夏美「ひなつみかんな!」比奈「休ませて……」 (27)



前作はこちらです

里奈「ひなりな!」比奈「眠い……」
里奈「ひなりな!」比奈「眠い……」 - SSまとめ速報
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前作において、紗南の名前が紗奈になってしまっていたことをこちらでお詫びさせていただきます
まことに申し訳ありませんでした



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1478791923



……公園……


夏美「ほらほら比奈ちゃん! まだまだ終わりじゃないわよー!」

比奈「ちょっ……はへっ……!」ゼェゼェ

夏美「なーにー? もうダウン?」

比奈「いっ、いきなりっ……! 5kmも走らされてっ……!」

夏美「たかだか5kmじゃない。まだ予定の半分も終わってないわよ?」

比奈「そっ、速度っ……! 速すぎっ……!!」



夏美「はい、ドリンクどうぞ」

比奈「はぁ……ひぃ……んん」チューッ

夏美「そんなに速度出してないわよ?」

比奈「んくっ……ぷはっ! あのでスね! 夏美さんを基準にされても困るんスけど!?」

夏美「あら、まだ元気そうね!」

比奈「ひぃ!?」

夏美「さて! それじゃあ次はあっち側を走ってみましょ!」

比奈(な、何でこんなことに……!)



……数十分前、事務所……


夏美「ふ~ふふふふ~ん♪」ジーッ

夏美「ふ~ふふふ、んんっ……!?」ピチッ

夏美(……あれっ……!?)

夏美「ふっ……んんんん……!」ムチムチッ

夏美(ち、チャックが上がりきらないっ……!?)

夏美「ふんんん、んんん……!!」ギチギチッ

夏美(ひ、ヒップ入らないっ……! あれ、これひょっとしてウエストも結構ヤバい……!?)

夏美「い、一旦チャックを下ろしましょうか……」ジーッ



夏美「由々しき事態ね……まさかチャックが上がらないなんて……」

夏美「とりあえず、衣装は壊れてないわね……」ホッ

夏美「けど、チャックを締め切っていたら危なかったかも……」

夏美「……あっ、そもそもこれ私のかしら!?」ティン!

夏美「そうよそうよ! 前にも1回手違いがあったじゃない!」

夏美「あの時は身長もスリーサイズも違う夏樹ちゃんのだったし、今回もきっと夏樹ちゃんのよ! きっとそうだわ!」

夏美「えーっと、確か襟元にタグが……」クルッ

タグ「相馬夏美」

夏美「」



夏美「……おっかしいわね……老眼かしら……」

夏美「木村夏樹……そう、木村夏樹って書いてあるはずよ。決して相馬夏美ではないわ」

夏美「この際相馬夏美でないなら誰でもいいわ。神谷奈緒とか安部菜々って書いてあったらなおよしね」クルッ

タグ「お前のや」

夏美「…………」

夏美「…………」ガクッ

夏美(太ったぁああああああああああああああああああああああああああ!?)



夏美「そ、そんな……この部署はちひろさん以外はみんな弱いか飲めないかだから、飲み会なんてほとんど行ってないのに……!」

夏美「飲み会が少なかったから、油断してたのかしら……」

夏美「……でもでも! 毎朝ランニングは欠かしてないし! アイドルになってからレッスンも重ねてやってるから……太るはず、ないんだけど……」

夏美(言い聞かせれば言い聞かせるほどショック……)ズーン

ガチャッ

柑奈「夏美さんいますかー?」

夏美「ああ、柑奈ちゃん……」ズーン

柑奈「ラブもピースも感じられない暗い顔!? どうしたんですか!?」



夏美「悲しいことがあったのよ……」

柑奈「悲しいこと、ですか……」

夏美「ええ、ちょっとやそっとじゃ立ち直れそうにないくらいのものがね……」

柑奈「そ、それはいけません! 元気がでるように今から1曲歌わせていただきます!」ポロローン

夏美「……そうね、柑奈ちゃんの演奏を聴けば気分も晴れるかもね……」

柑奈「ご期待に添えるよう頑張りま……あ、その前にこれをどうぞ」スッ

夏美「……何これ?」

柑奈「発注ミスで比奈さんと夏美さんの寸法を間違えて衣装を作ってしまったようで……比奈さんのタグがついてますけど、これが夏美さんの衣装だそうですよ」

夏美「」



夏美「」

柑奈「あの、受け取ってもらえないと歌が……」

夏美「」プルプル

柑奈「……夏美さん?」

夏美「」ブワッ

柑奈「!?」

夏美「セェエエエエエエエエエフッ!! 良かったぁああああああああああああああああああ!!」



夏美「ちょっと!! 嘘つかないでよね!!」

タグ「すまんな」

夏美「でも許しちゃうー!!」クルックルッ

柑奈「な、夏美さん……?」

夏美「でも次やったら許さないわよー!!」

タグ「保証でけへんな」

夏美「こいつめー!!」クルックルッ

柑奈「夏美さん落ち着いて! 一体何と話してるんですか!?」



柑奈「なるほど。サイズが合わなかったんですね」

夏美「そうなのよ……もうアイドルとしてダメかと思ったわ……」

柑奈「見えない何かと会話し始めたのでもうダメかと思いましたけど……間違いで良かったですね!」

夏美「ええ……今は柑奈ちゃんが天使に見えるわ……」

柑奈「ラブ&ピースの天使ですかね?」ピース

夏美「もうラブもラブね。ちょっと柑奈ちゃんハグさせて」ギュッ

柑奈「どうぞー♪」ギュッ

夏美「あー、ほんとよかったっ……!!」ギュウウウウウウ

柑奈「ぎ、ギブギブ! 背骨折れちゃう!!」



夏美「はー、それにしても心臓に悪いわ……」

柑奈「そんなにキツかったんですか? 元々ピッチリしてそうな衣装ではありますけど」

夏美「どうにもチャックが上がらなくて……比奈ちゃんはこんな感じのスタイルなのね……よっ」ギチッ

柑奈「あー、確かにちょっとギリギリですね」

ガチャッ

比奈「あのー、衣装がここにあるって聞いて来たんスけど……」ヒョコッ

柑奈「あっ、比奈さん」

夏美「ちょっと聞いてよ比奈ちゃん! この衣装なんだけど……」



比奈「あれ、夏美さん太りました? 衣装キツキツでスけど」ズバッ



柑奈(あっ)

夏美「」



夏美「…………そーなのよー、最近太っちゃってー」

比奈「あっ、やっぱりそうな」

夏美「それを見抜いた比奈ちゃんにはダイエットに付き合ってもらうわ」

比奈「……えっ?」

夏美「早速公園に行きましょうか。久々に全力で走り込みたくって」

比奈「い、いやっ、自分はダイエットする必要は」

夏美「ダーメ♪ 乙女の繊細な心に土足で踏み込んだ悪い子は逃がさないわ」ゴゴゴゴゴゴ

比奈「顔!! アイドルがしていい顔じゃないっスよそれ!!」



比奈「に、逃げっ」

夏美「遅いわ」ガシッ

比奈「しまった捕まった!!」

夏美「さー着替えに行くわよー! 今日は15kmは走るんだからね!」

比奈「じゅっ!?」

夏美「レッツゴー♪」

比奈「待って待って待って!! か、柑奈ちゃん助けて!!」

柑奈「うーん……」

比奈「柑奈ちゃん!!」

柑奈「走ることで比奈さんの無礼が赦される……それはきっとラブ&ピースと言える……」ポロローン

比奈「私は今からラブともピースとも言えなくなる身体にさせられると思うんスけど!?」



夏美「ごちゃごちゃ言わないでついてきなさーい」

比奈「ああああああああああああああ引っ張らないでぇええええええええええええ!! 柑奈ちゃああああああああああああああああああん!!」ズルズル

柑奈「……心で握った拳 喉に詰まった怒声 怒りが満ちた瞳 その全てを捨ててくれた~♪」ポロロンポロロン

比奈(なんか始まった)

柑奈「そんな優しい彼女のためにさあ走るんだ~♪」ポロロロロロロ

柑奈「納得出来なくてもいい 理解する必要は無い だってそれは きっとそれは~♪」ポロロロポロポロ

柑奈「自業自得に尽きるんだから~♪」ポロローン

比奈(自業自得て)

柑奈「As you sow, so you reap~♪」ポロローン

比奈「……最後の英詞の意味は?」

夏美「「自分で蒔いた種なんだから自分で刈れ」ですって」

比奈「ラブ&ピースはどこに行ったんスかぁ!!」



……現在、公園……


比奈(ああそうでした、余計なこと言った私のせいでしたね……)

比奈「ひぃ、ひぃ……」ドサッ

夏美「よーし、あと5kmよー! 5分くらい休んだら走るからね!」

比奈「ふえぇ……休憩、短い……死ぬぅ……」ゼェゼェ

夏美「アイドルでしょー? 頑張りなさーい!」

比奈「アイドルは普通こんな苦行しないものっスよ……」



柑奈「頑張ってね~♪」ポロローン

比奈「柑奈ちゃんも走ってくださいよ……何しに来たんスか……」

柑奈「モチロン応援ですよ? 本当は走ろうと思ったんですけど……キツそうなのでやっぱり遠慮させてもらおうかなと」

比奈「冷やかしって知ってまス?」

柑奈「冷やかし……つまり熱くならない……したがってヒートアップしない世界……それはきっとラブ&ピースと」

比奈「言えないっス」



夏美「5分経ったわ! あとちょっと頑張りましょー!」

比奈「夏美さん……なんでそんな元気……」

夏美「あんまり速度出してないし、普段からレッスン以外も走ってるからねー」

柑奈「夏美さんも汗かいてますけど、倒れ込むような疲れは見えませんね」

夏美「だってジョギング程度よ?」

比奈「…………あれを、ジョギング扱い……」

柑奈(確かにジョギングよりは速いペースだったかな)



夏美「さっ、残り5km行くわよー!」ダッ

比奈「ひいいぃ……」トロトロ

夏美「比奈ちゃんおっそーい!」

比奈「謝りまスからぁ……勘弁してぇ……」

柑奈「いいじゃないですか、たまにはこういう運動も」

比奈「これは運動じゃなくて拷問の域……」

夏美「これくらいしないと痩せないのよー」ニコリ

比奈「だからごめんなさいってばぁ!!」

柑奈「頑張れ~♪」ポロローン



……翌日、事務所……


夏樹「はよーっす」

紗南「あ、夏樹さんおはよー!」

奈緒「おはよーっす」

夏樹「おはよ。なんだなんだ、朝っぱらからゲームか?」

紗南「どうしてもここがクリア出来なくて……」

奈緒「比奈さんか菜々さんなら出来るだろうけど、それまではあたしらでなんとかやってみようと思ってさー」

紗南「勿論自分でクリアを目指すけどね! タイムリミットありって感じで逆に燃える!」

夏樹「菜々は知らないけど、比奈は休みだぞ?」

紗南「えっ、何で!?」

夏樹「えっとな、今朝電話で……」



夏樹「はぁ? 筋肉痛?」

比奈『はい』

夏樹「おいおい、そんなんでアイドル名乗れるのか?」

比奈『……夏樹ちゃん。この世には気合いでどうこうならない地獄があるんスよ』

夏樹「じ、地獄?」

比奈『立とうとした瞬間に太股と腹筋に迸る激痛、火傷になったように痺れる足の裏。今の私はトイレひとつ取っても命懸けなんスよ』

夏樹「んな大げさな」

比奈『現に今、私はトイレから立つことを諦めて1時間は座ったままっス』

夏樹「馬鹿だろ」

比奈『筋肉痛関係なく足が痺れてまスね』ハハハ

夏樹「馬鹿だろ」



紗南「えっ、じゃあ今もトイレに?」

夏樹「携帯とゲームと漫画持って立てこもってるらしい」

奈緒「嫌な立てこもりだな……」

夏樹「飲食だけは阻止しておいたよ」

奈緒「するつもりだったのか……」

夏樹「さっき菜々が面倒見に行ったらしいから大丈夫だろ」ジャジャジャンジャン♪

紗南「あれ、電話……菜々さんからだ」ピッ

奈緒「嫌な予感しかしないぞ」



紗南「もしもーし!」

紗南「うん、うん……えっ、大丈夫なの? …………うん、そっか……」

紗南「あたし? この後レッスン。奈緒さんと夏樹さんも……里奈さんは今日はオフかな」

紗南「うんうん……そう、それじゃあお大事に、しっかりね」ピッ

奈緒「不穏な切り方だな!?」



夏樹「何の要件だった?」

紗南「えっとね、比奈さんおんぶしようとした菜々さんが腰痛めて、そのまま2人で倒れ込んで廊下で悶絶してるから助けてって」

奈緒「大惨事!!」


以上です、同じ事務所設定がそれとなく続きました。
柑奈ちゃんの生態をもっと知りたいのでカードとか劇場とかもっとください。

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