愛海「いよいよ山の日だーっ!」 (43)

【モバマスSS】です


――――8月10日、プロダクションの一室

愛海「うひひっ! あぁ楽しみだなぁ、こんなに名前の響きだけでワクワクしちゃう日が今まであったかなー!」

ジャラジャラ

愛海「山の日! 山の日!! お山の日っ!! 何回言っても素晴らしい響きだよっ!」グルグル

カキカキ

愛海「しかも『お山に親しむ機会を得て、お山の恩恵に感謝する』ための日だっていうんでしょ!」ゴロゴロ

ジャララララ

愛海「これはもうあたしのためにあるような祝日っ!! ……なのに」

チャキン ジャララ カキカキ

モバP「おっし、鎖のほうは問題ねえな。これで愛海の拘束は出来たぞ」

芳乃「わたくしのほうもこれで封印の式が完成でしてー」パァァ

パリンッ

愛海「どうしてこんなにきつく縛られて閉じ込められないといけないのー!? ひどいよプロデューサー!!」ドンドンッ

両手両足を鎖で縛られた愛海はもがくが、芳乃によって床に描かれた陣の外へ動くことがまったく出来ない。

愛海「いたっ!! うえーん! なんでー!? せっかく楽しみにしてた山の日までもうすぐなのにー!」ゴンゴン


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※棟方愛海
http://i.imgur.com/tWjBRVZ.jpg

※依田芳乃
http://i.imgur.com/g3OeTqd.jpg


モバP「悪いな愛海。その山の日ってのが今回問題でよ。こうしないとまずいって色んな連中から話が来てんだ」

愛海「……どういうこと?」

芳乃「愛海、そなたを明日自由にしておけばー、災いが起こるとの神託がありましてー」

愛海「え、ええ!? そ、そんなことないよー! 明日はちゃんといい子にするから! きゅるる~ん♪」キラキラ

モバP「……あー、やっぱ外に出してやりてえな……」

芳乃「そなたは愛海に甘すぎるのでして。分かっているとは思いますがー、この神託はわたくしだけでなくー」

モバP「言われなくても歌鈴やクラリスさんにもあったのは覚えてるって」

愛海「そ、そうなの……?」

モバP「おう。それだけじゃねえぞ、他にも朋の占いにこずえの予知夢に、はてはユッコのサイキック悪寒とかいう謎のモン」

プロデューサーは受けた報告を指を折って数えていく。

モバP「とにかく色んな理由で20人くらいが、明日お前を放っておくとヤバイって連絡してきたって訳だ」

愛海「……ホント?」


モバP「おう、マジもマジだ」

愛海「そんなぁ~、あたしまだなにもしてないのに!」

芳乃「しかしこれだけの者達が災いを感じたならばー、なにもしないわけにはいかずー」

モバP「そういうわけで、こうして俺と芳乃でお前を拘束して監視するに至ったってな」

愛海「うぅ~、陰謀だよ! 酷い! 皆もどうしてあたしのことそんなに警戒するの!?」

モバP「……正直さっきまでの台詞なんざ聞いたら、普段の愛海知ってる奴なら誰でも警戒すると思うぜ?」

愛海「ぐっ、は、反論出来ない……」ションボリ

芳乃「まー、なにもなければそれでよくー、そうでないならこのように準備しておくほうがよいのでしてー」ストンッ

モバP「念には念をってやつだからな。悪いがこれもしょうがないと思って諦めてくれ」ドスッ

そう言うと二人はその場に座り、各々準備してきた仕事道具や暇つぶしのための物を弄り始めた。

愛海「……あれ? 二人共帰らないの?」

モバP「言ったろ、拘束して監視するって。正直あんだけの人数が警告してきた以上ここに閉じ込めてはい終わりって訳にもいかねえ」


芳乃「それに愛海、そなたその状態では満足にお手洗いにもいけぬでしょうー?」

愛海「あうっ……///」

芳乃「そのような時のためにわたくしもここに残るのでしてー」

モバP「ま、本音を言うなら愛海を1人にしといたら寂しいだろうから、話相手として残らねえとなってのもある。な?」

芳乃「はいー」ニコッ

愛海「……も、もう! そこまで考えてくれるならやっぱりこの拘束外して――」

モバP「それは」

芳乃「無理でしてー」

愛海「……はぁ、だよねー。まぁ、プロデューサーと芳乃ちゃん達が決めたならいっか」

モバP「悪ィな。その代わり明日が何事もなく終わったら愛海の希望通りのことをなるべくなんでもしてやる。楽しみにしてろ」

愛海「ほんと!? やったーっ!」

こうして拘束された愛海であったがその後しばらくは何事もなく、プロデューサーと芳乃の心配は杞憂に終わるかと思われた……しかし。


――――8月11日、0時丁度、プロダクションの一室

愛海「……スゥ……スゥ――うっ……!」ビクンッ

いつの間にか眠っていた愛海の身体がびくりと震える。

芳乃「……!」

モバP「おいどうした?」

プロデューサーと花札をしていた芳乃は、その瞬間空間そのものを押し潰してしまうような膨大な力を感じ取り、愛海に視線を向けた。

芳乃「これはー……!」

ドォン!

モバP「うおおお!? なんだ!? 愛海からすげえ風が!?」

芳乃「そなたー、気をつけるのでしてー……悪い予感が当たってしまったようでしてー」

モバP「……嘘だろおい……!」

愛海「う……あ、あぁあ……アァアアアアアアアアアア!!!」ヒュゥウ

モバP「愛海が浮いた!? おい愛海ーっ!!」ダッ

芳乃「いけませぬー、いまの愛海に近づいてはそなたがー……!」ギュッ


愛海「ウアアアアアアアアアア!!!」

ガキャアン!

モバP「うお鎖が!? ありえねえ! 鋼鉄の鎖が弾け飛びやがった!!」

ギィイイイイ……!

芳乃(わたくしの結界が悲鳴をー……このような、こと……お、抑えなくてはー……!)

愛海「ガァアアアアアアアアア!!!」バリバリッ!

ZZZZTTTTTTAAAAAAAAAAAAAAA!!

モバP「か、雷!? どうなってんだ! 愛海が放電してやがる!」

芳乃「くううー!? な、なんて力なのでしてー……!」キィィン

必死に封じようとするが、全身から白い稲妻を迸らせる愛海がついに芳乃の力を上回る!

芳乃「そ、そんな、抑えきれな――」

愛海「AAAAAAAAAGRUUUUUUUUUU!!!」バリバリッ!

バキィイイイイイン!!

芳乃「……あ……」ドサッ

モバP「芳乃!? おい芳乃!? しっかりしろ! クソッ! この雷のせいで拘束してたもん全部壊されちまった!!」


愛海「UUGAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」バリバリッ!

モバP「ぐぅ……おいどうなっちまうんだよ愛海ィー!!」

愛海「……!!」ピカッ!

KATA-DOOOOOOOOOOM!!

モバP「うおおおお!?」

一際大きな閃光が愛海を中心に空間を貫いた。

プロデューサーは倒れた芳乃を庇いながらその場にしがみつきなんとか衝撃をやり過ごすと、途端に静かになった周囲に視線を巡らせる。

モバP「……なんだ、どうなった……?」

芳乃「そなたー……」

モバP「芳乃! 無事か、怪我とかしてねえか!?」

芳乃「大丈夫なのでしてー……術式を破られた反動で少々苦しかっただけなのでしてー……愛海は……うっ」フラッ

モバP「無理するな、俺が様子を見てくる。芳乃はここで休んでろ」

芳乃「はいー……」

モバP「……さて、愛海は……」

注意深く愛海のいた場所に歩み寄っていくプロデューサー。床は彼女の放電によって焼け焦げ、芳乃の描いた陣はすでに消滅している。


モバP「チッ……それにしても視界が」

さらに愛海のいた場所の周りには奇妙な煙が立ち込めており、それがわずが数メートルの移動すら困難にさせていた。

モバP「愛海! おい愛海ッ! 無事なら返事しやがれ!」

???「……んっ……プロ、デュー……サー……」

モバP「……おしっ、生きてるな、無事なんだな!? まってろ、今そっちに――」

声に喜び急いで愛海の元へと駆け寄るプロデューサー。直後、まるでそれを待っていたかのように煙が晴れ、彼はその姿を見た。

モバP「……は?」

???「……うぅ、なんだか変な気分……プロデューサー、あたし、なにが……」

モバP「あつ……み……?」

???「どうしたのプロデューサー? そんな驚いた顔して……というか、なんだか大きくなってない?」

モバP「いや、大きくなったっていうか、お前、それ……!」

???「な、なに、どうしたの?」

芳乃「……そんな……愛海……」

顔だけを動かして愛海の姿を見た芳乃も絶句し、プロデューサーは理解できないといった表情で叫んだ。

モバP「お前……どうしてぷちデレラになってるんだーっ!?」

ぷち愛海「……へ?」


――――8月11日、朝、プロダクション事務室

乃々「つまり、芳乃さんは山の日の力を取り込んだから、愛海さんがこんな登山服を着たぷちの姿になったと考えているんですか……?」ツンツン

ぷち愛海「あわわ」プニプニ

芳乃「そうと考えねば説明が出来ないのでしてー……力を取り込む際の出来事を鑑みれば、なにがおきても不思議ではなくー」ツンツン

ぷち愛海「ふええ」ポヨポヨ

モバP「あの雷とかが全部山の日のパワーを取り込んでいった結果ってんなら、なんで愛海はこんな小さいぷちデレラになったんだ?」ツンツン

ぷち愛海「うひゃあ」コロコロ

芳乃「大きな力が必ずしも大きい物に宿る訳でなくー、むしろ小さき者だからこそ正しく扱える力というものもありましてー」ツンツン

モバP「なるほどなぁ……しかしまたどうしてぷちデレラなんだか」ツンツン

乃々「8月8日にぷちデレラ養成所へ愛海さんのぷちデレラが追加された……それが理由かもしれないんですけど……」ツンツン

モバP「おいおい、スカウトメダル100枚で愛海のぷちデレラが手に入るようになったからって、愛海がぷちデレラになるか?」ツンツン

乃々「ぷちデレラの愛海さんは小さくて可愛いですし……ステータスも可愛さを表現していますけど……」ツンツン

モバP「ふーむ、つまり誰でもわかる可愛くて小さな物ってことならぷちデレラの形が最適ってことか」ツンツン

ぷち愛海「うううう! んもー! みんなしてあたしをツンツンしないでよっ!! なんで指でつつくの!?」

※森久保乃々
http://i.imgur.com/tgLiXVU.jpg


※ぷち愛海(可愛い)
http://i.imgur.com/PwWnivZ.png

※ぷち愛海レベル30通常ステータス(Vi高くて可愛い)
http://i.imgur.com/0j33D3u.png

※ぷち愛海現在の格好
http://i.imgur.com/uasRP7W.png


乃々「うっ、ご、ごめんなさい……」

芳乃「そのー……」

モバP「触った感触がすげえ気持よくてよ、なんかついツンツンしちまいたくなったんだ。悪かった」

ぷち愛海「えぇー……」

ぷちデレラとなってしまった愛海をそのままにしておくことも出来ず、プロデューサーと芳乃は愛海と共に事務室へとやってきていた。

そこで愛海のことを心配しながら机の下で過ごしていた乃々とも合流すると、4人は今後のことについて話し合っていく。

モバP「しかし油断したぜ……こうなりゃちひろさんに相談するしかねえと思ってたが、ちひろさん買い出しに行ってていねえとはよ……」

乃々「その……芳乃さんが元に戻すとかは出来ないんですか……?」

芳乃「……いまのわたくしではー、愛海の中に取り込まれた力に対抗することが難しくー……」

乃々「むーりぃー……ってことですか……」

芳乃「むーりぃーなのでしてー」

モバP「芳乃が無理ならどうしようもねえし、ちひろさんもいねえ。さてどうしたもんか」

ぷち愛海「こんなにちっちゃくなっちゃったし、あたしは今日一日人形みたいに大人しくしてみるとか?」

モバP「あー、そりゃいい考えだけどよ……実現出来んのか?」

ぷち愛海「……自分で言ったけど絶対無理だね♪」


乃々「でもいまの愛海さん……触るとすごく気持ちいいですし、じっとしてれば本当にお人形さんみたいなんですけど……」

ぷち愛海「ふむふむ、いまのあたしそんなに人形みたいなんだ。試しにじっとしてたら事情知らない人騙せたりするかも!」

モバP「いやいや流石にそりゃ――」

ガチャ

心「おっはよ~♪ はぁとが事務所に来ちゃったぞ☆ さてお仕事はっと」

モバP「これはこれは佐藤心さんおはようございます」

心「だからシュガーハァトって呼べよ☆ つうかプロデューサーなんでいんの?」

モバP「なんでって酷え」

心「やー、だって今日プロデューサーは休むってちひろちゃんから聞いてたし……あれ? 芳乃ちゃんまで」

芳乃「おはようなのでしてー」ヒラヒラ

心「うーん? 休むって聞いてた二人がいるって謎……ん?」

ここで心はプロデューサーの椅子の上にちょこんと座ったまま動かないぷち愛海に気付いた。

心「プロデューサー、その椅子に座らせてる愛海ちゃんによく似た人形なに?」

モバP「え? いやこいつは……」

※佐藤心
http://i.imgur.com/jrKK3Xj.jpg


心「プロデューサー相変わらず愛海ちゃんラブなんだから♪ どれどれ」ヒョイ

芳乃・乃々「「あ」」

心はぷち愛海を摘み上げると、その姿をしげしげと眺めて感嘆する。

心「へーなにこれすごいよく出来てる! まるでちっちゃい愛海ちゃんが生きてるみたいな感じがするし!」

モバP「あー、はぁとさん? 悪いけどすぐにでも降ろしてもらえると嬉しいんだがよ」

心「堅いこと言うなって、盗ったりしないから☆ しかしほんと良く出来てる……こういうグッズはぁとも作って欲しいなぁ~?」チラッ

モバP「いやだからな」

心「それとも愛海ちゃんだからこういうの作ったの? もー、このこの♪」グリグリ

モバP「だからちげーんだって! その愛海は――」

ぷち愛海「く、くるちい……」ジタバタ

心「……うん?」

服を摘むようにして持ち上げられた愛海は息苦しさのあまりついに我慢できなくなったのか、心の指から離れようともがき始める。

ぷち愛海「お、降ろして、おーろーしーてー!」ジタバタ

心「なっ、なっ、なぁ!? 愛海ちゃんの人形が動いたぁ!?」

モバP「だからその愛海は本物なんだよ! 事情があってそんな姿になっちまってるが!」

心「なにー!? てか暴れちゃだめ落としちゃうって――ああっ!?」スポッ


ぷち愛海「うわーっ!?」ヒューン

ポムンッ

ぷち愛海「あうう……いた……くない? というかこの柔らかい感触は……」モミモミ

心「ひゃう!?」ビクンッ

モバP「げっ!? おい愛海、そこから早く降りろ!」

ぷち愛海「わかる……これは……! これは心さんのお山!!」モミモミ

もがいた結果偶然心のお山の上に落ちてしまった愛海は、最初は無意識だった手の動きを次第にお山を登る時のような動きに変化させていく。

心「ひゃああんっ!?」ビクビクッ

乃々「わわわ……心さんの様子がおかしいんですけど……!」

芳乃「……まさかー」

心「あっ♡ あっ♡ なに、これ……きもぢいいっ♡ やっ、ひゃああ!? ダメダメダメ!! こん、なの……ふぁああああ♡」ビクンッ!

ぷち愛海「おっとっと」ピョン

身体を震わせてその場にへたり込んでしまった心から飛び離れた愛海は、驚いた様子で自分の手を見つめる。

そして周りの者達もまた、へたり込む心とその原因となった愛海を見比べて困惑した表情を浮かべた。

モバP「お、おいはぁとさん……?」


心「……ふーっ♡ ……ふーっ♡」ビクンッビクンッ

乃々「な、なにがなんだか分からないんですけど……!」

モバP「芳乃! どうなってる!」

芳乃「もしかするとー、山の日の力を取り込み愛海があのように小さくなったのは、ひとえにこのための可能性がありますー」

モバP「……まさかぷちデレラになって登山服着てるのは、いつもやってる愛海の山登りを本格的にそうと見せるためってことか!?」

芳乃「ええー。しかもわたくし達が少し触っただけでも気持ち良いと感じたあの感触でー、一度お山登りをされてしまえばー」

乃々「い、今の心さんみたいになるってことですか……!?」

心「ひぅ♡」ビクンッ

ぷち愛海「……ふふふ」ギュッ

モバP「お、おい愛海! やっぱりお前は今日大人しく――なに笑ってるんだ?」

ぷち愛海「ふふふ、ウヒ、ウヒヒヒヒヒッ! 分かったんだよプロデューサー! あたしの、あたしがこうなった理由!!」

モバP「そりゃお前、そうなったのは山の日の力が変に作用して」

ぷち愛海「そう! 山の日の力! つまりは、天が! 世界が! 運命がッ! あたしにお山を登れと叫んだんだよッ!!」グルグル

モバP「……お、おお?」


ぷち愛海「この感じ! わかる! 今ならあたしがどうするべきか! 心さんのお山を登って魂が理解したの!!」グルグル

グルグルと回る渦のような状態を愛海の瞳は一瞬見せたが、今の愛海の大きさもあってそのことに気付く者はないない。

芳乃「しかし愛海ー、いまのそなたがいつものことをすればー、まわりに及ぼす悪しき影響はー」

ぷち愛海「悪いことなんてなにもないよ! ほら、心さんを見てよ!」

モバP「なんだよ、正直いまのはぁとさん見るの結構ヤベえんだけどなにが……」

心「――……あれ? なんだかすっごい身体が軽くなった☆」スクッ

乃々「……え? あ、あの、心さん……大丈夫なんですか……?」

心「いやーそれがね、最初愛海ちゃんに触れられて訳わかんなくなってたんだけど、少し前からいきなりそういうのがなくなってぇ~♪」

さらに心はその場で突然ストレッチを開始すると、腰の動きや肩の動きに感動した様子を見せる

心「うっわ!! うっわ!! 調子悪かった肩とか少し痛かった腰がもう全然痛くない!! 微妙に二日酔いだったのも治ってるっ!!」

モバP「なんだ、と……」

心「なにこれすっごぉい♪ はぁと、こんなに超スウィーティーな感じで身体が動かせるのはじめてなのぉ☆」ピョンピョン

ぷち愛海「ほらね! 悪いことなんてなかったでしょ!」

心「やぁん♪ 愛海ちゃんありがとっ! 今ならどんなお仕事でも完璧にできちゃうぞ☆」

モバP「そいつは良かった……いやいやまてまて! 結果だけ見て流されそうになったが途中のことは流石に見過ごせねえからな!?」


ぷち愛海「むぐぐぐっ! なんでー!?」

乃々「さ、流石にその、さっきまでのはぁとさんみたいになるのはもりくぼこわいんですけど……」

ぷち愛海「うひひ、こわくなんてないってば! 大丈夫、一度味わえば乃々ちゃんだって好きになるから……さぁあたしにそのお山を!」

乃々「ひゃああ!?」

芳乃『――』

刹那。美しい音が響いたかと思うと、愛海の身体が地面に縫い付けられていた。

ぷち愛海「うげえ!?」ビターン

ぷち愛海「な、なんで身体が地面に……はっ!? まさか芳乃ちゃん!?」 

芳乃「乃々をあのような目に合わすわけにはいきませぬからー」

モバP「よくやった芳乃! ちょっと待ってろ! すぐに愛海を捕まえる道具を――」

ぷち愛海「……くく、くふふっ! あはは、ちょっとちょっとプロデューサー、忘れてない?」

モバP「なに……?」

ぷち愛海「いまのあたしは、芳乃ちゃんの力だって跳ね返せるってことをーっ!!」

バキィン!

芳乃「……っ!?」クラッ

※ぷち愛海現在ステータス
http://i.imgur.com/KbbWYqD.png


乃々「芳乃さんの拘束が……!」

心「え、え、なに、なにが起きてる感じなの?」

モバP「まずい……! 乃々ォ! そっから離れろォ!!」

乃々「あ、ああ……」

ぷち愛海「それじゃ改めて……乃々ちゃんのお山を登らせていただきまーす! お山!!」ドンッ

芳乃「乃々!」

咄嗟に乃々を庇うように前に出た芳乃。

だがそれこそが愛海の真の狙いであり、彼女は笑みを浮かべて突撃すると芳乃の小さなお山を一瞬にして登り切り、その背後へと着地した。

ぷち愛海「……この山の日の力でお山登りをする時、どうしても芳乃ちゃんが障害になるのは分かってた」

ぷち愛海「だから、真っ先に足止めさせてもらうよ芳乃ちゃん……ごめんね。お山登りもいつもより激しくさせてもらったから」

芳乃「……あ……」ヘトォ

芳乃「――ぁあああ!? あ、この、ような……ひぅうう♡ だ、め、やぁ……ふぁああああ♡♡」ビクビクッ

モバP「芳乃!? くそ、愛海お前!」ヒュッ

ぷち愛海「おっと! 悪いけどプロデューサーにも捕まる気はないよ! あたしにお山を登れと、山の日が! 世界が言ってるんだから!」

モバP「馬鹿言ってんじゃねえ! さっさと戻ってこい! 山登るのなら俺のだけにしやがれ!!」


ぷち愛海「プロデューサーは男だから後回し! 乃々ちゃんのお山も登っておきたいけど……」チラッ

乃々「芳乃さん! 芳乃さんしっかりしてください……!」ユサユサ

芳乃「あ、あ……の、の……んんんっ♡ ひっ♡ あぅぅ♡ わたくし……こんなっ♡ み、ない……~~~っ♡♡」ビクンッビクン

乃々「ああ!? なぜか芳乃さんの震えが激しくなったんですけど……!?」

ぷち愛海「あれなら乃々ちゃんも後回し! それじゃプロデューサー、あたし今からいっぱいお山登りしてくるねっ!」ビュン!

モバP「愛海!! ――ああ、ったく見た目が小さくなっただけで身体能力は上がってるのかよ!」

廊下に飛び出た愛海を追いかけるプロデューサーであったが、すぐに姿を見失ってしまい、仕方なく事務室へと戻ってくる。

心「あー、えとプロデューサー? 正直今更かもしれないけど状況が全然わからないぞ☆」

モバP「説明は……」チラッ

芳乃「んくっ……~~~っ♡♡♡」ビクンビクンッ  

モバP「してる暇ないんで心さんは携帯で出来るだけ他の連中に『ぷちデレラの愛海を見かけても近づくな』って連絡しといて下さい」

心「い、いいけど……」

モバP「それと、今日はもう普通に仕事行って下さい。あとは俺のほうでなんとかしますんで」ゴソゴソッ


心「そう言うけど、なんとなかる感じじゃなかったような……」

モバP「それでもなんとかしますよ、プロデューサーですからね」ゴソゴソ

心「……そっか、じゃあ任せたプロデューサー! ちゃんとはぁとが帰ってくるころには騒ぎを終わらせておくんだぞ☆」

モバP「はいよ!」

心はそう言うと、未だ震える芳乃を心配そうに一瞥した後事務室から退出していった。

それを見届けプロデューサーは事務室のロッカーから対愛海用の道具をいくつか引っ張り出してくると、簡単な状態確認を行っていく。

モバP「こいつは……だめか。札はどうだ……?」ゴソゴソッ

芳乃「そな、た……ひぅ……♡」ビクン

モバP「無理すんな芳乃。愛海の言葉が本当なら、お前はしばらく動かないほうが良い」ゴソゴソッ

乃々「そ、そうです……芳乃さん、無茶しちゃだめなんですけど……!」

芳乃「しか、し……少しお話がー……んうっ!?」ビクッ!

モバP「……分かったよ、それでなんだ?」

芳乃「不本意、ですがー……愛海の、あぁん♡ ……あの力が……わたくしの力をもー……かい、ふく……ゃあああ♡」ビクンッ

モバP「……つまり、今の芳乃の状態が治まれば、愛海を捕まえられる可能性があるってことか?」


芳乃「それだけ、っぁ……でなくー……おそらく、はっ♡ ……もと、にも、もどせ――んんんっ~~~~♡♡」ビクンビクンッ

モバP「それだけ聞けば十分だ、今は無理するんじゃねえ」

芳乃「し、しかし……いそがね、ばー……♡ このような、力、むせいげんに、使えば……あっ♡ もとにもどった、とき……ぃ♡」ビクンッ

モバP「反動がヤバイ可能性があるのか……!」

芳乃「……(コクコク♡)」

ここで会話が難しくなったのか、芳乃は口を閉じて頷くだけに留めると、あとは必死に身体に与えられたお山登りの影響に耐え始める。

乃々「……芳乃さん……」サスサス

モバP「さて……とにかくうちに所属してる連中の中で携帯持ってない奴らにも連絡しにいかねえと……」

乃々「あ、あのプロデューサーさん……」

モバP「なんだ?」

乃々「もりくぼはなにも出来ません……だから祈っておきます……愛海さんを無事に止められますようにって……」

モバP「おう、ありがとうな。それじゃ、行ってくるわ」

乃々「き、気をつけて……」


――――8月11日、プロダクション内各所

事務室に芳乃と乃々を残して愛海の追跡を開始したプロデューサーは、直ぐ様愛海の動きを把握していく。

モバP(今回はその場でへたり込んでるか自分の身体の調子に驚いている奴を見つけりゃ、愛海がどう行動したか分かるからいいんだが)

しかしその行動速度が尋常でないことが判明してくると、プロデューサーの表情は険しいものになっていく。

たとえばトレーニングルームで。

裕子「っ!? ひぅ!? こん、なの……しらない、こんなの、さいきっくじゃ……しらな――ふぁああああ♡」ビクビクッ

茜「ボン……バー……んっ♡」ビクンッ

トレーナー「レッスンッ♡ しない、と♡ いけない……のに♡ なんで! こんな……はひぃ♡♡」ガクガク

たとえばカフェテラスで。

菜々「あっ、プロデューサーさん! 聞いて下さい、いまのナナ、すっごく身体の調子がいいんです! まるで百歳は若返ったみたいで!」

菜々「えっ、なにがあったって? そ、それは、その……乙女の秘密です! キャハ☆」

杏「愛海にお山登りされたんだよねー」

菜々「ちょ、杏ちゃん!」

杏「だって事実だし、杏も登られたから……でねプロデューサー、杏、今ならお仕事頑張ってあげようかなって気分だけど……どうする?」


たとえばエステルーム近くの廊下で。

瑞樹「見てよプロデューサー君! この肌の艶! 愛海ちゃんに揉まれたらすっごくピチピチになったのよぉ~♪」

瑞樹「え? 愛海ちゃんはどこに行ったですって? それは……わからないわ。そこまで余裕ある状態じゃなかったから……」

瑞樹「あ、あとエステルームには今近づいちゃだめよ? まだ中に愛梨ちゃんと雫ちゃんがいるから……ね?」

他にも様々な場所で愛海と接触したアイドル達の状態を確認していったプロデューサーは、最後に地下駐車場へと訪れる。

そして入口で最初に目にしたのは、地面に崩れ落ちていた真奈美の姿であった。

モバP「……ま、真奈美さん!?」

真奈美「……あぁ……プロデューサー、か……くっ♡ すまない、心のメールを見て愛海をお仕置きしに来たのだが……んっ♡」ビクンッ

モバP「返り討ちにあった、そういうことですね」

真奈美「情けない、話、だがね……ふぅぅ♡ 頼む……まだ、先に清良、と――」

早苗「――ふぁああああっ♡♡」

モバP「早苗さんがいたのは分かりました。あとは俺に任せて下さい」

真奈美「そうさせて、もらうよ……っ~~♡」ビクッ

その場を離れたプロデューサーは、途中愛海のお山登りの衝撃に完全に呑まれた早苗の姿を確認しつつ、さらに先へと進んでいく。


奥へと進むほどまるで戦闘ような激しい音が大きくなっていったが、プロデューサーが地下駐車場の最奥にたどり着いた瞬間、それは止んだ。

清良「愛海、ちゃ――んぁああ!? うっ……くぅ……! ……あああーっ♡♡」バタンッ

ぷち愛海「――や、やった……ついにやった! 清良さんと真奈美さんと早苗さんのお山を! 一日で全部登れたっ! やったぁー!!」

モバP「そりゃ良かったな愛海」ズサッ

ぷち愛海「……あっちゃー、もう見つかっちゃたんだ……早かったねプロデューサー?」

モバP「これだけ分かりやすい痕跡があったら、嫌でも見つけられるっての」

清良「……んんっ♡ っ……♡」ビクビクッ

モバP「清良さん、あとは俺に任せて、今は自分のことに集中しといて下さい」

清良「……はいっ……♡」ビクンッ

モバP「さてと……結局色んな連中から忠告されてたのにこうなっちまったなぁ愛海」

ぷち愛海「……うっ、プロデューサー、怒ってる?」

モバP「自分にな。なんて情けないプロデューサーなんだ俺って奴は! って感じだが、まぁ反省は後回しだ。今は……」

モバP「……そう、今はお前をこれ以上好き勝手させないようにすることのほうが大事だからよ」ドサドサ

ぷち愛海「うわぁ……またすごいいっぱい道具持ってきたねプロデューサー」

モバP「そりゃ早くお前を捕まえる必要があるからな。芳乃が言ってたぜ、今の状態でお山登りを続けたら愛海の身体がやばいって」


ぷち愛海「……そうなの?」

モバP「ああ。だから俺としてはこういう道具使う前に、愛海が今日はもう自主的に山登りをやめてくれると嬉しいんだが」

ぷち愛海「それは無理だよプロデューサー。お山登りはやめられない、特に今日という日には!」

モバP「……はぁ、ま、そう言うと思ったぜ。それでこそ愛海だしな」

ぷち愛海「へへっそうでしょ♪ だから邪魔するならプロデューサーのお山もいただいちゃうよ?」

モバP「やれるもんなら――」

芳乃(((――そなたー)))

モバP「っ!?」ビクッ

芳乃(((いまそなたに直接語りかけているのでしてー。わたくしもう動けますゆえー、愛海を油断させてほしいのですー)))

モバP(((いきなりこういうのやめろって! あー、でも分かった、ちょっと待ってろ!)))

突然脳内に響いた芳乃の声に驚きつつも、プロデューサーは言われたとおり愛海を油断させるために悲嘆の表情を作る。

モバP「……はぁ~~~」

ぷち愛海「……いきなりどうしたのプロデューサー?」

モバP「いやぁ悲しくてよ……俺が身体やべえぞって言ったのに、愛海が山登りやめようとしてくれねえもんだから……」


ぷち愛海「だってあたしの生きる道だから! 例え今日死ぬとしても理由がお山登りしすぎたからなら本望だよ!」

モバP「お前はそれでいいかもしれねえけどよ……愛海がいなくなったら困るんだよなぁこっちは」

ぷち愛海「……お仕事に穴があいちゃうからとか?」

モバP「ばーか……単純にお前がいないと寂しくて死にそうになるからに決まってるだろ?」

ぷち愛海「ふぇ!?」

予想外の答えに固まる愛海。直後、愛海の後ろの空間が縦に裂けて開き、別の空間と繋がった。

そこは事務室。そして中から悠然と歩み出てきた芳乃が、愛海が反応するよりも早く彼女に触れて、何かを囁き始めた。

芳乃『――――』

ぷち愛海「えっ――うわぁあ!?」

芳乃『――――』

美しい言葉とも音色とも聴こえる声を響かせながら、芳乃は視線だけをプロデューサーへ向ける。

その意図を理解したプロデューサーは、持ってきた対愛海用の道具の中から神聖な物だけを選んで地下駐車場へとばら撒いていく。

モバP「芳乃の奴ここでやる気か! ならクラリスさんから貰った聖水を辺りに撒く!」ザパァ

モバP「そして清めた上から歌鈴に貰った札を貼って!」バシバシッ

モバP「……芳乃! 仕上げだ!」


その言葉に従うように、芳乃はさらに響かせる声を大きくしていく。

空間に声が満ちていく度に芳乃の身体が光っていき、同時にその足元を中心として地下駐車場に神々しき紋様が浮かび上がった。

芳乃『――――――――』

浮かび上がった紋様は端の部分から光の線を伸ばし、それが空中で曲線を描いて愛海へと突き刺さっていく!

ぷち愛海「あ、あううううう!?」ブルブル

芳乃『――――――――』

ぷち愛海「うがあああああああ!?」バリバリッ!

ZZZZTTTTTTAAAAAAAAAAAAAAA!

モバP「また愛海の身体から雷が……!」

芳乃『――――――――』

ぷち愛海「AAAAAAAAAAAAA!!!」バリバリッ!

白く光る芳乃に負けないくらい愛海もまた放電し、そばにいる障害を排除しようと試みる。

それは取り込まれた山の日の力による防御反応であったが、お山登りをされた結果、普段よりも力を増した芳乃には全く意味を成さない。


芳乃『――――――――』

ぷち愛海「GAAAAAAAAAA!!!」バリバリッ!

ZZZZTTTTTTAAAAAAAAA!

芳乃『――――――――』

ぷち愛海「アァアアアア……」ビリ

神聖なる声によって山の日の力は愛海から引き剥がされていき、次第に愛海の放電は弱まっていく。

芳乃『――――――――』

ぷち愛海「ウワアアアアアアアアア!!!」ピカッ

モバP「っ!? 芳乃! 愛海!!」

DOOOOOOOOM!!

それでも、山の日の力は最後の意地とばかりに愛海から恐ろしい閃光を放ち、周囲を白一色に染めた。

モバP「ぐわーっ!?」

あまりの光に思わず顔を腕で覆ったプロデューサーであったが、数秒後にはその閃光は掻き消え、彼は前を見る。

愛海「……」シュー

芳乃「……ふぅー」グラッ


そこには身体から煙を出しつつも元の姿に戻った愛海と、芳乃が今にも倒れそうな状態になっており、彼は直ぐ様駆け寄ると芳乃の身体を支えた。

モバP「芳乃!」ガシッ

芳乃「あぁそなたー……わたくし、やりましたー……」ニコッ

モバP「ああ、ああ! よくやってくれたぜ! それで、愛海は――」

愛海「……ん、う?」ムクリ

モバP「……愛海!」

愛海「……ん、あれ、プロデューサー……芳乃ちゃん……あたし……」ジッ

愛海「……そっか、元に戻ったんだ……」

モバP「芳乃のお陰でな。礼を言っとけよ」

愛海「うん……ありがとう、芳乃ちゃん」

芳乃「いえいえー」

モバP「……それじゃ芳乃と愛海はこの裂けてるとこから先に事務室に戻っててくれ。俺は――」


清良「今のは一体……それに、この身体の調子の良さはなにが……」

モバP「ここにいる清良さんみたいに、愛海が山登りした奴らに色々説明しに行かないといけないからな」

愛海「うっ……ごめんねプロデューサー……」

モバP「気にすんな、これも俺の仕事だからよ」

芳乃「さぁ愛海、わたくし達は戻るのでしてー。それにー、そなたも明日は大変でしょうからー」

愛海「えっ、な、なにかあるの……?」

芳乃「さぁー、なんでしょうー?」ニコニコ

愛海「な、なんなのその笑顔!? あたしに何が起きるの!? 不安だよ!?」

モバP「心配しなくても今日より酷いことにはならねえだろ……まぁともかくだ、愛海。無事に戻ってくれてありがとな、嬉しいぜ」

愛海「……うん!」

こうして山の日の騒動は終了し、プロデューサーは騒動の影響確認とアイドル達への説明に奔走することとなった。

そして、騒動の中心となった愛海はというと……。


――――8月12日、プロダクション事務室

愛海「いだい~……いだっ!? いったぁー!? うぅ~プロデューサーたすけて~……」グスッ

モバP「我慢しろ、昨日のことの反動なんだからよ」

愛海「うぅ……いった!?」ビクッ

乃々「まさか、愛海さんが全身筋肉痛で動けなくなるなんて思わなかったんですけど……」

芳乃「これでもまだ軽い反動で済んだほうでしょうー。愛海があれ以上力を使っていればー、身体が崩壊していた可能性もー」

愛海「……ホント?」ガクブル

芳乃「ほんとーでしてー」ニコッ

モバP「だから言っただろ、身体がやばいって。芳乃があの時こなかったら、お前どうする気だったんだ?」

愛海「そりゃ……プロデューサーのお山を登って、他の人達のお山登りも続けてたと思うけど――いっつぅ!?」ビクン

モバP「ほれみろ。まったく……」

愛海「……いっつ……あーあ、でもこうなるって分かってたらプロデューサーの平たいお山登っておくんだった……うぐっ」

モバP「……なんだ愛海、お前まさか俺の痴態を見たかったとかそんな――」


愛海「ち、違うよ!? ほ、ほら、その後の状態のことだってば! 皆元気になってたでしょー!?」

モバP「ああ……結局愛海が山登りした連中に話聞いてみたが、全員体の調子がすこぶる良くなってたもんなぁ」 

愛海「だ、だからね、いつも迷惑かけちゃってるプロデューサーの身体を少しでも元気にしたかったなー……なんて――いったっぁ!!」ビクッ

モバP「はははっ! 気持ちは嬉しいが、愛海がそんな状態になるなら俺は必要ねえな」

芳乃「ふむー、しかし愛海の身体に反動がくるのはお山登りをしすぎるためでありー、そなた1人が引き受ければあるいはー」

乃々「……山の日にはプロデューサーさんがずっと愛海さんの相手をしていれば問題ないってことですか……?」

芳乃「可能性としてはー」

モバP「……てか待て芳乃、まさか今後は毎年昨日みたいなことが起きるってことなのか!?」

芳乃「愛海の身体から力を引き剥がした時ー、強大なる意志を感じましてー、おそらくはー来年もまた同じことが起きるかとー」

愛海「うええ!?」

モバP「そりゃめんどくせえな……とりあえず今から準備はしておくとして……しゃーねーな……愛海っ!」ガシッ

愛海「はひ!?」

真剣な眼差しで愛海を見つめたプロデューサーは、来年の予防策を宣言する。


モバP「もしまた来年同じことがあったら、今度は俺の山だけ登れ! つうか俺だけ襲え! いいな!? 他の誰にも目を向けるなよ!」

愛海「う、うん……」

モバP「変な力に呑まれそうになっても俺のことだけ考えろ! 他のことなんてどうでもいいってくらいに、必死にだ!」

モバP「俺は愛海にされることに絶対耐えてやる。だから愛海も俺のことだけ意識しろ、いいな!?」

愛海「そ、それは分かったけど……プロデューサー、その、いまの発言……いや、あたしは嬉しいけど、マズイような……」

モバP「なんでだ?」

乃々「……え、えと……事情知らない人が聞いたら、愛海さんを独占しようとする告白にしか……」

モバP「……は? いや、まてまてまて、そんなつもりはまったくねえぞ!? 偶然だ、偶然――」

トントン

モバP「誰ですかこんな時、に……」

ちひろ「プロデューサーさん……隣でちょっとお話しましょうか?」ニコォ

モバP「ち、ちひろさん!? 待ってくださいよ! これは誤解って奴で!? というか今までどこにいたんすか!?」ズルズル

ちひろ「買い出しをしていたら色々あったんです」ニッコリ


モバP「色々ってどういうことっすか!? つうか、あ、ちょ、ま――」ズルズル

バタンッ!

乃々「……連れて行かれちゃったんですけど」

愛海「プロデューサー……大丈夫かな……いっつっ……それにしても、えへへ……」

芳乃「愛海、顔が笑っているのでしてー」

愛海「へっ!? あ、これはプロデューサーが連れて行かれたからじゃなくてその前の言葉が――あぐう!? いったぁ!?」ビクンッ

芳乃「みなまで言わずとも、わかっているのでしてー。ふふっ」

愛海「うぅ///」カァァ

――それだけは勘弁してくれぇーッ!!

愛海「プロデューサー!?」

乃々「……うわぁ」

芳乃「ふむー……やはり平和なことは良きことかなー」ニコニコ

――その後、山の日の騒動を防げなかったことと、愛海へ誤解を招く発言をしたことの罰として、プロデューサーはちひろから
スタミナドリンクとエナジードリンクを大量購入させられるのであった。

〈終〉

可愛い棟方師匠のぷちデレラが誰でも手に入れられるようになったぞヤッター! ってことを宣伝するだけのはずだった
ぷちエピソードも良い! 色んな着せ替え出来て可愛いし台詞もいい! って宣伝のはずが山の日なんて師匠のための祝日があるから……
読んでくださった方ありがとうございました

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