奈緒「一人」 (23)

加蓮「独白」の蛇足的な。
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百合注意。

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最初はいつもの冗談だと思った。

また茶化してるんだなって、ふと加蓮の目を見て…そうじゃないことに気づいた。そこで頭が真っ白になった。

だってそうだろ?誰も親友に告白されるなんて予想つかないじゃんか。

そりゃ好きか嫌いかって言われたら断然好きだけど、それは友達としてって意味で、恋愛感情じゃない。

そもそも男の人とだって恋愛したことがないのに、いきなり同性の友人に告白されて落ち着いてられる方が変だ。

でも、混乱する頭の中で、ここがアタシ達の分岐点だってことだけはハッキリとわかってた。

アタシがどう答えるにしろ、もう今までの関係には戻れない。
それが無性にもどかしかった。

ちょっと考えさせてくれ、って。
それがアタシに言える限界だった。

加蓮はちょっと微笑んで、分かったって言った。

そのときの笑顔がなんだかひどく儚くて、脳裏に焼き付いて離れなかった。

それからひたすら悩んだ。
考え過ぎて頭がおかしくなりそうだった。

加蓮はアタシと違ってカワイイし、オシャレだし、性格だって良い。
100人に聞いたら100人とも美少女だって答えると思う。

……でも、やっぱりアタシには加蓮と付き合うなんてことがどうしても想像できなかった。

なんだかそれがひどく腹立たしくて、その日は一晩中声を殺して泣いた。

アタシは日曜日に加蓮を呼び出した。
その日は連日降り続いた雨が止んで雲ひとつない晴天で、アタシの心とは正反対だった。

加蓮は15分遅れてきた。

アタシが切り出そうとすると、加蓮は嫌に明るい口調でその前にちょっとだけ出かけようよって言った。

黙って頷いて、加蓮の後をついていった。

加蓮はひたすら普段通りに振舞ってた。

アレが可愛いとかコレが飲みたいとか、本当にいつもと変わらないみたいで。

でも、時折震える声とどうしても合わない視線が、そうじゃないことを物語ってた。

気付けばもう真っ暗になってた。

加蓮はこのまま晩御飯に行こうよって言ったけど、アタシはもう見ていられなくて、ついに話を切り出した。

…加蓮とは付き合えない。ごめん。

……ううん、私こそ、ごめんね。

アタシはまた一晩泣いた。

次の日加蓮はレッスンに来なかった。

あれから一週間が経った。

アタシ達は表面上はほとんど何も変わらなかった。

いつもみたいに何気ない会話をして、レッスンをして、凛と一緒に駄弁って。

アタシもできる限り前と同じように取り繕った。

でもやっぱりどこかぎこちなかった。

以前はなかった溝が私達の間にできていた。

凛もそれは気付いているみたいだったけど、触れてくるようなことはしなかった。
多分、どうしようもないことだって分かってたんだと思う。

…加蓮が撮影中に倒れた。

プロデューサーさんが言うには疲労が原因らしい。

心臓が押しつぶされそうになりながら、加蓮の病室に急いだ。

加蓮はすぅすぅと安らかな顔で寝息を立てて眠っていた。

久しぶりに加蓮の顔をしっかりと見た気がした。

なんだかひどく安心するような、アタシの好きな顔だった。

一時間後に加蓮は目を覚ました。

いつか見たような儚げな笑顔で、迷惑かけちゃってごめんねって言った。

アタシは無性にその顔が嫌だった。

もっといつもみたいに笑ってくれよって思った。

そこでふと気づいた。

アタシ一人がいつもの加蓮の笑顔を取り戻せるんだって。

それでそんなことばっかり考えてる自分が、どうしようもなく加蓮のこと好きなんだってことにも。

多分アタシは逃げてたんだと思う。

好きなのに好きって言う勇気がなかった。

加蓮を幸せにできる自信がなかったんだ。

でも、アタシが逃げれば逃げるほど、加蓮が不幸になっていくんだって分かった。

傲慢かもしれないけど、多分これは本当のことなんだと思う。

だから、もうやることは一つしかなかった。

奈緒「加蓮、聞いてほしい」

加蓮「…なに?」

奈緒「アタシ、加蓮のこと、好きだ」

加蓮「…やめてよ、同情なんていらない」

奈緒「同情なんかでこんなこと言わない」

加蓮「………」

奈緒「好きだ。もう加蓮がそんな顔をしてるのは見たくない。絶対幸せにしてみせる。だから、アタシと付き合ってほしい。…ダメか?」

加蓮「っ…!ダメなわけ…ないじゃん…!」

奈緒「お、おい、泣くなよ…」

加蓮「うっさい…奈緒のくせに生意気…」

奈緒「ご、ごめん」

加蓮「…もっとこっち来て」

奈緒「え?」

加蓮「もっと」

奈緒「…うん」

加蓮「…もう離さないで」

奈緒「分かった」



加蓮「私も、好き」ギュウ

奈緒「…うん」ナデナデ

おわり

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