ほむら「さよならだね…まどか」(18)


懐かしい夢を見た。

それは、かつていなくなってしまった少女の夢

全ての魔法少女の為に、守りたかった全ての為に、一つの希望となってしまった女の子だ

夢の中でも彼女は変わらず笑っていた

あの時の、私を『最高の友達』と呼んでくれた…あの時の笑顔そのままで

既にあの出来事から、半年が経とうとしていた

私はそれでも変わらずに…戦い続けていた。


「ん……」

…意識が戻ってくる
どうやら眠っていたらしい。

昨日も「魔獣」狩りに精を出していた事もあってか、少し身体が重い。

「学校…起きなきゃ…」

布団からなんとか起き上がり、時計を見る。
既に7時過ぎ

急いで支度をしなければ間に合わない時間だ


……

制服に着替え、身支度をする
あと20分程で迎えが来てしまう筈だ。急がねば

「朝ごはんは…いらないわね。そんな時間もないし」

昨日の残り物を入れ物に詰め、お弁当を作る

これで完成だ、後は髪をとかせば…

とその時、玄関の呼び鈴が鳴った
もう来てしまったのだろうか、と時計を見ればとうに20分は過ぎてしまっていた

慌てて適当に髪を整えて、玄関を開ける

そこには

「おはよう、ほむらちゃん!」

「おはよう、まどか。今支度終えるから少し待っていて」

「うん、待ってるね」

鹿目まどか、彼女の姿があった。


「おっ来た来た。遅刻だぞまどか、転校生ー!」

いつもの待ち合わせ場所
そこにはいつも通りの二つの影があった。

「ごめんねさやかちゃん。仁美ちゃんもおはよう!」

「ええ、おはようございますまどかさん。それにほむらさんも」

「ええ、おはよう仁美……それさやか?」

私は威圧するようにさやかを睨む

「な、なんだよ転校生…。や、やややるってのか…!?」

「なにかしらその謎の構えは。私が言いたいのはもう転校してきて長いこと経つのに、未だ転校生呼ばわりとはどういうことかしら、ということよ」

目を丸くするさやか(馬鹿)。
そんなに可笑しな事を言ったつもりはないのだけれど…


「あっはっは!ごめんごめん、そうだったね『ほむら』?」

「何かしらその気持ち悪いにやつきは」

「べっつにいいいいいい?『ほむら☆』」

「……」

これ以上相手をしても時間の無駄なのでこの馬鹿から背を向け、学校へ向かう。

こんなやりとりも、日常の一部だ。

…………
………
……

「巴さん?」

「え?あ、暁美さん!?」

昼休み
今日も屋上でまどかとお昼にしようと足を運んでいる最中に、一つ上の先輩である巴マミ先輩に遭遇した

やけに慌ててるみたいだが、何かあったんだろうか

「どうかしましたか?様子がおかしいみたいですけど…」

「え、あ、いや、なんでもないけれど!暁美さんはこれからお昼御飯かしら!?」

やけに慌てた様子で尋ねてくる
こう言ってはなんだが不審極まりない


「そうですけど…」

とりあえず言葉を返しておく
すると巴さんはなんだか今度はそわそわし出して、私の方をチラ見してくる

…………一体なんなんだろう

そしてそれもすぐに収まり、意を決したようにキッと私を見据えた巴さんは口を開いた

「わ、私もお昼御飯まだなのよね」

「はあ」

「だからよかったら、一緒にお昼食べない?丁度作りすぎちゃったのよ」

そういって取り出したお弁当は………………重箱?

ひょっとして巴さん、あの量を一人で食べるつもりだったのだろうか


そして私はそれを了承し、まどかを待たせるのも気が引けるので屋上へ

屋上は寒くなってきた時期ということもあって、夏に窺えた人の混み具合は完全に姿を消していた

そして中央のベンチに腰かけるまどかを見つけ、そこに向かう

「まどか、遅くなったわね」

「ううん、それはいいんだけど…マミさんも来てくれたんですか?」

「え、ええ。たまたまそこで暁美さんと顔を合わせてね」

そうなんですかーと軽く流すまどか

その様子に何故か安堵していた巴さんも、ベンチに腰を掛けお弁当を広げていった

……あ、流石のまどかも重箱には驚いてる

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