千早「春香、一枚撮ってもいいかしら?」 (132)

春香「え?一枚って、写真のこと?」

千早「ええ、そう」

千早「いいかしら?」

春香「うん!いいよ」

千早「ありがとう、それじゃ……」

ピピッ パシャッ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461585509

千早「……」ピッピッ

春香「どうどう?よく撮れてる?」

千早「……」

千早「イマイチね……」

春香「ええ!?」

春香「千早ちゃん、イマイチって……」

千早「……春香」

春香「な、何?」

千早「もう一枚、撮らせてもらってもいいかしら」

春香「え?」

春香「い、いいけど……」

千早「ありがとう、それじゃ、こっちを向いてくれるかしら」

春香「う、うん……」

千早「はい、それじゃあ、笑って」

春香「こ、こうかな……」ニコ

千早「……」

千早「ごめんなさい、やっぱりこっちに座ってくれるかしら」

春香「あ、う、うん……」

千早「いいわ、それじゃあ、そのまま笑顔で……」


ピピッ パシャッ

春香「どうかな……?」

千早「……」

春香「ち、千早ちゃん……?」

千早「なぜかしら、やっぱりイマイチなのよね……」

春香「え、ええー!?」ガーン

春香「そ、そんなぁ……」

千早「どうして、こんなに写りが悪いのかしら……」

春香「!」ガーン

千早「事務所の明るさのせい?もっと明るくするべきなのかしら」

春香「……写りが、悪い」

千早「それとも、構図?もう少し背景にも気を配って……」ブツブツ

春香「私、一応、アイドルなんだけどなぁ……」

千早「やはり、自動補正より、自分でいろいろ設定すべきなのかしら……」ブツブツ

春香「……」ズーン

春香「……」

千早「ねえ、春香はどう思う?」

春香「……」ズーン

千早「春香?」

春香「……」ズズーン

千早「……春香!」

春香「はっ!」

春香「な、何!?千早ちゃん!」

千早「どうしたの?ボーっとして」

春香「な、なんでも無いよ、あはは……」

千早「もう……そんなことより」

千早「春香はどう思うかしら、さっきの写真」スッ

春香「わ、わー!千早ちゃん、見せなくてもいいよ!」

千早「どうして?見てもらわなくちゃ意見を聞けないわ」

春香「で、でも!イマイチなんだよね!?」

千早「ええ、そうなの、だから意見を……」

春香「い、意見って……」

春香「……あ、そういえば」

春香「ご、ごめんなさい千早ちゃん!」

千早「え?」

春香「そういえば私、最近お菓子作りが楽しくってついつい沢山つくって……」

春香「甘いもの食べすぎて、ちょっと体重増えてたの!ごめんなさい!」

千早「……」

千早「?」

千早「……春香?」

春香「こ、これからはちゃんと食べすぎないようにするから!」

春香「写真だけは許してぇ!」

千早「……あの、春香」

千早「あなた、一体何の話をしているの?」

春香「え?」

千早「体重の管理なんて私に言われても困るわ、それは春香が自分ですることだもの」

春香「だ、だって、千早ちゃん写真がイマイチって……」

千早「ええ」

春香「私の」

春香「私の、写真うつりが悪いって……」グスッ

千早「……」

千早「……あっ」

春香「……千早ちゃん、私のこと写真写りの悪い女だって……」

千早「ご、ごめんなさい!春香!」

千早「それはそういう意味で言ったわけじゃないわ!」

56 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 00:06:17.33 ID:2vN2clFz0
メモで書いてるから55までレスきてるとは思ってもみなかったwwwww
はえーよw

提督「ほら、間宮券だ」

陽炎「しーれーいーかーん?」

提督「何だよ、高価なもんだろ?」

陽炎「確かに高価だけどさぁ~……あーもういいや、今日は疲れちゃったから間宮さんのところで甘味食べて寝るよ」

提督「おうそうしろ……ところで陽炎?」

陽炎「なに?」

提督「来週にはたくさん間宮が手に入るかもしれんぞ?」

陽炎「……はぁ?それってどゆこと?」

提督「明日には説明するよ。ほら、今日はお疲れさんってことだ」

陽炎「全く意味わかんないけど……はーい」



提督「……あいつなら、あの3人を止められるかもしれないな」

提督「……人間性を捧げよ……か、あいつらは果たして救えるのか……」

提督「大丈夫だろうな、さてと、執務を終わらせるその前に磯風のところに見舞いに行くかな……」

57 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 00:08:58.72 ID:2vN2clFz0
みなさまお疲れ様でした。



よろしかったらこちらも書いてますのでぜひ参加してください

陽炎「ダークソウル3?」提督「陽炎型は強制参加な」
陽炎「ダークソウル3?」提督「陽炎型は強制参加な」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1460706468/)

html出してきます

101 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 01:07:00.08 ID:2vN2clFz0
陽炎

102 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/23(土) 01:08:12.71 ID:2vN2clFz0
ksk

131 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします sage 2016/04/23(土) 01:45:52.94 ID:2vN2clFz0
荒らし止めなよ
迷惑じゃないの?

201 ◆bcl3OxnGHI sage 2016/04/23(土) 21:40:51.18 ID:2vN2clFz0
今日の更新はお休みさせていただきます


荒らされてるから気の毒だと思ってたらこいつ自演作者じゃねえか
これは荒らされて当然だし荒らしはもっと荒らせよ

5分後……

春香「……」ムスー

千早「春香、本当にごめんなさい」

千早「春香のことをそんな風に思ったことはないわ」

春香「……」

千早「今だって、少しも太っているようには見えないし……」

千早「とにかく私が写真うつりが悪いって言ったのはそういう意味じゃないわ」

千早「だって、春香は可愛いもの」

春香「……本当?」

千早「ええ、嘘じゃないわ」

春香「じゃあ、イマイチって言うのは……」

千早「ええ、だからそれは……」

春香「……写真の腕前?」

千早「ええ、そうなの」

千早「私、カメラを始めてからもうしばらくたったと思うのだけど……」

千早「なんだか、一向に上手くなっている気がしないのよ」

春香「カメラが、上手く……?」

千早「最初は、背景写真ばっかり撮っていたから」

千早「もしかすると、マンネリになっているのかもしれないと思って」

千早「春香のことを撮らせてもらったのだけど……」

千早「やっぱり、上手く撮れている気がしなくて……」

春香「……あの、千早ちゃん」

春香「ちょっと、撮った写真見せてもらっていいかな?」

千早「ええ、もちろん」

千早「何か気が付いたことがあれば教えてほしいわ」スッ

春香「ありがと」

春香「……」ピッピッ

春香「……」

千早「……どうかしら」

春香「……これが、今日撮ったのだよね?」

千早「ええ、そう」

春香「えーっと、その」

春香「……私的には、結構よく撮れてるんじゃないかなって思うんだけど」

千早「ええ、私も、シャッターを切ったときにはそう思っていたのだけど」

千早「やっぱり、何かがイマイチなのよ」

春香「え、えーっと、それって?」

千早「……その、上手く言えないのだけど」

千早「例えば、この1枚目は構図が悪くって、なんとなく春香らしく見えないの」

春香「私らしく見えない?」

千早「そう、それで、もう一枚取り直したのだけれど」

千早「こっちは……」

春香「うん、私は、こっちの写真1枚目よりいいなーって思うんだけど」

千早「ええ、1枚目よりは」

千早「でも、何かが違う」

千早「こっちの写真からも、その……」

千早「春香という人物が、どういう人間なのかが上手く伝わって来てないのよ」

春香「……」

春香「……」

春香「……?」

千早「私、実際の春香はもっとふんわりとした優しいオーラが出ていると思っているのだけど」

春香「ち、千早ちゃん……?」

千早「それが、この写真からは滲み出ていない……」

春香「ちょ、ちょっと……」

千早「一体、何が悪いのかしら……」ブツブツ

春香「……おーい?」

千早「やっぱり、光の仕組みから勉強をし直すべきなのかしら……それとも、色彩学を……」ブツブツ

春香「……」

春香「千早ちゃん!!」

千早「な、何!?」ビクッ

春香「あの、千早ちゃんって……私、知らなかったんだけど……」

春香「そんなに写真に本気だったの?」

千早「え?」

春香「私、もうちょっと軽い気持ちで始めた趣味だと思ってたんだけど……」

春香「違うの?」

千早「え、ええ、私も最初はそのつもりだったのだけど……」

春香「そうだよね?」

千早「その、ちょっと前に本を買おうと思って書店に行ったのよ」

春香「うん」

千早「それで、探してた本はすぐに見つかって、そのままレジへ行こうと思ったの」

千早「でも、その途中で写真集が目に留まって……」

春香「買っちゃったの?」

千早「ええ、そうなの」

千早「それで、家に帰って中を見たのだけど」

千早「……それが、とても素晴らしかったの」

春香「へえー」

千早「当り前のことだけれど、私の撮る写真とは全く比べ物にならなくて」

千早「私、それを見終えた時に思ったの」

千早「写真は、歌と同じなんだって」

春香「あー……」

千早「歌も写真も同じ芸術なら、私、写真にだってきちんとした姿勢で向かわなければいけないって」

春香(千早ちゃんの悪いクセだなぁ、これ……)

千早「だから、私、もっと写真について勉強しなければいけないのよ」

春香「ねえ、千早ちゃん……」

千早「さ、だから春香」

春香「え?」

千早「もう一度、モデルになってくれるかしら」

春香「え”っ」

千早「とりあえず、同じ構図で10枚程度、違う設定で撮りたいから……」

春香「ちょ、ちょ、ちょっと!千早ちゃん!?」

千早「そこに腰かけて……」

ガチャ

伊織「はあー、ただいまー」

あずさ「お疲れ様です~」

春香「あずささん!伊織!」

伊織「あら、お疲れさま春香」

春香「よ、よかったあ~」

伊織「はあ?何がよ」

伊織「ふーん、写真にも力を入れるねえ……」

千早「ええ」

伊織「でも、千早には歌があるでしょ?」

千早「ええ、もちろん」

伊織「なら、別にいいじゃない写真は趣味歌は仕事で」

千早「それは、そうなのだけど……」

伊織「何よ」

千早「私、この前のインタビューで、カメラの話をしてしまったのよ」

伊織「あら、いいじゃない」

伊織「ファンも喜ぶんじゃないかしら?アンタが歌以外のことを話してるの」

千早「ええ、そうだと嬉しいわ」

伊織「じゃあ、何が問題なわけ?」

千早「水瀬さんアイドルという仕事は、多くの人に見てもらう仕事よね?」

伊織「ええ、そうね」

千早「私はそれをよく知ってる、その私が公の場でカメラが趣味だと宣言した」

千早「それなら、中途半端な腕で写真を撮っていたら、多くの写真を趣味にしている人たちに失礼だと思って」

伊織「あー……」

千早「だから私は、もっとカメラについて勉強しなければいけないのよ」

伊織「そ、そう……」

春香「(っていうことなんだけど……)」ヒソヒソ

春香「(私、千早ちゃんに何て言ってあげればいいと思う?)」ヒソヒソ

伊織(知らないわよ……)

あずさ「……」

伊織「あのねえ、千h……」

あずさ「ねえ、千早ちゃん」

伊織「!」

千早「なんでしょうか?あずささん」

あずさ「私は、そんなに難しく考える必要なんてないと思うわ」

千早「え?どういうことですか?」

あずさ「だって……」

グゥー

春香「ぐう?」

あずさ「あ、あらあら、恥ずかしいわ~」

伊織「あずさ、アンタねえ……」

伊織「アイドルがお腹鳴らしてんじゃないわよ!」

あずさ「ご、ごめんなさい~」

あずさ「そういえば今日、朝ごはん食べられなくって……」

伊織「ったく……」

千早「……あの、あずささん」

あずさ「なあに?千早ちゃん」

千早「いえ、あの……」

千早「先ほど、何を言いかけていたんですか」

あずさ「あ、そうそう、いけないわ、私ったら……」

あずさ「そうだ!千早ちゃん」

あずさ「これから、私と、ご飯食べに行きましょう?」

千早「え?私と……ですか?」

あずさ「ええ、どうかしら?」

千早「それは……その……」

あずさ「も、もしかして、私と2人は嫌なのかしら……」

千早「い、いえ!そんなことはありません!」

あずさ「うふふ、良かったわ~」

あずさ「それじゃ、行きましょう?千早ちゃん」

カフェ

あずさ「ふふっ、ここのカフェ、ランチタイムのコーヒーがとっても美味しいのよ~」

千早「そうなんですか」

あずさ「千早ちゃんも、ご飯にする?」

千早「いえ、私は、あまりお腹がすいていないので……」

あずさ「あら、そう?」

あずさ「いいのよ?今日は私が千早ちゃんのことを誘ったのだもの、好きなものを食べて?」

千早「あ、ありがとうございます……」

あずさ「……」

あずさ「ふふ、それにしても良かった、ランチタイムに間に合って」

千早「え?」

あずさ「ほら、私ってよく道に迷うでしょう?」

千早「そ、そうですね……」

あずさ「だからね、よくあるのやっとお目当てのお店に付いたーって思ったら、もう時間が終わってたり……」

あずさ「1日何個って決まってるケーキを買いに行っても、もう全部売れてしまっていたりするの」

千早「そうなんですか」

あずさ「そうなのよ~」

千早「……」

あずさ「あ、でもね?」

あずさ「私、不思議だって思ってることがあって」

千早「は、はい」

あずさ「貴音ちゃんと最初に入ったお店だけはなぜか1人で行ってもたどり着けることが多いの」

千早「四条さんとですか?」

あずさ「ええ、不思議だと思わない?」

千早「そうですね、確かに……」

あずさ「あ、でも」

あずさ「もしお目当てのお店に、時間通りたどり着けなくても、意外にいいことも多くて」

千早「……」

あずさ「この前行ったケーキ屋さんで、今まで食べたことのなかったとっても美味しいケーキを発見出来たりして……」


店員「お待たせいたしました、こちらランチセットとカフェオレでございます」

あずさ「あら、ありがとうございます~」

千早「あ、ありがとうございます……」

あずさ「ふふっ、とっても美味しそうだわ~」

千早「ええ、そうですね……」

あずさ「あ、そういえば、この前このお店に貴音ちゃんと来た時の話なのだけど……」

千早「……あの」

あずさ「このお店のサンドイッチがね?」

千早「あの、あずささん」

あずさ「なあに?千早ちゃん」

千早「あの、私、先ほどの話をするためにここに連れてこられたのでは?」

あずさ「あ、あらあら、そうだったわ」

千早「ええ、そうです」

あずさ「そうね、それなら……」

あずさ「……えーっと」

あずさ「……あら?」

あずさ「ごめんなさい、千早ちゃん、何の話だったかしら?」

千早「ええ!?忘れてしまったんですか!?」

あずさ「ご、ごめんなさいね!千早ちゃん!」

あずさ「えっと、確か、カメラの話、だったかしら?」

千早「そうです!あの時、あずささんが私に何か言いかけて」

千早「それで、私のことを食事に誘ったんじゃないですか!」

あずさ「そ、そうね、そうだったわね」

あずさ「……」

あずさ「……あの、千早ちゃん」

あずさ「私、あの時、千早ちゃんに何て言いかけたのかしら?」

千早「それはこっちのセリフです!」

あずさ「こ、困ったわね~」

千早「ええ、困ります、思い出してください!」

あずさ「ええと、ええっと……」

あずさ「……」

千早「……本当に忘れてしまったんですか?」

あずさ「ええ、ごめんなさい……」シュン

千早「もう、何なんですか、一体……」

あずさ「うーん、あの時は確か、伊織ちゃんが喋ってて……」

千早「……」

あずさ「その後に、私が……」

千早「……はあ、もういいです」

あずさ「うう、本当にごめんね、千早ちゃん」

千早「いえ、別に怒ってるわけでは……」

千早「ただ、話すべきことがないなら、私は先に……」

あずさ「ちょ、ちょっと待って!千早ちゃん!」

千早「……何でしょうか」

あずさ「あの、私、千早ちゃんに聞きたいことがあるの」

千早「聞きたいこと、ですか?」

あずさ「ええ、そう」

あずさ「千早ちゃん」


あずさ「千早ちゃんは、おしゃべりは嫌い?」

千早「おしゃべり、ですか?」

あずさ「ええ」

あずさ「なんだか、さっきから千早ちゃん、あまりしゃべっていなかったから」

あずさ「もしかして私、ちょっと迷惑だったのかもって……」

千早「い、いえ!そんなことは……」

千早「わ、私、別にしゃべることは嫌いじゃありません」

千早「た、ただ、その……」

千早「今も、得意、というわけでは……」

あずさ「……私ね、千早ちゃんのこと、事務所に入ったころよりとっても柔らかくなったなと思ってるの」

千早「……え?」

あずさ「他のみんなとお話ししているときも、優しい表情をすることが増えてたから」

あずさ「ふふっ、一度千早ちゃんと、ゆっくり2人でお話ししてみたいって思ってたの」

千早「……そうだったんですか?」

あずさ「ええ」

千早「……ありがとうございます」

千早「私も、あずささんといろいろ話してみたいことは多かったですから、嬉しいです」

あずさ「うふふ、ありがとう、千早ちゃん」

千早「いえ……」

あずさ「ね、そういえば千早ちゃん」

千早「はい?」

あずさ「千早ちゃんはカメラ、いっつも持って歩いてるの?」

千早「え、あ、はい」

千早「最近は、持ち歩いてることが多いですけど……」

あずさ「それなら、やっぱりよくさわってるのかしら?」

千早「え?そうですね……一日に2、3度くらいはシャッターを切ってると思いますけど……」

あずさ「ふふ、そうなのね~」

千早「……?」


prrrrr prrrrr

千早「あ」

あずさ「あら、電話?」

千早「はい、ちょっとすみません」ピッ

千早「はい、如月です」

千早「はい、はい……」

千早「え?今からですか?そうですね……」

千早「……」チラッ

あずさ「……お仕事?」ヒソヒソ

千早「……」コク

あずさ「いいのよ千早ちゃん、私のことは気にしないで」

千早「……すみません」ヒソヒソ

千早「……分かりました、今から事務所に戻ります」

数日後 事務所

千早「……」

千早(結局あの後、あずささんとの話中途半端で終わってしまったわ)

千早(あの時、あずささんは私に何を言いたかったのかしら……)

千早(やっぱりあの時あずささん、私に気を使って沢山しゃべってくれていたのかもしれない)

千早「……」


真美「千早おねーちゃん!」

亜美「何してんのー?」

千早「亜美、真美」

千早「何でもないわ、少し、考え事をしてただけ」

真美「ふーん……」

亜美「あ!ねえねえ、じゃあ今千早お姉ちゃんヒマってこと?」

千早「え、ええ、特にするべきことはないけど……」

亜美「じゃあ、亜美たちと遊んでー!」

千早「それは、構わないけど……」

千早「何をするの?」

亜美「うんとねぇ……じゃあ……」

亜美「とりあえず千早お姉ちゃん、なんか面白い話して!」

千早「え、ええ!?」

真美「お、いいですなあ……」

千早「面白い話って、そんな……」

千早「私には無理よ、思いつかないわ」

亜美「えー、それじゃつまんないよ、千早お姉ちゃん!」

真美「そうだよー!メチャウケな話じゃなくてもいいからさ、なんか話して!」

千早「え、ええと……」

千早「そう、ね……ええと……」

亜美「……」ワクワク

真美「……」ドキドキ

千早「この前、私と春香で……」

亜美「はるるんと!?」

千早「その、服を見にいったのだけど……」

真美「服を見に!?」

千早「……その」

亜美「それでそれで!?」

千早「……や、やっぱりなんでもない!」

真美「ええ!?」

亜美「千早お姉ちゃんそれはないっしょ!!」

千早「で、でも……」

千早「ただ、春香と服を見に行った話なんて、とてもじゃないけど2人の期待に応えられると思えないわ」

真美「えー?別にそんなの気にしなくてもいいのにー」

亜美「そうだよ、亜美たち、ただヒマだっただけなんだからー」

千早「そう言われても……」

千早「あんなに期待の目で見られると、話しづらいわ」

亜美「うーん、そっかー……」

真美「じゃあ、他のことしよっか」

真美「千早お姉ちゃん、なんか面白いことない?」

千早「そ、そうね、そういわれても……」

千早「……!」

千早「そうだわ!」ゴソゴソ

千早「私、今日カメラを持ってきてるから」

千早「これで、2人のことを撮ってあげられるわ」

亜美「あ!写真!?」

真美「千早お姉ちゃん、撮って撮ってー!」

千早(ふふ、良かった、気にいってくれたみたいね……)

千早「それじゃ、2人とも、ポーズをとってくれる?」

亜美「オッケー!任せてよ!」

真美「メチャイケなポーズにするから、頼んだよ、千早お姉ちゃん!」

千早「ええ、それじゃあ……」


ピピッ パシャッ

千早「……」ピッピッ

亜美「どうどう!?見せて見せて!」

真美「真美たち、可愛く撮れてる?」

千早「……」

千早「ごめんなさい、2人とも」

千早「もう一度、撮らせてもらってもいいかしら?」

真美「え?」

亜美「うん、いいけど……」

千早「それじゃ、さっきと同じポーズでお願い」

真美「う、うん……」

亜美「こう?」

千早「……ええ、そう」

千早「そのまま動かないで……」

パシャッ

真美「こ、今度はどう?」

亜美「いい感じ……?」

千早「……そうね」

千早「……」

千早「ごめんなさい、もう一度いいかしら」

千早「どうしても納得がいかなくて」

真美「」

亜美「」

30分後……

春香「おはようございまーす!」ガチャ

千早「違うわ真美!そこはもっと手の位置を上げて!」

春香「……ん?」

千早「亜美!目線をもう少し遠くへ向けて!」

春香「……千早ちゃん?何やってるの?」

亜美「はるるん!はるるーん!ヘルプ!助けてー!」

真美「千早お姉ちゃんを止めてー!」

千早「真美!フラフラしているわ!ちゃんとそのまま静止して!」

春香「ち、千早ちゃん!ストップストップ!」

千早「亜美、そこは……」

千早「あら、春香、おはよう」

春香「うん、おはよう……」

春香「ち、千早ちゃん!私、今日ケーキを焼いてきたんだけど、一緒にどうかな!?」

千早「あら、そうなの……」

千早「それじゃあ、亜美、真美、一度休憩にしましょう」

亜美「た、助かった……」

真美「はるるんは真美たちの救世主だよー……」

……

春香「どうかな?美味しい?」

春香「今日のは結構自信があるんだけど……」

亜美「うん!メッチャ美味しいよこれ!」

真美「はるるん、また腕をあげましたなぁ……」

春香「えへへ、よかった……」

千早「……」モグモグ

春香「千早ちゃんはどう?口に合うかな?」

千早「ええ、とっても美味しいわ」

千早「……」

千早「亜美も真美も、ごめんなさい」

千早「私、ちょっと熱くなってしまって……」

真美「え?なんで千早お姉ちゃんが謝るのさ」

亜美「そうだよ、別に何にも悪いことしてないじゃん」

千早「……え?」

千早「で、でも、私、気が付けなかったわ」

千早「亜美と真美が嫌がってること……」

千早「それなのに、私、無理やり付き合わせてしまって」

真美「……?亜美、カメラで撮られるのヤだったの?」

亜美「全然?楽しかったよ?」

千早「そ、そんな!2人とも、私に気を遣う必要なんてないわ!」

千早「反省する、もう、あんなことないようにするから」

春香「千早ちゃん……」

亜美「え!?なんで辞めちゃうの!?」

亜美「亜美、また千早お姉ちゃんに写真撮って欲しいよ!」

真美「そうだよ、真美も楽しかったよ?」

千早「で、でも、春香に止められて、2人ともほっとしてたでしょう?」

千早「それは、嫌がっていたってことじゃ……」

亜美「そりゃ、最後のほうはちょっと、千早スパルタお姉ちゃんが出てきた!って思ったけど……」

亜美「でも、楽しかったのも嘘じゃないよ?」

真美「うんうん!」

真美「それに、今考えて見ればスパルタお姉ちゃんも鬼教官みたいで楽しかったよね!亜美!」

亜美「あ、確かに!」

亜美「今度するときは、カッコいいポーズのほうがいい感じに撮れるかも!」

真美「お、それだぁ!」

真美「ね!次はそれで行こ!千早お姉ちゃん!」

千早「……」

春香「千早スパルタお姉ちゃんって……」

千早「……」

千早「そうね……」

千早「亜美も真美も、そう言ってくれてとても嬉しいわ、ありがとう」

亜美「えへへ……」

真美「全然だよ!」

千早「また、撮らせてもらってもいいかしら?」

亜美・真美「あったりまえだよー!」

千早「……今度はもっと、楽しく撮れるように頑張らなくちゃいけないわね」

春香「……」

千早「それと、春香」

春香「何?千早ちゃん」

千早「ケーキ、とっても美味しかったわ」

春香「え?あ、うん……」

千早「私も春香のお菓子作りに負けないくらい、写真、頑張ろうと思う」

春香「頑張る……」

亜美「うんうん、はるるんのお菓子はいっつもプロ顔負けの美味しさですからなあー」ウンウン

真美「ね!はるるんって他のことはドジるのに、お菓子だけはメッチャ美味しいの、なんでなんだろ?」

春香「……それはひとこと余計なんじゃないかな」

千早「……」

春香「……ね、千早ちゃん」

春香「あのね、私、なんていうか、あんまりうまく言えないかもだけど……」

春香「私ね、お菓子を作るのも食べるのも好きなの」

春香「作ってるときはね、一生懸命生地をかき混ぜたり、味付けとかをいろいろ試してる時が楽しくて」

春香「食べるときは、甘くておいしー!っていうのが楽しいの」

春香「あと、作ったのをみんなに配って、食べてもらうのも好きだし……」

春香「それに、お菓子作りのために色々道具とかをそろえるのも楽しくって」

春香「……えへへ、ついつい変なのも買っちゃうんだけど」

春香「でもね、私、そういうのをぜーんぶひっくるめてお菓子作りが好きなの」


春香「だからね、その……」

春香「きっと、千早ちゃんにとって写真っていうのも」

春香「写真を撮るだけじゃなくって、その周りに沢山楽しいことがあるんじゃないかなって思うんだ」

千早「ただ、撮るだけじゃない……」

春香「えへへ、ごめんね」

春香「私、全然写真って詳しくないから、全然的外れなこと言ってるかも知れないけど……」

千早「……ううん、そんなことないわ」

千早「ありがとう、春香」

千早「春香の言ったこと、ちょっと考えて見よう思う」

春香「……うん!」

さらに数日後

千早「バラエティのトーク番組ですか!?」

P「ああそうだ、有名だから、千早も知ってると思う」

P「ゴールデンタイムの高視聴率番組だ」

P「新曲の宣伝にはもってこいだろ?」

千早「それは、そうかもしれませんが……」

千早「あの、プロデューサー」

P「なんだ?」

千早「その番組、私一人で出るんでしょうか?」

千早「たとえば春香とか、喋るのがの得意なとかと一緒には……」

P「ああ、そのことだが」

P「今回は千早、お前1人でゲストとして出てもらう」

千早「!」

千早「ほ、本気なんですか!?プロデューサー」

P「ああ、もちろんだ」

千早「で、でも私、一人でトークなんて、そんな……」

P「でもな、千早」

P「俺はそろそろ、千早もバラエティの仕事に慣れていくべきだと思うんだ」

千早「そんな、私には向いてません!」

P「そんなことないって、大丈夫だ」

千早「な、何を根拠にそんなことを……!」

P「でもな、千早」

P「ゴールデンのTVなんて、宣伝のための大きなチャンスだろ?

P「アイドルをやっている以上、避けては通れない道だ」

P「いつかは慣れて行く必要がある、違うか?」

千早「……でも」

P「大丈夫だよ、亜美や真美みたいに、大ウケをとってこいなんて言わない」

P「それなりに面白ければ、それでいいから」

P「じゃ、頼んだぞ」

千早「……」

千早(それが、一番難しいのに……)

収録当日 テレビ局

千早(……昨日はよく眠れなかった)

千早(それに、収録3時間前に着くのは少し早すぎたかしら)

千早(控室、まだ空いていないかも知れないわ……)

千早「……不安だわ」

千早(いえ、でも、仕事は仕事しっかりこなさなくちゃ)スタスタ

千早(そう、プロデューサーの言うことはもっとも)

千早(アイドルとしてやっていくには、これだって大切な仕事なのよ……)

千早(……)

(如月さん!ここで、なんか面白い話でもしてくれるかな?)

(如月さ~ん、その話全然面白くないね~)

千早「……」ブルッ

千早(本当に、大丈夫かしら……)

ドンッ

千早「きゃっ!」

千早「す、すみません!私、ボーっとしてて……」

「い、いえ、こちらこそ……」

「あら、千早ちゃん?」

千早「えっ……あ、あずささん!」

あずさ「あら~、偶然ねえ」

千早「ごめんなさい、私の不注意で……」

あずさ「うふふ、いいのよ、私も別のところを見てたから」

あずさ「……それにしても、珍しいわねぇ、千早ちゃんがボーっとしてるなんて」

千早「あ、はい、実は少し考え事を……」

あずさ「考え事?」

千早「その……」

控室

あずさ「うふふ、そんなことはないわよ」

千早「……そうでしょうか」

千早「私、不安で……」

あずさ「あの番組、私も前に出たことがあるけど」

あずさ「そのときも、司会の芸人さんがちゃんと面白くしてくれたもの」

あずさ「千早ちゃんが失敗して、責められることなんてないわ」

千早「はい、頭では分かっているんですが……」

あずさ「う~ん、やっぱり千早ちゃん、お喋りすることに苦手意識があるのね」

千早「その、目的のない話というのが苦手なんです」

千早「歌やライブなど、はっきりと明確な話題があればそれについて話すことはできるのですが……」

あずさ「そうよねぇ……」

あずさ「確かに私も、千早ちゃんとは世間話よりも、真面目な話をしている方が多い気がするもの」

千早「はい……」

千早「ですから、何でもない話をするときには、何を話せばいいかわからなくて」

千早「春香みたいに、たくさん話しかけてくれればいいんですが」

千早「ゲストの立場でそんなことするわけにも……」

千早「あずささん、私、どうしたらいいんでしょうか」

あずさ「……うーん、難しいけれど」

あずさ「やっぱり、千早ちゃんの好きなことを話せばいいんじゃないかしら」

千早「好きなこと、ですか?」

あずさ「ええ、やっぱり、それしかないんじゃないかしら」

あずさ「だって、興味のないものを面白くしようって無理をして話をしても」

あずさ「それはきっと、聞いてる人にも伝わってしまうもの」

千早「……」

あずさ「それに、番組を見ている方たちだってきっと、千早ちゃんが思ってることを聞きたいんじゃないかしら」

あずさ「だから私は、千早ちゃんが、思っていることを正直に一生懸命喋る」

あずさ「それが一番だと思うわ」

千早「……そう、ですよね」

あずさ「ええ」

千早「分かりました、あずささん、ありがとうございます」

あずさ「うふふ、いいのよ~」

あずさ「あ、ところで千早ちゃん」

千早「何ですか?」

あずさ「私も今日、30分番組の収録があるんだけど……

あずさ「3-Dスタジオって、どこかしら?」

千早「……一緒に行きましょう」

……

スタッフ「本番回しまーす!!」

千早「……」

千早(思ったことを、話す……)

千早「大丈夫よ、大丈夫……」


MC「さあ!今夜も始まりました、金曜9時のトークショー!」

MC「早速、今夜のゲストをご紹介します!」

MC「今や押しも押されぬ765プロきっての歌姫、如月千早ちゃんです!」

パチパチパチパチ

千早「よろしくお願いします」

MC「さあ、それじゃあ早速ね、千早ちゃんのプロフィールから見て行こうと思うんですが……」

MC「16歳高校生、特技は歌、ということで……」

MC「すごいよねぇ、この年であれだけ歌の上手いアイドルって他にいないんじゃないかな」

千早「あ、ありがとうございます!」

千早(ここで、歌の話が出来れば……)

MC「ま、でも、これはきっと皆さんご存知でしょう」

MC「なんたって、歌姫ってくらいなわけですから」

MC「さ、というわけで次は……」

千早「」

MC「へえー、トレーニングが日課、偉いですねぇー」

千早「あ、はい」

千早「やはり、キレイな発声は身体から作らなければ実現しませんから」

MC「ああ、なるほど、これも歌のためのトレーニングなわけですね?」

MC「具体的には何を?」

千早「主に、発声に重要な体幹のトレーニングを」

千早「後は、体力づくりのためのメニューが多いですね」

MC「毎日やるの?」

千早「はい、毎日、休まずに」

MC「聞いてはいたけど、本当に真面目だなぁーww」

MC「……さて、これが千早ちゃんのプロフィール、ということで」

MC「大丈夫?千早ちゃん、もしかしてまだ緊張してる?」

千早「え?い、いえ、大丈夫です!」

MC「本当?あんまり笑ってくれないから不安なんだけど……それかもしかして、俺が嫌われてる?」

千早「い、いえ!そんなことはないです!」

MC「お、じゃあ俺のこと好きってこと?」

千早「え?あ、あの」

千早「それもちょっと……」

MC「正直者だなぁ~wwww」

アハハハハ…

千早(……一応、笑ってもらえてはいるようだけど)

千早(これで、いいのかしら……?)

MC「さてと、それじゃ、これで最後のプロフィール……」

MC「千早ちゃんが最近ハマってる趣味!」

MC「これは興味がありますねぇ……」

MC「何にハマってるんですか?」

千早「最近ハマってる、趣味……」

千早「……カメラ、です」

MC「カメラですか!」

MC「へえ、意外ですねぇー!」

千早「とはいえ、まだまだヘタなんですけど……」

MC「いえいえ、大変興味がありますよ」

MC「というわけで、今日は千早ちゃんが撮った写真の中から何枚か選んで持ってきていただきました」

千早「はい、この3枚です」

MC「おぉー、いい感じじゃないですかー!」

千早「……ありがとうございます」

MC「えー、それでは順番に見ていきたいと思うんですが」

MC「まず1枚目、これは?」

千早「これは、海外に同じ事務所の我那覇さんとロケに行った時の写真です」

MC「ほお、海外ロケに」

千早「はい」

千早「この写真は都会で撮った写真だったんですが」

千早「実はこの時のロケ、その都市のはずれにある森林での体当たりロケだったんです」

MC「へえ!千早ちゃんが体当たりロケ!」

千早「はい」

千早「最初、都市で美味しいものをご馳走になって、それで終わりと聞かされていたんですが……」

千早「その後、いきなりその森林に連れていかれて、芋虫とかを食べられさせかけたんです」

MC「うわーwwそれはつらいww」

千早「ええ、結局、私は許されたんですが」

千早「その代わり、我那覇さんがそれにチャレンジすることになって……」

MC「我那覇さん、いいリアクションするからなぁ」

千早「ええ、意外と美味しかったそうです」

MC「そうなんだ!」

千早「はい」

MC「それで……次は……」

MC「これは、風景写真だね?」

千早「はい」

千早「私、よく早朝にランニングへ行くんですが」

千早「時々、いつものコースから外れて走りたくなってしまうことがあって……」

千早「その時に見つけた景色を撮った写真です」

MC「へえ、普通の道路の写真だよね?これ」

千早「はい」

千早「この写真はその……」

千早「私、この通りはよく通ることがあるんですけど」

千早「あまり、朝のランニングコースにはしていなくて」

千早「でも、たまたまその時に通りかかったら」

千早「車が一台も通っていなくて、朝靄がかかっていて……」

千早「いつも見ている場所なのに普段と見え方が違っていて、それが不思議に感じて撮ってみたんです」

MC「ああ、それは分かるかもしれないですねえ」

MC「時間によって、同じ景色でも変わって見えますもんね」

千早「そうなんです」

千早「上手く言えないんですが、その時私、その景色に」

千早「なんだか心が動かされてしまって」

MC「なるほど~、やっぱり芸術家気質なんですねえ、千早ちゃんは」

千早「いえ、そんな……」

MC「そして、最後の写真は……」

MC「おお……!これ、すごくよく撮れてますね!」

千早「本当ですか!?」

MC「ええ、これいいですよ、プロが撮ったって言っても信じますよコレは」

千早「あ、ありがとうございます!」

MC「この子も見たことありますよ……確か同じ事務所の」

千早「はい、親友の天海春香という子なんですけど……」

MC「これ、どこで撮ったんですか?」

千早「これは、事務所でライブのための合宿があったんですが」

千早「その時の朝に撮ったんです」

MC「はあ~こんなきれいな海に面した合宿所があったんですねぇ!」

千早「ええ、そこの宿のご夫婦にはすごく良くして頂いて」

千早「とても充実した合宿だったのを覚えています」

MC「すごいいい笑顔で写ってるよね、この写真」

千早「はい、この時は、確か……」

千早「春香が、カメラは私に似合ってる趣味だと言ってくれて……」

千早「それで私、嬉しくなってしまって」

千早「それで、ついたくさん撮ってしまったうちの一枚なんです」

MC「いやいや、これだけ素晴らしいものが撮れるなら、千早ちゃん写真家の才能もあるかもしれないよね!」

千早「いえ、私にはそんな……」

MC「でも、僕も似合ってると思いますねえ、ステキな趣味です」

MC「さ、というわけで次のコーナーに移りましょうか……」

……

スタッフ「はい!如月さんの出演部分オーケーでーす!」

千早「ありがとうございました」

千早(よかったわ、なんとか無事に済んだみたい……)

MC「いやあ、千早ちゃん、お疲れさま!」

千早「あ、お疲れ様です」

MC「びっくりしたよー、俺千早ちゃんってもっと寡黙なイメージだったから、今日の収録覚悟してきたんだけど……」

MC「意外に喋れるもんだから、驚いたよ!」

千早「え?」

千早(喋れる……?)

MC「それじゃ、またよろしくね!」

千早「あ、はい!ありがとうございました!」

千早「……」


あずさ「千早ちゃん」

千早「!あ、あずささん!?」

あずさ「収録お疲れさま~」

千早「お、驚きました……どうしてここに?」

あずさ「それが、私、番組の収録が終わって帰ろうとしたんだけど……」

あずさ「荷物を持って、出口に向かおうとしたら、なぜだかここのスタジオに……」

千早「は、はあ……」

あずさ「それで、ちょっと端っこで見学させてもらってたの」

千早「み、見ていたんですか!?」

あずさ「うふふ、お仕事とっても上手くいったみたいね」

千早「あ、はい……」

千早「そうみたい、なんですが……」

あずさ「どうしたの?」

千早「その、あまり上手くいった自覚がなくて」

あずさ「あらあら、千早ちゃんったら」

あずさ「私も見ていて、とっても良かったって思うわよ?」

千早「そ、そうでしょうか」

あずさ「ええ、特に、撮った写真のことを話しているときなんて」

あずさ「すごく楽しそうだったわ」

千早「……え?」

千早「私、楽しそうでしたか?」

あずさ「ええ、とっても」

あずさ「あれだけ、1枚1枚の写真のことを覚えてるんですもの」

あずさ「やっぱり千早ちゃん、写真を撮るのが好きなのね」

千早「……!」

あずさ「ねえ、千早ちゃん」

千早「な、何でしょう」

あずさ「そういえば私、この前カフェに行ったときに言おうとしていたこと、思い出したんだけど」

千早「あ、そういえば……」

千早「何だったんでしょうか?」

あずさ「ふふ、そんなに難しいことじゃなかったわ」

あずさ「私、あの時ただ」


あずさ「カメラを持ってる千早ちゃんが、とってもステキに見えるって言おうとしただけだったのよ」

後日 事務所

千早「それで、こっちが律子と食事に行った時の写真で……」

あずさ「あら~、美味しそうね~」

千早「ええ、でも」

千早「いかに美味しそうに撮るかに集中しすぎて、律子に叱られてしまったんです」

千早「『写真に夢中になりすぎるのもいいけど、行儀が悪いわよ』って」

あずさ「うふふ、確かに」

千早「ふふ、お恥ずかしいです」

あずさ「それじゃあ、こっちの真ちゃんは?」

千早「これは……」

春香「……」ジーッ

千早「……あっ、思い出しました」

千早「このとき確か、真が木に登って女の子の風船を……」

春香「……」ジーッ

千早「……何?春香?」

春香「……ううん、なんでもない」クスッ

春香(ふふっ、楽しそうだなあ、千早ちゃん)

千早「……それで、その女の子が真のことを……」

春香(あんなにいっぱい喋る千早ちゃん、初めて見るかも)

あずさ「ふふ、真ちゃんらしいわ~」

春香(千早ちゃん、やっぱりカメラ、始めてよかったね!)


ピピッ パシャッ

春香「……え?」

千早「ふふ、あずささん、そしてこれが……」

千早「『物思いにふけっている春香』、です」

あずさ「あらあら、ふふっ」

春香「ちょ、ちょっと!千早ちゃん!?」

春香「ひどいよー!千早ちゃん!油断してるところを撮るなんて!」

千早「ふふっ、でもよく撮れているわ、春香」

春香「そういう問題じゃないよ!」

春香「とってくれるならもうちょっとサービスのにぃ!」

千早「あら、そう?」

千早「じゃあ、春香」


千早「もう一枚、撮ってもいいかしら?」


              おわり

終わりました、お付き合いいただいた方はありがとうございます

あ、コメントくれた人は特にありがとね
ダレぎみだったけど嬉しかったよ

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