菜々「なつななでコント!」夏樹「アパート……」 (28)


※二人は初対面という設定です。あんまりアイドル関係ないです。
※キャラ崩壊注意です。特にウサミンがマズい事になってます。ご容赦を。
※コントの元ネタはあります。





テレビ『本日の天気は、関東一体は晴れになる見込みです。しかし、昨日と比べて気温は急激に下がるので、防寒対策はしておいたほうが良いでしょう。東海地方では――』

ピッ!

夏樹「……今日は晴れるみたいだし、ツーリングにでも行こうかな」

ピンポーン!

夏樹「……?」ゴソゴソ


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ガチャリ!!

菜々「突然すみません! 私、安部菜々と申します!」

夏樹「……ええ。」

菜々「実はナナ、三年ぐらい前までこの部屋に住んでたんですよ!」

夏樹「……へぇ、そうなんですか。」

菜々「今日ちょっとコッチに用事があって、アパートの方も見に行こうと思ったんです! ナナ、10年ぐらい住んでたんですよ! 『懐かしいなぁ!』って思いましたよ!」

夏樹「……」

菜々「そしてパッて見たら、部屋の明かりがついてるじゃないですか! 『うわ~! もう誰か住んでるんだぁ! 今どんな人が住んでるんだろうなぁ!』って思って!」

夏樹「」

菜々「それで来ちゃいました♪」




夏樹「……イヤ、あの、相当気持ち悪いぞ!?」


菜々「え?」

夏樹「これ相当だよ! 昔住んでた所に来てさ、『ああ、懐かしいな』って気持ちは分かるよ」

菜々「はい……」

夏樹「部屋の明かりついてたのを見たら、『おっ、誰か住んでるんだな。一体どんなヤツが住んでるんだろうな』と思うのもまだ分かるよ」






夏樹「……なんで来ちゃうの!?」


夏樹「いや、来てどうするのさ?」

菜々「懐かしいなぁって思って!」

夏樹「いや、それは分かるんだけどさ……」

菜々「あっ! やっぱりテレビの位置はソコなんですね!」

夏樹「それどんな種類の感動だよ!」


菜々「とりあえず上がっていいですか? お邪魔します♪」

夏樹「ダメに決まってるだろ!? ダメダメ! 多分だけど、中にいれたらもうオシマイだろ!」

菜々「そんな! シーチキン買ってきたんで一緒に食べましょうよ!」

夏樹「食わねぇよ!」


夏樹「なんかビニール袋持ってるなぁと思ったら、中身シーチキンかよ」

菜々「お嫌いでしたか?」

夏樹「嫌いとかそうじゃなくてさ、初対面の人間がカオ突き合わせて食う食べ物じゃないだろ! シーチキンって」

菜々「あの~。ところで、隣のおばあちゃんはまだ住んでますか?」

夏樹「え? ああ、あのばぁさんか。住んでるよ。ただ、ここんところ風邪ひいて寝込んでるみたいだけど」

菜々「あー……それはタイヘンですねぇ~……」




菜々「ミミミンミミミンウーサミン!!!!! ミミミンミミミンウーサミン!!!!! ミミミンミミミンウーサミン!!!!! ミミミンミミミンウーサミン!!!!!」
夏樹「待て待て待て待て!!」


夏樹「何イキナリ人んちの玄関で大声出してるんだよ!?」

菜々「大丈夫です、ナナはおばあちゃんと仲が良かったんで!」

夏樹「アタシがやったって思われるんだよ!! あとなんだよそのコールは!」

菜々「この元気増幅、ウサミンパワーで、おばあちゃんにビビッときてもらおうかと!」

夏樹「キテルよ、ばぁさんビビッてるよ! 今頃震えてるよ!」






菜々「下のおじいちゃんは元気ですか?」

夏樹「アンタなんで老人ばっか気になるんだよ!」

夏樹「下は今誰も住んでないよ」

菜々「え、そうなんですか?」

夏樹「そうだよ」

菜々「そうなんですか!? 下では、おじいちゃんが二人で住んでたんですよ?」

夏樹「……」


菜々「……珍しくないですか?」

夏樹「珍しいな!?」


夏樹「じいさんの二人暮らしって。……なんか変な勘ぐりしちゃうなオイ」

菜々「180センチと190センチぐらいのおじいちゃん達だったんですけど……」

夏樹「でけーな! ちっさい方もデカいじゃねーか! 何食ったらそんなに大きくなれるんだよ!」


菜々「……♪」ジロジロ

夏樹「アンタ、ホント帰れよ!」

菜々「ええ!?」

夏樹「部屋の中を覗こうとするなよ! 気色悪いぞ?! 帰れ!」

菜々「ちょっと押さないでください……! あ! あのエアコン!」

夏樹「エアコンがどうかしたのかよ?」

菜々「あれ、ナナが置いていったヤツです!」

夏樹「あのエアコンはアンタのだったのか」

菜々「あの、今住んでる空調の調子が悪いんで、アレ持って帰ってもいいですか?」

夏樹「ダメに決まってんだろ!」

菜々「そんなぁ~。……あ! あのカーテンもナナが置いていったヤツです!」

夏樹「……」

菜々「あのガスコンロもそうだ!」

夏樹「……」イラッ





菜々「まだ、半分ナナの家みたいですね♪」

夏樹「お前バイクで引きずり回すぞ」

夏樹「分かったよ! 今度の休日、この部屋に最初からあったモノ全部棄ててくる! 気持ち悪いったらありゃしないよ!」

菜々「そ、そうですかぁ~……」

夏樹「そうだよ、やれやれ……」

菜々「……」






菜々「あっ、そうだ♪ 大家さんの昔の写メ見ますか?」

夏樹「見ねぇよ!」


夏樹「誰が興味あるんだよ!」

菜々「いや、貴重なオフショットですよ!?」

夏樹「大家はほとんどオフだろあんなの!」

菜々「じゃ、じゃあ! LINEだけ! LINEだけでも教えてください!」

夏樹「やってない! LINEやってないから! もう帰れッ!」

菜々「あ~れ~!」

バタン!! カチャカチャ……ガチャン!!

夏樹「はぁ……よし、追い出してカギ掛けた。しかし、何だったんだ今のは。気持ち悪いな……」

夏樹「ツーリングって気分じゃなくなったな……ギターのチューニングでもしようか」

菜々「……」

菜々「……」コソコソ

カチャカチャカチャ……ガチャリ!!

バン!

菜々「なつきち~!!」

夏樹「!!!???」

夏樹「えっ!? えっ!? えっ!?」

菜々「はがき届いてましたよ! なつきち♪」

夏樹「なんだよなつきちって! アンタにそう呼ばれる筋合いはないからな!?」

菜々「えっ、そうですか?」

夏樹「そうだよ! よく初対面の相手をあだ名で呼べるよな!? それもスゴくフランクに!」

菜々「またまた~♪ ナナ達、同じ部屋に住んでた仲じゃないですか!」

夏樹「アンタ底抜けに明るいな!」

夏樹「というかそれ以前に、どうやってカギ開けたんだよ!?」

菜々「このカギで開けました!」スッ

夏樹「なんで開くんだよ!」

菜々「これ、ナナが昔使ってたカギなんです!」

夏樹「なんだよ、カギ変えてないのかよ……」

菜々「これで隣のおばあちゃんの部屋も開きますよ!」

夏樹「なんだそのカラクリは!?」

菜々「ナナは昔、このカギを使っておばあちゃんの部屋に侵入して、せんべい食べてやりましたよ!」

夏樹「しょーもな! その行動しょーもないぜ!」

菜々「ところで、このアパートのお向かいに池があるじゃないですか?」

夏樹「ああ……あるな」

菜々「あそこには昔、鯉がいたんですけど、今はいないんです。なんでいないか知ってますか?」

夏樹「知らないよそんなの……」

菜々「ナナが全部食べちゃったからです♪」

夏樹「お前化けモンかよ!?」

夏樹「食うなぁ!? せんべいも鯉も、食うなぁお前は!」



菜々「あ~! この柱の傷、懐かしいなぁ!」

夏樹「……? あの高いところにある傷がなんだよ」

菜々「あのコレ、下のおじいちゃんが、時々身長を測りに来てたんですよ!」

夏樹「いやその文化なんなんだよ!?」

夏樹「あの柱の傷、確かにちょっと気にはなってたけどさ、まさか、じいさんの成長記録だなんて……それにしても、やっぱデケーな!」

菜々「今家賃っていくらですか?」

夏樹「あのさ、お前本当にいい加減にしろよ。いいか!? もう警察に突き出してもおかしくないレベルだぞコレは!」

菜々「それだけ教えてください! それを聞いたら帰りますから!」

夏樹「本当だな?」

菜々「はい!」

夏樹「本当に帰るんだな!?」

菜々「はいッ!!」

夏樹「……はぁ。3万5千円だよ」

菜々「ああああ~~……。やっぱり随分と安くなったんですね!」

夏樹「なんだよ安くなったって……」




菜々「いえ、ココ、人が死んでるんですよ」

夏樹「……え?」

菜々「部屋で首吊って」

夏樹「……マジかよ」

菜々「どんな人が首吊ったか、知りたいですか?」

夏樹「いや、いいよ……」



菜々「――わたしです」

夏樹「」

菜々「小さい頃からここに住んでたんですけど、17歳の時に、イジメに耐え切れなくて、それで……」

夏樹「」

菜々「だからわたしはもう、永遠の17歳なんです。それに『帰れ』と言われても、帰る場所はここしかないって言いますか……」

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――――――

菜々「――まぁ、全部ウソなんですけどね♪」

夏樹「いやそうだよな!? うわー! ビビッた! ビックリしたー!! うわー!」バタバタ

菜々「あははははははは! アナタとっても面白いですね~!」

夏樹「アンタ一体何しに来たんだよ!?」

菜々「いや~! 懐かしいなぁって!!」

夏樹「帰れよ!!」

おわり


元ネタはバイきんぐの「アパート」です。

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