姉「おかえりー」 弟「あれ、帰って来たの?」 (39)

弟「大学はどうしたのさ? ……まさか辞めたの?」

姉「バカ。半年で辞めるわけないでしょ。今は夏休みだよ」

弟「もう9月だけど」

姉「あのね。大学生の夏休みは8月から9月後半までなの。8月は色々あったから帰ってこれなかったけどね」

弟「ふーん。それで、いつまでいるのさ?」

姉「3日後には帰るよ。向こうでバイトしてるから、そんなにこっちには居られないんだ」

弟「……あっそ」

姉「なに拗ねてんの?」

弟「……別に拗ねてねえし」

姉「可愛くないなー。もっと一緒に居たいって素直に言えばいいじゃん」

弟「申し訳ありませんが、思ってないことは言えない性格なものでして」

姉「よく言うよ。この捻ねくれ者」

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姉「最近どうなの? 彼女とかできた?」

弟「彼女とかってなんだよ。俺が彼氏作ったらどうすんだよ」

姉「なるほど。彼女は居ないわけね」

弟「……」

姉「まぁ、その性格じゃ無理か

弟「そういう姉ちゃんはどうなんだよ」

姉「私? 女子大だから出会いとかないんだよね」

弟「言い訳はいいって。つまり、彼氏居ないんでしょ」

姉「告白はされたけどね」

弟「……嘘だ。そんな物好きな男が存在するはずがない」

姉「本当だって。あ、でも男じゃないけど」

弟「はっ?」

姉「同じ大学の子に告白されてさー」

弟「あれ? 姉ちゃんはリリアン女子大だっけ?」

姉「違うから。マリア様は見てないから」

弟「姉ちゃんって、本当に女にはモテるよな」

姉「モテるってほどじゃないけど」

弟「よく言うよ。高校の時なんてバレンタインデーは俺よりチョコもらってたじゃん」

姉「あれは友チョコじゃん」

弟「友チョコの割りにはずいぶん気合いが入ってたけどね」

姉「そもそも、私とあんたで貰った数を競おうとしても、勝負にならないでしょ」

弟「なんで?」

姉「あんた、チョコもらったことあるの?」

弟「俺をなんだと思ってやがる。もちろんあるから。毎年もらってる」

姉「そう。なら、私の作ったチョコなんていらないよね……」

弟「えっ……」

姉「ごめんね。迷惑だったよね……」

弟「あ、いや……」

姉「……誰からもらってるの?」

弟「……お姉さまからしか頂いておりません」
姉「だと思った」

弟「ハメやがったな……」

姉「あんた、普通に問い詰めてもはぐらかすでしょ」

弟「だからって、泣き落としはズルいだろ」

姉「いいじゃない。女の特権なんだから」

姉「さてと、そろそろお風呂でも入ろうかな」

弟「いってらっしゃい」

姉「あ、そうだ」

弟「なに? 『一緒に入る?』とか『覗かないでね』みたいな、テンプレ発言でもすんの?」

姉「いやー。盗撮するなら、私にも見せてほしいなって」

弟「盗撮なんてするか!」

姉「でも、AVとかエロ本買うより安上がりじゃん」

弟「……それをネタに俺がセンズリとかして平気なの?」

姉「映りがいいなら、私は構わないけど」

弟「恥じらいとかないの?」

姉「なにをいまさら……。私が家に居た頃はあんたに裸を見られるなんて日常茶飯事だったじゃん」

姉「それに、私の裸を見て大きくしてたでしょ」

弟「……気づいてたの?」

姉「突然、前屈みになって自分の部屋に戻る姿を見れば、そりゃあね」

弟「……」

姉「あれ? 今も大きく……」

弟「もういいから風呂入れよ……」

姉「30分くらいで足りる?」

弟「そんなにいらねえよ!」

姉「……」ゴクゴク

弟「……姉ちゃん」

姉「ん? どうしたの?」

弟「なんで酒飲んでんのさ」

姉「弟はお子ちゃまだから知らないと思うけど、お風呂上がりのビールは格別なんだよ?」

弟「年齢的にダメだろって話だよ」

弟「不味いって言ってたじゃん」

姉「サークルとかバイトの仲間内で飲み会とかするうちに飲めるようになったんだよ」

弟「……男とも飲んだりするの?」

姉「バイト仲間で集まったりすると男がいることはあるかな」

弟「……そうなんだ」

姉「でも、そんなに話したりしないし、お持ち帰りされたとかってのもないよ。だから、安心していいよ」

弟「別に。姉ちゃんのことだから、男にモテるわけないって思ってるし」

姉「よく言うよ。顔面蒼白だった癖に」

弟「それは姉ちゃんが男と飲むってのが信じられなかったんだよ。あんまり、男と絡んだりしないじゃん」

姉「私が男性と話してるの見ると怒る弟がいるからね。なるべく、距離は取るようにしてる」

弟「俺を言い訳の材料にすんなよ」

姉「だって、実際にそういうことがあったじゃない。中学の時とか」

弟「なんかあったっけ?」

姉「あんたがうちのクラスに訪ねてきた時、私が同級生の男の子と話してて、そしたら『俺の姉ちゃんを返せ!』とか言って私を抱き寄せたんだよ。おかげで、私には重度のシスコンの弟が居るって噂になったんだからね!」

弟「まぁ、中学生なんて子供だしさ……」

姉「なら、高校時代の話もしようか?」

弟「申し訳ありませんでした!」

姉「そういえばあの後、私がいくら話しかけても無視するようになったよね」

弟「1週間くらいだっけ……?」

姉「1ヶ月だよ! 私、本当に悩んだんだから! このまま話せなくなったらどうしようって」

弟「……ごめん」

姉「だから、もうこんなことが起きないようにしようって努力したんだよ」

弟「……だから高校も大学も女子校にいったの?」

姉「そ、それは……」

弟「不思議だったんだ。特に高校なんて、もっと偏差値高いとこ行けたのに」

姉「……ち、近かったから、あそこの高校を選んだの!」

弟「なるほど。電車で一時間の距離が近いんですか」

弟「よくもまぁシスコンとか弄れたね。自分は弟の為に進路を決めるブラコンの癖に」

姉「弟のほうが重度だからいいの!」

弟「ブラコンってのは否定しないんだ」

姉「昔なら否定しただろうけど、今は出来ないかな」

弟「どうして?」

姉「……秘密」

姉「そろそろ寝ようかな」

弟「まだ、10時前だよ?」

姉「なんか眠くなっちゃってさ」

弟「……そっか。おやすみ」

姉「捨てられた子犬みたいな表情するのやめてよ……」

姉「もう少しだけ話そうか」

弟「いいよ。疲れてるんだろうし……」

姉「……こっちおいで」

弟「なに?」

姉「……」ナデナデ

弟「なっ……」カァァ

姉「お話しする?」

弟「……す、少しだけな」プイッ

今日はここまで。

それではみなさん、よいお年を!

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弟「おーい。いつまで寝てんだよ」

姉「もうちょっとだけ寝かせて……」

弟「10分前にも同じこと言ってたぞ」

姉「……だって、眠いんだもん」

弟「ずいぶん怠惰な生活してんだな。ここに住んでた時は、こんなに寝起きが悪くなかったのに」

姉「仕方ないでしょ。誰かさんが5時まで私を寝かしてくれなかったんだから……」

弟「でも俺は起きてるし」

姉「どうせ、寝てないんでしょ?」

弟「だからなに? 起きてることには変わりないだろ」

姉「そうだけどさ……。学校は大丈夫なの?」

弟「えっ? なにが?」

母「あら、そんなこともわからないの?」

弟「げっ……」

母「次のテストの結果が楽しみね」

姉「お母さん、おはよう」

母「おはよう。朝御飯できてるわよ」

姉「ありがとう。着替えてから行くね」

母「ゆっくりでいいからね。さて、弟はどうして寝てないのかしら?」

弟「わからないことを姉ちゃんに質問しててさ……」

母「実の姉になんてことを聞いてるの……。お母さんは悲しいわ……」

弟「は?」

母「性的な質問したんじゃないの? わからないプレイを手取り足取り教えてもらったんでしょ?」

弟「ち、違うし! なんでそうなるんだよ!」

母「だって、男子高校生の頭の中なんてエッチなことばっかりじゃない」

弟「どんな偏見だよ……。普通は学校の勉強とか思うだろ」

母「うちの息子が勉強する光景が想像出来ないのよ。残念だけど」

姉「弟、あんまり勉強してないの?」

母「そうなの。困ったものね」

姉「まったく……。ちゃんと勉強しないと大学いけないよ?」

弟「……わかったよ」

姉「こら。ちゃんと私の方を向いて答えなさい」

母「そうよ。人の目を見て話すのは常識よ」

弟「……人の着替えを見るほうが非常識だろうが」

姉「ふー。美味しかった……。お母さんの料理は日本一だね」

母「大袈裟ね。でも、ありがとう。嬉しいわ」

姉「ほら、弟もお礼言いなよ」

弟「……いつもより旨かったよ」

姉「いつも美味しいでしょ!どうして、そういう風にしか言えないの!?」

母「いいのよ」

姉「でも……」

母「私もそう感じたもの。家族揃って食べたほうが美味しいに決まってるわ」

姉「お母さん……」

母「貴女がここに居る間は3人で食べましょうね」

姉「うん!」

父「……おはよう」

姉「あっ……」

母「あら、お父さん。おはようございます。ご飯出来てますよ」

父「俺は人数に入っているのかな……?」

母「ええ。勿論」

父「でも、3人って……」

母「なんの話でしょう? 聞き間違えたんじゃないんですか」

母「じゃあ、私は洗い物するわね」

姉「私も手伝う」

母「大丈夫よ。それより相手してあげて」

父「そうだぞー。久し振りに父さんとお話ししようじゃないか」

母「どうして姉があなたを接待するんですか」

父「えっ」

姉「そうだよ。弟が拗ねちゃうよ」

弟「俺は関係ないだろ」

姉「シスコンじゃん。それも重度の」

弟「姉ちゃんには言われたくないし」

母「はいはい。お父さんがご飯食べるから、向こうに行ってなさい」

姉「はーい」スタスタ

父「……」

弟「姉ちゃん、俺が学校から帰ったら買い物行かない?」

姉「うーん……」

弟「なんか用事でもあるの?」

姉「友と会う約束してるんだよね。まぁ、夕方なら大丈夫だとは思うけど」

弟「友さんも帰って来てるの? 確か、地方の大学に進学したんだよね?」

姉「夏休みが始まってすぐにこっちに戻ってきたみたいだよ」

弟「ずいぶん長くこっちに居るんだ」

姉「恋人と一緒に居たいからじゃない」

弟「友さんって付き合ってる人いたの?」

姉「そりゃあ、あれだけ美人だからね」

弟「独り身なのは姉ちゃんだけか……」

姉「あんたもでしょ」

姉「んで、なに買いにいくの?」

弟「……別になんだっていいだろ」

姉「わかった。エロ本買うんでしょ」

弟「違うから。なんでそうなるんだよ」

母「そうよ。弟はたくさん所蔵してるんだから、別に購入する必要はないわ」

弟「えっ」

姉「お母さん、隠し場所知ってるの?」

母「もちろんよ。最近のお気に入りまで把握しているわ」

姉「凄いなー。私も昨日探したんだけど、見つからなくてさー」

母「ふふ。これが母親の力よ」

姉「お母さん、カッコいい!」

弟「……」

弟「死にたい……」

姉「エロ本持ってるのがバレたくらいで死んでどうするの」

母「内容が内容だものね」

姉「なになにー? ハードやつ読んでるの?」

母「むしろ純愛ものよ。甘すぎて胃もたれおこしそうなくらいに」

姉「なーんだ。それなら別に恥ずかしがらなくても」

母「関係性が問題なのよ。なんてったって……」

弟「もうやめてくれ……」

姉「あれ?」

弟「なんだよ……」

姉「こんな時間だけど、学校間に合うの?」

弟「……無理かも」

姉「あんたさぁ……」

弟「もう休んじゃおうかな……」

母「サボりなんてダメよ。お父さん、弟を車で送ってあげて」

父「せっかくの休みだからゆっくりしたいんだけど……」

母「……送ってくれたら、姉が相手してくれるそうよ」

父「さぁ、私についてこい!」

弟「いいよ! 一人で行くから! だから、親父は姉ちゃんと喋んな!」

母「この馬鹿親子が……!」

弟「なんとか間に合った……」

弟友「お前がこんなギリギリに来るなんて久し振りだな。なんかあったのか?」

弟「姉ちゃんが帰ってきてな」

弟友「なるほどな」

弟「おい、最後まで聞けよ」

弟友「いいよ。どうせ、父親と姉貴を奪いあってたんだろ」

弟「……」

弟友「んで、母親に怒られたと。お前の赤くなってる頬を見りゃなんとなくわかる」

弟友「シスコン」

弟「うるせえ」

弟友「まぁ、あんなに可愛い姉がいりゃ、シスコンにもなるか」

弟「お前、会ったことあったっけ?」

弟友「去年の文化祭に来てたじゃん」

弟「ああ、そういやそうだったな」

弟友「実はその後にも見かけたんだけどな」

弟「へー。どこで?」

弟友「隣町のショッピングモールでさ。お前と手繋いで買い物してた」

弟「……見てたのか?」

弟友「恋人繋ぎしてるとこまでバッチリとな」

姉「……」ビクッ

母「どうしたの?」

姉「どこかで恥ずかしい過去が掘りかえされた気がする……」

母「それって小学校の林間学校のこととか?」

姉「なにそれ?」

母「覚えてないの? 林間学校の前日に「弟と一緒じゃないと行きたくない!」って騒いだじゃない」

姉「全然、覚えてない……。どうして、そんなこと言ったんだろう?」

母「あの頃、貴女は弟を抱き枕にして寝てたからね。林間学校で眠れなくなると思ったんでしょう。実際、一睡もせずに泣いてたそうよ」

姉「う、嘘だ……。私、そんなことしてない……」

母「なんなら、あんたが幸せそうに弟を抱きしめながら眠ってる写真でも見る?」

姉「……あるの?」

母「ほら、これよ。小学校5年生くらいの頃かしら」

姉「うわあああああああああ!」

今日はここまでっす。

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