放課後赤ずきん (123)

あるところに女の子がいました。


女の子は道行く途中で狼さんに出会いました。


狼さんのせいで女の子は道草を食い、その結果狼さんに食べられてしまいました。


おしまい


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友「お前部活とかやらないの?」

男「あー無理。俺そういう汗臭い青春とかいらないから」

友「部活やったらモテるぞ~。逆に今のままだと彼女できないぞ~?」

男「うっせ。俺はお前みたいにイケメンじゃないからどうせ無理だって」

友「そうは言ってもよ…もう高二の夏だぜ?俺たち。あと1年後のこの時期はもう進路のことで頭いっぱいで青春どころじゃないだろ?もうすぐ夏休みだしよ~彼女作ってデートとかしたくならないか?」

男「そりゃあそうだけど…でもお前も彼女いないじゃん?」

友「俺はサッカー部で汗臭くもアツい青春送ってるからいいんだよ!」

男「なんだそりゃ」

友「じゃっ!俺部活行ってくるわ」

男「おう頑張れよ次期キャプテン!」

勢いよく教室を飛び出して行く友の姿はスポーツ漫画の主人公のそれだった。

彼はお世辞抜きのイケメンでスポーツ万能、女子からも人気があり彼曰く高校に入学してからもう5回は告白されてるのだという。

1回目は付き合うことにしたらしいが部活に本格的に熱を入れ出してからは彼女とは別れ、それ以降は全部断ってるらしい。
全く羨ましい限りである。

男(俺も部活始めたら本当にあーなれるのかね?いや無理だな)

かく言う俺はというと家から近いという理由だけでこの学校に入学し、やりたいこともなりたいものもなく一年を終わらせ二年生もダラダラとした高校生活を送っていた。

友とは小学生のころからの友達という仲だけであって、それがなけりゃ話すことなんてありえないと思えるほど俺は彼と正反対の人間だった。

このまま卒業すれば味気ない三年間になるのは分かっているのだが…

男(どうにも…何かを始める気にはなれないんだよな)

俺も教室を出て一階の靴箱を目指して廊下を歩く。

廊下を歩いているといろんな部員が活動してる声が教室やらグラウンドやらから聞こえてくる。

それらを耳に入れながらなんとなく自分が熱くなれそうなものを探してみる。

「ノック行くぞ~!」

男(野球…俺ノーコンだし。ないな)

「セット!」

男(ラグビー…脳しんとうとか痛そう)

ブ~…ブ~…

男(吹奏楽…俺楽譜読めないし)

男(ってか俺これといった趣味がないし!そもそもやりたいことが何もない原因ってそこだろ!趣味から探してみるか)

男(スポーツ以外で定番なのは…読書かな?)

男(読書…読書なら俺にも続けられそうかな)

そこで丁度今日が図書室の本の貸し出し日だったのを思い出した。

男「ちょっと覗いてみるかな」

もうすでに1階まで降りてきていたが図書室ある3階に引き返すことにした。

男「し、失礼しま~す…」

ゆっくりと図書室の戸を開けると受付の所に座ってグラウンドを眺めている女子生徒以外は誰もいなかった。
本当に貸し出し日か?と言いたくなるくらい。

女「はっ、ひゃい!」

グラウンドを眺めていた女子生徒は少しビクッとしてからこちらを向いた。

俺は彼女に見覚えがあった。

彼女は女さん。
俺と同じ二年生だ。

俺がA組で彼女はB組の生徒なのだがA組とB組は体育の授業が一緒だ。
それだけなら覚える要素はないのだが彼女は学年でも知らない人がいないほど背が小さい。
小学生かと思うくらい小さい。

体育で背の順で並んだらいつも一番前だからよく目立つ。

男(図書委員だったのか)

女「あっ…あの…何か用です?」

男「えっと、女さん。今日って貸し出し日だよね」

女「はい。そうですけど…」

男「本を借りにきたんだけど」

女「あっ、なんだそうだったんですね。本を借りに来る人でわざわざ『失礼します』なんて言う人いませんからね。先生に呼ばれたのかと思っちゃいましたよ~」

男(えっ、そうなの恥ずかしい)

女「もしかして図書室で本借りるの初めてですか?」

男「まっ、まぁね」

女「じゃあ貸し出しカードから作りましょうか」

そう言うと彼女は受付の引き出しから線が引かれた厚紙を取り出して俺に差し出した。

女「ここにお名前をどうぞ」

男「はいはい」

俺が名前を書いているのを見ながら彼女は喋り始めた。

女「いっつも殆ど人こないんですよね~。みんな本読むの時間ないのかな…男くんはいつもは本読むんですか?」

男「漫画とかなら…小説とかは全く。だから今日も特に何を借りにきたとかはないんだけど」

女「ですよね。いつも読んでる人だったらもっとここに来るはずですからね~…てへへ…」

女さんは俺の返答が分かっていたかのように笑った。

男(そうなんだよな。趣味探しになんとなくここに来たはいいけど読みたいものがないんだよな)

男(ここは彼女に何か適当に紹介してもらうか)

男「何かおすすめとかある?」

女「おすすめ…ですか…好きなジャンルとかはありますか?」

男「いや、なんでもいいよ」

女「じゃあこれなんかどうでしょう。私これすぅっごく好きなんです!」

彼女がノリノリで本棚から一冊取り出した。
先ほど言ってたように普段あまり人が来ないからか、彼女は少しテンションが上がっていた。

男「『放課後赤ずきん』?」

女「恋愛小説なんですよ」

男「これ好きなんだ」

女「はい。これを読んでたら…なんだか恋、とか…したくなっちゃうんです」

少し俯いてもじもじとしながら呟く。
途中で恥ずかしくなるくらいなら言わなきゃいいのに。

男(本に影響されて恋愛がしたくなるとか…本当に子供っぽいというか純情というか)

男「それじゃあそれを借りてくよ」

女「あ、はい!それではこのカードに題名と日にちを書いて…っと。どうぞ!」

男「ありがと」

女さんから差し出された本を受け取って図書室の戸に手をかけた。
すると後ろから彼女に呼び止められた。

女「あっ、あの!」

男「なに?」

女「返すとき、もしよかったら感想とか…聞かせてくれませんか?」

男(えっ…俺そういうの苦手なんだけど)

男(夏休みの読書感想文とか最後まで残してる方だし…)

男「あ、まぁ、できたらね」

友人に何かに誘われたときに『行けたら行く』と返すような、そんなノリでその場は適当に返して俺は図書室を後にした。

それから一週間、学校から帰ると俺は借りた本を少しずつ読み進めていった。

まぁよくある少女漫画みたいな内容だった。

主人公の高校二年生の女の子、あかねは頭脳明晰スポーツ万能な完璧金髪イケメンに恋をする。彼は全く意識してないようだったが学年の女子からかなりの人気があり、彼と話すだけで並大抵の女の子は恋に落ちてしまう。

そんな彼についたあだ名が乙女心を絶対に捕らえる者『心の狩人(ハートハンター)』

あかねは思い切って彼に告白するもあっけなくフラれてしまう。

しかし乙女の炎は燃え尽きずあかねは諦めずに振り向いてもらえる努力を続ける。

恋する女の子は可愛くなるというが、あかねもまた例外ではなくどんどん可愛くなっていきそこらへんのモブ男子がほっとかないレベルにまで可愛くなる。

その結果これまた学年で有名な性欲の塊みたいな狼男子に目をつけられ、ある日の放課後教室でその狼男子に壁ドンされて襲われそうになる。

そこに忘れ物を取りに来た金髪イケメンがかけつけなんとかあかねは助けられる。
それをきっかけにあかねはやっと金髪イケメンからも意識され始める。

ところが狼男子もまだあかねのことが諦めきれず、正攻法であかねを口説き始めあかねの心も揺らぐ。

こうして自らの恋路に一旦道草を食うも最後は金髪イケメンと狼男子があかねをかけて放課後の教室で殴り合いの決闘をして金髪イケメンが勝利し彼からの告白をあかねも受け入れハッピーエンドとなる…。

女「どうでした?」

男「実に甘ったるかったです」

俺は本を返すためまた図書室を訪れていた。

男「ってか、今週も当番なんだ」

女「あーいえ…他の学年の図書委員さんは忙しいんです。委員長含め三年生は皆さん進路のことでいろいろありますし、一年生や二年生の子たちもみんな部活をやっていて…それで暇なのは部活をやってない私だけなんです」

男「そりゃ大変だな」

女「でもいいんです。私本好きですから!そのおかげで放課後に毎日ここにいることを先生も許してくれたんですよ」

男「え!?毎日!?」

女「いつもここで本を読んだり課題をやったりしてるんです」

男「ふーん…」

女「で、さっきの続きなんですけどどの場面が甘ったるかったんですか?」

男「その話まだ続いてたの!?」

女「それは当然ですよ。お願いしたじゃないですか…感想とか聞かせてくださいって」

男「あ、うーん…えっと…女さんはどうだったの?」

女「私ですか!?私はですね~」

急に目をキラキラと輝かせて彼女は語る。

女「女の私からすればなんといってもやはりハートハンターの彼がたまりませんねぇ…」

にぱにぱとするその表情はもはや男のオタクがアニメを見て『〇〇たん萌え~』とかいってるのと大差ない。

女「やっぱ憧れちゃいますよぉ~。私もこんな人に守られてみたいなって」

女「その…私って背、小っちゃいじゃないですか?だから…こんな背が高くてかっこいい彼みたいな人に抱きしめられたりとか…したいんですよね…」

男「!」

オタクのように金髪イケメンを語る傍ら、頬を赤くしながら恋愛願望も語る女さんからは恋する乙女の片鱗がちらりと見えた。

男(…クラスのイケメンだったら誰でもいいみたいな下品な女子共よりかはよっぽど可愛い方だと思うけどな)

女「さっ、次は男くんの番ですよ!」

男「俺は…主人公のあかねが可愛いと思った」

何も思いつかなくて適当を言った。

女「どこがですか?どの場面ですか?」

男(うぇ…ぐいぐいくるなあ…)

男「恋愛に諦めないとことか、恋する乙女って感じがさっきの女さんみたいで可愛かった」

女「え…?」

男(あっやば…口が滑って変なこと言った)

女「あ、あはははは…!男くんは冗談が上手なんですね!」

なんか気まずくなってしまった。
とりあえず今回で分かったのは俺には読書も向いてないってこと。

男「あーじゃあ俺はこれで…」

女「あれ?今日は何も借りていかないんですか?」

男「うん。まぁね、読書はもういいかなって」

女「そう、ですか…」

女さんは露骨に残念そうな表情をした。

男「え、あ」

男(やめてくれよ…そんな顔されたら何か借りて行かなきゃって思っちゃうじゃん…)

男「じゃあ、またおすすめある?」

女「はい!まだまだいっぱいありますよぉ~!」

女「これとか!これとか~…あとこれも…」

一人で次々とドサドサ本棚から本を回収していく。

男「い、一冊でいい!一冊でいいから!」

女「そうですか。ならとりあえず今日はこれをおすすめしときますね」

彼女は引き出しから俺のカードを取り出すと勝手に受付記入をすませ、つま先立ちしながら俺の顔に一冊の本をぐぃと押し付けた。

男「ぶはっ…」

女「また感想お願いしますね!」

そしてさっきの残念そうな顔とは真逆の太陽のような笑みで図書室から出る俺を見送ってくれた。

男(あーやっちゃった)

男(なんとなくこうなることくらいは想像がついてたのに)

俺は家の自室で鞄を放ると勉強机の椅子に座ってぼーっとしていた。

暫くしてから借りてきた本に手をつける。

男「あ、そうだ。その前に」

男「『本 感想』検索っと…」

男(次は変なこと言わないようにしないとな…)

なうろうでぃんぐ

(-ω-)

男「返しに来たよ」

女「あっ!待ってましたよ。どうでしたか?」

グラウンドを見ていた女さんが俺の方へ向き直りにっこりと笑った。

男「今回は…うーん。幼馴染が魅力的だったかな」

男「特に主人公を庇って爆発に巻き込まれるところとかさ、もう泣いちゃったよ。『本当はお前とはずっと肩を並べて歩きたかったんだがな…』ってかっこよすぎだろ」

女「うんうん。そこは私も感動しちゃいましたよぉ~」

男(よしよし。なんとか上手く話せたぞ)

女「じゃあ次はあれにしましょうか!」

女「んっ…しょっ…あれ…?届きませんね…」

本棚の前で一生懸命背伸びしたり飛び跳ねたりしてるが目的だと思われる本には届きそうにない。

男「どれ?俺が取ろうか?」

女「いえ大丈夫です。ここは椅子を使いましょう」

女さんはシューズを脱いで椅子の上に立った。

女「よいしょっと…これですよこれ!」

彼女が椅子から降りようとしたときだった。

女「ひゃあ!」

靴下が椅子を滑ってしまった。

男「危ないっ!」

ほぼ反射的に身体を動かして彼女を受け止める。

女「あわわわわ…」

男「ふぅ。危ないとこだったね」

女「あ、ありがとぅございます…」

男「どういたしまし…」

男「あ…」

そこではからずも女の子の身体を抱きしめていたことに気づく。

お互いの顔も近くなってつい彼女の顔を見てしまう。

男(やっぱりクラスの女子なんかよりはよっぽど可愛いよな)

間近で近くで見るほど、身体が触れているほど、可愛く見えてしまうのはどうしてだろう。
女の子というのはそういうものなのだろうか。

今までは無かった変な感情が芽生える。

女「あ、あのぅ…もう大丈夫でしゅよ?」

男「ご、ごめん!」

バッと手を離す。
ついでに身体もバタバタと後ずさりする。
無駄にドキドキしている。

男「あ、じゃあ今日はこれ借りて行くから」

貸し出しカードに動揺から出る汚い字で題名と日付を書いてさっさと図書室を退散しようとした。

女「待って!」

制服の袖先を優しく摘まれる。

男「どうしたの?」

女「その、さっきは危ないところを助けてもらって…本当にありがとうございました…」

男「怪我とかなくて本当によかったよ。次からは高い所のは俺が取るからさ」

女「次…から?」

男「あっ」

このときにはもう既に俺はこの図書室に毎週通うつもりになってしまっていた。

男「どうも」

女「あっ、来ましたね!」

女さんはグラウンドを眺めるのをやめて窓際からこちらへとてとてと小さな歩幅の小走りできた。

男「これもなかなか良かったよ。最後は驚いたよ。まさかラスボスが主人公の姉とはね」

女「私は第三章で弟が敵軍の幹部だったって事実の方が驚愕しましたよ」

女「そうそう。次のおすすめ本ももう決まってるんですよ」

男「え?」

女「はわっ!」

彼女はやってしまったという顔で言った。

女「そ、そうですよね。今までは特に読みたいものが決まって無かったってだけで今日はそうとは限らないのに…おせっかいでした…」

男「いやそんなことはないよ」

女「そうですか?」

男「むしろ女さんが俺のために本を選ぶ時間を割いてくれてるんだなって思うと嬉しいっていうか申し訳ないというか」

女「わ、私は全然いいんですよ!」

女「では遠慮なく紹介させていただきます。今日はこれです!」

女さんにおすすめの本を紹介してもらってそれを俺が借りて読む。

返すときにその本の感想をお互いに語り合う。
そんな俺にとっての小さな青春のやり取りがこの他に誰も来ない図書室で行われていた。

俺が図書室に通い始めて4冊目の本を読み終わったときにはもう彼女とは本以外の会話もしていた。

俺はなんとなく彼女と話すのが楽しくなっていた。

男「あのさ、女さんは放課後いつもここにいるんだよね」

女「はい?そうですけど…」

男「じゃあ俺も毎日ここに来てもいいかな?」

女「え!?いきなりどうしたんですか?」

男「あー…俺さ、読書好きになってきたんだよね…だからもっと女さんと語れる時間が増えたらいいなって思って…駄目、かな?」

女「そんな…そんなの…」

女さんは俯いてぷるぷると肩を揺らしている。

男(さ、さすがに調子に乗りすぎたか?)

女「さいっこうですよぉ!」

男「え?」

女「ありがとうございます!私欲しかったんですよねぇ~本について熱く語り合える友達が!」

小さい身体で小動物のようにぴょんぴょんと飛び跳ねる。
…可愛い。

女「あっ…でも一日じゃじっくり本を読むのはしんどいですよね。毎日語り合うのはむりですねぇ…」

がっくりと肩を落とす女さん。
本当によく表情がころころ変わる人だ。
見てておもしろいほどに。

男「いや、大丈夫だよ。最近読むペースも速くなってきてるし、俺部活やってないし。それに何より女さんが紹介してくれる本がおもしろいしね」

女「ほほほ本当ですか!?嬉しいです!」

また目が輝いてる…。

男「じゃあ、また明日」

女「はい!じゃあ明日も楽しみに待ってますね!」

天使のような笑みに見送られて俺は図書室から廊下へ出た。

男「…ふへっ」

自分でも気持ち悪いが自然と表情が緩む。

女さんには悪いが実は読書が好きになったというのは嘘だった。

正直目が疲れるし、偶に展開的につまらなくなってしまうとどうしても手が止まってしまう。

それでも俺は読書を続けていた。

それは、彼女といつまでも話していたくなったから。




俺は完全に彼女のことが好きになっていた。






女「目にくまができてますよ?ちゃんと寝てるんですか?」

男「あーいやあはは…紹介してくれた本がおもしろすぎて…展開が気になって夜も眠れなくなって…」

女「分かります分かりますよぉ。よくありますよね」

女「あ、でもちゃんと寝ないとダメですよ?授業にも支障をきたしますし」

男「俺からしたら女さんの方がそういうことばっかりして寝てなさそうなんだけど」

女「それはありえませんよ。夜更かしはお肌の敵ですからね」

男(へぇ…女さんもそういうに気を使ってるんだ)

男「なんか見た目が子供っぽいからあまりそういうイメージなかったけど…」

女「むぅ!男くんひどいですっ!」

男「あっ、ごめん声に出てた?」

女「がっつり出てましたよ。まったく、確かに見た目はこんなですけど私だって立派な恋する乙女なんですから…」ボソボソ

男「恋する乙女…?」

男(ちょっと待て、恋する乙女って)

男「女さん、好きな人いるの?」

女「うぇ…あっ…」

みるみると女さんの顔が赤くなっていく。

女「しょ…しょのですね…最近できたんです…」

彼女は俺から目をそらして両手の人さし指同士を顔の前でつんつん合わせながらそう言った。

男(最近できたって…)

もしかして、ありえないけどもしかしてもしかすると…

男「えっとそれってさ」

やめとけって

男「だ…」

違う奴の名前が出た時に絶望するだろ?

男「誰?」

結局聞いてしまった。

女「えっ、しょの…ひっ、」

男「ひ?」

女「ヒミツでしゅっ!」

男「あだっ」

またつま先立ちしながら両手で本を顔に押し付けられた。

その後は下校時刻まで二人で各々本を読んだり課題をしてたりしたがその間いつもならあるはずの会話が全くなかった。

椅子に座って本を読みながら偶にちらりと女さんの方を見ると女さんは恥ずかしいのか少し顔を紅潮させながらグラウンドの方を見ていた。
というかほぼずっとグラウンドの方に顔をそらしたまんまだった。

読み込み中
(-ω-)


先生「33、34、35、36…あれ?一人課題出してないやつがいるな…」

先生「おい今日課題忘れたりやってなかったりするやついるか?」

男「あ、すみません…俺です…」

先生「おいおい男、そのくまは勉学に励んでる証じゃないのか…少しがっかりしたぞ」

男(まずい…徹夜で本を読み終わったら眠くなってそのまま寝ちゃってたんだよな)

先生「ゲームか何かか?おもしろいのは分かるけどほどほどにしとけよ」

好きでもない読書の一日一冊をやっていると、とうとう課題に影響が出始めてしまった。

ラグビー部「男とか確かに帰宅部だったよな?マジで家で何やってんだよ」

吹奏楽部「遅くまで練習してるウチらだってちゃんとやってきてるのにねー」

吹奏楽部2「ねー!」

野球部「シコってんじゃねーの?」

キモオタ君「ゲームっておまエロゲかよ」

野球部2「それだけで課題忘れるとかどんだけだよ」

野球部3「お前らそこまでにしとけ」

ドッ

ワハハハハハハハハ

男「いやー普通にアクションゲーだよ。最近あの、あれ、唐揚げ王国3出たろ?あれマジ面白すぎてさ…あは、あはははは」

男(うぜー…)

友「……」

結局その課題は明日持ってくるということで先生に許してもらった。

友「そんなおもしろいか?唐揚げ王国3」

昼休み、俺は購買の食堂で友と一緒にうどんを
すすっていた。

男「まぁまぁ」

友「まぁまぁでくま作って課題忘れるってそりゃないだろ」

友「お前、嘘ついてるだろ」

男「ばれたか」

友「でさ、実際のとこ何やってんの?」

男「読書」

友「読書?ハハッ!意識たけーな。夏はまだ始まったばっかだぜ?一人で秋行ってんなよ」

男「別に好きでやってるわけじゃないんだがな」

友「読書ね~…俺も偶には何か本読もうかな。今日にでも図書室ちらっと覗いてみっか。たしか貸し出し日だったよな」

男「!」

ガタンッ!

男「お前はそれどころじゃないだろ!」

思わず立ち上がってしまった。

友「うおっ!?どうしたいきなり…」

男「あ…」

周りからも少し『どうしたんだあいつ』と言いたげな白い目線を感じた。

男「と、とにかく…お前は部活に集中してりゃいいだろうが…そんなこと言ってっと他のレギュラーにいろいろ抜かされちまうぞ?」

友「…いきなり偉そうだな」

友の声も少し不機嫌なものになっていた。
これはマズイ。

男「ご、ごめん!勘違いすんなよ?頑張れって言いたかったんだよ。俺マジでお前のこと応援してんだよ…な?」

友「…まぁそう言うならそういう風に受け取っとくわ」

男「お、おう。そうしてくれ」

危ない。
何ムキになってんだよ俺…

放課後

女「あはは…今日も見事に男くん以外誰も来ませんね~」

男「…そうだな」

俺は頬杖をついて机に広げた本をぺらぺらと適当に読んでいた。

女「もっと利用者数増やしたいんですけど、男くんはどうしたら増えると思いますか?」

男(…ごめん女さん。多分俺は)

ずっとこのままがいいと思ってしまっている。

俺と彼女だけの、二人だけの小さな青春の空間。

他の誰も…いらない。

女「男くん?男く~ん!」

女さんが目の前まで来て俺の顔の前でブンブンと手を振っていた。

男「はっ!も、もしかしてまた何か変なこと言ってた?俺」

女「?いえ。むしろ心ここにあらずって感じでしたよ。本の世界に入り込みすぎちゃいましたか?なんて、えへへ」

女「男くんがどんどん本を好きになってくれるのは嬉しいんですけど、話しかけたら反応して欲しいなって…ここだけの話私、もう本を読むだけが放課後の楽しみじゃないんですよ?」

男「どういう意味?」

女「男くんとこうしてお話するのも楽しみの一つなんです!」

男「へ…」

女「あっ!別に深い意味はないですよ!?ただ二人で黙って本を読んでるだけなら前までの私と変わらないじゃないですか?」

わたわたと腕をブンブン振り回して深い意味はないことを強調する女さん。

それでも俺にとってその発言は嬉しすぎて、照れ隠しに意地悪したくなった。

男「ははっ、話がしたいなんて…『図書室では静かに』じゃないのか?」

女「むっ…友達同士の二人だけなので図書委員権限でノーカンです」

男「何だそれ。ずるくないか?」

女「小さいことをいちいち気にするような男の人はモテませんよ?」

男「言ったな!」

ふざけたふりしてわしゃわしゃと彼女の頭を撫でる。
キモいが勿論本音はできるだけ彼女に触りたいだけである。

女「えへへ~」

まぁこの反応のうちは許されてると思っていいだろう。
いいよな?だって…

女「もうあと一週間もすれば夏休みが始まってしまいますからね…そうなると男くんとこうして話す機会も無くなってしまいますから」

そうなのだ。
まぁその間は鞭を打つようにやっていた読書とも別れることができるということなのだが…。

でもそれ以上に俺は女さんと一緒に居たくなっていた。

男「あの、さ。もし女さんさえ良かったら、夏休みも一緒に遊んだりとか、しない?」

女「いいんですか?わ、私はぜんぜんおっけーですよ!」

男「え!本当か!?」

女「はい!そろそろここにある本だけじゃなくて私の家にある本の紹介もしたいなって思ってたんです!」

男「じゃあメアド交換しようよ」

女「はい!」

女さんは受付の引き出しから二枚のメモ用紙を取り出して持ってきた。

俺たちはそこにお互いのメアドを書いて交換した。

男「じゃあ俺今日はもう帰るわ。実は昨日の課題忘れちゃってさ。それじゃっ!」

女「はい。ではまた!」

図書室から出た俺は小さくガッツポーズをした。

男「シャッ!」




今年の夏は、俺には似合わない青春が待ってると信じて…。



Now Loading...

(-ω-)

男「えーっと、待ち合わせはここでいいよな」

そして夏休みが始まった。
今日は女さんと本屋に行く約束だ。

待ち合わせ時間より20分も早く来てしまった。

公園の噴水の前で一人落ち着かず5メートルの範囲内を行ったり来たり…

鉄棒で遊ぶ子供たちが不思議そうな目で俺を見ているのに気がついてやめた。

男(そうだぞこの場にいるのは俺だけじゃないんだ。もっと落ち着け!)

周りには子供たち以外にもそこそこ人が居て…
犬の散歩をする人、ベンチに座って休憩する人、あとは…デート中だと思われるカップル…

男(デート?ちょっと待てこれって冷静にデートなんじゃ…)

女「あれ!?すっごく早いですね。待たせちゃいましたか?」

そうこうしてる内に約束の10分前に女さんの声がした。

男「い、いや全然。俺も今来たと…」

男「こ…」

女「?」

そういえば俺は制服姿以外の女さんを見たことがなかった。
これはプライベートだから当たり前だが女さんは私服だ。

白いキャミソールにデニムのショートパンツ…夏らしい格好だが制服よりも露出度が高いため思わず目をそらしてしまった。

女「な、何か変ですかね…?」

男「あ、いやそんなことないぞ!すっごく似合ってるし、すっごく可愛い!」

男(あ、また平然と俺は恥ずかしい台詞を…)

女「えへへ…相変わらずお世辞が上手ですね。お世辞でも嬉しいですよ。じゃあ行きましょうか」

男(お世辞じゃないんだけどな~)

公園を出る女さんの後に続いて、俺たちは本屋を目指して歩き始めた。

男「今日は何買うか決めてるのか?」

女「えっと、実はまだ決まってません!欲しい本がいっぱいありすぎて迷ってます!」

男「そうなんだ」

女「男くんは何か決めてるんですか?」

男「また何かおすすめがあったらそれ買うよ」

女「そうですか!任せてください!」

彼女はトンっと胸を叩いた。

胸といえば今日の彼女は制服よりも薄着なのでもう少し身体の一部が出て見えてもおかしくなさそうなのだが…

男(すとんすとんだ…)

女「…むっ」

男「ぶほっ」

手提げカバンを両手で顔に押し当てられた。

男「何いきなり!」

女「何か良からぬ目をしていたので…」

男(エスパーかよ)

そうこうしてる間に俺たちは本屋に到着した。

女「これと、これと…あっ!これも新巻が出てたんですね。買わなきゃですね」

ライトノベルの新巻を次々と手元に積み重ねて行く女さん。

男「そ、そろそろレジ行く?」

女「そうですね…ここまでにしときましょうか…」

もう10冊くらい抱えていたがそうは言いつつも彼女はまだ買い足りないという顔をしていた。

男「ハハ…さすがにそれ以上買ったらお金がもたないよな」

女「いえ…お金はまだあるのですがこれ以上は重たくて私が持ってるのがしんどいので…」

男(持てたら買ってるってことか…)

男「じゃあ俺が持ってあげるから好きなだけ買いなよ」

女「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」

そこからというもの女さんはリミッターが外れたかのように俺の手の上に本を積み出した。

最終的には合計で20冊ほどとなっていた。

店員「ありがとうございました~」

女「ここ数ヶ月分のお小遣い殆ど全部使っちゃいました…でも男くんのおかげで夏休みも退屈せずにすみそうです!」

男「それは良かった」

女「今日もありがとうございました~!それでは~!」

10冊分の本を抱えて女さんは歩き始めた。

男(…あれ?)

男「女さん!こっちの方!」

女「…あ」

完全に忘れていたようだ。
これだけ買っても持って帰れなければ意味がない。

女「え、えええええっと…」

男「ハハ、送っていくよ」

女「すっ、すみましぇん!」

男「俺このまま帰っても結局今日何もやってないしね」

そう、俺は本屋で何も買うことなく出てきてしまったのだ。

女「あっ…ふぇ…はわわわわ!ほんっとぅにすみません!私自分のことばっかりで…」

女「帰ったら私の持ってるものから一冊、いや二冊…三冊はお好きな本を差し上げますのでぇ!」

男「そこまでしなくていいよ」

女「いえそういうわけにはいきません!」

女さんに案内されて彼女の自宅まで着いた。

女「ぜ、ぜひ上がって行ってください!お茶くらい飲んでいってください。今からお母さんにも友達を上げるように言うので!」

男「は、はぁ…」

彼女が鍵を開けて俺も玄関に入った。

女さんが先に靴を脱いでリビングだと思われる方向に走って行った。

女「お母さーん!友達が来たー!」

それからまたドタバタと玄関まで戻ってきて俺に靴を脱ぐように言った。

なんだか騒がしい。
いつもは友人を家に上げることはないのだろうか…。

女「こっちです」

男(こ、ここが女さんの部屋…)

彼女が扉を開けるとなんだかとてもいい匂いがした。

女「すみません散らかってて…」

散らかってると言っても全然そんなことはなかった。
ただ、本の量がすごい。

女「適当にそこの椅子にでもどうぞ」

男「お、おう」

彼女の勉強机の椅子だと思われる椅子に座る。

大きめの本棚に詰め込まれた本を目前にして一体何冊あるのだろうと考えていると女さんは得意げに言った。

女「あ、何でも好きな本をどうぞ」

彼女はベッドに腰をかけて今日買った本を鼻歌を歌いながらノリノリで開封し始めた。

そこに部屋の外からのノックが割り込む。

女「お母さん?」

女の母「入るわよ~。はいこれお茶とお菓子ね…って!まぁ!お友達って男の子だったの!?」

男「ど、どうも…お邪魔してます」

軽く会釈して挨拶する。

女の母「も、もしかして彼氏とかだったり…」

女「おっ、お母さん!男くんとはそういうのじゃないから!本当に普通の友達だから!ね、ですよね」

女さんがこっちを向いて同意を求めてくる。

男(そんなに強く否定されると落ち込むなぁ)

男「ま、まぁそうです、ね…」

そして同意せざる得ない自分のチキンっぷりにも情けなく思う。

女の母「あらそうなの残念…。でもゆっくりして行ってくださいね?ふふっ」

そう言うと女さんの母親は出て行った。

女「はぁ…えへへ、すみません。お母さんが変なこと言っちゃって…」

男「俺は…全然いいんだけど」

女「男くんは寛大ですねぇ」

男「そういう意味…じゃなくて」

女「…?といいますと?」

男「あ、いやあははごめん。…これ、読んでいいかな」

前のめりになりかけた自分の気持ちを抑えるために俺は適当な本を本棚から取ってごまかした。

そこから三時間くらいずっと二人で黙って本を読んでいた。
本当に図書室にいるみたいに。

しかし、暫くすると女さんの方向から寝息が聞こえてきた。

男「あれ…?女さん?」

女「むにゃ…すぅ、すぅ、」

彼女はベッドに横たわって完全に寝てしまっていた。
十冊分の本を抱えて歩いて帰ってきたため疲れていたのかもしれない。

男(そっとしておいてあげよう)

だが

男(くそっ)

ショートパンツだから普段はスカートで見えない太ももについつい目が行ってしまう。

女「んー…」

男(触ったら柔らかそう)

とか考えたりしてしまって。

男「……」

駄目だと思いつつも気がつけば…

俺はベッドで眠る女の前に立っていた。

男(なんて無防備なんだ…)

服もずれてお腹を出してしまっている。

男「お腹冷やしちゃうぞ?」

そう声に出して言うことで自分の行動を勝手に正当化し、服の方に手を伸ばす。

男(す、少し下げるだけ!少し下げるだけだから!)

『許される』と

女「んっ…男くん…」

男「!」バッ

ヒュンッと空気を切る音が聞こえそうなほどの速度で手を引いた。

女「なんでも…むにゃ…すきな…ほん…」

男「寝言か…」

きっと女さんは寝てるつもりなんかなくて、夢の中でまだ俺に本をあげようとしているのだろう。

男「本なんていらないからさ…」

男「君が…欲しいよ…」

純粋で無垢な彼女に俺は一体何をしようとしているのだろう。

男(バカな真似はやめろよ俺)

そう言えば彼女は好きな人がいると言っていた。
だから本当に彼女のことが好きならば、こんなところで彼女を汚してはいけない。






例え彼女の好きな人が、俺だったとしても…。







女「んばっ!はにゃにゃにゃ!」

男「あ、起きた?」

一時間後、女さんは勢いよく飛び起きた。

女「お、男くん。今何時ですか!?」

男「もう夕方の6時半だな」

女「すっ!すみませんっ!ここに招いておきながら私が寝るなんて!」

男「いやいいよ。もういい時間だし俺も帰るわ」

女「そうですか。あの、どの本にしましたか?」

男「いや本はいらないよ。どれも女さんの大切なものって分かってるし、受け取れないって」

女「でもそれでは私ばかりいい思いをしてしまって…」

男「じゃあさ、また何処かで会う約束してくれるかな?」

女「あ、はい!次はいつにしますか?次こそはおすすめの本を…」

男「ごめん。次は本とか抜きで遊ぼう」

女「へ?」

男「夏祭り、一緒に行かないか?」

女「夏祭りですか?」

男「そう夏祭り」

ごめん女さん。
少しでも俺にもいい思いをして欲しいって思ってるなら。

女「はい!分かりました!」

少しだけ、俺の欲望を満たしてくれ…。

女「それではまた夏祭りでお会いしましょ~」

男「ばいばい」

女「はい~」

彼女の家を出た俺はまた少しだけ小さくガッツポーズをした。

うぃーん….

(-ω-)

とり付けるの忘れてましたすまそ。

ちゃんと俺です

夏祭り当日、祭会場は明かりが灯り沢山の屋台と人集りで賑わっていた。

待ち合わせの場所に10分前に到着するとそこにはもう桃色の浴衣姿の女さんが待っていた。

男「え、早っ!待たせた!?」

女「えへへ~、前してやられましたからね。お返しです」

男(…何の?)

女「まぁさっき来たところなんですけどね」

女「それよりこれどうですか?浴衣ですよ浴衣!私初めて着ましたよ。男くんと夏祭りに行くって言ったらお母さん張り切っちゃって…わざわざ用意してくれたんですよ」

男「へ~。良く似合ってるよ」

女「出た出た出ましたね~!お得意のお世辞!」

男「お世辞じゃないんだけど」

女「そうですか?ならもっと他の感想がいいですね。『良く似合ってる』だけじゃ本を読んで『おもしろかった』って言ってるだけなのとあまり変わりませんからね」

男(なるほど…でも難しいな…)

女「例えば~『いつもより色っぽいね』とか?」

男(身長低いし、浴衣も桃色でどっちかといえば可愛い系だし…)

男「色っぽくは…ないかな。なんか少し背伸びした小学…んぼっ!」

また前と同じ鞄攻撃をくらった。

女「それで、どこに連れて行ってくれるんですか?」

男「どこ行きたい?」

女「それは男くんが決めてください!今日はそういう日です!」

男「そういう日?」

女「だっていつもは私が男くんに本のおすすめを教えてるじゃないですか。でも今日は男くんが私を誘って夏祭りに来たんですよ?男くんの夏祭りのおすすめを私に教えてください!」

男「分かったよ。じゃあ行こうか」

女「は~い!」

沢山の人混みの中にわずかな隙間を見つけて歩く。

男「人が多いな…」

女「ふにゃ!埋もれちゃいますよ~!」

背が小さい女さんは冗談抜きで埋もれてしまいそうだった。

男「手、繋ごうか」

女さんの返事を聞く前に彼女の手を取った。

女「あ…」

男「はぐれないようにしないとな」

自分の願望欲望を満たすためじゃないことを自分に言い聞かせるために念を押して言った。

女「なんかいいですね。こういうの…」

男「は?え?」

帰ってきたのは意外な返事。

女「物語のワンシーンみたいで!」

男「そうかい」

その肯定的な反応は嬉しいけど…
今日くらいは本とか物語の世界の話は無しにして、純粋に俺との時間を楽しいんで欲しいななんて思うのは、欲張りだろうか。

金魚すくい屋「あーもう勘弁してくれぃ!兄ちゃんのせいで商売あがったりだぁい」

客「はいこれで15匹目~」ドヤァ

女「わっ!あの人すごいですね。本当にあんな人いるんですね~」

男「ほんとだすごい」

まぁそれを彼女に求めるのは…

女「漫画みたいですね!」

男「ははっ…」

無理があるか…

男「せっかくだから何か食べようか。たい焼きでも食べよう」

女「たい焼きですか?あまりお祭りのイメージはないですが」

男「お、知らないな?ここのたい焼きの屋台は毎年決まった場所にあるんだけど結構うまいんだぞ?格別なんだ」

女「そうなんですか。じゃあ私もいただきましょう」

たい焼き屋「いらっしゃい」

女「たい焼き一つくださいっ!」

男「おっちゃん俺も一つ」

女「ん?あれ…?あっ…」

女「あっ、すみません私やっぱりいいです…」

男「…?」

たい焼き屋「そうかい。ほい兄ちゃん」

男「あっ、はい」

少し移動して女さんに何があったのか聞いてみた。

男「甘いのあんま好きじゃなかったか?」

女「い、いえ…その実は…お金が無かったんです。本を買ってお財布が空っぽなのを忘れてました…」

男(そういえばそうだったな…)

男「はい。じゃあこれあげる」

女「そんな!男くんのたい焼きがなくなっちゃうじゃないですか!」

男「いいって。俺が誘ったのに誘った相手に楽しんでもらえないんじゃ意味ないだろ?」

女「で、でも本を買いに行った時は私が付き合わせただけだったじゃないですか」

男「夏休みも会おうって言ったの俺の方からだし、あれも俺が誘ったのと同じだよ」

男「ほら冷めちゃうって。出来立てが一番なんだ」

女「うー」

女さんはしぶしぶ俺からたい焼きを受け取ると一口食べた。

女「おいしい…」

男「だろ?」

その後も彼女はたい焼きを食べていたが半分食べたところで止まってしまった。

女「こんな美味しいの一人じゃ申し訳なくて食べられませんよ!」

女「半分こしましょう!はい!」

彼女が半分食べたたい焼きが差し出される。

男「え…」

男(こ、これって間接キスになるんじゃ…)

女「あ、す、すみませんっ!」

さすがに女さんも冷静になったようだ。

女「私が口をつけたものなんてもういらないですよね…どうかしてました」

男「貰うよ」

女「あっ、じゃあ少し割りますね」

男「それじゃあ半分こじゃないだろ。俺が損してるじゃん」

半ば強引に彼女からたい焼きを取り上げて一口で口の中に放る。

男「うん美味い」

女「なっ、ななな…」

男「友達だったらこれくらい気にしないだろ」

女「そういうものですかね?」

男「そういうもんだよ」

お祭りが賑やかなのは神様が賑やかなのが好きだからというのを聞いたことがあるが、もしここに神様が来ているならこのやり取りも見られているのだろうか。

男(ああ神様)

間接キスごときで興奮してる変態的な俺をどうかお許し下さい。

男「もうすぐ花火が上がるよ」

女「もうそんな時間ですか」

男「綺麗に見える場所を知ってるんだ。一緒に行こう」

彼女の手をぐっと引っ張った。

女「わわっ」

このとき、俺は最高に幸せで、最高に調子に乗っていた。

男「ここだよここ」

お気に入りのスポットに到着と同時に丁度最初の一発目が上がった。

女「きれい…」

男「……」

でも俺は殆ど花火を見ていなかった。
花火を見ている彼女の横顔ばかり見ていた。

男「…かわいい」

女「何がですか?」

男「あー…さっきキャラものの花火が上がったろ?いやーよくできてんなって!」

女「そうですか…」

花火が終わり、俺は女さんを家まで送って行った。

女「今日もありがとうございました!楽しかったです!」

男「それはよかった」

女「あの、男くん…」

男「何?」

女「さっき花火見てたとき『可愛い』って言ってたじゃないですか?」

男「あ、ああキャラもののやつの話ね」

女「あれって、花火じゃなくて、その…自分じゃ言いにくいですけど…私に言ってくれてた…とか…」

男「うぇっ!?な、なんで…」

男(やっぱりエスパーかなんかなのか!?)

女「やっぱりそうですか。せっかく上を見れば綺麗な花火が上がってるのにあれだけ見られてたら気づいちゃいますよ」

彼女はクスクスと笑う。

男(そんなにガン見してたのか俺…恥ずかしい)

女「ね、聞いてもいいですか?」

男「何を?」

女「今の私って…可愛いですか?」

男「い、いきなり何言って…」

女「あ、もちろんお世辞とか無しにですよ?」

男「か、可愛いと、思う。お世辞とか抜きで…」

女「そうですか。ありがとうございます。なんだか自分に自信が出てきました!」

男「自信?」

女「それではまた!」

俺の頭の上にクエスチョンマーク出させたまま、彼女は家の中へと入って行った。

男「あ、次の約束するのとか忘れてた」

男「まぁ、またメール送ればいいか…」

とは言ったものの…
あの妙な質問に馬鹿正直に答えてしまったせいで会うのが少し気まずくなってしまった。

結局夏祭り以降彼女と会うことなく夏休みを終わらせてしまった。

きゅいーん…

(-ω-)

校長「夏休みも終わり、二学期が始まりました。二学期は文化祭、体育祭など様々な大型行事もありますがそれらをすべて成功させるためにも普段の引き締まった生活態度が重要になってきます」

校長「お休み気分を早めに切り替え、また文武ともに熱く専念する日々を送ってください」

………

友「ははっ…男悪ィ。今年も部活部活ばっかで夏休み殆ど遊べなかったな」

男「別に気にしてないって」

友「そりゃそうか。今年はお前もそれなりに楽しんでたみたいじゃねぇか」

友「お前、B組の女さんと夏祭り行ってたんだろ?」

男「は!?そ、それは…ってか何で知って…」

友「いや、サッカー部の友達がお前らを見たって言ってたから」

友「やるじゃねーか、で?ぶっちゃけお前らって付き合ってんの?」

男「そんなことは、ない、けどさ…」

友「でもお前は女さんのことが好きと」

男「誰もそんなこと言ってないだろ!?」

友「好きなことは否定しないんだな」

男「っ…」

友「隠さなくてもいいって…さっさと告白しろよな!」

男(告白か…)

確かに、気まずいだけならいっそのこと全部さらけ出して付き合った方がいいかもしれない。

そしたら可愛いとか好きとかもっと抵抗なく言えるようになるし。

男(って何で俺は告白したら付き合えること前提なんだよ)

放課後、俺は図書室の前に立つ。

深呼吸して戸を開けるとそこには窓からグラウンドを見るいつもの女さんがいた。

女「あっ!久しぶりですねぇ~」

戻ってきた。
俺の図書室の青春が…。

女「二学期が始まっちゃいましたね」

男「そうだな」

女「読書の秋ですよ!」

男「時期が俺たちに追いついたってな」

女「そういうわけです!今日はこれを持ってきました!」

男「持ってきた?」

女「はい。これからはできるだけここにないものも読んでほしいんです。夏休みもそれをしようって言ってたのにできませんでしたからね。えへへ~」

そう言いながら手渡されたのは…

女「これも『放課後赤ずきん』とはまた違った魅力がありますよ」

二度目となる恋愛小説だった。

それを持って帰った俺はまた一日で読み切った。

特に何も考えずに文章を頭に入れるだけの作業ならもう慣れたものだ。

しかしある一場面だけはじっくりと読んでしまった。

女「どうでしたか?」

男「『秋は告白の季節』ってとこは、なるほどなって思っちゃったよ」

女「そうですね。体育祭や文化祭の終わりは告白する人たちが多いですからね」

女「でも個人的には文化祭までには告白したいですよね~。だってそれまでに付き合えたら文化祭も一緒に回れるじゃないですか?なんて…」

男「じゃあ女さんも文化祭までに告白するんだ」

その言葉は何も考えずに口から出てしまった。

女「…ふぇ?」

男「好きな人がいるって言ってたよね」

このままではまずいとは思うも、もう止まれなかった。

女「え、っと…そ、それじゃあ…恋愛相談とかしてもいいですか?」

女さんは顔を広げていた本で少し隠しながら喋り始めた。

女「夏祭りに私のこと可愛いですか?って聞いたじゃないですか?」

男「あ、ああ…」

女「男くんは私と居て楽しいですか?」

男(なんだ?あの時に続いて妙な質問だ)

だがそれと同時に確実に高まる希望。

男「あ、当たり前だろ?一緒にいて楽しくなきゃそもそもここまで一緒にいないし、夏祭りにも誘ったりしないし」

女「そうですか。なら安心しましたまた自分に自信が持てました。ありがとうございます」

女「可愛くても一緒にいて楽しくない女の子とはまず付き合えませんからね」

うんうんと一人で勝手に納得する女さん。

質問の意図がなんとなく掴めてきた。
俺もそこまで鈍感じゃない。

男「あのさ、もしかして女さんの好きな人って…」

男「お「友くんです…」

れ?

男「れ?…」

男「れ?…」

今何て言ったんだ?

女「わ、私男くんと同じクラスの友くんのことがずっと好きだったんです…!」

冗談ならよしてくれよ…

女「ああっ!ついに言っちゃいました!言っちゃいました!みんなには内緒ですよ?こんなこと教えるの」

や、やめてくれよ…

女「と も だ ち の男くんだけなんですから…」

その瞬間、目の前が真っ暗になった。

今日中には完結できたらいいなとか

(-ω-)

またとりつけるの忘れた

少し疑問に思ったことがあった。

彼女はいつもここで課題や読書をしていると言っていた。

だが俺が来た時に彼女が課題や読書をしていたのを見たことがなかった。

課題や読書をするのはいつも俺が来たあとで、それまでにやっていたことは…




グラウンドを眺めること





こんなことあっていいはずがない。

だって、もしそうだとしたら…俺は何でここにいるんだ?

俺は何で読書なんて性に合わないことをしていたんだ?

全部全部全部、彼女がいたから、彼女と一緒にいたかったから。



女さんが、欲しかったから…


女「きゃっ!」

俺は女さんの両肩を掴んで椅子から立たせ、壁に押し付けた。
体重と力があまりない彼女に抵抗されずにそうするのは容易だった。

彼女の持っていた本は床にパサリと落ちる。

なんでこんなことをしているのかは自分でも分からない。

女「男…くん?」

男「俺さ、女さんのことが好きだったんだ…」

最悪の告白だった。
だが最悪が故にどもらずに一息で言えた。

もうこれが叶わぬ恋だと分かってしまったから。

女「…え?え?」

何もせず、ただじっと彼女を見つめた。
今俺はどんな顔をしているのだろう。

その答えは彼女がくれた。

女「…こ、怖いですよ」

女「今の男くん…狼さんみたいです…」

男(狼、か…)

今ならそれも悪くないかもしれない。

なんなら、このまま狼になりきってしまおうか。

いっそ完全に嫌われた方がマシかもな。

女「は、離し…んむっ…!」

彼女の唇を無理やり奪った。

とても甘いような酸っぱいような、

そして、苦いような…

そんな味がした。

女「んっ…はぁ、はぁ…男、くん…うっ、ううっ…」

顔を離すと女さんは大粒の涙を流していた。

男「あ、ああっ…」

その表情で現実に戻される。

男(お、俺は何てことを…)

男「ああああ!あああああああああ!」

逃げるように図書室の戸の方向へ行こうとすると女さんに後ろから抱きしめられ、つかまった。

女「男くん待って…!このまま行かないで下さい…」

女「すみません私…男くんの気持ちも知らないで男くんのこと利用しようとしてました…最低、ですよね…」

女「でも私男くんのことも大切なんですっ!初めてできた…大好きな本で繋がった、友達ですから…」

女「だからこれからも友達でいてくれませんか!?これからも…ここに来てくれませんか…?」

なんだよそれ…
なんでそんな残酷なこと言うんだ。

男「あーごめん。俺実は女さんに一つ嘘ついてた」

女「嘘?」

男「俺別に本読むの好きじゃねーから…」

女「へ?そんな…嘘ですよね?」

俺は彼女の力ない腕を振りほどくと後ろも振り向かずに戸のに手をかけて言った。

男「嘘じゃねーよ。本なんて、読書なんて…」





「大っ嫌いだ」



俺はその日、日々本を読み続ける地獄から解放された。

本を読むことも図書室に行くこともなくなった俺には味気ない学校生活が戻ってきていた。

そんなある日の放課後…

先生「お前最近はくま見せなくなったな。ちゃんと寝てるようで先生安心だ」

男「まぁ、そうですね…」

先生「なんだ?前言ってたゲームはもう飽きたか?」

男「まぁ、そんなとこですかね…」

先生「あー男、悪いんだが今お前暇か?」

男「はい。今から帰るとこでしたけど」

先生「先生いまから資料室にこの前集めた課題ノート取りに行くんだけど職員室に運ぶの手伝って貰えるか?」

男「あーはい。分かりました」

先生「ははっ、悪いな」

こうして先生について行く形で資料室に向かうことになったのだがその途中で資料室が図書室の前を通った先にあることをふと思い出した。

男(だからどうしたという話だが…)

先生が資料室の中に入って行ったので俺も続いて中に入ろうとしたときだった。

男(図書室から話し声が聞こえる)

あの俺と女さんしかいなかった図書室にだ。

いつもは使われてない、受付からは遠い奥のもう一つの戸を少し開けて中の様子を見てみた。

そこにいたのは女さんと、友だった。

女「あ、あの…実は前から好きだったんですっ!付き合ってくださいっ!」

友「あー…あれ?なんでだ?俺てっきり女さんは男と付き合ってるもんだとばかり思ってたわ」

友「どおりで最近元気がないと思ったらこういうことか」

女「へ?」

友「とにかく俺は女さんとは付き合えないわ。俺女さんのことよく知らないし、それになんというか…こんなこと言うの失礼だけどさ…」

友は俺が欲しかったそれをあっさりと蹴った。
なんてやつだ。

友「女さん本当に俺のこと好きなの?なんか全然そういうのが伝わってこなかった。じゃっ、俺は今から部活なんでこれで…」

女「……」

友「あ、せっかく図書室来たしなんか借りてくよ」

女「す、すみません、今日は貸し出し日じゃないんです…」

友「いいじゃんいいじゃん。なんかおすすめとかある?」

女「じゃあ、これを…」

友「ありがとな。んじゃーね」

男(あ、友が図書室を出る!)

俺は気づかれないように急いで資料室に駆け込んだ。


友「…ばればれだっつの」

家に帰ったあと、俺は友に対しての理不尽な怒りがこみ上げてきた。

男「あんの部活バカっ!あんな簡単に女さんをふりやがって!」

男「クソクソクソクソ!!!」


そしてそのまま一週間。

ついに怒りを抑えきれなくなった俺は部活前の友を廊下で引き止めた。

男「おい。お前さ、なんで女さんのことふったんだよ」

友「どっかで聞いたのか?なんでってそりゃいつものノリだよ。お前も知ってるだろ?俺が今まで何人もふってきてんの」

男「いつものノリって…女さんをその辺の女子と一緒にすんなよ!!」

男「見た目も仕草も小動物みたいで可愛いし、表情がいちいちコロコロ変わっておもしろいし」

男「一緒にいて楽しいし、話してて楽しいし、寝顔も可愛いし、浴衣も良く似合うし…それに、それに…」

友「あーもう分かった!女さんの魅力はよく伝わった!」

男「本当かよ…じゃあ!」

友「俺には勿体無いくらい魅力的ってことが分かった」

男「お前レベルで勿体無いって…それもう俺にとっては話すのも勿体無いレベルじゃねーか」

友「本当にそう思うか?」

友「あっ、今日貸し出し日だったよな。でも今日今から部活で行けそうにないからお前代わりに返しといてくんね?」

男「それって…」

そう言って友が取り出したのは『放課後赤ずきん』

友「その反応だとやっぱお前も知ってんのか。なかなか面白かったぜ?俺は狼男子が結構好きだったわ」

男「あんなのただの自分勝手なクソ野郎じゃねーか」

そう、どっかの誰かさんみたいに。

友「でもあいつさ、もうちょっとで主人公のことおとせそうだったって…そう思わないか?」

友「もし金髪イケメンが主人公に最後の最後まで興味がなかったら、どうなってたんだろうな」

男「!!」

友が本を軽く放った。
俺はそれをキャッチする。

友「行ってこいよ」



「俺はそういう終わり方もありかもなって思ったぞ」



男「女さん!」

壊れるんじゃないかと思うほどの勢いで図書室の戸を開けた。

女「…男くん?」

男「これ、友の代わりに返しに来た」

男「あと俺、すっげー酷いことした!許されると思ってないけど…ごめん!」

女さんは俺から本を受け取ると軽く微笑んでから話し始めた。

女「私、友くんにふられちゃったんですよね…」

男「……」

女「でもふられて当然だったんです。私あれから男くんのことばかり考えてましたから…」

男「え?」

女「今日は来ないのかな…もしかたら今日こそは来てくれたりしないかなとか…明日こそは来てくれないかなって…」

女「だから、こうしてまた男くんがここに来てくれたのが…すっごく嬉しいんです!」

女「ほんとうに…うぇ…うぅ…ほんとうによかったですよぉ…」

女「べつにもう本も読まなくていいので…おねがしますっ!」

女「またっ…あしたから…ここにきてくれませんか?男くんといっしょにここにいたいんですっ!」


男「はぁ…」

男「好きな人がいる場所に一緒にいない意味がないだろ?…へごっ!」

顔に本を押し当てられた。
この攻撃が懐かしく感じる。

女「本当そういうことすぐ言っちゃうんですから…」

男「きつい照れ隠しだな。これ結構痛いんだぞ?」

女「うっ…それはすみませんでした…」

女「もし、もしですよ?まだ私のことを好きって言ってくれるなら…その…」

女「私と付き合ってくれますか?」

それは嬉しい一言のはずなのに、一瞬彼女が何を言ってるのか理解できなかった。

男「え?マジで?」

女「し、尻軽女だって思いますか?だ、だったら尚更責任とってくださいよ!どっかの狼さんがそうさせたんですから!」

ブンブンと腕を振り回す彼女の頭の上に手を置いた。

女「はにゃ!」

男「ははっ…すっげー嬉しい」

女「…目、瞑ってください」

男「え?ああ、はい」

彼女に言われた通り目を瞑った。

女「あっ…すみません少し腰を低くしてください」

男「これでいいか?」

女「……」


あるところに女の子がいました。


女の子は道行く途中で狼さんに出会いました。


狼さんのせいで女の子は道草を食い、その結果狼さんに食べられてしまいました。




だから、女の子も狼さんを食べることにしました。



図書室の中の小さな青春の結末は




どこか甘酸っぱい
バッドエンドの味がした…。





おわり





これにておしまいです

ここまで読んでくださった方はありがとうございました

(-ω-)


甘酸っぱくていいねぇ…

ちなみに過去作なんかはあるのかな?

>>119

いっつもこれと同じようなものばっか書いてます。そしてだいたい設定がガバガバです。
元々SS宝庫のマジキチシリーズに憧れてSS書き始めたので、えっちでギャグものばっか書いてます。

雑草を生やす能力を手に入れてみたり
ロリ悪魔と契約したり
下から破壊光線を出したり
兎といちゃいちゃしたり

おすすめするには文が寒すぎたり超展開だったりといろいろヤバイのばっかなので
興味が出たら酉検索してみてください。
(-ω-)

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