【DOD3】フォウ「君死二タマフ事ナカレ零?」 ゼロ「ああ」【君死二】 (32)

こんばんは。

1.ドラッグオンドラグーン3のゼロが、漫画「君死二タマフ事ナカレ」と
  その舞台版の「君死二タマフ事ナカレ零」について、フォウに説明しつつ語り合うSSです。
  そのため、「君死二タマフ事ナカレ」について全く知らない方がこのSSを読んでも大丈夫です。むしろ大歓迎です。

2. 「君死二タマフ事ナカレ」及び「君死二タマフ事ナカレ零」のネタバレは出来る限り無くしています。
  ただし、世界観や作品の面白さを説明する関係上、少しだけネタバレがあります。

3. 以前に書いた、【DOD3】ゼロ「天下一品に行ったことがないだと・・・」と、
 【NieR】ヨナ「おにいちゃん、今日もお仕事?」 ニーア「うん、天下一品でね。」【?】
  という2つのSSと少しだけ関連があります。 ただ、読まなくてもあまり問題はありません。

4.お察しの通り、キャラ崩壊・世界観崩壊しています。

5. すごく短いです。

色々前置きがあって申し訳ないですが、それでも良いという方、是非ご覧下さい。
何か意見があれば教えて頂けると幸いです。よろしくお願いします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1482517092


新宿のとある街中にて……


フォウ「ゼロ姉様、それって確か、昔の有名な歌人の……」

ゼロ「違う。あ、いや、実際に、君死にたまふことなかれという歌はあるが、私が話したいのはそれじゃない。
   ヨコオタロウという人が手掛けた漫画原作の舞台版。それが君死二タマフ事ナカレ零だ。私はその初演を先日観てきた。
   で、すごく面白かったから、君にも勧めたいと思ったんだ」

フォウ「そうだったんですか、でも、ごめんなさいゼロ姉様。
    ……その、私、君死二タマフ事ナカレ零の原作漫画の内容を全く知らないので、私が観ても楽しめるかどうか……」

ゼロ「大丈夫だ。舞台版は原作漫画の前日譚だ。だから、漫画の内容を知らなくても問題はない。
   むしろ、舞台版を観た後に漫画を読むと、衝撃が増すから良いかもしれない」


ゼロ「(ちなみに私は、ビッグガンガンで君死二タマフ事ナカレの第1話を読んだ際、表紙の絵の事もあって、
    後半の展開に物凄く驚いた。あの表紙からのあの展開は予測できないだろ……)」

フォウ「? ゼロ姉様、どうかされましたか?」

ゼロ「いや、なんでもない。まあ、そういう訳だから、漫画は読んでなくてもいい。
   けど、君死二タマフ事ナカレがどんな話なのか、あらすじくらいは知っておいたほうがいいかもしれないな。
   ということで、簡単にあらすじを説明する。漫画版は一言で言うと、特殊能力を持った日本の選ばれた学生達が戦場で戦う話だ。紛争地帯等で海外の兵士と殺し合いをする」

フォウ「学生が戦場で戦うんですか!? どうして大人じゃなくて、子供が戦うんです? 
    いやまあ、漫画やアニメとか小説だと、大人より子供が戦場で戦う話の方が多いので、ツッコんじゃいけない気もしますけど……」


ゼロ「……そうだな。じゃあ、少しだけ原作のネタバレをするぞ。君死二タマフ事ナカレの世界では、
   日本の選ばれた学生達は戦場に行くが、少なくとも第1話までの時点では、自分達が殺し合いをするとは思っていなかったんだ。
   今回の自分達の任務はあくまで、特殊能力を使った後方支援。だから比較的簡単な部類の任務。実際に殺し合いをするのは、味方の大人の兵士だけ。
   ……そう思っていたんだ。でも、とある腐った奴らの思惑によって、殺し合いに巻き込まれる……そういう感じの話だよ」

フォウ「……なるほど。なかなかハードな内容のお話なんですね」


ゼロ「ああ。漫画版はそれに加えて、臓器が飛び散るグロ表現もあるから、人によっては苦手に感じるだろうな。
   ちなみにフォウはグロ表現は大丈……

フォウ「あ、それなら大丈夫です。全く問題ありません。例えるなら、剣でぐっさり刺された女の子の頭部も直視できる自信があります。
    さらにその後、仮にその女の子がドラゴンか何かに食べられるシーンがあったとしても、問題なく直視できますよ、ええ」

ゼロ「………………」


フォウ「? あれ? 私、何か変な事を言いましたか?」

ゼロ「いや、やけに具体的な内容を話すんだな、と思って」

ゼロ「(しかも何故か私、それを聞いたら謎の冷や汗が出てきたし)」


フォウ「私もよく分からないんですが、グロと聞いて思いついたのが、そんな感じのシーンでして。
    おかしいですよね、私、そんなシーンを見たことも聞いたこともないのに」

ゼロ「……まあ、見たことも聞いたこともなくても、生きていればそういうことを思いつく事もあるかもな、うん。
   そう、多感な時期にはよくある事さ、……たぶん」

フォウ「(ゼロ姉様が今までに見たこともないような複雑な表情をされてる……、
     そんな顔も素敵……じゃなくて! ああ、なんてことなの、私、ゼロ姉様を困らせてしまった……! なんとか話を切り替えないと!)」


フォウ「ゼ、ゼロ姉様! そ、その! 舞台版は、漫画版に出てくる学生達が、海外の戦場に行く前の話、ということでしょうか!?」

ゼロ「……ん? ああ、そうだ。漫画版で出てくる学生達は高校生(みたいなもの)で、舞台版はその学生達の数年前の話。つまり中学時代の話だ」

フォウ「じゃあもしかして、その学生達が特殊能力を獲得することになったきっかけ、とか、原因……みたいな話なんでしょうか?」


ゼロ「ははっ、なかなかいい線をツいてるな。確かにそういう場面もある。だが、舞台版の話のメインは、キャラクター達が織りなす人間模様だ。
   あ舞台に参加したとある役者の言葉を借りれば、『未成年の主張』。日常や、極限状態の非日常の中で、少年少女達が自分の抱える問題や気持ちを主張し合っていく。
   でも中にはその主張を、相手に伝えることなく……いや、出来ずに、自分の心の中だけで叫び、散っていったりもする」

ゼロ「原作者曰く、『今まで書いた中で(ゲームを含めて)一番過酷なお話になった気がする』だそうだ。確かに実際に観て、私は非常に過酷な話に感じた。
   だが、とある2人のキャラクターの、不器用ながらも純粋な、相手を思いやる気持ちや告白は……なんというか、その、私のガラじゃないが、言葉で表すなら、そう、あ、アレだ、………………感動的だったよ」

フォウ「(ゼロ姉様の頬が、照れで赤くなってる!? な、なんて可愛い! とても可愛いです、ゼロ姉様!
     照れてるゼロ姉様の表情の破壊力は凄まじいです! 眼福です! ちなみに、赤面されてる事は、言うと確実に斬られるので言いません!)」


ゼロ「だ、だから、そんな訳だから、フォウにも観てもらいたいと思ったんだよ、悪いか!?」

フォウ「悪くなんてありません! ゼロ姉様がそこまで勧めて下さるなら、絶対に観に行きます!」

ゼロ「……ちなみに、舞台は今月の25日までの上演。つまり明日までだが、予定は大丈夫か?」

フォウ「はい! 大丈夫です!」


ゼロ「そうか。ならどうぞ」

そう言ってゼロは、フォウにとある紙を渡した。

フォウ「えっ、ゼロ姉様。これって……!」


ゼロ「ああ、そうだ。君死二タマフ事ナカレ零の観劇チケットだよ」

フォウ「ど、どうして……?」

ゼロ「どうしてって。そりゃ、私から勧めたんだから、私が君のチケットを用意するに決まってるだろう?」

フォウ「事前に私のを用意してたって事ですか!? で、でも、もし私が断っていたら、そのチケットが無駄になって……」


フォウは突然の展開に軽く狼狽する。そんなフォウの様子を見て、ゼロはこらえきれずに笑う。

ゼロ「あははっ。悪い、困らせるつもりはなかったんだ。君のを用意してたっていうのは嘘。
   ただ単に、私が明日もう一度見に行くから、事前にチケットを買っておいただけだよ」

フォウ「な、なるほど。そういう事でしたか……、ビックリしました」


ゼロ「まあ、チケットを君にプレゼントするのは嘘じゃないから、安心して受け取ってくれ」

フォウ「えっ、そ、そんな、申し訳ないです! 大丈夫です、自分の分のチケットは、自分でちゃんと買いますから!」

ゼロ「だが、独り身の寂しい私のクリスマスに付き合ってもらうんだ、これくらいはさせてくれ」


フォウ「でも、独り身は私も同じですし……!」

ゼロ「……ん? いや、君にはデカートがいるじゃないか。 
   まあ、予定がないという事は、クリスマスは一緒に過ごさないみたいだが……」

フォウ「あの、ゼロ姉様」


ゼロ「何だ?」

フォウ「ないです」

ゼロ「えっ?」


フォウ「ないです。アレ(デカート)と一緒にクリスマスを過ごすとか、ありえないです」

ゼロ「そ、そうなのか?」

フォウ「はい」


ゼロ「わ、分かった」

フォウ「ご理解いただけたようで良かったです」

ゼロ「はい……。(でも、これまでの様子を見る限り、デカートを憎くは思っていないはずなんだがな……、割と似た者同士だし)」


ゼロ「(…………でもまあ、いいか。二人の問題だしな)」

ゼロ「じゃあ、話を戻そう。チケットだが、遠慮せずに受け取ってくれ」

フォウ「で、ですから、それは……!」


ゼロ「そう言うな。たまには、私に姉らしいことをさせてくれ」

フォウ「……わざわざそんなことをされなくても、ゼロ姉様はいつでも素敵な、私の大好きな姉様ですよ(小声」

ゼロ「ん? 何か言ったか?」


フォウ「な、なんでもないです! 分かりました、チケット、ありがたく頂戴致します!」

ゼロ「そうか。それなら良かった。じゃあ、明日の集合時間だが……」

フォウ「(あぁ、幸せだわ……。ゼロ姉様とクリスマスを一緒に過ごせるなんて! こんなに幸せでいいの、私!?)」









フォウ「(……でも、)」









フォウ「(……とても幸せなはずなのに。何なのだろう、胸に何かがつっかえたような、このよくわからない、漠然とした不安感は。
     さっき、聞いたことも見たこともないシーンを思いついてから、心の底で不安感が消えない。まるで、今のこの幸せが、もうすぐ終わってしまうかのような。
     そんな不安が募るのは……)」

フォウ「(きっと、気のせい……ですよね? ゼロ姉様……)」



終わり



以上で本編終了です。

読んで下さった方々、ありがとうございました!

このSSは、先日「君死二零」の舞台を観に行った結果、とても面白かったので、
少しでも多くの人に舞台を観てもらいたいと思い、書きました。

舞台で使われる音楽には、ニーアやDODシリーズの音楽も使われるので、
ヨコオタロウさんの作品が好きであればあるほど、観劇をおススメします。
(ちなみに昨年上演された、舞台ヨルハver1.1でもニーアやDODシリーズの音楽が使われました。)

「君死二零」の上演は明日まで(2016年12月25日)ですので、お気を付けて。





あと、今日中におまけのSSを投下したいと思います。



すみません、遅くなりました。

短いですが、おまけのSSを投下していきます。

ここからは、漫画版のネタバレを含みます。あと、舞台版のネタバレもほんの少し含みます。
ご注意ください。


ゼロとフォウが話していた同時刻。

とある道端を、とある二人の少年少女(+1人)が駆けていた。



マシロ「クロイくん、急いで! パーティ始まっちゃうよ!」

クロイ「すごいなー、マシロ。寝てるアサギ先生を背負った状態でそのスピードだなんて。
    やっぱり僕も、肉体強化系能力が良かったなあ、とか言ってみたりして」

マシロ「もうっ! 冗談なんて言ってないで急ごう! 多分もう先輩達は全員揃ってるよ!」



クロイ「そうだね、愛しのウスキ先輩も待ってるよ!」

マシロ「な……///!? う、うるさい、死ね! 先輩にはちゃんと彼女が……!」

クロイ「はいはい。じゃあ、そういうことにしておこうかな」

マシロ「そういうことじゃなくて、事実だからね!」


クロイ「ああ、ウスキ先輩を好きって事が?」

マシロ「そうそう……って違う! 違うから! それは事実じゃないから、か……

クロイ「『事実じゃないから、勘違いしないでよね!』って感じ? 良いね、マシロ。いつの間に古典的なツンデレを身に着けたんだい?」

マシロ「もう、知らないっ!」


クロイ「あははっ。ごめん、ごめん。ごめんってば。そんな怒んないでよ、マシロ。あくまで冗談なんだからさ」

マシロ「……」

クロイ「そうだ、じゃあ話を変えよう。例えば……あ、そうだ。クリスマスパーティの料理が、ケーキでも七面鳥でもなく、カレーなのは何でなんだろうね?」

マシロ「……それは、コウジ先輩が、今年のクリスマスこそは、皆で美味しいカレーを食べるパーティをしようって提案して、
    それにウスキ先輩達も同意したからで……。そして私達は、それに誘ってもらった形な訳だけど……」


クロイ「でもさ、今年のクリスマスこそは……ってどういうこと? まるで、ウスキ先輩達と前々から予定はしてたけど、
    なんか理由があって出来なかったみたいなニュアンスだよね? あとコウジ先輩って確か、今年ウチの学校に転校してきたんじゃなかったっけ? 
    ってことは、ウスキ先輩達と知り合ったのは今年のはずだよね? なのに”今年こそ”って、意味わかんないんだけど? それとも、以前から知り合いだった、とか?」

マシロ「そ、それは……、私に聞かれても分からないよ……」


クロイ「だよねー。じゃあそれは後で先輩達に聞こっか。やったね、愛しのウスキ先輩と話せるチャンスだよ!」

マシロ「……」

クロイ「あ、ちょっ、速っ!? 置いてかないでよ、マシロ~!」



終わり



以上で終了です。読んで下さった方々、ありがとうございました。

あと舞台は本日で終了ですが、後日DVDが出るらしいので観れていない方はそちらを是非。

そして遅くなりましたが、DOD3、3周年おめでとうございます!
来年発売のニーア・オートマタも楽しみです!

それでは改めまして、読んで下さった方々、本当に、本当にありがとうございました!

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