神谷奈緒「バカンスだって聞いてたのに、無人島じゃないかぁ!」 (147)


※ ラジオドラマ風

※ ナレーション(cv大川透)

奈緒「トライアドプリムスのミニライブが終わって数日」

奈緒「プロデューサーが持って来た次の仕事は、慰安の意味も込めたリゾート地での体験レポ、そのはずだったのに」

凛「奈緒。はやいとこ火を起こしてくれないと、いつまでたってもご飯にできないよ?」

奈緒「なんだってこんな事になってるんだよぉぉーっ!!」

『ほんとうに、どうしてこうなってしまったんでしょうねぇ?』


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奈緒『もばますぅ……』


『発端は、数日前のPの発言からでした』

P「いやー。今度のミニライブも大成功だったなぁ」

凛「ふふっ。プロデューサーも、準備とか大変だったんじゃない?」

加蓮「もちろん、私達も頑張ったけどさ」

奈緒「ま、お互いにお疲れ様ってことだな!」


P「ここで日頃から頑張ってくれてるトライアドの三人に、朗報があります!」

加蓮「なになに? どんな良い話?」

P「次の仕事なんだけど、慰安の意味も込めて二泊三日、リゾート地での体験レポのお仕事を取ってきました!」

奈緒「おぉ~。珍しくやるじゃん、プロデューサー!」

凛「うん。悪くないね」

加蓮「リゾート!? これは期待しちゃうよ?」

P「はっはっはっはっ! 大いに楽しみにしておいてくれたまえ!」


『そして後日、港へやって来たトライアドの三人』

奈緒「なぁ、あたし達の乗る船ってどれになるんだ?」

凛「プロデューサーの話だと、この辺のはずだけど……」

加蓮「……それにしても、なんにもないところだね」


船員「お~い!」

『どうやら、お迎えのようです』

船員「あんたらが、今日予約してた『アイドル』の人かい?」

加蓮「はい……多分、そうですけど」

船員「んじゃ、早いとこ船に乗っちまって……すぐ出発するかんな」


凛「今日は、お世話になります」

奈緒「あ、お、お世話になります!」

加蓮「お世話になりま~す!」

船員「あいよ~」

凛『……もばます』


『船に揺られる事一時間。目的の島が見えてきました』

奈緒「お! 凛、加蓮! 見えてきたみたいだぞ!」

加蓮「って言っても、さっきから島なら一杯見てるけどね」

船員「それにしても、あんたらも仕事とは言え大変だねぇ」

凛「大変なのは、どんな仕事でも一緒ですよ」


船員「まぁ、それはそうだがよ~……っよ! ほい、ついたぜ」

凛「どうも、ありがとうございます」

船員「んじゃ、三日後に迎えに来るからぁ」

船員「ほいこれ、預かってた荷物な」


加蓮「結構大きめなバッグ……これ、なんの荷物だろ?」

船員「本気でやばくなったら、中に入ってる無線で連絡してくれや。じゃ、気をつけてな」


奈緒「無線……? あ、ちょっと!」

加蓮「……行っちゃったね」

奈緒「なんかさ、様子がおかしくないか?」

『確かに、リゾート地にしてはこの島は人気が無いように見えます』


凛「ねぇ奈緒。そのバックちょっと貸してくれない?」

奈緒「あ、うん」

加蓮「ねぇねぇ、何が入ってるの?」

『さて、バックの中から、渋谷くんが綴じられた書類を取り出しました』


凛「……これ、どう思う?」

奈緒「なんか、企画書みたいだけど……?」

加蓮「二泊三日の……アイドル無人島サバイバル……」


凛「出演者のところにさ、輿水幸子って」

「「えっ……」」

凛「後、我那覇響、宮尾美也とも書いてあるね」

「「えぇぇーーっ!!!!」」

『――どうやら三人は、輿水くん達と間違われてここに連れてこられたようですね』

加蓮『も、もばますぅ』

書き溜めここまで。一旦中断します


加蓮「これってさ、テレビで見たことあるんだけど」

加蓮「『生っすかウェンズデー』だよね?」

奈緒「多分、間違いないと思う」

凛「……なにそれ?」

加蓮「えっ」

奈緒「凛! 『生水<なまみず>』知らないのか!?」

凛「う、うん」


奈緒「水曜の深夜にやってる、『生っすかサンデー』のスピンオフ番組だよ!」

奈緒「元々は、『サンデー』でやってた『響チャレンジ』ってコーナーがあって」

奈緒「そこにうちの幸子がゲストで登場してさ、これは良いコラボだって」

奈緒「週一放送のレギュラー番組に昇格したんだよ」

凛「へぇ……そうなんだ」

加蓮「あー、そうだったんだ」


奈緒「あれ? 加蓮も見てるんじゃなかったの?」

加蓮「アタシは、たまたまテレビでやってたの見ただけだよ」

加蓮「それより奈緒、随分詳しいんだね」

凛「……ファン?」

奈緒(あ、墓穴掘ったかも)

『どうやらそのようです』

奈緒『もばます!』


加蓮「とりあえずさ、手違いでここに連れてこられたんだったら」

加蓮「連絡して迎えに来てもらおうよ! 確か、無線で呼べっていってたじゃん?」

奈緒「そういえば、そんなこと言ってたな」

『三人はバッグの中から、小さな無線を取り出しました』


凛「……ノイズばっかりで、繋がんないね」

加蓮「えぇー。携帯も圏外なんだけど」

奈緒「凛、チャンネルが合ってないのかも」

凛「チャンネル……あぁ、コレを合わせてったらいいんだ?」


『ザ、ザザー…………』

『ザザー、キュイーン…………』

『イーン……ら……じゃ』

凛「あ、なんか入ったかも」

奈緒「ホントか!?」


ピピッ

『――こちらアイドルフォース所属! 最上です! そちらの状況は!? ガガッ』

凛「え、えっと……どちら様ですか?」

『ドドド……チュイーン! あ、あれ? 監督! なんだか無線の調子が――ブツッ』

凛「……切れちゃった」

奈緒「あーもう何やってんだ! 貸して!!」


奈緒「ここを……こうやって……」

 ピュイーン…………。
 
奈緒「あっ」

加蓮「どうしたの?」

奈緒「バッテリーが……切れた」

『もばます!』


加蓮「マジなんなの! ちょっと、しっかりしてよね!」

奈緒「あ、あたしのせいかよ!?」

加蓮「どうすんのよぉ~。予備のバッテリーとか、入ってないの!?」

凛「……無いみたい」


加蓮「そ、そんな……リゾートでバカンスだって聞いてたのに……」

凛(バカンスとは言ってなかったと思うけど)

加蓮「こんな無人島で……誰も助けに来てくれないなんて……」

加蓮「これはもう遭難だよ! ロビンソン・クルーソーだよ!!」

奈緒(ロビンソン漂流記は知ってるんだ)


凛「ねぇ、ちょっと落ち着こうよ」

加蓮「凛……」

奈緒「なんだよ……」


凛「二人ともさ、思い出してみて」

凛「これも、結局私達『アイドル』の仕事なんだよ」

凛「なら、その仕事を途中で放ったらかしにして帰るなんて……できないと思わない?」

奈緒(……何言い出してんだ、凛は)


凛「出演者が違っても、この場所に『アイドル』が降り立った時点で、企画は動き出してるんだ」

凛「中途半端に出来ませんって逃げるのは……らしくないよ」

凛「コレまでだって沢山の困難を乗り越えてきた私達だよ?」

凛「今回の試練だって……私は正面からぶつかっていきたいと思うな」


奈緒(……え、どゆこと?)

加蓮「り、りぃん……」

奈緒「加蓮……?」

加蓮「アタシが、間違ってたよ! そうだよね、らしくないよね!」

奈緒「っ!?」


凛「わかってくれたんだね……ごめん、年下なのにでしゃばっちゃってさ」

加蓮「大丈夫、わかってるよ……だって私達――」

加蓮「三人で、トライアドプリムスだもん……ね! 奈緒!」

奈緒「あ……うん……」


凛「それじゃあ、私達三人、力を合わせて三日間を乗り切ろうよ!」

加蓮「おぉーっ!!」

奈緒「お、おぅ……」

『神谷くん、その場の勢いに流されて、三人の無人島生活スタートです』

奈緒『も、もばます?』

書き溜めここまで。一旦中断します


『一方その頃、某リゾート地では』

幸子「無人島でサバイバル……のはずですよね?」

響「うん……そう聞いてたけど」

美也「皆さ~ん! 次はあちらに行ってみませんか~? なんだか楽しそうですよ~!」


幸子「ここ、どうみてもリゾート地に見えるんですけど」

響「……ドッキリ?」

幸子「でも、それにしたら予算が掛かってる気がします」


『そこに、P到着』

P「ええっ!? 何で幸子がここにいるの!」

幸子「なんでって……予定されてた港に行ったら、ここに連れてこられたんですよ」

P「それに765の……じゃあ、もしかして凛たちは……」

幸子「り、凛さんがどうかしたんですか?」


P「幸子達と間違えられて、無人島に連れてかれてるかも」

幸子「そ、それってかなりマズイんじゃないですかぁっ!?」

P「…………よし」


P「幸子達には、このままリゾート体験レポを引き続き行ってもらう」

幸子「じゃあ、凛さん達は……」

P「あぁ! こうしちゃいられない……すぐに迎えに行くさ!!」

P(それまで、待っててくれよ! 三人とも!)

P『うぉぉーっ! もぉばぁまぁすぅーっ!!』


『そして再び、無人島』

凛「それじゃ、当面は企画書に沿ってやっていこうか」

奈緒「バッグの中にカメラは入ってたけど……ほんとにこんな手持ちカメラで撮影してんだな」

凛「書類によれば、基本は出演者の一人がカメラ撮影って書いてあるけど……」


奈緒「じゃ、この中で比較的機械に詳しいあたしが――」

加蓮「はいはいはいはい! アタシ! アタシ撮影係やりたいー!」

奈緒「うぉっ! な、なんだよいきなり……」

加蓮「いやー、一度さ! こういうカメラマンみたいな事してみたかったんだよね!」


凛「じゃあ、撮影は加蓮に任せるよ。いいよね? 奈緒?」

奈緒「別に……あたしはかまわないけどさ」

加蓮(ふっふっふ……撮影係なら、そんなにキツクないだろうし)

加蓮(病弱なアタシには、ピッタリの役割でしょ!)


奈緒「本当に良いのか? 加蓮」

加蓮「えっ?」

凛「奈緒! せっかく加蓮がやる気なんだから、水を差しちゃ悪いよ」

奈緒「そうか……じゃあ、頼んだぜ加蓮! しっかり撮ってくれよな!」

加蓮「う、うん……ねぇ、撮影係って、もしかして大変?」


凛「そうだね。基本ずっとカメラ持ちっぱなしだし」

奈緒「肩で担ぐならともかく手持ちだからな……ぶれないように長時間支えとくのって凄く辛いと思う」


加蓮「げっ……」

凛「でも、あえてそういう大変な役に挑戦する加蓮、格好良いと思うよ」

奈緒「成長したよな! いつまでも病弱キャラじゃないってとこ、この撮影を通して見せてやろうぜ!」


加蓮「あ、あのアタシやっぱり――」

凛「加蓮……頑張ろうね!」

加蓮「が、がんばる……」

『渋谷くんの満面の笑顔に、北条くん諦めました。撮影係に決定です』

加蓮『うぅ……もばます』


『無人島生活一日目 午前』

凛「とりあえず、バッグの中にはナイフとかロープとか……必要最低限の道具は入ってたけど」

奈緒「三人分の飲み水と、携帯食料もあったのは助かるな」

凛「それは食べ物が手に入らなかった場合を考えて、なるべく取っておく事にしようね」


加蓮「――それで、これからどうするわけ? テレビとかだと、まず寝る場所を探したりするけど」

凛「加蓮。一応これもテレビだよ」

奈緒「そうだなぁ。水辺の近くは色々と危ないって言うし、海岸はパスかなぁ」

奈緒「島自体もそんなに大きくはなさそうだし……一回りしてみる?」

凛「そうだね。それからどこに拠点を作るか決めようか」


『三人が島を回る事一時間』

奈緒「えー非常に幸運な事に、屋根のついた建造物を発見しました」

加蓮「柱の上に板を乗っけただけで、壁も何にもないけどね」

奈緒「贅沢言うなよ……屋根があるだけいいだろ!」


凛「そういえば、他にもお堂みたいなのがあったけど」

加蓮「あっちはなんか怖いからヤダ」

奈緒「でもこの建物……どっかで見たことある気がするんだよなぁ」

『もばます!』


『無人島生活一日目 午後。拠点を見つけたというのに、三人の間には険悪な雰囲気が流れています』

凛「さてと、反省会しようか」

奈緒「…………」

加蓮「…………」


凛「これはさ、もしもの時のための備えだったわけだけど」

『あ、先ほどの携帯食料の事ですね』

凛「……なんで食べたの?」

奈緒「ご、ごめん」

加蓮「……つい、お腹空いちゃって」


凛「うん。お腹が空いてて、我慢が出来なかったんだよね」

凛「ちょうどお昼だし、今日は朝も早かったから、何か食べたくなる気持ちも分かるよ」

凛「でもさ……食べ物は三人分あったんだよね?」

凛「なんで私が水場を探しに行っている間に、全部食べちゃったの?」


『どうやら渋谷くんが水源を探しに行っている間、留守番をしていた二人が彼女の分まで食べちゃったようです』


加蓮「あ、アタシは止めようって言ったんだけど、奈緒がちょっとぐらいなら大丈夫だって……」

奈緒「なっ! あたしはちゃんと三人分に分けてから食べたじゃんか!」

加蓮「でもでも! 我慢できなくて結局食べちゃったのは奈緒でしょ!?」

奈緒「加蓮だって最後には一緒になって――」


凛「「いいかげんにしてっ!!」」

奈緒・加蓮「ビクッ!」


凛「もういいよ……言い訳なんて聞きたくない」

凛「私、これからは一人で生きていくよ……」

奈緒「り、凛……?」

凛「トライアドプリムスは……今日で解散だよ!」

『まさかの解散宣言と共に、バッグを手にとっていずこかへ走り去っていく渋谷くん』


奈緒「り、りーんっ!!」

加蓮「まさか、バッグごと持ってくなんて……!?」

『お腹は膨れたが、飲み水と道具類は全て渋谷くんが持って行ってしまいました』

『無人島生活一日目から波乱の展開、彼女達は無事に、三日後の朝を迎える事ができるのか!?』


P「えっ? 今の時期は漁に出てるから空いてる船が少ない?」

P「しかも海も荒れてきそうだから今から船を出すのも無理?」

『そしてPも、無事に彼女達を迎えに行く事ができるのでしょうか?』

P「それでも三人が、俺の事を待ってるんです! 必ず迎えに行きますよ!」

P『もばます!』

なりゆきまかせに書いているので、設定とか結構ガバガバですが、雰囲気優先ということで。
とりあえず今日の更新は以上になります。


『無人島生活一日目 夜』

奈緒「あたし達が凛の分の食料まで食べた事で、彼女は怒って飛び出してしまった」

奈緒「急いで探しに行ったけど見つかんないし」

奈緒「日も暮れて探索も難しくなったので、仕方なく戻って来たのは良いものの」

奈緒「さ、寒い……」

『雨はしのげても、壁が無いので夜風がもろに吹き付けるのです』


加蓮「奈緒、アタシ、もうだめだよ……」

奈緒「か、加蓮! しっかりしろよ! このまま寝ちゃ、確実に風邪引くぞ!」

加蓮「あー、火、火が欲しい……温もりがぁ」

奈緒「ライターとかも全部、凛が持ってったバッグの中だよ」


加蓮「奈緒って、あったかいね……」

奈緒「ちょ、ちょっと! いきなり抱きついてくるなよ!」

加蓮「うー、ぎゅっとしてぇ……あたためてぇ」

奈緒「わ、わかった! わかったから絞めるな! 苦しぃ……」

加蓮「この髪が保温性高いのかな……ふわふわしてるし、動物の毛みたい」

奈緒「怒るぞ」

加蓮『Zzz……もばます』


『無人島生活 二日目 朝』

奈緒「結局一睡も出来なかった」

奈緒「おい加蓮、起きろよ……朝だぞ」

加蓮「むにゃ……まだ、あと五分……」

奈緒「……しょうがないな……起きるの待つか……」

奈緒「ふわぁ……なんだろ……いまさら眠気が……」

奈緒「…………Zzz」


『それから数時間後』

奈緒「ふにゃ……」

加蓮「あ、やっと起きた」

奈緒「ん……加蓮?」

加蓮「まったく呑気だね。お日様もとっくに昇ってるよ?」

加蓮「いつまでも寝ぼけてないで、しゃきっとしなよしゃきっと!」

奈緒(なんだろう……凄く腹立たしいぞ)

奈緒『……もばます!』


『目を覚ました二人は、渋谷くんを見つけるため、島の中を探索中です』

奈緒「おーい! りーん!」

加蓮「どこー? アタシ達が悪かったからさー!」

 ガサガサ。
 
奈緒「――あっ」


 サラサラサラ……。
 
奈緒「川だ……」

加蓮「……喉渇いたね」

奈緒「まぁ、昨日から何にも飲んでないからな」


加蓮「川の水ってそのまま飲めるの?」

奈緒「一応、沸かしたりして消毒するもんじゃないのか? 道具は無いけど」

加蓮「うぅ……この誘惑は辛いよぉ」

『そのとき、川の反対側に渋谷くんが現れました』


凛「……奈緒、加蓮」

奈緒「凛……無事だったんだな!」

加蓮「昨日のはアタシ達も悪かったよ……ごめんね」

凛「もういいよ。気にしてないし」

 スッ。

 
凛「それより二人とも……喉、渇いてるんでしょ?」

『バッグから取り出した鍋に、川の水を汲む渋谷くん』

凛「これからコレを沸かして飲み水にしようと思うんだけど……欲しい?」

奈緒「そ、そりゃあ喉は渇いてるし……」

加蓮「ほ、欲しい!」


凛「そう……それじゃあ……」

凛「『申し訳ありませんご主人様』って言えたら……」

奈緒「な、何言って――」

加蓮「申し訳ありませんご主人様!」

奈緒「おぉいっ!?」


凛「『意地汚い自分に飲み水をお与えください、ご主人様』」

加蓮「意地汚いアタシに飲み水をお与えくださいご主人様!」

奈緒「プライドゼロかよお前は!」

凛「加蓮は良い子だね。ほら、こっちおいで」

加蓮「はい!」

 ぴょーん。

 
加蓮「あぁ~凛ご主人様ぁ~」

奈緒(地獄絵図だ……)

凛「よしよし……それで、奈緒はどうするの?」

奈緒「た、食べちゃったのは謝るけどさ! そんなペットみたいな真似なんてできるかよ!」


加蓮「……奈緒」

奈緒「なんだよ!?」

加蓮「プライドで喉は癒されないんだよ?」

奈緒「格好つけて言ってるけどさ! 説得力ゼロだかんね!?」


凛「どうやら奈緒は、水を飲みたくないみたいだね」

凛「それじゃ、行こうか加蓮。実は、食べられる木の実も見つけたんだ」

加蓮「ホントに! 凛!」

凛「……加蓮?」

加蓮「ほ、本当ですか……凛ご主人様」



奈緒「――行ってしまった」

奈緒「なんだこの状況……極限状態ってのはここまで人を変えてしまうのか?」

奈緒「…………」

奈緒「……この水……そのまま飲めるのかな……

『もばます!』

書き溜めここまで。一旦中断します


奈緒「やっぱ、生水はダメだ……お腹痛い……」

奈緒「なんとなく最初の海岸に来てみたけど……」

奈緒「なんかめっちゃ荒れてるじゃん……天気も悪いし、これで雨まで降り出したら泣くぞ? あたし」


 ドッドッドッドッドッ……。

???「おーーいっ!!」

奈緒「――ん?」

P「大丈夫かー! 迎えに来たぞー!!」

奈緒「p、Pさぁーん!」

『ナイスタイミング。Pがボートに乗って、荒れる海を渡り迎えに来てくれたようです』


P「待ってろー! すぐにつくからなぁー!」

奈緒「危ない危ない! 後ろぉーっ!!」

P「――えっ?」

 ざっぱーんっ!
 
『P、高波にさらわれてボートごと転覆』

P『がぼっごぼっ……もばっ……ます……』


『ボートに乗って三人を迎えに来たPでしたが、波にのまれ、ボートは流されてしまいました』

P「うぅ……死ぬかと思った」

奈緒「大丈夫か? まだ海草ついてるぞ」

P「なぁに、このぐらい慣れっこさ!」



P「ボートは流されたけど、ほら! この通り荷物は無事だ!」

奈緒「そのばかデカイ鞄のせいで溺れかけたの、忘れてないよね?」

P「……これ、中に食べ物入ってるんだけどなぁ」

奈緒「よっ! さすがPさん! あたしはPさんの事信じてたよ!」

P「ゲンキンな奴め……まぁいいや。ほら、缶詰と水な」


奈緒「うぅ……なぜか涙が出る」

P「ところで、他の二人はどうした? 姿が見えないけど」

奈緒「あぁ……その二人なら……」

凛「ここにいるよ」

奈緒「っ!?」


P「おぉ! 心配してたんだぞ凛!」

凛「ふふっ、ありがとうプロデューサー」

凛「でも大丈夫だよ。私達、力を合わせて仲良くやってたから」

奈緒「り……凛。どっから出てきたんだ?」


凛「プロデューサーと私は、信頼の絆で結ばれてるからね」

凛「例え姿が見えなくても、近くに来たらすぐにわかるよ」

P「信頼の絆か……なんだか嬉しい事言ってくれるなぁ」

凛「ふふっ……ちょっとプロデューサー撫でないでよ……奈緒が見てる」

奈緒(もう、突っ込むのは止めよう)

凛『もばます……ふふっ』


奈緒「ところで、加蓮はどうしたんだ?」

凛「加蓮なら、私達の拠点で留守番してるよ」

P「そうなのか? なら、早く会いに行ってやらないとな」

奈緒「拠点って……ここ以外にも寝泊りできる場所ってあったっけ?」

凛「ほら、あのお堂があったでしょ? 加蓮は入るの嫌がってたけど」


『凛の案内でお堂に移動する一行』

凛「加蓮ー? 戻ったよー」

加蓮「あ……うぅ……」

奈緒「ど、どうした加蓮!?」

P「何てこった……謎の液体でべとべとじゃないかっ!?」

凛「一体何があったって言うの!?」

『そこでP達が見たのは、お堂の床に倒れる、変わり果てた北条くんの姿でした』


加蓮「あ、あぅ……」

P「ダメだな……完全に放心状態だ」

奈緒「な、なぁ……やっぱりこのお堂はなんかヤバイよ……」

奈緒「あ、あたし戻る! こんな何かいるかもしれない場所になんていられないよ!」


 ガチャ!
 
 ドザザザザー……。

奈緒「あ……あぁ……」

P「諦めろ、奈緒。この雨と風はさっきの場所じゃ凌げないよ」

凛「どうやらここで一夜を明かすしかないみたいだね」

奈緒「そんなぁ……」

『もばます!』


『無人島生活 二日目 夕食後』

 ヴァイ……ヴァイ……。

P「この酷い雨の中、蛙が鳴いてるみたいだな」

凛「蛙なの?」

奈緒「もうなんだって良いよ。とりあえず朝になったら迎えがくるんだろ?」

P「そのはずだけど、このまま雨が降り続けたら正直わからん」


加蓮「う~……」

凛「加蓮もあれから目を覚まさないし……心配だね」

奈緒「一体何に襲われたのか……この調子じゃ聞く事もできないし」

 ドガンッ!!
 
P「な、なんの音だ!?」

凛「扉に何かぶつかったみたいだけど……」


 ヴァイ……ヴァイ……ヴァイ……。

凛「ねぇ、鳴き声が大きくなってる気がしない?」

P「い、言われてみたら確かにそんな気もするけど……まさか」


 ガン、ガン、ガタガタ、ドンッ!
 
奈緒「や、やばいよやばいよ……」

凛「プロデューサー! 加蓮を抱えて! 逃げ出せる準備をしないと!」

P「で、でも入り口は一つしかないぞ!」


 メキメキメキッ――!
 
奈緒「だ、だめだ……扉が……」

凛「くっ……入ってくる気!?」

P「あ、あぁ……外に!外に!」

『かっかー!』

書き溜めここまで。一旦中断します


奈緒「うぅ……はっ!」

奈緒「あ、あたしは一体……皆は……」

凛「う、うぅん」

P「あ、頭がガンガンする……」

奈緒「凛! Pさん! 無事なの!?」


凛「ここは……お堂……?」

P「一体何があったんだ……外から大量の黒い影が入って来たところまでは覚えてるが」

加蓮「あ……あぁ……か、かっか」

奈緒「加蓮! すっかり忘れてた……大丈夫か!?」

凛「酷い……また謎の液体でべとべとだよ……」


『色々ありましたが、なんとか無人島生活三日目の朝を迎えました』

奈緒「あ……」

P「朝日だ……」

凛「なんだか、ここに来てから色々あった気がするよ……」


加蓮「はっ……あれ? 奈緒に、プロデューサー?」

奈緒「加蓮! 気がついたのか!」

加蓮「なんか……全身べたべたするし……昨日のお昼ぐらいからの記憶が無いんだけど」

P「いいんだよ加蓮。人には、覚えてないほうが幸せな記憶だってあるさ」

加蓮「そ、そうなのかな?」


凛「あ、見て! 迎えの船だよ!」

『どうやら、長かった無人島生活も終わりが近づいてきたようです」

奈緒「思い出したんだけどさ」

凛「何を?」

奈緒「加蓮が持ってたカメラ……撮影らしい事殆どしてなかったけど大丈夫なのか?」

加蓮「……言われてみれば……っていうか、カメラもどこやったかわかんないんだけど」


 トントン。

加蓮「え……なに?」

謎の生き物「ン゛ブー」

奈緒「な、何だソイツっ!?」

凛「でっかい……」

加蓮「ひ……ひぃ……」

P「加蓮! 動くなよ……そういうのは刺激せずに、ゆっくりと後ろに下がるんだ……」


 じりじり……。
 
謎の生き物「ン゛ブーヴ」

 スッ。
 
奈緒「な、なんだ?」

凛「それ……加蓮のカメラじゃない?」

『どうやら、カメラを持ってきてくれたようです』

加蓮「ど、どうも……」

謎の生き物「ン゛ブー」



凛「――行っちゃった」

奈緒「び、びっくりしたぁーっ! 何だよアレ! 何だよアレェ!」

P「だ、大丈夫か加蓮?」

加蓮「…………」

 バタリッ。
 
P「か、かれぇーんっ!!」

『もばます!』


奈緒「まぁ、なんだかんだあったけど。こうして無事に帰りの船には乗れてるし」

凛「長いようで短い三日間だったね」

加蓮「ねぇねぇ二人共! これみてこれ!」

奈緒「なんだよ……さっきのカメラか?」


 カチッ。

『――さてと、反省会しようか』

凛「これって……初日の」

奈緒「あの変な生き物が撮影してたのか?」

加蓮「そうだと思う……」


凛「このテープがあれば、一応今回の仕事はこなせたって事になるよね」

凛「ふふっ……感謝しないといけないや」

『いつかまたこの無人島に来た時に、今回のお礼をしようと心に決めた渋谷くんでした』

奈緒「あんな見た目なのに、器用なもんだよなー」

加蓮「これさ、アタシが留守番してる所とかは撮れてないんだけど……」


凛「ところで二人とも」

奈緒「? どうした、凛」

凛「何か、忘れてないかな?」

加蓮「えっと……確かに、何か忘れてる気がするけど」

『そう、何か忘れてるんです』


凛「向こうに帰ったら、反省会の続き、しようね?」

奈緒「……まだ根に持ってたのか」

加蓮「あ、アタシはすっかり反省してます! 凛ご主人様ぁ~!」

凛「加蓮、泣いても許されないから」

凛「ふふっ……楽しみだね」

「「ひ、ひぃぃ~っ! ごめんなさぁ~いぃ!!」」


『こうして、勘違いから始まった三人のサバイバル生活は幕を閉じました』

『この後、録画されたビデオを見た番組ディレクターから彼女達に新たなチャレンジのオファーがあったりもしましたが』

『それはまた、別のお話です。それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう!』


 おわり

 
はい、おしまいです。

奈緒を無人島に放り込みたかっただけなんだけど
書き始めたら加蓮が可愛くてしかたなかった。いいよね、楽しようとして損する役回り。

ところで、アニメ見るとこの無人島には砂漠とか凍土まであるんだよね。どんな島だよ。

それではここまでお読みいただき、ありがとうございました!


『ちなみにこちらが前作のお話になります。以上、CMでした』

まゆ「これは、プロデューサーさんの椅子……」
まゆ「これは、プロデューサーさんの椅子……」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455955624/)

『もばます!』


P「って! 終わってない! 俺! 俺がまだ無人島に残されたまんまだよっ!」

P「だ、誰か! この際鬼でも悪魔でも! ちひろさんでも良いっ!!」

P「誰か! 誰か助けてくれぇぇ~~っ!」


『こんどこそ、本当におしまいです』

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