ウルトラ魔女ファイト 鎮魂の物語【ウルトラマンゼロ×まどか☆マギカ】 (308)

『ウルトラマンゼロ』『魔法少女まどか☆マギカ』クロスSSの第二部です。

今回は『ウルトラゼロファイト』第一部を元にしたストーリーになります。
http://www.youtube.com/watch?v=WsCbO5C3fww

前スレと同じくマイペースな投下と独自解釈が続きますが、完結まで宜しくお願いします。


前スレ
ウルトラ魔女ファイト【ウルトラマンゼロ×まどか☆マギカ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1365827972/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399472421





ゼロ(俺は光の国の戦士、ウルトラマンゼロ!
   仲間と共に、宇宙の平和を守るべく戦っている)


ゼロ(そんな俺が訪れたある次元の地球、
   そこでは『魔法少女』と呼ばれる戦士たちが、怪物『魔女』を相手に戦っていた)

ゼロ(だが、その戦いは全て『インキュベーター』という連中が、
   人間の少女を犠牲にしてエネルギーを生み出す策略だったんだ)

ゼロ(みんなの未来を守るため、そしてインキュベーターに本当の正義を教えるため、
   最強の魔女との決戦を終えた後、俺は地球を旅立った)


ゼロ(それから一週間後、俺は―――)





【触角宇宙人 その1】




多次元宇宙のどこかに存在する、暗黒と静寂に包まれた異空間。

空には、三つの輪を組み合わせたかのような巨大な門が、
その真下には、広大な大陸が浮かんでいる。

ウルトラマンゼロが地球での戦いを終えて一週間後、彼は一人、浮遊大陸の荒野に降り立っていた。


ゼロ(ここに来るのも久しぶりだな…
   まさかこんな場所に呼びされるとは思わなかったぜ)

ゼロ(俺が初めてウルトラマンとして戦いに臨んだ場所、そしてベリアルとの因縁が生まれた場所)

ゼロ(『怪獣墓場』、か)


ここは『怪獣墓場』。
様々な次元の宇宙から、命を落とした怪物の魂が流れ着く場所。

アナザースペースでの戦いを続けていたゼロは、
「怪獣墓場で待て」というサインを受け取り、数年ぶりにこの地を訪れていた。


ゼロ(あのサインは光の国から届いたものだ。
   きっと、協力を頼んだ宇宙科学技術局で進展があったに違いねぇ)

ゼロ(お前らも今頃は、チームとして上手くやってるはずだよな)

ゼロ(遠く離れても、俺にはわかる。お前らはもう絶望なんてしないと。
   そして四人で力を合わせれば、どんな魔女にも負けはしないと)

ゼロ(マミ、杏子、さやか、ほむら―――再会の時はそう遠くないのかもしれない。
   だから、もう少しだけ待っていてくれ)

 



サインの送り主を待つ間、ゼロは岩の上に腰掛けながら、
次元を隔てた地球で待つ大切な仲間達を想う。

だが、ゼロには彼女達に関して、一つだけ気になっている事があった。


ゼロ(でも…)

ゼロ(もし今会って話せるとしたら、みんなに聞きたい事があるんだ)


ゼロが広げた手のひらの上に、赤と青が入り混じった球が浮かび上がる。
その球はゼロもよく知る力、そして『光』とは異なる力を秘めていた。


ゼロ(どうして俺の中にこんな―――)


その時、叫びとともに大地が揺れた。


ゼロ「!?」


大地を裂いて、地中から怪獣達が姿を現す。

ベムラー、テレスドン、サドラ、グドン。
ウルトラ戦士達と戦ったこともある凶暴な怪獣達だったが、その様子はどこかおかしい。


ゼロ「こいつらまさか…再生怪獣?」

ゼロ「何故だ…」

ゼロ「…何故蘇った!!」


ゼロは力の塊を握り締めると、左腕の腕輪(ウルティメイトイージス)を輝かせる。
すると、鐘を鳴らすかのような音が響き、同時にゼロの体色から青が消えた。

 



赤ゼロ「『前へ進む力』ッ!!」


赤き戦士に姿を変えたゼロは、即座にイージスに収納していたウルトラゼロランスを取り出す。

ゼロが発動した力の影響を受け、ゼロランスは原型を留めない程にその形態を変化させた。


怪獣達はゼロを取り囲み、一斉に襲いかかる。
一体の怪獣が正面から迫り、ゼロに腕を振り下ろした。


赤ゼロ「ハッ!」


素早く槍で攻撃を受け止めるゼロ。
だが、背後からは別の怪獣が迫っている。


赤ゼロ「ふんんっ…!」

赤ゼロ「オルァァッ!!」


ゼロは前方の怪獣を押さえたまま、右足で強烈なキックを繰り出した。

更に怪獣の腕力を物ともせず、槍を振り上げて攻撃を跳ね除ける。
生まれた一瞬の隙をつき、ゼロの槍が怪獣を薙いだ。


赤ゼロ「デェェアッ!!」


キックの威力で吹っ飛ばされた怪獣、そして槍の斬撃を受けた怪獣が爆発を起こす。
倒された二体は、再び魂となって墓場の空へ昇っていった。


赤ゼロ「残るは…!」


二体の再生怪獣は距離を取り、火球や熱線を吐き出してゼロへの攻撃を続けている。
ゼロは拳で火球を弾きながら、再びイージスを輝かせた。

今度はバイオリンの弦を弾くような音とともに、その体は正反対の青一色へと変化する。

 



青ゼロ「『守り抜く力』!」

青ゼロ「シェアッ!!」


怪獣の熱線を避けて空中へ跳ぶと、念じるように力を集中する。

すると、頭部に装着されたゼロスラッガーが青く光り輝く。


青ゼロ「ミラクルゼロスラッガー!」


スラッガーは本来の二本から、無数に分裂して宙を舞う。
そして一斉に怪獣達へ向かうと、反撃する間も与えることなく、その体を切り刻んだ。


青ゼロ「シェアッ!!」


ゼロが着地し、スラッガーがゼロの頭部へ戻る。
同時に怪獣達は爆発を起こし、再び眠れる魂へと戻っていった。


青ゼロ「………」

青ゼロ「…杏子、さやか、どうして俺の中に『魔法』を?」


『前へ進む力』と『守り抜く力』、
ゼロが発動した新たな力の正体、それは魔法少女が扱っていたものと同じ『魔法』。

再生怪獣を全滅させ、ゼロは力を解除して元の姿に戻る。
彼は地球から帰還した直後の、マイティベースでの会話を思い返した。




 






ゼロ「『ワルプルギスの夜』…あまりの強さに歯が立たなくて、俺は一度負けたんだ」

ゼロ「だがマミ、杏子、さやかが、俺にもう一度戦う力をくれた。
   そして三人と一つに合体することで、奴と互角に戦うことができたんだ」

グレン「ゼ…ゼロちゃんが女の子たちと合体ぃぃ!?」

ミラー「貴方とあろうものが、なんと破廉恥な…!」

ジャン弟「だから『ハレンチ』とは、何だ?」

ジャン兄「だからお前は知らなくていい」

ゼロ「ば、バッカ野郎!お前ら絶対わざと言ってんだろ!!」

ゼロ「ともかくだ、俺と分離した時、みんなが…
   いや、マミ以外の二人が俺の中に力を残していったんだ」

ゼロ「見てくれ」


左腕のイージスが、弦を弾く音を響かせ、青い輝きを放つ。
するとゼロの体が青色へと変化する。


青ゼロ「魔法少女の一人、美樹さやかが俺に残した魔法だ」

ジャン弟「この姿、ゼロにどんな力が?」

青ゼロ「スピードと回復力が格段に上がったぜ。
    誰かが傷付いた時には、魔法の力で回復もできるようだ」

青ゼロ「それに―――」


ゼロが魔力を集中すると、頭部のゼロスラッガーが青い光とともに分裂する。


青ゼロ「名付けて『ミラクルゼロスラッガー』だ」

ミラー「技といい青一色の体といい、実にクールですね」

青ゼロ「ま、本人にはクールさの欠片もないんだけどな」

ミラー「確かに、貴方はクールとは程遠い性格ですよね」

青ゼロ「さやかの話だよ!!」

青ゼロ「…まぁいい、次だ」

 



再度イージスが光を放つと、鐘を鳴らすかのような音と共に、体色が赤に変化する。


赤ゼロ「これは、佐倉杏子が俺に残してくれた魔法だ」

グレン「俺と同じ燃えるような赤か!随分と親父さんに近付いたじゃんよ」

赤ゼロ「へへっ、そう思うか?」

ジャン兄「武人のような力強さを感じるな。この姿は、どんな能力が備わったんだ?」

赤ゼロ「パワーが各段に上がったぜ。そして何より…」

赤ゼロ「すげぇ槍が使える」

ジャン兄「ゼロ…」

グレン「槍っておい…」

赤ゼロ「待ーて待て待て!お前らウルトラゼロランスと被ってるって言いてぇんだろ!」

赤ゼロ「しっかり見てろよ!」


取り出したウルトラゼロランスが、魔力を纏ってその形状を変える。
更にゼロが槍を振るうと、槍が他関節に別れ、鞭のような動きを可能にした。


赤ゼロ「見た目も使い方も、杏子が使ってたものと殆ど同じだ。
    もう少し扱い慣れたら、回転で竜巻でも起こせそうだな」

ジャン兄「豪快な戦いも変則的な戦いもこなせるのか。万能だな」

グレン「いいなァそれ、ファイヤースティックと交換しね?」

赤ゼロ「できるか」


ゼロは槍をイージスの中に収納すると、魔法を解除して普段の姿に戻る。

仲間達が関心を示す一方で、ゼロはこの新たなる力について、何かが引っ掛かっている様子だった。

 



ゼロ「だが、わからねぇ…」

ジャン弟「どうしたんだ?」

ゼロ「地球を経つ前に、さやかと杏子が『弱くなった』と言っていた。
   多分、俺に力を半分くらい渡しちまったからだと思う」

ゼロ「この先、魔女との戦いで苦戦する可能性だってある。
   負けてしまえば、魔法少女は……」

ゼロ「なのに、二人ともどうしてこの力を俺に残したんだ…?」

ジャン弟「確かにゼロは今のままで十分強い。わざわざ力を託す必要があったとは思えない」

ジャン兄「ただの土産ではないようだな。魔法少女達も、考えがあっての事なのだろう」

ミラー「何故、リスクを承知で貴方に魔法を与えたのか―――
    力を使っていけば、その本当の意味がわかってくるかもしれませんね」

ゼロ「この力の、本当の意味か…」


迷いと疑問を残しながらも、ゼロは自分の力として『魔法』を使う覚悟を決める。


グレン「そうそう、折角のモードチェンジなんだからよ。
    どんどん使いたくなるようなカッケー名前、みんなで決めちまおうぜ!」

ゼロ「そうだな…名前なら実はもう考えてあるんだ」

グレン「おっ、いいねぇ」

ゼロ「二人の名前を頂いて、『さやか☆マギカゼロ』と『きょうこ☆マギカゼロ』だ!」

グレン「ダメーーーッ!!」

ジャン兄「それは駄目だろう」

ミラー「それは駄目でしょう」

ゼロ「いや何でだよ…」

 

つづく

お待たせしてすみませんでした。



【触角宇宙人 その2】



ゼロ(しかし、とんだ期待外れだったぜ。
   まさかとは思ったが…あのサイン、偽モンだったのかよ)

ゼロ(いや、それよりも―――)


ゼロを怪獣墓場へ導いたサインは、光の国からではなく、彼を狙う何者かの仕業らしい。
だが、今のゼロには自身が騙されていた事以上に許せない事があった。

空を見上げると、怪獣達の魂が浮かび、静かな眠りについている。


ゼロ(この中には平和を乱し、ウルトラ戦士を苦しめた奴らも大勢いる)

ゼロ(…だが、怪獣にだって魂はある。
   ここで静かに眠っている奴らの魂を、勝手に弄ぶことは絶対に許されねぇ)

ゼロ(怪獣達を蘇らせたのは、誰だ?)


ゼロが怒りを感じていたのは、敵が永遠に眠るはずだった魂を悪用している事。

その敵について心当たりを探る内、ある異星人の存在が浮かび上がった。


ゼロ(心当たりなら、なくもないか…)

ゼロ(確か、奴等もここを通じて別の宇宙へ行き来してたらしいからな)

ゼロ(…まさか、インキュベーターが?)


インキュベーターは目的のため、契約を結んだ少女の肉体、そして魂の改造を行っていた。
更に彼等の文明は、別次元の宇宙を調査する目的で、何度も怪獣墓場を訪れていたという。

しかし今の墓場には、インキュベーターの姿どころか、装置などの痕跡一つさえ見当たらない。



ゼロ(いや、違う!)


怪獣を蘇らせた黒幕は他にいる。
ゼロがそれを確信した時、背後で何者かの声が響いた。


グラシエ「実に素晴らしいショーでした」

ゼロ「誰だ」

グラシエ「今のが貴方の新しいチカラですねぇ、ウルトラマンゼ~ロォ~」


振り返れば、そこには人間サイズの宇宙人が一人、岩の上からゼロを見つめていた。

小さな触角の生えた頭部に、青く光る目。
そして折り畳まれた翼と、纏われた鎧。

その特徴全てに、ゼロは心当たりがない。


ゼロ「お前は?」

グラシエ「我が名は、バット星人グラシエ」

グラシエ「地球での長い任務、ご苦労さまでした」

ゼロ「…『バット星人』だと?」


バット星人とは、遠い昔に『ウルトラ抹殺計画』なる作戦を掲げ、光の国を襲撃したことのある宇宙人。

ゼロは地球に滞在していた頃、魔法少女達にその存在について語った事を思い出した。


ゼロ「テメェか、眠っていた怪獣を蘇らせたのは……目的は何だ!!」

グラシエ「私の目的ですか?早い話が、貴方の抹殺です」

 



ゼロ「抹殺だと?」

ゼロ「ヘッ…見た目より随分大きく出やがったな。後で後悔しても知らねぇぞ?」

グラシエ「それならご心配なく。私『呪い』が自在に扱えましてねェ~。
     色々と応用が利くんですよ」

ゼロ「呪い……」

グラシエ「ええ、怪獣を蘇らせるだけではありません。
     貴方には理解できないものも読み取れて、実に面白い!」

グラシエ「さらに、こんなことも…!!」


グラシエが翼を広げて岩山へと飛び上がると、その頂に強いマイナスエネルギーが集中する。

渦巻く負の力は、やがて四体の怪物となってゼロの前に姿を現した。


グラシエ「『人魚の魔女』―――オクタヴィア・フォン・ゼッケンドルフッ!!」


一体目は、剣を握った人魚のような魔女。
そのサイズは、他の三体を遥かに上回る巨体だった。


グラシエ「『武旦の魔女』―――オフィーリアッ!!」


二体目は、武人のごとく馬に跨る魔女。
頭は蝋燭となっており、先端に火を灯している。


グラシエ「『おめかしの魔女』―――キャンデロロッ!!」


三体目は、カラフルで愛らしい魔女。
グラシエほどではないが、そのサイズは四体の中で最も小さい。


グラシエ「『此岸の魔女』―――ホムリリィッ!!」


そして最後は、帽子と黒衣に身を包んだ、言葉のイメージを体現するような『魔女』。


グラシエ「貴方と戦わせるために用意した、選りすぐりの『魔女』達―――」

グラシエ「その名も『地獄の四獣士』ッ!!」

 



ゼロ「魔女…だと?」


ゼロが見たことの無いタイプではあったが、グラシエが従える怪物達は明らかに『魔女』。

それは敵が次元を越え、魔法少女の存在する地球を訪れたことを意味していた。


グラシエ「貴方の実力では、魔女の強さはさぞ物足りなかったことでしょう。
     そう思いまして、まともに戦えるレベルまで呪いを注ぎ込んで強化しておきました」

ゼロ「まさか、テメェもあの地球に……」

グラシエ「……ククッ」

ゼロ「今まで一体どこに隠れていやがった…!あの星と人間達に、何かしやがったのか!?」

グラシエ「さぁーてねぇ?」

グラシエ「真実を知りたければ、四獣士を倒し、私を追い詰めてごらんなさい!」

グラシエ「クックックッ…」


グラシエの狙いは、ゼロと魔女達を戦わせることにあるらしい。

敵は他にも罠を仕掛けているのか、この戦いそのものが罠なのか…

ゼロの脳裏に様々な考えがよぎる。
だが、地球に及んでいるかもしれない危機を前に、選択の余地はない。


ゼロ「チッ………上等だ」

ゼロ「地獄を見るのはどっちか、教えてやるぜッ!!」


ゼロは跳躍し、グラシエと四体の魔女に向かっていく。

雷鳴とともに、魔女との新たな戦いが幕を開けた。


 

つづく

登場人物についての補足です。



■ウルトラマンゼロ

まどマギ宇宙から帰還した後、アナザースペースを守る戦いを続けながら、
「ソウルジェムにされた魂の解放」と「魔法少女に代わるエネルギー技術」を模索しています。

ワルプル戦で合体した際、さやかと杏子から魔法の半分を残されており、
今回はその力をモードチェンジに使用して戦います。
(原典のストロングコロナゼロとルナミラクルゼロにあたる能力です)



■インキュベーター

ゼロが去った後も、変わらず魔法少女の搾取を続けています。

ウルトラマンでも説得不可能な存在というのがSSでの解釈ですが、
ゼロは若さと『キラー ザ ビートスター』での経験から、力以外での解決に拘っている状態です。

(もしゼロではなくウルトラ兄弟なら、QB殲滅を選ぶと考えてます)



■魔法少女たち

ゼロが元の宇宙へ帰った後、マミをリーダーとした四人のチームとして行動しています。

しかし、ほむらは時間停止の魔法を失い、さやかと杏子は魔法の半分をゼロに託し、
全力で戦えるのはマミ一人という状況です。

ゼロの帰還を信じて、見滝原で魔女との戦いを続けているはずですが…

 



■触角宇宙人 バット星人

『帰ってきたウルトラマン』最終話で初登場した、ゼットン等の怪獣養殖を得意とする種族です。

「命を固形化する技術」を目当てにウルトラマン達の故郷に戦争を仕掛け、敗北したことがあり、
その戦争から未来の時代には、様々な次元の宇宙を侵略や消滅に追い込んでいるようです。

ビートスターの宇宙を滅ぼした『邪悪な異星人』の正体でもあります。



■グラシエ

『ウルトラゼロファイト』第一部に登場したバット星人の一人。
原典でも、呪いの力で怪獣墓場の魂を蘇らせ、ゼロと戦わせる悪党でした。

このSSでは、ループ開始から二週間後にあたるタイミングで地球に侵入。
呪いの応用で魔女文字が解読でき、ゼロの行動を監視しつつ、物語の合間に魔女解説をしていました。

目的はゼロの抹殺ですが、魔女やほむらの時間魔法にも大きな関心を抱いています。



■地獄の四獣士

原典では、グラシエが呪いの力で蘇らせた四体の再生怪獣です。
「剛腕のレッドキング」「幻惑のガルベロス」
「不条理のガンQ」「悪食のベムスター」が登場し、ゼロと連戦を繰り広げました。

このSSではゼロがまだ戦っていない四体の魔女で構成。
参考はPSP版なので、『くるみ割りの魔女』の設定は無関係に進めます。



■サーガのバット星人

映画『ウルトラマンサーガ』に登場した東国原バット星人も、SSの設定上では存在しています。

ハイパーゼットンを生み出す計画を行っておらず、
次元を越える宇宙船を造る等、バット星の科学者として活躍中。

物語には殆ど関わらない要素ですが、いつか『邪神』になるという野望も一応は胸に秘めています。

 


>ウルトラ兄弟ならQB殲滅を選ぶと考える
これウルトラ兄弟を見損なうなあ
別にQBは侵略者じゃないわけじゃん、曲がりなりにも宇宙の寿命を伸ばすためにやってるんだし
大体、ウルトラマンだって優先順位が人類>宇宙だし、命を差別してるとか言われたっておかしくないぞ?

人類は特別に贔屓するくせに他の宇宙人はそうでもないじゃん
人類と他の宇宙人に差にそこまで明確な差があるとでもいうのか?
ましてや自分達とほぼ関係ない地球人を見返りもなく助けるとか、ある意味異常だと思うんだけど


>ウルトラ兄弟ならQB殲滅を選ぶと考える
これウルトラ兄弟を見損なうなあ
別にQBは侵略者じゃないわけじゃん、曲がりなりにも宇宙の寿命を伸ばすためにやってるんだし
大体、ウルトラマンだって優先順位が人類>宇宙だし、命を差別してるとか言われたっておかしくないぞ?

それに人類は特別に贔屓するくせに他の宇宙人はそうでもないじゃん
人類と他の宇宙人に差にそこまで明確な差があるとでもいうのか?
人間って今も昔も非道な事をやり続けている種族でもあるんだぜ?
ましてや自分達とほぼ関係ない地球人を見返りもなく助けるとか、ある意味異常だと思うんだけど

いくら侵略の意思はないといえど、(願いを叶えて契約した女の子そのものはともかく)魔女を関節的に生み出した元凶で
その魔女のせいで何人もの一般人が毎日のように食われて命を落としているのは事実でしょ。
その魔女の集合体(ワルプルとか)のせいで街が壊滅したりしてる訳だし
宇宙の消滅なんて何百億年後の話だし、その為に他所の星の人の命を奪うのが許せないってのは彼らの考え

あとウルトラマンは地球に迫る外敵を対処してるだけ
地球人が何もしてない他惑星に攻撃をけしかけるのを手助けとかしないですし
地球が舞台だから地球人の味方なわけで、他の知的生命がいる惑星を守ってるウルトラマンだっています
あと、人間が残酷なことしているのは事実だけれど、心から優しい人もいます。テロリストだけが人間じゃあありませんから
人間にも、困ってる相手を見返りなく助ける人、いますよね それの範囲を広くしただけ

>>22
困ってる人がいたら見返り関係なく助ける、確かにそういう人はいるね
でも自分の命を掛けてまで毎日それを行えるものなの?
無論そういう人もいると思う。誰でも一度や二度ならできるかもしれないけれども、それを毎日何の見返りもなしにやるんだぞ?
有事の際には身を呈して市民を助ける警察や軍人とかも、それに対する見返りとして保障や手当を渡されるわけだしさ
まどマギの魔法少女達も「見返りなんていらない」と言いつつも、心の底ではそれを欲していたんだし
誰しも見返りも欲もなしで、使命の為、人の為なんてお題目で命を掛けられる人なんていないよ
そうじゃないなら、それはどっか壊れてると思う。Fateの衛宮士郎とかオーズの火野映司みたいさ
もしくは人間とは全く価値観が異なる、理解が及ばない宇宙人とかね
そういう意味じゃ方向性が正反対なだけでウルトラマンとインキュベーターも同じさ

だが彼らのおかげでまどマギ世界の地球は発展してきたわけじゃない
少女を犠牲にし魔女が生まれるとはいえ、それ以上の恩恵を人類に齎してるんだし
それを否定するって事は、あの世界の人類の発展、更には魔法少女になった事で救われた人達はどうするのさ?
QBがいなかったら、マミは事故で死ぬし、杏子は家族揃って餓死、恭介の腕は一生治らないまま
外伝もたせば、かなりの数の人間が救われない事になるな
一種の共生関係みたいなもんなんだよ、QBとあの世界の人類は
酸素を生みだしてる植物や体の中にいて器官の働きを良くしている微生物と一緒だ
あいつらを排除したら逆にあの世界も衰退する畏れもあるわけなんだし、リスクも相当だと思うけど
それでも自分達の正義のために排除するってなら、それは一種の独善だろ

いくらマミや杏子の命が~とか言ってもさ
別に彼女達があの状況に陥ったのは彼女達(家族含む)のせいじゃない、責めるつもりはないけど責任は誰にある?と聞かれれば誰でもない
むしろ、それを助けるが為により多くの人間が魔女に食われてる訳だけど
魔法少女によって魔女から助けられる=それより多くの人が魔女に食われている だからね
大を生かす為に小を捨てると言っちゃあ非情だけれど、当人らの問題を解決するが為に関係無い一般人を見捨てるのかね?
名前のついていないモブがいくら死のうと彼女らが生きていればいいのかね?

あと、独善っつうけど命を尊重し命を意図的に奪うのを悪として見るのを独善とするならこの世界の法だとかも独善になるのだけれど
文明の発展だってまともに知能があれば進んでいくハズだし

>>27
だとしてもリスクも大きいんじゃないかね?
クレオパトラ、ジャンヌダルク、卑弥呼、歴史上の数々の偉人が魔法少女だという事は
インキュベーターが言ってる通りに歴史のターニングポイントに必ず魔法少女がいたという事
彼女達が何を願ったかは知らないが普通なら到底叶わない様な願いをした結果じゃないの?
確かに自分達がいる世界は自分達の力や知能で発展させてきたかもしれない
でもあの世界ではそうじゃないだろ?あの世界は実際に魔法少女の願いによって発展してきたという法則の上に成り立ってるじゃない
今まで頼ってきたものを捨て去るって凄くリスクが大きいよ
例えるなら、君は「原子力発電所は危険だから、全て停止しましょう。」って言われて皆が皆、納得すると思うか?
実際にそんな事をした日にゃあ、世界中が電気不足になるだろうし
自分達の生活も不便になるだろうね
いくらリスクが大きくても、それにより恩恵が凄まじいから、いつ迄たっても無くなるどころか増えるんであって…

あの世界の魔法少女達が魔女になるのはQBが何かしたわけではない
希望を求めたら、その分だけ絶望がやってくるというプラマイゼロの法則がある
希望を求めた因果が何かしらの皺寄せになってやって来るんだよ
その証拠にさやかは魔法少女の秘密を知らなくても絶望して魔女になったわけで
QBをどうにかした所で少女達が救われるわけじゃない

やったらジャンヌダルク引き合いに出されてるけど別にあの人現実でも魔法だのなしで物事成し遂げているからね
現実世界でも出来ない事をやったならともかく魔法なしで出来た事を魔法使って出来たとしても別にそれがどうってわけじゃあないぞ
それとも、あの世界の人間たちは魔法なしでは何も成し遂げる事の出来ないバカの集まりとでもいいたいのか?
有史以前から存在している魔女や魔法少女の存在に気づかない、何も対処してる気配がないあたり本当にバカかもしれんけどさ

戦争をいくつか止めただけで有史以前から世界中で続く魔女の人食いを逆転出来るわけないだろうに
願いによる影響の人死とか魔法少女による殺人も含めりゃもっとだ
そもそも緻密に計算して事を成し遂げたとしてもそれが裏目に出るかもしれないのに魔法で突発的に物を行ったら
その歪みで世界情勢がめちゃくちゃになる可能性がとても高いわけで、そんな物理的にも経済的にもドでかい爆弾背負わされてるとか普通なら嫌だろ

求めている対価を事前に理解させようとしていない(むしろ効率のために可能な限り隠蔽する。やつらの言う「ちゃんと聞けば」は「誤魔化しようがないレベルで突っ込んで聞く」と言うこと)
その結果出来るクリームヒルトやワルプルギスは放置
「人類の発展に関わっていた」が、絶対必要だったかは不明。語られたのはQBの予測のみ、しかも確率は伏せられてる。また、人類発見当初から知的生命体と認識するだけの何らかの発展はあった
「今後の発展に必要か」は不明。独自発展力が無いわけではないのは上記の通り
過去改変して影響排除してどうなるかは不明だが、今システム止めて魔女駆逐しても文明が崩壊するわけでもない
「理解しようとすること」は「理解した結果やっぱ倒す」と言う判断を否定しない

魔女にしないようにするとか魔法少女や魔女から人に戻せるようにするための研究をしているかどうかにもある程度よるだろうけど、
現行のシステムをこれ以上利用しようとすることは許さないだろうし強行するなら倒すんじゃね?
どっちにも問題があるなら「大抵の地球人が現行の運用状態を詐欺だと認識する」ことと「ワルプルギスが産まれている、また今後もこのクラス以上の魔女が産まれうる(結果起きなくても良い人類滅亡の可能性がある)」ことを問題視するだろ

>>91
だとしてもQBを排除し魔法少女システムを破棄した事で、あの世界に与える影響も考えなくちゃいけないだろ
万が一にでも魔法少女の願いが無くなった事によって、人類の発展が頭打ちになり衰退してしまったら、どう責任をとるつもりなんだ?
言い方は悪いが、あの世界は>>82が言ってる通り、魔法少女や魔女の存在にずっと気付かなかった世界だ
下手したら、自分達の世界よりも比較して対応力や思考力が落ちてる可能性もある
例を上げるなら、ずっと飼育されてきた動物を自然に帰した所で、大抵の場合は環境に適応できず、すぐに死んでしまうだろ?
宇宙の秩序や人類を守るウルトラマンなら、もっと慎重に対処するだろ

地球原産の怪獣でも人類で対処が難しく危険と思ったら抹[ピーーー]らやりうるウルトラマンに何を
衰退すると決まったわけでもなければ衰退したとしてそこから再発展しないと決まったわけでもない
となればワルプルギスと言う形である程度実証されてる「不必要な絶滅リスクの放置」の排除が先
そもそも「本当に必要悪だったかどうか」というところから疑問視してるところに「必要悪であることを確定した前提で」話をすること自体が無意味

「人間はあんなものに頼らなくったってやっていける。僕たちは人間を信じてる」の一言で流されそうなんだよなぁ……

>>85
魔女の一個体の人食い数は少なくても数が多いだろ 魔女になる前に自殺とか食う前にやっつけられるのも含めて
魔法少女だって一つの街に複数いる状況も珍しくない、戦死率しょっぴいても十分危険なほどに
それが全世界レベルで断続的に行われてるってそれの被害は甚大すぎるだろうに
使い魔だってうようよ生み出されるしそいつらも4~5人食って魔女になる しかも使い魔狩りをやる奴はなかなか珍しい

それにジャンヌの例え出したけど比較対象が他作のフィクションじゃなくて現実だし
もし戦争が魔法少女や魔女のせいで激化し、人間の力だけでは太刀打ち出来ずに契約をせざるを得ない状況であったならば
むしろQBの介入で戦争が激化したということだろ こいつらのせいで余計に被害が大きくなったと

>>96
例えば未曾有の災害や疫病で、それこそ魔女が起こす被害の倍の死者が出たとしよう
もしかしたら、それは魔法少女システムによって解決できたかもしれない
それなのに、「それは人類が自力で解決しなくてはならない問題だ」というのは無責任過ぎるのではないのかね?
後々の事も考えず、あれは悪しきシステムだからと言って排除したくせにアフターケアもしないのはどうかと

>>97
キャラデザの、蒼樹うめのまどマギ4コマ漫画でまどかが似たような事を言って
QBとの繋がりを断つよう願ったら、原始時代で洞穴暮らしになってしまったのがあってだな……
まあギャグだから参考にならないかもしれないが
ほむら曰く「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界で」それが可能なのか疑問だけど
>>68で言ってる様に希望と絶望は差し引きゼロの法則があり、希望があれば絶望は必ずやってくる世界だぜ?

>>99
じゃあQB達が使ったエネルギーのツケはQBで負おう
現状は地球人におっかぶせてるだけだし

「魔女が引き起こす被害の倍の死者が出たとしよう」ってなんでそんな都合のいい状況設定なんだよ
んなこといったら「QBが元凶のワルプルギスのような魔女が現れ国をいくつも壊滅させるような被害をもたらした」って状況も有り得るだろうが

あと悲しみと憎しみばかりを繰り返す、そういう黒い面があるのは大抵どこの世界でも共通です
希望が一つ成し遂げてその後に何でも思い通りになるなんてプリキュアですらやんねーよ
希望と絶望~とかいうけどいい事と悪い事が繰り返されるのが当たり前の世界です 世の中理想と正反対の理不尽だらけでも生きてる人なんてどれだけいると思ってるのか

>>98
戦争を起こしたのも魔女だってのも、君の根拠もない推測の様な気がするけど……
仮にそうだとしても、あの世界は奇跡に頼って発展してきた世界なんだ
その結果、魔女によって災害やら起こってしまった場合は自然の摂理と言えるのではないのか?
何せ古来からそれをやってきたのだし
上でも書いたけど、あの世界の人間は魔法少女の「願い」の上で成り立っている世界なんだよ

>>101
本編、外伝含めあの世界の魔法少女が一人の例外もなく絶望に突き進んだと言うのに
よくそんな楽観的な事が言えるよな

>>102
>>98は「戦争を激化させた」とは言ったが起こしたとは言ってなくね?
あと「奇跡でなりたってる」と「奇跡がなきゃなりたたない」は同じじゃないからそこ混同して理論展開しても意味がない

>>101
本編、外伝含めあの世界の魔法少女が一人の例外もなく破滅に突き進んだと言うのに
よくそんな楽観的な事が言えるよな
あの世界には奇跡を望んだ代償として必ず絶望するという条理があるんだよ
あの世界は本編や外伝見る限りでは、良い事なんて少ない陰の割合が大きい世界にしか見えないが?

ID:1aleIwOk0
こいつインキュベーターじゃね?
で、噛み付いてるのが過去倒されまくった宇宙人連合

>>103
だって誰一人として生きようとも状況を改善しようともしてないですもの あんなのより理不尽な現実に立ち向かうなんて現実でも他作と比べてもねぇ
あといい事なんて少ない陰の割合が大きいなんてのは仕事に励んで上司に怒られる全国のお父さんのだってそうです

ハッキリ言っても、たかだか数週の因果で宇宙丸ごと改変出来る願いが通用すんのに宇宙のほんのゴミカス程にも満たないの地球とQB星人の間でしか使われてないシステム、
それも1+1=2みたいな絶対の法則じゃなくて人工的に作り出された作り物な以上人間がまともな知能持ってるならとっとと解決してそうなもんだが
根本的に人間バカにしすぎ

>>106
じゃあエントロピーの凌駕、宇宙の延命なんて言う奇跡を望んだツケはインキュベーターが自分で負って自分で絶望しなきゃ

必要以上にQB不要論を唱えるてる奴もまどマギアンチにしか見えねーよ
さっきから聞いてると、まどマギの魔法少女自体を否定してる様なもんじゃねって思えるのがチラホラ

地球人を守るために宇宙の秩序、正義と戦った
平成セブンやコスモスVSジャスティスの事を考えるとなあ

助けを求める人がいるなら
QBなんてありふれた侵略宇宙人と同じ扱いをしそうだ
倒したらその後の世界が危機に陥る?
セブンXで人類の管理者を倒したから関係ないんじゃないかな

>>108
そういう世界観なんだろ
イデオンとかエヴァとか見て、BADENDに向かう登場人物達を見てアホだと言ってる様なもんだ

>>110
そもそもの発端が>>1が「宇宙警備隊なら現状の地球からQBを排除すると考えている」という所にID:1aleIwOk0みたいなのが噛み付いてる事
で、その根拠が「これまでもこれからも必要な世界」
そこに対して本当にそうなのかって言う話が出てきて銀河大戦って流れ

>>111
コスモスはカオスヘッダーとも分かり合おうとしたムサシを正しいと認めていたんだが?
助けを求めると言うけど、上でも同じ事が書いてあるけどQBのおかげで救われてる人間が存在する以上は安易に排除するのは得策じゃねーだろ、と
M78星雲の価値観が全てじゃねえだろうが、たくさんの宇宙が存在する様にそこに住む星々で価値観なんて違ってくるだろうが
それこそ色んな作品が数多く存在する様にな
そんでもって、自分らの価値観だけで判断して、インキュベーダーを力で排除しに行こうとしたらそれこそ間違ってしまったウルトラマンそのものじゃねーか

>>118
わかりあおうとすることの、その姿勢の正しさを認めることとその相手を倒すべき敵として排除することは矛盾しないし、
二行目以降はセブンXのラスボスで既に通った道だし、いい加減お前がうるさいし

>>119
だから、QBを倒すべき敵として判断するのが早計だと何度も…

ID:1aleIwOk0、もうやめろよ
QB=倒すべき敵とか結論ありきで語ってる以上は何言っても無駄

>>121
そもそも>>1が「他のウルトラ兄弟ならそう考える」と見做して話を進めてるスレで何いってんのお前

数日前にスレの状態を知りましたが、作成の方を優先してました。
色々とお騒がせしたようでスミマセン。

題材がウルトラとはいえ、かなりネガティブな解釈で作っているSSなので、
二次創作と割り切って読んで頂けると有り難いです。


談義になった件の補足ですが、光の国の総意が「QBの殲滅」という意味ではなく、
QBについても「倒されるべき悪」ではなく「ウルトラとは相容れない正義」と設定しています。

ウルトラ兄弟達は地球を深く愛しているがために、滅亡した世界や少女達の絶望を目の当たりにした時、
個人的な感情に任せてもQBを許さないのではないか…という解釈でした。

ウルトラ兄弟の中には、愛着のあった星を滅ぼされて復讐鬼になっていた人もいましたので。


展開のネタバレは控えますが、ゼロとウルトラ兄弟の考え方の違いについては、
終盤に少しだけ描写が入る予定ではあります。

 



ゼロ(怪獣墓場で待ち構えていた敵、バット星人グラシエ)

ゼロ(奴は眠っていた怪獣の魂を蘇らせるだけでなく、
   地球にしかいないはずの『魔女』までもを操っていた)

ゼロ(地球は果たして無事なのか―――
   それを知るには奴の望みどおりに『魔女』と戦うしかない)

ゼロ(命をオモチャにする悪党め…
   お前の企み、このウルトラマンゼロが必ず打ち砕いてやるぜ!)




 



【人魚の魔女 その1】




ウルトラマンゼロ対『地獄の四獣士』
新たな戦いの幕開けを、グラシエは高らかに宣言する。


グラシエ「さぁ、勝ち抜きゲームのスタートです!」

グラシエ「張り切って行きましょう、ROUND1!!」

グラシエ「―――って、あら?」

ゼロ「要はテメェを追い詰めればいいんだろ?
   こんなくだらねえゲーム、さっさと終わりにしてやるよ!」

ゼロ「ビッグボーナス狙わせてもらうぜ!!」


飛び出したゼロが狙いを定めていたのは、四体の魔女ではなくグラシエ本人。
広げられた巨大な手のひらが、グラシエを捕らえようと迫る。


グラシエ「あらあら、いきなり私を狙ってくるとは」

グラシエ「いけませんねェ…ちゃんと手順を踏んで頂かないと」

ゼロ「なっ!?」


グラシエは翼を広げて舞い上がり、
岩山に集結していた四獣士も突然その姿を消してしまう。

同時にゼロの目の前には、剣を並べたかのような紋章が浮かび上がる。


ゼロ「これは…『口付け』!?」

ゼロ「って、うおわぁぁぁっ!!」


ゼロは勢いあまり、結界への入口となる『口付け』に飛び込んでしまった。

 



ゼロ(魔女結界の中か…)


気が付くと、ゼロは一本道の通路に佇んでいた。
強化された魔女の結界は広く、まるでゼロが人間大に縮んでしまったかのように錯覚させる。



ゼロ(クソッ!まさか魔女を利用する奴が現れるとはな…)

ゼロ(奴さえ止めれば、あの魔女達の呪いも消える……そう思った俺が甘かったようだ)

ゼロ(魔女との戦いは、どうしても避けられないか…)


「魔法少女のなれの果て」という正体を知っているがために、魔女との戦いに気が進まないゼロ。

そして何故か、『地獄の四獣士』の存在も彼の心に引っ掛かっていた。


ゼロ(それにしても、あの魔女達…
   戦ったことはないはずだが、見覚えならあるような気がするぜ)

ゼロ(『シガンの魔女』だっけか?あの魔女以外は、どこかで……)

ゼロ(………)

ゼロ(いや……今更立ち止まってられないな)

ゼロ(地球では毎日のように戦ってた相手だろ。
   それにほむら達だって、今も地球で魔女との戦いを続けてるんだ)

ゼロ(俺が今やるべきは、あの魔女達を倒し、早くこの戦いを終わらせること。
   魔女の元になった魔法少女も、それを望んでるに違いねぇ!)


魔女が呪いを振りまく存在である以上、誰かが倒さなければならない―――
ゼロは地球で何度も自分に言い聞かせた覚悟を思い出し、再び通路を進み出した。

 



長い廊下を突き進み、ようやくゼロは最深部へと辿り着く。

広がっていたのは、使い魔達の演奏が響き渡るコンサートホールだった。


ゼロ「待たせたな!」


結界の主は『人魚の魔女』。
呪いの力を注ぎ込まれ、ゼロはおろか『ワルプルギスの夜』をも凌ぐ巨体へと変貌していた。

ゼロの真上では、グラシエが浮遊しながら演奏に聴き入っている。


グラシエ「悲壮感に満ち溢れたこの素晴らしい演奏……如何でしょう、ゼロ?」

ゼロ「そうだな、さっさと幕を降ろしてやらないとな」

グラシエ「あっらあら、そんなコトしちゃっていいんですかぁ?」

グラシエ「未来を捨てたオクタヴィアに残りしは、手下達の演奏、在りし日の感動!
     それを邪魔する存在を、彼女は決して許しはしませんよォォ~?」

ゼロ「邪魔させるよう、テメェが仕組んでんだろうが!」

ゼロ「何にせよ、俺は戦う!俺は負けねぇ!」

グラシエ「そうですか……ククッ」

グラシエ「……では覚えておくといいですよ、ゼロ。
     オクタヴィアの性質、それは『恋慕』」

ゼロ「『恋慕』?」

グラシエ「さぁ、本格的に始めるとしましょう!」

グラシエ「ROUND1!!」

 



人型の使い魔が指揮棒を振るい、呪いの演奏は続けられる。
そして主である『人魚の魔女』は、コンサートを邪魔させまいと戦闘体制に移っていた。

剣を振り上げた魔女の周囲に、幾つもの車輪が生成される。
そして狙いをゼロに定め、回転する車輪を一斉に放つ。


ゼロ「はああぁーーーっ!!」


ゼロも腕をL字に組むと、『ワイドゼロショット』を放ち、向かってくる車輪を破壊する。

だが、車輪は次々に作られてはゼロへ向けて飛ばされていく。


ゼロ「ハッ!」

ゼロ「シェアッ!……おおっと!?」

ゼロ「うおわっ!!」


応戦を続けるが、やがてゼロの攻撃が追い付かず、
周囲は転がり回る車輪で埋め尽くされていく。

反撃の機を伺うが、今のゼロには転がり回る車輪を避けることで精一杯だった。


ゼロ「ったく…数撃ちゃあたるってか?」

ゼロ「だったら俺も、ゴリ押しで行かせてもらうとするぜ!」

ゼロ「『前へ進む力』―――」


ゼロは左腕のイージスを光らせ、魔法の力で赤き戦士へと変わる。
同時にウルトラゼロランスも取り出し、その形態を変化させた。


赤ゼロ「きょうこ☆マギカ…ゼロッ!!」


変身直後のゼロを車輪が襲う。
だが、パワーを格段に向上させたゼロは、パンチ一発で車輪を打ち砕いてみせた。

 




赤ゼロ「オォラッ!!」

赤ゼロ「デェァリャッ!!」


リーチの長い魔槍を振り回し、ゼロは車輪を豪快に破壊していく。

周囲の車輪は一掃できたが、魔女は結界内を回るように移動しながら、
すぐに新たな車輪を作り出していた。


赤ゼロ「まったく…埒が明かねぇな」

赤ゼロ「そんじゃ、ちょっくら試してみるとするか」


敵の生成能力は、無尽蔵と思えるほど。
対するゼロは槍を多関節に変化させ、自分の周囲で振り回し始める。

回転は勢いを増し、やがて竜巻へと成長した。


赤ゼロ「まとめて返品させてもらうぜ!」

赤ゼロ「ウルトラハリケーンッ!!」


発生した竜巻は車輪と破片を舞い上げ、それらを作り出した魔女に襲い掛かる。

移動を続けていた魔女は自ら静止し、手にした剣を高く振り上げる。
そして、迫る竜巻と真下のゼロへ向け、一気に剣を振り下ろした。


赤ゼロ「やるな!」


その一振りは竜巻を裂き、舞い上げられた車輪と破片を吹き飛ばす。

更に叩きつけられた剣が地面を揺らし、衝撃波を起こした。

 



赤ゼロ「シェアッ!!」


ゼロは衝撃が発生した直後に、空中へと飛び上がっていた。
片手には槍を、もう片方は拳を握り締め、魔女の頭部へ突き進む。


赤ゼロ「ようやく隙作りやがったな!」

赤ゼロ「オラァァッ!!」


ゼロが繰り出した拳が、魔女の顔面に命中する。
鐘を打ち鳴らすかのような音とともに、魔女の巨体は大きく揺さぶられた。

魔女は剣を落として倒れこむが、尾をうねらせ、すぐに体制を立て直す。

だがその間に、ゼロは再び魔女の頭部へ近付いていた。
宇宙拳法『ウルトラゼロキック』を繰り出そうと、ゼロの脚が炎を纏う。


赤ゼロ「さぁ、もう眠―――」

魔女「ウゥアアアァァァァァッ!!」

魔女「アアアアアァァァァァーーーッッ!!」

赤ゼロ「…!?」


目前に迫ったゼロへ向け、魔女は演奏を掻き消すほどの悲痛な叫びを響かせる。

その叫びを耳にしたゼロの脚からは、炎が消えた。

 

つづく

次回は日曜に投下予定です。



【人魚の魔女 その2】



魔女「ウゥアアアァァァァァッ!!」

魔女「アアアアアァァァァァーーーッッ!!」

赤ゼロ「…!?」


コンサートホールに響き渡る魔女の叫びが、
ゼロの頭を揺さぶるとともに、ある記憶を呼び起こす。


赤ゼロ(そうか……そういう事か)

赤ゼロ(思い出したぜ。『地獄の四獣士』、お前等は―――)


しかし、纏った炎とともにキックの勢いまでも消してしまったゼロ。
その隙を魔女は容赦なく狙う。

気が付けばゼロの目前に、魔女の尾が迫っていた。


赤ゼロ「しまった!?」

赤ゼロ「うぐおぉっ!!」


反応が遅れたゼロに尾びれが直撃し、その体は地面へと叩き付けられる。


赤ゼロ「うあっ……」


立ち込める土煙の中、ゼロは倒れ込んだまま動かない。

だが、ゼロは完全に思い出していた。
『地獄の四獣士』を、一体どこで目にしたのかを。

 



赤ゼロ(間違いなく、俺は四体の内どの魔女とも戦ったことはない)

赤ゼロ(なのにどうして覚えがあるのか、やっとわかった)

赤ゼロ(戦ったのは俺じゃねえ……ほむらだ)


その記憶は、地球に滞在した最後の日に遡る。

『ワルプルギスの夜』との決戦で一度敗れたゼロの精神は、ある空間で目を覚ました。
彼を地球へ導いた守護神『ウルトラマンノア』の力なのかは定かではないが、
その空間では、ほむらが繰り返してきた戦いの断片的な記録が映し出されていた。

そして四獣士の内三体、『人魚』『武旦』『おめかし』の魔女も、
ほむらが戦った魔女として、映像の中にその姿を見せていたのだった。


赤ゼロ(ほむらは長い間、ずっと見滝原の中で戦ってきた。
    つまり『地獄の四獣士』も、あの街のどこかに現れるはずだった魔女)

赤ゼロ(そいつらがここにいるってことは、あのコウモリ野郎も見滝原で魔女を…)

赤ゼロ(でも、最後の魔女は……?)


目覚めた記憶が、ゼロを次第に不安へと駆りたてていく。

だが、目の前の戦いはまだ終わっていない。
倒れたままのゼロに、浮遊しながらグラシエが叫ぶ。


グラシエ「考え事ばかりしてるんじゃありません!もっと戦いに集中しなさい!!」

赤ゼロ「!?」


魔女が右腕を伸ばし、ゼロの体を掴み取る。

捕えたゼロを握り潰そうと、魔女は手に力を込め始めた。



赤ゼロ「ぐ…ぁっ!」


魔女の手の中から抜け出せず、苦しむゼロ。
徐々に強まっていく握力と同様に、心の内側でも不安が膨れ上がっていく。


赤ゼロ(心のどこかで考えないようにしていた…)

赤ゼロ(今だって、そんな事はありえねぇと俺は信じてる)

赤ゼロ(…そのはずなのに、どうしても考えずにはいられなくなっちまってる)

赤ゼロ(あの魔女達は、まさか―――)


赤ゼロ「ぐあああぁぁっ!!」


締め上げる力は更に増し、内に向き続けていたゼロの意識を強引に引き戻した。


赤ゼロ「これはさすがにヤバそうだぜ…」

赤ゼロ「ぐ……シェアッ!!」


ゼロは魔女へ首を向けると、額から『エメリウムスラッシュ』を撃ち出す。
高速で撃ち出された熱線が、魔女の右腕を貫いた。

込められていた力が途端に弱まり、チャンスとばかりにゼロは赤い魔力を漲らせる。


赤ゼロ「うおおおおぉーーーっ!!」


赤きゼロの怪力が、魔女の手を徐々にこじ開けていく。

あと少しで抜け出せる所まで隙間は広がっていくが、
魔女はゼロを無傷で脱出させることを許さなかった。

 



赤ゼロ「ちょ…待て、何する気だ!?」

赤ゼロ「おい!!」


魔女はゼロを握り締めたまま、大きく体を捻らせる。
すると、手の中に収まっていたゼロを思い切り投げつけ、その体を再び地面へ衝突させた。


赤ゼロ「うああぁーーーーっ!!」

赤ゼロ「ぐはぁっ!!」


衝突のダメージから、ゼロは思わず魔法の力を解除してしまう。

通常時の姿に戻ったゼロは、痛む体をゆっくりと起こす。
だが、魔女もすぐさま落としていた剣を拾い上げ、再びゼロに振り下ろす。


ゼロ「痛ってて…」

ゼロ「…って、危ねぇ!!」


ゼロは転がるように攻撃を避けるが、
叩き付けられた剣は、再び周囲に衝撃波を発生させた。

結界の床は二度目の衝撃に耐えられず、ついにコンサートホールが崩落する。


ゼロ(クソ…思うように戦えねぇ…)

ゼロ(俺は恐れているのか?…この魔女との戦いを)

ゼロ(いや、俺が恐れてるのはそれ以上のことだ……)


グラシエ「クックックッ…」


瓦礫とともに、ゼロと魔女は下層へと落ちていく。
戦いを見物していたグラシエも、下降してその後を追った。


 



『見滝原の魔女』

ゼロ(俺の監視ついでに、隠れてた魔女をとっ捕まえただけだ。
   あの街だけでも、結構な数が潜んでたんだからな)


『選りすぐり』

ゼロ(強そうな魔女を選んだってだけの話だ!)


下層へ落ちゆくゼロは、心の中で不安要素を否定し続けていた。
迷いや恐れを打ち払い、『人魚の魔女』との決着をつけるために。


『四体』

ゼロ(数に深い意味はねぇ!偶然だ!)


『此岸の魔女』

ゼロ(ほむらも見てないってことは、他の街で捕まえた魔女に決まってる!)

ゼロ(それで全て説明はつく……だから、恐れるな)


魔女を見つめながら、拳を握るゼロ。
その手には、魔法の解除と同時に通常形態に戻ったウルトラゼロランスが握られている。


ゼロ(恐れるな…)

ゼロ(恐れるな…!)

ゼロ(恐れるなっ!!)


落下に身を任せるがままだったゼロは、魔女の元へ飛ぶ。


ゼロ「シェアァァッ!!」


魔女の頭部に狙いを定め、その額にゼロランスを突き立てた。

 



魔女「アアア……」


額を深々と貫かれた魔女は、動きを止めて下層に倒れ込む。

ゼロは魔女から距離を取って着地すると、二本のゼロスラッガーを手にする。


ゼロ「シャッ!」

ゼロ「今度こそ、とどめだ!」


ゼロはスラッガー二本をカラータイマーの両側に装着すると、
エネルギーを集中し、必殺光線『ゼロツインシュート』を放つ。


ゼロ「うぉっらあああぁーーっ!!」

魔女「アアア……アアアァッ!!」

ゼロ「おおおおおーーーーーーっ!!」

魔女「アアァーーーーーッ!!」


魔女はツインシュートを正面から受け続けるが、
その威力には耐え切れず爆発を起こす。

爆炎の中にもがき苦しむ魔女の影が映ったが、それもやがて消えていった。


ゼロ「………」

ゼロ「…これで一体目か」


『人魚の魔女』の死によって、結界は揺らぎ、消滅を始める。
ゼロの周囲は、徐々に怪獣墓場の荒野へと戻っていった。


グラシエ「あ~あ~あ~」

グラシエ「アッハハハハハハッ!!」

グラシエ「いやはや、盛大に殺ってしまいましたねェーーゼロッ!!」


一戦目はゼロの勝利で終わったにもかかわらず、
現れたグラシエは悔しがるどころか、高笑いを上げている。

 



ゼロ「何が可笑しい」

グラシエ「新たな力を手にしておきながら、その残念な戦いぶり……ヒヒッ!
     貴方、いくらなんでも迷いすぎデス」

ゼロ「迷いだと?俺は何も迷っちゃいねぇ」

グラシエ「またまたご冗談を!貴方、本当はもう気付いてるのではありませんか?」

グラシエ「『人魚の魔女』、オクタヴィアの正体に」

ゼロ「!!」


ゼロは秘めた不安も恐れも、全てグラシエに見透かされていることを悟る。


ゼロ「…知らねえな」

グラシエ「ヒントなら事前に伝えたはずですよ?彼女の性質は『恋慕』であると」

グラシエ「心当たりならあるじゃないですかァ~
     叶わぬ恋に身を焦がし、心を壊しかけた魔法少女の存在が!」

ゼロ「…ッ!?」

ゼロ「…だから知らねぇって言ってんだろうが!!」

グラシエ「仲間を知らないだなんてアナタ!
     美樹さやかさんがカワイソウじゃありませんか!この薄情者っ!!」

ゼロ「さや……」

グラシエ「あら~っ!熱くなりすぎて、思わず口を滑らせてしまいました!」

グラシエ「私って、ほんとバカ」


わざとらしさしか感じられないグラシエの言葉に、ゼロが凍りつく。

グラシエが口にしたのは、ゼロが頑なに否定しようとした最悪の事実だった。


ゼロ「ハハハ……ないない」

ゼロ「ありえないぜ」


右腕が震えていることに気付いたゼロは、左腕で掴み、抑えようとする。
だが、その震えはゼロの体全体に広がっていく。


ゼロ「あいつらが絶望とか……」

ゼロ「…ありえねぇだろ……」


小刻みに震える足元に突如、別の『口付け』が展開する。
落とし穴に落ちていくかのように、ゼロは結界へ引きずり込まれてしまった。

 








グラシエ「らうんどつー♪」





 

つづく

次回分はなるべく早めに仕上げます。

今月に入って投下なしでスミマセン。

仕事が多忙な時期に突入し、作成の時間が殆ど取れていません。
今月下旬頃には再開しますので、もうしばらくお待ちください。




話は変わりますが、先週のウルトラマン列伝でまたグレイブゲートから別宇宙へ行く描写が…
昨年のゼロファイト2部といい、設定がよくわからなくなってきました。

SS設定の再確認ですが、グレイブゲートと直に繋がっている次元は、
M78ワールド(ウルトラ兄弟達のいる宇宙)だけです。

アナザースペース(ゼロの拠点宇宙)やまどマギ宇宙等の別次元は、
怪獣墓場内にゲートとは別のルートが、次元の歪みのような形で存在している解釈です。





ゼロ(バット星人のゲームに乗せられた俺は、奴の従える『人魚の魔女』と激突した)

ゼロ(その巨体と車輪を作り出す能力を相手に、俺は魔法の力で立ち向かう!)

ゼロ(色々あって苦戦を強いられたが、何とか勝利することはできた。
   だがその直後、奴は残酷な事実を俺に突き付ける)

ゼロ(考えたくなかった魔女の正体、それは―――)



 



【武旦の魔女 その1】



石造りの橋のような場所に降り立ったゼロ。
新たに引き込まれた結界の内部は薄暗く、霧が立ち込めている。

後を追うように、グラシエも結界内に舞い降りてきた。


ゼロ「………」

ゼロ「さやかが…みんなが魔女になっただと…?」

グラシエ「はい」

グラシエ「『人魚の魔女』、オクタヴィア!フォン!ゼッケンドルフッ!!
     …は、美樹さやかが魔女化した姿です」

ゼロ「そんなの…信じられるか!」

グラシエ「嘘か真か、知っているのは私だけです」

ゼロ「俺にはわかるんだ…あいつらは希望を掴んで、未来を信じた!もう絶望なんかしたりしない!」

ゼロ「それに、あれからまだ一週間しか経ってねぇ!!」

グラシエ「もう一週間、ですけど?」

ゼロ「くっ…」

グラシエ「我々と人間では、時間の流れが大きく異なることをお忘れなく」

ゼロ「嘘だ……」


体を震わせながら、ゼロはグラシエの暴露を否定し続ける。

『人魚の魔女』と戦った時点で予感していたとはいえ、到底受け止められる内容ではない。


グラシエ「うーむ、やはりまだ疑われてるようですね。
     ですが、彼女の相手をすれば嫌でもわかることでしょう」

グラシエ「オフィーリア!」

 



霧の奥から火の玉が、凄まじい速度でこちらへ迫ってくる。

やがて火の玉は、馬を駆り、槍を振り回す魔女へと姿を変える。
それは四獣士の二番手『武旦の魔女』だった。


ゼロ「!?」


物言わぬ魔女は、ゼロの間合いに踏み込むと槍を振り上げる。


ゼロ「ぐあぁっ!!」


繰り出された一撃が、動揺で動きの鈍ったゼロを吹っ飛ばす。

魔女はゼロの体が地面に落ちるよりも速く距離を詰めると、
馬の前脚から、ゼロの腹部目掛けて蹴りを打ち込む。


ゼロ「ごっふっ…!!」

ゼロ「ぐお……」


更に後方へ蹴り飛ばされるゼロ。
だが、その体は何かにぶつかって制止する。


ゼロ「がはっ…はっ…」

ゼロ「……網…?」


その背には、編み目のような赤い障壁が作り出されていた。
この壁も、魔女の能力の一部らしい。

ゼロはすぐに正面へ向き直るが、そこには既に魔女が槍を構えていた。


ゼロ「いつの間に…ッ!?」


逃げ場のない獲物を貫こうと、魔女は容赦なく槍を突き出す。
ゼロは咄嗟に手を伸ばし、迫る槍を掴み取った。

 



ゼロ「くっ…」

グラシエ「『武旦の魔女』オフィーリア、その性質は『自棄』です」

グラシエ「自分を見失い、深い霧の中をさまよい続ける哀れなオフィーリア!
     彼女が失わずに済んだのは、最早その『力』だけです」

グラシエ「ねぇゼロ……彼女の戦い方、貴方も覚えがありませんか?」

ゼロ「………」

ゼロ「……杏子…」

グラシエ「セイカイ」


追い打ちをかけるかのような事実に、槍を寸前で止めていたゼロの力が急激に弱まる。

槍の先端は、次第にカラータイマーへと迫っていく。


ゼロ「うあっ……」

グラシエ「まだです、オフィーリア」

グラシエ「彼にはまだ選んでもらわねばなりませんので」


魔女はグラシエに従い、槍を突き出すことを止めた。
代わりに魔女は槍を振り上げ、槍を握り締めたままのゼロを宙へ投げ飛ばす。

力を発揮できないゼロは、受け身を取ることもできずに落下した。


ゼロ(どうやら、コウモリ野郎の話は本当らしい…)

ゼロ(嫌でも伝わってくるぜ…その戦い方、この感覚…)

ゼロ(お前は、杏子だ…)


ゼロ(でも…どうして…)

ゼロ「…どうしてなんだ!!」


倒れたまま苦悩するゼロへ、魔女は槍の刃先を向けた。

 



グラシエ「おわかりになりましたか?
     私が用意した『地獄の四獣士』が、貴方のお仲間の魔女であると」

グラシエ「その仲間の頭に槍を突き刺した挙げ句、焼き殺すなんてねぇ…クックック…
     貴方、意外と『闇』の資質があるんじゃありませんか?」

ゼロ「うるせぇ……」

ゼロ「テメェなんかと一緒に…するなガハッ!?」


起き上がろうとするゼロの背中に、魔女が槍を叩きつけた。

再び地面に伏せるゼロに、グラシエは心無い挑発を続ける。


グラシエ「ほらほら、いつまで寝てるんですかァ~?
     墓場の空で、さやかさんもお待ちかねですよォ~?」

グラシエ「一人ぼっちは寂しいですもんねぇ~~誰かが一緒にいてあげないと!」

グラシエ「アナタが死んで彼女に寄り添うか、オフィーリアを倒して後を追わせるか」

グラシエ「二つに一つ、さぁどちらかお選びなさい!!」

ゼロ「選べるわけねぇだろうが!!」


四獣士の正体を知ってしまったゼロに、二択の答えを出すことなど出来ない。

悲しみと怒りに打ち震えながら、ゼロはグラシエを睨み付ける。


ゼロ「お前の狙いはこの俺だろ…」

ゼロ「なのに、何故あいつらを巻き込んだ…?」

グラシエ「大切なものを踏みにじることは、我々『闇』の基本中の基本ですから」

グラシエ「まあまあ、良かったじゃありませんか。
     四人の内二人からは、しっかり『形見』を受け取ってるんですから」

グラシエ「貴方が継いだその魔法で、私の魔女と遊びましょ~よ~」

グラシエ「ウェヒヒヒヒヒヒッ!!」


グラシエが意図せず用いた表現に、何かが引っ掛かったゼロは硬直していた。


ゼロ(『形見』…?)

ゼロ(まさか……俺に託された力の意味って…)

 

つづく

談義でSS部分が読みづらくなってる気がするので、
文章の訂正も兼ねたスレの立て直しも検討します。



【武旦の魔女 その2】



自分の中の『力』に気付いた瞬間から、託されたことの意味をずっと考え続けていたゼロ。
だが、グラシエの『形見』という言葉を受け、その答えについて一つの想像が頭をよぎる。


ゼロ(『形見』…?)

ゼロ(まさか……俺に託された力の意味って…)


地球での決戦時に異空間で目にした、ほむらの戦いの記憶。
そのビジョンは、『鹿目まどか』が概念となって宇宙を改変し、魔女の存在を否定したことで完結した。

それはほむらの経験ではなく、彼女が迎えていたかもしれない一つの結末。

同じように、さやかや杏子もあの空間に踏み入ったとき、
自らの結末を知ってしまったのだとしたら―――


ゼロ(みんな、こうなることを……)

ゼロ(魔女にされ、戦わされる運命を知っていたから?)

ゼロ(だから…全てが無駄にならないよう、俺に…?)


あくまでゼロの想像に過ぎず、裏付けるものは何もない。
同じように、それを否定できる証拠もない。


ゼロ(もし本当にそうだとしたら……嬉しくねえよ)

ゼロ(…そんな贈り物、嬉しくも何ともねぇんだよ!!)

ゼロ(お前らが未来を信じて生きているだけで、俺は……)



ゼロ「…さやか!」

ゼロ「杏子!マミ!」

ゼロ「ほむらぁぁぁっ!!」

グラシエ「ハッハッハァーーーッ!!」

グラシエ「自らの手で仲間を殺めた事実に苦しみ抜くのです!!」

ゼロ「ぐは…っ!?」


絶望するゼロを、突然の斬撃が襲う。

魔女は一撃を加えると、立ち込める霧の中に消えていく。

直後、別方向から再び魔女が飛び出す。


ゼロ「待て……ぐあぁっ!」


またも魔女はゼロに斬りかかり、走り去った。

あらゆる方向から高速で繰り出される連続攻撃に、ゼロはただ翻弄される。


ゼロ「ぐぁっ…がはっ…!」

ゼロ「やめろ…うぐっ!……もう止まれ!」


どうしても魔女を攻撃できないゼロは、イージスの中からゼロディフェンダーを取り出し、守りに入る。
霧の中から現れた魔女を捉えると、その攻撃を正面から受け止めた。

だが、その背後から何者かが、ゼロの背を斬りつけた。


ゼロ「うあああっ!!」

 



ディフェンダーを落として倒れこむゼロ。
見上げると、そこには正面の一体とは別に、二体の『武旦の魔女』が並んでいる。

ここでようやく、魔女が高速で移動していたわけではなく、複数で攻撃を仕掛けていたことに気付く。


ゼロ(これは、分身…)

ゼロ(杏子の持ってる『幻惑の魔法』と同じ…)


分身を作り出す魔女の能力は、恐らく杏子が扱った魔法の名残。
その事実は、魔女がかつての仲間であることを一層強く意識させてしまう。


ゼロ(やめろ…やめてくれ!)

ゼロ(俺はもう、これ以上お前達と戦いたくないんだ…!)


今の自分に、この魔女を倒すことはできない。
ゼロは光の国への救援を求め、『ウルトラサイン』を発信しようと手を伸ばす。


ゼロ(せめて誰か…俺の代わりに戦―――)

ゼロ「ぐあああぁぁぁっ!!」


救いを求めようとしたその手を、非情にも馬の蹄が踏みつける。


グラシエ「何やってるんです?これは他の誰でもない、貴方の戦いなんですよ?」

グラシエ「このゲームのセッティングにどれだけの手間を要したか…
     私の期待、裏切らないでくださいネッ★」


本体と分身――計三体の魔女が、ゼロに槍を振り下ろした。




 

 




ゼロ「……杏……」


魔女に反撃できず、ゼロは力なく崩れ落ちる。
激しい攻撃と絶望的な事実を前に、その身心は限界を迎えようとしていた。


グラシエ「無様ですねぇ…そんなに傷ついてもまだ無抵抗とは」


ゼロの額の上に、浮遊していたグラシエが不満げな様子で着地する。

グラシエは二択を迫りながらも、
実際はゼロが心に鞭を打ってでも魔女を倒し、ゲームを進めることを期待していた。


グラシエ「アナタ、地球でマミさんにこんな事言ってませんでしたっけ?」

グラシエ「誰かが魔女を倒さなければ別の誰かが犠牲になる。そして、それを見過ごすことはできないと」

グラシエ「どうしちゃったんですかァ~ん?魔女、目の前で暴れてますよォォ~?」

ゼロ「………」


反応を返さないゼロの様子に、グラシエは一転して冷めた態度で見切りをつける。


グラシエ「…全く、だらしのない」

グラシエ「絶望の中でどう足掻くのかを楽しみにしてましたが、この程度ですか。
     もう少し骨がある方かと思っていましたよッ!」

グラシエ「オフィーリア、とどめです」


だが、グラシエは気付かなった。
挑発を耳にしたゼロの指先が、微かに動いたことに。

 



ゲーム終了の指示を受け、霧の中から魔女とその分身が現れる。

その時、グラシエの足元が緑色の光を発した。


グラシエ「ん?」


次の瞬間、ゼロの額から『エメリウムスラッシュ』が撃ち出される。

グラシエは驚きつつも素早く飛翔し、光線を回避した。


グラシエ「おおぉっと!危ない危ない!」

グラシエ「ようやくやる気になってくれましたかァ…!」

ゼロ「………」


ゼロは傷ついた体を静かに起こし、グラシエ、そして魔女と向かい合う。


ゼロ(ここで食い止めなければ、野郎はお前達を操って、更に悪事を重ねるに決まってる…)

ゼロ(これ以上の犠牲が増える前に、終わらせなければならないんだ)

ゼロ(俺は『ウルトラマン』だから…)

ゼロ(お前達と同じ、『正義の味方』だから…)

ゼロ(お前達の代わりに、俺が絶対に地球を守り抜くから……!!)


ゼロの左拳が強く握られ、イージスが青き光を放つ。
弦を弾く音とともに、魔力を解放したゼロが青一色に姿を変えた。


青ゼロ「さやか☆マギカ…ゼロォォッ!!」

 



青ゼロ「シェェアッ!!」


頭部のゼロスラッガーが青く輝き、魔力で分裂した『ミラクルゼロスラッガー』が発動する。

複数のスラッガーが宙を舞い、ゼロを取り囲むように地面に突き刺さった。


青ゼロ「おおぉぉぉーーーーっ!!」


スラッガーで作られた円を光が結び、魔法陣を形成する。
陣の中で治癒魔法が発動し、ゼロの体からダメージが一気に取り除かれていく。


グラシエ「傷が…?」

グラシエ「オフィーリア!!」


霧の中から本体と、実体を持った魔女の幻影が二体飛び出す。
三体の魔女が迫る中、回復を終えたゼロは瞬時にその姿を消した。


グラシエ「消えた!?」


超高速で分身の背後に回ったゼロは、魔力を集中した手のひらを当てる。
すると、手のひらから衝撃波が発生し、分身を弾き飛ばした。


青ゼロ「シェアッ!!」


弾き飛ばされた分身が、もう一体の分身と衝突する。
二体が一点に集められた瞬間を逃さず、陣を解いてミラクルゼロスラッガーが飛び出す。

スラッガーに包囲された分身達は徹底的に切り刻まれ、煙のように消滅していった。

 



二体の分身が倒され、魔女の本体だけが残された。

そして全てのゼロスラッガーは一点に収束し、『ゼロツインソード』を形成してゼロの手に戻る。


青ゼロ「………」

グラシエ「なるほど、一騎打ちをお望みですか。いいでしょう!」


魔女は槍を高速で振り回し、力を溜め始めた。
一方、ゼロもツインソードを握り締め、クラウチングスタートの体勢をとる。

やがてツインソードが青く眩い魔力を纏い、充填を終えた魔女も自ら巨大な槍へと姿を変える。


グラシエ「オフィーリア、正面から打ち破ってあげなさい!!」


ゼロは駆け、巨大な槍も炎を纏って撃ち出される。
グラシエの目に映ったのは、青い閃光と紅蓮の炎の交差。

その決着は一瞬だった。


グラシエ「おおっ!?」


真っ二つに断ち切られた槍が地面に転がり、瞬時に消えたゼロが姿を現す。

槍は炎に包まれながら魔女の姿へと戻り、ゼロも青き魔法とスラッガーの合体を解除した。


ゼロ「こうするしかなかったんだ…」

ゼロ「杏子…俺は、お前までこの手で…」

ゼロ「…許してくれ」

 



勝利の余韻とは程遠い悲しみがゼロを襲う。
対照的に、その結果を望んでいたグラシエに笑いが込み上げる。


グラシエ「クックックッ…」

グラシエ「さぁて、お次は……おや?」


主の死によって結界は歪み、怪獣墓場の荒野が見え隠れする。

その時、燃え上がる魔女にある変化が起きた。


ゼロ「これは……?」

グラシエ「これは、もしや…」

ゼロ「前にも一度…」

グラシエ「あの時と同じ?」


炎上する魔女の亡骸が、眩い光を発しながら消滅していく。
その光景は、地球での決戦時、倒された『ワルプルギスの夜』が消えていく様と酷似していた。

そして、魔女から広がった光がイージスに触れた時、ゼロの頭の中に一つの映像が流れ込む。


ゼロ「…杏子?」


それは、『武旦の魔女』がまだ人間であった頃の記憶だった。

 

つづく


三週間も放置してすみませんでした。

多忙で更新できず申し訳ない…
盆休みの間に書き溜めます。

エタらせるつもりは全くありませんので、もうしばらくお待ちください。

更新も報告もなくすみません。

作成時間があまり取れていない上、後半の戦闘描写で詰まっている状態です。
一旦スレを落とし、今月下旬に立て直しますので、もう暫く時間をください。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom