結衣「言葉にしなくても」 (37)




結衣(これ、どうしようかな…)

あかり「あ、結衣ちゃーん」

結衣「あかり。あかりもこれから部室?」

あかり「うん。ところで、京子ちゃんは?」

結衣「あいつは綾乃に早くプリントを書いて出しなさいって言われて、今生徒会室だよ」

あかり「そうなんだぁ」

結衣「ちなつちゃんは?」

あかり「ちなつちゃんは職員室に用事があるから、あとでって」

結衣「そっか、うーん…」

あかり「?」



(ゆるゆりSS)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1460080193




――


――――――


――――――――――――


――――――――――――――――――――――――――――



西垣「急で悪かったな船見、課題運びを手伝ってもらって助かったよ」

結衣「いえいえ」

西垣「お礼と言ってはアレだがプレゼントだ、ほら」

結衣「何ですか、このタブレット…。はっ、まさかまた怪しい発明品…!?」

西垣「失礼な。袋を開けてみろ、いい匂いがするんだぞ」

結衣「あっホントだ、ミントの香り…」






西垣「まあお察しの通り、それは私の作った薬だけどな」

結衣「ちょっと」

西垣「はっはっは。それでその『飲んで思ったことを念じるとそれが伝わり合うようになる』薬、ぜひ試してもらえるか」

結衣「お返しします」

西垣「そういうな。私の実験には火も使うし、下手なところに放置しておくと爆発してしまうかもしれんぞ」

結衣「ちょっと発明者」

西垣「そんなワケだから、持ってってくれ」



――――――――――――――――――――――――――――


――――――――――――


――――――


――






結衣(にしたって『そんなワケ』じゃないよ、全く…)

あかり「結衣ちゃん、どうかしたの?」

結衣「…ううん、大丈夫」

あかり「なら良かったぁ」

結衣(先生曰く『この錠剤は2粒で1セット』)

あかり「今日は何しようかなぁ…」

結衣(『爆発が嫌なら』って言って1粒強引に飲まされて)

あかり「宿題もないしなぁ…」

結衣(『効き目は下校時間の頃には切れるだろう』って話だけど…)

あかり「そうだ、ねぇ結衣ちゃん」

結衣「ん、ん!?何?」

あかり「ちょっとお手洗い行ってくるねぇ」

結衣「わ、分かった。私、お茶でも淹れて待ってるから」

あかり「そういえば結衣ちゃん、今日はまたお菓子持ってきてくれてるんだっけ」

結衣「うん、あるよ」

あかり「今日は何だかお腹が減っちゃったから、楽しみだよぉ。それじゃあ、また後でねぇ」






〜部室〜





結衣(さてと、とりあえずお湯を沸かし始めたし、お菓子の準備もした。それはいいが…)ガサゴソ

(この錠剤はどうしよう…?)

(あかりなら、説明すれば飲んでくれるだろうか…)

(でも、流石のあかりだってあの先生の被験者にされるのは嫌がるんじゃ…)



(というか、そもそも説明せずに飲ませるのは――)

(いやダメダメ、あかりが優しいからってそんなことはしちゃいけない)



(どうしよう…!!?)






ピーッ、ピーッ

結衣(あ、お湯が沸いた)







ガラガラ

あかり「結衣ちゃーん?」

結衣「お、ちょうどよかった。今お茶入るから」

あかり「はーい。ところでこれがお菓子?食べてもいいかなぁ」

結衣「いいよー」

コポポポポ






結衣「お待たせ――」

あかり「んー、美味しい…。ちょっとミントみたいな感じでスースーする…」







結衣<あかりが薬飲んじゃったあああああ!!!!>

あかり「えっ!!?く、薬!?!!?」

結衣「しかもしっかり伝わっちゃってるううう!!!!!」










あかり「な、なるほど…」

結衣「ごめんな…」

あかり「う、ううん。不注意なあかりのせいだもん」

結衣<あかりの優しさが逆に心を痛める…>

あかり「心配しないで、それに結衣ちゃんのほうがずっと優しいよ」

結衣「あかり…」

あかり「えへへ、あかりは大丈夫だから」





結衣(っていうか『私のほうが』ってことは、今<心が痛い>って思ったのがあかりに伝わってるってことじゃん…)

あかり「結衣ちゃんのお菓子、美味しいなぁ」

結衣(何が『念じれば伝わる』だよ…。ガバガバじゃんか…)ハァ



あかり<結衣ちゃん、あかりこそごめんね。気にしてくれてありがとう>

結衣「…どういたしまして、あかり」フフッ






ガラッ

ちなつ「こんにちはー」

結衣「ちなつちゃん、こんにちは。職員室に用事があったんだっけ」

ちなつ「そうなんです。みんなのぶんの課題を出しに行かなくちゃいけなくて、しかも今日はそれがとっても重くて」

結衣「そっか、大変だったね」ナデナデ

ちなつ「はああ、結衣先輩…」

結衣「昨日言ってたお菓子あるから。はいどうぞ」

ちなつ「おいしいです…!」

あかり<かわいい>

結衣<そうだね。ちなつちゃん、かわいい>

あかり<ちなつちゃんもだけど、結衣ちゃんもだよぉ>



結衣「なっ…!?何言ってるんだよ!!//」

ちなつ「結衣先輩?どうしたんですか?」






結衣「あっ…いや、何でもない…//」

ちなつ「?」

結衣<ったく、あかり…>

あかり<結衣ちゃんどうかしたの?>

結衣<いや、そういうのは…>

あかり<えへへ、何?>

結衣<はあー…>






あかり「なんだか、小さい頃を思い出しちゃうねぇ」

ちなつ「?」

結衣「…なんで?」

あかり「何となく、だけど」

結衣「うーん、そっか…?――あ、入れたぶんのお茶、もうないや」

ちなつ「え、そうなんですか?」

結衣「ちなつちゃんが淹れたほうがおいしいから、少なめにしといたんだ」

ちなつ「じゃ、じゃあ私、新しく淹れてくるんでちょっと待っててもらっていいですか!!?」

結衣「うん、お願いね。ありがとう」

ちなつ「はい!!!」






結衣(にしても、言われっぱなしは悔しいような…。むむむ…)

あかり「ちなつちゃんのお茶が来るまで、お菓子は食べないでおこうっと」







結衣<…あかりあかり>

あかり<なあに?>






結衣<…あかりだって、かわいいよ>

あかり<ほんと?ありがとう、あかり結衣ちゃん大好き>







結衣「〜〜〜っっ!?//」






ちなつ「お茶入りましたよ――って結衣先輩、なんで顔赤くしてるんですか?」

結衣「えっ!?い、いや何でも…っていうか私今顔赤くなってるの!?」

ちなつ「え、ええ…」

結衣(うおおお、返り討ちだ…)

ちなつ「先輩、ホントにどうしたんですか…?」

結衣「ど、どうもしてないよ…」

ちなつ「でも…さっきから急に何か驚いたような声出したり、今だって…」

結衣「気にしないで、ありがとうちなつちゃん」

あかり<ちなつちゃんの言う通りだよ、今日の結衣ちゃんちょっと不思議>

結衣(あかりのおかげだろうが〜〜〜!//)



結京ばっかりな中で久々な結あか
>>1になら尻穴使わせてもいい
期待




ガラッ

京子「やあやあ皆の衆、遅くなってすまんのう」

あかり「あ、京子ちゃん」

京子「あ゛〜、疲れた〜」

ちなつ「先輩、今日は放課後どこにいたんですか?」

あかり「京子ちゃんはまたプリントやるの忘れて、杉浦先輩と生徒会室にいたんだって」

ちなつ「なるほど」

京子「そうだ!今日は結衣のお菓子があるんじゃなかったっけ?」

結衣「あ、あるにはあるけど…。もうあと少ししかないぞ…」

京子「な、なに〜!?なら早く食べなくては!」






京子「んん!うめえ!!」

結衣「良かった、ちゃんとみんなに喜んでもらえて」







あかり<結衣ちゃん>

結衣<!?な、何!?>






あかり<これからもこうやって、たくさんお菓子作ってくれたら嬉しいなぁ>

結衣<う、うん>

あかり<そしたら、喜んで食べるよぉ>







結衣「//」プシュ〜



京子「ん、結衣どした?顔から湯気が出てるぞ」






ちなつ「そうそう、さっきから結衣先輩の様子がずっと変なんですよ」

結衣「ち、違う違う!普通だって!」

京子「んー、よく分からんけど、普通の人は普通だなんて言わんぞ?」

結衣「うっ…」

ちなつ「あかりちゃん、私たちがいなかった時の先輩はどうだった?何かあったの?」

あかり「うーん、あかりは心当たりないかなぁ…」

結衣<だから、あかりのおかげだってのにー…!//>






あかり<えっ、そうなの、あかりのせい?>

結衣(あっ、また変なところで伝わってしまった…!)

あかり<ごめんね…>

結衣<いや、あ、あかりは悪くないから…>

あかり<???>

結衣<確かにあかりのおかげだけど…、2人には言わないでくれ>

あかり<わ、分かったよぉ>






京子「とりあえず詮索はしないけど、何かあったら言えよ?」

結衣「あ、ああ」



京子「――お、お菓子が最後の1つだ…」

あかり<それにしても、やっぱり…>

結衣<ん?>






京子「そだ、これは4つに分けてみんなで食べよう!」

結衣「えっ」

ちなつ「いいんですか?」

京子「おう!はいこれはちなつちゃん、これは結衣」

結衣「う、うん」

ちなつ「ありがとうございます!」

京子「はい、あかり」

あかり「ありがとう、京子ちゃん。――あ、ちなつちゃん、もう1杯お茶もらえる?」

ちなつ「うん。あっ、先輩方もどうぞ」

京子「ちなつちゃんもありがと!」

結衣「そうだね、ありがとう。よし、それじゃあみんなで一緒に食べようか」










京子「そろそろ下校時間だねー」

結衣「そうだな。さて、ちょっと急ぎ目に片付けしないと…」

ちなつ「それじゃ私、洗い物します」スクッ

京子「ちなちゅが洗い物なら今日は私も!」スクッ

ちなつ「とりあえず色々ツッコミどころはありますけど、フザけてお皿割らないでくださいよ?」



結衣<もうすぐかな、薬の効果が切れるの>

あかり<そうだねぇ>

結衣<あかり、体に変な感じとかない?>

あかり<うん>






結衣(あっ、そういえば)ピクッ

あかり「結衣ちゃん、どうしたの?」

結衣「…しーっ」

あかり「?」

結衣<さっきあかり、何か言いかけてたろ?あれは何だったの?>

あかり<えっとね…。京子ちゃんをあかりと結衣ちゃんで見守ってた頃と、同じような感じだなぁって>

結衣<…昔が懐かしいって言ってた話?>

あかり<うん。京子ちゃんはかわいいだけじゃなくてカッコよくなったし、ちなつちゃんとも一緒にいるようになってもっと楽しくなったけど>

結衣<うん>

あかり<あの時と変わってないものもあって、嬉しくなっちゃって>

結衣<…そっか>






あかり<だからね、結衣ちゃん>



スッ

ギュッ



結衣(あ、あかり!?!!?//)

あかり<これからも、あかりとも一緒にいてくれる?>

結衣<あ…ああ>



あかり<ほんと?>

結衣<大丈夫、もちろんだよ>






ちなつ「終わりましたー…って、何してるのあかりちゃん!!!」

結衣「ち、ちなつちゃん!?」

ちなつ「私だって結衣先輩に抱きついちゃうんだから!!!」ギュッ

結衣「!??!?//」



京子「何だか騒がしいと思ったら」

結衣「きょ、京子…//」

京子「私もみんなに抱きついちゃうぞ〜!!!」ギュッ

ちなつ「京子先輩、苦しいですぅー!」

結衣「ちょ、みんな苦しいって!//」







あかり「…えへへ」

結衣(……)フフッ










――みんな一緒に仲良くいられるのは、結衣ちゃんのおかげだよぉ。いつもありがとう。

――何だかんだで毎日楽しくやれてるのは、あかりのおかげだよ。…いつもありがとう。







終わり

>>17
結京そんなに増えてるっけ…最近ここのゆるゆりSS全部追ってるワケじゃないからよく分からん
個人的にも結京SSをここに投下したのは年始の1つだけだしなあ

読んでくれてありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom