ココア「シャロちゃんとデートするよ!!」 (51)

ある日の夜、シャロ宅

シャロ「ただいまー」

シャロ「防犯とはいえ、ちょっと虚しいわ」

シャロ「今日はフルールはやけに繁盛してたわね……」

シャロ「閑古鳥が鳴いてるよりはいいけど、毎日これだとちょっと大変ね」

シャロ「毎日……ね」

シャロ「はぁ」

シャロ「今日は早めに寝ようかしら」prrrrrr

シャロ「電話?……ココアからね」ピッ

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シャロ「もしもし?」

ココア『もしもし、シャロちゃん?』

シャロ「そりゃ携帯だしね……何か用?」

ココア『夜分遅くにごめんね、寝るところだったかな』

シャロ「まだ起きてるつもりだったからいいわよ。何か用?」

ココア『ちなみに私は、この後チノちゃんと一戦交えるよ』

シャロ「なっ!?」

ココア『最近チノちゃんに教えてもらったんだ~、すごいテクニシャンなんだよ』

シャロ「チノちゃん……とんだおませさんだったのね」

ココア『確かに、チェスを嗜む中学生ってなかなかいないよね』

シャロ「そんな気はしてたわ」

ココア『シャロちゃんったらおませさんだね』

シャロ「う、うるさい!!」

シャロ「それで、何の用なの?」

ココア『そうそう、忘れてたよ~』

ココア『あのね、今度デートしない?』

シャロ「デート?」

ココア『たまには二人で遊ぶってのもいいかなーって』

シャロ「それ、メールでよかったんじゃないの?」

ココア『えへへ……メールだと逆に緊張してね。それで、大丈夫な日ってある?』

シャロ「そうね、今週末なら空いてるわ」

ココア『そっか。じゃあ、土曜日でどうかな?詳しくはメールするね』

シャロ「わかったわ。それじゃあ、おやすみ」

ココア「おやすみなさい、シャロちゃん」

シャロ「デート、ね」

シャロ「普通に遊ぶだけだろうけど」

千夜「シャロちゃんうれしそうね」

シャロ「そうね、最近会えてなかったし、こういう約束があると平日も乗り切れるわ……」

シャロ「って、いつ入ってきたのよ!」

千夜「もしもしって単語が聞こえたあたりからよ。カギはちゃんと掛けた方がいいと思うわ」

シャロ「最初からじゃない!そうだとしても、ノックくらいしなさいよ!」

千夜「したわよ。シャロちゃん電話に夢中だったんだもの」

千夜「私というものがありながら、デートだなんて……」

千夜「浮気されても、私はシャロちゃんのことが好きよ。二番さんになってもOKよ」

シャロ「そういうことをさらっというんじゃないわよ……というか、あんたは一体私の何なのよ」

シャロ「そろそろ寝るわ。そういえば、何か用事があったんじゃないの?」

千夜「借りてた本を返しに来たの。それなら、感想はまた明日ね。おやすみなさい」

シャロ「おやすみ」


シャロ「……ふふ」

千夜「シャロちゃんったら、そんな優しい笑みを浮かべちゃって。まるで恋人に会うみ」

シャロ「帰りなさいよ!」

数日後、噴水前

ココア「シャロちゃん!待った?」

シャロ「今来たところよ」

ココア「そう?それならよかったー。シャロちゃんは、私服もかわいいね」

シャロ「あ、ありがと」

ココア「シャロちゃん私服でスカートって珍しいから、今日は三倍増しでお嬢様だね」

シャロ「そうかしら」


ココア「ツインテールにしてるのも素敵だよ!」

シャロ「そんなに褒められると……ねぇ、そろそろ行かない?」

ココア「ところで、シャロちゃん三十分くらい前から来てたよね」

シャロ「え!?」

ココア「そわそわしててかわいかったな~、そんなに楽しみだった?」

シャロ「み、見てたなら声かけなさいよ!!」


ココア「楽しみだったの?」

シャロ「……わ、悪い?」

ココア「私もだよ!今日は一杯遊ぼうね」

シャロ「今日はなんだか疲れそうね」

ココア「むー、そんなことないよ!」

シャロ「行先は決まってるの?」

ココア「ふふふ、今日は私に任せてもらおうかな」

ココア「それじゃ、いこっか。最初は美術館だよ!」

美術館

ココア「常設展も充実してるけど、特別展示はKoi先生。豪華だね~」

シャロ「常設展は何度も見てるけどね」

ココア「え、そうなの!?」

シャロ「小学校、中学校の校外学習の定番よ」

ココア「いわれてみれば……別の場所にしよっか?」

シャロ「いい絵は何度見てもいいものよ。それに、ここの併設のレストランはオムライスがおいしいの」

シャロ「入りましょ」

ココア「うん!」

ココア「入口のこの彫刻、変なポーズだね。なんかぐったりしてる」

ココア「こんな感じ?」ポーズ

シャロ「ぐったり感が足りないわね」カシャ

ココア「お客さん、無断で撮影されては困りますなぁ」

シャロ「チノちゃんに送ってあげようと思ったんだけど……嫌だった?消すけど」

ココア「対価として、シャロちゃんの変なポーズの写真を要求するよ!」

シャロ「なによそれ……まぁ、誰も見てないし。こう?」ポーズ

ココア「いいねー!いい感じだよ、実に芸術的だね!」カシャ

ココア「もう一枚いってみよう。次はあっちの彫刻でファイティングポーズ!」

シャロ「もうしないわよ!」

ココア「そういえば、チノちゃんはチェスの後って大体こんな感じにぐったりだよ」

シャロ「それ、本当にチェスなの?」

ココア「チェスだよ。肉体派チェスだよ」

シャロ「意味不明よ……まさか本当に」

ココア「あはは、嘘、嘘。本当は知性派だよ。むしろ社会派」

シャロ「一気に胡散臭くなったわ」

ココア「チノちゃんが突っ込みで疲れてるだけだよ。なぜかティッピーもぐったりしてるけど」

シャロ「なんだか想像つくわね、それ」

ココア「シャロちゃんは千夜ちゃんと将棋指したりしないの?」

シャロ「昔はよく指したわ、ぐったりはしてなかったけど」

ココア「癒し系将棋なんだね」

シャロ「普通の将棋よ!」

シャロ「この風景画なんて素敵ね。郷愁を感じるわ」

ココア「え、そうかな?雪積もってるし、もっと北の方だと思うよ。東北とか」

シャロ「九州じゃなくて郷愁よ!」

ココア「冗談だよ~。でも、戦争の絵でもないと思うよ」

シャロ「強襲でもない!」

ココア「えへへ……。シャロちゃんって生まれは雪国だったりするの?」

シャロ「ううん、うまれてからずっとここから離れてないわ」

シャロ「昔、両親と暮らしてた頃は、親と一緒に寝てたのよ。家狭いしね」

シャロ「雪の降る夜でも、暖かかったわ」

ココア「これだけ、他の画家さんよりずっと昔の人の絵だね」

シャロ「そうね」

シャロ「なんだか不思議よね、自分がいなくなっても、作ったものが残り続けるなんて」

シャロ「人は死んでも誰かの記憶の中で生き続けるなんていうけど。じゃあ、これが燃えちゃったら、どうなるのかしら」

シャロ「いなかったことと同じなのかしら」

ココア「あはは、皆が皆歴史に名を残してたら、世界史の授業はみんな赤点だね」

ココア「自分の後に残るものって、こういうわかりやすいものばかりでもないと思うよ」

ココア「今日のデートで豊かになった私の人間性は、子孫に脈々と受け継がれていくよ、多分」

シャロ「なによそれ」

ココア「シャロちゃんの変なポーズの画像も受け継いでいくよ!」

シャロ「それはもういいわよ」

ココア「手始めに、リゼちゃんたちに拡散だよ!」

シャロ「やめて!」

ココア「パンフレット?」

シャロ「ええ。映画とかでも、こういうの好きなのよ」

ココア「それ、無料じゃないよ」

シャロ「知ってるわよ!」

ココア「私は大抵、好きなものは魂に刻み込むから、あんまり買わないな」

シャロ「魂って……記憶はどうしても薄れるし、やっぱり一つくらい残るものが欲しいわ」

シャロ「それに、直接的な写真もいいけど、香りとか、音楽とか、風景とか、間接的に思い出せるのって素敵よ」

ココア「なるほど……」

ココア「じゃあ、これからはチノちゃんのコーヒーを飲む前に、深呼吸しなきゃね」

シャロ「条件付け?」

ココア「シャロちゃんに会った時も深呼吸するよ」スーハー

シャロ「なんだか不気味!」


レストラン

シャロ「このオムライス、ちょっと甘すぎるわね……」

ココア「シャロちゃんのおすすめじゃなかったの?」

シャロ「前に食べたのってずいぶん前だしね」

ココア「そっか。でも、甘めも好きだな~」

ココア「そうだ。デートと言えば、アレをやらなきゃね!」

シャロ「アレ?」

ココア「シャロちゃん、ほら、あーん」

シャロ「えっ、いいわよ別に」

ココア「そんなこと言わずに、一口だけ!」

シャロ「そういわれても……なんだか千夜の看病を思い出すし」

ココア「デートで他の女の子を出すなんて、デリカシーがないなー」

シャロ「うーん」

シャロ「じゃ、じゃあ、一口だけ……」

ココア「それなら自分で食べちゃうよ!」パク

シャロ「え!?あ、うん……」

ココア「おいしいね」

シャロ「……ええ、そうね」

ココア「……」パクパク

シャロ「……」モグ

ココア「卵の部分なくなっちゃったなー」

シャロ「チキンライスの部分だけそんなに残るなんて、食べ方下手過ぎない?」

ココア「オムレツもうちょっと食べたいな」チラ

シャロ「……」

ココア「残念だなー」チラ

シャロ「……ちょっとならあげるけど」

ココア「わーい、ありがとう!でも、皿が遠くて届かないよ」

シャロ「はいはい、口開けなさい」アーン

ココア「やったー」パク

シャロ「全く」

シャロ「……」モグ

ココア「あ、間接キスだね」

シャロ「お、女同士でしょ」

ココア「お礼に一口あげるよ、チキンライスだけだけど」ヒョイ

シャロ「……」モグ

ココア「えへへ……これでおあいこだね」

シャロ「あんたのはチキンライスだけだったから、私の方に分があるわ」プイ

ココア「あ、じゃあもう一口いっとく?」

シャロ「もういいわよ」

ココア「シャロちゃんはツンデレだなー」

シャロ「はいはい、早く食べなさい」

ココア「はーい、なんだかお母さんみたいだね」


シャロ「……昔ね、親と来たのよ」

ココア「確かに、課外学習ではお弁当だもんね」

シャロ「このオムライス、やっぱり甘いわ」

ココア「そうなんだ」

シャロ「ええ、そうよ」


ココア「食べたね~、次はお買い物だよ!」

ココア「あ、ちょっと待って。実は、シャロちゃんにプレゼントがあるよ」

シャロ「プレゼント?」

ココア「じゃーん、ココア特製クッキーだよ」

シャロ「ココアがお菓子なんて珍しいわね」

シャロ(私も何か用意したほうがよかったのかしら)

ココア「早速食べてみてよ!」

シャロ「じゃあ、いただきます」サク

シャロ「ちょっとビターね」

ココア「え、ほんとに!?」ヒョイ

シャロ「味見しなかったの?」モグ

ココア「うん……確かに、ちょっと焦げてる」モグモグ

シャロ「でも、おいしいわ。ありがとうね」

ココア「うん!」

ココア「ちなみにまだもう一袋あるんだけど……お土産にしてもらおうと思ったけど、いらないよね」

シャロ「いただくわ。がんばって作ってくれたんでしょ。ありがとう」

ココア「本当!シャロちゃんは優しいな~」

ココア「炊き込みご飯ならコゲもおいしいのにね……そういえば、コゲって発がん性が指摘されててね」

シャロ「発がん性クッキーなんて物騒ね、やっぱり返そうかしら」

ココア「嘘だよ!比較的嘘だよ!」

シャロ「どっちよ……」

ココア「程度による」

シャロ「そう」

シャロ「そのうち、お返しに比較的安全なお菓子を作ってあげるわ」

ココア「比較的って何?」

シャロ「ココアのクッキーとの比較よ」

ココア「そう」

シャロ「そうよ」

ココア「あ、それなら一緒に作らない?シャロちゃんにお菓子作り教えてほしいなー」

シャロ「そうね……そのうちね」

ココア「やった!」

書店

シャロ「本屋?」

ココア「そうだよ。最近できた店で、喫茶店併設なんだ。お洒落だね」

シャロ「へー。ココアは確か、結構本読むのよね」

ココア「寝る前とかによく読むよ」

シャロ「夜に読むと、あと少しだけって感じで夜更かししちゃうこととかあるわよね」

ココア「夜読書あるあるだね~」

ココア「夜モフモフにもそういった面があるよね」

シャロ「なんだか怪しい響きね」

ココア「シャロちゃんも、寝る前にワイルドギースをモフモフしたりしないの?」

シャロ「そんなにベタベタした関係じゃないの」

ココア「大人の関係ってやつだね」

シャロ「大家と店子、ビジネスライクなのよ」

ココア「ふふふ、ブックソムリエココアがシャロちゃんにぴったりの本を紹介しちゃうよ~」

シャロ「あんまり高い本は買えないわよ」

ココア「一冊目は、『罪と罰』だよ」

シャロ「一冊目から重い!チノちゃんにも勧めてたわよねそれ……」

ココア「シスターコンプレックスな主人公の冒険活劇だよ」

シャロ「一回読んだからいいわ」

ココア「そう?じゃあ二冊目いってみよう」

シャロ「軽めで頼むわ」

ココア「じゃーん、『砂の女』だよ!」

シャロ「やっぱり重い!というか、チョイスが暗すぎない?」

ココア「変わった趣味をお持ちの男性が、ささやかな幸せを見つけるドキュメンタリーだよ」

シャロ「それも読んだことあるわ」

シャロ「読んでて辛くなるのよね……口の中がざらざらするわ」

ココア「この結末もまた、現代社会の幸せの形のひとつだよ」

ココア「ツーアウト……後には引けないね!」

ココア「三冊目!『カフェインファイター』だよ!」

シャロ「それ、私がモデルの本じゃない!青山さんから一冊もらったからいいわ」

ココア「そうなんだ。読んでみてどうだった?」

シャロ「なんとなく恥ずかしくて、まだ読めてないのよ」

ココア「面白いのに~。特にシャロちゃんが……」

シャロ「ネタバレはやめて!というか、主人公を私っていうのもやめて!……折角だし、帰ったら読んでみるわ」

ココア「うう、スリーアウト、チェンジだよ……」

ココア「じゃあ、今度はシャロちゃんのおすすめを教えて!」

シャロ「私?そうねぇ……」

ココア「超重量級でも受け止めてみせるよ!」

シャロ「こっちの……この本なんてどうかしら」

ココア「お菓子のレシピ?」

シャロ「この本は、他の本だと書いてない基本的なテクニックが書いてあるから、他の本も読みやすくなると思うわ」

ココア「なるほど。じゃあ、今度教えてもらうときに、この本からリクエストしていい?」

シャロ「そうね、大体作ったことあるし、ちょうどいいかも」

ココア「帰ったら早速読んでみるね!」

ココア「じゃあ、二回表いってみよう!四冊目は……」

シャロ「九回まであるの!?」

ココア「ちなみに、九冊目以降はループするよ」

シャロ「せめて代打出しなさいよ!」


噴水前

シャロ「クレープも、食べる側だといいものね。おいしかったわ」

ココア「シャ、シャロちゃん……」

シャロ「今日はありがとう、楽しかったわ」

ココア「でへへ~、そう言ってもらえると嬉しいな」

ココア「シャロちゃん、最近たまに、浮かない顔してることがあったから、ちょっと心配でね」

シャロ「別に……私はいつも通りよ」

ココア「またまた~、えいっ」ダキッ

シャロ「チノちゃんじゃないんだから」

ココア「シャロちゃんモフモフ~」

シャロ(人もいないし、まぁいいか)

ココア「シャロちゃんの匂いがするよ」スーハー

シャロ「ちょ、ちょっと!」


ココア「……私こう見えて口は堅いよ」

シャロ「何もないって言ってるじゃない」

ココア「そっか……」ポンポン

シャロ「……」

シャロ「本当に、なんでもないことなのよ」

シャロ「ただ、ちょっとだけ、虚しい気分になることがあるというか……」

ココア「虚しい?」

シャロ「あんまりうまくまとまらないんだけどね……」

シャロ「両親と離れて暮らすことになったときはね」

シャロ「すごく悲しくて、寂しくて、毎日両親のことを考えていたのよ」

シャロ「でもね、今ではそれも慣れてしまって、それほど寂しいと思わないの」

シャロ「その……あんたたちがいてくれて、楽しいことに気が向いてるだけかもしれないけど」

シャロ「でもね、平気になってる自分が、少し嫌になるときがあるのよ」

シャロ「それにね……私たちも、永遠に一緒に遊んでられるわけでもないでしょう」

シャロ「将来離れ離れになったとして、そのうちそのことに慣れてしまう自分を想像するとね」

シャロ「いつまでもめそめそしてたら、生活できないのはわかってるけど」

シャロ「いつか、一切は時間とともに霞んでしまうのだとしたら」

シャロ「なんだか、死ぬまでの日々を、ただやり過ごすために必死になってるみたいに思えてね」

シャロ「いつかは失ってしまうものしか持てないのかと、考えるとね」

シャロ「思ってたより疲れてるのかもしれないって、気付く瞬間があるのよ」

シャロ「……それだけよ」

ココア「そっか……そんなことを考えてたんだね」

シャロ「長々と話して悪かったわね……もう、抱き着いてなくても大丈夫よ」

ココア「うーん、もうちょっとだけ」

シャロ「そう」

ココア「シャロちゃんは頭がいいから、将来のことに予想がついちゃうんだね」ナデナデ

シャロ「そうでもないわ。経験則か、あるいは一般論よ」

ココア「人は変わっちゃうもんね」

シャロ「……そうね」

ココア「シャロちゃんのいうことも、確かにある意味ではそうだと思うよ」

ココア「そんなシャロちゃんに問題だよ!」バッ

シャロ「な、なによ、急に目を見つめて」

ココア「今わたしは何を思ってるでしょう?」ジー

シャロ「は、はぁ?……バカなことを言ってる友人を、面倒だとか思ってるんじゃないの」

ココア「全然違うよ!」

ココア「正解は……『シャロちゃんの瞳はきれいなエメラルドグリーンだな~』でした!」

シャロ「なによそれ……」

ココア「本音を話して照れてるシャロちゃんかわいいな~、とも思ってるよ!」

シャロ「ちょっと、やめてよ」

ココア「シャロちゃんは、もっと今を見る練習をした方がいいよ」

シャロ「今、ねぇ……刹那主義?」

ココア「良い意味でね。さあ、私の体温を感じるのだ!」ダキッ

シャロ「ちょっと、ヘンタイっぽいわよ」

ココア「モフモフ~」

シャロ「もう……」ニコ

テンポ良くて面白い


シャロ宅

シャロ「ただいま」

千夜「おかえりなさい」

シャロ「あ、うん」

シャロ「って、なんでいるのよ!」

千夜「鍵はちゃんとかけなきゃだめよ?」

シャロ「あ、掛け忘れてた?留守番ありがとう」

シャロ「いや、あんた合鍵もってるでしょ!」

千夜「鍵が掛かってなかったのは事実よ。晩御飯のお裾分け欲しいかって聞こうと思ったんだけど」

千夜「遊びに行ってるのを思い出して、そのままここで作っちゃった」

シャロ「おいしそうな香りがするわね、ありがとう」

千夜「ココアちゃんとはどうだった?」

シャロ「……別に、いつものココアよ」

千夜「その顔をみると、すごく楽しかったのね。食べながら聞かせてくれる?」

シャロ「いいけど……いつもと変わらないわよ」

千夜「そう、楽しみだわ」


シャロ「それでね、そのときココアが……」

シャロ(『今』……)

シャロ「……」ジー

千夜「シャロちゃん、どうかした?」

シャロ「ううん、なんでもないわ」

千夜「そう?」ニコ

シャロ「……ふふ」

シャロ「それでね――」


千夜「余った分は冷蔵庫に入れておくわね」

シャロ「いつもすまないわね」

千夜「なんだかそれ、おばあさんみたいよ」クス

千夜「そろそろ帰るわ。おやすみなさい」

シャロ「おやすみ」


シャロ(そういえば、ココアからもらったクッキー、カバンに入れっぱなしね)

シャロ(出しておこう)

シャロ(……)サク

シャロ「……やっぱりちょっと苦いわね」

シャロ「ふふ」


千夜「あらシャロちゃん、こんな時間にお菓子を食べるなんて、眠れなくなってもしらな」

シャロ「いつまでいるのよ!」

おしまい

いいね

乙。ほのぼのしてておもしろかった

おつ

乙!

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