両津勘吉「なに!?わしに戦車道の監督をやれだって!?」 (41)

麗子「そうなのよ、両ちゃん戦車大好きでしょ?」

部長「警察からも指導員を出すことになってな、戦車に詳しく、尚且つ長期間いなくなっても
業務に差し支えない人物という選考基準でお前に決定した。早速茨城の大洗に行ってくれ」

両津「まいったな、確かに戦車大好きだけど」

麗子「でも、両ちゃんに女子高生の監督なんてできるかしら?」

部長「それもそうだな、中川、時々様子を見に行ってくれ」

中川「わかりました」


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杏「はーいみんな注目ー、新しい監督を紹介するよー。警察から来てくれた両津さんだよ」

両津「わしが両津だ、よろしく頼むぞ!」

みほ「隊長の西住みほです!よろしくお願いします!」

杏「河嶋、西住ちゃんと新監督を案内してくるから後よろしくね」

両津「全国大会で優勝したっていうからどんなすごいとこかと思ったら、
想像してたよりずっとショボいな」

杏「そうなんだよねー、戦車も人員も設備もみんな寄せ集めだし」

両津「八九式なんて使ってるのかよ!一九二〇年代の型だぞ!ほとんど第一次大戦の型だぞ、
しかも操縦してるのは掛け持ちでやってるバレー部のねえちゃんだし」

両津「整備拠点もひどいな、こんな横丁のバイク屋みたいな設備で戦車の運用できたのか?
中古車ディーラーのカーピットの方がまだいいぞ」

ナカジマ「そうなんだよね、私らも自動車部との掛け持ちでさ」

ツチヤ「設備も工具もみんな自動車用で戦車専用のものなんてなくて…」

スズキ「黒森峰やサンダース大付属みたいな専用の工廠船とまではいかなくても、
もうちょっとなんとかならないかなって思うんだけどね」

両津「こんなのでよく優勝できたな、普通だったら出場するのも難しいぞ」

みほ「士気と連度と戦術でなんとか補ってきましたが、それももう限界で…」

杏「連盟からの助成や商店街の人たちのカンパもあるけど焼け石に水でねー、
なんとかその辺のテコ入れもお願いできないかなーって…」

両津「苦労してきたんだなあ、よし!まかしとけ!黙ってわしについてこい!」

杏「おー頼もしい」

みほ「はい!よろしくお願いします!」

両津(とは言ったもののなあ、なんかいい手はないかな)

中川「ええっ!?女の子たちの写真集を出版するですって!?」

両津「ああ、アメリカ軍でも女性兵士がチャリティの資金稼ぎに自分たちをモデルにした
ポスターやカレンダーを作って売ってるだろ、あれと同じくだ。幸いにも可愛い子ばっかり
だからな、これは売れるぞ」

中川「でも先輩、チャリティと言いながら途中から営利に走って最後に破滅するパターンを
40年近く繰り返してきたじゃないですか」

杏「ねえ、イケメンのお巡りさん、邪魔しないでよ。カメラマンやスタイリスト呼んじゃったんだから
もう後戻りできないんだよ」

両津「そうだそうだ、会長の言う通りだ。もうタイトルも決めてあるんだ、題して『少女と戦車』!」

中川「先輩!いくらなんでもそのタイトルはまずいです!」

両津「いいんだよ、例のアレが復刻されたと勘違いしたロリコンが間違えて
買うのを狙ってるんだから。部長には内緒だぞ」

中川「いいのかなあ…」

カメラマン「はーい、そこのカーリーヘアの彼女、目線こっちにちょうだい」

優花里「こっ…こうでありますか?」

カメラマン「うーん、表情が硬いなあ」

両津「まあ素人だからな、そのうち慣れるだろ」

華「いいんでしょうか、こんなことしてて…」

みほ「うん…ちょっと心配だね…」

沙織「そう?私は楽しいけどな?」

麻子「沙織は本当に呑気だなあ」

杏「大変だよ監督!ものすごい売れ行きでどんどん増刷が掛かってるよ!」

両津「わしの目に狂いはなかったな、話題になってる今がチャンスだ、これを元手に勝負にでる。
第2弾はもっと過激にいくぞ!」

みほ「あ…あの…監督、この新しいユニフォーム、露出が多くてすごく恥ずかしいんですけど…
それに、ノースリーブのヘソ出しルックにローライズのホットパンツなんて格好で戦車に乗ったら、
ケガすると思うんですが…」

両津「なにを言ってるんだ!いままでだってミニスカートで戦車に乗ってたじゃないか!」

みほ「確かにそれはそうなんですが…」

両津「うーむ、やはりキュアロゼッタのコスプレの方がよかったかな」

みほ「あの…声優ネタもちょっと…」

杏「監督!前作をはるかに上回るものすごい売り上げだ!私ら大金持ちだよ!」

両津「やはりあの眉の太いねえちゃんにペリーヌのコスプレさせたのが効いたな。よし!
第3弾はDVDにするぞ!」

熊本県・西住亭

まほ「はぁ…はぁ…みほ、悪い子だ♡こんなにいやらしい格好をして♡…えーと、電マは
どこにしまったかな…はっ!おっ、お母さま!」

しほ「…」

まほ「ちっ…違うんです!これは…!」

しほ「…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

優花里「うう…両親にこっぴどく怒られました…『嫁入り前の娘がなんて恰好してるんだ』って…」

華「私もお母さまに叱られました…」

みほ「昨夜お姉ちゃんが『このままじゃ私まで勘当される』って泣きながら電話してきて…」

麻子「喜んでるのは沙織だけだな」

杏「監督大変だ!戦車道連盟からものすごい抗議が来てるんだ!なんか西住流の家元から圧力がかかったみたいで、
いままで売ったぶんも全部回収しろって言ってきてるんだよ!このままだと助成の打ち切りや連盟からの除名も
あり得るって!」

両津「今さらなにを言ってるんだ!お前はこのビッグなビジネスチャンスをふいにするのか!
目の前に札束を積み上げてやれば奴らの考えも変わるはずだ!DVDの制作と販売は強行するぞ!
世の中すべて金だ!」

杏「うん、そうだよ!なにも戦車にこだわることなかったんだよ!なんか目から
コンタクトレンズが落ちたような気分だよ!」

柚子「それだと却って見えなくなるんじゃ…」

杏「戦車道履修者は全員集合!今度はマイクロビキニ着てツイスターゲームやるよ!」

桃「待ってください会長!いくらなんでもそれはちょっと!」

沙織「そうですよ!今日はまだ無駄毛の処理やってないんですよ!」

麻子「そっちかよ」

華「申し訳ありませんが急用を思い出したので…」

みほ「…」

優花里「ああっ!西住殿がレイプされた後のような虚ろな瞳で放心状態に!」

杏「西住ちゃん!マイクロビキニがダメならスリングショットでもいいから!」

柚子「それだと余計ダメだと思います」

公園前派出所

両津の代わりに席に着くボコられグマ

麗子「あら?両ちゃんは?」

部長「あの男は西住流家元のご厚意により、戦車道の真髄を学ぶために
イスラエル軍の戦車学校に入学することになった。もはや二度と会うこと
もないだろう」


             終

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