輿水幸子「うわぁ…」 (48)

モバマスSS

幸子カワイイ!

のんびり投下していきます。

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ボクが「ソレ」に気付いたのはとある日の早朝、事務所でした。

その日、朝一番で事務所に寄ったボクは、近々ある大きなライブの為、事務所に泊り込んでいるであろうプロデューサーさんを
ボクのカワイさで激励してあげる為、まっすぐにデスクに向かったのです。


「おはようございます!カワイイボクが来ましたよ!朝一番でボクに会えるなんて、プロデューサーさんは幸せ者ですね!」フフーン

………あれ?

返事がありません。いつもならボクの言葉を軽く流しながら笑顔で「おはよう幸子。今日も可愛いな」と、お決まりの挨拶をしてくれるはずなんですけど…

そこでプロデューサーさんをよくよく見てみると、アイマスクに耳栓の完全装備で仮眠をとっていました。

パソコンでお仕事をしている途中、疲れて休憩を取っていたようですね。胸元に入ったスマートフォンは目覚まし替わりでしょうか。

目覚ましに気付かなかったのでしょうか。それともボクのスケジュールを把握してないのでしょうか。

しかし、カワイイボクの気配に気付かないとは!プロデューサー失格ですね!

少し文句を言ってあげたくもなります。

しかしこの人がボクの為、そして事務所の為に、身を粉にして馬車馬のように働いている事をボクはちゃんと理解しています。

皆の為に事務所に泊まってまで、お仕事を頑張っているのです。

せめてちひろさんが来るまでは。

ゆっくりと寝かせてあげましょう。


「それにしても、いくら暖房が入っているとはいえ、このままではプロデューサーさんが風邪を引いてしまいますね…」

「カワイイボクは気遣いも完璧ですからね!毛布でも掛けてあげましょう!感謝してくださいね!」

仮眠室から毛布を持ち出し、少しの間毛布を抱きしめ、感謝の気持ちを込めながら。

リクライニングの椅子に背中を預けて熟睡しているプロデューサーさんの背後から毛布を掛けようとしたその時です。





「うわぁ…」



「ソレ」に気付いてしまいました。


何に例えればいいのでしょうか…

砂漠のオアシス。真夏のサバンナ。

外はとても寒いのに、どこか常夏を思い出させるような。

それでいて、とても悲しく、寂しい光景がボクの目の前に広がります。

思えば、プロデューサーさんはボクよりもずっと背が高いのです。

そうなると自然、ボクがプロデューサーさんの「ソコ」を目にする機会は、プロデューサーさんが座っている時に限定されます。



そういえば、いつからだったでしょうか…

プロデューサーさんは事務所の中でも寒いからと毛糸の帽子をかぶっていました。

「まゆからのプレゼントなんだ」といってセーターや手袋を着込んでいたプロデューサーさん。

手編みのプレゼントに大人気なくはしゃぐ姿を見て、事務所の中が慌しくなったことは言うまでもありません。

かくいうボクも、まゆさんに教わりながら少しづつマフラーを編んでいたところです。


しかし、それすらもカモフラージュだったのです。

きっと、室内で帽子をかぶっていることに違和感を抱かせないため…

つまりはここ最近。

誰もプロデューサーさんの頭頂部を見ていないのです。


その時、プロデューサーさんの体がピクリ、と動きました。

カワイイボクの気配を、そして一部分への視線を感じ取ったのか慌てて立ち上がり、アイマスクと耳栓を取ります。

そしてゆっくりとボクと目を合わせ、軽くため息を吐いた後。

何かを諦めた様な顔で言うのです。



「おはよう幸子。今日も可愛いな」 と。




――――――――――――――――――――

夕刻。

寮の自分の部屋に戻って、今朝のことを考えます。

正直なところ、ショックでした。

例えるなら、Cuの担当だったボクのプロデューサーさんが、実はPaの担当だったような。

そんな衝撃がボクに襲い掛かります。



「前まではここまでではなかった。」


「不規則な生活が祟ったのかも知れない。」


「少しばかり恥ずかしくて、皆に知られたくなかった。」


「ここだけの話にしてもらえないだろうか。」

プロデューサーさんは色々と言っていましたが、隠されていた真実やプロデューサーさんの事情なんてどうでもいいのです。

ええ、どうでもいいのです。

そんなことよりも。

同年代と比べて極端に背の低いボクや、年少組の皆さんならともかく。

身長がプロデューサーさんと大して変わらない、楓さん達大人組。

そして当然、プロデューサーさんの事を上から見下ろせるきらりさんなら、以前から気付いていてもおかしくありません。

思い返してみれば、最近皆さんの様子が少し変だったような気もします。

あまりプロデューサーさんの背後に立たなくなったり。

事務所の中でで髪型の話を聞かなくなったり。

まゆさんのプレゼントも、おそらくプロデューサーさんの悩みを見越したものなのでしょう。

いつもプロデューサーさんの事を見ていたまゆさんだからこそなのでしょうか。


気付かれたくないプロデューサーさんと、気付いていないフリをする事務所の皆さん。

秘密を共有しあっていた皆さんと、それに気付かなかったボク。

そこが、なんだか面白くありません。

疎外感とでもいうのでしょうか。

先を越されたような。 

お前はまだ子供だと言われたような。

気に入りません。

遅れは、取り戻さなければいけません。

カワイイボクが負けるなんてことが、あっていいはずがないのですから。

プロデューサーさんに対する気遣いも、それ以外も。

善は急げ。

思い立ったらまず行動です。

早速、自室のパソコンでプロデューサーさんの「ソレ」について調べていきます。

やはり、世の男性方にとっては重要なことなのでしょう。多数の情報がでてきます。

曰く、体質である。曰く、遺伝である。

食生活の乱れにこそ原因がある。

いやいや睡眠時間の不足こそが原因だ。

…本当に様々です。



ボクに出来そうな事を探していきます。

聞くところによると、プロデューサーさんの生活習慣に関しては、すでに改善されつつあるようです。

食事に関しては、手作りのお弁当を誰かしらが作っているようですし…

睡眠時間に関しても、最近は留美さんなど、前職の経験を活かしたサポートのおかげで、それなりには取れているようです。

体質や、遺伝に関しては今の科学ではどうしようもありません。

プロデューサーさんの身の安全を考えると、晶葉さんや志希さんに相談するのは悪手でしょうしね…

ボクのカワイさを活かせるような、そんな方法があればいいんですが…

カワイイは正義。そして正義が負けるなんて事、あっていいはずが無いのです。


そして、調べながら考えること小一時間。

「これですよ…」

そして、翌日も早起きをする為に、ボクは早々に床に就きました。





――――――――――――――――――――



モバP「いやぁ…昨日はまいったなぁ…」テクテク

モバP「まさか幸子に見られるとは…完全に油断してたわ…」カギカチャカチャ

モバP「まぁ他言はしないって約束してくれたし?普段はあんなだけど口は固そうだし?」

モバP「こっそり幻滅されてるかも知れないがな……」ズーン

モバP「まぁ、あの時事務所にいたのが幸子だけでよかったと思おう… 不幸中の幸いってやつだな。」

モバP「まだ気付いたのは一人だけ… バレてない…はずだ…」


モバP「なんにせよ。いっそう気を引き締めていかないとな… よっしゃ、帽子OK!今日も決まってるぜ俺!」ビシッ


モバP「おはようございまーす」ドアガチャー

モバP「ってまあ今日も一番乗りなんだけどね。 さぁ、悪鬼羅刹(ちひろさん)がくるまではのんびりコーヒーでも…」スタスタ


「おはようございます!!」ドアバーン

モバP「ヒエッ!?違うんですちひろさん!今のは蘭子の物真似ででしてね………ってあれ、幸子?」

幸子「そうです!今日もカワイイボクが来ましたよ!二日連続で朝一番からボクに会えるなんて光栄ですよね!?」フフーン

モバP「お、おう…そうだな、おはよう幸子。いつもながら寝癖がキュートだな。」

幸子「当然です!ボクのチャームポイントですからね!溢れ出ちゃうんですよね!こう、カワイさが!」ドヤァ…

モバP(朝っぱらからテンション高いなコイツ…)

モバP「にしても…こんな朝早くにどうしたんだ?今日は仕事もレッスンも無かったはずだけど…」

幸子「ええ!今日は私用です! ボクが!プロデューサーさんに!会いに来てあげたんです!」

モバP「そう?何か…あったっけ………ハッ!?」

モバP(これはまさか…脅迫!?)

モバP(その頭の何かしらの状況を事務所にバラされたくなければ1000万モバコイン用意しろ的な!?)

モバP(プロデューサーさんは一生ボクの奴隷なんですよ!みたいな!?)

モバP(アカン…搾り取られる…悪魔(ちひろ)と天使(幸子)によるダブル搾取…)

モバP(なんか興奮して来ちゃったぞ!?)


モバP「と、とりあえず…手持ちは60ガチャ用のスタージュエル1000個しかないんだ…今日のところはコレで何卒…」

幸子「何を言ってるのかよくわかりませんが、プロデューサーさんが情けないのはなんとなくわかります。」

幸子「というか、いつまで入り口に突っ立ってるつもりですか!早く椅子に座ってくださいよ!」グイグイ

モバP「おお!? わかった、わかったから!あんまり引っ張るなよ!」

モバP「ほい、座ったぞ。」ギシッ

幸子「見ればわかります。それでは、失礼しますね。」スッ

モバP「へ?」



言うや否や、俺の膝の上に座る幸子。

心地良い重み。少女特有の柔らかさ。ふわりと漂う甘い香り。

自称・観測史上最カワイイの美少女が今、俺の膝の上に…




モバP「じゃなくて!どどど、どうしたんだよいきなり!早く降りてくれ!誰かに見られたりでもしたら…」アセアセ

幸子「昨日の事なんですけどね。」

モバP「ウェッ!?」ビクン

幸子「家に帰ってからボク、色々調べました。」

幸子「いろんな情報がありましたが、ストレスが原因になることが多いそうです。」

幸子「カワイイボクがいつも近くにいるのに、ストレスが溜まるというのもおかしな話ですけどね!」

幸子「まぁプロデューサーさんも大人ですしね!お仕事も忙しいようですし、色々あるんでしょう!」

幸子「しかし、プロデューサーさんがそんなだと、ボクも嫌です。恥ずかしいです。何よりボクに相応しくないです!」

幸子「そこで!カワイイボクがプロデューサーさんに癒しを提供してあげようと思ったんですよ!」

幸子「アニマルセラピーって知ってますか?カワイイ動物を撫でて触って、日頃の疲れも解けて無くなるそうです!」

幸子「もうおわかりでしょうね?そうです!幸子セラピーです!」

幸子「カワイイカワイイボクを、存分に撫で回して癒されてください!!」

幸子「溜まったストレスなんて、すぐにどこかに飛んでっちゃいますよ!」




幸子「そうしたら、プロデューサーさんもすぐに、元通りですよ…」

幸子「ほら…手を回して…」




――――――――――――――――――――


ガチャ

ちひろ「おはようございま……!?」



幸子…幸子っ…

そうです…もっとボクに触れて…

もっとキツく抱きしめてください…

んっ…ふぅ…ふふっ…どんどん疲れが取れていくでしょう…?

幸子…ああ…幸子…

あぁ……もっとです…プロデューサーさんの内側にボクが染み込むくらいに…

そうです…もうカワイイボクの声しか耳に入りませんよね…?

カワイイボクの匂いしか感じられませんよね…?

全身でカワイイボクを感じて下さい…

大丈夫ですよ…プロデューサーさんをいじめる人なんていません…

カワイイボクが…あなたの全てです…

幸子……幸子……ああ……オレダケノサチコ………



バタン


ちひろ「んん………??」

ちひろ「………???」


ガチャ

ちひろ「おはようございま……」

んっ…ちゅっ…はぁっ…プロデューサーさん…その顔カワイイですよ…?

もう一回…ほら…ボクの瞳を覗き込んで…もうアナタしか映ってません…

プロデューサーさんの瞳にも…ちゅっ…ぷはっ……ボクだけですよ…

さぁ…もう一回……んっ……






バタン



ちひろ「…………」

ピッポッパ

ちひろ「警察……は、事務所がまずいか……」

ちひろ「中学生はさすがに違法ですよねぇ…」

ちひろ「早苗さん呼んでこなきゃ…」


終わり☆

別に私の頭頂部がどうこういう話ではなく。

副業先で「薄くなってない?」とか「地肌見えてますよ」とか言われたなんてそんな事実はありません。

私はただ純粋に、幸子ちゃんに癒されたかっただけなのです……

その為の題材にソレを選んだだけなのです……




お付き合いくださりありがとうございました。HTML化依頼してきます。

.               ⊂⊃ 
..            (ヽ、   ノ), 
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       ノノ, , ヽ ( (´・ω・`)ノノ    \ またカミの話してる 
          'ノノノノ(|   |)八ヽ)八)) ) 
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               し/



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