西住みほ「ボコミュージアム新アトラクション『ボコ・ハザード』?」 (52)

大洗学園艦 寮

みほ「えーと……」カキカキ

みほ「うん。新しい作戦はこれで行こうかな」

『やってやるやってやるやーってやるぜ♪』

みほ「あっ。ボコのCM」

『オイラ、ボコだぜ!! よう、お前ら! ボコミュージアムに新しいアトラクションが出来たって知ってるか!?』

みほ「え!? 知らない!」

『なにぃ? 知らないだとぉ! オラオラ、そんなやつはボコボコにしちまうぞ!!』

みほ「どんなアトラクションなの!?」

『新しいアトラクションは恐怖のボコ・ハザードってんだ! 絶対にお前らを震え上がらせるからこいよな!!』

みほ「絶対、行く!!」

『じゃあな~』

みほ「わぁ……。今度の日曜日にでも行こうかな……沙織さんたち、一緒に行ってくれるかなぁ……」

みほ「よしっ。ちょっと電話してみよう」

みほ「あ、もしもし、沙織さん? あのね! ボコミュージアムに新しいアトラクションが出来たんだって! それでね、今度の日曜日にでも――」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468491833

日曜日 ボコミュージアム 入口

みほ「わーい!」テテテッ

優花里「あぁ、西住殿! 待ってください!!」

沙織「麻子、ホントによかったの? 調べたら新しいアトラクションってお化け屋敷みたいだよ?」

麻子「入らなければ問題ない」

沙織「まぁ、そうなんだけどさ」

みほ「みんなー!! こっち! こっちだよー!!」ピョンピョン

華「みほさん、あまり急がないでください。転んでしまいます」

みほ「早く行かなきゃ、行列ができてると並ばなきゃいけないし!」

優花里「果たして並ぶほどの集客力はあるのでしょうか」

沙織「実際、ボコの人気ってどれほどなんだろうね」

麻子「今はそこまでの人気はなかったはずだが」

優花里「島田流がスポンサーにならなければ廃園もありえましたもんね」

みほ「ねえねえ! あとでお土産屋さんにも寄っていいかな!?」

沙織「うんうん、いいよ」

ボコ『よう! お前たちよく来たな!!』

みほ「やっぱり生ボコは何回見てもかわいい!!」

沙織「で、ボコ・ハザードってどっち?」

優花里「パンフレットによれば、こちらですね」

沙織「みぽりん、いくよー」

ボコ『うわ! なにをする!! やめろー!!』

みほ「はぁぁ……」

沙織「みぽりんってば」

みほ「ああ、ごめんね」

華「あちらにレストラン、新メニューがあります」

優花里「では昼食はあちらで」

華「ありがとうございます!!」

みほ「あ! みてみて!! ボコの新商品が出てる!!」

麻子「どれが新商品なんだ」

沙織「こら、みぽりん! お土産屋さんはあとででしょ」

アトラクション入口

ボコ『お前たち、この恐怖の館に入るつもりか。やめておけ。ちびってもしらないぜ』

みほ「替えの下着とかいるのかな。だったら、買ってこないと」

沙織「絶対いらないって」

優花里「外観で判断するなら特に怖くはなさそうですが」

麻子「気を付けて行ってきてくれ」

華「麻子さん、本当にいいのですか?」

麻子「うん。待ってる」

沙織「麻子は説得するだけ無駄だから、私たちだけでいこっ」

優花里「そうですね」

ボコ『オイラは止めたぜ? どうしても入るっていうなら、この誓約書にサインしてくれよな』ペラッ

みほ「なんだろう?」

優花里「ええと……。この誓約書の内容に同意した方のみアトラクションへお越しください。と書かれていますね」

みほ「ここに名前を書けばいいのかな?」

沙織「まずは読もう、みぽりん」

・体力に自信のない方、足の不自由な方、その他のアトラクションを安全に利用できない方は体験をご遠慮ください。

・アトラクションを利用することにより悪化する症状をお持ちの方。以下に該当する方は利用できません。
心臓疾患 血圧異常 背中、首、腰、脊髄の疾患 妊娠中 めまい 閉所恐怖症 肌の弱い方 ボコに恐怖心のある方 体調不良


優花里「結構多いですね」

みほ「私、全部大丈夫みたい!」

沙織「みぽりんなら、そうだよね」

麻子「全部該当している。私はどちらにせよ無理だな」

華「妊娠されているのですか?」

優花里「まだ下に何か書かれていますね」


・以下の特殊効果を使用しています。この特殊効果により悪化する症状をお持ちの方は利用できません。
フォグ・スモーク ストロボ 水 大音量 暗闇 臭い ボコ


沙織「ところどころあるボコってなんだろう」

優花里「まぁ、ボコがメインですからね」

沙織「ボコを怖がる人はそもそもここに来ないと思うんだけど」

みほ「書いたー! これ、どこに提出するのかな!?」

優花里「誓約書はボコが受け取ってくれるそうですよ」

みほ「ホントー!? はい、これ、お願いします」

ボコ『確かに受け取ったぜ。さぁ、行ってきな。地獄へな』

みほ「はーいっ」

沙織「ボコとみぽりんの温度差がすごい」

華「楽しそうでなによりです」

優花里「私たちも遅れないように行きましょう」

華「はい」

みほ「どんなアトラクションなんだろう。ワクワクするよね!」

沙織「うん、するする」

華「それでは行ってきます」

麻子「アイスでも食べながら待ってる」

優花里「それでは後ほどー」

みほ「いってきまーす!!」

麻子「おー」

麻子「行ってしまったか……。さて、アイスはどこだ」

「うぇぇぇぇん!!! こんなのむりだよぉぉ!!!」

麻子「む……? 脱落者か?」

桃「もういきたくないよぉ、ゆずちゃぁぁん」ギュゥゥ

柚子「もう、桃ちゃん。5分でリタイヤは早すぎ」

杏「河嶋が入りたいって言ったのにな」

柚子「けど、本当に怖かったですね」

杏「序盤から容赦なかったしな」

柚子「ふふ。会長が悲鳴あげるところ、初めて見ました」

杏「あれは誰だって声が出るな」

麻子「ちょっといいか」

杏「お、冷泉ちゃん。一人できたの?」

麻子「いや、西住さんたちと一緒だ。その西住さんは今、このアトラクションに入っていったが」

杏「そうなの。ここ、メチャクチャ怖いよぉ。私も半分行けてたか微妙だな」

麻子「そんなになのか……。沙織たち……大丈夫か……」

>>7
柚子「もう、桃ちゃん。5分でリタイヤは早すぎ」

柚子「もう、桃ちゃん。5分でリタイアは早すぎ」

アトラクション内

沙織「さむっ!? な、なんか、急に温度さがってない!?」

優花里「演出でしょうね」

華「前方に何かがいます」

ボコ『ばぁー!!!』

沙織「きゃぁ!?」

みほ「ボコゾンビだー! かわいい!」

沙織「えぇぇ……?」

ボコ『どうやら次の生贄がきたみたいだな……。クックックック……。ここから先は武器がないとダメだぜ?』

華「武器ですか」

ボコ『お前ら、どんな武器を持っている?』

優花里「ぶ、武器と言われましても……」

沙織「えーと……えーと……。あっ! ソーイングセットの針ならあったよ!!」

華「縫い針でいいのですか?」

ボコ『なるほど。良い武器をもってるな』

みほ「えーと、ポケットティッシュでどうかな!?」

沙織「それ武器になるの?」

ボコ『なるほど。良い武器を持っているな』

優花里「なんでも良さそうですね」

ボコ『よし、進め。途中で外に出たくなったら大声で『ボコー!! たすけてー!!』って叫ぶんだぞ。オイラが助けにいってやる』

華「このボコゾンビさんは敵というわけではないのですね」

みほ「わぁぁ……それみてみたいなぁ……」

沙織「クリアしないの?」

みほ「あ、そうだね。一回クリアして、もう一度入ればいいんだよね」

優花里「そ、そうですね」

沙織「もう一回入るの……」

ボコ『さぁ、いけぇ!! ここから先は本当の地獄だぜ!!』

みほ「みんな! 行こう!! パンツァー・フォー!!」テテテッ

沙織「みぽりん!! 先にいかないでよぉ!!」

優花里「西住殿ー!!」

墓地エリア

みほ「ボコのお墓がいっぱいある」

沙織「ちょっとみぽりん、おいて行かないでよぉ」

優花里「何かが這い出てきそうですね……」

華「みなさん、暗いですから足元に注意して――」

グチャ

華「あら……? なにかしら?」

沙織「どうしたの、華?」

華「今、何かを踏んでしまったようで……」

優花里「な、何を踏まれたのですか……?」

みほ「あ、これ、初期シリーズのボコをイメージしたお墓みたい」

華「なんでしょう……。生暖かくて……それでいて少し血のような臭いが……」グチュ

沙織「は、華……何をもってるの……?」

華「これは腸のように見えますね」グニグニ

沙織・優花里「「……!!!」」

華「何とも言えない感触です」グニグニ

沙織「やだもー!!! 華!! そんなの捨てて!! ほら!!!」

優花里「五十鈴殿!! 投げ捨ててください!! 投棄してください!!」

華「そうですね」ポイッ

みほ「なになに? なにかあったの?」

沙織「み、みぽりんは見なくてもいいから」

みほ「えー?」

優花里「な、なんですか、今の生々しいものは……」

沙織「これも演出ってやつなの……」

グチュ……グチュ……

沙織「もー、華ぁ! 触らないでって言ったでしょ」

華「はい? 何も触っていませんけど?」

沙織「え……じゃあ……この音は……」

ボコ『ウマ……ウマ……ン……? オマエタチ モ ウマソウダナ……』グチュグチュ

沙織・優花里「「きゃぁぁぁ!!!」」

華「このボコは……!」

ボコ『クッテヤル……クッテヤル……クーッテヤルゾ……』

みほ「そんな……ボコが死肉を漁るなんて……」

沙織「にげよぉ!!」

ボコ『シンジマッタヤツナラ オイラ モ カテルンダ……』

みほ「そんなのボコじゃない!! 自分を取り戻して!! ボコ!!」

優花里「西住殿!! ここはそういうアトラクションではありませんから!!」

ボコ『ウオオォォォ!!!!』

沙織「きたぁぁ!!」

華「しかし、ボコなら戦えば勝てるはず」

優花里「どこまで肝が据わっているのですかぁ!?」

ゾンビ『ウオォォォ!!!』

みほ「きゃぁぁ!!!」

華「普通のゾンビもいるなんて卑怯です」

沙織「は、はやくいこっ!!! 急いで!!」

沙織「はぁ……はぁ……」

優花里「もう、追ってはこないようですね」

みほ「び、びっくりしたぁ……。普通のオバケもいるなんて……」

華「驚きましたね」

沙織「お、驚いてたんだ……」

みほ「でも、ボコになにがあったんだろう。あんなのボコじゃない。ボコは立ち向かっていくからボコなのに……」

華「その謎も進んでいけばわかるかもしれませんね」

みほ「うん。進もう」

沙織「棄権したいんだけど」

優花里「ま、まぁ、まだ普通のお化け屋敷ですから」

沙織「でも、普通のお化け屋敷があんな気味悪いモノをおくかなぁ」

優花里「そうですね。妙にリアルでしたし」

ギュイィィィィン!!!

沙織・優花里「「……!!」」ビクッ

みほ「この音は……?」

チェーンソー・ボコ『キッテヤル、キッテヤル、キーッテヤルゾ!!』ギュィィィィン!!!!

沙織「きゃぁぁぁ!!!」

みほ「ボコが武器を持ってる!?」

華「縫い針とポケットティッシュでは太刀打ちできませんね」

チェーンソー・ボコ『ウォォォォォ!!!!』

優花里「うわぁぁぁ!!!」

みほ「優花里さん!! こっち!!」グイッ

優花里「わわっ!?」

華「沙織さん! こちらへ!!」グイッ

沙織「ちょっと!! 華!! みぽりんとはぐれちゃうよ!!」

チェーンソー・ボコ『キィィッテヤルゼ!!!』

沙織「こっちにきたぁ!?」

華「急ぎましょう。切られてしまいます」

沙織「もーやだー!!」

チェーンソー・ボコ『ウオオォォォォォ!!!!』

みほ「沙織さん……華さん……」

優花里「ど、どうしましょうか……」

みほ「助けにいかなきゃ」

優花里「ですよね!! 早く二人の救出に向かいましょう!!」

みほ「ボコを助けなきゃ」

優花里「えぇぇ!? そちらですか!?」

みほ「ボコに何かあったんだと思う。武器を持つなんて、ボコじゃない」

優花里「そういうストーリーというか設定はありそうですが」

みほ「優花里さん、私と一緒に来てくれる?」

優花里「それはいいのですが」

みほ「ありがとう! こっちに行ってみよ!」ギュッ

優花里「あぁ、そんなに強く手を握られるなんて……」

みほ「こっちに県立ボコ病院があるみたい」

優花里「県立なんですか」

みほ「入ってみよう」

沙織「もーやだー、そとにでよー」

華「沙織さん」

沙織「なによぉ」

華「こちらにボコ研究所という施設があるようです」

沙織「どんだけ広いのよ、このアトラクション……」

華「行ってみますか?」

沙織「まぁ、行かないとね。戻ればさっきのボコがいるだろうし」

華「決まりですね」

沙織「みぽりんとゆかりん、大丈夫かなぁ」

華「今は信じるしかありません」

沙織「だよね」

カサカサカサカサカサ……

沙織「ん? 足に何かが……」

華「この黒い虫は……」

沙織「ひぃ――」

ボコ病院

『キャァァァァァァァァ!!!!』

優花里「ひぃ!?」

みほ「きゃぁ!?」

優花里「な、なんですか、今の悲鳴は……」

みほ「分からないけど、外には出ないほうがいいかも」

優花里「そ、そうですね」

みほ「優花里さん、私の手を絶対に離さないで」

優花里「も、もちろんです!!」ギュゥゥ

みほ「ここも注意しないと何がでてくるか――」

バンッ!!!

みほ・優花里「「……!?」」ビクッ

ナース・ボコ『患者か?』

みほ「あ、ナースボコだ。可愛い」

優花里「私にとっては恐怖の対象なのですが」

ナース・ボコ『ここに座って待ってろ』

みほ「はーい」

優花里「い、いいのですか? 何かの罠ということも……」

みほ「とりあえず待ってみよう」

優花里「は、はい……」

『西住さん。西住みほさん。診察室へどうぞ』

みほ「あれ、呼ばれた?」

優花里「何故、西住殿の名前を……」

みほ「最初に提出した誓約書じゃないかな?」

優花里「おぉ。そういうことですか」

みほ「呼ばれたから行ってくるね」

優花里「はい」

優花里「……」

優花里「……あれ?」

優花里「あぁぁぁ!! 西住殿!! ひとりにしないでくださぁぁい!!!」

診察室
 
優花里「西住殿ぉ……」

ドクター・ボコ『クックックック……』グチャグチャ

優花里「え……? え……?」

ドクター・ボコ『ナンダ……? マダヨバレテイナイダロ……アキヤマユカリサン……』

優花里「な、な、なにを……しているのですか……?」

ドクター・ボコ『イマハ ニシズミミホサン ノ シンサツヲシテイルンダゼ……』グチュグチュ

優花里「し、診察って……」

ドクター・ボコ『ホラ……ニシズミミホサンノカラダ ノ ナカ キレイダロ……』グチュグチュ

優花里「あ……あぁぁ……」

みほ「ゆ……かり……さ……ん……」

ドクター・ボコ『ニシズミミホサン ノ シンゾウガ ウゴイテルノガ ヨクワカルダロ? クックックック』

優花里「うわぁぁぁぁぁ!!!!」

ドクター・ボコ『ニシズミミホサンノ ナカ コウナッテルンダ ヨクミテオケ』

優花里「あぁぁぁぁ!!!」

ボコ研究所

沙織「もー!! なによ!! 外のアレ!!」

華「ゴキブリですよね」

沙織「言わなくていいから!!」

華「研究室がありますね」

沙織「は、入るの?」

華「ここ以外に入れそうな場所はありませんし」

沙織「もー、虫とかホントやめてよぉ」

華「お邪魔します」ガチャ

沙織「な、なにかある?」

華「カプセルのようなものに入っているボコが沢山いますね」

沙織「な、なにこれぇ。変な液体も入ってるし」

華「今にも動き出しそうです」

沙織「変なこといわないで――」

ゴボボボボ……

沙織「ん? 何の音かな?」

華「液体がカプセルから抜けていきますね」

沙織「で、どうなるの……?」

プシュ……

華「カプセルが開いた……」

ボコ『……』

沙織「な、なんか……ヤバそうなんだけど……」

華「相手はボコです。なんとかな――」

プシュ……

ボコ『……』

ボコ『……』

沙織「い、いっぱい出てきたけど!?」

華「多勢に無勢ですね。ここは退却しましょう」

沙織「う、うん!!」

ボコ『ニガサネエエゾ!!!』

沙織「きゃぁぁ!!」

華「沙織さん!! 先に行ってください!!」

沙織「もーやだー!! かえりたーい!!!」

ボコ『マテェェェェ!!!!』ガシッ

華「なっ……!?」

沙織「え!? 華!? ちょっと!! 華を離して!!!』

華「沙織さん!! 貴方だけでも逃げてください!!」

沙織「ちょっと!! 何言ってるのよ!?」

華「早く!!」

ボコ『アタラシイナカマダ』ギュゥゥ

華「うっ……」

ボコ『オイラタチノナカマダ』ギュゥゥ

沙織「はなぁ!?」

華「こ、ここを閉じます……どうか……沙織さん……私の分まで……生きて――」バタンッ

沙織「華!? 華!! ちょっと!! シャレになってないわよー!! はなー!!!」

墓地エリア

沙織「何がどうなってるの……!! ここ、本当にアトラクションなの……!?」

優花里「武部殿!!」

沙織「ゆかりん!!」

優花里「武部殿ぉ……西住殿が……西住殿がぁぁ……」

沙織「ど、どうしたの!?」

優花里「うわぁぁぁん!!」

沙織「しっかりして、ゆかりん!!」

優花里「うっ……ぐっ……」

沙織「私だって、華が連れていかれて……」

優花里「い、五十鈴殿まで……」

沙織「もう……どうしたらいいか……わかんないよぉ……」

優花里「たけべ……どの……」

沙織「ゆかりーん!! どーしよぉ!! 華が……はながぁ……」ギュッ

優花里「うわぁぁぁん……にしずみどのぉ……!!」ギュゥゥ

フードコート

麻子「ふぅん。会長はそれで悲鳴をあげたのか」

杏「いきなり小山の体が引き裂かれてたら驚くって」

柚子「私もいきなりのことで自分がどうなってたのかよくわからなかったんだけど」

桃「悪趣味すぎる!!」

杏「複数人で入ると、そういう演出が発生するみたいだな」

麻子「だったら、沙織たちも今頃……」

柚子「まだクリアできた人がいないっていうのも頷けるね」

桃「大体、あのゴキブリも精巧すぎるぞ!!」

杏「まぁ、あれも結構びっくりするよな」

桃「全てがリアルすぎるんだ!! 誰が作ったんだ!!」

杏「誰が作ったって、スポンサーは島田流家元だから、そこじゃない?」

柚子「え!? それじゃあ、愛里寿さんのお母さんが……!?」

杏「どこまで携わっているのかは知らないけどな」

麻子(沙織、無事に出てきてくれ)

アトラクション内

沙織「みぽりんと華を助けよう」

優花里「武部殿……。しかし、ここでリタイアしたほうが……」

沙織「ダメ!! そんなことしたら、もう二人が戻ってこないような気がする……」

優花里「……」

沙織「私だけでも行くから」

優花里「待ってください!! 私も……私も行きます……!!」

沙織「無理しなくてもいいんだよ?」

優花里「私も西住殿と五十鈴殿を助けたいんです!!」

沙織「いいんだね。どうなっても」

優花里「それはお互いさまですよ」

沙織「ゆかりんっ」

優花里「武部殿っ」

沙織「よし! 手を繋いでいこう!!」

優花里「もちろんです!!」

ボコ病院

沙織「みぽりんは……こっち……?」

優花里「は、はい。その診察室に……」

沙織「よ、よーし。まずはみぽりんを助けて、華のところにいそぐよ」

優花里「五十鈴殿、大丈夫でしょうか」

沙織「仕方ないじゃない。華はたくさんのボコに捕まったんだから、一人でも多くの味方が必要なのっ」

優花里「そ、そうですね」

沙織「は、はいるよ」

優花里「はい……」

沙織「……」ガチャ

優花里「うぅぅ……」

『……』

沙織「誰か、いる……」

優花里「に、西住殿ですか……?」

『サオリサン……ユカリサン……タスケテ……タスケテ……』

沙織「みぽりん!! なにが――」

ミホ・ボコ『ワタシ……ボコニナッチャッタ……』

優花里「に、にしずみ……ど……の……」

ミホ・ボコ『ドウシヨウ……ウレシイケド……ボコニナッタラ……モウ……ミンナト……センシャニノレナイヨ……』

沙織「い、今助けてあげる――」

『ユカリサン……サオリサン……』

優花里「ひっ……!?」

ハナ・ボコ『ワタクシモ……ボコニ……ナッテシマイマシタ……アクティブナワタクシ ヲ ミナイデ……クダサイ……』

沙織「は、華まで……」

優花里「あぁぁぁ……」

ミホ・ボコ『タスケテ……サオリサンモ……ユカリサンモ……ボコニ……ナル……?』

沙織「ち、近づかないで!!」

ハナ・ボコ『コノ……サキニ……ボコ……ノ……ナゾガ……アリマス……ソレヲ……ソレヲ……アァ……ユカリサンヲ タベテシマイタイ……』

優花里「五十鈴殿ぉぉ!!」

沙織「ゆ、ゆかりん!! ここにいちゃダメ!! 逃げよう!!」

優花里「い、五十鈴殿が何か言っていた気がします!!」

沙織「分かってる!! ちゃんと聞いたよ!!」

優花里「この先に何があるのでしょうか……」

沙織「分かんない。わかんないけど、みほと華を助けられるなら行かないと!!」

優花里「は、はい!!」

ミホ・ボコ『ユカリサン……ユカリサン……』

優花里「西住殿!! 必ず!! 必ず救ってみせますから!!」

ハナ・ボコ『サオリサン……サオリサン……』

沙織「華!! 少しだけ待ってて!!」

優花里「武部殿!! 裏口を発見しました!!」

沙織「よし!! そこから出よう!!」

ミホ・ボコ『マッテェ』

沙織「またね、みほ」

ミホ・ボコ『サオリサン……サオリサン……』

沙織「絶対、助けるからね」バタンッ

教会

沙織「教会……。ここに何かあるのかな」

優花里「なければ困ります。探しましょう」

沙織「そ、そうだね!」

優花里「しかし、どこから探せば……」

ヤッテーヤル……ヤッテーヤル……ヤーッテヤルゼ……

沙織「な、なに、この歌……」

優花里「外から聞こえてきますけど……」

ヤッテーヤル……ヤッテーヤル……ヤーッテヤルゼ……

沙織「ボ、ボコの集団が……」

優花里「教会を包囲するつもりですか!?」

沙織「急ごう!! このままじゃボコが押し寄せてくる!!」

優花里「はい!!」

沙織「ま、まずはあの部屋から!!」

優花里「了解です!!」

書斎

沙織「何か、何かないかな……」ゴソゴソ

優花里「おぉ!!」

沙織「どうしたの!?」

優花里「見てください!! 月刊戦車道の第一号が置いています!! こんなレアなものがここにあるなんて!!」

沙織「ゆかりん……」

優花里「はっ!? すみません……つい……」

沙織「真面目にやってよね!!」

優花里「武部殿!! こんなものを発見しました!!」

沙織「なになに?」

優花里「ボコ日記と書いています」

沙織「それだね。女の勘がそういってる」

優花里「読んでみますか」

沙織「うん! 早く読もう!!」

優花里「分かりました。では……」ペラッ

○月×日

今日、一匹のボコを捕獲した。
ボコの生態については殆ど解明されていないため、貴重な研究材料となるだろう。


優花里「研究者の日記でしょうか」

沙織「続きは?」

優花里「はい……」


○月◇日

ボコの解剖を行った。臓器などを取り出し、一つ一つ念入りに調べてみる。
他の生物との違いはあまり見られない。残念だ。


○月□日

ボコを縫合するとなんと息を吹き返した。
流石はボコ。やられても立ち上がるというのか。


沙織「ボコって不死身なの……」

優花里「さぁ……。まだ続きがあるみたいですよ」

沙織「なんだか見るのが怖いんだけど」

○月▽日

今日もボコを解剖し、そして縫合した。
ボコは死なない。ただ苦しむだけだ。面白い。こんな生物を研究できる今に感謝したい。


○月△日

今日も解剖してやった。縫合すればまた生き返る。
面白い。


○月■日

ボコが逃げ出そうとした。だが、相手はボコだ。簡単に捕まえた。
罰として今日は三回ほど解剖してやった。


●月×日

何度殺しても生き返る。こんな生物がいていいのか。


●月◆日

今日も殺した。でも、ボコはまた立ち上がる。


優花里「これは……どうなってしまうのですか……」ペラッ

●月□日

殺しても殺しても生き返る。どうなってるんだ。
気味が悪い。明日にでも捨ててこようと思う。


●月▼日

ボコを捨てた。腹を引き裂いて捨てた。あんな生物の研究はもうしない。


●月▲日

夜になると変な歌がきこえてくる。どうなってるんだ。俺はおかしくなってしまったのか。


◆月×日

腹が開いたままのボコを見た。ありえない。ありえないありえないありえない。


×月×日

ヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼ
ヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼヤッテヤルヤッテヤルヤーッテヤルゼ


沙織「な、なに……この日記……」

優花里「狂気に満ちてますね……」

沙織「こんなの……どうしろっていうのよ……」

優花里「この日記から察するに、元凶は解剖されたボコということでしょうか」

沙織「ど、どういうこと?」

優花里「何度も何度も体を弄ばれた、ボコの呪いではないかと」

沙織「それで?」

優花里「一匹だけいるはずです。お腹を引き裂かれたままのボコが……」

沙織「そんなの想像したくもないんだけど!!」

優花里「けど、そのボコが元凶であるなら!! ボコを救えばなんとかなるのではないでしょうか!!」

沙織「どうやって救うの?」

優花里「お腹を縫うとか」

沙織「縫うって……」

優花里「武部殿なら」

沙織「……できるかも!!」

優花里「探しましょう!! お腹を開けたボコを!!」

沙織「探したくないけど、ここまできたらやるっきゃないよね!!」

教会

沙織「この教会のどこかにいてくれたら――」

ボコ『ミツケタ』

ボコ『オイラタチノナカマダ』

ボコ『ミツケタミツケタ』

優花里「既にボコだらけ……!?」

沙織「もーやだー!!」

ボコ『ナカマニスルゼ』

優花里「武部殿!! あ、そこにいます!!」

沙織「え!?」

ゲンキョウ・ボコ『オナカガイタイヨ……』

沙織「ちょっと待っててよ。今、ソーイングセットを……」

ボコ『ナカマニナレ』

ミホ・ボコ『ヤッテヤルヤッテヤル』

優花里「武部殿!! 急いでください!!」

ボコ『ナカマニナレ』

ハナ・ボコ『サオリサン……タベテシマイタイ……』

沙織「ちょっと!! 今は近づいてこいないでよぉ!!」

優花里「武部殿の邪魔はさせません!!」ググッ

沙織「優花里!?」

優花里「武部殿……お願いします……!!」

ハナ・ボコ『ユカリサン……モ……オイシソウデス……』

優花里「うわー!!」

沙織「急がなきゃ!!」ガシッ

ゲンキョウ・ボコ『ナニヲスル ヤメロー』

沙織「ちょっと大人しくしてなさい!!」

ゲンキョウ・ボコ『ウワー』

ミホ・ボコ『ユカリサン……』ギュゥゥ

優花里「武部殿ー!!」

ハナ・ボコ『ユカリサン……』パクッ

沙織「できた!! 縫えた!! 縫えたよー!!」

ボコ『おぉぉ……なおしてくれたのか……』

沙織「こ、これでいいんでしょ?」

ボコ『ありがとう……ありがとう……』

バンッ!!!

沙織「え!? なになに!? なんで真っ暗になるのよー!!!」

優花里「武部殿!! どこですかー!!」

沙織「ここ!! ここだよー!! ゆかりー!!」ギュッ

沙織「優花里!! 大丈夫!?」

ボコ『オイラ、ボコだぜ』

沙織「きゃぁ!?」

優花里「武部殿!! ご無事ですか!?」

ボコ『オイラにここまで優しくしてくれたのはお前たちが初めてだ。感謝するぜ』

沙織「う、うん……」

ボコ『ほら、向こうに光が見えるだろ。あそこが出口だ。悪かったな、色々と意地悪しちまってよ』

優花里「意地悪というレベルではなかったのですが……」

ボコ『お前らの友達はちゃんと元通りにして返してやるから、安心してくれ』

沙織「お、お願いします」

ボコ『もう一度、オイラを立ち上がらせてくれて、ありがとよ。またなー』

優花里「い、行ってもいいのでしょうか……」

沙織「とりあえず、行こうよ。もう、出よう」

優花里「けど、西住殿と五十鈴殿が」

沙織「戻してくれるっていってるんだし、いいんじゃない?」

優花里「それも、そうですね。ここは正気になったボコを信じましょう」

沙織「やっと出口に――」

麻子「出てきたか」

沙織「まこ……? まこー!!!」ギュゥゥ

麻子「どうした?」

沙織「麻子だ……麻子ぉぉ……」ギュゥゥゥ

麻子「よほど怖かったんだな」

優花里「怖いってものじゃなかったですよぉ!!」

麻子「入らなくてよかった」

沙織「うぅぅ……もうやだぁ……」

みほ「沙織さん、はい。これで顔を拭いて」

沙織「みぽ……りん……」

みほ「ティッシュでいいかな?」

沙織「みほぉぉ」ギュゥゥ

みほ「あ、あの……」

華「とてもスリリングでしたね」

優花里「五十鈴殿!!」

華「申し訳ありません。まさかボコにされるとは思わなくて」

みほ「スタッフの人に『ご協力をお願いします』って言われて」

沙織「もー!! こわかったんだからね!!!」

みほ「ごめんなさい!! スタッフの人が決まりだからっていうから仕方なく……」

沙織「あぁぁん……やだもー……」

杏「結構、怖かった?」

みほ「会長? 来てたんですか?」

杏「うんっ。河嶋がどうしても来たいっていうから」

みほ「河嶋さん、ボコに興味が!?」

桃「いや、違う。新しいアトラクションに興味があっただけだ。テレビCMを見てな」

柚子「まさかここまで怖いとは思わなかったよね」

沙織「うっ……ぐすっ……」

みほ「沙織さん、優花里さん。私たちのために、ありがとう」

沙織「だって……みほと華が……」

優花里「大事な友人を見捨てるなんて、できませんから」

華「とても嬉しかったです」

沙織「二度としないから!!」

みほ「次は私と華さんの番だね」

沙織「二度と入らないから!!!」

麻子「このアトラクションは友情を確かめることもできるのか」

杏「そういう意味では、面白いアトラクションかもね」

沙織「全然、面白くないわよ!!」

愛里寿「面白くないのか」

みほ「え……!? 愛里寿ちゃん!?」

愛里寿「入場者が持ち込む武器に合わせてシナリオが変わる仕様だとお母様が言っていたから楽しみにしていたのだが」

みほ「そうなの!?」

華「すごいですね。スタッフの人、大変そうです」

愛里寿「この37ミリ砲弾ならどんなストーリーになるのか知りたかった」

優花里「島田殿。あれはちょっとやめたほうがいいかと」

沙織「ボコが嫌いになっちゃうかもしれないからね」

愛里寿「それは困る。でも、どんな内容なのかは気になる」

優花里「悪いことはいいませんから、やめたほうが……」

愛里寿「みほさん、一緒にどうだ?」

みほ「うんっ。いいよ!」

沙織「え!? ちょっと待って!! みぽりーん!!!」

桃「入ってしまったな」

柚子「だ、大丈夫でしょうか……」

杏「まぁ、二人とも無類のボコ好きだからヘーキ――」

『ボコォォォォ!!! たすけてぇぇぇぇぇ!!!!』

沙織「愛里寿ちゃんの絶叫が……」

優花里「島田殿でもあんな声ができるのですか」

麻子「本当に入らなくてよかった」

華「愛里寿さん、替えの下着はあるのでしょうか」

沙織「その心配……?」

愛里寿「おぉ……みほさんが……みほ……さんが……」

みほ「大丈夫!?」

沙織「またみぽりんが囚われたの!?」

みほ「あ、うん。愛里寿ちゃんには触れないってスタッフの人が……」

愛里寿「うぅ……」

麻子「下着、替えたほうがよさそうだな」

翌日 大洗女子学園

沙織「あのアトラクション、休止になったってさ」

みほ「そうなんだ」

優花里「ボコを題材にしたアトラクションとしては、ちょっと……」

華「怖いですよね」

麻子「一番、怖くなさそうだが」

みほ「愛里寿ちゃん、ボコのこと嫌いになってなきゃいいけど」

沙織「なんであそこで一緒に行ったのよ」

みほ「今度は助ける側に行きたくて」

沙織「あぁ……そう……」

優花里「ま、まぁ、そのあとのアトラクションは楽しかったですし」

沙織「アレと比べればなんでも楽しいわよ」

みほ「またみんなで行こうねっ」

麻子「そうだな」

沙織「しばらくは遠慮したいんだけど……」

西住邸

まほ「……ん?」

まほ(あれは……)


しほ「それで?」

千代「新しいアトラクションを作ろうと思っていますの。娘にかなり怒られてしまって」

しほ「あのアトラクション、不評だったの?」

千代「ええ。既に休止させているわ」

しほ「バカな……。古今東西のホラー映画を視聴し、研究したというのに……」

千代「刺激が強すぎたのでしょうね」

しほ「次はどのようなものにするつもり?」

千代「脱出モノというのが巷では流行っているそうよ?」

しほ「なるほど」


まほ(二人は何を話している……?)

まほ(また近く、試合でもあるのかもしれないな)

数週間後 大洗学園艦 寮

みほ「えーと……」カキカキ

みほ「うん。新しい作戦はこれで行こうかな」

『やってやるやってやるやーってやるぜ♪』

みほ「あっ。ボコのCM」

『オイラ、ボコだぜ!! よう、お前ら! ボコミュージアムに新しいアトラクションが出来たって知ってるか!?』

みほ「え!? 知らない!」

『なにぃ? 知らないだとぉ! オラオラ、そんなやつはボコボコにしちまうぞ!!』

みほ「どんなアトラクションなの!?」

『新しいアトラクションはボコ・ザ・SAW!! オイラが作った恐怖の密室から抜け出せる自信があるやつは来い!!』

みほ「絶対、行く!!」

『じゃあな~』

みほ「わぁ……。今度の日曜日にでも行こうかな……沙織さんたち、一緒に行ってくれるかなぁ……。よしっ。ちょっと電話してみよう」

みほ「あ、もしもし、沙織さん? あのね! ボコミュージアムに新しいアトラクションが出来たんだって! それでね、今度の日曜日にでも――」


おしまい。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年07月26日 (火) 22:16:21   ID: oLQx8P0J

面白かったです! まさかの続編フラグですかねぇ?

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