凛「めりくりーな」李衣菜「めりくりん」 (19)



―――事務所


李衣菜「メリクリいえーい!」

凛「いえーい」


李衣菜「ほら凛、シャンメリーだよシャンメリー!」

凛「くぴくぴ。……うん、美味しいね」

李衣菜「こっちはケンタ君だよ! 奮発して一番豪華なの買ってきた!」

凛「もぐもぐ。……食べ切れるかな」

李衣菜「大丈夫大丈夫、食べたら運動、レッスンすればいいんだよ!」

凛「確かに。……それにしても今日の李衣菜はテンション高いね」

李衣菜「だってクリスマスだしさ! ロックな熱い夜だからね、うっひょー♪」


凛「私たちアイドルなのに、なんでクリスマス暇してるんだろう」

李衣菜「現実に引き戻すのやめて」

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凛「はぁ……」

李衣菜「はぁぁぁああ……」


P「ため息つくのやめてくれよ……こっちまで気が滅入る」カタカタ…

李衣菜「プロデューサーはいいですよね……いつも通りお仕事してるだけでいいんですから」

P「こんな虚しいことが他にあるだろうか……」カタカタ

凛「プロデューサー……私たちにはお仕事なかったの?」

P「あいにく他の子に回しちゃってな……。イベントもLIVEも、生放送も」

李衣菜「ってことは、私と凛は余り物ってことですね……はは、ははは……」

凛「未央も卯月も奈緒も加蓮も……」

李衣菜「なつきちもみくちゃんも莉嘉もかな子も……」

凛「みんな楽しそうだった……」

李衣菜「私もステージに立ったりお喋りしたかったな……」

凛「どうしてこんな……」

李衣菜「はーあ……」


凛「……じとっ」

李衣菜「じとっ」

P「わ、悪かったよ……ほんとごめん」

李衣菜「まぁ……たまにはいいよね。こういう日にのんびり過ごすのも」

凛「……うん、そうだね。季節ごとのイベントは毎回忙しかったし」

李衣菜「静かにお祝いするのも意外とロックかも。……凛、改めて乾杯っ」

凛「ん。乾杯、李衣菜」


かちんっ


李衣菜「……へへ、なんか大人っぽい感じ?」

凛「そうかな。シャンメリーなのに」クス


P「ケンタ美味い」モッシャモッシャ

李衣菜「雰囲気台無しなんですけど」

凛「もう……」

P「だ、だってお腹空いたから……」

李衣菜「プロデューサーは馬車馬みたいに働いてればいいんです」

凛「黙って、無言で、機械のように次の私たちのお仕事を考えてればいいの」

P「……泣いていい?」

凛「ふふ……冗談だよ。プロデューサーもシャンメリー飲んだら?」

李衣菜「あはは。本物のお酒じゃないですけど、それこそ雰囲気だけでも味わってください」

P「そ、そうか? じゃあもらおうかな……」

凛「はい……どう? アイドルにお酌してもらう気分は」コポコポ

P「……複雑?」

李衣菜「えー、なんですかそれ。普通喜ぶところでしょ?」

P「本当だったら二人もファンのみんなと盛り上がってるはずだ、って思ったらなぁ……」

李衣菜「それはもういいですってば。……ある意味私たちも役得だし。ね?」

凛「……うん。今年のクリスマスは……これでも良かったかも」

P「ごくごく……ん、どういう意味だ?」

凛「ううん、なんでもない。ふふっ」

李衣菜「へへ、プロデューサーは気にしないでください」

P「すごく気になるんだけど……」

凛「いいからいいから。ほら、もっとフライドチキン食べて」

李衣菜「私たちだけじゃ食べ切れないませんからっ。はい、あーん」

P「ちょ、自分で食えるっての――!」



―――


李衣菜「はー、満腹~……♪」グダー

凛「久しぶりに食べるとやっぱりいいね。美味しかった……♪」クテー


P「クリスマスにこたつでだらけるアイドルなんて見たくなかった……もっとしゃきっとしなさい」

凛「ん……そういうのは杏に言ってよ」

P「あいつに関してはもう諦めてるから……」

李衣菜「――はっ! そうだ忘れてた!」ガバッ

凛「どうしたの李衣菜?」

李衣菜「凛、私たちアイドルだよ! クリスマスになにもしてないってまずいよっ」

凛「あ、そっか。ファンのみんなにどこでなにしてるか、さすがに警戒されるね」

李衣菜「すっかり忘れてた……せめて写真撮ってツイッターに上げないと」

凛「だね。……李衣菜とツーショット? なんかやだ」

李衣菜「ひどくない?」


凛「じゃあプロデューサーも入れよう」

李衣菜「それだ!」

P「アホかお前ら!?」

李衣菜「やだなぁプロデューサー。ギャグですよギャグ」

凛「ジョークも分からないなんて……プロデューサーはダメダメだね」

P「ぅぐぐ……!」

凛「ほら李衣菜、もっとくっついて」

李衣菜「自撮りって難しいなぁ……よいしょ」ムギュ

凛「ひゃ……! もう、どこ触ってるのっ」

李衣菜「凛は腰が弱いそうです、プロデューサー」

凛「ちょ、ちょっと李衣菜!」

P「そんな報告はいらないからとっとと撮れ」

凛「それじゃいくよ。……はい、アイオライト」

李衣菜「あ、アイ……? あぁチーズってことか」


ぱしゃっ


凛「……どうかな?」

李衣菜「お、いいじゃん。程よく事務所も写ってるし」

凛「うん、一応仕事場にいるって分かるね」

李衣菜「どうですか、プロデューサー? こんな感じで」

P「どれどれ……うん、いいんじゃないか。そのままアップロードしてくれ」

李衣菜「はーい。よし、タイトルを付けよう!」

凛「え、いる?」

李衣菜「『蒼とロックの二重奏』とか!」

凛「……『寂しい女二人』、とか」

李衣菜「……悲しくなるからそういうのやめよう?」ズーン…

凛「うん、私も言っててダメージが大きいよ……」ショボン…

P「なにしてるんだよ……」

李衣菜「じゃあシンプルに、『相棒と』で」

凛「ん、それくらいがちょうどいいよ。私たちには」

李衣菜「へへ、だね♪」

凛「ふふ……♪」


李衣菜「もっと撮ろうよ、なんか楽しくなってきたっ」

凛「え、ちょっと李衣菜……もう、しょうがないな……ふふっ」


P「あ、おーい。写真上げるならちゃんと確認取ってくれよー?」

「「はーいっ」」


―――

――



―――


凛「ふう……いっぱい撮ったね」

李衣菜「うんっ、面白いのも撮れたし」

凛「あ、あれは絶対誰にも見せないでよ?」

李衣菜「凛の変顔なんて超レアだよね、あはは♪」

凛「わ、分かってるよね……!?」

李衣菜「分かってる分かってる、心配しないでよ」

凛「ほんとかな……」

李衣菜「ほんとほんと。プロデューサーとも撮れたし楽しかった!」

凛「それは別の意味でネットに上げられないね……」

李衣菜「へへ。秘密ね、秘密」

凛「ふふ……うん、私たちだけの秘密」

李衣菜「来年はもっと楽しいことしようね!」

凛「たとえば?」

李衣菜「たとえば……クリスマスイベント出たいよね」

凛「……LIVEもしたいな」

李衣菜「インターネットの生放送とか……」


凛「ちらっ」

李衣菜「ちらちらっ」

P「なぁやっぱり根に持ってる? 根に持ってるよな?」

李衣菜「えへへ。来年はお願いしますよ、プロデューサー!」

凛「今回は許してあげるけど、次はないからね? ふふっ」

P「わ、分かったよ……約束だ。絶対に来年は楽しいクリスマスにするよ」

李衣菜「ううん、違います。『楽しいクリスマス』じゃなくて――」

凛「『今年よりもっと楽しいクリスマス』だよ。よろしくね、プロデューサー」


「「ねっ?」」

P「……ああ、任せてくれ!」


凛(三人で過ごせたクリスマスも――)

李衣菜(とっても楽しかったですよ!)



おわり

というお話だったのさ
メリークリスマス……

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