杏「白馬の王子様」【ガルパン】 (27)

杏「運命は自分で切り開くもの」

杏「高校の3年生までは私そう思っていた」

杏「けど、世の中はそんなに甘くなかった」

杏「現実は変えられなかった」

杏「廃校という未来を…私一人では変えることは出来なかった」

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杏「戦車道で全国優勝…か」

柚子「はい!ですけど…」

桃「厳しい道なのはわかっている、だが、やるしかないんだ」

杏「で、残ってたのは…ボロボロのⅣ号一両か」

杏(経験者なんているわけないし…予想以上に戦車の状態がひどい)

杏(これは…絶望的かな…)アハハ…




書記「会長!これ見てください!」

杏「…なっ!」

転校届 西住みほ

私、いや学園にとっての王子様…女神様かな…どっちでもいいや

戦車道を少しだけ調べていた私には…その転校生が黒森峰の副隊長だということがすぐにわかった

柚子「これ…どういう」

運命としか、いいようがなかった

杏「熊本からここまでってことは戦車道のない学校に来た…ってことかな?」

おそらくはあの事件のことで戦車道から離れた…

杏(…どうする?)

杏(…誘う?誘わない?)

杏(わざわざ戦車道を諦めた子に、もう一度やらせることになる)

杏(黒森峰やプラウダと戦う確率もかなり高い)

杏(けど…)

杏(良いとはいえない環境にボロボロの戦車、おそらく他に現存する戦車も同じようなことになっているだろう)

杏(さらに素人軍団を指揮することで苦労をかけるのは間違いない)

杏(辛い環境で、彼女が更に苦しむだけかもしれない)

杏(けど…)

杏「行くよ…西住ちゃんのところに」

杏(その時、微弱だけど希望が見えたんだ)

杏「もうこれに…縋るしかないってね」

教室前
杏(ここに西住ちゃんがいるのか…)

スゥーと深呼吸をする、教室内に入る

リラックスするようにいつものように干し芋を食べながら

あっ、みつけた

写真と比べて結構おどおどしてる印象だった…動作がいちいち可愛らしい

杏「や!西住ちゃん!」

桃「少々話がある」

みほ「はい?」


杏「必修選択科目なんだけどさー、戦車道取ってね、よろしく」

みほ「え?!あの、この学校、戦車道の授業なかったはずじゃ」

桃「今年から復活することになったんだ」

みほ「私、この学校が戦車道ないと知って、わざわざ転校してきて」

うん、知ってる 西住ちゃんのことは調べ尽くしたからねん

そして…どのくらい自分達が悪いことをしているのかも知っている…

そうだね…ちょっと強引に言ってみるか…


杏「いやー!運命だねー!」

みほ「必修選択科目って自由に選べるはずじゃ」

杏「とにかくよろしくー」

そして突き放す・・・最低だ

けど、これしかない・・・もう、これしかなかった

廊下でばっと振り返って手を降った時、はっきりと見た


彼女の目は…死んでいた

杏「まぁ、そりゃあ…そうだよね」

桃「会長、どうされますか?」

杏「呼び出して、かなり強引に行くよ」

桃「本気ですか?」

杏「いいよ、憎まれるのが私だけなら本望だよ」

杏「実は同級生の子に頼んで周りで戦車道の話したりだとか色々と頼んでるんだー」

柚子「えっ、それは一種の情報操作では…」

杏「あの友達二人はガード硬そうだし、もっと外から崩すしかない」

杏「どんなことを言われようが、ボロボロにされようが、彼女をあきらめるつもりはないよ」

杏「ま、もうそんなことをやる時間もないけどね、桃ちゃん、お願いね」

桃「わかりました」

杏「苦労をかけるね」

桃「このくらいのこと、なんでもないです」

桃「あ、あと桃ちゃんと呼ばないでください!」

杏「あー、ごめんごめん!」
・・・・・・・
杏「なんで選択しないかなぁ」

理由は当然知っているけどね

西住ちゃんの顔をじっとみる…顔を俯いてて今にも崩れ落ちそうだ

杏「…んなことを言ってるとアンタ達」

杏「この学校にいられなくしちゃうよ?」

脅している中で不安になってくる

……やはり夢物語なのだろうか

廃校をひっくり返し学園艦を存続させるのなんて

不可能…だったのだろうか…

もう…諦めちゃおうかな…自分が口論の中で今何を言ってるのかもわからないし

あー、もういい、かえ

そんな言葉が出ようとした際に…

みほ「あの!私!」

どこまでも響きそうな、まっすぐな声

私は撃ちぬかれそうになった

みほ「……戦車道!やります!」

杏「……」

呆気にとられた

その時は強引に笑顔を作ることで私は体裁を保った

その後は…うん、よくしってるよね

サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰…そして、大学選抜

数々の死闘を乗り越えて掴んだ…学園存続

打ち明けるの…ずっとずっと我慢してた

怖かったんだ

西住ちゃんにこれ以上…何もかも任せたくなかったんだ

何も知らないでいてほしかった…けど河嶋が打ち明けた後の…


みほ「だって、みんなと来年もまた戦車道をやりたいから!」


あの時の返事を聞いて…

あぁ、西住ちゃんがいてくれてよかったと…心の底から、そう思えたんだ

・・・・・・・ありがとう

・・・・・・・・
杏「ごめんね…本当にごめんね…そして」

大学選抜との戦いが終わった翌日の夜

私は、西住ちゃんを呼び出して星空の下で涙ながらに謝罪した

彼女を脅して強引に戦車道をさせたこと、彼女に大変な苦労を掛けてしまったことを

杏「ありがとうね…西住ちゃんがいなかったらこの学校は…守れなかった」

そして、伝えきれないほどの感謝の思いをぶつけた

杏「ありがとう…本当に…」

みほ「会長!泣かないでください!いいんです!私のことは…」

杏「けど…」

みほ「むしろ…感謝しなければいけないのは私の方です」

杏「えっ!?」

みほ「戦車道から逃げ出した私は…ちょっとだけ不安定でした」

みほ「何をしていいのかわからず華さんや沙織さんに会うまで友達もできませんでした」

みほ「再び向き合った戦車道も決して最初はいいものではなかったです」

みほ「けど…」

みほ「あんこうチームの皆さん、うさぎさんチーム、カバさんチーム、アヒルさんチーム」

みほ「レオポンさんチーム、カモさんチーム、アリクイさんチーム」

みほ「そして…カメさんチーム」

みほ「みんなと出会えて、戦車道をやっていくなかで私、今までにないくらい、楽しかったんです!」

みほ「それで…みんなで優勝した時…すごく幸せだったんです!」

みほ「………」

みほ「会長…もし貴方が私を見つけてくれなかったら、私はずっと沈んでいたかもしれません」

みほ「私、会長に出会えて、私は…とても嬉しいです」

杏「・・・!」

みほ「だから…」

みほ「自分を責めないでください…」

みほ「そんなに、泣かないでください」

杏「…」

杏「違うよ…これは…グスッ…嬉しくて泣いて…」

杏「あたしは…あたしはただただ…」

みほ「…」ナデナデ

杏「!!!!」

みほ「ごめんなさい、落ち着きましたか?」

杏「ずるいよ…西住ちゃん…そんなことされたら私、惚れちゃうよ?」

みほ「…ええ、構いませんよ?」ニコッ

杏「がはっ…」

だめだ、死ぬ!萌え死ぬ!これも西住流か!?

みほ「えええ!大丈夫ですか、て、ティッシュは・・・ええと・・・あった」

杏「あ、ありがとう」

杏「ねぇ、西住ちゃん…」

みほ「みほ」

杏「ふぇっ?」

みほ「みほって呼んでください」

杏「み、みほ」

チュッ

王子様のキスがほっぺに直撃した

杏「~~~~~~~~~!!!」

みほ「私は杏さんのこと、大好きです」

みほ「あ、杏さん!しっかりしてください!」

さりげなーく名前で読んでるし…

みほ「…すみません、その…」

謝らなくていいよ、すごく嬉しかった

でも…ね 場所が違うんだな…みほでも間違えることって…あるんだね

杏「しかえし」

ま、お姫様って柄じゃないけど、いいよね?

…えい!

チュッ

みほ「ーーー!」

軽く唇と唇が触れるだけのキス

もしかして、初めてなのかな?

ごめんね、こんなキスで

でも今は、一秒でも速くこの想いを伝えたいんだ

杏「みほ…大好き!」

私は愛する王子様を強く抱きしめた

おしまい
甘々みほ杏流行れもっと流行れ

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