時雨「僕を提督の犬にしてよ!」提督「え?!」 (80)


時雨「提督、帰投したよ」


提督「うむ。ご苦ろ…」


夕立「提督さーんっ! 今日も夕立がMVPだったぽいー!!」ダキッ


提督「おわっ?!」ドターンッ


夕立「今日潰したのはねっ、ヲ級とル級と! えーと、えーと……とにかく褒めて褒めてー!!」


提督「わ、分かった! 分かったから降りてくれ」


夕立「はっ……ちょっと興奮し過ぎちゃったかしら…」



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時雨「夕立……また飛びついて…….。興奮し過ぎだよ」


夕立「ううっ…提督さんに飛び付くのが癖になってるぽいぃ。ごめんなさい……」


提督「はは、まぁ慣れたよ」ナデナデ


夕立「んうぅ……」


時雨「提督、ちゃんと注意しないと。いつまでも治らないよ」


提督「いやー、しかしなぁ。こうして飛びつかれて、撫でてると思い出すんだよ」


時雨「思い出す? 何を?」


提督「んー……昔飼ってた犬」


夕立「ぽいっ?!」

提督「子供の頃飼ってた犬なんだけどな。俺が家に帰ると……さっきの夕立みたいに飛びついて来たんだよ。なんかそれを思い出してな」シミジミ


時雨「へー……」


夕立「むー。夕立、犬扱いされてたっぽいぃ…」


提督「はは、悪い悪い」ナデナデ


夕立「んぅう……」


時雨「………」

提督「未だに犬は好きなんだが………まあ、鎮守府で飼うわけにはいかんからなぁ」


時雨「確かにね」


夕立「じゃあ特別に、夕立が提督さんの犬になってあげる! ワンッワンッ!」


提督「お、じゃあこれとってこーい!」ポイッ


夕立「ぽいーっ!」シュバッ


提督「早っ!」


夕立「えへへ……じゃあ、次は夕立がじゃれるっぽい!」


提督「よしよーし」ナデナデ


夕立「ん、ふあぁ」


時雨「もうっ、程々にしなよ提督」


提督「わ、分かってるよ」ナデナデ


夕立「んうぅ」ゴロゴロ


時雨「……」


時雨「………しい」ボソ


提督「ん?」


時雨「…何でもないよ」

ーーーー
ーーーー


提督「……んー、疲れた」


提督「今日も終わりだなぁ。提督もそろそろ看板ですよっと」


コンコン


提督「ん、誰だ? 入れ」


時雨「提督、失礼するよ」


提督「時雨か。どうした」


時雨「え、えーと……も、もう仕事は終わった?」


提督「ああ」


時雨「そ、そっか。……じ、じゃあお茶いれるね!」


提督「……ありがとう?」




時雨「はい、お疲れ様」コトッ


提督「うむ、ありがとう。時雨も座ってくれ」


時雨「うん」


提督「……ん」コトッ


提督「ふぅ、時雨のいれてくれたお茶は美味いな」


時雨「そ、そう? えへへ…」


提督「それで…どうしたんだ?」


時雨「へ?」

提督「何か俺に用があったんじゃないのか?」


時雨「う、うん……そ、そうだけど……」モジモジ


提督「どうしたんだ。何か言いにくい事なのか?」


時雨「そ、その……あのさ。提督……夕立に……その、犬の………」


提督「ん? ああ分かってる。流石に自粛するよ」


時雨「え?!」

提督「今は時雨からだけだが、冷静に考えたら他の艦娘からも苦情来かねんしな……」


時雨「あ…ちょ……て、提督…」


提督「最悪の場合は憲兵にも……」


時雨「て、提督!」ガシッ


提督「うわっ!? ど、どうした」


時雨「ち、違うんだ」


提督「違う?」

時雨「僕が言いたいのはそう言う事じゃなくて……」


提督「?」


時雨「ぼ、僕を……」


提督「僕を?」


時雨「僕を………」








時雨「僕を提督の犬にしてよ!!」


提督「へ?」

提督「ちょ。し、時雨……? な、なんて?」


時雨「だからっ、僕も提督の犬になりたい!」


提督「えぇ……。い、いきなりどうしたんだよ」


時雨「だ、だって夕立ばかりずるいじゃないか! ずっと我慢してたんだよ!」


提督「そうだったのか…」


時雨「僕だって提督に犬みたいに飛びつきたいワン!」


提督「そんなとって付けたような語尾をされても……。うーん、悪いが自粛すると決めたからなぁ」


時雨「わうぅ……」


時雨「………」ガサガサッ


提督「何してんだ時雨?」


時雨「………」カチャッ


提督「……犬耳?」


時雨「似合う?」


提督「お、おう。………そ、そんな犬のかっこされてもダメだからな」


時雨「…………」


時雨「……この写真なんだと思う?」ピラッ


提督「写真?」

時雨「実はこれ……提督と夕立が昼間の犬プレイしてる時の写真なんだ」


提督「?!」


時雨「今から、格好をちょっと乱れさせて写真を持って憲兵の所に出頭してくるね……。僕と夕立は提督の雌犬ですって言いに」ガチャ


提督「うわっ! ま、待て! 早まるな!!」ガシッ


時雨「は、離して! 犬になれないなら、僕は、僕はっ!」ジタバタ


提督「わ、分かった。分かったよ!!」


時雨「え。ほ、本当に?!」

提督「……ただし今日だけな」


時雨「ええー!」


提督「ええー、じゃない。夕立だって1週間やそこらなんだから。今日、この後の時間全部付き合ってあげるからこれで許してくれよ」


時雨「……しょうがないな」


提督「……で、どうするんだ?」


時雨「へ?」


提督「そ、その。犬になるんだろ」


時雨「う、うん」


提督「じゃあ……夕立みたいに飛び付いてくるか?」


時雨「ええ?!」

時雨「そ、そんなの恥ずかしいよ!」


提督「じゃあ、どうするんだよ……」


時雨「…………」


時雨「じ、実は用意してきた物があるんだ」


提督「?」

時雨「こ、これ……首輪」チャラッ


提督「首輪?! な、なんでそんなものを……」


時雨「何でって…飼い犬には首輪を付けないと」


提督「そりゃそうだが……」


時雨「……じゃあ、はい」スッ


提督「?」


時雨「て、提督の手で……僕に首輪をつけてよ」


提督「え?!」

時雨「飼い犬に……首輪を付けるのは…か、飼い犬の役目だよ」


提督「そ、そうかもしれんが…」


時雨「何もおかしい事はないんだ……うん、何もない」


時雨「さぁ、提督。早く」ズイッ


提督「わ、分かったよ」

提督「じゃあ……付けるぞ」


時雨「う、うん」


提督「………」カチャカチャ


時雨「………ん…」


時雨「…んぅ?!」ビクッ


提督「ど、どうした!?」


時雨「だ、大丈夫……ちょっとくすぐったかっただけ……続けて///」


提督「あ、ああ」


時雨「ん…ぅ…///」


提督(うう……そんな顔しないでくれ…)

提督「……つけたぞ」


時雨「あり……がとう」


時雨「あ、あは……て、提督に首輪つけられちゃった……」サワサワ


時雨「ふふ………///」


時雨「首輪……提督に……///」


提督「うぅ……な、なあ時雨。やっぱりやめにしないか?」


時雨「ど、どうして」


提督「それは……」


提督(夕立の時と違って…時雨相手だと……何だかフェティッシュを感じてしまう……これはまずい)

時雨「だ、駄目だよ提督。首輪つけた後は……ちゃんと散歩しないと」


提督「散歩?!」


時雨「犬は…飼い主と散歩するんだよ」


提督「馬鹿! 他の奴に見つかったらどうすんだ!」


時雨「だ、大丈夫だよ……今は皆、宿舎に戻ってるし、暗いから見つからないよ」


提督「だ、だが…」


時雨「提督」ガシッ


提督「うわっ」


時雨「お願い…散歩したら、終わりにするから……ね?」


提督「……う、うう」

ーーーー
ーー鎮守府敷地内


提督「………」


時雨「………」


提督(時雨の首に付けられた革製の首輪。そこから俺の手に伸びるのはリード)


提督(あまりに背徳的な光景に何か目眩がしてくる……こんなところ誰かに見つかったら……)


時雨「………ふふ///」


提督(当の時雨は嬉しそうだな……)

時雨「ねぇ……提督、こうやって散歩してると…昔の犬を思い出す?」


提督「あ、ああ……」


提督(実はそれどころじゃないけどな…)


時雨「そっか……へへ///」


時雨「僕も……何だかドキドキするんだ…」


提督「ドキドキ?」

時雨「うん…首輪と……提督に意識を向けるとね……///」


時雨「な、何だか……んぅ……ふふ…///」


時雨「体の芯が……ん……変な感じになるんだよ///」


時雨「ん、んん……ぅ///」モジモジ


提督(アカン)



「………」ガサガサ


提督「?!」


時雨「?!」


隼鷹「うぃー飲み過ぎたぁ…………あ?」


提督「じ、隼鷹」


時雨「っ」サッ


隼鷹「提督と…時雨かい? なぁにしてんだ2人で……まさか逢い引きぃ?」ニヤニヤ


提督「あはは…まさか。2人で散歩してるだけだよ。なっ」


時雨「う、うん」


隼鷹「ふぅーん、そうかい…………ん?」


隼鷹「時雨、首に何を付けてるんだい?」


提督「!」

提督(ま、まずい!)


時雨「えっと………」


時雨「こ、これはチョーカーだよ」


隼鷹「チョーカー?」


時雨「うん、ネックレスみたいな物だよ」


隼鷹「ほー、最近の駆逐艦はハイソなもん付けてんねぇ…」


時雨「ま、まぁね」


隼鷹「チョーカー、チョーカー……鳥海にチョーカーなんちって。ぶっ……ぶっひゃっひゃっ!」


時雨「あはは…」

隼鷹「ひゃっひゃっ……うっ?!」


隼鷹「おろろろ……」オエー


提督「だ、大丈夫か?」


隼鷹「ううっ、飲み過ぎたよぅ……」


提督(これは、隼鷹を医務室に連れてけば散歩は終わりに…)


隼鷹「あー、気になさんな。ちょっと休んだら戻るから。さぁ行った行った」


提督(くっ……)

ーーーー
ーーーー


提督「ふぅ。危なかった…」


提督(見つかったのが酔っ払ってた隼鷹で助かったな…)


時雨「………」


提督(何か時雨が静かだな…)


提督「時雨?」


時雨「…バレなかったね」


提督「ああ。危なかっ」


時雨「犬っぽくないって事だよね」


提督「はい?」

時雨「僕が…僕が犬っぽくないから隼鷹は気づかなかったんだよね……」


時雨「それじゃあダメなんだ。僕は提督の犬……僕は提督の犬なんだから……僕は犬…犬……」ブツブツ


提督「ひぃ?!」


提督(完全に正気じゃないぞ!)


時雨「ああ、そうか………」










時雨「犬が服を着てるのは、おかしいよね」シュルッパサッ


提督「?!」

提督「ば、馬鹿!やめろっ!」


時雨「ううん。こうすれば、もっと犬に近づけるから……もっともっと犬に」ヌギッ


提督「ばっ、おまっ、下着…」


時雨「あっ…はぁ………僕、すっぽっんぽんになっちゃった……」


時雨「ねぇ…提督。僕を見てよ…ねぇ」


提督「……っ」








「ぽいぽーい」


提督「?!」

夕立「どこにいったのかしら…」


提督「木の裏にかくれろっ!」


時雨「……あっ」






夕立「ん?」


提督「よ、よう」


夕立「…提督さん? こんなとこで何をしてるの?」


提督「ち、ちょっと散歩をな……夕立は?」


夕立「時雨を探してるんだけど……どこにもいないっぽい」


提督「し、時雨か…」

夕立「提督さん、どこにいるか知らない?」


提督「わ、分からないなぁ」


夕立「そっかぁ。うーん……ん?」


夕立「提督さん。その手に握ってる紐はなぁに?」


提督「え?!」


時雨(……!)

提督(し、しまった。リードを握ったままだった……)


夕立「………」


夕立「もしかして……」


提督「……っ」


夕立「隠れて犬を飼ってるっぽい!?」

提督「そ、そうなんだ。じ、実はこっそりな…」


夕立「ふーん。提督さんも結構ワルっぽい…」ニヤニヤ


提督「あはは……」


夕立「夕立にも見せて欲しいっぽい!」


時雨「…っ」


提督「ち、ちょっと待った!」


夕立「え?」

提督「ちょっと待ってくれ…」


夕立「どうしたの?」


提督「い、いや……その」


夕立「?」









時雨(……)


時雨(……裸に首輪姿。僕のこんな姿みたら………夕立はどんな反応するのかな…)


時雨(こんな、変態みたいな……犬みたいな姿みたら、どうなるのかな……)

時雨(今、夕立と僕を隔てるのは木1本だけ……)


時雨(提督に握られた…リードは僕に繋がれている……夕立の目の前で…)


時雨(………)ゾクゾク


時雨(あはぁ……何で……こんな、たまらないんだろう……僕は……えへへ)


時雨(んぅ……)ブルルッ


時雨(えへへ……出したくなってきちゃった…)


時雨(出したら…どんだけ気持ちいんだろぅ…)


時雨(………)


時雨(犬だから…………)






時雨(――――いいよね)



チョロッチョロロロロ








夕立「ん?」


提督「?!」


夕立「おしっこ?」


提督(し、時雨ぇ?!)


提督(……そ、そうだ!)


提督「ゆ、夕立! 実はこの犬、凄く怖がりなんだ!」


夕立「ぽい?」

提督「い、今も怯えておしっこを漏らしちゃったんだよ」


夕立「そ、そんなに怖がりさんなの?」


提督「ああ。だから悪いが見せるのは、また今度にしてくれないか?」


夕立「わ、分かったぽい。ごめんねワンちゃん…」


提督「あと、これは秘密な!」


夕立「秘密ね。分かったぽい!バイバイ提督さん!」


提督「ああ、じゃあな!」

提督「………」


提督「うあああはぁぁ……危なかったぁ……」


提督(今のは正直ダメだと思った……)


提督「……も、もうやめよう。寿命が縮まる…」


提督「時雨! もうやめに――――」















時雨「……えへ…………あ……は」ピクピク

提督「」






 そこにいたのは、あられもない姿で昇天している時雨だった。俺は時雨を抱え、迅速に執務室に戻った。

 今日の事は無かったことにしよう。きっと夢だったのだ。時雨が変態さんだったのも夢だったのだ――。

 

ーーーー
ーー翌日


時雨「ううっ。昨日はごめんなさい、提督……」


提督「いや、元はといえば俺が原因だし。俺も悪かった…」




 翌日、目を覚ました時雨は何事もなかったかのように戻っていた。昨日はあの異常なシチュエーションのせいでおかしくなっていただけなのだろう。


提督「でも、もう犬は暫くいいかな……」ゲッソリ


時雨「あはは……僕も」


 ……暫く犬はこりごりだ。

夕立「提督さん、時雨、おはようございますっぽい!」


提督「おう、おはよう」


時雨「おはよう、夕立」


提督「よし、じゃあ今日も頑張ろうか」


夕立「ぽいっ!」


時雨「うん!」



ーー完ーー




























夕立「時雨、首に何付けてるの?」


時雨「…チョーカーだよ」


提督「…………」


ーー完ーー







このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年06月19日 (日) 13:48:17   ID: 1oBB-aP_

あるよね、ふと「今こんなことしたらどうなるんだろう」て時が。

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