



健夜「ま、マホちゃん。ちょっと咲ちゃんと一緒にジュースでも買ってきてくれな」


「おぉ~!この娘らが一部で噂になっとる小鍛治プロの愛娘~?」


「めっちゃかわええやん~!」


健夜(手遅れだった…出来れば会わせたくなかったんだけど…)


咲「……」ジッ


マホ「えっとぉ…」


健夜「あ、赤阪さん……」


郁乃「そんなあなたは夢乃ちゃんやろ~?髪の色が末原ちゃんそっくりで、なんか親近感感じるわ~」スッ


マホ「ふぇっ」


咲「やめてもらってもいいですか」サッ


郁乃「えぇ~?」


マホ「せ、先輩?」


咲「どなたか存じませんが、許可なく私の後輩に触ろうとしないでください」


健夜(ちょ、直球!!咲ちゃん直球だよ!!)


郁乃「……ねえ小鍛治プロ~?なんやよう分からんのやけど、ウチ嫌われとる~?」


健夜「へっ!?あ、いや~……ど、どうかな?あはは~」アハハ


郁乃「単純に興味があるだけやのにぃ~」シュン



咲「というか、そろそろ紹介してくれませんか?健夜さん」


健夜「あ、本当に知らなかったんだ…」


郁乃「もっと知名度上げてかなあかんね~」


健夜「この人は、姫松高校の監督の赤阪郁乃さん」


マホ「あー!どこかで見たことあると思ったら!」


咲「そういえば、末原さんがどうとか言っていましたね」


郁乃「初めまして~。監督言うても、前任の善野さんの代わりっちゅう立場やけどね~」


健夜「それでも監督は監督ですよ」


郁乃「ありがとう~」ニコニコ


咲「ん…?善野…大阪………」



咲「善野……って、もしかして善野一美さんですか」


マホ「先輩、知ってるんですか?」


咲「うん。ずっと前に見た麻雀の試合の映像に出てた……と、思う」


健夜(…私と会う前…プラマイゼロを消す術を探してたっていう時か…)チラ


咲「……?」クビカシゲ


健夜「……」フリフリ


郁乃「それってもしかして小学生の全国大会の映像やない~?」


郁乃「ほら、三尋木プロとかも出とった~」


マホ「そうなんですか?」チラ


健夜「いや…私はちょっと知らないかな…?その時期はほら、私牌すら握ったこと無かったから」


マホ「嫌味ですかー?」


健夜「どうして!?」ガ-ン


咲「あぁ、多分それです」


郁乃「わー、懐かしい~。そんな映像、よう持っとったな~?」


咲「ええ、まあ……」


郁乃「あぁ、宮永ちゃんのお母さんってプロ雀士やったっけ~?なら、納得やね~」


健夜「……」


咲(この人……)


郁乃「そんな怖い顔せんといてよ~。興味があるって言うたやろ~?」


郁乃「事前調査くらい、なぁ~?過去には色々あって大変やったみたいやし~」ニコニコ


咲「……」




健夜「赤阪さん、その位にしてもらっても良いですか」


健夜「そちらはからかっているつもりでも、この子は繊細ですから」



郁乃「……っとと…さすがに調子乗りすぎました~」


郁乃「ごめんな~?宮永ちゃんと、夢乃ちゃん」


マホ「いえ……。マホは、大丈夫です」


咲「…私も別に」


「あっ、こんな所で何してはるんですか代行!!」


健夜「ん?」


郁乃「あ、末原ちゃんやん~。何しとるん、こんな所で~?」


恭子「それはウチが聞いとるんですけど…この時間にミーティングやる言うたの、代行やないですか」




郁乃「……あ」


恭子「まさか、忘れとった訳や……」ゴゴゴゴゴゴ


郁乃「そ、そんな訳ないやろ~?うん、今から戻ろうとしとったんやん~!嫌やなあ、末原ちゃん~」アセ


郁乃「ほんなら小鍛治プロ、宮永ちゃん、夢乃ちゃん、またな~」テクテク


恭子「えっ……」チラ


健夜「……?」


恭子「こ、小鍛治健夜プロやないですか!?」


郁乃「末原ちゃ~ん?はよ行かんと、遅れるで~」オ-イ


恭子「だ、代行がご迷惑お掛けしてほんますみません!」


健夜「い、いや……」


恭子「代行にはウチからキツく言うておきますんで…」


恭子「ほんなら、失礼します」タッタッタ



コノアホンダラァァ!!
ヤ-ンスエハラチャンガディ-ブイスル-



健夜「何だったんだろう…」


咲「私とマホちゃんにまるで気付く様子がありませんでしたね」


マホ「健夜さんのファンかなにかだったんでしょうかー?」


健夜「えっ!」パァ


咲「……なにちょっと嬉しそうにしてるんですか?」


咲「健夜さんのファンなんている訳ないじゃないですか」プイ


健夜「す、少しはいるもん!!」


咲「例えば?」


健夜「く、クラブチームに遊びに来てる2人とか……?」


マホ「そこでその返答をする所が哀しいですね~」


咲「仕方ないよ、健夜さんだもん。せめて、私達は健夜さんの事を忘れないでいてあげようね」


マホ「ですね…。マホ、これからはもう少し健夜さんに優しくしようと思うです」


健夜「やめてよ!その何かを悟った目やめて!!」ガ-ン


咲「ははは、冗談ですよ」


健夜「もう…あ、でもマホちゃんの私に優しくしてくれるっていう所は、冗談にしなくてもいいよ?」



マホ「そもそもマホは、あんまり健夜さんに意地悪な事言ったりしてない気がするです」


健夜「確かに言われてみればそうだね…」


健夜「……」チラリ


咲「やだなー。私だって健夜さんに優しくしてるじゃないですかー」


咲「健夜さん大好きですよー(棒)」


健夜(すっごい棒読みだよ……)




健夜「……!」ヒラメキ


健夜(……よしっ)フフ









健夜「……本当に?」ジリッ


咲「ふぇっ?」


マホ「!?」



健夜「ねえ、咲ちゃん……今の、本当かな」ジリジリ


咲「ちょっ……健夜さん、近っ……」タジ


マホ(な、何が始まるんですー!?)


健夜「私、お母さんにもそろそろ相手を連れてこいって言われてるの」ス-ッ


マホ「!?」


咲「あ、あああ相手って……!?ていうかほんとにちかいですってぇ……っ!」


健夜「咲ちゃんが本気ならさ……私…」


咲「す、健夜さん何をっ……/////」


健夜「……」ピタ








健夜(……あれ?)


健夜(いやいやいや、何やってるの私!?ちょっと咲ちゃんに意地悪してみようと思っただけなのに!)チラ


咲「あ、あぅ……せ、せめてもう少し人が少ない場所で……っ/////」


健夜(どうしてこんな反応してるの!?いつもみたいに、辛辣に返されて終わりじゃぁ…)


健夜(というか、私もどうしてあんなセリフ吐いたの!?お母さんの話まで持ち出すとか、重いよ!!)


健夜(!!そ、そうだ!マホちゃんは……っ)チラ


マホ「ついに、あの物凄くもどかしかった関係に終止符が……!!」キラキラ


健夜(ダメだー!!よく分からない事呟いてる!!)


健夜(ど、どうしたら良いんだろ…この状況……)




咲「あ、あの……す、健夜さん……?/////」ウワメヅカイ


健夜「な、なにかな!?」ビクッ


咲「ひ、人が……その、見てますから…っ////」カァ


健夜「あ、ああ、ごめんね!?すぐに離れるから!」バッ


咲「は、はい……っ」


健夜「あ、あはは……ご、ごめんねなんかっ」


咲「い、いえ…その、私の事をからかっただけ……ですよね…っ?」


健夜「えっ?それは……」


咲「えっ……!?」


健夜「う、うんっ!そうだよっ」アハハ…


咲「で、ですよねーあはは……」


健夜(あれ……どうしてだろ、なんだか変な気持ちだよ)


咲(なんでだろう…いつもなら怒ってる場面なのに、怒る気になる所か…)


咲「少し、残念かも」ボソ


健夜「えっ?今なんて…」


咲「い、いえっ!何でもありませんっ」


健夜「そ、そう……?」テレ


咲「はい……っ」メソラシ


マホ「……」




マホ(ふああぁぁぁ!!今のはやばいです先輩!!可愛すぎです!!)


マホ(あと健夜さんの耳は付いていても意味が無いんじゃないですか!?)


健夜「えっと…」アセアセ


咲「あ、わ、私お手洗い行ってきますね…っ」スッ


健夜 マホ「「1人で大丈夫?(ですか?)」」


咲「……失礼な、大丈夫だもん」プイ


咲「すぐ戻ってきますから、待っててくださいね!」タッタッタ


マホ「はーい」クスクス


健夜「……私達、過保護かな?」


マホ「そうかもですけど、宮永先輩には多少過保護気味な方が良いんじゃないでしょうか?」


健夜「その言葉、咲ちゃんに聞かせたら怒りそう…」


マホ「ふふっ、なら今のは2人の内緒です」ニコ


健夜「あはは、そうしよっか」クスクス


マホ「それはそうと健夜さん、今の一連の先輩とのやり取りは」


健夜「何も言わないでっ!/////」


マホ「意気地無し」


健夜「言わないでって言ったよね!?」ガ-ン

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~会場・ある廊下~



咲「危ない危ない、若干迷いかけたよ」


咲「でも、迷ってないしセーフだよね」グッ


咲「よし、早く戻ろ」


咲「……」テクテク



「……やっと見つけた」




咲「?」クル

咲「え……」




淡「サキ」




咲「……大星淡、さん?」



【宮永咲と、大星淡】





淡「サキ」


咲「大星さん?どうしてこんな所に……わざわざ会場まで来て観戦ですか?」


淡「別に、何だっていいじゃん」


咲「はぁ……まあ、そうですね」


咲「では私はこれで」スッ


淡「ちょ、ちょっと待ってよ!」


咲「……?なんですか、一体」


淡「うっ……その…」モジ


咲「お姉ちゃんから何か伝言ですか?」


淡「……」フリフリ


咲「……?」



淡「……」


淡「……ったね…」ボソ


咲「え?」


淡「~~~~~ッッッ」


淡「悪かったって言ってるの!!あの時、阿知賀を馬鹿にするような事言って!!」


咲「……」




咲「へっ?」キョトン


淡「あとその、サキにも嫌な事言った…と思うし……」


淡「とにかく!友達を馬鹿にした事を謝ってるの!分かった!?」


咲「……」


淡「これは、私なりのケジメだから!」


咲「……」


淡「な、なんか言いなさいよ…」



咲「……」


咲「……ぷっ」


淡「なっ!?笑ったな!?」


咲「ふふっ……すみません、笑ってません……あははっ」


淡「笑ってるじゃん!」プンスカ


淡「それだけだから!じゃあね!!」



咲「あ、待ってくださいよ」


淡「待たない!」ピタ


咲「とか言って、足は止まってますけど……」フフ


淡「ッッッッ/////」


咲「ふぅ……」深呼吸

咲「わざわざそれを言いに来てくれたんですか」


淡「……ふんっ、そうだよ」


咲「そんなにツンケンしないでくださいよ」


淡「サキには言われなくない!」プイッ


咲「それどういう意味……まあ、良いか」


咲「別に、あの時の事ならもう気にしてませんよ。私こそ、嫌な事言ってた気がしますし」


淡「……そう」


咲「それに、今では逆に感謝しているくらいですよ」


淡「……どゆこと?」



咲「見てました、準決勝。とても良い試合だったと思います」



淡「……私が無様に負けた姿を?」


咲「無様……ですか」


咲「そういう評価を下しましたか。大星さん自身は」


淡「そりゃ、ね」



淡「でも別に、言い訳するつもりは無い」


咲「……」フム


淡「高鴨穏乃だけじゃない。他の2人も、私が思ってたよりも強かった」

咲「へぇ」


淡「なら今度は、それよりも私が強くなるだけだから。次は、負けない」ゴゴ


淡「全部、倒す。それだけ」


咲「……」


淡「……なに、カラスが豆大福食べたような顔して」


咲「それを言うなら、鳩が豆鉄砲ですよ…」


咲「……」


咲「決勝は、きっともっと手強い選手が出てきます」


淡「だから言ってんじゃん。決勝までにそいつらより、私が強くなればいい」


淡「絶対に負けないよ、今度は」


咲「……そうですか」


淡「うん」


咲「……」カンガエ


淡「じゃあ私、戻るから。わざわざ学校から来てあげたんだから、感謝してよね」


咲「大星さん、今から時間ありませんか?」


淡「は?」


咲「麻雀を、打ちませんか。私と」

淡「……」


淡「……はっ」








淡「冗談やめてよ」


咲「……」



淡「分かるよ、本能で。サキには、まだ勝てない。こんな気持ちで打ったって面白くない」


淡「それにサキって、なんか気に入らないし。わざと色々隠してる所とか、ホントいけ好かない」


淡「言っておくけど、サキと馴れ合う気は無い。いつかアンタも私が潰してやるんだから」



咲「……」

咲「……そうですか。なら、一つだけ」


淡「聞かない。じゃあね」スッ



咲「潰すのは、こちらの方です。楽しみに待っていてください」ニコ



淡「っっ!」ゾワッ

淡「それがサキの……」チラ



咲「決勝では楽しい試合、期待してます」


淡「……」



淡「……そんじゃね」スタスタ


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【数分後、白糸台・ミーティング室】




淡「……ただいま」ガチャ


照「おかえり淡。遅かったけどどこに行ってたの?」


淡「んー?ちょっとねー」


菫「なんだ。さっきまであんなにショボくれてた癖に、憑き物が落ちたみたいだな」


淡「ほえ。そんな感じする?」


菫「それはまあ、そんなニヤけ面見るとな」


淡「……へっ?」ニコニコ


菫(一体何があったんだ……?)


照(美味しいお菓子でも食べたのかな)ウラヤマシイ


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マホ「あ、先輩戻ってきました~」


健夜「お、おかえり咲ちゃん」


咲「お待たせしちゃってすみません」


マホ「確かに、ちょっと遅かったですね~……もしかして?」


咲「ふふん、それが迷ってないんだなっ」ドヤ


マホ「おおっ!偉いです先輩!」パチパチ


咲「てへへ、ありがと///」テレ


健夜(迷わなかっただけで後輩に褒められる先輩って…)


咲「遅くなった理由なんだけど、途中で大星さんに会いましたよ」


健夜「大星さんって、あの大星さん?」


咲「ダブリーの大星さんです」


健夜「あれ、咲ちゃんと大星さんってどこかで面識あったっけ」


咲「ああ、言ってませんでしたか?この間、マホちゃんとお昼食べに外出たら、偶然会ったんですよ」


健夜「へえ、そうだったんだね」


マホ「マホ、その時に大星さんはあんまり好きじゃ無くなったです」ブス


咲(マホちゃん、相当怒ってるなぁ…)アハハ…


咲「実はね?言おうか迷ってたんだけど、今謝られたんだ」


咲「あの時は、あんな事言ってゴメンってさ」


マホ「え、そんな事ができる人だったんですね…」


マホ「マホ、少し驚きです」



健夜「偶然会ったって時に、何か言われたの?」


咲「まあ、色々ですよ。誰が相手でも楽勝~♪……的な発言を、少々」


健夜(あー…何となく想像つくなぁ…)


咲「だからさ、マホちゃんも許してあげて?」


マホ「…先輩がそう言うなら、もう忘れるです」


咲「て言っても、私が嫌われてるかもしれないけど」アハハ


咲「さっきも、フラれちゃったし」


健夜「……」






健夜「ん!?」


マホ「はいっ!?」バッ


咲「えっ、なに、どうしたの2人とも…」ビク


マホ「ふ、ふふふふ、フラれ!?」


健夜「ふ、振られたってててて、つ、つまり!?」


咲「いや、過敏に反応し過ぎでしょう…」


咲「健夜さん、ちょっとキモイです」ウワァ


健夜「だ、だって、ねえ?」チラリ


マホ「そ、そうですよ!!ちゃんと説明してくださいです!!」


咲「説明って……そのままなんだけど…」


健夜「そのままって、そのまま!?」ガ-ン


マホ「あの金髪……許せません…っ!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ





咲(よく分かんないけど、面倒くさいから放っておこう…)






【閑話・宮永咲と大星淡、カン】

今日はこの辺りでっ。
乙などありがとうございますっ。嬉しいです
このスレで、インハイ編は終わる予定ですので、もう暫くよろしくお願いします。

加えて、書いたは良いものの投下するタイミングが無かった清澄視点のお話を、折角なのでちょくちょく入れていこうかなとっ。
みなもちゃんはほほオリキャラですが、話を本編と結びつけるという理由で、何卒ですっ

これより数レス、清澄視点を挟みます。
清澄視点は、飛ばしてもそこまで本編に影響する訳では無いので、ほぼオリキャラな主人公が苦手な方は飛ばして問題ありません。
完全自己満足で書いたものですが、何卒ですっ

基本、清澄視点を投下する際には"清澄"→"本編"の順で投下しようと思います。

【番外・ルートみなも】

・story1出会い


~長野県、清澄高校・図書室~




久「だーかーらー、言ってるでしょう?」


生徒「は、はぁ…」


久「この図書室で毎週、麻雀雑誌を借りて行ってる子の名前!教えてよ」


生徒「いくら学生議会長でも、一応個人情報なので…」


久「別に他人に言いふらす訳でも無いんだし、良いじゃないの」


生徒「いやぁ…借りている生徒からしたら会長は他人な訳でして」


久「もう、頭固いわね~」


生徒「そう言われましても」



久「どうしてもダメ?」


生徒「はい……」


久(仕方ない……今日は諦める、か)


久「分かったわよー、また来るわ」


生徒「もう来ないで貰えると嬉しいですけど…」


久「何よ~冷たいわね」ムス


久(にしても、本当に誰なのかしら…)





?「ねぇ……」


久「ん?」


生徒「あちゃー……」アタマカカエ


?「最近、わたしの事を探し回ってるガラの悪い会長って、あなたの事?」


久「あら、随分な言われようね」


久「見知らぬ子にいきなりそんな事言われ……」


久「……」





久「え、今なんて?」


?「この至近距離で聞えないって……その耳、ちゃんと機能してるの?」


久「してるわよ……お約束をしたまでじゃない」


久(あぁ、年下からのこんなセリフ……なんだか久しぶりね)クス


?「なに笑ってるのこの人……」ドンビキ


?「まあいいや。とにかく、迷惑なので今度からわたしを探し回るのはやめて」



久「……ねえ図書委員さん?」ニコリ


生徒「……はい」


久「この子が例の?」


生徒「……黙秘権で」


久「その言葉だけで十分♪」ニッコリ


生徒「おおぅ…」


?「無視……?」


久「ああごめんごめん、自己紹介がまだだったわね」


久「私は生徒会長の竹井久。麻雀部の部長でもあるわ!」


?「やっぱり、麻雀部……」ボソ


久(あら……?)


?「て言うか生徒会長じゃなくて、学生議会長だけどね」


久「細かいわねぇ…」


久「……」ハハ


久「さっきのセリフといい、ほんと咲そっくりだわ」ボソリ


?「っっっ!?」ピク


久(あらら……?…………これは…)


久(いや、そんな偶然……もう少し探ってみるか)


生徒「宮永さん……?顔色が悪いけど…」


宮永「っっ……」


久(探るまでも無かったわ)


久(本当に……?そんな、偶然が…)


宮永「と、とにかく…わたしの事はもう、放って置いて」


宮永「わたしは、もう麻雀は打たないって決めた」


久「あら。と言うことは、見る専門では無いという事ね」


久「経験者、かしら?」


宮永「あっ……」シマッタ


久「……」


久「ねえ、私はまどろっこしいのが嫌いだから単刀直入に聞くわね?」


宮永「……」


久「私が中学の時、2つ下の後輩にアナタみたいに麻雀大嫌いな子が居たのよ」


久「中学で、長野から越してきたと言っていたわ」


宮永「……」


久「少しだけれど、その子の過去を聞いた……私も、まさかとは思うわ」


宮永「……何、言ってんの?聞かないから」


久「だから、私が今から言う事に身に覚えが無ければ、無言でここから去りなさい」


久(ごめんなさい…あなたには、辛い事かもしれないわね…)


久(でもこれが、あの子の幸せに繋がるなら……少しでも可能性があるなら…)


久「アナタ……」


宮永「やめて」


久「下の名前は、みなも……。そして宮永咲を、知っているわね?」


みなも「ぁ……」


久「……そう」


みなも「…どう、して……」




みなも「どうして、あんたが咲の……咲の、名前を…」


久「言ったじゃない。昔の後輩に、居たのよ」


久「言っておくけど、全てが偶然よ?私はただ、毎週追加される麻雀雑誌を借りて行ってる子を麻雀部に勧誘しようと探していただけ」


久「咲との関係を疑ったのは、私がポツリと咲の名前を口にした時の反応と、アナタの苗字」


久「あとは……その、角みたいな髪ね」クス


みなも「……」


久「っと、別に今はその事はどうでも良いのよ」


みなも「は……?」


久「アナタ、麻雀部に入りなさい」



みなも「……この流れで入るって言うと思ってるの?」


久「そんな麻雀雑誌で咲の情報を探すよりは、アナタの方からアプローチした方が良いと思うけど?」


みなも「っっ……それは…」


久「……貴方達の間にあった事を全ては知らないけど、1つ言えることはあるわ」




久「麻雀を、続けなさい。そうすれば、いつか必ずあの子に繋がるわ」




みなも「どうして言い切れるの?」


みなも「咲は、麻雀をやめた。わたしがやめさせた…」


みなも「繋がるはず、ないじゃん」


久「ふふ。さあ?どうしてかしらね」


久「……でも私は、あの子は麻雀をまた始めていると思うわ」


久「いえ、期待値の低い可能性に賭けてきた」クス



みなも「……なにが言いたいの?」


久「あはは、どうしてかしらね?私って昔から……」


久「悪い待ちほど、上手くいくのよ」


みなも「……」


久「……」







みなも「……」グッ


みなも「……あぁ、そう」スッ


久「おろ…?」


みなも「これ、返却ね」つ雑誌


生徒「あっ……う、うん…」



みなも「ごめんね、うるさくして」


生徒「ううん、そんな…今は私達以外に人いないし…」


久「え、リアクション薄くないかしら!?」


みなも「ああ、それから」


生徒「……?」


みなも「来週からはあの雑誌、借りにこないと思う」


生徒「あ……」


みなも「……」


生徒「……そっか。良かったね、みなもちゃん」ニコ


みなも「……別に良くないよ」フイ





久「えっ?それってつまり……どゆこと?」


みなも「久…だっけ?」


久「あ、うん…」


みなも「その悪待ち、和了れなかったら容赦しないから」







みなも「その時は覚悟しててよね。………………部長」


久「!!」



久「……」クス

久(これは、紛れもない奇跡……でも、待ってなさい可愛い後輩)


久(あなたを裏切った、罪滅ぼし……その内、果たすから)





久「ええ、大歓迎だわ。生意気な後輩」ニコ



【story.1カン】

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【story2麻雀部】



~清澄高校・麻雀部部室~

ガタガタ……ガタッ…
ガタンッ!




みなも「ひっ…」プルプル


久「なに、どしたの?」


みなも「い、いや…別に……」


久(ははーん…これは…)ニヤリ


みなも(ど、どうしてこんな薄暗い旧校舎に部室があるの……)


久「……」スゥ


久「わっ!!」


みなも「ひぃぃぃぃぃぃ!!!?」ビクッ


久「あっはっはっは!」ケラケラ



みなも「このっ、久!どういうつもり!?」


久「いや別にー?」


久「案外怖がりなのね、みなもって」クスクス


みなも「ふ、ふざけないで……!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ


久「わー、怖い怖い」フフ


久「それじゃ、行くわよー」テクテク


みなも「なっ……!?」


久(なーんか、全てにデジャブ感があるわねぇ…)ニッコリ

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久「さて、着いたわね」ピタ


みなも「……」


久「なに、緊張してるの?」


みなも「……そうかもね。リアルの麻雀なんて、もう何年やってないか」


久「そう……でも、今日からは毎日関わる事になるわ」フフ


久「ようこそ、お姫様」スッ


ガチャ



久「皆、待たせたわね~」


優希「おっ、部長が来たじぇ」


和「こんにちは、部長」


まこ「あんたは本当に……どこ行っとったんじゃ」ハァ


久「いやぁ、ちょっとね~」


久「ほら、みなも」


みなも「……」スッ


優希「じょ?その金髪美少女は誰だ?」


和「あなたは確か……図書室でよく麻雀雑誌を借りている…」


久「えっ、和知ってたの!?」


和「ええ、まあ…私もよく図書室は利用するので」


久「まじかぁ…」


まこ「ほんで、その子の紹介は?」


久「ああ、そうだったわね」コホン


久「ほら、自己紹介しなさい」


みなも「……今日から麻雀部に入る事になった、宮永みなも」


優希「おぉ!?ついに伝説の5人目の部員が!」


まこ「まじか!でかした部長!」


和「これで、大会に出られますねっ」


久「ふふん、もっと私を褒めても良いのよ?ほら!ほら!」


優希「みなもって言うのか!じゃあ、みなちゃんだっ」ワ-ワ-


優希「私は片岡優希!好物はタコスだじぇ!よろしくな!」


和「私は原村和と言います。これからよろしくお願いします」ペコ


まこ「わしは染谷まこじゃ。実家は雀荘を経営しとるで、その内遊びに来んさい」


久「ちょっとぉー!褒めなさいって~」


みなも「……」


久「……?みなも?」


みなも「1つ、アンタ達に言っておくけど」


和「……?」


優希「じょ?」


みなも「わたしは別に、馴れ合うためにこの部に入った訳じゃないから」


久(あっちゃぁ……)


みなも「わたしはわたしの目的の為に、この部を利用させてもらう。ただ、それだけ」


みなも「仲良しごっこがしたいなら、わたしを除いてやって」



優希「おおぅ…」


まこ(こりゃぁ、見かけによらず難しい後輩じゃな)


和「……」フム


和「宮永さんの事情は分かりませんが、この部に入った以上私たちは仲間です」


みなも「……」


和「仲間の為に利用されるのであれば、私はむしろ歓迎ですよ」


みなも「はぁ……?」


みなも「和って言ったっけ?胸に栄養行き過ぎて、頭に回ってないの?」


和「む、胸っ!?/////」カァ


優希「胸に栄養が行き過ぎてるのは認めるけど、のどちゃんは頭もいいんだじょ」


和「ゆ、ゆーき!認めなくていいですからっ!」


みなも「……くだらな」


久「あー、みなも。言っておくけど、貴女と私達の利害は一致しているわよ?」


久「目標は、大会への出場。その理由はどうであれ、そこは一緒でしょう?」


みなも「……そうだけど」


久「だから、利用するとかされるとか、そんな関係にはなりようが無いのよ」


みなも「……ふん」プイ


久(はぁ…この子は咲とは違う方向にツンツンしてるわね…)


みなも「……で?」


久「ん?」


みなも「麻雀部に入ったんだから、チームメイトの強さくらい知っておきたいんだけど」


久「あぁ、そうだったわね」


久「それじゃあ、みなもを入れて一通り打ってみましょうか」


優希「よし来たー!!」



和「宮永さんは経験者なんですね」


みなも「……」無視


和「む、無視ですか…」


和(なにやら嫌われてしまったでしょうか)シュン


みなも「……」チラリ


和「……」ションボリ


みなも「……小学生の時に、2年間打ってただけ。中学では牌に触れてすらないよ」


和「!!」パァッ


みなも「そういう和はどうなの」


和「私は」


優希「のどちゃんはすっごいんだじぇ!」


みなも「ぅわ…」ビクッ


優希「のどちゃんは、去年のインターミドルのチャンピオンだったんだじぇ!」


久「ちなみにデジタルよ」


みなも「インターミドル……。そういえば、借りてた雑誌にも載ってた気がする」



みなも(ふーん…見たところ、全然大したこと無さそうだけど)


みなも(デジタルなら、わたしが感じられないだけかもね)


和「たまたま勝てただけですよ。次やって優勝出来るかと聞かれたら、分かりません」


みなも「そういう謙遜はいらないから」


和「え?」


みなも「勝ちに偶然なんて無い。強いやつは、必然的に勝つ」


みなも「中学の範疇では、和が一番強かった。そういう事でしょ」


和「これは褒められたと取れば良いんでしょうか?」チラ


久「どうして私に聞くのよ…」


まこ「そりゃ、あんたが一番仲良さそうだからじゃろ」


久「私だって今日初めて会ったばっかりよ」


みなも「ほら、良いから早く始めようよ」


みなも(まともに打てそうなのは久だけか…)


みなも(はぁ…咲と打ち……)


みなも(…っっ…!!!)


みなも(……わたし、なに思ってるの?打ちたいなんて思う資格、わたしには無い)







優希「??みなちゃん、どうかしたか?」


みなも「……いや、何にもない。それじゃ、よろしく」


和「よろしくお願いします」


まこ「お手柔らかに頼むけぇの」


優希「よっし、やっるじぇー!!」


久「……」ジ-ッ


みなも「……」


久(傷は深刻、か)


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みなも「ツモ、3000,6000」


みなも「はい。終了だね」



みなも 85000
まこ 12000
和 6000
優希 -3000




みなも「……」フゥ


まこ「こ、こりゃぁ……」


和「不可解な打ち筋過ぎます…」


優希「みなちゃん強すぎるじぇ~……」


久「……みなも、あなたは今の対局本気で打ったのかしら?」


みなも「当たり前じゃん。手なんて絶対抜かないよ」


みなも「まあ、数年ぶりに打ったから少しはブランク感じたけど……調子が戻ってもこの打ち方ではこの程度だよ、わたし」


久(この打ち方……?)


まこ「この程度って、こんだけ打てりゃ充分過ぎじゃろ…」


優希「そうだじぇ!のどちゃんに加えてみなちゃんがいれば、インハイ出場も夢じゃないじょ!」


みなも「わたしは、別に少しテレビや雑誌に細かく載るくらいの成績でいいけど」


和「何を言いますか。目指すは全国優勝、ですよ」


久「そうね…やるからには、行きたいわ」


まこ「アンタらはまったく……まだ県予選にエントリーすらしてないっちゅうのに…」


みなも「……全国…」


久「……」


みなも「そんな舞台で打つわたしを……」ポツリ


和「宮永さん…?」


みなも(咲は、認めてくれるのかな…)


久「……よしっ!今日はこの辺にしておきましょうか!」


まこ「そうじゃの。もう日も暮れる時間じゃ」


久「1人だと危ないし、和はみなもと一緒に帰りなさい」


みなも「は?」


和「分かりました」


みなも「えっ」


優希「なら私も一緒に帰るじぇ!」


久「優希は自転車でしょう…途中まで歩いたら家に着く頃には夜よ」


優希「そうだったじょ……」


まこ「また明日も会える、今日は我慢しんさい」


優希「はーい」


久「それじゃあ、解散!」


「「「お疲れ様でしたー」」」


みなも「……お疲れ」



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【story3.秘密】




和「宮永さんのお家もこちらの方向なんですね」テクテク


みなも「……」スタスタ


和「うっ……」タジ


和「あ、朝は何時頃に家を出ているんですか?」


みなも「……」スタスタ


和「え、えっと…」


和「み、宮永さんはどうして麻雀を打っていなかったんですか?」


みなも「……」ピタ


和「!!」


みなも「……ねえ」


和「は、はい」


みなも「さっきから、何?」


和「何とは……?」


みなも「原村和、うん、思い出したよ」


みなも「雑誌で見た。有名人なんだよね」


和「べ、別に有名人などでは…」


みなも「皆に好かれる人気者だし、友達だってわたしと違って多いんでしょ」


みなも「久に言われたからって、律儀にわたしと一緒に帰ることなんて無い」


みなも「何を企んでるの?」ジロ


和「か、考えすぎですよ!私は、単純に宮永さんと仲良くなりたいと思って……」


和「せっかく一緒に打つんです。楽しく打てた方が良いじゃないですか」


みなも「楽しく……?」


和「そうですっ」


みなも「……」イラ


みなも「……わたしはそう思ってない。友達だとか、仲間だとか、心底どうでもいい」


みなも「楽しく打つ?わたしにそんな麻雀、打つ資格ない」


和「宮永さん……」


みなも「分かったら、仲間だとか友達だとか、そんなくだらない関係にわたしを巻き込まないで」


みなも「わたしが見るのは咲だけでいい…わたしを見てくれるのは咲だけでいい」


みなも「そう……咲だけがわたしの全てなの」


和(咲……?)





みなも「…どうして……?」ジワ


和「宮永さん……?」


みなも「わたしはただ、3人でずっと楽しく麻雀がしたかっただけ……なのに、どうして……!!」


みなも「わたしと咲を繋げたのは麻雀……でも、同時に引き裂いたのも麻雀」


みなも「映像?飽きるほど見た!!でも、わたしにはなんの解決策も思いつけなかった……」


みなも「会う口実すら……作れない……」



みなも「あはは、意地張って4年間も牌を触らなかった癖に、今になって麻雀部って……ふふ、わたしのアホさに笑えるよ」


みなも「麻雀なんて嫌い……麻雀なんて、消えちゃえばいい」


みなも「だけど、麻雀を消したらわたしと咲の間には何も残らない…咲を助けられない…」


みなも「もう2度と会えないかもしれない……そんなの、嫌だよ…」



和「……」


和「……すみません」


みなも「っっ!」ハッ


和「……」




みなも「……いや。わたしのほうこそ、急に訳分からない事言い出した」


みなも「もう、良いからさ。わたしは、ここで少し考え事して帰るから、先に帰って」


和「すみません」


みなも「だから、わたしが悪かっ 和「少し、失礼します」ギュ


和「……」ギュ-





みなも「……は…?」ポフ





和「すみません、私は今の話を聞いていて……正直、よくわからない事がほとんどでしたけど、宮永さんに親近感を覚えてしまいました」


和「こんな事言うとまた怒ってしまうかもしれませんが、宮永さんとは何としてでも友達にならせて貰います」


みなも「親近……って、何してるの離して……っ!!」


和「麻雀で作り上げた関係…麻雀無しでは崩れてしまう関係」


和「誰かともう一度繋がるために誰かと放れない為に、麻雀を続ける…」


和「私にはその気持ち、分かりますよ」


みなも「適当な事言わないで……っ!分かりっこない、そんな事簡単に口に出さないでよ」


和「いいえ、分かります」


みなも「いい加減に……!」


和「……私は、インターハイで良い結果を残せなければ長野を離れる約束を父としています」


みなも「……なっ…」


和「父の仕事の関係でもありますし、父が私が麻雀をやっている事を快く思っていない為でもあります」


みなも「……」


和「私、長野へ来る前は奈良県に住んでいたんです。でも、その時に築き上げた友達との関係は、引越し一つで消えてしまった」


和「……もうあんな思いはしたくない。絶対に麻雀部の皆と、離れたくないんです」


和「それが、私の麻雀を打つ理由です……。私には、宮永さんの過去に何があったかは分かりません」


和「だから、宮永さん」


和「宮永さんの目的の為に私を利用してください。私も、私の目的の為に宮永さんを利用してやります」


みなも「和…」


和「そうやって、最後には2人でハッピーエンドを迎えましょう」


和「……ね?」ギュ-


みなも「……」


和「……」



みなも「……うざ」


和「っっ」ピク







みなも「……でも、ありがと」



和「えっ……?」


みなも「ありがとう、和」ニコ


みなも「少しだけ…なぜだか、気分が軽くなったよ」


和「!!」ドキッ


みなも「言っておくけど、わたしの話を和に話すつもりは無いから」


和「……ええ、分かっています」


みなも「でも、さ」


和「?」






みなも「誰かに頼りたくなったら、一番に頼るから」プイッ




和「!!」パァッ


和「はいっ!」ニコ


みなも「……」フゥ


みなも「それじゃ、和」スッ


和「……?」


みなも「全国に」つ小指




和「……はいっ」スッ





和「全国に」ギュ






みなも(咲……わたし、咲に会いたいよ……)


みなも(だからわたし、麻雀続けるね…。咲に会えるまで、ずっとずっと……)




みなも(だからお願い……咲も、少しで良いから麻雀に触れていて…)


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こんな感じで、こっちは結構展開早く書いていきます。みなものツン期終了が早すぎるのは、原作の和リスペクトという事で一つ……っあの和も落ちるの早かったですよね

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【副将戦、開始前】

~会場、某所~



マホ「な、なんだぁ……」


マホ「ふ、フラれたって対局を断られたって事ですか……」ホッ


咲「あ、当たり前だよね?」


マホ(果たしてそうなのでしょうか…)


マホ「でも、先輩からの誘いを断るなんて失礼しちゃいますね!」プンスコ


咲「あはは、別に気にしてないよ。私が急に誘ったんだしね」


マホ「それはそうかもですけど」ム-ッ


マホ「そもそも、先輩はどうして大星さんと打ちたかったんですか??」


咲「え?」


マホ「ふぇ?だって、何か理由があって誘ってみたんですよね……?」


咲「それは―――……」


咲「……あれ?そういえば、どうして私あんな事言ったんだろ」


マホ「えぇ!?」


咲「今考えてみたら、特に理由も無かった気がするよ」


マホ「せ、先輩……しっかりしてくださいです!」


マホ「ダメですよ!無闇矢鱈に女の子と仲良くなろうとして!」ニャ-


咲「そ、そんなつもりじゃないよ!?」


マホ「そんなつもりが無いからこそ、先輩は質が悪いんですー!」


咲「あぅ……マホちゃんが怒りモードだよ…」トホホ


咲「……ん?」チラリ


マホ「まったく…先輩は本当に色んな意味で目が離せませんねっ」


咲「……」ジ-ッ


マホ「先輩、ちゃんと聞いているんですか!」


咲「マホちゃん、あれ……」ユビサシ


マホ「あれもそれもこれもありませんーっ!」


咲「ち、違うって!そうじゃなくて、あの人見て…」


マホ「あの人……?」チラリ



?「ダルい……」タオレ




マホ「な、何ですかあの人……どうしてあんな所で体操座りしてるんですか…」ヒキッ


咲「私、あの人がダルいって言ってるように聞こえたんだけど」


マホ「ええ!?そ、それは大変じゃないですか!声を掛けてみましょう!」タッタッタ


咲(態度の変わりようが凄すぎるよマホちゃん!)


マホ「先輩!早く早く!」


咲「あ、うんっ。(あれ、今更だけどあの人どこかで……)」テクテク

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?「ダメだ、ダルい……」


マホ「あのあの!大丈夫ですか!」


?「ん……?」


咲「こんな所でうずくまって、どうかしたんですか?」


?「ダル……あ、いや、今のダルは君達に言ったわけじゃないから…」


マホ「は、はい……?」ワケワカンナイ


咲(ダメだ。既にマホちゃんがこの訳分からない人を理解出来てない……)


咲(いや、私も理解出来ないけど)


咲「えっと、マホちゃん。この人って、あの人じゃないかな?」


マホ「あの人と言われても…」


咲「あの~…そう!宮守女子の、先鋒のさ」


マホ「宮守……といえば、六曜の方がいる…」ジ-ッ


?「あんまり見られるとダルい……」


マホ「あー!ホントです、この方はマヨヒガの先鋒さんですね!確か、小瀬川白望さん!」


咲「そう、その人だよ」


白望「私の事…知ってたんだ」ダルッ


白望「それで、何か用かな……」


マホ「用というかですね…ダルいと言いながら蹲っていたので、声を掛けてみただけです」


咲「体調でも悪いんですか?」


白望「あー……ごめん、別に本気でダルい訳じゃ…」


白望「いや、だるいんだけどだるくないっていうか」


マホ「……?」


マホ「せ、先輩…通訳をお願いします…」


咲「多分、私たちの勘違いって事かな…?いや、よく分からないけど」


白望「だるい……」


マホ「で、でもまたダルいって言いましたよ……?ダルくないのにダルいと言う人がいるんでしょうか……」


咲「さ、さぁ…?世界は広いから……」思考放棄


マホ「先輩、適当にならないでください!?」


白望「あの」



胡桃「あー!いた!」


エイスリン「サエ!シロ、ミツケタ!」


塞「こんな所まで来てたのか……」


豊音「シロ~、迎えに来たよ~!」


マホ「あれは宮守女子の…」


咲(あれが背向の豊音さん……それに、エイスリン・ウィッシュアートさんか)


白望「みんな」


塞「まったく…探したよ、シロ」


エイスリン「マイゴ!キヲツケル!」


白望「だる…じゃなくて、ごめん」


咲「迷子になってたんですか…」



マホ(先輩みたいです……)チラリ


咲「マホちゃん、顔に出てるから」ジト


マホ「はうっ!」


胡桃「ん?この子達は?」


豊音「シロのお友達さんかな~?」


咲「いえ。私たちは、小瀬川さんがここでダルいと言いながら蹲っていたので、声をかけただけです」


マホ「早く病院に連れて行ってあげた方がいいんじゃないでしょうかー?」


塞「あー……」


エイスリン「シロ!カンチガイサセタ!」


胡桃「まったく、これだからシロは!後で充電の刑だからね!」プンプン


白望「ごめんって…」


豊音「ごめんねー?シロってば、ダルいって言うのが口癖なんだよ~」


マホ「ど、どんな口癖ですか…」


咲「では、特に体調が悪い訳では無かったと」


塞「多分、迷って歩き回ったから……その、別の意味合いでダルくなったんじゃないかなと」


エイスリン「シロ!ナマケモノ!」


咲「あ、怠け者……なるほど、しっくり来ました」


マホ「ですね!エイスリンさん、言葉選びがお上手です!」


エイスリン「エヘヘ…/////アリガト////」


白望「しっくりは来ないで欲しかったかな…」


胡桃「あれ、エイちゃんの事知ってるんだ?」


咲「皆さん知っていますよ」


マホ「岩手県代表、宮守女子高校!ですねっ」



豊音「えへへ~、なんだか有名人になったみたいだよ~」テヘヘ


白望「2回戦敗退だけどね」


胡桃「こら、シロ!そーいうこと言わない!」


エイスリン「ウゥ……」グス


塞「ああ、ほら、エイスリンが……」


白望「…今のは悪かったよ…ごめん」


豊音「私がもっとちゃんとしてれば~……」ズ-ン


胡桃「こら!豊音まで落ち込まない!」


豊音「でもぉ~……」


マホ「……」ハァ





マホ「コホン!……あのBブロック2回戦は、レベルが凄く高かったとマホは思うです」


豊音「ふぇ……?」


マホ「それでも皆さんは初出場で、あの試合を戦い抜きました!」


マホ「負けてしまって後悔するのも大切だと思うですけど、まずは戦い抜いた事を誇ってみてはどうでしょーか?」


塞「きみ……」


咲「そうだね。後悔の分だけ、良くやったと思える場面もあったはず」


咲「これからは、そういう所を褒め合っていけば良いと思いますよ。反省は、もうお腹いっぱいになる程したはずです」


咲「……ね?」ニコリ


豊音「……はいっ!」


エイスリン「ウン…ッ!」


白望「そうだね…」


塞「……ならまずは!ヘトヘトになって永水を塞いだ私を褒めてよ!」


胡桃「その後モノクル割れたけど!」


塞「そうだったぁ……ほんと、あれなんだったんだ……」ズ-ン


塞「ってダメダメ…またネガティブになりそつだったよ」


豊音「2人ともありがとー!お陰で元気が……」


豊音「って、あれ~?」キョロキョロ





白望「いつの間に居なくなって…?」


エイスリン「ナマエ、キケテナイ」


胡桃「私がお礼を言いそびれるなんて……!不覚!!」


塞「なんだか、不思議な2人組だったな…」


豊音「今度会ったら、ちゃんとお礼しないとね~!」


白望「そうだね…怠け者イメージも払拭したい……」


エイスリン「ムリ!」


白望「えー……」


胡桃「あははっ、エイちゃん即答!」


豊音「じゃ~、部屋に戻るまで試合の良かった所を褒め合って帰ろ~!」


「「おー!!」」


白望「おー……ふふ、これはだるくないかな」


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マホ「いやぁ、ビックリしましたねー先輩」


咲「そうだね。まさか宮守の人たちと会うなんて」


マホ「挨拶しないできちゃいましたけど、良かったんでしょうか?」


咲「なんだか良い雰囲気になってたし、私たちに気を使わせるのも悪かったでしょ」


咲「私としては、マホちゃんがあんな事言い出した事の方が驚きだったよ?」


マホ「あんな事、ですか?」


咲「ほら、あの人たちを慰めるみたいな。マホちゃん、他校の事情とか全然興味無さそうなのに」


マホ「そう言われると、マホが悪者みたいですー」


咲「あ、いや、そういう訳じゃ……ただ、阿知賀の時もあんまり興味無さげだったから」



マホ「それはだって、マホの頭の中はいつも宮永先輩で120%を占めてますからね!他人のこと、考えてられませんっ!」フンス


マホ「宮永先輩の頼みでしたから、阿知賀の時は協力はしましたけど」


咲「す、少しは健夜さんの事も考えてあげようよ…」


マホ「健夜さんの事は先輩が考えてあげたら良いんです♪マホと健夜さんは、先輩を存分に堪能する係なんですから!」


咲「えぇ……?」


咲「なんだかよく分からないけど、その係はすぐに撤廃して欲しいかな…」


マホ「まー、さっきのは偶々気が向いただけですっ」




マホ(放っておくと、まーた先輩があの方達と仲良しになってしまいそうな予感がしたからですけど…」


マホ(ふふふ、先輩のたらしゼロ化計画……始動ですっ」



咲「マホちゃんマホちゃん、建前と本音が両方出ちゃってるよ。心に留めきれてないよ」


咲「それに、なんだか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど…」


マホ「はうっ!」クチフサギ



マホ「あ、危ない所でした…っ」ホッ


咲「あれマホちゃん?危ない所じゃないよ、もう手遅れだったよ?」


マホ「な、何がですかー?」キョトン


咲「いや、だから…」


マホ「まあまあ先輩!そんな事よりも、早く席に戻りましょう!」


マホ「そろそろ副将戦が始まる頃ですよっ」


咲「そ、そうだね。そうしよっか」


マホ「副将戦~♪副将戦~♪」




咲(さっきのは忘れよう……うん、それがいいよ)ハハハ…


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乙など有難うございます。とても嬉しいです。
更新が遅めですが、まったりお付き合いください(ペッコリン)

では、今日はこの辺りでっ

言われて気付きましたが、振袖でしたね……恥ずかしい…
指摘ありがとうございますっ

――ルートみなも――


【story4.計画】

~入部から数日後、清澄高校・麻雀部~




みなも「……は?」


みなも「ねえ久?わたし、耳が悪くなったのかな。聞こえなかったんだけど、もう1回言ってくれない?」


久「メイド喫茶でバイトしてきてちょうだいっ!」ニッコリ


みなも「ふんっ!」ゲシッ


久「痛いっ!?」


和「ちょ、宮永さん!?」


みなも「あはは…ごめんね、わたし耳が悪くなったのかな…久、今のもう1回」


久「メイド喫茶で」


みなも「てりゃ!」ゲシッ


久「また脛っ!?」イタイ


和「宮永さん!!」アセアセ



みなも「あはは…ごめんね、わたし耳が」


和「み、宮永さん落ち着いてください!このやり取り既に5度目です!無限ループです!」


みなも「……」ハッ


みなも「……あまりに久がボケた事言い出すから、少し混乱しちゃったよ」


和「少し……?」


久「いたた……違うのよみなも、話を聞いて貰えるかしら?」


みなも「メイド喫茶でバイトを頼まれる話じゃなければいいよ」


久「あら、察しが良いじゃない……」


和「……」


久「正解よ☆」ウインク


みなも「分かった、久歯を食いしばってね」


和「み、宮永さんダメですって!抑えて、抑えて!」



久「そうよ落ち着きなさい?大丈夫?和のおもち触る?」


和「どうしてそうなりますか!」ベシッ


久「痛い!?の、和まで!」


和「あ、ごめんなさい部長…つい」


久「うわーん!部内DVだわこれは……私、ここで死ぬのね…」シクシク


和「何を言っているんですか…」


みなも「ねえ和、もう良いかな。抑えるの、やめて良いかな」ゴゴゴゴゴゴ


和「だ、ダメです!もう少し頑張って!」


久「わーん!後輩が暴力で下剋上しようとするー!」シクシク


和「部長も、ふざけるのやめて下さい!自分の立場分かってます!?」


久「ひっ、和まで脅迫するのね…」ビクビクッ





和「……」ブチッ






みなも「ねえ和、良いかな?良いよね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


久「わーん、みなもが虐めるわー」シクシク


和「2人とも……」スッ


久(あ、やば)



和「いい加減になさいっ!!!!!!!」ベチコ-ン



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和「はぁ…染谷先輩のお店でお手伝い、ですか」


久「いたた…。…そうなのよ、人手が足りないらしくて」イタタ


和「なるほど…」


みなも「うぅ…和にぶたれた…もうこの部やめようかな……」


和「ちょ、宮永さん!?それは洒落になりませんから!!」アセアセ


久「まこにはこの部室の雀卓のメンテとかもお世話になってるし、困った時は助け合いでいきたいのよ」


和「まあ……それは私もそう思いますが。どうしてメイドなんです?」


和「染谷先輩の雀荘って、普通の一般的な雀荘でしたよね」


久「なんでも、時代の波に乗るために取り入れた秘策だとかなんとか。週2で、メイド服を着る日を作ったらしくてね」


和「それが今日だった訳ですか…というか、部長も言い方を考えてください!」


和「メイド喫茶なんて言われたら、誰だって困惑しますよ!」


久「それは悪かったわよ~。でも、あっちに着いてから聞かされたんじゃ、みなもは絶対納得しないと思ってね」チラリ


和「それは……まあ、今の一連の騒動を見れば…そうですね」チラリ


みなも「うぅ…そうだよね、お姉ちゃんが全部悪いの……ごめんね…お姉ちゃんなのにごめんね…ていうか、名乗る資格ないよね…」シクシク


みなも「わたしは一生ピンフ縛りで麻雀するから…お揃いだよ…ふふ、なんてね……」


和「宮永さん、そろそろ戻ってきてください!!?」


久「私も行きたいのは山々なんだけど、タイミング悪く会長の会議がね…」


みなも「分かった、分かったよ。全然納得はしてないけど、行ってこれば良いんでしょ」フッカツ


久「あら、分かってくれて嬉しいわ」フフ


和「急に復活しないでください…驚きましたよ」


みなも「そういえば、優希が居ないけど?」


久「前回のテスト」


みなも「あぁ、おっけ」


和(今のやり取りで悟られてしまう優希が少し可哀想です…)


みなも「じゃ、さっさと行くよ和」スタスタ


和「ま、待ってください!染谷先輩のお家の場所知らないでしょう!」


みなも「勘で行く」


和「死ぬ気ですか!?授業の移動教室の時でさえ迷いかけていたのを忘れたんですか!」


みなも「忘れた」スタスタ


和「ちょ、待ってくださいって!ぶ、部長それでは行ってきます!」


久「はいはーい、いってら♪」


『宮永さ……って、宮永さんそっちは屋上です!!』ワ-ワ-







久「……ふぅ」


久「みなもが入部して1週間、か……」


久「ふふ、いつの間にあんなに仲良くなったのかしら、あの2人」クスクス


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~roof-top~



まこ「やー、悪いのぉ2人とも。助かるわー」


和「ふむ……中々可愛らしい衣装ですね…」キラキラ


まこ「さすが和じゃ……目のやりどころに困る」


和「あら、宮永さんは?」キョロ


まこ「あそこじゃ」


みなも「……」オロオロ


和「宮永さん?どうしてカーテンから顔だけ出しているんです?」


みなも「は、恥ずかしいからに決まってんじゃん!!/////」


和「恥ずかしい、ですか?大丈夫!宮永さんもきっと似合いますよ!」


みなも「そ、そういう問題じゃないし!/////」


みなも「っていうか、そういう和はどうしてそんな余裕な態度なのさ!」


和「私は、こういう衣装結構好きなんです」


まこ「和は私服もかなりフリフリしとるんよ」


みなも「この脳内ピンクおっぱいオバケめぇ……!」


和「良いから、早く出てきてくださいよ!」グイグイ


みなも「わっ、ちょ、引っ張るなぁ!!」


和「大丈夫ですって!きっと可愛いですから!」グイッ


みなも「わぁぁぁぁぁぁぁ!!/////」←引っ張り出される


まこ「おぉ……!!」ジロジロ


和「こ、これは…」マジマジ


みなも「うぅ…///」モジ



まこ「みなも、よう似合うとる!」


和「可愛い!可愛いですよ、宮永さん!」


和「黒を基調としたメイド服に垂れる淡い金髪…アリです、アリですよ!」


みなも「和キモい!!近寄らないで、ほんと、てか見ないで!」ヒキッ


和「そんな!?」ガ-ン


みなも(あぁ!恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!)


みなも「は、早く脱ぎたいから、ちゃっちゃと手伝い終わらせたいんだけど」


まこ「おっと、そうじゃった」


まこ「手伝い……言うても、難しい事なんて何も無いから安心せぇ」


和「あ、私達コスプレをしに来た訳ではないんでしたね」オモイダシ


みなも「……和、張り倒していい?」


和「す、すみませんって!」アセアセ


まこ「よし!さっそく仕事の説明なんじゃが…―――」


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みなも「ロン。リーチ1発ドラ、河底撈魚」


みなも「8000」ズズズズズズ


和「しゅ、終局ですね」


男「い、いやぁ…お嬢ちゃん強いねえ…それじゃあ、オジサンはこれで失礼するよ」スタコラ-


男2「お、俺もこれでー……」スタコラサッサ


和「お疲れ様でした」ペコ


みなも「!!」


みなも「ぉ…おつかれ……さま、でした……」ボソボソ


和「み、宮永さん……少し、飛ばし過ぎでは…」


みなも「……ふ、ふぅ…」ホッ


和「……?そういえば、何やら落ち着かない様子ですね」


みなも「いや……ちょ、ちょっとね…」


和「……」フム


和「もしかして、人見知りなんですか?」


みなも「……」コクリ


和「そうなんですか…」


みなも「……昔よりは、マシになったと思うけど、男の人は……ちょっと」


和「それは困りましたね……」


みなも「……!」ピクッ


和「どうしましょう、染谷先輩に事情を説明して」


みなも「……いや、大丈夫だよ」チラリ



カラン、カラン





まこ「いらっしゃ……おっと、やっと来たんか」


「おー。私はいつもの頼むわ」


まこ「カツ丼じゃね。人おらんし作ったらわしも入るけえ、少し待っとりんさい」


「ああ、分かった」スタスタ



和「えっと、いらっしゃませっ」


靖子「あら、今日は可愛らしい子がいるじゃない」


和「いえ、そんなっ」テレ


みなも「……久しぶり」


和「えっ……?」


靖子「やあ、随分だな。4年ぶりくらいか」


靖子「打つ麻雀、また始めたんだって。久に聞いたよ」


みなも(久のやつ……どうやってこの人の事まで調べたんだ……)



みなも「どうせ、久の考えることなんてこんな事だろうと思ってたよ。親子丼」


靖子「おいおい、もう親子丼はやめてくれよ…今はカツ丼に鞍替えしたんだ」


みなも「また丼物?4年も続けてて、よく太らないね」


靖子「そういう体質なもんで」


みなも「あっ、そう」


和「あの、宮永さん……?こちらの方とお知り合いなんですか?」


みなも「知り合いって言うか…。4年前、小学生2人中学1人の卓に入って焼き鳥だったプロ雀士だよ」


和「え」


靖子「おいおい、あの時は親子丼一杯しか食ってなかったし、本調子じゃなかったんだが?」


みなも「その言い訳さ、四年前にも聞いたよ?」


和(小学生2人の内、一人は宮永さん……もう1人は、咲さんという方でしょうか…)


和(なら、中学生は……?)


まこ「なんじゃ…藤田プロとみなも、知り合いじゃったんか」


まこ(なら、みなもじゃなくて優希を……ああ、補習じゃったな…)


みなも「その質問くどい。後で和に聞いて」


まこ(なんか、いつも以上にピリついとらんか…?)


靖子「そんじゃ、まあカツ丼も来たところで始めるとしようか」バクバク


靖子「みなもは、私がここに来た理由分かってんなら空気読んでくれよ?」


みなも「……さあ、どうだろ」


和「……?」ハテ


まこ「……ほんなら、始めるけえの」ガラガラ


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【story.4.5この瞬間】




靖子「そんじゃ、今日はおつかれ」


まこ「付き合ってもらって、ありがとのう」


靖子「いや、良いって。私も調整になったし」


靖子「またな、みなも」


みなも「…………やりすぎだよ」


靖子「…しょうがないだろ。途中からお前が染谷狙いに変えたんだから」


みなも「早く帰って。こんなやり方、乗るのは今回だけって久にも伝えて」


靖子「分かったよ…正直、私も悪かったと思うしな」


靖子「じゃ、またな」テクテク


みなも「……」


みなも「……はぁ」チラリ


和「……」ボ-ッ


みなも「……」



まこ「みなも、着替えたら和と一緒に帰りんさい」


みなも「ん……お疲れ」


みなも「ほら和……行くよ」


和「……」コクリ


まこ「……」ハァ


まこ(藤田プロと打った半荘数回……和が+収支だった回数は……)


まこ(やりすぎじゃ、さすがに……)


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~帰り道~


和「……」


みなも「……」


和「宮永、さん……」


みなも「……ん?」


和「……」


和「……今…この瞬間だけ……弱音を、吐いても良いですか……」


みなも「…」


みなも「……ん」ギュ


和「……」スッ


和「……私は、弱いです…」ギュゥ


みなも「うん…」



和「まだまだ……全然、強くなんてなってなかった……」


みなも「……うん」


和「これでは全国へ……、行けないかもしれません……私が、足を引っ張るかも……」


みなも「私が連れていく。約束、したでしょ」


みなも「わたしを利用したらいい」



みなも「大丈夫。大丈夫だよ、和」ナデナデ


みなも「あなたは全国へ行く。わたしと、一緒に」


和「でも……」


みなも「和は必ず強くなる。大丈夫、わたしを信じて」


みなも「大丈夫だから…、ね?和が強くなるまでは、わたしが守るから」


みなも「和の帰る場所は、なくなったりしない」ナデナデ


和「……はいっ…」ギュゥ


みなも「今、この瞬間だけは…全部、わたしが背負ってあげる」



和「……はいっっ…」ジワ


みなも「だから安心して……もう少しだけ、いいから」


和「ありがと……う…っっ……ござい、ます……っ…」ボロボロ


和「……うぅ……っ……っ……!」グス




みなも「……」フゥ


みなも「……」ナデナデ


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――本編――


~Bブロック・観戦室~




恒子『さあさあさあ!!昼休み明けたぞお前らぁぁぁぁぁ!!!』


恒子『Bブロック準決勝副将戦の時間だぁぁぁぁぁ!!』


健夜『こ、こーこちゃん!また怒られるってばぁ!』アセアセ


恒子『激戦のBブロックを勝ち抜いて決勝へとコマを進めるのは、一体どの高校なのか!!』


健夜(聞いてないし…)


恒子『目が話せないませんね、小鍛治プロ!』


健夜『そうですね……。どのような結果になっても、各校悔いだけは残さない試合に出来ると良いですね』


恒子『そんな準決勝副将戦、各校選手の紹介です!!』


恒子『まずは、予選からここまで他校を寄せ付けない圧倒的な実力で勝ち上がってきました』


恒子『臨海女子高校から、アメリカからの留学生!メガン・タヴァン選手です!!』


健夜『臨海女子が擁する留学生の選手達で、唯一去年から連続出場をしている選手ですね』


恒子『そういえば、他の3選手は今年からの新顔でしたね!』


健夜『新顔って……もう少し言い方があるでしょ』


恒子『……新入り?』


健夜『言うと思ったよ!!』


健夜『コホン……えっと、この選手もこれまで奥の手を隠した打ち方をしている様に感じますね』


健夜『先ほどの試合、中堅の雀明華選手はこれまでと違う攻めのスタイルに切り替えてきましたが、メガン選手はどのように切り出すのか』


健夜『その辺りも、個人的には注目しています』


恒子『ちなみに、このメガン選手ですが日本に来てからというもののカップラーメンに大ハマり』


恒子『毎日の様に食べているそうです!』


健夜『わ、私にはマネできないなぁ……』






咲「3人目の留学生……」


咲(この人は確か、治水の龍門渕透華と対局して他を飛ばしたっていう……)


マホ「毎日カップラーメン食べててあの体型って、おかしくないですか!」


咲「太らない体質、とかなんじゃないかな?」


マホ「そんなオカルトあり得ませんです!そんなのズルいです!」


咲「マホちゃんは、食事に気を使ったりする方?」


マホ「当たり前ですよっ。もしいきなり、マホが20キロくらい太って先輩の前に現れたらどうしますか?」


咲「そ、そりゃ、驚くかな…?」


マホ「そうならない為に、マホだって食べ過ぎないよう努力をしているのです!」


咲「そうなんだ……」


咲「でも、私はどんなマホちゃんでも好きでいられる自身があるけどね」ニコッ


マホ「せ、先輩……っ!」アゥ


マホ「そ、そういうの反則です!/////」ドキッ


咲「えへへ、本当の事だよ」


マホ「あぅ……/////」テレテレ


マホ「当たり前ですよっ。もしいきなり、マホが20キロくらい太って先輩の前に現れたらどうしますか?」


咲「そ、そりゃ、驚くかな…?」


マホ「そうならない為に、マホだって食べ過ぎないよう努力をしているのです!」


咲「そうなんだ……」


咲「でも、私はどんなマホちゃんでも好きでいられる自信があるけどね」ニコッ


マホ「せ、先輩……っ!」アゥ


マホ「そ、そういうの反則です!/////」ドキッ


咲「えへへ、本当の事だよ」


マホ「あぅ……/////」テレテレ


恒子『さて、続いての選手!』


恒子『永水女子からは、うーん…見えそうで見えない不思議!薄墨初美選手です!』


健夜『……もう突っ込まないことにするよ…』


健夜『薄墨選手は本来非常に火力の高い選手として有名ですが、2回戦では思うように力を発揮する事が出来ずに終わってしまいました』


恒子『そうなの?役満和了ってたのに』


健夜『はい。もし彼女が実力の全てを出す事ができれば、この副将戦は大変荒れるかもしれません』


健夜『この試合、彼女がどう立ち回って行くのか楽しみですね』




マホ「あー…そういえば、2回戦では先ほど会った宮守の方に塞がれていましたね~」


咲「でも、今回は薄墨さんを縛る物は何もない。楽しみだな」


マホ「そうですか?東と北を鳴かないと西と南が入らないんですし、誰も捨てなければ良いと思うです」


咲「ん~……それが、そんな単純な話でも無いんだよね」


マホ「と、いうと??」


咲「まず大前提として、北家の薄墨初美は配牌時から東と北が対子で手牌に入ってる事が多いの」


マホ「ふむ……」


咲「考えてみて?1打目から両方を鳴かれる可能性があるって事は、他家は東と北を抱えざるを得ないという事」


マホ「あ……」


咲「そう。もし、配牌やツモで他家が残りの東と北を持って来てしまった場合、それが対子にならない限りは国士無双以外の手を作る術がなくなる」


咲「仮に薄墨さん以外の3人が、1枚ずつ4枚の内の3枚を手に入れてしまった場合……」


マホ「誰かが捨てて鳴かせない限りは、自分達の手が作れないまま……なるほど、確かにそれは厄介そうですね」


咲「勿論、鳴かせて自分が安い手を速攻で和了るか、聴牌した時に切れば良いわけだけどね」


咲「それでも、2位の永水にとっては前後半4度ある内の北家を、ほぼ自分の物にできるっていうアドバンテージはかなり大きい」


マホ「東と北を鳴かれてしまったら、ほぼ小四喜は回避できませんか?」


咲「難しいね。他家は、振ったら役満の可能性という不安が脳裏を必ず過ぎる。それで手の進みを遅らせれば、薄墨さんはツモってくるよ」


マホ「でもでも、2回も鳴いた後に西と南を残り5枚集める訳ですから最低5巡はかかる訳ですよねー?」


咲「んー……」


咲「良い?マホちゃん。場の支配っていう種のオカルトで、一番強力なのは何かに特化した形の場の支配なの」


咲「天江衣の一向聴地獄や大星淡の配牌操作みたいな常時発動の全体効果系じゃなく、出すタイミングが限られていて効果範囲が限られている、特化された支配」


咲「薄墨さんの庭とも呼べる北家で、他家になんの制限も掛からないハズがない。」


マホ「それはつまり、薄墨さんが北家の時は他家にツモ悪などもオマケで付いて来るって事ですか?」


咲「恐らく、ね」


咲「更に言えば、北家で東と北を鳴くと西と南が手に入ってきやすくなる様になるってだけで、鳴く前に西と南をツモってこれない……なんて事じゃ、ないんだよ?」


咲「それこそ、牌は薄墨さんに応えるかもしれない」


マホ「うわぁ……」


マホ「神代さんといい、薄墨さんといい、大将の石戸さんといい、永水女子はどうなってるんですか…」


咲「まあ、シード校に選ばれるだけはあるよね。石戸霞さんの力なんて、あんなの私でも信じたくないもん」


マホ「あ、そういえばマホ、あの絶一門はコピーできました!」


咲「……えっ?憑依系は出来ないと思ってたけど」


マホ「ふっふっふ……!なんとですね!」


マホ「松実宥さんの赤い牌収集能力を試行錯誤して、そこに少しだけこちらも試行錯誤した大星さんの配牌操作を加えたら、できちゃいましたーっ!」


マホ「まあ王牌までは無理でしたけど、実戦で使える程度にはなりましたです!」


咲「ちなみにそれは、一度発動したら最後まで続くの?」


マホ「いえ!毎回組み合わせて発動しないとダメです!」


咲「マホちゃん、二重コピー連発できないの忘れてないかな……?」


マホ「それが!メインで使うのは松実宥さんの力で、大星さんの方はオマケ程度ですのでそこまで消費はしないんですー」


マホ「それでも、半荘1回くらいが限度ですけどね」


咲「へぇ~…?」オドロキ


咲「マホちゃん、今は東京来ててあんまり時間取れないからアレだけど、茨城帰ったら一緒に色々と試してみよっか」


マホ「はいです♪打倒、健夜さんですね!」


咲「うん。でも、マホちゃんがあの人に勝つならレパートリーあと7つ位は増やしたいかな」


マホ「うー…そうですねぇ…アイギスに全て無力化されますし…」


マホ「先輩、よくあの人と渡り合えますよねー…凄いと思うです」



咲「あはは…まあ、私の嶺上開花は健夜さんの力と相性良いから」


マホ「でもでも、マホがコピーした先輩の嶺上開花は尽く返り討ちに遭うんですよー?」


咲「マホちゃんの嶺上開花は、コピーっていう大元の能力を経由してるからだよ」


咲「私は、嶺上開花が能力な訳じゃない。ただ、王牌と槓材が見えてそれの組み合わせで嶺上をしてるだけ」


咲「勿論、槓材関係の能力で健夜さんに4枚目を掴ませる事は出来ないよ?だから私、あの人に責任払いさせたの、ここ数年で数回しかないんだから」


マホ「話が別次元すぎて、マホの頭はオーバーヒート中です~…」


マホ「もういっそ、健夜さんの"アレら"もコピーで再現してみましょうか!」


咲「うーん…できそうで、無理かなぁ。攻撃の方も防御の方も、まずあんまり理解ができないから…」


マホ「慣れない頃なんて、マホ気付いたら飛ばされてましたからね~」


マホ「高校生であれだけの実力を持ってたっていうんですから、開いた口が塞がりません」


咲「こればっかりは才能、だね」



咲(麻雀のセンスとポテンシャルは、私達よりもマホちゃんの方が数倍持ってると思うけど…)


咲「あ、そろそろ姫松の紹介に移るね」チラリ



恒子『そしてそして!姫松高校からは、愛宕絹恵選手!中堅で主将である、愛宕洋榎選手の妹さんですねっ』


恒子『ちなみに中学時代、サッカー部だった頃のポジションはキーパーだったそうです!』


健夜『なにその情報……』


健夜『愛宕絹恵選手は、非常にバランスの取れた名門姫松らしい選手です』


健夜『ただ、少々枠に捕らわれ過ぎた打ち方…という感じが拭いきれません』


健夜『果たしてその力が、準決勝という場で通用するのか。期待したいです』



マホ「先輩は、サッカーってやった事ありますか?」


咲「うーん、無いなぁ…」


マホ「そうなんですかー」


咲「あ!囲碁ならあるよ?あと、オセロ!」ドヤッ


マホ「へっ。ど、どうしてその2つなんですか?」


咲「えっ?いや、その……サッカーボールって、白黒のイメージあるから…」


咲「囲碁とオセロも白黒でしょ……?えへへ、なんちゃって/////」テレテレ


マホ「ぅ……」


咲「へへへ…////」


マホ(……な、なんなんですか!?この可愛らし過ぎる生き物は……!?)


マホ(マホ、危うく意識が飛びそうになりました…)


マホ「そ、そうなんですかっ!」


咲「うんっ。あ、それとね~」


マホ(こ、今度はどんな白黒繋がりのゲームを!?)



咲「ふふっ、人生ゲームもやった事あるよ!」フフン


マホ(まさかのボードゲーム繋がり!!)


咲「えへへ、結局サッカー関係あらへんのかーい!ってね/////」


マホ(の、ノリツッコミ……)ズキュン


マホ「せ、先輩……もう勘弁してくださいです…」ハァハァ


咲「へっ?」


マホ「ちょっと、これ以上萌えたらマホ我を失いそうです……」プルプル


咲(えっ、どういう事……!?)



恒子『そして最後!!有珠山高校から、牌のお姉さんの座を狙う若きアイドル!(仮)』


恒子『真屋由暉子選手ですっ!!』


健夜『は、牌のお姉さんを……?』


恒子『らしいよ?ほら、あの改造制服も牌のお姉さん意識らしいし!』


健夜『そうなんだ…確かに、ちょっとはやりちゃんの着てる服っぽいね』


恒子『可愛さに加え、若さまで兼ね備えた期待の新星に、現牌のお姉さんである瑞原プロは何を思うのか!』


健夜『怒られてもしらないよ!?』


恒子『……と、小鍛治プロの顔に書いてあります!』


健夜『責任押し付けないでよ!!』ガ-ン


恒子『冗談はこれくらいにしまして、ついに満を持して登場しました有珠山高校のエースの一人ですね!』


健夜『そうですね…。デジタルだけに、非常に安定した成績を残している彼女ですが、強いのはそこだけではありません』


健夜『一度の対局で1度か2度、それもここぞと言う重要な局面で彼女は大きな手を連続して和了る』


健夜『安定性に爆発的な火力、この両面が備わっている選手はそう多くはないでしょう』


恒子『珍しく小鍛治プロが若くて可愛い子を褒めてますね…』


恒子『小鍛治プロは瑞原政権陥落を望んでいるようです!』


健夜『その話蒸し返すのやめよう!?』






咲「真屋由暉子……」


マホ「確か、左手を使うと高い手を和了れるんでしたかー」


咲「そこが分からないんだよね。どうして、左手を使うだけでリーチから1発ツモできるのか」


マホ「原村和さんのように、元が左利きだからとか……ではないでしょうか?」


咲「うーん…その可能性もあるけど、真屋さんは基本的には右手でリーチを掛けてる」


咲「左手で打てば1発なのに、右手を挟む理由が無くないかな?回数制限がある、とか言われちゃうとそれまでなんだけど…」


マホ「なら、真屋由暉子さんも"そういう能力持ち"という事なんでしょうねー」


マホ「1回の対局で数回、彼女自身がいけると思ったタイミングで左手を使うと、高い手を1発でツモれる能力」


咲「そう考えるのが妥当なのかなぁ…なんだか、単純過ぎて納得がいかないよ」



マホ「それは、先輩の感覚が麻痺してるんですよー」


マホ「先輩は、オカルトの基準が健夜さんやお姉さん、天江衣さんみたいな最上位勢になってるんです」


マホ「だから、久々に見る単純に強い能力を見ると、う~ん?って考えすぎちゃうんですよ!」


咲「マホちゃんが言うならそうなのかな…確かに、最近は異常な能力者ばっかり見てきたから、感覚おかしくなってるのかも」


マホ「そもそも、オカルト持ちなんて全国的に見ても希少なハズなのに、今年のインターハイにはうじゃうじゃ居ますからねー」


マホ「マホの予想的には、インハイ後の世界ジュニアの選手候補でも見定めてるんじゃないかと思うです」


咲「それはありそうかも…」


マホ「先輩も、もしかしたら声を掛けられるかもしれませんよ!」


咲「あはは…世界大会は、遠慮するよ」


マホ「えー!どうしてですかぁー!」


咲「いや…選ばれるとしたら、お姉ちゃんとみなもも候補だろうし…あの2人いたら、私やる事ないかなって」


マホ「ありますよ!先輩が先鋒に立って、決勝まで先輩が全員飛ばして優勝!そしてマホにメッセージを送る!」


マホ「どうですかっ!」キラキラ


咲「いやいや…さすがに恥ずかしいから…」


咲「それに、世界ジュニアって期間長いんだよ?マホちゃんと、結構会えなくなっちゃう」


マホ「やっぱりやめておきましょう!!」キッパリ


咲「掌返すの早いな」


マホ「だってぇ!先輩と離れるなんて、想像しただけで寂しいですっ」ウルウル


咲「うん、私も」ニコ


咲「私が高校卒業するまでは、ずっと一緒だね」


マホ「うぅん……」


咲「え、どうかした??」


マホ「こ、高校もできるだけ留年してください…!!」


咲「無茶言わないで!?」



~対局室~


初美「よろしくですよーっ」


絹恵「に、2回戦でも思ったんやけど、瞬間移動しとらへん……?」


由暉子「か、かっこいい……!!」キラキラ


初美「瞬間移動ではなくて、魂の場所に身体を移動させただけですよー」


タヴァン「オォ!ニッポンのミコさんは、さすがデスね」カンシン


絹恵「いやいや…そんなアホな…」


初美「えへへ、かっこいいですかー!」


由暉子「かっこいいです……っ!」キラキラ











恒子『さあさあ!個性豊かな副将選手たちは、どんな対局を見せてくれるのか!!』


恒子『Bブロック準決勝副将戦……』スゥ


恒子『今、スタートですっ!!!!』



健夜(え、薄墨さんのスルーなの……!?)


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2回戦でのはっちゃんの登場シーンが未だに理解できていません…瞬間移動してましたよね、あれ。

今月中に完結させたいですが、少し厳しいかもです。では、今日はこれでっ

投下間隔空いてしまい申し訳無いですっ
受験が…orz

本編の終わりは見えたので、長野視点を早めに終わらせます。テンポ良く(雑に)なりますが、何卒ですっ

―――ルートみなも―――


【story.5合宿】


~清澄高校・廊下~




久「困った…これは困ったわ……」ウ-ン


久(さーて、どうした物かしらねぇ…)


久「うぅぅぅぅん……」カンガエ



みなも「ねえ、こんな廊下のど真ん中で何やってんの?」



久「おぅ……?あら、みなもじゃない」


久「珍しいわね、部室以外で出会うなんて」


みなも「そーだね」


みなも「それで、なにを廊下のど真ん中で唸りながら考えてたの?」


久「あー……」カンガエ


久「そうね、みなもには言っちゃっても良いかな」


みなも「?」



久「実は、夏休み入ってすぐに合宿しようと考えてたのよね。麻雀部で」


みなも「合宿?」


久「ええ、合宿。ほら、この間の……ほら、アレで、和も随分とやる気に満ち溢れてきたじゃない?」


みなも「あぁ……アレ、ね。」ジロ


久「うっ…アレは本当に悪かったわよ…でも、結果的にいい方向に転んだでしょう?」


みなも「悪い方に転んでたら、完全に壊れてたよ」


みなも「……ま、この話は散々したしもう良いよ。それで?」


久「えっと、なんの話だったかしら……そうそう、和もこれまで以上にやる気だし、合宿を計画していたんだけど」


久「実は、予約する予定だった宿が改装でしばらくお休みになったみたいなのよ」


みなも「ふぅん……」



久「どうしようかしらねぇ…調整も兼ねて、一度合宿はしておきたかったんだけど…」


久「ほら、ここって田舎じゃない?近くに、そうポンポン宿なんて無いから、場所が無いのよ」


みなも「……」


みなも「……」ハァ




みなも「それって、雀卓があってご飯が出て皆が寝れる場所ならどこでも良いわけ?」


久「ん……?ええ、まあ…そうね」


みなも「分かった」


久「へ?」


みなも「なら、わたしの家使えば?」


みなも「一応雀卓もあるし、ご飯も作ってくれると思うし、部屋も空いてるから寝る場所もあるよ」


久「その提案は非常に魅力的だけど……。迷惑じゃないかしら?」


久「ほら、大勢で押しかける事になると思うし」


みなも「問題ないよ。お母さんは毎日のように友達を連れてこいって言ってくるし、お父さんは今仕事で県外だから」


久「そうなの…?」


みなも「うん。別に、他に案を考えてるならそっち採用すれば良いけど」


久「いや……」カンガエ


久「そうね。そう言ってもらえるなら、是非お世話になりたいわ」

みなも「そ。なら詳しい日にちが決まったら教えて。お母さんに伝えとくから」


みなも「それじゃ、もう休み時間終わるしまた放課後ね」スタスタ


久「ちょ、みなも!」


みなも「……なに?」ピタ


久「……」


久「いや、何でもないわ。ありがとう」


みなも「ん…どういたしまして」テクテク







久「……」


久(あれだけ私達を毛嫌いしてたみなもが、ねえ…)


久「……ふふ、楽しくなってきたわ」

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~夏休み・合宿当日、みなも宅~




優希「こ、ここがみなちゃん家か?」ミアゲ


みなも「そうだよ」


まこ「ま、マジか…」


久「合宿に快諾した所を見るに、それなりに大きな家なのかなとは予想してたけど…」


和「立派なお家ですね」


みなも「そ?まあ、普通の家よりは大きいかもね」


優希「のどちゃんのおっぱいくらい大きいじぇー!」


和「ゆ、ゆーき!なんて事言いますかあなたは!」


優希「のどちゃんが怒ったぁー!」キャ-キャ-


久「こらー、外であんまり騒がしくしないの」


まこ「何やっとるんじゃまったく…」ハァ



みなも「まあ、とりあえず上がって」ガチャ


久「ありがとう、お邪魔するわね」


優希「おっじゃまするじぇー!」


和「ゆーき!あなたはもう少し礼儀と言うものをですね…」グチグチ


みなも「そんなの気にしなくて良いって。和、優希に厳しすぎ」


和「いいえ!甘やかしたらダメですっ」


ワイワイ
ヤイヤイ


久「……」ジッ


まこ「……?部長?」


久「あっ、うん、今行くわ」テクテク


久「……」チラ




久(隣の家……そこも、表札が宮永…か)


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みなも母「まあまあ、いらっしゃい!待っていたわ」


久「えっと…」ジ-ッ


久「みなもさんの、お姉さん……ですか?」


みなも「はっ?」


みなも母「まあ!ふふっ、お上手ですね♪」


みなも「……お母さんだよ」


久「えっ!?」


まこ「こ、これが経産婦じゃと……」


優希「冗談抜きに、大学生のお姉さんかと思ったじょ」


和「この母あって、この娘あり……と言った所でしょうか」


みなも母「やだ、みなもっ。お母さん、凄い褒められてる!」テレテレ


みなも「はいはい…良かったねお母さん」



みなも母「みなも冷たい……。久しぶりにお友達連れてきたから、照れてるの?」


みなも「そんなんじゃ……!!もう、良いでしょ!早く行ってよ!」グイグイ


みなも母「もう、イジワルね……それじゃあ、私は色々とお買い物してくるから、何かあったら電話してね?」


みなも「分かってるって」


久「すみません、お手数お掛けします」ペコリ


みなも母「いいのよっ!皆、自分の家だと思ってくつろいでてね♪」


みなも母「それじゃあ、行ってきます!」ガチャ


みなも「はいはい、行ってらっしゃい」


和「行ってらっしゃいませ」


優希(のどちゃん適応早いじぇ!?)


みなも「……もう、お母さんってば」ハァ


和「優しいお母さんですね」


優希「綺麗で可愛くて優しい!最高のお母さんだな!」


みなも「やめてよ。あんまり褒めると調子に乗るんだから…」



みなも「それじゃ、部屋は2階だから付いてきて」スタスタ


優希「みなちゃんに案内されるとは、中々に新鮮だな!」


みなも「優希、喧嘩売ってるのかな?」


優希「じょ、じょーく!タコスじょーくだじぇ!」アセアセ


久「にしても、本当に広いお家ね……」カンシン


久「みなもなんて、家の中で迷子になるんじゃないかしら?」


みなも「自分家で迷子になる訳がないじゃん…」ジト-


久「冗談よ。その、『なんだこいつ、馬鹿なの?』みたいな視線、やめてちょうだい?」


みなも「なんだこいつ、馬鹿なの?」


久「言葉にしろとは言ってないわよ!?」


和「頭は良いですが、たまに……」


久「和は答えなくて良いから!てか、たまに馬鹿って思われてたの!?」ガ-ン



優希「まあまあ部長!元気出すじぇ!」


久「優希になぐさめられた…」


まこ「……」クス


まこ(みなもも、随分とワシらに打ち解けてくれたのぉ)


みなも「っと、ここがわたしの部屋」


ガチャ



~みなもの部屋~





みなも「雀卓とかネトマ用のパソコンとかはここに用意したから、麻雀打つ時はこの部屋ね」


優希「部屋も広い!!」ワ-イ


久「悪いわね。手間だったでしょう?」


みなも「別に、気にしなくて良いって」


和「ふむ……宮永さん、意外と人形が好きなんですか」


みなも「えっ?」


まこ「ベッドの上に大量に置いてあるのう」


優希「可愛い趣味してるじぇ!」


みなも「……気にしないで。ほんと」フイッ


みなも「……!!」ハッ



みなも「……一先ず、荷物はこの部屋に適当に置いて良いよ」スタスタ


優希「あいあいさー!」


まこ「死語じゃぞ、それ……」



みなも「……」つパタン(写真)




和(写真……?)


久「……」


みなも「ああ、そうそう」


みなも「この中に、寝るとき布団ダメだって人いる?」



みなも「隣の客室に、布団が人数分敷いてあるけど、ダメな人はわたしのベッド使っていいよ」


優希「私は平気だじぇ!」


まこ「わしは家でも布団じゃけえ、平気じゃ」


久「私も、大丈夫よ」


和(宮永さんのベッドですか…)


みなも「和は?」


和「あっ…えっと、はい。平気です」


みなも「なら良かった。トイレは廊下の奥、隣に水面台あるから自由に行ってね」


みなも「わたしからはこんな所。後の合宿の進行は久に任せるよ」


久「OK。ありがとう、みなも」



久「えーっと、じゃあ今から合宿を始める訳だけど…」



久「今回の合宿、有意義なものにしましょう。目標は、全国よ」


和「はい」


優希「合点承知だじぇ!」


まこ「やるからには、のお」


みなも「……」コク


久「それじゃ、早速特打開始よ!」


「「「おーっ!!」」」





みなも「……」フゥ


みなも「……」



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【story5.5合宿②】



和「ロン、8000」ボ-


みなも「!!……はい」ジャラ


久(これは…)


和「ふぅ……」


優希「のどちゃん、その家から持ってきたっていうペンギンのぬいぐるみ抱いてから強すぎだじょ」


和「落ち着いて打てる様になったとは思いますが…それだけで強くなるなんて」


和「そんなオカルト、ありえません」


みなも「うん。別に、今は和はオカルトを信じなくていいよ」


みなも「どの道、そのペンギンは大会でも抱いててもらうから」


久「そうね」コクリ


和「そんな!?そ、それはさすがに恥ずかしいのですが…!!」


みなも「打ってれば慣れるでしょ」


久「キャラ付けもできて、一石二鳥だしね」


和「ふ、2人とも!本気で言ってるんですか!というかキャラ付け!?」


まこ(鬼畜じゃのう…)


みなも「だって、その変なペンギン持って打つと実際にリラックス出来てるんでしょ?」


和「変ではありません、エトペンです!」


みなも「えと変?」


和「エ・ト・ペ・ン!」


みなも「どうでもいいんだけどさ。どうなの?打ち方については、変わってきたんでしょ?」


和「それは……まあ、そうなんですけれど」


みなも「それがつまり、和の力を底上げする方法だって言ってるの」


みなも「強くなれる方法、みすみす逃すってこと?」


和「うっ……そ、それは…」タジ


みなも「……」


和「……はぁ、敵いませんね宮永さんには」トホホ


久(扱い上手くなったわねぇ…)


和「分かりました。では、これからはエトペンを抱いての対局に慣れます」


みなも「ん。偉いよ、和」ニコ


和「あ、ありがとうございます……っ」テレテレ


優希「うーん…なんだかみなちゃん、のどちゃんに優しい気がするじぇ」


優希「ちょっと羨ましいな…」


みなも「ああ、そうだ優希。そこの冷蔵庫にタコス入ってるから好きなだけ食べていいよ」


優希「私にも優しかったじぇ!みなちゃん愛してる!」キャ-


みなも「ん」


まこ(ちょろすぎじゃあ……)


和「果たしてタコスで買える愛に意味があるのでしょうか…」


久「いや、そんな真剣に考える事でもないでしょう」アキレ


久「そうそう和。あなたは追加で、ツモ切りの動作を意識して練習してくれるかしら?」


和「ツモ切り……ですか?」


久「和は、ネット麻雀では圧倒的な戦績を叩き出しているわね」


久「ネットでできる事がリアルで出来ないハズはない…でも現実には、半分の力も出ていないように感じるわ」


久「和にとって、リアルの牌の動作を機会的にこなす事は最重要項目。少しでも、ネット麻雀の感覚をリアルと結びつけるためにね」


和「そんな事が可能なのでしょうか…」


みなも「違うよ和。不可能なら、可能にするだけ」


みなも「……やれるよね」


和「……」


和「……」クス

和「やってみせます」グッ


みなも「ん」


久「みなも、他になにかあるかしら?」


みなも「無い。後は、各自が自分のプレイスタイルをどこまで極められるか」


和「なんだか、宮永さんにそこまで言い切られてしまうと本当にそんな気がしてきますね…」


久「さて、これで話は終了よ。それじゃ、特打を再開しましょうか」




みなも("のどっち"……ねぇ)


みなも(オカルト否定は、果たしてどっちに転ぶか)フム


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~夜・休憩~


優希「ごっちそうさまだじぇー!」


まこ「ご馳走さんじゃ。いやぁ、料理も上手いとはのう…」


久「本当にね。夜ご飯までありがとうございます。とても美味しかったです」


みなも母「ふふ、お粗末様でした!お口に合って良かったわ」ニコ


和「ご馳走様でした。あの、洗い物は私にやらせてください」


みなも母「えっ?そんな、気にしなくて良いのよ?」


和「いえ。お世話になっているのですから、それ位はやらなければ気が済まないんです」


みなも母「でも、悪いわ?そんなの……」


みなも「お母さん無駄だよ。和、1回やるって決めたら意地でも曲げないからね」


みなも母「……なら、そうね。お願いしちゃおうかしら?」


和「はいっ!お任せ下さい」



まこ「なら、わしも手伝うわ」


優希「私もやるじぇー!一宿一飯の恩だからな!」


久「あら、よくそんな難しい言葉知ってたわね優希」


優希「部長失礼だな!?」


久「そうと決まれば、私も手伝うわね」


みなも母「あらあら、皆いい子ね♪」フフ


優希「わわっ、あっぶない…お皿落とす所だったじぇ」


和「お皿を洗う時は下の方で洗うんです。そうすれば、落としても割れにくいですからね」


優希「おお……さすがのどちゃん。伊達に、将来の夢に素敵なお嫁さんと書いてないじぇ」


和「いつの話ですかっ!/////」


みなも「……」





『お皿洗いはね、なるべく下の方でお皿を持って洗うんだよ!』

『そうなの……?』

『うん!こうすれば、落としちゃっても割れる可能性が低いでしょ?』

『確かに……咲、よく知ってるね!』

『ふふんっ!でしょでしょ?私、よくおかーさんのお手伝いしてるからねっ』

『へぇ…偉いね、咲』ナデナデ

『わわっ、み、みなも!手に泡付いたまんまだってばー!』

『あ、ご、ごめん!すぐ拭くねっ!』アセアセ

『あー!アワアワなまま色々触ったら泡だらけになっちゃうってばー!』

『そ、そうだった…あう、でも、咲の頭の泡がぁ!』

『お姉ちゃん助けてぇ~!タオル持って助けに来てぇ~!』

『何やってるの2人とも……そんな大きな声で騒いでたら聞こえてるって。ほら、タオル』

『ちょ、お姉ちゃん!みなもに渡したらダメだってば!』

『あ……』

『このタオルにも泡付いちゃった』

『もぉぉー!』プンプン





みなも「……」グッ



和「宮永さん……?どうかしましたか…?」



みなも「!!」ハッ


みなも「な、何でもない。私、ちょっと部屋に戻るね」スタスタ


和(宮永さん……)


優希「のどちゃん!ボーっとしてる暇があったら手を動かすんだじぇ!」


和「あ、はいっ!すみませんっ」ゴシゴシ


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~みなも部屋~


みなも「……」コト


みなも「……」つ写真


みなも「………」ジワ



みなも「……咲…」ギュ


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~数分後~



コンコン


和「失礼します、宮永さん……?」ガチャ


和「お風呂という事ですが、順番は…」


和「……ぁ…」


みなも「…ん……」スゥスゥ


和(危ない。起こしてしまう所でした…)テクテク


和「……」ジ-


みなも「…んぅ……」スヤスヤ


和「……」クス

和(眠っていると、まるで人形のように見えますね…)


和(っと、夏とはいえノースリーブ1枚では風邪を引いてしまいますか)キョロキョロ


和「毛布でいいでしょうか」


和「……ん?」チラリ


みなも「……」ス-


和(胸に抱いているのは…写真……?)


和(そういえば、先ほど伏せていた…)

和「……」




和「……」スッ





和「……これで良いですかね」つ毛布掛け

和「それでは、お風呂の時間になったら起こしにきます」ナデナデ


みなも「…んん……」ス-ス-


和「その写真に写っているであろう方。その内、私にも紹介してくださいね」ニコリ

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~リビング~



和「ただ今戻りました」テクテク


久「あら、みなもは?」


和「眠ってしまっていたので、毛布だけ掛けて戻ってきました」


和(本音を言ってしまうと、写真に写っていたであろう"咲さん"を見たかったですけど…)


和(出来ませんね、それは)クス


みなも母「あらら、そうなの。ごめんなさいね、起してくるわ?」スッ


久「あ、大丈夫です!みなもには色々と負担を掛けてしまいましたし、今は休ませてあげてください」


まこ「そうじゃね」


優希「居眠りなんて、みなちゃんも可愛い所あるじぇ」フフ


みなも母「あの子ったらもう…。それじゃあ、みなもの事は気にせず先にお風呂に入って?」


久「有難うございます、お言葉に甘えます」



和「私は最後で良いですので、皆はお先にどうぞ」


優希「いいのか?のどちゃん?」


和「はい。少し、牌譜も見直したいので」


久「なら、私は和の前で良いわ」


まこ「ほんなら、ワシはその前じゃね」


優希「おおう…先輩達を差し置いて先に入るのは、さすがの私も申し訳ないじぇ」


優希「でも、こんな事言ってたら入る順番が決まらなくなりそうだから、ありがたく私が一番を貰うな!」


久「さすが優希。分かってるわね」


みなも母「ふふっ、仲が良いのね」クスクス


みなも母「じゃあ、お風呂はこっちよ。付いてきて?」


優希「はーい!」テクテク


久「さあて、それじゃあ私達は交代で牌譜の気になった点を出していきましょうか」


和「分かりました」


まこ「了解じゃ」


久「じゃあさっそく私から。優希の南場についてなんだけど……――――――」


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~おふろ!~

カポーン




和「……ふぅ…」チャプ


和「こんなに大きなお風呂なら、何人か同時に入った方が良かったかもしれませんね…」ノビ-


和「それにしても、宮永さんが自ら自宅を使おうと提案するなんて…」

和「多少は、仲良くなれてきたという事でしょうか」フフッ


和「……」チャプチャプ


ガラララララララ


和「!?」ビクッ

みなも「和~、入るよ~」ペタペタ


和「なっ……!?み、宮永さん!?/////」カァ


みなも「さっきは悪かったね。呼びに来てくれたらしいのに、寝ちゃってて」



和「そ、そんな事よりも少しは隠すとかしてくださいっ/////目のやり場に困りますっ!」


みなも「別に、気にする事じゃなくない?」


和「き、気になりますよ!!/////」


みなも「変な和……。」


みなも「ていうか、そんな大っきいメロンぶら下げてる和の方が、目のやり場に困るし」


みなも「いや、逆に視線が吸い寄せられるよ」ジロジロ


和「ど、どこ見て言ってますか!!/////」ザプン


みなも「ちょっとだけ触ってみて良い?」ワキワキ


和「へっ!?い、嫌ですよ!!」バッ


みなも「まあまあ。減るもんじゃないし、ね?」ジリジリ


和「減ります!何か大切な物を失う気が……って、ちょっ、宮永さん待っ……!!」




和「ひゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



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~おふろしゅーりょー~



久「それで、ほっぺたに紅葉が咲いたと」


みなも「なにも、ビンタすること無いのに…」イタイ


みなも(和の、昔咲と触りあっこしてた時の感触とは別物だったなぁ…)


和「叩いてしまったのは反省していますが、さすがに突然過ぎなんですっ!/////」プンプン


優希「ほほぉ?それはつまり、突然じゃなければいいと!」ニヤリ


和「ち、違いますっ!!ゆーき、変な言葉刈りはやめて下さい!」プンスコ


まこ(満更でも無さそうじゃけどのぉ)クスクス


久「はーい。一旦注目してくれるかしら」パンパン


久「これから、就寝時間まではさっき牌譜を見ながら話し合った課題を意識しながら特打をします」


みなも「え、徹夜じゃないんだ」


久「はっ…?」


まこ「て、徹夜じゃと…?」


みなも「いや…昔は、よく徹夜で麻雀打ったりしてたから」



優希「み、みなちゃんが打ってたのって小学生の頃なんだよな…?」


和「とんでもないですね」


みなも「そうかな」


久「ほらほら!話を戻すわよー」


久「徹夜は、お肌に悪いからやめて置くわ。それにみなもはまだしも、そんなに集中力が続く気がしないしね」


みなも「それもそうか」


久「という訳で、各自、自分の課題を意識して対局するのと同時に、自分以外の子が良くなっているか見ながら打ってちょうだい」


優希「合点承知だじぇ!」


和「分かりました」


久「あぁ、始める前に和はみなもにネット麻雀の打ち方を教えてあげてくれるかしら?」


みなも「えー、ほんとにやるの」


和「勿論良いですが…どうしてネット麻雀を?」


久「正直、リアルの麻雀に関してはみなもは完璧と言っていいほどなのよね」


久「全ての牌がみなもの味方をしている様な、そんな感じ」


和「そんなオカルトありえませんよ…」


久「そう、それは普通じゃないのよ」


久「だから、みなもには"普通の麻雀"を打ってみて欲しいの」


和「よく理解できませんが…分かりました」


みなも「えぇ…」


和「ほら、私がやり方を教えてあげますから」フンス


みなも「なんか和の方がやる気満々だし……」


みなも「はぁ。分かったよ、やればいいんでしょ、やれば」マッタク


久「よし。それじゃ、頑張りましょう!」


みなも(ネット麻雀ねぇ……)





みなも(やった事ないけど、楽勝でしょ)


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~特打終了、就寝後~




みなも「ま、まさか1回も勝てないまま終わるとは」ゲッソリ


みなも「絶対誰かがチート使ってるよ。ズルだよズル。うん、そう思うことにしよう」


みなも「……ていうか、いつの間にか皆寝に行ってるし。集中し過ぎて気付かなかったよ」


みなも「……まあいいや。わたしも寝よ」


みなも「……」チラ

みなも「…」


みなも「……」スッつ写真


ガチャ


みなも「……」スタスタ


バタン



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【story,5.5③姉妹】

~みなも宅・ベランダ~



みなも「咲、今日はね?部活の……チームメイトと、泊まりで合宿したんだ」つ写真

みなも「え?別に、友達なんかじゃ……。私には、咲さえ居てくれたらそれでいいんだから」

みなも「……」フゥ


みなも「ねえ、咲?」

みなも「咲は今、どこで何してる?」

みなも「本当に、このまま麻雀を続けてたら咲に会えるのかな…」

みなも「咲……」ギュゥ



「宮永さん……?」




みなも「っっ」ビクッ


みなも「……和?」



和「はい。ネトマ、終わったんですね。宮永さんも寝付けないんですか?」


みなも「……まあ、そんな所」


みなも「あ、和もしかして本当は布団じゃ寝付けないタイプだった?」


和「いえ、そんな。ただ眠れなかっただけですよ」クス


みなも「そっか」クス

和「はいっ」


和「……あ、その写真…」


みなも「…あぁ…見る?」


和「えっ?」

和「い、良いんですか…?隠していた物では…」


みなも「良いよ、和は特別」クス

みなも「ん」つ写真



和「では…失礼します」受け取り

みなも「子供の頃……わたしがまだ小学生の頃の写真だけどね」



和「へえ……」つ写真


和「3人、女の子が映っていますね」


みなも「うん。真ん中がわたしね。まあ髪の色で分かるだろうけど」


和「なんだか不安そうな表情してますね…」

みなも「あぁ。なんか、その時はわざわざ写真屋さんに撮ってもらってね」


みなも「絶賛人見知り発動中なんだよ」


和「ふふっ、こんな表情の宮永さんは新鮮ですね」

和「……それで、宮永さんがしがみついているおさげの女の子が…?」


みなも「うん。その子が、咲」


和「この方が咲さん、ですか…」

和「あれ……?待ってください。このもう一人の女の子、どこかで…」


みなも「宮永照。……照お姉ちゃんだよ」


和「やっぱり……。高校生チャンプ、宮永照」

みなも「そう。そして…」



みなも「わたしと咲の……、宮永咲のお姉ちゃん」


和「なっ……!?」


和「で、では…宮永さんは、三姉妹……」

和「咲さんと宮永照さんは、宮永さんの姉妹だったんですか…?」



みなも「ううん、血も繋がってない。苗字はたまたま同じだっただけ…」


みなも「でも2人が私を…姉妹に入れてくれたんだ」


和「……仲が良いんですね」クス



みなも「……うん。仲は凄く良かった」

みなも「きっと、本当の姉妹以上に」


みなも「今でも…わたしは、咲のことが好きなくらいね」

和「……」


和「宮永さんは、怖いんですか…?咲さんと、会うのが」


みなも「怖いよ」

みなも「恨まれてたら、憎まれてたら、嫌われてたら」


みなも「そう考えると、すっごく怖い。……私が撒いた種で、こんな事になってるのにね」


和「……過去に…何が……?」


みなも「悪いけど、それは教えたくない。」

みなも「和を信用してない訳じゃないよ?ただ、話をしても理解が出来ないと思うから」


みなも「特に、和はね」


和「そんな事は…」


みなも「あんなに咲の事が大好きだった当時のわたしですら、理解できなかった」

みなも「ううん、理解してあげようとすらしなかった」


みなも「実際に体験したわたしですら、これなの。和は絶対に、理解できない」

みなも「そして今の私はきっと、理解できない和を許容する事が出来ない」


みなも「だから、話せない。ごめんね?」


和「……分かりました」

和「ですが、一つだけ言わせてください」


みなも「ん……?」


和「宮永さんが言うのなら、きっとそれは私には理解の及ばない話なのだと思います」

和「けれど…」



和「私は、宮永さんの話す言葉は全て理解したいと思っています」


和「宮永さんを、何があっても信じます。……その事だけ、知っていてください」ニコ


みなも「和……」


和「それと、咲さんと会うことを怖がる必要なんてないと思います」


みなも「それは……どうかな…」


和「宮永さんの知る咲さんは、宮永さんに対して一方的に憎悪を抱くような方でしたか?」


みなも「そんな事ない!そんな事ないけど…」


和「咲さんを、信じてあげてください。」

和「自分に会うために麻雀をしてきた宮永さんに、何も思わないハズが無いじゃないですか」


みなも「そうかな…」



和「では、賭けましょうか」


みなも「賭け……?」


和「いえ、賭けとは少し違いますかね。」


和「もしも、咲さんと再会した時にあちらも麻雀を続けて、宮永さんの事を思い続けていたら」


和「私を一番に咲さんへ紹介してください」クス


みなも「は、はぁ!?」



和「こんな愛らしい子が高校生へ成長したら、さぞ可愛らしい人になっているでしょうから」


和「是非ともお近付きに」


みなも「ふんっ!!」ゲシッ


和「痛いです!?」アウ

和「な、何をするんですかぁ!」シクシク


みなも「咲を変な目で見るな!!この節操無し淫乱ピンクおっぱいオバケ!!」


和「そこまで言う事無いじゃないですか!!ちょっとした冗談ですよっ!」



みなも「だいたい、咲は和みたいな巨大おっぱいは好きじゃないんだから!!」


みなも「昔、テレビで大きいおもちは撲滅すべきだよねって話してたし!」


和「しょ、小学生の癖にませていますね…」


和「あ、でも私が奈良にいた時の友達にずっと"おもちおもち"と言っていた人がいましたっけ…」


みなも「なにそれ気持ち悪い……」ヒキッ


みなも「昔の和の友達ねぇ……。少し興味が湧いてきたよ」


和「あ、聞きますか?山を1人で駆け回っていた人の話とかありますけど」


みなも「あははっ、なにそれ?」ケラケラ


みなも「どうせ眠くないし、聞かせてよ」


和「ふふっ、分かりました」クスクス



和「そうですね…私が彼女達と知り合ったのは、子供麻雀クラブだったんですが…_______________」

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~合宿終了~



「「「2日間、お世話になりました!!」」」


みなも母「こちらこそ、ありがとう!娘が増えたみたいで、楽しかったわ」ニコッ


みなも母「またいつでも遊びに来てね」


久「はい。本当にありがとうございました!」


優希「楽しかったじぇ!」


みなも母「うぅ…なんだか寂しいわ?あと1週間くらい泊まっていったらどうかしら……」


和「お言葉はとても嬉しいですけど…」


みなも「もう、お母さんってば!あんまり困らせる様なこと言わないでよ」


みなも母「だってぇ、寂しいんだもん」


みなも「もんって……」ハァ


みなも「みんな、お母さんの事は気にしなくていいから」


まこ「みなもも、ありがとうな」

久「そうね。この合宿ができたのも、みなものお陰よ」


みなも「……そうだね」

みなも「この恩は、結果にして返して貰おうかな」


優希「おおっ!?なんだかいつもと違う感じだじぇ!」


みなも「という訳でわたし、予選までの数日間部活休むから」

和「へっ!?」



みなも「だから皆は、皆の出来ることをしてて。予選の日、楽しみにしてるからね」


久「……分かったわ。みなもも、最低限牌には触って勘だけは無くさないようにね」


和「ぶ、部長!?良いんですか」


久「いいのよ。何か考えがあっての事でしょう」


みなも「なに和。そんなにわたしに会えないのが寂しい?」クス


和「そ、そんな事はありませんよ!!///」


和「分かりました!ですが、寝る前にメールをする事!良いですね!」


みなも「はいはい、分かった分かった」クス


まこ(恋人かいな……)


久「それじゃあ、私たちはそろそろ」


みなも母「ええ。名残惜しいけれど……。気を付けて帰ってね?」


みなも「じゃーね。お疲れ」フリフリ


優希「またな!みなちゃん!」


和「連絡!忘れないこと!」


みなも「分かってるってば…」


まこ「ほんじゃあ、また予選の日にな」


久「お疲れ様、またね」フリフリ

…………
………………
……………………



みなも母「あぁ、帰ってしまった…」ザンネン


みなも「……お母さん」


みなも母「なあに?ていうかみなも、部活休むなんて、良いの?」


みなも「それは良いってば」


みなも「その代わりさ、昔見てた対局のビデオ…全部出してくれないかな」

みなも「それと、多分予選の日まで部屋に閉じこもると思う」


みなも母「……」


みなも母「……ふふっ」クスクス


みなも「な、なに……?」


みなも母「いーえ、何も♪ただ、昔咲ちゃんが私に言った言葉を思い出して、当たってるな~って思っただけよ」


みなも「咲がお母さんに言った……?」



みなも母「えぇ。みなもは部屋に篭ってたから知らないでしょうけど、咲ちゃんが引っ越して行く、ちょうどその日に私の所に来てね?」






咲『あの…』

みなも母『あら、咲ちゃん。…みなもを呼びましょうか?』

咲『……』フリフリ

咲『その代わり……その、いつかで良いんです。』

咲『みなもに、伝えられるタイミングで良いですから…』

咲『私の為にありがとう。ごめんね、無理はしないでねって、伝えて、ください』

みなも母『咲ちゃん…』

咲『その、何となく…感じるんです。きっといつか、みなもは私を探してくれる……ううん、私の願望かも、ですね…』

咲『だから、"またいつか"って……』グス


咲『ごめんなさい、失礼しますっ……』タッタッタ




みなも母「ってね」


みなも「そんな…ど、どうしてその事をもっと早く!」


みなも母「だって、伝えるタイミングって今じゃない?」


みなも母「咲ちゃんの為に麻雀、やるのよね」


みなも「……うん」


みなも母「咲ちゃんの願い、叶えてあげてね」


みなも「……うんっ…」グス



みなも(咲……どうして…?咲は私のこと……)


『それと、咲さんと会うことを怖がる必要なんてないと思います』

『宮永さんの知る咲さんは、宮永さんに対して一方的に憎悪を抱くような方でしたか?』



みなも(本当に……?わたし、少しは期待しても…)




みなも「咲……」

みなも「待ってて……すぐ、見つけ出すから…」ポツリ



【合宿、カン】

合宿編長すぎですね…だらだら書いていたら、こんなになっていました…
これからの、予選→全国→再会の流れはテンポ良くいきたいです…。
本編は書き貯めが終わっているので、あとは長野視点終了までお付き合いくださいっ

~副将戦、決着~



初美『カンですよー』つ北


由暉子(暗槓…そういえば、2回戦でもしていましたが…)


絹恵(前回も思ったけど、暗槓もありなんずっこ過ぎやろ!!)


タヴァン(やはリ、ニッポンの高校生は侮れまセンね)






マホ「暗槓……」


咲「当然、あるよね」


咲「更に、その嶺上牌は……」





初美『もう一つ、カンですよー』つ西




恒子『な、なんとなんと!永水女子、薄墨初美選手!!二連続カンから小四喜を聴牌!!』


恒子『二連続カンだけでも珍しいというのに、これは凄い!!』



健夜『残りの素材は、南一枚のみ……そして、他家は南を誰も持っていません』


恒子『それはつまり……』


健夜『やはり、何にも縛られる事の無い彼女はとても強いです』




咲(有珠山への直撃じゃ無かっただけ、姫松と有珠山は助かったね)




初美『ツモ!8000.16000ですよー!』



恒子『決まったぁぁぁぁ!!!薄墨初美選手の十八番とも言える役、小四喜炸裂です!!』


健夜『他校はなんとか止めたかった場面でしたが、配牌やツモに恵まれませんでしたね…』


健夜『和了るべくして和了った、そんな役満でした』



由暉子(やっぱり強い……)チラ

点数・21000



由暉子(けれど…どんなに強くても、ここで終わる訳にはいかない……)


由暉子(私をこんな素敵なステージに立たせてくれた先輩達に恩返しをするためにも…っ!!)ゴゴ



由暉子(先輩達が繋いでくれた今、なんとしてでも、大将へ繋げる)ゴゴゴ



由暉子「……失礼、左手を使ってもよろしいでしょうか?」



初美「どうぞですよー(来ましたねー?)」

絹恵「どうぞ(踏ん張り所やで!)」

タヴァン「ドウゾ(2回戦でも見せたアレですカ)」


由暉子「ありがとう、ございます」コォォォォォォ







咲「!!」ピク


マホ「後半南3局、やっと来ましたねー」


咲「……」ジッ


マホ「……先輩??」


咲「2回戦の時と、ケタが違う……」


マホ「えっ?」



咲「インターハイ……」


咲「想いの力、か」



初美(こ、これはちょっとまずいですよー)タラ


タヴァン(決闘に持ち込めるほど柔な力ではありまセンね)ゾク


絹恵(この副将戦は、譲ったるわ…)



由暉子「ツモ……ッ!!」ゴゴゴゴゴ


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~観戦室~


観客「……」


観客「……」


シーン



咲「終局、だね」

マホ「……驚きました」




恒子『し……』




恒子『試合、終了ぉぉぉぉぉぉ!!!』




由暉子『ありがとうございました』

初美『ふぅ…最後はしてやられましたよー。お疲れさまですー』

タヴァン『おつかれサマでした。悔いは、ありまセン』

絹恵『お疲れさまでしたぁ!!』グスン



恒子『こ、この結果を誰が予想できたでしょうか!?』

恒子『有珠山高校、真屋由暉子選手!!倍満からの、数え役満で副将戦に終止符を打ちました!!!』

恒子『結果として、有珠山高校はあの点差から巻き返し、姫松高校を捲っての3位浮上です!!』


健夜『……見事。この一言に尽きますね』


健夜『最後の和了りは、彼女だけではなく有珠山高校の和了り…と言った所でしょうか』


健夜『Aブロックでも感じた事ですが、やはり、インターハイは面白い』


恒子『有珠山高校、真屋由暉子選手によって大きく点数が動いた副将戦でしたが、依然としてトップは臨海女子!!』


恒子『しかし、徐々に2位永水女子との点差は詰まってきています!!』


恒子『そして3位に浮上した有珠山高校!!初出場にして決勝進出への道が見えてきました!』


恒子『最下位に転落してしまった姫松高校ですが、まだまだ勝負の行方は分かりません!!』


健夜『そうですね。最後まで何があるか分からないのがインターハイですから』


健夜『泣いても笑っても、次の大将戦で全てが決まる。各校の大将の選手には、是非悔いのない対局をして欲しいです』


恒子『大将戦開始は15分後!!』


恒子『お前らぁぁぁぁぁ!!絶対に見逃すなぁぁ!!』


咲「さて…」スッ


マホ「先輩?どこへ行くんですかー?」


咲「先にホテル、帰ってるよ」


マホ「えっ?大将戦、見ていかないんですか??」


咲「…うん」


咲「なんだか私、ここに居たらいけない気がするんだ」


マホ「……」


マホ「…分かりました!なら、マホも先輩とホテル戻りますっ!」


咲「え?マホちゃんはここで見てても……」


マホ「むーっ…」ジト-


咲「……!」


咲「……」クス


咲「そうだね。それじゃ、一緒に戻ろっか?」


マホ「はいですっ!」ギュッ


マホ「あ、コンビニで甘い物買って行きましょー!」


咲「じゃあ、私プリンにしよっかな」


マホ「マホはメロンパンがいいですー♪」


咲「ふふっ、好きだねメロンパン」クス


マホ「先輩の次に好きですから!」


咲「えへへ、照れるな」


マホ「メロンパン~♪」


咲「……」


咲「ねえ、マホちゃん?」


マホ「大丈夫ですよ、宮永先輩っ」


咲「へ……?」


マホ「先輩の事は、分かっているつもりですっ」


マホ「その辺全部引っ括めて、マホは先輩が大好きですから」ニコ


マホ「マホはどんな先輩でも、ずっと隣にいます」


咲「……そか」


マホ「はいっ♪」


咲「…ありがと、大好き」


マホ「えへへ、マホの方が好きですよ~♪」


マホ「っと、早くコンビニ行きましょー!」


マホ「メロンパンがマホを呼んでいますっ!」つ手


咲「……うんっ」ギュ





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【終章・大将戦】



恒子『さあさあさあ!!副将戦も終わり、いよいよBブロック準決勝、大・将・戦!!』


恒子『泣いても笑っても、準決勝の戦いはこれで最後!!!!』


恒子『そんな大将戦を勝ち抜き、決勝戦へ進出するのはどの2校なのか!!』


恒子『目が離せませんね、小鍛治プロ!!』


健夜『はい。順当に行けば、臨海女子以外の3校で残りの1枠を争う事になると思いますが…』


健夜『これはインターハイ。どんな事があるかは分かりません』


健夜『何度も言っていますが、勝っても負けても悔いの残らないよう』


健夜『全力で、対局に臨んで欲しいですね』



恒子『そんなBブロック準決勝大将戦、始めに紹介しますのは、姫松高校!』


恒子『大将は、末原恭子選手です!!』


恒子『末原選手は、予選や1、2回戦ではとても安定した堅実な打ち方を見せていますね!』


健夜『想定外の事態に陥っても瞬時に対応を考える力は、この全国でも群を抜いていますね』


健夜『それと、彼女はどんな選手と対局をしても、勝ち筋からではなく負け筋から考えている様に思えます』


恒子『それっていい事なの?悪いことなの?』


健夜『時と場合によりますね…。しかし、その考えが彼女の安定した戦績に繋がっているとも捉えられます』


健夜『強者揃いの大将卓で、彼女がどのような打ち方を魅せるのか、期待したいです』


恒子『ふぅむ……』


恒子『では、あのイメチェンにはどんな意味が?』


健夜『それは知らないかな…』


恒子『解説失格ですね!!』


健夜『えぇ!?そんな、どうして髪型変えたのかなんて解説の仕様がないよぉ!!』


健夜『気分だよっ!!』


恒子『はいっ!では、続いて~』


健夜『言わせるだけ言わせといてスルーはアナウンサーとしてどうなの…』ズ-ン


恒子『有珠山高校からは、恰好いい名前ですね!獅子原爽選手ですっ!』


健夜『ん、やっぱり減ってる……』


恒子『ほえ?何か言った??』


健夜『あ、いや。なんでもないよ』


恒子『ついに、ダブルエースの内のもう1人!獅子原選手の登場ですね!』


健夜『はい。副将の真屋選手が素晴らしい闘牌を見せてくれたので、獅子原選手にも注目が集まっているでしょうね』


健夜『獅子原選手は、状況によってプレイスタイルが変わる選手です』


健夜『そして、中には爆発すれば負けが勝ちに変わる様な物まであります。間違いなく、この大将戦の鍵を握っていると言っても過言ではないでしょう』


恒子『どうしてか、瑞原プロが一番対局したくないと発言した高校が有珠山高校で、その中でも獅子原選手とは特に打ちたくないと言ったとかなんとか!』


健夜『そうなんだ?まあ、確かに私もあんまり対局したくないかも……』アハハ


恒子『その心は?』


健夜『そ、それはヒミツ……!!』


恒子『非常に気になりますが…まあ良いでしょう!』



恒子『続きまして、永水女子から!』


恒子『視聴者が選ぶ甘えたい選手ナンバーワン、石戸霞選手ですっ!!!』


健夜『あ、甘えたい……?』


恒子『この永水女子高校ですが、先鋒の神代選手は九蓮宝燈、副将の薄墨選手は小四喜』


恒子『そして、大将の石戸選手は緑一色と得意の役満を持っている選手が3人もいます!!巫女さんパワーでしょうか…』


健夜『得意のっていう言い方はどうかな…まあでも、確かにその役が出る確率は高いですね…』


健夜『永水女子といえばやはり神代選手が注目されがちですが、この石戸選手も神代選手に劣らない力を秘めています』


健夜『恒子ちゃんが言った巫女さんパワーというのも、あながち間違いでは無いかもしれませんね』


恒子『おおっ!?す、すこやんが私のボケを……っ!』


健夜『正直、神代選手や石戸選手の打ち筋ををまともに理解するのは、私でも困難ですから…』


健夜『しかし、強力な事には間違いありません。中盤から終盤にかけては、この石戸選手がゲームの鍵になってくるでしょう』


恒子『小鍛治プロにも理解の及ばない事ってあるんだね…』ビックリ


健夜『それは勿論。でも、だからこそ面白い競技だと思っています。麻雀というのは』クス


恒子『そうですねっ!ほんとうに、その通りですっ!』



恒子『では最後の選手紹介です!!』


恒子『予選、1、2回戦、そして準決勝の副将戦まで。全ての対局を、安定した戦績で突破してきました!!』


恒子『臨海女子高校から、最後の留学生選手!ネリー・ヴィルサラーゼ選手です!!!!!』


健夜『出ましたね。恐らく、この選手は今年のインハイ出場選手の中でも一二を争う実力者でしょう』


健夜『特に優れているのが、世界大会で培ってきた経験値です』


健夜『こういう言い方は良くないかもしれませんが、間違いなく他の3選手より場数を踏んでいる格上でしょう』


恒子『高校1年にして世界ジュニアで大活躍ですからね!恰好いい!!』


健夜『世界を知る彼女相手に、他校の選手がどう戦うのか。そして、彼女自身がこの大将戦でどんな戦いを見せるのか』


健夜『私もかなり楽しみにしています。』


恒子『ちなみに、彼女が着ている服は故郷の民族衣装だとかっ』


健夜『サカルトヴェロですね…。麻雀があまり普及していない地域ですが、彼女の様な選手が存在している…』


健夜『つまり、世界へ目を向ければ、まだまだ常軌を逸した選手が隠れている可能性があるという事』


健夜『今の世代、今後の世代の雀士には是非、その"世界"を知ってほしいと思います』



~ホテル~



テレビ『今の世代、今後の世代の雀士には是非、その"世界"を知ってほしいと思います』



マホ「世界……」チラリ


咲「……」


マホ「……」ハァ


マホ「ねえ、宮永先輩?」


咲「…ん、どうかした?」


マホ「膝枕、してあげますっ」


咲「え?」


マホ「ほらほら。遠慮せず、どうぞです」ポンポン


咲「……」カンガエ



咲「…うんっ」スッ

咲「それじゃあ…。失礼します」


マホ「是非是非~♪」



咲「っしょ…っと……」ポフ


マホ「ふぁっ…」ピクッ

マホ「えへへ、ちょっとくすぐったいです」クスクス


咲「マホちゃんの膝……久しぶりかも」


マホ「そういえば、そうですねっ。東京へ来た日以来です」


マホ「あ…今は、清水谷さんの膝枕コピーをしていない、100%マホの膝枕ですよっ♪」


咲「ん……」


咲「…かなり、落ち着くかも」モゾ


マホ「ふふ、それは良かったです」ニコ


咲「うん…」


マホ「……」ナデナデ


咲「…」





マホ「宮永先輩」


咲「なに…?」チラ


マホ「さっきはあんな事言いましたけど…我慢できないので、言いますです」


咲「え……?」


マホ「もう、怖がらなくても良いんですよ?」ナデナデ


咲「……っ」ピクッ


マホ「先輩が今、何を思って、どんな事を考えているかなんて、マホにかかれば一目でお見通しですから」


マホ「他の誰が分からなくたって、マホには分かるんです」


咲「……」


マホ「マホは、先輩が大好きなんです。先輩の事をずっと一番に考えています」


マホ「でも、だからこそ」


マホ「先輩が無意味な事で悩んで、今みたいに顔を曇らせているのは見ていられません」


咲「無意味、なんかじゃ……」


咲「そもそも、本当に私が今何を思ってるかなんて」


マホ「ですから、分かります」


マホ「昔、先輩がプラマイゼロを発現させたという大会。その事をこのインハイで思い出して、未だに怖がっているんです、宮永先輩は」


咲「……!」




咲「……」





咲「……ふふ、マホちゃんは本当に何でも分かっちゃうんだね」


マホ「愛のなせる技、というやつです」クス


咲「……」フウ


咲「……確かに。私は未だに…ううん、今更になって、この大会の空気感が、怖くなった」


マホ「やっぱり」ハァ



咲「重なるの……。私が、プラマイゼロで潰した、みなもと、名前も知らない卓に付いていた子……」


咲「その子達を応援していた人、あの大会を楽しく観戦していた人、決勝までに負けて悔しがってた子……」


咲「あの子達がそれまで積み上げて来たであろう全てを、あの時の私が、私の麻雀で粉々にした事が……」


咲「このインターハイで、色んな想いを持って打つ人達と……重なるんだよ」


咲「あの時……麻雀を穢した私が、どうして平気な顔してこんな場所に居るんだって」


咲「皆が、そう思ってる気がするの」




マホ「……」フゥ


咲「阿知賀や、他の選手と必要以上に関わりを持っちゃったのは…罪滅ぼしのつもり、なのかもしれないね」


咲「あの人たちにはせめて、この大会を良いものにして欲しいって……こんな事、思う資格無いかもしれないけど」


マホ「……」グッ


マホ「……マホはですね、先輩の優しい所が一番好きです」


咲「ぇ……?」


マホ「先輩は優しすぎます。もう気にしなくて良いことまで、気になって、悩んでしまうくらい優しい」


咲「そんな事…」


マホ「くだらないですね。先輩の今の悩み、ほんとーに、くだらないです」


マホ「ねえ先輩。マホは、宮永先輩が好きなんです」


マホ「だからこそ、そんなくだらない事で先輩が先輩自身を傷つけているのが許せません」


咲「くだらなくなんて……ない……っっ」


マホ「いーえ。くだらないです」


マホ「先輩だって、本当は自分でも分かってるはずですよ?」


マホ「宮永先輩。先輩は、誰の為に麻雀をしているんですか」


咲「それは……」


マホ「みなもさんですか?なら再会できました、続ける理由はありません。もう麻雀をやめて下さい」


マホ「気にしている、名前も知らない子達ですか?なら責任をとって先輩も麻雀をやめたらどうですか?」


マホ「……違いますよね。先輩は、先輩自身の為に麻雀を続けてきたんです」


マホ「他の誰でもない、貴女自身の為に」


咲「……」


マホ「先輩は、たくさんの事をどうにかしようって、考えすぎなんですよ」


マホ「先輩の手のひらには、本当は先輩自身の事しか入り切らないのに」


咲「違うよ……私は……!!」


マホ「マホは先輩に、自分の幸せを一番に考えて欲しいんです。どうしてその事に気がついてくれないんですか……っ!」


マホ「他人の事なんてどうでもいい…考えないでください!!自覚して!先輩は、自分の事から考えるべきなんだってことを!!」


咲「っっ……」


マホ「大好きな先輩には、幸せになって欲しい。いつでも、笑っていて欲しい」


マホ「……これは、マホのワガママ……いえ、宮永先輩と出会った時から、ずっと願ってきた夢です」




咲「マホ、ちゃん……」



マホ「ねえ、先輩」


マホ「…先輩は……マホの事、好きですか?」


咲「……うん…」


咲「…好き、大好きだよ……?」




マホ「マホは、先輩が苦しんでいるのを見るのが堪らなく苦しいんです…死んじゃいそうなほど、嫌なんです」


マホ「マホの事が好きなら…先輩は、先輩自身の幸せを考えて…。それは、マホにとっても幸せなんです……っ」


マホ「もう、勝手な想像で傷付いたりしないでください…」グス


咲「…うん……」


咲「ごめんね……」


マホ「先輩が過去の事で誰かに何かを言われるようなら、そんな人マホが許しません」


マホ「だから、安心してください。先輩が誰かを助けたり、誰かの為に悩むのは、その結果先輩自身が幸せになれる時だけでいいんです」


マホ「マホにとって、それ以外の先輩の悩みなんて、くだらない。」



咲「マホちゃん……」


咲「…」


咲「私のこと…守ってくれるって、約束だよ…?」


マホ「もちろんです…!ずっと、隣にいて先輩を守ります。必ずです」ナデナデ


マホ「だから…その分マホの事も、幸せにしてくださいね…?先輩の幸せで、マホのことも笑顔にしてくださいです」


咲「……うん」ニコ


マホ「……」ホッ


咲「これで、東京へ来て2回目だね」


マホ「何がですか…??」


咲「マホちゃんに、お説教されたの」クスクス


マホ「まったくですよ!こんな事、ここへ来る前だったら考えられませんね」


咲「ふふ、そうかも」



咲「これがあの、部員勧誘の波に流されてオロオロしてたあのマホちゃんだなんてね」クス


咲「今は、膝枕までしてもらってる始末だし」


マホ「ふふんっ。マホの目標にしてる人は宮永先輩ですけど、目標自体は宮永先輩よりも義姉っぽくなる事!」


マホ「ですからね♪」



咲「……へぇ…」



マホ「今はマホが甘える立場ですけど、いずれは先輩がマホに…」


咲「マホちゃん」スッ


マホ「はい…?」チラ





咲「……んっ…」チュッ








マホ「…………………………………………」








マホ「ふぇ……?」キョトン

訂正→マホ「ふふんっ。マホの目標にしてる人は宮永先輩ですけど、目標自体は宮永先輩よりもお姉さんっぽくなる事!」


咲「私はマホちゃんに甘えてもらうの、好きだからその勝負は負けられないかなっ」クス




マホ「せ、せせせせせせせ、せんぱぱぱぱぱ!?!?!?//////////」カァ

マホ「い、いいいい、今、ほっぺ!!!ほっぺに!!!!/////」アウアウ




咲「それじゃマホちゃん、私疲れちゃったから少し眠るね?大将戦、代わりに見ておいてくれると嬉しいな」


咲「それと、膝枕は継続しててっ。クセになっちゃったから」


咲「じゃ、おやすみなさいっっ!」目瞑り




マホ「せ、せんぱいってばぁぁぁ!/////言うだけ言って逃げるの禁止ですぅ!!/////」



マホ「さっきのっ!!さっきの説明をー!!/////」


咲「へんじがない…ただのさきさんのようだ」スヤスヤ


マホ「あぅぅぅぅ……/////ずるいですよ、先輩……////」


マホ(先輩には手が届かないって、分かってるのに……)


マホ「……ちょっと、期待しちゃうじゃないですか…っ」ボソ


咲「……んぅ…」スヤスヤ


マホ「って寝るの早い……!?」ビックリ

マホ「……もうっ」




マホ「……」クス


マホ「先輩、大好きですからね」ナデリ


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~数日後~




健夜「2人とも明日帰る準備、大丈夫??」


マホ「それでそれで、お姉さんの数え役満が~!」


咲「ま、マホちゃん?その話3回目くらいだから!」


咲「あ、準備大丈夫ですっ」


健夜「あはは…。マホちゃん、昨日の個人戦の話ずっとしてるね」


マホ「だってぇー!あんなに凄いとは思ってなかったんです!」


マホ「さすが、先輩のお姉さんって感じですねっ!」


咲「あ、ありがとう……でいいのかな…?」


マホ「でもでも、神代さんと原村さんも凄かったですし…!!」


マホ「憩さんと天江衣さんの試合も、燃えましたぁ!」


咲「ま、マホちゃん1回落ち着いて…」アセアセ


健夜「1日経ったのに熱が冷めないね」クスクス


プルルルルル プルルルル


健夜「ん……電話?」つケータイ


ピッ




健夜「はい、もしもし…?」

晴絵『もしもし、小鍛治さんですか?夜分遅くにすみません、赤土です』

健夜『赤土さん?電話なんて、珍しいですね』

晴絵『すみません、いきなりで』

健夜『いえいえ。それでえっと、どうかしましたか?』

晴絵『えと小鍛治さん達、まだ東京にいますか?』

健夜『え……?はい。帰る予定は明日なので』

晴絵『そうですか、良かった』

健夜『???』ハテ

晴絵『なんでも今夜……_______________』


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【最終話】




~東京・某会場~




咏「あーあー、てすてすだよん」ア-ア-


咏「っし!マイク音量おうけー」


はやり「えっと、それじゃあ始めちゃっていいのかな??」チラリ


健夜「良いんじゃないかな、来れる人はもう揃ってるみたいだし」


理沙「大繁盛!」


良子「それは少し意味が違いますね」


はやり「おっけー!☆」


はやり「それじゃあ……」




はやり「今夜集まってくれた皆ーー!☆こんばんはーー!☆」


はやり「今夜はインハイ後夜祭、楽しんでね☆」




穏乃「うわぁ……!あ、憧!!ほんとにインターハイに出てた人たちが集まってる!!」


憧「いや、私たちも出場選手だからね…?」


玄「でもでも、驚いたのです。こんな会場で、インターハイの後夜祭なんて」


宥「去年まではこんなの無かったらしいけど……」


灼「ハルちゃんの所に、三尋木プロからいきなり掛かってきたんだよね?」


晴絵「ああ。急遽やることになったから、急いで知り合いで来れそうな人に連絡入れてくれってな」


玄(咲ちゃんも来てるらしいけど…どこだろう…)キョロキョロ


晴絵「にしても、まさかこんなに人が集まるなんてなぁ…」



白望「人多すぎ……」


胡桃「これは風紀が乱れそうな予感……っ!」


豊音「わっ!ゆ、有名人がたくさんだよぉ~!」


豊音「み、皆さんサインくれるかなー?」


塞「あはは、私も一緒に頼んであげるよ」


エイスリン「ワタシモ!」


豊音「ほんと!ありがとぉー!」


トシ「全国の有名高校がこんなに一堂に会する事なんて、まず無いからねぇ…」


トシ「思う存分、サインでもなんでも貰ってくるといいよ」


豊音「はいっ!!」


トシ(さて、私も仕事をするかね……)


霞「あらあら…呼ばれて来てみたら、こんなにも豪華な催し物だったなんてねぇ」クスクス


初美「どうして今年だけこの様な後夜祭、なんていう物が開かれたのでしょうかー?」


巴「まあまあ。今はこのお祭りを楽しもうよ」


春「……あれ、姫様はどこへ…?」


霞「ふふっ、小蒔ちゃんなら大丈夫よ」


霞「どこにいるかは、内緒だけれど」クスクス


春「……?」ハテナ





セーラ「おいこら、その唐揚げオレが狙ってたやつや!!」

洋榎「知らんわ!ウチが先に取ったんやから、ウチのもんやろ!」

セーラ「はぁ!?つーか、貸してた30円返せや!!」

洋榎「今サイフ持っとらへんわ!!」

竜華「こらセーラ!恥ずかしいから静かにせえ!」

恭子「主将も、少しは場を弁えてください」

漫「はぁ…相変わらずやなぁ…」

泉「喧嘩するほどなんとやら、なんですかね~」

怜「てか、人多すぎやろこれ……どないしたらこんな集まるん……?」

雅枝「そら集まるやろ。インハイ後の後夜祭やぞ?それも、例年にない初の試みや」

絹恵「なんで今年は後夜祭なんてやるんや?」

雅枝「さあな」

由子「どうせ、その内開かれる世界ジュニアの候補者選出について、とかなのよー」

郁乃「由子ちゃん~?そのお口、ちょいと閉じよかー?」

由子「の、のよー」

浩子(ドンピシャかいな)


揺杏「すっげー……さすがに、ここまで集まってっと圧巻だね」


成香「素敵ですけど、私たちまでお呼ばれして良かったんでしょうか?」


爽「なに言ってんだよー。私らだって、準決勝出場高なんだからいいに決まってるだろ」


誓子「みんな、ハメを外し過ぎないようにね」


由暉子「あの舞台に立っているのが、生はやりん……」


揺杏「ふむ…やっぱり、ユキも負けてないな」


爽「だね。はやりん陥落も、時間の問題だ」


成香「素敵です!!」


誓子「がんばって!」


由暉子「が、頑張ります……?」




タヴァン「どうしてカップラーメンが無いのデスか!」


智葉「そんな物、ある訳ないだろう」


ハオ「それにしても、この催し物はなんなんですか?」


智葉「そうだな…。言うならば、大会運営からの頑張ったご褒美といった所か」


ハオ「留学生の私たちまで来てしまっても良かったのですか?」


智葉「何を言っている。臨海女子の仲間だ、いいに決まっている」


タヴァン「ならラーメンも用意シてほしかっタ!」ム-


智葉「くどいぞ」


ネリー「た、食べ放題ってここは天国!?」



明華「お肉ばかりではなく、お野菜も食べなければいけませんよ」


ネリー「むっ…明華、サキみたいな事言うね」


明華「……咲さん?」


ネリー「あっ、しまった」


ネリー(あの事はナイショにしてたんだったぁ!!)


明華「……ネリー、咲さんといつの間に"野菜も食べなければ"などという会話をするほど仲良く……?」ゴゴゴゴ


ネリー「ち、違っ……そ、そう!今のは、シャケって言ったんだよ」


智葉「ああそういえば、ネリー」


ネリー「!!さ、サトハ、助け」


智葉「宮永もこの会場に来ているらしいからな。昼飯の礼、改めてしておけ」


ネリー「」


明華「ネ リ ー ?」ニッコリ


ネリー「ひっ……さ、サキ助けてぇぇぇぇぇ!!!」グスン



みなも「照お姉ちゃん!咲はどこ!?」


淡「げっ、宮永3号じゃん」


みなも「うわっ、脳死ダブリーオンナ!」


淡「は?」ニコ


みなも「うん?」ニッコリ


菫「こら、淡」ゴツン


淡「あいたー!」


和「みなもさん?」ニッコリ


みなも「ひっ……ご、ごめんなさい…」


菫「はぁ…すまないな、こっちの1年が」


和「いえ。こちらこそ、友達がご無礼を」


淡「むっ……原村和!個人戦では負けたけど、次やったら絶対勝つから!」


和「ええ。お待ちしています」


照「ふみれー、あまいもほいっふぁいおいてあっふぁ(菫、甘い物いっぱい置いてあった)」テクテク


優希「ちゃ、チャンピオンだじぇ」


まこ「口ん中もごもごさせすぎじゃぁ」


尭深「て、照先輩……飲み込んでから喋ってください…」


誠子「ていうか、さっきも食べてたのにまだ食べるんですか…」


みなも「いた!照お姉ちゃん!」


照「んくっ……」ゴク


照「みなも、会うのは久しぶり」


久「あら、連絡はしてたのかしら?」


みなも「まーね。あの日、咲が帰った後に」


久「なるほど」


みなも「それより照お姉ちゃん!咲見てない?」


照「会場に着いたってメールは来てたから今探してきたんだけど、見当たらなかった」


照「だからついでに甘い物取ってきた」フンス


和「そ、その量がついでですか…」


菫「甘味に関しては、胃袋ブラックホールなんだよ、こいつ」


みなも「そっかぁ…」


照「大丈夫。ちゃんと顔見せるって、言ってたから」


みなも「なら、良いけど……」


みなも(咲、どこいるんだろ…)


久「私も、咲に会いたいわ」


和「同じくです」



淡「私も、絶対潰すって約束果たさなきゃ」


照「……ん?」ゴゴ


みなも「咲を潰すって?」ゴゴゴゴゴ


淡「へっ、あ、いや……」オロ


照「淡、少しお話しよう」ゴゴゴゴゴゴ


みなも「あそこに雀卓あるし、ゆっくりね」


淡「ちょ、まだ心の準備が……」


菫「おい照。せめて開始の音頭取ってからにしておけ」


久「みなもも、お祭りが始まってからにしなさい?」


照「……分かった」


みなも「…はーい」



淡(た、助かった…)



咏「あー、いきなり開いたにも関わらず集まってくれてありがとねぃ」


咏「どうして今年は後夜祭があるのかって疑問に思ってる子もいるだろうし、ざっと説明すると……」


咏「あー……」


咏「まー、細かい事はいいか!」


健夜「ええ!?」


健夜「い、一応説明はしておこうよ…」


はやり「高校の枠を越えて親睦を深めてくれたら、それでおっけーだよ☆」


はやり「大会中はピリピリしてて、気になる子とお話できなかったー!みたいな人も、いるだろうし☆」


はやり「インターハイ後夜祭、食べて飲んで楽しもう☆」


咏「そゆこと~」パタパタ



咏「そんじゃ、小鍛治プロ開始の音頭よろしくぅ!」


健夜「へっ、わ、私!?」


理沙「がんばって!」プンスコ


良子「よろしくお願いします」


健夜「え、えっと……それじゃあ…」



健夜「インターハイ、お疲れ様でした!」


健夜「乾杯!!!」




「「「「「かんぱーい!!」」」」」


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長野編、構想はあっても全く書く手が進まず、エタらせてしまう気がしたので、本編を先に終わらせますorz
本当は長野編から後夜祭に繋げたかったのですがっ……すみません

お風呂出たら投下再開しますっ



~離れたカウンター席~



咲「すみません、オレンジジュースを一つ」

店員「畏まりました」ペコ


咲「……」ニコ


咲「……ふぅ」



咲(いきなりインターハイの後夜祭なんて……ていうか、私達出場してないのに)


咲(やっぱりあれかな、今年だけ特別にこんなのをやるって事は世界ジュニア関係……)


咲(選手同士の親睦っていうのも、それなら納得がいくし…)


咲(まあ、明ちゃんやネリーさんまで呼んでも良いのか…ってのはあるけど、名目上呼ばない訳にはいかないか)



咲「……」チラリ


マホ「えへへ……せんぱい…そこはたけのこじゃなくてまつたけですぅ…」ムニャムニャ



咲「……」クスクス

咲(やっぱり寝ちゃったかぁ…)ナデナデ


マホ「ふみゅ……」スヤスヤ


店員「お待たせ致しました。」コト


咲「ありがとうございます」ニコ

店員「……よろしければ、何か掛けるものをお持ちしましょうか?」


咲「えっ?」


店員「申し訳ございません。お連れ様が風邪を引いてしまってはいけないと思いまして」


咲「あ……確かに、それもそうですね……」


咲「私のコート、掛けておきます。お気遣い有難うございます」ペコ


店員「いえ。申し訳ありません、差出がましい真似を」ペコリ


咲「ふふっ、そんな」ニコ


店員「……」ペコリ


咲「……」ゴク

咲「……ふぅ」


「お隣、失礼しても宜しいでしょうか?」


咲「ん……」チラリ


小蒔「こんばんは。咲さん」


咲「あれ、神代さん……?」


咲「あ、どうぞ」



小蒔「有難うございます!」ニッコリ



咲「これ、メニューです」つメニュ-


小蒔「ふむふむ………」ジ-ッ

小蒔「い、色々な飲み物があるのですね…」ナヤム


咲「難しい言葉で書いてますけど、左側は全てジュースですから好きなので良いと思いますよ」


小蒔「そうなのですね…カタカナばかりなので、全てお酒かと思いました…」


咲「あはは、あるあるですね」


小蒔「え、えっと…それでは、これを……」ユビサシ


咲「分かりました。すみません、私と同じのをお願いします」


店員「畏まりました」



小蒔「あ……咲さん、有難うございますっ」


咲「いえいえ」ニコ


小蒔「……/////」カァ



咲「にしても、よく私の居場所が分かりましたね」

咲「知り合いから少し掠め取った存在希薄の力、使ってたのに」カゲウス-


小蒔「なるほど…それで、普通に探しても見当たらなかったのですねっ」

咲「……まさか、神を使いました?」


小蒔「はいっ!何かを探す力に長けた神様がいらっしゃるので、少々お力を……」フフ


咲「へぇ…」


店員「お待たせ致しました」コト


小蒔「あ、有り難うございます!」ペコペコ


咲「そういう使い方、出来るようになったんですね?」

小蒔「あ、そうなんです!」


小蒔「あの時咲さんに言われた"神様の宿し損"という言葉を、神様達も聞いていて納得されたみたいで」


小蒔「多少制限はありますが、起きている時でもお力を貸して頂けるようになったんですっ」


咲「あはは、それは良かった」クス


咲「でも、私を探すくらいで神様を使うことないんじゃ」


小蒔「あ……ご、ご迷惑でしたか……?」オロ


咲「いや、迷惑なんて事は無いですけど」


咲「折角の機会なんですから、私なんかに構わず好きな方とお話した方が良いんじゃないかなって」


小蒔「ふむふむ…なるほどっ」


小蒔「でしたら、私は咲さんが好きですから問題ありません!」ニコ


咲「えっ…」



小蒔「この"好き"はきっと、今まで感じてきた好きとは少し別の意味で…」


小蒔「このような気持ちは初めてなので、少し戸惑っているのですが」


小蒔「……私は、咲さんの事を"特別"だと思っているのだと思います」クスリ


咲「神代さん……」


小蒔「すみません、困らせるような事を言ってしまって……」


小蒔「ですが、どうしてもこの気持ちは伝えておかなくちゃ……と、そう思って……」


咲「……はい」


小蒔「……」フゥ


小蒔「私は、きっとあの時咲さんが声を掛けてくれた時から……」


『あーあー、これから後夜祭特別企画、下剋上マッチを始めるよん』

『個人戦1位の宮永ちゃん、2位の原村ちゃん、3位の神代ちゃんは舞台に集まってー』




小蒔「…ぁ……」


咲「……呼ばれてしまいましたね」



小蒔「……」フゥ


小蒔「すみません、咲さん。行ってきますね」スッ


咲「あ……はい。行ってらっしゃいです」


小蒔「……」ペコリ


小蒔「……」テクテク


咲「……」




咲「頑張ってくださいね、"小蒔"さん」




小蒔「!!」フリカエリ


咲「行ってらっしゃい」ニコ


小蒔「はいっ…!有難うございます、咲さんっ!」ジワ




小蒔「行ってきます!」ニッコリ



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咲「……」フウ


咲(それにしてもこの後夜祭、いつまで続くんだろ……マホちゃん、ベットで寝かせてあげたいし…)


咲(健夜さん、どこにいるかな)


ワーワー!!
ザワザワ ガヤガヤ


咲「……?」チラ




健夜『ツモ、4000オールの6本場です』


照『……さすがにお強いですね。ありがとうございました』


咏『やられたねぃ……つーかこれ、全盛期よりも強い気がすんだけど気の所為?わっかんねー』


恭子『なんでウチがこの3人と同卓しとるんや……普通の麻雀させてや、ほんま…』


健夜『あはは…前線は引いても、麻雀を打たなくなった訳じゃないからね…』





咲(なんだ…健夜さんが打ってるから盛り上がってるのか…)

咲(こんな時間なのに元気だなぁ)




郁乃『小鍛治プロわぁ~、前線に復帰せえへんの~?』


郁乃『恵比寿からそういう話、来とるって聞いたけどぉ~』



咲「……!!」ピクッ

咲「……」





はやり「こ~ら☆こんな所でするお話じゃないぞ☆」メッ


郁乃「あっ…ウチったら、また要らんこと言うたな~申し訳ないわ~」


恭子「代行……」ゴゴゴゴ


郁乃「ごめんなさいって~」アセアセ


淡「でも確かに、すこやんくらい強かったら世界一間違いなしだよね!」


みなも「そうなの?」


和「さて、どうなんでしょうか…。あまり、世界大会などは見ないので、なんとも」


怜「そら、元とは言え世界2位まで上り詰めた人やからなぁ…」


玄「改めて聞くと、凄い話なのです……」


健夜「あ、あはは……その話は…」


健夜「ぁ……」チラ



咲『……』スタスタ



みなも(あれ、咲……?)チラ


照(1人で外に……)




健夜「ちょ、ちょっとゴメンね!少し抜けさせて貰うよっ」スッ


淡「えー!すこやんと対局したかったー」


みなも「ならわたしも行く」


照「みなもは残りなさい。小鍛治プロ、対局ありがとうございました。また、"よろしくお願いします"」


健夜「……うんっ」


健夜「ありがとう、宮永さん」タッタッ


みなも「ちょっと照お姉ちゃん!!」


照「……みなも」


みなも「……」


みなも「……」ハァ


みなも「……分かった、我慢するよ」ム-



咏『さあさあー、後夜祭麻雀大会、C卓にて宮永照、宮永みなも、大星淡との対局チャンスだよん』

はやり『腕に自身のある子は、挑みに行ってみるといいね☆』








マホ「ん……」ムク

マホ「せんぱい……?」キョロ

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【終幕・宮永咲と小鍛治健夜】


~後夜祭会場・外~




咲「……」スゥ


咲「……」ハァ



咲「……」ボ-ッ


咲「……」





健夜「咲ちゃん……?」


咲「……」


健夜「どうしたの?一人で外に出たら、危ないよ」テクテク

咲「……」


健夜「ねえ、咲ちゃ」


咲「東京では、星があまり見られないんですね」

健夜「えっ…?」



咲「健夜さんがここで麻雀を打っていた頃、どんな気持ちでこの空を見上げていたんですか」

咲「そして、今……。茨城にいる健夜さんは、どんな気持ちで麻雀を打っているんですか」


健夜「……もしかして…さっきの会話、気にしてるの…?」


咲「……」


健夜「あんなの、咲ちゃんが気にする事じゃ……」


咲「良いですよ、別に。」

咲「私なんかに気を使わずに、恵比寿でもどこでも行ってしまえばいいじゃないですか」


健夜「え……」


咲「分かってるんです。健夜さんが、もっと色んな麻雀を打ちたがってること」


咲「さっきだって、楽しそうに打ってた…もっと楽しみたいって、そんな表情してた」


咲「ずっと、ずっと、健夜さんの事だけ見てきたから…」


咲「私が足枷になっている事くらい、分かるんです」


健夜「そんな、違うよ……」


咲「なら、なんだっていうんですか?」


咲「まさか、未だに自分が一番だと自覚してしまう事が怖いだとか…そんな事、言いませんよね」


健夜「それも、違うけど…」


咲「……」フゥ





咲「最近、よく考えるんです」


咲「健夜さんが隣にいない生活って、どんな感じなんだろうって」


健夜「……」


咲「それで私、ちょっと可笑しいんですけど一番に思うのが、迷子になったらやばいなーって事なんです」

咲「ふふっ、高校一年生が不安に思う内容じゃ、無いですよね」クス


健夜「そう、かもね……」



咲「でも、それで分かったんです」


咲「私からしたら、小鍛治健夜っていう人は一緒に麻雀を打つだけの存在じゃないんだな」


咲「もう、隣に居てくれなきゃ不安に感じちゃう…そんな、大切な人なんだって」

咲「……あはは、少し、照れちゃいますね」


健夜「それなら私は……」


咲「けど……っ!!」

健夜「っっ」ビク


咲「だからこそ、これ以上……私は健夜さんと一緒に居るべきじゃないと思うんです」


咲「これ以上一緒に居たら…きっと私は、健夜さんのいない生活は、考えられなくなってしまいそうで……」


咲「健夜さんを、私で縛り付けたくないんです。貴女には、もっと上を目指して欲しい……っ。自由に、麻雀を打ってほしいんです……!!」


健夜「……だから、咲ちゃんは置いて恵比寿からの話を選べって事……?」


咲「……はい」



健夜「……はぁ」


咲「!!」ビクッ


健夜「咲ちゃんはなんて言うか……もう、まったく…」


咲「な、なんですか…。私の言った事、間違っていますか」


健夜「うーん…。確かに、恵比寿からのお話が来てもう一回世界で戦ってみるのも悪くないな~とは、思ったことあるよ?」


健夜「昔と違って、今はたくさん有望そうな選手がいるし、孤独に怯える必要も無さそうだからね」


咲「やっぱり……」



健夜「でもね、咲ちゃん。」


健夜「私の帰る場所は、咲ちゃんの居る所って決めたの」


咲「違います…それは、ただ私を今更見捨てられないだけで」


健夜「大好きな子がいる場所に居たいって思うのって、いけない事かな」


咲「……え…?」


健夜「咲ちゃん、言ったよね。私が隣にいないと不安だって」スッ


健夜「……そう思ってるの、咲ちゃんだけじゃないから」ギュ


咲「何言って……っっ!!違います、それは、だから、ただの親切心で……っ」


健夜「私は咲ちゃんが好き。」


咲「ぁ……」


健夜「傍に居てくれないと不安だし、私だってもう咲ちゃんがいない生活なんて考えられないんだよ?」


健夜「確かに、麻雀も大好き。でも、それ以上に大切だから、私は選ぶの」


健夜「咲ちゃんをね」ナデナデ


咲「健夜……さん……」ジワ


健夜「咲ちゃんは、難しく考えすぎなんだよ。私が咲ちゃんと一緒にいる理由はもっと、単純」


健夜「そこが、私の帰る場所であって、一番好きな場所だからだよ」


咲「……」ギュゥ


健夜「それに、さ」


健夜「初めて会った時の約束、覚えてる?」


咲「……私は健夜さんに勝つ…、健夜さんは私のプラマイゼロを……」


咲「でも…もうその約束は…」



健夜「今の私たちの勝敗、丁度同じなんだよね」


咲「なっ……!?」


健夜「この意味、分かるかな」


咲「まさか」


健夜「あはは…」


健夜「咲ちゃんのプラマイゼロ、本当の意味ではまだ壊せて無かったって事」アハハ


咲「で、でも、マホちゃんや別の人と打つ時は……」


健夜「うん。多分、私と咲ちゃんの間だけで続いてるんだろうね」


咲「という事は…」


咲「……」フゥ


咲「……なら、健夜さんは…」




咲「健夜さんは約束を果たすまで私の傍、離れられませんね」



健夜「そういう事かな。……もう、どれくらい掛ければ勝ち越せるかな」


咲「ふふ、知りませんよそんなのは」


健夜「……もしかしたら、一生掛かっちゃうかもよ?」


咲「……それなら、一生私の隣に居なきゃダメです」


健夜「じゃあ、すんなり勝ち越せちゃったら……?」


咲「その場合は、私が健夜さんに勝てていないという事になって、私の約束が未達成になってしまうので…」


健夜「あはは…それじゃあ、一生終わらないよ」クスクス


咲「……いや、ですか?」チラ


健夜「ううん、望むところ」ニコ


咲「私も、です」フフ


健夜「……」


咲「……」




健夜「え、えっと……そ、それじゃあ、そろそろ戻ろっか……?////」

健夜(まさかこんな展開になるとは…まともに咲ちゃんの顔見られないよ…っっ)


咲「……」ギュッ


健夜「さ、咲ちゃん……?」


咲「……もう少しだけ、このまま…」ギュゥ


健夜「……」


健夜「……うんっ」ナデナデ


咲「……うぅ…」グス


咲「あ、あれ……?なんだか、安心したら…えへへ、涙出てきちゃいました…」ボロボロ


咲「…っっ……。おかしいな……止まらないです…っ…」グス


健夜「大丈夫、私は咲ちゃんの傍にいるよ」ギュ


健夜「いなくなったりしないから」ナデ


咲「はいっ……ありがとう、ございます…っ…」ギュゥ


咲「……っっ……うぅ……」グスグス



健夜「……」ナデナデ




健夜(…あの時……世界戦を放り出した私の選択肢は、きっと間違って無かったんだね)


健夜(大丈夫だよ、過去の私。独りぼっちなんかじゃない。きっと、すぐに見つかるから)

健夜(麻雀以外に価値を見いだせなかった私に、大切なモノを教えてくれた子……)


健夜(大切な、大好きな人が)

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~少し離れた場所~



照「良いの?行かなくて」


マホ「マホだって、そこまで野暮じゃありませんよ」


照「……そう」


マホ「はい。それに、マホはずっとあの2人がこうなる事を望んでいたんですから」


マホ「喜ばしい事です。本心ですよ」プイ


照「…………そう?」


マホ「……はいっ」

マホ「……」


マホ「……」ジワ


マホ「っっ……。そろそろ戻りましょう。少し寒いです」テクテク


照「夢乃さん」


マホ「……」ピタ


照「……これからも、咲をよろしくね」


マホ「……」


マホ「当たり前じゃないですかっ」クルッ


マホ「マホは、先輩の後輩ですからねっ!」ニコ


マホ「さっ、早く戻りましょう!みなもさんが怒っちゃいますよ」テクテク


照「……うん、そうだね」クス




照(……咲。良い巡り会いがあって、本当に良かった)

照(よく頑張ったね、咲)

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【エピローグ】

~数日後・茨城県、部室~




マホ(色々ありましたが、インターハイが後夜祭も含めて終了して、茨城に帰ってきました夢乃マホです)

マホ(あの夜、先輩と健夜さんの関係が発展した……はずなのですが…)



マホ「結局……」ハァ



咲「い、良いですか!?あの時は、私も、その、心がアレだったというか!!」

咲「そんな感じで、ああいう事を言いましたけど、ち、違いますから!!/////」


咲「その、忘れてください!!良いですね!?/////」


健夜「わ、分かったってばぁ!」


健夜「咲ちゃん、帰ってきてからそればっかりだよぉ……」


健夜「でも、私が言ったことは全部本音だからね?」ニコ


咲「うぁぁぁぁぁっっ/////そ、それも無しですから!!/////」


咲「良いですか!?あの時私が言ったのはっ」


健夜「ストップストップ!また同じ事繰り返そうとしてるから!」


健夜「はい、深呼吸!」


咲「……すぅ……はぁ……」


咲「すみません、少し取り乱しました」


健夜(少し……?)



マホ「あー、夫婦漫才途中にすみませんが、マホはそろそろお暇しますです!」


咲「夫婦っ!?/////」


健夜「あぁ、そういえば用事があるんだっけ」


マホ「はいです!……あ、先輩、心配しなくても浮気とかじゃありませんから!」


マホ「マホは、先輩だけ想っていますからね♪」


咲「めおっ、夫婦……っ…/////」プシュ-



マホ(あらら……。今の先輩にあの冗談は禁物でしたね…)

マホ(反省です♪)テヘ


マホ「それじゃあ健夜さん、また明日です!」フリフリ



健夜「うん、また明日。気をつけて帰ってね?」


マホ「はいです!」テクテク


マホ「……あ」クル


健夜「…?忘れ物?」


マホ「いえっ!」クス


マホ「マホ、健夜さんの事も大好きですからねっ♪」


マホ「では、さよならですー!」タッタッ


健夜「マホちゃん……」クス


咲「……はっ!」


咲「も、もー!マホちゃん、そんな冗談言ったらダメでしょー!」チラ


咲「……ってあれ、居ない?」キョロキョロ


健夜「マホちゃんならつい今帰っちゃったよ」


咲「え、そうなんですか」


咲「あぁ、そういえば用事があるって言ってましたっけ」


健夜「私たちはどうしよっか?」


咲「んー……そうですね…」


咲「……」



咲「…健夜さん、私アイスが食べたいです」


健夜「いきなり!?」


咲「なのでここは一つ、麻雀部らしく麻雀でどちらが買いに行くか決めましょう」


咲「……と、言いたい所なんですけど」


咲「仕方ないから今日は、一緒に買いに行って上げないこともありませんよ」


健夜「へっ……」


咲「……」モジモジ


咲「……」チラ


健夜「……」クス


健夜「分かった、それじゃあ一緒に行こっか!」ニコ


咲「……はいっ」



健夜「それじゃあ咲ちゃん、お手を拝借」ギュ


咲「あ、ちょ……べ、別に手は……っ/////」


咲「……」


咲「…」ジ-ッ


健夜「咲ちゃん??」




咲「……しっかり、握っててくださいね」ボソ


健夜「……!」



健夜「ふふ、分かってるよお姫様」ニコ


咲「……それはちょっと気持ちが悪いです…」ウワァ


健夜「い、今のは忘れて!!/////」カァ



咲「えへへ、忘れませんよーっ」



咲「ほら、早く行きますよ、健夜さん!」ギュッ


健夜「……うんっ!」ギュ




健夜(これからもずっと……)


咲(こんな日々が、続きますように)




おしまい

【じかいよこく!】


みなも「一応聞くけどさ……点数調節の能力がある訳じゃ、ないんだよね」


衣「……?そんな訳がないだろう。」


みなも「……そう」


みなも「なら、遠慮しなくて大丈夫だね」


衣「っっっ……!?」


みなも「悔い、改めて」



【清澄の白い悪魔】





咲「え、誕生日……?」


マホ「はい!」


咲「……誰の?」


マホ「健夜さんのです!」


咲「ふーん……」


マホ「えっ、誕生日会やらないんですか?」


咲「えっ?」


マホ「へっ?」



【誕生日会けーかく!】




咏「私を選ぶよねぃ?」ズイ


はやり「ううん、はやりだよね☆」


良子「ノーノー、私の所へ来るべきです」

理沙「違う!わたしのとこ!」プンスコ



咲「え、えっとぉ……」


健夜「もー!みんな、帰ってよぉ!」


【勧誘!】




次回、咲-Saki-side日常編
to be continued

ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
長野編は、次スレがあればそこで完結させたいです……最初から最後まで、自己満足な作品でしたが付き合って頂きありがとうございました!

では、またっ

乙ありがとうございますっ。
今更ですが、途中で入れるタイミングの無かった茨城組3人の能力説明を書いておきますっ。



【宮永咲】・槓材の支配(支配下ならば4枚目の牌を他家に掴ませたり、掴んだりできる)
・王牌の支配(自他共に裏ドラ、槓ドラを乗せられる。嶺上牌を感じる事ができる)
・点数の調整(3翻以下ならば好きな翻数と符数で和了る事ができる)
・点数の支配(靴下を脱いだ時&使う意味がある時のみ発動。支配が崩れない限り、終局時の点数状況が試合開始時に予め設定した点数に必ず収束する)
・???(unknown)


【夢乃マホ】・目で見た他者の能力のコピー(能力同士を組合せたり、試行錯誤により応用性を広げたりもできる。何かの対価を払う力、未完成な力はコピー不可能)
・チョンボ(気を抜くとすぐにチョンボをしてしまう)


【小鍛治健夜】・1度受けた能力の完全無力化(配牌操作、ツモ悪、絶一門などを受けた際、その能力者の能力を無力化する。天江の海底、豊音の裸単騎なども、ツモで自分が削られた場合全て無力化。ただし、宮永咲の嶺上開花は能力では無く能力を応用した技術であるため無力化不能。だが、槓材を掴ませる能力は勿論無力化される。点数の支配に対して、麻雀のルールその物へ干渉する能力である為、支配力は拮抗する。夢乃マホのコピーは、コピー先一つ一つへ無力化が適応される為、ストック分は使用可能。)
・???(攻めの能力。強い)
・???(unknown)



以上。書いていて、あれこれ麻雀だよね…と思いましたっ。
前スレなどで少しだけ出ていた強さランキング(?)的なレスですが、この3人とみなも以外は基本原作と同じと捉えて貰えたらっ。照、小蒔、みなも辺りが咲さんに近い実力者という設定です。闘牌描写がないと想像しにくいですね、頑張ります…っ

では、終ってから長長とすみませんでしたっ読んでくれた方々はありがとうございました(ペッコリン)

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