部長「麗子君と両津は休憩室でなにやってるんだ?」(105)

・・・とある日の派出所・・・

部長「麗子君と両津はどこに行った?」

中川「さっき休憩室に二人で入っていきましたけど…結構時間たってるな」

部長「二人でずっと…いったい麗子君と両津は休憩室でなにやってるんだ?嫁入り前の娘さんが両津と二人きりなんて。
誤解を招くような行動をしてはいかん。ちょっと注意してくる」

中川「あの二人に限って心配ないと思いますけどね…」

・・・休憩室・・・

両津「この外側の黒い皮を剥くんだ」

麗子「へー」

両津「内側は意外とゴチャゴチャしているからこれで保護しているんだ」

麗子「そうなの」

両津「皮剥く時力入れすぎるなよ、意外と繊細なものだから」

麗子「赤っぽいツヤツヤしたのが出てきたわ」

両津「そこあんまりいじるなよ、痛くするから」

麗子「はい」

両津「じゃあ、麗子やってみろ。これをもう一回皮を剥くみたいにグッとしてやると…」

麗子「白っぽいのが出てきたわ」

両津「意外と上手だな。次に先っぽを少しクネクネとしてほぐした後、このあたりを強めに挟んでしごいてやると…」

ガラガラ、バーン

部長「お前たち、派出所で猥褻な行為をするなど許さん!」

両津「えっ、何のことですか?」キョトン

部長「両津だけならともかく、麗子君まで……」ワナワナ

麗子「アンテナの同軸ケーブルとL型プラグのつなぎ方を習っていただけですけど…」キョトン

部長「黒い皮を剥いて赤っぽいのを出すとか」

両津「同軸ケーブルって外側黒いゴムで被覆されてて、中に銅線がネット状になっているでしょう」

部長「いじると痛くするって」

両津「銅線が細いからうかつにいじるとトゲが刺さるみたいになるじゃないですか」

部長「白いのが出てくるというのは」

両津「真ん中の太い銅線を保護するのに白いビニールで覆われているでしょう」

麗子「部長さん、なんでこれが猥褻な行為なんですか?別にAV見ようとしてるわけじゃないし…」

部長「あー、つまりなんだ、まあ世の中いろいろ……」

両津「ハハーン、部長。そういうことですか。麗子、あのな部長は……」

部長「うるさい、黙れ!!これ以上しゃべっていると度井仲村へ飛ばすぞ!!」グイグイ

両津「首を絞めないで。く、苦しい」

部長「これぐらいで勘弁してやる。仕事中にくだらないことしてるんじゃない!ちょっとパトロールに行ってくる」ソソクサ

両津「行ったか。まったく、死ぬかと思ったよ」

麗子「ねえ、両ちゃん。部長さん、なに怒ってたの?」

両津「つまりな、部長は…コショコショ…」

麗子「ヘンタイ!!」ガツン!!

中川「麗子さん、いきなりパイプ椅子で殴ったらいくら先輩だって……気絶してる」

・・・・・・・・

麗子「ごめんなさい」

両津「勘違いしたのは俺じゃないぞ。部長のせいで気絶するまで殴られてたまるか」

麗子「つい、いつもの癖で」

両津「まあいい。で、なんでこんなこと知りたいんだ?麗子なら自分でやらなくたって電気屋に頼めばやってもらえるだろう、っていうか普通のアンテナコード買えばいいじゃないか」

麗子「ボランティアで行ってる児童養護施設でね、物置からファミコンが出てきたの。子供たちみんな大喜びだったんだけどファミコンとテレビをつなごうとしたらうまくできなくって。
今度つないであげるって約束したのよ」

両津「ファミコンか。確かにRFスイッチを使ってアンテナ端子に接続していたな」

麗子「RFスイッチ?」

両津「いちいち説明していたら日が暮れる」

麗子「もう夜だけど」

両津「そういうことを言ってるんじゃない!」

麗子「ごめんなさい。ねえ、ファミコンのゲーム持ってない?」

両津「ファミコンのソフトか。まあ、いくらかは……」

麗子「貸してくれない?本体が出てきたんだけどゲームはあんまりなくて。養護施設だからゲーム買うほど余裕があるわけじゃないし…」

両津「施設の子供たちか……やるよ」

麗子「いいの?」

両津「新しいゲームやるだけでも一日が48時間ほしいぐらいだ。今さら昔のゲームなんかやってる暇はない。場所とって困ってたしな」

麗子「ありがとう。あとで取りに行くわね」

・・・両津の部屋・・・

両津「おう、これだ。もってけ」

麗子「こんないっぱい!ありがとう」

両津「何言ってるんだ、これはほんの一部だ。こっちの部屋にも…」

麗子「ずいぶんきれいに保管してあるのね。でもすごい量……あのう、両ちゃんお願い、施設に行くとき一緒に手伝ってくれないかしら?これだけ運ぶのは結構体力が…」

両津「そんなめんどくさいことできるか」

麗子「子供たちにケーキ作ってあげる約束したから、両ちゃんにもあげる」

両津「ケーキぐらいで男は動かん」

麗子「だったら……これでは?」ドーン

両津「こ、これは、今や入手困難な日本酒 "14代" の杜氏のおじいさんが作ったらしいという幻の酒 "12代" じゃないか!」

麗子「来てくれるわね」

両津「喜んでいかせていただきます」

・・・児童養護施設・・・

施設職員「あ、麗子さんよく来てくれたわね。今日は劇団の人がお芝居を子供たちに見せてくれることになったのよ。一緒に楽しんでいって」

麗子「はい、ありがとうございます」

両津「わしはケーキ食ったら帰るぞ」

?「勘吉君!」

両津「ん、誰だ?」

琴音「久しぶり!」

両津「お、琴音じゃねえか!!どうしたんだ、こんなところで?」

琴音「養護施設の子供たちにお芝居を見せてほしいって頼まれて」

両津「そうか、劇団って琴音の一座のことだったのか。だけど旅役者の芝居なんて今どきの子供が喜ぶのか?確かに施設じゃ娯楽は少ないだろうが…」

琴音「アニメとか取り入れていろいろ工夫してるのよ。それぐらいのことができなきゃ、ご飯食べていけないもの」

両津「そうか……よし麗子、俺たちも出るぞ!」

麗子「出るって?」

両津「芝居に決まってるだろう」

麗子「琴音さんに迷惑よ、学芸会じゃないんだから。ねえ?」

琴音「そんなことないわ。たまには違うことするの、一座のみんなも喜ぶわ」

両津「ほら見ろ。琴音、衣装の余りあるか?」

琴音「そこにあるわ。好きなの使って」

両津「よし……わしはこれを着よう。麗子はこれな」

琴音「あっ勘吉君、それは衣装じゃ…」

麗子「なんでこんなの着なきゃいけないのよ……そもそもシナリオは?」

両津「アドリブで何とかなる」

麗子「そんなこと言っても」

両津「酔っぱらったお客さんが舞台に上がってくるなんてことはよくあるから、飛び入りには慣れてるわ。うまくリードするから心配しないで」

麗子「はあ」

・・・芝居中・・・

役者A「ザケンナー」

役者B「俺の友達出てこいっ!黄門、妖怪メダル・セットオン!!」

両津「カッカッカ、この紋所が目に入らぬか、先の副将軍水戸黄門じゃ」

役者A「コワイナー」

両津「猪口才な。お銀、やっておしまいなさい」

麗子「はい、黄門様…って、由美かおるはこんな衣装来てなかったでしょう!ただのレオタードじゃないの!」

両津「キャッツアイだってレオタードだ」

麗子「あれは泥棒、お銀は忍者よ!」

両津「似たようなものだ、さっさとザケンナーをやっつけろ。芝居を続けるんだ、客が見てるんだぞ」

麗子「わかったわよ!ザケンナー覚悟しなさい」

子供A「麗子さんオッパイでけえ!」

麗子「エッチ!あなたたち何見てるの!」

子供B「あ、パンツTバックだ!」

麗子「え、なんで?…クル…きゃあ、透けてるじゃない!」

両津「いいから、早く倒せ」

麗子「もう…エイッ」

両津「そんなキックで敵を倒せるか。もっと脚を上げろ!ヒロインの大股開きこそ戦隊物の醍醐味なんだぞ」

麗子「そんなの両ちゃんだけよ!それにお銀は戦隊ヒロインじゃないわ!」

両津「踵ををここぐらいまで上げると、股間のシルエットがくっきりと…」グイッ

麗子「脚を引っ張らないで。いい加減にして!ヘンタイッ!!」ドカッボコッガツッガンッ

両津「ま、待て、話せばわかる!た、助けて」

子供A「あ、お銀が黄門様をやっつけてるぞ!」

子供B「がんばれーお銀!」

子供C「志村、うしろ!」

両津「わしはバカ殿じゃない!…ガン!…いてて!!許してくれ、麗子ーー」

麗子 ガツンドカンバシン

役者A「麗子さん、それぐらいにしないと死んじゃいますよ……」

麗子「フウ。次こんなことしたら許さないからね。わかった?!」

両津「はい、以後気を付けます……」

・・・お芝居終了後・・・

子供「両さんゲームのやり方教えてよ」

両津「よし、ちょっと待ってろ。麗子、この衣装しまっといてくれ」

麗子「それくらい自分でやりなさいよ」

両津「今忙しいんだ。そうだ、ケーキ持ってきてくれ、みんなで食べるから」

麗子「もう、しょうがないわね……汗ぐらい拭かないと風邪ひくわよ。はい、タオル」

両津「サンキュー。よし、お前ら教えてやるからスィッチ入れろ…」

琴音「麗子さんも大変ね」

麗子「いつものことですから。それよりお芝居めちゃくちゃにしてすみませんでした」

琴音「そんなことないわ、麗子さんのおかげで劇もすごく盛り上がったわ」

麗子「恥ずかしいところをお見せして。両ちゃんがエッチなことするからつい」

琴音「子供のころ私もスカート捲りされたわ」

麗子「昔からそんなことしてたんですね」

琴音「その口ぶりだと今でもしてるのね。でも引っ越しばかりで、なかなかなじめなかった私を守ってくれたのも勘吉君だったわ。私をからかってもいいのは勘吉君だけなんだって」

麗子「両ちゃんらしいわ」

琴音「今ではめったに会えないけど、あの当時のことは今でも感謝してるわ」

麗子「感謝……ですか…」

琴音「感謝じゃ変かしら?」

麗子「いえ……」

琴音「だったら……愛してるって言ったら満足してもらえる?」

麗子「……その私はただ……たぶん両ちゃんは琴音さんのこと……」

琴音「フフフッ、私も好きよ。今でも夢に出てくるぐらい」

麗子「だったら…私すごくお似合いだと思うけど…」

琴音「私は旅役者よ。結ばれることはないわ」

麗子「でも結婚して役者さんを引退すれば…」

琴音「そうね。でも、女だてらに座長なんかしてると、いろいろとあるの」

麗子「いろいろ?」

琴音「私たちみたいな貧乏一座はきれいごとだけでやっていけない世界だから」

麗子「きれいごと……?」

琴音「……あなたがさっき来たレオタードは芝居の衣装じゃないわ」

麗子「芝居の衣装じゃない?……あっ」

琴音「たぶん想像のとおりよ。聞きたい?」

麗子「いえ……」

琴音「ごめんなさい、そんなもの着させちゃって。ちゃんと分けてしまっておけばよかったんだけど」

麗子「そんなことは…」

琴音「つらいことがあった時、子供の頃みたいに勘吉君が助けに来てくれたらって何度も思ったわ」

麗子「……」


琴音「勘吉君だって浅草で興業の世界を見て育ってるから、私のしていることぐらい…」

麗子「で、でも、両ちゃんはそんなこと気にしないわ!」

琴音「わかってるわ」

麗子「じゃあ…」

琴音「だけど私はだめ。たとえ役者をやめたとしても忘れられない……そんな私を見たらきっと勘吉君は苦しむでしょう?」

麗子「そうだけど……」

琴音「だけど誤解しないで。私は親から引き継いだ一座と一緒に旅役者として生きる道を、自分で選んだの。すごく人生充実しているし楽しいわ。
だからね、勘吉君にも幸せになってもらいたいの。頼んだわよ」

麗子「え、私が!!」

琴音「何度か一緒にお芝居見に来てくれたでしょ。ずっと気になってたの」

麗子「両ちゃんとはそんな関係じゃないです。そんな風に思ったことは一度も…」

琴音「嘘つき」

麗子「え…」

琴音「勘吉君と麗子さんが話しているのを聞いていると長年連れ添った夫婦漫才にしか思えないわ」

麗子「話しているとすぐけんかになるだけですよ」

琴音「それにあんな恥ずかしいレオタードなんか大事な人のためとでも思わなければ人前で着れないでしょ」

麗子「それは両ちゃんが強引だから……それに、両ちゃん私のことATMとしか思ってないし」

琴音「そんなことあるわけないじゃない。あなたと一緒にいるときの勘吉君は小学生の時と同じ顔をしているわ。ねえ、男女の関係を持ったことは?」

麗子「両ちゃんと?まさか…」

琴音「手も繋いだこと無いっていうわけじゃないわよね?」

麗子「もう、中学生の初恋じゃないんですから。手をつないだことぐらいありますけど、そんな付き合いじゃ……
あ、でも考えてみれば、一緒にお風呂入ったこともあれば胸をもまれたこともあるわ」

琴音「それって普通なら相当深い間柄よ」

麗子「そうですね」

琴音・麗子 「ハハハハハ……」

trrrr trrrr

麗子「あ、両ちゃんに本田さんから電話だわ。まだあっちの部屋でゲームやってる。両ちゃん、本田さんから電話かかってきてるわよーー」

両津「代わりに出てくれー、手が離せん」

麗子「ゲームしてるだけの癖に……もしもし」

本田「あれ、その声は麗子さん?先輩は?」

麗子「ちょっと手が離せないんだって。なにかあったの?」

本田「先輩がファミコンソフトを持って来いっていうので署のみんなから集めたんですけど、どこへ持って行ったらいいんですかねえ。
ずいぶん前、コレクション用に大事にしているもの以外はみんな処分したって言ってたのに、今さらどうするのかなあ」

麗子「あれ自分のコレクション用だったんだ……」

本田「ファミコンどころかゲームウォッチやミサイルインベーダーまであるんですけど。
そうだ、あと手伝ってくれたおもちゃ屋の親父さんが頼みたいことがあるって言ってたんで連絡とるように言っといてください」

麗子「わかったわ。言っておきます。じゃあね」プツッ

琴音「どうしたの?」

麗子「両ちゃんが施設の子供たちのためにゲーム集めてくれたの。それに大事にしてた自分のコレクションも子供たちのために……」

琴音「ね、麗子さんの夫にふさわしい人でしょ?」

麗子「それとこれとは……でもそんなこと言ったら琴音さんは?」

琴音「あなたの目を盗んで勘吉君と浮気するわ、たまの浮気ぐらいならお互い傷口を広げることもないでしょうし」

麗子「嫌です、浮気だなんて…」

琴音「じゃあ、そうならないように勘吉君を幸せにしてあげて」

麗子「え、いやそういう意味じゃ…」

琴音「じゃ、次のお芝居の準備もあるからもう帰るわね」

麗子「あ、両ちゃん呼んできます」

琴音「いいわ、せっかくの決心が揺らぐから。また二人でお芝居見に来てね、絶対よ」

麗子「は、はい……」

・・・・・・・・

両津「あれ琴音は?」

麗子「ちょっと前に帰ったわ」

両津「なんで呼ばねえんだ」

麗子「ごめんなさい、琴音さん急いでいる様子だったから」

両津「まあ、芝居を見に行けば会える。麗子また付き合ってくれよ」

麗子「はい」

両津「ん、どうした?なんか元気ないな」

麗子「そんなことないわ。一緒に見に行きましょう」

・・・翌日の派出所・・・

本田「先輩、これだけあればいいですか?」

両津「ずいぶん集まったな。どうだ麗子。これだけゲームがあればみんなで遊べるだろう。本体もいくつかあるからな、取り合いしなくても済むぞ」

麗子「ありがとう、両ちゃん。みんな喜ぶわ」

部長「諸君、おはよ…なんだこのおもちゃの山は!両津いい加減にしろ!!」ガン!!!!

両津「うぎゃあ!!」バタッ

麗子「いきなり金属バットはいくら両ちゃんでも……意識がないわ」

部長「こいつはミサイルが直撃したって死なん。ちょっと裏で寝かしておけばすぐ直る」

麗子「ちょっと休憩室で休ませてきます」

・・・・・・・・・・

両津「あ、麗子」

麗子「気が付いた?」

両津「ああ、部長もいきなり殴るこたあないだろう。まあ、派出所の中にこれだけゲームの山があれば部長がキレるのもわからないでもないが。ん、こ、これは!うーん」

麗子「なに悩んでるの?」

両津「いやあ、あんまりいっぱいゲームを送っても子供の教育に悪いかなあ、なんて」

麗子「たしかにそうね、勉強しなくなるかも…」

両津「施設に送るの少し減らしたほうがいいんじゃないか?」

麗子「成績下がったら意味ないものね」

本田「せんぱーい、大丈夫ですか?あ、先輩が持ってるの”キン骨マン マッスルタッグマッチ”じゃないですか。しかも未開封!!そっちは、World Championships1990の黄金パッケージ!」

両津「よ、余計なこと言わんでいい!!」

本田「これすごいプレミアがついてて、二百万円以上してた時期もあるんですよね」

麗子「両ちゃん!!!」

両津「も、もちろん、みんなに配ります!」

麗子「この人やっぱりお金のことしか考えていないんじゃないかしら……」

幕間
  ここまで書いた話は、1年半ほど前に書いたもの(まあ誰も知らないでしょうが)の前ふりになる部分です。
  従いましてここから先は、前書いたものをあちらこちら修正したものとなります。特にエンディングシーンが納得いってなかったもので書き直したかったんです。
  わがまましてすみません。

・・・数日後の亀有公園前派出所・・・

trrr trrrr
両津「もしもし、おもちゃ屋の親父か?」

おもちゃ屋「あ、両さん。連絡待ってたんだよ」

両津「本田に聞いたんだが、わしに頼みたいことってなんだ?金ならないぞ」

おもちゃ屋「わかってるよ、両さんが金を持っていないことぐらい。儲け話だよ、今までのツケが吹っ飛ぶくらいの」

両津「なに!」

おもちゃ屋「ほら、この間3Dプリンターでフィギュア作っただろ」

両津「ああ。でも採算取れないって、あきらめたじゃないか?」

おもちゃ屋「それがな、最後に作った麗子さんのフィギュアを……」

両津「あいつをまた売ろうって言うのか?すぐ麗子に気づかれるぞ」

おもちゃ屋「そうじゃない。あれよりリアルなやつをほしいって言ってる人がいるんだ」

両津「しかし麗子のは……この前もばれてさんざん怒られたばっかりだからなあ。またすぐそんなことして麗子の怒りを買ったら命がない」

おもちゃ屋「相手はこれだけ準備するといってる」パッ

両津「指五本ということは50万か。50万のために命を危険にさらす気にはなれん」

おもちゃ屋「ゼロがひとつ違う」

両津「500万円か。そこまで言われると気持ちが揺らぐかも……」

おもちゃ屋「違うよ、両さん。円じゃなくてドルだよ」

両津「ドル?確か今、一ドル百円を超えていたから、えーと…5億円以上!喜んでやらせていただきます!!
麗子の行動予定は…一ヵ月後にわしと当直があるな。そこでデータを取り直せば…よし、2ヶ月待ってくれ。それまでに完成させよう。
しかしどこの馬鹿だ、そんなものをほしがるやつは?」

おもちゃ屋「この間、中東の王様が日本に来ただろう。そのときうちの店に来て……」

両津「ちょっと待て!何で王様がお前の店なんかに来るんだ!?いつ倒産するかわからない、吹けば飛ぶような零細小売店に」

おもちゃ屋「そこまで言わなくたっていいだろう。その王様がバービー人形の収集家で、掘り出し物を探しに来たんだ。
どうも下町のおもちゃ屋に貴重なデットストックが眠っていることを調べ上げているらしい」

両津「やつらの情報網は何のためにあるんだ?」

おもちゃ屋「そのとき前に作った麗子ドールを見て、いくらでも良いから売れと。ほら、麗子さん、いろいろ会社やっているだろう?
以前商談であったことがあるらしくて、それ以来ぞっこんだったらしいんだ。売り物じゃないと断ったんだが、だったら売り物を作ってくれと、500万ドルの小切手をヒラヒラと……」

両津「うーむ、しかし500万ドルとは……石油王というやつの価値観はさっぱり判らん。まあいい、話はわかった。金はスイス銀行に振り込んでおいてくれ」

おもちゃ屋「スイス銀行?」

両津「国内の銀行だと、今までのツケでみんな差し押さえになっちまうんだ」

おもちゃ屋「でもスイス銀行って言う銀行は実際にはないんじゃ…?」

両津「いいんだ、そういうことは!!ゴルゴ13だってスイス銀行って言ってるだろう!!」

おもちゃ屋「わ、わかった両さん、スポンサーにはそう伝えておく。フィギュアの作成のほうは頼んだよ」

両津「おう、まかせておけ。完璧に仕上げてやる。しかし、そんなもの何に使おうって言うんだ……まあ、だいたい想像はつくが」

・・・1ヶ月後 亀有公園前派出所・深夜・・・

両津「おい麗子。立番代わってやろう」

麗子「ありがとう。居眠りしちゃダメよ」

両津「そんなことわかってる。コーヒー入れといたぞ」

麗子「助かるわ、本当に身体が冷え切っちゃったの」

・・・数分後・・・

ガタガタッ、ドサッ

両津「よし。コーヒーに入れておいた睡眠薬が思ったより早く効いた」

両津「データを収集する途中で目を覚まされたら間違いなく殺されるからな。気は咎めるが、命を守るために睡眠薬の使用はやむをえまい」

両津「しかし、この顔、この身体でどうしてまだ嫁に行かないんだ。まあいい、まず手足を伸ばして……制服のボタンをはずしてと。しかしこのデカイ胸がよく制服に納まるな」

麗子「オートクチュールでサイズをちゃんととって作ってるからよ」

両津「ああ道理で……うわっ!!麗子、起きてたのか!!」

麗子「今休憩室に入ったばかりよ。そんなすぐ寝るわけないでしょ」

両津「そうだが、しかし……」

麗子「ひょっとして、このコーヒーに何か細工でもしてあったのかしら?」ジロッ

両津「な、なぜバレた?!」

麗子「両ちゃんが、私に悪企みなしでお茶入れてくれたことなんかないじゃないの」

両津「日頃の信用の無さがこんなところで……」

麗子「いったい何しようとしたの?」

両津「なに、たいしたことじゃないんだ。ちょっと健康診断を…」

麗子「両ちゃんが私の健康診断?」

両津「するついでにフィギュアのデータを……」

麗子「またそんなことしようとしたの!部長さんに言ってしっかり油を絞ってもらうから」

両津「それだけは勘弁してくれ。今度余計なことしたらさいはて署に飛ばすと脅されてるんだ」

麗子「知らないわよ、そんなこと。さいはて署でも度井仲村でも行けば良いじゃないの」

両津「許してください、麗子さん!一生のお願い!」

麗子「もう、しょうがないんだから」

両津「何でもするから。靴をなめろといわれれば……」

麗子「いいわよ、そんなことしなくても。 でも、そうねえ……なんでもしてくれるっていうのなら、土曜日にお買い物付き合ってくれる?
ちょっとまとめ買いしたいから荷物持ちして欲しいんだけど」

両津「何でわしがそんなことを」

麗子「別にいいわよ、部長さんに……」

両津「わ、わかった!ぜひ私めにやらせてください!」

・・・土曜日の午後、麗子のうちの駐車場・・・

両津「なあ、麗子。いくらなんでも買いすぎだろう。HEMTTの荷台があふれそうじゃないか。しかしどこから米軍の輸送トラックを……」

麗子「季節の変わり目だからいろいろお洋服買い換えないといけないでしょ。それに合わせてアクセサリーも変えなきゃいけないからどうしてもこれぐらいになっちゃうのよ」

両津「まあ、麗子みたいなブルジョアはそういうものかもしれんな。じゃあ、帰るぞ」

麗子「ダメよ、これお部屋まで運んで」

両津「こんなに一人で運べるか!」

麗子「そのために来てもらったんじゃない。配達頼むと、途中でみんな力尽きちゃって部屋まで届かないんだもの。この間も一人迷子になって、まだ発見されてないのよ。無事ならいいけど…」

両津「こんなでかいうちに住んでるお前が悪いんだろう!わしは知らん!」

麗子「ふーん、じゃあ部長…」

両津「わかった!!運べばいいんだろう運べば!」

麗子「ありがとう」 ニコ

・・・三時間後・・・

両津「これで最後だ。高層ビルみたいなこの家をいったい何往復したと思ってるんだ。富士山に登るほうがよっぽどましだぞ。クローゼット直通の貨物用エレベータも作っとけ」

麗子「ご苦労様、またお願いね」

両津「冗談じゃない、まっぴらごめんだ」

麗子「ケチ。でも、本当に助かったわ。はい、お茶。ケーキも食べる?」

両津「おう、サンキュー。麗子の作る菓子は上手いからな」

麗子「両ちゃん、大酒のみのクセして甘い物好きだものね。気をつけないと糖尿病になっちゃうわよ」

両津「大きなお世話だ!」

trrrr

両津「お、中川から電話だ……どうした、中川?」

中川「先輩、今どこにいるんですか?」

両津「麗子の買い物を、部屋に運び込んでるところだ」

中川「麗子さんも一緒ですか、ちょうど良かった。先輩が乗ってみたいって言ってた新型クルーザーのスケジュールがたまたま空いたんですよ。麗子さんも一緒にどうですか?」

両津「麗子、どうする?」

麗子「私も乗ってみたい。行くわ」

両津「そうか。中川、何時にどこへ行けばいいんだ?」

麗子「今日の夜8時ごろ江ノ島港につきますから、それぐらいに来て貰えば」

両津「わかった。じゃあな」プツッ

麗子「ねえ両ちゃん、すこし早めに行かない?」

両津「なんか用でも有るのか?」

麗子「そうじゃないけど、鎌倉をたまには歩いてみたいなと思って」

両津「あんなところ大仏と神社しかないだろう。腹が減るだけだ」

麗子「そんな事無いわよ。葉山牛のおいしいお店もあるし、ちょっと足を延ばして腰越のあたりでお魚食べても良いじゃない?それに鳩サブレ好きでしょ。あれも鎌倉のお店よ」

両津「うーん、悪くないな」

麗子「荷物運んでくれたお礼におごるわ」

両津「しょうがねーな、つきあってやるよ」

麗子「ありがとう。じゃあ、私が車を出すわ」

・・・ドライブ中・・・

麗子「両ちゃんと二人で遊びに行くのって久しぶりね」

両津「そうだな。それは良いけど、お前まだ嫁に行かないのか」

麗子「なによ、急に」

両津「部長がやきもきしてるんだよ、わしらと遊んでてもろくな事無いって」

麗子「最近はそんな一緒に遊んでないじゃない。纏ちゃんや檸檬ちゃんと一緒にいることが多いから」

両津「まあ、そうだが」

麗子「それに両ちゃんにだけは言われたくないわ。両ちゃんこそ早く結婚して浅草のご両親を安心させて上げなきゃダメでしょ、もう若くないんだから。結婚する気は無いの?」

両津「そういうわけじゃないが、相手がわしを嫌ったり、わしが相手にふられたり……」

麗子「フフフッ」

両津「なんだ?」

麗子「昔もそんな事言ってたわよ。でも、マリアちゃん、両ちゃんにメロメロだったじゃない?」

両津「マリアはもともと男だろ」

麗子「じゃあ………琴音さんは?」

両津「琴音…か…」

麗子「琴音さんだって本当は両ちゃんのこと…」

両津「琴音は……琴音は芝居と結婚したんだ。わしにはどうすることもできん」

麗子「そんなこと言って、臆病なだけじゃない。琴音さんだって待ってたかもしれないのに」

両津「なにっ!分かったようなこと言うんじゃねえ」

麗子「なによ!ほんとのことでしょ。両ちゃんだってわかってたくせに!琴音さん以外だって両ちゃんの事好きになった女の人いたのに、結局みんな放りっぱなしにして逃げてばっかりじゃないの!」

両津「てめえ、そんな生意気な事言ってると……」ハンドル、グイッ

車 キキキィーッ、ドリフトーッ

ビニールのカーテン バサッ
 
麗子「わっ、何するの!ハンドルいたずらしたら危ないじゃない!普通の道路でこんな走り方したら事故起きるでしょ!……で、ここは?」

両津「ラブホテルだ」

麗子「これが……」

両津「そうだ、お前みたいな超ブルジョアは来ることないだろうが」

麗子「話には聞いた事あるけど」

両津「男と女がするためだけに来るところだ。あんまり男を馬鹿にしてると、無理矢理連れ込まれていたずらされる羽目になるぞ」

麗子「いたずらなんか両ちゃんに散々されてるじゃない」

両津「そういうイタズラじゃねえ!」

麗子「じゃあ、どういう?」

両津「どういうって、お前……」

麗子「だからどんなイタズラよ?」

両津「……つまりだ。そのなんだ……裸にひん剥かれて、チ〇ポコ咥えさせられ、ヒーヒー言わされちまう、みたいな……」

麗子「両ちゃんにそんなことできるわけないじゃない」

両津「わからないだろう!」

麗子「わかるわよ!」

両津「そんな事言ってると、このホテルに本当に引っ張り込むぞ!」

麗子「いいわよ!やってごらんなさい!」

・・・ホテルの部屋の中・・・

両津「……」

麗子「……」

両津「……麗子、謝るなら今のうちだぞ」

麗子「何を謝るのよ?」

両津「生意気な事言ってゴメンなさいって」

麗子「別に私間違った事言ってないもの。両ちゃんこそ謝りなさいよ。出来もしないことを出来るといった臆病者でしたって」

両津「そんなことはない!ただ、わしはだな、こういうことはお互いの合意が……」

麗子「何言ってるの。無理やりイタズラするためにここへ連れてきたんでしょ。合意なんかいらないじゃない」

両津「それはそうなんだが……」

麗子「そんな事より、シャワー浴びてきてよ。一日荷物運びして汗まみれでしょ。そんな人に触られるなんて真っ平ゴメンよ」

両津「誰の荷物運んだと思ってるんだ!」

麗子「両ちゃんが私で金もうけしようとしたからでしょ。いいから、早くシャワー行って」

・・・バスルーム・・・

両津「引っ込みが付かなくてここまで来ちまったが……麗子のやついったい何を考えてるんだ、シャワーまで浴びさせて。まさか本気でしても良いって考えてるわけじゃ……」

両津「あ、そうか。わしがシャワーを浴びてる間に逃げちまおうって気だな。うーむ、おいていかれたら駅まで結構遠いが…まあ、しょうがないか」

麗子「両ちゃん、入るわよ」ガラガラ

両津「え、あ、うそ、麗子、ハダカ……」

麗子「どうしたのそんな驚いた顔して」

両津「いや、シャワーに入っている間に逃げるもんだと……」

麗子「そんな人をだますような事しないわよ、両ちゃんじゃないんだから。それとも逃げて欲しかったの?」フフン

両津「そんなわけないじゃないか。しかし、一緒に風呂入らなくたって良いだろう」

麗子「だって江戸っ子だとか言って、いつもカラスの行水でちゃんと体洗ってないでしょ。本田さん言ってたわよ。だから綺麗になったの確認しないと」

両津「本田のヤツ余計なことを…し、しかしだな、せめてバスタオルを巻くとか」

麗子「バスタオル一枚ずつしかないから、ぬらしちゃったら代えがないのよ。私も汗流しておきたいし。シャワー浴びておかなかったら、あいつ汗臭いって言いふらすでしょ」

両津「す、するかそんなこと!だからと言って嫁入り前の娘が裸で男の前に…」

麗子「部長みたいなこと言ってないでコッチへ来て。洗ってあげるから」

両津「ガキじゃねえんだ、自分で洗える」

麗子「ちゃんと洗ってるかどうか怪しいもの。ホラ、手を貸して…コシコシ…ほんとに身体中毛むくじゃらなのね…コシコシ…」

両津「……あっ、そこはいい!!」

麗子「私に咥えさせるんでしょ?汚いもの口に入れたら病気になっちゃう」

両津「馬鹿、そんな事させる訳な……」

麗子「させる訳な……?」チラッ

両津「させる訳な……いことは無いけども、だ。つまり、そのう……」

麗子「ハイ、流すわよ…ザー…じゃあ、お風呂に熱めのお湯入れといたから、よく暖まってきてね。先にあがってるわ」ガラガラ

両津「あ、麗子。ちょっとま……」

・・・1時間後・・・

麗子「ほら、できなかったじゃない」

両津「なに!?わしはちゃんと普通に……」

麗子「両ちゃんの咥えさせて、ヒーヒー言わせるって」

両津「馬鹿野郎、麗子にそんなことさせられるか!」

麗子「ほら、私の言ったとおりでしょ、両ちゃんには無理だって。私の勝ちね」

両津「うるさい!そんなことどうだっていいんだ!それより……」

麗子「……」

両津「麗子がまさか……」

麗子「……」

両津「どうして先に言わねえんだ!わしだって、こういうことだとは思ってなかったから……」

麗子「まあ、そんな若いわけじゃないからもう少しスムーズにいくかと思ったんだけど……。もっと遊んでる女だと思ってた?」

両津「そういうわけじゃない!……が、こういうことはもっと大事にしろ」

麗子「私は大事にしてるわ。今まで結婚したいと思った人以外と関係持った事無いもの」

両津「結婚したいと思う人以外とって、おまえ……」

麗子「前に、いきそびれたら両ちゃんのところにでもいこうかしらって言ったの覚えてる?」

両津「あ、ああ。なんとなく」

麗子「まあ、そんなもんでしょうね。両ちゃんは冗談と思ったんでしょうけど」

両津「あたりまえだろう」

麗子「そうね」

両津「……」

麗子「……」

両津「本気か?」

麗子「どうかしら」

両津「後悔するかもしれないぞ」

麗子「自信無いの?」

両津「人を幸せにしてやったことなんかないからな……」

麗子「そんなことないけど…でも、心配ないわ。私が両ちゃんを幸せにしてあげる」

両津「そうか…。なあ……もし麗子がよければ……今から浅草に行かないか?」

麗子「お父さんとお母さんに紹介してくれるの?」

両津「親を安心させろって言ったのは麗子じゃねえか」

麗子「お母さん喜んでくれるかしら?」

両津「そりゃあ、喜ぶさ。麗子が店番してくれれば佃煮の売れ行きが上がるって。麗子がどれくらい金持ちかわかってないからな」

麗子「じゃあ、お休みの日はお店のお手伝いに行かなくっちゃ」

両津「あんまり甘やかさないほうが良いぞ」

麗子「姑さんとは仲良くしとかないとね。さ、行きましょう。今度は運転してね、道よく分からないから……ねえ?」

両津「なんだ?」

麗子「アンテナケーブル繋ぐのとは、ずいぶん違ったわね」

両津「バカ!」

・・・一方、クルーザーでは・・・

中川「先輩遅いなあ。麗子さんと一緒だから忘れてるってことは無いと思うけど……あの二人の事だから喧嘩別れしてどっか行ってしまったのかな?」

中川「とりあえず麗子さんに電話するか……Trrrr……あ、麗子さん、今どこ?……浅草?何でそんなところに……せ、先輩と結婚!!なんでそんな急に?
……なんだって?麗子さんの経営してる会社を優ちゃんに譲るから手伝ってやってくれって?……いくら結婚するからっていきなり会社を放り出したらダメでしょう!
……え、佃煮の作り方を覚えるので忙しいから会社を経営してるヒマがない?そんなムチャクチャな!麗子さんまで先輩みたいなことを言わな……」ピッ

中川「あ、切られた。でも、ようやく先輩と麗子さんが……部長は泣いて喜ぶだろうな」

・・・翌日の派出所・・・

本田「麗子さん、思い切ったことしましたねえ」

麗子「そんなことないわよ」

本田「ボク本当にうれしいです。先輩と麗子さんが結ばれたらいいのにって、ずっと思ってましたから。お似合いとは全く思わないですけど」

麗子「もう、本田さんたら」

本田「署でみんなも噂してましたよ」

麗子「なんて?」

本田「麗子さん、先輩に何か弱みを握られたんじゃないかって」

両津「なにいってやがる」

中川「そういえば部長遅いですね」

両津「かわいい部下の結婚が決まったから豪華なお祝いでも準備してるんじゃないか」

本田「そうかもしれ……」

キュラキュラキュラ、ガタガタガタ

両津「なんだこの振動は!!………あれは10式戦車じゃないかっ!!あ、部長が乗ってる!!」

部長「こんなことになっては、上司として麗子君のご両親に申し訳が立たん!!両津、一緒に死んでお詫びしよう!!」

両津「いやだああ!!死にたくないっ!!!!」
                                                  おわり

ということで最後は部長オチにしたかったんです。
わがままの段お許しを……では失礼いたしました。

空白の一時間を一つ そのう……

>>88
実は前に書いていたんですが、少年漫画にそぐわない、なんとなくテンポが悪くて話の筋から見ても明らかに無駄、ということでアップするとき省略しました。
けど、ついでですからそこだけアップしちゃいます。まあ、まったく色気のあるシーンではないんですが……

>>69 と70の間に脳内で挿入していただければ幸いです


追録(69と70の間)


・・・シャワー後・ベッドルーム(まあラブホですから普通に部屋ですね)・・・

麗子「あら、タオルで隠してるの?」

両津「あたりまえだろ!」

麗子「両ちゃんの見るの初めてじゃないわよ」

両津「そういう問題じゃねえ!おまえだって毛布かぶってるじゃないか」

麗子「素っ裸で立ってたら変でしょ。両ちゃんもこっち来なさいよ、裸でそんなところいたら風邪ひくわ」

両津「ああ……入っていいか?」

麗子「どうぞ」

両津「……」

麗子「……」

両津「……」

麗子「なんか言ってよ」

両津「なんかって言われても……お前イヤじゃないのか、中年のオヤジと一緒のベッドの中なんて」

麗子「さっき私がきれいに洗ってあげたでしょ、大丈夫よ」

両津「人を汚物みたいに言うな!」

麗子「まあ、毛むくじゃらだからちょっとチクチクするけど」

両津「そういうことじゃねえ!」

麗子「……」

両津「生意気なこと言ったのを謝れといったのは取り消す。だからイヤならイヤと……」

麗子「両ちゃん、私とするの嫌?あれだけ勢い込んでホテルに引っ張りこんだくせに」

両津「嫌なんじゃない。が、麗子とこんなことになるとは、考えたこともなかったから……」

麗子「ふーん。そんなウジウジして、ひょっとして両ちゃん経験無いの?」

両津「馬鹿なこと言うな!そんなわけないだろう」

麗子「じゃあ、やっぱり怖気づいたのね。あれだけ偉そうなこと言って」

両津「てめえ、いい加減にしろ。本当にやっちまうぞ!」

麗子「だからやれるもんならやりなさいって言ってるでしょう!」

両津「よーし、分かった。もう後悔しても間に合わねえぞ!!」ムギュッ

麗子「キャッ、いきなりどこ触るのよ!」

両津「まったく準備ができてねえわけじゃねえな!前戯無しで行くからな」

麗子「え!あの……」

両津「最初のうちは少し痛いかもしれないけど我慢しろ。いくぞ」グッ

麗子「あっ」

両津「…」ググッ

麗子「イタッ」

両津「まだ先っぽだけだ」グイッ

麗子「ウグッ」ギュッ

両津「そんな爪を立てるな、痛いじゃ……どうした、震えてるのか?」

麗子「だ、大丈夫、気にしないで…イタッ…」

両津「……」

麗子「…ウウッ…」

両津「…無理するな、やめよう」スッ

麗子「え、やめる?」

両津「そんな緊張してる相手に続けられるか」

麗子「で、でも……」ポロッ

両津「…泣いてるのか?そんなに嫌だったのか…」

麗子「そんなことないわ!ただ……いきなりだったから驚いて涙が出ただけ…」

両津「すまん、頭に血が上ったとはいえ、いきなり始めて。痛かったか」

麗子「ちょっとだけ」

両津「そうか、悪かった……」

麗子「……」

両津「……」

麗子「両ちゃん……」

両津「もうこんな軽はずみなことするんじゃねえぞ」

麗子「したのは両ちゃんよ」

両津「馬鹿野郎!」

麗子「ゴメンナサイ。ちょっと顔洗って、お化粧直してくるわ。タオル貸して」パッ

両津「おい、それはわしが腰に巻いてたタオルだぞ」

麗子「別にいいわ」パタパタ

両津「風呂場に行ったか……ほんのちょっとだけとは言え、麗子とこんなことになるなんて…
いきなりだったからだろうな、あれだけ痛がっていたのは。すっかり嫌われたかも、明日から気まずいぞ……」


両津「まあ、心配してもしょうがない……わしのものも拭いておかないとな、カパカパになっちまう……
ん、何だこの赤いのは?……ま、まさか麗子、あの馬鹿!!」

・・・・・・

麗子「両ちゃーーん。シャワー浴びる?」

両津「わ、わしはいい」

麗子「そろそろ行きましょうか?圭ちゃんを待たせちゃうわ」

両津「あ、ああ。わかった、行くか」

>>70 に続く

ということで空白の1時間でした。いずれにしろ艶っぽい話ではないですね
まあ、ちょっとした悪ふざけということで……

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom