もしも童話がこんな風だったら (43)


第一話

【もしも桃太郎のお爺さん達がまともじゃなかったら】


むかしむかしあるところにお爺さんとお婆さんがすんでいました

お爺さんは山へ柴刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました

するとどうでしょう、洗濯をしていたお婆さんの元へ大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてくるではありませんか

お婆さんはこの桃を持ちかえりました

婆「お爺さん見てください。こんな大きな桃を拾いましたよ」

爺「ほー、こりゃあたまげたもんじゃ。どれ、早速喰うてみるとしよう」

婆「はいはい。それじゃあ切りますね」

お婆さんが大きな桃を切ろうと切り込みを入れるとなんと、大きな桃はひとりでに割れました

そしてなんということでしょう! 桃の中には可愛らしい赤ん坊の男の子がいるではありませんか!

爺「な、なんじゃと! 中になんで赤子が!?」

婆「おやおや、何とも珍妙な。けれど桃の中から生まれたということは、つまり種みたいなもんですかねえ」

爺「ふむ」



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爺「じゃあ埋めるかの」


お爺さんとお婆さんは果肉は美味しく食べるとして中にいた赤子は家の裏に埋めることにしました

赤子「ほぎゃあ! ほぎゃあ!」

婆「随分大きな音を出す種ですねえ」

爺「まあ埋めれば静かになるじゃろ」

ところが埋めた後も赤子の生命力は並ではないのか、泣き声はいつまでたっても止みません

爺「うるさいのう。埋める前に絞めておくべきじゃったか?」

婆「駄目ですよお爺さん。種だって生きてるんですから死んでしまっては育たなくなります」

爺「成程のう。じゃあ我慢するかの」

こうしてお爺さん達の家では常に赤子の泣き声が響くようになりました


そして3年の月日が流れました


爺「おおー、大きくなったもんじゃのう」

婆「ええ、それに見てください。この木になった桃を。あの時の大きな桃と同じくらいの大きさですよ」

お爺さんとお婆さんは赤子を埋めた場に生えた桃の木に成った大きな桃をいくつも収穫しました。

爺「しかし楽しみじゃのう。あの時食べた桃は本当においしかったからのう」

婆「ええ。もう無くなった時にはもう食べられないかと思っていましたから育って良かったですねえ」

そうして収穫した桃を早速食べようと切り込みを入れれば、桃は1人でに割れ、中からまた赤子が現れました。

爺「ふむ。やはりこの桃からは赤子が出てくるみたいじゃのう」

婆「そうみたいですねえ。ほら、他の桃全部に赤子がいますよ」

赤子「「「「「「ほぎゃあ、ほぎゃあ!」」」」」」

お婆さんの言うとおり、全ての桃から赤子が1人ずつ現れました。

幾人もの赤子の泣き声を聞きながらお爺さんは言いました



爺「じゃあまた埋めるかの」


そうして生まれた赤子全てを裏に埋めると残った果肉を今度は自分たちだけでなく里にも売るようになりました。

瑞々しく栄養価の高い桃を売ったお爺さんはどんどん裕福になっていき、桃が成るたびに赤子を埋めていったため大きくなった果樹園はいまや里一番の名物となりました。

しかし、そんな生活に陰を指す者があらわれました。

そう、鬼です

人を襲い宝を集める鬼達はどこからかお爺さん達の噂を聞きつけ、里一番の大金持ちとなったお爺さん達の屋敷を強襲しました


鬼「ぐえへへへへ、おい人間のジジイ! 命が惜しくば貴様の持つ宝を儂らに差し出せ!」

爺「ひ、ひいい!!」

丁度桃の収穫をしていたお爺さんとお婆さんは突然現れた鬼達に腰を抜かしてしまいました。

それを見て気を良くした鬼は高笑いをしながら再度お爺さん達を脅します

鬼「ぐはははは! どうした早くしないと貴様らを喰ってしまうぞ!」

爺「ひえー、わ、儂らの宝はこの赤子です!」

怯えながらお爺さんの指し示したのはたった今桃から取り出した赤子です

鬼「ほう、成程成程、確かに貴様ら人間にとって子は大切なもんだろうの」

鬼は人間たちが子供というものを金銭よりも大切にする種族だと知っていました

この老人達も例に漏れず仁徳を大切にするものなのだろうと当たりをつけました

しかし真相は勿論違います

お爺さんの言った「宝」とは文字通り金銭的価値のあるもの、すなわち美味な桃を生みだす種(赤子)という意味でしたが鬼には勿論通じません

鬼は美談と受け止めましたが鬼としても欲しいのはそんなものではありません

鬼「それが貴様らの宝だと言うのならわしが喰うてくれるわ」

そう言い放ち鬼は赤子に手をのばします

お爺さん達が止める間もなくほぎゃあほぎゃあと泣いていた赤子を鬼は一口で食べてしまいました


赤子を食べるという絶望と死の恐怖を叩きつければ老人達も金銭を差し出すだろう、と思っての行動だった鬼は驚愕します

鬼「!? な、なんだこの赤子の肉は!? 臭みも無く一噛みで食べられる柔らかさ! 普通人間の肉は筋張っており簡単に噛みちぎれる物ではない。だがこの肉はなんだ! 大人は勿論並の赤子でもここまで柔らかい肉はあるまい!」

赤子の味に驚嘆しながら鬼は次の赤子に手をのばします

先ほどは特に気にもせず一口で食べてしまいましたが今度は少しずつ味わいながら咀嚼していきます

鬼「瑞々しくも張りのある食感。混じりけのない良質な血の中にに香るのは、そうかこれは桃の味! 肉でありながら桃の味がしみ込んでいる! 長年人間の肉を食べてきたがこのような肉があるとは。 この味を知ってはもう他の人間の肉などとてもではないが食えるものではない!」

今までの食生活の常識を覆すような赤子の味に狂喜していた鬼ですが同時に今後の食のことを考えると気落ちせざるをえませんでした

そんな鬼を見ていたお爺さんは、もしや、と思い言いました


爺「なら毎年差し上げましょうかの?」


鬼「!? な、何!? 貴様それは生贄をささげ続けるということか!?」

お爺さんの気の狂ったとしか思えない発言に鬼は驚愕します

先ほど宝だと言った赤子を2人も喰われていながら冷静に毎年食べていいと言われれば驚くのは当然でしょう

しかしこの提案はお爺さんにとっても願ったりかなったりでした

何せ桃は毎年成る上に種を植え続けて早十数年。もはやこれ以上管理するのは難しいほどに果樹園は広がっていました。

今年の種はどうするか、そろそろ植えるのも限界だし処分していく方向に持っていくか、とお婆さんと話していたところに鬼が不要な種を気に召した

ならばこの種を鬼に引き取ってもられるなら自分たちの命は助かり在庫処分も出来るという一石二鳥の案だったのです

鬼も老人たちを信じられない者を見る目で見ていましたがこの世の者とは思えない赤子の肉が手に入ると言うのなら是非もありません

道徳も誇りも所詮自分たちの命に比べれば大したものではないという人間たちを蔑みながらその場は収穫したての赤子たちを手土産に鬼は鬼が島へと帰って行きました

さて、それからの話

鬼が持ち帰った赤子はやはり他の鬼たちにも衝撃を与えその後、味の劣る人間を襲う者はいなくなりました

何せ何もしなくても人間たちが極上の赤子を運んできてくれるのです。宝は好きですがそれよりもさらに優先される食欲を満たすその肉に鬼達は夢中でした

そして人の里でも今まで定期的に襲ってきた鬼たちの襲撃を防いでくれたお爺さんとお婆さんを讃え、さらに決め手となった美味なる赤子たちを桃から取れる事からこう呼ぶことにしました

『桃太郎』と

こうして人間も鬼も争うことはなくなり平和に暮らしましたとさ

どっとはらい!


とりあえず第一話終わり

一話目から狂気の話となりましたけどこんな感じで【もしも○○だったら】みたいな話を描いていきたいと思います

とりあえず今のところ思いついているのは

もしもシンデレラがマゾだったら
もしも大きな桃と一緒にお爺さんも流れてきたら

です

暇つぶしに書いていくSSですんでもしもネタ提供していただけたら幸いです

では今日はこれで

クリスマスとか意味分からない

ので投下します

スマホからなんで遅いのはすいません

第2話

【もしもマッチ売りの少女がもう少し視野が広かったら】

昔々あるところ、冬の街に一人の少女がいました

少女「マッチ、マッチはいりませんか?」

少女はクリスマスだというのに1人寒空の下、道行く人々にマッチを勧めます

しかし人々は相手にしないどころか煩わしげに少女を見やります

当然と言えば当然です

何せ今日はクリスマス
家庭を持つものや恋人達は暖かい食事の待つ家へと急ぎます

そのなかでわざわざマッチなど買う者は皆無でした

やがて夜も更けた頃、雪の降る街に佇んでいるのは少女1人でした

少女「寒いなあ」

はあ、と手に息を吹き掛け暖める少女に帰る家などありません

正しくは在るにはありますが酷い虐待を行う養父が待ついえです。

酒代も稼げなかったと言えばどうなるか分かったもんじゃありません

故に少女は1人寂しくよるのまちの路地裏で身を屈めました

寒さに震えていた少女ですが、ふと、自分が暖を取れるものを持っていることに気が付きました

売り物ですがどうせ誰も買ってはくれません




少女はマッチに火をつけました


しかし、寒空で風のふく中ではマッチの火など直ぐに消えてしまいます

困った少女は何か燃やすものはないかと辺りを見渡し


少女「あ、あった」

少女はマチに火をつけました

少女「わあ、あったかーい」

パチパチと燃える火で暖をとっていると何処からか何やら香ばしい、お肉の焼ける匂いがしてきます

空腹だった少女は火をつければもっといい匂いが嗅げるかも、と思い


再びマチに火をつけました


するとどうでしょう

今度は美味しそうな匂いだけでなく辺り一面が明るくなり、まるでお祭りをしているかのように賑やかになりました

何処からか現れた、サンタの仮装なのか赤く輝く服を纏った人々が踊り出します

何だか幸せな気分になってきた少女は、残るマッチ全てを使い

マチに火をつけました

すると不思議です

あれほど賑やかだった街がいつのまにか靄に包まれています

少女はぼんやりとした頭でその靄を見ていると目の前に誰かいます

ああ、あれは少女が大好きだったお婆さんです

少女はお婆さんの胸に飛び込みました



翌日、少女の死体と回りに広がるマッチの燃えかすをみて

「ああ、我々がマッチを買っていればこんな悲劇は起こらなかったのか?」

と、悲しみ、憤り、二度とこのようなことがないようマッチ売りの少女のことは今でも語り草となっているようです

おしまい

投下終わり

某六つ子のアニメみて思い浮かんだネタでした

絶対燃やすとおもったんだけどなあ

金太郎を劇的には面白そうなんで考えてみます

ではまた

なんだろう
ネタ提供したいけどこの狂気的な話にしにくそう

思いついたのは
もしも人魚姫が最後に王子をナイフで頃せてたら
もしもシンデレラが時間に気づくのが遅れて城の中で魔法が解けてしまったら

気が向いたらお願いします

>>38
あ、いや別に狂気的な話ばかり書くつもりはありませんよ?

マゾなシンデレラはギャグ、おじいさんが流れてくる桃太郎はシリアスのつもりなので

ようはなんでもアリです

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