本田未央「大雪と停電の夜」 (36)


※何も起こらないお話です。

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P「全く東京でこんな大雪になるなんて初めてだぞ」

未央「うわー!すごいね真っ白じゃん!」

P「…事務所に残っているアイドルを帰し終わったっと思っていたらだ」

未央「いやー申し訳ない、仮眠室でぐっすりでした!」

P「…まあ仮眠室チェックしていなかったのは俺のミスだがなあ」

未央「これ、電車動いてるの?」

P「止まってるだろ。未央は千葉だろ?」

未央「うーん、じゃあ帰れないね」

P「どうする?寮に行くか?誰かに言って泊めてもらうとか」

未央「いや流石にこの時間に行くのは申し訳ない気がするな。他の通勤組は?」

P「雪がまだ降っていない時に帰れた奴らはいいけれど菜々さんとかは心配だなあ」

未央「ウサミン星の謎技術で帰ったんじゃないの?」

P「…あっメールが来ている」

P「『帰れなさそうなので始発までやっている居酒屋で過ごします♪』だと」

未央「17歳とはいったい…」


P「唯も通勤組だけどあいつは千夏の部屋に泊まるって」

未央「あー、まあそういう子もいるよね」

P「未央も友達多いんだから泊めてもらえばいいのに」

未央「んー、いいかな。そういえばPさんはどうするの?」

P「もちろん事務所泊ですよ」

未央「やっぱり?」

P「帰れないってのもあるけれどこの雪だと明日出社できるかわからんし」

未央「出社できないから帰らないって」

P「割と多いんじゃない?そういう人」

未央「Pさん…、大人ってかなしいね」

P「言うな、未央よ」


未央「じゃあひとりだと寂しいだろうからこの未央ちゃんが一緒に夜を過ごしてあげようじゃないか」

P「却下」

未央「えー」

P「寮に行きたくないんだったらどっかのホテル取ってやるからそこで寝てろ」

未央「そんなのもったいないよー」

P「お年頃の女の子が職場に泊まるなんてご両親に申し訳ありません」

未央「親ならさっき連絡したよ!別にいいよって」

P「…親御さんも年頃の娘さんってことを考えてほしいな」

未央「なんでそんなにぶーぶー言うのさぁ。もともとアイドル稼業で家に帰るの遅い日だって泊りの日だってあったじゃん」

P「ん、まあそうだな」

未央「ほら!なんか文化祭で学校に泊まったりとかわくわくするじゃん!」

P「俺はそういう経験したことないからわからん」

未央「Pさん…、寂しい青春時代だったんだね」

P「ちげーし、そんなんじゃないし」

未央「じゃあそういうことでお泊りよろしく!」

P「はあ…、わかったよ」


・ ・ ・ ・

未央「…本当に雪すごいね」

P「事務所前の道が真っ白だな。明日のイベントは中止かな」

未央「あれ?何かあったっけ?」

P「クール組のイベントだから未央は関係ないぞ?トラプリで野外ゲリラライブやる予定だったんだけどな」

未央「えー!またトラプリ?」

P「しかたないだろ?今売り出し中だし」

未央「ポジパじゃ全然そんなイベントないじゃん!ふこーへーですよふこーへー!」

P「ポジパはラジオとかトークショーとかあるじゃん」

未央「最近あーちゃんと茜ちんもフリフロで忙しいし…」

P「なんだ寂しいのか」

未央「そんなんじゃないですー。未央ちゃん友達いっぱいだし」


フッ……

P「ん?」

未央「ひゃ!」

P「なんだ停電か?」

未央「うん…、外も真っ暗」

P「まいったなあ。暖房も止まっちまうぞ」

未央「えっとスマホスマホ」

P「あーちょい待ち。スマホのライト使うと電池切れが怖い」

P「えっと確かこっちに非常用ライトがあったはず…」

未央「……」ぎゅ

P「おっ!あったあった。ってこれ電池切れてるじゃん」

P「ちひろさんに文句言わないと」

P「えっとこっちに…」がちゃ

未央「……」

未央「Pさん?」


しーん

未央「……」

未央「Pさん居る?」

しーん

未央「P…さん……」

未央「……」ぎゅう

がちゃ

P「おーしあったぞ」かちっ

ぽっ…

未央「あっ…ろうそく……」

P「クリスマス用に買ってたやつがあったからな」

未央「うん…あかるい」

P「ん?どうしたんだ?クッション抱えて」

未央「ん?あっいやなんでもないよ!」

P「……」


ぽすんっ

未央「あっ…」

P「震えてるぞ?」

未央「急に隣に座らないでほしいな」

P「暗いのが怖かったのか?」

未央「そんなんじゃないし」

P「そっか…」

未央「……」

P「……」


未央「雪は、音を吸収するから」

P「ん?」

未央「いつもあんなに賑やかな事務所がこんなに静かで」

P「うん」

未央「真っ暗で、静かさに押しつぶされそうで」

P「うん」

未央「……すこし、苦しかった」

P「そっか、ごめんな」

未央「ううん、もう大丈夫」

P「……」

未央「……こっちこそごめん」

P「なんで?」

未央「嘘ついたから」

P「別にあやまることないのに」

未央「それでもごめん」

P「……」

未央「……」


P「…なんだかしおらしい未央は珍しいな!」

未央「そう?」

P「いつもパッション全開でみんなを引っ張ってるイメージが強いからな!」

未央「…わたしも女の子だよ」

P「……ん。ごめんな」

未央「そうじゃなくて」

P「いやこっちこそ、そうじゃなくて」

未央「…ふふっ」

P「?」

未央「なんだかおかしいね、いつも顔を合わせている相手なのに全然かみあわなくて」

P「そうだな。あやまってばっかりで」

未央「うん、全部雪のせいだ」

P「あーそういえばそんなのあったな」

未央「ん?」

P「あれ?知らないか?CMであったよ?」

未央「そうだっけ?」

P「スキーだったか、電車だったような…」

未央「なにそれ」


P「それにしてもそんなフレーズパッと出てくるなんて未央は詩人だな」

未央「えー。そんなの似合わないし。それこそしぶりんに任せなよ」

P「そうだな…、最近クール勢のポエム度が増している気がするんだが」

未央「そんなもんじゃない?もともとそういう子多かったし」

P「小さい子が真似てるんだよな…。特にありすと飛鳥が」

未央「二人ともいい手本になっちゃう人が近くにいるからなあ」

P「そういえば奏が最近あいさんに……っとこれはマズいか」

未央「なにそれ!気になる!」

P「いやこれは流石に奏の名誉にかかわるからだめ」

未央「えー!余計気になる!」

P「まあまあ」

未央「そういえば飛鳥がしゅがはさんに…っとこれはマズいか」

P「おい詳細」

未央「いやこれも飛鳥の名誉にかかわるからなあ」

P「その組み合わせは危険な匂いしかしないんだけれど!」


・ ・ ・ ・

P「うーん停電復旧しないな」

未央「うん」

P「そういえばごはん食べた?」

未央「そういえば食べてない」

P「といってもカップ麺くらいしかないぞ」

未央「お!いいねカップ麺」

P「しょうゆと激辛緑チリトマト味とあるけれどどっちがいい?」

未央「なにその心惹かれる味」

P「じゃあ未央は」

未央「しょうゆで」

P「こんにゃろ」

未央「っというかお湯あるの?」

P「電気止まっててもガスは使えるんじゃなかったっけ」

未央「へー」

P「じゃあ作ってくるから待ってて」

未央「あっ…」

P「……いっしょに作るか?」

未央「是非」


・ ・ ・

未央「初めての共同作業というやつですな!」

P「お湯沸かすだけだけどな」

未央「この激辛の素っていつ入れればいいの?」

P「カップに書いてない?」

未央「暗くてわかんない」

P「どれ」

すっ

未央「お?」

P「うーん字が細かくてわからん」

未央「…近くないですかPさん」

P「おっとすまん」すっ

未央「あ…」

P「…やっぱ見えにくいから近づいていい」

未央「うん」


・ ・ ・ ・

ずるずる

未央「うん、ふつーのしょうゆだ」

P「なにこれむっちゃ辛いんだけど」

未央「やっぱりあの素先にいれなきゃいけなかったね」

P「素が溶けきってなくて固まってるしな」

未央「ひとくちちょーだい」

P「ほい」

未央「ん…、そうでもなくない」

P「いや後からくるぞ」

未央「そう?案外…ってからっ!」

P「ほらみろ。はい水」

未央「ごくごく…ぷはっ助かった」

P「よかったな」ごくっ

未央「あれその水」

P「あっ俺の水だぞ」


未央「えー」

P「仕方ないだろ。自販機止まってるし」

未央「そーだけどさー。私だって女の子ですよー」

P「すまんすまん。なんか未央は男友達っぽいノリで接しちゃうからな」

未央「……やっぱりそういう目でしかみてくれないのかな」

P「ん?」

未央「なんでもない」

P「別にそういうわけじゃないぞ」

未央「嘘つき」

P「……なんか今日の未央は普通だな」

未央「普通?」

P「なんか、普通の女の子って感じ」

未央「……そうかも」

P「暗いのを怖がったり、静かなのを寂しがったり」

未央「うん」

P「いつもパッションじゃないんだなって」

未央「うん」

P「なんか意外」


未央「…Pさんはパッションの方がいい?」

P「んー、どうだろう。女の子女の子している未央もいいと思うよ」

P「でもやっぱり未央にはいつもみたいに笑ってくれた方が、個人的には好きかな」

未央「……そっか」

P「いや、別にいまの未央が嫌とかそういう訳じゃなくてだな」

未央「ううん、大丈夫」

P「……」

未央「……なんかさ、ほら私って友達多いじゃん」

P「?」

未央「学校でもみんな私と仲良くしてくれるし、事務所でもそうだし」

P「ん」

未央「でも本当はすっごく不安」

未央「本当に私を、好いてくれてるのかなって」

P「……」

未央「私が笑っているうちはみんな笑ってくれる」

未央「でもちょっとでも弱いところを見せたとき」

未央「みんな離れて行っちゃうんじゃないかって」

未央「すごく不安」


P「……ん」

未央「だから、こんな静かな夜は不安で怖い」

P「…そうか」

未央「それだけ」

P「うん」

未央「……」

P「……」

未央「ごめん」

P「いやこっちこそごめん」

P「なんか、未央のこと勘違いしてた」

未央「?」

P「なんか、わからないもんだな」

未央「わからない?」

P「いつも未央たちのこと見てて、わかった気になってたかもな」

未央「わかった気?」

P「そう。ちゃんと見れてなかった」

未央「そんなことない」

P「そんなことある」


未央「……」

P「もっとちゃんと未央のこと知りたい」

未央「……卑怯者」

P「卑怯者?」

未央「…たらし」ぽかっ

P「いてっ」

未央「ばか!あほ!」ぽかぽかっ!

P「いたいいたい!」

未央「――っ!」ぽかぽかぽかっ!

未央「私だって女の子だっていってるじゃん!」

P「未央っ」

未央「私だって勘違いしちゃうよ!」

P「未央…」

未央「……ごめん」

P「いや――」

未央「謝らないで」

未央「謝ったら許さないから」

P「……」

未央「……肩かして」ぽすん

P「…」

未央「…抱きしめてなんて言わないから」

未央「……今日だけ、今夜だけ」

未央「めんどくさい女の子でいさせて」


・ ・ ・ ・

P「電気つかないな」

未央「うん」

P「雪だから工事の人もこれないのかな」

未央「知らない」

P「……」

未央「……」グリグリ

P「なんで顔ぐりぐりするの」

未央「しぶりんが好きそう」

P「そうなの?」

未央「匂いがいいらしい」

P「……やってみた感想は?」

未央「……思ったより普通」

P「そっか」

未央「うーん女の子って難しい」

P「匂いをくんくんするのは好みがわかれるんじゃないかな」


未央「やっぱり抱きしめて―」

P「ダメです」

未央「暖房切れて寒いよー」

P「ありったけの毛布にくるまって何を言ってる」

未央「逆にPさんは寒くないの?」

P「こういうときは見栄張るのが男なの」

未央「あっためてあげるよー。据え膳だよー」

P「やめなさい」

未央「むぅー」

P「あっ、その顔なんかかわいい」

未央「おっ!この表情だね」

P「アヒル口って感じ」

未央「よししまむーに教えてあげよう」

P「なんでそこで卯月が出てくる」


未央「あれ?」

P「そこで友達の名前が出てくるのが未央らしいな」

未央「んんー。今日は私がPさんを独占するんだー」

P「そうだぞ、今日だけだぞ」

未央「けち」げしっ

P「蹴るんじゃない」

未央「今晩で未央ちゃんがPさんを篭絡するんだー」ぎゅっ

P「おしつけるんじゃない」べしっ

未央「いーじゃん減るもんじゃないし」

P「女の子から言うものじゃない」

未央「うーんお色気作戦も効かないか」

P「てかこれ楽しい?」

未央「割と」

P「未央その気ないじゃん」

未央「バレた?」

P「その気だったらもっと攻めてくるだろ?」


未央「うん」

未央「なんかしまむーとかしぶりんとかの気持ちがわかるかなーって思ったけど」

未央「うん、普通」

P「普通か」

未央「あれ?なんか残念そう?」

P「そんなことないぞ。でもさっきまでセンチメンタルモードだったのになって」

未央「あれは気の迷いだったのだー」

P「さいですか」

未央「……うん、そういう気持ちとはやっぱりちがうみたい」

P「心細かっただけってか?」

未央「うん、でもありがとう」

P「なんで?」

未央「手を出さないでくれて」

P「どういたしまして」

未央「ふふっ」


P「さて、電気もつかないみたいだしそろそろ寝ますか」

未央「この流れで言っちゃう?」

P「そういう意味じゃないし」

未央「はいはい」

P「俺はソファで寝るから仮眠室使いな」

未央「ん。ありがと」

未央「……添い寝は?」

P「しません」

未央「……」

P「してほしいの?」

未央「ん。ちょっと寂しいかな」

未央「少しだけそばにいてほしいかな」

P「手は出すなといいつつ添い寝してほしいとは」

未央「出さないってわかってるから」

P「……ちょっとだけだぞ」

未央「やった」


・ ・ ・ ・

P「……狭い」

未央「狭いね」

P「さて、もういいだろ?」

未央「えー。まだ温まってない」ぎゅっ

P「抱き着くな」

未央「ん…」

P「……」

未央「……めんどくさい女ってめんどくさいね」

P「そうだな」

未央「やっぱり私は、私だな」

P「そうか」

未央「Pさん」

P「ん?」

未央「これからもよろしくね」

P「ん」


未央「すぅ…」

P「……」なでなで

P「本当にめんどくさい子になっちゃって」

P「……女の子だもんな」

未央「すう……すう…」ぎゅっ

P「……まあいっか」

P「……おやすみ、未央」


・ ・ ・ ・

未央「ふぁあ…、もう朝かな……ってあれ?」

P「すぅ…すぅ……」

未央「横で寝てるし」

未央「あぁ、みんなこの人のこと好きなんだよなあ」

未央「一晩一緒に寝ちゃったけれど…」

P「すぅ…ぐが……」

未央「ん。『恋』じゃないんだな」

未央「私もPさんのことは好きだけどさ」

未央「一晩立っても変わらないんだもの」

未央「……ありがとう、Pさん」

すっ

がちゃ

ばたん


・ ・ ・ ・

P「ん~、よく寝ちゃったなあ」

P「…あれ?未央は?」

がちゃ

きょろきょろ

P「いないなってスマホにメール来てる」

P「……そっか」

P「さあて、今日も一日頑張りますか!」


おわり


オチも何も考えずだらだら書いた話です

変態な話ばかり書いていたので普通の話の書き方がわかりません

依頼出してきます

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