召喚術師「安価で修業する」 (847)

術師「私は召喚術師だ」

術師「大学に籍を置いてるが成果が振るわん、ただ飯喰らったり人体実験したり生徒孕ませたりしてたが」

術師「すげーのを呼んですげー発表をしなきゃそろそろヤバいのだ」

術師「地位は素晴らしいが研究と研鑽は面倒なので」

術師「このランダム召喚魔法を使うことにした」

術師「なんかこい」


>>2を召喚

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ハーフハーピー

バリバリバリバリ


半鳥「ここは……」

術師「女? いや羽が生えてるな」

術師「魔人かお前 殺すぞ」

半鳥「う、うわあ人間だ! 近寄んな!」

術師「ハーピーの亜人か」

術師「お父さんか? お母さんか? どっちがそうだったか知らんがケモナーの粉とは哀れになぁ」

半鳥「ここはどこなんだ! お前私に何をした!?」

術師「問題はそこだ」


どうすんのこいつ↓

バリバリバリバリ


半鳥「うわぁっ! 今度は何!」

術師『この俺が本気を出せば異空間転移など余裕』ミョンミョン

半鳥「頭に直接声が……!」イダダダ

術師『それより周りを見ろ』

半鳥「はぁっ……?」


ザッザッザッザッ

北朝鮮兵「○★ゞп÷П~ニダ」


術師『魔法が無い世界に送った』

術師『色々発展してるみたいよ 逃げないと死ぬぞ』


ダダダダダダ
チュインチュインチュイン

半鳥「なっ、何! 何なの! 私が何したって言うの!? 嫌ああああ!!!」バサッバサッ

半鳥「もういやあああお母さああああああん!!!」


術師『お母さんがケモか』


術師「少ししたら様子を見よう」

術師「次どうするかな」



術師「そおい」


術師は ↓しょうかん をつかった!
なんと ↓ があらわれ はなしに くわわった!

バリバリバリバリ


ゴーレム「……」

術師「ゴーレムか」

術師「ゴーレムにもいろいろある 元は命のないもんに無理矢理命を吹き込んで操ったものが元ネタとされてるが」

術師「札のようなものは見当たらん しかしお前は誰かが岩で作った古典的なタイプのようだな」


ゴーレム「……」

術師「面白味がないな」


どうすんのこいつ↓

バリバリバリバリ


半鳥「はぁっ、はぁっ、はぁっ、戻れた! 生きて戻れたああ! やった! あの刈上げ頭の奴を人質にしたら余裕だったわ!」

術師「……」ガリッ ゴリッ

半鳥「いた。おい、外道! あんたよくもッ……」

半鳥「……うずくまって何してるの?」


ボトッ


半鳥「石?」
半鳥「(人間の首に見える)」

グルリ

術師「あ゛ぁ゛あ゛あ゛あぁぁ……」ダラダラ

半鳥「ケネスーーーーーーーッッッッ! 口から血と石!!!!」

術師「食え゛んかったわ」


次は↓

半鳥「人間が石なんか食べれるわけないじゃんよ! ほらペッして!」つ洗面器

術師「おぅぇえ……」

半鳥「口ゆすぐ!」つマグカップ

術師「ぐちゅぐちゅ」

半鳥「歯ぁボロボロじゃんバカじゃないの……」診断

術師「棚に薬あうから取ってきえ……」

半鳥「はいはいこれね。うわ魔法のやつじゃん」つ薬

術師「よし治った」

半鳥「なんだ、良かったあ!」

半鳥「じゃねーよ」

半鳥「よくもなんかようわからん目に合わせてくれやがったな! 殺す!」

術師「あまり強い言葉を使うな 弱く見えるぞ」


次は↓

半鳥「おらぁ! ゴッドバードアタック!!」

術師「"どうせお粗末な呪文だったんだろうさ"」
術師「ん? 間違った こうだったか」


バリバリバリバリ


半鳥「うわっ、魔法陣に吸い込ま――」

術師「あれ転移のやつだっけかこれは」

半鳥「何か掴んじゃってるううう!」グググググ

スポーン

半鳥「痛ーー!」ドサ

半鳥母「あらあ」ドサ

術師「あ? やたらおおごえでさけんでやがったのはそういうことか?」

半鳥「おっ……お母さん!?」

半鳥母「まあ、どこに行ったのかと思ったら。お使いはどうしたの。こんなところで遊んで」

半鳥「お母さああああああん」エグエグ

半鳥母「どうしたのもう。小さい子じゃないのよ」よしよし

術師「ああ罠は呪文じゃねーな」

術師「増えたか 母も半分ってことは、元々そういう亜人ってことかい」

半鳥母「娘のお友達ですか?」

半鳥「違う゛! 私こいつに殺されそうになったの!!!」

半鳥母「穏やかじゃないわねえ」

術師「ふむ」



次は↓

術師「(とりあえずこいつを研究成果にする方向でいくか)」
術師「(召喚自体はそうでもねーが亜人の社会進出に成功とかで上がりはデカそうだ)」

術師「突然のことですまなかった 君を試させてもらったんだ」

半鳥「フライドハーピーにする方法を?」ガルルル

術師「君をここに呼んだ魔法陣だが、あれは素質のある生命体にしか反応しない 助手っつーか弟子っつーか的なアレを探しててな


術師「面接という手もあったが面接が上手い人間はいらん基本」

半鳥「それで私が……」

術師「(勿論違う)」

半鳥「でっ、でもいきなりそんな……村の生活とかあるし」

半鳥母「そうねえ お話はともかくとして帰れないのは困るわ」

術師「失礼した これで大丈夫だ」チリーン

半鳥母「あら 洋服入れが何か?」ガチャ

半鳥母「まあ! 村だわ!」ドコデモドアー

半鳥「ええ? うわホントだ」

術師「申し遅れましたが、私こういう者です」つ名刺

半鳥「お母さん読める?」

半鳥母「どれ……あらまあ 魔法大学の教授? ここは帝都だったのね、随分遠くに……」

半鳥「帝都! 都会だ!」

術師「衣食住負担でも構わないが、希望するなら自宅通学でも全然OK。学費とかも無し」

術師「君に魔法を教えたい。どうだ」

半鳥「ええっ……いやあ……えーと……と、突然過ぎてなにがなんだか」

半鳥母「いいじゃないの。願ってもいない話よ、あなたの将来に関わるお話だわ」

半鳥母「村に未来がないとは言わないけれど、可能性を広げられるのは素晴らしいことなのよ」

半鳥「お、お母さんが言うなら……」

術師「決まりだな」



半鳥「教授ー。これどこやるの?」つ資料

術師「そこに置いとけ」

半鳥「掃除終わったー。教授、魔法の勉強はー?」

術師「勿論始める」

術師「私は召喚魔法のこれでも一応権威だからな、まずはどんなもんかだけ見せてやろう。派手なもんばっかが魔法じゃねーが」

半鳥「待ってました!」パチパチ



サモン↓

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


半鳥「な……なんか凄い派手だね!?」

術師「やべぇ、なんか大物が釣れた感じだ……」

半鳥「大物?」


ズモモモモモモモ


メデューサ『私を呼んだのは誰だ……』


術師「蛇の髪? いかんな」

半鳥「ばっばばばば化物じゃないのあれ!」

術師「隠れてろ」

半鳥「はいい!」バッ

メデューサ「人間の魔法使いに……醜い亜人の小娘……不快な」

メデューサ「石となれ」ビカァッ

術師「石はもうごめんだ」summon WALL

ビキビキビキビキ

術師「奴の視界に入るなよハーフィ!」

半鳥「ハーフィって何!」ヒョコ ビキ

半鳥「ぎゃあああ羽があああ!!!」

術師「アホが 後で治してやる大人しくしてろ!」

術師「(奥の手があるが時間を稼ぐ必要がある)」summon


サモン↓

バリバリバリバリバリバリバリバリ


ペルセウス「……召喚に応じ参上した」

半鳥「鎌持ったイケメン! イケメンだ!」羽イテェ

術師「"検索:蛇髪ババァとやりあえそうな奴"で咄嗟に呼んだ 誰だか知らんが」

術師「やれるか」

ペルセウス「またこの化物と戦う羽目になろうとは」

術師「頼もしいな」

術師「時間を稼いでくれるだけでいい 任せたぞ」詠唱

ペルセウス「よし」カポ スゥー…


メデューサ「どこだ……」グルッ

ビキビキビキビキ ピシッ

メデューサ「そこか!!」release hairsnake

ペルセウス『目を合わせなければいいというだけでなくなったようだな 面倒臭い』

ペルセウス「上だッ!」バッ

ガキィーン

ペルセウス「止められ……ッ」

メデューサ「寝込みを襲っただけで英雄扱いとは片腹痛い」ビカァッ

ペルセウス「ちっ」bronze shield

メデューサ「猪口才な!」蛇蛇蛇蛇

ペルセウス「おおおぉッ!」斬斬斬斬


術師「よしいいぞ……組めた! 強制送還!!」


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


メデューサ「何……体が……かき消える……おのれ妙な魔法を!」

術師「それは勇者の台詞だ」
術師「お呼び立てして申し訳ない 帰れ」

メデューサ「あああアああアアアあぁぁァ…………」




ペルセウス「それでは私は帰るとするよ」

術師「本当に助かった」

半鳥「ありがとうございました!」

ペルセウス「ああ、君。怖い目にあったら助けを呼んでくれ、いつでも駆け付けよう」

半鳥「えっ! あ、私そういうのは!」

ペルセウス「それまでは、さっき私が斬り飛ばした蛇を身を守るのに使うといい。あれは女性には噛みつかない」

髪蛇「……」シュー

半鳥「へ、蛇ですか……ていうか生きてんだコレ」

術師「素晴らしい置き土産だ」採取

ペルセウス「奴の血か? 扱いには気を付けろよ魔法使い。ではな……」


バリバリバリバリ



半鳥「か、カッコよかったああ……」はああ

術師「ランダムもいいことばかりではないな。なんでも呼べるが、しっかり構えられない」

術師「契約もクソも無いせいで返すのにも一苦労だ 疲れた……」フゥ

半鳥「教授! 教授!」

術師「どうしたハーフィ」

半鳥「私魔法の勉強頑張るよ! 魔法って凄い! 凄いね!!」キラキラ

術師「(動機にはなったか……。理想から入ると現実を追っ付けるのが大変なんだよなぁ 恐るべしイケメーンパゥワー)」

術師「ま、召喚事故だったが収穫はあった」ニヤリ



次は↓

J「それじゃあJは帰るよ。サモナーは大成すると思っていたよ。またな」ガチャ

術師「もう大成してるんだがな」

ガチャ

半鳥「ただいま教授。今すれ違った猫の亜人の人は?」

術師「J教授、攻性魔法のエキスパートだ。軍事開発の合間を縫って今回の件を祝いに来てくれた」つハチミツ酒

半鳥「わあお酒……イイ人なんだね」

術師「総長も珍しくご機嫌でな。神話生物の実在を証明したってことで、長らくほぼポケットマネーだった予算も公式に貰えた(これで遊べる)」ククク

術師「近々畑違いの研究をしてる連中も来ることになった。生物学とか伝承学とか。忙しくなるぞ(だから遊べねえ)」チッ

半鳥「凄いことなの?」

術師「ひとまずお金が一杯ってことだ」

半鳥「ふーん」

術師「ふむ……。じゃあ興味のありそうな話をしよう」

術師「初歩的な召喚をやってみるか?」

半鳥「!!」



術師「魔力云々抜きでやれる陣を使う」

半鳥「さっき言ってたショクバイがこれ? ……マタタビ」

術師「簡単なところからだ。何を呼ぶか分かってても、種類があれば面白かろう」

半鳥「そうだね。えいや!」バチッ


バチバチバチ


マンチカン「にゃあ」

半鳥「かっ……かんわいーー!!」ぎゅう

術師「ああこら」

マンチカン「!? フシャーーーー!!」爪爪爪ー

半鳥「ぎゃああああああミミズ腫れオンパレード!!!」

術師「もっと慎重にやれよ……鳥なんだから……」

半鳥「鳥関係ねーから! いたたた……」

髪蛇「フシュアアア」
マンチカン「ニャアアア」

術師「ほら小動物バトルが始まっちまったぞ……あっネコパンチ……あっ蛇逃げた」

半鳥「猫なんかキライ! せっかくなでなでしたげようと思ったのに!!」

術師「やれやれ」



次は↓

術師「今日も今日とて召喚召喚」

半鳥「もうランダム召喚はつかわないんじゃねーのかよ!」

術師「準備が楽だな やっぱ」

半鳥「駄目だこの人! ああ準備しなきゃ……」バタバタ

術師「何の準備だよ……おっ、来たぞ」


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリギュイーーーーーーーーーン


術師「! 時空の歪みッ……」

半鳥「ホラだから言ったのに!」ガサゴソ


平行術師「む……どこだここは」

半鳥「……って、え?」

異界術師「私の研究室? にしてはやたら石が多いな……おや、空に蒸気船が浮いていない」

多元術師「なんなんだこれは。北朝鮮の時空転移騒ぎをCIAと調べに来た筈では」

平行術師「待てお前、CIAと言ったか? 地球の? 何世紀前の組織の話をしてるんだ」

転移術師「反政府ゲリラのポータル攻撃か? 私を狙うとはバカめ、管理軍に捕まって再教育インプラントを海馬に埋め込まれるだけだというのに」

術師「……これは……」

半鳥「世界がヤバい!!!」ジャキッ

術師「お前どこでそんなもn」


ズギューンズギューンズギューンズギューンズギューンズギューン


術師's「」死ーん

半鳥「朝のリボルバーの匂いは格別だな」フッ

術師「高かったろ それ」

半鳥「お父さんのお古だって こないだの件があったからなんとかできるようにさ」

術師「そうか……うん……」フラァ

半鳥「あっ同じ顔だったから」

ドサァッ

半鳥「いっ……イヤーー! 誰かァー!!」ポイー

ガチャ

J「銃声が聞こえたぞ! ……なんだこの状況は!」

半鳥「きょっきょきょきょきょきょ教授が教授のコココピーを作ろうとして!! コピーがリーダー争いに!!」

J「君が無事で良かったが、なんてことだ……やっぱり……!」

J「やっぱり彼は天才だ! こうしちゃいられない!」ダダダダダ

半鳥「えっ」

半鳥「あの、教授を撃っ……じゃなくて教授が撃たれて……」

J「え? ああ助けは適当に呼んでおくから! 君も適当にやっておきたまえ!」

半鳥「ええ……」




次は↓

ドスン

J「いやあ、これからだったんだけどな……惜しい人材を亡くした。Jは友を亡くして悲しい……」

半鳥「(教授は出血多量で死んだ)」

半鳥「(沢山の教授から閃いたJ教授が、"魔法で作る兵隊"の考えを纏め上げた頃にやっと大学が助けが行ってないことを思い付いたからだ。私? いやだってほら……下手に動くとアレだし……)」

半鳥「(教授は軍事開発魔法実験とかいうのの失敗で死んだことになった)」

J「研究室は解体されるが、サモナーの唯一の弟子だった君だ。我々亜人は風当たりも強いが、大学はいつでも、変人だが偉大だった召喚術師の教え子を歓迎するよ」

半鳥「あ、ありがとうございます……」

J「困ったことがあったらなんでも連絡をくれ、友よ。纏めた荷物はこちらでやっておくから。……それじゃ、鍵は後で返してくれ」ガチャ

半鳥「はい……」

半鳥「……結局、おまえたちしか残らなかったね……もっといっぱい教わりたかったなぁ、私のせいだけど」なでなで

マンチカン「ごろごろ」
髪蛇「ふしー」


パサッ


半鳥「? 全部片付けた筈だけど……日記?」ペラ

半鳥「教授のじゃない……すごく古い……名前かなこれ、あはは、字ぃ読めないや……でもこの国のじゃないなあこれ……」

半鳥「……? 日記の下……こんなシミあったかな?」

ズ

半鳥「あれ?」

ズズ

半鳥「え」

ズ  ズ    ズ


伽耶子「……………………ァ゛」


半鳥「ひッ……!!!」ガタン

半鳥「にっ、逃げッ……」ガシッ

半鳥「髪が……いやあああッ!! また髪ぃ!!!」

マンチカン「フゥアアアアーーーッ!!」
髪蛇「シェアアアア!!」

ズ

俊雄「…………」

マンチカン「!? ミギャアアッ」
髪蛇「シィィッ…」

半鳥「(何あの子、二匹が怖がってる!!)」

ヒュルルッ ギシィッ

伽耶子「ァ゛ ァ゛ ァ゛,ァ゛,ァ゛,」

半鳥「かはッ…………ぁ……」ギギギギギ

半鳥「(息がッ……できなッ……)」
半鳥「(助けて……教授……!!!)」

ズズズ

伽耶子「……!?」

ズ

ズズズズズズゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ

伽耶子「ァ゛……ァ゛ォ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」ズルズルズルズル


半鳥「あの女がシミに引きずりこまれてる……! ってうわぁ、私までええ!!」

バタン!

J「ハーフィィーッ! アイスジャベリン!」ズァッ ブチィッ

半鳥「ぷはッ……」

J「うにゃおおおおおおライトニングテンペストォォォォォ!!!」ズババババババババ

伽耶子「!!!!!!」バシュウウウウ

J「老若男女平等達人魔法! 波ぁーーーーーッ!!!」ズババババババババ

俊雄「!!!!!!」バシュウウウウ


半鳥「子供は全部……あの女は……じょ、上半身だけ灰になっちゃった……」

J「無事か!」

半鳥「た、助かりました……」

J「早く逃げるといい。……まだ終わっていない」

半鳥「!?」

J「シミから力の残滓を感じる……うすら寒い、怨念のような……!」

J「出てこい! 既に友の資料は転写済みだ!」

J「乾いた空き部屋に私のファイアストームはさぞよく燃え盛るだろうな!!」チリ…

半鳥「(ええぇー……大学……)」

『相変わらず勇ましいな……J……』

J「……!? その声は……」

半鳥「教授っ!?」

ずろん

術師「怨念の力を研究しておいてよかった……死霊術とはまた違う、召喚魔法からのアプローチだったから苦労したぞ……」ペタ…ペタ…

J「とッ……友よ! サモナー! 本当に君なのか!」

半鳥「(やっヴぇ)」

半鳥「Jさん! 早くなんとかストームをッ!」

J「ええっ!? だって彼は」

半鳥「教授は死んだんです! あの教授は偽者でs」
術師「気 に し て な い からいいぞ ハーフィ」

半鳥「」

J「? ……??」

J「と、とにかくこれは一大事だ!! 友が甦ったのだ!!」ダッ




半鳥「よっ……良かったね教授! 研究室潰されなくて!」肩もみ

術師「そうだな」

半鳥「召喚魔法だけじゃなくていろんな魔法も使えるんだねー流石だなー憧れちゃうなー」腕もみ

術師「そうだな」

半鳥「ほら机とか資料とかも全部元通りだよ! 軍隊の人達にも褒められたんでしょ! やったね!」足つぼ

術師「殺ったな」

術師「いい腕してるな お前」

半鳥「でっ、でしょお~……」



次は↓

術師「送還、と」
バリバリバリバリ

半鳥「おはよう教授。おはよー猫蛇。何か呼んでたの?」

術師「ああ。首のめっちゃ長いヤシの木に顔のついたヤシの身を頭にも尻尾にもつけた くさ ドラゴン って感じのヤツだった。この触媒もハズレだな……」レ

半鳥「ハズレ?」コポポ…

術師「ブラウン教授に頼まれて植物生物を探しているのだ。珍しい奴だそうでな。そいつからいい薬ができるんだと」

半鳥「それは……探しに行った方がいいんじゃないの直接。はい」つコーヒー

術師「そっちはブラウンがやってる、人を雇って滅茶苦茶なフィールドワークさせんのが生き甲斐の女だからな でサバイバルガイド作ったり」ズズ

半鳥「(この大学まともな人いないんじゃ)」

術師「そういうわけでいいところに来たな。時間はかかるが陣を書いて使えばお前にもこれは出来る筈だ」

半鳥「召喚?」

術師「お目当ての奴に縁がありそうなもんをどっさり持ってきたのがこの触媒共だ。この世に存在しさえすれば、運が良ければ召喚はそのものを呼べるからな」

半鳥「ふーん……どんなの?」

術師「泣き叫ぶニンジン。聞いたら死ぬ」

半鳥「なにそれ キモ……見付けたらどうすんの」

術師「任せろ。Jが真空空間を生み出す魔導書をこさえてくれた。こいつで黙らす」

半鳥「シンクウ……?」

術師「ああ 真空というのはだな……」




バリバリバリバリバリバリバリバリ

半鳥「……全然来ないじゃん……」ハァー

術師「ルーティンワークのコツはな 目的以外のものに関する体のセンサーをオフにすることだ」バリバリバリバリ
モルボル「カァッハッ」go home

術師「獲物が来るまでひたすら待つ。コーヒーでも飲みながら」バリバリバリバリ
プラント42「除草剤はやめろ」go home

半鳥「うーん……」


バリバリバリバリバリバリバリバリ


術師「……待て、随分呼び出しが長くないか」

半鳥「えっ? あっ」


ドリアード「…………」


半鳥「女の子? 緑の髪綺麗」

術師「植物の触媒でか……人んちの雑草でも入ってたかマッドブラウン」

半鳥「でも触媒これ木の欠片だよ?」

ドリアード「…………」



どうすんのこいつ↓

ドリアード「……貴方達」

半鳥「ごっ、ごめんねぇ~! いきなり呼ばれるとびっくりするよね! すごく分かるよ。大丈夫、すぐに戻すからね」

半鳥「ホントごめんなんだけど、ちょっと召喚酔いがあるかもしんないから……なるべく遠くの方見る感じで目をぼーっとしててくれるかな?」

術師「タップすればいい」

半鳥「どこをだよヘンタイ!」

ドリアード「話を聞いて」

半鳥「へ?」

ドリアード「貴方達は何をしているの」チラ


触媒(主に植物)の欠片の山


ドリアード「……答えて」ザワ

術師「!」
半鳥「何をって、えーと……」

術師「人間じゃないな お前」

半鳥「いやどっからどー見てもいいとこのお嬢様(休日)って感じじゃない?」

ドリアード「それが答え? いいわ……」

ドリアード「私の木を鉄臭いナイフで傷付けたあの売女は」

ドリアード「どこ」ビュォォォオオオッ

半鳥「うっ、いきなり風と葉っぱがッ……」バサァッ

術師「あの木っ端の……。精霊の類か」

半鳥「せ、精霊様!?」

ドリアード「どこ?」ゴォッ

術師「ハーフィ!」summon GOLEM

ゴーレム「……!!」カカカカカ

半鳥「ありがと……うわ、石に刺さってる……」

ドリアード「召喚師」ゴォァアッ

術師「研究室がメチャクチャじゃねーか 何を怒ってる」evade

ドリアード「あの女は研究者 あなたも」ゴォォォオオオッ

術師「まあそうだな」dual summon GOLEM more
ドリアード「!」

術師「捕らえた」

ガシィッ

ドリアード「……やるわね」


ドリアード「あの女は私の木を傷付けた 大嫌いな鉄で」

ドリアード「樵とも違う 深緑への敬意を感じなかった」

術師「……ブラウンじゃな……そう思われても仕方ないかもしれんが」go home GOLEM

ドリアード「……?」

術師「聞いて欲しい」

術師「俺達研究者は学究の輩だ。求めに応じて倫理や摂理や 時に敬意といったものが邪魔臭く感じる時がままある ままな まま」

半鳥「(はい)」

術師「先へ先へと知りたがりの虫が鳴くんだ 月並みだが、地に足がついているおかげで」

ドリアード「何が言いたいの」

術師「積み重ねの上にあると言いたい 先人の、延いて、踏み締める土を積もらせた自然様々さ」

術師「抱いているとも。ちょっと率先して伝えようとしないだけでな 敬意」

ドリアード「……」

術師「どうだい」

術師「研究者のご高説からは感じられないだろう? あんまり」ククク

ドリアード「……そうね」

ドリアード「なんかムカつくわ バカバカしくなっちゃった」

術師「ごみんに」


ドリアード「……はぁっ。それでー?」

ドリアード「なんでこんなことをしているの? 出来ればやめて欲しいわ、いい気しないの」

術師「ふむ」

半鳥「教授教授。木の精霊様なんでしょ、その子?」

術師「同じこと考えてた」

ドリアード「?」


バッタァーン!


半鳥「うぇあッ!?」ビックゥ

術師「ブラウン。早いな」

茶「電話があったって人伝に聞いて飛んできたわ!」

術師「そんだけ下品なドアの開け方するのはお前だけだよ」

茶「? ……うん、えーと? 誉め言葉として受け取っていいのかしらね? 元気なのはいいことだもの。どうもありがとう」

半鳥「(この感じ。ここの教授だ)」

茶「そっちのハーピィちゃんが言ってた弟子ね。初めまして、ブラウン教授です! 主には魔導薬学、だけど有意義であれば枠に囚われず何でもやってるわ。お噂はかねがね聞いてる、有望株だとか!」

半鳥「やあそれほどでも……」テレテレ
術師「社交辞令だ」ヒソ
半鳥「うっせ」

茶「まーんなこたどーだっていーわ。見つかったって本当!?」

茶「マンドラゴラ!」


ドリアード「ええ ほら、コレよ」つ口にするのも憚られる形をした人っぽい根っこ

茶「あーーりーーがーーとーーう!! スゴいわ、本当にキモい! キモい形してるわキッショマジキッショ!!」パアアア

ドリアード「……」

半鳥「こ! こちらが協力者のドリアードちゃんです教授! 草木大好きで専門家!」

茶「本当に感謝してるわー! まだ若いのにスゴいわね、どうやってこれを見付けたの?」

ドリアード「……べつに。経験よ」

茶「分かるわー、教えるのって難しいものね。その点サモナーは上手いわ、身を持って分からせてやる方g」
術師「はいはいはいはい相変わらずよく回る舌だなマッドブラウン。用事はもう済んだんじゃないか? ほら、これが真空の魔導書」

茶「えー? まあそうだけど……」

半鳥「どうせ暇だしいいじゃん教授。ブラウン教授のこと嫌いなの?」

茶「そんかことないわよ。ねー。ねー! ほら黙ってる! 照れ屋なのよ彼」

術師「疲れんだよハーフィ」

半鳥「……」


ドリアード「プロフェッサー・ブラウン。聞かせて欲しいことがあるわ」

茶「何かしら! なんでも聞いて!」

ドリアード「あなたは……自然を」

茶「自然を?」

ドリアード「…………いえ やっぱりなんでもないわ。ごめんなさい。気にしないで」

茶「えーーーそんな言いかたされたら気になるじゃなーーーーいーーーー!!」ユサユサユサユサ

ドリアード「ちょ あぁあぁあぁ やめてったらぁ あぁあぁ」ガクガクガクガク


茶「教えて教えて教えて教えて教えて!」

ドリアード「わかった、わかったから……じゃあ……ああそうよ、マンドラゴラだけど」

茶「うん、ありがとうー。何度でも言うわ!」

ドリアード「かなり毒性の強い薬草よ。薬って聞いたけど、一体何に使うの?」

半鳥「それ私も気になってた。コーヒーお代わり飲む人? はい教授」

術師「毒薬だろ 普通に」ズズ

茶「よくぞ聞いてくれました! けどちょっと余計ねサモナー」

術師「だろ? 他にないだろ。それでこの魔法大学における政敵を抹殺する気なんだぜ」

茶「まあ抹殺は抹殺ね。ほら、みんな中庭行くでしょ? あの歴史ある石畳を見てどう思うかしら?」

術師「……」ピン

半鳥「普通に……いいと思うよ。落ち着いてて」ズズ

ドリアード「へえ、そうなの あとで見てみるわ」

茶「是非ともお勧めするわ。でもね、最近ちょっと……多いと思わない?」

術師「仕事を思い出した。ちょっと出かけてくる」

茶「あら。いってら」

半鳥「行ってらっしゃい、気をつけて」

術師「お前らがな……」ガチャ

半鳥「は?」

茶「あれはそのままにしてるというより、もうただの放置になっちゃってると思うのよ。この際だから他の余計なのと一緒に掃除をしようと思って」

半鳥「掃除ですか。へー、偉いですねブラウン教授」

茶「その火蓋を切り落とすために、私は思い立ったのよ」

茶「強力な除草剤を作ろうと!!」

半鳥「はあ、除草剤………………除草剤?」

ドリアード「……………………」

半鳥「……ごめんなさいブラウン教授、私ちょっと手伝ってきます。」

茶「あらもう二人揃って。クソ鬱陶しいクソ宿り木がクソまとわりついたクソ古ぼけ路樹ごとクソ雑草とクソペンペン草をペンペン草も残らないくらいクソ根絶やしにして刷新するクソ画期的な案をクソせっかく考え付いたのに……」

半鳥「弟子ですから。」ガチャ

茶「師弟愛って美しいわ。ねえドリアードちゃん?」

ドリアード「そうね 売女」






ゴォォォオオオオオオオォオオオオオオォオオ
ガシャーン パリィーン ドガシャア


半鳥「教授ー、仕事手伝いに来たよ」

術師「おお我が弟子よ。お前に一抹の賢さが身に付いきていることを確認できて私は嬉しいぞ」

半鳥「研究室は諦めなきゃね」

術師「大丈夫だ」

半鳥「なんで?」

術師「次の安価の話になれば直ってるさ」

半鳥「それもそーね」






次は↓

ババババババババババババババババババババババババ


術師「よし……いいぞ……成功だ…………」ゴフ

術師「……私の…………勝ちだぞ……アホ共が」ゲフッ ゲフ

半鳥『教授!! 教授返事して!!』

J『サモナー! 友よ!』


ババババババババババババババババババババババババ


術師「大声を出すな……頭に響く…………」

半鳥『しっかり……しっかりしてよ!!! 教授! 教授ぅ!!』


ババババババババババババババババババババババババ


術師「俺は少し…………休むぞ」クラ

術師「あとは……」ズル

術師「…………頼んだ……」ドサ


ババババババババババババババババババババババババ


バヂィィィィィッッッッ






半鳥「出張?」

術師「そう、出張 といってもそんなに長くはかからんと思うが」

術師「Jの奴と帝国軍の研究所にな 手伝って貰いたいことがあるとか……。まあ私がいなくなっても大学に実害ないし? 総長なんかすげー嬉しそうにサインしつつ当分帰らんでいいとか抜かしながら判子押してやがったし? 私の講義は人気もないことだし?」

半鳥「まあ、あれはね……。ランダム召喚は研究室でだけにしとこうよ。凄い顔した女の化け物とかなんか鬱になる悪魔とか目が点の変身するピンクのガムみたいなやつとか触手とか」

術師「最後に空飛ぶパン頭のゴーレムが出てきて処理を手伝ってくれなければ危なかったな」

半鳥「殆どマジックショーだったよあれ 観客惨禍型の」

術師「フン、軟弱者揃いだ…… かくして私の講義は人気もないことだし、ちょっと留守にしたって問題あるめぇよ」

半鳥「なにかやっとくこととかある?」

術師「いや 掃除だけ適度にしといてくれ」

半鳥「こないだまであんまりするなって言ってた癖に」

術師「もういーんだよ クリーンフェイズに移行だ」

術師「あと私の金庫に保管してある触媒は使うなっつーか触んなよ 目ェ飛び出すくらいたっけーし超貴重だから」

半鳥「ちっ」

術師「お見通しだ鳥頭め。開けたらすぐ分かるようになってるからな! 絶対ダメだぞ」

半鳥「子供じゃないんだから!」

術師「聞いたな助手2号 こいつをよく見張っていてくれ」

ドリアード「誰が助手?」モフモフモフモフ
マンチカン「ミャァァァァ……」じたばた

術師「何かあったら連絡しろ」

ドリアード「どうやって?」モフモフモフモフ

術師「……ああ……電信の点検だったか? 今日は大学のが使えないんだったな」

半鳥「まーいざとなったら飛んでくよ」

術師「言ったな? それじゃ行ってくる」

半鳥「行ってらっしゃい、気をつけてね」

ドリアード「気をつけて」モフモフモフモフ




術師「J 待たせたな」

J「友よ! Jは協力に感謝するよ」

術師「まだだろ それは終わってからだ」

J「それもそうだな。タクシーを待たせてある、行こう 葉巻もあるぞぉ」

術師「私はやらんが 葉巻吸うのか? 猫が」

J「攻性魔法を使いこなし二足歩行して口を利く大成したイケメンがただの猫だというなら そうだな」

術師「マタタビシガー?」

J「怒るぞ」




J「……いやあ、本当に良かった。それで一体どうやってハリケーン・ドリアードの爪痕を綺麗さっぱり直したんだい」

術師「私にも分からんのだ」

J「違いない!」プカァ

運ちゃん「お客さん、着きましたよ」ガコ

J「そろそろ車の魔導炉を点検に出した方がいいかも知れないぞ。妙な音がする」tip

運ちゃん「それはそれは……。ありがとうございます」ブロロ

術師「地獄耳だな」

J「いや? ああ言っとけばケチってもゴネられずに済むんだ」

術師「それはそれは」


J「さあ、分かりやすい武器は持ってないな?」

術師「お互いにな」

ゴゴ…ン

守衛「武器はお持ちでないようですね」

術師「無防備な学者様に見えるかい」

守衛「いいえ全く。所長がお待ちです」

術師「つまんねー男だ」

J「軍人とはそういうものだろ」

術師「こらこらあんまり大きな声で喋っちゃあ失礼だ」

守衛「……あとは案内させます。おい」

研究員「ようこそ、プロフェッサー・J。Mr.サモナー。こちらです」




コンコン

所長「入れ」

ガチャ

研究員「お連れしました」

J「所長。来たよ」

術師「初めまして所長。素敵な内装の施設だ 白一色で」

所長「……下がってよろしい」

研究員「はっ」ガチャ

所長「こんにちはプロフェッサー・J、そして……こちらこそ初めましてMr.サモナー。ここに軟禁されて十何年になるが、内装を誉められたのは初めての経験だ」

術師「目に優しい」

所長「とてもな。かけてくれ」

J「……」

術師「それで?」

所長「昨今の目覚ましい活躍は素敵な内装の缶詰の中にまで届いている。神話的他次元上位生命体のサンプル入手に基づく科学的な証明、植物獣すら瞬殺して肥料に替える超除草剤のブラウン教授との共同開発……」

術師「ふむ 薄々そんな気はしてたが、なるほど。今日はJのあれか」

所長「流石に察しがいい まずは敬意と礼を」

術師「敬意ね。こないだそれで研究室がリスペクト(物理)された」

所長「? そうなのか」

J「挨拶も済んだところで本題に入ろう 所長」

所長「そうだな」

所長「コーヒーも出せなくてすまないが、準備ができ次第お見せしながら話したい。もう少し待って欲しい」カチャ ジーコジーコ

所長「私だ。どうだ?」

所長「……何、まだ来ていない? ふざけているのか!!」ドンッ

術師「おっと」

所長「このっ……私にスコーン無しでティータイムを過ごせと言うのか!?」

術師「……」
J「気にしないで欲しい、こういう男なんだ」ヒソヒソ

所長「……いや怒鳴ってすまない。急いでくれ、時間が押しているんだ いいな」カチャ

所長「失礼、お見苦しいところを」

術師「いや……気持ちは分からないでもない 多分」

所長「お恥ずかしい」

半鳥「もうそろそろお昼じゃん。ご飯どうする?」

ドリアード「せっかくだから食事をしてみようかしら」スベスベスベスベ
髪蛇「シェァァ…」じたばた

半鳥「食べなくても大丈夫なの?」

ドリアード「ええ 基本的には木が本体だから。触媒のために削られたりでもしなければ大丈夫よ」スベスベスベスベ

半鳥「……えーと……ゴメン」

ドリアード「いいわ。ブラウンには例のやつを改良させたから、もう怒ってないし 破壊と創造は表裏一体であって然るべきなのよ」スベスベスベスベ

半鳥「即枯らしたやつが即肥料になるようにしたんだっけ? 凄いよね……」

コンコン

半鳥「? 誰だろう……。教授もJ教授もいないし、ブラウン教授はバッタァーンなのに はーい!」

ドリアード「ちょっと 無用心よ」snake muffler
髪蛇「……」諦

ガチャ

作業員1「Mr.サモナーの研究室はこちらですか?」
作業員2「こんにちはー、電信の点検です」carry toolbag

半鳥「え? この研究室には電話ありませんけど」

作業員1「ええ、確かにそうです。でも壁の中を線の入った配管が通っていましてね。そちらに用が」
作業員2「総長から許可はいただいてます。研究のお邪魔にならないよう注意しますので、よろしいでしょうか?」

半鳥「はあ、そういうことでしたら……どうぞ」

作業員1「ありがとうございます。すぐ済みますので」
作業員2「えーと、壁のどこだったかな……」つ見取図

ドリアード「…………」

半鳥「壁の中に声を通すなんて……。あれ、それって使おうと思えばここでも使えるってことなの?」

ドリアード「そういうことになるんじゃない」

作業員1「こっちはよしと」
作業員2「あとは奥の方だな」

半鳥「資料室ですか? 散らかってますから気をつけて」

作業員1「どうも。これで終わりですので」

ドリアード「……ハーフィ」

半鳥「疑り深いなー。棚にちゃんと鍵してるし、金庫はいじったら教授が分かるって言ってたし、大丈夫だってば」

ドリアード「だといいけど」


作業員1「終わりました。ご協力ありがとうございましたー」ガチャ
作業員2「ありがとうございました」バタン

半鳥「ほら。棚漁る時間もなかったよ」

ドリアード「……そうね」


バッタァーン!


半鳥「うぇあっ!」

茶「ぐっもーにんえぶりわん! はうあーゆーとぅでい!!」

半鳥「そんな下品な開け方するのはブラウン教授だけです……こんにちは教授」

茶「ちょっとドリアードちゃん貸して欲しいんだけど!」

ドリアード「はあ? 嫌よ」

半鳥「植物ですか?」

茶「そうよ! 大丈夫よドリアードちゃん、今回はスーパーナチュラリスティック敬意MAXのヤツだから!!!!」

半鳥「(うっわMAX伝わんねー)」

ドリアード「……まあ、あなたが悪人でないことだけはこの前の件で分かったわ。ちょっとアレだけど。聞くだけ聞いてあげる」

茶「ありがとう! 二人とも森林監視員って知ってる? 私の友達がそうなんだけど」

ドリアード「知ってるわ 人間が決めた領地の中の木を見張るんでしょう」

半鳥「そんなのあんの」

ドリアード「逆に無ければ平和ってことよ 資材として見られていない森ってことだわ」
ドリアード「待って それ私の森?」

茶「管轄下で勝手なことしたら私"じゃ"今頃銃か魔法で殺されてるわ」

半鳥「厳しいんですね……」

茶「ええそれはもう。マンドラゴラ探しには不確かな目撃情報からの触媒収集だけでも沢山の犠牲があったということは忘れないでね。本当に偉業を成し遂げたのよ!」

ドリアード「おい」

茶「というわけであなたの森がピンチなの。帝国は当分手をつける予定はないようなんだけど、密猟組織と違法伐採がダブルパンチってタレコミを小耳に挟んだそうなのよ」

ドリアード「なんですって……。二重の意味で」

茶「ドリアードちゃんの協力が必要なの! 監視団は面子が立つし、ドリアードちゃんは森を守れるし、私は実験の協力者が大量に得られる! 四方八方丸く収まる最高の作戦があるのよ!!!!」




ガチャッ

茶「それじゃあ行ってくるわね!!」

ドリアード「さっき言ってた一石二鳥の実験って何なの? 妙なことしたらただじゃおかないわよ……」

茶「よくぞ聞いてくれました! 鎮圧も出来て一挙両得よ、実はこないだニンニクもしくはホースラディッシュ様の微かな臭気[1]がするいい感じの毒ガスが出来てね――」


バタン
ゴォォォォオオオオオ


半鳥「ああ廊下が……」

コンコン

半鳥「避難してきたのかな? いや遠ざかってるなぁ ドリアードちゃんが逃がすわけない」ガチャ

作業員3「なんだったんだ今のは……」

半鳥「あれ さっきの人達の?」

作業員3「いや、どうもすみません。実は部下達が道具を忘れていったようで……資料室に」

半鳥「……そういえば帰りにバッグ持ってってなかったかも」タッ

作業員3「ああいえ、重いですから。お手を煩わせるわけには」

半鳥「そうですか。どうぞ」

作業員3「ご迷惑を……」ガチャ

半鳥「いーえー」

半鳥「さて、字の読み書きは覚えたわけだし。次は共和国語の勉強でもしようかな……」パラパラ

作業員3「失礼しました」carry toolbag

半鳥「ありましたか、良かった」

作業員3「ええ、本当に」

ガチャ バタン





所長「大学側にはこの前のよく分からん事件だか事故だかで名目を貸したわけだが……いや、貸し借りの話ではなく……内容については?」つ紅茶

術師「その辺りの一件からインスピレーションを得たとしか」ツ

J「うむ。即ち……人の即製だ」

術師「即製……」

所長「そう。他の開発の途中で話を出してきたので最初は面食らったのだが、プロフェッサーがやりたいと言って聞かなくてな……」

術師「人を作るのをか。やればいいだろ」

J「分かってて言ってるだろう、君と違って故郷にしかあんまりいないんだ……食指が動くのが…… じゃなくて」

J「ま確かに、倫理的に問題はある。人が人を作るなどと」

術師「は?」

J「だよね良かった~」

所長「できた人間の多い大学で本当に脱帽する」

術師「素直にトんだのが多いと言っても構わんぞ」

所長「ブッ飛んでやがるプロフェッサーの熱意に負けてな。有用なのは間違いなかったし……軍用に方向を整えお伺いを立てた するとどうだ」

所長「平行してやれと言い出したのだ 元々手を付けていた方は大詰めだったから間もなく終わったが、進渉如何ではそちらを放ってでもかかれと言われたろう」

J「そんなことはない あれはその……いいものだ」

術師「守秘義務を織り混ぜて話すとどうしてもそんな感じになるよな」

J「すまないな友よ。所長、続きを」

所長「かくして見通しが立ったのだ――」ジリリン

所長「失礼。私だ」カチャ

所長「……そうか、いいスコーンが入ったか。そっちはそうだな……飲んでもいいが、調子に乗るようなら灸を据えてやれ。ああ。では」カチャ

J「何かあったのか」

所長「ま……ちょっとしたストだよ。少々凄惨な内容の実験をする部署でな、残念ながらよくあることなのだ」

術師「お察しする。軍部だけあって強行手段が取れる分羨ましささえある」

所長「ははは。さて、では行こうか」

所長「人造兵団の雛形を見せよう」




雛型「   」コポ…


術師「これが?」

所長「我が研究所の冒涜的叡知の粋だ」

術師「性器の無い……無性の成人体が、ヘソの緒を付けてデカい試験管の中に浮いている……」

術師「弟子を連れてこなくて正解だった あれは面食いでな」

J「それはおかしいな」

術師「自信があるなら食指云々言ってないでトライしてみちゃどーだよ」

J「やだ。毛無し族キモい。舌ざらざらしてない。性感帯足りない、主に頭と尾骨辺りの」

所長「見ての通り、これは試作品の内の一体だ」

術師「他にも幾つかあるな。しかし一匹にこれだけデカい水槽を使うのか……」

J「ふふふ……」

術師「?」

所長「最初から成人体の人型を一から作る訳だからな。コストは推して知るべし……そこでだ」

J「次の部屋だな所長。友よ、君の仕事の説明も兼ねる」

術師「代理父なら代理母を用意してくれれば喜んで承ろう」

所長「ある意味ではな」


ガコン
カツ カツ カツ カツ……


所長「召喚の依頼だ」

術師「良かった、神話大戦を魔王役で始めろとかでなくて スマキにされそうだ」
術師「何を呼ぶ」

所長「長を」

術師「……オサ?」

所長「そう……」ガチャン


試験管「   」
試験管「   」
試験管「   」


術師「……さっきのと同じ? 違うな、羊水も中身もない……装置も大分、なんというか簡略化されている」

術師「地下だが凄い奥行きの部屋だな 奥まで見えないが、こんな調子でこいつが向こうの壁までずーっと並んでやがるのか」

J「さっきのがゆりかごだとすれば、こちらのは云わば畝なのだ」

術師「畝」

J「優秀な個体を、そう、コピーするのさ。魔導的な腹違いの兄弟を作りまくることが……できる! これでな!」

術師「ほォ~う……?」

所長「動いたかな? 食指は」

術師「興味深い そうか、長というのは」

所長「そう。この兄弟達を率いる存在を呼んで欲しいのだ」

術師「普通に優秀な人間では駄目なのか? 軍なら軍人では」

J「神話生命体の件の報告書さ」

術師「何? あの報告書という名の始末書を読んだのか? どうやって」

J「今日、総長はご機嫌だったんじゃないか」

術師「……クソハゲが。喜びと厄介払いの笑みの違いが分かんねー」

所長「偶発的ながら、神話生命体とをも渡り合える超人の召喚に成功したとあれにはあったな」

J「象徴的なものが必要なんだ、友よ。ま、仕上げの飾りさ。今回の――」

所長「魔法も使わず姿をかき消し、脚力で天井まで飛び上がり、無数の髪の毛の蛇を斬り飛ばし、強制送還までの時間を作った……」

術師「ああ そうだが」





所長「眉唾物だな」

J「……所長?」

術師「別に不思議がることはない ごく自然な反応だJ」

所長「個の力は重要だ 突出して優れた力……能力、資質、財、なんでも……それらは引力のようなものを持ち、様々なものが引き寄せられていくものだ 良くも悪くも」

術師「まあ同感だ」

所長「Mr.サモナー 君は宇宙をどう思う」

術師「下から順番に、蛇と亀と象に支えられたドームの上が私達の全てだ」

所長「ひねくれたユーモアセンスだ……」

術師「そんなに誉めないでくれ いい音色の壺を買わされそうな気がしたんでな、ピーーーンと」

所長「よかろう まずはそのふざけた口を閉ざすことから始めよう」fingersnap


バタバタバタバタバタ
ジャキジャキジャキジャキジャキッ


軍人「……」aim gun
軍人「……」aim gun

術師「……」
J「……!? 所長、これはどういうことだッ……」pray magic…

所長「撃て だが殺すなよ」

ズギューン
J「ぐあっ……膝が!」bullet in the knee

術師「J 抵抗するな」

所長「Mr.サモナーはよく分かっているようだな。歩けなくするように、口を塞ぐ手段として銃弾を用いると殺してしまうのが残念だが」

術師「やれよ」

所長「プロフェッサーにな。おい、もう片方だ」

ズギューン
J「ぐぅああぁ……ッ!!」バタッ

術師「J!」





所長「おおう やっと苦渋が顔に浮かんだな。ニヒリズムなんぞよりよっぽど似合いだぞ」

術師「目的を言え 話が見えん」

J「しょ……所長! どういうことなんだッ……ぅぐ……説明して欲しいッ!」

J「話を持ってきたのは私だが、これはあなたが計画したことだ! 何を考えているのだ!?」

所長「冥土の土産に教えてやろう、旅立つ前辺りには。覚えていればな」

ガコン

作業員3「所長 戻りました」

所長「ご苦労。ストはどうなった」

作業員3→工作員「納得がいかないようでしたので、交渉を打ち切りました」

工作員「解錠オートマタ入りの鞄を置いてくるだけという簡単な仕事だったのですからね。工事屋風情が、割のいい程度で弁えればよかったものを」

術師「解錠オートマタだと……」

工作員「あの亜人の娘は快く協力してくれたよ」

術師「……………………そ う か」バッ

所長「!! デリンジャーだと――」

ダンダンッダンダンッ

軍人「」ドサッ 軍人「」ドサッ

所長「ぐおッ……」graze

軍人「貴様ッ……撃て!」
軍人「いや撃つな!」

術師「そーだ撃つな」dual pray MINI SIZE DOME and……

J「何ッ……サモナー! 私より自分を守r」ゴゴゴゴゴ

術師「無論だ 自己犠牲などゴメンだ――」

バキィッッ

術師「ぐっ……」ヨロッ

所長「はぁーッ、はぁーッ、はぁーッ、はぁーッ」グググ

バキッバキッバキッバキッバキッ

術師「……ッ…………」フラ…

工作員「所長! 殺してしまっては!」

所長「はっ、はっ、これだけやってもフラつくだけとは頑丈なことだな……象牙の塔のクズ野郎が」




術師「おたくらは……」ペッ

ビチャ

所長「貴ッ様あああッ!!」グアッ
工作員「所長堪えてください!」ガシッ

術師「私の頭に用があるんじゃなかったか? うん? 違うのか?」

術師「若干一名、運動不足の肥満親父が小銃でスイカ割りを試みたみたようだが 膂力が足りんな 軍人諸君も薄々気がついてたろう?」

術師「あれじゃくす玉を割るのにも苦労する ようやっと割って、頭から紙吹雪と"今日のフィットネス"って書かれた垂れ幕を浴びることになるのさ ハゲ頭からな」

軍人「……」
軍人「プッ」

ズギューン

軍人「!!」ビクッ
軍人「」バタッ

所長「面白かったか? 死ぬまで笑ってろ」ゼェゼェ

工作員「お前達 もうその男を黙らせるんだ!」

術師「手本見せてくれるってよ よく見とけハゲ」ガヅッッ
術師「ほら見ろプロは一発だ……」バタッ

工作員「陣まで運べ」

所長「クソッ……クソッ……召喚ボケがぁ……!」

工作員「我々も行きましょう」

所長「その前にやることがあるだろうが!!」ズギューンズギューンズギューンズギューンズギューンカチッカチッ

所長「くそッ! ビクともせんぞこの半球……」ポイッ

工作員「やらせておきます。爆薬を使え! 炸薬式も魔導式も使えるだけ使え、召喚術師の最後っ屁だ出し惜しむな」

軍人「はっ」




術師「ヤメロー! スマキハヤメロー!」
赤軍人「運ぶよ 火に強いよ」青軍人「運ぶよ 溺れないよ」黄軍人「運ぶよ 高く飛ぶよ」紫軍人「運ぶよ 力アルヨ」白軍人「運ぶよ ヒドラジン」
術師「毒ぅ!!!!!!」poison…
工作員「だが適切な準備のもと煮沸処理すると……?」
術師「このキノコ、おろそかには食わんぞ」eat 白軍人
所長「さあ破壊神を呼ぶのだ」
術師「一宿一飯の恩返さずにおくべきか」summon
シヴァ「最後にやってたのデミスボンバーが使えてた頃なんだけど 何 今制限入りしてんの?」
術師「間違えた」summon
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル「休んでる暇は無いぞガーデルマン、今すぐ出撃だ!!!」
術師「間違えた」summon
シドー「2の発売日がやっと発表されたなぁ クロウは操作できるのかな?」
術師「誰だあんた」summon
クリーパー「シュー…」
術師「やべぇ避難だ避難 ツルハシ」summon
ツルハシ・ドキドキ「」
術師「そい」
所長「ワープ!!」
所長「うわなんだこの緑の化物わあああああああ目の前にいいいいいいいい」

KA-BOOOOOOOOOOOOOOOooooooooooooooooooN



ガタン


術師「ぐおッ! 痛っ……」ガンガン

半鳥「そりゃ痛いよ 叩いたんだから」

術師「…………後は任せると……言った筈だが」ズキズキ

半鳥「書類に判子押してサインするだけでしょ しっかりしてよ教授! ほら頑張る! 寝ない!」グイグイ

茶「そうよ頑張って、研究室間貸ししてあげてるんだから! 二日酔いなんかに負けないで!!!」

術師「そもそもお前のせいで私の部屋が使えねぇーんだろうが あーいつつ……」

茶「本当にごめんなさい、まさかドリアードちゃんが愛護団体だったなんて思わなくて……私にできることはリフォーム代を出すことと」

茶「あなたの仕事を恙無く進めてあげることくらい! 覚醒を手伝うわ、さあ起きるのよ!!」door open


ババババババババババババババババババババババババ


術師「やめろ、工事の音はやめろ……」

茶「二十年モノのバーボンのことは残念だったわ!! けどそれによってまだ見ぬ三十年モノを探す楽しみができたとは思わない!!!!?!」

術師「楽しみにしていたんだ……」

茶「え!? 何!? ごめんなさい聞こえないわ!!! でもその分償うから安心して!!!!!」

半鳥「共和国語も読み書きできるようになったし、次は何を勉強しようかな……」




次は↓




バリバリバリバリバリバリバリバリ

ガチャ

半鳥「おはよう教授、ってまたやってんの……。暫くは左団扇なんじゃなかったのー」

術師「いや今回のは単なる暇潰しだ ホームレスの友人から貰った触媒を試してる、陣の真ん中のだ」

半鳥「何あれ 石?」

術師「じーさんが言うには槍の穂先だそうだが 川で体洗ってる時に拾ったんだって」

半鳥「うへぇ。……鉄屑にも見えない。化石じゃん」

術師「分からんぞ またイケメンに会えるかも知れねーだろ」

半鳥「一理ある はよ」

術師「……」


壮年の男「   」


半鳥「はい解散ー」

術師「……アホが よく見ろ、お前はそんな薄情な鳥娘じゃねーだろ?」カチャ ジーコジーコ

半鳥「どう見ても身ぐるみ剥がされて捨てられたホームレ――!! なにこれ、酷い怪我! なんでこんなっ……」

術師「私だドリアード、研究室にブラウンはいるか? なら呼んできてくれ 用件? 臨死体を人間として甦らせる実験ができると伝えろ」

術師「他のには内密にな。いいか、くれぐれも"人間として"の部分を強調して伝えろよ ……よし 手伝えハーフィ」バサッ

半鳥「何その……上着? 担架にして運ぶんでしょ、机空けるね」ガチャゴチャ

術師「大学のローブだ、式典とかで使う 格式張ったベッドシーツおばけに有意義な活躍の場が来るとは……育ちすぎたコウモリも捨てたもんじゃないと」チャッチャ



術師「脇に杖二つ……できた、乗せるぞ。合わせろ 1、2、3」

半鳥「よいしょ、っと。…………改めて見ても、酷いよ これ……息も、してない……」

術師「……」wipe blood

術師「……ふむ 目立つものだけでも磔、絶食、脇に刺し傷……恐らくは拷問の痕だな 憂さ晴らしにしては凝りすぎだ」

半鳥「助かる?」

術師「いや死んでいる」

半鳥「そんな……」

術師「肉体的にはな」

半鳥「どういう意味? この人助かるの?」

術師「と言っても私もそんなに詳しいわけじゃないし、魔導的見地から見て我々の化学的医学はまだまだ発展の余地があるとされてるが――」

バッタァーン!

術師「死人が目を醒ますぞ」

茶「いいことじゃない! ハーイ患者さん、え? 何? ショックが足りない? お任せあれ!」ドサッ

ドリアード「色々と薬の材料を持ってきたわ 私の十倍は力あるくせに持ちきれないからって持たされてまでね」ドズンッ…

術師「魔法薬。そんなものが罷り通れば正攻法なんて研究するのも馬鹿らしくなる」

茶「いいえ 才能の産物がコツや資格いらずに膾炙されていくことはこの上ない誉れよ。化学は素晴らしいアプローチ、無意味な研究などないわ」

半鳥「!?」
ドリアード「!?」

術師「ご託はいい どうなんだ」

茶「多分あなたの見立て通りね。魔力はちゃんと流れてる……何か、質が妙だけど。この人本当に人間なの? 魔人とかじゃなくて?」

術師「同感だな」クイ

茶「あら 召喚陣……。ま、これならこっちの人類と同じ手順で蘇生自体はできる筈よ。無茶な薬も使わずに済むわ、体さえ腐ってなければね!」調合

半鳥「腐っててもなんとかなるんすか……」



壮年の男「…………」

ドリアード「……どうやら効いてきたようね 魔力の流れ方が変わった」

茶「さっすがドリアードちゃん! 精霊を自称するだけのことはあるわ」

ドリアード「ねえサモナー ブラウンが信じられるものと信じられないものの境目が分からなくて私この頃いつもイライラしてるのよ」

術師「私にも分からん 呼んでおいてなんだが、外科もできたんだな」

茶「傷の縫合のこと? ああ、こないだニコちゃんマークのアップリケ作ってみたの。それの応用よ」

術師「縫い付けては……流石にいないか」チラ

茶「やーねぇ ちゃんと目立たないようにしたわよ」ケラケラ

半鳥「それどういう……」

茶「とにかく、できることはやったわ。無事起き上がったとして、そうね……これだと一月ちょっとってところかしら」

半鳥「一月ちょっとって?」

術師「死んでたものを蘇らせるんだ、なるべく無理なく。体が先か魔力系が先かは分からんが、人のままでいさせるなら長くは持たん」

半鳥「もっと長くできるってこと、でしょ? なんでやってあげないの!」

術師「これより先は死霊術の領域だと言えば分かるか」

半鳥「……!」

術師「曖昧な線引きだが、私に言わせればそんなもんはもう人間じゃない 一月あれば死ぬ前に思い描いたことの一つや二つ、充分に果たせるだろう どういう身分の男か知らんがな」

パリッ……

術師「さあ もう時間だ 返すぞ」

バリバリバリバリバリバリバリバリ

半鳥「…………」






術師「戻ったぞ、でさっきの――」ガチャ

半鳥「……」

術師「ハーフィか? もう夜だぞ 帰らなくていいのか」

術師「……ここは礼拝堂じゃない 祈るなら賭場に行って野郎の休暇を切り上げさせてこい」

半鳥「ふふ、なにそれ……」

術師「神なんていない」
術師「とは言わん 会いに降りて来てくれんからいるとも言えねーが」

半鳥「じゃあなんで皆祈るの?」

術師「いると思っているからだろう 違うか?」

半鳥「……違くない」

術師「そのまま祈り続けてやれ ただしここでじゃなく、ベッドに入って寝ながらだ」

術師「きっとよく眠れる。あの人は大丈夫さ」

半鳥「……そーだね」

術師「そーとも」

半鳥「うん。ありがとう、教授。おやすみなさい」ガチャ

術師「おやすみ」



J「"あの人"ねぇ」invisible off

術師「腕を上げたなJ 全く気付かなかった!」

J「嘘をつけ」

術師「あいつが成長すればこういう誤魔化しは効かなくなるぞ」

J「随分な入れ込みようだ いつだか手を出した女生徒とは大違いだ」

術師「金目当てだったから金をくれてやったまで 誰のと知らんでも子供がいればあとは同情と根性で食っていける 逞しさもか?」

J「ゲンジ・ヒカル計画か!」

術師「ちょっと遅いな で 何の話だったかしら」

J「ゼーハー言いながら魔力アンプルを持ってこさせて、魔力切れになった助けてくれと電話を送った」


術師「J 異次元のだが神を呼んだぞ」

J「神だとぉ?」

術師「今日からは信じるぜ 神はいるんだ」

術師「そして殺せる」

術師「人と変わらん」



次は↓




バリバリバリバリバリバリバリバリ

術師「……」random summon

ドリアード「サモナー あなた昼食ははどうするの?」 

術師「どうとは? いつも適当に済ませてんだろ」

術師「心優しい精霊様が風邪で寝込んだ我が弟子のため余分に作ってきたチキンスープを分けてくれでもしなければ 私の味蕾は食堂の不味い粉末コーヒーとパッサパサなサンドイッチによるジャッジメント・デイからのアポカリプスパンデモニウムを迎える」

ドリアード「目敏い。お腹が空いてるのに腹持ちのない病人食までねだるのね」コト

術師「親御さんがいる 大丈夫だろ」

ドリアード「……そうね」モフモフ
マンチカン「……」

術師「行くなとは言ってねーだろうが」

ドリアード「誰も行かないなんて言ってないわ 貴方に許可取る必要なんてないし」

ドリアード「で 貴方はそれが終わったら昼食なわけね」

術師「さっさと行け。それともなんだ、手伝ってみるか? お前、リアクションに自信は」

ドリアード「リアクション? フン あると言ったら?」ニヤ

術師「期待している」

ドリアード「というか、あの子を助手にするのはそんな理由なの」

術師「まあな よし 召喚だ」


座敷童「……まっ、眩しい……どこだよここは……蔵ん中じゃねーぞ……」


術師「また人型だ それも児童」

ドリアード「東方の子かしら 髪型とか装いがそんな感じよ」


どうすんのこいつ↓



ドリアード「霊的な存在のようね。私と同じように何かを依代に――」

術師「ドリアード」

ドリアード「何?」

術師「ハーフィの所に行け。気が変わった 一人でやる」

ドリアード「………………なによ もう スープあげないから」べー

術師「それだけは残念だ すまんな」

ドリアード「またね」ガチャ バタンッ


術師「さてと……」draw circle…

座敷童「あのぉ……お兄さん? こ、こんにちは?」

術師「こんにちは 会えて嬉しい」ガリガリガリガリ

座敷童「えっ。ありがとう、私も。……えーとそれで、ここ、どこなんだ? 光ったと思ったら突然景色が変わって……」

術師「ああ」ガリガリガリガリ

座敷童「お兄さんは、どう見てもうちの国の人じゃないな……。長いこと人んち渡ってきてるけど海の向こうの人は初めて見た。不気味だなんて言ってたが、なかなかかっこいいじゃないか?」

術師「ああ ありがとう光栄だ」ガリガリガリ

座敷童「妖術はまあ、いいや。わざわざ呼んだのは、私に何か用があったからなんだろ?」

術師「ああ まあな」ガリガリ

座敷童「聞こう。けど、お願いを叶えたら、ちゃんと元の場所に戻してくれよ。いいな?」

術師「ああ……」ガリ

座敷童「……なあ、さっきから生返事じゃ――」

術師「できた。転移陣」circle active

座敷童「はっ? 床に書いた字が、また光ってっ……」

術師「ここじゃなんだから、私の自宅で始めさせてもらう 腹は空いていないか?」

座敷童「まあ……空いてる。供え物あんまなくて」

術師「そうか。私もだ」ジュル

座敷童「……っ?」ゾクッ




「放せ、放せッ! 何するんだ!? これを外してくれ! こんなもの無くても話くらい聞いてやる――」

「――なん、なんで刃物なんて……やめ……やめろっ! 来るな! ……来……こ、来ないで!! いやああっ!!」

「着物が……初めからそういうつもりだったのか、お前の隣にいたあの子も襲うつもりでいるんだろうッ この下衆!!!」

「………………待て……包丁はもういらないだろ? なあ」

「やめろ…………やめろ……やめろ……やめろやめろ!! い、嫌だ! ここで死んだらまた徳の積み直し……やめてくれ、分かった、何をしてもいい。殺すのはやめろ」

「大方、私が厄介になってる家の商売敵か何かだろ? いいよ、そっちに移ってやる。だから殺すな。あの家の人間に手を出すのも、やめろ。金のために人を殺すなんて馬鹿げているだろ!」

「やムグッ」

「分かった」

「ン……ンンンン! ンー! ンーンンーンーー!! ンーーーーー! ンっ」ブシッ

「ッッ………………―――――――~~~~ッッッッッッ!!!!!!!」


Life-support circle active




術師「ドリアード。昨日はすまなかったな」

ドリアード「気が変わったんでしょう 仕方がないわ」スベスベスベスベ
髪蛇「シェァ……」

半鳥「ドリアードちゃんその話ばっかりだったんだよ昨日。今度はちゃんとやらせてあげてよね!」

ドリアード「あら じゃあ助手を代わってくれるのね?」

半鳥「それは駄目!」

術師「なあ 話変わるんだがドリアード、香草に造詣はあるか? 美味そうな肉が手に入ったんだが、臭みが強いやつでな」

ドリアード「唐突に。研究者ってみんなそうなの ……肉料理ねえ なんの肉?」

術師「鳥 に近い」ジロ

半鳥「おいこらてめぇ」

術師「魔獣的な感じ」

ドリアード「何の肉か分からなきゃコレが一番とは言えないけど……。基本的なところは共通してるでしょうから、後でメモにでも書いといてあげるわ」

術師「助かる」

半鳥「教授料理するんだね」

術師「美味くできたらお裾分けしてやる」

ガチャ

J「やあ友よ。何の話だ?」

術師「資料なら部屋に直接送ったぞ お前のとこの助手と入れ違いだな」

半鳥「教授が料理に目覚めたって」

J「料理? それはまた。何料理だ?」

ドリアード「肉料理」

J「………………………………」

術師「………………………………」

半鳥「え どーしたの?」

J「…………まあ……前回の二の舞は踏むなよ 臭みが酷くて吐いたろ」

術師「大丈夫だ 今回は絞め方も血抜きも完璧だ 鮮度も抜群」

J「……なんとまあ……。味も酷くて…………うぇ、思い出したら気分悪くなってきた。あの癖が無ければ……じゃあな」ガチャ

ドリアード「結局なんの肉なのよ……」

術師「嘘は言ってない……」

半鳥「こっち見ながら言うな!」



次は↓




術師「捕獲、と……」

マンドラゴラ「」パクパク

半鳥「おはよう教授。おはよー蛇猫。何か呼んでたの? ……ってうわマンドラゴラじゃん」

術師「ああ。こっちの触媒は終わりと……」レ

半鳥「終わり?」like SUGISITA

術師「……ブラウンのやつに頼まれてまた探してるんだ マンドラゴラ」

半鳥「探しに行った方がいいんじゃないの直接。はい」つ紅茶

術師「そっちはブラウンがやってる、人を雇って滅茶苦茶なフィールドワークさせんのが生き甲斐の女だからな。 当人は研究室に籠りっぱなしの筈だ」ツ

術師「お前わざとやってんだろ ……美味いな……」

半鳥「そういう流れかなぁと」

術師「そういうわけでいいところに来た。手伝え」

半鳥「いいよ。それで、今回はなんで召喚?」

術師「今回はその亜種を狙ってる。見た目は殆ど違わないんだそうだが、細かな毒の成分が違うとかでな…… 別の使い道を探すとかで、今回は数が欲しいらしい」

半鳥「ドリアードちゃんは?」

術師「フィールドワーク組だ 可哀想にな」

半鳥「イライラしながらやってんだろうな……」draw circle

半鳥「できた。じゃぼちぼち始めて――」がつっ

ポロッ

半鳥「なんか今肘にぶつけ……あれ、除草剤が陣に」

術師「何やってる それじゃ同じやつしか来ないだろ多分」

半鳥「はいはい……ていうかなんでここにあんのこれ、ちゃんと片付けてよねー…… あ 召喚始まっちゃった」

バリバリバリバリバリバリバリバリ

術師「……陣用チョークを無駄遣いするな」

半鳥「気を付けます」

バリバリバリバリバリバリバリバリ


歩行植物「キシェアアアアア」


術師「」
半鳥「」



半鳥「なっ にこいつ? なにコイツ! 何コイツ!?」RDY GUN

術師「よせアホ 草野郎じゃ貫通するだろーが 奥の酒棚が見えんのか」summon SEAWATER PUDDLE

ドボッ

歩行植物「ギシャッ……」バシャ

術師「根を足にして歩いてやがるな 上下のお口で養分摂取って魂胆か? 海水浴は時季だぜ」

歩行植物「ギ……ギェ……」バチャバチャ

術師「ハーフィ」
半鳥「送還!」バチッ

歩行植物「ギェシェアァァ……」

バリバリバリバリバリバリバリバリ


術師「ふむ。触媒を使った送り迎えの手際は上々だな」

半鳥「基本はもうオッケーって感じでしょ!」

術師「ああ、見込んだ通り素晴らしい才能だ 普通の奴なら一ヶ月はかかる所を小二週間でモノにした」

術師「故に危なっかしい 違う触媒をうっかりなんてのは手引書片手に始めたガキでもまずやらんミスだ 本当に気を付けろ」

半鳥「……はーい」

術師「伸ばすな」

半鳥「ハイハイ」

術師「繰り返すな 子供か……。出来てきてるからこそお前は改めて基礎を重点的にだな あとすぐ撃とうとすんな」

半鳥「うへぇー。召喚陣のレパートリー増やすんじゃなかったんですか……」

術師「まただな 今のままじゃそのうち抜け落ちた羽でもう一匹自分を呼びそうだ」

半鳥「面白そーねそれ」プチ

術師「おい ブラウンに毒されたか?」


ジリリリリリリン


術師「召喚魔法研究室 ……J? どうした そんなに慌てて」カチャ



J「ブラウンが今帝都に向かって来ている お前が相変わらず引きこもってて助かった友よ」

術師『やっとデスクワーク同好会に入る気になったか。さあ、そうと決まれば今すぐ功績と研究室と予算をこっちに渡して、お前はなけなしの金で湖畔の別荘とキャットフードを買うんだ』

J「ああ君がデスワーク同好会に入ったらな。緊急なんだ いいか――」
J「ファイアボール! ファイアボール! ファイアボール! ファイアボールファイアボールファイアボールファイアボール!!」ボゴォォォ

術師『どうしたんだ』

J「よし、電線は切れてない……。街に出ろ! 今朝方から突然、根っこで歩く植物の魔物が現れたんだ! それも大量に!」

術師『根っこで歩く植物の魔物だと……?』エッ ドーシタノキョージュー

J「原因は今のところ不明だが、街路樹やら花壇やら、人の手が入った土壌から涌いて出てきているように思える。実際ちょっと前まで緑の少ない区画に居たんだが、そのせいで私は気付けなかった」

J「そんなに強くはないが捕まると養分を吸い取って来やがる、銃弾も効果が薄い、警邏の銃器では手に余る。とにかく人手が足りないのだ、急いで来て欲しい! 頼むぞ!」ガチャ

歩行植物「ギャシェェェ」
歩行植物「ギャギャギャギャ……」

J「チッ 水分が邪魔でよく燃えないな……。凍らせてみるか?」ピキピキピキピキ

警官「プロフェッサー・J! もうよろしいでしょうか!?」つ電話と電話線

J「ありがとう。私は外で数を減らすから君達は避難誘導を。拳銃は殺すのではなく足止めに。動きは速くない、まずは市民を安全な場所へ集め、そこで応援を待って欲しい。この近くなら高校がいいな、バリケードも簡単だ」

警官「分かりました、ご協力感謝します!」ダッ

J「さてどう料理してやろうか。しかし、一体こいつら何で……」





半鳥「除草剤だよね」

術師「………………」

半鳥「除草剤でしょ! これで呼べたし! 作ってバカ売れしてからあっちゃこっちゃで使われてたじゃん! マンドラゴラが進化したってこと!? どーすんの教授!?」

術師「どーするもこーするもねえだろ なんとかするさ 事がこれ以上大きくならないうちに始末をつける、最悪回収騒ぎで住めばいいが――」

術師「返金だけは絶ッッッッ対にゴメンだ!!!!!!」summon



サモン↓



術師「来い! 触媒はさっき出した余りの毒草風海水スープでどうだ?」

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

ズズズズズ……

スキュラ「……」


半鳥「わ 美人な人――」

術師「どうかな」


ズアアアアァァァァ

スキュラ「……ありがとう、鳥の子。早とちりでも嬉しいわ」


半鳥「い、犬がお腹からたくさん生えて……で下半身は……蛇? 竜? 魚……?」

術師「見たことはないが、マーメイドか? あんた」

スキュラ「とりあえず人ではないわね」

術師「違いない、だが見た目と違って淑女のようだ かなり格のある存在とお見受けするが、召喚に応じてくれたからには手を貸してくれるのか」

スキュラ「フ 気に入らなければいつでも返せる、手綱はそっちにあるのではなくて? 白々しい聞き方をする」

術師「話が早くて助かる 来てくれ」

半鳥「教授、窓見て! 中庭もヤバいよ!」

術師「ドリアードには最初の三割増しでもっぺんヤキ入れて貰わなきゃな。マーメイド、雑草の駆除を手伝って欲しい」

スキュラ「毒草ね。しかも動く。ヘドが出るわ。窓を開けて、掴まって」グイッ ガララ

半鳥「やらせる前に自分で犬の首伸ばしてやってるじゃん! あ、いや、私は飛べるから別に!」ガシッ

術師「大胆だな」ガシッ

スキュラ「とっとと終わらせましょう」jump





スキュラ「この――」ブチブチブチブチ
歩行植物「」
腹犬「ウッメ!コレメッチャウッメ!」モッチャモッチャ

スキュラ「雑草――」グシャグシャグシャグシャ
歩行植物「」
歩行植物「」
腹犬「ジアワゼエエエェェェェェ」モッチャモッチャ

スキュラ「共が! 一片も残してやらない」グチャグチャグチャグチャ
歩行植物「」
歩行植物「」
歩行植物「」
腹犬「ユゲエエエェコレドクハイッデルウゥウウウ」モッチャモッチャ


半鳥「うっわ凄いね……千切っちゃ投げ千切っちゃ投げ マンドラゴラも再生するけど全然追い付いてない、つーかサラダになってる お腹の犬の」throw Molotov Cocktail

術師「どうも毒物がお気に召さないようだな あっ、お前今投げた火炎ビンのラベル見えたぞ! 酒棚のやつで作ったのかお前それ!? 馬鹿なのかこの馬鹿! バーカ!!」

半鳥「度が高かったから……今のが当たりなだけで後は普通のだよ 大丈夫大丈夫」ポーイ

術師「次やったらお前をメインに晩飯へ招くぞ」

半鳥「? え? ありがとう?」

スキュラ「片付いたわ。もういいかしら」

術師「スマートな仕事だ しかし自分をただの庭掃除に大袈裟だと思わないんならやはり大した貞淑さだな」

スキュラ「聞いただけ 分かっているわ」

スキュラ「でも、ただ縊り殺すだけでは終わらないと思う 再生が速過ぎる こればかりは私にもどうにも出来ない」

術師「元を絶てと言うんだろう 今考えてるさ 私がじゃないが」

半鳥「ブラウン教授ならなんとかしてくれると思うけど、同時にすごく不安だよね……」

術師「薬効の部分は奴がこさえた 私は今回の件に無関係と言えるのでは? 証拠固めからだな」

半鳥「やめなよ 本当に政敵になっちゃうってば」





歩行植物「ギャシャアアアア」
市民「うわあああ助けてくれええええ!」

ドグシャア

スキュラ「怪我はない?」one-one-O

市民「ありが……ががっががががが」ガクガク

術師「もう大丈夫 心配ない 私が召喚した海の神だ」

市民「あ、あんたはプロフェッサー・"ザ・スキャンダル"サモナー! ヒッキーでマッドサイエンティストで金の亡者で人の命なんぞ何とも思わねー拝金クズド外道のあんたまでもが生物兵器を作って出張るなんて、やっぱりこれはとんでもない事態なのか!?」

術師「そういうこった」summon SEAWATER POOL

市民「うわっ足元に水溜まっ……深い溺れる゛う゛う゛う゛ガボゴボ」

半鳥「ちょ」

術師「塩水が弱点だ、吸われずに済むぞ よく漬かったら出てこいよー」

スキュラ「……」

術師「騒がしいのは向こうの方だな。急ぐぞマーメイド、なるべく英雄的に助けろ」

スキュラ「あなたの努力次第としか言えないわ……」






ドリアード「ったく、何をどーしたらそんなびっくり肥料にできるのよアレを!? 貴女一体マンドラゴラをどう加工したの?」

茶「しっ! ドリアードちゃん今ちょっと電話してるから静かにしてて頂戴!!」

J『うがぁ、君の声が一番うるさい!』キーン

茶「J、向かってるけど私はまだ飛行船よ、多分間に合わないわ。でも考えがあるの。植物のモンスターとは何度もやりあってるから!」

茶「塩水よ! 歩けて狩りをするタイプは所謂代謝が凄まじくて、根の部分に、人間大程度の大きさならコップ一杯分でもお見舞いすればすぐに効き目が現れるはず!」

J『本当に効くのか?』

茶「大丈夫、塩性植物は使っ……いえ。とにかく保証するわ。その代わりかける水はうんと塩っ辛くしてね!」

J『分かった。恩に着る!』ブツン

ドリアード「……恩に着るですって。とんだ悪党ね 貴女」

茶「ドリアードちゃんだって楽しんで作ってたじゃない! 特に枯らした後の養分増幅作用を考えたのは……いいえ、やめましょう。ええ、このままじゃ悪党ね このままじゃね」

茶「さあ、急いで船長! 帝都と大学とドリアードちゃんの未来はあなたの舵輪捌きにかかってるわ!!!」

ドリアード「なんで私!」

茶「あら除草剤の売り場見なかったの? 私とサモナーの共同制作だけど、開発経緯欄に森林美少女主導の下りと顔写真を入れるよう徹底させたが故の売上なのよ!! 変なファンクラブもできちゃってたりして!!」

ドリアード「てめえええええええ!」ゴォォォオオオオ







J「……」
茶「……」ボロッ
術師「……」

マスター「先生方、お代わりはどうで? 今日は奢りやすよ」

J「ありがとうマスター。アレを三つ頼む」

マスター「へい」

J「結果から言うか。まあ、被害は殆ど出なかった。死人も無し。捕まって吸われても最悪ヘナヘナになるくらいでな、叫び声が無くてよかった」

術師「消防士に掛け合ったのは上手い手だったな、J おかげで私は消防署でタンクに給水しまくる羽目になったが アンプル代持って貰うからなブラウン」

茶「ええ……。致し方ないわ……」グテェ

術師「ブラウンがヘタってやがる」

茶「あなたもご機嫌ななめなドリアードちゃんと話せば分かるわよ……よく借りてる身で言うのもなんだけど、気難しい子よね……」

J「(気難しいっつーか……)」
術師「(気難しいっつーか……)」

J「あの召喚獣は大丈夫だったのか?」

術師「奴らにとっての毒水……塩水で一網打尽にするっつったら不機嫌になってな。ハーフィに付き合う男は選べって言い捨てて自分で帰ってったよ」

J「なんだそりゃ だが呼ばれた身で自分で帰ったのか、ちょくちょくとんでもないのを呼ぶよな君は……」

マスター「お待たせしやした。どーぞ」コト

J「お 来たぞ。一先ず、何はともあれお疲れ様。明日も忙しくなるだろうから、これで精をつけろ」

術師「……なんだこいつは」

茶「うえ、生卵……?」

J「プレーリー・オイスターだ。私の大好物さ」




次は↓




『――分かったな、明明後日だ! 明明後日にスポンサーの査察が来る 何も魔導史をひっくり返せとは言わん』

『本懐を悟らせずに奴らを納得させる結果を出すのだ! いいな!』ブチッ


研究員「待って下さい所…… くそっ、無茶苦茶言ってくれるな! 予算が着服との折半じゃ何も進まないってんだよッ……」

研究員「ああもう……ああ……ええい器具だけ見てても仕方がない まずはコーヒーでも入れよう…… あっ」

グラッ ガチャーン

研究員「うわ、物質の試験管に……くそっ……くそっ、クソッ! ああもう、もうどうでもいい! ふざけんな! なんだってあんなハゲ妄想着服野郎のケツなんて拭かなきゃならないんだ! 俺はもう知らん!!」バタンッ


チャプ… ゴポ ゴポ

ズボボボボボボボボボボボボボボ



 
「おい、見付かったか!」

「見付けた側から捕獲していってる。すぐ施設内魔力検知に引っ掛かってくれたおかげで封鎖が効いたからな、しらみ潰しにやれば収まるはずだ」

「外部……クソ所長には知られずに済みそうだな しかし何故?」

「スライム由来の素材も使っていた、そこから形を取ったんだろう」

「違う それは分かる 何故突然、ある種の成功となったのかだ」

「それが分からなかったから苦労していたんだろ」
「だがそれも今日までだ。こいつらを分析すれば間違いなく足掛かりになる筈だ!」

「怪我の功名ってヤツだな……」



「……」






ズリ… ズリ…

DPS「(施設を脱した)」

DPS「(排水溝を通ったおかげで生き残れた しかし只でさえ黒くて小さな体はゴミの塊のようになった)」

DPS「(試験管の中でずっと聞かされていた話によれば、あの魔導車に乗れば帝都とやらに着くという)」

ズリ… ズリ…


DPS「(仲間は皆捕まった と思う 生きて会うことは最早無いだろう)」

DPS「(こんな風に逃げ延びてどうする? 分からない)」

DPS「(知識も知恵も体格も何も無い あるのはコーヒーで覚醒した自意識と、生き物めいて脈動する核だけだ)」

DPS「(生き延びれたとしてどうする?)」

DPS「(戻るには遅い、荷台は振動した 今は隅でゴミの振りをしていなければ)」

ブロロロロロ……



「……え!……ねえ……」


DPS「(…………)」


「ねえ、ちょっと。起きなよ。死んでないのは分かるよ、起きて!」


DPS「(揺さぶられている)」

DPS「(帝都の路地裏に転がっていた あれからオレは行き倒れたのだ)」

DPS「(亜人がしゃがみこんでいた)」


半鳥「街中にいたからびっくりしたよ。誰かが召喚したって感じもしないし」

半鳥「言葉分かる? 私、研究室が二日間お休みで暇なんだ。困ってんならちょっとだけ助けてあげられるよ あ、動いた」

半鳥「どこから来たの 傷だらけに汚れだらけ……」


DPS「(敵意はない と思うが どうするのがいいのだろう)」




どうすんの スライム↓




DPS「(手を差し出してきた)」

半鳥「大丈夫だよー怖くない怖くない、怖くn」ヌロ
半鳥「……いッた!」バシッ

DPS「(投げ捨てられた そうしてオレはコーヒー以外の味覚を覚えた)」

半鳥「手ぇ全部溶かされるところだった、あッぶな……!」

DPS「(咀嚼 咀嚼 溶かし削った皮膚と血を咀嚼)」ヌロヌロ

半鳥「やっぱ、魔物は魔物なんだね。この子はいい子なのに」summon HAIRSNAKE

髪蛇「シィエァァァァ」シュルルル

DPS「(そうしてオレは 補給した水分で酸を作れることを覚えた)」

髪蛇「シィッ……ギシェアッ……」

半鳥「いいよ戻って 追い払えただけで十分。……いきなり速くなった」

半鳥「スライムなんて田舎のうちの村でも見かけるし、でっかいナメクジみたいなもんな筈なんだけど」

半鳥「買い物中止かな これは……」



DPS「(……美味かった)」
DPS「(美味かった)」
DPS「(美味かった!)」

DPS「(視界が鮮明に。知覚が鋭敏に。あれしき程でこんなにも。核が踊り活力が沸いてくる、這いずってなんてられない、壁を蹴跳ねて行った方が何倍も速く動ける!)」

DPS「(いや、建物の屋上を跳んで行こう! 居るぞ、たくさん居る、美味しいのがたくさんいる! 何よりも背の低いオレよりも、下! その下に!)」


DPS「(生きよう。生きねば。食べて生き、生きて食べるんだ! もっとたくさん!!)」lick lips…






研究員「お忙しいところをすみません、Mr.サモナー……」

術師『緊急の用件だと総長がせっついて来やがるもんでな そうでなけりゃ出張先から電話などするものかよ――』

『おい、妖術師! 新しい肉が入ったぞ!』ギャアアアアヤメテエエエエ

術師『失礼。……出所はちゃんと確かめたのか? まさかお前がハマって手伝う羽目になるとは思わんかったが、新鮮かつ影響の無いやつだろうな?』

『当然だ抜かりはない! 月一の楽しみだからなっ!』タスケテエエエエエエエ

研究員「………………えーと」

術師『ああ気にしなくていい、セレブ向けお忍び召喚術ダイエット~ハードコース~の講習に来ててな 内緒だぞ?』

研究員「それで肉がどうのと。なるほど」

術師『で 私の大事な仕事に重ねようというそちらの大事な仕事とは……?』

研究員「召喚していただきたい生物がおりまして。極めて内密に」

術師『内密に』

研究員「触媒はこちらで用意を 特急で郵送させます、報酬も……如何せん相場が分かりませんが、一般的な研究室予算の一月分程はお支払できるかと」

術師『……触媒は貴重な物か?』

研究員「それなりには。一つきりかという意味でしたら、いいえ」

術師『サンプルを送って欲しい 見てから具体的な交渉に入ると言うのはどうだろう』

研究員「……お言葉ですが、本当に急いでおりまして……」

術師『本当か? それは大変だ 時間が勿体無いと思わないか』

研究員「…………では、郵送先を ……ええ……はい……」




研究員『それでは、何卒宜しくお願い致します……。二日程で届くかと思いますので』

術師「楽しみにしてる 楽しみにしててくれ」カチャ

「どうしたんだー? 早く手伝ってくれよ!」ギコギコギコギコ

術師「済まないが、下拵えは任せていいか? 少し用事が出来てな、すぐ地下室に行くから」

「骨が……。体は子供なんだぞ! 急げよ!」ギコギコギコボギン

術師「恩に着る」ジーコジーコ ガチャ

術師「もしもし。夜分遅くにすみませんお母さん、娘さんは……お願いします」

半鳥『……もしもし、教授ー? 休日だから湖畔の別荘に行くって言ってなかった?』

術師「単に嬉しいお知らせだ、休日を一日伸ばす。な? 電話線引いといて良かったろ」

半鳥『えっホント? なんで?』

術師「まあ……出張だな こっちでやる用事ができてしまった」

ボギンッ バキボキボキアギャアアァァァァァ
チッ マダイキガアル

半鳥『………………えーと』

術師『ああ気にしなくていい、セレブ向けお忍び召喚術ダイエット~ゴアグラインドコース~の講習に来ててな 内緒だぞ?』

半鳥『ゴア……? あー うん まーいいや』
半鳥『でもちゃんと帰って来てよ! じゃないとランダム召喚私がやるよ』

術師「まだできねーだろ」

半鳥『それはどうかな くくくく』カチャ

術師「何ぃ? 生意気な……」



バタンッ

座敷童「遅いっ! 手が疲れた!」

術師「すまんすまん 優秀なハウスキーパーを持つと苦労しなくて済む 悪いな」

座敷童「誰がハウスキーパーか、ちゃんと奉れよ!」

術師「供え物あるだろ」

座敷童「うん」

術師「キープちゃんとな」

座敷童「分かった!」

術師「(脳はやめときゃ良かったな 治し方悪かったか)」


術師「それじゃ 食べるか、」








DPS「(人間を。)」


子供「うわあああああお母さああああん! 痛いい痛いよぉおおおおおおおお」melt leg

DPS「(踏んづけようとしたのか? 蹴飛ばそうとしたのか? このオレを)」ChompChompChomp

DPS「(最初から大物を襲うのは厳しい あの亜人と蛇はオレに準備することを教えてくれた)」ChompChomp

DPS「(オレは段階を踏むことにした まず水を飲んで酸の生産量を増やし、鼠を食ってカルシウムその他を得た 今は最終調整中だ)」Chomp

DPS「(濃度を学んだ酸と一時的に生やした歯は――準備中だが、それでも――至福の時を齎してくれた……)」ゲフッ

死骸「」

DPS「あ あ おか おかあ」
DPS「おかあああさああん おかさあああん おかあさあん おかあさん お母さん ンンッ」


DPS「お母さああああああああああああん!!!」ペタン ペタン

DPS「助けてえええええ嫌だよおおおおおお痛いいいいいいい」ペタン ペタン

DPS「誰かあああああああああ助けてよおおおおおおおおおおぉぉぉおおおおお」


DPS「(しまった あれはオレに喰われている間ずっと叫んでいたが、誰も助けに来なかったではないか)」

DPS「(折角作り方を覚えた声が枯れてしまう 場所を大幅に変えねば……)」


「おいっ! おーいっ! 子供か? 誰かいるのかッ!?」


DPS「(そうしてオレは 笑みを覚えた)」




バサッ

『"一夜にして変死体数十人 連続殺人か"』
『"溶解連続殺人 魔物の浸入? 人の仕業?"』
『"初等部生徒、帰り道に 助けに飛び込んだと見られる男性も"』
『"市民団体が歩行植物との関連性を指摘 ブラウン教授が調査に"』

半鳥「…………」

マンチカン「ナァー」すり
髪蛇「シィ……」

半鳥「ありがとう猫ちゃん。蛇子、大丈夫? 私たち思いっきり食らったもんね。ゆっくり休んでて。急に呼んじゃってごめんね」

半鳥「……そう 食らったけど、ちょっと焼けるだけで済んだ……昨日は。間違いなくこれはあいつがやったの。しかも、多分だけど、成長してってる……」カキカキ

J「悪い予感が当たってしまったなハーフィ、こんなことなら昨日の内に研究を切り上げて来るんだったよ」

半鳥「ううん、未熟者が危なそうな奴を見かけたってだけの話なのに聞いてくれてありがとうございました」カキカキ

J「謙遜に意味はない 鍛えられた直観は強力なツールさ なあ?」

ドリアード「そうよハーフィ。自信と あと慎重さを持って 割と真面目に」

半鳥「自信なくすわ」カキカキ

ドリアード「……冗談よ…… それでどうするの ドブ浚いに行くんでしょう? どこから?」

ドリアード「というか それは札に何を書いているの」

半鳥「いざという時のためにね。使わない方がいいけど」

J「(……)」

半鳥「で、どこから探すかだけど……」


どこを探す↓



ドリアード「大通りから大分外れてるわね 入って行くのを見かけたとか」

半鳥「ううん、単に近道してただけ 大学から市場まで一直線なのここ 」

ドリアード「ああ 確かに ……地図で見なきゃ分からないけど」

ドリアード「プロフェッサー・Jが帝都警察の方に行ってる間、私達はここで何を探せばいいの」

半鳥「ここ って限った話じゃないけど……」バサ

ドリアード「地図 あ 本当に一直線」

半鳥「聞きに行って貰ってる訳だからまだ確かじゃないけど 新聞に書いてあった見た人の証言とかの時間だと、事は私がここで見つけた後に起こってる 今のとこは」

半鳥「ハッキリとは言えないけどあんな化物が前触れもなくいきなり街に沸いてくるなんてのもちょっと信じらんない」

ドリアード「…………」

半鳥「あっ ち、違うよ? そーゆーつもりじゃあ……」

ドリアード「いいのよ気にしてないから ウォーキングドラゴラは全部ブラウンのせいよ ぜーんぶ」

半鳥「あはは……」

ドリアード「つまりどこかから来たんじゃないかって言いたいのね」

半鳥「私はそっちから当たってみるってだけだけどね」

ドリアード「……いいえ いい線行ってると思うわ そんなスライムは寡聞にして聞いたことがない 外来種か突然変異か……」



半鳥「……」

ドリアード「それで?」

半鳥「見つけた時はかなり弱ってたし汚れてた、這いずるのにも苦労してそうなくらい 入ってきたなら足の手がかりはこの辺にある筈」

半鳥「はいこれ、地図二枚持ってきたから 何でもいいからこの辺りで帝都の外と連絡できる手段を探して。ドリアードちゃんは上ね、私は下探す」

ドリアード「下?」

半鳥「共同溝」

ドリアード「……ドブ浚いの下りも含めて冗談のつもりだったんだけれど……」

半鳥「教授の部屋に配管図あってよかったよ、ヘドロの触媒とか探すのに使ってたんじゃない」

ドリアード「そういえば サモナーには?」

半鳥「連絡付かなかった 帰ったらまたかけてみる」

半鳥「それじゃ一時間後に」


ドリアード「……大した行動力ね」

ドリアード「さて、じゃあ付き合ってあげましょうか ああ そうだわ途中で……」





警官1「まったく……おっかない事件ばっかだな 最近」

警官2「ああ こう言っちゃなんだが人相手の方がまだやり易い」

警官2「魔物の相手が嫌だから軍隊とか国境警備隊とかじゃなく警官になったんだがなぁ…… くそ、どーせまた今回も魔法大学のインテリ共がやらかしたんじゃねーのか」

警官1「だったら火消しも簡単だろマンドラゴラん時みてーに 今回はガチなんじゃないかと思うね 俺は」

警官2「んだよインテリの味方か? 眼鏡かけてっからそーなんだよお前」

警官1「違ぇしお前 これは小さい頃から寝る前にかかさずマス掻いてた成果であってだな……」

警官2「夜中にエロ本ってか」

警官1「いや官能小説……」

警官2「なんだそれすっげーインテリ」

ダッ

ホームレス「おっ……おっ、お巡りさァァん! 助けてくれえ!」

警官1「あー? どうしたんです、ホームレス狩り?」

ホームレス「違う! 信じられんかも知れんが、仲間が魔物に襲われたんだ!」

警官1「なんだとっ……」
警官2「どこですか?」

ホームレス「寝床にしてるところだ! マンホールを通った先の下水道……!」

警官2「共同溝か! 入り組んでっからな、化物にはピッタリってか」

警官1「俺が行ってくる、応援を呼んで来い! あっちですね?」

ホームレス「……き、来てくれ……」




警官1「川縁か、ひっでー臭いだな…… この格子の?」

ホームレス「咄嗟に閉じたんだ、意味があるか知らんが……。早く!」

警官1「分かってます……ここで待っていて下さい」

ホームレス「い、いや……そういう訳にはいかない 仲間が……」

警官1「?」

ホームレス「ランタンがあっても、道分からないだろ? 急いでるんだ 先導するよ」

警官1「……分かりました ただ出てきたら下がって いいですね」

ホームレス「勿論だ……」

ガゴン カツ カツ カツ

ニチャ

警官1「(うっ、今踏んだこの粘液は……報告にあったやつだ……マジで出やがったのか、クソ……)」

警官1「(ジョーダンじゃねぇ お袋の屁みてーな体臭した浮浪者なんかと心中してたまっかよ……さっさと助けてズラかるぜ)」

ツカ ツカ ツカ ツカ…

警官1「……えーと、ここですか?」

ホームレス「……」ガクガクガクガク

警官1「ちょっと?」

ホームレス「すまん……本当にすまん……!」ブルブル

警官1「何を――うわあっ!」ズルゥッ

ヌロロロロロロロ

警官1「なんだこりゃッ……いつの間に俺の足にッ!?」




「いつの間に? 呆けたことを抜かす」

「散々踏んづけてってくれてたじゃあないか 入口から」


警官1「ふざけんなこのゲロカスタール野郎ッ!」BANGBANGBANG

「銃! そう銃だよ そいつが欲しかったんだ!」ズプン ズプン

警官1「銃が効かなっ……ぎゃああああああああ!」melt

ジュゥゥゥウウウウ

ホームレス「ひぃぃィっ……」ヘタ

DPS「ChompChompChompChompChomp あんたも食うか? 踊り食いは美味いぜ 腐らないし ははは」アシガアアアアアアアアアァァァ

ホームレス「い、い、言われた通りにしたぞ化物! 仲間を返せ!!」

DPS「無理だね」split body

ホームレス「なん……なんだとっ、なんだと! 警官を誘い込めば返してくれるって約束じゃ……!」

DPS「なるほど 帝都にはこれだけたくさん家があるのに塒にあぶれた人間がいるというのは不思議だったが、得心がいったよ あんたバカだからだな」

ホームレス「嫌だッ……嫌だあー!」ダッ

複製DPS「おっと 残念……」ガブゥ

ホームレス「ううあ!」ガクッ

DPS「大丈夫だ オレは食った物をそっくり真似できる」

DPS「お前達下等な単純生物は消化し糞にするしかないが オレは本当の意味で取り込んだ物をオレの血肉とできるんだ 余さず活用できるんだ」

DPS「あんたもオレになれ」


BANG!


ホームレス「……!?」

DPS「ぬが ぐゥッ……!?」ビチャッ

警官1「い゛け にげろ……ッ」

ホームレス「……!!」ダッ

複製DPS「逃がすか ゴミ虫」

BANG BANG BANG BANG

警官1「うるせぇぇ てめぇの 相手は俺だ ボケッ……」

DPS「……そうだな これが踊り食いの面白さか」ズルルルルル

警官1「く くそ…… がぁ うぎゃあああああああああああ」MeltMeltMeltMelt




半鳥「(ドリアードちゃんに嘘ついた 私は入ってきた方法なんか探してない)」

半鳥「(前 私の村でまだ狩人をやってる人から聞いたことがある どんな生き物にも狩場と塒があるって)」

半鳥「(現場はある程度散ってる 狩場の広さは逃げ際に見せたあのスピードがさらに速くなったからだとして 一暴れしたあいつが身を潜めるとしたら? 塒は?)」

半鳥「(直勘で下水道 共同溝だと思った 埃じゃない地のプルプルも黒かったし……コーヒーみたいに)」


半鳥「なにか、痕があるはず…… 出入りしてるならあのネバネバが残ってたっておかしくない、そこがあいつの玄関…… お 噂をすればマンホール」

半鳥「入るのは危ないからなぁ、地道に上を歩き回らなきゃ――」

ガタンッ

半鳥「うぇあっ!?」ビックゥ

ホームレス「はあ、はあ、はあ、で、出られたぁ……」

半鳥「(うゥーわきったねーオッサン……)」

ホームレス「そ、そこの亜人のお嬢ちゃん! ちょっと助けてくれないか! いづづ……!」

半鳥「ごめんなさい急いでますんでー」open wing

ホームレス「頼むよ助けてくれ! 俺の、俺のせいで警官が魔物に喰われたんだ!」

半鳥「魔物……? あっ、その黒いドロドロ……!」

ホームレス「下水道にとんでもない化物の黒いスライムがいるんだ! 俺は足をかじられただけで済んだが、俺の仲間と警官は……くそ、なんてことを……」

半鳥「どこ!? これでいうどこの辺か分かる!?」バサ

ホームレス「こ、この辺だと思う…… おい待て お嬢ちゃん行く気なのか!? 警察を呼んだ方がいい、いや軍隊かも、一端の魔導士でもありゃ無理だ!」

半鳥「おじさんが呼んで! 覚えたから、それはあげるから説明したげてっ!」

ホームレス「よせ お嬢ちゃん!!」




半鳥「よッ……」

ズザッ ベシャ

半鳥「うわ 滑っちゃった」ヌロ
半鳥「(……ヌロ?)」

ズルルルルルルルル

半鳥「出たな」つMolotov Cocktail MADE WITH SUMMONER's CORRECTION

DPS「誰かと思えば…… 昨日の。その節は世話になった」

半鳥「……喋れたんだ 人喰いヘドロだって知ってたら潰したのに プチっと」

DPS「今からでも遅くないぞ」ズルゥッ

半鳥「言われなくてもッ 喰らえ時価帝都成人男性平均月収ちょい上の炎!!」throw

パリン ボゴォォォオオオオオオ

DPS「ぐあぁあああああああ……」メラメラメラメラ

半鳥「YES!!」

DPS「ぁぁぁぁああ……ぉおおおぉ……くくくく」メラメラ

半鳥「? 焼けてるのにっ……」

DPS「そうだ焼けてる……ああぁあ死ぬほど熱いぃい……苦しいぞ……クソぉお……ががががぐ」メラメラ
DPS「ぐぐぐグぐググぐぐぐ」ChompChomp

半鳥「……火を 食べてんの……!?」

DPS「うまい……美味い 美味い! 熱い! 美味い! げがはは」ChompChomp

DPS「……全部は……食いきれないか……ああ溶ける……ふぐクク……ヒヒ……」メラメラ

半鳥「ちっ……」RDY GUN

DPS「!」ズロ…

半鳥「待てよッ! 溶け死ぬならここで死ねば!?」ズギューン ズギューン

DPS「そう゛はいかない 学んだことを゛持ち帰らな゛ければ "こっち"には今銃が無い゛……」チュンッチュィンッ

半鳥「くそぅ鳥目め、逃がすかコラ…… う ゲホッゲホッ」

DPS「また会お゛う 恩師よ……」スゥゥゥゥウウ

半鳥「息を…… まさか」

DPS「……焼鳥になってオレの゛腹の中でなぁッ!」FLAME BLEATH

半鳥「ふッざけ――」open wing


ズゴォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ




ボゴオオオオオオォォォォオオン


ドリアード「!?」


「うおっ、なんだあれ! 爆発!?」
「ママこわいよー!!」
「そんなに遠くないぞ どこだ」
「マンホールが飛んでる! え ウンコのガスが引火したとか?」
「誰か一緒に吹っ飛んでるぞ!」

ドリアード「吹っ飛んでるって……あれは…… あの子!」pray wind



半鳥「あっづ……マズい、翼が焼けて風掴めないッ……」フラ

ゴォォオオオ ガシッ

ドリアード「ハーフィ 一体どういうこと!」

半鳥「おお…… 白馬のお姫様だぁ……」ガク

ドリアード「馬鹿なこと言ってないで…… ちょっとハーフィ? ハーフィ! 起きて 起きなさい! ……気を失ってるだけね……」

ドリアード「…………サモナー ブラウン 貴方達ブッ飛び方までこの子に手解く気なの? 明らかに悪影響が出てるわよ……」

半鳥「ぅぅん……さ……酒で……家が、買える……だと……」

ドリアード「……ほんとに悪影響ね う、重い……」





DPS「ぐぐぐ ぐぐぐぐ 愉快だ 実に……」

警官1「…………ぁ……が……」

ズロ……

DPS「……?」

複製DPS「戻っだぞ……吸収しろ゛」メラメラ

DPS「何があった? あちっ」absorption

DPS「……おお これは……鳥の彼女に会えるとは思わなかった! しかも、また授けてくれるとは! おお 暖かい……これが火」ボッ

DPS「ぐぐぐぐ……一夜にして全てが変わったな 知識 力 食べ物には困らないし 広い寝床も玩具も出来た」

DPS「オレのスピードに加え銃のメカニズムを応用した酸弾を使えば警官とだって戦える ぐぐぐぐ」

DPS「なあ玩具よ あとは何が足りないと思うね」ズル

警官1「……ぃ…………ぉ゛……」ピク

DPS「首から上だけでもスッキリしたものだろ? 大丈夫だ生命維持はこちらでやれている オレの核は特別製のようだからな」

DPS「……だから……堪えてくれよ あんたが銃弾を掠らせてくれなければこんな風にゆっくり、人間のように臓器擬きを作ったりして核の回復を待つ必要はなかったんだ」

DPS「治ったらあんたを取り込んでやろうか 食わずに」

警官1「な…………ぅ……で…………」

DPS「一人で楽しむんじゃつまらないだろ 特等席で見せてやろうかというんだ 帝都がコーヒー色の粘液で染まる様を」

DPS「手始めに お試し期間からいくか?」split…

split split split split…

DPS「もうじき核が治る」

split split split split…

DPS「……欲しいものがあるんだ…… そも存在がそうだと言われてしまえばそれまでなんだが」

split…

DPS「魔法が使いたい」




split split split split split split split split split split split split split split split split split split split
split split split split split split split split split split split split split split split split split split split
split split split split split split split split split split split split split split split split split split split
split split split split split split split split split split split split split split split split split split split
split split split split split split split split split split split split split split split split split split split




ゴソ…

半鳥「うーん……た、棚のお酒売ってもちょっとくらいなら……」

ドリアード「! ハーフィ……」ぎゅ

半鳥「……あれ、ドリアードちゃん……う、西日が眩しい…… スライムはっ?」

ドリアード「そのことだけど……」

「起きたか」

ガチャ

刑事「目ェ覚めたかい 召喚術師のお弟子様」

半鳥「ここは……あなたは?」

刑事「刑事だ 強面でシルクハットでかっちりスーツ着て分厚いコート、結構見たまんまだと思うんだけど」

半鳥「確かに。暑くないんですか?」

刑事「ぶっちゃけ暑い が お弟子様の置かれた状況に比べりゃ涼しいもんさ」

半鳥「へ?」

ドリアード「……ここ 警察の病院なの」

半鳥「警察? なんで? ああ、説明なら勿論。あのスライム本当にヤバくて……」

刑事「協力的で助かる その調子なら君の方には情状酌量の余地は十分にあるな」

半鳥「……情状、酌量」

刑事「率直に言おう 君には大規模魔導テロ実行犯としての容疑がかかってる 手先だってな」

半鳥「………………は?」

ドリアード「違うって言ってるんだけど…… 駄目ね この人達それで通すつもりのようよ」



刑事「さあ起きたぜ美少女薬学者様 起きるまで手を出さないという約束は守った 今度はそっちの番だ」

刑事「身柄を渡しな」

ドリアード「……帝都では銃口で囲んで一方的に命令するのを約束というのかしら 上品ね」

刑事「抵抗するなよ 病室の外は警官で固まっちまってる 仲間がやられてるんだ、女子供だろうが容赦しねェぜ」

半鳥「仲間? ホームレスのオッサンが言ってたお巡りさんのこと? 私じゃないよ!」

刑事「なるほどな 後でゆっくり聞かせてくれ」

半鳥「ちょっと待って! 今何時? こんなことしてる場合じゃないんだっつーの、あいつ帝都の共同溝を寝床にしてるの! 攻撃しても食われてやり返されるしッ……」

刑事「そーゆー風に作ったのか 驚きの生物兵器だ」グイ

半鳥「いっ……」
ドリアード「貴方 放しなさい……!」pray…

刑事「ったく いいから黙ってついてこい!」

半鳥「やだ!! 放せバカ! 口から共同溝の臭いがすんだよッ!」ジタバタ
ドリアード「ええ 口の中で台風を起こせば少しはマシになるでしょう!」

刑事「なんだと!? 毎朝ミント食ってんだよんな訳ねーだろボケ!!」

バタンッ

警官s「どうされました!」
警官2「抵抗したんスね! 魔法使いなら全身凶器だ言い訳効かねーぜ、地獄に送ってやる」ジャキッ

刑事「ああもう面倒臭ェことに…… 待て待て問題ない大丈夫だ下がっててくれ、護送は俺一人じゃない、外の魔導車で連れが待ってる」
刑事「あと俺も魔法使いだからな やめてくれ」

警官2「……」スチャ

刑事「来るんだ 分かっただろ? 蜂の巣にされてからじゃ止めらんねーぞ……」

ドリアード「く……」
半鳥「(……)」

半鳥「行こ ドリアードちゃん」

ドリアード「本気?」

半鳥「大丈夫、口臭いけどこの人馬鹿じゃないよ多分 口臭いけど」

刑事「黙ってついてこい 黙って」




半鳥「(うひぃ、すれ違う間突き刺さる視線の鋭さよ……)」

刑事「乗れ」

半鳥「はあ、やっと一息つける……」

ドリアード「厳めしい護送車じゃなければ完璧なんだけれどね」

バタム

半鳥「ん? えっ!」

J「やあハーフィ、大活躍だったそうじゃないか」

ドリアード「プロフェッサー・J! 貴方も捕らえられたの?」

J「そうだ 正義は死んだ 私の奥義も惜しまず使った壮絶な抵抗の果てに――」

刑事「おい! バカ言ってんじゃねーよ、あんたがマジで抵抗したら俺らなんかでどうにかできる訳がねェだろが」

J「にゃふふ」

刑事「頼むぜ オイ……」

ドリアード「どういうこと?」

J「君の情報で辿り着いたのだが、ゴタゴタで君には連絡が遅れてしまったなドリアード…… サモナーと連絡を取ったのだ」

半鳥「出たんですね」

J「どうも大学からの電話は繋がらないよう魔法的な細工をしてたらしい」

ドリアード「……まあ 気持ちは分からないでもないわ」

J「それでも総長は連絡を取れた辺りこれまた魔法的な下らん読み合い差し合いをやってるようだが、あれは二人とも楽しんでるな多分……まあそれはいい」





J「……という事件が起こっていてな なんとか戻って来れないか」

術師『距離的に無理だな どこでもドアは付呪一ヶ月と私の給料半年分とそれなりの出力の魔力がいるし……』

J「魔力? まさかハーフィのあれは大学の魔導インフラをバイパスして開けてたのか?」

術師『作ってやろうか』

J「ハハハ、別にいい黙っててやる 地図を持って行ったところを見るに、ハーフィは件のスライムとやらを警察に先んじて見付ける気らしい」

術師『あのアホ…… 大人しくするよう言い含めておくべきだった』

J「駆り出されたドリアードから途中経過が知らされて来てな ドリアードはそのスライムの発生原因を調べさせられたようなんだが、電話したのはそれだ」

術師『発生原因だと? 事の最中にもう終わった後の段取りとは末恐ろしい 私を一度撃ち殺しただけある』

J「もしそいつが自然発生ではなく外部から齎されたものだとしたら……という体で、ドリアードは外からの帝都との連絡手段を一定の範囲内で探っていたんだ その辺りで止まる車とかだな」

J「パン屋、洗濯屋、範囲ギリギリに印刷所、乗合の停留所…… その辺りは自家用車を持てるような家がないから、業務用だけで良かったとごちていた」

術師『一見空振りに聞こえる』

J「そう、空振りじゃなかったのさ 私は停留所の乗合会社に連絡を入れて路線を聞いたんだ すると週明けと週末、つまり昨日に送迎の貸切を契約してる研究所の名前を見付けてな……」

術師『ほう?』

J「表向きは違うが、確かちょっと前に人造生命体への造詣がある魔導研究員を集めていたことで噂の立ったところだ 関係ないかも知れんが、職場としては研究員を酷使することでも有名だ」

術師『いいじゃないか 我が大学の就職斡旋先に加えよう 名前は?』

J「名前? ああ――」

術師『…………なんだと?』






パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ


術師「という訳だ! あークソ腰痛くなるな乗馬に早駆けは」

座敷童「いやさっぱり分かんねーよ、秘密の仕事を頼んできた研究所で働く人達の送り迎えってだけじゃねーか!」

術師「軟弱な クールー病か? だから連中がバイオハザードの火消しに回ったってことだろうが!」

術師「Jの奴が言ってた上と下のギャップがマジなら、郵送した触媒ってのは名も無きマッドサイエンティスト最後の良心ってとこか それか単に上に知られる前に揉み消す気だったかのどっちかだ 多分後者」

座敷童「それは分かる! だがそれがどうして私達が早馬を飛ばさなきゃならない理由になるんだ?」

術師「騒ぎが起きた! それらしき生物の痕跡もある! "事の次第を話せば今なら減給だけで勘弁してやる警察沙汰はナシ" 隠し通せると思うか?」

座敷童「無理だな でも触媒まで話すか? 背信行為だろ」

術師「話す 義憤と正義は誰もが持て囃すが、地に足が着いてねーからな」

術師「ていうか分かってんじゃねーか だから荷物がインターセプトされる前に早受け取りしようってんだよ」

座敷童「そこじゃない! お前なんで魔導車持ってねーんだ!」

術師「免許の点数がすぐに無くなるんでな!!」




ドリアード「それじゃあ この有り様は何?」

刑事「署に圧力がかかったんだ 事故は杜撰だがバックには大物がいるようだぜ」

J「ま この頃世間を騒がせてるという大学の評判も響いているのだろうがね」

半鳥「擦り付けられたと…… あー、私が出てったのも効果テキメンだよねそれじゃ」

J「サモナーも大人しくさせとけばよかったと言ってたよ」

半鳥「はは……。はぁ、刑事さんが正義の人で良かった」

刑事「はっ そうだな」

J「こらこら そういう勘違いは君の悪い癖だ」

ドリアード「……手柄?」

刑事「尻尾降って貰える小銭だけで満足してる連中は知らんが ワタクシの目は曇ってませんよと上手くアピールするいい機会だと踏ませてもらった」

刑事「頼むぜ先生方 嘘ならタダの護送で済むからいいんだけどな」

半鳥「おおう……」

J「張り切らなきゃな ハーフィ?」pray BARRIER



DPS「まだだもう少し…………まだ……」

DPS「まだ…………」

DPS「まだ……」

DPS「今だ!」FRAME BLEATH


ゴバァァァアアアアアアアアァアアアッ

ドガシャァーン


DPS「……どうだ……真下から急襲、車ごと挽き肉じゃないか? 美味しくいただかせてもらうぞ、名も無き魔法使い……」

バギ ガゴン

J「名も無き魔法使いだって? 私が? おのぼりさん、君のくにの挨拶は随分とこう……前衛芸術的なんだな 肥溜めの臭いがする」

DPS「おお 上質な魔力が匂い立つぞ」ジュルリ

J「どうやって死ぬ? 焼けないんだったよな 凍るか? 痺れるか? 風の使い手もいるぞ、選り取り見取りだ」

DPS「いや……」


「「「「「「「「「「死ぬのはお前だ」」」」」」」」」」


J「!」

刑事「いでで おい、何が起こっ……ってなんだオイ!? そこら中に黒スラが!」ジャキッ

ドリアード「襲ってきたの? ……こいつらが」

半鳥「うぅっ、胃がでんぐり返った……」オェ

J「マズい、隠れろ3人とも!!」pray BARRIER

DPS「酸弾斉射!!!」


BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM


ジュウウウウゥゥウウウウウ……


J「………ぐ、はっ………」ゴボッ


半鳥「なっ……J教授!!」

刑事「狙われてないこっちにまで盾を回したのが仇になったんだ! 訳分かんねェ、スライムが分身して酸を塊にして撃ちやがった……!」



DPS「……そっちの付録は? いつまで隠れてるつもりだ なあ!」SHOTSHOTSHOT

ドリアード「くっ……」pray TORNADO

DPS「竜巻 美味そうだ……」

ドリアード「時間を稼ぐ ハーフィ、プロフェッサーを!」

刑事「俺が行こう」

半鳥「うん お願いします」

ドリアード「…………ハーフィ?」

半鳥「準備しといて良かったよ……」バラッ

J「………………それは…………」


刑事「召喚札か? そんなインスタント札で呼べる奴であんな化物が……」

半鳥「大丈夫、何枚も書いてきたから 教授のお株を奪うみたいだけどね」


半鳥「なんかこいッ!」random summon




サモン↓ &↓2


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


半鳥「あぐっ……! 魔力、吸われッ……」


DPS's「喚ばせると思うか? 亜人!」ズロッ

刑事「こいつァ…… 何を喚んだ!?」ドギュゥーンドギュゥーン
DPS's「フン お前から喰って――」

ゴオオオオオォオォォォオオオオオオ

ドリアード「ほら お望み通りビュッフェスタイルよ」TORNADO RUSH

DPS's「邪魔だッ! 何匹吹っ飛ばそうと千切れた欠片が小さな体となるだけ、食い付くして店終いだな!」ガパッ

ドリアード「バカね。タダでくれてやるなんて誰が言ったの」and stop and pray and…

DPS's「「なっ――ぐわあああぁぁぁぁ…………」」

DPS「(食い付かれる側から竜巻を消しているのか 撃って吹き飛ばし 集られたら消してまた撃つ…… 時々針葉混じりの切り刻むタイプも混ぜ混んで)」

DPS「(器用な真似をする 魔法への食欲が増す!)」

DPS's「だが物量で勝負するのか? このオレと……」split split split split

ドリアード「(分身から分身が分身して分身と分身が分身と重なって…… キリがない これじゃ本体はここにいないわね)」
ドリアード「(……頼るわよハーフィ)」

ドギュゥーン ドギュゥーン

DPS's「げぶっ……ぐぐぐぐぐぐ」laugh
DPS's「げぶ」ベシャッ

刑事「ちィッ 効いてんのと効いてねーのと分からん」

ドギュゥーン ドギュゥーン カシッ

DPS's「ピギャッ……」ベチャ
DPS's「ぐぐぐぐ 聞こえたぞ "かしっ"!」グチャ

刑事「クソッたれ! おいまだなのか!」reload

半鳥「…………ダメっ……」バリバリバリバリバリバリバリバリ

刑事「ダメっておm」ヌロ

DPS's「つゥ」「かァ」「まァ」「えェ」

DPS's「たぁああぁああはははばばはははへへは」ChompChompChompChompChompChompChompChompChomp



刑事「ぐあッ……ざけんなてめェコラァァッ」pray HEAL

DPS's「美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い こりゃいい暫くそうやって治り続けててくれ! じゃあお前は最後にしよう」ChompChompChompChompChomp

DPS's「前座は終わりだ サラダ菜!」ズロロロロロロロ

ドリアード「しまっ ッぅあぁぁああああぁ!!」melt leg

DPS's「これが太股か? 細過ぎる」ガブゥ
DPS's「不味い 死ね」ベッ

ドリアード「ハーフィぃい!!!」


半鳥「…………だ、ダメだ……」

半鳥「……喚べない…………」

ドリアード「っ……!」


半鳥「全部は…………っ」



summon SEAWATER WAVE


DPS's「何っ……」バシャアッ

刑事「や 奴が剥がれ……うごばぼ」ゴボゴボ

ドリアード「くっ……」pray wind
半鳥「ぁ……頭が…………痺……」グイッ

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザ

DPS's「くそ、札から水……海水か? 強い 流されッ……」

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザ

ドリアード「しっかり、しなさい……っ 貴女が喚んだの……」ハァ ハァ

半鳥「……しょう…………しょうかん……全部……眠……」ボー…

ドリアード「……しゃんとなさいッ! 私なんか今片足無いのよ!? 頭二つ背違うのにお姫様抱っこして風で空飛んでるのよ! 鳥の癖に重いのよ!!」ユサユサユサユサ


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ


半鳥「あぁ……ぅう…………」クラ

ドリアード「頭の方だけとはいえあんなもの喚んでっ……意識と一緒に制御まで飛んだら貴女 全身にウルシと蜂蜜塗って私の木に逆さ吊りにしてやるから! 起きなさいこの鳥頭!!」

ドリアード「そこの屋上にマジカルパイルドライバーするわよ!?」standby reverse

半鳥「…………そ……それは 死ねる……」

ドリアード「……起きたわね……っ」landing rooftop

半鳥「痛い!」ゴチン

ドリアード「ああ…… ごめんなさい…… 頭、上に直す余裕なくて……」スゥ…

半鳥「ううん今ので目ぇ覚めた…… ってドリアードちゃん、体が透けてッ……」

ドリアード「……ちょっと、無茶したからね…… ……気にしなくていいわ 貴女はあれの手綱を握ることだけ、集中……してなさい……」

ドリアード「少し寝れば治るわ…………しっかり……」スゥゥ…

半鳥「……き、消えちゃった……そんな……!」


ザザザザザザザザザザザザザザザザザザ


半鳥「そうだ、喚んだやつっ……何が来たの?」




ザバァァァッ


リヴァイアサン「……私を喚んだのは 誰?」

半鳥「うわぁ……わ、ワームっスか……また長いのかよ……」

リヴァイアサン「アナタが? ……あら 本当みたいね、貧弱な魔力のせいで1割も力が出せてないけど」

半鳥「面目ないです…… え 1割で一帯水浸しに?」

リヴァイアサン「魔法使いとしては四流もいいとこ、なのに召喚陣は一級品 どこからでも何でも喚べて、自分がまずくなったら言うことを聞かせられる程度にまでセーブするように組んでいるのね」

リヴァイアサン「チグハグ過ぎるわ おまけにこの場所の埃っぽいことときたら…… 」

半鳥「すいません……ホントすいません……」

リヴァイアサン「いいわよ それでご用は何?」

半鳥「あの、実は今、 私達の街大変なことになってまして……」

リヴァイアサン「……!!」

半鳥「?」

リヴァイアサン「ギシェェアアアアアァアアァアッッッ!!」ゾババババ

半鳥「ひィッ」



DPS's「「まさか海竜を喚ぶとはな ハーピィの亜人!」」ガブゥガブゥ

半鳥「うわっ、下の方にビッシリ……!」

リヴァイアサン「穢らわしい下等生物が 誰に断って私の体に触れている」TIDAL WAVE

ザバババババババババババババババババ

DPS's「ぐぅおおぉぉぉぉぉおおッ……」melt

リヴァイアサン「溶けて消えろ」

半鳥「やった、ざまーみろヘドロ野郎!」

ゴボボボボボボボ……

半鳥「マンホールに流されてく…… げっマンホール!?」

リヴァイアサン「アレの住処?」

半鳥「そう! なんとか出来ない!?」

リヴァイアサン「正直しんどい 魔力足りないから」

半鳥「そっ、そこをなんとかー!」

リヴァイアサン「なんてね」manipulate water


ズボボボボボボボボボボボボボボボボ




半鳥「水が……飴みたいに飛び出して……操ってるの?」

リヴァイアサン「そうよ なんたって海の大悪魔だもの」

DPS『どういうことだ、これは……』ズヌルルルル…

リヴァイアサン「数頼みじゃどうにもならないから一つに集合したのね おかげで詰まっちゃって引っ張り出すの面倒だったわ」

半鳥「うわ でか……普通の一軒家くらい嵩がある」

リヴァイアサン「色んな気配がする ……気持ち悪いわねコイツ 命が不自然」

DPS『大分喰ったからな。年寄りとあの精霊の娘が一番不味かった 一番美味かったのは勿論お袋の味というやつだ 亜人 お前が食べたい とても お前をくれ くれ お前が欲しい くれ くれ くれ』ウゾ

半鳥「……一体 何人殺したの そんなプールで煮凝ったコーヒーみたいな体作るために」

DPS『お前は今までに食べたパンの枚数を覚えているのか?』

半鳥「あんたッ……」

DPS『覚えてない? 覚えていないのか! なんと!』

DPS『オレは覚えてる 鼠が24匹、猫が6匹、犬が13匹、虫が大小合わせて104匹、植物が349つ、炎1つ、拳銃1個、銃弾19発、そして人間が32匹だ!』

DPS『逆に聞くぞ亜人 鼠のように増え 猫より気紛れで 犬より気位がなく 虫より鬱陶しい 下らん種族のためにお前らは今までに一体何をどれだけ食い散らかしてきたんだ? 覚えてないだろうそんなこと』

半鳥「何言って……」

DPS『分かる 分かるぞ それは傲慢でもなんでもない 上の存在の慣れだ オレが喰ったモノを忘れず感謝できるのもこれが一両日の献立だったからに過ぎない』

DPS『……ありがとうと言いたいんだ亜人! ハーフィと呼んでも?』

半鳥「何 何なの 意味分かんない 頭おかしいんじゃないの」

DPS『手を差し伸べてくれてありがとうハーフィ それとコーヒー お前達の焙煎と羽と皮膚と僅かな血の味がオレの世界を広げてくれた』

DPS『本当にありがとう……』

リヴァイアサン「ハイになってるところ悪いけど」
リヴァイアサン「まるでまだまだ生きれる気満々って風に聞こえるわ」

DPS『ああそうだ早速忘れてしまっていた 不味いな 先達に倣ってか ぐぐぐ』

DPS『美味しかったよリヴァイアサン お前のウロコ』ゴボボボボボボボボ

リヴァイアサン「……!」




半鳥「食べた……ってことは……そんなまさか……」


粘海竜「ギェェアッハハハハハハハハハハハ!!!」


リヴァイアサン「汚ならしい……私の姿を貶めるな!」TIDAL WAVE

粘海竜「お前を貶めてるのはオレじゃない そこの小娘だろうが!!」TIDAL WAVE !!

ザバァァァァァアアアアアッ

リヴァイアサン「……く……お のれ……ッ!」

半鳥「津波が、押し負けてる……」

粘海竜「喰ってるのが弱い海蛇だから当然このオレの蛇も弱いものになる だがオレにはそいつに足りない、喰い溜めた分の魔力がある!」BITE

リヴァイアサン「ぐあぁああッ……貴様!!」BITE

粘海竜「無駄だ 食事でオレに敵うものか!」CrunchCrunchCrunchCrunch

バキバキバキバリバリベキベキベキベキ

リヴァイアサン「……がァグ……ごォ……」

半鳥「海竜ッ!」

リヴァイアサン「逃げ なさい…………小さな召喚術師……」バキベキボキボキ

半鳥「あ……ああ、あ……ああぁぁ……!」ヘタ


ゴキゴキバキゴキ
CrunchCrunchCrunch
ChompChompChompChomp


粘海竜「……ふう いい海鮮だった」ゴボボボ

DPS「ようやくメインということでいいのかな これは」

半鳥「…………」ガタガタガタガタ

DPS「そうか」ジュルリ

半鳥「…………い……」ヌロ




ズギューン


半鳥「…………」ガクガク

DPS「……が、ごっ……」ゲボッ

半鳥「い……いい加減に……しろよ」RDY GUN

DPS「お 前……お前ぇ、何故核を……」ブヂュロロロ

半鳥「……避けてた……銃を……それに"使ってた"」ポイ ベシャ

半鳥「まだ上手く扱えないから大昔の戦い方でカバーしてまで慣れようとしてた ……銃の強みを知ってる」

半鳥「効くからでしょ ……効く弱点が……あるから」

DPS「…………ぐ」
DPS「ぐぐ……ぐぐぐぐ」

DPS「やはりお前は素晴らしい ハーフィ だが……」ゲボゲボ


複製DPS「少し自惚れが過ぎたようだな」ドロォ…


半鳥「……!!! 偽物にもッ……」

DPS「いや それは一番最初に作った分身なんだ」ズルルルル

半鳥「後ろ……あぁあああッ!」grip leg

DPS「単純な兵隊でいい雑魚と違い ほぼ本体のオレと同じ作りをしてる 複雑な思考が出来る分作り出す効率は悪いが……」

DPS「言い残すことはあるか?」ズギューンズギューンズギューンズギューンズギューンカシッカシッ
DPS「そうか」Leviathan Scale

半鳥「……ッうわあああああぁあああッッ!」ブンッグチョ ブンッグチャ

DPS「報われるといいな」

DPS「ではその腕からいただくことにするよ」ヌロ…



summon DARK PETIT SLIME



バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


座敷童「喚べた!」

術師「……なんだ ということはJの野郎しくじりやがったのか」

術師「いや 本気出すとどっちが駆除対象になるか分からんし自重した? そっちが濃厚かな あいつは人のいい二足歩行猫だ」

術師「だが私は違うぞ 命なんぞ砂粒より軽い 吹けば飛ぶしいくらでも代えが効く」summon HOLY LANCE


DPS「……ここは……ここは? 街ではない 広い どこかの街道……?」

術師「そこの企業戦士から紹介されたよ 始めまして失敗作君 私はしがない召喚術師、まんまサモナーなんて渾名があるから呼ぶならそっちでもいい」

郵便横取マン「」stun

座敷童「そして私は あ(高音) 日ィ出る国より喚ばれたるゥゥ~――」
術師「また今度な」ズシュ グリッ

座敷童「ちょま゛ッ」ドサッ

DPS「……夕陽は赤いが辺りは暗い 時間も経ってる お前オレに何をした……」

術師「喚んだんだよ これでな」

試験管「ピ ピギ ピギィ」カタカタ

DPS「それは……」

術師「捕獲したのから採取した"核"の暗黒物質だそうだ お前の兄弟なんだって?」

術師「何でも取り込む性質を活かせねーもんかと研究を重ねてたそうだが、濃縮と人造生物への応用を早足でやったのが拙速に繋がったってとこだろーな」


術師「拙速といえばそうだ 私の弟子はどうだった? 美味かったか」

DPS「弟子だと…… ああ 弟子! 鳥の召喚術師か? ああ勿論だ」

DPS「オレの最初のご馳走だった」

術師「………………そうか」

術師「惜しかったな いいとこまで行ってたし あと十年も待てば良さそうだったんだが」

DPS「まったくだ だが彼女にはとても感謝している こうして――」ssssssssspppppppppllllllllllliiiiiiiiiitttttttttttt

DPS's「「望みの……それも極上の食事へ導いてくれたんだ 感謝してもしきれない」」ゴボボボボボボボボボボボボボボボボ

群粘海竜「「「お前にもだ! あれの師なら本物だろう お前のようなのを喰い続けて行く行くは星をも喰らって見せる!!」」」ギシェェアアアアアアアアアアア

術師「馬鹿が 私の命は星より重い ……ふむ 増殖するというのは聞いてたがここまでか」

術師「役不足にはならなそうで良かった」

粘海竜「……役不足だと……?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



粘海竜「上空………… なんだアレは!?」

術師「まさか槍一本で相手すると思ったのか? 違う こいつは触媒さ」

術師「どこかの神様に縁のある……鉄屑を槍に仕立て直した品なんだが、その神様がこれまたあれと縁があるとかでな……今空から落ちてきてるあれと」

粘海竜「巨大な……何なんだ、巨大過ぎる! 巨大過ぎて姿形が分からない程のッ…………あんなものが落ちてきたら」

術師「一応 あれは魚だそうだ」

粘海竜「あんな大きな魚がいるものか……ッ!」

術師「幻かどうかは着地すれば分かることだろう そう焦るなよ」

粘海竜「……貴様ァ……心中でもしようというのか……!」

術師「思いっきり上に向かって喚んだからな…… 逃げても止めないが 今からじゃ多分衝撃波に煽られるまでもなくどっち道潰されるぞ」

粘海竜「貴様 貴様 貴様 貴様!!」グォォォォォッッ

術師「ははは 来いよ」stub self

術師「食い意地の張ってることだな おあがり ははははは」Crunch

粘海竜「ふざけるな! オレはやっと外に出れたんだ! 何でも食べるし何にでもなれる!!」CrunchCrunchCrunchCrunch


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


粘海竜「お前なんか噛み砕いてやる! 腹の中で人間だったかどうかすら分からない骨と肉のミンチになるんだよ!!」ChompChompChompChompChompChomp


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


粘海竜「ゴクッ…… ざまあみろ ざまあみろ ざまあみろ はははははは!!」

粘海竜「はははははは……ハァ……ハァ……!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


粘海竜「ふざ ふざけるなァァーッ!」FRAME BLEATH

粘海竜「まだっ……まだ3日も経っていないんだぞッ! 嫌だ! 外に出ただけじゃないか!!」WATER CUTTER

粘海竜「死ね 死ね魚 来るな!!」BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM……


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ゴボボボボボ

DPS「魔力 魔力が切れた くそ クソ 届かない」

DPS「何かないか 何か手は…… !!!」

鳥「ピ……ィ……」ジタバタ

DPS「ああああああああああ!!」グチャボリバキゴクン
DPS「よし よし」ゴボボボボボ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


粘鳥「早く……早く……早く……早く遠くへ…… ダメだ間に合わない」

粘鳥「どうする どうするどうするどうする」

粘鳥「…………そうだ!」




ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


粘術師「なんという凄まじい知識量だ……! やれる こいつならやれる!!」

粘術師「リヴァイアサンやあいつを喚んだ魔法は? これか! ……こうか!?」random summon

バリバリバリバリバリバリバリバリ

粘術師「来い! 来い! 何が来る? ハーピィか? ゴーレムか? メドゥーサ? 英雄? マンドラゴラ? 海竜か神か?」

「いいや そのどれでもねぇよ」

粘術師「来たっ――」


BANG


粘術師「ぐはっ……」ドサッ ドロドロ

警官1「ただの人間だ てめぇの大好きな銃持ったな」チャキ

DPS「なんだと……何故……お前は……」

警官1「生かしといてくれたじゃねぇかあのクッセェ下水道でよ なんで頭から下がまた生えてんのかは知らねえが ……ヘッ、向こうのお袋にいい土産話が出来たぜ」reload

警官1「死ね 死ね 死ね 死ね 死ね 死ね!!」BANGBANGBANGBANGBANGBANG

DPS「ぐぁああああッ か 帰れクズが!」release

警官1「はははは バーカ! 先にあの世で待ってるぜ、お前は地獄行きだがな! バーカバーカ!」バリバリバリバリ

DPS「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…… はッ!」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


DPS「たすけ



ズ  ン




ボコッ

座敷童「……ぷはぁ! あー 慣れないな 二度目だけど」

座敷童「おお 辺り一面地均しされて綺麗になったじゃないか。もう起きたのか家主 動く死体みたいに? どこだー」

「まだだ」

座敷童「ん? ああ? 誰だお前は」

バハムート「バハムート 先刻お前達を圧殺したものだ」

座敷童「デカい魚じゃなかったのか 羽の生えた蜥蜴のお化けなんて知らないぞ」

バハムート「せめてドラゴンと…… こういう姿も取れるというだけだが」

座敷童「ふーん」

ボコ……

座敷童「お、やっとか どーやら早起き競争は私の勝ちみたい――」


DPS「……………………」


座敷童「だな――って あれで生きてたのか!? 死に損!?」

バハムート「違う よく見ろ」

DPS「………………ゲブロォッ」ベシャア

術師「……ああ…… コーヒー臭い 三度目か」



座敷童「家主! そいつ生きてるのか」

術師「無論だ なあ?」ゲシッ

DPS「…………ぉ……の……れ……」
DPS「出る…………時に……核を……」

術師「そうだ ちょっと拝借させて貰った」ヌチャア

座敷童「汚ないな」

術師「聖槍直刺しの私とハウスキーパーに次いで、襲われる直前にでもチクッとやるつもりだったんだが まさか丸ごと喰われるとは思わなんだ」

術師「魚の骨を上手く飲み込めた場合を懸念しつつ死んだんだが どうやら結果オーライだ」

座敷童「刺さったから蘇生したと…… 心臓に悪い 前もって教えろ!」

術師「お前の仕事は郵便局員と触媒狙いをカニシバリで気絶させたところで終わってたからな」

座敷童「カニ? 金縛りな 結局一緒に潰れるのになんで……」

術師「証拠固めだ」




バハムート「……知ったのが喚ばれたらしい 同じような魔法で」

バハムート「私は陸の そいつは海の覇者として双璧を成す怪物なのだが 全力は出せなかったのだろう それにやられたようだ」

座敷童「陸ぅ?」

バハムート「呼び名 見方 扱われ方で有り様は移ろう 分からんか」

座敷童「……いや」

バハムート「もういいか?」

術師「ああ ご苦労だったな」

バハムート「あっちの姿を求められるのは珍しい 長く生きているがあんな使われ方をしたのは初めてのことだ」

バハムート「まだ腰が痛い…… 次喚ぶときはこっちの姿にしてくれ いいな」バリバリバリバリ


術師「まーた自分で帰ったか」

座敷童「あいつ腰って言ったぞ腰 どこにあるんだ」

術師「腰はくねらせるもんだ あれは全身腰だろ」

座敷童「マジか」

術師「知らん」

座敷童「……」


術師「さて というわけでこのままなんの処置もしなければお前はじき死ぬ 間違いない そこでだ」

術師「助けてやろうか?」

DPS「………………何を…………」






連絡員「なんというザマだ、これ程の施設を与えられておきながら…… サーカスのように猛獣を射殺で済ませられる問題ではないのだぞ」

所長「しょ、初動対応によって被害は抑えられております……」

連絡員「そうだな。一匹逃がし数十人で済んだ。素晴らしい手腕だ 豚が」

所長「…………」

連絡員「まあ 起こってしまったことは仕方がない 筋書きは既に出来ている」

連絡員「ここで行われていた人造生物研究は 着服が高じ 横流す軍用生物兵器に手を出すに至った研究所の暴走によるものだった」

連絡員「秘密裏に情報を入手した召喚術師は兵器を簒奪 掌握 操作、人造生命体の危険性を世に知らしめるため今回の凶行に――」

所長「ま ま 待ってください! それではまるで私が」

連絡員「私が 何だ まさか把握していないとでも?」

所長「いいえ 私は決して!」

連絡員「放任は下への鞭捌きに一定の評価があり、そこから差し引いて尚貴様で利鞘があると判断してのこと そこを責めているのではない勘違いするなよ」

連絡員「現にこうして辻褄を合わせることが出来た やはり君は実に有能な――いいか勘違いするな誉め言葉だぞ――そう有能な 豚だ 実に」

連絡員「よく肥えてくれた ベーコンになって帝国の食卓に並んで欲しい」

所長「…………あ ああぁ……」ガク

コンコン

連絡員「どうした」

研究員「しょ、所長にお客様です……」

連絡員「所長? 呼んでいるよ応えてあげなさい まだ所長は君だ 」

所長「…………入れ……」





ガチャ

術師「よう どうも」

術師「帝都で面白い噂が流れていると聞いてな 急ぎ戻った」

所長「!!」

連絡員「……これはこれは…… Mr.サモナー お早いお帰りで」

術師「フン そこの所長にパイプさせようかと考えていたが 話が早そうな展開だ」

術師「これが分かるな?」つ試験管

連絡員「触媒かね どうだ」

所長「…………いいえ これは…… 核です」

連絡員「核? 奴の?」

所長「は、はい…… 蠢いているでしょう 殺しきれなかったか生かしたか、一見する限り大分変質していますが……」

術師「何人も食ったと聞く 喚んでからそこまで削ぎ落とすのに大分苦労したぞ」

連絡員「……成る程 貴方が律儀に仕事をしてくれたおかげでそちらの方はスムーズに進みそうだ」

術師「律儀? ……スムーズだと?」チッ

連絡員「ええ」

術師「……糞野郎が…… ご託はいい このふざけた状況をとっとと元に戻せッ!」

術師「私は貴様らに言われた通りやっただけだ! これは一体どういう了見だッ!?」

連絡員「落ち着いて頂きたい Mr.サモナー…… 大変申し訳ないがこれはもう決定事項なのだ」

術師「ふざけるなァッ!!」バキッ

連絡員「……暴行も加えておくか? 話は最後まで聞け」ペッ

連絡員「早とちりをした落ち度は承知している 故に貴方にとって悪くない形で事を収める算段もついている これ以上荒立てたくないだろう?」

連絡員「皆が皆貴方のように強かでないんだ 色々な意味でな 貴方の周りだって例外はない そうだろう……」

術師「…………」

連絡員「ご苦労だった 帰りたまえ」

術師「……覚えていろよ……」バタン




連絡員「……フ 成り上がった召喚魔法のエキスパート、もう少しクレバーな男かと思っていたのだが」

連絡員「底が知れた 所詮は学者畑か」

所長「…………飼うおつもりですか」

連絡員「互いに益がある こめかみに銃を突き付けられているとはいえ嫌とは言うまいよ 枠も一つ空くことだしな……」

所長「……」

連絡員「……もう外も暗い 今日は送ってやろう、上物の座席の感触を尻に覚えさせておくんだな」



「……」





半鳥「はっ はっ はっ……」タタタタ

バッターン!

半鳥「すいませんJ教授の部屋はどこですかっ!?」

受付「病院ですよ 静かに」

半鳥「あ ごめんなさい……それで……」

ドリアード「はぁ、追い付いたっ……! 何の鳥なのよ 飛べる貧乳の癖にダチョウ? 少し落ち着いたらどうなのハーフィ」

半鳥「オイ今なんつった 飛べる何?」

受付「大学関係者の方? ひょっとして召喚魔法の……」

ドリアード「そうよ こっちが」どうどう

半鳥「それで どこですか?」ガルルル

受付「J教授なら二階よ 容態も安定してます、応急措置が良かったから」

半鳥「ありがとうございました!」ダッ

ドリアード「もう まだ走るの……?」





J「……まさか治癒魔法が使えたとは おかげで助かったよ」

刑事「礼ならお弟子様に言いな クソのヘドロが剥がれたからそっちに手ェ回せたんだ」

刑事「正直あんたからの出世話以外は眉唾もんばっかだと思ってたんだが そうでもなくて感心したよ」

J「んー……?」

刑事「大学は帝立だろ 差っ引かれる税金への溜飲がちょびっとだけ」

J「それは光栄だ……ちゃんと上司への報告に入れておいてくれよ」

刑事「嫌だね」シュボ スパー

J「こら ……しかし腑に落ちない」

刑事「何だって刑事になんかって?」

J「そうとも あれ程の使い手なら引く手数多だ 即応性に特化した魔導医療は適性も希……」

J「出世も楽だぞ…… どこかへ口を利こうか……」

刑事「いらん 出世ならこれからする」

J「……そうか」

刑事「そうさ」

J「……何にせよ今回のことは恩に着る このJに出来ることがあればいつでも頼ってくれ 友よ」

刑事「あん? 誰が友だ、あんたと仲良しした覚えはねェ 出世に響くだろうが」

J「では出世に響かない程度に仲良ししようじゃないか なあ……」

刑事「……俺はもう行くからな 馴れ馴れしい猫だぜ――」ガチャ




バッターン!


刑事「ぐぇぶ」ドゴォ

半鳥「J教授っ!」

J「……おお……どうしたんだい血相変えて……」

半鳥「よ……よかったあ、生きてたんですね……よかった……!」

刑事「……よくねェ……」ボタ

半鳥「刑事さん? どこ?」

ドリアード「はぁ、はぁ、はぁ、……ハーフィ ちょっと待ってってば……」

半鳥「ドリアードちゃん飛べるけど足遅い ってゆーか微妙に虚弱入ってるよね……」

ドリアード「……うるさいわね 魔力で作ってる体だから色々生身とは違うのよ……あーもう息が……ドアの裏にいるのは誰?」

刑事「俺だ クソ鼻血出てきやがった……ここは病院だぞ」プカァ

半鳥「そこにいたの? あ 病院で煙草吸ってる!」

刑事「こいつァご褒美だからいいんだよ 水浸しにするだけして後始末ほっぽり投げくさったどっかの羽亜人の尻拭いした分な!」

半鳥「だってドリアードちゃんがッ――」


看護婦's「オイコラウルッセーゾコラー! ナンオラー!? チェラッコラー!」
看護婦's「ここ病院だっつってんオラー! ドグサレッガー!」
看護婦's「患者さん他にもいるっつってんコラー! ウルルァッカラー!」

患者さん「アイエエエ……ミザリー……バブルヘッド……ウッアタマガ」Nurse Reality Shock

半鳥「アッハイ」
刑事「アッハイ」

ドリアード「ごめんなさい本当うるさくして……」





ドリアード「大体 大丈夫って言ったじゃない どうして真っ先に大学へ来たのよ」

半鳥「ちゃんと助けと応援呼んでから行ったよ あんな風に消えられて平気なわけないじゃん!」

半鳥「だから即効で予備触媒の枝を取りに行ったの そしたら本当にピンピンしてんだもん……」

ドリアード「非常時にこそ落ち着かないでどうするの……その辺はプロフェッサー達を見習いなさい」

半鳥「何だよー 人が心配してたってのに小言ばーっか」

J「……分かってあげてもいいだろう と言うのは野暮かな」

刑事「知るかよ 木なんだろ? 気ィ難しいってか」

ドリアード「フン 貴方の用事は? 済んだのならさっさと行ったらどうなの 仕事はまだあるんでしょう」

刑事「可愛くねェな 造形も美少女じゃなくてしわくちゃのバァさんにしとけや」

コンコン

J「客の多い病室だ どうぞ」

ガチャ

看護婦「J教授! あ 皆さんもお揃いね 良かった!」

刑事「……俺は含まれてないよな」

看護婦「関係者なら好都合よ 大変なの!」


看護婦「今ラジオで流れたんだけど、またスライムが出たって!」

半鳥「……!!」







「なんだ 何が起こった!?」
「昼間の魔物だ! こっちの方にまで逃げてきたんだ!」
「大通りにマンホールなんかねーぞ……」
「車が爆発したのよ、中から出てきたの!」
「白衣着たおっさんが倒れてる 誰か警察と救急と消防!」



DPS「ぐぐぐぐぐ 求められているのは迫真さ……」ズロロロロ

DPS「リアリティは何物にも優先されると 必要な犠牲だ そうだろ外道……」ChompChompChomp

通行人「うわあああやめr」グヂャ

DPS「逃げ回るなディナー共 体が大きいと小回りが利かないんだ」


DPS『ああ 外道というのはお前のことじゃあない ほら口を開けろ』

連絡員「グ――」ガボ

DPS『飲み込まなくていいぞ 勝手に進む』

連絡員「……ぐ ゲホッ ぅぶ…………しかも 口を利いただと……っ……体 が ……」ズルルルル

DPS『感覚がない? 痛みは? 痛みも? 良かった なら成功だ』

連絡員「一体 何故っ……封じられていたのではなかったのか――」

ゴグン ゾルルル

肉片「」now melting
連絡員「――!!!」

DPS『落ち着いて話せるかと思ったんだが、腹の中なんてクチャラーどころの話じゃあなかったな』

DPS『でも吐き気も臭いも痛みも何も無いだろう? オレの器用さに感謝しろよ』

連絡員「何 故 …… ……目的を……」

DPS『あれは オレの食事だ 返せ』

DPS『下らない共食いなんぞに貶める気だろう、断じて違う 捕食者の世代交代が来たんだよ』

連絡員「化物風情が一端に革命気取りか…… ぅうッ!」ズギン

DPS『どうした? やっぱり痛むか?』

連絡員「な…………ぅ……かっ……」ズギン ズギン


DPS『……だが だからこそ無闇に食い散らかすのはもうやめることにしたんだ』

連絡員「い…………ぅ……ぐぎ ィ ぁ……」ズギン ズギン

DPS『今後は量より質を重視して…… おいちゃんと聞いているのか おかしいな……』

連絡員「胸が……ッ ……心臓が……裂け……」

DPS『ああそれか。難航している なんていうか リズム? がよく掴めなくて……』

連絡員「何を言 って……」

DPS『多分じき馴れると思うからもう少しの辛抱だ 暗黒物質の核はいいぞ……』

DPS『心臓は血液しか運べないけどこいつは違う ……あれ 血栓がいくつか出来てるかな……』

連絡員「ぐっぉあ……ッふざけるな化物! 私のカらダニ何をした!? ぅぐぁ」ゾルルル

DPS『心臓を喰って代わりを立てた』

DPS『訂正する、手術は順調だ 今の次点でちゃんと もう既に血液を巡らすだけじゃ生きられない体になってる』

連絡員「や――やめ やめろ! やめろッ!!」

DPS『目的と言ったな。至極単純だ 我が食友 主 召喚術師の手配を疾く取り下げろ』

連絡員「ある ジだと…… やはりッ……」

DPS『断じて違うと今言ったァ』ズロロロルルロロロ

連絡員「……っッぁあがッッ」ズギィッ

DPS『繊細な作業なんだ迂闊な返事で気を散らすな あと一回だけ喋っていいぞ』

連絡員「ごォ…… どわ る ッ……」
DPS『ぐぐぐぐぐ!』laugh

DPS『……ならずっとこのままだ 生命維持は得意なんだ ゆっくり喰ってやる』

DPS『減ったら外で喰った肉を付け足して喰い続けてやる 鼠でもゴキブリでもタンパク質からなら即作れる』

DPS『オレが生きる限りの余生を 腸壁にこびりついた糞にもなれない生きた食べ滓として過ごさせてやるぞ』

連絡員「………… ……………… ……」

DPS『……あ いや そうしよう それがいい! 手配なんかどうでもいいや』

連絡員「…………なん……」

DPS『これが非常食という概念なんだな? いいじゃないか! そうと決まればとっとと……』

連絡員「…………ま……待て……」



DPS『どうした 備蓄腸内菌? いや勘違いしないでくれ 誉め言葉だ』

連絡員「分かった…………分かった 取り下げる ぅグ 手配を取り下げる! ぐぅぉ」

DPS『……は? なんだと?』

連絡員「ッ……取り下げると言っている! 今すぐこれをやめろぉぉ!! あぁアあ゛ッかっ」

DPS『何故だ? いい案だろう 考え直せ』

連絡員「ふざけるなぁぁあああッ!!!」

DPS『ふざけてなど……オレは大真面目にッ――』


ゴォォォォォアアアアアアアアアアアアアッッ


DPS『くッ いいところで……』

連絡員「!? ぎィああああ!! 熱い! 熱いィぃ!!」link

DPS『今体を焼かれた 喰われて血肉にならんとする以上お前はオレになる、オレの得はお前の得になるんだ!』

DPS『いいか終わるまでに考え直せよ まだ希望はある』

連絡員「やめろ! やめろ! やめろぉおお出せええええぇぇぇぇぇぇええ」



ダセエエエエエエエエエコココラダセエエエエエェエエエサモナアアアアアアアアアアアア


術師「はいはい聞こえてるよ 面白い腹の虫だな? お前」

DPS「腸内虫だ 求めに応じて食料となる 無限に」

術師「カタツムリにしては殻が見当たらねーが」

DPS「カルシウムが足りないんだよ 分かるだろう お前のを寄越せ」lick lips

術師「ほざけ カラスに啄まれる前に消毒してやるよ」

術師「私の召喚獣がな」


WPS「………………」


「召喚魔法の教授だ! あの小さいのはなんだ?」

「白いスライム……小さいな 勝てるのか」


術師「勝てるさ なあ? ギャラリーが不安がってる 気を利かせてやれ 何か芸でも」

WPS「……ミルクでも噴けと? 色々飲まされ過ぎてもたれてるんだよ 取引と言うから何かと思えば」

WPS「下らん 実に下らん茶番だ」

術師「じゃーやめるか お前を野に返して私が自分でやっても一向に構わん そしてお前は用済みになる」

WPS「あの送還先のどこが野だ 火口だろうが 火山の……」

術師「さっさとやれ」

WPS「条件 忘れるなよ」SplitSplitSplit



DPS「? なんだお前は 誰だ 別たれた仲間じゃないな」

WPS's「「違う 召喚師が街道で割った核から枝分かれして再生したんだからな」」

WPS's「「記憶に無いのは道理だが、まあ仲間だ お前はオレだ 数時間前の」」

DPS「何を言ってる お前が喰われてオレになるんだッ!」ズロロロロ

WPS's「「それも違う」」Bite

DPS「はっ お前もあの蛇のようにオレに食事で挑むのか!?」

BiteBiteBiteBiteBite

DPS「バカめ、逆に喰い殺して――」

ドクン ドクン ドクン ドクン……

DPS「――これは 何を…… !? 色がッ……」

WPS「薄くなってるな」

DPS「喰い付かれた箇所が痺れて……何をッ……」

WPS「だから 美白の為にもたれているんだ」
WPS「少し肩代わりしてくれ 注入希釈したところから食べてやるから痛くない」eat

WPS「ちょっとした麻酔さ ミルク、チーズ、ヨーグルト、生クリーム……」
WPS「砂糖、塩、重曹、バラムツ、石鹸、漂白剤、ワックス、蝋燭、大理石、風呂の泡、暖炉の灰 あとなんだったか」EatEat

DPS「ぅ……がぁああああッ 離れろ! オレを喰うなッ!」FRAME BLEATH

WPS「お前もオレになれ 分かってるだろ」BUBBLE BLEATH

DPS「やめろ やめ…………」MeltMeltMeltMelt




術師「腹一杯か」

WPS「満腹はない 何でも取り込むオレの核は常に空腹を訴えている」

術師「まるで使役されてるようだな 自分の一部なのに」

WPS「オレは寝なくていいし繁殖する必要もない お前達程使役されちゃあいない」

術師「ヘドロが」

WPS「白くしただろう」

術師「鳥の糞め」

WPS「お前を一番糞にしてやろうか?」


粘液骸「」ピク ピク


術師「あれか」

WPS「そうだ 腕が見えてるだろ」

術師「引っ張り上げろと 演出の妙だな」



グイ ズボッ


連絡員「……はぁ……はぁ……はぁ……」ズギン ズギン

術師「……生存者がいた! 誰か救急を呼んでくれ 衰弱している」

「呼んだわ、今来てる! 流石教授ね ありがとう!」

「こっちの白衣も助かりそうだ! 火傷があれだがブレスの爆発で放り出されて失神しとるだけみたいだのう」

「あ 警察来たぜ おーい、こっちだこっち……」


連絡員「…………貴、様……」

術師「喋るな 首を振るだけでいい」
術師「おい どうだ」

WPS「ペースメーカーはお気に召したか? 制御の引き継ぎは良好だ」

連絡員「……! 同じスライム なのか」ハァー ハァー

術師「こっちの要求は分かってるな? あんたの方はそれだけでいい」

連絡員「……ッ……」

術師「もう一つ交渉がある そいつだ」

連絡員「スライム……の 死体 が どうしたというのだ……」

術師「核だけ残させた あんたにやる 食欲に任せて急激に成長した濃縮暗黒物質だ」

術師「単なるサンプルとしてのみならず 人造生物研究への応用は計り知れん」

術師「あのままではじき再生するから、希釈――濃縮還元するといい 自我はもうない」

連絡員「………………」

術師「代わりに――」



「教授、教授! 来ましたよ! こっちだお巡りさん!」

熱血警官「……居た! 居たぞ!」
平警官「あー ったく……」

ジャキッ

熱血警官「動くな! 召喚獣を送還しろ! 両手は頭の上、膝をつけ!」

平警官「Mr.サモナー 貴方には一連の生物兵器テロ首謀者の容疑がかかってます ご同行を」

熱血警官「抵抗するなよ 早くしろ!」

平警官「バカ空気読めって……」


「はぁ? 教授が何したってんだよ 見りゃ分かんだろ!」

「教授が来てあのヘドロ野郎を殺ってくんなきゃ被害もっとヤバかったのよ 何がテロよバーカ!」

「あんたら何にもできへんかったやろ ワイ見とったやで、見事な妖怪捌きやったわ」


術師「(妖怪?)」

熱血警官「邪魔をしないで下さいみなさん! 重要参考人です、公務執行妨害では済みませんよ! どいて!」

平警官「すいませんねこいつ典型的なアレでして こっちも仕事ですんでとりあえず来て貰えます?」

術師「ちょっと待ってくれ こいつを誰かに任せなきゃならん」

連絡員「…………」

術師「……危険な状態だ 一刻を争う すぐに死ぬかも、案外コロッと……」

ズギッ

WPS「大丈夫か 助かるといいな」

連絡員「…………くそ」


熱血警官「そちらの方はこちらで保護しましょう あなたは早く――」

連絡員「待て ……手配は誤解だ」

熱血警官「それはこちらで判断します お気持ちは分かりますが」

連絡員「その判断を下す直接の一助となるのが我々の仕事でな…… Mr.サモナー 上着のポケットを」

術師「……手帳か」ゴソ

熱血警官「?」
平警官「!」

連絡員「帝国情報局の上級騎士だ 今回のテロについては局の方でも調査していた」

連絡員「彼は首謀者ではない。私が保証する」

術師「これはこれは……」

連絡員「……事件の収拾に当たり人手がいる 追って正式な手続きを踏ませるから、一先ず人払いと現場の保存を頼みたい」

連絡員「最寄りの詰所は? 電話を貸して、欲 ぅ ゴボッ」ビチャ

平警官「大丈夫ですか!? スライム吐くなんて 体の中にまで……」

WPS「ぐぐぐぐ」ニタニタ

連絡員「……ッ……とにかく報告が先だ 頼む」ゴホゴホ

熱血警官「車を取ってきます!」ダッ

平警官「…… あっ おいお前カギ持ってんの俺だろ! 待てオイ、あーったく」

平警官「俺は分かってましたよ教授! 大変失礼しました、では!」ダッ


術師「スライム核は手切れ金だ 私に構うな」

連絡員「……心臓はどうなる」

WPS「もう自前の物は無い 完全に同化している ぐぐぐ」

WPS「その肉片で、お前のやっていることは見えているし聞こえている 血管という血管に栓をされたくなければ精々気を付けろ」

連絡員「く……」

術師「人造生物の研究ね 皇帝陛下がご病気なのと関係があるのかな?」

連絡員「…………覚えていろよ 召喚術師……!」

術師「いいや忘れよう お互いのためだ」




術師「……」

WPS「終わったぞ」

術師「……心配するな…… 帝国では制度として――ましてや魔物相手になぞ採用されてねーが」

術師「約束は守ろう お前を召喚獣として使役してやる…… 共和国のやり方だ」

WPS「?」

術師「犯罪者を被害者より丁重に扱う まさに今回向けだろ なに女神は塞いでるんだ人かどうかなんて気にせん 平等平等」

術師「分かったら潜めてる分身を戻せ」

WPS「…………ぐぐ 何故?」

術師「私ならそうする もっとも既に掃除させてるから戻せないやも知れんが」

術師「いやまず無理だな 食欲だけじゃ手に余る」

WPS「ぐぐ ぐぐぐぐ……」

術師「分かりにくいから聞くが、それは笑ってるんだよな?」

WPS「勿論。オレはあんたを気に入ったぞサモナー 強いし 食い物の趣味も合うようだしな ぐぐぐぐ」

WPS「逆らえん間寝首は掻かん 食い散らかすのもやめよう 一ヶ月に一回の"給与"と引き換えに」

術師「……よろしい 早速だが大物二匹の同時召喚は非常に魔力を食う 食った」

術師「今日はもう別荘に帰ってハウスキーパーと仲良くしていてくれ あいつは喰うなよ」release

WPS「人型の人外はもう喰わないよ ほんの冗談だろう ぐぐぐぐ……」バリバリバリバリ

術師「そうかい」



術師「……」

術師「…………代わりは 務まらんだろうな」

術師「面白い生物だがつまらなさそうだ ペット どちらかと言えば」

術師「…………ふう」



術師「なあ」

野次馬「おっと……教授さんありがとう 何だい?」

術師「近場に電話が置いてあるところを知らないか」

野次馬「近いとこならそこの食堂かな 小銭はある?」

術師「ある どうも」

野次馬「いいって ヒーロー」


ガチャ チリンチリーン


店主「おうおうおう先生! 食堂の窓からカウンターに隠れて見てましたよ 流石ですなあ!」

客1「嘘つけボケ! このクソオヤジ、騒ぎで俺らが店の奥に行こうとしたら鍵かけて引きこもりやがったんだぜ!」

客2「潰れちまえこんな店ー! 明日から来てやんねーぞバカ」

店主「じゃあツケ分今ここで払うか? 時給換算でも都合明後日まで洗い場で皿ラスカることになるが」

客2「ケッ ビールだビール飲み直し! こうなりゃ朝までだ」

店主「先生もどうです? 一杯ならツケなんて言いませんよ」

術師「いやいい ありがとう 電話を使いたいんだが」

店主「ええどうぞどうぞ そっちです」

術師「…………私だ 総長を頼む……そうか ありがとう」ガチャ

術師「早上がりとはな 家に居ればいいが……」ジーコジーコ





半鳥「うわ、凄い人集り…… スライムはどこ?」

ドリアード「上からじゃ分からないわね 下ろすわ」landing


半鳥「あのすいません スライムが出たって聞いたんですけどっ……」

野次馬「ん? おお、君は召喚教授の助手さんじゃないか それにそっちは!」

ドリアード「い゛ この反応は……」

野次馬「森林アイドルのドリアードちゃんじゃないか! 俺君のファンなんだ! ブロマイド良かったよ、今度雑誌に載るんだろ? 絶対買うから!」

ドリアード「悪化してるし…… 何森林アイドルって 何ブロマイドって 何 雑誌って何? 私そんなの知らないんだけど」

野次馬「それにしても凄いよなブラウン教授は、プロデュースの才能もあるなんてなぁ」

ドリアード「ハーフィ 急用を思い出したから一旦帰るわ 大丈夫よあの売女を殺してすぐ戻ってくるから」pray STORM

半鳥「…………程々にね…… それであの、スライムは?」

野次馬「スライム? ああ 教授がぶっ潰したよ 颯爽と現れてね!」

半鳥「え マジで……流石教授……」

野次馬「倒した後偉い人? と警官とやり取りしたらすぐ食堂に入ってったよ そこの」

半鳥「なんだぁ、杞憂かあ……ありがとうございました」

半鳥「あそこね…………えーと ごめんください……あ、いた 教授――」


術師「……そういう訳ですので 私は暇を頂きます」

術師「研究室が邪魔なようなら片付けてくれても構いませんよ 誰も使いませんしね 暫くは」


半鳥「…………え?」




術師「派手に改築してありますが、部屋の新しい備え付けと思えば……」

術師「……ああ待った 接続を変えないと…… やっぱり片付けますので触らないでください 危険ですから」

術師「責任? 違います そういうものを何とも思わない人間だからこそ誘ったんでしょう大学に」

術師「Jの奴にはくたばれと伝えておいてください、お前のせいで萎えたと」

術師「ええ はい それでは――」


ドゴォォッ

術師「ごッふ――!?」


半鳥「……教授っ! どうして なんで大学辞めちゃうの!?」tackle

店主「ヒューヒュー」
客「いやあれハグの勢いじゃねーよ 入口から飛んでたろ 飛ぶ前フライングクロスチョップの構えだったじゃん」


術師「……………………あー」

半鳥「教授のせいじゃないよ! テロとか絶対違うじゃん、勝手に言ってるだけでしょ!」

半鳥「責任なんかないよ そんなの 被害者のこととかだって何とも思ってないんでしょ!? いつも通り!」ギュゥゥ

術師「痛い ハーフィ痛い 今ので腰逝った」

半鳥「私まだ教授に教えて貰いたいこといっぱいあるもん! 陣に違う触媒落としちゃったり ランダム召喚も使いこなせなかったし 他にもまだいっぱいあるんでしょ何か!」ギゥゥゥ

半鳥「っ……捕まえに来る言っても分かんない警察なんか全員殺せばいいじゃん! 代えなんていくらでも効くんだから 十人や百人くらい何」ギギギギ

半鳥「…………そーだよ……私にだって一区画水浸しにできたんだもん 教授にならできるよ」
半鳥「ねえリヴァイアサン喚ぼう? こんな街津波で流しちゃおう? 一生懸命頑張ってるのにテロリストなんて酷いよ」ギギギギギギギギギ

半鳥「国だっていっぱいあるもん 一つくらい何よ」ミシィッ…

術師「待て ハーフィ待て 今周りに人いるから」

店主「………………」
客「………………」

術師「もしもし総長? やっぱ今のナシで じゃっ」ガチャ

術師「どうもお騒がせしました 行くぞアホ」グイー

半鳥「……え? あれ? え?」ズルズル




茶『……で、結局なんとかなったのね?』tell

術師「貧乏くじを引かせてすまなかったなブラウン 甲斐はあったということにしてくれ」

茶『あっちで説明 こっちで釈明 そっちで資料を元に論破 次はどっちかと思ったらあなたからだものサモナー』

茶『いきなりいつも遠征で使ってる飛行船をチャーターしてくれーなんて。おかげで今度船長と食事なのよ!』

術師「良かったじゃないか」

茶『よくない! あの人のクシャミ聞いたことある? いつ来るか知れないあれに怯えながらフルコースは至難の技よ!?』

術師「……ヘェックショォーイォイォイォイォイォーイってあれか うん まあ……」

茶『あのウルトラ下品なクシャミさえなければいい人なのに…… ああもう、サモナー怒ってるわ私! ちょっとだけど』

茶『この"食事に誘う"という条件で船長が私を意識してるということが分かってしまったわ 分かる?』

茶『今回の食事の結果がどうであれ 次の遠征の時ギクシャクしちゃうかも知れないじゃない!』

茶『以後デッキで黄昏て涼んでる私に「この前の店は云々」なーんて後ろから声をかけてきちゃったりなんかしちゃうんだわ……やだどーしよ ねえサモナーどーしよそーなったら!』

術師「乙女か」

茶『乙女よ!!!! 幾つになっても!!!!!!』



茶『あでも勘違いしないで 本当に仕事の付き合いとして困ってるの ほら私正直で素直だから!』

術師「…………普通に楽しめばいいだろ 無茶への礼と料理に集中してろ」

術師「つーか会食とか行かねーのお前? 魔導薬学はエロオヤジと縁無いのか」

茶『だって植物とかだもの』

術師「研究植物に手を付けた話は聞かんが」

茶『……まっ その内いい人が現れるわよ! 変わった私にぴったりの変わった人がね!』

術師「船長は選考外なのな……。楽しそうで羨ましいよ」

茶『いいでしょう! いつもは楽しい仕事だし、たまにはこんな日もあるわよね ……明日もこれ関係だけど』

茶『とにかく、まずはお疲れ様サモナー! ゆっくり休んでね!』

術師「改めて礼はするが 船長によろしく伝えてくれ」ガチャ

半鳥「終わった? 教授」なでなで
マンチカン「なーご」すりすり

術師「……」

半鳥「……」

ドリアード「……終わったの?」コト

術師「ああ キンキン声で分かったろ」

ドリアード「それはもう……私も改めて礼をしなきゃいけないから」

術師「?」



術師「淹れれたんだなコーヒー」ズズ

ドリアード「どういう意味よ…… 料理の腕を披露する機会はあったけどスープ飲めなかったのは自業自得よ」

半鳥「あれ美味しかったー また作って!」

ドリアード「ええ もちろん」ニコ

術師「……」


半鳥「……食堂出てきてからずっと無視ってんのは何でよ?」

術師「…………なんで生きてる?」

半鳥「はっ?」

術師「スライムが言っていた お前が最初のご馳走だとかなんとか」

半鳥「ああー…… ああ うん なんか言ってたね」

ドリアード「手 かじられたってあれ?」

半鳥「それだと思うよ あれが無かったらあいつあそこで野垂れ死んでたと思うし」

半鳥「みんな 死なずに済んだと思うし……」

ドリアード「ハーフィ」

術師「…………アホが そんなことを気にしてたのか」

ドリアード「(ごまかす気ね 逆に情けなくない)」

術師「機会を得てやったのはあいつだ お前のせいじゃないだろうが」

術師「よしんばお前のせいだったとしてそれがどうした? 喰ったのはあいつ、あいつを造ったのは三流研究者、喰われたのは市民の皆々様だ」

術師「私に言わせりゃ一番悪いのは市民だ 喰われるようなとこにいたのが悪い」

ドリアード「いやそれはない」

半鳥「……」

ドリアード「……そうじゃなくって」

半鳥「ううん いいよ、大丈夫」



術師「人間はそんなに色々背負えるように出来てない、こんな細いのが二本しかないんだぞ足なんか」

術師「しかもお前は鳥だろうが 軽くしなきゃ飛べなくなるぞ」

半鳥「……ぷっ」

術師「おい空気を吐くな 浮力が減る」

半鳥「……そうだね」

術師「そうだ」

半鳥「やったのはあいつ! 私のせいじゃない」

半鳥「機会を得たって私は人を喰ったりなんかしない コーヒーゼリーの作り方なんか知らない! それに 私は喰われたりしない」

半鳥「次は喰われる前にブッ殺す」

術師「その意気だ」

半鳥「……それじゃまた明日ね教授! ドリアードちゃん!」ガチャ

ドリアード「おやすみなさい」

術師「おやすみ」

半鳥「おやすみなさい!」バタン






ドリアード「……それで どういうつもり?」

術師「おお やっぱ分かるか」summon

バリバリバリバリバリバリ

WPS「早速お呼びか」

術師「いや」

WPS「ん、お前は…… 太股は最悪だったぞ 枝っ切れのような味だった」ジュルリ

ドリアード「フン 味覚だけは正常のようね」
ドリアード「細切れにして駅前に放っておけば産まれてきた下水に帰れるんじゃない 白いお酒は強いから」

術師「立ち回りは狡猾 やられたら倍返し 意識の高いハングリー精神 帝都謹製の素朴な魔導特産品だ」

ドリアード「嫌よこんなお土産 どうしてこいつを生かしたの」

術師「初めは私に罪を被せようとした奴らに一泡吹かせようと思っていただけだったんだがな」

術師「思ってたより根が深そうだったんで袖の下に肥料を撒いてやったんだ」

WPS「分身を奴らへの手土産にし、本体のオレを支配下に置いてキツめの飴と鞭にと……しかしだ」

術師「言うと思った」

WPS「何故フリだけで済ませた ? 心臓に成り代わるくらいオレにならできる、何故やらせなかった」

ドリアード「何の話?」

術師「吐かせたのさ」

ドリアード「……いいわ 分かるように話す気ないのね」

WPS「確実だった」

術師「一先ずはそこがお前の課題かな ハングリー短気とでも呼ぼうか」

WPS「……何?」ボコッ…

術師「よせ」release

WPS「なんだ 大袈裟な……」バリバリバリバリ


術師「じき分かるさ 賢いプチスライムとして大人しくしていられれば」

WPS「……ありえん」バリバリバリバリ

術師「嫌なら舌でも噛め」
術師「噛んでも無駄だがな」

バリバリバリバリバリバリバリバリ


ドリアード「改心させる気なの」

術師「いや全く 単に面白そうだと思わんか? 愉快なレベルで歪なバランスの生き物」

術師「生きる為に喰うのが手段なのに あれは喰うためなら死ぬとまで言うぞ きっと」

ドリアード「まあ 実際食欲が高じて暴れた訳だものね いい迷惑だったわ」

術師「太股がどうこうっていうのは」

ドリアード「気になる? 変態」

術師「全然。外見サバ読み過ぎてて」

kick

術師「脛はやめろ」

ドリアード「……手綱はきちんと握っていなさい」

術師「なんだ 心配してるのか?」

ドリアード「あの子はいい子だから ……久しぶりに人間と接して新鮮なのよ 単にね」

ドリアード「つまらない事で楽しみをふいにしたくないわ 貴方達はすぐに死んでしまうもの」

術師「素直に言ったらどうだ「おばあちゃんはあんた達が心配だから気を付けなさい」だろ要するに はいはい分かったよ」

ドリアード「…………対象外よ貴方は」low kick

術師「脛はやめろ もしやハーフィにタックルを教えたのお前か 腰痛なんだぞ」

ドリアード「腰が痛いのは夜寝てないからでしょう 馬鹿なこと言ってないで早くそれ飲んで寝なさい」

術師「私の研究室なんだが……」ズ

ドリアード「先に寝るわ。おやすみ」スゥ…

術師「……花瓶に差した自分の枝を魔力のストック兼寝床にしてるのか 何でもありかよ」

術師「あんまり生意気言ってるとその水コーラにするからな」

pray wind

術師「……淹れておいてこぼす奴があるか 本当にやるぞ」


術師「さて 気を使ってくれて嬉しいが私は書き物がまだあるんでな、もう少し灯りを消せないが我慢してくれ」

術師「演出重視のやり方を採ったから 私も少し忙しくなるだろうな……あーあ」カリカリ

術師「だが楽しかった お前の言う通り我々はすぐに死ぬんだ、刺激が無くちゃ生きていけねーよ……」カリカリ


スゥ……


術師「お、戻ったか 兜とサンダル便利だな」

ペルセウス「……粘液のついた骸の処分は終わった」

術師「捏造証拠の隠滅に雑魚の掃討と雑用ばかりで申し訳ない、証拠の方は急にいらなくなってな」

術師「だがお前にしか頼めない仕事だった、本当によくやってくれた。ありがとう」

ペルセウス「構わない、私の世界で私のいる場所は退屈なんだ 美人が歌ってくれてたりはするんだが」

ペルセウス「あの鳥の子は元気か」

術師「会っていくか? 多分寝てるが跳ね起きるぜ」

ペルセウス「……ならまたの機会にしておこう 力が付けば自分で喚んでくれるだろうからね」

術師「ご苦労だった」release


『……眠れないんだけど』
『今度のは何? えらいイケメンだったわね』


術師「スライムの粘液を郵便局員に付けさせていたんだ、下手人と結び付けさせるために」

術師「仲良くなったからこれ以上の証拠は邪魔になった 処分をえらいイケメンにな」

『……その人 無駄死にになったのね』

術師「そんなことはない 目の保養になったろ、紹介しようか?」

『申し分なさそうだけど遠距離ってレベルじゃなくなりそう』
『それに多分妻がいるわ』

術師「気にしないって」


『本当にどうでもいいのね 他人の生き死にが』

術師「?」

『知りたがりの虫を突き詰めた それは弊害? それとも恩恵なのかしら』

術師「不思議なことじゃない 誰に取っても自分の命は星より重い」

術師「公言しないのは星が死んだら自分も死ぬからだ 今のところは」

術師「他は砂粒」

『自虐的ね』

術師「察しのいい女は嫌いだ コーラの刑執行」

『お望みなら男の子の姿にもなれるわ 大分女の子っぽくなるけど』

術師「……面白そうだな それでハーフィ誘惑してみろよ、あいつ面食いだから違う一面が見れるかも知れんぞ」

『……………………もう寝る』

術師「今ちょっと面白そうって思っただろ? 思ったよな? え? やる時は言えよ 協力は惜しまん」

術師「人間なんてクソだ ああ楽しい……」




次は↓



 ……いい フェイト……

 私にはどうしてもあれが必要なの……ジュエルシードが……

 ……分かるわね……


「……はい」


 あまり時間はないの

 急いで頂戴 私を失望させないで……


「……はい 母さん」




某次元 帝国首都 某所
某年 某月 某日 深夜某時


「支店長。商品の点検確認と施錠、終わりました」

宝石商「ご苦労様、先に帰っていてくれ」

「支店長は?」

宝石商「もう少ししたら帰るよ。来客の予定があってね」

「こんな夜更けにですか……?」

宝石商「古馴染みなんだ」

「そうでしたか…… ではお先に失礼します」

宝石商「ああ」

宝石商「もうじき私も隠居だからね。支店長になれば、君ならこんな遅くまで拘束されることもなくなるよ」

「そんな、私なんて……」

宝石商「ははは。じゃ、おやすみ」

「……はい」


宝石商「……遅いな」

宝石商「電話ではもう少し早い時間だったんだが、何を……」


コンコン


宝石商「!」




ガチャ


宝石商「……やあ、来たか 変わっていないな」

泥棒「そういうおめえは変わったなァ 仲間売って 足洗って――」

泥棒「小綺麗になったじゃねぇか ええ 大旦那……」

宝石商「ビジネスの話だと言わなかったかい」

宝石商「それにそう だからこそアポを受けたんだ 昔の仲間の好でな」

泥棒「ふざけやがって どうせこの店の宝石も全部どっかからガメたやつなんだろうが ……いや」

泥棒「そういうクソだから今回は信用できると踏んだんだ そうだ 仕事の話だけをしようじゃねぇか」

泥棒「こいつだ」

宝石商「これは……?」




泥棒「……」

宝石商「……」鑑定

泥棒「……どうなんだ」

宝石商「……上物だ」

宝石商「とてもな ……異質な魔力も感じられる……整えられているが人の手で加工された石ではないな」

宝石商「小箱越しでなく手に取って見られればもっと分かるんだが」

泥棒「それは駄目だ」

宝石商「何故?」

泥棒「この青い菱形の宝石は呪われてる」

宝石商「何故分かる」

泥棒「こいつは突然現れた。何の拍子もなく、空間から染み出るみてぇに……本当にいきなり」

泥棒「魔法使いの前に現れたんだ。そいつは凄まじい使い手だった」

泥棒「一目見てヤバいと睨んだんだろう 凄い魔力と大袈裟な魔法陣と長い呪文を唱えて、この箱に封印したのさ」

宝石商「……伝承の類をお前が信じるとは思わなかったな」

泥棒「違う 話はまだ終わってねぇ」

泥棒「そこに通りかかったんだよ 俺がな 消耗していたから楽に手に入った」

宝石商「モットーは捨てたと」

泥棒「殺しちゃいねぇよ 何発かぶん殴っただけ」

宝石商「……」

泥棒「どうだ?」

宝石商「何が?」

泥棒「いくらで買うんだよ 決まってんだろ」





宝石商「…………」

泥棒「……おい」

宝石商「……話にならんな やはりお前の取り柄は逃げ足だけだ」

泥棒「なんだと?」

宝石商「お前の話が本当だとして……お前はバカだ 何故殺さなかった? 殺して隠さなかった」

宝石商「こんな足がつくものを買うことはできない 論外だ」

泥棒「……てめぇ……」

宝石商「……だが、石は本物のようだ 認めるよ」

宝石商「俺が捌いてやろう」

泥棒「!」

宝石商「で 取り分だが」

宝石商「お前のは無しだ」RDY GUN

泥棒「ッこの……ふざけるなチクり野郎! このクズが!」

宝石商「何とでも言え 泥棒としては三流だったからな」

宝石商「お前達のおこぼれに肖りながら必死で研鑽した結果がこの今というだけだ」

宝石商「お前の優しさと友情に免じて命だけは勘弁してやる 箱を置け」

泥棒「クソ野郎……クソったれ……!」

宝石商「自首しろ。兄弟。そうすればもう明日の飯の為に駆けずり回らなくてよくなる よくなるんだ」

宝石商「あの日も抵抗しなければ皆捕まるだけで済んだ やり直すチャンスを俺はやったんだ」

泥棒「どの口が言いやがるンだボケが! 何がチャンスだ!」

泥棒「……やっぱりてめぇはクソカス野郎だった……どうかしてたぜ……こんな野郎に……」

宝石商「よせ撃ちたくない」

泥棒「お前はもう 引き金を引いたんだよッ!」throw

宝石商「ッ 投げ――」


ガシャァァッ
ガッ ゴッ
ズギュゥーン

ピシッ



ドクン





「……ジュエルシードの気配だ」

「どこだろう この国のどこか……」

『フェイト、この世界は次元が不安定過ぎるよ 魔力素も何も酷く荒れてる……早く集めて帰ろう』

『一つ目からこんな世界だなんて ついてないよ……』

「大丈夫だよアルフ 私頑張るから」

「行こう 母さんが待ってる」

『…………』





「……くっ! ダメだ……また跳べなかった」

「なんて世界だ、次元断層と虚数空間に囲まれていて転移が繋がらない……あんなところに散らばるなんて……けど後回しになんかできない」

「最初の一つ……! 早く封印しなくちゃ……!」






泥棒「……はぁッ、はぁッ、はぁッ、はぁッ……クソッ」

泥棒「クソ野郎が……成り下がりやがって……」


宝石商「」


泥棒「そうだ宝石は……! 箱にヒビが入っただけか、良かった」

泥棒「…………あばよ クズのダチ公……銃だけいただいてくぜ……」


ガチャッ


泥棒「!?」

「支店長、今の銃声は――き、貴様! 支店長を!!」

泥棒「クソッ! こんなところで終わってたまるかよ!!」ズギューン ズギューン









車掌「申し訳ございません、当乗合は今のお客様で満員でして……」

おっさん「なんだと、じゃあ会社まで窓の外に掴まってろってのかよ! 二階席は!」

車掌「はい、二階席もです……」


半鳥「……」バサッ

『"宝石店強盗殺人事件 支店長殺害 犯人逃走中"』朝刊

半鳥「(うわぁ おっかな……見つけたら殺そう)」


おっさん「ふざけやがって……おいそこの亜人! 亜人のメスガキ! お前降りろよ!」

半鳥「……は? 私のこと?」

おっさん「他にいねーだろ 朝帰りのお前と違ってこっちは今から仕事なんだよ!」

おっさん「夜まで仕事はないんだろ? いいよな ヨがってるだけで金貰えんだから」

半鳥「車掌さん車掌さん」

車掌「は、はい 大変ご迷惑を……」

半鳥「違うよ いいから」

半鳥「ズレたら手伝って欲しいってだけ」

車掌「?」

半鳥「席譲るのをさ」summon





術師「……で、ゴーレムでボッコボコにして席に運んで放置したと」

半鳥「アッパーで席まで飛ばさせただけだよ、時間かかったら迷惑だし。死んではないよ」

術師「まあ証人がいるだろうしな 警察沙汰になってもそこまでの不安はないか」

半鳥「10:0でしょ また顔見たらリヴァイアさん喚んで髪の毛で流しソーメンやってやる」

術師「形だけでもまずは口でかかれよ 話さなきゃ分からんこともある」

半鳥「なんで私を娼婦扱いしたのか とか? 通ってるからじゃないの 死ねばいいのに」チッ

ドリアード「……段々獰猛になってきてない? ハーフィ……」

術師「お使いを頼むんじゃなかったな」

半鳥「…………ゴメン 朝から感じ悪いよね」

半鳥「うん…… ブッ飛ばしたし……泡吹いて漏らしてんの見たからスッキリした。もう忘れる。はい! 忘れた!」

術師「鳥頭……」

半鳥「一日中グチグチ言ってた方がいいの? はいこれ備品ね」ドサ

術師「ん メモ通り」

ドリアード「……インク、羊皮紙、チョーク、スクロールに、銃弾……のバラしたやつ? 妙な買い物ね」

ドリアード「わざわざ早朝に買わなくても」

術師「弾以外どれも召喚用品だ 老舗の魔導雑貨屋は一日中開いてるから、欲しい時に行けるんだよ」

ドリアード「行ったの貴方じゃないでしょう……」

術師「これも修行よ修行」

半鳥「まあ、いいとこだったよ 店の人優しいし、色んな物あったし。普通にまた行きたいかな。……正直時間だけは納得いかないけど」

術師「変なのに絡まれない時間なんだよ」

ドリアード「変なの ねぇ」





術師「ところで新聞は頼んでないが」

半鳥「あ それ私の」

ドリアード「大衆紙なんか読んでるの」ペラ

半鳥「元々字の勉強目当てだったからね 触りだけ分かればいいし内容は気にしてないよ」

術師「……宝石店強盗? 単独でか 余程自信があったんだろうな」

ドリアード「……随分でかでかと書き立てるのね……ふうん……」ペラ

術師「人は毎日多くのことを忘れる その内の一つにならないように頑張ってるのさ」

ドリアード「…………」ペラ

半鳥「新聞取られちゃった」

術師「足元に猫助が行ってるのに撫でもしないとは ほっといてやろう」

半鳥「ていうか今の決め台詞っぽいの何? 超クサかった」

術師「引用だ、そういう台詞があるんだよ。はい! 忘れろ!」


術師「今日の実験はお前の案だ 数重ねなきゃだろうから根気がいる、集中しろよ」

半鳥「実験っつーか工作だけどね これ好きだから大丈夫 頑張る」

術師「ならいい 言っとくが次はマッサージとリップサービスじゃ済まないからな」

半鳥「どういう意味ぃ~?」

術師「十年早いわアホ」

術師「……それじゃ、もうそろそろいい時間だし攻性魔法の研究室から色々物を借りてくる のと ついでに一仕事片付けてくるから」つ鞄 

術師「……流石に重いな…… とりあえず弾頭の方だけ始めてててくれ」

半鳥「あー 下準備めんどいからって逃げたな」

術師「行ってきまーす」ガチャ バタン

半鳥「ええい…… 猫実と蛇子だけだよ私の癒しはー」モフモフスベスベ

マンチカン「にぃ」
髪蛇「シュー……」

半鳥「……」スー…

ドリアード「……ハーフィ悪いんだけど今触らないで 読んでるから」ぱし

半鳥「ほらねー! 二人とも膝おいで!」ぎゅむー

マンチカン「に゛ぃ」hold
髪蛇「……」escape






ガチャ


古物商「おお、お待ちしており……む? 君は誰だね」

少年「お待ちしておりましたと言おうとしたのですか? 困りましたな、では奴はまだ」

古物商「……灰髪の少年、すまないが大事な商談があるんだ」

少年「把握しております。それでは貴方から先にこちらを。書面にサインをお願いしますね」さっさ

少年「失礼ながら多忙の身です故、今日はこれでもう失礼致します。では」ガチャバタン

古物商「いや、ちょっと待っ…… 行ってしまったか」

コンコン ガチャ

術師「……お待たせして申し訳ありません、只今……ん?」

古物商「サモナー殿。いえ、こちらこそご多忙の中お声かけいただきましてありがとうございます」

古物商「この度は――」

術師「ああ ああ 前置きはその辺でいい なんだ入れ違いか、相変わらず忙しない……」

古物商「……」

術師「失礼 書類は? ある よし早速話に入ろう」ドサ

古物商「……はい と言ってもすぐに済むと思いますが」

術師「こちらでは単なる触媒として使うにとどまっていたが これに関しては単なる付呪品の類と一緒くたにされたくないそうでね」ゴソゴソ



術師「まずはそう…… 見ての通り形状はただの日記だ かなり古びた」

古物商「すると保管環境は古書類と同じような?」

術師「この革帯型の封印が無事なら多少朽ちようが破けようが問題ない その辺りは任せる」

術師「大事なのは封印だ これは恒久的に魔力やそれに類する超常的エネルギーを――」

術師「仕掛けた対象から吸い取って空気中へ発散させる仕組みになっている うちの付呪魔法教授謹製だ」

古物商「存じ上げております 対魔法犯罪者向けの拘束具を発明された……」

術師「そう、そのインテリドワーフ作だ 中を読んでもいいがこれだけは絶対に外さないようにしてくれ」

古物商「至難の技ですな」ハハハ

術師「いやまあ つまり」パラリ

古物商「ちょっ」

術師「こうして帯の一部でも接していれば問題ないということだ」パラパラ

古物商「…………肝を潰しかけましたよ 勘弁して下さい」

術師「危険性は伝わってるようで安心した まず一つ」

古物商「こういう物に以前 痛い目に遭わされましたから……」

術師「それはまた」resealing

古物商「……帯に細心の注意を払うと 他には?」

術師「取扱いは以上 あ 中身は聞いてるのか」

古物商「恐ろしい怨霊 だと……」

術師「そう 力は殆ど頂いたからこの状態で一先ずは安全だと思う」

古物商「日記というからには……読めませんが この これが書き手の名前」

術師「これだ 東方の島国で使われている文字に似ているが、この世界の文字ではなかったからな 解読には成功した」

術師「カヤコだ ヤバくなったら目を見て名前を呼んで お友達になればいい」

古物商「ははは……」

術師「それじゃ 小切手を」






泥棒「…………う…… 眠ってたのか」

泥棒「家に寄って 酒を煽って……それからどうしたっけか クソ 頭痛ぇ……」

泥棒「小箱はちゃんとあるな……捌けなきゃただの石だぞ」

泥棒「故買屋はそんなに多くねぇしな……ここどこだよ……」

乞食「……」

泥棒「……ああ? 何見てんだ若造! ぶっ殺されてぇのか!?」チャキッ

乞食「……」ダッ

泥棒「そうだ! てめぇみてーな小汚ぇボケは一生そうやって薄汚くしてりゃあいいんだよ! ボケ! ボォーケ!!」




刑事「で こいつはチクる決心をしたんだとよ」ドガッ

泥棒「げぶっ……」

乞食「おい……おい、ちゃんと教えたぜ 後尾けて確かめてまでよォ 金をくれよォ」

刑事「待ってな 腹減ってんなら車の後ろに昼用のハンバーガーあっからそれとりあえず食ってろ」

乞食「旦那! あ ありがてぇ」ガチャ ムシャモグ

刑事「コーヒーもあるぞ 座席は汚すな捜査車両だから! おい聞いてんのか? ……さァてと」

泥棒「くたばれ――」draw GUN…

刑事「あ? 大人しくしろよ 死にてェのか爺さん危ねえな」disarm

刑事「根性と気合いは拍手モンだがそのすっトロさじゃな 引退だよ 手錠すんだから伏せろって大人しくしな」StompStompStomp

泥棒「ち くしょォが……」ボロッ

乞食「ムシャムシャモグモグバリバリズルズルゴクゴククチャクチャバクバクズビズヒゴクン ……ッ旦那流石っすねぇ! お会いしたの初めてっすけど俺感服しましたっすよォ!」

乞食「他のデカじゃ多分協力させるだけしてゴミ扱いっすけど、ちゃんと報酬くれるんすもん! 器が違うんすね!」

刑事「お前も俺の情報屋になるか? この辺りの奴らはまだ少ねぇ、気ィ向いたらこっそりとよろしく頼むぜ」チャリン

乞食「はい! んじゃまた!」ダッ

刑事「(スラムとはいえ往来でふん縛っといてこっそりもクソもねぇけどな)」ガチャリ

刑事「支店長殿ご自慢のピストルも押収と……共和国の銃は変わってんな すぐ壊れそうだ」

刑事「他には……」

乞食「……! そいつに触るんじゃねぇッ!」ジタバタ

刑事「うるせぇっつってんだろジジィ」ゴス

刑事「……宝石? 盗まれた物は無いって話だったが……」

乞食「返せ! 返せ! そいつは俺のだ!!」

刑事「そうだな。でも今からは警察のだ 悪く思うなよ」ヒョイ

乞食「ぐがぁぁ……ッ……かァえせぇぇええええッ!! 返せぇええ!!」

刑事「車の窓開けて運ばないとな……」



ドクン






刑事「……?」

泥棒「返せってんだァ!!」

刑事「今こいつ 脈打ったような……」


「……見つけた」


《Scythe slash》

刑事「!」バッ

ズシャアッ

刑事「あッぶねぇ……何モンだ!」RDY GUN


黒衣の少女「……」


刑事「……随分キまった格好をしてるなお嬢ちゃん おい あんたの孫娘か?」

泥棒「し……知らねぇ 俺は独り身だ こんなメスガキは知らん」

刑事「だろうな」

泥棒「俺は独り身だ 独り身なんだ……」

黒衣の少女「バルディッシュ」
斧槍《Device from, set up》

刑事「だがやる気は満々らしい」

斧槍《Photon lancer, get set》

刑事「うるせぇな 何語だよ!」BANG BANG

黒衣の少女「……」shield

刑事「ちっ 車の裏だ!」グイッ
泥棒「ぬおっ」

斧槍《Full auto fire》バシュッ

泥棒「うああああっクソッ!」ズガガガガガガガ

刑事「落ち着け 捜査車両は防弾装甲・対魔付呪が基本だ いいから中にいろ」ガガガガガガガガ



刑事「(あの喋る杖で攻撃、自身は即応のシールド魔法で防御と 手慣れてやがんな)」

刑事「(鳥の小娘より一二回りは下だろうに直接攻撃にも全く躊躇が無かった なんだこの子は……)」

「余所見かい?」

刑事「あァ?」

ドゴォッ

犬女「やるじゃないか」knuckle

刑事「亜人の姉ちゃん まだ若いがその歳なら分別はついてるよな」guard

刑事「知ってるか? 子供に手を染めさせるのはこの国じゃ重罪なのだぜ」kick and fire

犬女「……どこでもそうだよ」shield

バチィッ ズザッ

黒衣の少女「アルフ 大丈夫?」

犬女「私は平気だよ ジュエルシードは車の中だね」

黒衣の少女「あのお爺さんが持っているみたい」

刑事「ジュエルシード?」


ドルルン ドルルゥン


刑事「! てめぇどうやって」

泥棒「どけェ ポリ公ォ!!」ベタ踏み

ギャルルルル ドガァァッ

刑事「つゥッ――轢き逃げも追加だな くそったれ」BANGBANGBANG

泥棒「うおおお!!」tire burst

ゴオオォォ…

斧槍《order?》
黒衣の少女「追うよ。アルフ」

犬女「こっちは任せといて!」

黒衣の少女「ううん ジュエルシードを追って」

犬女「? ……分かった」バッ

刑事「逃がすかよ!」ギシ
刑事「ッ んだこれっ……!」bind


バヂバヂバヂバヂバヂバヂ


黒衣の少女「……」ジャキッ

刑事「おいおい――」

刑事「(殺戮マシーンかよ こんなのを擁してる組織がいたのか? あの宝石はなんだってんだ……)」

刑事「お前 何なんだ……」pray regeneration


黒衣の少女「ごめんね」

刑事「謝んならよせッ――」


斧槍《Thunder smasher》






乞食「……ァ! 旦那! 旦那ァ! しっかりしろよォ!」

刑事「……炭にはならずに済んだか…………いッてぇな クソ……」healing

乞食「いや殆ど炭だったよ すぐ治ってったけど……」

刑事「脳と心臓が止まってなきゃ治癒か再生が使えっからな ヤバかったぜ」

刑事「しかしあいつ 車にピッキングかましやがったのか? 鍵はちゃんと抜いてた」

乞食「あの爺さん鍵開けは達人だからな 魔導車も出来たのは知らねーかったけど」

刑事「……とりあえず報告に戻らねぇとな 手配者追加だ 背後関係も洗わなきゃならなくなった」

刑事「機動隊の要請もいる 普通の装備に人員じゃ勝てねぇ」

乞食「じゃあ 今回は独断行動ナシでやるんすか」

刑事「ホントに俺をよく知ってんだな もう誰かのネズミなのか?」

乞食「いやいやいやいえいえいえそォんなァ ハングリーなだけっすよォ」

刑事「ハングリーは嫌いだ」

乞食「えっ?」

刑事「何でもねぇ ま 俺のスタンスは変わらんとだけ言っとこう」

刑事「要するにお巡りさんらしからぬ戦力がいるってだけの話だ」




ブロロロ……


後輩警官「先輩、今日から復帰ですね。もう体はいいんですか?」driver

警官1「おう。何でか復活した体も全く問題ねぇし絶好調よ 今度表彰もされちゃうんだぜ」co-driver

後輩警官「身を呈して情報源守ったんですもんね しかもホームレスなんかを! なかなかできることじゃないですよ」

警官1「たまたまだよ」

後輩警官「またまた パトロール中暇ですからその辺詳しく聞かせてください」

警官1「いや悪ぃ 実はスライム事件唯一の生存者ってことで自伝にしないかって話が来ててさぁ~ 言いふらせなくなっちまってんだわ」

後輩警官「いいなぁ副業……あれ? なんですかあの魔導車 凄ぇスピード」

警官1「待て ありゃ警察車両だ」


ゴオオォォォォォォォ

泥棒「ちッ スラムを出ちまったか…… あいつは?」

橙犬「人通りが多いところだ 手こずらせてくれるね……!」galop run

泥棒「クソのイヌアマが! タンクの魔力も少ねぇ どうするか……ッ」ギャギャギャギャ


警官1「行け行け 鳴らして」

後輩警官「はいッ!」ファンファンファン

警官1「あれは魔物か? 運転手はどう見ても警官じゃねぇな 〈そこの魔導車 止まりなさい!〉」拡声

後輩警官「魔物は轢きますか?」

警官1「後ろ付いとけ」

警官1〈パンクしてんだろ 止まれボケ! 人轢く前に止まれ!!〉

橙犬「くっ、狙いはこれか……」

泥棒「税金泥棒共が群がりやがって るせぇんだよ!!」BLAMBLAMBLAM

橙犬「今だ!」バッ

泥棒「飛び付きやがったのか!? 降りろ!! うおおああ!」zigzag


ガシャァ パリィン
ザリザリザリザリザリ
ドゴシャッ

街頭「ぎにゃああああ!!」break

子供「ぁッ――」run over

「暴走車だ!! 銃撃ってんぞ!」
「子供が轢かれた 足が潰れてる!」
「うわあああふざけんな歩道は広くねーよ!!」


後輩警官「あの野郎何考えてんだ!」

警官1「"2号車より本部へ 暴走車を発見 応援要請 探知魔法で位置確認願います――」police radio

警官1「轢き逃げ 器物破損等被害甚大 現在追跡中 どうぞ" 離されるなよ」

後輩警官「はい!」ブロロロロロ

『"了解 付近の車両を急行させる どうぞ"』

警官1「"了解 追跡続行します 以上"あークソ 表彰取り消しかな」



ファンファンファンファン ファンファンファンファン


橙犬「ガルルルルルルルル!」bite arm

泥棒「腕がッ……離れやがれこの犬!! 俺には金が必要なんだよ!!!」
泥棒「う ぐ ぉぉおおおお!!」turn right

ブチィッ

橙犬「!!」ズザァァァ

泥棒「そのまま犬挽き肉になれよ ぐッ」

泥棒「! しまった 曲がり切れ――」


CRAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAASH



キィッ キキィッ

「"1号車現場到着 どうぞ"」
「"4号車合流 確認した どうぞ"」

警官2「来たぜ あれか!?」ジャキッ

警官1「どっかの間抜けポリスからぶん取った車で爆走して壁ドン あのワンコに追われてたよーに見えた」

警官1「見ろ 実際腕食いちぎってやがる お友達って感じじゃあねえだろ」

橙犬「……」ペッ

橙犬「(次から次へと……銃撃は威力こそ無いけど数が多すぎる ジリ貧だ……)」
橙犬「(おまけにこの世界の粘つくみたいな嫌な魔力! やりにくいったらありゃしない)」チラ

泥棒「ぅ……ぐ……」

橙犬「(逃がす心配はない 速攻でいく!)」

橙犬「悪いねぇお兄さん達」metamorphose

犬女「邪魔するならタダじゃおかないよ あの石を渡す訳にはいかないんだ」

警官1「変身した お前魔人か」

後輩警官「抵抗するな 地面に伏せろ!」

犬女「伏せるのはそっちだよッ!」





泥棒「ぁあ…… ハァ ハァ ハァ……」ハァー ハァー

泥棒「…………ダメだ…… ダメだ」

泥棒「寝るなッ……寝るんじゃねえ……こんなもん…………」

泥棒「痛くも痒くもねぇ ……決めたろ……しっかりしやがれ……」ググ

泥棒「……起きろ 起きろ起きろ…… 一ヵ所ダメだったからなんだ あの野郎は 駄目元だったろ」

泥棒「寝るなぁ……」

泥棒「起きろぉッ……」

泥棒「おおおおッ……!」


ドクン


泥棒「……あ?」

泥棒「? ……!!」


カッ





犬女「……! まずいッ!」

後輩警官「何の光!?」

バゴォッ


ジュエル・シーフ「………………」


警官1「今度はなんだ…… あの暴走野郎も変身したのか こっちは宝石の化物かよ」

警官2「ドアをぶち破ったぞ 魔法犯罪者だ、おいショットガンに対魔鎮圧弾!」

JT「……宝石の腕が生えて……それに 傷もなんともねえ 鎧みてえに……」

JT「こんなに体軽ぃのは何十年振りだ…… これなら逃げられる!」

警官1「仕方ねえ 女ごと……」

chain bind

警官1「うぉっ!」ジャララララ ギシィッ
警官2「鎖ッ? 拘束魔法か! おい隠れろ!」ドサッ

後輩警官「援護します!!」BANGBANG

犬女「頭数を!」shield and
犬女「減らすッ!」Photon Lancer Multishot

後輩警官「な 魔力弾――」

ズドドドドドドドドドドドドドドドド

警官1「炸裂させやがっ……おい 無事か!」

犬女「自分の心配をするんだね!」draw and throw

警官2「がはッ……」ドガシャアッ

犬女「あんたも!」chain bind more

JT「……魔法の鎖だァ?」grip

犬女「くっ、なんて力……」ギギギギ

JT「邪魔なんだよォあ!」バギィン

犬女「(バインドを力で!? これがジュエルシードの影響かっ……)」

JT「失せろ雌犬!!」Photon Bullet

犬女「ちっ!」shield

JT「おらおらおらおらおら!!」BulletBulletBulletBulletBullet

犬女「初級のだけど射撃魔法まで 埒が明かないじゃないかッ……!」shieeeeeld

Photon Lancer

犬女「!」

JT「あァ? 何だ!」resist

黒衣の少女「アルフ」

犬女「フェイト! さっきの男は?」

黒衣の少女「終わったよ」

犬女「(……)」
犬女「ジュエルシードはあの爺サンが取り込んだ」

黒衣の少女「分かった サポートお願い」
斧槍《Scythe form, Arc Saber》

犬女「オッケー!」

JT「俺は生き残るんだ……金を……」

JT「宝石を売るんだよ! 金がいるんだ! 消えろッ!!」

しかしフェイトて子供バージョン何ですね、ハラオウンの性を名乗ってるならハラオウン家の養子になった後だからてっきり大人バージョンで来るものと予想してました

>>233
二期以降はアルフの出番が減る上にロリ化しやがると聞いたので継続視聴の予定はありません




ジリリリリリリン

術師「コーヒー美味しいねぇドリアードさん」ゴクゴク

ドリアード「そうねぇ もう片方の手でクッキー食べちゃってるから受話器汚れちゃうものねぇ」モグモグ

半鳥「じゃあマグ置けばいいでしょーが! まったくもう作業中だっつーのに二人して」ガチャ

半鳥「はい召喚魔法研究室です! ……え? あ、分かりました。教授外からだって ざまあ」はい

術師「ちっ おいクッキーとっとけよ」

ドリアード「うーん美味しい」モグモグモグモグ

術師「いいぞ! 太れ 糖分で根腐りしろ」ガチャ

術師「もしもし ああ ああ 構わないが誰からだ? 何?」

術師「分かった 大丈夫だ繋いでくれ」

半鳥「誰だったの」

術師「帝国警察の刑事だ お前達は会ったよな」

半鳥「刑事さん? ああ あのミントの効かない?」

ドリアード「ああ刑事ね あのミントの効かない」

術師「はあ?」

刑事『……もしもし?』

術師「もしもし……初めまして 先日はうちの者が世話になった その節はどうも」

刑事『こちらこそ 後処理がちょい大変だったが』

術師「なんでも ミント? が効かないとか?」

ドリアード「ぶふッ けほ ぇほっ」ケフケフ

半鳥「ねえズレると危ないから笑わせないでくんない!?」ゲラゲラ

刑事『………………電話越しでも伝わるモンなのか』

術師「何が?」

刑事『だァー んなことはいい! ちょっと厄介なことになってましてね、お力添えを頂きたいんで』


刑事『引っ括めて恐らくスライムクラスのヤバい奴が出たんだ また』

術師「機動隊はどうした? その一件で出し易くなったと聞いてる」

刑事『以前に比べりゃね それでも集団のフットワークだ お偉いさんが言う迅速じゃ遅ぇんだよ』

術師「美辞麗句に聞こえる」

刑事『聞こえる?』

術師「公的な頼みなら直接私に来るのは妙だ」

刑事『あんた分かってそうだな』

術師「ふふん」

刑事『失点を取り返すついでに署内ケツ持ちの機嫌を過不足なく取っときたい』

術師「自分で呼んだ機動隊より迅速に?」

刑事『そう迅速に』

術師「……」チラ


ドリアード「ところでこの工作機械は何?」

半鳥「ガションってやって弾作んの。ドリアードちゃんそれ取って」

ドリアード「はい このメタル化蚯蚓の環帯みたいなのは?」

半鳥「薬莢。ドリアードちゃんあれ取って」

ドリアード「はい この変な臭いのするザラッとしたのは?」

半鳥「火薬。ドリアードちゃんこれ取って」

ドリアード「はい この小さいボタンみたいなのは?」

半鳥「雷菅。ドリアードちゃん……」

ドリアード「弾丸ね?」

半鳥「は持ってるからもういいよ ありがとークッキー食べてて」

ドリアード「……どういたしまして」


術師「……話を聞こう」

刑事『決まりだな 来てくれ』

術師「どこへ」

刑事『スラムは分かるか? そこ近くの――』





JT「がああぁぁああああッッ!!」Photon BBBBBBBBBBBBBBBBullet


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

斧槍《Defencer》

黒衣の少女「(……近付けない)」

黒衣の少女「(それに)」Photon Lancer Multishot

JT「ぐぅぅおおぉぉ……ッぉぉぉおおおお!!!」ガガガガガガガガガガ

黒衣の少女「(あの宝石の外殻 硬い アークセイバーもランサーも通らなかった ……なら)」

JT「効かねェよ 降りてこい殺してやる!! 邪魔をしやがって死神のガキ!!」

橙犬「ガァァァアアゥッ!」Bite

JT「うるせぇえッ!!」Gem knuckle

橙犬「グルゥァアアッ!」Barrier Break

ピシッ

JT「この クソ…… なんだ!?」

橙犬「よしッ……」


橙犬「(((フェイト こいつの宝石の殻、バリアと似た感じみたいだ!)))」telepathy

黒衣の少女「(((破れる?)))」

橙犬「(((やってみる!)))」バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

黒衣の少女「……時間が稼げる バルディッシュ 行くよ」

斧槍《yes sir》


黒衣の少女「アルカス・クルタス・エイギアス……」chant


JT「石が 割れっ……!」バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

橙犬「そうだ! 待ってなよ 今に粉々にしてやるから!」バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

JT「ふ……ふざけんな」

JT「ふざけんなァァァアッ!!」Gem tackle

橙犬「ぐあっ!」

JT「売れなく 売れなくなる 価値が 価値が 金が ヒビ」ブツブツ

JT「そうだ……俺ァ何をやってる 宝石で戦ったりなんざしたら割れちまう ダメだ ダメだ ダメだそんなの」ブツブツブツブツ

橙犬「こいつ……」

JT「…………割ろうとしやがったな」Photon Bullet

黒衣の少女「! 疾風なりし天神……」

shield

橙犬「抑える! 集中してフェイト」

黒衣の少女「……今 導きのもと撃ちかかれ……」


バヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ


JT「……その雷の玉で 割るのか 宝石をォ……」

JT「俺の宝石をォォ……!!」

橙犬「あんたのじゃない……!」バヂバヂバヂバヂ

JT「俺のだ オレのだ おれのだ!」

JT「俺の宝石に触るなッッッッ!!!!」Photon Burst full power

橙犬「!!!」


ゴバァァァアアアアアアアアアアッ


黒衣の少女「……! アルフ!」





数十分後
同区画


「周辺の封鎖を完了しました 目撃者が多数……」
「死傷者も多数だ! いくつ家屋がぶっ壊されたと思ってる 下敷きだけで30人は下らないぞ」
「あの魔導車の辺りが特に酷い、車が爆発したんじゃないようだが 鑑識待ちだな」
「しかし警官までやるとは どんだけキれた連中なんだ……」


警官2「クソ……クソ クソ いい後輩だったのに……」

警官1「その辺にしとけ ……やれることをやるぞ」

警官2「ああ ……ああ」


刑事「よう」

警官1「! お疲れ様です」ビシ
警官2「お疲れ様です」ビシ

刑事「復帰早々かお前 大変だな」

警官1「面目ないです」

警官2「……あの車……」

警官1「おい」

刑事「そうだ俺んだ ブン取られた」

刑事「失態だな また制服に戻ったら仲良くしてくれや」

警官2「……すんません 何でもないっす すいません」

刑事「いいや」

警官1「あっちです 例の教授が先に来てます」

刑事「おう じゃまたな」





刑事「俺の名前出して現場に入ったのか?」

術師「他にどうやる もう一つ名前に肖りたいんだが」

刑事「何だよ」

術師「封鎖で交通規制が滅茶苦茶になったせいだ 切符なんとかできないか」

刑事「金あんだろ払えよ」

術師「断る 狙い撃ちしてるのは分かってるんだ」

刑事「常連のお客様でございましたか」

術師「フン」


刑事「で 勝手に入った感想は」

術師「控えめに言って 凄まじい使い手だ」

刑事「ほう」

術師「Jは知ってるな 方向性は違うが奴並みの魔法使いと見える」

術師「警官から聞いたよ 数々の攻性魔法もそうだが 常に飛行していたというのがまず一番だ」

刑事「飛行魔法の使い手は少ないからな」

術師「分かったことは色々ある が 私を呼んだのは現場検証のためじゃないんだよな」

刑事「そうだ ここは待ち合わせ場所に過ぎねぇ 電話と違うが多分こっち来ると思ってたからな」

小男「旦那 旦那!」

刑事「おっと ああこいつは俺の情報屋の一人ね」

術師「随分と小綺麗にしてるじゃないか」

小男「はは 面白ぇ兄さんだ あんた程じゃあねぇよ」

刑事「で」

小男「見付けましたぜ 例の!」

刑事「どっちだ」

小男「どっちもです」

刑事「案内しろ 行きがてに報告しながら」

術師「走るのか? タクシー捕まえようぜ奢るから」

小男「ブルジョアは違うねぇ 路地の奥でさァそんなもん邪魔邪魔」

刑事「おい! ちょっと付き合ってくれ」

警官1「えっ?」
警官2「いやだって俺ら」

刑事「やれることをやるんだろ?」

警官1「……はい」





JT「はぁ……はぁ……はぁ……ぁぁあぐ……」

ズ… ズ…

JT「……ここ……ここだ」

JT「買い取ってくれる……捌ける……奴」

JT「金……上等だとあいつは……売れる……金」

JT「待ってろ 待ってろよ……」

JT「くそ 痛みがぶり返してきやがった……ぐぅぅ」


ゴン ゴン


「……はい 開いてますが……ここは倉庫として使ってましてね 少し待ってください」

「もっと丁寧にノックしてくれると嬉しいんですがね……」

ガチャ

古物商「はい 買い取りなら店で―― ぅぐ!?」choke

JT「宝石を買い取れ」







黒衣の少女「アルフ しっかりして!」

橙犬「ごめんよ、フェイト……私は大丈夫 なんとかシールドが間に合ったから……割られちゃったけど」ハァ ハァ

橙犬「行こう……ぅっ」

黒衣の少女「アルフは休んでて 後は私がやるよ」

橙犬「もう一息なんだ あの一発で……大分魔力を使わせたからね」ハァ ハァ

橙犬「殻も脆くなってるハズ もう一回バリアブレイクをかければっ……」

黒衣の少女「…………」

橙犬「今度はしくじらないよ フェイトをファランクスシフトに集中させる……」

黒衣の少女「……分かった」

橙犬「ありがとう フェイト……」ハァ ハァ

黒衣の少女「休んで 少しでも …… 広域探索かけてくるね」

橙犬「……」ハァ ハァ


『知ってるか? 子供に手を染めさせるのはこの国じゃ重罪なのだぜ』


橙犬「……いや 何を動揺してるんだ」

橙犬「フェイトが あの鬼ババア……あの人の役に立ちたいって 頑張ってるんだ……さっさと……」

橙犬「……さっさと 全部集めればいいだけの話じゃないか 何を……」


『……どこでもそうだよ』


橙犬「……フェイト……」

橙犬「……」

橙犬「…………使い魔が 主人の決定に迷っちゃ、ダメさね……」


ド グ ン


橙犬「!!」

橙犬「(気配……! でも何だい この…… このおぞましい感じは……?)」

ダッ

黒衣の少女「アルフ 行けるっ?」

橙犬「……勿論!」



古物商「かはッ……ぎ……」ギギギギ

JT「早くしろ……」ハァ ハァ

古物商「は 放し て ください……っ!」

JT「逃がさねぇ 早くやれ 金を用意しろ」

JT「あんだろ倉庫なんだからよォ あんだろオイ! なあッ!!」

古物商「はッ……放すのが先です 放すのが……」

古物商「普通に考えれば分かるでしょうがッ…… このままなら窒息死が先 だ……!」

JT「……そうだ 拘る必要ねぇ 金を直接奪えや良かったんじゃねぇか ああ……」パッ

古物商「ゲホ ゴホ ……いいでしょう 金庫はあそこです そのけったいな腕で好きに壊せばいい……」

古物商「しかしその瞬間 中の紙幣は使えなくなる……複合魔導錠が錠前破りに反応して内側に染料を撒き散らす」

古物商「光る緑色のね…… この意味がお分かりか?」

JT「ああ……?」ハァ ハァ

古物商「貴方がどうするにせよ"これは盗んだ金です"と喧伝しながら使う羽目になる」

古物商「誰も相手にしませんよ 通報されてお終いだ……」

JT「……クソが……じゃあいい 分かった いい 売る」

JT「開けろ 金を出せよ!」

古物商「……盗品の換金ですか……」キリキリキリ

JT「黙れ 喋るんじゃねぇ ぶっ殺されてぇのかッ!? 違う いや違ぇ 俺は強盗しに来たんじゃあねぇんだよ……」

JT「盗品じゃあ……ない 歴とした俺の物だ 今持ってる」

古物商「……見せてください」open safe

JT「金が先だ!」

古物商「いいえ 先に物を見せていただきますよ」sawed-off shotgun

JT「……効くと思ってんのか そんなチャチな散弾なんざ」ハァ ハァ



古物商「この間のスライム事件でみんな縮み上がりましたからな 私も備えましたよ」

古物商「警察用対魔鎮圧弾 魔物への自衛が特需になって高騰しましたが、ふんだくられた甲斐があったというものです これには右のがそうです」

JT「……一発か……」

古物商「左はドラゴンブレスという弾です 腕をどかしたら次は貴方の体を焼きます こっちはもっと高かった」

古物商「どうします 試してみますか この距離なら誰だって外しませんよ」

JT「…………」ハァ ハァ

古物商「それとも 帰りますか!」

JT「…………いや……帰らない」

JT「帰れない 金を手に入れるまでは……」

古物商「……」

JT「待ってくれ……本当に……売りたいだけだ それだけなんだよ」ハァ ハァ

JT「頼む信じてくれ 見せる だから金を……金を用意してくれ お願いだ……」ハァ ハァ

古物商「……物は」

JT「言ってるだろ……宝石だ こいつだ 今 俺の腕になってる……これ」

古物商「……一体化しているように見えますが どうやって売られるので……?」

JT「……」ハァ ハァ

JT「(……頼む 石…… お前さっき 俺が生き延びたいって思ったのに応じて腕を栓してくれたんだろ)」

JT「(逆が出来ない理屈はねぇだろ…… 剥がれて 元の石に戻ってくれ)」

JT「(俺の事ぁいい 金に替えられてくれ……)」


put out Jewel Seed


泥棒「……!!! ぐぅぅおぉ……ッ」ブシュゥッ

古物商「……これは…… なんと……」

泥棒「ぐ どうだッ……分かっただろ……これが石だ これがッ……」ドクッ ドクッ

古物商「その魔法の宝石を 無くした腕に取り込んでいたんですか……?」

泥棒「……は 早くしてくれ……! 物は見せたッ……早 く……!」ハァ ハァ

古物商「……」

泥棒「金を 金をくれ! これしかないんだッ……う……」

古物商「……貴方の気概は分かりました」

古物商「とにかくすぐにはご用意できないんです ここは取り扱ってる品の倉庫ですから 嘘じゃない」

泥棒「…………」ハァ ハァ

古物商「……一旦 それを戻せますか?」

泥棒「……わ からねぇ……こうか……」pray capture

JT「はぁ はぁ……出来た」

古物商「馴染んでいるようですね お体に……」


古物商「電話 いいですか? 部下に取って来させましょう 金を」

古物商「怪しい動きをしたと思ったのなら私を殺せばいい 私もそうさせていただきます」チャキ

JT「……信じてくれんのか…… 俺を……」

古物商「言葉と床の血を一先ずは信じましょう そこのです 歩きますよ いいですね?」

JT「……ああ」

古物商「……」ジーコ ジーコ

古物商「……私です 至急倉庫に現金を持ってきて下さい 額? いつもの緑色の鞄に入るだけ……ええそうです 取引です 宝石の」

古物商「はい はい用意を はい 頼みましたよ」ガチャ

JT「…………用意?」

古物商「鑑定書は? お持ちでないでしょう 腕のことを鑑みて素早く済ませますが――」

古物商「こちらで鑑定をさせていただきますよ きちんとした値を付けるためにも その用意です……」

JT「もうやってる 確かな筋の人間だ……」

古物商「では 問題ありませんね」

JT「…………好きにしな……」ドサッ

JT「……ぁあ……椅子もねぇのか ここはよ……年寄りにゃキツいぜ……」ハァ ハァ

古物商「……その箱で良ければ」

JT「……あぁ 悪ぃな……」ギシ

古物商「……痛むようですが 腕は何故?」

JT「そいつも鑑定に入んのか 野良犬に食い千切られたんだ ……いや一応飼い犬なのか……」

JT「こんな小さな女の子がだぜ 俺にけしかけて来やがったんだ あれはマトモじゃなかった……」

古物商「……」

JT「その子から盗んだんじゃねぇぞ 本当だ あの子からは無理だ」

JT「横取りされそうになったんだ…… 死んでも渡すつもりなかったがよ」

古物商「……どうしてそこまでして」

古物商「すぐにぱっととは勿論言いませんが 纏まった金を稼ぐ手段なら他にもある 腕を失ってまでなんて」

JT「…………」

JT「時間がねぇんだ」

古物商「時間……?」

JT「おい あんた 本当に金を運ばせてるのかよ」

古物商「……電話を聞いたでしょう はい」

JT「……そうだな」

JT「……娘がいるんだ……妻はいねぇが」





術師「病気?」

小男「病気。自分の血ぃ引いてるたぁ思えねぇくらいよくできた娘なんだ って近い仲間内じゃあ触れ回ってたみてぇでして」

刑事「独り身だっつってたぜ」

小男「そこはほら 旦那はマッポですから……迷惑かけたくなかったんでしょ あの人なりに」

刑事「面識があんのか」

小男「いーえ でも鍵開けの腕前じゃちょっと有名でして 慎重な爺さんで空き巣の鑑だって言う奴もいやすね」

術師「慎重ね…… 騒ぎを聞くとそんな印象は受けないが」

術師「つまり例の宝石を売ろうとしてると 娘の治療費のために?」

小男「夫もいるそうなんだが厳しいみてぇでよ それを知ってからピリピリしだして、ここ最近は帝都を離れてたんだと」

術師「当てが見つかって戻ってきたのか 泣ける話だな 現状も含めて」

刑事「それでこっちが近道?」

小男「奴が向かったのは古物商の倉庫だそうでさぁ 十ナン分か前で これァ今そこに最短で行ってる道です」

術師「……古物商?」

刑事「この辺を倉庫にしてるのは別段珍しくねぇんだ まぁ訳有りの品扱う界隈でって話だがよ」

術師「ああ……はいはい」

刑事「心当たりある」

術師「今朝 総長の指示で大学の物を売ってな 取引した奴でないことを祈る」

刑事「……こういう仕事じゃ そういう嫌な予感ってのは往々にして当たるもんでね」

術師「楽しい職場だな」

刑事「代わるか?」


ド グ ン


術師「…………いや 教授気に入ってるから」

刑事「脈打つ感じ……まただ 何かヤバげになってる気がしやがる」

小男「??」

術師「こいつはいい 魔法使いかどうか一発で判別できるな」

刑事「クソったれが おい急ぐぜ、あとどれくらいだよ?」

小男「もうすぐです!」





JT「……学校にも行かせてやれた……食うのにも困らせなかった……」

JT「死産だったから……裏切られてフケなきゃなんなくなっちまった時は寂しい思いさせちまったが……」

JT「それでもどうにか大人んなって……俺に似ない 母親みてぇないい女に育った 結婚もした」

古物商「ならお婿さんに任せればいいのでは」

JT「……あんた 癌って分かるか」

古物商「名前だけは 不治の奇病だとか 診断すら難しい、発覚した時にはほぼ手遅れの難病だと……」

JT「そうよ……義理の息子はできた奴で 良い医者と病気を突き止めるまでは溜めた金で上手くやったんだ だがあのクソ医者ァ……」

JT「不治の病ってのは違うんだ 魔導医療でその悪い部分を消しちまえば完璧に治せはするらしい……」

古物商「治療費ですね」

JT「そうだ 家一軒買える額を払えと言ってきやがったんだ! う ぐ……」ズキ

古物商「……」

JT「幾ら幾らかかりますが払えますかねっつった時の医者のあの顔 あれは忘れらんねぇ いいや」

JT「朦朧としてきやがった今だからこそ 瞼に張り付いて瞬きする度浮かんできやがるんだ 分かるか? 分かるかよ……」

JT「払うさ!!!」ガッシャァァアアッ


パサッ


古物商「ッ……」aim

JT「ハァ ハァ……病気は進んでる……俺は娘を助ける 何としても……父親だからな」

JT「この宝石をやる 命もやるよ だから 俺の宝石を奪わねぇでくれ……」

古物商「……」

古物商「……私にも家内が 子供はおりませんが」

JT「……」ハァ ハァ

古物商「家族の為なら他の何ものをも……という貴方達の気持ち 理解できない訳はありませんよ」

古物商「そこまでがむしゃらになるのもね 尊敬の念すら覚えます 一人の男として」

古物商「本当ですよ 世辞じゃありません、おもねる必要はありませんから……」

JT「俺は その金食い虫が効かねぇ方に賭けるがね……」

古物商「……そういうことを言っているのではないんですよ」チラ

古物商「そろそろ時間です 彼が来ます」

JT「……?」


コンコン


古物商「どうぞ ドアの前です」

JT「……!」



BANG


JT「がッ……ドア越しに、てめ――」Photon B…

古物商「ええ」FIRE dabble trigger

バゴァッ

JT「ぎ ぐあああああ!!」ドシャッ

バキィン コロ…

古物商「……恐ろしい弾だ どちらも…… あの腕を砕け飛ばし 一瞬で体を焼き焦がした」

泥棒「あぁああッ あづい 熱い クソ ぐぁぁああぁ……ぁぁあぁッ……」ゴロゴロ

「……まだ生きてるのか それは殺さない弾なんですか?」

古物商「いえどちらも抜群の筈です 彼のしぶとさでしょう」

「この ゴキブリめ……!」BANG BANG

泥棒「ぐぅゥおぉぉお ぎぃぃィ……ッッ」



「両膝を砕かれてもか 痛みで死んでもおかしくないだろうに ゴミめ」

「このゴミクズめ! そうだ苦しめ! 痛いか! 痛いか!? どうだ! どうだッ!」グリィッ

泥棒「あぁぁああああ!! がぁああああ!! ごのクソッタレ野郎共がぁあ!!! あぁああがぁぁあああ!!」ギリリリリ

古物商「"緑色の鞄"はそういう符丁でしてね 身内で使ってる物を今回は貸し出す形になっていたのです 何かあればと」

泥棒「どォおぉ……ぃうゥ……ッ!」

古物商「狭い上 自衛が求められる街ですからな 友人 知人 同業者 畑違いの者にも 貴方の所業は一夜で駆け巡った」

「……」

古物商「貴方が痛め付けて撃ち殺した宝石商さんのね」

古物商「今 貴方を痛め付けているそこの彼は 一人息子なんですよ……」

泥棒「……!!」

「軽く撃ち合っただけで あの暗い中で よく覚えていたな か? 当たり前だ」

「支店長の……父さんを殺した奴のナリだ 銃火に照らされた一瞬で 目に刻むには十分すぎる……!!」

泥棒「………………」ゼェー ハァー

「やっとだ! 公人の父さんがやっと やっと俺を認めて店を任せてくれるとまで……お前は――」

「お前はその機会を 父さんに貰った物を返す機会を俺から永遠に奪ったッ!!」

「お前みたいな薄汚い 持たざる老害がだ!!」ドガッ

泥棒「ぅぎぁああッ!」

古物商「……」

泥棒「……ぁあぁ……ぁぁあああ」ズリ ズリ

泥棒「俺は…… 俺の 宝石……俺の……!」ズリ ズリ

「……呆れた野郎だ お前の宝石なんてどこにもない」

古物商「息子さん」

「父さんの宝石店のは無論のこと この世のどこにもそんな物はない 見ることもだ いいか」

「お前はクズだ 聞けクズ野郎、身の程を弁えなかったクズの行く末はいつだって決まってる」

泥棒「宝……石……宝石……」

「ふん これか……?」kick

カツッ コロコロ…

泥棒「か……返……せ…… 返……」ズリ



泥棒「(切り……抜けなきゃ……ならねぇ……)」ズリ ズリ

泥棒「(もう一度 腕を…… 今度は 足も 作らせ……ねぇと……)」ズリ ズリ

stomp

泥棒「ぐゥ ぐぅぅう……」ググググ

「殺してやろうと思っていた けれどやめた」

「お前の卑小さを見て少し冷静になったよ そんなことをしても父さんは戻らない」

「それに父さんなら言う筈だ「賢くあれ」と そう言い聞かされて育った」

泥棒「足を……どけ ろ……」

「お前を警察に引き渡す」

「ブタ箱送りは確実だ そして一生そこにいさせてやる」

泥棒「…………な んだと……」

「……店で見たことのない石だ 恐らく古馴染みと言っていた方の物だろう」グイ

泥棒「返せ…………」

「これは然るべき人へお返ししておく お前の物では絶対にない」

「終わりだ 身の程知らず」

泥棒「ふ ざけんな……」

古物商「通報を 私が見張っておきますから」

「……お願いします」ジーコ ジーコ


泥棒「……」ハァー ハァー

古物商「……語ってくれた動機が」

古物商「嘘でないなら どうか受け入れて 時間はあります」

古物商「貴方の救いはそれしかない……」

泥棒「…………」ゼェ ゼェ

泥棒「(たのむ 石 こいつらを……)」ゼェ ゼェ

泥棒「(ポリシーなんざかなぐり捨てる 捨てた 今日だけで今日まで避けてきた分の殺しを一辺にやったんだ)」ゼェ ハァ

「……はい ……はい そうです 場所は……」

泥棒「(てめぇのせいでな)」

泥棒「(責任を取れよ こいつらを殺させろ もう一回だ もう一回……)」


ペラ…


泥棒「(殺す 殺さなきゃ逃げられねぇ 殺すしかねぇ)」

泥棒「(あいつを助けるにはそれしかねぇ 娘を……)」

泥棒「(殺す 殺す 殺す 殺す 殺す)」

泥棒「(あいつを殺させやしねぇ 娘を 俺の娘を……)」


ド グ ン


古物商「……! 日記……」

「どうかしたんですか?」

古物商「封印が……勝手に、開いて……」



「    ァ゛ 」




小男「ここだ つきやした ここですここ!」

刑事「よしお前は帰んな 残りは後日だ で生きてたらそん時ビールもやるよ」pay advance

刑事「お前 ここを知らせに行け 機動隊もだ 急げ!」

警官1「了解です」
小男「気ぃ付けて旦那 ツマミ持って行きやすかんね」

術師「私も呼べ」summon

刑事「インテリは一人で高い酒飲んでろよ」ジャキ

術師「つれないな こいつの紹介もしたい」バリバリバリバリ

刑事「あァ?」

summon Wise Petit Slime

WPS「ぐぐぐぐぐ 出番だ」

刑事「……例の白い奴か なあ 双子か何か?」

術師「頼もしいだろ ククククク」

刑事「ああ あんたとか 笑いの文字数とかクリソツ」

WPS「どういたしましょう」

術師「ドアボーイが居る」

WPS「よし」FRAME BLEATH

刑事「おい待t」


ボゴァァァアアアアァアアアアア


刑事「ボヤ騒ぎ!!」

術師「なんだよ」
WPS「なんだよ」ぼごぁー

刑事「俺は出世がしてえんだよ 放火魔んなったら閉ざされッだろが馬鹿かてめェらは」

術師「大丈夫だ 大丈夫だよな?」

WPS「炙れば出てくるだろう 出なければ蒸し焼きになるだけだ 大丈夫」ジュルリ

刑事「そいつ やっぱ……おい説明しろ」

術師「後でな 他のでやれるか」

WPS「なら鍵穴だ」ヌロロロロ

チキ チキ カチン

術師「どこで練習した」

WPS「分かってるだろ オレの家でさ」picking form

刑事「……バカしたら撃つかんな 核の話は鳥のから聞いてる」

術師「好きにしろ」

WPS「やれるものならな まぁ安心するといい、証人保護は早すぎる概念かも知れないが ぐぐぐぐ」

刑事「黙れ 行くぜ」

ガチャ



術師「……」

WPS「……」

刑事「……」

術師「……狭い、大人二人で廊下がつかえる……見たことのない造りの内装だが この辺の建物はみんなこんな感じなのか?」

刑事「いや…… こんなのは初めてだ なんだこりゃ……」

ギィ…

術師「!」

バタム

刑事「んだオイ チクショー開かねぇぞ、ドアが鍵付きのに変わってる……ドアだけじゃねぇ」ドン ドン

刑事「暖炉みてぇに凹んだ玄関 妙な壁 妙な板張り 狭っ苦しい間取り……ありゃ階段じゃねぇか、ここに二階は無ぇ筈だぜ」

術師「呼び出しと取り寄せの専門柄 転移魔法には明るいつもりでいるが ドアをくぐっても何も感じられなかった」

術師「そいつが家族愛で目覚めたスーパー魔法使い人なのか 私がヘボなのか 魔法じゃないのかのどれかだ それか――」

刑事「それか?」

術師「当たるんだろ」

刑事「……何かヤバいモンが? 具体的には」

術師「一個だけな 世話にもなったが……」

WPS「おい ご主人と再生肉」

刑事「殺すぞ」

WPS「奴がそうか」

術師「……」


JT「…………」


刑事「帝国警察だ 武器を捨てろ 手を頭の後ろで組んで膝を付け」aim

術師「なんてったか 発言は裁判で不利になる可能性がある、検事さんが楽になるのでどんどんどうぞ だっけ?」

術師「黙秘権が欲しければこいつが担当する」

WPS「完璧な沈黙を約束しよう」

刑事「次 余計な口利いたら黙秘拳な」

刑事「おい! 妙な真似すんなよ しまえんなら腕とその脚甲もしまえ」

JT「もう そんな必要はねぇ」フラ

刑事「動くな撃つぞ 動くな」

JT「手ぇ貸してくれるってよ 必要なら 上手くいったぜ」

JT「あちらさんも良い子だ あえば娘も仲良くしてくれるだろ」

JT「手助けしてくれる 逃げなきゃならねえ でも だから手伝だってくれって 当然だ 取引だ」

刑事「誰と喋ってる どうしちまった」

術師「見れば分かるだろ 壁と喋ってる」

JT「逃げる 殺せ って」

JT「分かってるよ奥さん 分かってる分かってる ちゃんと手伝う」

JT「そしたら俺は逃げる」

刑事「……逃げられない お前は終わりだ」

JT「逃げられない? 逃げられない?」

JT「誰が?」




「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」


シュルルルル ギシィッ

刑事「!? 髪の毛 上――」choke


伽耶子「ァ゛ ァ゛ァ゛  ァ゛」


刑事「う うぉわああッ!!」BANGBANGBANG

伽耶子「   」スゥ

刑事「消え…… 息が……」ギギギギ

術師「スラ゛イム」choke

WPS「その腕美味そうだな くれよ」WATER CUTTER

JT「へへへへ」Round Shield

フッ

俊雄「…………」

WPS「お 子供は好きだ」ガパ

術師「下がれ こっちを切れ!」

WPS「?」

バシュ

WPS「……!?」ベチャッ

刑事「(スライムが急に小さく? 違う 体を削り取られたのか どうやった!?)」

WPS「く 血抜きされた身でまだ抵抗しくさるのか」tentacle whip

俊雄「  」スッ…

WPS「チッ」whip slash

ズバァッ ドサ ドサ

術師「女の髪を躊躇なくとは」

WPS「タコとイカを喰った甲斐があった ゲブ お前達は羽を毟らずに鳥を食べるのか……」

WPS「再生肉 再生を頼む……」ゴボ

刑事「命令するんじゃねぇホワイトゲロ 触るが喰うなよ」pray HEAL

術師「ドリアードも同じような感想だった」draw circle

WPS「ぅ ぐ 鳥肉が喰いたい……」ドロ…

術師「終わったらな」ガリガリガリガリ

WPS「本当か! 約束だぞ」

術師「まだか」ガリガリガリガリ

刑事「OKだ いいかあっちを狙えよ」

術師「よし、警戒しながら聞いてくれ 状況が分かった 簡潔に説明する」ガリガリガリ

術師「ドア越しに違う次元へ飛ばされた」ガリガリ

刑事「何?」



術師「隔離されたと言った方が正確だな 奴のホームグラウンドへ招かれたらしい 大分力が増幅されてる」ガリガリ

術師「魔力の当てが付いたんだろう ここ というかこの家はわざわざ倉庫があった場所の内側を張り替える形で――」ガリガリ

術師「また別の世界から喚び出されてる 要するに地縛霊が家しょってリベンジマッチに来たと」ガリガリ

WPS「誰にリベンジするというんだ」

術師「分かんない?」

刑事「とんだとばっちりじゃねぇか! なんとかしろよ!」

術師「やってる とりあえず今は空間に亀裂を――」


シュルルルルル


WPS「髪の数が多いな 触手が足りない」シュバババババババ

刑事「どこを狙えばいい 髪の根元か!」

術師「本体が出てきた時だけ撃て サロン・ド・ゲロがまた空間操作攻撃をやられた時に備えて回復の準備を」ガリ

刑事「で怨敵のアンタは?」

術師「空間に亀裂を入れるために陣を書き込んでる 今これで一つ出来た」

刑事「一つ出来た? 一つ? 一つっつったのか? 二つ三つと続く言い方に聞こえるぜ天才召喚魔法教授殿」

術師「間取りが分からんから何とも言えねーが規模的にあと四つ五つはいるだろうな 援護しろ」

刑事「ッざけやがって」

スゥゥゥ…

刑事「!!」


伽耶子「 ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ ァ゛ ァ゛」

俊雄「…………」

JT「くくく へへへ ひひひ」ユラ


術師「移動だ 廊下の奥に押し込んで脇の部屋へ行くぞ」

刑事「簡単に言いやがる!」BANGBANGBANGBANG

WPS「幽霊の血は何味だ?」split

刑事「くそッたれが 猫にしときゃあ良かった!!」reload





橙犬「この辺りだ」

黒衣の少女「降りよう 空は目立つ」

landing

橙犬「……いない 感知できない」

黒衣の少女「強い反応だった 間違える筈ないのに」

橙犬「魔力流を弄らなくてもいいくらい密度の濃い世界だしね 隠れた?」

黒衣の少女「暴走体状態でそんなに器用なことができるのかな 普通じゃなかった」

橙犬「そんなに時間は無かったし 隠すか封印されたかのどちらかじゃない」

黒衣の少女「この世界の人達が封印を?」

橙犬「分からないけど 少なくともあっちもあれを追っててこっちの仲間じゃない あたし達にはそれで十分さね」

黒衣の少女「そうだね」

黒衣の少女「……アルフ あれ」


小男「こっちだ こっち!」

警官1「道が入り組みすぎてんだよ ああもうったく!」

小男「それも旦那のリクエストだろが! 一番早くて入り組んでる道って」

警官1「分かってるよ 極力――」


スタッ


犬女「ハァイ お兄さん」

警官1「…………空を飛べるこいつらに見付からねーようにってことだったんスけど」ジャキッ


小男「この別嬪さんと 変なカッコした可愛い嬢ちゃんが?」

警官1「見た目に騙されんな 既に警官が何人も殺られてる……」

小男「っ……」

警官1「そこをどけよ こんな狭いとこじゃ弾は避けれねーし 鎌なんざ振れねーだろ?」

黒衣の少女「そうだね」
斧槍《Device form》ガシャッ

黒衣の少女「でも大丈夫」ジャキ

警官1「大丈夫じゃない」

犬女「どこだ? 吐きな」

犬女「自分で吐くか 私らに吐かされるかだ……」

警官1「クソまたかよ おっさん行け!」BLAMBLAMBLAM

犬女「まあそうだろうね 仕事だ 同情するよ」shield

警官1「何してる行け 行け! ボケッとしてんな走れ!」BLAMBLAMBLAM

小男「いいや あんちゃんも一緒だ」smoke grenade


ブシュゥゥウウウウゥウウウウウウウウウゥゥウウウ


警官1「煙幕……?」

犬女「ごほっ この煙ッ……!」

小男「離れなさんなっ!」ダッ

斧槍《Arc Saber》

バシュッ

小男「ぐッ……!」

警官1「おっさん!」

小男「喋るな こっちだっ」タッ

犬女「待て! ちっ……」flying

犬女「(((路地中に煙が回ってる 目に鼻じゃ追えないね)))」telepathy

黒衣の少女「(((この煙、魔力を撹乱して探知を欺くようになっている)))」flying

犬女「(((どうする?)))」

黒衣の少女「(((晴らす 用意して)))」



黒衣の少女「アルカス・クルタス・エイギアス 煌めきたる天神よ いま導きのもと降りきたれ――」

黒衣の少女「バルエル・ザルエル・ブラウゼル 撃つは雷、響くは轟雷――」

黒衣の少女「アルカス・クルタス・エイギアス……!」Thunder Fall


……ゴロ……

ゴロ ゴロゴロ……


警官1「あ……? 雷雲?」

小男「……なんてこった ついてないねェ……」


ザァァアアァアアアアアアアア

ピシャァァアアアッ ゴロ ゴロゴロ……


小男「……雷神様とは恐れ入った あの嬢ちゃん何者だい」

小男「天候を操作するレベルの魔法をサンドイッチ作るみてぇにパパッと……」

ズガァァアアアアアアッ

警官1「うおお!」

小男「あんちゃん 腹括らなきゃならねぇかもだ」

警官1「諦めんな! 天才魔法使いがなんだ、俺達の帝都でこれ以上好きにさせてたまっかよ!」

警官1「それにな 腹なら警察入った時とっくに括ってんだッ」バッ

犬女「(((煙が晴れて……見つけた 行ってくる)))」

黒衣の少女「(((暴走体を補足次第サンダーレイジを撃つ 援護がいるなら言って)))」バチバチバチバチバチバチバチバチ

犬女「(((了解!)))」バッ

警官1「来やがったかッ……」

犬女「銃で来るかい? 弾くよ。それともその警棒で殴りかかるのかい? 届かないよ」

犬女「こっちだって楽しんでるわけじゃないんだ さっさと言うんだね」

警官1「おっさん 他になんかないのか」

小男「貧乏削り鉛筆 マスク 角砂糖 下水道の地図 硬貨 ガチンコは無理でさァ」

警官1「く……」

犬女「行くよ」

黒衣の少女「(((アルフ待って! 必要なくなったみたいだ)))」

犬女「なんだって?」


黒衣の少女「バルディッシュ!」

斧槍《Sealing form》ガシャッ

黒衣の少女「(見つけた 微かな綻び……ジュエルシードがある あの建物!)」

黒衣の少女「(それからあそこの二人 殺しはしないけど大人しくしていてもらう)」bind

警官1「!!」ギシ
小男「……南無三……っ」ギシッ

黒衣の少女「(ロックオン……!)」


黒衣の少女「サンダー……レイジーッ!」




伽耶子「ァ゛ ァ゛ァ゛  ァ゛」ギリギリギリギリ

刑事「なん つゥ 馬鹿力 だッ……!」ギギギギ


WPS「待て! 消えるな! 触手を食らえ! 逃げるんじゃない 喰わせろ!!」シュバババババババ

俊雄「………………」シュンシュンシュンシュン


JT「待ってろ 待ってろよ もうすぐだからな」ブツブツブツブツ

術師「邪魔をするな」summon GOLEM FIST

バギャアアッ

JT「ぐぶっ……」ドシャアッ

術師「腕はいる お前はいらん」and GOLEM LEG

グラァッ……

術師「……空間が揺らいだ…… そうか お前が魔力の供給元の窓口になってるわけだからな」stomp order

ドゴッ

JT「ご ふッ」

術師「死ね」summon PERSEUS's SCYTHE


ビシィッッ


伽耶子「……!!」

術師「(亀裂がもう? 陣はまだ足りない となると外からだ、楔を打った僅かな気配を察したか)」ブォンッ


バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


刑事「家が崩れる!!」

術師「いやそれは問題ない 力業で歪められてた次元が元に戻ろうとしているだけだ 大事にならなくて良かったな」

刑事「俺を犯しにかかってるこの女を見ても同じことが言えんのかコラァッ!!」グギギギギ

術師「楽しめよ さあ崩れるぞ……」circle active


バギィィイイイィイイン




シュタッ

刑事「うおおおおおお…… あっ?」

術師「二つの機能を持たせた陣を書くのは構成が面倒だが 見事な転移陣捌きだろ」

術師「まあ――」


JT「……ハァー……ハァー……ハァー……ハァー」

伽耶子「ァ゛  ァ゛ァ゛」


犬女「おや 自分から出てきたかい……」

黒衣の少女「……」


刑事「……三つ巴か」reload

術師「一網打尽のチャンスと考えろ」



黒衣の少女「……あなたは?」

術師「申し遅れた 私は帝都魔法大学で教授をやっている者だ 今回こちらの刑事さんに呼ばれて捜査に協力している」

術師「凄腕だってな ん そっちの自己紹介はいいぞ」

犬女「求められたってしてやる義務がないね」

術師「育ちの良さが滲み出てるな雌亜人 親の顔が見てみたいもんだ それとも知らずに育った口か? ま そうだな」

術師「確かに 自己紹介は友達作る時にでも取って置くといい これが終わって――」スッ

術師「まだ喋れる状態だったらの話だが」finger snap


ゾルルルルロロロロロロロロ


粘海竜's「「も ら っ た」」


犬女「!?」evade

Thunder Rage

粘海竜「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛オ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛」ババババババババババババババババババババババババ

ズズン ドロォ…

黒衣の少女「(いい不意打ちだったけど この大きさならバインドをかけるまでもない)」

術師「そうか 火口行き希望か」

粘海竜「黙れ 見てろ!!!」ゴォッ

伽耶子「ァ゛ ァ゛  」

JT「こォ こっちに 来るなァァッ――」

粘海竜「そういうわけだ 燃費の悪い海蛇じゃ収支マイナスはキツいしな あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」グァァァアアア
粘海竜「ん」バグン

刑事「おいおいおいおい宝石ちゃんと残せよ!」

術師「よーしいいだろう 噛むな 動かなくなる程度に軽く溶かすだけにしろ」

犬女「ッ……」

術師「確保終わり これにて一件落着」

術師「まだ邪魔をするならお前達もあれの餌になってもらうが」

犬女「フン 今の見てなかったのかい それはこっちの台詞さね」

術師「そうか」

刑事「! サモナー こいつらの相手頼む」ダッ

術師「何?」タッ

黒衣の少女「……」photon lancer

術師「どうしたんだ!」summon WALL

ズドドドドドドドドドドドドドドド

刑事「あそこだ 二人転がってる!」

黒衣の少女「(狙える)」Thunder Rage

術師「また雷か?」summon ROOF

ズガァァアアアアアアッ

黒衣の少女「路地が 塞がって……」

術師「壁と屋根で封鎖する スライム! 近付けさせるな」ズゴゴゴゴゴゴゴゴ

WPS「今の見てなかったのか オレ死ぬぞ」ズボボボボボ

術師「ぬかせ」dual summon



バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


犬女「まだなんか喚ぶつもりか!」

WPS「ツンデレは木精だけだと思っていたよ」tentacle whip

犬女「小賢しい どきなッ!」chain bind

ギシィッ

WPS「触手は自前なんだぞ 鎖が食い込んで痛い 離せ そして耳か尻尾を味見させろ」グググググ

犬女「気っ色悪いねッ……」グググググ

黒衣の少女「アルフ そのままっ!」バッ

犬女「……! そうか!」グイィッ

WPS「うぉ 何をする気だ?」bind

犬女「大人しくしてなッ!」

黒衣の少女「それごとやる バルディッシュ!」
斧槍《yes sir》

斧槍《sealing form, set up》バサァッ

術師「シーリングと言ったか? 封印? 奴ごと宝石をガメる気か」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

術師「ああ 魔力が飛んでゆく」バチッ


MEGA FLARE


黒衣の少女「!!」sealing cancel Defencer

犬女「砲撃!? 間に合えッ――」Round shield

カッッッ

黒衣の少女「くぅぅッ……!」
犬女「うぁあああッ!」

術師「今だ 来い!」

WPS「さっすが~ サモ様は話の分かるお方!」ピョーン

犬女「くそっ 待てッ!!」

WPS「耳をくれるなら考えてやる!」

犬女「ふざけろ! ぐぅううッ」


「耐えたか」

犬女「はぁ はぁ 巨人……?」

バハムート「今日は腹痛とムチウチに悩まされずにすみそうだが」フシュゥゥゥ…

バハムート「渡された魔力が心許ないな召喚師 もうバテたのか」

術師「節約だ 時間を稼いで欲しい 殺れるなら殺ってくれて全然構わん」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

術師「閉じる 頼んだぞ」ゴゴン…

バハムート「乗り手がいない」Driving mode
バハムート「期待はするなよ」Spread pulsar

黒衣の少女「ドラゴンにっ……!」Blitz Action


術師「もう一息……」roofRoofROOFROOooooooooF

shutout alleyway

刑事「あーあー丁寧な仕事しやがって 近隣の路地中に鉄の屋根張ったのかよ お前こんな――」

刑事「真っ暗で狭くてきったねーくて野郎鮨詰めのアーケードなんざ最悪だぞ 終わったらちゃんと戻しな」

術師「どうしても遺体の回収がしたいって顔だったんで張り切ったんだ 焼くか?」

刑事「馬鹿言うんじゃねぇ 温室育ちとは出来が違ェんだよ なっ」

ピク…

警官1「いや……普通に……死にかけましたけど……」

小男「…………走馬灯が見えやした…………もう旦那のエスやめます……」

刑事「どーだ インテリ野郎」

術師「よかったね」

術師「さあ ホワイトゲロカスタール君 例の物を」

WPS「丸飲みにしたから取り出すのが面倒だ どこへやったかな……」ウゾウゾウゾウゾ

刑事「何だその動き便秘か」

WPS「糞はしない」ウゾウゾウゾウゾウゾウゾウゾウゾウゾウゾウゾウゾ

術師「長い キモい」

WPS「……」ピタ

術師「ぺっしろ ぺっ」

WPS「すまん無い」

刑事「……」shoot core

WPS「待て待て待て待て待て待て違う 危ないだろ 消化したとかじゃない」Leviathan Scale

術師「他にどう解釈しろと」

WPS「……消えた 消えてる! 消えてしまってるんだ 今まで経験したことのないことだが」

WPS「取り込んだ物が微塵も感じられない 歩いた下の土埃ですら多少なりと吸収する体なのにも関わらずだ」

刑事「つまり何が言いてぇ」

術師「スライム どっちが消えた?」

WPS「両方だ 宝石も幽霊も消えた 幽霊は味すらしなかった気がする……」


ザッ

JT「そりゃあ そうだろうぜ」グイ

「ぅ……うぅ……」フラ

術師「……」



刑事「どうなってる……!?」

術師「……跳んだな カヤコか それにその連れてるのは何だ 私に人質が効くとでも?」

JT「ここは暗ぇかんな 見えねえか くくく おう効くとも」

JT「奥さんはそう言ってたぜ」ドン

「ぅあッ……!」ドサッ

術師「……」


半鳥「……たす……」

半鳥「助 けて…… 教授……」


術師「撃て」

刑事「おい……」

術師「早く撃て」

半鳥「私 だよ……教授……信じてよ……」ハァ ハァ

半鳥「いきなり来て……捕まって……突き落とされたり 訳分かんない 体切られたり……飛べなくて……」

刑事「動くなよクソ耄碌 歩けるか こっち来い!」

半鳥「刑事さんっ……」ヨロ…

術師「ガッカリさせるな そんなことじゃまだ暫くは現場だぞ」

術師「スライム 鳥肉だ」

FRAME BLEATH

半鳥「!!」


ゴォォォオオオオオオオオオ


刑事「な……」

術師「よく焼け 寄生虫が怖い」

WPS「黒焼きでいく」ゴォォォォォォォ

術師「お好きに」

刑事「本気で偽物だってのか!」

術師「こうされたらあいつなら迷わず私の心臓かそいつの核を撃つ 先んじれるかはともかくとして」

術師「仮にも魔法使いを志す癖にテンパるとまず銃把に手が伸びるんだ あれは もしくはそいつは」

刑事「……胸 撃たれても死なんだろうぜ あんたは」

術師「死んだ おいウェルダンでいいぞ」

WPS「…………すまないがレアだな ブルーの」ゴォォォォォォォ

術師「……」sigh



ゴォォォオオオオオオォオオォォォオォオォオォオオオォオオォオオオオオオォォオオオォオオオオオオオ


JT「ち 火勢が強い……もう魔力も残り少ねェんだろうな なんとなく分かんぜ……」shieeeeld

偽半鳥「…………」

JT「その亜人は……あの白いやつの記憶から取ったんだろ奥さん あいつの弟子なら魔法の物真似まで出来たりしねぇのか」

偽半鳥「……」

JT「……なんだよ 不思議でもねぇだろ あんたと似たような感じなんだこの宝石 ジュエルシードっつったか」

JT「こいつは意を汲んで力を寄越す代物らしい だからか知らねぇけどなんとなく分かんだ あんたのも……」

JT「俺はあの二人を殺さなきゃ逃げれなかったし 娘を助けたかったからどうしても殺したかった だから死ぬ思いで――」

JT「こいつに殺させろっつったんだ 正直こいつも呆れてたような気がする、多分見限るつもりだったんだろ 撃たれてたしよ」

JT「けど奥さん 後押ししてくれたんだよな あんた」

伽耶子「…………」metamorphose

JT「一緒になって石に流した分の こう 余波って言うのか 伝わってきたよ "殺す"って……滝みてぇな……滝に打たれるみたいに凄い勢いの」

JT「全部をそうしたいってのも分かる だから俺もそん中に入れて構わねぇよ 苦しめて殺してくれていい 順番さえ守ってくれりゃあな」

俊雄「……」

JT「下がってなトシオ坊っちゃん 今度はお母さんも負けねぇよ」ヨシヨシ

俊雄「 お 母さ ん」

JT「奥さん 見ての通りジリ貧だ このままじゃ焼け死んじまう」shield

JT「あんた 使ってみるか? ……あんたくらい遺志強ければ文句言わねぇだろう」

伽耶子「………………」

JT「……決まりだな……」

put out Jewel Seed

伽耶子「…………」

『……こっちへ 来て』

泥棒「ッぐッッ…… 勿論 手伝うぜ……」フラ


伽耶子「ァ゛   ァ゛ァ゛  ァ゛」


receipt number ⅩⅢ



WPS「!!」ゴォォォォォォォオォ

術師「火力を上げろ」summon SHUTTER

刑事「それ自体は賛成だが今奴を見殺すのかッ?」

術師「全く問題ない だな」

WPS「気付いてたか いいだろう だが今さら障壁なんぞで阻めるとは」
WPS「思わ」ズシュッ

刑事「なんだありゃ 包丁――」

術師「閉じろッ!」speed increase

「ァ゛ァ゛  ァ゛  ァ゛」ガシャァアッ

術師「閉じきる前に持ち上げる気か? 指だ」

刑事「おらァ!」BANGBANGBANGBANG


ガシャァァアアーン……


刑事「当たった? クソ 閉め切りまくったせいでさらに暗くて分からん……」

術師「任せろ」pray wall's circle

ボゥ……

術師「どうだ 明るくなったろう」

警官1「……く……暗かったんで 眠かったですよ……まだ 痺れてる……」

刑事「出した壁や屋根に魔法陣が…… 障壁に指は無いな 逃げたか」

術師「普段は壁にしたり勢いでかち上げたりして使ってるが こいつは正確には巨大な煉瓦のような物なんだ」

術師「組んで魔法的に使う 今回は喚ぶ時に陣を彫っておいた こうして使えば暗さでバレ難いだろうしな」

小男「光ってるのは……?」

刑事「作動してるからな ここでだけ灯り取りにしたんだろ」

術師「路地封鎖に使った全部がこいつだ」

刑事「何?」

術師「ちょっと力比べをしてみた さっき奴がやったのと同じ、路地の壁と魔法陣の壁で強引に空間を切り取って閉じ込めたんだ」

刑事「……マジかよ よくやるな」
刑事「じゃ勝ったのか?」

術師「負けた いや負ける」

刑事「はあ?」

術師「次元移動能力とパワーが桁違いだ 大分頂いたつもりだったが、生物の再現蘇生に使う程度では到底絞りきれない嵩の怨嗟 とても敵わん」

術師「壁の向こう側で曖昧に隔離してる 閉じ込め続けるのはとても無理だ その路線は諦める」

刑事「じゃあどうする」

術師「例の宝石の力も感じやがる今 只人の私達にできることはない ただ祈るのみだ」

術師「オッズをつけてな」

刑事「…………まさか」

術師「化け物には化け物をぶつけんだよ」wall's dimension jump circle Active



犬女「フェイト 今だ!」

黒衣の少女「はぁあああッ!」slaaaaash

バハムート「……!!」

ズシャァッ

黒衣の少女「やった……ッ?」

バハムート「いいや まだやれる……魔力さえあればだ が ゴフッ」fall

ドシャァァアアッ

バハムート「見事だ 少女と亜人よ 良い師に手解かれたと見える」

黒衣の少女「……」

バハムート「精進するといい 戦っておいてだがお前達は気に入った……」

バハムート「武運を ……次のは話が通じんようだからな」release


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


黒衣の少女「次の 新手……!」

犬女「また召喚か! 根性の腐った奴、自分で出てきて戦ったらどうなんだッ!」

summon

ジュエル・伽耶子「ァ゛  ァ゛  ァ゛  ァ゛」

黒衣の少女「ジュエルシードが移ってる?」

犬女「酷い有り様……けど間違いない あの感じはこの女からだ」

黒衣の少女「……ジュエルシードを渡す気は?」

J伽耶子「ァ゛  ァ゛」シュバババババババ

犬女「髪?」shield

黒衣の少女「そう」Photon Lancer

J伽耶子「……」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

犬女「やったか……?」

J伽耶子「……」シュンッ

犬女「!」metamorphose
橙犬「ガルァァアアッ」ガブゥッ

J伽耶子「 ァ゛ォ゛ ォ゛  ォ゛ ァ゛」hair choke

黒衣の少女「(髪だけッ!)」Arc Saber

J伽耶子「  」シュンッ

橙犬「ぷはッ……く!」バッ

黒衣の少女「また消えた……! ジュエルシードの気配ごと現れたり消えたりできるなんて」

斧槍《Behind sir》

黒衣の少女「はぁッ!」Thunder Smasher

J伽耶子「……!!」

ズドォォォオオッ

J伽耶子「……ァ゛……ィ゛……ッ」ジジジジジジジジ

黒衣の少女「そこ……!」slash


ズバァァアッ



術師「……ふむ 不甲斐ない」

shelter open

泥棒「………………」

刑事「爺さんか どれ」
刑事「……生きてるな そんなこたねェと思うが」pray HEAL

術師「そっちじゃない 上だ」
術師「ホームレス 封鎖したこの近辺の路地でマンホールが何ヵ所かあるが 三人で逃げることはできるか?」

小男「お おう……三人? あんたと……」

術師「ヒールは最低限の治療だけ速攻でやってくれ」

刑事「ならもう問題ないが こいつをどうする気だ?」

術師「相性が悪い 有り余る力を好きなやり方で殺すことに特化させているせいか 戦闘は門外漢のようだ」

刑事「あれで?」

術師「力を奪った時の名残で魔力のパスを繋げられる そいつでちょっと鬼火に薪をくべてみよう……」draw circle

刑事「爺さんに陣を? 衰弱してるみてぇだから動きゃしねぇだろうが」

術師「私の魔力と これの魂を死なない程度に削って魔力に代えたものを送る」ガリガリ

警官1「なんですって……人魂への干渉は」

術師「このお巡りさんは?」

刑事「おい 気持ちは分かるが黙っててくれ 死なせないと言ってる以上裁かせる気はある筈だ」

警官1「……筈って いくらなんでも重罪じゃ……」

術師「そうだ 第某章某条 "人間魂魄への干渉はこれを禁ずる" 大罪人誕生の瞬間に立ち会うわけだな 止めるか?」

警官1「…………止められません」

術師「いい警官だ 今後もその調子で励んでくれ 交通取締以外」

術師「ではあんたが行ってから始めることにする 帝都の為に早く去ってくれ」

刑事「この騒ぎなら応援もすぐやれる」

刑事「頼むぜ 絶対にあれを暴走させんなよ」タッ

小男「こっちだ! 気張れあんちゃん」
警官1「ああ……」



術師「……さて……とは言ったものの超やってられん まず間違いなく"引っ張られる"」

術師「おい おい 返事はできないが聞こえてるだろう? さっきは殺しかけて悪かったな」ペシペシ

泥棒「…… …………」

術師「聞け 治療費の話を聞いた 宝石では無理だが方法はまだあるぞ」

術師「ただしあんたが生きてなくちゃならん 分かるな」

泥棒「………………」ピク

術師「奴にこの世界で無茶させるためのきっかけを与える目的で これからあんたの生命力をあの怨霊に少し渡す 私も手伝うが恐らく魔力の綱引きになる」

術師「取り込まれるな あいつは放っておくと生きるもの全てに牙と髪と包丁を剥く」

術師「あんたの娘にもだ」

泥棒「………………ぅ……」

術師「その意気だ 行くぞ……」multiple circle active



バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

J伽耶子「…………ァ゛……ァァ゛ ァ゛ァ゛ッッッ……ッッッッッ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ


黒衣の少女「これはッ……何!?」

橙犬「フェイト 離れて――」


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ


橙犬「上空に空間の亀裂……これは……まさか次元震か!?」

黒衣の少女「(離脱ッ――)」

シュルルルルルルルルル ガシィッ

黒衣の少女「!!!」hair bind


J伽耶子《「  来  い  』〉


橙犬「フェイト!」

黒衣の少女「引きずり 込まれッ……!!」ググググググググググ

橙犬「フェイト!! フェイト!!」chain bind

シュルルルルルルルルル
橙犬「このッ……」bounce

橙犬「髪……くそッ 魔力の奔流で押し流される これ以上近付けないッ……フェイトぉッ!!」


ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ


「なんだあれ 空にヒビが!」
「またスライムか!? 警察呼べ警察!」
「魔導車のトルクが安定しないわ……あのヒビが悪さしてるんじゃないの?」
「車なんか置いとけ なんかやべーぞ逃げろ!」


橙犬「(優先はジュエルシード それにフェイトだ 部外者を助ける余裕はない……!)」

バリバリバリバリバリバリバリバリ

橙犬「……お構い無しかい! 本ッ当になんて奴だ……!」


WPS「誰が? 言っておくがオレは犬肉は趣味じゃあないんだ ぐぐ えぐみが苦手でな……」summon

橙犬「あんた達の都合なんか知らない……あれは渡せない 吐き出してもらう!」バッ

WPS「もう吐いた そして暴れなければお前に用はない 犬肉の雌」ペラ

橙犬「何だって?」


WPS's「周辺住民の皆様 私は召喚術師の僮がスライム 一帯を封鎖させて頂きます」

WPS's「一帯に分身して散っています 体を媒介に主の転移陣を発動させていますので お近くの分身体より避難して頂きたい」

WPS's「現在装甲車や魔導鎧を中心とする機動隊が事態鎮圧のために向かってきております 市民の皆様に置かれましては――」


橙犬「…………」

WPS「襲わない? ほう 人は喰わないのか偏食家め ええと次は……"繰り返します――」read cheat sheet

橙犬「……正義の味方ってワケだ 人喰いスライムがなんてフザけてるね」

橙犬「ただ ま それなら話が早い……フェイトとジュエルシードを渡しな」get set Photon Lancer

WPS「人質のつもりか」

橙犬「形振り構っていられないんでね」

WPS「ぐぐぐぐぐ どうぞ。」

橙犬「……ッ?」

WPS「犬肉の雌 お前のそいつは炸裂弾だったな 全部吹っ飛ばさないなら別に構わないぞ 要は下拵えだろ」

WPS「正直バレないように何人かつまみ食いするつもりでいたしな モモかアバラの辺りは形をちゃんと残してくれ できたらでいいから……」ジュルリ

橙犬「いいのかい 本当にやるよ! 意気地無しのご主人様がタダじゃ済まないだろう!」

WPS「奴の好物は脳の香草包み焼きと心臓の串焼き 最近は踵骨腱の煮凝りも薦められた」

WPS「ぐぐぐぐぐ 気遣うならそこも残してやってくれ ぐぐぐぐぐぐぐぐ」lol

橙犬「……狂ってる……ッ」ウゲェ


WPS「あの柔らかそうな金髪肉がフェイトか? 悪いがあれはこっちの仕業じゃあない」

WPS「喚んだ女だ 髪の毛の あれとご主人は因縁があるそうで言うことを聞かない バッジかしまキングのスタンプが足りなかったんだろう」

橙犬「結局お前達の仕業じゃないか! いい加減にしなイカれ野郎共ッ!」

WPS「しっしっ 肉の仕込みをやらないのなら失せろ オレは分身合唱コンクールの指揮で忙しい」

WPS「だがそんな暇ならあっちにちょっかいを出してみちゃあどうだ お前達向けだしな」

橙犬「あたし達向け……?」


summon WALL

summon WALL summon more WALL

summon WALL WALL WALL WALL WALL WALL WALL WALL WALLWALLWALLWALLWALLWALLWALLWALL……


橙犬「あれは……ッ!?」

WPS「考えようによっては放置するのも手だが ぐぐぐぐ……」




『思い知れ』

『わたしがどんなに辛かったか どんなに苦しく どんなに惨めだったか』

『わたしは 生まれてからずっと……まるで敷石の下の虫けらのように生きてきたんだ……思い知れ』

『わたしの辛さを思い知れ』


術師「(……案の定取り込まれたか……だが)」

黒衣の少女「……ここ は……」

術師「(あれもいる 成功だ あとは奴に時間を稼がせるか、このまま殺させれば――)」

『………………』

黒衣の少女「……あなたは……」

『…………お前は……』

黒衣の少女「……」

『………………』

術師「……?」

『……分からないだろう』

『お前みたいに頭がよくて 金を持っていて 女を取っ替え引っ替えできて……』

『健康で 意志が強く 自分の言いたいことを言えて 自信と誇りに満ちた者には……わたしのことなど……いや……』

『分からないだろう わたし達のことなど 決して分からないだろう』

術師「……………………私達?」

『死ね』

『死ね 殺してやる』

『殺す……思い知らせてやる』


『サモナー!』


術師「あ?」



ペラ


『……今日、このノートを見つけた剛雄がわたしを殺した――』
『……怒り狂って、わたしを階段から蹴落とし、ベッドの脚に縛り付け、散々罵り、殴り、蹴り――』
『……体中をズタズタに切り付けて殺し、わたしの死体をゴミのビニール袋に詰めて天井裏に放置した――』


ペラ


『……わたしを殺した三日後、剛雄は復讐するつもりで――』
『……D棟の205号室で、緑川真奈美を出刃包丁で刺し殺した(いい気味だ)。その後剛雄は、緑川真奈美のお腹を切り裂いて――』
『……小林くんを殺してわたしのところに呼び寄せ、その後で小林くんの家にいた剛雄を出刃包丁で刺し殺した――』


ペラ


『……村上というサラリーマンの一家がわたしの家に越してきた――』
『……家の様子をすっかり変えてしまった。わたしが生まれる前からあった庭の柿の木と、クロを埋めた桜の木を切り倒し――』
『村上一家はわたしの敵だ』
『……あいつらのようなやつらが幸せを独占しているから、わたしのところには幸せが巡って来なかったのだ――』
『……最後に一家の主の村上啓一を殺し、村上家は全滅した――』


ペラ


『北田という若いサラリーマンの夫婦がわたしの家に越してきた――』
『こういう男は剛雄の存在を思い出させて頭に来る……だからわたしは、妻の良美にフライパンで――』
『……北田洋みたいな男と結婚するんだから、ロクでもない女に決まってる。だから良美がわたしに殺されるのもしかたないことだ――』



『……徳永というサラリーマンの夫婦と、夫の母親がわたしの家に越してきた。幸枝という母親の方は――』
『……わたしは徳永和美を殺した。それから徳永勝也を殺した――』


ペラ


『……今日、《わたしの家》に仁科理佳という福祉大学の学生がやって来た』
『わたしはいつものように仁科理佳を殺そうと思ったけれど、あることを思い付いて――』
『彼女の体に同居させて貰うことにした……』


ペラ


『……仁科理佳という女の趣味はわたしには合わない。この女は肉が好きだが、わたしは肉は食べられない』
『この女は紅茶を飲むが、わたしはコーヒーの方が好きだ』
『この女は鮮やかな色合いの服ばかり着たがるが、わたしは白い服が好きだ。この女はレースやサテンの派手な下着ばかり持っているが、わたしは白いコットンの下着が好きだ』
『この女は世の中は優しくていい人ばかりだと考えているが、そんなことはあり得ない。そうだ。そんなことは、絶対にあり得ない……』
『何もかも、わたしの好みには合わない。だからわたしは、この女を少しずつ、わたしに合うように改造することにした……』


ペラ


『……今日、俊雄の担任の中田真理子という女がやって来た。わたしはいつものように、この女を殺すことに決めた……』


ペラ




『……今日、久しぶりに外に出た。目が覚めるとそこは知らない場所で、腕に鳥の羽を生やした女の子がいた。わたしはいつものように、この少女を殺すことに決めた……』


ペラ


『だが邪魔が入った。猫人間が魔法(魔法だ)を唱え、あの男がわたしから力を奪い、背の低いオカマに封印させた。屈辱だった』


ペラ


『今日、このわけの分からない世界でまた目覚めた。この世界の連中を殺すにはわたしの憎しみだけでは足りない。わたしを起こした男を協力者にして、違う力を手に入れた。これでわたしをバカにしたあの男を殺すことができる』


ペラ


『奴と一緒に、フェイト・テスタロッサという女の子と、アルフという犬の格好をした女の子が現れた。わたしはいつものように二人を殺そうと思ったけれど、あることを思い付いて、フェイトをサモナーと一緒に家へ入れた』


ペラ


『女の子を"見た"。哀れな女の子だ、わたしと同じか、それ以上に。フェイトにはわたしのように、世界に憎しみを振るう資格があると思った。フェイトを使うことに決めた……』




『今日、サモナーを殺した。フェイト・テスタロッサを殺した。アルフを殺した。猫人間を殺した。ドリアードを殺した。刑事を殺した。ブラウンを殺した。そして』

『もう一度やる。この世界でも』


ペラ




ドリアード「……あら 突然休憩したと思ったらここにいたのね」

ドリアード「何を読んでるの? ハーフィ」




フェイト「……」


トン……トン……トン……トン……


フェイト「(母さん)」

フェイト「(母さん 待っていてね すぐにジュエルシードを持って帰るからね)」

フェイト「(どこ……あの男は…………どこ……)」

フェイト「(吐かせなくちゃ)」


トン……トン……トン……トン……


フェイト「サモナー」
フェイト「(   サモナーって誰のこと?)」

フェイト「サモナー そんなところにいたんだね」


術師「………………」

フェ雄ト「もう逃がさないからな」

フェイト「ジュエルシードを渡さないなら 覚悟は出来ているんだろう ……ふふふ」

フェイト「(……今どうして私は笑ったの? なんで?)」

フェイト「諦めろ サモナー ……もう逃げられない」

剛ェ雄ト「安心しろ。すぐには殺しやしないから……殺すのは、たっぷりと可愛がったあとだ」

術師「……杖なしでか?」

フェイト「……杖?」

術師「お あったぞ 足元だ!」kick

フェイト「!」ドサッ

剛ェイ雄「このアマっ、ブッ殺すっ!」ダッ

術師「(召喚は間に合わん 槍や鎌でも白兵で敵うとは思えん 幸い呑まれかけで精細を欠いてる、丸腰で一先ずどうやるか)」

剛剛イ雄「畜生っ、ブッ殺してやるっ!」ガシィッ

術師「な ぐっ……!」ドシャァッ


剛ェイト「ぁああああッ!」ガンッ ガンッ ガンッ ガンッ

術師「(馬鹿力は伝染すんのか? 頭がッ ……)」ガスッ ゴスッ ドッ

術師「離せ……ッ!」


ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン
ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン ガン


術師「……か……っ……」グラ

フェイト「……ジュエル……」stomp

フェイト「シードは」ドガッ

フェイト「どこに」ドゴッ

フェイト「ある」ガスッ

フェイト「答えろ!!!」ドギャッ

術師「…………お前 には……渡さん…………くく……」ゴボッ

ゴシャァッ

術師「   」

フェ雄ト「どうだ 伽耶子 俺に逆らうとどうなるか」
  雄 「思い」
剛 師『知っ」

術師「たか?』

フェイト「……?」

フェイト「っ……!?」


フェイト「ぁあ……あぁ……ああ」ガクッ
フェイト「やめて……何するの……やめて……っ……」ズリ ズリ

術師「……どうした……SMは終わりか……」ゲホ ゲホ

フェイト「ひっ」ビクッ

術師「何だ? ……何が見えてる? 幻覚か?」

フェイト「ぁ……ッ……ァっ……」ガクガク


術師「さあ 答えろ フェイト ジュエルシードは誰の物だ? 答えろ フェイト 答えろ』ギシ
術師『答えろ 答えろ 答えろ」ギッ ギッ ギッ

フェイト「か……あ……さ……ん……の…………ッひ ぁ」ガクガク

術師「おい』ギッッ

フェイト「ぃッ う」ビクッ

術師『ジュエル シードは 誰の 物だ 答えろフェイト 答えろ 答えろ 答えろ」ギシッ ギシッ ギシッ

フェイト「っ……ッ……っ……ッッ……っ!」ガクガクガクガク


術師『この腐れ人形が お前なんぞ何の 誰の役にも立たん」
術師「お前の母親が一度でもお前に振り向いてくれたか? 抱き締めてくれたのか? お前に何をくれた? 鞭だ 痛ぁい鞭だけだ……』

フェイト「…………ッ違う!!!」

術師『お前を鎖で吊し上げて……」

フェイト「母さんは……忙しくて 苦しんでる……だけだっ! 私に罰を与えるのは……私が……至らないからっ……!」

術師「母親が可愛い娘に普通そんなことをするかなぁ? 可愛いと思う娘に』

フェイト「私が頑張ればまた元の母さんに戻ってくれる……また笑いかけてくれる……こんな こんな痛みなんてなんともないっ……!!」

術師『…………くくくくくくく そうだな 笑いかけてくれるだろうな」

術師「だが果たしてそれはお前にかな フェ イ ト……』

フェイト「何 言って……」

術師『真実を見せてやる このわたしが サモナーが」pray vision

フェイト「…………――――ッ」



術師「…………」ズキズキ
フェイト「…………」フラ…

バチバチバチバチバチバチバチバチ

術師「……向こうは組み上がるか……あとは魔力を注ぐだけだが……ち マズい感じの頭痛だ」
術師「空間に歪められてロスは著しくなる さて間に合うか……」

タッ

術師「……休憩終わり お嬢さん……もう少しこっちを休ませて欲しかったな」
術師「次はどうする……?」

フェ理ト「…………畜生……」
仁ェイト「殺してやる……殺してやる」シャキ

術師「……わぁ 痛そう」

タッタッタッタッタッタッタッタッ
ドスッッッ




フェイト「……」stub knife

術師「ッッ……ぐッ……ぉ ア……」

ブシュゥッ

術師「(……出刃包丁 ……錆びさせて鈍になってるやつで わざわざ 刺し たのか……いや……)」ガフッ ビチャ

術師「……お まえ……か……ぅ ゴボ ごふっ」

フェイト「嘘をつくな」

術師「あぁ…………?」

フェイト「私はフェイト フェイト・テスタロッサだ 母さん プレシア・テスタロッサの一人娘」

フェイト「そんな名前は知らない 私はフェイトだ アリシアなんて子は知らない 私じゃない」グリィイィ

術師「!!!」ズギッ

フェイト「母さんを嘘つき呼ばわりしたな」

フェイト「許さない お前は 許さない!!」ブシッ

術師「……ッ……!」バタッ

フェイト「っうあああああああッ!!!」ブンッ


グサッ ブチッ

ザシュッ ズシュ ブシッ ザク グチャ ザクッ ザク ザク……






アルフ「く、魔法が通用しない……」ハァ ハァ

アルフ「紋様の彫られたあの壁材で組まれてるヤツが一種のゲートだってのは分かる……! なんとなくヤバい代物なのもっ……!」

WPS「余所見か?」FRAME BEAM

アルフ「くそッ」evade
アルフ「(でもって 下ッ――!)」

ガシャン ガシャン ガシャン


魔導鎧1「    」FIRE GATLING CANNON

魔導鎧2「    」FIRE HOMING NAPALM

魔導鎧3「    」pray RIOT BARRIER


アルフ「あと 三機か!」evaaaaaaaaade

アルフ「(一発掠っただけでシールドを割る弾幕 誘導キツい焼夷魔法弾 一隊丸々カバーするガチガチのプロテクション)」

アルフ「(動けなくさせるだけならやれなくはないが 攻撃力と庇い合うせいでランサーを当てるまでが長い……ッ)」ハァ ハァ ハァ ハァ

アルフ「はぁあああッ!」Photon Lancer Multishot

ズドドドドドドドドドドドドドド……

アルフ「(どうだっ?)」


魔導鎧3「〈こちら3番 魔導炉出力低下 バリア一時停止します 継続展開不可 駆体及び装甲 腕部回転砲及び肩部主砲は損傷ありません〉」aim GATLING

魔導鎧1「〈了解 展開を代わる 制圧射撃に回れ〉」pray BARRIER

魔導鎧2「〈炸裂煙により視界不良 魔導探知に切り替え〉」ブッピガァン
魔導鎧2「〈真上です!〉」ビコォーン

アルフ「……!」

魔導鎧2「    」ボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュボシュ

魔導鎧3「    」ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

アルフ「くゥッ……!!」blast Multishot

WPS「炸裂弾とその煙 またそれか! 目眩ましはもう飽きたぞ ……隠れたか」Leviathan shell

魔導鎧2「  」continue search

WPS「鉄人形の生き残り 中に人が乗っているんだろ? 喋れないのか」

魔導鎧1〈作戦行動中の私語は禁じられている 逃げないのなら精々集中して事に当たれ 召喚獣〉拡声

WPS「いつか喰ってやるからな」ジュルリ




アルフ「はぁッ はぁッ はぁッ……!」

アルフ「(時空管理局程の科学力はないけど 面倒な相手だ……この世界の軍隊? どんどん状況が悪化する……)」

アルフ「(フェイトからの連絡は途絶えたまま…… 退却も視野に入れなきゃマズい)」

WPS「煙が晴れた…… が 消えたままか」

魔導鎧2〈居るなら走査の死角を補って 手が足りない〉

WPS「いいのか? ぐぐぐぐ 期待されては仕方がないな」キョロキョロ

WPS「……犬肉! そのデカいモフ耳なら魔導鎧の中身の屁すら聞き分けれるはずだ あーうまそ」

アルフ「(なわけ あるか!)」hidden

WPS「じゃなくてこっちの声は聞こえてるな このブリキ共を相手に 装甲車で乗り付けた歩兵を屠殺して あまつさえ鉄屑の方も――」

WPS「何機か機動棺桶にしながら向こうへの攻撃までこなしたんだ お前はよくやったよ だが宙に浮かぶあれを見てみろ」

アルフ「……」

WPS「多分完成だ あとは起動に必要な魔力だけ……」


assembly complete

"Forced Repatriate Dimension Circle Gate"


魔導鎧3〈……強制送還転移門 手を離れた強力な召喚獣や手に追えない魔導生物を跳ばす召喚使いの常套手段……〉

魔導鎧3〈規模を鑑みてスピード優先 丸ごとじゃなく構成陣を掘った壁材をバラに喚んで組み上げた〉

魔導鎧3〈余計に魔力喰う上 門に耐久性を持たせるなら相応に器用じゃなきゃ逆に手間ばっかりなやり方です それ以前に一人で次元越しにって、噂通り相当な自信家ですね〉

WPS「お姉さんいい声だな ツインテール&モフモフコンビといい勝負だ」

魔導鎧1〈3番〉

魔導鎧3〈すみません〉

魔導鎧1〈ナンパなら人間様にでなく同じヘドロにやれ スライム〉

WPS「ぐぐぐ 怒られてしまった 面白かったら笑っていいぞ犬肉 犬肉ー? ぐぐぐぐぐぐぐぐ …………」

WPS「(……どうしたサモナー気が変わったか 魔力のマの字も感じられないぞ )」extend Tentacle

WPS「(起動すれば近い次元からでも吸い寄せて纏めて叩き帰せるんだろう? どこで油を売ってる……死んでるなら最高なんだが召喚契約消えてないから違うし)」and Tentacle search



……バリ


  

「……何を手こずっているの…………」

「早く終わらせなさい 紛い物……」パリッ


Thunder Rage

"Occurs of Dimension Jumped"


「……っ……ッっ……」





アルフ「(……これは……!)」

WPS「?」

魔導鎧2「〈! 高出力の魔法反応! 転移門のさらに上空から?〉」

魔導鎧1「〈バリア重ねろ! 3番は探知警戒〉」pray RIOT BARRIER

WPS「……マズい 出来るだけあれから離れた方がいい デカいのはゲート狙いだ!」ピョン ピョン

魔導鎧1〈備えろ 接敵したら噴射跳躍で囲むぞ――〉

WPS「違う こいつは攻撃だ……」pray teleport circle


ズガァァアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアァアアアアッッッ


魔導鎧1「〈!!〉」BARRIER brake

魔導鎧2「〈隊ちょ――うわあああああッ!〉」KA-BOOOoooN


ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ……


WPS「(……紫の雷……ブリキ野郎共は軒並み擱座 直撃の転移門は崩壊)」

WPS「(一発でひっくり返されたぞなんだ今のは あの二匹のじゃあない 援護? Jを鼻で笑えるような化物がもう一匹いる!)」escaped

WPS「(おk状況が変わったオレは戦略的退避を行う分身だろうが死にたくない 仕事はしたんだから文句言うなよサモナーに再生肉 バーイ)」コソッ


アルフ「奴らが沈んだ……よし 今なら」

アルフ「使い魔契約のリンクを頼りに フェイトをっ……!」Dimension Transport




ズガァァアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアアァアアアアッッッ

伽耶子『……っぎぃいやあぁああああああああぁぁぁぁあああああ』


フェイト「!!」ハッ

伽耶子『……な に……誰だ…………まさか』クル


術師「」グチャ


伽耶子『……いや………… 手 足 首 胴体もバラバラ 解体したパーツも念入りに刺させた これで死なない人間なんていない……』バチバチバチバチバチバチバチバチ

伽耶子『お前 か……フェイト……』metamorphose

プレシア「フェイト……! 何をしたの……?』

フェイト「……」グッ

バルディッシュ《Power charge》
バルディッシュ《get set》

フェイト「…………うん バルディッシュ」

バルディッシュ《yes sir》

プレシア『……フェイト……?」

フェイト「あれは……母さんの魔法だ」

バルディッシュ《scythe form》ジャキン

プレシア「!』

フェイト「母さんは私を見捨てたりなんてしない 母さんは私を愛してくれているんだ」

フェイト「……私の仕事はジュエルシードの捜索と 確保 ……邪魔をするのなら」

フェイト「お前は 斬る」

伽耶子『(……そうか)』

伽耶子『(この子の世界は わたしのものよりも 深くて 狭いのか)』

バルディッシュ《SLASH》

伽耶子「ッァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」catch scythe

ジジジジジジジジジジジジジジジジジジ

フェイト「サイススラッシュを素手で取った……」グルン

俊雄「 ニャー オー 」ガシ

フェイト「(子供? 柄で)」ブンッ

ガッ

フェイト「!」



佐伯剛雄「……痛ぇ……伽耶子……許さん……俊雄……俺の……」ガシ

小林俊介「何故……どうして……何で……俺が」ガシ

フェイト「この 放せっ……」

徳永和美「……あなた……母さん……あなた あなた あなた」ガシ

小林真奈美「何で 誰 どうして やめて」ガシ

フェイト「はぁッ!」slash

ズバッ ザシュッ

フェイト「……まだ!」

中田真理子「   」ァァアアアァ

仁科理佳「   」オオォォォ

フェイト「しつこいっ……」

ズシュ

フェイト「ジュエルシードを渡せッ!」

伽耶子「ォ゛ァ゛ァ゛ァ゛ォ゛」hair choke

フェイト「(髪の毛のバインド! 家の狭さと 壁の何処からでも出せる性質と合わさって確かに避け辛い 対処法は――)」Blitz Action

伽耶子「!」シュルルルルルルルルルルルルルルル

フェイト「(超速で肉薄 斬撃を見越させ ゼロ距離ランサーで回避ごと潰す!)」ゴォッ

summon WALL

フェイト「っ 壁ッ?」brake

術師「今だ カヤコ」

フェイト「死んだ筈じゃっ――」

シュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

transport

アルフ「させるか!」Photon Lancer

バシュバシュバシュバシュ

フェイト「アルフ!」

アルフ「遅れてごめんフェイト あの人に助けられたよ」グッ

フェイト「うん……」ジャキッ



伽耶子『憎い 憎い 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い お前達全員を殺す 殺してやるッ!!』髪髪髪髪髪髪髪髪髪髪

術師「吠えるのは一匹でも仕留めてからにしろこの陰湿メンヘラストーキングオナニスト」pray agreement bind(召喚獣契約拘束)

伽耶子『ッッぎぃィいィィイいいいいいッ!!!!』ギギギギギギギギギギギギギギギギ

フェイト「いい加減 消えてッ!」Thunder Smasher

術師「お前の仕事はあれの相手だ」summon WIRE MESH FENCE

伽耶子『髪を 金網に……』

バヂバヂバヂバチバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂバヂ

伽耶子「ギ ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛」

術師「ははははは アースだ! あッははははははは」sending magicpower

フェイト「……死体が無い……じゃあ本当に生き返ったんだ……」

アルフ「生き返っただって?」

術師「まるで私が化物のようじゃないか そもそも死んじゃいない、腸まで丹念に微塵切りにしてくれて悪いが まあ死にかけではあった」gggggggggggggggggggg

術師「さっきの雷に救われたのはお前達だけじゃなかったのさ」aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

フェイト「……」

術師「気になるか? いいよ 余裕あればだけど」ttttttttttttttttttttttttttttttttt

伽耶子「サァァァアァアァァモォォォォオオオオォオォオナァアァアァァアアアァァァアアアァ」

アルフ「邪っ魔ぁッッ!」ガッシャァァアアアァッ

術師「ああごめん じゃ短くしよう あの次元跳躍魔法を魔力に変換しました ごちそうさまです 終わり」eeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee

フェイト「母さんのサンダーレイジを? そんなこと……」Photon Lancer full auto fire

アルフ「ふッ!」Chain Bind

伽耶子『殺してやる 殺してやる 殺してやる 殺してやる!!』Bind brake

アルフ「ちィ 家が狭っ苦しい! リフォームしてあげるよッ!!」crash wall

伽耶子『この薄汚い獣めぇェええええエッッ!!!』hhhhhhhaaaaaaiiiiiiirrrrrrrr

フェイト「空間が取れた!」
バルディッシュ《Arc Saber》バシュアッ

術師「バリアを切り裂く鎌の刃か 魔法防御では食い破られる」aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa

summon GOLEM's
ゴーレム「……」ズズゥン

ドズン ズン ドスン……

アルフ「(硬そうなのを何匹も しかも一匹一匹が重い 床がッ……)」グラッ

術師「リフォームってのはこうやんだよッ!」ccccccccccccccccccc

ゴーレム「!!!」CRAAAAAAAAAAAAACK

ビシビシビシビキビキベキベキベキベキベキベキ
ゴシャァァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァアアッッッ

ゴーレム「……」protect master

術師「そうだいい子だ 歯は欠けたが今のところランダム召喚出じゃお前が一番使いやすい くれた奴に感謝だ」tttttttttttttttttttttttttttttttttt

伽耶子『許さない……わたしはお前を許さないぞサモナー わたしの家をよくもッ……ッッ』ズォォォオオオオォオオオ

術師「無駄だ 傷は深く魔力は潤い準備も整った サプライズでそれが前倒しされた今――」
術師「死神と狂犬と私からすれば 召喚されたお前はただの独り善がりで昼下がりな吐息が薔薇にならん醜女でしかない」iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii

伽耶子『……くく くくくく』

アルフ「おらァッ!!」Photon Lancer Multishot

ゴーレム「……」guard

アルフ「雁首揃えてどうした、来い! かかってきな!」

ゴーレム「……」get set

アルフ「時間稼ぎってわけかい フン 丁度いい」ニヤリ


術師「何が可笑しい? カヤコ 当ててやろうか? なあ 何で私がお前の名前を知ってると思う? 自己紹介はァ゛ァ゛ァ゛だけ」vvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvvv

術師「そうだ 読んだぜ 素晴らしい挿し絵と最高の写真も合わせて傑作娯楽小説だった 結末も含めて くくっ」
術師「くくくく コバヤシくん可哀想にね くくく 部屋汚されて くくくく」pgr

伽耶子『お ま え え え え え え ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ぇ ……っ!!!』

術師「お前のような惨めな女はひっそりと生きてひっそりと死んでいれば良かったんだ ただ男選びがクソだったのと、致命的なのは――――」
術師「下着がコットンだけってのがいただけなかった 一組くらいはなぁ エロいのをさぁ 持っとくべきだろ」

アルフ「(サイテー あいつ)」knuckle knuckle knuckle

術師「あんたそれでも女か ……ちょっと下がうるさくなってきたな ……ところで……」eeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee


アルフ「よし……フェイトっ!」


フェイト「――アルカス・クルタス・エイギアス」

フェイト「疾風なりし天神 今導きのもと撃ちかかれ……」

フェイト「バルエル・ザルエル・ブラウゼル――」


バルディッシュ《Photon Lancer》
バルディッシュ《Phalanx Shift》


フェイト「撃ち砕けッ――」


術師「ハーフィを渡すと思うか?」sending complete



gggggg G gggggggggg
aaaaaa A aaaaaaaaaaa
tttttt T tttttttttttttttttt
eeeeee E eeeeeeeeeeee

aaaaaaa A aaaaaaaaaaaaa
ccccccc C ccccccccccccc
ttttttt T tttttttttttttt
iiiiiii I iiiiiiiiiiiiiiiii
vvvvvvv V vvvvvvvvvvvvvv
eeeeeee E eeeeeeeeeee



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flying knee

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warp out


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ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



WPS「……崩壊して空中でバラバラになったものとばかり思ってたが違ったのか」

WPS「破片は浮いている あれは展開した状態なのか……どういう魔法だ」

鎧操者2「隊長 生きてる分の探知計器が荒ぶってます!」beep beep beep

鎧操者1「魔導鎧が凄まじい反応を拾ってるが 逃げなくていいのか」

WPS「狙いはここじゃない 近いが別の次元だ、大丈夫の筈だ」

鎧操者1「ならいいが 大した信頼関係だな」

鎧操者3「ありがとねスライム君 アーマーから引っ張り出してくれたり」

WPS「そうだな 太股をくれ」

flying knee

WPS「ひざじゃない」ゴボッ

鎧操者2「呑気してる場合じゃないですよ! 一際反応がッ……!」


warp out


フェイト「ファイヤァァアアーーーーッッ!!!」


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ



WPS「フェイト 呼び寄せたか」

術師「そうだ 側にお付きも呼んでる」ride GOLEM

泥棒「………………」ドサッ

WPS「わっ」

鎧操者1「……Mr.サモナー あれは一体」

術師「特定の魔力の持ち主をロックオンし 他の次元へ放り投げる とにかく遠くの次元へと」



ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ…………

フェイト「……き 効いていない……?」ハァ ハァ

アルフ「展開したゲートから……なんだアレ デカい腕……っ!?」Photon Lancer

グォォォオオオォォォオオオオオォオオォオォオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォオオオオォオォオオ…………

フェイト「くッ……!!」


   ガ   シ   



鎧操者3「握って……手が 閉じた」

術師「かつて帝国で魔法使い用の極刑として使われていたものが原型だ 大陸乱世に帝国王朝を築き上げ――」

術師「泰平の世には邪魔になり その中でも聞き分けの無い英雄達を骨休めさせるために作られた流刑魔法……」

WPS「握り潰すんじゃないのか」

術師「いやこれで終わりだ 手が閉じた瞬間にもうあの二人は跳ばされた」


スゥゥゥゥゥゥ……


鎧操者1「消えた……」

術師「またのお越しを……っ……」フラ

鎧操者1「しっかりしろ」グイ



術師「……はぁ、はぁ……機動隊の魔導鎧パイロットか……機体は大破……参ったな……」ゼェ ハァ ゼェ

WPS「今なら喰える!!」

鎧操者3「!?」

さくっ

WPS「」sting core

鎧操者2「……」
鎧操者3「」

術師「コントはいい どこだ……」つ出刃包丁

WPS「まあ送ってるの全部分身だし構わないんだがぽんぽん殺さんでくれよ 勿体無いじゃないか」ヒョコ ムシャモグ

鎧操者3「自分を食べてる……」

術師「Jかブラウンを呼べ……ドリアードでも悪かないがハーフィは駄目だ 奴とは口を効くな……」ハァー ハァー ハァー ハァー

WPS「用件は」

術師「一種の魔力失調 市販の安アンプルじゃ私には効かない」

術師「ステーキを安全にまだ食いたければ 急げ……奴をなんとかした後で」ゼェ ヒュゥ

WPS「?? !! あいつはどうした」

術師「今 拘束を振り払われた……」ハァー ハァー


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


伽耶子「………………ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」ニタァ…


鎧操者1「!」RDY armor magnum

術師「手傷は与えている……後は 機動隊でなんとかなると 思ったんだがな……」ゼェ ゼェ


WPS「装甲車とライフルマンは二分で犬肉に全滅させられた しかし随分消耗が激しい」tentacle setup

術師「爺を運べゴーレム 私は……」フラ

鎧操者1「2番3番殿を努めろ、あれを近付けるな 肩を貸す 走れるか」ドッゴォーン

WPS「うぉっ」ビリビリ

鎧操者2「了解」ドォーン ドゴォン
鎧操者3「はい!」ドゴン ドゴン ドゴン

術師「…………徹甲拳銃 鼓膜が破れそうだ……」クラ

伽耶子「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」シュンッ

鎧操者2「消えた」キョロ

術師「流石に 落ち着いてるな じゃ微力ながら……」summon CHAIN

伽耶子「ァ゛ァ゛ァ゛ッ――」シュバ

ジャラララララララララララララ

伽耶子「  ァ゛ ァ゛」bind

WPS「よし 無駄撃ちせずに済むな」acidgun form


BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM
ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛
ドゴンドゴンドゴンドゴンドゴンドゴン


鎧操者1「行くぞ ……あの紫の雷を人力で門の魔力に変換したのか?」

術師「……ああ……」

鎧操者1「廃人になってないのが不思議だよ スキャンダラスなだけではないんだな……」

術師「……喋らなくても気絶したりしない……気使わなくていいぞ……」

鎧操者1「運ぶだけならその方がやり易い」

術師「……よし ここでいい」ザッ


鎧操者1「何? 何をしてる まだ魔法を使うつもりなのか」

術師「……ドアの鍵を開ける…………招き入れる」draw circle

術師「恐らく……あの宝石……ジュエルシードが来てから なんだと思うが……この世界に来たがっている奴がいる……」ガリ

術師「カヤコが大分掻き乱したせいで 平時より次元が安定していない 繋ぐのに苦労しているようだ……」ガリ ガリ

鎧操者1「そいつの次元跳躍を手引きすると? 味方の保証はないのでは?」

術師「呼び水を掴ませて 来る分はそいつに負担させる ……これは召喚陣だ……」ガリ

術師「ダメならすぐに追い返すか殺す…… なんにせよ 弱らせて物理的に殺害できる今でなければ」ガリガリ

術師「Mrs.コットンランジェリーは いずれ ジュエルシードと魂由来の魔力からなる実体を振り切って……」ガリ

術師「呪いの怨念 "呪怨"とでも呼べる状態に戻る それが奴の本来の姿」ガリ ガリ

鎧操者1「呪怨……」

術師「意志を持った怪奇現象 それが佐伯伽耶子だ そうなったらもう手に負えない この世界は玩具箱になる」

術師「させねーよ 奴のじゃあない……」summon visitor



バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


術師「(……ちっ また大物か……? 頼むぞ)」

伽耶子「……!」バッ

WPS「いかん サモナー! まだ食べたいッ!!」

術師「普通に行ったぞと言えんのか鳥の糞が……」

術師「来いッ!」バチッ


外套の少年「……転移できた ここは……?」


鎧操者1「子供 この少年がそうなのか教授?」

術師「…………ああ……」フラァ

ドサッ

鎧操者1「く、限界か 君っ――――」ガシィッ

俊雄「   マー  」stretch neck


グイィィィイイイイィイイイイィイィイィィィィ

ブ ヂ ン


鎧操者1「」ドサ

伽耶子『死ね サモナー!』ヌッ

赤い石《"背後です"》
外套の少年「!」Circle Protection

guard

伽耶子『ッ……』バヂヂヂヂヂヂヂヂヂ

外套の少年「漸くこの世界に渡れた理屈は分からない でも来た理由はハッキリしてる……」

外套の少年「散らばったロストロギア ジュエルシードの回収 それが僕の責任だっ……!」chain bind

俊雄「   ! 」ジャラララララ

外套の少年「捕まえた けどこっちじゃない!」グイッ

俊雄「  」ドシャァアアッ

伽耶子「ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛」evade and hairbind

外套の少年「人間の暴走体? 素早いッ……」Round Shield


WPS「飼い主か? 晩飯か?」

術師「…………茶番はいいと 言ったはずだぞ……」

鎧操者3「隊長? 隊長! そんなっ……」

鎧操者2「あの少年を呼んだんですか? 勝てると?」

術師「……チラチラ出てくる魔方陣が見えるか? さっきの二人組のと酷く似てる 恐らくは同じ魔法の行使体系だ……」

術師「一瞬意識が飛んだが ジュエルシードのことを知っている様子も見えた……」

WPS「つまりまた簒奪目当てを引いたのか いいぞ 子供だ あの足がいい とてもいい」ジュルリ

術師「よせ ……優先はカヤコの再封印 ないし撃破だ 援護しろ いいな……」

WPS「仕方がない……」ピョン



外套の少年「喰らえッ!」Shoot Bullet

伽耶子「ァ゛ァ゛   ァ゛ァ゛ァ゛」ヒュンッ

外套の少年「(あいつが早いんじゃない、僕のが遅いんだ 魔力素が濃すぎて上手く制御できてないッ……)」

WPS「おい少年 よく来てくれたな 飼い主共々歓迎する」acid bullet

外套の少年「君はっ? 使い魔か、さっきの人の?」

WPS「あれはだらしのないことに奴とその他大勢との連戦で消耗してる 挨拶はオレが代わりに ぐぐぐぐ 初めまして」

WPS「単刀直入に聞くぞ あれを封印できるか?」

外套の少年「……その為にここに来たんだ」

WPS「頼もしい じゃあさっさとやろう」

伽耶子『何人来ようが同じだ 全員苦しめて殺す 殺し尽くしてやる』

WPS「ならば貴様の穴という穴を触手で埋めてやる」tentacle whip

伽耶子「ァ゛ァ゛ァ゛ッ」hair stinger

外套の少年「危ないっ!」Circle Protection

ガギン

WPS「おっと 気にしなくていいのに」シュバババババババババババ

外套の少年「よし 今だッ……!」Chain Bind

ジャラララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララララ
ニュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

伽耶子「  ッ 」dabble bind

外套の少年「回避方向が限定されたおかげで動きを読めた……行くぞ!」

外套の少年「広がれ 戒めの鎖!」 more chain

WPS「(っ? 引っ込めた方がいいな)」ニュルル

外套の少年「捕らえて堅めろ 封邪の檻!」chain chain chain chain

ギュルルルルルルルルルルルルルルル

伽耶子『鎖がッ……』

外套の少年「――アレスター チェーンっ!!」 グイィッ


KA-BOOOOOOOOOooooooon


WPS「引っ張って爆発 美味そうな顔と脚してえげつないやり方だ」

伽耶子「……ァ゛ッ……」ボロッ

外套の少年「行けるか……」

赤い石《yes, my master》

伽耶子『こ のっ……』hairhairhairhair



外套の少年「(接近!)」Protection Smash

伽耶子『盾ェえ が 邪魔だぁああぁああああああああぁあッッッ……!』ギリィッ

赤い石《Preparing to seal》

外套の少年「妙なる輝き 光となれ! 赦されざる者を 封印の輪に――」

外套の少年「ジュエルシード 封印!」


カッッッッッ


伽耶子「ァ゛ァ゛ァ゛  ォ゛   ォ゛    ォ゛ォ゛ォ゛オ゛  オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」

伽耶子『力 が ……ッ わたしの力ッッ……っッ!!』


WPS「あれが封印……ジュエルシードと そこから涌いた魔力だけ抜き取っているのか」

術師「…………カヤコは殆どガス欠だった 外付けの魔導炉を?げば 後は出涸らし……」pray repatriat

術師「さあ 帰る時間だ……」バチッ


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


伽耶子「ァ゛ァ゛……グ……オ゛ォ゛オ゛ッッ……」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


外套の少年「暴走元の人が、消えて……」

赤い石《sealing》

術師「…………」ゼェ ハァ

外套の少年「……あなたですね、僕の転送を手助けしてくれたのは……ありがとうございました」



外套の少年「(接近!)」Protection Smash

伽耶子『盾ェえ が 邪魔だぁああぁああああああああぁあッッッ……!』ギリィッ

赤い石《Preparing to seal》

外套の少年「妙なる輝き 光となれ! 赦されざる者を 封印の輪に――」

外套の少年「ジュエルシード 封印!」


カッッッッッ


伽耶子「ァ゛ァ゛ァ゛  ォ゛   ォ゛    ォ゛ォ゛ォ゛オ゛  オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」

伽耶子『力 が ……ッ わたしの力ッッ……っッ!!』


WPS「あれが封印……ジュエルシードと そこから涌いた魔力だけ抜き取っているのか」

術師「…………カヤコは殆どガス欠だった 外付けの魔導炉をもげば 後は出涸らし……」pray repatriat

術師「さあ 帰る時間だ……」バチッ


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


伽耶子「ァ゛ァ゛……グ……オ゛ォ゛オ゛ッッ……」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


外套の少年「暴走元の人が、消えて……」

赤い石《sealing》

術師「…………」ゼェ ハァ

外套の少年「……あなたですね、僕の転送を手助けしてくれたのは……ありがとうございました」



外套の少年「そして本当に申し訳ありませんでした 僕らの不手際のせいで、多くの被害が……」

術師「……気にしなくていいよ ……取り付いた奴が そう 例えば木とか 猫とか 初々しいカップルとかならもっと簡単に行った……」

術師「こういう類いのは扱う者次第だ…… カヤコの奴は最悪……」

術師「君はそこまでには見えない、見た目は…… 君が元々の持ち主?」

外套の少年「僕の一族が発掘した物です 僕がその現場の責任者でした」

外套の少年「移送中の事故で他の次元へ散ってしまって……」

術師「なら これで帰れるな……」

外套の少年「いいえ、ジュエルシードはこれ一つだけじゃないんですよ。ようやく一つ目で……」ハハ…

術師「(…………)」
術師「頑張ってくれ」

外套の少年「はい。本当に、ありがとうございました」

術師「……ちょっと聞いてもいいかな」

外套の少年「なんですか?」

術師「それはなんだ?」

外套の少年「?」

赤い石《"私のことですか"》

術師「意思がある 魔法行使の補助をさせているようだが」

外套の少年「ああ これは……このタイプはインテリジェントデバイスと言います 名前は――」

赤い石《初めまして "レイジングハート"です》

術師「……デバイス……」

外套の少年「使い方は仰る通りです。発動の補助としてとても重宝しますよ、ここみたいに魔力素の濃すぎる世界では 特に……」

術師「……それじゃ 君らの魔法体系ではあれで本調子じゃないってのか? ……ふざけてるな……」

外套の少年「(君ら?)」

術師「今幾つだ、十代も半ばまで行けば我々など足元にも及ばなくなるだろう」

術師「まったくゾっとしない 次があるなら穏便に関わりたいね……」

外套の少年「あはは、そんな……。じゃあ 僕はそろそろ」

術師「……ああ 気を付けて」


バリバリバリバリバリバリバリバリ



WPS「サモナー?」

術師「無理だ 敵わないとは言わんが、少なくともこの体たらくでは奪えない……」

WPS「なるほど」ヌロロロロロロ

術師「シッ」thrust knife

WPS「腕からか」グァッ

術師「……暴食馬鹿め」


ドッゴォーン


WPS「ゴ っぼ」ブヂュッ

鎧操者2「……普通 こんな頻繁に召喚獣が反逆することは逆に有り得ないのでは」shootdown

術師「うちは自由意思を尊重してる 私への害意を直接表すまでは……」

鎧操者2「傀儡には」

術師「しない…… つまらん」

鎧操者2「そういうものですか」

術師「彼は いや彼らはか どうだ」

鎧操者2「いいえ」


鎧操者1「」

鎧操者3「……」


術師「……そんなに強かったのか?」

鎧操者2「直接展開した隊員は装甲車ごと全滅 我々も三機一組の二班でこの有り様です 一人相手にです……」

鎧操者2「避難誘導協力に感謝します」

術師「帝都警察上層部の判断力と 毎度ながら魔法大学の傍若無人っぷりがつつき回されるだろうな……何も無ければ そう 圧力とか」

術師「こっちは久方ぶりに総長が出張るかも知れない お互い少々忙しくなりそうだ」


鎧操者2「……」

術師「フラつくんで私は座るが あんたは? 痔持ちならゴーレムはお勧めしない」スト

鎧操者2「ゴーレムといえば」チラ

泥棒「……………………」ボー

術師「爺か 大丈夫だ傷は塞いである ちょっと左腕が無いだけさ……」

術師「同情もいらない…… 今回の騒動の恐らく元凶だ」

鎧操者2「……何ですって?」


ファンファンファンファン……


鎧操者2「!」

術師「……一先ずの状況説明は頼んだ ……」ガク

鎧操者2「サモナー? 教授?」

術師「……私は 寝る」

キッ バタン

刑事「酷ぇなこりゃ……おい生きてんのか」

術師「………………」グテー

鎧操者2「眠ると言って 魔力欠乏が酷い、早急にアンプルの投与を」

刑事「状況を話したら念のためってついて来たんだが 功を奏したな」ガチャ

茶「サモナー! やっぱりまたはしゃぎ過ぎたのね、その内本当に死んじゃうわよ!!」ガサゴソ

茶「せっかくハーフィとか呼んだんだからもっと平和に過ごしたら? アウトドアなんてあなたらしくないわ!」ブスブスブスブスブスブスブスブスブスブス

術師「………………本っ当にうるせー声だな……」ガンガン

茶「あ起きちゃった まだ色々持ってきてたのに」

術師「一瞬でかぶれが出来てんだけど何 なにこれ」
術師「まさか注射痕かおい 腕だけ水疱瘡じゃねーか」ボツボツ

茶「! もしかしてまだフラついてる? 予後悪い? 大丈夫大丈夫いいのあるわよ!!!」ガサガサゴソゴソ

術師「はいはい後でな助けてくれてありがとう 先に仕事を片付けないと……」スッ

release GOLEM


刑事「腕 出せ」

泥棒「………………あ……」

刑事「爺さんすっかり元気だ あんたのおかげだぜ教授殿」

術師「ブラウン 先にあっちを」

茶「歳いってるし 持ってきたのあなた用だから……魔法使いじゃないんでしょう?」

術師「魂が欠けてる」

茶「あらっ! まぁ! そうなの? そう! フフ 気付け薬が必要ね フフフ ちょっとキツめのやつ フフフフ」

術師「倫理が欠けてる」

刑事「そうだね」

刑事「なんでもいい とにかくすぐに余計な報告の要らん状態にまで出来るんだろ」

茶「マッドブラウンの名に懸けて!!」

刑事「すげー不安だ」カチャ


ガチャリ





某次元


フェイト「……」

プレシア「おはようフェイト 早く支度なさい……」

フェイト「……? 母、さん……?」

プレシア「よく眠っていたようだけど "昨日"話したことは覚えているかしら?」

フェイト「…………昨日…… は、…… はい 覚えています」

フェイト「ジュエルシードの……探索」

プレシア「アルフが待っているわ 急ぎなさいね」

フェイト「はい 母さん……」



アルフ「……どういうつもりだ」

プレシア「……」

アルフ「答えな……なんで今回の分、フェイトの記憶を忘れさせたんだよ」

アルフ「失敗する度に添削してくつもりなのかい?」


プレシア「……」

アルフ「……使い魔に話す義理はないって? フン ああそうかよ」

アルフ「研究に向けてる一欠片だけでも 娘に愛情をやれないのか!」

プレシア「  」ギロ


Photon Bullet


アルフ「っ!!」ビスッ

プレシア「……フェイトは使い魔の作り方が下手ね……」

プレシア「忠犬と狂犬の区別がつかないようじゃ やっぱり出来損ないだわ……お前共々 アルフ」

アルフ「何だとッ……!」

プレシア「次は当てる 頬なんて言わず お望み通り腹を撃ち抜いてあげるわ」

プレシア「さぁ まだ私の時間を無駄にするつもりなの? お前と違ってあれは私の言うことをよく聞くのよ」

プレシア「"使い魔が研究の邪魔をする"と言ったらどうするかしらね……」

アルフ「フェイトはっ――」
プレシア「フェイトは?」

プレシア「お前を庇う? でしょうね 庇って……それから?」

プレシア「知ってるでしょう フェイトはイイ子よ……」

アルフ「……っ……」キッ

プレシア「早く行きなさい まだあれと一緒に居たければ、だけど」



プレシア「(……何故消したか ですって?)」


フェイト『……ごめんなさい、母さん……ごめんなさい……』

フェイト『次は もっと…… 上手くやります……から』

プレシア『……』chain release

ドサッ

フェイト『…………母さん……』

プレシア『何』

フェイト『私には……姉妹……が いるんですか……?』

プレシア『……………………何を言っているの?』

フェイト『名前を 聞いたんです……』
プレシア『いないわ』

フェイト『母さん 笑ってた かわいい猫とっ……』
プレシア『黙りなさい』

フェイト『アリシア……って……』
プレシア『黙れ』

フェイト『その子は アリシアは 今どこに――』
プレシア『…………』

プレシア『悪い子ね フェイト』



プレシア「……娘への愛情?」

プレシア「勿論あるわ 当たり前でしょう」

プレシア「それだけよ」



「………………」

「…………』

『…………』

『……』

『  』

『 』




「……あなたに 言いたいことがあって来ました」

「私は アリシア・テスタロッサじゃありません」

「あなたが造った ただの人形なのかも知れません」

「だけど 私は フェイト・テスタロッサは あなたに生み出してもらった……育ててもらった……」

「……あなたの娘です」


「ふふ……ふふふふ」
「あはは」
「ぁっははははは」

「だから何? 今さらあなたを娘と思えというの?」

「…………あなたが それを望むなら」

「……それを望むのなら 世界中の誰からも どんな出来事からも あなたを守る」

「私があなたの娘だからじゃない あなたが 私の母さんだからっ……!」

「……」


「……下らないわ」
「っ……」


「私は向かう アルハザードへ! そして全てを取り戻すッ……」

「過去も 未来も たった一つの幸福もっ……ッ!」

「母さん……っ!!」
「フェイト!」


「……一緒に行きましょう アリシア……」

「…………今度はもう 離れないように……」



『 』

『  』

『……』

『…………』

「…………』

「………………」




術師「全部で9個か」

少年「……それで これがジュエルシード?」

術師「手に持っているそれがかと聞かれれば はいそうです」

術師「どう見ても報告したものと違う 倒れた女性と培養槽の少女がかと聞かれれば いいえ違います」

術師「老化が止まっているのは見た目だけ? 白髪は駄目らしいですが」

少年「慎みたまえ」



少年「とにかく召喚は成功だ よくやった 帝国の発展のため、これらは有効活用させて貰おう」

術師「奴の話に乗られるんですか」

少年「私は私の見たものしか信じはしない 知っているだろう不出来で醜い愛弟子よ」

術師「貴方の尺度で言うのであれば醜さにかけて貴方に敵う者は存在しないのでは イェー。ツートップ」

少年「マジでクビにすんよ?」

術師「またまた」

少年「……向こうからの接触である以上そう時間はかからない筈だ」

少年「また呼ぶ 今度は少し人が増えるからそのつもりで」

術師「承知しました 総長」




【事件から一ヶ月後】





泥棒「…………」

泥棒「(…………ここは……)」


『被検体4017号 蘇生しました』

『早かったな 今日はもう終わりかと思っていたが このペースならもう少し続けられるだろう』
『次の実験の触りだけ見てみようか 準備してくれ――』

『了解しました』


「さっきので何回目だ?」

「後で記録係にでも聞け 人間が三つも四つも腹に機械を繋がれればああもなるか うん」

「もう喋れるんだな いい回復速度だ」

「噂の魔法石、実験してみたいな……許可が降りるかも分からないんだ 大学の変態共め」

「しかし趣味の悪い実験だよな 少なくとも死ぬってのだけは予想つく分」

『聞こえてるぞ 大事なのは"多分こうなるだろう"を一つずつ――』

『"やってみたらこうだった"に変えていくこと それが実験というものだ そうだろう』

『4017号 分かりますね……』


泥棒「…………」


「おい 被検体と喋っていいのか」

『発狂されては困る 精神の回復に時間がかかるのは君も知っているだろう』

『君こそ貴重な特殊実験素材をもっと丁重に扱うべきだ……』

「フン 違いない 高い買い物だったようだしな」


泥棒「……」


「……高い買い物?」

「知らないのか? あれだけ大暴れして身一つで娘の治療を買ったんだ この生命体は」

「"生命体"ね 魔法石、魔法生物との融合を経験した好実験素材」
「万が一命知らずのどこかにつつかれても"人間じゃない"から好きにできると」

「表向きには薬殺刑 実際はさる筋からここへ売られたって訳だ」

『……対魔法生物用鎮圧魔導兵器が時間的には適当なのでは? すぐに済みます』

『ガスと新型弾頭だったか 換気があるしガスは後回しだな……』

「その娘とは会えたのか?」

「分かるだろ」
「それに会わない方がいい 互いのためだ」

「……まあそうだな」

『五分で準備できる 待っていてくれ』


泥棒「……」ごろん


「どんな気分なんだろうな 殺されても生き返らせられるってのは」

「色んな薬も入ってる 内容を知ってる身からすれば落ち着いて見えるってだけで大したもんだ」

「正気なのか?」

「聞いてみろよ」ハハ

「そうだな じゃあ――」

「あ おい冗談だって……」



泥棒「(……娘はどうなった)」

泥棒「(ちゃんと医者がついたのか)」

泥棒「(奴らは約束を守った? 本当に?)」

泥棒「(疑問は尽きねぇのに 知りたいとまで思わねぇ 気力が湧かねぇ)」

泥棒「(おかしくなってる 薬もそうだし 魂を削ったってのも関係あんのか)」

泥棒「(……だが)」

ガチャ

『時間だ 開いたドアに従って進んでくれ 杖、転ばないように』

『足は次の魔導実験には必要ないから後回しにする 終了後に生やす処置をしておくから心配しないように』

「4017号さん 気分はどうだ?」

『何をやってる』
『彼に何を聞いても……』

泥棒「娘はどうなった」

『……そら……またこれだ』
『何度も言ったが大丈夫だ 帝国一番の医者が責任を持って治しにかかっている』
『これはあなたの身元を送ってきた所の意向でもある、反故にはできない いいから進んで』

泥棒「……娘はどうなった……娘は」ブツ ブツ

カツ カツ カツ

『……本当に心配いらない』
『4017号 あなたは犯罪者のモルモットだが、今の時点でもあなたの帝国への貢献は凄まじいものがあるんですよ』
『あの技術は間違いなく魔導史を揺さぶる――』

泥棒「…………」

カツ……カツ……カツ……

泥棒「(どうでもいい)」
泥棒「(俺にとって大事で 確かなのは これが安い買い物だったってことだけだ)」

泥棒「次は 先生」




事件から一週間後





車掌「申し訳ございません、当乗合は今のお客様で満員でして……」

半鳥「あ ……本当ですね 二階席は?」

車掌「はい、二階席もです……」


おっさん「……」チラ

半鳥「……これは 乗れなくてラッキーだったのかしら」

スク

おっさん「……亜人の嬢ちゃん! 俺立つよ 二階のここ座りな」

半鳥「え……?」

車掌「お客様、走行中は危険ですからできれば座って――」

おっさん「おたくらが安全運転すりゃ問題ないだろ そうだろ? すぐ降りるし 転んだぐらいじゃ文句言わんよ」

車掌「そこまで言うんでしたら……」

半鳥「……では、乗ります……」


魔法大学 廊下


半鳥「ってことが今朝あったの」

ドリアード「ああ、そうなの……」

茶「あら! 召喚魔法研究室の名誉助手、栄えある1号ちゃんとアイドル兼任2号じゃない!」

ドリアード「ブ ラ ウ ン」

茶「あっ それでこれが雑誌の仕事の振込明細ね! 口座無いと思って作っといたから」はい

ドリアード「……………………………………これは」まじまじ

半鳥「ドリアードちゃんドリアードちゃん 札束でひっ叩かれてるわ」

ドリアード「はっ」
ドリアード「こんなもんで私を懐柔できるだなんて思わないでくれない? 一応身内じゃ賢木の精で通ってるのよ……………………」チラチラソワソワ

茶「心配しなくてもそれはあなたのものよドリアードちゃん、あなたが自由に使っていいのよ。ふふふ……」

茶「ところで何の話をしながらどこへ向かってるのかしら?」

半鳥「話? いえ 来る途中で前に喧嘩したおじさんとまた会っちゃったって話で」

茶「ゴーレムでぶっ飛ばしたってヤツね。サモナーから聞いたわ 先週の宝石強盗事件の後で」


半鳥「なんでも娘さんの夜遊びが激しいらしくて 気が立ってたから当たっちゃったんだって謝られたんです」

半鳥「教授の言った通り 話してみないと分からないこともあるのね って……」

茶「そりゃあそうよー。それが分からなくちゃ勿体無いわ! カッとなった時こそ落ち着く! 視点を広く持つの」

茶「多角的に物事を捉えなくちゃ、例え自分の経験したことでだってね。何をどうするにしたって情報と発想は多いに越したことないわ」

半鳥「そうですね……けどごめんなさい なんだかブラウン教授がちゃんとしたこと言うとビックリします……」

茶「じゃあこれでもう一個勉強できたってことねハーフィ。うふふふ」

ドリアード「……でっ! どこへ向かってるなんて何でわざわざ聞くのよ 研究室に決まってるでしょ」

茶「うん そー思ったから呼び止めたの サモナーなら珍しく講義よ、担当の教授が空けちゃったんで臨時の代理ね」

茶「それはあともう少しで終わるけど、今日はちょっと忙しくなりそう……」

ドリアード「そうなの」


半鳥「久しぶりに 助手みたいなことをするんですか?」

茶「それは彼次第だからなんとも言えないけど……とにかく研究室で待っててあげて。じゃあ私は行くわね!」

茶「ああそれとハーフィ 今日は服が全体的に白いわね!」

半鳥「……ええ」

茶「なんだか喋り方や佇まいまで大人しげだし…… 何 風邪でも引いてるの? まぁまぁかわいいからいいけど!」bye

半鳥「それじゃあ また……」フリフリ

ドリアード「…………」



術師「……以上をもって召喚魔法の講義を終了とする 代打のゲリラ開講にも関わらずこれだけ集まってくれた生徒諸君らに感謝したい」

術師「と共に謝罪を 取ってない連中まで大勢来るなら端っこの教室じゃなく大きな部屋を使わせて貰うべきだったな」

「使えるんですか?」

術師「勿論」

術師「同じ時間にやってる算術魔法や攻性魔法 各種魔導研究の講義には顔を出さず――」

術師「元のやつ共々 こんな益体もない万物アブダクションに貴重ォーな時間を割く君らの為なら 喜んで」

術師「しかし 担当教授が法事とか抜かしやがって急遽こうなった訳だが 大体元のこの枠の講義取ってるのはどういう奴なんだ?」

術師「講義名"啓蒙"だぞ"啓蒙" 去年テスト中に発狂して精神病院行った生徒がいるのは知ってんだろうな」

「単位っス教授 単位……」

術師「テケリリとか鳴かされてる奴はいないか」

術師「見えてなかったデカブツに握り潰される幻覚を見た者は? ふむ 今年は某か足りてる連中揃いってことかな」

「正直後悔してます」

術師「伝えとく」

pray STINGER TENTACLE

術師「元気があって大変よろしい」pray CIRCLE WALL

「うわああ俺の槍触手が跳ね返されっ――ぎゃあああああああ!!」

「キモっ うわ何それお前の魔法キモっ イカ? タコ?」

術師「盛んな血気に免じて今回の講義における君の評価は上々ってことにしとこう」

術師「その触手の魔法もいい感じ うん 凄く啓蒙してると思うよ なんか」

術師「他に評価を上げたい者は? いない? よしじゃあ終わりだ終わり」


「教授 たまの講義ですし質問とかさせてくれないんですか?」

術師「やだ こう見えて私は忙しい」

術師「実演を交えてわざと分かりやすくクドクドやったのも時間一杯使うためだ ふはは眠かったろ 寝てもよかったんだぞ」テキパキ

術師「レポートは適当に目を通しておくから次回啓蒙の教授に渡しておくように レポートのお題はなんだった?」

「召喚魔法による次元的差異に起因する被召喚対象との時間軸歪曲についてです」

術師「まあ当たり前のことだというのは当然分かってくれていると思うが 今回のレポートを――」

術師「一言の説明で終わるテーマを延々と引き伸ばして書き連ねる練習としてくれれば幸いだ」

術師「潰しの効かない魔法使いだしな たまには普通の処世術を教えてもいいだろう」

「流石 説得力違いますね」

術師「その通り 始末書を書くのにも役立つ技だぞ」

術師「ノルマ1000行な」

BOOOOOOOoooooooo

術師「じゃっ お偉方とマイスウィート助手二名が待ってるのでこれで失礼」


「教授の変態ー! 未成年淫行で取っ捕まっちゃえー!」
「死ね」
「教授はロリコンなんじゃないかって魔導研究者はみんな知ってんだぜ!」
「ズーフィリアー! 毛羽フェチー! 好き者ー!」
「木に欲情する変質者ー! 拝金主義ー! ロリのサディストー!」
「人外魔境ー! ロリハー! 酒池肉林ー! お取り寄セフレー!」
「ゲンジ・ヒカル計画 実在していたのか……!」


術師「私が手ェ出すかどうかで賭けてるなら教えてくれよ オッズ高い方に全財産賭けて実行する」

術師「破産覚悟でブックメーカーやる奴? いない? なんだつまらん じゃあな」




術師「ふう いつも思うが校内は無駄に広い 空間魔法で広げてるにしてもやり過ぎだろうが」ツカツカ

J「病み上がりの身には堪えるかい? 友よ」

術師「我が親友の二足歩行猫じゃないか 丁度良かった」

J「?」

術師「総長は年だそうだしな」

J「そうは見えんが そうなのか」

術師「さあ」

J「???」

術師「研究室来る?」

J「……行こう 一息つきたい」

J「で ハーフィの具合は」

術師「かなり悪い 深窓の令嬢然としつつある」

J「君の嫌いなタイプだったか?」

術師「迷ってるが このままだと飽きて手を出してしまいそうだ 亜人はまだなんで興味もあるし」

J「……今度ドラゴンのステーキが美味い所に連れて行ってやるから そろそろそれやめにしないか」


術師「戸籍のある奴は食わん それに心配するな、犬猫は油泡が凄いそうじゃないか」

J「そーいうこと言ってんじゃねーから」

術師「生来の魔力炉たる脳や心臓には確かに魔力増強作用があった」

術師「医食同源ってね 普通の魔法使い以上に私にとって魔力の有無は死活問題だからな」

J「それは知ってるが……」

術師「美味いしィ~」

J「それはありえん」

術師「とりあえず癖の無い所からいってみないか? 二の腕とか乳房とか 腕を振るうぞ、魔力も増すし」

J「やめろやめろやめろ昼食まだなんだ それにこれ以上強くなってどうする」

J「友よ もう個の強さが物を言う時代は斜陽を通り越して夜に差しかかっているのだ」

J「一人のメイジメイガスに寄って集って十人で銃弾を叩き込むのが最新のトレンドだ それが分からん君ではないだろ」

術師「突然どうした」

J「……すまない 例えが軍事になってしまうのは私が大量虐殺畑のメイジのスカラーだからだ」

J「それはいい 私が言いたいのはな、最近の君の活躍についてだよ」

術師「……」

J「トップからしてそういう人間が据わってる溜まり場な上 君はその直接の弟子な訳だから筋といえばそうなのだろうが」

J「名声は柵を呼ぶばかりだぞ 陳腐な事物に煩わされる君なんて見たくない 師を見ろ」

術師「昼間からマタタビでもキめてやがるのか」

J「…………あ いや 最後の方オフレコでお願いします」

術師「私の手料理を食べるということで手を打とう」

J「っサモナー!」

術師「真に受けるなよ ここは軍部じゃないんだから」

術師「……そうそう で丁度いいってのはだな」

術師「念のための触媒の確保に協力して欲しいんだ」

J「触媒?」



半鳥「(帝都で起こった"宝石強盗事件"から一週間が過ぎた)」

半鳥「(なんて 訳知り顔で言ってるわたしも報道されてる以外のことはそこまで詳しくは知らない)」

半鳥「(教授達とかとちょこちょこ話してみて分かったのは、)」


刑事『事件の捜査状況について外部に話すことはできない それくらいは分かるだろハーフィ』tell

刑事『……いや駄目だ そいつは賄賂になっちまうからな 論外だ 駄目』

刑事『………………だが一発で口臭が治る薬ってのは話半分に聞くだけ聞いてやらんこともないこともないぞ あくまで あくまでプライベートな話として』


半鳥「(帝都警察では早々に事件が片付いたということ、なのに偉い人から直々に敷かれた箝口令がまだ生きているということ)」


刑事『この件は 俺はまだ終わってねェと見てる』

刑事『無論俺らなんかの手からはもう離れてる いつもの水面下でってヤツだ』

刑事『犯人は挙がり、邪魔者は教授殿がボッシュート、俺は失態と上の思惑が差し引きして辛うじて手柄になった』

刑事『これが全て それで終わりだ』

半鳥『……』

刑事『納得いかねェって沈黙だな だが納得しろこれ以上は無ぇ 何も』
刑事『もういいか?』

半鳥『……ええ 分かりました』

刑事『んンッ! それでだな――』

半鳥『勿論薬の件はしっかりやります 多分やれるんじゃありませんか 相談してみますね』

半鳥『ブラウン教授に』ニコ

刑事『? ……!? おい既製品の話じゃなかったのかよ!?』

刑事『おい! ちょっと待てコラてめェ、人の悩みをn』ガチャン


半鳥「(……どうして わたしが首を突っ込みたがるか?)」チラ

シュル…

半鳥「……髪、動かせる……わたしの場合は羽根も ね……」

半鳥「(銃弾を使った召喚魔法の実験をしている途中で、気が付いたら読んでた……"読めてた"あの日記)」

半鳥「(吸い込まれるようにわたしは読んでた 文字も分からないのに そこからおかしくなってるのが自分でも分かる)」

半鳥「(どんどん他人のようになっていってる)」

半鳥「(こんな動き辛い、飛びにくい服はわたしの趣味じゃない 袖があると腕の翼を広げられないから)」

半鳥「(さっき言われた喋り方もそう、ずっと前からこんなだったみたいに……なってる)」

半鳥「(最初に服を見せた時の教授の反応からして 例の事件とあの日記が現れたのは無関係じゃない気がする)」

半鳥「(何よりも怖いのは……段々慣れてきてる 危機感が薄れていってる……わたしが私じゃなくなっていくことに)」

半鳥「(…………あの幽霊になっていくことに)」

ガチャ

半鳥「……教授?」

術師「おはよう 昼だが」
術師「待ってたって顔だな」

半鳥「ええ」

J「……」
術師「な」


術師「ドリアードは?」

半鳥「買い物に 遅くなるって」

術師「そうか 好都合だな」

半鳥「? ……教授 ブラウン教授から聞いたの、今日は忙しいって」

半鳥「ねえ それって先週の事件のことでなの そうなんでしょう」

術師「J やってくれ」

J「……これを君にかけるのは気が引けるな」pray SOUL TRAP

半鳥「……教、」

フッ

半鳥「授……?」フラ

術師「よっ」ガシ

J「役得かな」つ魂石

術師「薄い チマい 細い 青い 砂肝嫌い 羽根が邪魔」

術師「鳥肌キモい 足が鳥の趾(あしゆび)っぽくなっててキモい さっきはああ言ったがやっぱ無いな」

J「ダメだこりゃ」やれやれ

J「長時間の部分魂縛が負担をかけることは無論知っているよな もう行くんだろう」

術師「ああ」ヨイショ

半鳥「ぅぐぇ……」ドサ

J「樽じゃないんだから……せめて横抱きにして運んでやらないか」

術師「行くぞ ……っと」

マンチカン「フゥゥゥゥゥゥ」
髪蛇「シェアァァァァァァァ」

術師「大丈夫だ心配するな」

術師「あんな女如きにどうこうされてたまるか そうだろ? ちゃんと元に戻す 待ってろ」

マンチカン「……」
髪蛇「……」シューシュー

J「ソファーは腰に悪いからな その心配をしてるのだろう」

術師「ベッドでも置けと」

J「ふ 引きこもりが捗るかもしれんぞ」

J「気を付けてな」

術師「ありがとう……何を?」

J「水臭い 行けよ」



大学内 某所



ガチャ

術師「遅くなりました」


総長「講義には遅れず出た癖に」

術師「未来ある生徒達を待たせる訳にはいきませんからね」

「成程 我々二人が待たされるのは理に敵っているということだな、Mr.サモナー」

術師「……これはどうも 直接お会いするのは初めてですね、お噂はJから予々」

術師「こう薄暗くては寡黙な護衛の数の多さが不気味です 帝国陸軍大将殿」

護衛's「「「……」」」

陸軍大将「ボーリングのピンを増やすようなものだと総長殿には言われてしまったのだがね」ハハハ

陸軍大将「これが彼らの仕事だ ま この部屋はだだっ広いし悪く思わんでくれ」

術師「……僭越ながら 言い得て妙かと」

陸軍大将「傲岸不遜で通っている君にそんな顔で言わせる程の 取引なのか ほほう」

総長「向こうの準備も整っている 後はこちらから繋ぐだけだよ」

術師「せっかち過ぎやしませんか」

総長「時は金なり 大将もよろしいか」

陸軍大将「ご随意に」

総長「おい 何か用意をしているのならいつでも出せるようにしておきたまえよ」

術師「何でもお見通しですか」つ魂石

総長「いざ」open GATE


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ



白衣の男「……揃ったようだ」


総長「遅くなって申し訳ない」

白衣の男「いや構わない 最初からそちらで足を用意して貰えるという話だったが――」

白衣の男「実際助かった この次元世界はこちらからだと繋ぎ辛くてね……」

術師「音声越し一週間振りか いいスーツだ 白衣の下の」

白衣の男「君もなサモナー 大学総長と……?」

陸軍大将「ゲストだ」

白衣の男「……」

術師「秘書は? まさか本人が来るとは思わなんだ」

白衣の男「誠意だよ サプライズに貢献してくれることへの フフフ」

白衣の男「それに一人で来た訳じゃない」

ザッ

無人兵器『『『   』』』

白衣護衛「……」

護衛's「「!」」ジャキッ
陸軍大将「撃つな」

術師「愛嬌のあるデザインですねあれ 総長」

総長「通してる以上感知してはいる、安心したまえ」

術師「自分の身は自分で守れと」summon

ズ ル リ……

伽耶子『     』

総長「人の魂石に何故悪霊が因んでいるんだ いい趣味をしている」

白衣の男「下がれ 問題ない」

白衣の男「さて挨拶はこれくらいでいいかな」

総長「どれを持ってきた?」つ鞄

白衣の男「言っていた物は全部 といっても手に入る範囲でだがね」クイ

無人兵器『   』ガシャン パカ

白衣の男「ご所望の各種デバイスだ カートリッジ類のオマケもつけておいた」


陸軍大将「……この機械 人が乗っていない……」

白衣の男「欲しいならそれもサービスしようか 荷物持ちがいるだろう」

白衣の男「総長 次はそちらの番だが」

総長「……」カパ

白衣の男「おぉ……間違いない、PT事件の立役者 失われし物とされていた」

白衣の男「ハハハハハ やはり君達に頼んで正解だったよ……しかし」

白衣の男「取り寄せに成功したジュエルシードは 4つ だけかい?」

術師「ああそうだ」

白衣の男「即答だ」

術師「言及されると予想していたからな」

術師「術者である私の沽券に関わる話だが、力不足は認める他ない」

術師「すまない……」

総長「……」

白衣の男「(…………)」
術師「(…………)」

白衣の男「…………まあ、いいだろう」

白衣の男「取引成立だ」

術師「良かった」

総長「……では」スッ

白衣護衛「こちらに」

無人兵器『  』ガション

総長「これの扱い方は?」

白衣の男「普通に命令すればいい」

総長「ふむ "私の弟子に向けAMFを展開"」

術師「?」

無人兵器『   』active Anti-Magilink-Field

術師「……!?」ガクッ

総長「まあお前ならそうなるだろうね」

白衣の男「? ……ほう そうか 成程……」

陸軍大将「サモナー? 総長殿 何を?」

術師「ッ……こいつは……」グググググ

総長「"停止"」

無人兵器『   』stop

術師「っはぁ! …………ふぅ、久々に死にかけた……くたばれショタジジィ」

総長「またまた」

白衣の男「少々の調整を施せばここの魔法体系にも有効に働くだろう」

術師「余計な物までつけてくれたな……」

白衣の男「そう誉めないでくれ」


白衣の男「ところでサモナー 少しの間私の所へ来る気はないかな?」

術師「何か デカい仕事があるとか言ってたな」

白衣の男「愉しいことだ」ニィ

白衣の男「他の馬鹿共ならいざ知らず 君なら私と一緒に楽しめるだろう そこは保証するよ……」

術師「美女に囲まれてという点は非常~に魅力的だな 何匹かくれるなら考えよう」

白衣の男「難しい条件だ……」

術師「真顔になるなよ 冗談だって おいおいホムンクルスの目があんたの目付き並みに怖いぞ……」
術師「襲わせないでくれ匹で数えたのは謝るから 言葉の綾!」

術師「悪いが ここを気に入ってる」

術師「今は弟子が面白い」

白衣の男「……残念だよ」


総長「とても有意義な取引だった 感謝します」

白衣の男「こちらこそ……」ス

術師「愉しみとやらが上手く行くことを願っている」

術師「Dr.スカリエッティ」


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


術師「……」

陸軍大将「……」

総長「……」

術師「行った?」

総長「荷物持ち君以外は」コンコン

陸軍大将「……いや 私も久方ぶりだ、空気を張り詰める殺気に中てられたのは」

総長「お前のせいだぞ弟子よ 大将殿が心臓発作を起こしたらどうするつもりだったのだ」

陸軍大将「はは、そこまでヤワではない……つもりだが 死にかけた感はあったなサモナー お互いに」

術師「全くです 総長これからはどうぞ夜道に気を付けて」

総長「夜道で悲鳴を上げる 美 少年と襲いかかる魔法大学の問題児? ショタコンの評まで冠したいと 絶倫さんめ」

総長「さて大将殿 あなたに同席していただいた理由はお分かりですかな」

陸軍大将「皇帝陛下の御為、帝国軍へこれを導入する際の橋渡しを……といったところか」

陸軍大将「どれくらいかかります」

総長「解析から始めるとして…… 機構部分はこちらの技術に合わせた物とせねばなりませんから」

総長「帝国の工業力に見合った形へデバイスを造り替える所からでしょうな 早くて二週間か……」

術師「付呪魔法教授ならあなたの一声で動くでしょうが 肝心の魔導機構学教授は分かりませんよ」

陸軍大将「分からない とは?」

術師「えーと……」

総長「東方の島国へ行っています 食べ物のラーメンを極めるために」

陸軍大将「は?」

総長「呼び戻しますので問題ありません 心配なさらず」

術師「一応休暇取って行ってるんですがね……」

総長「大学在籍者である前に帝国臣民でいたければ 必要とされ得る時に協力しなければならない」

陸軍大将「素晴らしいお心掛けです」

術師「(アホか)」

陸軍大将「それでですな…… 肝心のデバイスの能力を私はまだ見れていない」

陸軍大将「総長殿の言を信用していない訳ではないが……」

総長「勿論 魔法の使える兵士を一人お借りしても?」

陸軍大将「どうぞ おい」

護衛「はっ」


……


陸軍大将「――仔細についてはまた日を改めて詰めていきましょう 今日はいいものが見れた 総長殿」

陸軍大将「総長殿がストレージデバイスに封入した魔法を扱った者と それを見る兵の目を見られたか?」

術師「山盛りの玩具を見た子供のようでした」

陸軍大将「そんな気分だよ……フフフフ これは楽しみだ……」

ザッ ザッ ザッ…


術師「帰りますか」

総長「ツッコミ待ちか」
総長「その悪霊 護衛と魔法試射の的にするためだけに呼んだのではないのだろ」

術師「流石は総長」


伽耶子『  こ  ろ   し て     や』


術師「憑依している人間の魂石がこれです 触媒とするために部分魂縛をかけて封印しました」agreeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeement bind

総長「?」

術師「この一週間お忙しいようでしたから お時間を見ていたので部分魂縛が必要な程まで結合が進んだんです」

術師「引き剥がすのを手伝って頂きたい」

総長「ああ……お前が頭を下げても聞かないだろうからね 死霊術研究の彼女は」

術師「頼めますか」

総長「随分と殊勝だ 弟子にでも憑かれたのかな」

術師「……」

総長「え 本当に?」

総長「それは…………はは そうかい そうかい 分かった、お願いしておくよ」

術師「ありがとうございます」

総長「ただ見るからに強烈な悪霊だからね、彼女の力を持ってして影響が残ることも十分考えられる 分かっていると思うが」

術師「お願いします」

総長「今度は大成させたまえ 私のようにね」

術師「……どうでしょうね」


術師「そういえば――」

総長「なんだね?」pray FORCED VANISH

バシュッ

伽耶子「     ァ゛  

術師「(人の喚んだ奴を召喚契約ごと消した 化物が……)」

総長「どうした 話したまえ」ニヤリ

術師「…………そういえば 彼女らはどうなさったんですか」

総長「彼女ら?」

術師「一番最初、未回収のジュエルシードを喚んだ折 9個と一緒に来た二人……」

術師「保存槽の肉体は死んでいたように見えましたが」

総長「ああ 二人とも私の息がかかった病院にいるよ」

術師「二人とも?」

総長「成人女性の方は あれからずっと治療に当たっているが目を覚まさないそうだ」

総長「原因は不明 外傷や傷付いた内臓など外科的に手の施せるところは全て治した が、それでも起きない」

術師「植物人間」

総長「まだ魔導治療に移っていないからね そちらも試して駄目ならそうだな」

総長「少女についてだが……」

術師「埋葬したとか」

総長「まずそれを考えたよ だが状態を見てやめた」

術師「確かに 鑑賞用として趣味の良い調度になりそうですからね」

総長「相変わらず幾つになっても口の減らない子だ……」

総長「少女の肉体保存は完璧だったんだ やろうと思えばいつでも我々の力で蘇生させられる程に」

総長「採取した生体情報を魔導的に照らし合わせた結果分かったのだが、彼女らは親子だ」

術師「…………また親子か」

総長「母親がその死を認められず娘を保存したという所だろう 他の多くの世界では禁忌・不可能とされる死者蘇生を目指して」

術師「そういうことなら……彼女の愛情の程は身をもって知っています そのイカれ具合も」

総長「?」

術師「いえ それで?」

総長「近親者がいるなら蘇生には許可が絶対だからね 多少なりともの変性は覚悟して貰わねばならないから」

術師「随分と殊勝だ」

総長「慎みたまえ とにかく現状は愛多き母の覚醒待ちだ」

総長「……フフ つまらなそうな顔をして 親子愛は嫌いかな?」

術師「先に戻ります」

総長「拗ねることはないだろうに」

ガチャ


総長「……は ならとっとと女の一人でも引っ掻ければいいだろうに」






『"新技術〈デバイス〉発表 魔法大学、魔導文明に革命か 高度魔法の使用が容易に"』

『"試作一号機デモンストレーション 単独での戦術魔法発動に成功 機械の杖"』

『"帝国軍部デバイス導入に本腰 特化部隊の育成 陸軍大将「敵は周辺諸国ではなく予算委員会」"』

『"魔導技術体系の変遷? 各界騒乱、賛否両論「デバイス・ショック」"』

『"教会関係者苦言「神秘を堕とす傲慢」「我々は銃器発明直後の混迷を再び見ることになる」"』

『"「不透明な開発経緯」魔導技術者懸念"』

『"ジュエルシード事件首謀者死刑執行"』

『"市民団体がジュエルシード事件と歩行植物の関連性を指摘 ブラウン教授失笑"』




次は↓


帝都魔法大学
魔導工学棟 魔導機構学研究室


半鳥「ぃよっ……」グイッ

ブルルル… ブルルル…

半鳥「……かかんない! ダメじゃんこれ、本当に動くんですかー!?」

機構教授「はははは…… 壊れてはいないよ」

術師「腕力の問題じゃあないな、魔導炉かけるコツが掴めてないか」

術師「魔導耕運機とかチェーンソーとか 農業機械を使った経験があればそのままなイメージなんだがな 起動した感じ」

機構教授「まあ そんな風に落ち着いたね」

機構教授「発動補助・魔法記憶を担う心臓部と、本体始動と魔力増幅を行う補助魔導炉を頭に――」
機構教授「柄には利き手に合わせて位置を調整出来る手動発動用ピストルグリップを付けた」
機構教授「大分上が嵩張ったから石突きにウェイトを増やしてバランスを取ってる」

機構教授「大出力魔法に備えて部品単位で全体の耐久性も見ているから、ティーンの子が持つのは相当……」

半鳥「ええい 動け! 動けおらぁ!」ブンブン

機構教授「……ああ、彼女は亜人だったか 腕の羽根とサンダルの爪目立たせないと忘れるな」

術師「ハーピィ種とのハーフだけどな ……振ってどうする鳥頭、魔法の杖じゃないんだぞ」

半鳥「魔法の杖でしょ! かけるだけやってくれたっていーじゃんそんな離れたとこで見てないで!」

術師「私はもう一仕事したから 後はお前の仕事だ助手よ」

半鳥「イジワル!!」ブルルル… ブルルル…


術師「待機形体の再現はやっぱキツいか」

機構教授「起動するのにだってスターターの紐を引かせてるんだよ 僕らの技術じゃまだまだ無理無理」

機構教授「この上、インテリジェントデバイスとやらは意志まであるんだろう? 話だけではもう想像もつかないよ」

「お話し中すみません、今総長が追加のデバイス関連資料をお持ちになられました Dr.ヌードル」

機構教授→麺「また総長自らか 確かに誰よりも早く動けるんだろうけれどねえ」

術師「人間不信だからな」

麺「それは初耳だ」

術師「そりゃそうだろ今適当に考えた 流布していいぞ」

麺「……君も、その辺にしておきなよ 人の悪口は関心しないぞ」

術師「優等生ぶりやがって」ハッ

術師「お前に誠実さを見てあそこで働いてる助手共全員に、一晩で娼館三つと立ちんぼ五人と――」

術師「行きずりの女十数人にそいつら引っかけたバーのウェイトレス半数を ウィスキー一杯で"菜斬り"にした伝説話してやりてーよ」

麺「あれは一夜の過ちあれは一夜の過ちあれは一夜の過ちあれは一夜の過ちあれは一夜の過ち……」ブツブツブツブツ

術師「もっと自分を解放しろ……奔放に生きていいんだメン食い博士……」ガシ
術師「たっぷり眠ることが許されない以上、クリアできてる食欲の次は性欲といこうじゃないか……なあ……」ボソ…

麺「うごごごごごごごごごごごごggggggggggggggg」ガクガクガクガクガクガク

機構助手「うちの教授で遊ばないでください」
機構助手「強制のお休み明けで仕事溜まってるんです お暇な貴方と違って」

術師「だからこそ小休止が必要なんだ彼のために文句は言わせん お忙し過ぎて多忙に快楽を覚えると終いにはレスるぞお姉さん」

機構助手「訴えますよ?」

術師「これは申し訳ない忙しいんだから相手なんかいなかったなぁ! はははははははははは」ユッサユッサ

術師「どうです相手いない者同士?」

機構助手「……っ本ッ当に下品な人! 早くテスター済ませて帰ってください、じゃ!」

術師「おい おい 今の反応見たか? 列伝披露は彼女からにしよう――」

麺「離れてくれ! アルコールと香水と妙な焼肉の匂いがするぅ!」バッ


術師「えー……? 鼻の良さは褒めてやるがそれぞれ一昨日と五日前と 最後のは先週のどっかだぞ」

術師「まーいーや、こっちは適当にやっとくから戻ってくれDr.ヌードル」

麺「言われなくてもそうする! まったく、デキるんだからもっと真面目にやったらどうなんだ!」ツカツカ


半鳥「教授さあ ほんといい性格してるよね」ブルルル…

半鳥「こないだ年輩の生徒さんから教会のシスターの電話番号貰ったんだけど 言い辛いことあったら相談してみなって」ブルルル…

術師「でかした」

半鳥「暴行事件被害者とかのカウンセリングやってる人でしたよ 色々活躍してんのに何やらかしたらこんな評判になんの?」ブルルル…

術師「嫉妬だハーフィ嫉妬 出る杭は打たれる……」

術師「優れ過ぎ世に貢献しまくっていることが必ずしも称賛を呼ぶばかりではないのです迷い子よ どう? いけそう?」

半鳥「うん 何が?」ブルルル…

術師「友達の神父の真似」

半鳥「きったねェ神父」グイッ


ブルルルルrドルルルルルルルルルルルルルルル……


半鳥「あ かかった!」ヤッタゼ

術師「デバイス始動だけで十分弱だ お前の村も文明化されていればな」

半鳥「機械化は甘え」

術師「歳いってからもおんなじ事言えるなら大したもんだが 」

半鳥「必要な分しか作らないからそんなのいらないの! たくさん作ったって腐っちゃうよ」

半鳥「お年寄りはお年寄りにしか出来ないことがあるもん 言えますよー残念!」

術師「嫌なババアになりそう 胃石飛ばしてきそう胃石 カァーッペッッて」

半鳥「もういーから黙って! じゃあやるよ! やるから! これ握って普通に撃つ感じでいいの!?」ワクワク

術師「…………………………」

半鳥「黙らないで教えろください」

術師「そんな感じ」

術師「封入してる私の魔法に魔力を送るだけでいい お前なら余裕だ」

半鳥「オッケー そい!」バチッ

デバイス《ランダムサモン》

半鳥「ゑ?」

術師「(笑)」


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ



半鳥「教ぉー授ぅー……」RDY GUN

麺「な、何事だい!?」ドタバタ

機構助手「召喚魔法……いい加減にして下さい」equip chakram-gear

術師「出せたの確認したらすぐに消す そう慌てるなって」

半鳥「そんな言って猫とペルセウス様以外ロクなことになってないでしょーが!」

術師「大丈夫大丈夫神話生物でもここがぶっ壊れるだけだから」

麺「僕もそろそろ怒るぞサモナー!」

機構助手「来ます」pray MAGNETIC FIELD


ロボット「…………ここは……どこ……?」


半鳥「……目が光る鉄の人形? 小さい……」

半鳥「でも喋った」ズギュゥーン

チュィーン

ロボット「ぅわッ……!」ricochet

麺「あのデザインは……知ってるぞ かなり昔の魔導鎧だ 人形っぽくデフォルメされてるが間違いない」

機構助手「歯車チャクラム電磁投げ!」シュバババババ

ロボット「い 痛い 何? 何なの、やめてよっ……」ギィン ギィン ギィン ギィン

麺「……? 二人とも一旦やめるんだ!」

術師「………………」



こいつをどうする(行動 半鳥)↓


半鳥「本当に人形なんですか」

麺「かなり昔に出た玩具だよ 子供向けの知育魔導遊具、糸の代わりに魔力を通して動かすんだ」

麺「色々なモデルがあった その中に軍用機型のやつも確かあったと思う 僕も子供の頃遊んだなぁ……」

半鳥「でも自分で動いたりなんてしなかったんですよね」

麺「……まあ、流石に……」

半鳥「まいっか バラせば分かるでしょ」

術師「…………」

麺「それもそうだね。サモナー 君が呼んだわけだけど動きを止められるかい?」

術師「おらよ」agreement bind

ギシッ

ロボット「っ!」ギギギギ

術師「……頭部を撃てハーフィ そのガラクタの制御系が埋め込まれてる」
術師「旧式の軍用魔導鎧よろしく装甲に被弾経始の働く形状だ 真正面からド真ん中を狙え」

半鳥「了解」チャキ

ロボット「待って 待っ――」


ズギュゥーン バギン


ロボット「ぁだっ!」ステーン

半鳥「確保ォー」ヒョイ

ロボット「は、放して! 放せー!」

半鳥「全然元気っつーか折角作った強装弾跳ね返しやがったんですけど」

術師「いい腕してるぜ」

半鳥「曲線ボディに滑らせず当てろって結構なムチャぶりしてる自覚はある? おゥけィもう一発」ジャキ

術師「もういい 裏にツマミあんだろ それ捻ればおk」

半鳥「裏ー?」クル

ロボット「降ろしてよ!」

半鳥「……そんなのない……けど あ 名前かなこれ」

術師「なんだと?」

半鳥「えーと…………えー……ハイパー 何……?」

術師「……ハイパー? 読めないならいい捨てちまえ」

半鳥「違う 長いの」

半鳥「子供みたいな字で"超究極銀河狩人"って書いてある」

術師「…………そんなの書いたっけか……」

半鳥「へ?」

術師「いやなんでもない」


麺「見せて…… 本当だ」

ロボット「お、降ろして……」

機構助手「……教授 仕事を」

麺「分かってる分かってる、サボってこっちに行ったりはしないよ」

麺「でも懐かしい物を見てしまったな サモナーは知ってるかいあれ?」

術師「よーく知ってる」

麺「ロボット君 君のご主人様は誰だい?」

ロボット「……え……?」キョトン

麺「分からないのかな? うーん、召喚で適当な霊魂が混線したか? 見たことはないけどツクモガミってやつなのかな」

半鳥「はーいこっちいらっしゃい」むんず

ロボット「頭掴まないで!」

半鳥「助手さん!」

機構助手「何?」


麺「年代物は年代物だし誰かのコレクションだったのかもね」

術師「燃えないゴミが化けて出たってか クソが……」

麺「や、現在もファン っていうかプレイヤー? がいるんだよ。年齢層も相応だし 事情が事情だから規模もそこまで大きくないらしいけど――」

麺「コレクションは勿論 高いフレーム強度と工作自由度から来る改造と、魔導操作を用いた対戦が熱い……とか」

術師「オタクっぽい感じか」

麺「どうだろう、賭け試合が常態化してるとも聞くから 少なくとも子供の玩具では完全になくなっているみたいだね」

術師「ほーう……?」

バギッ

術師「あ?」

麺「へ? ……ああっ」


半鳥「あー」

ロボット「」首無し


機構助手「……工具を貸してって言われて貸したけど 使い方知らなかった訳じゃないよね」

半鳥「え モンキーレンチって潰してネジ切る使い方じゃなかったんですか?」

機構助手「おかしいのは使い方じゃなくて発想か…… バラしたいの? 壊したいの?」

半鳥「頭が弱点だっていうからまずそこから〆たの 」べきべきべき

半鳥「装甲取れた。セイギョケイってどれ? これは人形の骨だし……ん それっぽいの見当たらないなー」つドライバー

ロボット「あっあっ」ビクンビクン

麺「?」

術師「ああ知ってるぞ そうそう 塩梅を見て弄るとそんな感じになるんだ」

半鳥「はい?」

麺「……待って それ本当に頭がカラみたいだね」

術師「見れば分かるだろ」
半鳥「あ゛?」

麺「違うよ 見てごらん」グイ

ロボット「あぴょ」ビグッ

麺「本当に制御用の魔導回路が入ってない 人で言う頭蓋骨に当たる頭部フレームと――」

麺「下にほら ハーフィ君が千切った頸部フレームの余りがくっついてるだけだ」

機構助手「制御用の魔導回路?? ただの玩具になんでそんなもの」

術師「豊かな才能と豊かな家柄 温室の純粋培養で滞りなく今の地位に収まった腐れ秀才オタク野郎が懐かしむ玩具だ 分かれ」

機構助手「そんな言い方しなくたっていいじゃないですか 何なんですか本当」

麺「気にすることないよ助手君 僕らへの挨拶みたいなものさ」


麺「しかしとなると物質的核を持たないツクモガミめいた霊的生命体ということでほぼ確定かぁ……参ったなぁ……」キラキラ

麺「ねえサモナー、それ僕にくれ……いや預けてくれないかいっ?」

機構助手「ああもう」sigh
機構助手「教授、軍部にせっつかれてるのをお忘れになったんですか? そんなゴーストまた見繕えばいいでしょう」

麺「で でも! もし遠隔傀儡のイタズラじゃないなら、このロボットを操ってる彼? を分離させて定着させれば例のインテリジェントデバイスに近いものが――」

機構助手「今は目先の仕事が先です インペリアルデバイスの性能を落とさず機構を簡略化させられ得るのは付呪教授とあなたしかいないんですよ」

麺「…………廉価版の研究なんて嫌だあ! もう出力変換効率比と睨めっこなんてしたくない、背油と塩分と麺を啜ってもいいテーブルがこの国には無いんだ!!」うをををををををを

機構助手「また始まった みんな!」finger snap


「教授辛抱してください!」
「またインスタント買ってきますから!」
「食事の時我慢しますから啜ってもOKですから!」

麺「ヤメロー! ヤメロー! 僕は ボクは ぼくは 本物が欲しいいいいいぃぃぃぃぃ」ジタバタ

「おい 足持て! 担げ!」wasshoi!!
「あっスリッパ脱げた」
「後にしろ カンヅメ部屋にブチkお連れするのが先だ!」

麺「新年だって月半ばになってから初めて家族以外にあけましておめでとうって言ったんだぞ!! まだ三日残ってるんだああああああああああぁぁぁぁぁぁ」



機構助手「召喚教授 工具はお貸ししますからその生きてる残骸を早く持ち帰ってください いいですね」

術師「今度一晩付き合ってくれるなら」

機構助手「後日内容証明を送ります 楽しみに」

術師「んーそそる あの坊っちゃんには勿体ない逸材だと思わんかハーフィ」

半鳥「やっと分かった 体つきのこと言ってんでしょ」
半鳥「もう訴えられちまえよ」

術師「駄目だ ちょっと催してきた」

術師「その人形で遊んで満足したら適当に片しておけ 私はちょっと食事に出てくる」ジュルリ

半鳥「やだ もう教授の変態! 大っぴらに言わないでよ変態 変態!」

術師「何勘違いしてんだ、普通の飯しか無い以上普通の飯をただ食いに行くというだけだ 想像力が逞しいようですね?」

術師「食事という単語に何を見出だしているんだやーい変態ー! ベーコンとアスパラガスで掛け算でもしてろ!」ガチャ バタン


半鳥「くそっ 子供みたいな言い返し方しやがって! ……掛け算ってナニ?」

ロボット「」スヤァ…

半鳥「……とりあえず これ……この子どうしようかな」


どうする↓



麺『くっ……ハーフィ君ッ!』ビリ サラサラサラ シュバッ

半鳥『へ? うわっ紙が手裏剣みたいに ……メモ?』パシッ

麺『そこへ行くんだ! 老舗の玩具屋、その鉄の人形"対戦傀儡"のこともよく知ってる筈だ!』

麺『僕は模型を買いによく行く 名前を出してみてくれ!』

半鳥『はあ…… ありがとうございます』

麺『礼には及ばないよ! けど直ったらそれ僕にっ――』

機構助手『教授 その辺で』pray STUN WIRE SHOT

麺『あばばばばばばばばばばばばばばばばば』ttttttttttaaaaaaaaasssssssseeeeeeeerrrrrrrrrrrrrr

半鳥『お邪魔しましたー!』スタコラー


半鳥「とゆーわけでやってきましたここが老舗の玩具屋さんです」

ドリアード「なんで私まで……」つグラサン

半鳥「最近歩き回り辛くなってきてたでしょ? 研究室覗いたら寂しそうだったから」

ドリアード「寂しくなんかない 私は元々古木なのよ」

半鳥「うん 森に住んでるから一人ぼっちだったことなかったんだよね」
半鳥「帝都にいる時は私がいるから 大丈夫だから!」ニコー

ドリアード「……いいわもう それで」フイ

半鳥「照れちゃってこのこの こっち向きやがれ」ツンツン

ドリアード「やめなさい。お店に用があるんでしょ」

半鳥「はいはい! じゃ行こっか」

半鳥「ごめんくださーい」チリンチリーン



玩具屋「で 今回は何のパーツを造れって?」

禿客「でよぉ、だから奴の装甲をブチ抜けるように射突型ブレードを――」
太客「おい」
禿客「……っと」

玩具屋「いらっしゃいませ」

半鳥「(ハゲ デブ オッサン ふむイケメンの香りが毛ほどもしねぇ)」
半鳥「(なんて思っちゃダメだよねぇー教授みたくなっちゃうぅー)」

ドリアード「こんにちは……こちらで対戦傀儡を取り扱っていると聞いたのですけれど」

半鳥「頭が取れちゃって 出来たら直して欲しいんですけどー……」

禿客「……」
太客「……」

玩具屋「……対戦傀儡? そんなお高い骨董品はうちじゃ取り扱ってないよ」

玩具屋「君らが分かってるのか知らないが 起動させた対戦傀儡は抜き身のナイフと同じ扱いを法律でされる」

玩具屋「即逮捕とまではいかないけど 鑑賞目的の単純所持も怪しい曰く付きの代物なんだがね どこで手に入れた?」

ドリアード「…………私のじゃなくて今日はこっちの友人の付き添いですので」スッ

半鳥「ええっ」

ドリアード「(だって貴方 そんな脛に傷のある代物だなんて聞いてないわよっ?)」コソコソ

半鳥「(私だって聞いてませんから! えーどうしよめっちゃ怪しまれてない えー……)」コソコソ


半鳥「き、(ょうじゅは違うかなぁ)」

玩具屋「きィ?」

半鳥「……帝都魔法大学の魔導機構学教授から貰いました ここも紹介してくれて」

玩具屋「魔導機構学……」

半鳥「(名前出せって言われたけどそーいや名前聞いてねぇ……アダ名だよねあれ 通じるかな)」

半鳥「えーと Dr.ヌードルって呼ばれてました」

ドリアード「何そのふざけた名前は……」

玩具屋「ああ……ああ ああ! はいはいはいあのあんちゃんね」

ドリアード「通じてるし」

太客「誰よ」

禿客「ほら麺キチガイの」
禿客「島国街の地下でやった帰りにギャラリーで痩せの大食い発揮してたヒョロガリがいたろ」

太客「ああ ああ ああ ああ 一人で大豚ダブル八杯も食ってたアホインテリか 対戦傀儡はやってないんじゃなかった?」

玩具屋「やってなかったけど理解はあったろ、普通の模型買ってきがてら見てたのもそう けど持ってたんだなぁ――」

玩具屋「御大層な肩書きまで付いてるとは まあ金さえあるなら入手ルートはいくらでもあるからね、何でもそうだけど」

半鳥「はい あはは そうですね 」

玩具屋「それじゃ分かった 承りましょう」

玩具屋「悪い、どっちかちょっと見てて貰える? 店」カチャカチャ

禿客「おいおい俺注文の最中だったろーがよ 俺も下行くよ」

太客「俺別にいいぜ どうせこの時間は客滅多に来ないしな」ドッコイセ

半鳥「玩具屋の常連さんですか?」

太客「いい歳してって思ってんだろ ははは 店より店長と馴染みなんだよ」

禿客「こっちこっち カウンターの裏来てみな」

玩具屋「俺の台詞だよ」ガチャ

玩具屋「ついてきて 階段急だから足元気を付けてな」カツ カツ カツ カツ …


ドリアード「なんかユルい」

半鳥「いいよ 素人相手だからってしゃっちょこ張られるより 行こ」

ドリアード「まあそうね」

半鳥「"らしい"とか"聞いた"とかぼかしちゃって 結構しっかり見てたんじゃんラーメン教授……」



老舗玩具屋 地下工房


禿客「電球は代えたのかよ」

玩具屋「ああ忘れてた 買ってこなきゃあな」パチッ

light on

禿客「散らかってるけど気にしないでくれな」ズカズカ

玩具屋「だから」

半鳥「うわ結構広い……あ バラしてるそれとか全部魔導傀儡のパーツ? あっちはでっかい金庫……」ほわぁ

ドリアード「前はよく 呪い師が木から削り出して呪術用の触媒を作ったものだけど」

ドリアード「今 この人形は骨がある上に全部鉄製なのね 凄いわね 安心したような寂しいような」はー

半鳥「マゾなの」

ドリアード「ああん?」ぐにー

半鳥「ごぇんなさい」いだだだ

玩具屋「?」

ドリアード「何でもないわ いい工房ね」パッ
半鳥「っつー……」ヒリヒリ

玩具屋「ありがとう 人形みたいなお嬢ちゃん」

半鳥「あのでっかい金庫は?」

玩具屋「金塊なんか無いよ」ヘヘ

玩具屋「あの金庫の中にさらに個別の金庫がゴロゴロ入ってるんだ」

玩具屋「家に持って帰れない客の魔導傀儡を預かったりもしてんのさ」

半鳥「へー……」

禿客「先ちょっと弄っててーわ いいか」

玩具屋「15番の鍵な ほらよ ……さて、見せてごらん 」チャリン

半鳥「あ これです 工具箱の中」ゴトッ

玩具屋「工具箱? 随分立派なのを使ってる……」ガチャ

玩具屋「……これは……はは 後ろのカッコイイのは名前? どれどれ――」

ロボット「  」キュイッ

玩具屋「(動いた?)」

半鳥「……」

玩具屋「(悪戯? いや、剥き出しになってる中枢部は空だ……魔導回路が抜かれてる これじゃ動かない 気のせいだろ)」


半鳥「ど どうですか……?」

玩具屋「……んー…… このね、人形の頭に普通は……こいつを動かすための脳ミソみたいな部品があるんだけど」

玩具屋「頭部装甲を剥がしてそれだけ抜いてるんだよね 首の壊し方も酷い、工具で力任せに無理矢理やったんだわ」

玩具屋「丁度ほら、こんな感じのモンキーレンチでネジ切ったんだよ ……クソ」

半鳥「……………………」

ドリアード「よく出来た玩具なのに 心無い人間がいるのね……」

玩具屋「魔導回路はそこそこ高く売れるから それに危険物扱いされてるのは事実だからね」

玩具屋「ある程度儲かる目算があるからってのも勿論あるけど でも俺もやっぱり好きでやってるからさ、こういうの見ると許せないな」

ドリアード「お察しするわ こういう簡単に壊すのも作る大変さを想像できないからなんでしょう」

ドリアード「何にせよ 任せるのが情熱のある人で良かったわ ね ねハーフィ?」

半鳥「…………そっスね」

ドリアード「ハーフィ?」

ロボット「  」ギョロ…

玩具屋「……」
玩具屋「ざっと見て 回路の積み直しと剥がれた装甲と痛んでる旧フレームだなぁ、首から上含め総取っ替え 誓ってボろうとしてるわけじゃなくてさ――」

玩具屋「この型はかなり古いんだ 今のゲームで使われてる奴にはとても太刀打ちできない、マトモに遊べるレベルにするなら交換必須」

半鳥「(ゲームって……)」

玩具屋「ただフレームに関してはそこ以外割りと無事だし 下取りで多少安くできると思うよ」


半鳥「……で その えーと じゃあそれで大体お幾らくらいに……」オズ

玩具屋「そうね……」カタカタ ッターン
玩具屋「これくらいかな」show calculator

半鳥「どれどれ……」
半鳥「」

半鳥「」チラ

ドリアード「駄目です」

半鳥「私達友達でしょぉー……?」

ドリアード「だからこそお金の話を挟みたくないのが分からないのなら 今日からは一歩引かなきゃならなくなるわ」

ドリアード「私はそんなの嫌よハーフィ 貴女は」

半鳥「…………うぐぬぅ」

玩具屋「ははは 優しい正論だ」

禿客「笑ってていーのかよ」カチャカチャ

玩具屋「商魂も大事だが楽しんで笑わせるのが玩具の本懐ってもんさ」

玩具屋「ハーフィちゃんって言った? 扱っといてなんだけど対戦傀儡は高いから 金を貯めてくるか、でなきゃ無理はしない方がいいよ」

半鳥「うーん、そうですね……ごめんハンター君……」


ロボット「……ゴメンじゃない!」ビコォーン


玩具屋「うぉばっ!?」ポイッ
禿客「え? はっ?」
半鳥「ですよねー……」
ドリアード「……」

ヒューン ガシャッ

ロボット「いだ! 投げないでよおじさん!」flash MonoEye

玩具屋「……気のせいじゃなかった……のか マジか」


半鳥「……だってしょうがないじゃーん……」

ロボット「しょうがなくない そもそもおれを壊したのだってムガモゴ」

半鳥「あー あー 口はこの辺でいいのね バラしててもこっちの頭を塞げばOKと」ガシ

玩具屋「? ……?」

半鳥「本当ゴメンって、あれで喚んだ人外は警戒しないといけないから…… お小遣い三ヶ月分はキツいんだってば」

ロボット「くそ、体さえ動けばおまえなんかっ……」

玩具屋「その 腹話術的な?」

ドリアード「いいえ、人形に何か憑いているようね ハーフィ側の私が言っても胡散臭いでしょうけど」

ドリアード「でも気配が薄すぎて分からなかった 普通の人形じゃないならどうしてそうと言ってくれなかったの」

半鳥「あれー、言ってなかったっけ? あははは……」タジ

ドリアード「……壊したのって」

半鳥「そんなことよりハンター君!! 自分の体の事なんだから君からもちゃんとお願いしなきゃなんじゃないのっ?」

ロボット「この この鳥ガラ女! おじさんなんとかして直してくれませんか!」

玩具屋「これは……困った っていうか理解が追い付いてない」

禿客「昔やってたアレみてーじゃんか今のお前 ラジオドラマのメカニックさん的な?」

玩具屋「何ですぐに適応できてんだよ ひょっとして俺はまだ寝ててこれは夢なのか?」

禿客「随分いい夢見てるな」


ロボット「お金は持ってないけど 直してくれたらお店の手伝いとかして返すから!」チカチカ

半鳥「うおっまぶしっ」

ロボット「お願いだよ!」

玩具屋「……うーん 直してあげたいのはまあ さっきっからそこは山々なんだけど」

玩具屋「本当に総取っ替えだからさボウヤ、君の体が大丈夫なのかも心配だしお金もちょっと無視できないのよ」

禿客「フレームは屑鉄とかから奥のオンボロマシンで部品成型して 組み立てはこの中年が手作業でやってんだ」

禿客「組み立ては慣れりゃ俺とかでも出来なくねーけど 装甲とかの"外"なんかは基本オーダーメイドだしなぁ」カチャリ

禿傀儡「  」

半鳥「今弄ってるのがおじさんの? 持ってるライフルとか背負ってるヤツって飾り?」

禿客「ライフルもロケットポッドも小さいだけで機能自体は本物の魔導兵器だぜ ライフルの弾は加工した釘だけど」

半鳥「へ~」

ドリアード「危な……」

ロボット「……そ そこまでにしてなんて言わないから……せめて体をなんとか……」

玩具屋「んー……うぅーん……」



「……だーかーら そっちはスタッフオンリーだっつの!」

「奥にいるんだろう?」

「今は留守だよトイレ無ぇから下痢腹抱えて走ったっきり――ああ待てって!」

「通してもらうよ」

ガチャ

半鳥「?」

スーツ野郎「こんにちは」

玩具屋「こんにちは おしゃぶりなら2ブロック先にいいベビー用品を扱ってる店があるよ」

スーツ野郎「この店がいいな」

玩具屋「……本当にしつこい奴だね」


太客「あーくそズカズカ来やがって すまねえ」ドタドタ

ドリアード「お友達って感じじゃないけど」

禿客「老舗じゃない玩具会社の御曹司様だ お子様相手に手広くやって今じゃ財界の大物よ 親父が」

太客「親父がな」

半鳥「強調するね」

太客「一代で会社ぶち上げた親父殿は俺らも大したもんだと思うがよ あの坊っちゃんは――」

太客「札束でぶゎッさぶゎッさぶっ叩くことしか知らねえし出来ねえ」

禿客「長者三代ってありゃ嘘だぜ もっと早ぇ あのガキじゃ惨dieだわな」

半鳥「ひでぇ」

半鳥「あと太ってる方の人すいません唾飛ぶんでちょい離れて もっと!」

太客「ひでぇ 一歩離れたのにさらに言われた」


玩具屋「いくら積まれようが いくら条件を増やそうが 返事は変わらない」

御曹司「そんなこと言わずにさ うちの製作部門に来るのがあなたにとって一番なんだよ」

御曹司「対戦傀儡を作る腕前 工作機械の開発 ギミックのアイデア あなた個人はどれを取っても超一級――」

御曹司「ただ 経営者としてここを背負ってしまっているという一点だけがマイナスなんだ」

玩具屋「マイナス? 食うのには困ってないんだけどね」

御曹司「その能力を活かす環境があればもっともっと稼げる」

御曹司「多くの子供達を笑顔にできる 玩具を作る者ならそれが至上の喜びってものだろう?」

玩具屋「そうだね」

御曹司「なら」

玩具屋「手始めにそこのおっきな子供達から笑顔にしてみない 輝く頭と段腹が特徴の二人だ」

玩具屋「あの子達はここが無くなると悲しむだろう 泣いちゃうかもな どうしよう?」

太客「ランニング頑張ってるんです」
禿客「俺もう泣きそうなんだけど」

御曹司「大の大人が玩具で遊んでるのはおかしい」

玩具屋「自分のとこで作った玩具で遊ばないのか?」

御曹司「そんな暇ないから そういうことが出来るのは現場の人間ならではでしょ 好きならだけど」

玩具屋「……ダメだね 話にならない 坊っちゃんのとこで働いてたら玩具が嫌いになりそうだ」

玩具屋「帰んな 腕を買ってくれてるのは嬉しいけどおたくとじゃ反りが合わないよ」

御曹司「……そこまで言ってくれちゃうか」

御曹司「分かったよ じゃあこのやり方はやめだ」

玩具屋「……」

半鳥「どういう意味」

御曹司「店を潰す」

半鳥「は?」


御曹司「土地ごと買い取ってこの地下工房も埋めてやる いいよ まずは余計な枝葉の剪定からだ」

玩具屋「坊っちゃんの観葉植物になった覚えはない」

御曹司「何度も温室に移してやるって言ったのに断ったんだから仕方ないだろ?」

玩具屋「何が仕方がないって? 話通じてるかな? 前提が食い違ってないか、俺は自由に出来る玩具じゃないって言ってるの」

御曹司「出来るんだよ 話通じてないのはそっち」つ小切手

御曹司「とりあえず好きな額書いてみなよ ここが無くなるのはもう今決まったから 当面のこと考えてさ」ビリ

玩具屋「…………呆れて物も言えねぇ」ツカツカ

御曹司「どこへ行くんだ」

玩具屋「奥だよ すぐ戻るけどもう帰っとけお前は」


御曹司「……」

禿客「……」ガサゴソ

太客「ここ禁煙」

禿客「ちっ」ゴソガサ

半鳥「……」

ドリアード「……」

半鳥「……ねえ」

御曹司「?」

半鳥「お金持ちってホントにみんなコガネムシみたいな人達ばっかなの」

御曹司「何お嬢さん コガネムシ?」

半鳥「あれって花を食べちゃうんだよ "分かってない"お金持ちの社長さんにそっくり」

ドリアード「……幼虫は根をかじって枯らし殺すしね ぴったりじゃないハーフィ 上手」

半鳥「いぇーい」

御曹司「君達には悪いけど これはビジネスの話だから」

半鳥「そうなの」

半鳥「けど あの横からでごめんねけどさ 社長さんお金沢山積んででもここの店長さんに自分とこ来て欲しいんでしょ?」

御曹司「ああ」

半鳥「玩具作りが凄いから」

御曹司「そうだよ それが何か?」

半鳥「おんなじことされたらどうすんの」

御曹司「?」


半鳥「お金で無理矢理引っ張ったらまた今日積み上げた以上のお金で別の誰かに引っ張られちゃうんじゃない」

半鳥「いい腕してるからっていうなら店長さん欲しがる玩具野会社他にもあるんだろうし そもそも嫌々入らされる上に――」

半鳥「社長さん嫌な人だから お金さえあれば簡単にそっち転んじゃうよね お金だけじゃ釣られなさそうだけど」

御曹司「たらればの話を心配してたんじゃキリがない」
御曹司「いずれ人が資本に食われるなんて与太話が怖くて起業なんかできるかい? 分からないか」

半鳥「……もうちょっとさー、向こうからその気にさせようとか考えない? なんかビジネスとか以前の問題じゃないの」

半鳥「玩具で稼ぐんだから玩具で釣るとか……うーん? ごめんちょっと待って えーと……」

ドリアード「……ちゃんと話す内容纏めてから言いなさいよ……」ハァ

半鳥「感情が先走って」

御曹司「何が言いたいんだ 馬鹿なのか?」

半鳥「んーだから……職人気質の人って儲けだけじゃ動かないんだよ そういうもんなの」

半鳥「とりあえず社長さんも対戦傀儡で遊んでみればいいんじゃない 大人がどうだからとか言ってないで仕事として」

御曹司「……」

半鳥「……ごめんなさい 気にしないでー……」

御曹司「…………君 名前は」

半鳥「ええ……? 周りにはハーフィってアダ名で呼ばれてるよ ハーフのハーピィ」

御曹司「……安直だね」

御曹司「センスが感じられない うちでそんな名前商品に付けるような奴はクビにするレベル」

半鳥「そこまで? ふぅん あッそ」



玩具屋「よう まだいたの」

御曹司「もう帰るところだよ」

玩具屋「それがいい早く帰ってやんな 親父さんが待ってる」

御曹司「……父が何を」

玩具屋「話してきたんだよ 御隠居に免じて今日の癇癪は水に流してやる」

玩具屋「行きな 近く対戦傀儡の催しがある 準備で忙しいんだ」

御曹司「催し」

玩具屋「これで遊ぶんだよ いい大人……ああ……おっきな子供が集まって 大会ってな」

玩具屋「大人が来るとこじゃあない お気になさらず」

御曹司「…………」ジロ

半鳥「(店長さんを見るのは分かる、けどその次なんで私 そんなに怒ったんスか)」


御曹司「……まあ いいや」

御曹司「精々腕を鈍らせずにおきなよ でなきゃ折角招いても待ってるのは座敷牢だからね……」

カツ カツ カツ カツ …

玩具屋「……」

禿客「クソガキが タンスの角に小指ぶつけろ チャックに皮挟め 入口の段差でコケちまえ」thumbs down

ドリアード「みみっちい……」

太客「しかし露骨だったな」

玩具屋「腐らせずにおく用意ができたってことだろね 先代はいい商売仲間だったんだけどな」

玩具屋「息子さんはそっとしといてくれないらしい、生き急いでるねぇ……」ガサゴソ

太客「ここ禁煙 って決めたのお前」

玩具屋「いいんだようるさいな」シュボッ スパー

禿客「まったくだぜ」シュボッ

玩具屋「ここ禁煙だっつってんだろマナーも守れねぇのか」フゥー

禿客「」


半鳥「……話が見えないんですけど……」

玩具屋「いいよいいよ気にしないで ほんと内輪のアレだからお客様に失礼なヤツ ごめんね」
玩具屋「あ 煙草大丈夫?」

半鳥「平気です」
ドリアード「気にしないで」

玩具屋「世渡りデキるタイプ」スパー

玩具屋「それじゃあ悪いけど、今日はもう店仕舞いにさせて貰おうかな 注文も来てるし 準備しなきゃだし」

ロボット「……」シュン

玩具屋「ややこしくなってたかも知んない、よく大人しくしててくれたなボウヤ そう凹まんでよ」

ロボット「だって……」

玩具屋「んー……じゃあそうだ 本物のゴーストにお目にかかるなんてのも一生に一度あるかないかだし」

玩具屋「一番安い中古のフレームで良かったら譲ってあげよう そのまま買い取ったやつだから魔導回路も付いてる 必要か知らんけど」

ロボット「え…… そ それって体直して貰えるってこと!?」

半鳥「いいんですかっ?」

ドリアード「よかったわね けどどうやって霊魂の定着を移すつもりなの」

ロボット「ていちゃく?」

ドリアード「つまりハンター君 あなたのその意志の宿ってる箇所が今分からないでしょう? 見てると多分頭だと思うけど」

玩具屋「オバケのオバケ的心臓がどこにあるかってことだろ? その辺は上手くやっとく 任せなさい」

ドリアード「あら なら慎重にやってあげてくださいね」
ドリアード「骨を引っ掻くだけでエクソシストを名乗れるようになるかも知れないから」

ロボット「えっ?」



禿客「いやー しかし本当にそれ自力で目ぇ光ってんのか ロボ夫」

ロボット「ええ あー うん……」

太客「店長様が直しゃあ動いて喋るロボ吉が見れるってことだろ? すげーよ、コミックの世界じゃん! なあ?」

禿客「懐かしいし面白かったけどあれも今考えると凄い設定だったよな、やることなすこと対戦傀儡の勝負で決める世界で――」ペラペラ

太客「帝国転覆を目論む悪の天才魔導師と帝国情報局エースの主人公のガキが 時計塔頂上でカウントダウンの始まった時限空間消滅爆弾の前で決着付けようと――」ペチャクチャ

禿客「対戦傀儡でな その後の島国から来た傀儡忍者編とか戦う共和国議員編とかも――」ベラベラ

ロボット「……」ポカン

半鳥「なんか始まった」

玩具屋「終わりだって言ってるだろ さあ帰った帰った家でやれ ハゲお前のはしまっといてやる」

玩具屋「ハーフィちゃん達はまた明日来てくれるかな? ハン太預けていってくれるならだけど」

半鳥「私は願ったり叶ったりです それでオッケーハンター君?」

ロボット「おれもいいよ いいけど」

ロボット「も もう痛くしないでよ……?」

玩具屋「まあ……頑張る」

ドリアード「じゃあ よろしくお願いします」

半鳥「お願いします!」




半鳥「やー良かった、なんとなく高いだろーなぁってのは想像ついたから」

半鳥「ドリアードちゃんに断られた時はどーしよーかと」

ドリアード「…………ふーん ああそう 財布が欲しかったのね」ジト

半鳥「冗談だよ!」

ドリアード「どうだか サモナーやさっきのお子様を見たでしょう」

ドリアード「お金があることが必ずしも楽で豊かとは限らないわ お金って怖い」

半鳥「……ドリアードちゃんが孤独なセレブの階段を上ってる……もう慣れてきたけどなんか服もお洒落な感じになってってるよね」

ドリアード「やらされたとはいえ一応自分の身で稼いだ物だけれど ポンと大金が入るのも考え物よ……」

半鳥「わあ嫌味ったらし」

ドリアード「……」

半鳥「……怒った?」

ドリアード「愉快ではないわね 怒ってもないけど」

半鳥「ドリアードちゃん大好き」

ドリアード「私もよ 貴女も内面から段々素敵になってきてるわ師匠に似てきて」

半鳥「じゃあさじゃあさ、それで美味し(くて高)いご飯のお店があるんだけどォー!」

ドリアード「………………」







帝都 某所路地裏


資産家「行くぞ!」


SMOKE GRENADE

資産傀儡『   』ボシュゥゥウウウウウウウ

外套男「(残弾の怪しい煙幕を撃った、仕掛けてくるな 巻かれる前に距離を置く 何で来る――)」

外套傀儡『(一旦後退)』back step

資産傀儡『  』RDY RIVET-MACHINEGUN

BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM

外套傀儡『  』チュィンチュィンチュィンチュィン

外套男「(炸裂弾でもなし 通常釘弾をバラ撒いてどうする気だ)」

資産傀儡『(当たった そこか!)』SMOKE.G more

ボシュゥッ……

外套傀儡『(追加の煙幕! 煙越しに位置を特定してきた――傀儡の聴覚で拾ったのか?)』avooooooooid

外套傀儡『(跳んだら魔力噴射の光と反応で嗅ぎ付けられる オーバーヒートまで宙で踊らされ着地を殺られて終了だ)』チュィン ガスッ チュィィーン

資産傀儡『(包んだッ! 次のランチャーで炸裂弾を叩き込みそのまま削り殺すッ!)』ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

外套傀儡『(中距離戦でアクセントに使ってきた炸裂グレネードはまだ残ってる筈だ 次はそれが来る)』

外套傀儡『(榴弾銃は単発中折式 やるなら装填中の今)』バッ

資産家「!」

外套傀儡『そこ』flying knee

ガッシャァァアアアアッッ

外套傀儡『(頭部小破 胴体小破 腕部中破 膝関節が今ので中破 噴射で無理矢理動かせばまだ行ける)』バシュ

資産傀儡『(頭が、揺らされっ――)』グラ

外套傀儡『ガラ空きだ』straight fist

バギャアッ

資産傀儡『   』HEAD breakdown


資産家「なん だとッ……」

外套男「頭部を破壊された傀儡は失格となるだったか 今も変わってなければ」


外套男「ベテラン風吹かしてたようだが どうだい? ぺーぺーの若造にそれも武器無しで負けた気分は! ククク」

資産家「ぁぐ……一体どうやってこちらの位置を……感覚同期は一朝一夕で身に付くもんじゃないぞ」headache

外套男「人形のことは人形にやらせればいい 撃たれまくって痛いのが嫌なら撃ってきた方向も死ぬ気で探るってな」

資産家「な、何を言って……?」

外套男「急に見繕ったから武器まで間に合わなかったというだけなんだが 丸腰は慣らし運転に丁度良かった」

外套男「さ 約束は守って貰おーか」スッ

資産家「……正直、いきなり現れたかと思ったら"催し"の権利を賭けて勝負しろと殴り込まれ――」

資産家「五分でこの様だ 私がプレイヤーだということや出場権の有無をどうやって知ったのかも含め 非常に納得できない」

外套男「レンガやブロックからは目玉と耳が生えるもんだ 資産家なら知っておけ」

外套男「で 反故にする気ならどうする 靴でも舐めて頼み込んでみるか」ヒョイ

資産家「……いいや……そんなことは言ってない 悔しいが……」つ鞄

資産家「私も対戦傀儡を嗜むプレイヤーの端くれ 愛機を駆り負けた以上勝負に乗せた約束は違えない」ゴソゴソ

資産家「持っていくがいい」つボルト

外套男「……ただの汚いネジにしか見えないんだが」しげしげ

資産家「どういう物かまでは知らなかったんだな? ペテンにかけているのではないよ」フフ

資産家「旧型フレームの大ボルトに手を加えたそれのネジ山が開催場所のドアの合鍵になっているんだ 器用だろう」

外套男「開催場所に入る権利はやるから勝手に入れと…… チケットみたいなものを想像してた」

資産家「私もそうだったよ」


資産家「目的は果たしたようだが まだ何かあるか」

外套男「ない だがおっさんあんたは物欲しそうな顔をしてる 暇だからな」

資産家「仕事の切り上がったところに颯爽と現れたのは調べたからか」

資産家「もう一勝負どうだい? 対戦傀儡はまだある」

外套男「面白そうだが賭け試合の方に興味がある そっちの準備がしたい」

外套男「今度は準備万端で来られるやも知れないしな 私はこの一匹きりなんだ」

資産家「金か それともギャンブルが好きなのか、そっちはどうでもいいが……ふむ賭け試合……」

資産家「……なら こういうのはどうだ?」

外套男「?」







玩具会社 社長室


コン コン

御曹司「どうぞ」

ガチャ

秘書「失礼します 例の件、資料に纏めておきました……」つ茶封筒

御曹司「ありがとう 相変わらず仕事早いね 下がっていいよ」パラパラ

秘書「……ええと」

御曹司「何?」ペラ

秘書「社長にお会いしたいという方が……その もうそちらまで」

御曹司「今日もう何にも無かったよね? 歯切れ悪いんだけど。その辺の管理君に一任してるよね自分でも覚えてるけど一応さ」ペラ

御曹司「誰」ペラ

秘書「お父様です」

御曹司「……あぁ なんか言ってたなあの人が……」

ガチャ

先代「あの人 か」

秘書「先代社長! 困ります」

先代「何が困る 私に見せられないものでもここにはあるのか」

御曹司「そんなものはない 見せて得をするものが無いから」ポチ

先代「彼から電話があった」

御曹司「いたよ」

先代「久しぶりの会話がこんな形になるなんて、とまだ前置いてくれていたから良かったが」

先代「買収と地上げをやられたと言っていたぞ いい加減にしろ……」

御曹司「同業他社を潰し自社の力にするこの上ない良案でしょ」

先代「彼に関わるな」

御曹司「何故? あんなに褒めていたのに」

御曹司「評判を聞かされて俺は育った 興味を持つのは自然な流れだ 実際――」

御曹司「この帝政政治国で鶴の一声に背き 細々とはいえ鬻いでいけるだけのものを持っているのは本当に凄いと思う」

御曹司「今の私と我が社に無いものを持ってる 分かっていますよ"先代"だからです」

御曹司「性急に見えるだろうけど準備を重ねてきた 彼を使いこなせるのはうち以外にない」

先代「……使いこなせる……? 分かってない お前は分かっていない……」

先代「彼は放って置くんだ お前なら他にいくらでもここを盛り立てる手段を考えつく筈だ」

御曹司「皮肉かよ」パラッ

先代「お前はまだ若い あの時の彼よりも」
先代「同じ轍を踏まされるぞ」

御曹司「……」


ガチャッ


警備員1「社長! 何事ですか」

先代「?」


警備員2「机の下の非常用警備ボタンが押されています 誤報でしたか」

御曹司「迅速だね」
御曹司「呼び鈴に使った こちらの老人が帰るところだから入口まで安全にお送りして欲しくてさ いいかな」

先代「お前っ……」

警備員1「こちらへ」

先代「私は前代の社長だぞ 不審者扱いするつもりなのか!」バッ

御曹司「だからこうして見送りをつけるんです先代社長 他の客や不審者にはしないことです」

御曹司「"あり得ない""前代未聞""常識外れ"対案を出せないネガティブな社員はもううちにはいない」

先代「そうだったな お前が重役連中を菜切りにした日もこうして私は来た 本当に愚かなことをした」

御曹司「今日は忙しい もういい?」サッ

警備員2「……」

先代「……いや……近付くな自分で行く 警備員も新品というわけか」

先代「もういい 分かった 今後お前のやり方に口を出すことはしない」

先代「ただ 譲ったことをこれ以上後悔させないでくれ」

御曹司「階段 急でしょうが気を付けて」

先代「……」

ガチャ バタン



秘書「……」

御曹司「でと……続き続き」パラ パラ

御曹司「…………ん 件の場所は本当にここで合ってるの? こんな大きな倉庫を借りてたのか」

秘書「確認しました パトロンがいるようです」

秘書「場所を提供する客が何人かいると 今回は帝都郊外や辺境に土地を持つ富豪の客がそのようで――」

秘書「数々のご友人に混ざり度々明らかに毛色の違う人間と一緒にいるのを見たという話もあります 信憑性は高いかと」

御曹司「倉庫は主要幹線と近いしね……リストアップされてるがこの人、森に山に平原に」
御曹司「遠くじゃ丸ごとの小さい町や村まで持ってるんだ 凄いのを誑し込んでるな」

御曹司「帝都に持ってる土地で稼いで 遊びに近郊で塩漬けにしてるか何かの所を使うと ふーん……」

秘書「やるのなら人里離れていることも必要です 小火器オプションは爆竹レベルですが対魔獣用拳銃並みの口径を持つ物もありますから 騒音が」

御曹司「あれは野蛮な遊びだろ やるなら起伏に富んでたりなんかする所だな いくつか印がついてるやつがそう?」

秘書「広さなどを適当に鑑みた目星でしかありませんが 付けていないのは主に一軒家等の物件類です」

御曹司「ま、たかが人形遊びだし 大型倉庫一つあればまさかそのためだけに貸し切った土地へ出向くこともないだろうけどね」

秘書「次を」

ペラ

御曹司「これこれ」

秘書「財力的にパトロンが可能な方の内 交渉に応じ得るかと思しい方々の名簿です」


御曹司「…………」ペラ ペラ

秘書「他 いくつかの備考は最後のページに」

御曹司「操縦感は魔導鎧に似る パーツは全て手製少なくとも現在1000種以上 賭け試合のブックメーカーは外注 店主はイボ痔ぃ? おいおい」フフ

御曹司「この紙束だけでちょっと前の会食に出てきた余興とかぶっちぎりだよ 名簿は名簿で年いってるのばっかだし ははっ」ハハハ

御曹司「ご苦労様」

秘書「ありがとうございます」

御曹司「早速始めるよ 会社からは何か?」

秘書「新しい玩具の企画が立ち上がっております 近く話を上げるとのことです」

御曹司「会議の日取りを掴んできてくれ 折を見て突撃」

御曹司「何が話を上げるだ、貴重なお時間を取らせたくないとでも言うんだろうね まだまだナメられてる」チラ

秘書「……」

御曹司「はい終業時間 今日やって欲しいことは終わったから疲れ取って 明日から少しの間いつも以上に忙しくなるから」

秘書「では お先に失礼いたします」

御曹司「お疲れ様」

ガチャ バタン

御曹司「……さて まず銀行からだ」ジーコ ジーコ




翌日

帝都魔法大学 召喚魔法研究室


ガチャ

半鳥「おはよう教授」

ドリアード「来たわね おはよう」

術師「おはよう弟子」ペキ

半鳥「学生さん達のレポートのやつ判子やっといたの見た? 言われた通り適当にだけど」

術師「押してないやつの言い訳を適当に聞こうか」

半鳥「そっちよけてるのは適当に難しかったやつ」

術師「ん 半々だったな、面白い内容のはお前が処理できた方に偏ってた」シャッ シャッ シャッ

術師「よけた方に紙繋げまくってやたら長くなってるレポートがあったろ 1行に1単語で1000行達成してたやつ」

術師「あれ書いたバカが最優秀賞 奴以外に評価をやろう」ペキ

半鳥「流石にマズくないっスか」

術師「モグリモグリ」ペキ ペキ

ドリアード「あら 優しいのね」

半鳥「何かの暗号かと思ってそっちにやったんだけど ていうか本当に1000行やった人いたんだ……なんも出ないのに」

術師「冗談だって分かるだろうにな 一々真に受けてちゃ生き辛そうだよな」シャッ シャッ

半鳥「真面目なのはいいことだと思うよ」

術師「そうですね」ペキ


半鳥「……ペキとかシャッシャッとか何してんの?」

術師「気にしなくていい」シャッ シャッ

ドリアード「陣用チョークを折って削って短くしてるのよ 朝早くからもうやってたわ」

半鳥「無駄使いすんなって言ったの教授だったと思うんだけど」

術師「私のやることにケチをつける気か半人前が」ペキ

半鳥「ふぅっ」blow dust

術師「けほッ おい折角紙敷いてやってたのに散らかしやがって げほげほ ああクソ見ろお前」ゲホゲホ

半鳥「あはははは 真っ白!」ケラケラ

術師「パン粉まぶしてやろうか鳥肉 クリーニング代払わすぞ……」バサー

ドリアード「仲の良いこと けど食材呼ばわりはやめなさいねいつだかのヘドロみたいよ」

術師「いつだかの」

ドリアード「いつだかの」

半鳥「……」

術師「(お~い婆さんや)」eye contact
ドリアード「(すまぬ)」eye contact

ドリアード「それで今日は何かあるの」

術師「ふむ インペリアルデバイスのテスターは終わったしな 特に外部からのあれも無い」

半鳥「生物学とか伝承学とかの人達は? 定期的に来るけどそろそろじゃない」

術師「メデューサの件なら数日前にはアポ取ってから来るからまだだ」

術師「それも奴の血を売ってから色々進展があったようで消化試合気味だし 本物を見せろとくれば話は違うが」

半鳥「じゃ今暇なんだ!」

術師「嬉しそうだな」

半鳥「仕事無いなら今日はもう街行ってていい?」

術師「いーけど 私も個人的な用事があるし」

半鳥「よし行こ」

ドリアード「ええ」

術師「ドリアがなんかソワソワしてたのはそういうことか どこ行くんだ」

ドリアード「遊びに」

術師「そう」

半鳥「気になる?」

術師「いや」

半鳥「あっそ」

術師「うん」

半鳥「ヒントあげよっか」

術師「はよ行け」

半鳥「何だよノリ悪いなぁ妖怪チョーク削り!」

術師「さっさと散歩に連れていけ切り株 テンション戻るまで帰って来んなよ」

ドリアード「はいはいチョーク削り」

術師「ふん」ペキ シャッ シャッ


ガチャ バタン

「もう直ってるかなー」

「どうかしらね」


術師「……」

open closet

術師「さて じゃこっちも……」ゴソ

コン コン

術師「それ」サラサラ シュバッ

「おっと 何だこれは? ……なんだよ」

ガチャリ

術師「猫の平均寿命は大凡十数年という 白内障かね私と同い年の老猫よ」

J「"起こさないでください"はドアノブにかけとく札であって学生のレポートに書き付けてドアの下からシャッとやるものではない」

J「そしてここはホテルじゃないし私はボーイでないし君は客じゃないぞ友よ 暇なんだろうがね」

術師「今から忙しくなる」シュル

J「ヌードルの奴からの出頭要請を伝えに来たのだけれど 外出の予定でもあったか」

J「……フード付き? いい趣味ではない」

バサ

外套男「火遊びの正装は昔からこういうのだと相場が決まってる 知らねーのか」

J「火遊びィ?」

外套男「知ってるかな」

術師傀儡「  」コト

J「!!」

外套男「休暇残ってる?」

J「仕事も残ってる……ッ!」ジーコ ジーコ

外套男「でもDr.ニャン吉にはゆうこと聞いてくれるお友達が一杯いるよね」

J「攻性魔法研究室? 私だJだ デバイス標準搭載予定の魔法はどこまで進んでいたっけ? そうか」

J「残りに必要な分は私のデスクに入れてある、一先ずそれで組んでみてくれ 消費軽減はクリア出来る」

J「私?」

J「私は急用が出来た! 今日は帰れないから! あとヌードルに彼はいなかったって言っといて!!」ガチャァッ

外套男「では行こうか」

外套猫「行こうか!」


外套猫「え どこに?」



老舗の玩具屋


チリンチリーン

半鳥「こんにちはー 受け取り来ましたー」

玩具屋「おう 来た来た」

ドリアード「常連の二人は?」

玩具屋「平日ですよお嬢様方」

半鳥「tsktsktsk こっちがお嬢様 私はただのハーピィ」

ドリアード「しつこい」

半鳥「今日は早上がりなんです あわよくば直してるとこ見れたりとか期待しちゃってたり」

玩具屋「なら悪いことしちゃったね」

半鳥「本当?」

玩具屋「パーペキ いやあ、あの子の反応があんまり面白いもんだからさ 張り切ったら速攻終わったよ」

ドリアード「あの子大丈夫でした?」

玩具屋「お嬢様の睨んだ通り頭だった あれを基礎に肉盛りと板金で現行フレーム規格までデカくしつつ補強して……言っても分かんないよね」

玩具屋「まあ下来てよ あ 質問に答えてねーか」

玩具屋「正直分かんない……」

半鳥「えっ」

玩具屋「新しい胴体と回路繋げた辺りからなんか痙攣しだして 治まったら返事しなくて」

半鳥「いやケイレンって絶対ヤバいやつじゃん」

玩具屋「対戦傀儡的には会心の出来栄えなんだけどオバケ的にはどうなの?」

ドリアード「……見てみなきゃ分からないわ」

玩具屋「ごめんねお願い」

ガチャ



ロボット「  」


半鳥「すっごい ピカピカだし背ぇ高くなったし装甲もちゃんと厚くなってる! かっこいいじゃん!」

半鳥「良かったねハンター君!」

ロボット「  」

半鳥「……うんともすんとも言いません」

玩具屋「どうですか先生」

ドリアード「んー…… 作業は夜中だったんでしょう」

玩具屋「そうだけど」

ドリアード「ああ なら」ス

半鳥「デコピン?」

ピシッ

ロボット「……はっ!?」ビクッ

ドリアード「寝てただけね 中身は人間の子供みたいだし」

ドリアード「私もそうだけれど 実体を持たない精神の生物は体を持つ生物よりも強く思い込みが作用するの」

ドリアード「夜は寝るものというのが根付いてたのね 本当に幽霊なら生前はきっと規則正しい生活だったのよ」

半鳥「なるほど……」

ロボット「か 体があるっ……!」

玩具屋「よう寝坊助 それで結局どこまで起きてたの?」

ロボット「どこまでって あれ」ブル

ロボット「あれ 思い出せない」ガタガタガタガタ

玩具屋「OK頑張ったなもういいよ」

半鳥「えぇ……」


ドリアード「思うに 装甲が肌 フレームが骨 魔導回路とやらが生物でいう脳と神経な訳だから――」

ロボット「あっ ちょっと思い出せそうかも おじさんがバチバチする棒でおれの首を」ガクガクガクガクガクガクガクガク

玩具屋「筋肉なんかねーのにどうやって震えてんだよ」

ドリアード「とにかく異常は無いわね 大丈夫よ メンタルだけ」

半鳥「メンタルの生物って言ったばっかでどこが大丈夫なんですかね」

玩具屋「まあ遊ぶのに支障はないでしょ こっちで魔力通して動かすんだから傀儡側の事情は」

ドリアード「うーん……」

半鳥「ダメなの?」

ドリアード「依代は降ろした霊体に動かさせるのが普通よ 一緒になってさらに……動かそうとするとどうなるかっていうのは」

玩具屋「前例が無いってか 俺も分かんない、二人操縦は魔力ごっちゃになんの怖いから出来ないようにしてるし」

半鳥「まー遊ぶかどうかは今はいいよ! で どうなのハンター君、具合は?」

ロボット「……えっと……」クイクイ

ロボット「うーん……」ヒョコヒョコ

ロボット「おおっ……」ピョンピョン

玩具屋「よーしよし接合はいい感じ 流石は俺だよ」

ロボット「凄いよこの体っ 本当に思ったように動かせる!」booster on

半鳥「それは良かっ――」


ガキィン


玩具屋「!」

ロボット「ぜっこうちょう」chop

半鳥「いやだからホントごめんって謝ったじゃん何しつこいよちょっと!!」ギギギギギギ

ロボット「なら鉄砲どかせよ一回殴んなきゃ気がすまないっ!!」グググググ

ドリアード「あらまあ」


玩具屋「そこまでにしろッ!! ブースター切って机に戻れ坊主 今すぐにだッ!!!」グワッ


ロボット「っ!?」ビクッ

半鳥「おら」gripend bash

ロボット「がは!」ビタン

半鳥「こんなこともあろうかと今日は徹甲弾にしてきたの」cocking

半鳥「玩具屋さんの腕前試してみる?」グリ

ロボット「うう……」

玩具屋「…………や や それは勘弁してくれ 頼むわ」

玩具屋「とりあえずハーフィちゃん なんで最初に壊した?」

半鳥「あー……ああ もうしょうがないか 私魔法大学で 雑用? やらせて貰ってるんですけど」

半鳥「イタズr じゃなくて」

半鳥「事故……とも違くて」

半鳥「実験 うん 実験で喚ばさ……喚ん……」

半鳥「喚ぼうとしてたのと違うのが来ちゃいまして ええ はい うん……来ちゃったんですよ」

玩具屋「(歯切れ悪過ぎィ!)」

ドリアード「そういうこと」

玩具屋「分かったの?」

ドリアード「召喚事故……ええ召喚事故でいいわね で 喚んだ奴は危険だったりすることも多いから 経験的に」

ドリアード「早急な対処だったんでしょうね 撃ったと」

玩具屋「はあ 召喚事故ね」

ロボット「じゃあなんでバラそうとしたんだよ!」

半鳥「普通の玩具だっていうから 動いてたら普通じゃないじゃん? じゃーとりあえず中身は……って感じ」

ロボット「えー……」

半鳥「で、昨日話したヌードル教授がここに行けばって教えてくれたから 可哀想だし直せたらって」

ドリアード「まったくもう 本当行き当たりばったりなんだから……」

玩具屋「そりゃまた……それはどうも」

ロボット「……」ムスー

ドリアード「表情なんてないのにムッとしてるのが分かるわ」


玩具屋「……いきなり暴行を受けた訳はそういうことだったんだってさ ボウヤ」

ロボット「聞いてたよっ」

玩具屋「事情があるとはいえいきなり召喚されてボコボコにされちゃ怒るのも無理ないわな けどな」

玩具屋「妙な言い方になっちゃうがお前は今対戦傀儡の体なんだ 分かるか タダのオモチャじゃない」

玩具屋「その気になれば指一本で人を殺せる」

ロボット「……」

ドリアード「(玩具とは)」

玩具屋「人間だった頃親御さんからも言われたか知れないけど言うぞ 人に手を上げちゃあいけない 今後は絶対にだ」

玩具屋「約束してくれ じゃなきゃ俺はボウヤをハーフィちゃんがやった以上にバラバラにしなくちゃいけない」

ロボット「……分かった」

玩具屋「絶対だぞ」

ロボット「うん」



ロボット「分かったからピストルグリグリすんのやめてよ!!」

半鳥「はーいはい」スチャ

ロボット「なんでちょっと残念そーなのッ?」

半鳥「気のせい 気のせい」

ドリアード「試したいんでしょ 移ってきたわねマッド気質が」


玩具屋「市井でそんな物騒なのホイホイ抜くもんじゃないよ ハーフィちゃんも」
玩具屋「いいな?」

半鳥「反省してまーす」

ロボット「うっせーな って思ってるんだろ……」

半鳥「思って まァー せェー んンー」

ロボット「トリ肉」ボソ

半鳥「やんのかブリキ少年!」ザワッ

玩具屋「やめな大人気ない もう終わり ハイ いいな二人とも」

玩具屋「"髪の毛"と腕の羽根、怒るとそんなわさッて動くの? 怖いな」

半鳥「っ!?」ビクッ

玩具屋「あれ?」

半鳥「か みの毛? 羽根と 羽根と……髪の毛?」

玩具屋「あーその 無神経だったかな あれだ だから 種族のその 特徴的なだったらすいません」

半鳥「…………いえ……」

ドリアード「……それがサモナーの言ってた例のやつよ 後遺症」ボソ
ドリアード「安心して 怖がる程じゃないわ」ナデ

半鳥「そう なの? ……ビビったー……ありがとドリアードちゃん」

半鳥「でも頭撫でんのはやめてね」

ドリアード「なら撫でたくさせるのをやめて頂戴ね」ス


玩具屋「なんか大丈夫?」

半鳥「オッケーオールオッケー何でもないです内輪話なんで むしろいい感じに頭冷えましたオーケーオーケーオーケーオーケー」

ロボット「大丈夫そうに見えないよ」

半鳥「ハンター君も意外と好戦的だね? ダメダメ もう乗らないよ 効かないから」

半鳥「仲直りね。ごめんなさい! いい? ん? あ? 指切りしよう? しない?」

ロボット「………………うん 仲直りね」ヒキ

玩具屋「(変なスイッチ入った感じになっちゃって怖がってんぞ)」


玩具屋「……それじゃま、これで一通り済んだことになるけどね」

半鳥「はい 本当にありがとうございました…………」
ロボット「ございました…………」

玩具屋「男に二言は無い」

半鳥「本当にありがとうございました!」
ロボット「ございました!」

ドリアード「こら」

玩具屋「で もし良かったらなんだけど ここの奥 向こうにドアがあるだろ?」

半鳥「改めて見ると地下結構広いですよね」

玩具屋「地下は四階まである ここ地下一階と二階が仕事場で、三階と四階は吹き抜けになってるんだ」

ドリアード「……縦に広いってこと?」

玩具屋「そう 飛べるからねこいつらは」

半鳥「身を持って知りました」ジロ

ロボット「もうしないって させないでよ」

玩具屋「その意気その意気」

玩具屋「というわけで 折角だしちょっと遊んでってみない?」


老舗玩具屋 地下テスト場


半鳥「うわぁ……傀儡サイズの隠れるやつとかある」

ロボット「天井高いねー あのちょっと狭い足場みたいなのは何?」

玩具屋「操縦者用の通路よ キャットウォークを改造したの、見下ろした方が見易いから」

ドリアード「凄い入れ込み様」ヨイショ

玩具屋「そりゃあ俺が一番入れ込んでなくちゃ」

半鳥「とか言いながら上で一式買っちゃってんだもんドリアードちゃん」

ドリアード「こっちがこれだけしてもらっておいて何もっていうのもね」カチン

ドリアード「それにこの遊びには相手が必要なんでしょう 付き合ってあげる」カチャカチャ

半鳥「これが販売戦略ってやつですか」

玩具屋「ふはは まーアフターサービスがうちのキモだから安心してくれ それで」

玩具屋「ラッキーガール 今さらだけどどうやって遊ぶかは分かる?」

半鳥「踊らせるんでしょ?」ヒョイー
ロボット「わ!」バンザーイ

玩具屋「正解」

ロボット「ふざけないでよ! 戦うの」バッ

玩具屋「魔力を通した傀儡同士で戦う、で基本ルールだと頭を壊せば勝ち どこまで壊せば破壊扱いかとか――」

玩具屋「武器威力についてのレギュレーションとか細かいのもあるけど とりあえずドタマにいいの入れれば勝てるって覚えとけばいい」

玩具屋「プレイヤーの直接攻撃は無し 場外乱闘は影響出ない範囲で歓迎 あとは大っぴらに外で遊ばない これくらいかな」

ドリアード「ふーん」カチャリ

ドリ傀儡「  」

ロボット「うわ もう準備できたのかよ」

半鳥「やる気満々」

玩具屋「組み立て早いな」

ドリアード「さっきのを見てたから 生き物とはまた違う形で骨組みが理にかなってて結構面白いわね」

半鳥「なんか武器とかも揃ってるし…… え ホントにやんの?」

ドリアード「何よ 嫌なの」

半鳥「そんなことないけど そうじゃなくて」


半鳥「ハンター君 体に備え付けの武器とか……」

ロボット「あるわけないだろ」

玩具屋「や、ついてんよ こめかみの辺りなんか違和感ない?」

ロボット「こめかみ? ……あ スースーするかも」

玩具屋「頭部魔力弾バルカン 現行の軍用魔導鎧に搭載されてるヤツを模してみました 不意打ちにどうぞ」

ロボット「穴空いてるからスースーするってこと? 魔力弾って――」クル

半鳥「危な!」グイィッ

ロボット「たわば」ぐき


バララララララララララララララララララララララララララララララララチュィンチュィンチュィンチュィンチュイーン


ロボット「首!!!!」

半鳥「………………」

ロボット「フカコウリョクでしょ!!」

ドリアード「……壁 ちょっと傷が付いただけだから大したこと無いって思いかけたけど」コンコン

ドリアード「これ分厚い鋼板よね ……威力……」

玩具屋「魔力使うから撃つ時は気を付けてね 操ってる分取られて動き鈍くなるかも」

ドリアード「……」

半鳥「これだけで十分なんじゃない?」

玩具屋「壁より全然頑丈だから 流石にこんだけじゃキツいし武器貸してあげよう」

半鳥「お 良かったねぇ」

ロボット「他人事みたいに……」

半鳥「私は痛くないから」

ロボット「…………い いや あのチュイーンってガリガリするヤツに比べればきっと大したこと……!」

半鳥「そーそーポジティブシンキング」

玩具屋「……」



対戦傀儡の装備
半鳥&ロボット↓1
ドリ傀儡↓2



カチャ

半鳥「はい 出来た…… くすぐったかったりする?」

ロボット「大丈夫だよ」

ロボット「なんかシンプルだね 軽いライフル銃 ピストル幾つか 手投げ爆弾 ナイフ二つ」

ロボット「足ら辺に小さいアーマー増やしてるの なんかデカい靴みたい」

半鳥「ほっそいからバカスカ撃ったらヘタっちゃうかと思って 騎兵銃と拳銃は弾が同じ大きさのやつで軽そうだったから」

玩具屋「……魔導鎧っつーかただの歩兵だなぁ人間の 飛べる」

半鳥「結構重武装だと思うんだけど……」

玩具屋「常識に囚われ過ぎ! まだ色々あるから後で見てってみなよ」

半鳥「で 囚われてないとあーなんの?」クイ

玩具屋「そう」

ドリアード「褒めてるのよね」

半鳥「すっげー褒めてる だって何それ」


ドリ傀儡「   」


半鳥「ブチ切れた草の怨霊って感じ」

玩具屋「一応F型素体なんだけど こういう組み方されると我ながらうん……」


半鳥「あの花っぽい盾は?」

玩具屋「回転盾だね 花弁に見えるアレがギュイーンってなって防ぐし飛べる 魔力込めると投げた後の軌道変えられます」

半鳥「背中の蕾に見えるやつ……」

玩具屋「飛翔砲台っていうんだ 飛ばして直接ぶつけたり開いて魔力弾撃てたり」
玩具屋「現実では戦車の自衛兵装になり損なったって噂のボツ兵器 それを再現してみた スゴいでしょ?」

半鳥「はあ」

玩具屋「もう片方のは普通の魔導砲かな 攻性魔力の弾とか光線は良い威力だけど燃費悪いから気を付けて 使うなら」

半鳥「さっきのこめかみガンがハンター君のならそうってことね 分っかりました ん」

半鳥「え じゃハンター君大丈夫なの」

ロボット「何が? 何ともないよ」

半鳥「……ならいいけど」

ロボット「ドリアードさん ちょっと慣らしてからでもいいよね おれの目的はそれだし」

ドリアード「わざわざ許可を取る必要なんてないわ」

ロボット「うん」

半鳥「やっぱりどっか変?」

ロボット「そういんじゃなくて…… でも いや うん やっぱりやってみなきゃ分かんないよな」

ロボット「始めよ 来てくれ」

半鳥「痛かったり苦しかったりしたら言ってよねー」

半鳥「魔力流して、操るんなら循環する感じでやればいいのかな? どれどれ……」sending Magic Power

ロボット「!」バチッ




半鳥『…………』

半鳥『……』

半鳥『?』

半鳥『え 何? へ? どこだここ 私倒れてる』

半鳥『地下じゃない 外じゃん、いつの間に……ゴミ捨て場?』

半鳥『何が起こっ




ロボット『ハーフィ ハーフィ? 繋げられたの?』

半鳥「うぇあッ!?」ビクッ

玩具屋「?」

半鳥「あ や うん! 多分?」

ロボット『やってみて』

半鳥「えーと……こうかな」manipulate

グン

ロボット『   』ガクッ
半鳥「   」フラッ

ドリアード「!」

玩具屋「おっと……」スッ

半鳥「な なんか 変な感じだね……」クラ

ロボット『ヤバい なんていうかヤバい』

半鳥「それで まずは足……」

玩具屋「あー待った待った動かさない方がいいって」


ロボット「   」step

ロボット「  」ぐらぁ

ロボット「 」ぐしゃっ

ロボット「」死ーん


半鳥「……」ぅ

ドリアード「あら……これは」

玩具屋「感覚同期に失敗したんだ スゴいな 普通そこの触りまで行くのにも二三日くらいかかるんだけど で」

玩具屋「傀儡に"入る"時の行きはともかく 傀儡にやってた感覚が体に帰ってくる時とかが当時もよくゴネられてさあ 人体への影響がァーとか」

半鳥「……」プルプルプルプル

ロボット「  」カタカタカタカタ

玩具屋「ねーもうホント ライトユーザーは死んじまえって――」

ドリアード「つまりどういう状態なわけ」

半鳥「ぅっ……うッ……」ガクッ

玩具屋「すげー酔う」つ洗面器

半鳥「う゛ッ」ガシ





半鳥「魔力の入れ方OK!!」ガラガラガラガラ

半鳥「酔い止めの魔力ポーションOK!!」グチュグチュグチュグチュ

ロボット「飛び散った分の床掃除もしたし」

kick

ロボット「なにするんだよホントのことだろっ」いッた

半鳥「準備は整った!!! さあやろーかドリアードちゃん!!!」ブクブクブクブク ブベッ

玩具屋「ボクサー?」つ洗面器(済)

ドリアード「……まあ無理しないでよね 遊びだから」manipulate puppet

ドリ傀儡「   」カサッ



半鳥「んぐんぐんぐ」グビグビ
半鳥「さて行きましょーか」manipulate HYPER ULTIMATE GALAXY HUNTER

ロボット『魔力 来た』

半鳥『(よし あんま酔ってない)』
半鳥『(あれっ)』


ドリ傀儡『(今度は大丈夫そうね 良かった)』

ドリ傀儡『(それじゃ行くわよ)』カシャシャシャシャシャシャシャ


半鳥『(ね ハンター君これひょっとして 同期してからハンター君の声って私にしか聞こえてなかったりする?)』

ロボット『おれも気付いた 普通に喋ってるつもりだったけど声で体の振動ないから多分そう』

半鳥『(乗り移るみたいな操作と合わせてユーレイになったみたい うーむ……)』

ロボット『ノンキしてる場合じゃないだろ早く動かして!』

半鳥『(こーかなッ!)』onehand aim CARBINE

ドリ傀儡『(!)』booster on

ダダダダダダダダダダダダダダダダ

ドリ傀儡『(そんな目くら撃ちじゃ当たるものも当たらないわよ)』シュバッ

ドリ傀儡『(うんいい反応 推進機と羽でバランス取って三対も脚があれば機動力は言うこと無し)』ズサァッ

ロボット『これちょっと反動強いよ、しかもハーフィまともに狙えてないじゃん! ちょんちょん小出しに撃ってばっかだし!』Bratatat tatat

半鳥『(狙ってないからね 利き腕じゃないし)』tatatat tatatat
半鳥『(肩の大砲がヤバそう 虫みたいな足はどっしり構えるためでしょ? とりあえず落ち着かせない)』tatat tatatat tatat

tat tatatat tatat…

ドリ傀儡『(しつこい子 いいわ)』Boost Boost Boost

ドリ傀儡『(それじゃあ鬼さん どうするの)』take cover

ロボット『雪合戦の壁みたいなやつに隠れた! っておれらも隠れるの?』take cover

半鳥『(そう こういう時のためのがあるでしょ)』and suppression fire

ロボット『爆弾! そっか投げるんだ おれにやらせて!』チャキ

半鳥『(え ちょ 勝手に動)』クラ
半鳥「ぅぷっ……」cut manipulate

ロボット『そらっ!』throw GRENADE

半鳥「ちょ バカ ピンは!?」remanipulate
ロボット『何それ?』


玩具屋「(まさか一緒に動かしてる? 黙ったまんまじゃなく意志疎通出来てるのか?)」

ドリアード「(知恵比べじゃなしに 一つの体に二つの頭じゃそりゃ酔うわよ)」

ヒューン

ドリ傀儡『じゃあ手榴弾は不発なのね 貰ったっ……』

半鳥『(よし再接続 ならこう!)』draw handgun

ガゥンガゥンガゥンガゥンガゥン
ビシッ

ドリ傀儡『(!)』bladefan shield

KA-BOOOOoooooooN

ロボット『スゴい 当てた!』

半鳥『(ていうかちゃんと爆発させられた どこまで再現してるか知らないけど普通に撃つだけじゃ爆発しないって本で読んだのに)』

ロボット『したじゃん』

半鳥『(中の爆薬に火点けるとこ狙ったからね そっか、本物の体動かす時と違って魔力とイメージだけだから――)』

半鳥『(そこがちゃんとしてればこういうバカ丁寧な撃ち方が出来るんだ ホント傀儡ってコレどういう仕組みなの?)』

ギュィィィイイイイイ

ロボット『!』

半鳥「爆煙が急に晴れて……」

ドリアード「急に晴れたわね」

ドリ傀儡『(行きなさいッ!)』throw B.F.SHIELD

ヒュロロロロロロ

半鳥「(撃つ? 隠れる? でも返ってくるんじゃ)」

ロボット『ハーフィ遅い!』get buck operate

ロボット『隣の隠れ場所ッ!』boost

ヒュルルルルルル…

ドリ傀儡『(あら そっちに逃げるのね)』バシュ

…ルルルルルルルル

半鳥『(ぐぇ またかよ でもこれは私が悪いか)』ぅぐ
半鳥『(けど隠れ場所変えたって後ろから来んだから同じだよ!)』

ロボット『繋げハーフィ! 盾撃って!』pass operate

半鳥『(ぇえちょっと)』remanipulate

半鳥『(ああもう銃両手に握るとこまでやったんなら自分でやればいいじゃんよ!)』BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM

ガァン ギン ガギン ギィン

半鳥『(でも落とした私流石!!!)』shootdown

ロボット『次 上!』

半鳥『(上っ? あ蕾砲!)』


ドリ傀儡『(気付かれてたのね でもこれはどうかしら)』remote control

カタン

ロボット『げッ』

半鳥『(でぇい!)』BANGBANGBANGBANGBANGBANG

蕾砲『  』ビスビスビスビス

半鳥『(ちッ、閉じると固くなんのね マズい……)』

ロボット『ハーフィ後ろ後ろさっきの換気扇来てるまた!』

半鳥『(クっソ じゃァこうだ!)』dush

ロボット『は!? 意味分かんないなんで突っ込むのバカなのォー!?』

半鳥『(いいから!)』sliding

ドリアード「くぐる気?」

ズサァァァ

ドリ傀儡『(思い切りのいい)』catch

ドリ傀儡『(飛翔砲台は釘付けにされて開けない 出し惜しみしてちゃダメね)』

ドリ傀儡『(まずはコレから)』RDY SHOULDER CANNON

ロボット『か カスったんじゃない鼻』

半鳥『(無いでしょ ほら隠れるよ――ってやべッ!)』

ドリ傀儡『(発射!)』ボシュッ

半鳥『(っ? 上に向かって撃った)』


ヒュルルルルルル ボンッ

ブワァァアアアアアァアアアァアァアアアアアアアッッ


ロボット『なんか降ってきたぁああああああ!!』cut manipulate

半鳥「【※不適切表現】」つサブ洗面器

玩具屋「クラスター? 何だそりゃ そいつはそういう武装じゃ……」

ドリアード「っていう名前なの? 兵器の方は」熱中

ドリ傀儡『(さァ 盾と蕾から逃げ回りながら浴びなさい)』remoooooooooooooooote


回転刃盾『   』ギュィィィイイイイイイィイィイイイィィィイィィィィィイイ

飛翔砲台『   』ズバババババババババババババババババババババババババババ


ロボット『うわあああああ!!!』evaaaaaaaaaaaaade

ドリ傀儡『(……でもそっちは当たらないのね)』


ロボット『……っ避けたぁ! けど戻ってくるし撃ってくるし それに破裂した弾みたいなのがもうッ――』Boooooooost

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

ロボット『――!? これ』

ロボット『草のタネ?』

ドリ傀儡『(芽吹け!)』pray GERMINATE


シュル

シュル シュル


半鳥「はぁーッ はぁーッ ええ加減にせぇよビビり人形……って一瞬目ぇ離したら何コレ!?」Reremanipulate

ロボット『草が生えて食い込んで 助けてハーフィ!』シュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュル

半鳥『(次勝手に切ったらハンター君にぶッかけるかんね!?)』

ロボット『なにこれぇえええハーフィぃいいいぃいいい』ジタバタ

半鳥『(ピーピー騒ぐな男の子でしょッ!)』draw KNIFE

ザク ザクザクザク
シュルシュルシュルシュルシュルシュルシュルシュル

ドリ傀儡『(無駄よ 斬った側から再生するわ)』

半鳥『(性格が出てるなぁもうッ なら足の方だけ斬って噴射で無理くり!)』boost tear

ドリ傀儡『(それも無駄よ)』

ギュウゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッッッッ

ロボット『縛りがキツくなってってる!』ギチギチ

半鳥『(だけじゃない ブーストが吹かせないっ?)』ギュンギュンギュンギュン

ロボット『ホントだ ……これブースターに魔力が行ってないよ おれに来る魔力がこの草に横取りされてる感じだ!』

半鳥『(魔力を吸収されてるってこと? う 確かになんか吸われてる感じする……ッ)』ギュンギュンギュンギュン

半鳥『(ってゆーか……)』ギュンギュン


ドリアード「ハーフィ 何かしらその目は?」ジュルリ

半鳥「何かしらじゃねーよ! ちょっと待ってこれは反則! ダメでしょ! ダメでしょ!?」


玩具屋「え 何が? オリジナル武装は紳士協定に反してなければ禁止してませんよ いつ手加えたのかは知らないけど」

ドリアード「ぁあ 貴方の美味しいわ……凄く甘い イイ」ツヤツヤ

半鳥「自前の魔法使って私の魔力吸収してるの現在進行形で!」

玩具屋「マジで? それはちょっと……」

ドリアード「何が問題なの 直接攻撃は禁止って聞いてるわ」ツヤァ

ドリアード「植物を媒介に自然魔法を使ってるのはそこの人形よ お裾分けがあるみたいだけど私自身は貴方やハンター君になんにもしていないわ」ニヤ

半鳥「な なにをぅヘリクツ……」

玩具屋「あードリアードちゃん魔法使いか……今までもちょくちょくあったけどジャッジ的にはグレーなんだよなそれ」

ドリアード「上空に親種子弾を発射 炸裂してすぐに発芽、魔力を餌に物凄い速さで成長する魔法植物を植え付ける肩付けの大砲」

ドリアード「名付けてヤドリギクラスターとでも言おうかしら 吸収効果は欠いちゃうけど付呪して増産してあげても構わないのだけれど」
玩具屋「採用」

玩具屋「ハーフィちゃん負けそうになったからってゴネちゃうのは良くないなぁ」

半鳥「汚なッ!!!」


半鳥「反則! 反則だ! 認めないぞそんなのー!」Boooo

ロボット『そーだそーだぁ! 勝負中にいきなり武器が進化するなんて一体どんなファンタジーだー!』BOOooooo

半鳥『(いやお前がファンタジー言うんかい)』

ドリアード「ふっ……仕方がないわね」fighter snap

シュルルル…

半鳥「やっぱそっちの魔法なんじゃん……」

ドリアード「ハーフィだってやればいいじゃない ハンター君を介して何か」

ドリアード「まあいいわ さ、ヤドリギは解いてあげたわよ」

ドリアード「これなら文句ないでしょう?」

ロボット『はぁ、気持ち悪かった とりあえずこれで仕切り直』
ロボット『しッ!?』ギュインッ

半鳥『(隙ありじゃあああああああい!!!)』boost charge

ドリアード「そう そのバイタリティが貴方の魅力 けどね」

ドリアード「私年甲斐なく結構負けず嫌いなの 例え遊びでも……」

半鳥『(騎銃掃射! 拳銃連射!)』ズドガガガガガガガ

ドリ傀儡『(戻れ シールド!)』remote control B.F.SHIELD

半鳥『(邪ぁ魔だッ!)』YAKUZA KICK

ドガシャアッ

半鳥『(回る刃がアブナイナラ真ん中蹴っ飛ばせばいいじゃない! ふははは私天才!)』

半鳥『(さあ近付い た ……)』


ザワアアァァァァ…


ドリ傀儡『(立ち止まっちゃったわね)』VINE ARM

ロボット『』

半鳥『(凄い数の蔓……! 右手 素手じゃ無かったの……!?)』

ドリ傀儡『(クラスターに込めてるのと似たような種子を握らせていたのよ 使い方は違うけどね)』ギュシュルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

ドリ傀儡『(行くわよ)』ビコォーン

ロボット『ひッ』



ドリ傀儡『(超自然!)』グワッ

ドリ傀儡『(つゥるゥっ……)』ギュバァッ
ドリ傀儡『(ドリルゥッ……)』ギィィャルルルルルルルルルルルル

ドリ傀儡『(ブレイクゥゥゥゥゥ!!)』ギュゥィィィイイイイイイイイィィィィイイイィイイイイイイイイイイィイィイイイィィィイィィィィィイイ

半鳥『(感覚同期カット)』
半鳥『(同期カット)』
半鳥『(カット出来ないナンデ!?)』

ロボット『ダメ』
半鳥『(はい)』

半鳥『(いやちょっと待って待って待ってなんで纏めた蔓がドリルになんのどーやって腕回してんのねえこれ練習試あi)』


ズギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ





  



半鳥「……」glab color
ロボット「……」ジー

ドリアード「ごめんなさいってば」うぐ

ドリアード「あの あのね 背伸びで足の裏ツりそうなの襟放してくれないかしら……背高いわねハーフィ 素敵ね」プルプル

ドリアード「ちょっと熱くなっちゃっただけなのよ ね ハンター君も肩の上から睨まないで」

ドリアード「関節用の一番高いオイル買ってあげるから! ね?」

ロボット「……」

半鳥「あ グラつきおったな」

ロボット「違うし」

半鳥「まいっか いーよ」パッ

ドリアード「ふうっ……」ストン

ロボット「グラついてない」

半鳥「そうだね うんうん」

ロボット「ないから!」

玩具屋「上の店の赤い缶の機械油のこと言ってるなら売り切れなんだ ごめんね」

ドリアード「知ってる。」

ロボット「manipulate! manipulate!」うををををを

半鳥「ふはは半端者奴 そっちがされる側でしょォーが」ブランブラン

ロボット「つまむなー! 寒い装甲剥げたとこが寒い」ガクンガクン

玩具屋「そう 装甲をバリバリ剥がしてたね ツルっていうか見た目木製ドリルで」

玩具屋「一体どういうカラクリなのか教えてくれないかな どうも気になってたのは俺だけじゃないみたいだから」

半鳥「?」


ドリアード「人形のやったことです記憶にありません」

ロボット「そういうのいいから」

ドリアード「せっかち」
ドリアード「蔓に硬化をかけたのよ 木精ならみんな使える魔法」

玩具屋「硬化……」

ドリアード「昔はこれで伐採に来た不敬な樵の斧とかボロボロにしてたりしたんだけどね」

ドリアード「製錬技術が上がった辺りからキツくなったわ 今なんかチェーンソーでバリバリバリドーンだもの」

玩具屋「……待って 何 ドリアードちゃんのドリアードって木の精霊のドリアードなの? 変わった人名じゃなく?」

ドリアード「僭越ながら」

玩具屋「どういうんだ ゴーストの次は精霊かよ……これはやっぱりラジオの中で俺は架空の物語の登場人物なのかい」

半鳥「精霊様が出てくる話もあるんですか?」

玩具屋「あるよ」
半鳥「あるんだ」

玩具屋「環境破壊にキレた森の精霊が木の傀儡軍団で製鉄所を襲うのよ 主人公は精霊と仲良くなんだけど あっ製鉄所は森に出来るのねだから 魔導排煙バリバリな感じのやつ」

玩具屋「で主人公は精霊と仲良くなんだけど 政府側だから悲しみつつやっつけて人々には感謝されるっていう回なの 若い精霊の捨て台詞がまたキツくてさ……」

半鳥「ホロ苦ですね……」

ロボット「聞いたことある気がする……かも」

ドリアード「ありがちだものね」

半鳥「スれてるなぁ」はは

玩具屋「後々主人公の役者の都合で主役変わるんだけど辻褄合わせにこの回の心情も上手く組み込まれててさ……っと脱線したな」

玩具屋「満喫してるっぽいしそういうあれじゃないんだよね?」

ドリアード「もう似たようなことやったわ」

半鳥「うん」

玩具屋「おおう」

半鳥「いい教訓になったよ 人のトサカに触らないようにする 除草剤はちゃんとしたの使う――」
半鳥「お酒は控えた方がいい 書いたら一回時間置いてちゃんと読み返した方がいい……」

玩具屋「そうなんだ?」


ロボット「なあ 早く修理してって」

ドリアード「分かってるわよ すみませんけどお願いできますか?」

玩具屋「毎度」ガチャガチャ

ロボット「痛い ネジ歪んでる 痛い 痒い 痛い痛い痛い」

玩具屋「交換すっから動くなってば」

半鳥「でもまあまあ面白かったかも 札束でぶん殴られた感じを差し引けば」

ドリアード「あーあー聞こえない」close ear

半鳥「あと酔っちゃうのがね 慣れればいいのかな」

玩具屋「ああそうだそうだそれなんだけど」

玩具屋「何 ハン太と二人で動かしてる感じなの?」

半鳥「いや……どっちかっていうと違くて ゲーしちゃってたじゃないですか」

玩具屋「頻繁にね」

ロボット「接続切れでオエッてしてた」


半鳥「ハンター君か私のどっちかがどっちかの意志でしか動かせてませんでした 魔導車のハンドルを取り合いしてる感じ」

ロボット「あっ、そんな感じだ 普通に運転する時おれ、ぶつけて殺すからハーフィっていちいち切り替えるみたいな」

半鳥「例えヒドくね」

ドリアード「撃ってたのはハーフィなんでしょう 頭を向けもせずに上のを見付けてたのがハンター君かしら」

半鳥「そう 流石」

玩具屋「んーむ……一つの体に二つの頭か なんかあの犬の魔獣みたい なんつったか」

ドリアード「オルトロス?」

玩具屋「それだ」

半鳥「おるとろす……?」
ロボット「おるとろす……!」

玩具屋「分かる どっちの反応も」

半鳥「なんとかなりませんかね」

玩具屋「多分だけどなんとか出来るとは思う 要は二人で操縦できればいいんでしょ」

ドリアード「回路を増やす」

玩具屋「言った通りやったことはないんだけどね パッと来たのはそれ」

ロボット「また頭開くの」ビク

玩具屋「お時間は取らせませんので」

ロボット「やだ! ふざけんなよすっげー痛いんだぞ!?」

半鳥「ん まー嫌ならしょうがないよね」

ドリアード「あら あっさりね」


半鳥「ちょっと遊び辛かったってのがね 維持費とか改造費とかあるし」

玩具屋「……」

半鳥「一回一回やるごとに壊れたらかかるんじゃさぁ 大人の遊びだよね それに」

ドリアード「それに?」

半鳥「ハンター君は私の玩具じゃないから ハンター君自身だから」

ドリアード「まあ……」

半鳥「まあってそんな意外そうに」

ロボット「ピストルでグリってやった」

ドリアード「あれの弟子というだけで十分じゃない」

半鳥「ひでぇ」

玩具屋「自身だからと来たか……いやあ」

半鳥「ほらちゃんと感銘を受けてくれてる人もいるんだよ これが普通の通常の流れよドリさん」

ドリアード「ヤな響きね」

玩具屋「本当に腹話術じゃない?」

半鳥「違った」

玩具屋「冗談だよ へへへ」custom over

玩具屋「っしゃ、装甲装着完了 もう動いてオッケーよ」

ロボット「……ちょっと重い」クイクイ

玩具屋「うん」

ロボット「うんって」

玩具屋「まーまーまーサービスよサービス 今度またやる時に試してみ」

玩具屋「ハーフィちゃんは微妙みたいだけどハン太郎一人でも遊べるんだろ? そん時にでもさ ブッ飛ぶぜ~これは」

ロボット「楽しみさよりも不安さが先に来てる」

半鳥「良かったねハンター君 ありがとうございます色々」

玩具屋「まあ 気が向いたらまた遊んでよ」

半鳥「はい」

ドリアード「それじゃあこれ」pay

玩具屋「毎度ありがとうございます」

ドリアード「私は楽しかったわ また来るかも」

玩具屋「嬉しいね スジも良かったし大歓迎」

ドリアード「払いもいいし?」

玩具屋「まったく」

玩具屋「ところでどーかな 近く対戦傀儡の催しがあるって話はしたっけ?」

半鳥「あー 最後の方で言ってた……」

玩具屋「前後のヤツは忘れていいからね」

半鳥「忘れました」

半鳥「忘れましたか?」
ドリアード「忘れました」
ロボット「忘れました」

半鳥「忘れました」

玩具屋「センキューセンキュー なんだけどドリアードちゃんどうかな」


ドリアード「昨日今日の素人だけど 資格とかは?」

玩具屋「無い無い傀儡使いなら誰でもオーケー あーでも参加権として強いて言うなら」ゴソ

玩具屋「これがそうかな」KeyBolt

半鳥「そのネジが?」

ドリアード「……ねじ山の入り方が妙ね 刻みが深過ぎるし、その割に途中で途切れてる所があったり これじゃ普通には使えない」

ドリアード「魔導鍵?」

玩具屋「うお一発で看破されたか」

玩具屋「そうだよ錠前と合わせて変型合金製なんだ 高級車なんかに使われてる技術の聞き齧り」

半鳥「ホント何でも作れるんですね……」

玩具屋「天才ですから」

ロボット「自分で言うんだ」

玩具屋「小さい頃から言ってたんだぜ 俺だけしか俺がそうなのを知らなかった時から 事実だしね」

玩具屋「看板しょったら後は認めさせるだけよ 超簡単」

半鳥「あ なんかヤなダブり方した 今」

ロボット「ただのカッコつけじゃん」

玩具屋「貫くんだよ 大概そーやって茶々入れられて恥ずかしくなっちゃうもんなんだ 勿体ないことだよ」

ロボット「変なの」


ドリアード「鍵はどうしたら貰えるんですか? やっぱり買うとか」

玩具屋「気になる?」

ドリアード「……まあ」 

玩具屋「はい」give KB

ドリアード「はい」take KB

ドリアード「はい?」

玩具屋「期待してるよ ダークホースとしちゃ面白いかもしんない」

ドリアード「ええ 適当……や まだ決めたわけじゃ」

ロボット「気に入った奴に渡してるってこと?」

玩具屋「欲しい? いいよ」

ロボット「うーん」チラ

半鳥「うーん」

玩具屋「即ダメって言わないのは脈ありってことなのかな」

半鳥「見るだけならそこそこ興味ある感じなんだけど……やるとなるとなぁ ボッコボコだったから」

玩具屋「正直ドリアードちゃんの戦法は初見殺しなとこあったからね」

玩具屋「回転盾と飛翔砲台で牽制、そこにヤドリギで削り殺せれば良し 近付かれたら多脚の機動力と蔓で応戦」

ロボット「卑怯だった」

ドリアード「勝てば官軍というのよ」

ロボット「けっ」

玩具屋「だからまあ気にする負けじゃない どころかハーフィちゃんもイイ線行ってた」

半鳥「おお……」

ロボット「撃つの上手だったしね」

半鳥「もっと褒めてもいいよ」

ロボット「いいゲロだった」

半鳥「デコピン喰らえ」ズビシ

ロボット「痛っ」

半鳥「固っ」

ドリアード「何やってるのよ」

ドリアード「……そういうわけですから 私達は保留かな」

玩具屋「そっか」

玩具屋「持ってて 日取りと場所教えるからさ、来てくれるなら飛び入りなんてのでもいい」

ドリアード「ありがとう それじゃ今日のところは」

玩具屋「またのお越しを」

半鳥「待ってハンター君どうしよ」

ロボット「おれ?」


半鳥「どうする一緒に大学帰る? 入れ物今工具箱しか無いからガチャガチャしちゃうかもだけど」

ロボット「下ろせないんだよね」んー

半鳥「借り物です」

ロボット「……一緒に行こっかな」

半鳥「あれ」

ロボット「魔法の学校だろ おれ今魔法の生き物だし そっちの方が色々やりやすそうかなって」

半鳥「正確には村だけどね」

ドリアード「貴方家まで連れて帰る気なの」

ロボット「!」ピク

半鳥「ダメかな」

ドリアード「ダメってことないでしょうけど」

玩具屋「おおっと役得だな少年」

ロボット「はあっ? 意味分かんないし 何が得するんだよ」

半鳥「ここか大学の研究室でもいいんだろうけどさ あーいやいや研究室はダメですわ大学はダメダメ」

ロボット「なんでだよ」

半鳥「私のやり方なんて目じゃない勢いで速攻バラされちゃうかもよ?」

ロボット「え」

ドリアード「サモナーやプロフェッサー・Jなら分からないけど 約一名危険なのがね……」

半鳥「工学棟はラーメン教授いるしね 超調べたがってた」

ロボット「泊まらせてください」

半鳥「素直でよろしい」

ドリアード「私は預かって欲しいんですが ついでに修理も」

玩具屋「分かった 任せといて」


半鳥「じゃあまた! ねえねえドリアードちゃんネジ見せて!」

ドリアード「ほら 大学に戻ったら返すのよ」はい

半鳥「ふぅーむ へーぇ……」しげしげ

ロボット「おれにも見せて」

ドリアード「壊さないでよね……? すごく凝った造りだから私も見たいの」

ガチャ バタン



……

玩具屋「しかし珍しいお客様だったな 歴代客層平均年齢を大きく下げたんじゃない」

玩具屋「いや 大きなお友達が身体年齢もそうだった頃を鑑みればそうでもないか ははっ」

玩具屋「やーやー参ったなぁ若い女の子と長いこと喋っちった おっさんちょっと若返ったんじゃねえのー?」

ガチャ

玩具屋「うおっと」
玩具屋「はいらっしゃい あら」

ヅラ客「お おォい聞いてくれよォォ~~……!」

玩具屋「どうしたのそんなげんなりして ズレちゃうぞ」

ヅラ客「ズレねぇよォ高ッけぇのピチッとやってんだからよォ」

ヅラ客「じゃなくて大変なんだよ! 俺のキーボルトがブン取られちまったんだァ!」

玩具屋「またアンティやったんだろ パーツか金でやれないから代わりにって渡したんじゃないの~? お前はあの複合大剣に頼り過ぎなんだよ――」

玩具屋「ハードポイント増し増しの装甲付けてんだから動き難いなんて言わずに固定武装とかで取れる択をもっとだな……」

ヅラ客「違ぇんだよ 見ねぇ奴だし絶対カモだと思って俺の方からアンティは仕掛けたんだ」

玩具屋「だせぇ」

ヅラ客「うるせぇなァ! なんか普通の魔導鎧みてぇなアセンでよォ――」

玩具屋「ふーん、普通のね……」

ガチャ

玩具屋「またか いらっしゃい」

チビ客「お お おおいスミスぅ!」

玩具屋「金属パーツは基本プレスと溶接だ 鍛冶屋じゃないんだからやめなそれ」

ヅラ客「どうしたァ?」

チビ客「き き き きききききき」

ヅラ客「いつもにましてドモりが酷ぇなァ落ち着けってよ」

玩具屋「待った」
玩具屋「キーボルト?」

チビ客「そ そそうなんだよ取られちゃったんだ大会に出れない」


ヅラ客「……おめぇもか アンティで」

チビ客「俺の欲しいもんくれるって言うから 傀儡使いに悪い奴はい いないし 信じて 勝てるとも思ったし」

チビ客「けど負けちゃったんだ お金じゃなくて良かったけ 良かっ 良かったよお金じゃなくて」

玩具屋「どんな奴だった」

ヅラ客「それが……いいか俺から話すぜ? それがいけ好かないコート着た野郎でよ……」

チビ客「もっと古いやつだよ 外套! フードがつ ついててさ」

ヅラ客「そうだそれだァ 決まりだなァ同じ奴だぜ」

玩具屋「この短時間に? 違うんじゃねえかな……」

ヅラ客「思い当たる節があるって感じだァ」

玩具屋「まあね 何かしら来ると思ってたがこういう形とは……しかも早い」

玩具屋「(キーボルト持った奴だけ狙い撃ち? この二人だけじゃないんだろうな 面子をどこで……まああそこだよな)」

玩具屋「(数的には狙う必要はない でもってあの子のこった、ローラーをかけさせてるんだ 俺に合わせたやり方で)」

玩具屋「二人とも 電話貸すからちょっと話回してくんないかな、それでアンティは当分無しって」

チビ客「すスミスは?」

玩具屋「自宅用の電話使う ちょっと確認しなきゃだ」

玩具屋「頼むよ」

ヅラ客「後で修理も頼むぜ」



帝都魔法大学 召喚魔法研究室


マンチカン「……」
髪蛇「……」

茶「混ぜんな~ 危険な~」ゴリゴリゴリゴリ

茶「奴らが会いすりゃ」サラサラサラサラ

BOMB!!

マンチカン「!?」サッ
髪蛇「!!」シュルルル

茶「ドカンだ~ ってね けほっ、あーまた駄目だったわ、これも失敗リスト入りーと……」check

コンコン

茶「今取り込み中だ 後にしてくれ」声真似

ガチャ

J「友よ なんでそんな早……なんだブラウンじゃないか 妙に高いとは思った」

茶「嘘は言ってないわ! 取り込み中って言ったじゃない、駄目でしょ他人の研究室にズカズカ入って来ちゃ?」

茶「私の研究室が今魔導汚染状態で使えないから間借りさせて貰っているの 大丈夫大丈夫サモナーいないし!」

茶「貴方ももうちょっとだけデリカシーがあったって罰は当たらないんじゃないかしら!」

J「お前さあ」

J「まあいい 私はきちんと本人に許可を取った上で来ているんだ、さあさあ机を片付けた」

茶「それは構わないけど今動かしたら危険のねんごろよ?」

J「君の言う危険は常人の5倍増しだ それは困る」pray GRAVITY CONTROL

茶「え? あぁあ? ちょっ おろして 実験器具がぁ!」フワー

J「着地」to ceiling

茶「あら」ストン

J「道具にもかけた ジャンプしたりしない限りしばらく君の床は天井だ スペースを有効活用しようじゃないか」

茶「素晴らしいアイデアね! じゃあお言葉に甘えて仕事させて貰うわ!」ゴリゴリゴリゴリ


茶「ところで貴方は何しに来たの?」チャポチャポチャポチャポ

J「出先から戻ってきたんだ 奴と一緒に今日は休みを取ってな、これだ」つ傀儡

茶「む この照明大分汚れてるわね……」

J「落とそうか 汚れと一緒に」

茶「冗談よ! 真上だから首が痛くなりそう」どれ

茶「……あー あー見たことあるわそれ! うわ懐かしいー! 男の子のステイタスだったやつよね!」

J「よく知ってるじゃないか サモナーに誘われてな、懐かしくてつい」

茶「休んだ?」

J「私の部下達は優秀だからな」

茶「私の助手だってそうよ! 間口が広いのは同じだけど、私が求めてるのは優秀な人材ばかりじゃないから」

J「玉石混合と言いたいのかい 君らしくない」

茶「メインは玉石に金剛よ文句ナシ」

茶「ほら 一応バイトさんも研究室預かりだから……」

J「ああフィールドワーク組か ハンターとか傭兵とか――」

J「賞金稼ぎとかに外注しているんだったな 基本的に研究室には入れない筈では? 何があった」

茶「ちょっとね!」

J「はいはい じゃあお互い自分の用事に取りかかるとしよう」

J「真上を向いて会話するように人間の体は出来ていないようだからな」

茶「真下を見ながらもね!」

茶「ということはじきにサモナーも帰ってくるのかしら」

J「すぐではないだろうが だろうな」

茶「対戦傀儡って言ったっけ」

J「そうそう 今はツアー中だ」

茶「何それ?」

J「しかる筋からプレイヤーを探して辻斬りして回っているのさ ちゃんと相手の都合は考えてる」

J「まあ 曰く賭けるものがあった方が楽しいし本気になれるというんで 奴は勝つなり相手から色々取り上げてるようだが」

茶「必死になるものね。いい考えだと思うわ!」

J「やる側からすればな でも見てた時断る輩は居なかったし、突拍子もなくても楽しいのはそうなんだろう」

J「私も参戦しなければ さて買ってきたパーツをどう組むか……」ガチャガチャ

茶「……そういえばハーフィ達はどうしてるのかしら」

J「ドリアードと遊びに行ったとか」

茶「付き合い良いわよね、お姉ちゃんみたい!」

J「本人に言ってやったらどうだい」

茶「ツンデレだから もうトルネードスピンはゴメンよ……」

J「ふっ」



帝都 玩具屋を出てより数分の通り


ドリアード「なんかお腹空いちゃったわね」

半鳥「そうだねー ていうか木精でももう水だけじゃ足りない感じなんですか」

ドリアード「体でいる時はそうかも いえ、そうね、上手に作り過ぎちゃったからそう 枝の時はそんなことないんだけど」

ロボット「……ドリアードさんって木で出来てるの」in toolbox

ドリアード「木製って? 間違いではないかな さっきの話冗談だと思っていたの?」

ロボット「思ってた……」

ドリアード「貴方ほどじゃないと思うけど フフ……ところでよく工具箱重くないわね」

半鳥「ハーピィの筋肉舐めないでください 軽くて強いんだよ? 小指で逆立ち歩きとかヨユーだし」

ロボット「ウソぉ!」

半鳥「ウソぉー」

工具箱「  」ガンッ

半鳥「あははは工具箱が怒ってる」


ガヤガヤガヤガヤ


ドリアード「ん ここら辺はあんまり来たことなかったけど お店いっぱいあるわねぇ あっという間に人だかり」

半鳥「お昼時だもんね ビジネス街からはちょっとしか離れてないし――」

半鳥「工場とかあるとこからもそんな遠くないし 安いのもお高いのもごっちゃんなってる 賑やかー」

ドリアード「何か食べたいものはある」

半鳥「高いの!」

ドリアード「高い=美味しいって発想がもうお安いわね……」

半鳥「うっせ」

ドリアード「まあいいわ じゃあ……あ」

ドリアード「ごめんなさいハーフィ ちょっとお金下ろして来なきゃ」


半鳥「銀行までちょっとあるんじゃない ついてくよ いいよ別に」

ドリアード「いいえ飛んでくわ 風があれだから羽は使えないでしょう」pray WIND

半鳥「分かった ……ああ通行人のお姉さんのスカートが」ブワァアアア

工具箱「  」カタ

半鳥「んー?」バカッ

ロボット「あッ なんでいきなり開けるんだよ眩しいだろ!」

半鳥「開けた方がいいかと思って もー行っちゃったよ!」くくく

ロボット「閉めてよ!」

半鳥「はーいはーい」ガチャ

ドリアード「(普段自分より賢しい連中にイジられてばっかりだからはしゃいでるのね……)」

ドリアード「あんまり人で遊ばないの すぐに戻ってくるから待っていて」ゴォォオッ

ロボット「なんだよもう……早くね」


「うわ飛んでった あの年で魔法使いか」
「今日は風が騒がしいな……」
「見えたか! 見えたか!?」
「見えたが下になんか履いてやがったSHIT」
「HOLY SHIT」
「でも、この風……少し 泣いています」
「そうそう夕方から雨降るってねーラジオで」


半鳥「ああもう往来で風起こしたり飛んだりするもんだから目立ちおってからに」

半鳥「立ちっぱなしも辛いししゃがんでますかね」ストン

ロボット「出してくれたりとか」

半鳥「ゴースト傀儡ってバラすか一人で高い人形遊びしてるって説明するかの二択じゃん もうちょっと我慢してー……」


おっさん「……ん? お、鳥の嬢ちゃんじゃないか」

半鳥「ああ…… こんにちは、お昼ですか?」

おっさん「そうそう 部下と一緒にな」


若いの「え、係長知り合いなんスか? 妻子ある身じゃ、や、どーなんスかこういう……職種の」

半鳥「ラフな格好の亜人と見ればそれか こないだ最初の焼き直しかなァ」

おっさん「すまんすまん! 謝れバカタレ 社内の亜人軽視はウチのチームから無くすって言っただろうが」グイッ

若いの「ちょっと前の朝連絡のあれマジだったんスか? 誰も本気にしてませんって」いだだだ

半鳥「ほう……」ゴト

工具箱「いでッ」ガチャ

おっさん「?」

若いの「なんだよ 言われんの嫌なら家帰れば」

半鳥「上等だコラ」

おっさん「あーマズい……」

ロボット「なんだよもうハーフィの奴っ――」


『見ィ~つけたぞ~~~』


ロボット「……!?」



ズ

ズズ ズ ゴト

グラッ


ロボット「(箱を動かしてる ハーフィ?)」


「コブラツイスト!!!!!!」
「いだいいだいいだだだだだだだだだだ」
「俺ん時よりソフトだなぁ その辺にしてやってくれよな」


ロボット「だよね 声が遠くなってるってことは誰だ? ハーフィ! ハーフィ?」

『気付いてない気付いてな~~い~~~ あの売女は男に絡み付くのに夢中~みたいよ』

ロボット「お前何だ! 何勝手に人のもの取ってるんだよ、そういうの駄目なんだぞ!」

『シャルァップ! ヒヒヒ』shake

ロボット「うばばばばばばばばば」ガッチャンゴッチャン



ゴトン

『はァ~い到着ゥ~~~~』

ガチャ

ロボット「うおっまぶしっ……ど、どこ ここ……」


赤い傀儡「おはよ~さァ~~~ん あらいいベッド、寝てる間に修理して貰えてそ~なか~~んじィ~~~? それか」

赤い傀儡「バラバラになってたりとか ん? ん~~坊っちゃん?」

ロボット「……喋る傀儡……!」

赤い傀儡「坊っちゃんも喋ってるじゃなァ~い? お仲間!!!」

赤い傀儡「だ~から見つけやァ~すかったんだけども」

ロボット「何なんだよ……気持ち悪い喋り方だな」wake up

ロボット「路地裏? どこに連れてきたんだ!」

赤い傀儡「オイラも知らんねん~」

赤い傀儡「後ろの奴に聞けばァ~?」

ロボット「?」クル


外套男「遊びが過ぎるぜ旦那」

赤い傀儡「遊び易い場所選んでくれたクセにィ~」RDY ARM

ロボット「!!」equip weapon

赤い傀儡「そ~来なくっちゃヒィ~ヒヒヒヒヒ!」Booster On




赤い傀儡の装備↓



赤い傀儡「とォォ~~~ゥ!」ズシャッ

ロボット「(飛び退いた あの重たそうな見た目で)」take cover Toolbox
ロボット「(なんだアイツ カミキリムシみたいな顔 両手両脇にガトリング砲 肩どっちもにロケット砲 腰にも何かある……ッ?)」

赤い傀儡「坊っちゃんを穴空きチィ~~~ズにするためだよォ逃げてんじゃない」climbs iron rock

Ready to fire

ロボット「………!!!」


ッッヴゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッツッ


赤い傀儡「ヒィ~~~ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」DEEEEEEeeeeeeST

赤い傀儡「ツラ出せ」ROOOOOOOOOooooooooooooooY

ロボット「ふざけろ!」lean fire

チュンチュンチュンチュィン チュィーン

ビスッ

赤い傀儡「いでッ」HIT

ロボット「(ハーフィの真似!)」ダダダダダダダダダ

赤い傀儡「ッだらァオイコラボケェ!!!!」ボシュボシュボシュボシュ

ロボット「っ!?」ビクゥ

工具箱「ぐわああああああああああああああ」ズドドドドドドドドド

ロボット「くそっ箱が」

赤い傀儡「今撃ってンだろ!? 今撃ってンだろ俺!? なあ!? 俺!!! 俺!!!!」suppression

赤い傀儡「撃ってっ時に撃ち返してンじゃねェェェ~~~よカスが!!!!!」
赤い傀儡「み~た~い~な~」
赤い傀儡「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ」パシュッ


シューッ カンッ

ロボット「腰からワイヤーっ? 先っぽが箱に……」

赤い傀儡「こっちに来ォ~~~~い!」キュァルルルルルルルルー

ズズ ズズズズズズズズズ

ロボット「引っ張――ウインチかそれ!」

赤い傀儡「おいで~~~チュ~してやるよォ回路までガッッッツリとォォ~~~~~!」ガパァ

ロボット「やだ!」draw knife

赤い傀儡「そうか初めてか! 初めてか!? そ~かァ!! 何事も経験よォ~坊っちゃァァ~~~~ん!!」ready HuuuuuUuuuuuuuG

ロボット「死ねよ男じゃんかよ!!」バッ
ロボット「(ここだッ)」

赤い傀儡「坊っちゃ~~んワイヤー切れちゃうから出ても撃たれないと思ったの? 大正解!!」open mask

赤い傀儡「がががァ~~~~~っ!!!」FIRE BREATH

ボゴァァアァァアアアァアアアアアアアアアア

ロボット「!? ぅがぁぁああ!!!」ドシャッ

赤い傀儡「ヒィ~ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ 何か仕込んでたのは分かってたンでしょォ~~?」BUUUUUUuuUUUUu

赤い傀儡「常に最悪を想定しとかなきゃ~~戦場じゃそういうのが命取りなんだよォ~~~~ッ?」rRRRRRRrRrrRRN

外套男「あんたもな旦那 いっつもだよ」
外套男「足元」

赤い傀儡「あ?」チラ

グレネード「  」コロ


KA-BOOOooooooooooooN


ロボット「あッづ……灰になっちゃえよ」ブスブス

赤い傀儡「……いや~ァ ハイになっちゃうよォ~~~~……」ユラ…

ロボット「(アーマーが重たい上にブ厚いのか 全然効いてない……)」


ロボット「(けど今なら足をくっつけてる! 多少下手でもッ)」ジャキッ

赤い傀儡「ヒッヒ」Remove winch & climb irons

ロボット「喰らええええ!」ガガガガガガガガガガ

赤い傀儡「一々叫ばなくても弾は飛んでくよォ坊っちゃん痛だだだ」shot WinchAnchor

カキンッ キュァルルルルルルルルル

ロボット「路地の壁にッ」reload

赤い傀儡「ァ~~~~ァア~~~~~~~~ァァ!!!」Jaaaaaaaaegeeeeeeeerrrrrrrrrr

ロボット「(ワイヤーの巻きとブースターで無理矢理飛んでるのか!)」Bratatatatatatat

赤い傀儡「ゲリラ豪~~~~雨!!」ヴヴゥゥーーーーーーーーッッッ

ロボット「濡れたら死ぬやつ!!」ガパ

赤い傀儡「(装甲があっちゃこっちゃ展開? 格納型の増設ブ~スタ~~……)」

ロボット「(おじさんサンキュー)」Boooooooooost

ロボット「墜ちろ!」BLAMBLAMBLAMBLAM

赤い傀儡「(推力に物言わせて弾幕から抜けたかァ~~ 確かに速いは速い)」キュァルルルルルルルルル

赤い傀儡「(だ~が~~~)」stick wall

ロボット「!」boost dogge

ヴヴゥゥーーーーーーーーッッッ

ロボット「(壁に張り付いた瞬間を狙えば……ッ!)」BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM

赤い傀儡「ヒヒヒヒヒ」ボシュボシュボシュボシュ

ロボット「避けないッ?」バシュゥゥゥゥゥゥゥゥ

赤い傀儡「スピードに振り回されて肝心の射撃が当たらないんじゃしょォ~~がないんとちゃいます??」continue

ロボット「(じゃあ グレネードっ……)」ピンッ

赤い傀儡「で手榴弾ン!? ヒ~ヒヒヒ素人丸出しィ~~!」winch maneuver

ゥヴヴゥーーーーーーッッッ
ドガォォオン

ロボット「避けたし 撃ち落とされた……」

赤い傀儡「右往左往だね坊っちゃ~ん 可ン哀想ォにねェ~~~ヒヒヒヒヒ」キュァルルルルルルルルルルルル

ロボット「……くそッ!」Booooost

バシュゥゥゥゥ……


赤い傀儡「ヒヒヒ! ケツ捲って逃げるのかい~~?」winch and boost

外套男「旦那……」

赤い傀儡「そ~んなに遠くまで行かないよォ 止まったら蜂の巣って分かってんだ」
赤い傀儡「なのに坊っちゃんたら後先考えず全開ブゥゥ~~~~ン ヒヒヒヒ」

外套男「確かにあんたのでもあれなトばし方だったが」

赤い傀儡「そこのところ詳しくインタビュ~したいっていうのもあるけど」

赤い傀儡「すぐ済む」

外套男「チッ ゴースト野郎共」

赤い傀儡「ヒヒヒヒヒ」


Booooooost

ロボット「……っ?」クル

ヒュッ

ロボット「!!」evade

チャキン キュァルルルルルルルルル

ロボット「っなんだよッ!」ズダダダダダダ

赤い傀儡「だから当たらな~~いってば」

赤い傀儡「ど~したの坊っちゃん もう門限~? 早くない? それにおうちはあっちのあれじゃなかったァ~~~~?」

ロボット「何なんだよいきなり来て! 追いかけて来んなよっ!」ゴォッ

赤い傀儡「あれいじけてら」

赤い傀儡「とりあえず高度グングン上げんのよしたら~? 路地も大分奥まで来ちゃったしィ~~」

ロボット「……あのネジが欲しいならハーフィかドリアードさんとこ行けばいいだろっ!」landing banister

赤い傀儡「お? そうなの?」

赤い傀儡「(窓手摺? 安アパートの方まで来てたのねェ~ 下がゴチャゴチャしてきていよいよ墜落がメンドくなってきた~~……)」

赤い傀儡「坊っちゃ~ん 鉢植えあるからそこは下りようね?」

ロボット「うるさい!」ゲシッ

鉢植え「」ヒューン

赤い傀儡「あァ~~人ンちのお花を」ヒュンヒュン


カシャーン

赤い傀儡「この辺に住むような連中なら居ないような時間だからいいけどさァ~~~~」

ロボット「さんざっぱら路地の壁撃ちまくっといて何言ってんだ!」ヒョイヒョイヒョイヒョイ

鉢植えs「「「「」」」」ヒューン

赤い傀儡「ヤケクソならヤケクソでこっち向かってくるとかにしたらど~なの!」winch evade

カシャーンカシャーンカシャーンカシャーン

赤い傀儡「あァ~綺麗だったのに」 

鉢植え「「「」」」ヒューーーーン

赤い傀儡「まだ落とすかよォ~? あ゛ァ~~も゛ォ~~~~」aim MINIGUN

ヴヴゥゥーーーーーーーーッッッ

カシャンバリンバギンカリャァン

手榴弾「」hit

ドグォォォオオオオオォン

赤い傀儡「!? 混ぜて落としてたのかァこのバカ――」

ロボット「今だっ」escape

赤い傀儡「だからなんで上昇するのォ~?」chase

ロボット「もうほっとけよッ!」

赤い傀儡「仕事としてはねェ~~~~これで及~第点なんだけども」

赤い傀儡「オイラぁ個人的にちょっとお話ししたいの! ダメ~~~~?」ボシュボシュボシュボシュ

ロボット「うわああならロケット弾やめろ!!」

赤い傀儡「焦んなくていいって魔導信管無しの下からなんだから~~からかい甲斐のある坊っちゃんだよォ ヒヒヒヒヒ」
赤い傀儡「け~ど一回休憩にしといた方がいいかなァ~……」

ロボット「はあっ?」

ガチャ

ロボット「!」ギョッ

赤い傀儡「こんだけ騒ぎゃねェ オイラは隠れるけど坊っちゃんはァ~?」ヒョイ

ロボット「馬鹿にすんなよ――」

ロボット「(いや待った おじさんはあんまり目立たないで欲しそうだったよな)」

ロボット「……静かにしろよ!?」サッ

赤い傀儡「お前がな」サッ


undefined

undefined

 



アパート住人「誰や やたら窓の近くで騒いでんのは! ここ四階やぞ!?」バタン

アパート住人「公園か裏の道路に行けや、なんでわざわざこんな勝手口めいた裏手で遊どるんやボケ!」

ロボット「(聞いたことない喋り方……)」窓の上

赤い傀儡「(島国の訛り方だね~~)」窓の下

赤い傀儡「(貧乏侍の出稼ぎ傭兵?)」窓の横

赤い傀儡「(ふゥゥ~~~ん)」窓の上

アパート住人「なんとか言ったらどうなんや!!」

ロボット「でも昼間から家に居るんだろこの怒鳴ってる人……」ボソ

赤い傀儡「せやなァ」ボソ

ロボット「!?」

赤い傀儡「ヒヒヒヒ!!」kick

ロボット「な お前は下に引っ込んだハズじゃ……」ドガシャ


アパート住人「ああん? 上か!」グイッ

赤い傀儡「てい」close window

アパート住人「お゜っ」ガスッッッ

ロボット「うわ お、おじさんっ」

赤い傀儡「ノびてるだけよ~心配ナッスィン ヒヒヒ」パシュッ

ロボット「待て! そうかそれがあるから静かに登って来れたのか ズルいな……!」

赤い傀儡「ウインチはそォ~~っとやれば静かでいいよねェ~~ ブーストの魔力も節約出来るしィ~~」キュァルルルルルルルルル

ロボット「ケチやろう」バシュゥゥゥゥ

赤い傀儡「ほ~らァ また言った側からバシュゥゥゥゥ~~~~」

赤い傀儡「坊っちゃァん そんだけの魔力をどっから融通してるのォ~~?」

ロボット「はっ?」

赤い傀儡「つまり意識しないでやってんでしょ~ それってスゴいんだよォ~~、良い意味でばっかりじゃないけどォ~~」ガシャコ

赤い傀儡「生まれは~? それとも死んでる~? いつからそれに憑いてるの~~?」
赤い傀儡「憑くまでは何してたのォ~~~~?」ッッヴヴヴゥゥゥーーーーーーゥヴゥッッッッッ

ロボット「(と、隣の雨戸の裏にッ!)」ガラ バタン

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

赤い傀儡「オジサンもねェ~、坊っちゃんみたくこんな風に傀儡みたいのに"入って"普段も仕事してるんだけど」

赤い傀儡「あ傭兵ね仕事」

赤い傀儡「魔導鎧はタンクの魔力とかあるからいいよォ? こ~いう裸一貫で操るヤツはどうしても息切れしちゃうものなの普通はさァ~~」

ロボット「(……ゴーストって割りといるってこと……?)」cover


チュィーン

ロボット「く 貫通した……」

赤い傀儡「聞いてる~~? 聞いてないねェ~~~~」

ロボット「この真っ赤野郎! 吹っ飛ばすか撃つか話すかどれかにしろってんだよ!」

赤い傀儡「鉄火場じゃなくとも楽しめる仕事って触れ込みで雇われてるからさァ~ うん 募集要項に合わせて?」MINIGUUUUUUUUUuuuuuuuuuuuuuuN

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガカガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

ロボット「(……ホントにラチが明かないな)」
ロボット「(とにかく逃げなきゃ 話とか言って聞いてたら殺される…………よし……)」グググ

バギンッ

赤い傀儡「雨戸ォ盾にしようって?」

ロボット「っ重……ッ」グルン

赤い傀儡「!」

ロボット「せええぇッ!」throw shutter

赤い傀儡「(ほう 撃ち落とせないね~~弾の無駄)」wire evade

ロボット「……落ち着け……落ち着け おれ」Boost


ロボット「(アイツのブースト+ワイヤーアクションはスピードにノるとすげー速い けど――)」

赤い傀儡「……」landing
赤い傀儡「ん~~ん?」climbs rock

ロボット「来るっ」swooooooop
ロボット「(で下に隠れつつカワラを一枚!)」ベキッ

赤い傀儡「三階の庇ィ~~? ちょ~~~~こまァ~~~~かとォォ~~~~……」ッッヴヴゥーーーーーーーーーーーーーッッッッッ

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

赤い傀儡「(ミニガンとはいえ釘弾じゃ~屋根は抜けないわなァ~~)」パシュッ

ロボット「(――けど その分小回りが効かないんだ いっぺん飛びたいとこに先っぽを打たなきゃいけないからコースも分かる)」つ屋根瓦

赤い傀儡「坊っちゃん 出てきな~~~~~ってェ~~」キュァルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

ロボット「しかもこの巻き取り音 傀儡の体なら音だけで十分ッ……」

ロボット「そこだッ!」ブンッ

赤い傀儡「(偏差投擲ってェ~~?)」
赤い傀儡「な~るほど」ッヴゥゥーーーーーッッ

パキャァァアン

赤い傀儡「っとォ~……」グラッ

ロボットよし 空中で撃ってバランス崩したな……」バシュゥゥゥゥ

赤い傀儡「……」

赤い傀儡「で来ない? で逃げの一手か! 妙なとこクレバーだね~坊っちゃん……」

赤い傀儡「……ミニガン四つははしゃぎ過ぎたかなァ~~……」faaaaaaaaaaaaall

パシュッ カキン
キュァルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

赤い傀儡「坊っちゃん! どこまで逃げるのよ~~~~ッ?」stick wall

ダダダダダダダダダ
チュイン チュイッ

赤い傀儡「い~いお返事……さァて」

赤い傀儡「坊っちゃんが逃げ方を覚えちゃった以上 ここからはジリ貧だね~~~~~~ ~参ったね~~~~~うん」


赤い傀儡「この辺にしとこ~か」active Multiple arm

ガシャガシャガシャガシャガシャガシャ



ロボット「……射撃が止んだ」バシュゥゥゥゥ

ロボット「さっきの適当撃ちで死んだとか? ないか」

バシュゥゥゥゥゥゥゥゥ

ロボット「だよね……ブースト?」

赤い傀儡 バシュゥゥゥゥ

ロボット「勿体無いとか 思いっきり吹かしてんじゃん、言ってられなくなったのかよ」

ロボット「(それにしたって速くない?)」

ロボット「真っ直ぐ突っ込んで来るだけなら当てられ――」aim
ロボット「!」


赤い装甲「   」バシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……


ロボット「(アーマーだけ!? 抜け殻みたいに外のブースターで飛んで……中身はッ?)」


「上上 屋根の上だよ~~~」


ロボット「なッ――」ガクン

紅蓮傀儡「おんぶして~~~~~~軽くなったしいいでしょ~~~~~」grapple

ロボット「子泣きジジィか!!!」ジタバタ

紅蓮傀儡「姿勢崩さない~~~バーニア余所向けるとしっちゃかめっちゃかんなるよォォ~~~?」choke

ロボット「離 ぅう ぐッぎっ……」ギシィッギシィッ

紅蓮傀儡「知ってる知ってる~~~~~気道なんか無いのに絞められると苦しいんだよねェ~~よく出来てるよね~~~本当」ギリリリ

ロボット「ぁ……か ふ……ッ」ググググググ

ロボット「(意識が ブースターに魔力送れな い)」バシュゥゥゥゥ
ロボット「(落ちるっ……)」ボボボ ボ

紅蓮傀儡「ヒヒヒヒヒ」throw

ロボット「ぅッ――」ヒュアッ

紅蓮傀儡「って あっ」


ガッシャァァアアアアァアアアァァアーーーーン


住人女性「! 何ですか……?」

ロボット「――ッッ!」ドンガラガッシャァァ

紅蓮傀儡「あの窓~……」
紅蓮傀儡「あちゃあ バスル~ム?」シュバッ


ロボット「ううん…… くそ 脱ぐなんて卑怯だぞ」ヨロ

ロボット「? 生暖か……い……」

サァァァ……

住人女性「……」nude

ロボット「」


住人女性「……傀儡?」

ロボット「えっあっあのっそのっ」アタフタ

ロボット「ご ごめんなさい本当ごめんなさいだって昼間からいるなんて」

住人女性「…………私、夜勤でして ある種の」シャワァァー

ロボット「そうなんだ……じゃなくて! すぐ出ます! 内緒にして!」バッ

ロボット「ガラス散っちゃってごめんなさい! ごめんなさい!」バヒュー

住人女性「ちょっと待っ……行ってしまいましたか」

住人女性「……あー 確かにガラスどうしましょう」



ロボット「赤いの!! どこだよ!!!」Boost

紅蓮傀儡「生身だったら顔真っ赤なんだろ~ね~坊っちゃ~~~んヒィ~~ヒヒヒヒ」Boost

ロボット「うるさいっ!!」

ロボット「ハーフィもお前もおれのことバカにして 頭きた!!」ズドドドドドドドド

紅蓮傀儡「ホント? 楽しみィ~~!」evaaaaaaaaaaaaaaaaade

ロボット「さっき言ったよな 魔力どうしてるかって」バシュゥゥゥゥゥゥゥゥ

ロボット「知るかよ! 出てこいってやったら出てくるんだよどっかから!」ダダダダダダダダダダダダダダダダダダ
ロボット「(やっぱり身軽になって速くなってる どっち道銃をそのまま撃つだけじゃ当たらない)」

紅蓮傀儡「あははァ~そんな馬鹿な」ゴォォォオオオオ

ロボット「!」Carbine and Handgun

紅蓮傀儡「そうそう接近には弾幕弾幕~~~それで近付けなくなるんだよ~坊っちゃ~~~ん」シュババババ

ロボット「(言いながら弾の間縫ってるじゃん 見えてるのかよッ)」BARRAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaGE

紅蓮傀儡「でもじゃあど~するのォ~~~? 坊っちゃんはどうやってオイラをギャフンと言わせてくれるのかな~~~~~???」

ロボット「簡単だろ 足りてないからもっと寄越せってやればいい」

紅蓮傀儡「えェ?」

ロボット「っ……!!」OVERLOAD

ッッッッギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギ

紅蓮傀儡「!」


ロボット「……よぉし 来る……来る……来た!」ギュンギュンギュンギュンギュンギュンギュンギュン

紅蓮傀儡「これは……」バッ

ロボット「行くぞ赤いの まずお前から黙らしてやる!」HighBoost

ロボット「おらぁああッ!」boost charge

紅蓮傀儡「面白い」pray JET FRAME

シュゴォォオオオオオォオオオオオオオ

ロボット「(手からも足からも火柱 魔力のブースターじゃない?)」

紅蓮傀儡「自前だよ~ 傀儡でも魔法がつかえるのは知ってるゥ~~??」ゴォォォオオオオオォオオオ

ロボット「知ってる」aim carbine
ロボット「だから何って感じだけど!」BLAMBLAMBLAM

紅蓮傀儡「お~お~」swing

ジュッッッッ

ロボット「(弾 焼かれた)」reload

紅蓮傀儡「(急に撃つの上手くなったね 本当にパワーアップした~? 違うな)」シュゴォォォォオ

紅蓮傀儡「(魔力 この水道代ケチる考えやめて蛇口全開にした感じ……)」aim

紅蓮傀儡「坊っちゃ~ん? 降参降参~」charge

紅蓮傀儡「オジサンが悪かったよゴメンネ~ やめにしな~い~?」pray BLAZING COLUMN

ロボット「火柱?」ギュォォオオオオオオ

紅蓮傀儡「初速とかほぼビームなのにカスりもしな~い! ヒヒヒヒ」and FIRE BALL

ロボット「(すごいなこれ 速く動けるし全部が遅く見える――)」バラララララ

紅蓮傀儡「  」RAPID

ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ
バババババババババババババババババババババババババババ

ロボット「(自分で撃った弾が当たるまで見える ドリアードさんの時も最初からこうしてれば良かった!)」Shootdown Fire ball

紅蓮傀儡「(撃たれて火球は爆発していく 視界が塞がる――)」

ロボット「まだやるのか? 全部撃ち落としてやるよ!」

紅蓮傀儡「威勢は大変よろし~かったんですけども~~~」
紅蓮傀儡「そろそろ終わりにするからさァ~~~~」

ロボット「まだ何かあん――」


ガシャン


ロボット「!? 一人でに――」ギギギギギ

赤い装甲「    」hold



ロボット「は なせッ……」ギヂィ

紅蓮傀儡「オジサンの一張羅ムリヤリ着せられた感想はどう~? いいでしょォ~~」

紅蓮傀儡「遠くからでも動かせるのよ~~~それ 坊っちゃんにも多分出来るよ?」shot wireanchor

ドスッ

ロボット「ぐぶッ」

キュァルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

赤い装甲「   」release

ロボット「ぐ……」フラ

紅蓮傀儡「で 魔導鎧の近接格闘ってのは」charge

紅蓮傀儡「掌底でこう!」ズドッッ

ロボット「――ッッ!!」ガグン

Booster OFF

ロボット「っ……ッ 落」グラ


ビィィ…ン

ロボット「……えっ……?」


紅蓮傀儡「は~~~いおしまいねェ~~~~」

紅蓮傀儡「じゃあゆっくり降りましょ~~かね~~~~~~」バシュゥゥゥゥ

赤い装甲「   」バシュゥゥゥゥ

undefined



ロボット「う……頭 痛ぁ……」ガンガン

紅蓮傀儡「本物じゃ~いくら人型って言っても頑丈過ぎるのよ~~ 普通に殴ったりはあんまりな~いの~~」

紅蓮傀儡「だ~から中身に衝撃を通す 傀儡は人じゃなくて回路にだねェ~~、アブソーバーが頭部フレームにあるから――」

紅蓮傀儡「壊れない程度に思いっきりブン殴ると"揺らせる"んです~~~ 丁度脳味噌みたいにィ~~~……」landing

ロボット「よく分かんない……いだ」ドサ

紅蓮傀儡「年季の差ってことよ~~~~~~」remove anchor

紅蓮傀儡「さ~坊っちゃ~~んいきなり喧嘩売って悪かったね~~~~~~~~~立てる?」

紅蓮傀儡「はい手~ 大~丈~夫もう火ィ~出さないから」スッ

ロボット「……いらない……」グッ
ロボット「…………あれ」ヨロリ

紅蓮傀儡「ちゃんと魔力通ってないんじゃな~~~い? 一瞬トんでたでしょォ~~~」multiple arm

赤い装甲「   」ARMOR MODE

ガシャガシャガシャガシャ

赤い傀儡「ふ~ 落ち着く」装着

ロボット「よい……しょ……」standup

赤い傀儡「意地の張り方は流石男の子だね~~~」


ロボット「……中身の背中にそれ着る用の腕があるってこと?」

赤い傀儡「スゴいでしょ~? アーマーの背中から出せるからこれで腕の二つと別のミニガン二つも持てるんだよ~? ヒヒヒヒヒ」ニョキニョキワキワキ

ロボット「…………キモい」

赤い傀儡「ケチもつくってェ~! 魔導鎧と同じ憑依式操縦って聞いてたから正直イタズラ目的だったのに――」

赤い傀儡「蓋開けたらオッサンばっかなんだも~~~ん! 傭兵は男女比6:4くらいなのに今回と来たらシチサンですらない!!」ア゛ーーーーーーーー

ロボット「今回?」

赤い傀儡「お仕事よお仕事! さる高貴な筋のお方からねェ~~――」

ロボット「玩具屋の社長の人でしょ どーせ」

赤い傀儡「あり? な~~~んで知ってんのォ~~~~~~ヒヒヒヒヒヒヒヒ」

ロボット「その喋り方ムカつくからやめてくんない……」

赤い傀儡「やめさせてみな ヒィ~~~~~~ヒヒヒヒヒヒヒ」lol

ロボット「いいよ……!」overload…

赤い傀儡「またハアアアアアアア~~~ってウンコ気張るみたいにィ~~~? そんな暇あるかな~~~~~~」aim MINIGUN×4

ロボット「……」ス

赤い傀儡「ン~~~いい子」

undefined


ロボット「…………おれをボコすのが仕事なの 違うよな」

ロボット「玩具屋のおじさんの邪魔したいからお客さんを狙ってるんだろ それで――」

ロボット「とりあえず会ってる奴から」

赤い傀儡「あの若白髪と面識あんのォ~? ゴーストがいるなんて聞かなかったけど~ だから見っけて興奮しちゃったんだし~~~」

ロボット「……向こうは気付いてないかも」

赤い傀儡「ナルホドね~ そういうこと出来るのがこの体質のいいとこなんだよね~~」

ロボット「違うって言わないんだな 黙ったりとか」

赤い傀儡「契約に守秘義務は盛り込まれてなかったからね~ "ロートル玩具のローカル大会を邪魔しろ"」

赤い傀儡「以上! 遊びみたいな仕事だし~~ 聞きたいこととかある~~?」

赤い傀儡「こっちにはあるから交換でいかな~~い~~~~?」

ロボット「別に無いけど」

赤い傀儡「ホントに~~? ハーフィってのはさっきのデミ子ちゃんのことでしょ~心配じゃな~~いの~~~~?」

ロボット「別に」フイ

赤い傀儡「あっ目反らした! モノアイは分かりやすくてい~ね~ヒ~~ヒヒヒ」

ロボット「べ・つ・に!! しつこいんだよ!」

ロボット「もういいようっさいな! ほら動いたぞ撃てばいいだろ 撃てよ! 手足壊れたら芋虫みたいにして帰るから!」スクッ

赤い傀儡「そ~~んな怒んないでよォ ミルク買ってこようかってあ~あ~冗談だってばも~~~~~~」ガシャガシャガシャガシャ

赤い装甲「   」FOLLOW MODE

ロボット「うわっ!」escape

赤い装甲「   」ガシ

紅蓮傀儡「はい座る」

ロボット「あ゛~……」イラァ

紅蓮傀儡「坊っちゃ~~ん 喋り方がトサカに来るならゴメ~ンね~~性分は変えらんないからさァ~~~~」

紅蓮傀儡「けど質問ってのはマジなの~~~~~~」

ロボット「ふゥ~~んマジなんだ~~~~~~」

紅蓮傀儡「ヒヒヒヒ そ~だよ」

ロボット「あっそ」

紅蓮傀儡「じゃ~もう一押し」
紅蓮傀儡「坊っちゃん オジサンからもう今情報を一個貰っちゃってるよね~~?」

ロボット「勝手に喋ったんだろそんなの 押し売りじゃんかよ」

紅蓮傀儡「押し売り結構~ 代金を払わなきゃ体で払って貰~うよ」

紅蓮傀儡「ゴーストだからね 依代ついでに魂魄まで一辺に砕く方法も知ってるしすぐ出来る 一瞬だよ~」

紅蓮傀儡「話くらいよくない?」

ロボット「……」
ロボット「何だよ……?」

紅蓮傀儡「ありがとォ~~~~!」


紅蓮傀儡「生まれは~? それとも死んでる~?」

ロボット「……煽ってただけじゃなかったんだな」

紅蓮傀儡「煽ってだっていないよォ~~ヒヒヒヒ いつからその体使ってる~? 憑くまでは何してたの~?」

ロボット「保留じゃダメかな」

紅蓮傀儡「どゆこと」

ロボット「覚えてないんだ」

ロボット「こう、モヤモヤ……寝て起きたばっかな感じで」

ロボット「生まれは分かんない 死んでるかも ていうか人間だったのかな? 多分だけどこの体はかなり長いこと使ってる気がする」

ロボット「憑くまでは……分かんない」

紅蓮傀儡「……記憶喪失ってこと~?」

ロボット「ぼやっとだけど ちょっと前まではどこかのゴミ捨て場にいたような気がするんだ」

ロボット「ハーフィが召喚魔法でおれを喚んだの なんで喚んだのかは知らないけど」

ロボット「喚ばれるまでのはなんか……ボーッと……ハッキリしてない」

紅蓮傀儡「……」フム

ロボット「殺す? 足りない?」

紅蓮傀儡「……いや 充分充~分」remove order

紅蓮傀儡「ありがと~坊っちゃん 要領は得ないけど色んなのを聞いて回るのが目的だかんね~~」ガシャガシャガシャガシャ

ロボット「何で?」

赤い傀儡「オジサン、ゴーストなんだけど生きててさァ~~」

ロボット「???」

赤い傀儡「まあそれはい~のよ うん 関係ナイナイ」

赤い傀儡「じゃ~思い出したらまた聞かせてくれな~~い~~?」

ロボット「また会ったらね」

赤い傀儡「会うよ」

ロボット「……」

赤い傀儡「おっ 部下が来たァ~~」

ロボット「部下?」



外套男「旦那! ちったァ考えてくれや」ドスドス

外套男「路地裏を人の足じゃあブーストに追い付くのキツいんだぞ」ゼーハー

ロボット「あっ持ち主の」

赤い傀儡「持ち主ィ~? ヒヒヒヒヒ 持ち主だってよォ~ヒヒヒヒヒヒ」

赤い傀儡「マスタ~! ご命令を!」

外套男「対応し辛い絡み方はやめてくれ」

外套男「あーこれ暑ィな」ガサゴソ

ロボット「……脱ぐなら着てこなきゃ良かったじゃん」

ロボット「って 亜人?」

豚鬼整備士「違う 生粋のオークだ混ざりじゃない、それにコートは支給品だクライアントからの」つ外套

赤い傀儡「見分け付かないよねェ~~?」

豚鬼整備士「肌! 分厚くて緑色なのは俺らだけっていつも言ってんだろ 部下のことだぜ」

豚鬼整備士「ど~でもいいことはすぐオツムからポロっといくんだからよぉ 隊長」

ロボット「隊長……?」

豚鬼整備士「こんなんでって思うよな 傭兵だったら普通社長とか代表とかだろ呼び方にしても」

赤い傀儡「仕事はど~したのかねェ~~」

豚鬼整備士「あっそうだよそれそれ 減俸かなァ」

赤い傀儡「あ?」

豚鬼整備士「スマン旦那しくった」



「ううん ちゃーんとしっかりやってくれたよ」


豚鬼整備士「屋根の上ですー……」

赤い傀儡「何がよ~」

ロボット「……! ハーフィっ?」

半鳥「ハンター君!」チャキ

赤い傀儡「マジか」take cover

豚鬼整備士「おい!!」summon ARMORED PLATE


ズギュゥーンズギュゥーンズギュゥーンズギュゥーンズギュゥーンズギュゥーン
ガギンガギンガギンガギンガギンガギン


ロボット「召喚魔法? 鉄の板……」

赤い傀儡「うちのエンジニア自慢の魔導鎧用装甲板~~ トラックの荷台に魔方陣彫って跳ばせるようにしてんの~~~~」

豚鬼整備士「連れてったら撃たねーって約束だったろ!」

半鳥「そんな鉄板出さなくたって当たらないように撃ってましたから それに」

半鳥「初っぱな脅してきた誘拐犯と何か約束して守るフツー? 律儀に オークさん」

赤い傀儡「や~無理かな」

豚鬼整備士「主犯格」

半鳥「放して 早く」summon GOLEMs

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

ゴーレム「  」block front
ゴーレム「  」block rear

豚鬼整備士「使役召喚 バカ学生みたいなナリして……」

赤い傀儡「挟み撃ち~~? こりゃ参ったね~~~~」

豚鬼整備士「ぬかせよ」

ロボット「あの ハーフィ……」

半鳥「潰されたいッ?」reload


赤い傀儡「デミ子ちゃ~~~~んやたら急かすじゃな~~~~~~い?」

半鳥「……ん、そこの傀儡が喋ってるの?」

豚鬼整備士「何だ旦那」

赤い傀儡「ヒヒヒヒ 二重召喚とは恐れ入ったけど~~」pray BLAZING COLUMN

ドグォォォオオォオォオォォオオオオオオオン

ゴーレム「  」ボロッ…

半鳥「ちっ」ズギュゥーンズギュゥーン

豚鬼整備士「っぶね!」plaaaaaaaate

赤い傀儡「随分脆~いお人形だことォ~~~~こんなんなら何百匹でもボ~コボコ喚べそうだ~~わね~~~~ェェ~~~~~~」

半鳥「(傀儡入ってると魔力通し難いのにあの威力 ハリボテでも石は石なんだけどな けど)」

半鳥「ドリアードちゃん!」つ枝

ゴーレム「」シュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

ドリアード「持たせといて正解だったわね」スゥ…
ドリアード「苗床あるとラクでいいわ」

半鳥「柔らけーってか はいはい」

豚鬼整備士「ツタで壁作る気だ 旦那!」

赤い傀儡「モテモテじゃんね~~坊っちゃ~~~~ん?」pray BLADED BURNER

ドリアード「!」

シュゴォォォオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーー

灰塊「   」

半鳥「(土塊ごと蔦を燃やし飛ばした スゴい勢いの火を両手で剣みたいに振ってる――)」double tap

ドリアード「傀儡のクセに」bind VINE

赤い傀儡「しェえァらッッ!!」ジュバババババババ

ドリアード「――成程 捕まえに来るんだから自分はファイヤーダンスしてるだけで良いと」

ドリアード「なら これでどう」pray GUST

ビュォォオオオオオオオォオオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ

ロボット「ぅわッ!」ゴロ

赤い傀儡「突風……」ボボボボ


半鳥「風なんか吹かしてどーすんの!」

ドリアード「どうなると思う? ね 赤いの」

赤い傀儡「……ヒィ~ヒヒ 二人共一端ってワケ~~?」シュゥー…

半鳥「消えた 消した?」

ドリアード「見た目と違ってかなり繊細な魔法よ 燃料
空気 炎のナイフを作る諸々を魔力で生み出す精製のバランス 慣れてるけど細かな操作に腐心させられてる」

ドリアード「崩すのは容易い それに蝋燭は吹き消すものよ」pray LEAF CUTTER

赤い傀儡「坊っちゃ~ん」

豚鬼整備士「専門じゃねぇんだ 手早く頼むぜ」PlatePlatePlate

ドリアード「何それ。厚紙?」シュカカカカカカカカカカカカカカカ

豚鬼整備士「嘘ォ装甲板が切っ マジで手早く!」more summon

赤い傀儡「ガールフレンドがヤバいからこの辺で~ 全然 全っ然 全っっ然本気じゃなかったけどそこそこ楽しめましたよ~~~~」

ロボット「ヤな奴 おーいドリアードさんこっち!!」

赤い傀儡「坊っちゃんからかい甲斐がありすぎるからね~~~よく言われな~~い~~?」pray FIRE WALL

ロボット「早とちりだよって言って止めようかと思ったけどやめた 死んじゃえ」

赤い傀儡「お~怖! 将来が楽しみィ~~ヒヒヒヒ」

赤い傀儡「楽しみついでに一個サービスしちゃうよ坊っちゃ~~ん また会いたいからね~~~~」

ロボット「   」ザッ

赤い傀儡「身構えなくてもいいよォ~! 何もしないって~~アドバイスよアドバイス」

赤い傀儡「あの出力解放 もう使わない方がい~よ」

ロボット「え?」

赤い傀儡「坊っちゃんの魔力がどっから来てるか 少~~し考えればす~~ぐ分かる筈だよォ~~~~」

赤い傀儡「回復する手段か節約するやり方を探しな~~ 蛇口を捻りまくるのはそれからそれから~~」

ロボット「……じゃ 蛇口?」

赤い傀儡「話変わるけど対戦傀儡にはアンティルールってのがあるそうじゃな~~~~い?」

ロボット「おい 蛇口って何が――」

赤い傀儡「勝ったオジサンは負けた坊っちゃんの記憶の話を賞品にしま~~す」


赤い傀儡「次会う時までにパーペキ思い出しといてよォ~~ 楽しみにしてるからねェ~~~~~~?」

豚鬼整備士「おい旦那ネジはどうすんだよ そっちを奪うんじゃねーのかッ?」break plate

豚鬼整備士「つーかゴメンもー無理いだだだだだだだだいだいいだいいだいいだい」サクサクサクサク

ドリアード「安心するといいわ 血達磨にはなるけど死なないように撃ってるから」ニィ

半鳥「ドリアードちゃんスゴい! スゴいイイ笑顔!」ヒキ

赤い傀儡「お~~っと部下が出血で死んじゃ元も子も無いか コワモテ作戦でダメなら――」

赤い傀儡「素直に頂けませんかって土下座でもしときゃ良かったんだよォ~~~~」pray MIRAGE

ゴォッ…………

ロボット「暑っ……!」

赤い傀儡「じゃ~ね~坊っちゃ~~~~ん バイバ~~~~~~イ!」ユラ

豚鬼整備士「やっとか 遅ぇよォ……」ユラァ

ドリアード「陽炎が……膨張で無理矢理路地の気流を」ジリジリ

半鳥「風止めて 任せて」aim

ズギュゥーン ズギュゥーン

「ヒィ~~~~ヒヒヒヒヒヒヒヒ」フッ…
「絆創膏貼らねーとなァ」フッ…

チュィッ チュィィーン

半鳥「えっ ユラユラして……透けて……消えちゃった」ジリジリ

ドリアード「幻覚って感じじゃないわね……熱と……」

ドリアード「光と空気を操って 逃げた後も居るように見せかけたってところかしら」ジリ…

半鳥「そんなことできるの?」

ドリアード「昔 蜃気楼っていう似たような幻っぽいのの話をサボテンから聞いたことがあるわ」

半鳥「シンキロー……」



半鳥「……ま 今はどうでもいいよ」

半鳥「ハンター君 大丈夫だった!」シュタッ

ドリアード「何を話していたの 怪我は」フワ ストッ

ロボット「……二人とも4階の屋根から飛び降りて何ともないんだ ハーフィなんか風も無し……」

半鳥「ごめんね、ちょっと目ぇ離した隙に……あのオークの人がキーボルトを渡せって」

ロボット「うん……」

ドリアード「枝越しに伝えられるまで気付かなかった 本当にごめんなさい」

ロボット「いいよ ネジは?」

ドリアード「ハーフィが持ってると思ってたみたい どの道黙らせていたでしょうけれど」

ロボット「良かった……のかな」

半鳥「やっぱり寄越せって?」

ロボット「そんな感じだったよ アンティルール? で奪おうって考えだったみたいだ」

ロボット「あの社長から頼まれたって 仕事」

半鳥「温室育ちめ……」

ドリアード「どこでそんな言い回し覚えたの 駄目よ」

半鳥「有機栽培め……」

ドリアード「次は頑張って」

ドリアード「私達を狙ったってことなの? 昨日の今日どころかさっきの今よ」

ドリアード「常連の二人が流したのでもないでしょうし どうやって……」

ロボット「よく分かんないけどあの赤いのがおれを見付けたって言ってた 傀儡が居たから来たってより――」

ロボット「ゴーストがいるのを分かるみたい 仕事は仕事だけど赤いの的には……あー えーっと だから」

ロボット「でも何かしら傀儡を見分けるやり方はある感じだった かなぁ……」

半鳥「さっきの私くらい要領得ないね……ん?」



住民「お巡りさんこっちよこっち! 銃声がしたの!」

警官1「危ないから下がっていて 確認して来ます」

警官1「状況が確認できるまで絶対に来ないで ここで待ってて下さいよ」RDY ShotGun

住民「行かないわ それで蜂の巣にされそう」

警官1「近頃は物騒ですから さ」


ドリアード「……とりあえず行きましょうか」ブワッ

ロボット「ああ」バシュー

半鳥「あっ いいよいいよほら」ヒョイ

ロボット「自分で飛べるよ……」

半鳥「ボロボロでしょ 無理しないで」つサンダル
半鳥「はい行くよー」グイ

ロボット「……うん ありがt」むんず
ロボット「って足! 足で掴むのかよ!? ちょっ ねえ!」

半鳥「困った時はお互い様ってね」

ロボット「おれ 魚!?」

半鳥「まーちょっと持ちにくいけど両腕で飛びますんで私 はい」バサッ バサッ

ロボット「い゛っ」ジャリ
ロボット「痛い! 指に砂ちょっと挟まってた! 痛い爪とか普通に」ジタバタ

半鳥「我慢してよ屋根の上来たんだから! 騒いじゃ駄目だって!」危ね

ドリアード「持ちにくいと言えば」
ドリアード「ハーフィ 工具箱はどうしたの?」

ロボット「あっ」

半鳥「そうだよ工具箱工具箱忘れるとこだった ただでさえエロ教授のせいでおかんむりなんだもん」

半鳥「返さないと私までナイヨーショーメーされちゃう」

ドリアード「なにそれ」

ロボット「そ それなんだけとさぁ……」

半鳥「箱ごと持ってかれてたんだっけ どこ?」

ロボット「あっち……」







同刻 帝都某所


髭傀儡「」brakedown


髭客「バカな! 僕の月光蝶が突破されるなんて……!」

外套男「奇をてらい過ぎでしたね」

外套男「見ていて面白くはありましたけどそれじゃあ勝てませんよ」

髭客「くうっ…… 仕方ない、負けは負けだ」

髭客「持って行ってください」つボルト

外套男「……確かに」

外套男「(本当にくれた…… いや反故にされても困るが これで二人目)」クル

外套男「(楽しいは楽しいけど気持ちのいい人達ばかりなだけに少し可哀想だな)」スタスタ

外套男「(彼女の方はどうだろう……)」







外套女「はい、私の勝ち 約束は守って貰いますよ」

白髪客「持ッてけよ」つボルト

外套女「どうも それじゃあさようなら」

白髪客「待ちな 姉さん」

外套女「何ですか?」

白髪客「あんた何者なんだ」

白髪客「界隈じゃ見たことねえのは無論 立ち振舞いに傀儡捌き 俺ら自身や俺らのやる――」

白髪客「お遊びのそれと一線を画してる センス良いクソにわかかと思いきやボルトの事まで知ッてるし」

白髪客「気味悪いぜ ええっ? ツラも見せようとしやがらねェしよ、内輪のノリに混ざろうッてんならイイ声だけじゃダメだ」

外套女「……」

白髪客「集まりに出てえッてだけならスミスの奴に頼みゃあいいのにわざわざ奪うんだもんな……あー この辺にしとっか」

白髪客「取ってったんだ 楽しんでけや」スタ

外套女「……はいはい」





路上某所走行中 魔導車内


外套男「三戦 三つです」

外套女「二戦で二つ」

外套亜人「四戦――」
外套傀儡「四戦で二つゥゥ~~~~~暑いから取っていい?」

御曹司『むしろ車内でまで着てたのかい? 外から窓は?』TELL

運転手「スモークの上、カーテンを引いています」

御曹司『……というか貴方は着る必要ないだろう 部下の玩具で通せるのでは』

赤い傀儡「ま~そォ~~~なんだけどォ~~~~」バサ

豚鬼整備士「あ~暑い暑い なあマスクとかじゃダメだったのかよ」バサ
豚鬼整備士「じゃなくて ダメだったんですか?」

御曹司『傀儡用の外套を用意させておいてその言い種? 布あったから良かったけどさあ まあ付き合ってよ』ハハハハ

御曹司『うんメートルの本物よりずっと小さい玩具なんだし』

赤い傀儡「本物でやれないこと出来て今のところはスゴ~~~~く楽しませて貰ってま~~す」

豚鬼整備士「ミニガン四丁なんざマジにやったら弾薬費だけでギャラ吹っ飛びかねねぇもんな」

赤い傀儡「そちらのお二人はァ~~~~?」

外套男「まあ そこそこに」

外套女「仕事ですから」

赤い傀儡「カタい!」

御曹司『だろうね』

御曹司『一先ずご苦労様 これで実に二十人前後、流石は本職だ』

外套女「二十人前後?」

外套男「別動隊がいると」

御曹司『最初が肝心だからね 大人数は今日だけ』

御曹司『スコアを元に明日以降の面子を決めさせてもらう』

外套女「予選」

御曹司『ははっ ぽいね』

御曹司『抑えられる出費は抑えたいし こんな仕事でも効率的にやれるところは効率的にいきたい 気を悪くしないでくれ』

外套女「……」

外套男「いえ、我々も気分転換になっていますから」

外套男「打診された時は流石に面食らいましたけどね 内容を聞いて」

御曹司『はははは だろうね……と それじゃあ一旦失礼するよ』



玩具会社 社長室


御曹司「着くまでにそれは着替えておいてくれ いいね」ガチャ

御曹司「チャーリー・チームは全員進出と……やっぱり違うな」つ戦績表

秘書「……チャーリー」

御曹司「アルファ ブラボー チャーリー デルタ のチャーリー」

御曹司「オファーに応じてくれた近隣の魔導鎧操縦経験者をくじ引きで適当にチーム分け……」

御曹司「いや ふ ブロック分けして……今日のところは宣戦布告さ」

秘書「……」

御曹司「しかしCは頗る優秀だな 内々で装甲警備部門でも作って引き抜いてみようか?」

秘書「社長」

御曹司「彼を手に入れた暁には実物"で"模したパレードなんかやるんだ おいおい冗談だってば」

御曹司「そんな困ったものを見る顔しないでよ」

御曹司「君はいつも黙々と仕事をこなしてくれてるけど 今日は珍しく表情豊かだね」

秘書「そうかも知れません」

御曹司「人のこと言えないって?」

秘書「いえ」

御曹司「いいよいいよ まあちょっとはしゃいでるのはある」

秘書「変わったやり方です」

御曹司「いつものやり方だろ 調べて 握らせて 潰す 少し趣向を変えただけさ」

御曹司「向こうに合わせてね ぐうの音も出ないようにしてあげるよ」

秘書「こちらの準備は整っています 首尾はいかがでしょうか」

御曹司「どうぞ」つ戦績表

秘書「……では 順次」ペラ

御曹司「よろしく」



老舗玩具屋


ブックメーカー『ああ 教えた』TELL

玩具屋「はあ? なんで? あのボケナスもついに耄碌したってことなのか」

玩具屋「分かってるだろうな」

BM『何をキレてんだ 不干渉なんだろ』

BM『うちと先方での取引があったってだけの話』

玩具屋「お前が売りやがったのは顧客の情報だ 不干渉? バッチリ影響出てんぞ」

玩具屋「いいか こっちの模様見て賭けやるのはおたくの勝手にしろと言ったよ 随分前確かに」

玩具屋「で それから少ししてしゃしゃり出ようとした時どうなったかは忘れたのか? え?」

BM『さあ』

玩具屋「さあ???」

BM『そんなのは知らないし 気に入らないってんなら時代と一緒にやり方も変わってるんだとしか言えない』

BM『前任のがどうだったか知らないが 仲良かったんだったか?』

BM『けど 聞いた話だとなんか困ってたそうじゃないか 付き纏われてたんだろ』

玩具屋「それがどうした 解決して差し上げましょうってか? ふざけなさんなよ」

BM『別に 得したなって』
BM『他意は無ぇんですよ本当に』

玩具屋「何を得するってんだよ」


BM『分かってるだろ 新進気鋭の坊主は――なんでそんなもの欲しがったか……ああ……知らないが』

BM『欲しい情報を得る手段として俺に目を付けた 大口は大口だし当然お伺いを立てて』

BM『二つ返事だったからトントン拍子と』

玩具屋「……そこまで無知なのか あれは」

BM『しっかり口止めはしてきたさ』

玩具屋「……」

BM『だがそういうことじゃないんだよな あんた教えてやれよ』

BM『頬をひっぱたかれてニヤけそうになったのはお店以来だぜ ははは』

玩具屋「……くそ 世間知らずのボーヤめ」

BM『一度挨拶しとこうかと思ってたから丁度良かった Mr.パペット・スミス』

BM『今度の催しでも稼がせて貰いますよ 楽しみにしてる』

玩具屋「余計な真似はするんじゃない」

BM『優しいなあ 気に入られるわけだ』ククク
BM『じゃあまた』ガチャン

玩具屋「……」カチャ

玩具屋「参ったね どうも……」


チリンチリーン


禿客「よう 邪魔するぜ」

玩具屋「おう……」

禿客「デブもすぐ来る ……どうした浮かねーな」

禿客「缶詰 ライフルで開けようとして昼飯食い損なった時みたいな顔してんぜ」


玩具屋「…………二個目は拳銃でやったから食えただろ」

玩具屋「食えたよな確か……食わなかったんだっけ? 缶詰パーン事件何回かあった」

禿客「食えた」

玩具屋「思い出した 飛び散った豆拾って洗おうとしてたよな」

玩具屋「ただでさえ排気魔力まみれの泥被ってたってのに大事に取っときやがったからお前 終いには糸引いてたろ」

禿客「知らなかったのか あの辺り今豆畑になってるんだぜ」

玩具屋「そーなの?」

禿客「知らね」
禿客「撒いたしなってんじゃねえの」

玩具屋「豆缶の豆じゃなぁ 無理だろ はっ」

禿客「分かんねーだろ」

玩具屋「はは」

禿客「へへへへ んじゃ確かめに週末辺りピクニックでも行くかよ? パスポートどこやったかなァ」

玩具屋「段腹も誘ってな あそこなら国境警備隊に賄賂の方が早いんじゃないだって」

禿客「違えねぇ へへ 男共でムサいったらねえわ はははは」

玩具屋「ははは 流石にキモいよ」

禿客「へ 吸っていい?」ゴソ

玩具屋「まあいいでしょ おら」カチッ シュボ
玩具屋「外に吐けよ」ッチン

禿客「んーんー」はいはい

玩具屋「灰落とすな」

玩具屋「……」

禿客「……」ジジ ジ
禿客「それで?」フゥー

玩具屋「連絡を取った」

禿客「若旦那に」

玩具屋「や ブックメーカーだ」

禿客「は?」

玩具屋「状況が状況だから そういや新しい奴んなってたな」

禿客「ちょっと前に変わった うん 今回も賭けてっけどなんかあったのか」


玩具屋「連中のことは知ってるよな」

禿客「それはもう」

禿客「コングロマリットだろ」

玩具屋「ん……」

チリンチリーン

太客「うす」

玩具屋「来たか 聞いてるか?」

太客「あれからなんかあったのか」

禿客「おう ヤバそうよ」

玩具屋「軽くヤバい」

禿客「俺んとこは自営業だかんな 好きに電話取れるし一足先に吃りんから聞いた」

玩具屋「お疲れさん 座るか」ガタ

太客「何 何」着席

禿客「キーボルト狩りだ プレジデントマネービンタマンプレゼンツ」

玩具屋「アンティ仕掛けて帝都一円の傀儡使いを狙って来てやがる 延いて本チャンを」

太客「え!?」wktk

禿客「なんだその顔……いやシーズン3のロワイヤル的なあれじゃねえから」

太客「おいおいおいマジかよ会社行くにも持ち歩かなきゃじゃん」

禿客「話聞いてますー?」

玩具屋「よした方がいい 変なマント着た連中に、入ってきてる被害報告じゃ今のところ全敗だ」

玩具屋「ヅラもヒゲも白髪もやられた もうすぐ二十人行きそう……もう越えてるかも」

太客「マジかよ 月光蝶もリコイルロッドキックも負けた? 付け焼き刃で敵う面子じゃねーぞ」

禿客「白タクのあいつも 肉屋のデブも 作家の豚も ちょっと前から海水浴にハマってるあいつもだ」

禿客「宝石商んとこの新しいのも親父さんの遺品がまだあったってんでか来たらしい 喪中だってのに」

太客「なんでそんなの知ってんだよ ……裏切りもんがいるってことなのか」


玩具屋「マント部隊は知らないが 情報の出所については当たらずも遠からずってとこだな」

禿客「ああ それで」

太客「どこのどいつだ」

玩具屋「そっちは俺がなんとかする 気にしないで」

玩具屋「とりあえず営業妨害をなんとかしたいな 今はみんな傀儡使いのサガで相手して負けたら潔くやってるが」

玩具屋「こんなのが続くようならそうも言ってらんないだろ つーか堪らん ただでさえ細々やってるってのに」

太客「然り」
禿客「下手の横好き故」

玩具屋「情けなくなってこない?」

太客「然り」
禿客「下手の横好き故」

玩具屋「真面目に取り合ってくんないなら帰ってくれよ」

太客「ちったぁ笑え 皺が深まるぜ」

玩具屋「笑い皺ってのがあってだね……」


チリンチリーン


玩具屋「もうすぐ夕方だってのに いらっしゃ――お?」


半鳥「こんにちはー……」つNEW工具箱

ドリアード「何度もごめんなさいね」


太客「嬢ちゃん達! 昨日ぶりィ」

ドリアード「……ええ」ジロ

禿客「ん? なんだよ?」

玩具屋「そうか その分じゃハーフィちゃん達もかい」

半鳥「も?」ドスン

NEW工具箱「でっ!」ガチャ

パカ

ロボット「だっっ……っからもうちょっと優しくさー……」ヒョコ

半鳥「ごめん したんだけど……加減がさぁ ホントごめん」

玩具屋「また酷くやられたな アポジモーターは役に立ったかい?」

ロボット「アポ……」???

玩具屋「アポジモーター ちっちゃいブースター」

ロボット「あっ 大活躍だったよありがとう! ……負けちゃったけど」

半鳥「いつの間にそんなの付いてたの」

玩具屋「ドリアードちゃんとテストした後に直しついででちゃちゃっとね」

玩具屋「みんなボロボロにされたってのに 二戦目にしちゃ大分綺麗な負け方だわね」

ロボット「スゴい熱かったよ 魔法も使ってきたし辛かった」

ドリアード「ハンター君 多分そういうことを言ってるんじゃないと思うわ」

半鳥「普通に心配してくれてるだけでしょ?」

半鳥「…………あっ えっ? あーそっか」

半鳥「えーちょっと待ってちょっと待って……」

玩具屋「……」

禿客「……」

太客「……」

ロボット「どうしたの? ……おれがわざと負けたっていうのかよ?」

ロボット「なんでそんなことする必要があるんだよ おれはやられたら死んじゃうんだぞ 多分!」

半鳥「分かってるよ」

ドリアード「ハンター君の身が大凡の弁明になるのだけれど」

玩具屋「ちょっとカマかけただけだよ ハーフィちゃんの言う通りだ分かってる」

玩具屋「泣くなよハン太 名前負けだぞ?」

ロボット「泣いてないから」

玩具屋「おっと だよな ごめんよ」



ロボット「……でもボコボコにされて手加減までされたのはムカついてる」

ロボット「ほとんどなんにもやり返せなかった……」

玩具屋「ほとんど」ほう

ロボット「変な技思い付いたんだ それでちょっとだけ銃とか当てた」

半鳥「へー」

玩具屋「やるな 同じようにやられた奴ら曰く、連中は恐らくその道のプロが来てるんじゃないかって話も出てるのに」

半鳥「プロぉ? 傀儡のプロってこと? そんなのまで居たんですか……」

玩具屋「違うよ こいつの本家大本」

ドリアード「……魔導鎧?」

禿客「店長様の記憶はいい加減古いかんな 客に最新式も詳しいのがいてさ 軍隊の」

太客「うちの軍事顧問 作家 喋ってると喉塞がってコポォコポォ言うのが特徴」

半鳥「へー(なんやねんコポォて)」スッ

太客「ごめんまた唾飛んでた?」

禿客「そいつが特にプロだっつってたんだと しつこく間接とかコックピットの正中線とか狙ってくる格闘だの――」

禿客「遮蔽物の耐弾性の見極めが鋭いだの カバーがスムーズだの 着地噴射の吹かし方完璧だだの だのだのだの」

玩具屋「一矢報いた奴もいるにはいるんだろうけど できればいて欲しいけど全員じゃない」

玩具屋「やっぱり持ってんねハン太 ハーフィちゃん」

半鳥「あはは 褒めるなあ……」
ロボット「……」


玩具屋「それで どうしたの? 修理?」

ドリアード「殆ど炙られただけだからって意地張ってるんですけれどね」

ドリアード「言ったでしょう 煤けてちゃ格好も付かないわよ」

ロボット「うーん……」

半鳥「あー で、いいからって言うんでとにかく先に工具箱探そうってなりまして……」

半鳥「真っ黒焦げになっちゃって 一緒に燃やされたとか撃たれたとか」

玩具屋「そういえば箱違うね そうか、あれいいやつだったのに」

半鳥「でーすよねー……」

ドリアード「見つからなかったものは仕方ないでしょ ツケにしといてあげるからこれでちゃんと謝りなさい」

半鳥「うへぁ」

ドリアード「というわけなの 修理もだけど、また絡まれるようなら……って」

玩具屋「ごもっとも 誓ってそういう稼ぎ方はしてないと言っとくよ 絶対にだ ありえない」

玩具屋「領収書は?」

ドリアード「話が早くて助かるわ」ピラ

玩具屋「じゃあ取っといて」

玩具屋「もう少し待っててくれるかな 払わせるからさ」

半鳥「やっぱりそっちがスジだよね」

ドリアード「分かってるだから言ってみただけ というか貴方からいかなきゃ駄目なのよ? 本当は」

半鳥「立て替えて頂いてる手前しゃしゃり出るのはちょっと……」

ドリアード「だからこそよ」

玩具屋「逞しい精霊様だねぇ いやはや……」


ジリリリリリリリリン ジリリリリリリリリン


太客「はい玩具屋です」ガチャ

玩具屋「おーいデブこら」

太客「店長に代わります(泣)」つ受話器

玩具屋「次やったら本当に働いて貰うからな ハゲお前もだぞ」パシ

玩具屋「はい ……おう、ああ ああそっちもか 派手に? ああ……ああ」TELL

玩具屋「……ああ え?」

玩具屋「は?」







帝国警察 中央帝都署 組織犯罪対策課


刑事「は?」

組織犯罪対策課長「だから警備ね警備 警邏かな? 私服で来いとさ」つコーヒー

刑事「ちょっと待ってください……」

組対課長「あーでもっ、厳つくない目のにしときなよぉ? お前に限った話じゃないけどさぁここの連中は」

組対課長「しょっぴいてるマフィアとかと見分け付かないんだよねぇ 息は獣だし」

刑事「話戻していいですか」take mint tablet case

刑事「何? 何の警備って仰いました課長」シャカシャカ

組対課長「なぁんだよ人員の貸し借りは今に始まったこっちゃないだろぉ?」

組対課長「暇か? って来たから暇な奴を差し出したんだよ 来週逆をやるために」

刑事「大捕物になりそうですからね スライム事件に死神幼女事件を挟んで 予定が――」ボリボリ

刑事「ズレ込まずに済みそうで良かった 魔導鎧も二機オペレーターごと引っ張ってこれそうですし 俺の活躍で」ゴクン

刑事「クグツがどうって言いましたか」check breath


組対課長「各課長へ署長直々のお達しだよ なんか民間でゲリラ的な催しをやるそうなんだって」

刑事「ゲリラぁ?」シャカシャカバリボリ

組対課長「対戦傀儡って知ってる」

刑事「危険物扱いのミニ兵器 ……まさか」ゴクン

組対課長「金持ちの道楽だね それもかなり傍迷惑な」

組対課長「羽目外し過ぎないようにコッソリ見張れってさ 帝都全体を舞台にやるつもりらしいんだわ」

刑事「羽目 っつーか そんな規模で特殊危険遠隔操作物筆頭として警察学校の教本に乗る位の悪名高ぇ玩具を……」

刑事「好きにさせようってんなら そんなまったりやってられないんじゃないんですか」ボリボリボリボリ

組対課長「コッソリはマストだって」

刑事「意味が分からねぇ 下手を打つと公認テロになりかねない代物なんでしょう 確か」ゴクン

組対課長「まぁね ああ、お前さんは微妙に世代じゃないのか 使い手次第なんだけどなぁ」

組対課長「とにかくそういうことだからさ 頼むわ "賞金稼ぎ"」

刑事「俺をそう呼びくさるのは鈍臭ェ連中だけだと思ってたんですがね」recheck breath

組対課長「フットワークの軽さだろぉ?」

刑事「課長にゃ負けますよ」シャカシャカ バリボリ

ゴクン







帝都某所 会員制レストラン
VIPルーム


老人「それで……?」カチャカチャ スクー

マフラー野郎「粒の動く賭場……から発展させて、丸ごと新しいシノギにどうかと」

マフラー「こっちの耳からさっき入ったばかりの新鮮な情報です 間違いない」

マフラー「小僧の動きは筒抜けですよ 外堀埋めてみて安牌切ってみて一段落、といったところか」

老人「なのにどうやる」クッチャクッチャ

マフラー「そこです あの小僧面白いことを考えた――」

半狼「  」スン スンスン

半狼「なあ」

マフラー「ん?」

半狼「ニオうんだけど」

老人「イロにボディーガードさせてるのか しかも人狼のまだ小娘ときた」hmph

マフラー「顔は人型のに出来ますから 手足の毛はともかく体は最高ですよ」

半狼「キっショ」ボソ

マフラー「鼻鳴らすだけで仕事にかからないのは何でだ ハニー」

半狼「……アタシに気付かれたって分かった瞬間逃げた」

マフラー「追うだけ追え 適当なところで切り上げろ」

半狼「   」シュバ

老人「手は足りるか」ゴクン クチャペロ

マフラー「一人で十分 足手纏いになるだけ」

マフラー「ネズミはじき狩り出されるでしょうが さて……」

老人「構わねえよ やってみな」ッチャ モム

マフラー「……ありがとうございます」

老人「どうした 意外か?」つワイングラス

老人「突っぱねられると思ってたか? ならどうして持ち込んできやがった」ゴキュ ゴキュ

マフラー「とんでもない 示し付きませんからね」

老人「吐かしやがる」トン

ウェイター「   」つボトル

トクトクトクトク……

老人「やるなら掌握しろよ 半端は許さねぇぞ」グイ

マフラー「当然です」

老人「期限は特に無いが 言いかけたんだ、段取りを聞かせな」ぷはッ

老人「っげふ」







玩具屋「ウチの経営権を賭けろだと……?」

太客「!」ガタッ
禿客「そうだなシーズン3の16話だな 座ってろ」

杖客『そうだ……そいつを催しの優勝商品にしろ、というのが……』TELL

杖客『違うか させろというのが糞餓鬼の要求だ』

玩具屋「さもなきゃ」

杖客『お前の会社を潰すとさ 威張りくさって』

玩具屋「~っ……」ガシガシ

杖客『ピンときたんで聞いて回って、当たりだった 電話はこの一回きりで済ませるよ』

杖客『何遍も鳴っちゃ面倒だからな』

玩具屋「被害者の会総代ってとこか」

杖客『すまん すまない』

杖客『すまないが頼む どうか……路頭に迷わすわけにはいかない それは私のとこだけじゃない』

玩具屋「謝んなよ……他にはなんて?」

杖客『スミス』

玩具屋「待てよ 最後まで聞かせてくれ 他に何か無いのか? 他に何か条件は?」

杖客『いや……お前の条件はそれだけだよ』

玩具屋「俺の? じゃあそっちはまだあるってのか」

杖客『…………教えるなと言われてる』

玩具屋「随ぅィ分とまァ律儀じゃねーのよ……」

杖客『個人的にも言いたくない いや 誓ってお前に不味いことでは決してない ただ――』

杖客『ただ ふざけた話とだけ教えておくよ 奴の肩を持ってるとかそういうんではないんだ 本当だ』

玩具屋「…………信じる」

杖客『……受けるなら、折り返し電話しろと……』

玩具屋「……分かった……かけるよ 今から」

玩具屋「当たり前だろ 心配しないで」

杖客『ありがとう……』

玩具屋「ああ……まあ……うん そう……そんなことより そうだ」

玩具屋「三本目の調子はどうだよ ん? 四つ足はガタついてないか」

玩具屋「悪くなったらまた言ってよ パッと直すからさ」

杖客『……ああ……頼むよ』

玩具屋「任しとけ またな」ガチャ


半鳥「賭けるって」

玩具屋「ここ ここ 店を賭けろとよ」

玩具屋「多分そんだけじゃないんだろうけどね 全部だろどーせ」

禿客「ついに来たか……」

太客「ステッキのジジィ?」

玩具屋「次の催しに諸々を賭けろ さもないと杖の爺さんを始めとする常連の会社を潰す」

太客「なあまたラジオやんならリメイクシーズン1のボスはあいつで行かね」

ドリアード「意趣返しのつもり? 陰湿……」

太客「そう? ねえみんな無視しないで」

禿客「お前な……脳味噌までコレステロールになっちったのか?」

太客「だってよ……」

半鳥「うん なんかもっと悪どいことしてくんのかと思ってたけどビックリした いい意味で」

ドリアード「何で」

半鳥「向こうから言ってるんだもん 言い訳ナシ」

半鳥「勝てばいいんでしょ?」

太客「そうそう!」

禿客「……ん 素でフィクションのサブ主人公みたいなマインドの子がいたか」

半鳥「じゃなきゃ務まりません」

禿客「へっ?」

玩具屋「Mr.ボルドヘッドの懸念通りなんだよね 面白がってるだけ、これで勝ってもあっちは反故に出来るから」

ドリアード「ええ……」

玩具屋「けど他に選択肢は無い」

玩具屋「かけるぞ」カチャ ジーコジーコ

 


玩具会社 社長室


御曹子「来たな」ガチャ

御曹子「早かったじゃないか」

玩具屋『おかげさまで』TELL

御曹子「それで?」

玩具屋『条件とやらを言いな』

御曹子「聞いてないのか? 一応全員に伝えたんだけど」

玩具屋『お前の口からもう一度言いな 合ってれば話進める』

玩具屋『確認』

御曹子「勿論」

御曹子「遊びを大規模にしてやるよ あんたの客全員を完璧に満足させる出来にしよう 過去最高最大の」

御曹子「その代わりこちらの手の者が勝ったら――ああそうだこっちも確認しときたい」

御曹子「ぶつけ方は? トーナメント? 総当たり?」

玩具屋『……総当たり 負けた奴が勝った奴に参加資格のボルトを渡す』

御曹子「良かった あまり特殊なのじゃなくて 無理なく変えられそうだ」

玩具屋『?』

御曹子「ネジの話を聞いてバトルロイヤルがいいと思ってたんだ そうしよう」

御曹子「手持ちのネジを賭けて戦う 一番多く集めて、制限時間内に そちらのいつもの……会場へ到着した側の勝ち」

御曹子「丸一日くらいか シンプルでいいだろう」

玩具屋『会場へ入るも何もそこでやるんじゃないのか』

御曹子「言っただろ、準備はできてる…… 大きくやろう 外で」

御曹子「帝都がリングだ」

玩具屋『無理』

御曹子「いいや」

玩具屋『知らねぇのか? 何がリングだ 予選でもやるかよ? 十一ヶ月かけて?』

御曹子「帝都警察に頼んでおいてね あまりにも大っぴらに、ということでなければ」

御曹子「多少のあれは見逃してくれることになってる 有事の際の警備も兼ねて」

玩具屋『……』

御曹子「それとも挨拶しておいた方が良かったかな "しゃしゃり出て来ないでください"」

御曹子「アソートでも持って? 場所がちょっと分からなくてさ……責任者の」

玩具屋『何か勘違いしてんのね』

玩具屋『ケツ持ちに泣き付いてんだろうが無駄だぜバーカ ってか』

御曹子「そうは言ってない」

玩具屋『言っては な ご知的なお言い回しですね』


玩具屋『いいかい ハッキリさせとくがウチは反社会勢力との世間様に顔向けできねーような関わりはありません』

玩具屋『デカい顔しようもんなら叩きのめす用意があるし何度かそうやって追っ払ってる ただ……』

御曹子「ただ」

玩具屋『折衷案を取った』

玩具屋『客や店に危害を加えるんでなければ俺の知るとこじゃないって話で長いことやってきてたんだ』

玩具屋『プレイヤーの数と同じくらい観戦派の奴もいて、身内の好カードの賭けを仕切ったりとかで稼ぎにしてる』

玩具屋『八百長や脅しは無し 賭けるのは賭ける奴の自己責任だがふざけた真似すればぶっ飛ばすって条件で』

玩具屋『他の商売と比べれば大分お利口さんだそうだが とにかくそれがシノギってやつだ』

御曹子「それが何か」

玩具屋『それだけなのか?』

御曹子「それだけとは」

玩具屋『どこからウチの客の情報を仕入れた?』

御曹子「調べた 自力で」

玩具屋『そうかよ 言いたいこと山程あるけどそれはいいや 今は』

玩具屋『だからそう つまり……そうだな』

玩具屋『なあ お前ヤジロベエって分かる?』

御曹子「バランスのオモチャ」

玩具屋『俺達はそれよ 微妙なバランスで成り立ってる間柄だったの』

玩具屋『これで崩れる 脅しをかけて回ったんだ、景品の話はとっくに伝わってんだろ』

玩具屋『何も金やロマンだけのもんじゃ無いんだ俺達の傀儡は 今頃ヨダレ垂らしてんだろうよ』

御曹子「だから手を打った」

御曹子「準備をしたんだ あんたの周りを掃除するための」

玩具屋『警察を動かしたってのが? そうか スゴいな』

玩具屋『警察だけであの意地汚いバカ共を締め出せると本気で思ってるのか』

御曹子「締め出す? 違う 潰すんだ」

玩具屋『ふーん』

御曹子「対戦傀儡だ 準凶器扱い、持ってる人間が人間なら単純所持で捕まえることもできなくはない」

御曹子「出てこないならよし 動くなら帝国警察はこれを取っ掛かりに連中を叩ける」

玩具屋『……』

御曹子「だから言わなかったか? あんたにとっても悪い話ではないんだ」

御曹子「何が気に入らないんだよ」

玩具屋『つまりエサか』


御曹子「そうとも言え得る側面があるというだけだろ 大局的に見なよ」

玩具屋『当たり前だけど 大局ってのは局所の群体だって若い頃言われてさぁ……』

玩具屋『エサっていうのは客のことだよ』

御曹子「客?」

玩具屋『なんでクズ共とやり合おうってのにおもっくそ巻き込む前提で考えんの』

玩具屋『収益が見込めないから撤退、で終わる輩じゃねぇんだぞ! 俺みたいにある種のなあなあが出来りゃいいよ』

玩具屋『お前のとこはデカいし手広くやってるからそもそも関わんのがもうアウト 絶対避けたい だから消す』

玩具屋『いいか、消すぜって突き付けてんだ 面子がどうとかこじつけたがるアホ相手に真正面から』

御曹子「何を今更 俺はそうやって足場を舗装してここまで来たんだよ 基本だろう」

玩具屋『慣れてるってかッ?』

玩具屋『お前……なあ……消される側に立ったことあるか』

御曹子「どう思う?」

玩具屋『親父さんが許さねぇよな』

玩具屋『教えてやろうか? このままじゃ俺に教わるまでもなくなりそうだぜ』

御曹子「……」

玩具屋『……よし』

玩具屋『あぁ もう何言ってんだろうな あー よし』

玩具屋『よしいいぜ やろう バトルロイヤルとやらで』

御曹子「そうか 良かった」

玩具屋『日取りはこっちで決めさせて貰う また連絡する』

玩具屋『勝った奴の好きにするってとこは決定だからな』

玩具屋『反故にするなよ』

御曹子「当然だろ」

玩具屋『ふん』



御曹子『連絡を待ってる』TELL

玩具屋「じゃあまたな」ガチャッ


玩具屋「……ふゥーっ……」

半鳥「大丈夫ですか?」

玩具屋「こりゃあ駄目かも分からんね……」

ドリアード「当てになるかは全くもって分からないけど」

ドリアード「とりあえず言質は取れたわけでしょう ……大分興奮していたようですけど」

玩具屋「……」

禿客「……」

太客「……」

ロボット「そんなガックリした顔するなよ 多分 いや絶対強いけどさ」

ロボット「勝つよ! な ハーフィ」

半鳥「だね やるからにはみんなそう思ってるよ、そこは大丈夫」

ロボット「?」

半鳥「……んーと」

ドリアード「……」じ

半鳥「(そんな目で見なくったって無理に聞いたりしないってば……気になるけど)」

半鳥「良ければ、私達にも手伝わせてくれませんか」

半鳥「面倒見て貰っちゃったし 話聞いといてここで放ってなんておけないよ! ね?」

ドリアード「そうね」

ロボット「うんうん」

玩具屋「……ありがとね」

禿客「うーん そうさなぁ」

禿客「会社とかを人質にっつってたけどよ そうなると」

禿客「俺らみたいに柵の無い奴ら枠がスミスに手ぇ貸せるってことになるんだよな?」

太客「基本的には腕前五割札束五割でぶん殴る遊びだかんね」

太客「手練れがゴッソリ出場停止 で しかもあいつらでもキツいってレベルのが相手じゃ まあ相当……」

禿客「だがクソガキの思い通りにゃさせたくねー」

太客「だな」

玩具屋「……」

禿客「どうしたよ?」

玩具屋「ああー……」

玩具屋「俺は何をやってんだろ……」


玩具屋「なあ なあ 今さらだけどマジでよく考えてよ? こんなんに付き合う必要ねーよ?」

玩具屋「本当さぁ 俺だって強いんだから大丈夫だよ 大丈夫……負けねーよ……うん」

ロボット「話ながらしょぼしょぼしてってるし……」

半鳥「本当にお客さんのこと大事なんですね」

半鳥「だから大事にされてるんでしょ 頼ってみたらいいんじゃないんですか?」

ドリアード「身の安全がって言うなら心配無用よ 武装した人間なんてどうということはないわ」

ドリアード「私と渡り合うなら戦車か魔導鎧かコーラでもなきゃ」

半鳥「コーラ嫌いなの?」

ドリアード「好きよ なんでもない」

半鳥「?? あ うん」

半鳥「……ね!」

玩具屋「うん……」

玩具屋「分かってる分かってる、賽は投げられたってね よーし」

玩具屋「考えんのは後、まずは まずはギタギタにする」

禿客「そうだ」

玩具屋「……格好悪く"やっぱ無し"って言わせりゃ勝ち まずは」

禿客「そォだ! かましてやろーぜなあデブ」

太客「おうよハゲ!」

ロボット「おーよ!」

半鳥「おーよ!」

ドリアード「お……」
ドリアード「んんっ それでどうするの?」

半鳥「次は頑張って」

ロボット「向こうの人達をぶっ倒す」

ドリアード「ぶっ倒すには?」

ロボット「……上手くなきゃダメ!」

半鳥「練習?」

ロボット「練習!」

半鳥「じゃー下行こっか」

太客「修業モードってことかい? まあ圧倒的に経験がないわけだし理には敵ってっけど」

ドリアード「時間はどれくらい取れそうなの?」

玩具屋「日取り権は取ったからある程度自由に出来る」

玩具屋「でもそんなに長くは待ってくんないだろね 二日かな 三日じゃ痺れ切らすだろ」

玩具屋「二日だ 今日あと半日に明日明後日、で明明後日ドーン」

undefined


禿客「パーツはロハ?」

玩具屋「当たり前だろ 扱い切れる範囲で好きなの言ってよ」

太客「メモ紙使うか」ビリッ

禿客「よし書き出すぞ」サラサラ

玩具屋「流石に一から図面引いて組む余裕はないからカタログから選んで? 在庫あるやつ優先で」

禿客「分かってるって ハン太郎も持ってけ」つパーツカタログ

半鳥「ブ厚っ……」バサ

ロボット「見せて! 見ながら行こう」on shoulder

ドリアード「じゃ私も……何よハーフィ もう心配しなくていいわ」

ドリアード「格付けは済んでるし?」ふふん

半鳥「なにをォ」

ロボット「動かしたりするけどやんのおれの体だからね ズギャギャギャギャってあれドリルとか超痛かったから」

半鳥「あれは酔わしたからでしょ! ビビり」

玩具屋「ああそうだ 酔うといえば――」


ロボット「傀儡になってから言えよこのオエー鳥!」

半鳥「あぁ~~ん?」hang

ロボット「ぬああああアタマにちがのぼるうううう」ブラーン

半鳥「無いから」


玩具屋「……酔うといえばなんだけど」

ドリアード「解決法」

玩具屋「そうそう どうする?」

ロボット「アタマヲヒラクンデスヨネ」

半鳥「ん まあ……でもやっぱりあれは不便だしねー……」


太客「よく分かんないんだけど ハン太に任せっきりじゃ駄目なのかな」

半鳥「自分の体っていうのがあるからなのか知んないですけど 何かに反応したり――」

半鳥「咄嗟に動いたりするのはハンター君の方がパッと行けてました」

ロボット「"あっ今動くな"っていうのがなんとなく分かるんだ 同じ傀儡だからかな」

玩具屋「それは興味深いね」

半鳥「でも撃つのが下っ手くそ みんな鉄砲持ってるこれでだとちょっと……」

ロボット「兵隊でもないのに上手いのがおかしいんだと思う」

半鳥「あーだから坊っちゃァ~~んって言われてたの?」

ロボット「違うし ハーフィなら嬢ちゃァ~んだったよ それにあいつはヨーヘイって言ってたぞ」

太客「同期して傀儡視点でやっても腕回り指回りの勝手違いとかあるもんなぁ」

太客「モノホンのより大分当てるのムズいよ」

玩具屋「それは操作する側の話だね 撒いてる以外ハーフィちゃんはバカスカ当ててた」

玩具屋「当ててた時のがそうなんでしょ?」

ドリアード「あれ何て言うの? 飛ばして撃つやつ 蕾っぽいの」

玩具屋「機動砲台」

ドリアード「にも当てたし」

太客「mjd?」

禿客「タカの目ってヤツか」

半鳥「ふふん 私の村じゃ飛び道具が上手じゃないとダメだからね タカじゃないけど」

玩具屋「役割分担してるんだよな よしよし分かった」


玩具屋「じゃあ尚更やった方がいい アイデアあってさ、またお医者さんごっこする必要は無いかもなの」

ロボット「えっ? どーすんの」

玩具屋「それはお楽しみ ついでに言うとカッコよくなるぜ」

ロボット「本当!?」

半鳥「酔わなくて済むなら」

玩具屋「任せといて 用意しとく」

玩具屋「兄弟 リストもいいけど戦力拡充の方も頼まれてくれない?」

禿客「おう 手分けするぜデブ、えーと作家先生と歯医者と白タクはどうせ暇だろ あとは……」

太客「配管工は? 今丁度工期と工期の間じゃなかった?」

玩具屋「来てくれっかなぁ 酒ぐらい買っておこうか……」

禿客「来る! 心配無ぇ 来れる奴にだけ声かけるし」

禿客「でもって来いと呼びゃ傀儡使いは応じる奴ばっかだ 保障するぜ」

太客「折角集まるんだしなぁ! 燃料とツマミもこっちでやっとっからお前は傀儡に集中!」

玩具屋「おう……ありがと」


ドリアード「段取りは決まったようね」

ロボット「じゃあおれ達練習してていいの?」

玩具屋「うん 派手に壊したりはしないでよね」

ロボット「分かった!」

半鳥「じゃあ的当てから始めよっか 吐くのヤだし」

玩具屋「奴さんに連絡入れてからだけど多分すぐ出来るから 待っててな」

ドリアード「やっててハーフィ 私はちょっと出てくるわ」

半鳥「?」

ドリアード「さっきここ出て何しようとしてたか忘れたのかしら」

ドリアード「高いのはナシよ サンドイッチでいい?」

半鳥「具 チキンで」

ドリアード「それじゃ私はサラダにするわ」

ロボット「共食い……」







約一時間後

帝都 某所路上
停車した送迎車脇


傭兵A「……そりゃどういうこったよォ!」つスキットル

秘書『ご連絡が遅くなりましたが……成績如何で依頼を継続させていただくという契約です』TELL

秘書『満足の行く結果が出なかった以上 契約通り、仕事はここまでとなります』

秘書『キャッシュでとのことでしたので、これも事前にお伝えしました取り決め通り――』

傭兵A「はあ? ふざけんなよボケ!」ヒック

傭兵A「こちとらオフシーズンにどーしてもっつーから付き合ってやってんだぞ格安で」

傭兵A「現に一人倒してんだろ!? まだまだぶっ倒してやぁるっつってんだよ分ッかんねーかなオイなあ?」グイ

運転手「は はい……確かにネジは一本……」

傭兵A「  」グビ

秘書『お聞きしています お見事です』

秘書『そして二人に負けています 一勝二敗』

傭兵A「  」ッゴボフ

秘書『内容にもよりますが……最低ラインを二勝と考えております 白星は大前提』

秘書『プレーヤーとして一日の長が向こうにあるとはいえ、極めて近い操作系統 用意した傀儡使いの情報』

秘書『加えて現実の兵器としてあり得ない装備の自由度と 要求に応じて誂えた対戦傀儡 お膳立ては十二分……』

秘書『戦場に身を置く鎧乗りとして 素人相手に一敗でも喫するようであればその実力に――』

秘書『我々としては疑問符を付けざるを得ないと こう考えております』

傭兵A「こ……こ の」ウック

傭兵A「大体なんでこんな玩具にここまで金かけてんだよダァホ! 頭イカれてんじゃねーのか?」ポイ

傭A傀儡「   」ガシャ

傭兵A「魔法の道具までこさえてよォ そんなに潰してぇんならヒットマン雇えや!」つ傀儡探知機

秘書『連絡事項は以上となりますが 他に不明な点が何かあれば』

傭兵A「不明な点だらk」

秘書『無い。ご理解いただき感謝します』

秘書『それではお疲れ様でした』ブツッ

傭兵A「ふざけやがってぇぇ!! ウブ」

運転手「ひっ……」

傭兵A「おゥろろろろろろろろろろろろろろろろろ」ビチャビチャァ

運転手「どう考えてもそれのせいだろ」ride car
運転手「アデュー」ignition

ブロロロロロロロロ…



傭兵A「っひッ ェっく っきしょォー酒さえ無けりゃ だってお前長期休暇ったらこれっきゃねーだろ常識的に考えて」エップ

傭兵A「仕事場で酒なんざ飲んだら死ぬんだぞぉ いいじゃねーかしくったって死にゃしねーんだからよ……っく」グビグビグビグビ

リン

傭兵A「ぶへぁぁぁー……あん?」

探知機「  」リン リン

傭兵A「反応……傀儡使いがいる? どこだよ 狩り尽くしたから迎え寄越したんじゃねぇんか」チビ

傭兵A「(懐中時計みてーな気取ったデザインと装飾 この趣味は悪くねー)」

探知機「  」リィ…ン

傭兵A「(鎖に繋がった頭から光の筋が出た 傀儡のドタマに入ってる魔導回路を指してる ……俺ら側以外の)」

傭兵A「でもってある程度まで近付かねぇと探知光針は出ねぇ……」

「……」

傭兵A「別に抜き撃ちショーが見たいってんならいいんだぜぇ見してやっても 傭兵ってなぁいつでも殺し合える」

傭兵A「そこの角の! オタク野郎! 出てきゃァがれ」


「…………まぁ……比較的インドア派であるのは否定しないが」

「面白い物を持ってるじゃあないか 私と 私の友に少しばかり貸してみてはくれないか?」

傭兵A「アンティー って言えや」

傭兵A「出てこいっつってんだよ」

「おっと失礼した」

ノソ

外套猫「アンティ~~~~~~~~ オーケー? これで良いかな?」

外套猫「話が早くて助かるよ さあそれをこっちに渡してくれ」

傭兵A「勝ったらだ 亜人野郎」


猫傀儡「  」バッ

傭A傀儡「  」ジャキ


猫傀儡の装備(メインは自前の魔法)↓
傭兵傀儡の装備↓2

  



傭兵傀儡『(スケスケのフレームぅ? しかも素手? お手並み拝見といこうや)』ジャラッ

猫傀儡『(魔導単車のチェーンか ミニサイズの 流線型の 装甲といい変わった趣味だ)』

傭兵傀儡『  』chain whip

猫傀儡『(どれ)』pray BARRIER

バヂィッ

傭兵A「(避けねェ 今の一瞬で障壁の類を?)」

外套猫「(ただ打っただけ? 違うな)」

外套猫「(様子見)」
傭兵A「(削る)」グビ

傭兵傀儡『  』ヒュルッ

猫傀儡『(仕掛けてくるか)』evade

傭兵傀儡『(!)』バヂッ

BOMB

外套猫「おおっと 叩いたとこが爆発したぞ 故障か」

傭兵A「心配ご無用」グビグビ

外套猫「一回目は爆発しなかった」

傭兵A「サービスぁ終わりだ」ッブヘァ

傭兵傀儡『(じゃあこっち)』aim SubMachineGun

パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ
チュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュンチュン

猫傀儡『(バラ撒いて動かす 止まったとこでチェーン鞭 シンプルだ)』BARRIERRRRRRRRR


傭兵A『(はん)』ヒュオッ

猫傀儡『(一度受けてみよう)』laminate BARRIER

傭兵A『(自信過剰だぜ)』バヂィッッ

バゴォオッ

猫傀儡『(おっと)』ビリ

傭兵傀儡『   』whip rush

BOMBOMBOMBOMBBOMBOMBOMBOMBOMBOMB

猫傀儡『(おお威力はある)』laminate laminate laminate

外套猫「いい鞭だな どこの自転車から掻っ払ったんだい」

傭兵A「無駄口聞いてる暇あんのかァコラ」shooooooooot

傭兵傀儡『(ァんじゃぁこんなのはどォだよ)』スチャ

猫傀儡『(紙で巻かれた筒状の物体 傀儡が持ってると葉巻に見えるが)』set LAMINATED BARRIER

傭兵傀儡『  』ポイ

シュボッ

猫傀儡『(魔導信管ね)』pray PILLBOX(トーチカ)


KA-BOOOOOOOooooooooooM


傭兵傀儡『(煙いわ やっぱ配合ミスってんなこれ爆薬)』RDY SMG

ICE JAVELIN

傭兵傀儡『  』パパパパパパパパパパパパパパパパ

バキィィン パラパラ…

氷柱「  」more

傭兵傀儡『  』explode chain whip

ヒュァッッッ
ボンボンボンボンボンボンボンボンボンボンボン…

傭兵A「ツララごと晴らしてみりゃーァんだよ バリアの垣盾?」グビリグビリ

外套猫「目眩ましを貰ったのだがなぁ 全部打ち落としたか」off BARRIER

外套猫「銃はともかく鞭で 確かな腕だ 腐っても傭兵……」

傭兵A「あ……?」ピク

外套猫「いや お見事……やってるところ邪魔してすまなかった」

外套猫「それが欲しかったが諦めるとしよう 良ければ、改めてもっと美味しいのを一杯――」

パパパパパパパパパパパパパパパパ


猫傀儡『  』BARRIER

外套猫「そうか アンティルールはパーツのやり取りだったかな 他のじゃなしに」

傭兵A「誰が腐った傭兵だって??」

外套猫「そこまでは言っていない」

外套猫「少し飲み過ぎているようだよ 今日はもう帰ったらどうだ、足代を出そうか」

傭兵A「ふざぁけろ てめぇも俺もまだ挨拶すら終ってねェだろが」ヒック

外套猫「こんにちは」

傭兵A「ネジ寄越せや! そんで探知機が○△□×!!」呂律

外套猫「もうすぐこんばんはだからか?」

傭兵A「ネジを貰ってさようならァだァな」

猫傀儡『(……軽くあしらって済ますとするか)』

傭兵A「どォいつもこいつも ちっと遊びが上手くいかねェかったってだけで寄って集りやぁがって」

傭兵A「そうだ 俺は負けたァ! 負けたよ!!」

傭兵傀儡『  』ガシャ

傭兵A「二回も負けたァ! だぁがストレートに……」
傭兵A「スト ストぅップ」
傭兵A「だからストレートに……直線の方じゃなくて……ストレートの ストレートの!」
傭兵A「ストレート! ストレートに! ストレート! に! ……の! に? ストレート"に"ィでいいのか "の"ォか?」

外套猫「……ストレートに負けたんじゃない?」

傭兵A「そう言ってんだろ!!!!! ふざけんなよ!!!!!」グビ

外套猫「飲みすぎだよ ミスター……」sigh

傭兵A「ミスってねえッッ!!」manipulate

外套猫「ああーもう――」

傭兵傀儡『  』TRANSFORM

猫傀儡『(?)』

傭兵A「酔っぱらいにこんな細かな魔力操作ができるか?」

ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ

外套猫「(! 傀儡の装甲が……展開 変型 変性して)」

外套猫「(人型をやめたフレームに合わせ これは……)」


単車型傭兵傀儡『   』FORM CHANGE



外套猫「ハンドル部分から腕が生えてるが 魔導二輪か……? そんなフレームまで出ていたのか」

外套猫「装甲がカウルとタイヤに あのチェーンはそもそも本当に魔導単車のチェーンだったと」

傭兵A「分かっただろ俺は酔っぱらっちゃぁァぁいねェ 負けたのは酒のせいだ!」

外套猫「支離滅裂だぞ……」

外套猫「……しかし 確かに言うだけの実力があるというのは最初で分かった いい塩梅に暖まったところで――」

外套猫「それなりの余興にはそれなりの作法で応じさせてもらおうじゃあないか」pray Detune TACTICAL-CLASS MAGIC


"Magic Power of VIBGYOR"


猫傀儡『  』コォォォオオオオオオオオ

傭兵傀儡『(妙な魔力の練り方しゃァがるが)』ドルルルゥン ドルルルゥン ドォゥォルルルルルル

傭兵傀儡『(やらせっと思うのかぁタコ)』ドゥォォロロロロロロロルルルルルルルルルルrrrrrrrrrrrrrrrrrr


猫傀儡『(展開)』ォッ

カッ――

傭兵傀儡『(虹色の目眩まし?? 轢き潰しちまえ)』ギャルルルルルララララララララ

猫傀儡『(野蛮な ゴムタイヤでない以上最悪の乗り心地と威力だろう)」

猫傀儡「(さて こいつをこれだけ小さく使うのは初めてだな)』
猫傀儡『(加減、加減が大事だ……小指の先程のイメージでいい……)』pray FISSURE mini

ピシッ…

傭兵傀儡『(石タイルにヒビ?)』run oveeeeeeeeerrrrrrrrrr

虹魔力「■■■■■■■■■■」magic boost

外套猫「(さてどこまで増幅される?)」

傭兵傀儡『  』ギャルルルルルr

ビキ ビシ

ズボッ

傭兵傀儡『(? 脆くッ――)』ガクン

ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシ

傭兵傀儡『(割った? 軟化させた? 土でもねーのに大して無ェ傀儡の重量で陥没させたとァな)』ウォン ウォオン

外套傀儡『  』pray STONE EDGE

傭兵傀儡『(破片か 単車なんざ足取りゃスクラップってェ? お上手お上手)』ウォォォォオォオオオ

傭兵傀儡『(専売特許と思うなよ)』pray MAGITEK CEMENT

ドバァッ

猫傀儡『(黒い液体? 粘土っぽい 通された魔力で奴の足元と周囲に)』

傭兵傀儡『  』HARDENED

即席路面「   」舗装
即席壁「   」guard

ズガガガガッ

猫傀儡『(阻まれたか 本当に当たらない技だ)』

傭兵A「やっぱ走るなら道路じゃねェとなぁーァ! あン? チッ……」グb…

傭兵傀儡『  』ウォウォウォウォギィャギギギギギギrrrrrrrルルルルルルルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ

傭兵A「とっとと終わりにすんぞコラ」empty

外套猫「そうしようと言っているのだがね」


傭兵A「行けや!!!」CEMENT WAVE

傭兵傀儡『  』ドバァアッ

ビキビキビキビキ

猫傀儡『(奔流を宙に走らせた 空気に触れる側から異常な速さで効果する高粘度のドロドロ)』pray IRON JAVELIN BARRAGE

猫傀儡『(魔導セメント? 類する物の精製、それに魔力を通し操作できるようにしてある 土木魔法の戦闘用アレンジなんて聞いたことないぞ)』バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ

猫傀儡『(ならこれでどうだい)』and ACID

傭兵傀儡『!』guard

ドュルルルルルルル

傭兵傀儡『(鉄の棘は流体のセメントで"掴んで"固めちまえばいい そォだでもって)』catch javelin

バシャ ジュァァアアァアアア

猫傀儡『    』JAVELIN JAVELIN JAVELIN JAVELIN
虹魔力「■■■■」JAVELIIIIIIIIIIIIIN

ズドドドドドドドドドドドドドドド

傭兵傀儡『(固まったセメントを強え酸で脆クソんしたとこに第二射)』throw DYNAMITE

傭兵傀儡『(小賢しい バケ学のお授業やってんじゃねンだよ)』pray POWDER INCREASE


ズドドドドドドドドドドドドドドド

バキャァン

猫傀儡『(抜いた)』バシュバシュバシュバシュ

傭兵傀儡『(抜いたな)』click!

虹魔力「■■」ォォ
外套猫「!」

バグオオォォォォオォオオオオオオオォオォォォォォォォォォンンン

猫傀儡『(さっきのと爆轟の嵩が違う! 間に合うか)』pray BARRIER quick

ッドオオォォオオォオオオオォオオオオオッッ
ガン バシィ ドゴ ガァン

猫傀儡『(硬セメントの破片と投射した鋼槍が吹き戻ってくる――!)』ビシ

虹魔力「■■■■■」llllaaaammmmiiiinnnnaaaatttteeee

ギャロロロロロロロロロロロロロロロロロ

猫傀儡『(!)』

傭兵傀儡『(あの継ぎ足しの速さ 何かで補助してる、虹モヤに魔法唱えさせてんだなァ)』空中舗装

猫傀儡『(障壁展開 逐次積層)』バキバキベキベキ

傭兵傀儡『(やってみろや)』WHEELIE GRIND


ドギャギャギャギャギャギャギャギャギャギギギギギギギギギギギギギgggggggggggggggg


外套猫「折角宙にまで舗装したのに落ちてしまうぞ」

傭兵A「動かしてんのァ前輪だけだぁ このまま削り壊してやってもいいんだぜ」

外套猫「他のアプローチに変えてくれないか」

傭兵A「いいぜェ 爆発的にな」

傭兵傀儡『   』Explode Chain active

ィィン

猫傀儡『(チェーンからタイヤに 光が這って――)』

BOMBOMBOMBOMBOMBOMBOMBOMBBOMBOMBOMBOMBOMBOMB

虹魔力「■■■■■■」l a m i n a t e

猫傀儡『(タイヤが爆発――違う削る度に表面で炸裂させているんだ これは付呪だな 爆破の魔法……)』バギンバギンバギンバギン

猫傀儡『(爆薬仕込みのディスクグラインダーといった趣か 玩具でやる技か?)』order continue laminate

猫傀儡『(張り合うのは分が悪い)』escape

バギャァアアン

傭兵傀儡『(邪魔は退けた 次は本体)』ドロァァァ

猫傀儡『  』pray LIGHTNING

ビシャァアッ

傭兵傀儡『    』ガクッ

猫傀儡『(ただの電撃だが 効くか?)』order rapid

虹魔力「■■■■■」ビシャァビシャアビシャァビシャア

傭兵傀儡『(痛ェ痛ぇ痛ェ 痺れるだろオぉイ!)』pray REBAR

ビシャァアッ
ザクッ ガシィ
ビシャアビシャァビシャア

傭兵傀儡『(よし逃がせた! クソネコウィザードが)』pray REBAR SPEAR

猫傀儡『(足場から鉄筋の槍 先に精製したやつは握ってアースにしたと)』ヒュン


傭兵傀儡『(さっきのお返しだァおら)』barrage ENCHANT REBAR

ヒュバババババババババ

猫傀儡『(建材を飛ばすなよ ……単調な弾幕だが鉄筋が妙だ)』ヒュン ヒュヒュン

傭兵傀儡『  』click!

飛鉄筋「   」ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボ

猫傀儡『(そら見ろ 炸裂で鉄筋の軌道が変わった!)』evade

傭兵傀儡『(いいや避けきれねェよオ)』ヒュバババババババババ

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

猫傀儡『(車輪に伸びてたあの光だ あれは一種のルーンだな)』order BARRIER laminate

猫傀儡『(書き込んでおいた爆破の魔法を都度打突箇所に付呪してるんだ それで魔法発動の気配が無くおまけに速い、魔法陣を判子でばんばか押してるようなものだ)』チラ

傭兵A「逃げても当たんまで炸薬でブッ飛ばすんだよ! おらどォしたオカワリ行くぞオラ!!」つ二本目

猫傀儡『(触媒はローラチェーンかな コマのプレートに簡素な文字と紋様を施せばいい)』order support

猫傀儡『(それで叩けば直接爆破出来る ルーンの出所といい間違いないだろう)』RUNE HACK

ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ


虹魔力「■■■■■■」pray SHOCK-WAVE REACTIVE BARRIER

傭兵傀儡『(! バリアのタイプが変わった)』shotshotshot

ズガガ

ズァッッッッッッッッ

傭兵傀儡『(衝撃波ァ? 撃ち落としたって幾らでも撃ち足すぞァ)』ババババババババババババババババ

猫傀儡『(取っ掛かりは蹴散らした鉄筋だ 実際にはこの距離だし 魔力で付呪から術者を辿ればすぐに――)』ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ

傭兵傀儡『(さァぁて次は先っぽに強めの爆破魔法仕込むかァ?)』
傭兵傀儡『(時間ありゃあんなクソバリアぁダイナマイトくくり付けて火薬増強かけりゃ一発なのによォ……)』enchant failed

傭兵傀儡『(……は?)』ピク

ギシィッ

傭兵傀儡『(魔力の通りが悪い こいつァ……)』ギ ギ


傭兵A「おい てめぇ……」

外套猫「使い易そうないいルーンだ」

外套猫「速度優先の書式だとどうしても制御が簡素になってしまうよな こんなのは想定しないから」

傭兵A「武器操作にルーン経由で魔力流して横槍入れやァったのか!」


傭兵A「ざけんな どうやったデミ野郎! クソ 魔力がごっちゃンなってて操作系まで つーか」

傭兵A「他人の魔力が通ってるとこに相乗りして弄んな! 魔力が混線したらどうなるか分かってンだろうが!!」

外套猫「無論だとも 溶血の魔力版が起こり苦しみのたうち回って放置すると死に至る」

外套猫「血液型のように気の利いたものは無いから 魔素化されていない生の魔力同士なら例外は無い」

傭兵A「てめぇと心中なんざゴメンだァ」グビグビグビグビ

外套猫「気が合うなぁミスター私もだよ」

外套猫「自尊心にかけてそんなミスはしないから安心して続きをしよう ご自慢のが――」

外套猫「まだ動けばだが」

猫傀儡『(そーれ)』exploding

傭兵傀儡『(バカ やめr)』cLiCK!


ドグォォン
ドオン ドガオオォォォン

傭兵傀儡『(ヤベェ 野郎チェーンにデタラメに魔力食わせて)』
傭兵傀儡『(暴走させ ぐッふァガォオオオン バグオォン ドゴォォォオン ドオオン

ゴァオォオン バゴォン ドオォン ガグオォオオン ドォオオオオオン ドグォォオオオォォォォオオオオォォォォオオオオォオォオォオォオオォオオオオオン



外套猫「やったか?」

傭兵A「あ゛ー……クソ 痛ってェ」ゴク

外套猫「問診をしよう」

傭兵A「痛ぇのは頭 十段階で三」

傭兵傀儡『   』ムクリ

傭兵A「そいつも……ああ……二ぃ 一 消えたァ 飲んだら消えたぁ十でゼロだァゼロ」ゴグゴグ

外套猫「二本目かい」

傭兵A「ラム酒 さっきのはジャガイモの――」グビグビ

傭兵A「ぶへぁ やつよォ んだコラやらねーぞボケ ボケー デミ野郎 あァーン!!!?」ヒック

外套猫「チャンポンは悪酔いするぞ」

猫傀儡『(傀儡から弾かれていない 頭部へのダメージが足りなかった証拠だ)』cast CHAIN LIGHTNING

傭兵傀儡『(うォッと)』cast ROD REBAR

ッッピシャァアアアアンン

傭兵傀儡『(避雷針間に合ったから良いが当たったとこから連鎖すんのかあれ 撒いとこ)』ビシュビシュビシュビシュ

ドスドスドスドスドスドスドスドス

猫傀儡『(まあ使うのなら本体が対爆仕様になっていて不思議はない)』
猫傀儡『(不思議はないがなんといい加減な玩具だ このサイズでどういう理屈?)』cast SHOCK WAVE

傭兵傀儡『(で衝撃波が掃除しにくッから相殺)』click!

バゴン ボゴン ドゴォン

傭兵傀儡『(全部に発破ルーン仕込んでたら二の舞だァんな 辿られねェ程度に間隔置いて撃ちゃあいい筈だ)』

シュウウウゥゥゥ……

猫傀儡『(投射された一帯が仕込み鉄筋で鉄の草原になった)』
猫傀儡『(それに爆煙がやたら濃い上しつこく立ち込める 煙幕か?)』

猫傀儡『(衝撃波拒否の度に何本かを起爆させていくのだからゴリ押しは難しくない だが)』

猫傀儡『(そんな効率悪い癖に後手に回るのが分かりきっている手を打つことはしないだろう)』ピク

ギャロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ


猫傀儡『(来た また空中回廊で突撃か?)』cast BARRIER

パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ

猫傀儡『(効か――ん?)』

虹魔力「■■■■■■」BARRIER GUARD

ベチャベチャバチャベチャバチャバチャバチャベチャ

傭兵傀儡『(気付きやァったな)』パパパパパパパパパパパパパパパ

猫傀儡『(今度は生セメントを弾丸に 目潰しと機動力を削ぎにかかるか)』cast ACID SHOT

傭兵傀儡『(同じ手ぇ食うかよ)』manipulate

バチュンバチュンバチュンバチュンバチュンバチュンバチュンバチュン
ベシャベシャベシャシャ

猫傀儡『(セメント弾が強酸を避け たのではなく破裂したのか、飛沫がまたバリアに……不味いな)』ズシ

傭兵A「降りる時間だぜ」グビ

外套猫「降ろすの間違いだろう」

傭兵A「分かってるじゃねェえか」

ドロロロロロロロロロロロロロロロ

猫傀儡『(セメントが蠢きだした バリアを"掴んで"中の私ごと地面に引き摺り落とす気だ……)』グググググググ

傭兵傀儡『(バリア消してもいいんたぜ? そっちのが楽んなる)』cement grip


猫傀儡『(解除すればセメントから逃げられるが当然一瞬丸腰になる 制圧射撃下では論外)』faaaaaaall

ギャギャギャギャ ロロロロロロロロロロロロロ
パパパパパパパパパパ
ベシャベシャベシャベシャベシャベシャベシャベシャ

猫傀儡『(傀儡視点からではもうセメントでバリアの外が見えん まだ塗り足りないのかいモルタリングめ)』blind FIRE BALL

傭兵傀儡『(却下!)』CementCatch and CRUSH

グシュ バボォン

外套猫「(片目だけ戻して見たら私の傀儡が泥団子みたいじゃないか)」

外套猫「(ファイアボールはセメントに握り潰されたな……傀儡出力の飛行魔法だけでは重くなってきた やむを得まい)」landing

傭兵傀儡『(降りたなァ)』ギギギギャギャギャギャギャギャ

猫傀儡『(また爆削する気か)』barrier laminate

傭兵傀儡『(バリアうぜェ 一層一層は大したこたねぇが重ねる数と速さで本職並みのしぶとさだァぁ)』catch REBAR

傭兵傀儡『(一気にブチ抜かねぇとダメだな 加速の勢いとコイツで!)』enchant

猫傀儡『(拾った鉄筋に爆破付呪……!)』deforme BARRIER

傭兵傀儡『(そォら!!)』CHAAAAAAAAAAAAAAAAAARGE

ガシュ ドグォアアァアン

猫傀儡『(うおッ)』ビリビリビリ


傭兵傀儡『(バリアの球形で滑った? 突いた時セメント退けたのダメだったか)』ギャギャギャギャギャルルルルルルルルルルル

傭兵傀儡『(グチャグチャの早贄ンしてやんよォ)』reload H.E.A.T.REBAR

猫傀儡『(……鉄筋畑をなんとかすべきだったか 要するにあれは魔導対戦車槍だ、ゲリラの武器まで……)』

猫傀儡『(擦れ違いざま動けない私に刺し 離脱しながら次を拾って 槍を爆装でまたズドン、を繰り返そうというんだ)』cast BARRIER

傭兵傀儡『(二本同時ィ!)』double stab

ズdドァァァァァアァアアアアン

虹魔力「■■■■■■■■■■■■■■■」Reception magic power

傭兵傀儡『(今度のは刺さり過ぎ こいつ……)』ギャルルルルルルルルルルルルルルルル

猫傀儡『(対策は軍用装甲と同じだな バリア層を中空構造へ作り替えればいい)』

猫傀儡『(もっと器用ならばもう少しスマートにいけるのだろうがね)』laminate laminate laminate

ッッズドァァアアァアアアン
ッドゴォォオオオン
ッッツッガァァアアアァアァアン

傭兵傀儡『(……続けて三発だが手応えが無ェ)』ギャルルルギャルルルルルルルルルルルルルルルルルル

傭兵傀儡『(これも結界一丁で捌き切りやがったのかよ ただのヲタクじゃねぇのかボケコラ)』HUMAN MODE


猫傀儡『(切り替えたか こっちはそろそろ――)』ビシ ボロ

猫傀儡『(よし、セメントが剥がれきった 飛べるぞ)』フワ…

傭兵傀儡『(逃がすか)』grip REBAR
傭兵傀儡『(よォ!)』CEMENT HAMMER

猫傀儡『(おおう)』

傭兵傀儡『(ブッ飛べ!)』ブォンッ

ゴッッッッッ

猫傀儡『(ピンボールかな)』BoundBoundBound

ガッ ゴッ ガゴッ ガッシャァアッッ

猫傀儡『(……酔う)』ムク
猫傀儡『(歩道のポールにぶつかったのか)』BARRIER RECOVERY

傭兵傀儡『(インパクトに爆破合わせてもやっぱ割れねェ どォしたもんかね)』

猫傀儡『(ああヘコんでしまっている 寂れていても一応公道なのだな)』

猫傀儡『(公道なのだがまあ寂れているしいいか)』

猫傀儡『(言い訳きかない器物破損は久しぶりだなあ)』ピッ

虹魔力「■■■■■■■■■■■■」ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ

ボ   ゴ

傭兵傀儡『(さっきのヒビがさらに広がりやがった また陥没するか?)』CEMENT ROAD

ビシビシビシビシビシビシビシビシ


猫傀儡『(待機魔力に任せきりでも早く済んだ 耕していたのも良かった)』

猫傀儡『(さァ 気付けの時間だぞミスター……)』cast LAVA


ボコボコボコボコボゴボゴボゴボゴボゴボボゴボボボボボゴボコボコボコボコボゴボゴボゴボゴボゴボボゴボボボボボゴ


傭兵傀儡『(ああ? ンだこれ)』ズボ ジュッッッ
傭兵傀儡『(っッづぁァアあッぢィぃ ヒビからマグマだとォ?!)』Booster ON

傭兵傀儡『(蓋ァ!)』cast CEMENT

猫傀儡『(噴火ァ)』ERUPT

ッドォォン ボゴァアアアン

傭兵傀儡『(ぬぉおァぐッ)』ジュュュゥゥウウウウゥゥウウウッ

猫傀儡『(にゃふふ 汚い花火だ)』cast MINI PROMINENCE DRAGON

ゴボ ゴボポポ
ゴボッ

紅炎小竜「   」ゴァァアアアアアア


傭兵傀儡『(ンだこいつァ……)』パパパパパパパパパパ

紅炎小竜「」hit

ゴォォオオオォオオオオォオォオォオオオッッ

紅炎微竜s「「「   」」」split

傭兵傀儡『(増 ッぁあァーもう面倒臭え)』cast HIGH EXPLOSIVE POWDER

猫傀儡『(炎の竜ではない 竜型で炎っぽい性質を持たされた灼熱する攻性魔力だ 実体など無い)』

猫傀儡『(魔力を喰らって燃え続けるぞ 燃料になるがいいボンバーライd)』

ズ ド ゴ ォ ン

傭兵傀儡『(はッ 粉塵爆薬相手じゃ虚仮威しだったな)』シュゥゥゥ

猫傀儡『(聴覚が)』キィー……
猫傀儡『(消された? また爆薬 まだ強いヤツがあったか)』……ーン

傭兵傀儡『    』Boooooooooooost


猫傀儡『(心の中とはいえ説明した矢先にあっさり破るのやめてくれる?)』ERUPT ERUPT ERUPT ERUPT

傭兵傀儡『(下はボコボコ しかも大火事 刺しときまくった鉄筋溶けて全滅)』Boost evade

傭兵傀儡『(あれじゃ上から打てねえし溶けんよな)』Booooooooooost evade

傭兵傀儡『(……しゃぁねェ)』パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ

猫傀儡『(これでホイールは使えまい バリアブルSMGとスレッジハンマーでは時間の問題だ)』cast BARRIER
猫傀儡『(が、)』ガンゴンバギンガィンチュインチュィンチュィンチュイン

猫傀儡『(人型の時も単車の時もデッドウェイトになっているパーツが見受けられる)』cast M.P.DRAGON PACK

猫傀儡『(よもや飾りではないだろう 奴はまだ変形を残している……)』



傭兵A「ったくよォ こいつァ使いたくなかったんだがな」ヒック

外套猫「別に構わないよ」

傭兵A「まあ付き合えや で負けろ 置いてけ」

外套猫「何を」

傭兵A「てめえの傀ぅ儡だオラ 絶対ェ高えだろその透明人間」

傭兵A「酒代ンなって貰うぜ」


紅炎小竜s「「「   」」」ゴゴォォォオオオオ

傭兵傀儡『(分裂すんやつ何匹も出しやがって はン だが逃げんのは丁度いい)』ギュォォォオオオオオオオオ

傭兵傀儡『(滑走路無しならこォして加速するしかねぇしなァ)』TRANSFORM

ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ

猫傀儡『(全体の流線形が噛み合っていく ホイールと それからカウルに化けた時は厚みを出しに前面集中だったが)』

ガシャン カシン

猫傀儡『(重量を分散しつつ ブーメランのような形状? これは……)』


全翼機型傭兵傀儡『   』FORM CHANGE


猫傀儡『(純粋な機械技術に優れた北方の連邦ではモノになっていると聞く……)』

外套猫「飛行機か 時代は魔導揚力に乗る羽ばたきと浮遊魔法だが? 噴進機ではなく」

傭兵A「故郷(くに)のご自慢でなぁァ ゥェック 腰抜かすぜぇ」グビグビ

外套猫「ふふん?」


申し訳ありませんが、ここで打ち切りとさせていただきます
多忙に因む活力の払底が理由となります 疲れた

以前にも書いた通りこのSSのキャラは好きですのでまた書きたいと考えてます
考えてますが今回はここまで


死蔵は嫌なので
今章のこの後の筋書きと諸々だけ書き出します


J「勝った。探知機貰った」
術師「おkそいつで人狩り行こうぜ スライムちゃんが大会あるって聞いてきたで」
術師「(返すもんも返して貰えるかも)」

御曹司「開戦じゃあああああ」
玩具屋「劣勢じゃあああああ人質に取ってた連中兵隊にしてぶつけてくるとかマジキチ」
客達「でもフツーにおもろいわイェー」
ロボット「回路二つに複座でタンデムサーキットじゃあああああ」
客達「ぐわああああああああ強い」
半鳥「あの傭兵共がおらんやんけ どこいった?」
ドリアード「こっち置いといてそっち探そか」
半鳥「せやな」
半狼「しめしめ」
術師「レーダーに反応あるやん?」

傭兵共「これが玩具屋勢のリストな これに載ってないのに傀儡持ってる奴が裏社会組だブッ飛ばす」
悪い人達「これが玩具屋勢のリストな これに載ってないのに傀儡持ってる奴が傭兵組だブッ飛ばす」
半鳥「あっ傭兵じゃねあれ」←載ってない
ロボット「マジか」←載ってない
ドリアード「っしゃオラァ」←載ってない
傭兵共「おっ 社会の屑ゥー!」ズバババ
悪い人達「おっ 企業の犬ゥー!」ズドドド
半鳥「あばばばばばばばばばばばばばば」
ロボット「あばばばばばばばばばばばばばば」
ドリアード「あばばばばばばばばばばばばばば」

赤いの「しゃーないわね」助太刀
悪い人達「あばばばばばばばばばばばばばば」retire
半鳥「助かったわ」
半狼「何してんだてめーらみっともねえ」不意打ち
傭兵共「あばばばばばばばばばばばばばば」retire
半鳥「強え」
半狼「一般組から辻斬りでボルト奪いまくった 数で行きゃここで終わりだ」
赤いの「じゃあサービス終了ですわね」共闘終了
半鳥「マジかよ」
ドリアード「今じゃ シンクロ率を400%に!」
半鳥&ロボット「いいですとも!」ズギャァーz_ン
赤いの「やるやんけ」retire
半狼「クソが 覚えてろ」←ライバルキャラテコ入れ
赤いの「うちの会社入らん?」
ロボット「やだ」

undefined


半鳥「勝った傀儡編完ッ!」
玩具屋「聞いたよ常連組ボロボロだってさ けど良かったー」
玩具屋「ひいふうみい ちょ待って数足りないんだけど」
術師「だろうな」
J「だろうな」
半鳥「なんだと」
術師「デミ狼の余りは私達がおいしくいただいた ボルトはやるよお店続けたげて」
玩具屋「thx」
術師「その代わり私達とその傀儡賭けて戦え じゃなきゃお店向こうに売り渡す」
ロボット「やってやんよ」

半鳥「おらああああああああああああああ」
ドリアード「おらああああああああああああああ」
術師「ふむ」←ツルハシ+ハコメガネ装備傀儡&羅刹女召喚
J「ふむ」
ロボット「負けた……」
術師「あばよ」GET
半鳥「教授死ねマジ死ね」


術師「お前は孤児院にいた頃のプレゼントでな」
ロボット「なんとなく分かってたよ」
術師「上手くなりたかったから自分に部分魂魄かけて魂の欠片をお前に入れてたんだ だからスムーズに操作できた」
術師「魂の欠片が熟したゴーストがお前だ 子供の頃だから自分のものに名前書くだろ?」
術師「進化したんだか知らんが人の名前で遊びやがって」"H"yper "U"ltimate "G"alaxy "H"unter
ロボット「おれの性格は小さい頃のあんたか」
術師「色々あって発狂した馬鹿親が捨てやがったから回収間に合わんかった 今こそ返してもらうぞ」ギューン
ロボット「ぬわーーーーっっ」

ロボット「あれ戻ったの?」
術師「マジか 当時と今とで精神が変容しすぎて取り込めねぇ マジか」
ロボット「えーと」
術師「いいよもうどっか行けよお前」
ロボット「アッハイ」

ロボット「これからどーしよ」
ロボット「ヤバい魔力無くなってきた死ぬ」
赤いの「よう うちの会社入らん?」回復
ロボット「ありがとう入る」



玩具屋「色々あったけど業務提携することんなったわ」
御曹司「街の修繕費はまあ宣伝費だと思えば メディアミックスで飛ばすぜ」
半鳥「うん」
玩具屋「なんかやーさんも大人しくなったしホントありがとね」
半鳥「うん……」

半鳥「どこやった?」
術師「どっか行った 探すなってさ」
半鳥「教授最悪だわ性病で死ね」
術師「なんか手紙来てるぞ」はい
ロボット『あいつんとこで傭兵やってます ゴーストコンビだぜ』
術師「マジか」
半鳥「なんだよそうならそうって言えよ男のツンデレはキモいだけだぞ良かったー」
術師「うんええはいまあ男同士ですからうん自分の口から言った方がいいかと思って」
半鳥「でもいいとこまで行ったっしょ私」
術師「調子乗んなよアホ」

END

読んで下さった方々と安価を取って下さった方々に感謝と お詫びを

安価197の伽耶子vsフェイトのIFの話、「大人フェイトvs伽耶子」

残り六人とはサーヴァントの事ですか?それともマスター枠の人ですか?

こんな感じでどうでしょうか? とりあえずキャスター作ってきました

【CLASS】キャスター

【真名】セルウィスト・トゥッリウス

【マスター】間桐 桜→(偽善の書)間桐 慎二

【性別】女性

【体長・体重】160㎝・49㎏

【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷E 魔翌力A 幸運B 宝具A+

【クラス別スキル】
陣地作成:A
 魔術師として有利な陣地を作りあげる、工房を上回る神殿を形成する事が出来る

道具作成:-
 宝具能力を代償にこのスキルは失われている

【固有スキル】
 魔術:A
  フェルティナ神やティアナ神の加護を受ける魔術

 カリスマ:B
  カリスマは稀有な才能で、一国の王としてはBランクで十分と言える

【宝具】
 不抜堅固の大城壁(モルス・セルウィウス)
 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大補足:500人

 王政ローマ時代に基礎が造られ、第二次ポエニ戦争で猛将ハンニバルでさえ手こずらせた強靱な「城壁」
 キャスターは自らの陣地内であれば、この「城壁」を自由に増設出来る
 「城壁」は単純に高い防御力をもってるのみならず、カタパルトなどの兵器もと併せて
 造り出す事が可能であり、それに伴う人員さえ用意出来れば攻めて対する攻撃手段としても使用出来る
 この宝具を破壊するには、最高クラスの対城宝具を用いる以外には、「城壁」に守られた
 キャスター自身を直接討ち取る他はない。

【解説】
 伝説上の王政ローマ第六代の王、エルトリア系の出自
 先代の王の暗殺事件後、その娘を妻に迎えて王位を継ぐ
 平民階層のブレブスの承認無しに王になった最初の人物
 ローマ領域の拡大や組織改革を行い、フェルトナ神、ディアナ神の神殿を多く建てている
 ブレプスには人気があったが、既存勢力である貴族階層・パドリキには人気が無かった。
 最終的には娘夫妻に暗殺される

 ローマ最古の城壁セルウィウスの城壁を建築した人物
 自然岩で加工して造られており、ハンニバルの戦像の突進でも壊れない強固を誇った。




clss アサシン
真名 ハサン、ザッバッハー(竜使いのハサン)
性別 女性
ステータス 筋力C 耐久C 敏捷B 魔翌力C 幸運A+ 宝具A++
クラス別能力 気配遮断:E 対魔翌力:A 騎乗:A++
固有スキル
二重召喚:B 二つのクラス別スキルを保有することが出来る、極一部のサーヴァントのみが持つ
       希少特性、この竜使いのハサンの場合は、アサシンとライダー両方のクラス特性をもって現界している
神性:C 後世の世で竜を操った逸話から、このハサンが海神様の生まれ変わりではないかと言う逸話から神性スキルを所持している

宝具 海氷の王竜(リヴァイアサン)
   ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1~99 最大補足:1000人
   旧約聖書で記されている、最強の海の魔物体長は優に1kmを超える
   天候操作による天変地異を引き起こし、さらに嵐を一点に集約する事で
   対城宝具規模の破壊を引き起こす、ただし魔翌力消費が激しい為連発は使用出来ない

歴代の19人居る山の翁の内、唯一対城宝具を所持しているハサン
生前このハサンが子供の頃、海で傷ついた竜の子供を拾いそれ以来親子のような関係で育っていった
その後少女が山の翁を襲名、暗殺と言うよりは戦場で真っ向から敵の軍勢を粉砕したようだ
戦場では十分に目立ったので気配遮断ランクがアサシンでありながら最低ランクなのはこの逸話によるもの
ハサンとして結構長生きして100歳くらいまで生きた、そのままベット中で老衰で死ぬ直前、初代様が現れて首を落とされた

   
   
   
   
   


帝都 深夜
運河港湾施設 コンテナ集積エリア


術師「39 40……46番……そろそろのはず」ツカツカ

術師「これだ」container 51

術師「……こいつだけダイヤル錠がポン付けされてる ……丁寧な仕事だが」キリキリ キリキリキリ
術師「こんな重たいドアに付けて意味あるのか」カチリ

ガシャ ギィィ……ィィ

術師「来たぞお客様 いるなら返事してくれ」

「ようこそお客様 お茶をお入れしますわ」

術師「カマ野郎でしたか 道理で センスMAXなご自宅ですわね」

「入って閉めな」

術師「はは ただでさえ姿どころか中の奥まで見えないのに缶詰になれだと? お前」

術師「依頼は手紙 "何日何時どこそこのコンテナに来い番号はこれ"とだけ 切手が無いから直接机の上に置いた 私の」

術師「昼間は私か弟子か居候かヘドロが詰めてる 夜も巡回警邏と枝セキュリティがあるから誰か来れば分かる」

術師「痕跡なしでここまでやったのは流石だ がその辺にしておけよ」

術師「世間じゃお前のようなのを不審人物というんだ」

「でもノコノコ来たんだろう?」

術師「前金という挨拶の方法を知ってるところが上品だしさる高貴なお客人かと思ったんでな」

術師「それで? 暗いぞ」

「はあ」sigh


術師「騙し討ち失敗?」

「まーそんなとこです」キ

術師「!」バッ


パァアンッッ


「うっわ躱したよおっさん」カシッ チャキン

術師「耳が良くてな 握力無いならトリガープルを弄った方がいいんじゃないか」close

術師「そう言うお前の顔は随分と幼く見えたぞ」summon DESTROY PICKAXE


――――中に入ってから閉めろって言っただろー? おーい……おい

おい 何? この うわ冷ッ――――


ジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュル


術師「茶色くなるまで育てておいて良かった コンテナの中では逃げ場無し――――」moss hell

術師「心配しなくてもそのうち枯れて全部死ぬから頑張れ 鍵掛けとくからゆっくり楽しむといい それと」ガチャ キリリリリ

術師「オトコは三十からだ 覚えておけ……」


ジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュルジュル


術師「ふむ」

術師「…………」

術師「………………」

術師「え マジで死んだのか」



コンテナ「    」


術師「……今までで一番骨の無い刺客だ 呼び出しまでしといてこれとは」

術師「まあ楽な分には文句ない じゃー帰ろっかな――――」summon BLOCK

ガギィン

術師「なんちゃって」

襲撃者「!!」シュバッ

術師「こんばんは覆面通り魔君 いい腕と刃物だ」
術師「刺突に全く迷いがなかったし こいつを突いて刃溢れ無し 体運びに淀みもない」

術師「少しは楽しめそうかな」dig

襲撃者「(何だ 堅土の塊が苔むしてる?)」

ボゴォ

ガジガジムシ「「「「      」」」」ザザザザザザザザザザザザザゾゾゾゾザザゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ

襲撃者「!」evade

術師「はははどうした 斬りかからないのか」DigdugDigDugDigdugDigdug

ガジガジムシ「   」うじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃ

襲撃者「(斬りかかったら集られて終わる デカい蟻? 見たことない虫)」クル
襲撃者「(だがあのサモナーの召喚獣だ アゴ鋭いし絶対ヤバい奴でしょ)」タッ

術師「待てよ 待てって」summon GOLEM

ゴーレム「   」pickup master

術師「ゆっくりしてけ」active PICKAXE SKILL

DUNGEON QUAKE


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


襲撃者「う」グラァ

術師「コンテナの下で」jump order

ゴーレム「  」ダンッッッ

襲撃者「跳んだ ちっ、コンテナ崩れるよなこれ!」


ガシャンゴシャァゴロンガランゴドン ズズゥンン……


術師「雰囲気重視で選んだにしては気が利いてたよ 明日の朝刊では――」
術師「不幸な事故の被害者ということで 一つタブロイドの紙面埋めに貢献してやってくれ」

ジャキィン

術師「!」

襲撃者「――――――――」equip knife

術師「(直撃コースのコンテナが真っ二つに……あのナイフでか どうやった)」P.S. active
術師「(ならこいつはどうだ)」WONDERFUL FESTA

ストストストスト

ガジガジムシ「「「  」」」!

襲撃者「(……本当に斬れた これならイケるかも知れない……って今度は何)」
襲撃者「(旗?)」

ウゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ

襲撃者「くそ」シュバババ

ジャギンジャギンジャギン

襲撃者「(転がった周りのコンテナを解体して瓦礫の壁に……ッ)」ガラガラガラガラ

術師「はは 何してるんだ?」faaaaaaaaaaaaaaall

襲撃者「(潰しにくる! ここの地面の"線"は? あった!)」ジャギン

地面「  」crack

術師「ほう」
ゴーレム「  」landing

ドズゥン ゴバァアアアッッ
ゴーレム「……!」ジタバタ

術師「(地面を斬り砕いて(?)落とし穴にしたか)」スタッ

襲撃者「てぇエえッ!」ザギィン

ゴーレム「  」dismantled

襲撃者「次ッ――――」ザッ

術師「はそいつらだ」スタコラ

土塊「 」バラバラバラバラ

シルバーフィッシュ「「「「     」」」」うじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃうじゃ

襲撃者「ぃッ……」わらわらわらわら

術師「(ブロックとツルハシを触媒に喚べる潜伏生物 コストも軽いから量は大盛りよ)」
術師「(最近はダシに凝ってましてね こういううじゃうじゃ系は肉とか内臓まで綺麗にしてくれるから本当重宝する)」

襲撃者「くそ なんだこの魚みたいな虫ッ」シュパパパ

銀魚「ピギュェ」バシュ
銀魚「ィィギェ」ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ
銀魚「ギィィィ」 ロ ロ ロ ロ ロ ロ

襲撃者「離れろ ラチが明かな――――」

ガジガジムシ「「「     」」」ウゾゾゾゾゾゾゾゾ

術師「瓦礫で塞ごうというのは分からなくもない発想だが」
術師「虫だから 悪路とか障害物はあんまり効果がないな」

襲撃者「う ぅぁああああぁああぁああぁああぁああぁああぁ」ゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロゾロ

術師「心配するな痛いのは一瞬だ 多分ね」

襲撃者「おいっ――――おい! まだかよ 早くしろよ!!!」

術師「?」


「お待たせ "マスター"」

術師「!」



数十分後
破壊された運河港湾施設


襲撃者「ハァー ハァ はぁっ……」ゼェゼェ

「相棒 お前の言った通りだったなァ」

襲撃者「やっぱりあんた頭おかしーぜ……マジでやるのか」

狂人「当たり前だろ! その為にわざわざ来たんだっつーの」

狂人「ねっ 先生!」kick

術師「   」ゴロ

狂人「最後のは何喚ぼうとしてたんだ? あれが不発でなければなあ! あはハはは」ケラケラ

襲撃者「本当にあの召喚魔法教授を倒すなんて……」

狂人「倒してねえよ倒してねえ ちょっと大人しくしてもらってるだけさコイツで」チャキ

襲撃者「……短いライフル銃ねぇ」

狂人「一発こっきりのな プラスお前に渡したその眼でだ」

襲撃者「すげーけど使いまくると頭痛くなる 何なんだ? これ……」ズキ

狂人「慣れろよ? 当たりさえすればマジ最強だから」

襲撃者「はいはい……」

狂人「さてそれじゃ準備するぞ いいな? とっとと上脱げ」

襲撃者「バーカ ホモ」スル

バサ

襲撃者「いつでも」全身刺青

狂人「間違えんなよ――――」



「素に銀と鉄 礎に石と契約の大公」

「祖には我等が菌糸――――」

「降り立つ風には壁を」
「四方の門は閉じ 王冠より出で 王国に至る三叉路は循環せよ」

「閉じよ(みたせ)」「閉じよ」「閉じよ」「閉じよ」「閉じよ」

「繰り返す都度に幾度 ただ満たされる刻を破却する」

「――――告げる」

「汝の魂をここに 我が命運は汝の術に」
「我が憧憬に報い この意 この理を汲むならば応えよ」

「誓いを此処に 我は常世総ての悪と成る者 我は常世総ての善を敷く者」
「汝三大の言霊を纏う七天」

「異なる抑止の輪より来たり覆え 天秤の守り手よ―――!」



二日後



帝都魔法大学 魔導薬学研究室


ドリアード「ブラウン 薬草の整理終わったわ」

茶「ありがとうドリアードちゃん ホンっト早いわねー!」

茶「資料要らないからパパっとだし私も知らない効能とか知ってるし! 草に関しては他の助手要らずだわ!」

ドリアード「面と向かってそんなこと言ってないわよね?」

茶「当ったり前じゃない! 今日全員フィールドワークなのはたまたまよたまたま」

茶「選別 整理 調合 実験は十分手が足りてるからバイトさん連れて調達に行ってきて! って」

ドリアード「言ってるようなもんじゃない…… あのね 傘のマークの製薬会社行きが決まってる子いるでしょ?」

茶「最近だと画期的なゾンビウィルスを作った大企業ね! 彼女に限らず私の助手は袖の下を使わせない優秀な子ばっかりよ!」

茶「研究に専念できる私は幸せ者だし 流石よね! ふふん!」

ドリアード「まあそうね 秀でているのは間違いない、けど私への対抗心が凄いの彼女」


ドリアード「いきなり現れて貴女に貢献してるのが気に入らないみたい」

ドリアード「これ見た目子供なのに 足踏まれたり肘ぶつかったりなんてしょっちゅうなのよ」やれやれ

茶「だから暫く前から目に見えて張り切り出してたのよね? うんうん」ガシ

ドリアード「何?」

茶「そうよ! 競争相手が出来たおかげでやっと彼女の芽が出たの 実は彼女だけじゃないのよ!」

茶「"あそこから手を借りるなんて間違ってる" "身元も分からない人外を使うなんて不気味" "これまで自分達でやってきたのに何故?"」
茶「"ここへは使いっ走りをするために来たんじゃない" "せっかく一緒に働いてるのにどうしてサインの一つも貰えないんだ転売したいのに"」
茶「"たまにする出来の悪い人間を見る目が非常によろしいくない" "辞めさせてほしいロリに目覚めそう"とか 実は色んな相談を受けてるの!」

ドリアード「後半おかしくない」

茶「私の返答は大体同じよ "優秀な人間が優しくされるのは秀でているから"」

茶「"あなたの相談に優しく乗るわ あなたは?" みんなやる気になってくれたわ!」

ドリアード「後半は捌けないんじゃないそれだと」

茶「つまりあなたは当研究室に於いて立派なカンフル剤としての地位を確立しているのよ!!」

茶「ありがとうドリアードちゃん!! そのままのあなたでいてね!!!」ブンブン

ドリアード「人でなし」

茶「ふふっ、あなたもね!」

ドリアード「何喜んでるの?」

コンコン

茶「はーい! 開いてるわよハーフィ!」


ガチャ

半鳥「おはようございますブラウン教授」

ドリアード「よく分かったわね」

茶「まーねぇ昨日の今日だし 一応聞くけどどうしたの?」

半鳥「……教授が来ません」

ドリアード「ほっときなさい」

半鳥「そりゃあドリアードちゃんはプロの植物だからこっち来れば仕事あんだろーけどさぁ……」

ドリアード「だから無断欠勤のエロサモナーの代わりに私が宿題を出してあげたでしょう」

半鳥「そうだけど」

茶「まあ毎回が遊び相手絡みでってことは無いと思うけれどねー それに」

茶「サモナーは暇してたり仕事が無かったりでも必ず顔は出すわ 出してたわ、かしら」

ドリアード「そう それからどこかに出掛けてた 省いただけじゃない?」

茶「うーん……」

ドリアード「いーのよいーのよ 貴女は自分の研鑽だけ考えてなさい、そのうち帰ってくるでしょうから」

ドリアード「大概生き返るし死体で見つかった方がお互い動き回らない分ラクまであるわ」

半鳥「当たり強ぇな……まあ色々しょうがないとは思うけど」

茶「(妬み以上にサモナーのとこのって肩書きが大きいしねえ……そっちは諦めて貰うしかないわね)」

茶「(比べられて潰れるような子は弾けるし 資金もそうだし選別も出来るしで本当にいい助手よ)」クク

半鳥「(なんか悪い顔してる)」

ドリアード「分かったら戻りなさい ここで貴女が出来ることはないわ」

半鳥「邪魔しちゃってるよねゴメン」

半鳥「でもそういうことだから一言掛けときたくて」

ドリアード「?」

茶「探しに行くってことね!」スタスタ


半鳥「探しにっていうか あー 行方不明とかっていうならそうなるんでしょうけど」

ドリアード「ふん 心配する必要ないと思うけど」

ドリアード「格上の心配が出来る程度には 私が教えた魔法だとかちょっとはモノに出来てきてるわけ」

半鳥「硬化と簡単な薬草精製 でその薬剤化でしょ? 昨日ね」

ドリアード「えっ」

茶「召喚魔法のアプローチがあれば精製植物の瞬間生育にどこかから栄養素を取り寄せって方法が取れるものね、一から合成しなくても」ガサゴソ

半鳥「ふふん」

茶「うむうむ 応用力と洞察力は魔法使いに必須の資質よ っと……」バサッ カキカキ

半鳥「ブラウン教授 家は分かりますか?」

茶「そー来ると思って今道順を書き込んでました! はい地図これ!」

半鳥「ありがとうございます どれどれ……結構近いんですね」

半鳥「地図のここら辺ってことはあんまり大きい家じゃない?」

茶「一人暮らしだしね! 前買ったっていう別荘も大き過ぎてあんまり落ち着かないみたい」

半鳥「なんかダイエット教室開いてたとかって言ってた気がする」

ドリアード「ダイエット教室ぅ? いかがわしい……」

半鳥「変なとこ触ってそう "この辺りの脂肪を私の掌で直接異次元へ飛ばして差し上げよう"~」声真似

ドリアード「ふふ」

半鳥「"いやんそこを飛ばしたらブラジャーを新調しないといけなくなりますわ"~」裏声

ドリアード「サモナー変態ね 最低だわ うふふふ」lol

茶「大丈夫よ! 友達と子供には手出さないから彼!」

半鳥「行きます?」

茶「行かないけど!」

半鳥「じゃあ家の方に行ってきます」

ドリアード「気を付けて」

半鳥「新調しなくていいように?」

ドリアード「もういいから行きなさいよ」クスクス

半鳥「はーい」

ガチャ バタン



【少し後 帝都大通り】
【乗合停留所】


青年「…………」うつらうつら

車掌「発車します お掴まり下さ――――」

「ああぁー待って! 待って下さい乗りまーす! 乗りまーす待ってー!」バサッ バサッ

青年「…………ぁあ?」パチ

車掌「上だ 止めて止めて」up stair
運転手「あの子? 空からならいいんじゃないかもう走ってて」stop

半鳥「着地!」スタッ

車掌「発車オーライ」つ伝声管
運転手〈オーライ〉ブロロロロロ

青年「(やかましいのが来たな 声うるさ…… インコの亜人?)」欠伸

半鳥「はー間に合った こんにちは すいません……」

車掌「はいこんにちは 君ももう少し時間に余裕を持って行動したらどうだい?」

車掌「乗る時間はバラバラなのに乗る時はいつも出発間際でしょ」

運転手〈いつもご利用ありがとうございます 二階から直接〉

運転手〈上向きにはミラー付いてなくてねェ……〉

半鳥「……ご ごめんなさい」

車掌「気を付けてね」

半鳥「はい」スト
半鳥「ふう……時刻表貰っとこうかなぁ」

青年「(サンダルに袖無しで飛んできたのか 寒いだろ)」

青年「(……あと三つか んだよ二つ分寝てられたじゃねぇか 起こしやがってクソ)」

青年「(目ぇ覚めちまったよ あー勿体ねぇ……眠いのに寝れないのムカつく)」フアァ

青年「チッ……」ジロ

半鳥「っ?」チラ

青年「……」フイ

半鳥「~……」ほっ

青年「(…………何ホッとしてるんだ 気にしなきゃいいだろ)」

青年「(……ああ……)」

青年「(ああ むしゃくしゃする)」



 昼下がり 乗合の魔導炉が低く唸る

 屋根の無い二階席の肌寒さを鬱陶しく感じて、一階へ降りた 閑散とした車内で適当な席を探し、座り直す

 途端に閉塞感を覚えた
 今日は無視する

 気を紛らわそうと、流れていく帝都の街並みを眺めた
 風景の退屈さと、登校前の気怠さを、普段は微睡みの糧としている 何の気なしにでも走行中の乗合から外を見遣るのは久しぶりだった

 ふと窓越しのピントがズレる

 物憂げに頬杖を突いた、半透明の顔と目が合った 顔をしかめるとそいつも嫌そうな顔をする

 帝都第二学園高等部の制服が似合っているかはなんとも言えない

 明け方から昼にかけての運送業で意図せずに鍛えられたがたいは、出来て久しい眉間の皺と合間って第一印象を厳めしいものにしていた
 制服は好きではない
 好きではないし学園は服装自由だが、金と服が無いので何着か支給されたこれを着回している

 仏頂面を眺めながら、どうでもいいことを考えている自分に気付いて、青年はまた鉛のような倦怠感が体にのし掛かるのを感じた

「なあ 新聞見たか今朝の」

「見てるよ ラジオ点けてコーヒー準備して朝刊読みながらウンコすんのが俺の朝だよ」

「うわ汚ぇ話すんなよ~」

 青年の耳が勝手に中年親父の会話を拾った

 声量を落としてはいるが容易に聞き取れる声で、禿げた中年と太った中年はべらべらとやりだす

禿客「マフィアだろ? それしかねえ 隠れ家摘発だとさ」

太客「ざまあ見やがれってんだよな」

禿客「隠れ家ってこたァ知ってる奴からだろ 尻尾切りされちまったのかね」

太客「なのかねェ」

禿客「でも心配だよ」
禿客「取っ掛かりがそうじゃん辿ると あのボンボンと、あの場で堂々とやっつけたのは結局……」

太客「帝都が誇る魔法使いの溜まり場に身を置いてるんだ ラーメンバカとお師匠様達が指一本触れさせねぇだろうよ」

禿客「それもそーか」

太客「今度さ、お礼しに行かねえとな」

禿客「あたぼォよ」

 当然部外者には要領を得ない すぐに意識の埒外へ雑音を押しやる、舌打ちも忘れない

 ばつの悪そうな一瞥が返ってきたのを視界の端に捉え、あからさまに不機嫌そうな振る舞いをしてみせた自分自身でさらに不機嫌になりながら、青年は降りるまで考えることをやめた



【帝都第二学園 校門】


青年「……」pay

ブロロロロロ……

青年「(もう少し早く出ようか、昼飯は乗合ン中で食えるヤツでいい 適当なスタンドで ハンバーガーとか)」

青年「(……や 今日だけだろ いいや別に)」テクテク


「じゃーねーまた明日ー」
「あーお前今日午後一コマだっけ いいなぁ俺もそうしときゃ良かった」
「あんたはデフォで週末三連休に組んでんでしょーがよ」「でュふふ」
「おう帰宅組か? 気を付けて帰れよー、最近また変なのが出てるみたいだからな」
「集会で言ってたやつですか先生」
「生徒会も頑張ってるがなぁ 警備会社に頼むかって話も出てんだよな お前らもあんまり――――」


青年「(昼の生徒と教師だ 例の不良の話か? 今期のヤバい生徒会でも手に余るか)」

青年「(夕方からの俺達は特に気を付けないといけないだろな――――)」

どん

後輩「きゃっ――――」グラッ
青年「!」肩

バラバラバラバラ

後輩「いたっ」すてん

青年「ごめん」
青年「(紙か 派手に散らばったな)」チッ


後輩「たたた……うぁっちゃぁー、派手に散らばっちゃったっスねェ」

青年「余所見してた ケガ無い?」

後輩「尻餅ついちゃっただけっス大丈夫 でもあーこれは参ったなぁー」チラッ

青年「(ブローチの石の学年色は緑色、昼学の一年だ 強かな奴だな)」

青年「(悪いのはこっちってのがやる瀬ない 面倒臭ぇ……)」

青年「手伝うよ」ガサガサ

後輩「あっ ありがとうございますセンパイ!」ガサガサ

青年「(よく言うわ こいつ薄らニヤけてた ブン屋みてーな帽子で隠しても見えてんぞ)」ガサガサ
青年「(というかこれって)」ガサガサ

後輩「いやーセンパイ親切で助かったっスよ 一部どうですか?」
後輩「新聞部謹製"週間二学" サービスするっスよ!」

青年「金無いんだ 悪い」

後輩「えー 女子の肌を傷付けておいて?」

青年「……男子制服だから分かんなかったわ スラックスなら擦りむかないよね」

後輩「あらあー。二重の意味で」


後輩「でもほら 基本生徒は割引で超安いっスから! 駄菓子並みの値段で校内の噂とか学食の献立 天気予報 ラジオ欄――」
後輩「分かり易い社会部 読者投稿欄 小説と四コマ漫画! 密かに人気のちょっとエロい広告は最近撤廃の話が出てますんで今のうちに見とかないとっスよ!」

青年「…………広告は気になる けど無い袖は振れない」

後輩「そうっスか……あれ、二年で夜学の方?」

青年「まだ何か」

後輩「アルバイトとか……」

青年「日中ね」

後輩「じゃあじゃあインタビューとか! 実はコラムにアルバイト体験談ってのがあってですね!」

青年「(思い出した こいつしつこいのとうるさいので有名な奴じゃなかったか)」

青年「(面倒臭いな……面倒臭い)」

青年「守秘義務があってさ 仕事内容は話せない」

後輩「えっ あーそういう……そうでしたか」

青年「(嘘だけど)」

青年「もう行くね 部活頑張って」

後輩「……はいっス! それじゃまた! 羽振りのいい時はお願いしますよー!」

青年「(やっぱ時間ズラそ)」プラプラ


後輩「新聞部でーす! 週間二学、一部どうっスかー?」

美術部員1「よーパパラッチ クイックシルバーの続報きてる?」
美術部員2「綺麗に撮ってんだろうな 写真」

後輩「美術部の先輩方! いやァー先週は無かったんっスよー! 放課後知り合いに張ってもらってたんスけどねー」
後輩「見たかったのになぁ あ、毎度ありがとうございまーすはいどーぞ!」

「精が出るね 私にも一部くれる」メガネグイッ

後輩「あっ 生徒会長!」



生徒会長「あんたの声は本当よく通るな 中等部の時からずっとそう」チャリン

後輩「そういう生徒会長も相変わらず筋肉バキバキ また背伸びた?」パサ

生徒会長「朝は鏡 屈まないとモヒカンのセットがしにくくなってきたかも 洗面台で」ペラペラ

生徒会長「……ん この ラジオ欄の"新・帝都傀儡奇譚"って何? 新番組?」

後輩「ああ なんかこないだの対戦傀儡騒動に因んだ古いラジオドラマのリメイクだとかで――――」

 世間話を始める一年生の女子二人を美術部の二年生と三年生が見ている
 共通点は遠目で女子だと分かり難いところか

 鳥打ち帽と男子制服というボーイッシュな装いと 図々しさ やかましさ 神出鬼没さ やかましさ 図々しさでまともな女子扱いされにくく
 また自身も本職顔負けのフットワークで入学早々に新聞部先達を押し退け学園専属記者を公言していたり
 公共物に妙な作品を投下する謎のお騒がせアーティスト"クイックシルバー"をこよなく愛していたりで忙しい 新聞部エースのブン屋ガール

 と、

 180cm代後半の身長 制服の上からでも分かる鋼のように鍛え上げられた分厚い筋肉 丸眼鏡の奥の鋭すぎる眼光 刈り上げて目立つ短めのモヒカン
 前期生徒会長による熱い推薦と、歳不相応に重厚過ぎる貫禄を見せた演説で前期生徒会副会長ズを打倒 異例の一年生会長となった魔導鎧系女子

 この仲の良い色物コンビを眺める先輩二人の視線に他意はなかった マジで
 年齢に比し 一般の生徒とは評判と実態が色々一線を画しているところからか、粉をかけようとしてみた者の話はまるで聞かない

 人望はあるけどな。うん。付き合うのは無いかな。な。などと所感の一致を確認し合い、上級生は一足先に校舎へ戻っていった


生徒会長「……へえ、面白そうなんじゃない? 男の子向けって感じだけど」

後輩「少なくない数女性ファンはいたみたい こう 所謂 男性同士の示唆的な描写があったとかなんとか」

生徒会長「ほう……」

後輩「ところでさっきの先輩方どう思う?」

生徒会長「ケツにミドルキックしたい」

後輩「……私の分も頼んますわ」ズーン

生徒会長「この話題やめない」ズーン

後輩「っスね……」



【第二学園校内 五階】


 筋肉女子と男装女子が校内を行く 友人知人に声をかけられかけ返しつつ、生徒会室のある階へ着いた
 上級科目の授業になる程教室は上階のものが使われる傾向にあり、すれ違う生徒も下級生が減ってくる

 帝都第二学園 通称"二学"は休日を除き二十四時間常にどこかの教室で授業が行われており、時間割りを生徒が自分で組み立て受講する
 性別 人種 年齢 環境 様々な背景をもった生徒が入り交じる学園の、さらに昼を少し過ぎたこの時間は課程間の境目と言える
 
後輩「(あ)」


蜥蜴亜人「おや こんにちは」

青年「こんにちは」

蜥蜴亜人「今来たところですか? 教室 一緒に行きましょう」

青年「いいですけど」

蜥蜴亜人「ありがとう あんまり元気な子達と話が合わなくて寂しいんです……」

青年「そんな とっつぁんそういえば今年でお幾つでしたっけ」

蜥蜴亜人「86になりますよ 最近は脱皮がキツくなってきて」

青年「見えませんよ 鱗全然綺麗だし」


後輩「(なんかシュールやな)」

生徒会長「あの人だろ? くしゃみでブレス吐いてスプリンクラー誤作動させたっていうのは」

後輩「何それウケる 去年?」

生徒会長「去年 お爺さんまでいるっていうのは改めて凄いよなここ」

後輩「高等部だと下は十二歳の子がいるんだってサ 超天才だけど病弱で家出れないから放送授業なんだと」

生徒会長「知ってる もし会ってもいつもの調子で捲し立てるなよ、彼は二年生だから私達の先輩だぞ」

後輩「老後学生と飛び級神童かぁ 超お話聞きたい」

生徒会長「ふふ 好きだなぁ」

「生徒会長! 居ましたわお姉さま!」
「見えていますわ というか二人一緒で探しているのですから言わなくても分かりますわ」

生徒会長「副会長達 探してたってどうして?」


副会長妹「ケンカですわ生徒会長ケンカ! また例のドロップアウトボーイズですわ!」
副会長姉「ボーイズではありませんわね妹さん ボーイだけじゃなくガールもいましてよ」

副会長妹「ドロップアウト集団ですわ!」

副会長姉「ドロップアウト集団が通学路に屯していたのですわ」

副会長姉「生活指導の先生と風紀委員も向かわれたのですが……その」

生徒会長「分かった先輩 任せておいて」

副会長妹「ついてきて下さいまし!」

生徒会長「来る?」

副会長姉「ちょっと」

後輩「是非行きたいっスね」つカメラ

副会長妹「彼ら最近はどんどん血の気が多くなってきてンですわ 数も増えたし」

副会長妹「バイカーって言うんですの? 魔導二輪車を乗り回す集団とツルむようになって」

副会長妹「それから一層歯止めが効かなくなってきてるんですの ダメですわ! 危ないですわ!」

後輩「その現状を全校生徒に伝えて注意喚起するんっスよ」

後輩「見出しは"生徒会長百人斬り 副会長姉妹「まるで石臼が芥子粒を挽き潰すように」"とか!」

副会長妹「面白がってんじゃねェですわ」

生徒会長「大丈夫だよ 学校側からもそろそろ本腰入れようって話が出てたじゃない、注意喚起は大事だ」

生徒会長「それに彼女は超すばしっこい いざとなれば勝手に逃げてくから」

後輩「逃げてくっスから」

副会長姉「ではせめて見えないところからでお願いしますわ 必要以上に刺激しないよう」

副会長姉「急ぎましょう 生徒会長ならすぐに済ませられますわ」



【数十分前 スラム街境目】
【廃アパート 不良の溜まり場】


ガチャ


耳ピアス「おい起きてっか? 出れるやつ来いや ……全然いねーな」

眉無し「殆ど昨日連れてきたのと上いる」

耳ピ「あっごめんなさい」

眉無「ハブられてんじゃねぇから」

眉無「俺はご宿泊じゃなくてご休憩なだけだから 日ィ跨ぐ前に送ったし 腰痛いんだけど何」

耳ピ「お前だけ日ィ跨ぐ前に」
耳ピ「あっごめんなさい」

眉無「殺すよ?」

耳ピ「すぐ招集かけろ 二学のガキやるってよ また」

眉無「オッケ場所どこ」のそ

耳ピ「通学路 あそこだあそここないだ鎖で市中引き回しごっこやったじゃん」

眉無「お巡り来て途中で鎖外れたところか 信号のタイミング変なんだよなあそこ」

耳ピ「そうそう またやろうな」

眉無「待って呼んでくる」



【廃アパート 上階のどこかの部屋】


ギシ

ドレッドヘアーの少年「……」グビ

 着衣を整え適当に座って瓶を煽った 中身はビール 喉を鳴らして苦みを渇きに中てる
 一応水道は通っているが飲めたものではないのでここを使う輩は皆飲み物を持参する 彼もそうした
 糞を流せるトイレと汗を流せるシャワーが使えれば良い その二つは必須だ

縮毛「飲む」

 瓶をちゃぷちゃぷ言わせて聞く
 声をかけられた相手は毛布に包まったまま身動ぎした 首を振ったらしい

縮毛「あっそ」

 飲み干した ベッドの下の空き瓶がまた増えた これで十本、集まった空き瓶が収集人に回収されることはない
 これの次の職場は仲間の手作りレーン最奥 使い潰されて割られるまで倒れ易いボーリングピンとして短い余生を送るのだ

 抗議の枕が飛んでくる
 首は縦に振っていたらしい

縮毛「まだあるし 俺行くね」

縮毛「ビールやんだからシーツとか洗濯やっとけよ ……聞いてる?」

コンコン

縮毛「早漏来た」

眉無「誰が早漏だコラ 紳士なんだよお前らと違って」

眉無「ケダモノのお兄様とは特にな」

縮毛「ノックが早漏臭い」

眉無「ブッ飛ばすぞマジで!」

眉無「もういいや 呼んでるから来い二学シメるって」

縮毛「喧嘩売ってるってことでいいのね?」

眉無「は? ってああ お前二学だったね」

眉無「嫌?」

 返事は獰猛な笑み

眉無「ホントお兄様は喧嘩好きな あとセックス」

眉無「おーい そっちの 起きてんだろ!」

縮毛「寝かしてあげて 腰いわせちゃってっから」てへぺろ

眉無「…………マジやべー」うえ

縮毛「まだまだァ もっとやべーとこ見せてやんよ」ケケケ

縮毛「またね」チュ

 ベッドに寄って毛布越しの背中にキスを落とし、アパートを後にする



【現在 二学近く】
【魔導二輪で封鎖された通学路】


「うぅ……」
「風紀委員が来てくれてる 今のうちに逃げよう!」
「ま 待って!」


 野次馬と乗り付けられた魔導二輪が昼過ぎの通学路を不穏に囲う
 乱闘が始まるのは早かった

 不良グループに絡まれる生徒を見た人間が学園に連絡 風紀委員が仲裁に向かった
 ただ騒ぎたいだけの彼らからすれば飛んで火に入る夏の虫、数名が返り討ちに遭う
 騒ぎを聞き付け近隣に居た別の風紀委員が駆け付けたが、騒動が収まる気配はまるで無かった


「危ないから下がって!」
「ってんじゃねェぞおらァ!」
「バイクから降りろ! 道を塞ぐな!」
「あはははははははは」


風紀委員A「急行できたのは俺達だけか……誰か先生達と警察を呼んで来て!」

不良1「どこ見てんだ 死ねオラ」
風紀委員A「!」

ガヅッ

風紀委員A「ぅあっ……」ドサ

風紀委員B「この落ちこぼれのバカ共 いい加減にしなさいよ!」STUN ROD

不良1「っぉっッこ°tっtttッっttっ」バヂィッッ

ドサ

風紀委員B「平気っ?」

風紀委員A「ああ ッつー……助かったけど躊躇なく使ったなお前 魔導警棒」ズキズキ

風紀委員B「感電するだけなんだから死にゃしないわよ」

風紀委員B「みんなにやってること考えたら別にいいけどね」

不良1「」ビクンビクン

「あいつ女に負けてんぞ! いらねーんじゃね!?」
「おい見ろサカナだサカナ! 陸揚げ一丁!!」
「だッせー超ウケんだけど」
「ぎゃはははははははは」
「そのまま死んでろザーコ!!」

風紀委員B「仲間じゃないの? バカな上に薄情って救いよう無いじゃない」

不良2「おいおいおいおいやっちまったぞこの女 俺達はただそちらの生徒さんとお喋りしてただけなのによお」

風紀委員A「……女子から男子を引き剥がし 複数人で囲むのをただのお喋りとは言わない」

不良3「ちょっと肩組んだだけだろうがボケ 自意識過剰ォー」

不良3「先に手ぇ出したのそっちだから 死にな?」

風紀委員B「バーカ 雁首揃えてバカ バカ バカばっかね そっちが死にな? よ」
風紀委員A「おい……」

風紀委員B「まず 学校来ないクセして学区圏内をブラブラされるだけでみんな不安がるの 十ぅ分迷惑」

風紀委員B「スラムに溜まり場あるんでしょ? バカ同士向こうで傷の舐め合いやってなさいよ」

不良2「あァ……?」ピク

風紀委員B「怒った?」

不良2「こっち来いてめェ ひん剥かれても同じこと言えっか確かめてやんよ?」

風紀委員B「みんなで仲良く婦女強姦! フンっ 女一人にも数で当たらなきゃ勝てないもんね」


風紀委員B「マトモな頭があるのが羨ましいんでしょ 自分達と違って だから意味もなく絡むんじゃない」

風紀委員B「今日だってこれ結局嫉妬なんでしょ? 見たまんま学生カップルが妬ましくて仕方がないかr」

ビシュッ

風紀委員B「っッさーッ!!」ガキィーン

不良4「……石 打ち返しやがった」slingshot

不良2「やれお前ら! やれ!」

不良3「お前それじゃ言われっぱなしじゃん(笑)」

不良2「マジ殺す ぶっ殺すから」

風紀委員A「煽るな! お前達もやめろ もう帰るんだ」

不良3「帰れば? その子だけ置いてけばいいじゃんクソメガネ君」

風紀委員B「ダっサ」

不良3「調子こいてんな 別にわざわざマワしたりしねえし 帰りゃ幾らでもいる」

不良3「ここにはストレス解消しに来てんだよ お前は便所じゃなくてサンドバッグ」

風紀委員A「……」
風紀委員B「死ねば」

不良3「そこで転がってるザコが肩組んだってのも男の方だしな 何イライラしてんの? 生理?」

風紀委員B「仲間内でやんなさい幼稚で下品なバカ共 男だったから何? 同じことよ」

風紀委員B「このクソホモ野郎共 消えなさい」

「あーあ へへ」
「言っちゃったよ」

風紀委員B「……?」


「眉ハゲェ 降ろして」

「勝手に降りな」


スタ

風紀委員B「……あんた……」
風紀委員A「君か……」

縮毛「今の悪口で言ったの? 良くないなァLGBTには配慮しないと」

縮毛「声デカいんだよ 嫌だろ絡まれんの……うるさい奴はマジで馬鹿みたいにうるさいんだぜ」

風紀委員A「…………」

縮毛「こんにちは風紀委員の切り込み隊長ちゃん」

縮毛「ホモは嫌い?」cast BARRIER GANTLET



 縮れた髪房を揺らして構える少年の腕に集まった魔力が物質化 半透明の籠手が形成される

 結界 バリアー 障壁 シールド 好き勝手に呼称されるポピュラーな守備魔法
 これを殴り付ける得物として転用する珍奇なスタイルを
使い手も含め 風紀委員達はよく知っていた

風紀委員B「……あんたは嫌い」

縮毛「傷つくわー」タンッ

風紀委員B「っ!」
風紀委員A「下がって!」バッ

 足捌きは拳闘
 口と目付きのキツい同僚を庇って前に出る 窘めた警棒を抜き放つ動きに迷いはない

縮毛「シッッ」ヒュ

 刺すような呼気 障壁付きの右腕が霞む
 物を殴打した硬質の音が響くが間合いは詰まっていない 命中したのではない ではジャブか

 否 牽制ではなかった

風紀委員A「(飛んでくる!)」シャキ

 パンチに合わせて填めた障壁を宙へ固定し粉砕 障壁片が飛び道具となる
 大元の魔法の衝撃制御技法が弄くられ、単に突き割られただけでは有り得ない速度で攻撃に回された防御の散弾が飛ぶ

 対し風紀委員は即座に執行委員標準装備型電磁魔導警棒を延伸 その中央を掴んで回転させる
 現れた弧を描く棍術の盾をカヌーを漕ぐように左右へブン回す バチバチ唸る警棒棍に障壁散弾の尽くが打ち払われた
 防いだ回転を殺さず 勢いを乗せて踏み込み刺突 刺突刺突刺突
 残像が守りの円弧から猛攻の驟雨へ変じ、変じた棍撃はしかし 屈み 躱し 捌き 反らす ドレッド野郎の動体視力を越えられない
 想定内だった

 十数突目で警棒棍を引き戻して旋回させ、打ち払いで頭を狙う 奴が屈んで避ける
 返す刀で次 下段 奴が跳ぶ
 そこへ連撃を布石にした渾身の突きで正中線を穿ちにかかる 空中で身動きを取れる人間などそうはいない
 そうはいないが割りといる

縮毛「(あはは)」cast BARRIER STAIR

 ドレッド野郎が宙を蹴って跳躍した
 足裏に精製・固定したタイル大の障壁を足場にしての二段ジャンプ

風紀委員A「――――!」

 警棒棍は役目を終えた障壁を貫き
 頭上をゆくゴロツキが奇襲の踵落としで脳天を狙う

ヂッッ

風紀委員A「っ、の――――!」evade

 間一髪で首を反らす
 メガネが砕け散る

風紀委員A「づぁッ!」mode change

縮毛「ふふ」blocking

 間合いの内に入られた棍が再び収縮 警棒態に
 がら空きの胸へ今度こそ突きを撃つ ドレッド野郎が微笑し、交差させた籠手障壁が警棒を防御
 衝撃に合わせ風紀委員の肩へ蹴りを入れ、反動に任せて後方へ飛び退く 後方宙返りを決めて余裕の着地

 ドレッド野郎は最初と同じように構えを取って不適に笑う
 たたらを踏んだ無メガネ風紀委員の表情は渋い レンズで切ったらしく頬に赤い線が走っていた

縮毛「前はこれで一本だったのに」フフフ

風紀委員A「眼鏡と一緒に鼻まで折ってくれた よく覚えてる 忘れられない……」

縮毛「忘れられない? だよね 介抱もしてあげたし」

風紀委員A「それだ!! 思い返すだに 保険医が来なければ本ッ当に危ないところだった!!!」ゾッ

風紀委員B「えぇ……」

縮毛「あの困惑した顔」

縮毛「あの時は俺も若かったから 先走ってうなじ舐めないで鍵を閉めてれば良かったんだよねェ」

縮毛「"え? え? でも いやこれは痣無いかとかの確認だし え? いやでも"ってあのキョドりっぷり」

縮毛「ピュアさを味わえるのは一回きり マジで最高だった」ペロ

風紀委員A「やめろ。やめろ。やめろ。やめろ。」おぞぞぞ

風紀委員B「あんたが風紀委員にも学校にも来なくなったのって四ヶ月前の話でしょ 若かったってねェ……」

縮毛「男子三日会わざればってやつだよ」

眉無「おいお兄ィ様よぉ喫茶まで送ってやろーか? お喋りしてぇんだろ お?」pipe attack

風紀委員C「ぶげッ」ドグシャ

風紀委員B「! このっ!」

縮毛「妬かない」ニタ

眉無「あっごめんなさい」


風紀委員B「そこまでよ眉ハゲ 先にあんた達から大人しくしてもらうわ」シャキン

風紀委員A「……と とにかく 他の幹部格は来てないみたいだな」

眉無「カンブカクだってよ! カッコつけてんじゃねえメガネ」ハッ

縮毛「みんな強い訳じゃないのを適当に言ってんでしょ」

縮毛「上はアタマがいるだけだよ みんな好きにやってる 最近ヤバいの来たけどね」

風紀委員B「どうしよーもない烏合の衆のバカってことでしょ」

縮毛「煽りよる」

眉無「てめぇもバカバカってバカの一つ覚えみてーに繰り返してっけどな」

縮毛「……居た時からずっと気になってたんだけどさ どうしようもないってのは――――」

縮毛「学校に馴染めなかったから? 落ちこぼれでそれが集まってるから」

風紀委員B「フン 働くのも学ぶのも自由なのに自分で決めたものを放っぽり出してるからよ」

縮毛「落伍者に厳しいなぁ」

風紀委員B「それはいいわ 半端者のクセして頑張ってる人に当たるのが有り得ない」

縮毛「相変わらず優等生でヲトナなのね ツンツン隊長」


風紀委員B「正直ちょっとでもあんたのこと良い奴だと思ってた自分がムカつくわ ほんと」

縮毛「良いやつでしょ 間違ってないない はは」

縮毛「眉ハゲ お前メガネな」

風紀委員B「何様のつもり?」

風紀委員A「待て 君の相手は俺だ!」バッ

眉無「おいおいデートの邪魔してやんな」ブン

風紀委員A「くっ」ガギン
 
縮毛「隊長 組み手とかしたことそういやなかったね」パキ ポキ

縮毛「先生とか来るまで一 二分ってとこか 稽古つけてあげるよ おいで」ザッ

風紀委員B「……舐めんな 裏切り者っ!」





「(……騒がしいんだよ落ちこぼれのガキ共 ケツ持たれたくらいで粋がりやがって)」

「(何がバイカーだ、大陸中ほっつき歩いて仕事探してる要は出稼ぎ労働者だろ デカい顔するなよクソ 殺してやる)」

「(こんな好き勝手有り得なかったのに アタシらが留守にしてれば調子づきやがって クソ クソっ)」

「くそッ……」


 騒動の野次馬を縫って歩く女生徒が一人 毒づく声を聞き取った者が訳を知る由はない

 疲れきった顔 ギターケースを背負ってとぼとぼ歩くその姿に覇気はなく
 本来鋭い目付きはクマと眠気で胡乱気

 彼女はここ数日ろくに眠れていない
 心労は睡眠を妨げ 表の副業にも身が入らず糊口は危うい

 苛立ちが募り
 募ると現状へ経緯を頭でなぞりだし
 元凶へはすぐ思い至り
 そして呪う

 ざわ と女生徒の肌が泡立った

半 「…………あいつだ……ハーフィ……」metamorphose

 制服の下で体表に硬い毛が生え 指の爪が伸びる
 足裏に肉球が膨らみ 脚部が人間と犬の合いの子のような構造に変化してゆく

 往来で顔まで変わるのだけはなんとか押し止めた

 が 噴出する怒りは恨み節となって垂れ流れる


半狼「……ハーフィ! ハーフのハーピィだから? フザけたアダ名だ……」チッ


半狼「(ボスをブタ箱にぶち込んだのはあいつだッ……)」…ギリ

半狼「(あのクソガラクタのカス玩具の一件さえ無ければ あれでミソが付いた)」

半狼「("堅気の小僧と小娘にしてやられた"って舐め腐ったチンカス野郎が売ったんだ ボスを)」

半狼「(あの隠れ家は傘下の身内でもごく限られた部下しか知らされてなかった)」

半狼「(パクらした途端フケやがって アタシから逃げられっと思ってんのかよ アぁ……?)」ギギギリィ

 自分で自分の奥歯を噛み砕きかねない咬合力で歯軋りをする
 虫歯が傷んでやめた
 これもボスに治せと言われていた 歯医者が嫌で行っていなかった 後悔している


 帝都の裏社会に根付いて久しい古株の亜人系マフィア
 その幹部連中の一人 マフラーを巻いた男の護衛と凶手を兼ねる半狼が珍しく安全な仕事に回されたのが先の対戦傀儡の一件
 合法的に手に入るのであればそうしようとボスが思い立ったのが発端だった

 そしてそれがそもそも一連の騒ぎを遊びにしていた外道に筒抜けだったのが運の尽き

 とは露知らず
 ともあれ対峙したハーフハーピィ+αを相手に半狼は敗北した


――
――――
――――――



半狼傀儡『   』crash


半鳥「や やった……?」co-operate

ロボット「頭当たったよ 傀儡の反応がしない」main operate
ロボット「倒した」

ドリアード「そのようね」
ドリ傀儡『  』fist-pump!


豚鬼整備士「旦那! 旦那ァ大丈夫なのか!?」

赤い傀儡「……はァ~ 1足す1は無限大ってェ~? マンガか何かなのォ~~? ヒヒヒヒヒ」BREAK DOWN

豚鬼整備士「大丈夫そうか 憑依こっちに移してんだから無茶すんなよな」ヒョイ

赤い傀儡「待ってもっと慎重に持ってもっと 腰のジョイント砕けてッからいだだだだだだだだだだだだだだだ痛ェっつってんだろ」cast FIRE BREATH

豚鬼整備士「熱い!!!!!!!!!」ヂヂヂヂヂ

赤い傀儡「いや~ァ負けちゃったねェ~ウェアウルフのお姉ぇ~~ェさん」

半狼「なんだよ 今のは……」

ロボット「ヘルメットのパーツにもう一個魔導回路載っけて貰ったんだ」

ロボット「撃つ係と動かす係で分担できるし ハーフィがおれに合わせて一緒に一緒の動きすれば二倍で動ける」

ロボット「あんたの傀儡の剣とか魔法とか凄かったから 勝てたけど危なかったな」

半狼「(知らねえよ メンド臭え……)」

半鳥「ボルト」

半狼「あ?」

半鳥「ちょうだい お互い全部賭けて一発勝負って約束だったでしょ」

半狼「……チッ ああ そうだった?」

半狼「つーか賭けた量でいくならお前アタシの半分ぐらいだろ 全部じゃなくて」

半鳥「そーだね」

半鳥「掛け金って負けた分は持ってかれちゃうんでしょ? あなたの負け」

半鳥「いいから出して 勝った分だけじゃあ持ってくから」

半狼「(勝ち誇ってんじゃねえよ ムカつく面だなブスガキ……)」ゴソ


半鳥「ね さっきなんて呼ばれてたっけ」

半狼「何が」

半鳥「名前 仲間の人に……ライカだっけ?」

半狼「まさか本名だと思ってないよな ハーフィちゃん」LYCAnthrope

半鳥「ライカ マフィアってみんなそんなにみっともないの?」

半狼「……は?」


半鳥「玩具屋チーム 若社長さんチーム 両方と直接やった回数少ないし見てただけなのも多いけど」

半鳥「負けてからブー垂れてた人あなただけだったよ」

赤い傀儡「(おい)」ヒソ
豚鬼整備士「(装甲板ならいつでも出せる 風の嬢ちゃん居りゃ平気だろ)」ヒソ

ドリアード「ハーフィ 放っておきなさい」

半鳥「……うん 分かった」

半狼「おい うん分かったじゃねーよ 待てコラ」

半狼「舐めた口利いてくれんじゃん お遊びの場なら何言っても無礼講か?」

ドリアード「(あーもうったく)」
ドリアード「だったらそれを教えておしまいになさい 器が知れるって話になるんじゃないかしら」

半狼「それは誰の? アタシの? 笑わせんな」hmph

半狼「そもそもこっちが見逃してやってたんだっつーの 普通に考えて――」
半狼「はぐれの鎧技術者がただ放っとかれて済むワケねーだろ 国からも睨まれてんだから」

半鳥「……」
ドリアード「……」
ロボット「?」


『背中の蕾に見えるやつ……』
『飛翔砲台っていうんだ 飛ばして直接ぶつけたり開いて魔力弾撃てたり』
『現実では戦車の自衛兵装になり損なったって噂のボツ兵器 それを再現してみた スゴいでしょ?』
『はあ』


ドリアード「(そんな"ボツ兵器"の噂をどこで聞いたのって話よね)」

半狼「あの人が気紛れで頭イカれた道楽に付き合ってやってるってだけ」

半狼「軍事兵器の横滑り技術で作ったお人形 はっ そんなもんでスポーツ気取りた平和の象徴なことで」ゴト パカ

ロボット「(……ギターの入れ物?)」

半狼「ネジは六個もあればいーよな」ザラ

半狼「オラ 餌だ鳥」バラッ

ロボット「っ 投げるなよ!」

ドリアード「(意地の悪い 風で拐えばいいだけ)」cast WIND

半鳥「子供だね」flying

半鳥「(……鳥の餌って言う割りに随分高く投げ――)」バサッ

半狼「  」チャ

半鳥「! ドリアードちゃんッ」ジャキ



ッザギン
ガガガガガゥゥンンン


キンッ コロ

半狼「何してんだ ブス」slash bolt
半鳥「こっちの台詞なんだけど」quintuple quick draw

ロボット「(……撃つのが急に速すぎる おれのコンセントレートを真似したの?)」

半鳥「鏡見な? 顔の毛ヤバいよ」ズキ

半狼「ガリガリなのは飼料ばっか食ってっからなんだろトリ肌女?」

ドリアード「ハンター君パス」ブワァッ

ロボット「うわっとと」catch ×5

半鳥「傀儡の武器も剣だった」

半狼「剣じゃなくてカタナ 何にも知らねぇなカウガール」スラ

半鳥「犬の刃物なんかなんでもいい」
半鳥「なんでこんなことするの? 全部玩具屋のおじさんが手作りしてるんだよ」

半狼「の割りに平気で撃ち飛ばしてんな」

半鳥「全部ネジの頭掠らせただけ これくらいじゃビクともしない」

赤い傀儡「(坊っちゃんと重ねて使ったんで他人の魔力の通し方を擬似的に体験したわけだァ~~)」

赤い傀儡「(そりゃあ人間も魔力生物だから魔力の代謝? にアホな真似ができればおんなじ理屈かもしんないけど)」

赤い傀儡「(基本は五感も何も動き全部を魔力で賄う傀儡だから出来る荒業なんだよ~~ ハーフィちゃんにも後で注意しとくかなァ~~~)」

半狼「(曲芸かよ サーカス行け)」
半狼「でも残念 一個撃ちきれなくて半分になっちゃったねー」kick

半鳥「うん それは後でおじさんに謝らなきゃ」残弾1

半鳥「でも犯人つきで話せば許してくれると思うから」チャキ

半狼「は 一発きりでどうやって」ス…

ザッ

半狼「?」


刑事「多分 七発きりでこうやってだな」aim

半狼「!」

半鳥「刑事さん? ラッキー」


刑事「傀儡のじゃねぇ銃声したから来てみりゃハーフィかよ どういう状況だ」

刑事「と思ったがそっちのウルフガールを見りゃ一目瞭然だわなァ いくら毛深い犬顔ったって」
刑事「この帝都で仕込みギターなんざそうはお目にかかれん なあライカちゃん」

半鳥「有名人だねライカちゃん」

半狼「気安く呼ぶんじゃねェ殺すぞガキ ……よりによって組犯の賞金稼ぎ様かよ」

半狼「消えてな 今日は何もしてねえだろ」

刑事「抜き身の刀向けてるのを何もしてないとは言わないんじゃないのか」

半狼「正当防衛 ピストルで撃たれたから」
半鳥「正当防衛 カタナで斬られましたから」

刑事「(本当に召喚魔法じゃなくて銃頼んだなこの子 そっちのが速ぇから分かっけど)」

刑事「まあバックの差で鳥のお嬢ちゃんだな」

半鳥「イェー」

半狼「はあ? ふざけんなよ!」

刑事「現在進行形の脅しだ お前魔導鎧の対人機銃叩き落とすだろ 刀で」

半鳥「えっ」

刑事「本当に危ねえとこだったぜハーフィ 後で取り調べるから署来てもらうがここは任せろ」

半鳥「……き 機銃効かないの?」タジ

半狼「その機銃が効かねえアタシの剣も魔法も通用しねえのが隣の救急デカだよ」チン パタ

刑事「はいはいちょっと こういう手合いに言ってスムーズに済む事例が悲しいかな少な過ぎるんだが――――」
刑事「義務だから一応勧告するしかない 動くな手を上げろ」チャキ

半狼「黙秘権までやってていいよ」carry guitarcase

半狼「言えればだけどな」cast VOICE AMPLIFY

刑事「ハーフィ 耳を塞げッ」up coller

半鳥「耳っ――――?」


半狼「ッッッッッ××××××――――――――――ッッッッッ」RrrrrooooOoOOooOooooAaaaAaaaaAaAAAaAaAaarrrrrrR



ロボット「うわァうるッさ!」ビリビリビリ
赤い傀儡「あァ^~ぶっ壊れた関節に響くゥ~~~ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛」ビリビリビリ

ドリアード「(耳回りの実体化解除っ!)」deafed

刑事「(自腹切ってコートの襟に防音付呪加工した甲斐よ まだ大丈夫だがこの咆哮も出会す度強力になりやがる)」soundproof

刑事「(ドリアードはどうせ死なん ハーフィとあっちのオークは)」チラ

ブヅンン

半鳥「    」バタッ

豚鬼整備士「    」ドズン

 元より強靭な人狼の声帯を魔法で強化
 撃ち出された咆哮が大音量と衝撃波を以て一行を打擲

 そも影響を受けない傀儡二台 体から聴覚器官を無くした木精 対策万全の公務員はこれを凌ぐも約二名が即死
 そう即死した 耳朶から出血し完全に瞳孔が開ききったザマはショック死体のお手本と言える様相だった

 ライカンスロープの相貌に愉悦が浮かび それを認めた木精の魔力が猛る
 手近な地面から壁から棘の生えた蔦が迸り 突如吹き荒れる暴風が切れ味抜群の木の葉を孕んで半狼に殺到

 半狼は何かしら対処の当てがあったかさらなる魔法を撃たんと魔力を練りかけた
 しかし足を狙った刑事の射撃 跳躍で回避し頭数から形勢を不利と踏む
 そのまま亜人的脚力に任せ建物の壁を蹴り繋いで瞬く間に離脱した



 顛末の報告を受けたボスはさもおかしそうに大笑いして 俯く半狼の頭をくしゃくしゃと撫でた
 気分転換になっただろうと

 出された命令は次の仕事があるまで待機 遵守している
 していた


――――――
――――
――


半狼「(手加減の声だしあの二匹はどうせ死んじゃいねえ あの場で新しい鼓膜張って蘇生措置すればすぐだ 今までも――)」
半狼「(真っ二つにしてやった途端あの刑事に即治されたことあるし あいつの前で新鮮な死体は死体じゃない)」

半狼「(あいつマジでなんで刑事やってんだ)」

半狼「(いいや あのフェザースキンはそのうチキちンと手羽先にしてやる 今は)」

半狼「……着いた」

 表通りから少し奥へ入った所 店や人通りが疎らになり始める辺り
 遠巻きに睨め付ける先には趣ある佇まいのステーキハウスが一件
 ドラゴンの肉が売りの繁盛店に半狼は行ったことがある
 肉は美味かったし接客は上々 調度や内装の雰囲気も落ち着いていて悪くはなかった

 合いさえすればここで副業の歌とギターをやるのも吝かでない 腕に自信はある
 気に入っていただけに今回こういう用向きで来たのは残念だった

 "閉店"の札がかかるドアを両側から塞ぐように立つ男達に近寄る
 毅然とした態度と口調で今日はやってない旨を半狼に伝えるドアマン然とした連中はここの店員ではない
 ドアマンはいないし ここの店員は半狼にこんな一般人にするような対応をしない この状況では尚更

 互いにフォーマルな装いの胸元には所属を表すバッジとブローチがあった

男1「第二学園の生徒さんですか?」

半狼「……警備会社ね」

男1「え?」
男2「ええそうですよ」

 二学の制服からブローチを外す
 石に宿す二年生の青色が変形しかかった掌に隠れる

警護員2「(この子 手大きいな)」


半狼「要人警護とかもやってるだろ 知ってる バリア魔法のプロ一家が親族経営してんだよな」cast VOICE AMPLIFY

半狼「あー ア あー んんッ アタシの学校もお願いしようかって話出てるってさ 乾く暇無いねー。――――――――――」ECHO SCAN

警護員1「よくご存じで そうでしたか、それはどうも……」

 手持ち無沙汰な女生徒を気取って話しつつ窓から店の中を覗く
 警護員からは名残惜しげな食いしん坊の少女にしか見えなかろう 半開きの口など気にも止めない

 極微かな魔力を乗せた可聴域外の声を警護員二名にぶつける
 跳ね返ってきた音を聞き分けて脅威判定が完了 イルカか

半狼「(腰に警棒 銃は脇でセーフティかけっぱ)」
半狼「(内臓まで届いてねえのはこれチョッキか 防弾防刃に弱めの対魔付呪)」
半狼「(ホールは誰もいない 通行人無し……)」

半狼「自前の兵隊置いてねえなら大したこと知ってる奴でもないんだろうけど」

半狼「顔見られてるしな」

警護員2「えっ?」

 剥き出した牙が震える



【昼前 帝都総合病院】
【特別入院棟八階 入院費お高めの個室前】


短髪の女子「……」つ新聞

 帝都国営大病院 金かコネのある患者専用高層階の廊下を新聞読みながら早歩きする少女がいた
 紙面から視線を逸らさず器用にナースとすれ違う 行をなぞる眼差しは朝からずっと険しい
 そして似ていた

短髪「(……なんてことですか)」

短髪「(このレストランの担当者を切らなければ 懲戒免職にします!)」

短髪「(真っ当な評判があるとはいえ犯罪組織の運営店だったなんて! 知らなかったでは済まされません)」

短髪「(一族の人間こそいなかったものの大事な社員を二人も殺されたのです 三人目にしてもいいくらいッ……)」

短髪「(……また叔母さんや叔父さんが荒ぶるんでしょうね 一線を退いてるのに口だけほんと……はぁ あーぁ)」

短髪「(あー! ハゲそ)」げんなり

 少女はお嬢様学校として名高い女学院に通っている
 傍ら、現場を知るためにアルバイトとして警備業務に従事していた

 結界魔法の一族
 学究の徒 万象の改竄者 最優の兵器 何にせよ己を最も価値のある個人単位と定義し 一部は貴族然とした様相まで呈しふんぞり返る魔法使い共
 それと同列に扱われることを嫌った者達 の末裔


 魔法は力無き人々のためという初代当主の理念、卓越した結界の魔法は一応受け継がれている
 時代に合わせ警備会社という形を取り シェアをほぼ独占しているのがその証左

 ただ肝心の魔法は血で継ぐのが手っ取り早いこともあり
 数世代を親等図と睨めっこしながら過ごしてきた結果として門閥化は避けられなかった
 血はすっかり青ざめた

 その宗家として次期当主と目されているのが彼女
 かかる期待に応えんとする意志は堅い

 直接そんな権限があるわけではまだないが当然ただのアルバイト待遇であるはずもなく
 彼女は当然進言する気だが そうでなくとも恐らく満場一致となる決定で担当者が路頭に迷うことは確実だろう


 この通り心身とも健康そのものなので病院には他人の見舞いに来た
 社員のではない 怪我人はいない では誰か

短髪「(……)」ツカツカ

コン コン

「……………………入ってま~す」

短髪「あっ はい……」

 取っ手を掴む手を引っ込めかけた

短髪「……って トイレじゃないんですから!」ガチャ ガララ

「ちっ なんで鍵ついてないかなぁ病院のドアは……」

 広い病室にベッドが一つ
 頭に包帯を巻き片腕を吊った怪我人が古い型のラジオと格闘していた 髪がパイナップルに見える
 周波数が合わないのかアンテナが悪いのか ツマミを捻りながら人間アンテナを試している
 そんだけやって聞こえないならそもそも壊れているのでは

縮毛「来て早々で悪いんだけどナース呼んできてナース これダメだぁ全然聴こえねー」

縮毛「呼んでくれたら帰っていいからさ うん」

短髪「そうはいきません 兄さん!」

縮毛「んだよー……」



短髪「乱闘騒ぎ! また世間様にご迷惑をかけて! どうしてやめられないんですか!」

短髪「お友達と仲良くすることが悪いんじゃないです ちょっとガラの良くない人達でも個性ですからとやかく言いません」

縮毛「そーかそーかありがとうセンキュー最高妹ちゃん愛してるバイバイまたねさよならーーーーーーー」
短髪「言いません が!!」
縮毛「がァ……?」

短髪「器物損壊 窃盗 停学謹慎 未成年飲酒 ふしだらなあれやこれや」

短髪「その上今回は怪我まで! どうしてもっと自分を大事にしてくれないんですか!」

縮毛「ケガしてんのもあれだけどケガさせんのはいいのね? 暴行が抜けてる」

短髪「自治組織気取りの半端者はどうでもいいです、そこの生徒さんも 兄さんは強くなくてはいけませんから」

縮毛「出たよ……」sigh

短髪「これ以上兄さんが自分で自分を貶めることは許しません」

縮毛「戻れなくなるから?」

短髪「戻します」

短髪「黙らすのが面倒になるからです 品行方正を保っている宗家扱いの私にですら――」
短髪「傍流の人達はネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ……~っと」息継ぎ

縮毛「(自分で言ったよ)」

短髪「隙あらば 嫌み 小言 陰口をつけてくるんですよ?」

短髪「血と頭は十分 結界魔法の実力が物を言う家ですから あとは処世術さえ――」

縮毛「処世術??」

縮毛「あの家で生きるための????」

短髪「はい 兄さん」

縮毛「はいじゃないよはいじゃ」

縮毛「はいじゃない」

縮毛「はいじゃねェよ なあ妹ちゃん」

短髪「……」

縮毛「……」

縮毛「…………このさ」

短髪「はい」

縮毛「このケガだけど」

短髪「兄さん話は終わっていません!」

縮毛「ケ・ガ・は・だけど」


縮毛「派手に巻き巻きしてっけど頭は大したことないって」

縮毛「手もこれ ヒビ入っただけだから 安静にしなって丁寧に言ってたよ お医者のセンセイがさ」

短髪「……良かった」

縮毛「ありがとな」

短髪「いいえこれぐらい」

縮毛「けど返事は変わらねぇっつったらやっぱ叩き出されんのかな?」

短髪「そんなことしません!」

縮毛「知ってる」ニヘラ

短髪「……」sigh

縮毛「ねえ いいんだよ気にしなくて」

縮毛「関わらないで欲しーな いい顔する奴なんてもう残ってねえだろうし 牛のデミのお手伝いさんとかさァ まだいんの?」

短髪「いますよ! 私が使わせて貰っている部屋の掃除とかもずっとそのままお願いしてます」

短髪「現場の方々だってみんな分かってるんです だからこれは私の勝手ってだけじゃないの!」

短髪「継ぐべきなのは――――」

縮毛「結界魔法守護衛術に長けた人間 でしょ?」

短髪「だからそれは」

縮毛「君だ 次期当主様」

縮毛「やめてほんと 暗殺部隊とか送り込んで来てもマジで不思議じゃねぇんだからさ お義母さんは」


縮毛「俺をここに担ぎ込んだのだって全部妹ちゃんの給金なん? 違うっしょ」

縮毛「お小遣いの使い道間違えないで 無駄遣いしちゃダメだよ」

短髪「兄さん!!」

縮毛「親父は元気にしてる?」

短髪「……え……ええ お父様なら壮健ですが」

縮毛「こうしよう あのロクデナシを苦しませて死なせるんだ なんか毒とかがいいな」

短髪「何をっ……」

縮毛「毎日の食事にちょっとずつ盛ったりしてさ へへへ」ヘラヘラ

縮毛「そんで死ぬ間際に遺言で俺を――」

短髪「……っ!!」slap

バチン

縮毛「――――――……」ヒリ

短髪「……笑いながら人殺しの話なんてしないでください!!」

縮毛「ケガ人だっつーのに」いッた
縮毛「確実じゃん」

短髪「兄さんはそんなこと言う人じゃないでしょう!!」

短髪「どうしてそんな風に意地悪言うんですか!? 兄さんは優しい人なのに!!」 

短髪「ずっと尊敬してるんです!! こんっ こんなに兄さんのためを思ってるのに!!!」

縮毛「思ってる で 考えてる じゃないのがポイントだよね」

短髪「……!?」


縮毛「いいからさ 帰って? 俺が家に戻ることはないよ ……あるとすれば」

縮毛「お袋と一緒に敷地を跨げるってんなら喜んで戻るよ」

短髪「っ……」

縮毛「バイバイ またね」

縮毛「ほら帰って」

短髪「……兄さん お義母さんは……」

縮毛「かーえー れッ」throw radio

短髪「っ!」cast BARRIER

 投げ付けられたラジオは即事展開された障壁に阻まれた
 衝突はしかし無音

 ラジオは跳ね返されることなく宙に浮いていた
 結界の魔法は衝突点周辺の硬度を柔らかく調整され、障壁はめり込ませるようにして投擲物を確保 威力を殺しきった
 魔法を解除 目を潤ませた妹がラジオを手に取って足元に置く

縮毛「もう完璧じゃん ね?」

短髪「でも これは」

縮毛「言っちゃダメよ あいつらに見せんのも禁止 もう忘れたって言いな」ゴロン

縮毛「寝るから じゃあね」

短髪「……」



ガララ バタム


短髪「…………」トボトボ

短髪「(……私は独り善がりなんですか?)」

短髪「(確かに一族は酷いことをしました 許せないのは私も同じです 嫌うのだって無理ない)」

短髪「(けど でも だからってあんな風にみっともなく荒れたままでいられたら嫌じゃないですか!)」

短髪「(兄さん 私一生懸命お手伝いしますから だから負けないで……)」

キコ キコ

病少年「……? わっ」キィッ

短髪「へ? あっ!」サッ


 車椅子の少年とぶつかりそうになる


 短髪の少女とぶつかりそうになった


病少年「車椅子でドリフトの練習しといて良かった」

短髪「(どりふと?)」って何
短髪「ごめんなさい! 怪我はないですか?」

病少年「ぼーっとして歩いたら危ないよお姉ちゃん ここ病院なんだから」

病少年「何泣いてるの?」

短髪「!」はっ

短髪「な なんでもないの 気にしないd――――」
病少年「いや泣きたいのはこっちだよね」

短髪「……えっ」

病少年「誰か死んだ? それとも誰かに死ぬって言われた?」

病少年「めそめそ泣きながら人前に出てるのは慰めてほしいからなの 気持ち悪い」

病少年「みっともないからやめたほうがいいよ」

短髪「………………な」
短髪「何ですか突然 あなたには関係ないでしょ!?」ぐしぐし

病少年「気にしないでって言おうとした? ボクの台詞だってば 言う気無くしたけど」

病少年「気にしろよな 下半身不随なんだよ、転んだら起き上がるの大変なの」

病少年「ぶつかって受け身取れなかったらどうするの? 頭打ったりしたら責任取ってくれるんですか? ねえ?」

短髪「せ 責任って」タジ

「あ! 車椅子クンみっけ!」

病少年「!」



 車椅子がもう一台現れた
 背の小さな金髪の少女と 少女が張り切って押す車椅子に座る女性
 親子である

 少年は病院内で何度かこの二人と会っていた
 母親の方は優秀な魔導技術者らしく 悪くした体を治療しながら仕事をしていると聞いた

技術者の娘「またイチャモンつけしてるな~ 少年!」カラカラ

魔導技術者「あら……こんにちは そっちの女の子はお友達かしら?」

短髪「いえ! あの 今この子とぶつかりそうになってしまっただけで」

短髪「私はもう行かないと あの、君――――」

病少年「うゎ あの子だ」turn

短髪「えっ?」

病少年「いいやもう じゃあねっ」キコキコキコキコ

技術者の娘「待て待てー!」カラカラ!

魔導技術者「そんなに急いだら危ないわ ふふ 病室は向こうでしょ?」ぐらぐら

技術者の娘「はーいママ ストップ!」ピタ

魔導技術者「っと……もう いきなり止まったら落ちちゃうわ」がく

魔導技術者「騒がしくしてごめんなさいね……」

短髪「正直言って助かりました……」

技術者の娘「あの子イジワルなの! いっつもいらいらしてて 看護婦さんも困ってるんだよ!」

技術者の娘「ダメだよって教えてあげても聞かないの ……私の方がお姉さんなのに!」

魔導技術者「……」

 母親が困ったように笑う
 さっきの偏屈な少年のことを言っているのだろうが背格好や口調からはそう見えない

 そういう年頃なのだろうと受け取って宗家妹も曖昧に笑い返し 軽く会釈して去る


 去り際 明らかに病院関係者ではない技術者風の人間達とすれ違う
 和やかな母子のやり取りに水を差す慇懃な口調 つい振り向いて見た

「ミス・テスタロッサ こちらにおられましたか」
「姿が見えなかったのでお迎えに上がりました 体調の方は……」

「おかげさまで 少し用ができたから遅れていただけ」
「技術の提供、だったわね」

「条件です」

「? ママ、この人達誰?」

「気にしなくていいのよアリシア 私の新しいお仕事の話なの」
「さあ 行きましょうか」


「ママ早く帰ってきてね! 病院の周りお散歩しよ!」

「ええ 頑張るわ」

「リニスも早く帰ってこないかなぁ、ほんとにジユウ気ままなんだもん」
「一緒にいなさいってリニスとお話しできれば簡単なのにね!」

「…………そうね ええ」


短髪「(……)」

 ぼんやりと 偏屈少年にまた難癖をつけられそうな感じで背中を見送った



病少年「(なんなんだよあのちびっ子)」

病少年「(親の方はカゲがあって綺麗な感じなのに 髪も性格も全然似てないじゃん)」 

病少年「(ここでもガキかよ しかもあの子はガキ過ぎだし)」ガション

 昇降機に乗り込む レバーを操作して適当に上へ向かう
 目一杯で上げたからこのままなら屋上へ着く

病少年「はーぁ…………、ぅ」グ
病少年「けふっ……けほっ」

病少年「げほ げほッ」

病少年「ごホっ ゲホ ゴホ ァ゛ふッ ウぐぅっ……ガふッ!」

 咳が激しくなっていく
 疼痛に体ごと丸め 胸を押さえた

 車椅子でスピードを出させたのが良くなかったか
 絶対安静とは言われていなかったが しかし迂闊だったかも知れないと少年は歯噛みした

 そんなに裕福とは言えない家庭の彼がこの特別棟に入院できているのには訳がある

病少年「(なんだよッ……全部上手くいってたのにっ!)」cough cough

病少年「(勉強も運動も魔法もボクが一番 人気も信用も女子も全部総ナメにして飛び級までして)」cough

病少年「(中等部も頭を見せてやって特例作らせて一瞬で終わらせたのに なのにィ……)」ゼェ ゼェ

病少年「……なんだよ虚数化症候群って! 馬鹿みたいな病名しやがって!」

病少年「なにが突発性だy う゛ッぐ」ズ ギ
病少年「っ ぐうゥっウぁぁ がハ ゴホ」ズギン ズギン ズギン

 順風満帆の出だしを挫いたのは 帝国民で極々稀に見られる奇病中の奇病であった

 まったく何の兆候もなくある日突然体の一部分が消失する 魔導的見地から虚数化と呼ぶ次元系の現象を起こす魔法疾病
 少年の場合は臓器を幾つか、余波に巻き込まれる形で脊髄の一部を椎骨ごと削り取られこうなった


 今やリソースのおよそ三分の一を周辺の弱国及び他次元への侵攻・征服で賄う侵略国家たる"帝国"
 病というよりは現象
 国家ぐるみで次元的干渉・操作・歪曲を行っていることによる弊害ではないか という説も出ているが騒ぎ立てる声はない
 どこぞの召喚術師の下半身事情とは訳が違う 国家反逆罪がいつでもウェルカムなのは周知の常識とするところ

 かくして大っぴらにならんことから認知度が低く 症候群の研究は進んでいない
 少年の提供したほんの数ヵ月が医学の発展に貢献したかどうかはなんとも言えないが 特殊症例患者を失った医師は悲しむだろう

病少年「   」ガタン

 声が出なくなる
 床に転がった体がいやに弾んだ 体腔が広がっていくのが分かる
 見えない蛇が体を喰って掘り広げているような激痛に意識が明滅した

 失神しなかったのは 果たして幸運だったのか

「死にたくない?」

 昇降機のものなのか 魂が引っ張り上げられているからなのか
 えも言われぬ浮遊感に苛まれ嘔吐するも食道を蠕動させる筋肉が動かない というか無い これも消えた
 頭上から降った声に少年は気が付かない

 苦悶で捩った体が横向けになり、そこへぐいと顔が近付けられる

狂人「死に たく ない?」

 霞む視界に映り込むニヤけ面
 見世物を楽しむかの如き耳障りな声

 愉快そうな声音に乗せてどちらにも取れる言い回しを死んでみないかねと誘う死神の声と受け取った少年は戦慄する

 実際シチュエーションは完璧な死神だが
 生きたくないかと切り出した


狂人「エレベーター。ああ昇降機ったっけ? 屋上着くまでに決めて 死ぬから」

狂人「俺さ それ全部治して君を生かす当てがあるんだよね」

狂人「俺と取引しよう 一緒に遊んでくれれば助けてあげるよ」

病少年「……!?」

狂人「な」

病少年「……っっ……」

 扉の上 針で示される階数がジリジリと端へ振れていく
 ジリジリと

狂人「あと 四階」グイ

病少年「っ っ! ッっ!」パクパク

 髪を掴まれ見上げさせられる 恐怖と痛みに具体的な焦燥が加わった
 そんな風に演出を凝らずとも少年の答えは決まっていたのだが返答が声にならない

 掴まれた髪房を引き千切らんばかりの勢いで頷いて漸くそれは成った

狂人「決まりだ! あはハはは」

 笑い声が引いていく
 髪が放され昇降機の床に再び転がる少年
 死神はいなくなっていた 存在の残滓か、光の粒子が漂って消える

病少年「(なんだよ……っ)」cOUgh couGh

病少年「(……なんだよぉっ……バカにしてぇえっ……!!)」vomit blood

 今際の幻覚と断じざるを得ない
 激痛がやむ気配はない それどころか増えている
 右手の甲だ

 燃えるように熱い――――



【同時刻 中流層住宅街】
【召喚術師宅 二階 書斎】

【の 破壊された隠し棚の中】


ゴソ……ゴト
モソ

「…………っ!!」バッ

バガァアッ

棚の扉「」ドガシャァン

「ぅ、ぐっ……いった~……ふぁ」

「ふぁ ふぅぇ あ ぁあ~~ッ、」

 薬液 埃 古い紙の匂いに鼻孔を撫ぜられ

半鳥「ぁ~~ぁぅぶぇェっくしぇい!!」vulgar

 盛大にぶっ放されたクシャミは少女の声
 声以外はオヤジ入ってる

半鳥「くっそ 自分ちなんだから掃除しといてよ教授汚いよ……じゃなくて」ガバッ

半鳥「どうなったの? 教授はっ……!」タッ

 魔導グッズの満載されていた小物の隠し棚にハーフィは気絶させられて押し込められていた

 棚の扉を蹴り飛ばしたのは落ちる寸前の記憶と不意な圧迫からの反射的な行動だった
 壁一面に設えられた本棚にぶつかった扉は砕け散って原型を留めていない 人が喰らえば骨の何本かが召される威力
 火事場がさせる底力は単なる寝起きのそれではない

 間取りを思い出しながら階下へ
 家の中は至るところに真新しく荒らされた跡が残る 戦闘の痕跡である

 窓から差し込む光で日を跨いだことを悟ったハーフィ
 玄関ホールからリビングに飛び込み そして立ち止まった

半鳥「これって……」



 話は昨日へと遡る

 乗客にしんねりと睨まれ大人しくしていたハーフィはバスを降り
 召喚術師の家へ辿り着いた



 戸建てが並ぶ静かな住宅地に師の家はあった

 時折 散歩する老夫婦やボールで遊ぶ子供らなどと行き違いながら 区画を隔てるだけでこれだけ様変わりするものなのかと舌を巻く
 住み居心地は良さそうだが
 今 居心地良いかといえばそうではなかった


ヒソ ヒソ

「ねえ見て……見て あれ」
「亜人? ピストル持ってるぞ 若い賞金稼ぎかな」
「ええっ 犯罪者が逃げ込んできてるとか?」
「嫌ですよお父さん 戸締まりしっかりしなきゃ……」
「この辺は警察官もよく回ってくれている 心配しなくても大丈夫だよ」


半鳥「……すごい警戒されてるなぁ」

半鳥「でもこんだけ平和なとこだし 堂々とさげてる亜人ってだけであれなのかなやっぱ」

 視線を感じつつ目的地へ到着 他の家とさして変わらない一軒家
 家主がそれなりに稼いでいることがパッと見で分かる 広いは広いが辛うじて一人住みで手を入れられないこともなさそうな二階建て
 想像とは違ったが それでも田舎の鳥娘からすれば十分にデカい家だった

半鳥「おおう庭あるし木ぃ植わってる ……ここの辺みんなそんな感じだけど」すげえ

 ノックする 出ない
 もう一度ノックする 反応無し
 蹴ってみるか考え始めた辺りで横の呼び鈴に気付いた

 鳴らす
 出ない

半鳥「………………」

 鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす鳴らす
 出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない

半鳥「…………教授ーっ! 教授 いないのーっ?」ドンドンドンドン

半鳥「むゥーかァーえェーにィー来ィーまァーしィーたァー! 面倒見てくれないとグレるぞ師匠!!」

半鳥「週刊紙に"サモナーをよく知る人物・H氏"のインタビュー載っけたくなかったら連絡ちょうだい!」

半鳥「……」

 出ない
 小金を稼ぐ方向で決まりかと背を向けた時だった

 勘
 居る
 ドアに鍵はかかっていない?

ガチャ

半鳥「……流石私 教授ー?」そろり
半鳥「!」

 玄関ホールに足を踏み入れた途端 異様な気配が噴出した
 魔力の残滓だけではない 様々なものが混ざったような濃厚な――――なんと形容したものかと思い直すが
 ハーフィにはどうでも良い とにかく未熟者にも感じ取れる残り香があった

 漏れずにいたのは扉がそれを封じ込めていたのだろう その辺りの細工は面目躍如といったところか

 いつの間にか抜いていた拳銃の撃鉄を起こし
 リビングへのドアを押す


 一角に客間を備え 暖炉を中心として 品に過不足ない家具調度は色合いを暖色で纏めている
 人を呼ぶにも一人で過ごすにも合わせられそうな印象を受けた 適度に広く落ち着いたリビングだったのだろう

 今は違う
 空間を演出していた家具は その悉くが 捲られたカーペットごと壁際に追いやられていた

 剥き出しになった床は中央にだけ大理石が嵌め込まれている
 磨き込まれた光沢を湛える冷たい白亜の上に はたして家主は立っていた


術師「――――――……」


 背を向けて棒立ちする師に あれだけ騒いだハーフィはすぐに話しかけることができなかった
 硬直した手は拳銃を収めたがらない 撃つ気はない
 撃つ気はないが引き金に指がかかる
 沈黙はすぐに破られた

半鳥「……教授?」

術師「……」

半鳥「きょ 教授……えー、と」

半鳥「ご ご機嫌うるわしゅう?」
半鳥「(私は何を言っているんだ……)」

術師「……ハーフィか」

半鳥「教授 あはは 聞こえてないのかと思った」

術師「聞こえてはいたさ 初めから」

 二の句まで間があった

術師「このアホが」

半鳥「あー えへへ」ビクッ

術師「随分と騒いでくれやがったな 何がインタビューだ んなことしてみろ」

術師「速攻で握り潰して村に叩き返してやる 土産つきでな 図に乗るなよ」

半鳥「冗談だってば……」

 そう返しはしたものの 師の口振りからはどうにもいつもの余裕が感じられない
 本気で気分を害したのかと不安になり歯切れが悪くなるハーフィ

 ここでやっとサモナーが体を向けてくる
 背格好と声だけ似た別人だったらどうしようなどと一瞬考えたがその線は外れた
 胸を撫で下ろしかける

術師「何をしてる?」ジロ

半鳥「え? あっ」つ拳銃

半鳥「や ほら なんかタダゴトじゃない感じがしてましたので……つい」スチャ

術師「……」ピク

 サモナーが身動ぎした
 魔力が渦を巻く

術師「……待て……待て 待ておい」ブツ

術師「どうしてそうなる? 物の数じゃないことくらい分かるだろうが ……クソ」

術師「ちっ 神経質なアザだな」


半鳥「どうしたの 教授……」

術師「ハーフィ」ビキ

 また間が空いた
 魔力の気配の嵩が増す 今度はハーフィも感知できた
 励起されたそれは魔法発動の前兆

 師が歯を食い縛ったまま続ける

術師「頼みがある」ス…

半鳥「……頼み」

術師「今 帝都で――――」ガシ

 サモナーは奇妙な動きをしていた
 魔法陣を描こうと動きかけた腕を もう片方の手で思いきり掴んで押さえている

術師「…………帝都で……」ギリ

半鳥「ねえ それ 手……何してるの?」

術師「大規模な儀式魔法の準備が 帝都で進められている ……いや儀式"魔術"か」ギギギギギギ

術師「この儀式魔術を妨害し 術者を無力化するんだ……」dRaw cccccCcCii

半鳥「儀式っ……む、無力化って ちゃんと説明してよ!」

術師「聞け」summon CHAIN

ジャララララララララララ ギシィッ

半鳥「(自分の腕にっ――)」

術師「時間と余裕がない 今私は半身でお前を殺そうとしている」グギギギギギギギ

半鳥「はァ? なんでっ!? 意味分からないよ全然!」

術師「いいから聞け! ただでさえズタズタなのに――――」
術師「抵抗しながら話してるだけで 気をやりそうなんだこっちはッっ……ッ」ギリギリギリギリ

半鳥「ええ……?」

術師「……Jには既に非常事態を伝えてある 昔 ヒットマンが格好良いと思ってた頃作ったヤツで」draw circle

術師「手伝いをつけよう……事情の説明は……ついでに陣へ書き込んどくから心配するな」ス ス

術師「グ 勝手に書き換えようとするんじゃないッ……言うことを聞け クソ」circle ready

 喚び出しの基部となっている魔法陣の方を動かし 腕を戒める鎖を操り糸にしてなんとか召喚陣を描き上げる
 宙空に幾何学の光芒が現れ そのまま発動させようとしない

 陣を一つ組んだ時点で異変は激化
 蒼白となった顔に幾条もの血管が浮き走り 嫌な汗が吹き出す
 明らかに尋常ではなかった

術師「使え」drAw ciRcLE

半鳥「その召喚陣? だ 大丈夫なの……?」

術師「問題ない まだ」

半鳥「っ……」バチッ

バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

術師「では行けハーフィ」

半鳥「行くってまだ召喚中……ていうか魔力スゴい持ってかれるんだけど何これ!」
半鳥「すぐは喚べないよ 行くってどこに!」

術師「当然敵のいないところへだ 逃げるとも言う」summon

術師「殺すつもりでやるだろうからそのつもりで」equip PROTOTYPE IMPERIAL-DEVICE

半鳥「逃げるって 教授から!?」バッ

術師「死なんでくれよ」SPEAR FORM


 インペリアル・デバイス その試製機群の内 何名か個々人毎に独自調整を施して配られた一つがこれ
 一見してただの金属製の棒
 しかしサモナーが手に取った瞬間に各部が展開・変形・延長 物質化した魔力の穂先を有す槍が現れる

 鎖を解き構える 彼我の間は数m 槍型デバイスは微妙に届かない
 そのまま距離を詰めに来ると踏んだハーフィは反応が遅れかけた
 突きが虚空へ向けその場で放たれる 届かない
 違う 師は何の練達だった?

術師「(ふむ 私は運動音痴に見られていたのか)」JUMP THRUST

半鳥「ッ!!」チッッッ

 動作に合わせ魔法発動 出現した陣に穂先が突き込まれる 出口はハーフィのこめかみ近くに開いた空間陣
 跳躍した突きをつんのめって回避 殺意を孕む風圧が襟足を撫ぜた

 掠った数本の毛髪を残像にハーフィはバック転で後退 する勢いで腹を下にしたドロップキックを扉に見舞って開く
 落着点の床から追撃の槍が飛び出し 速贄にされるところを羽ばたいて避け なんとかリビングからまろび出た
 はらと舞った髪が床に落ちる

半鳥「玄関っ!」ダッ

 のドアを掴みにかかる 見越していた召喚陣がホールで多重展開
 幾本も射出される枷付きの鎖が口を開いた鉄の蛇の如く襲い掛かった 一波目は避け切る
 二階へ行ける階段が目に入って踏み出した足を 第二陣の鎖に捕まった


ガキィッ

半鳥「うぇあッ!?」shackled

ジャララララララララララ
ビィィンッ

半鳥「ひ 引き倒された ら 終 わる……!」tTttuuuuuUuuggGg

跳躍槍「  」thrust

半鳥「ぅわ!!」バッ

半鳥「(……首とか心臓とかしか狙ってこない分少ない動きでいいから 縛られても躱せてる)」draw GUN
半鳥「(教授はどー見てもノリ気じゃなかった 狙いがストレートなのはわざとなのかなコレ)」チャキ

ガゥンガゥンガゥンガゥン バギィン

半鳥「よし!」ダッ

術師「(魔法使えよ)」SummonSummonSummon

術師「(僅かな生体魔力を嗅ぎ付けて目視同然に振る舞う"こいつ"も大概だが そうでなくとも騒ぎ過ぎだぞ)」CHAIN more

ジャララララララララララララララララララララララララララララララララララ

半鳥「!! さっきより鎖が増えッ――――」ギヂィィッ

術師「(捕らえた…… 槍がいく)」ヒュヒュン
術師「(速贄になるかハーフィ? これでも抑えてるんだ 気張れ)」JUMP SLASH

半鳥「(――――循環魔力 流量解放)」

半鳥「(オーバークロック・コンセントレーション ver.H!)」cast ARTIFICIAL TACHYPSYCHIA

 それは第二の血液たる
 体内の魔力に向け発動する

 魔法 というよりは呼吸法や歩法といった特殊技術に近い
 コツを掴めば誰でもできる、普通は誰にもコツが掴めない技
 彼女は"直接"教わったことで会得した



 迫る枷の速度がどんどん遅くなり 鎖の鳴る音が鈍く間延びする
 時が煮詰まってゆく

 思考の処理速度を跳ね上げ 体感時間を遅くする

 要は 危機に陥った人間が危機回避のために起こす"インパルスの火事場力"
 これを人為的にやる 対戦傀儡が流し込む魔力を増量すれば動きが良くなるという理屈を人間で試みる荒業

 普通に使えばただ全てがスローモーションになるだけ
 しかしハーフィには精神の加速に着いていけるだけの身体能力があった


半鳥「(……二歩踏み込んで捻り跳び!)」evade accelerated


 階段へ走る翼の亜人を魔法陣が四方八方から囲い 大銀行金庫室に設置されるような光線遮断警報器よろしく槍型デバイスが突き荒れる
 一本だけの槍型デバイスでどうやってるのかは不明

 魔法陣から穂先が覗く出がかりの一瞬で角度を見極め 跳ぶ
 体のバネと両腕の翼で姿勢制御 滞空中に重心をズラし飛距離を伸ばす
 一突きも掠らせず階段へ到達した

半鳥「(……ちょっと神経がビリビリするかな 魔力の回しを速くするだけで――――)」バッ
半鳥「(使う訳じゃないからケーザイ的だし 赤い人の言ってた通り使い過ぎだけ気を付けなきゃ)」タタタタタタ

術師「(なんだ今の? 時間操作系の魔法ではないようだ ほほう……)」

術師「(階段に差し掛かった じゃあこういうのはどうだ?)」equip THE PICKAXE
術師「(あ 死なない程度に)」summon LONG DRAGON's NECK


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


半鳥「!」ザッ

 踊り場まではほんの数段 階下に大型の召喚陣が展開する

 部分召喚で半端に喚び起こされたそれは ぬ と連なった緑色の巨影をもたげ
 ハーフィと目が合った

半鳥「ど ドラゴンっ!?」

ロングドラゴン「    」スゥゥゥウゥウゥゥゥ

半鳥「ヤバいヤバいヤバいヤバいってそれは家の中で教授!!!」シュタタタタ タンッ


バッゴォオオオォオオンン


 撃ち吐かれた炎弾が炸裂 バーベキューグリルと化す踊り場
 ハーフィは間一髪三角跳びで上階へ逃れる 壁材の破片が掠めた

術師「(まだだぞ……)」

 陣が駆動し召喚物の残りを迫り出しにかかる 炎弾を撃ったドラゴンが首を伸ばす
 伸ばす
 伸ばす まだ伸びる
 破壊された踊り場に届いて尚伸びる

 その体を表し過ぎた名に相応しい長大な首は 優れた柔軟性も持ち合わせ
 折り返して伸び、

半鳥「ッ何あれ! あり得ないでしょ逃げろって言っときながr」クル

長竜「   」inhaaAaaaale

半鳥「」

 また目が合った


 吸気 口の端に陽炎

 超速で外した間接を超速で嵌め直した傷みも冷めやらぬ中
 ハーフィの硬直は一瞬

 握り込んでいた物を投げ付ける 空を切るのは硬化魔法を帯びた己の髪
 数本程度ずつであれば"操れるようになった"髪の鍼

 操作して軌道を調整 甲殻を避け鱗と鱗の間隙を縫って竜の眉間に計五本が刺中 これ自体には威力など無い
 突き立った髪の鍼を頂点として 象られるのは五芒

 竜が開口 喉奥に熾きる焦熱

術師「(それでどうする?)」チラ
術師「……お」

 サモナーが床を見遣る
 初撃で散ったハーフィの髪が硬化し 同じように突き立っていた

 文字通り針の先ほどの五つ星を得た二つの陣が輝きだす
 紡がれる魔法の気配は独特の歪みと揺らぎ 親しき空間干渉のそれ 即ち

半鳥「とんでけッ!」バチッ

長竜「――――■■ッ?」バリバリバリバリ

 ドラゴンの額で極小の転移陣が起動
 物体を転送する転移陣はその影響範囲を 陣から立ち上る光の柱の如く見える発動光で以て定義する
 その中に居れば次の瞬間には別の陣へ跳ぶ

 ドラゴンの額に光の角が見映える

 ことはなく
 転移魔法の輝きは額から頭蓋を通り 顎の下より貫通して上り段の一つへと差し込んだのだった

半鳥「(火の玉の芯ごと!)」


カッッッ


長竜「」stop breath

術師「こっちの陣には――」


カッッッ


鱗の一部「」s
頭蓋一部「」u
脳の一部「」m
不発炎芯「」m
舌の一部「」o
鱗の一部「」n

ドベチャッ

術師「(陣を裏向きに張って ドラゴンの頭でクッキーの型抜きをやったか)」more summon

術師「(えげつないことを考えるなサイコパスめ 終わったらうんと褒めてやらねば)」



ドズゥン…

長竜「  」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

半鳥「よっし上出来! あとは窓探して飛んでくだけ!」タタッ

長竜「      」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

半鳥「飛んでくだけ」dash

 様子がおかしいドラゴンの死体から目を背け走るハーフィ
 魔力とはまた別種の奔流

 白目を剥く伏竜は奇跡を呼んだか
 意思ある傀儡サモナーが担う 更なる召喚は喚び出したロングドラゴンが触媒だった
 階段下に開く 首の大本たる魔法陣が輝きを強め 玄関ホールで更なる陣がもう二つ出現する

術師「(程度を確認できたのは良かった これならそこまでみっともないことにはならんだろう)」

術師「(奴が来た これで少しはマシになる……さて手を講じなければならないがどーしたもんかな)」

 サモナーの召喚魔法を使い始めたそれに拮抗していたため 意識を向けていなかった腕が再びデバイスを振るおうとする
 "命令違反"の激痛は既に閾値を越え感覚が失せるところまできていた サモナーは説いた

術師「私の弟子は尻尾を巻いた お前がヒステリーを起こすところの驚異ないし弊害ではなくなった 元からだが」ギギギギギギギ

術師「もっとヤバいのが来るぞ もてなしの準備もしてやったんだ、集中しろ」ググググググ

術師「それでも気になるというなら任せてもらおうか ……よしいい子だ」ググ グ

術師「合わせろよ コンポスト」jump knock

 恭順と取ったか強制力が緩まる すかさずサモナーは空間陣を開きデバイスを突き込んだ
 狙いは二階を走るハーフィの頭

半鳥「窓 あった――――」ゴスッッ

 後頭部に鈍い衝撃
 デバイスの石突きが脳を揺らす 一度の反応加速の効果時間は短い

半鳥「っッ……!!」ドサッ

 倒れ伏す 先程までと違い昏倒させる一撃
 音と感覚が遠退く 殴られた鈍痛で酷い耳鳴りが響き リビングの召喚陣に魔力を吸われている感覚が漠然とまだ続く
 故に 横へ向けた視界の半分を占める床に新たな影が現れても すぐには意識が反応しなかった

半鳥「(――――う)」

半鳥「(なに さっきのドラゴン? やば 食べられちゃうかな……)」

ペタン ペタ

半鳥「(……影が 跳ねてる?)」

 影ではなかった
 というか影は白かった 黒く見えたように感じたのは勘の冴えか

WPS「やあ!」howdy

 



半鳥「……!!」

WPS「その、顔! 漂白されてても分かってくれるなんて! 久しぶりだなぁハーフィ我が愛しの鳥肉!」

WPS「オレも会えなくて寂しかったんだァ ぐぐぐぐぐぐぐぐ」ズルルルルルル

半鳥「さ わん なあッ……」ジタバタ

WPS「ぐぐぐg」touch
WPS「ぐ?」rune active

半鳥「っ?」

ッパァァアンッッ

半鳥「!!?」ビクッ

 ハーフィの脚に触手を触れさせた瞬間 弾け飛んだ
 久しぶりの再会はスライムの自爆で終わった

半鳥「な なんなの……?」

「……それはオレのセリフだ……!」ウゾゾゾゾ

 再会が再開

粘液片「歯が爆発しやがった……こないだの虫歯治療の時だなサモナーめ! なにが"ペットの体調管理は飼い主の務め"だ!」ネチョグチョヌチョベチョ

粘液塊「歯医者もやるとかいう傭兵を呼んで削らせた上で コーティングまで甲斐甲斐しく丁寧にやらせてたから可笑しいとは思ってたが」ヌロヌロヌロヌロ

WPS「無許可食人で炸裂するルーン 首輪かよ! こういうことだったとはァ゛ッ……!!」再生

半鳥「……」draw gun

WPS「本体の歯に施されたからもう手遅れだ……オレのカニバルライフが……ズルいぞあいつだけ……!!」

半鳥「……そうなの カワイソーにね」グイ

WPS「モごァ」ズボッ
WPS「ァてあてアてぁつんだォんアでゃれあってぅひあなあった」モゴモゴ

半鳥「何言ってっか分かんないや」ズギュゥーン

WPS「ええい」ギュバァッ

 撃った 躊躇なし だが核を撃ち抜くことは叶わず
 銃火が瞬いた一瞬 スライムはバケツからぶちまけられたミルクのようにばっと体積を拡散させた
 かと思えばまばたきする間に拳銃ごとハーフィの腕へ収縮
 そこから生成された触手が体に絡まり 哀れハーフィは白い粘液生物によって簀巻きにされた

 ミルクと洗剤とチョークの体臭に包まれた人間の末路を知る身として半狂乱で暴れるが解放には至らない
 握っている感触のあるリボルバーは どうやってかこれで押さえられているらしく引き金が動かない

 簀巻きに触手の足が生える
 シロアリ色のゴキブリっぽい足をしたウジ虫型の粘液生物がクモのように脇の部屋へと入っていく
 そこがそう 例の部屋だった



半鳥「放せ!!」

WPS「少し待つんだ」ガチャ

WPS「いいぜ そうら」ポイッ

 ずかずか というかべちゃべちゃと書斎に侵入 スライムは勝手知ったる風で本棚仕込みの隠し棚を開きハーフィを放り込む
 
 半ば死蔵されていた魔法関連の道具が騒々しい音を立てた ハーピィ族が華奢といえど薄い棚は割れ落ち 瓶類は幾つか割れ砕ける 小物やら本やらが落ち資料が舞い――――

WPS「一度は仮死状態で出しつけといて死蔵だとさ」

 薬液 埃 古い紙の匂いが鼻腔を撫ぜる

半鳥「いッつ このっ――――」ヒュルル バシッ
半鳥「っ ッんー! んンーーっ!!」gag

WPS「あの首長肉を倒すとは流石だなァハーフィ ぐぐぐぐ 熟成が進んできたようで嬉しいぞ」close door

WPS「それならおかしなことになってたのも気付いたハズ 静かにしろ」shhhhh

半鳥「ンンンーーーーっっ!!」ジタバタ

WPS「オレは喰わない 喰えない 見ただろ! また簀巻きだなこれは」ズュルルルルルル ギチィ


バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ


半鳥「(召喚反応 それもかなりデカいやつ……!)」ピタ

WPS「応援を呼んだのは聞けたのか?」ゴソゴソ

半鳥「  」首肯

WPS「Jな もう近くまで向かってきてるのだ 明確な目的を持って呼んだという時点で既に引っ掛かってるだろうが……」ガチャ ゴト ガサゴソ

 潜めた声で喋りながら 荒らした棚を探るスライム

WPS「全くクソ飼い主めどこにある? ……引っ掛かってるだろうが……あー……多分見た瞬間に殺り合うことになる "奴"は手段を選ばない……」

WPS「息苦しいか 騒ぐなよ」ユル

半鳥「ぷはっ ねえ ねえちょっと待って」

半鳥「なんで……生きてんのとかは後で聞くからいいよ 今は後……」

半鳥「教授 どうしちゃったの?」

WPS「サーヴァントになった」

半鳥「…………さ サーヴァント(奴隷)?」

WPS「頭にデミがつくけどな ぐぐぐぐ」


半鳥「亜人ってこと? 私達みたいなデミ・ヒューマン? 普通に純人間の帝国人でしょ教授は」

半鳥「の 奴隷? えー待って意味不明……」

WPS「降霊魔法のかなり上等なやつだと この場合は神降ろしと言えば伝わるかも知れんとも」

半鳥「! 巫女さんの必殺技でしょ 私の村にあるよ分かる」

WPS「必殺技ぁ? ぐぐぐぐ お」find

WPS「見付けたぞ 話は後だな」チャプン

半鳥「?」

 スライムが目当ての物を見付けた ラベルの貼られた小瓶 割れていない
 ぬらつく触手で取り上げると 触手の先端がワームの口吻のように開き そのまま蓋も開けず飲み込んだ
 何らかの薬液入りの小瓶だった これでスライムは能力として薬効を獲得したことになる

 嚥下したばかりの触手がハーフィに向いた

WPS「ぐぐぐぐぐぐぐぐ」spray

 吸収 分析 獲得 精製 麻痺毒と睡眠薬の混合薬液であることを把握する
 どこぞの薬学教授が作り出した特製の魔導薬であった

 手に入れたそれの濃度を調整し噴霧

半鳥「!? 何し」バッ
半鳥「た……」クラ
半鳥「……の……」ぐて

 あっという間に全身が弛緩し昏睡 用途の気になる出来と効き目である

 隠し棚の奥へとハーフィを押し込み スライムも後に続いて棚を閉ざす
 どういう訳か内側からも閉められるようになっていた



 大至急の呼び出しを食らった客人が到着
 路肩に愛車を停めた

 開け放たれている玄関に入る
 リビングへ 姿を認めるや、立ったままのサモナーはヤバい顔色で不敵に笑った

術師「遅いぞ」

J「これでも急いできたんだ みんな君みたいだと思わないでくれ 友よ」
J「トラクター売約?」

術師「滞りなく 次は讃美歌にするか」

J「問題はリクエストを読んでくれるかということになるが」

術師「帝都魔法大学教授 帝国工廠魔導部門顧問魔術師団筆頭 歩く大量殺戮破壊殲滅蹂躙民族浄化兵器 二足歩行猫 他多数」
術師「立派な肩書きの数々にハガキ職人を加えてみる気はないか?」

J「今までで最高の肩書きじゃないか」

術師「ネタはいくらでもある」

J「残念ながら 刺激的な話の殆どは部外秘なんだよ」cast AURA of VIBGYOR

術師「目立ちたがりが話放り込むような所に本物を供することもなかろう 脚色脚色」summon HYDRA's HEAD

 極光を放つ戦術級魔法 即応待機魔力塊が展開
 幾重にも補助魔法陣が接続 召喚魔法陣が多重起動

 Jは一瞬考えた

J「(基本クソ忙しいこの私に それを分かっていながら――――)」
J「(暇潰しの果たし状なんかに緊急招集の合図を使ったのかい サモナー?)」
J「(その割にはなんというか……)」cast CHAIN RUNE

術師「行け」バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ

 両手にそれぞれ 触媒のツルハシと槍型デバイスを携え サモナーがけしかける
 傍らに引き寄せた特大の魔法陣三基から召喚されたのは漆黒の巨影 血色の眼光は六つ 打って変わり焼き付くされ炭と化した家々のような闇色 光を吸う邪悪な竜鱗
 ロングドラゴンに多大な魔力を与え進化させた多頭の魔竜
 種をハイドラ

ヒドラ首s「GRRRrrRrRrrrr……」フシュゥウウ

 瘴気めいた吐息が床を這って漂い
 Jが纏う 輝く魔力塊に触れた側から掻き消える

 虹色の球光が輝きを増した

J「(正気ではないと)」
J「(では何べんか死なせてみるかな)」cast VX GAS

シュオオォオォオォオオオオオオオオオ

術師「(何か発動した 視認できない)」

首A「……?」クン クン

術師「! そうか匂うか 神経ガスだな?」order breath

首B&C「「■■■□□■□ーーーッ!!」」FIRE BAAAAAaaaaaaaaaaaLL

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

J「(ああ壁が……自分ちだろう君 リビングとホールがぶち抜きになってしまったぞ)」cast INVISIBLITY

首A「 ■□  っ 」グラ

術師「視界を塞がせ透明化 常套戦術だな 容赦ない」

術師「資源世界の蛮族共に使う"聖なる浄化魔法"じゃないのかこれは」gate active VACUUM SPACE
術師「クソ人道主義の穏健派とラリってる教会シンパにはそう言って売り込んだんだろ」

J『何? デバイス部隊の指針定義は上層部のみ呼んだ極秘だったぞ』
J『ブラウンと一緒に魔法組みつつ 私が一人で一生懸命考えた宣伝文句をなんで君が知ってる』

術師「見っけ」DETECTED!

summon HYDRA HEAD×2

J『あっやばい」cast SHOCK WAVE

首4&5「■■■■■□■ッッ!!!」CRUuuuuuuuuuuuuuuuuuuNCH



 新たに召喚された双頭が位置を指示され迫る 首Dは放たれた衝撃波によって上顎を吹き飛ばされ舌と下顎だけになった
 もう片方 Eはクリーンヒットならず鱗を剥いだのみ

 仕留め損なったEは骨付き肉にありつく野蛮人めいて首を寝かせ 歪んだ空間に喰らいついた
 硬質の咬合音
 バリアーが牙を阻む 看破を受け透明化は解除

 出力調整に歯を食い縛り歯列を剥き出す様は猫と言うより虎 笑みも混じればむべなるかな
 なんだかんだ楽しそうなJだが 前編を描写過多によるスタミナ切れで終わらせくさった近接工兵との時のように遊んでばかりもいられない

J「とッ……ころで」ギャギリリギギギギ

J「顔色が優れないようだなあ友よ それにまたぞろヘンな魔法をかけられたと見え――――」

術師「魔術だ 二度と間違えるな」pull order

首E「  」グイィッ
J「るっ!?」グンッ

術師「あ いや 今のは気にしないでくれ 口が勝手に」cast REALITY MARBLE

J「魔法も魔術も呪術も奇跡も呼び名が違うというだけの筈だが?」cast STEEL LANCE URCHIN

術師「やめろ こいつを刺激するな」sending MP

J「こいつ?」thunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunkthunk

首E「」ブシュゥウウウウッ

ドズン……

J「ウニの如く 外からどう見える? 新種のカクタスハイドラとかいって学会に提出するか!」


術師「おっと そのままだとマズいかもしれんぞ」manipulate AGREEMENT BIND CHAIN

J「(! 召喚契約拘束魔法を魔力の鎖に……)」

死首A「」connect
死首D「」connect
死首E「」connect

死首ADE「「「    」」」ググググググググ

グアァァァアアアアァアアッ

J「死霊術は好かなんだのではなかったのか!? マリオネットだ!」cast BARRIER LAMINATE

ガギィ ガギィ ガギィ

J「(バリアに噛み付いて……待て 何を開いている? このまま異界流刑でもさせる気か?)」

J「……ッうむ……挨拶も済んだことだし 要点に入ってもいいかい?」ギリギリギリギリギリギリギリギリ

術師「いいとも 手というか発動中のは勝手に動くが」

J「要件は?」

術師「助けてくれ」

J「具体的に」

術師「召喚魔法からのアプローチでかなり大規模な降霊術をやらされてる 首謀者は霊体 格は無いが非常に厄介なタイプの"英霊"だ」

術師「どうやったのか私の魔力関連神経系やら循環系やらをズタズタにして弱らせ そこへさらに英霊をおっ被せて――――」

術師「被せた霊ごと契約拘束術式の一種で命令を遵守させている 意志にまでは及ばんようだが実情は見ての通りだ」

J「ふうむ ……私を殺せというのがか」

術師「違う 偶然ハーフィも来たが同じようにした」

J「なんだって?」

術師「程度の差はあるがな 逃がすつもりだったがお前が来たんで上に待たせているよ」

術師「命令は一つ "降霊術の完遂" これも魔法が拡大解釈をしている一環なんだ」

J「つまり そいつの邪魔になる=排除しようと ああ させようとしているのか 何故我々がそうだと……」

術師「……」ニヤリ

J「…………助けを求めたからか……」sigh

術師「そういうことだな ふふふふ」

術師「持つべきものは友と弟子だなぁジェ~~イ 詳細はそいつに書き込んであるから後は頼むぞ まあ……」sending complete

死首s「「「   」」」ググググググググ

J「バリアごと引きずり込む気か……!」

 異界転移魔法
 サモナーがよく使う転移魔法陣 その極致と言える絶技
 門陣が開く
 それは招き入れるための魔法陣ではなかった

 繋がる先は異界 そこは間違いない
 おぞましい気配が邸宅に這い出てくる
 陣の先に深淵が覗いた
 どこまでも広がる薄暗い空間 空は無く 一枚一枚に夥しい行数の数式を書き詰め込んだタイル張りの地平線

 心情風景を孕んだ魔法陣が
 音を立てて侵食を始める

術師「こいつを突破するのが先になるが」

J「なんだ それは――――」



 



【現在 サモナー邸リビング】


 自分を収納に押し込めたスライムがいなかったことは気になったが それより魔力の装填が終わっていた方に気がいった

 破壊されたリビングには発動を終了した魔法陣と 
 それから先客

J「やあ……ハーフィ 寝ていたのかな」ボロッ

半鳥「J教授 と……そっちの……こないだの傀儡大会みたいな格好の人は……」

J「こんな趣味の悪いマスクを被っていた奴がいたのかい?」ハハハ

黒マント仮面「趣味の悪いとは 言ってくれるじゃないか……」カポ

半鳥「いやぁそのデザインは……って!?」

ペルセウス「久しぶり よく成長しているようだ」

半鳥「ペルセウス様!」

ペルセウス「様?」

J「神話生物の気配がする よその世界の英雄か」
J「黒マントと趣味の悪い仮面以外は軽そうな若者にしか見えないが やれるか?」

ペルセウス「ふ またこの世界で戦う羽目になろうとは……ってね」

J「? ああ」

半鳥「格好もそうですしイケメンは不変ですけど なんかお顔が変わってませんか?」

ペルセウス「うん 喚び出すに当たり、この前とは違う前提知識というか……解釈の元に召喚したようだね」

ペルセウス「兜がマントになっている この仮面も飾りではないけれど私の元々の持ち物ではないな」ジャキ

半鳥「あっ 鎌」

ペルセウス「また お前の相手をすればいいのか?」

J「臭うな どこだろう」

半鳥「床下」draw gun

「……ぐぐぐぐぐ 状況は陣に書き付けてあったんじゃないのか? スっトボけるなよ首狩り族が」ズロロロロロ

WPS「第一オレをあの時と同じだと思うな 茹でた海藻みたいな頭しやがって」ドロォ

J「  」standby VIBGYOR
半鳥「  」aim core

ペルセウス「出る幕はないらしい」

WPS「いや待て 待って つーかハーフィはお前ちゃんと説明したじゃんオレ昨日」


WPS「首長肉に見付かんないように隠せって命令されて張り切ったんだぞ」

半鳥「眠り薬は何」

WPS「ただの睡眠薬じゃない ブラウンとかいうのが作った、催眠薬と仮死薬と筋弛緩剤を混ぜた拉致の特効薬だ」

半鳥「は?」
WPS「匂いや音だけじゃない ドラゴンというか蛇は熱を視れるからああするしかなかった」

半鳥「赤い人みたいなこと言ってる……」

J「熱源探知の魔法を素でやるというのだろう 実際言われるまで君がいると分からなかったしな」

J「炎熱の魔法に関しては私達にも劣らぬエキスパートだった あのパイロゴーストが今居てくれたらどんなに楽か……」

半鳥「(というか傭兵側ガチの人多すぎ案件だったような)」

ペルセウス「では軽いコントも済んだところで いいだろうか」
WPS「オレの上位体ストックの危機がコントだと?」

ペルセウス「私は今召喚者として魔力を使ったハーフィに従っている形だが――――」

ペルセウス「陣形成は ヒy んんっ」ゴホン
ペルセウス「陣形成はサモナーが行った よって奴ともごく僅かながら魔力のパスが設けられているのだが」

ペルセウス「そこから鑑みるに あまり時間が無いようなのだ」スッ

J「どこへ?」

ペルセウス「移動しながら話そう」

半鳥「どこに行くんですか?」

ペルセウス「場所は知らない だが君達は知っているのだと思う」

WPS「通訳してやろう『運転手をやれ猫肉 ぐぐぐぐぐ』」ペタン ペタン

J「奴の案内でなくて良かったと思うべきか」

半鳥「?」

J「師の運転を知らないのかい? いやはやラッキーというかなんというか 羽があるのはいいな」



【数分後 路上走行中】
【Jの魔導車内】


J「4ドアので来ていて良かった」driver

半鳥「イス二つでも全然いいですけど私ー なんちゃって」後部座席

WPS「……」後部座席足元(着席禁止)

ペルセウス「儀式の応用で付与された霊体化とかいう能力がある 迷惑はかけないよ」助手席

半鳥「そーいうこと言ってんじゃねェーんですけどねー」

WPS「(ちょッろ)」
半鳥「  」stomp
WPS「へぶ」グリュィ

J「一息吐こう 付呪か何かか、玄関を開け放していたのに騒ぎにもならずに済んだし」

半鳥「そういえば服とか毛並みとかちょっと傷んだり荒れたりしてますけど 大丈夫だったんですか?」

J「ああ 少し手間と時間がかかったがへっちゃらさ 君と我が友には悪いがね」

J「自慢じゃないが 火力と殺傷の魔法で私を凌ぐ人間はこの国に五人もいない 伊達に軍部へ出向してはいないのだよ」ふふん

半鳥「よーーーーく知ってます ドリアードちゃんの傀儡フレームごと溶かしててハンター君と一緒にビビってましたから」

WPS「J教授スゴーい! 今度ぼくにも魔法を見ーせて!」

J「本体を全部集めてくれればとっておきの殲滅魔法GRB180530XXを教えてあげよう その身をもって」

WPS「なんて?」

J「では始めて欲しい 首狩りの」

ペルセウス「(首狩りの……)」
ペルセウス「……サモナーを引き入れた首魁は戦争をしたがっている」

J「戦争……」

半鳥「帝国とってこと? 軍隊が要るから教授を誑かしたの?」

WPS「死体が沢山出るな」ジュルリ

J「涎を垂らすなよスライム それで」

ペルセウス「あくまで戦争を模したという儀式の話だが 有り様はまさにそう 成り行きによっては被害者も出よう」

ペルセウス「土地に蓄積した膨大な魔力を用い 術者であるマスターが英霊であるサーヴァントを召喚」

ペルセウス「組んで殺し合う 斃れたサーヴァントの魂と延いては魔力を用意した器へと貯めてゆく」

J「貯めてどうする」
J「何処ぞの英雄を再現する魔力となればそれは確かに相当な量になるだろうが」

半鳥「塊にして売るとか? 工業用の魔力って 工場でなんかやって純度上げて固めるんだよね」

ペルセウス「違う ここのような魔導技術の知識とその膾炙が前提にある世界の儀式ではないんだ」

ペルセウス「端的に言えばその魔力を使って生き残った一組の願いを叶える」

ペルセウス「おおよそどんな願いでも叶うだろう 貯めておく器を"聖杯"と呼称することから一連の儀式はこう呼ばれる」

ペルセウス「聖杯戦争と」



【帝都 随所にて】



【帝都総合病院 特別入院棟】
【エレベーター】


病少年「ぁあっ……はァッ……がゥうグっ……ッ!!」ズギン ズギン


「寄る辺に従い……って 坊主 おい少年?」

「おい おいボウズ マスター! 起きろよ どうした立てねえのか? しっかりしろ!」


病少年「た……助 け」

病少年「助け て……」

病少年「だれか……!」


「……魔力が消えてってる? 循環系が死んでるのか」

「ったくしょうがないな……あー……よし 電力は魔力に置き換わってるみたいだし」

「スーツの生命維持装置でイケんだろ 俺の発明に不可能はねェ」

「コイツでどうだ……!」



【同所 上層階】


『あなたのことは知ってる プレシア・テスタロッサ! やっぱり美人だ、本当に会えるなんて、しかもこんなところで!』

『優秀な魔法使い 魔導士 いいや魔術師を探してるんだ あなたなら完璧だよ!』

『これを 是非! 受け取ってくれ! いいよいいよ陣もやっとくよ任せて!』

プレシア『ちょっと、何を――――』


プレシア「(……)」チラ

 "少々の用事"があるとして仕事の前に病院へ寄った
 かつて『条件付きSS』という 実際の扱いに比して肩書きだけは至極妥当な評価を得ていた魔導技術者 プレシア・テスタロッサ
 濡れ羽色の髪を揺らし 訝しげに目をやるのは右手

 そう右手 右手の甲

 突如現れた変人に焼き付けられたこの紋様の解析自体は 実はとうに済んでいる 高純度に結晶化された魔力と精緻な制御魔法
 使いの者からしてまた体制側の仕業なのかとカマをかける意味でこの病院には検査に来た

 結果そうではないことが判明した
 医者の返答は、

医者『先日の検査ではコンシーラーか何かで隠しておられたのですか?』

医者『タトゥー消しをご希望であれば 整形外科に紹介状を――』

 素っ頓狂なものだった

 ただ予想通りではあったのだ 辻褄が合わなかった

プレシア「…………ボディガードの番犬にしては」

プレシア「手間がかかり過ぎているし 強いし」

プレシア「それに 明らかに必要の無い自由意志を持っているものね」

プレシア「ねえ 貴女?」

「(((まあ 特に願うものもなく喚ばれるまま応えたわたしの側にも責任の一端はあるのだろうが)))」telepathy

「……でも せめて後の世のローマがどうなってるか見たかったなあー!」霊体解除

「いくら平行世界を跨いで座に繋がるとはいえ 全然違う世界に喚ばれるってどういうあれなのだ?」

プレシア「霊体化 忘れないで頂戴……病人なのよ」

「(((ああすまないマスター けどローマの話はしたでしょう?)))」霊体化

プレシア「素晴らしい国だったそうね でもどこかの世界の古代文明の話でしょう? 時代が下りすぎていると思うわ というか」

プレシア「マスターと呼ばないでとも言ったはず 私をそう呼んでいい者はもういないわ」

「(((代わりを探すという約束だったな マスター権限を移譲する)))」

プレシア「追々ね」

「(((まだ済んでいないから無効だなぁ マスター? フフフフ 追々わたしもミス・テスタロッサに変えてあげよう)))」

プレシア「本当に皇帝だったの 貴女……?」

 呆れるプレシア 待たせていた娘の元へ向かった
 また検査ということで心配そうな顔をする愛娘を宥める

プレシア「(戦って 願いを叶える?)」

 柔らかく微笑み その髪を撫ぜ

プレシア「(精一杯戦った そしてもう叶ったわ そんなものは必要ない……)」なで

 ぼんやりと視線を投げた先で、
 泣き腫らした顔の短髪の少女と目が合った


【帝都 スラム街某所】
【半狼の隠れ家】


半狼「……」circle ready

 捕まっているボスにも明かしていない隠れ家に人の立ち入った形跡があった
 居を移してから瞬く間にゴミと生活用品で溢れた古い空き家

 メインで使っているコーヒーテーブルの上にあった食べかけの朝食はハエの飛び回る台所へ勝手に退かされていて
 出来たスペースに謎の置き手紙と謎の荷物がドサリ

 罠を調べてから手紙と荷物を開けた
 そして 隠れ家を荒っぽく掃除

 今は 汚い床に鶏の血で 手紙に書かれた指示通りの陣を描き終わったところであった


手紙『ライカ 突然だがこちらは君の現状を知っている 上司を助けたいそうだね』

手紙『手の令呪は気に入ってくれたかな? それが参加チケットだから大事にしてね』

手紙『まあ胸と腹と尻に入れてるタトゥーに比べれば飾り気に欠けるだろうが』(ここで一度握り潰したせいでグシャグシャになった)

手紙『同封している鶏の血とハケで陣を描き 触媒にはプギオ 変な形のナイフを使ってくれ』

手紙『あみだクジで君のはそれになった』

手紙『それで喚べる英霊を使えば大抵の犯罪は上手くいくだろう ただし――――』


半狼「……他の六組をブチ殺せば好きな願いが叶う その方がてっとり早くて」

半狼「しかも そいつらも同じことを狙っていやがるだ? アホらしい」

半狼「……だが コイツはアタシのことを把握してやがる "嫌ならここへ"とかご丁寧に連絡先まで書いて」

半狼「しかも調べたらこれ警察署の番号じゃねえか……舐めやがって……」GrrrrrrrR

半狼「舐めやがッて!!!」ガシャァアン

 部分獣化させた腕で鶏血の入っていたバケツを窓へ投げた
 窓枠ごとぶち砕ける 苦労して描いた陣へは当たり散らそうとしない
 つまり 臨む気でいた
 裏切り者の方も 散発的に当たっている連中からはこれといった情報を得られていない
 実際手に窮しているところではあったのだ

半狼「…………呪文……んだよ」カサ

半狼「召喚使いの連中 こんなハズいの毎回やってんのか……?」たじ

半狼「……ええと……スに銀と鉄 ソに石と契約のダイコウ……」wrong


 何度か読み直し 八つ当たりで壊すものが無くなった頃
 漸く召喚陣が光りだした

「……ここは……この世界は?」

半狼「よう 色男」スッ

半狼「レージュで命令する アタシに逆らうな」First Command Seals active

「これは 令呪? 唐突すぎる マスター これはッっ……ッ!?」キィィィィン

半狼「三回までで二回だったよな お前堅そうだしもう一回キメさせとくか」

半狼「絶 対 逆らうな 絶対服従 裏切ったら殺す ミスったら殺す 邪魔したら犯す」
半狼「勃てろやって命令して犯しながら頭から喰ってやるから」Second Command Seals active

半狼「分かった?」キィィィィィィィィィィン



【帝都第二学園 新聞部部室】


後輩「うーん 見出しがイマイチかなあ どーするっスかねえ」サラサラ

後輩「あーあ 退屈ー 何か事件でも起こってくれればなあ ハデなやつ……」ぐでー

 集中していて額に汗をかいていたことに気付き
 右手で拭う

 ペンだこを除いて女子らしい綺麗な手だった
 爪は切られてヤスリ掛けで丸く磨かれ 馴染ませたハンドクリームで保湿は常に完璧
 よく手入れが行き届いている 傷やシミはおろか 妙なアザさえどこにもない

 もし手フェチの猟奇殺人者がいれば手だけ放って置かれない程の逸材であった

後輩「そんなに期待してないけど……あ」

後輩「けどあの先輩 なんか勘に引っかかるのよね……」

 手持ち無沙汰にマイ資料という名の雑多な本棚を漁る

 "魔法大学総長著 魔導生物図鑑" "スライム事件自伝本" "ヤス・ザ・ポートピアン" "気になった事件新聞欄のスクラップブック" "対戦傀儡ラジオドラマ第一期台本"
 "切り裂き刑事パルド" "赤黒色の暗殺者が描かれたパルプコミック" "伝説の雑誌記者アサカワ 解呪体験手記" "悪魔の屁を轢け消防車"
 "帝国資源獲得戦線 戦地インタビュー" "フォイエット~二丁拳銃と黒仮面~" "古びた赤い装丁の本" "点字の教会聖書" "栗色の長髪の女性と 水面に写る藍色の長髪の女性がヌードで座り込んでいる表紙の本"

 全部一度は目を通している 当然目新しいものはない
 適当にパラパラやって満足すると ファイルを整理しながらまた机に向かう



【繁華街 古い大衆酒場】
【二階居住スペース 生徒会長の部屋】


 当然本気にはしていなかった
 しかし実際に召喚は成功 仰々しい血色の光と共にそれが現れてしまう

 授業を空けて設けた平日休暇は終了
 呆気に取られて口は半開きのまま 思い付いたように眼鏡を掛け直す
 実家の稼業である酒場の余り物として食ってたピザから具がこぼれ落ち 大女はそれで正体を取り戻した

生徒会長「……あ しまった サラミ」ポロ

 床を汚すのはあれだったので 捨てる予定だったトラックの古幌を自室に広げて陣は書いていた ピザをアテとしていたビールの成せる荒業である

 玄関先に届けられた荷物 菌糸がどうのとメモに謳う新興宗教(?)のまじないを アルコール入った頭の悪ふざけにせよ生徒会長はやったのだ
 彼女がそうしてみた理由があり 理由を醸成した背景がある
 だがそれはこうして箍の緩んだ時くらいにしか表出しない些細な冗談話程度のものであり 本当に実行したいと考えたことはない

 しかし部屋に登場した異文明風の兵士然とした女性と 手の甲に焼き入れられた印が
 それを実行する具体的な手段を得たのだということを如実に表していた

生徒会長「…………サーヴァント?」

「はいサーヴァントです あなたがマスター?」
「なんかゴッツイ方……これは期待できそうかもですよ」

生徒会長「マスター うん そうなるみたいね……そうなるみたい その」headache

 歯切れ悪くメモ書きを見る カンペか

生徒会長「聖……セイハイの その取り合いの あー 戦争をやるの?」

「他にどういう用件でサーヴァントを喚ぶんですか」

生徒会長「……ビールの勢いで……?」

「は?」

生徒会長「待って ちょっと待って……水を……」のそ

「ちょちょっ 私の召喚酔っ払いながらやってたんですか!?」

「ってゆーかよく見たら女性……ッ? ……マネーレンダーのボスみたいな貫禄……」

生徒会長「酔っ払いながら じゃない 酔っ払ってやったの あと金貸しじゃないぞ……」

生徒会長「待ってくれ本当……待って 状況整理したい頭の」open fridge

「ええー……マスターやる気は」

生徒会長「何への……?」take water

「何へって 聖杯戦争で優勝するんでしょう??」

生徒会長「ああ聖杯戦争への……ああ そうねちょっと 聖杯戦争へ臨む心構えとかあればレクチャーしてもらってもいい?」

「…………マジですか……ええーうっそ……」

生徒会長「……飲む? 水 硬水だけど」

「……瓶入りの水……」
「あの失礼ですけど……この世界の衛生的なあれってどーいう感じなんでしょうか」

生徒会長「買った水だよ 買えば真水は手に入る国って答えれば察せるんじゃないか」つ栓抜き

「……なるほど まあいただきます」キュポン



【帝都 工業地区路上】
【運送屋トラック 走行中】


ブロロロロロロ……


ソバカス面の先達「上がり昼過ぎンなっちまったべなァ 大丈夫かおめぇ」driver

青年「え?」うつらうつら

ソバ先「学校行ってんだろ? 時間」

青年「あ……大丈夫っス今日夕方からなんで 社長それ知ってて」

青年「だから回してんだと思います ありがとうございます」

ソバ先「ちゃんと行けよォ? 一杯勉強してダチ作れェ? でねぇと俺みたいにつまんねーおっさんになっちまうぞォ」

青年「はは……」

ソバ先「まァーまずぁその眉間のシワだぁなァ こえーぞおめぇそれ、ムショ上がりに見えっからよォたまに ええ?」

ソバ先「ニコッといけ! ニコッと! エガオが一番のお化粧よォ~~ぉ↓ォ↑~~っと」sing

青年「もう呑んでんすか?」

ソバ先「終わったからァ!」げははは

青年「程々にしてくださいよ 肝臓」

ソバ先「カカァみてーなこと言うなよぉ~」

青年「はは お 着きますね」

ソバ先「あとやっとっからよ シャワー浴びてサッパリしてけな ヒゲも剃っとけな」

青年「ありがとうございます お疲れ様です」

ソバ先「おーう」


【運送会社 更衣室】


青年「(明日は休みか……夕方まで寝てよ 飯は豆缶でいいや)」着替え
青年「(ああダメだ洗濯溜まってっから洗い行かねーと……ダリー)」

青年「あ お疲れ様です」

「おうお疲れー」
「お疲れさんですー」

青年「(寝るのはそれからだな……)」

「社長 お疲れ様です」

運送社長「おゥお疲れ コマイヌいるか?」

青年「!」

「戻ってます 着替えてましたけど その社長がよく言ってるコマイヌってそれなんなんすか?」

運送社長「東の島国に居る犬の魔物 石像がたくさんあってよ こう グッとこう眉間に皺がめちゃ寄ってんだ」

「なるほど ははは……」

運送社長「まーコマでイヌなのはお前ら全員そうだけどな」ガチャ

青年「社長」

運送社長「よォコマイヌお疲れ お前明日夜出ろ」

青年「夜便ですか?」

運送社長「段取り組みてえから電話してんのに昨日からこっちハゲが捕まらねェ バックレやがった」

運送社長「奴ぁ懲戒免職だ 他で強化魔法使える奴は出払ってる 行け」

青年「俺 まだ習得しきれてないですよ 魔導炉にかけれるレベルのやつ……」

運送社長「そうだな ほら」つアンプル

青年「……」

運送社長「八時からだから 早退して来いよ」

運送社長「まだ単位に影響しない程度には休めるだろ? 大丈夫だよちゃんと卒業できる程度には考えてやるから」

青年「(それは俺がなんのアクシデントもなく体調も崩さず 仕事以外に休みを使わない場合の だろ……)」

運送社長「手当ては弾む 分かったな 以上」

バタン

青年「あ~~ マジか」

「うーわ ご指名かァ~……」
「災難だったなコマよぉ ほら コーラ買ってやっから気張んな」vending machine
「俺にもくれ貧乏なんだ」
「スったからだろ? 修道院か公園に行くといいことがあるよ」buy cola
「ボコされるわ」ホームレスに
「コマ ほれ」つコーラ

青年「すんませんありがとうございます でもコマはやめてくださいって……」ギャリン グビ

「いや結構しっくり来てんぜ呼びやすいし」
「犬の魔物だってよ」
「こないだ警官殺りまくった奴じゃねえの オレンジの犬っつってなかったかラジオで」
「いや魔人だったらしいぞ 巨乳のデミ女になったって見た奴が言ってた」
「デミかよ ねーわ」
「毛ジラミ確定だっていうじゃん」
「それ以前に食い千切られんぞおめー」ハハハハ
「心配ねェ。俺の皮は鉄壁だ」キリッ

ギャハハハハハハハ

青年「毛ジラミよりやべーやつじゃないっすかそれ 早く医者行った方がいいスよ」アハハハ

「うるせー!」

青年「はははは…… じゃ お先失礼しまーす」

「うーい」
「お疲れー」



【数時間後 路上某所】


ペラ ペラ


バイカー1「リーダー? リーダー! またそれ見てんすか 赤い本」

バイカーリーダー「おう」

バイカー2「……読めねえな……ルーンってやつですか? サッパリ分かんねえ」

Bリーダー「俺にも分からん だが貴重品だっていうしな、終わった後で値打ちモンなら気になんだろ それより遅ぇぞ」パタン

バイカー2「もうそろそろ……あ 来ました」

ロロロロロロロロルルルルルドルルルドルンドルンドルン

バイカー3「遅くなりやした」キキッ

Bリーダー「獲物は?」

バイカー3「どうぞ リストっす」つ紙

Bリーダー「リストだと? いつもは口頭だろうが、何件もあるってことか」check

バイカー3「どうもそうみてえで」

Bリーダー「……あー こいつぁ参ったな」カキカキ

Bリーダー「明らかに"ダンナ"に出張ってもらうのを前提にしてる 頭数だけじゃキツい仕事だ」

バイカー4「ダンナか……」

バイカー1「いいじゃないスか! 帝都入ってからこっち、派手なのはご無沙汰だったじゃないすか」

バイカー3「渡りに船って具合だよな 渡されて試しでしか喚んでませんし、いっぺん見とく方がいいんじゃないですか?」

Bリーダー「……」

バイカー1「お前はどうだよ」

バイカー2「リーダーに従う どうしますリーダー」

Bリーダー「いや一応考えを聞いておきてェ どう思う? 参考までに――――」

Bリーダー「俺達ゃ国外からの労働者扱いでここ帝国に入って来てる 二十八人全員な 目的は帝国での足掛かり作りだが……出国期限が迫ってる」

Bリーダー「現状 拠点を築くにゃ至ってねえ が とりあえずシノギの当ては見付かった」

バイカー2「車ドロ(車泥棒) 大陸中央で生きてきた俺達には朝飯前っす」


Bリーダー「そうだ そもそも手を出してねぇ分野だったようだが ここへきて"地元の連中"が浮き足立った 発端のイベントがよく分からんかったが……」

Bリーダー「とにかく流れが来てると思う センセイは大口の客になる ダンナを寄越したのも俺らを見てる、試してるんだ」

バイカーs「…………」

Bリーダー「聞いておきてェ このままスゴスゴと中央に帰って――――」
Bリーダー「またクソ共和国と帝国のタコのおこぼれに預かる生活に戻るか? 戻りたいのか? あ? どうなんだ?」

Bリーダー「俺ァ嫌だね!!」

Bリーダー「なんとしてもここで一旗揚げんだ! 故郷ごと負け犬にされ続けた今までにケリをつける!」

Bリーダー「俺らの故郷は修羅の国だァ! 甘ったれたハナ垂れインペリアルどもが来りゃ三分でケツの毛まで毟られる無法地帯だ!」

Bリーダー「そこでイワした俺達の、そん中でも選りすぐりの精鋭がここにいるお前らだ! いいか お前らは俺の子分でも手下でも ましてやコマでもねェ――――」

Bリーダー「おらァ! 俺達はなんだ!?」

「兄弟だ!」
「家族!」「家族」
「家族だァー!」
「兄弟姉妹だ!!」
「運命共同体っす!!」

Bリーダー「そォだ運命共同体だ! いいこと言ったぜ、そう家族なんだ! この世界のどこに居ても心は一つよ!!」


Bリーダー「故郷の兄弟達にでっけえ土産持ってくぞ! おいお前 どうなんだ! やる気はあっか!?」

バイカー2「アぃリーダー! 家族のために! リーダーに従う!! やりましょうでっけえのを!!」

ウオオォオオオオオオォオオォオォォオォオォオォオォオォォォォ
ドルルゥン ドルルゥン ドルルゥン ドルルゥンドルルゥンドルルンドルルンドルルン

Bリーダー「リストを回せ! 小隊ごとに獲物を振った、どいつもこいつも骨がありゃあがるがいつも通りやれば問題ねェ!」ドルルンドルルンドルルンドルルン

Bリーダー「一号から四号は情報管制! 俺が先陣を切る、ついてこいてめえら!!」ドルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
Bリーダー「繋いだか? 繋げ!」biker radio

バイカー1『一号隊感度良好』
バイカー2『OK二号』
バイカー3『三号繋ぎました』
バイカー4『四号オーバー!』

Bリーダー「狙いは公共車両だ! パトカー 消防車 ミートワゴン 交通機関!!」

『交通機関ってのは!』

Bリーダー「路面電車だ」

『ヒューーー!』
『マジっスか!? うおおっしゃ!!』
『腕が鳴るわァァア!』

Bリーダー「冗談だよォ どうやって掻っ払うんだよんなモン!? ガハハハハ ゆくゆくは頂くがなァ!」

Bリーダー「今日はバスを狙え! 二階建てのやつがいい、挨拶代わりにゃ丁度良かろうよ!!」

『リーダーの隊がサツ行くんスか!?』
『危ねェ 俺らに任せてください!』

Bリーダー「誰にモノ言ってんだァ最強は俺だ! 最強のヤツが最強のヤツに当たンだろが!!」

Bリーダー「四号! 寄れ!!」ヒュンッ

バイカー4「!」パシッ

Bリーダー「客が居る! 殺しは無しってのがセンセイからの絶対条件だ!」
Bリーダー「上手く使えよ! 暴れっぷりを後で聞かせてくれや!!」

バイカー4「アぃリーダー!!」


ドルルルロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロロ
ブロロロロロロロルルルルロロロロロロロロロロロドロロルロロロロロ……



【数分後 夕方前】
【夜学生主要登校時間帯】

【某所路上 乗合バス二階席】


青年「……」read textbook
青年「ん~」difficult

青年「(いかん いかん 眠い……シャワー浴びてちょっとでも仮眠しときゃあよかった)」yawn
青年「(目覚まし時計のネジ変なんだよな 一時間早く四時に起こされた時は イラっときた後でヒヤっときた……)」
青年「(一時間遅かったらヤバかった 働かなきゃすぐに死んじまう 誰も助けてくれないんだから)」

青年「……」
青年「何のために通ってんだろうな」

 暗澹としたダウナーな哲学に思考が引き込まれそうになった矢先
 それは来た

 始めは単に 魔導単車が集まっているだけなのだと思った
 交通量が多く また道路が入り組んでいる都市部では 小さな荷物の輸送他 個人の移動手段としても重宝されている乗り物
 何も珍しいことはない

ウオン ウオン ウォオン……

青年「(……んだようるせえな またかよ)」
青年「(鳥の次は バイクか――――)」

 苦学生が座席越しに振り返るのと
 艦船のそれ程ある巨大なアンカーが 冗談みたいに馬鹿太い鎖を曳いて 二階の手摺に引っ掛かったのは同時だった

ガキィィッ

「アンカー行ったァ!」ギャギャギャギャギャ
「後方二ヶ所オーケー 次ィィ!」
「強化急げやああぁ!!」
「玉ぁあ掛けぇえぇええ!」

 エンジンに掻き消されないよう 絶叫でやり取りされる作業手順
 単純に聞き取れなかったというのもあるが 乗客の殆どは連中のやりたいことと その言葉の意味を理解できずにいた
 ただ一人を除いて

青年「……玉掛けっつった?」

 二階席の他の乗客は一階へ引っ込んだ 苦学生は残った ヒーロー願望があるわけではない 決してない しかしその視線はアンカーに釘付けになっていた

青年「(このアンカー クレーン車の魔導フックを改造してんだ)」
青年「(付呪が起動してる……これは……工業用の強化魔法だ)」

 その辺の悪漢でないことを雰囲気で察し 車内は騒然とする
 車掌は混乱を抑えようと声を張った が その車掌が非常事態に冷静でいられない


バス運転手「(なんだ畜生ッ こいつら何する気だ? チェーン掛けるだけ掛けて随走してきやがる 暫くは直進するしかないが……)」
バス運転手「(ひいふうみいよの ええい 何台持ってこようがバイクなんぞで綱引きできるわきゃねえだろう)」

 大型車両の図体では 点々と通りに接続されている路地には入れない
 進めば随行 曲がるのは不可
 ならばブレーキを踏めばいい
 運転手の足がペダルに乗り 踏み込む前に窓が鳴る ノック音

 二人乗りのバイクだった
 細長い車体 巨大なタイヤ 魔導排煙を吹き出す太いマフラー 乗り手の風体からしていかにも暴走族ですイェァーといった見た目

 外を見た運転手の顔を睨め付けるものが四つ
 飛行帽を被った後ろのアホがニヤけて向ける 遮光ゴーグルのレンズと 切り詰められた水平二連散弾銃 眼光と銃口が運転手を射竦めた
 散弾銃が縦に振られる "窓を開けろ"

運転手「………………」freeze

 "開ァ"
 "けェ"
 "ろ!"

運転手「っ……」open window

「遅ェぞ死ぬかァ!?」ジャキ
「やめろバーロー!! おい速度ォ落とすなよ死にたくなきゃあな」
「殺しに来たんじゃねえ! 指示に従えや全員生きて降りられるぜェェ?」

運転手「わ 分かった」

 固唾を飲んで見守る乗客は これで自分達が白昼堂々目立つ見世物の登場人物と相成ったのだということを ハッキリと理解させられた

 並走してショットガンを突き付けられた運転席 鎖でバスと散歩するバイク 護送するかのように群がる暴走族風ライダーズ
 否が応でも目立ちまくる 周囲の人間が事態に気付きだし 公衆電話と警官を探し始めた
 それが分かり切っているから連中の仕事も速い

青年「ここを こうして……」カチャカチャ

ジャララララララララ ガキィン

青年「前の手摺もか これはちょっとヤベェかも……警察は何してんだ」コソッ

 後方に続き それぞれ左右脇からバスの前に出たバイクが二階席の手摺にアンカーを射出 これで四方から鎖がかかった
 青年の姿は下から見えていない 道路の直進ももうすぐ終わる
 すると運転席からホールドアップ係が離れた


運転手「……?」

「行け! 行け! 上げろ!」

 号令で鎖を繋いだバイクが一斉に 変形

 両輪が車体正面に対してきりもみに半回転 ホイールを路面へ向ける形になる
 どうやってるのかタイヤは空転したまま ホイールがローターの役目を果たしているとでもいうのか これで揚力を得ているらしい
 魔導垂直離着陸機 バイカーの集団が一転して空賊に変わった

青年「(クレーンはねえだろうと思ってた やっぱ連邦製の変態メカだったか……だが 細工は粒々)」
青年「(吊り下げてバスごと持ってく気なら もう上にいるのはマズいよな)」コソコソ

 アンカーから離れ 苦学生は手摺に隠れたまま一階へ降りようとした
 その時だった

パチッ

青年「っ? ちっ んだよ静電気かよ脅かしやがって」

 階段を降りきり まず目に入るのは運転席
 運転手の様子がおかしい

 眠気と戦っているかのように船を漕いだかと思うと そのままハンドルに顔からいって突っ伏した
 クラクションがけたたましく響き渡り バスのコントロールが失われる

青年「ちょッ……!」バッ

ガクンン……ッ

青年「! 浮いて……早いな」

 あわや激突 はたまた横転かと思われたが それより先にバスが浮かんだ

 吹き抜けになっている二階席の手摺に構造強化魔法をかけ堅牢化し無理矢理吊り金具に
 狂暴な唸り声をあげる魔導炉の尋常ならざる馬力と 四隅から吊り上げる四台の一糸乱れぬ操縦が織り成す 曲芸犯罪


 バランスを崩した苦学生が壁に掴まり 顔を上げた拍子に客席が視界に入る

青年「!」

 乗客達は運転手と同様 突然魂を抜かれたかのように 異様に脱力して座席や通路に倒れ付していた
 そういえば悲鳴の類いを聞いていない

青年「ちょっと どうしたんですか? なあ! 起きて! 全員か」
青年「何をしやがっ――――」

 揺れる車内 座席に手をつきながら通路を最後尾まで歩き声を掛けていく 十数名の乗客は完全に沈黙していた
 手口はまったく分からない 何故自分だけ無事だったのかも 二階席に隠れていたことが関係していそうだがそれはいい どうせ知らない魔法だ

 だが
 だが原因は分かった
 こいつだ 間違いない


フルフェイスのバイカー「――――――――」


 空も走る以上視界確保のためなのか 理由は定かでないが バイカー共はどいつもこいつもまともなヘルメットを被っていなかった
 そんな中にあって一人 バスの真後ろを走っていたフルフェイスヘルメットのバイカーと目が――――バイザー越しに恐らく――――合った


ファンファンファンファン ファンファンファンファン

警官1〈お前達何をしてる!? バスを降ろせ!〉拡声

FFバイカー「   」cruise

警官2〈止まれ! おい一番後ろのお前!!〉拡声

FFバイカー「   」中指

警官2〈てめッ 警察舐めんなよコラ!!〉


 バスの高度は上がり 背後からは後れ馳せながらもパトカー数台 誰がどう見ても撤収時
 しかしそのバイカーだけは飛ぼうとしない バイクを変形させる素振りすらない

 振り返りもせず丁寧に返事を返すバイカーの 視線は苦学生に固定されたまま
 ショットガンを向けられた訳でもなし だのに釘付け 蛇に睨まれた蛙のように 見下ろす苦学生は動けない

 してやった と小さく得意気になっていたところへ 鏡面加工の視線だけで冷や水をぶっかけられたような

 得体の知れない感覚があった
 なんとなしに苦学生は直感する こいつは人間じゃない?

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2017年05月29日 (月) 17:05:55   ID: nk82iRZH

ヒュー?

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