水本ゆかり「有香ちゃんを迎えに行きましょう」 (39)

法子「迎えに行かなくても来ると思うよ?」

ゆかり「はい、でも迎えに行きたいんです」

法子「ふうん、なんで?」

ゆかり「お友達のお家に迎えに行って」

法子「うん」

ゆかり「お家の外から呼びかけて」

法子「うんうん」

ゆかり「『はーい』って、出てくるじゃないですか」

法子「出てくるだろうね」

ゆかり「そういうのがやりたいんです」

法子「そうかぁ、じゃあとりあえず有香ちゃんに電話かけるね!」

ゆかり「はい」

ピッポッパッ

法子「……あ、もしもし有香ちゃん? あたしあたし、ゆかりちゃんです」

ゆかり「私もゆかりちゃんです」

法子「嘘です法子ちゃんです」

ゆかり「では私も法子ちゃんです」

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法子「いまどの辺? あ、ううん、いいのいいの、そうじゃなくて」

ゆかり「……」

法子「うん、有香ちゃんちょっと来ないでもらえる?」

ゆかり「……」

法子「うん、帰って帰って、うん、ゆかりちゃんと二人で行くから」

ゆかり「……」

法子「え? ううん、いいよ、なんで謝るの?」

ゆかり「……」

法子「うん、そんな感じで、はーい、またねー」ピッ

ゆかり「どうなりましたか?」

法子「とりあえず帰るって」

ゆかり「良い感じですね、では、迎えに行きましょうか」

法子「そだね」

ゆかり「楽しみです」

法子「……」

ゆかり「……」

法子「有香ちゃんなんだかしょんぼりしてた」

ゆかり「そうなんですか、では早めに向かいましょう」

法子「有香ちゃんがしょんぼりしてたら、悲しいもんね……」

ゆかり「はい……」

法子「着いた!」

ゆかり「着きましたね」

法子「ドーナツも買ってきた!」

ゆかり「さすがです」

法子「これで有香ちゃんもご機嫌だよ!」

ゆかり「そうですね」

法子「その上あたしもご機嫌だよ!」

ゆかり「ご機嫌ですね」

法子「ゆかりちゃんは?」

ゆかり「どうでしょう、聞いてみますね」

法子「聞いてみて!」

ゆかり「もしもし、ゆかりちゃんはご機嫌ですか? はい、ゆかりちゃんもご機嫌です」

法子「一人で何してるの?」

ゆかり「急に素に……」

有香「……あれ? どうしたんですか二人とも」

法子「!!?」

ゆかり「!!?」

法子「!!!!?!??」アワワワワ

ゆかり「!?!?!!???」ビターン!

有香「驚き過ぎですね、大丈夫ですか」

法子「有香ちゃんだ!」

ゆかり「有香ちゃんはお家に居るはずでは?」

有香「はい、あの、ちょっとコンビニに」

法子「偽物かも」

有香「本物ですよ」

法子「本物の有香ちゃんなら瓦が割れるはず!」

有香「どうしろと……」

ゆかり「ちょうどここに瓦が」

有香「えっあるんですか」

ゆかり「あるというていで」

有香「ちょうどって何」

法子「はい、どうぞ有香ちゃん」

有香「有香ちゃんて言いましたよね、認めてますよね有香ちゃんだって」

ゆかり「どうぞ」

有香「……せいや!!」シュバッ

法子「どかーん、割れました!」

ゆかり「では有香ちゃんということで」

有香「だいたい誰でもあたしに成り代われますね」

法子「でも何か爆発みたいな音したけど」

有香「そこは法子ちゃんの匙加減ですよね」

有香「はぁ、なるほど」

法子「そういうわけで迎えに来ました」

ゆかり「来ました」

有香「私はまたてっきり、二人で遊びに行くことにしたのかと……」

法子「えー!? そんなはずないじゃん!」

ゆかり「有香ちゃんがいない遊びなんて、お遊びみたいなものですよ……」

有香「ん? んっ?」

法子「有香ちゃんごめんね! 変な勘違いさせちゃった」

有香「いえ、いいんです」

法子「有香ちゃん優しい」

ゆかり「では改めて、有香ちゃんを迎えに行きましょう」

有香「居ますけどね」

法子「一回お家入って! ゆかりちゃんが呼んだら出てきて!」

有香「ええと……はい、では一旦入ります」

テテテッ ガチャッ バタンッ

ゆかり「ゆーかーちゃーん、あーそーぼーっ」

法子「小学生みたいな呼び方」

有香「はーい」ガチャッ

法子「そして小学生みたいな子が出てきた」

有香「何てこと言うんですか!」

法子「ごめんなさい」

有香「ダメです、もう怒りました、ゆかゆかのりこは解散です」

法子「えー! やだー!」

有香「これからはゆかのりこでやったら良いんじゃないですか?」

法子「そういうわけだから、ゆかりちゃん、悪いけど……」

有香「あっ、そっちのゆか抜いちゃうんですか」

ゆかり「わ、わた、私は、お二人が、そ、そう、言うのであれば、お二人の、意見を、そん、そそん尊重して……」フルフル

有香「すみません冗談です」

法子「どうしてそういうこと言うの!!」

有香「どの部分ですか」

法子「ゆかりちゃん!」

有香「ゆかりちゃん何もしてませんよ」

法子「もっとやだやだ言ってくれないと寂しいじゃん!」

有香「そこですか」

法子「ゆかりちゃんにとって、ゆかゆかのりこはそんな程度なの!?」

ゆかり「……解散したくないです」

法子「もっと情熱的に!」

ゆかり「ずっと三人一緒がいいです! 解散やぁです!!」

法子「やぁです」

有香「あのご近所の目があるのでそろそろ……」

ゆかり「一時はどうなることかと思いました」

法子「ちょっとゆかりちゃん手繋いで、有香ちゃんも」

有香「どうしたんですか?」キュッ

法子「有香ちゃんとゆかりちゃんも繋いで、輪になって」

ゆかり「……?」キュッ

有香「……」

法子「……ドーナツ!!」

ゆかり「……」

法子「それでこの後どうするかだけど」

ゆかり「お買い物の予定でしたよね」

有香「見事なスルーですねゆかりちゃん」

ゆかり「有香ちゃん、法子ちゃんの発言は、八割がたドーナツですよ」

有香「そういえばそうですね」

法子「そんな事ないドナ」

ゆかり「ノリノリですね」

有香「……あっ、んふふ、『ノリ』子ちゃんだけに」

法子「じゃあ行こっか!」

有香「……」

ゆかり「大爆笑です」ポンッ

有香「お気遣いどうも……」

ゆかり「お洋服を見に来ました」

法子「説明ありがとー」

ゆかり「今日は法子ちゃんの服を見繕いましょう」

法子「えー、ゆかりちゃんの服みようよー」

ゆかり「では間を取って」

法子「ありすちゃんの服を」

ゆかり「そうですね」

法子「……」

ゆかり「……」

法子「有香ちゃんどこ行ったの」

ゆかり「会話が上手く回りません」

法子「えっ、ゆかりちゃんあたしと二人だと話しにくい?」

ゆかり「いえ、そうではなくて、何かが足りないと思いませんか?」

法子「……ドーナツ」

ゆかり「待って下さい」

法子「……」

ゆかり「足りないもの……」

法子「……」

ゆかり「……あっ、ドーナツ?」

法子「まぁドーナツはあるんだけどさ」ガサッ

有香「これを見てください」テテテッ

ゆかり「良い服がありましたか?」

有香「はい、ありすちゃんにぴったりのTシャツが」

法子「ありすちゃん関係ないでしょ!」

ゆかり「全くその通りです」

有香「いえ、でも、ビビッときてしまったので」

法子「どんなの?」

有香「これです」

【You're king of kings】

有香「ちなみに背中はこんな感じです」クルッ

【チャンピオン】

法子「強そう」

ゆかり「おいくらですか?」

有香「税込298円のワゴンにありました」

法子「みんなで100円ずつ出して買ってってみよっか」

有香「あ、いえ、そういうつもりでは無かったんですが……」

ゆかり「私は構いませんよ」

有香「すみません……ではお二人は99円ずつで、私が年長ですからね」

法子「逆にめんどくさい!」

ゆかり「急に年上をアピールしてきましたね」

ゆかり「けっこう歩き回りましたね」

法子「ドーナツ休憩ー」ガサガサ

有香「わっ、ありがとうございます、頂きます」

法子「よーい……ドン!」

有香「何かが始まりましたね」

ベンチ! ベンチ! カクホ! ドナドナドナドナ

法子「……」モグモグ

有香「……」モグモグ

ゆかり「……」モグモグ

法子「のど乾くね」

有香「ではドーナツのお礼に、飲み物は私が買ってきます」タッ

ゆかり「私はフルートを吹きますね」

  ~♪

有香「お待たせしました、二人とも紅茶で良かったですか?」

法子「ありがとー」

ゆかり「これフルートいらないですね」

有香「いえ、とても優雅でした」

ゆかり「吹いてるとドーナツ食べれないんです」

有香「そうですね」

法子「気付けて良かった」

翌日

法子「ありすちゃん! ありすちゃん!」

ありす「橘ですが」

法子「ゆかりちゃんと有香ちゃんと一緒に、ありすちゃんにTシャツ買ってきた!」

ありす「えっ、どうしたんですか急に」

有香「ぜったい似合うと思うんです、どうぞこれを」

ありす「ありがとうございます……開けてもいいですか?」

法子「もちろん!」

ゆかり「喜ぶ姿が目に浮かびます」

法子「飛び上がるよきっと」

有香「天井に注意してくださいね」

ありす「……」ガサガサ

【You're king of kings】

ありす「……」クルッ

【チャンピオン】

ありす「……」

有香「……」

ゆかり「……」

ありす「……」ピョーン

法子「やったぁ!」

ゆかり「喜んでいましたね、ありすちゃん」

有香「レッスン着として活用してくれるようです」

法子「みんなで買った甲斐があったね!」

有香「あ、そう言えば私もそろそろレッスンの時間でした」

法子「今日は何のレッスン?」

ゆかり「お菓子作りですよね」

有香「ダンスです」

ゆかり「ダンスですよね」

法子「ゆかりちゃんは?」

ゆかり「私はこの後、琴歌さんと」

法子「お仕事?」

ゆかり「お茶会ですね」

法子「ドーナツいる?」

ゆかり「クッキーを用意していただけるとの事ですが」

法子「ドーナツいる?」

ゆかり「ドーナツいります」

法子「じゃああたしも行くよ仕方ないから……」

有香「ごり押しましたね」

ゆかり「有香ちゃんはどうしますか?」

有香「有香ちゃんはダンスをしてきます」

ゆかり「罠を仕掛けました」

法子「お茶会は?」

ゆかり「この罠に有香ちゃんをおびき寄せます」

法子「お茶会は?」

ゆかり「有香ちゃんが、絶対に避けて通れないものは何でしょうか」

法子「んー」

ゆかり「難しいですね」

法子「穂乃香ちゃんが避けて通れないものなら分かる」

ゆかり「私も分かります」

法子「ピロシキ」

ゆかり「ぴにゃこら太です」

法子「わー! ゆかりちゃんがツッコミを!」

ゆかり「私もツッコミの一つや二つ、こなせるということです」

法子「どんどん進化するね」

ゆかり「では有香ちゃんの好きな物は」

法子「んー、有香ちゃんといえば……」

ゆかり「……」

法子「……」

ゆかり「なんでやねん」ペチッ

法子「何が?」

有香「……」

ありす「いえあの……聞いて下さい」

有香「……」

ありす「今日はですね、もう既に自分でレッスン着を用意していたので」

有香「あっ、そうなんですね」

ありす「明日から着ますので、もう、それはもう、着ますので」

有香「あの……あたしは別に、着ていないことを咎めたいわけでは」

ありす「……」

有香「……」

ありす「私は助かりますか……?」フルフル

有香「あたしのイメージどうなってるんですか」

ありす「……熊を」

有香「熊……」

ありす「正面から、ねじ伏せると」

有香「……」

ありす「……」

有香「……」テレ

ありす「否定を」

有香「ありすちゃんは熊ではありません」

ありす「そこじゃないです」

ゆかり「……良い香りですね」

桃華「本当に」

琴歌「お気に召されたのでしたら、少しお時間を頂ければ、お取り寄せいたします」

法子「……」

里美「英国の香りですねぇ」

琴歌「お分かりになりますか?」

雪乃「市販されているブランドの物では、なさそうですが」

法子「……」

桃華「わたくしも良い物を嗜んでいるつもりでしたけれど、これは、格別ですわね」

琴歌「父の友人がイギリスの――」

ウフフッ アハハッ

法子「……あたし場違い?」

桃華「あら、そんなこと、あるはずもありませんわ」

里美「一緒にまったりしましょ~」

ゆかり「法子ちゃん、肩の力を抜いて、リラックスですよ」

法子「だれ!?」

ゆかり「水本ゆかりです」

法子「ゆかりちゃんさっきまでぽやぽやだったじゃん!」

ゆかり「ぽやぽや、だったでしょうか」

法子「罠とか仕掛けてたよ!!」

ゆかり「罠、有香ちゃん、ぴにゃこら太……うぅ、頭が」

法子「記憶は失ってないよね」

ゆかり「そうでしたね」

雪乃「罠、ですか?」

ゆかり「はい」

琴歌「まぁ! 私、狩猟は未経験でして」

法子「本格的な奴じゃないよ? 棒とかごだけだよ?」

琴歌「よろしければ、お話をお聞かせ願えませんか?」

ゆかり「はい、では私が棒の役をやりますね」

法子「らしくなってきた」

里美「里美はかごになりますねぇ~」

法子「里美ちゃんはドーナツ食べてて」ノソッ

里美「……」モグモグ

ゆかり「すみません、どなたかかごを」

桃華「では僭越ながら、わたくしが」

法子「もしかしてここ、ボケしかいない?」

ゆかり「そんなはずありません、そうですよね里美さん」

法子「分かりやすいボケへの振り!」

里美「……」モグモグ

法子「まるで聞いてない」

法子「そろそろ有香ちゃんのレッスン終わるね」

ゆかり「そうですね……では、お迎えに行きましょう」

法子「今度はどういうふうにしたいの?」

ゆかり「ふふっ……まず有香ちゃんがですね!」

法子「テンションが」

ゆかり「レッスンを終えて、汗をかいているわけです」

法子「ダンスレッスンだもんね」

ゆかり「そこに、颯爽と、タオルとドリンクを持って」

法子「かわいい後輩みたいな」

ゆかり「そうです」

法子「ゆかりちゃんタオル持ってる?」

ゆかり「ありますね」

法子「じゃあ飲み物だけ買ってこうか」

桃華「あら、もう行かれるんですの?」

法子「うん、じゃあみんな、紅茶ありがと! 美味しかった」

琴歌「はい、またいつでもいらして下さいませ」

雪乃「本日はとても有意義に過ごせましたわ」

里美「ドーナツごちそうさまですぅ」

ゆかり「お気をつけて行ってきて下さいね」フリフリ

法子「ゆかりちゃんこっちでしょ」

法子「お茶会もいいね! すっごい気品に満ちてたよ」

ゆかり「そうですね」

法子「あたしも何だか高貴になっちゃったかも」

ゆかり「……」サワサワ

法子「……」

ゆかり「……」モチモチ

法子「……」

ゆかり「なってますね」

法子「やっぱり……」

< アッ ピニャコラター!

法子「ん?」

ゆかり「???」



穂乃香「どうしたんですかぴにゃこら太! そんなところに挟まって!」

穂乃香「いま助けてあげますからね!」

穂乃香「んむむ……!」

穂乃香「……はぁ、どうにか救出できました、良かったですねぴにゃこら――」チラッ



法子「……」

穂乃香「っ!!?」ビクッ

穂乃香「あの……違いますからね」

法子「……」

ゆかり「……」

穂乃香「ここに罠が仕掛けてあるじゃないですか」

法子「あるね」

穂乃香「それで試しに、ぴにゃこら太を罠の下に置いてみたんです」

ゆかり「置きたくなりますよね」

穂乃香「あっ、置いたと言っても、下にハンカチを敷きましたから」

法子「うん」

穂乃香「そしたら、こう……」

ゆかり「……」

穂乃香「助けてあげなきゃっていう気持ちが、どんどん強まって」

法子「うん……」

ゆかり「……」

穂乃香「たった今、助け出したところです」

法子「何も違くないよ、まさにそうだと思ってたよ」

ゆかり「そっちの事情でしたか……」

法子「えっ、どっちの事情だと思ってたの?」

ゆかり「一人でお芝居を打っていたのだとばかり思っていました」

法子「だからその事情だってば!」

法子「じゃあ有香ちゃんが出てきたら、タオルとドリンク渡して」

ゆかり「はい」

法子「何か応援とかして、きゃあきゃあ言って去る手はずで」

ゆかり「分かりました」

法子「復唱してみて」

ゆかり「まず有香ちゃんが」

法子「うん」

ゆかり「可愛い」

法子「あってる」

ガチャッ

有香「……あれ、お疲れ様です二人とも」

法子「せんぱーい!」テテテッ

ゆかり「先輩っ」

有香「!!?」

法子「これタオル、使ってください!」

ゆかり「飲み物も、どうぞ、おしるこです」

有香「か、か、感激です、二人が私を、年上として慕ってくれるなんて……!」

法子「おしるこに対して言うことあるでしょ」

有香「いただきます」

法子「お行儀がいい」

有香「最近はお迎えブームなんですね」

法子「いいなー有香ちゃん」

有香「えっ?」

法子「あたしはゆかりちゃんにお迎え、来てもらったことないもん」

ゆかり「!!?」

有香「あはは、だいたい遅れたり離れたりするのがあたしですからね」

ゆかり「わ、私ははまた、法子ちゃんを蔑ろに……」

法子「ゆかりちゃんはあたしより有香ちゃんが好きなんだ」

有香「煽らないで」

ゆかり「……」パタリ

有香「倒れちゃったじゃないですか」

ゆかり「法子ちゃんのピンチには、必ずお迎えに参上すると誓います……」

有香「今はゆかりちゃんのほうがピンチっぽいですけど」

法子「ゆかりちゃん冗談だからね、ごめんね」ユサユサ

ゆかり「……」

法子「ゆかりちゃんがあたしのこと大好きって、ちゃんと分かってるから」

ゆかり「法子ちゃんのためなら宇宙だって救えます……」

有香「フリーザ様が来ても安心ですね」

ゆかり「ニンジンも残さず食べます……」

有香「それは法子ちゃん関係なく食べてください」

ゆかり「まずは有香ちゃんが法子ちゃんを襲ってください」

有香「なぜ」

ゆかり「そこに私が颯爽とお迎えに現れます」

法子「王子様みたい!」

ゆかり「……法子ちゃんからその可愛らしい手を離しなさい!」

法子「かっこいい!」

有香「褒められた気がする」

ゆかり「その力強くも優しい、人を守るため鍛えた勇敢な手を放しなさい!」

有香「……」テレテレ

ゆかり「これで行きましょう」

有香「ええと……」

ゆかり「どうぞ」

有香「……ようお嬢ちゃん、茶の一杯にでも付き合えよ」グイッ

法子「時代を感じる」

有香「黙って俺について来い!」

法子「きゃー! イケメン無罪!」

ゆかり「待ちなさい!」

有香「何者だ!?」

ゆかり「成敗っ」ペチッ

有香「セリフ違うじゃないですか」

後日

法子「じゃあ今度はゆかりちゃんを迎えに行ってみよっか」

有香「そうですね」

法子「またお茶会してるみたいだから、行ってみよ!」

有香「あっ、噂のお嬢様交流会ですね」

法子「凄いよ、あたしもちょっと混ぜてもらったけど」

有香「どんな感じでしたか?」

法子「あたし見たら分かるでしょ?」

有香「……」

法子「……」

有香「可愛いです」

法子「そうじゃなくて!」

有香「ヒント下さい」

法子「んー、ちょっとこう、気品が、優雅な感じになってるでしょ?」

有香「……?」

法子「もー! 有香ちゃんの目はふし、ふしやまだよ!」

有香「節穴ですね」

法子「ふしあなだよ!」

有香「節穴じゃないですけど」

法子「どっち!」

ゆかり「私も星花さんとは、ぜひ一度と、前々から」

星花「恐縮してしまいます、わたくしのバイオリンで、よろしいんですの?」

ゆかり「はい、是非ともお願い申し上げます」

星花「ゆかりさんのフルート、ああ……楽しみですわね」

ゆかり「その折には、音葉さんにもお力添え頂ければと、考えているのですが……」

音葉「……奏でさせてもらえるのならば、旋律を、二人と」

琴歌「想像しただけでも、至福の時間が窺えます」

ウフフッ アハハッ

法子「……信じられないかもしれないけど、あれゆかりちゃんなの」

有香「分かってますけど」

法子「えー、だってゆかりちゃんて言ったらさぁ」

有香「はい」

法子「ふわふわしてて、やわらかい雰囲気で、純粋で可愛くて優しくて」

有香「清楚で、礼儀正しく、育ちの良さが窺える、そんな子です」

法子「でしょ?」

有香「はい」

法子「……」

有香「……」

法子「あってるじゃん」

有香「あってますよね」

法子「ゆかりちゃーん」テテテッ

有香「お迎えに来ましたよ」

ゆかり「あら、ありがとうございます」

法子「気を付けて有香ちゃん!」

有香「えっ?」

法子「いまゆかりちゃんお嬢様モードだから」

有香「何に気を付けるんですか」

法子「有香ちゃんが来てツッコミを得たことで、急にボケてくるから!」

有香「いやいや、まさかそんな……」

ゆかり「……?」

法子「……もーゆかりちゃん、ここボケるタイミングでしょ!」

ゆかり「少し前にこんなことがありました」

有香「流れるような導入」

ゆかり「事務所の皆さんで紅茶を飲みながらお話していたらですね」

法子「うんうん」

ゆかり「お友達二人が、お迎えに来てくれたんです」

法子「それ昨日の話じゃん!」

有香「いや今日の話です、今ですそれ」

法子「ほんとだ」

ゆかり「嬉しかったので、ボケてみました」

ゆかり「お迎えに来てもらうというのは、いいものですね」

有香「そうですね、いつもありがとうございます」

ゆかり「また有香ちゃんをお迎えに上がっても、構いませんか?」

有香「はい、ぜひ」

法子「……」

ゆかり「……あの、法子ちゃんも、お迎えに行きますからね」

法子「え? いいよ別に、大好きな有香ちゃんだけ迎えに行ったら?」

ゆかり「……」パタリ

有香「ほんとにやめてあげて法子ちゃん」

法子「えへへ、ごめんねゆかりちゃん、お迎え楽しみに待ってるからね」ユサユサ

ゆかり「もうドーナツ屋さんになります……」

有香「話がこじれてきましたよ」

ゆかり「ニンジンも、はい、まぁ……はい……」

有香「食べましょうね」

ゆかり「なんでやねん……」

有香「食べましょうね」

ゆかり「……ああ、楽しいですいま」

有香「同じく」

法子「あたしも」

ゆかり「ふふっ……大好きです二人とも」

ありす「……」

ありす「何ですかこの罠……」

ありす「なぜぴにゃこら太が仕掛けられて……」

ありす「……」

ありす「……」チラッ



穂乃香「!!」ササッ



ありす「……」

ありす「……わぁー、可愛い」

ありす「ちょっと手に取ってみましょう」

ヒョイッ パタン

穂乃香「かかった! さすがぴにゃこら太!」テテテッ

ありす「見事な仕掛けです穂乃香さん、まんまと嵌められてしまいました」

穂乃香「はい、これもひとえにぴにゃ……あれ? ありすちゃん」

ありす「なにか」

穂乃香「素敵なTシャツ着てますね」

ありす「……」

穂乃香「……」

ありす「そうでしょう」

穂乃香「はい」

以上です。ゆかりちゃんお誕生日だったのでゆかゆかのりこssでした、お誕生日過ぎてますけど。
そんな感じでHTML化の依頼を出して参ります。

ゆかりちゃんのニンジンについては捏造です。
ご覧いただきましてありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年11月20日 (日) 20:46:50   ID: oHeA2cTQ

久々に来たら新作が…待ってました

2 :  SS好きの774さん   2016年12月05日 (月) 00:51:02   ID: LPd73zYK

ゆかゆかのりこすき

3 :  SS好きの774さん   2017年02月20日 (月) 21:57:15   ID: SGdliIMd

新作来てたのかめっちゃ嬉しい
ガイキチPの続きも読みたい

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