武内P「天使と悪魔のちひろさん」 (28)

・アニデレ数十年後設定、死ネタ含む
・千川ちひろさんは天使
・武内P×ちひろさん要素含む


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金が欲しい

金が欲しい

金が欲しい

金が欲しい

金が欲しい

千尋の谷底より、罪深き金を

あぁ、……愚かなる主よ

汝は、何を以て生贄とするか

何を以て我が糧となるか

その供物は金以外の何物でもない筈だ

金を欲する

ただ、金を欲する



ーーーさあ、偶像の支配者《アイドルマスター》よ



汝の願いとその代償を


…………

…….社長

社長!

武内社長!

武内「……!」

ちひろ「お眠りになっていたのですか。私だから良かったものの、秘書達に見られたら示しがつきませんよ?」

武内「……ちひろさん?」

ちひろ「……社長」

武内「……あ……」

ちひろ「……貴方も、年、ですかねぇ……」

武内「……すみません。『仙川』君」ポリポリ

ちひろ「はいはい、バレた時に困るのは私なんですからね。タダでさえ幹部連中には『若い愛人を優遇してる』とか言われているんですし」

武内「……」フッ

ちひろ「……何を笑っているんですか」

武内「いや……仙川君の、本当の年齢を……彼らが知ったらさぞや驚くだろう、と思いまして」

ちひろ「社長。女性に年齢の話は御法度ですよ」

武内「これは意外でした、仙川君はそういうことを気にするのですか?」

ちひろ「……いつもと違って随分と興が乗っているご様子ですね」

武内「はい。とても懐かしい夢を見たので、つい」

ちひろ「……?」

武内「仙川君と……いえ、ちひろさんと出会った時の、夢です」

ちひろ「社長!またーーー」

武内「少しくらい、良いではないですか。もし誰かが来た時は……ちひろさんが足音を聞き分けてくれるでしょう?」

ちひろ「……プロデューサーさんも、仕方ない人ですね」

ちひろ「……それにしても、出会った時……ですか。私、実はあまり覚えていないんですよね」

武内「それは普通の事でしょう。ちひろさんは、私達とは生きる時間が全く異なるのですから」

ちひろ「……」

武内「私にとっては、あまりにも強烈な出来事で忘れることなどあり得ませんが……ちひろさんにとっては私との時間は取るに足らない一瞬に等しいのですし……?」

ちひろ「……」ムスッ

武内「……拗ねているのですか?」

ちひろ「別に……そんなことはないです」

武内「……」

武内「ちひろさん。あの時、私と契約を結んでくれて、ありがとうございました」

ちひろ「な、何故魅入られた側のプロデューサーさんがそんなこと言うんですか!」

武内「貴女がいたから、今の私があるのです」

ちひろ「……化物である私なんかに感謝をする必要はありません」

武内「たとえちひろさんが何であろうとも、貴女は私の生涯の、最高の伴侶でした」

ちひろ「プロデューサーさん?」

武内「楽しい時、苦しい時。いつもちひろさんが隣にいて……」

武内「私は、幸せでした」

ちひろ「……プロデューサーさん」

武内「ちひろさん」

ちひろ「そんな、哀しい顔をしないで下さい」

武内「……」

ちひろ「……」

武内「私との契約を、終わりにして下さい」




ちひろ「……契約破棄理由を、聞かせて下さい」

武内「……こちらの紙を」パサリ

ちひろ「これは……」

武内「ええ、病院での検査結果です……。私はもう永くはないでしょう」

ちひろ「……!」

武内「ちひろさん。今、美城プロダクションは安定期にあり、私が崩れていけば大なり小なり斜陽の時代を迎えるでしょう」

ちひろ「……」

武内「勿論、後を任せる頼もしい社員達は育てたつもりです。しかし、今までのように業績が倍々に伸びていく時代が訪れることはない……。そう、考えています」

ちひろ「……」

武内「貴女は、これからさらなるお金を手に入れることができる筈です。私のような老輩に憑いて時間を浪費するよりも、現在の新興企業に着く方が利があります」

武内「私は、稼いだお金を全てちひろさんに捧げてきましたが、貴女から生活費として返金された莫大な貯蓄があります。そして、風前の灯火ながら、私の命もあります」

ちひろ「……」

武内「ちひろさん。私の魂と金を引き換えに、どうか自由になって下さい」

ちひろ「……」

ちひろ「……それだけ、ですか?」

武内「……?」

ちひろ「プロデューサーさん。まさか私を天使か何かだと思ってはいませんか。そんな申し出を受け入れるわけがないでしょう。」

ちひろ「私は、悪魔なんですよ」

ちひろ「プロデューサーさんが死ぬまで……プロデューサーさんのそばに纏わりつくに決まっているでしょう。そもそも、何で契約者が悪魔の心配なんかするんですか」

ちひろ「それに、プロデューサーさんが死んだ後だって……契約時の『トップアイドルを育てるプロデューサーのサポートをする』約束は終わりません」

ちひろ「だって。美城プロダクションには、これからも何人ものトップアイドルとプロデューサーが生まれるのですから」

ちひろ「私は、プロデューサーさんが死んだ後もこの美城プロダクションを拡大させ続けます。世界にだって、宇宙にだって進出させます」

ちひろ「そして、私はその宇宙規模の収入を手に入れて……!」

武内「ちひろさん」ギュッ

ちひろ「!」

武内「……やはり、私にとって。ちひろさんは天使でした」

ちひろ「……違います。私は、金を求める醜い悪魔です。悪魔なんです……」

武内「ちひろさん」ギュッ

ちひろ「……っ」

武内「……」

ちひろ「プロデューサーさん……」

武内「……契約内容に、追加の約束を入れてもよろしいでしょうか」

ちひろ「……っ」

武内「……」

ちひろ「……はい、何でしょう」

武内「私が死ぬ時、私の隣に居てください。私の手を握っていて下さい。私の魂を一番に攫っていって下さい」

武内「……たとえ、泣き笑いでも……いいのです」

武内「最後は、笑顔で見送って下さい」

ーーーーーーーー


魂などいらないと思っていた

ただ、金を……金を、求めていた

それだけだった

魂は……

魂は……必ず天国に、送り届けよう。他の悪魔などに、指の一本でも触れられないように

私の手など、絶対に届かないところに。




……あぁ、やはり







ちひろさんは、天使だったのではないですか。



ーーーーーーー


美城プロダクション






東京からウサミン星(本物)に至るまで、トップアイドルを輩出し続ける業界屈指の芸能プロダクション。

この会社の歴史が途絶えることはついになかった。

数多くの波乱は有れど、その度に彼女は何処からか現れ、手腕を振るい、業績を向上させる。

あの蛍光緑の彼女が。

おしまい。

やち天

仙川さんは上の方の指摘通り

天使であるちひろさんは容姿が変わらないため何回か別人に変わりながら働いてるってことで。
分かりにくくてすみません

肯定さん「いやぁセンカワさんには」
天パ「毎度御世話になってます」

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