記者「スポーツ強豪校に取材にやってきた」 (19)

記者「今日はこの学校を取材するぞ」

記者「なにしろここは、全国有数のスポーツ強豪校だからな」

新人「そんなにすごいんですか?」

記者「すごいんですか、だと? 新聞やニュースでしょっちゅう名前が出てるじゃないか」

記者「ったく、しっかりしてくれよ」

新人「すみません……」

記者「まあいい。さっそく取材に移る。お前もしっかり勉強しろよ!」

新人「はいっ!」

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キャプテン「ようこそ、我が校へ。私は皆からキャプテンと呼ばれています」

キャプテン「私に油断や慢心はありません。モットーは“常勝”です」



記者「ふむ……さすがの自信だね」

新人「すごい……ボクより年下なのに、まだ高校生なのに、すごい貫禄ですね」

新人「見た目も高校生というより、30代後半って感じですし……」

記者「強豪校のキャプテンというのは、貫禄があり、老け顔なものなんだよ」

イケメン「取材ですか……まいったな」

イケメン「オレなんかホント、全然大したことないんですよ」



記者「そんなことはないさ。君は仲間内でエースと呼ばれてるんだろう?」

新人「スラッとした体格で、顔立ちも整ってて、かっこいいですねえ」

新人「アイドルグループに混じってても、全然違和感ないルックスですよ」

記者「当然だろうな。強豪校のエースというのは超イケメンだと相場が決まっている」

童顔「こんにちは……」

童顔「ぼく、恥ずかしがりやなんで……すみません」



新人「さっきまでとうってかわって、ずいぶん幼い感じの子ですね」

新人「下手すりゃ女の子にも見えちゃうかも……」

記者「しかし、いざとなれば鋭い目つきになり、周囲の度肝を抜く!」

記者「強豪校に一人くらいはいたりいなかったりするタイプだな」

天才「取材? おたくらも大変だねえ、ご苦労さん」

天才「オレぐらい天才だと、努力なんかする必要ないわけよ。分かる? ねえ?」



新人「ずいぶん生意気なヤツですね……」

記者「しかし……彼は紛れもなく天才だ。100年に一人の天才だといっていい」

新人「だけど、いくらなんでも無礼すぎません? まだ高校生なのに……」

記者「スポーツ強豪校には、こういうのが一人ぐらいいた方がいいのさ」

新入生「よろしくお願いしますッス!」

新入生「先輩方の足を引っぱらないように、頑張るッス!」



記者「君が期待の大型ルーキーか……すでにすごいオーラを漂わせてるね」

新人「ルーキーってことは一年生ですか」

記者「うむ、強豪校にはすごい一年生が一人ぐらいはいるものだ」

新人「ああ、一年の夏で早くもスタメン入り、とかそういう感じの子ですね」

大男「リンゴを握りつぶします……」

大男「…………」グシャッ



新人「すごいパワー! それにデカイ! 2メートルはあるんじゃないですか!?」

記者「うむ、データによれば彼の身長体重は『205cm 125kg』だ」

新人「す、すごい……! 完全にヘビー級の格闘家かなにかじゃないですか!」

記者「パワー枠の人間が一人ぐらいいなければ、強豪校とはいえんだろうからね」

メガネ「こんにちは」クイッ

メガネ「この取材が成功する確率は、92.7%といったところでしょうか……」カタカタ…



新人「頭がよさそうな子ですねぇ~」

記者「彼は一流大学に受かる学力と、かなりの身体能力を持っている」

新人「文武両道ってやつですか……」

記者「強豪校の生徒ってのはそういうものさ」

外国人「ヘイッ、コンニチハー! ミーハ留学生デース!」

外国人「バク転シマース!」クルクルッ



新人「えええ、空中で二回転!? 瞬発力の塊みたいな体ですね!」

記者「身体能力抜群の外国人留学生……強豪校になくてはならない存在だ」

記者「純粋なスピードやジャンプ力で、彼に勝てる日本人はまずいないだろう」

新人「海外からも戦力を集めてるなんて、さすがスポーツ強豪校ですね……!」

兄「私と弟のコンビネーションは」

弟「無敵だよねー! 兄ちゃん!」



新人「この二人は兄弟ですか?」

記者「ああ、兄は3年で、弟は2年だ。強豪校には一組は兄弟がいた方がいいからな」

記者「二人そろうと息ピッタリのコンビネーションで、実力は何倍にもなる!」

新人「ボク、一人っ子なんで、ちょっとうらやましいですね」

関西人「なんや、取材? ワイしゃべるのメッチャ好きやねん!」

関西人「どんどん質問してや! なんでも答えたるで! ワハハハハハハッ!」



新人「おお……これはインパクトのある生徒ですね」

記者「うむ、関西弁というだけでそれは強烈な個性になる」

記者「関西弁枠のメンバーは強豪校には一人は欲しいところだが、さすがだな」

新人「西日本にもスカウトの手を伸ばしてるんですね」

キャプテン(3年)

イケメン(2年)

童顔(2年)

天才(2年)

新入生(1年)

大男(3年)

メガネ(3年)

外国人(2年)

兄(3年)

弟(2年)

関西人(3年)



新人「こうして見るとキャプテンの彼を中心に、そうそうたるメンツが集ってますね」

記者「うむ、スポーツ強豪校に一人はいる人間が集まった11人といえるだろう」

取材が終わり――

記者「色々と楽しい話を聞かせてくれてありがとう」

キャプテン「では我々はこれにて」

記者「ああ、期待してるよ」

新人「頑張ってね!」

キャプテン「みんな! いくぞーっ! ファイ、オーッ!」タッタッタ…

ファイ、オーッ! ファイ、オーッ!

………

……



新人「みんなで校外をランニングか……青春だなぁ」

新人「いやー、この学校がどういう授業をしてるか、どんな先生がいるかなど」

新人「面白い話をいっぱい聞けましたね!」

記者「ああ、このスポーツ強豪校について、いい記事を書けそうだ」

新人「特にあのキャプテンの貫禄はすごいですね」

記者「まぁ、彼はキャプテンといっても仲間内でのあだ名のようなものなんだがな」

新人「あっ、そうなんですか」

新人(ってことは、別に主将がいるってことか……)

新人「ところで、今回の取材は先輩にほとんどお任せしてましたけど」

新人「肝心のトレーニング内容なんかについてはまた今度取材するんですか?」

記者「トレーニング? 彼らはトレーニングなんかしてないと思うが……」

新人「え?」

新人「だ、だって……さっきランニングを……」

記者「あれは走ってゲーセンに行っただけだよ。彼らゲーム好きだから。特に格ゲー」

新人「え……え?」

新人「あ、あの……」

記者「ん?」

新人「さっきの彼らってなんのスポーツをしてるんです? 何部に所属してるんです?」

記者「どこにも所属してないよ。ただの帰宅部の仲良しグループさ」

新人「ええっ!?」

記者「スポーツ強豪校の生徒だからって、スポーツしなきゃならないって決まりはないだろ?」

記者「『一般生徒から見たスポーツ強豪校の内情』って記事を書きたかったから」

記者「放課後ヒマそうな彼らに取材を申し込んでいたんだよ」





おわり

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