二宮飛鳥「千載不易のセカイの中で」 (17)

・モバマス二宮飛鳥のSSです
・飛鳥くんのSSといいつつ飛鳥くんが活躍するような話ではありません
・キャラとか色々崩壊しています
それでも構わないという方、どうぞ生暖かくお付き合いください。

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何一つ変わらないセカイ。何一つ変わらない日常。

昨日とは違う今日、今日とは違う明日。

時間は流れ、決して戻ることはない。

それはこのセカイの真理であり、覆すことのできないボクらの背負った宿命とも言える。

だがしかし、しかしだ。戻ることのない流れは、果たして停滞はしないものだろうか。

変化のない日常は、時にボクを錯覚させる。

ただ繰り返すだけの毎日は、感覚を凍結させるには充分な要素となって襲いかかる。

ボクの目の前の景色が、色褪せて行く――

「繰り返す浪費、改善されることのない非効率…崩壊の時はちけーでごぜーます…」

仁奈…市原仁奈が、曇った瞳で呟く。

上田鈴帆の発案により星々の着ぐるみを着用して以来、宇宙の気持ちを知った彼女はずっとこんな感じだ。

「わかるわ…」

全てを知る者、川島瑞樹。今の仁奈の話を十全に理解できるのは彼女くらいのものだろう。

意気投合した川島さんと仁奈は、楽しそうに会話を続けている。

ボクには理解の及ぶところではなかったが――なに、立ち聞きする趣味もない。

「これはドーナツだよ!ほら、立派な穴があるでしょ!?」

法子が声を荒げる。どうやら何かを言い争っているようだ。

普段は温厚でマイペースな彼女だが、ドーナツのこととなると人が変わったようになる。

……魅入られているのだろうか。

「違いますよ法子ちゃん!これはパンです!この焼色!ツヤ!どう見てもパンです!」

どうやら論争の相手はみちるのようだ。

彼女も彼女でパンのこととなると自制が効かなくなる節がある。

というよりも、パンを手放しているところを見たことがない。

彼女らの間にある、争いの火種に目を落とす。

そこにあったのは、ドーナツでもパンでもないものの姿だった。

無益な争いに、しかしながら白熱する闘論に口出しをすることはかなわず、ボクはその場を去ることにした。

あれは――春菜さんの作った食用眼鏡だ。

彼女が制作したものである以上、その構成材質や調理工程にかかわらず、その分類は――眼鏡だ。

「行くぜ、だりー」

夏樹さんが手元のギターに声をかけ、軽快にかき鳴らす。

彼女にしては可愛らしいデザインのそのギターは、多田李衣菜その人だ。

ロックを追求した結果、ついに自身をギターと化することに成功した李衣菜さんは、もはや伝説となったと言っても良いだろう。

「今日はアタシの…いや、ロック・ザ・ビートのLIVEだ!アツく行こうぜ!」

そうか、今日は夏樹さんの単独ライブの日だったか。

しかしステージに登るのは木村夏樹独りではない。相棒の多田李衣菜を携えて、彼女は決戦へと臨む。

これが熱い友情、か。

ボク自身はロックとは縁のないものだけれど、それに心を動かされる人々の気持ちが少しわかった気がした。

友情物語に心を震わされたボクの目の前で、また違った形の友情が繰り広げられている。

「無事に帰ってきて…ね。幸子ちゃん……」

「フヒ……キノコたちと一緒に、祈ってる…ぞ」

小梅と輝子が幸子を見送る。

「ととと、当然です!このくらいの仕事、ボクにとっては朝飯前ですよ!」

そう語る彼女の脚は、こちらに音が聞こえそうなほど震えていた。

人類初となる単身での大気圏突入。その偉業を成そうというのだ、無理もない。

「大丈夫……失敗して、ゾンビになっちゃったら…私が飼ってあげるから……えへへ」

「ちょっと小梅さん!?縁起でもないこと言わないでください!失敗なんてしませんよ!」

緊張を解そうとする、彼女なりの気遣いだろうか。心なしか幸子の顔色が良くなった気がする。

「大丈夫だ…幸子ちゃんはカワイイから、な」

「流石輝子さん、良いことを言いますね!そう、ボクはカワイイんです!カワイイボクに不可能はありません!」

もっとボクを褒めてくださいと続けた彼女のもとに、カワイイコールが鳴り響く。

「そろそろ出発の時間です…今回の仕事も軽くこなして来るとしましょう。何しろボクはカワイイですからねぇ、フフーン!」

意気揚々と種子島への便へ乗り込む幸子。それを見送る小梅、輝子、あの子。

そこには他の何ものにも脅かされない、確かな結束があった。

しかし、不可能を可能にするカワイさとは一体……

「煩わしい太陽ね」

蘭子と挨拶を交わす。

刹那、太陽は弾けセカイを暗闇が支配する。

真の魔王へと覚醒してしまった彼女の言の葉は、セカイを崩壊させるほどの力を得てしまっていた。

「おはようございましてー」

続いて芳乃が現れ、挨拶を交わす。

すると、砕けた太陽はその姿を取り戻し、セカイには陽光が燦々と降り注いだ。

どうやら彼女にはセカイの均衡を保つ何らかの力が備わっているようだ。

しばし、彼女らとの談笑の時間を楽しむ。

ボクと蘭子は波長が合うし、芳乃は蘭子の「言葉」を正確に理解してみせる。

そうこうしている内にそれなりの時間が経過していたらしく、蘭子は次の現場へと向かうことになった。

「闇に飲まれよ!」

瞬間、ボクはすべての感覚を失った。

光も音もなく、上下左右の向きさえわからず、ただただ無尽の暗闇がボクを取り囲む。

それが数秒後の出来事なのか、数千年後の出来事なのかはわからないが、それは不意に訪れた。

「お手をこちらへー」

無限に広がる深淵の中に、鈴の鳴るような神々しい声が響き渡った。

一筋の光明。そこに差し伸べられる救いの手。

ボクは必死にそれへと手を伸ばし、掴み取る。

「わたくしも行かねばなりませぬゆえー。お疲れ様でしてー」

すべてを取り戻したボクに、芳乃が告げる。

彼女のファンが救いを求めるように「よしのんの声が聴こえる」と口にすると聞くが、なるほど。

その気持ち、今のボクには理解できるかもしれない。

確かにボクには彼女の声が――聴こえた。

何一つ変わらないセカイ。何一つ変わらない日常。

ただ繰り返すだけの毎日に、セカイは彩りを失って行く。

今日も時は停滞し、無為に流れ行く。きっと明日も…

それでもボクは抗い続ける。ささやかな抵抗の先に、未来があると信じて――

「嗚呼――今日も何の変哲もない一日だった」

ボクは虚空に言葉を投げ、夜に向かって歩み出した。

「変哲しかないよ!?」

おまけ


忍「どうしてこうなった……」

柚「ま、まあ本人が嬉しそうなのは良いことなんじゃない…カナ?」

穂乃香「ぴにゃぴにゃ♪」

あずき「うぅ…このままじゃフリルドぴにゃこら太大作戦が実現しちゃうよ…」

柚「フリルドぴにゃこら太大作戦!?」

忍「なにそれ!」

あずき「前に穂乃香ちゃんが発案してたんだよ…それぞれのイメージに合った色のぴにゃを着て舞台に立つって…」

穂乃香「ぴにゃ~♪」

あずき「まず穂乃香ちゃんがスタンダートにぴにゃずんだ」

柚「ずんだ!?ライトグリーンとかじゃなくて!?」

忍「確かにずんだ餅みたいな色してるけどさ…穂乃香ちゃんは青じゃないの?フリスク的に」

あずき「属性の色にしちゃうと、あずきと忍ちゃんが被るからって…」

忍・柚「あ~…」

あずき「で、忍ちゃんが真っ赤なぴにゃりんご」

忍「りんごか~…やっぱアタシってりんごのイメージになっちゃうのかな?」

柚「忍チャンのイメージカラー的にはピンクって気もするけど、ずんだに合わせたらりんごになるカモ?」

あずき「柚ちゃんは名前の通りに、黄色いぴにゃゆずだね」

柚「名前で来たかー!」

忍「見事に食べ物で揃えてきたね、って、あっ……」

柚「どしたの?忍チャン」

忍「うん…ほら、食べ物で続いて来てるから残りのあずきちゃんは…」

あずき「忍ちゃんお察しの通り、あずきは…ぴにゃあずき……」

柚「あっ…」

あずき「あずき嫌だよー!あずき色のぴにゃなんて嫌だー!」

柚「お、落ち着いてあずきチャン。まだフリルドぴにゃこら太やるって決まったワケじゃないし…」

あずき「でもでも!決まっちゃったらどうするの!?穂乃香ちゃんこんなだし!」

柚「そ、それは…」

あずき「ただでさえブサイクなのに、変な色だと気味悪くなっちゃうよー!」

穂乃香「ぴにゃ!ぴにゃぴにゃ、ぴにゃ~!!」

忍「穂乃香ちゃんも落ち着いて!ぴにゃの悪口を言ってるわけじゃないから…ね?」

穂乃香「ぴにゃ?」

忍「ホントホント!柚ちゃんもあずきちゃんも、ぴにゃのこと嫌いじゃないよね?」

柚「うん、まぁ。嫌いではないよ、もちろん」

あずき「嫌いではないよね……かわいいとは思わないけど(ボソッ」

穂乃香「ぴにゃぴにゃ♪ぴにゃぴっぴ♪」

忍「機嫌直してくれたみたいでよかった…」

なでモフ

忍「?」

なでモフ

穂乃香「ぴにゃ?」

忍「何か…ぴにゃがかわいく思えてきたかも…」

穂乃香「ぴにゃ♪」

あずき「え゛?」

柚「落ち着いて忍チャン!それは穂乃香チャンだからかわいく思えるだけだよ!?」

あずき「そうだよ忍ちゃん!本物のぴにゃはそんな透き通った声じゃなくて、もっとこう…びに゛ぁ~みたいな…」

???「ニェット!違います!本物はこう、ひ゜ぃ゛ぃ゛に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~」

柚「その声は!」

あずき「その絶妙なへごりは!」

忍「アーニャちゃん!?」

アーニャ「プリヴェート、こんにちは。シノブ、ホノカ、アズキ、ユズ」

穂乃香「ぴにゃにゃ♪」

アーニャ「私にできること、協力します。続けてください…ひ゜ぃ゛ぃ゛に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~」

忍「ぴ、ひ゜ぃ゛ぃ゛~に゛ゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~…」

アーニャ「ダー!いいカンジです」

あずき「なに…?これ…」

飛鳥「嗚呼――今日も何の変哲もない一日だった」

柚「変哲しかないよ!?」

以上で終了します。
おまけ含めて短いものでしたが、お付き合いいただきありがとうございました。
全体的に拙いものでしたが、お楽しみいただけたら幸いです。

おまけに飛鳥くん要素がない?
本編書いてる途中で筆者のフリスク分が足りなくなってきたのでこのような結果に…
濃厚な飛鳥くん成分を求めて来ていただいた飛鳥くんPの皆様、誠に申し訳ございませんでした。

それでは、HTML化依頼を出してきます。
ああ、よしのんの声が聴こえる……

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