小梅「映画部野外活動記録5」 (48)

※ここに警告文のあるものとする


つくば市 ホテル ロビー




ヘレン「グッモーニン、エブリワン、よく眠れたかしら」

奏「おはよう。気持ちの良い朝ね」

奈緒「まさか映画部メンバーで地方のお仕事ができるなんてなー」

奏「楽しいイベントだったわね」

ヘレン「そうね。ね?文香、小梅」

文香「…………あい」ボー

小梅「そう……だね……」ボー

奈緒「どしたの?」

奏「二人とも低血圧で朝はダメなんだって」

ヘレン「だらしないわね。乾布摩擦をしなさい。スッキリシャッキリ、世界レベルの朝を迎えることができるわよ」

奈緒「あんまり無茶言わないであげてよ…」

奏「朝食の後はチェックアウトかしら」

ヘレン「そうね」

奈緒「そのまま帰っちゃう感じ?せっかくだからどっか行こうよ」

ヘレン「なら、何か映画でも観て帰りましょうか。近くのショッピングモールに映画館が入っていたはずよ」

奈緒「ちょっと待って、調べる……あー、今からだと聲の形がちょうどいいかも」

ヘレン「じゃあそれ観ましょう。いいわね?」

文香「…………あい」ボー

小梅「そう……だね……」ボー




『映画部と蟹』

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1476453723

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映画館




奈緒「聲の形の『聲』って『蟹』に似てるよね」

奏「そうかしら?」

梅「最初観た時……読めなかった……」

文香「……普段使わない字ですからね」

奈緒「それにしても混んでるなぁ……へレンさん、大丈夫かな」

ヘレン「ヘーイ、待たせたわね」

小梅「あ、来た……」

ヘレン「悪いけど、すぐに入るわよ。ファンに見つかっちゃったわ」

奏「まあヘレンさん目立つしね…」

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場内



奈緒「開場してからすぐに入場するのも久しぶりだな~」

ヘレン「MOVIXは貝社員が流れないからいいわね」

文香「貝社員だのロペだの……観るたびにイラっとしますからね」

奈緒「あれってどの需要に対するものなんだろうな」

文香「……多分、広告代理店の枠なのではないでしょうか。しばらくは消えないでしょうね」

奏「始まるわよ」

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上映中




ヘレン(OPにThe whoのマイ・ジェネレーション……軽快な滑り出しね…)

奈緒(やっぱり京アニの絵、好きだなぁ……)

文香(登場人物がみんな面倒臭いですね……)

小梅(この後……どうなっちゃうんだろう……)

奏(恋愛映画は苦手だけど……なるほどね……)




一同(………………………)

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上映終了




奈緒「……………」

文香「……………」

奏「……………」

小梅「……………」

ヘレン「……移動しましょう。さっきカフェを見たわ。そこで一服しましょうか」

奈緒「疲れた~……」

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カフェ




ヘレン「感想戦よ」

奈緒「面白かったけど、どっと疲れたよ……何時間だった?」

奏「120分かしら」

奈緒「マジで?それ以上に感じたけど…」

文香「……シーン毎の密度が濃いんですよね。ただでさえ、小学校編と高校編で分かれているのに、起こる出来事のひとつひとつが重いので……」

奏「登場人物もほぼ全員面倒で重いしね……」

文香「……でも原作よりもずっとマイルドになっていると思いますよ」

小梅「原作……読んだんだ……」

文香「はい…比奈さんからお借りして読んだのですが、原作はもっとえげつなかったですね。あれをここまで表現をマイルドにして、尚且つ2時間に収めたのは凄いと思います」

ヘレン「やっぱり山田尚子監督は京アニの4番打者ね」


奈緒「それにしても、結絃ちゃんだよ。何あの子、可愛すぎでしょ」

文香「わかります……土下座は興奮しましたね……!」

奏「えっ」

文香「えっ」

奈緒「いや…それはどうかと…」

文香「な、なんでですか……あの子の心の優しさが滲み出た素晴らしいシーンだったじゃないですか…」

奏「いや、あなた今興奮するって…」

小梅「私は…佐原さんが好き……かな……」

奈緒「あー、あの子も良い。そばかす最高」


ヘレン「奏は恋愛映画が苦手だったわね。今作はどうだったかしら?」

奏「そうね……この映画は恋愛もお話のメインではあるのだけれど、それよりも主人公の犯した罪への葛藤と、それに関わるキャラクター達の人間模様もまたメインになっているのよね。私は恋愛要素よりもそっちをメインに観ていたから、楽しく観ることが出来たわ」

小梅「恋愛も……人間ドラマも……面白かった…ね…」

奈緒「だなー。でも、何度も観たいとは思わないなぁ……もう一度観るには重い、疲れる」

ヘレン「良い作品なのだけれどね。もっと音楽を上手く使って、コミカルなシーンは飛び切り軽快に、シリアスなシーンはずっしり重くして、尚且つここぞというところでこっちの心にえぐいパンチをぶち込んでくれるように緩急つけて編成すれば、もっと気軽、且つ印象を与える作品になるんじゃないかしら」


ヘレン「では、評価に移りましょう」

奈緒「あたしはA+かな」

奏「私もA+かしら。こういうのもなかなかいいわね」

小梅「私は……S-……です」

文香「うーん……結絃ちゃんが可愛かったので、S-…にします」

ヘレン「私はA+かしらね。総評価は……A+でいいかしら」

一同「異議なし」




奏「サクッと観るには重い内容だったわね」

文香「そうですね……でも、良い機会だったかもしれません」

ヘレン「そうね。では、撤収しましょう」



『映画部と年上大好きおじさん』に続く

新宿



奈緒「満を持してって感じだな」

小梅「綺麗な絵……楽しみだな…♪」

ヘレン「また恋愛モノになってしまったわね。大丈夫?」

奏「PV観た限りでは、いかにも恋愛モノって感じよね……まあ、多分大丈夫でしょう」




『映画部と年上大好きおじさん』

映画館



ヘレン「チケットを発券してくるわ」スタスタスタ

文香「君の名は……今回の新海誠監督はどうなんでしょうか」

奈緒「いつも通りなんじゃないの?」

文香「うーん……でも、いい加減同じ手は通用しなくなってきているのでは?」

小梅「奏さんは……なんで恋愛映画…苦手なの……?」

奏「ないしょ♪」

ヘレン「発券してきたわ。やっぱり満員って感じね」

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館内




奈緒「カップルと学生が多いなあ」

小梅「でも…御独り様も…ちらほら…」

奏「孤独な戦士ね……」

奈緒「頑張れ……周りの雰囲気に負けるな……君は独りじゃないぞ……」

ヘレン「やめてあげなさい」

文香「……始まりますよ」

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上映中




小梅(OP映像……テレビアニメみたい……)

奏(絵が綺麗ね……細かいところもしっかり描いてる……)

ヘレン(女口調の神木くん……アリね)

文香(音楽の使い方が上手いですね……)

奈緒(うわっ!そういう展開かぁ……!)




一同(………おー)

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上映終了



小梅「……………」

奏「……………」

文香「……………」

奈緒「……………」

ヘレン「……移動しましょう。近くに世界レベルの蟹料理店があるわ」

奈緒「蟹の名は草」

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蟹料理店




ヘレン「感想戦よ」

文香「なんか……ちょっと前のエロゲーみたいでしたね」

奈緒「しーっ!言っちゃダメ!ちょっと思ったけど言っちゃダメ!」

ヘレン「まさかの壮大SF作品だったわね」

奏「まさかあんな展開になるとは思わなかったわ」

小梅「びっくり…したね…」

奈緒「絵も綺麗だし、テンポも良いし、最高でしょ」

文香「ラッドウィンプス……でしたか」

奏「そうそう。ラッドの曲が何曲も使われているっていう話しだったからちょっと心配していたのだけれど、あれが逆に良かったわね」

ヘレン「ダルい場面を歌で上手いことダレることなく進ませる。なかなか良い演出ね」


小梅「絵が本当に……綺麗……」

奈緒「新海作品の魅力だよなー。あの絵を見せられたらもうね!」

文香「それにしても……今回も見事に年上女性が…」

奏「今回も?」

奈緒「前作も年上だったしなぁ」

小梅「そういうのが……お好き…?」

ヘレン「業が深いわね」


文香「……緩急がとても良かったですね」

ヘレン「そうね。軽快でコミカルにキャラを動かして映画のテンポに観客を乗せて、シリアスなシーンでグッと引き込む。上手いわ」

文香「……ストーリーもついにマンネリ脱却といったところでしょうか」

奈緒「ようやくこちら側に寄ってきた感じはあるかもなぁ」

ヘレン「まあ、世の中不景気だしね。景気が良い時は暗い話が、悪い時は明るい話が売れやすい。映画と景気の法則よ」

小梅「神木くんと……上白石さん……良かったね…」

奏「なかなか上手かったわね。奥寺さん役も長澤まさみだったらしいわ」

奈緒「たしか三人とも声優経験あるんじゃなかったかな?神木くんなんか結構引っぱりだこだし」

文香「ジブリ、細田、新海……モテモテですね。映画初主演もたしか三池監督でしたよね。クドカン作品も出てましたし、フルコンプリートいけるのではないですか?」

奏「なんのコンプリートよ…」


ヘレン「そろそろ評価に移りましょうか」

奈緒「S!高校生のうちにこの映画を劇場で観れて良かった!」

奏「同じくSランクね。恋愛の部分は個人的にはアレだけど……素晴らしいものが観れたわ」

小梅「私もSランク…です……面白かった……もう一回観たいな…♪」

文香「私も……Sランクですね」

ヘレン「同じくSランク。では、満場一致で世界レベル映画に認定!」

一同「わー!」パチパチパチ

奈緒「いやぁー、良いモン観れたな!」

小梅「観て正解だった…ね…」

ヘレン「ポスト宮崎は伊達ではなかったわね」

店員「お待たせしました~!こちらが釧路コースになります!」

小梅「うわぁ…♪」

奏「立派な蟹ね、美味しそう」

奈緒「蟹の名は」

店員「こちらはズワイガニですね!」

奈緒「あっ、はい」

ヘレン「さあ、いただきましょうか」

文香「蟹の身ほじりなら任せてください……得意なので」

奏「ああ、そういうの得意そうかも……」




『映画部と腐女子垂涎』に続く

奈緒「やっぱり観るんだ、怒り」

ヘレン「妻夫木聡と綾野剛がホモカップルの映画なんて、観るしかないじゃない」

文香「……綾野剛だったのですね。何故か、山田孝之が相方だと勘違いしていました」

小梅「山田さんは……ウシジマくんとか…ヨシヒコとかやってるからじゃ…ないかな」

奏「メディアでよく見ていたから勝手に記憶違いをしていたのね」

文香「……でも、綾野剛のホモ姿も観たいですね」

ヘレン「早速行きましょう。ホモの妻夫木聡が待っているわ」




『映画部と腐女子垂涎』

映画館



小梅「ホモカップルとか……由里子さんが好きそう…だね…」

文香「……一度お誘いしてみたのですよ。でも、断られてしまいました」

奏「あら、意外ね」

文香「本人曰く、『用意されたホモに興味はないじぇ』……だそうで」

奈緒「あの人はそっちの派閥だったか」

文香「重力×光のカップリングを語られた時には眩暈がしました……」

奏「あの人はアインシュタインか何かなの?」

奈緒「一般相対性理論はホモだった…?」

ヘレン「チケットを発券してきたわ」

小梅「ヘレンさんなら……光を曲げられそう…」

ヘレン「曲げられるわ。試したことはないけど」

奈緒「原始、ヘレンは太陽だった」

奏「場内は混んでる?」

ヘレン「ボチボチね。なんだかこの映画はあまりプッシュされていないみたい。劇場内でも一番小さい箱だったわ」

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場内



奈緒「わあ、本当にボチボチだなぁ……」

文香「結構賑わうかと思ったのですが……日が悪かったのでしょうか」

ヘレン「みんな君の名はに夢中なのよ、きっと」

奏「日本の勢いのある俳優陣が揃ってるのにね」

小梅「始まるよ……」

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上映中




ヘレン(画作り良し……なかなか期待できるわ)

奈緒(三つのストーリーが程よく切り替わりながら進んでいく……テンポ良いなあ)

小梅(俳優さん……見事にハマってるなあ…)

奏(どう転がるのかしら…)

文香(うーん……そういう展開ですか……うーん…)





一同(……………………)

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上映終了



小梅「………………」

文香「………………」

奈緒「………………」

奏「………………」

ヘレン「移動しましょう。近くに世界レベルの喫茶店があるわ」

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喫茶店



ヘレン「感想戦よ」

小梅「結構良かったね……凄いもの観た気分……」

奏「そうね。画の作りが抜群に良かったし、三つのお話を上手に切り替えてテンポ良く回してたわ」

奈緒「それは納得だけど……個人的には絶叫&号泣、安直な不幸設定、犯人のテンプレ狂気感、カルピスのCMみたいなエンドがどうにも……またそれかって感じ」

ヘレン「そうね……今作は評価分かれそうね」

文香「うーん……」


奏「キャスティングは良かったんじゃない?」

奈緒「うん、キャスティング最高だった。期待以上だよ」

ヘレン「俳優のそれぞれの持ち味を最大限まで引き出していたわね。素晴らしいわ」

文香「……宮崎あおいの、あのクッソムカつく女の演技は良かったですね」

奏「私は渡辺謙凄いなって改めて感じたわ。あの目が泳ぐ演技とかどうやるのかしら…」

ヘレン「妻夫木聡と綾野剛のカップルとしての自然さも凄かったわよね」


奈緒「画作り、テンポ、キャストが良いだけに、なんか粗が目立ってくるんだよなぁ…」

小梅「確かに……犯人の動機とか…結構ガバガバ…?」

奈緒「うん……あと三つのストーリーもさ、絡みがないのがちょっとがっかりかな」

文香「うーん……それはどっちを主軸に置いているかにもよるのではないでしょうか」

奏「というと?」

文香「この映画は、犯人探しと三つの人間ドラマの両方のお話しによって構成されているのですが……犯人が誰なのかっていうのは、元ネタを知っていればすぐに分かってしまうのですよ。正直な話、PVの段階でも分かってしまうんですね。流石にミスリード狙いだろうと思っていたのですが、まさかのそのままという……他の容疑者に目が行くようにもしてありましたが」

ヘレン「ふむ…」

文香「……これだけ犯人が分かりやすいとなると、殺人や犯人探しはマクガフィン……話しを進めるための動機としての役割であり、物語のやはり主軸はひとつの事件によって揺れ動く人間たちのドラマなのだと思います。そうなると、わりかし納得できるのではないでしょうか」


奈緒「なるほどなぁ……でもさ、そうすると家出娘の風俗行きとか、沖縄の事件とか、不幸の演出がちょっと安直すぎない?」

文香「うーーん……風俗案件については『最貧困少女』や『家のない少女たち』を読んだばかりなので分からなくもないんですよね……沖縄の件も事実はともかくとして実際に事件として報道されていますし……全員片親設定などはやりすぎかなとは思いましたが…」

奈緒「うーん…難しい!」

奏「考えすぎじゃない?」

文香「そうですね……では、奈緒さん」

奈緒「ん?」

文香「はい、知能レベルを下げて~」

奈緒「アー」

文香「……今作はどうでしたか?」

奈緒「妻夫木聡がホモだから神」

文香「はーい、良作」

奈緒「最高」

奏「そんな適当な……」

ヘレン「でも実際、私達が観たかったものはなんだったかしら?」

奈緒「ホモの妻夫木聡」

ヘレン「そう。ホモ夫木聡が最高の出来栄えで観ることが出来た。それだけで十分よ」

小梅「知能レベルを下げるって……大事…」


ヘレン「では評価なのだけれど……」

奏「私は……S-かしらね」

小梅「S-…です」

文香「……A+で」

奈緒「ああいう風に考えると、いいもん見れた。だから、S-かな」

ヘレン「私もS-かしらね。総評価、S-!素晴らしいホモ夫木聡だったわ!」


奏「こんなのでいいの?」

ヘレン「いいのよ。この評価なんて、その時のテンションで適当につけてる与太話なんだから」

奏「それもそうね」

小梅「そうそう」

文香「……次は何を観ましょうか」

奈緒「あんまりピンとくるものないかも」

小梅「高慢と偏見とゾンビ……」

奏「ハドソン川とか気になるわね」

文香「……ハイローは結局観れないまま続編が始まってしまいましたね」

ヘレン「あとカラテキルもいつの間にか都内では終っていたみたいね。気を抜いていたわ」

奈緒「うわぁ…カラテキル観たかったなぁ……」

文香「……まあ、その時になったら適当に観ましょうか」

奈緒「そうだな~」

ヘレン「では、解散で」

小梅「またね…♪」



外伝『奏・伊吹のお家で映画デート♪』に続く

伊吹の部屋



伊吹「ふんふんふ~ん♪」

奏「やけにテンションが高いわね」

伊吹「んー?だってさ、久しぶりの奏とのパジャマパーティなんだもん。嬉しくってさ!」

奏「そういえば、伊吹ちゃんとこうして遊ぶのも久しぶりかもね」

伊吹「そうそう。最近の奏ったら映画部の人たちとばっかり一緒なんだもん。寂しかったんですけど~?」

奏「ふふっ、ごめんごめん♪」

伊吹「…本当に思ってる?」ジトー

奏「思ってるわよ」


伊吹「……ま、いっか。こうして会えてるんだしね!」

奏「あ、そういえば伊吹ちゃんにプレゼントがあるのよ」ガサガサ

伊吹「え~、なになに?」

奏「はい、これ」

伊吹「わあっ!開けていい?」

奏「ええ」

伊吹「なんだろ……あ、服?」ガサガサ

伊吹「……え……なに、これ……」

奏「パジャマよ、セイウチの着ぐるみパジャマ」

伊吹「なんでセイウチ!?」

奏「よかったら着てみて頂戴」

伊吹「う、うん……洗濯してからにしようかな……今日は自前のものにする」

奏「あらそう?」

伊吹「と、とりあえずお風呂入っちゃおうか。その後、奏が持ってきた映画観ようよ」

奏「そうね。いくつかチョイスしてきたから、ゆっくり楽しみましょう♪」

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※ここに入浴シーンのあるものとする

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入浴後




伊吹「いいもの見たな~♪奏の可愛い声も聞けたし♪」

奏「もう……イタズラばっかりするんだから」

伊吹「いいじゃん、女同士なんだし♪」

奏「さあ、パジャマにも着替えたし、さっそく映画観ましょうか」

伊吹「その前にさ……」

奏「なに?」

伊吹「セイウチパジャマなんだね……」

奏「ええ、牙もついてる本格使用よ」


伊吹「そ、そっか……で、今日はなに観るの?」

奏「まずはこれね……真田信繁の謀略」

伊吹「聞いたこと無いなぁ……真田って今流行ってるのと関係ある感じ?」

奏「ええ、真田丸で話題になっている真田幸村の映画ね」

伊吹「へぇ~!どんな映画?」

奏「そうね、簡単に説明すると……」

奏「謎隕石ドーン!謎忍者バーン!ニンポーツヨイ!尼僧の色気で十勇士集めまーす。集まりましたー。真田丸びゅーん!頑張れガッツ石松!家康の首ポーン!謎忍者バーン!終!」

奏「こんな感じ」

伊吹「えっえっえっ、わからないわからない」

奏「まあ、実際に観てみるのが一番よ。じゃあ、再生」ポチッ

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上映後



伊吹「うぁぇあぁ……?」

奏「どうだった?」

伊吹「え、なにこれ…」

奏「日本の傑作時代劇よ」

伊吹「時代劇……?」

奏「次はパジャマパーティらしく、ホラーを観ましょうか」

伊吹「あっ、いいね。そういうのいいね」

奏「ということで、ゾンビーバーよ。大好きなのよね、ゾンビーバー」

伊吹「ゾン……ビーバー…?え、ゾンビなの?ビーバーなの?」

奏「ゾンビのビーバーよ。簡単に説明すると……」

奏「トラックから核ゴロゴロー!湖にボチャーン!はーい、ビーバーがゾンビになりまーす。湖にチャラい男女来まーす。パンパンパン!ゾンビーバー登場!仲良く泳いじゃダメだろ!ゾンビーバーガブー!みんなガブー!生き残った女にバーン!終!」

奏「こんな感じよ」

伊吹「さっきから微塵も伝わってこないよ!」

奏「とりあえず観ましょう」ポチッ

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上映後



伊吹「もー……もー!!!」

奏「牛かしら」

伊吹「なんなのこれ!!!ゾンビーバーちょっと可愛いしさ!!!」

奏「いいわよね、ゾンビーバー。ハングオーバーのスタッフが作っているらしいわ。デカ字幕があるのも魅力よね」

伊吹「それだよ!デカ字幕!なんなの!なんでデカいの!」

奏「字幕がデカいと最高じゃない」

伊吹「わからないよ!!!」


伊吹「もっと普通なやつないの?ホームアローンとかさ…」

奏「ホームアローンといえば…」

伊吹「あるの?なんだ、最初からそれ出してよ、も~…」

奏「ホームアローンの子でおなじみのマコーレー・カルキン主演のパーティーモンスター」

伊吹「うわああああああああ!!!??パッケージからしてクソ映画っぽい!!!」

奏「簡単に説明すると…」

奏「オカマとオカマがヤバイパーティーしまくってホモDJとかホモエンジェルとかが集まってきてドラッグドラッグドラッグ」

奏「こんな感じかしら」

伊吹「うわあああああああああああああああああ!!!!!???」

奏「観るわよ」ポチッ

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上映後



伊吹「オボロロロロロロロロロ!!!!!!!」トシャー

奏「なにが凄いって、これ実話なのよね」

伊吹「もうやだぁ……やっぱり奏はクソ映画ハンターだったんだぁ……」

奏「クソ映画ハンターだなんて、失礼ね。好きな映画が、たまたま世間からクソという評価をうけているだけよ」

伊吹「それを人はクソ映画ハンターと呼ぶんじゃないかな?」


伊吹「もうヤダ…寝ようよ……」

奏「分かったわ……じゃあ、最後に一作だけ観て寝ましょう」

伊吹「今度はちゃんとしたやつ?」

奏「ええ、老人とセイウチの感動ストーリーよ。ミスター・タスクっていうんだけど……」

伊吹「あ、ちょっと面白そうかも…」

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上映後



伊吹「奏を信じたアタシがバカだったよ」

奏「良い作品よね、熱いセイウチバトルもあるし。大好きだわ」

伊吹「クソ映画ばっかり!もう寝る!」

奏「そうね、もういい時間だし寝ましょうか」

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数時間後


奏「伊吹ちゃん、伊吹ちゃん」ユサユサ

伊吹「ううん……なに……?」

奏「起きた?」

伊吹「起きたって……あれ!?アタシ、いつの間にセイウチパジャマに!?」

奏「私と闘え!ミス・セイウチ!」

伊吹「いやああああああああああああ!!!!!」



二人のセイウチバトルは明け方まで続いた……




終劇

『おまけの映画部紹介』



ヘレン

「立てばセクシー 座ればビュリフォー 歩く姿はダンサブル」と世に言わしめた我等が映画部部長の超姉貴。
とりあえず、気になった作品は片っ端から観る、自称シネフィル。あくまで自称。でも、ヘレンさんならシネフィルって名乗ってもいいよ、世界レベルだし。




速水奏

元々はただの映画好きであったが、映画部に入部して以来、すっかりクソ映画ハンターに。やっぱりクソ映画部じゃねーか。恋愛映画が苦手なのは、恋愛モノはクソだらっだらとしたテンポの悪い作品になりがちなのと、「私、感動しちゃってぇ~、涙が止まらなかったんですぅ~。なんか自分の境遇にすごいリンクしちゃってぇ~」とか言ってる意識高い女が死ぬほど嫌いだから。ぜってぇー男できないタイプっすわ。



神谷奈緒

タランティーノ好きの洋画大好きっ子。邦画に若干の偏見を持っている典型的なにわか。まあ、高校生らしいよね。カッコいい服(映画のタイトルとかポスターがプリントされたTシャツ)も可愛い服(アニメキャラがプリントされたTシャツ)も持っているが、普段はカッコいい服を着ている。愛用の財布には「Bad Mother Fucker」という文字がプリントされている。お母さんめっちゃ心配してるぞ。



白坂小梅

ホラーと名のつくものなら片っ端から観る真のシネフィル。それがどんなにグロかろうと、つまらなかろうと、嬉々として観る姿には尊敬の念を禁じえない。真っ暗な事務所で独りで「大脳分裂」を観ているところを松永涼に発見され、本気で心配された。そら心配するわ。ご飯しっかり食べてる?寝る時にはしっかり毛布かけてね?お風呂あがる前にちゃんと10数えるんだよ?



鷺沢文香


映画に対する趣向の好き嫌いが激しい、映画部の誇るもっとも面倒くさい女。元々は三島由紀夫や寺山修司作品の愛読者であったが、ひょんなことから映画「書を捨てよ 町へ出よう」を観て以来、映画にハマるようになった。大丈夫?友達いる?好きな男性のタイプはアル・パチーノ。ゴッドファーザーのときの。いてたまるか、そんなヤツ。将来絶対男に苦労するぞ。



麻婆豆腐

フライパンにゴマ油をしき、ネギ、生姜、にんにくを中火で香りがたつまで炒める。ひき肉を入れ、強火で色が変わってくるまで炒めたら酒、甜麺醤、醤油、少量の味噌、塩少々、砂糖少々、水を加え、沸騰してきたら中火にして3分ほど加熱する。豆腐を加え、3分ほど強火で炒め、水溶き片栗粉を加え、とろみがついてきたら火を止める。

これにて終了ですー
最近、風香ちゃんのもっと人気を上げるにはどうしたらいいのかを真剣に考えました。
結果、風香ちゃんはユーチューバーになるべきとの結論に至りました。

あ、書き忘れましたが、麻婆豆腐には豆板醤も加えてください

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