【ごちうさ】千夜「私のグッズだけ……売れ残ってる……」 (37)

千夜「…………」ドヨン

シャロ「千夜、ほら、元気出しなさいよ。グッズの売れ残りくらいなによ!」

千夜「…………ハァ」

シャロ「ほら、遊びに行きましょ。気分も晴れるわよ」

千夜「……私のが売り切れたらね……」ドヨォン

シャロ(これは重症だわ……)

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しばらく前・ラビットハウス

ココア「見てみてチノちゃん! 今ってこんなグッズが簡単に作れるんだよ!!」

チノ「また何を突然……わ、私の写真印刷Tシャツ!?」

ココア「えへへ、これでチノちゃんといつでも一緒だよ~」

チノ「やめてください、恥ずかしいってレベルじゃないです。そんなもの着てあるいてたら変態です」

リゼ「でもすごいな。こんなに綺麗に作れるんだ」

ココア「あっ、リゼちゃんに描いてもらった絵でラバーストラップも作ってみたよ!」

チノ「……リゼさん?」ジト

リゼ「ち、違うぞ! こんなことに使われると思わなかったから……!」

シャロ「こんにちはー」

千夜「こんにち……!! チノちゃん!?」

チノ「? なんですか」

千夜「可哀想に……ココアちゃんのTシャツにくっついてしまったのね……」ヨシヨシ

ココア「くすぐったいよ~」

チノ「蛙じゃないんですから」

ココア「かくかくしかじか」

シャロ「へー、面白いわね。こんなものが簡単に作れるなんて」

チノ「だからって、人の写真を勝手に使わないで下さい」

ココア「えへへ……」

千夜「そうだわ! これをみんなのお店で売ってみない?」

チノ「え、ええぇ……」

千夜「ほら、前にうちとラビットハウスさんでコラボグッズ作ったじゃない? あれと同じように」

ココア「それ良いね! やろうよ!」

チノ「さすがに店員の写真入りグッズに需要は無いと思いますよ」

シャロ「そうね……でも、このラバーストラップみたいに、デフォルメされてるやつは可愛くていいかも」

シャロ(リゼ先輩のグッズなら写真入りも欲しいけど)

チノ「シャロさんまで……」

リゼ「そ、そうか? それならちょっと描いてみようかな」

リゼ(恥ずかしいけど、喜んでもらえるのはやっぱり良いな)

チノ「えええぇぇぇ……」

チノ「私は絶対反対です。大体、それで私だけ売れ残ったりしたらどうするんですか」

ココア「大丈夫、チノちゃん可愛いからすぐになくなっちゃうよ~。むしろお姉ちゃんが買い占めちゃうよ~」

リゼ「それはどうなんだ……」

千夜「残念……チノちゃんだけグッズ化されなくて良いのね……」

チノ「…………」

千夜「じゃあ、みんなでどんなグッズにするか話し合いましょ」

リゼ「とりあえず写真入りはナシだな。需要がないというか売りたくない」

ココア「私達で作るとなると、たくさんはできないね」

千夜「それぞれのお店の看板うさぎのストラップと、リゼちゃんの描いたみんなのイラストで……」

千夜「あ、シャロちゃんは幼馴染として、うちで売りとばすわね」

シャロ「妙な言い方しないでくれる!?」

チノ「…………」

ココア「チノちゃん、いいの?」

チノ「…………す、少しだけですよ」

ココア「えへへ、じゃあチノちゃんも参加!」

現在

千夜「…………そらきれい」

シャロ「ここあんたの部屋の中なんだけど」

シャロ(販売開始からおよそ一週間)

シャロ(常連さんを中心に、多くなかったグッズは、それでも意外なほど早く売れたわ)

シャロ(チノちゃんが真っ先に売り切れ、次いでココア、私、リゼ先輩と売れ……)

シャロ(他のみんなに比べて千夜は遅れてはいたけれど、そこそこ売れていたし気にした様子は無かった)

シャロ(……うさぎ達が売り切れるまでは)

千夜「…………ふふふ」

千夜「ねえシャロちゃん、みんな私よりあんこの方が好きなのよね」

シャロ「そ、そっちのほうが買いやすいってだけよ! やっぱり実在の人間のグッズなんて」

千夜「じゃあみんなはなんで売れてるのよ!!」

シャロ「ぐっ……そ、それは」

千夜「私、嫌われてるんだわ……」ゴロン

千夜「ふふふ……ラビットハウスさんのグッズはすぐ売り切れちゃったし、甘兎庵自体人気が無いのかしらね」

千夜「それとも、それも私のせいかしら」

千夜「甘兎庵世界進出、なんて、最初からありえなかったのよ……」

シャロ「! 千夜、起きなさい」

千夜「嫌よ。いらない子はここで朽ち果てるの……」

シャロ「千夜!!」

千夜「…………」

シャロ「あんたの夢はそんなもんだったの!? グッズが他の人より売れなかった、ただそれだけで諦めちゃうことなの!?」

千夜「シャロちゃんは売れてるからそんなことが言えるのよ! 私のお店なのに、どうしてシャロちゃんの方が売り切れてるの!!」

千夜「ずるい、こんなのずるいわ……」

シャロ「千夜……」

シャロ「……私は、可愛さなら千夜が一番だと思ってるわよ。誰にも負けない魅力がある。千夜のこと、」

千夜「……出てって」

シャロ「……千夜のこと、私は好きよ。大好きなんだから」

千夜「……今は、一人にして」

シャロ「…………」トボトボ

シャロ「…………こうなったら」


シャロ「ち、ちちち千夜!」

千夜「一人にしてって」

シャロ「いいから、こっち来なさい!!」

千夜「えっ、ち、ちょっと!?」

千夜「わ、私のグッズが」

シャロ「今日来てたお客さんたちが、みんな一つずつ買っていったんだって!」

シャロ「単に、千夜を気に入ってくれてる人が気づいてなかっただけなのよ!!」

千夜「もしかして、シャロちゃん」

シャロ「言っとくけど、私に買うお金は無いわよ!!」バアァン

シャロ「正真正銘、あんたのファンが買って行ったのよ!!」

千夜「…………ぐすっ」

千夜「シャロちゃん、さっきはごめんなさい。ごめんなさい……ありがとう……」

千夜「私も、シャロちゃんが大好きよ。シャロちゃん……」

シャロ「いいわよ。私だって、もし一人だけ売れ残ってたら辛かっただろうし」

シャロ「ほら、元気出しに、どっか遊びにいきましょ」

千夜「ん……」

シャロ家

シャロ「ただいまー」

シャロ「……さて、これでしばらくは、もやし以外食べられないわね」

シャロ「覚悟していたとはいえ、さすがに先が思いやられるわ……」

シャロ「……でも、千夜が元気になって、良かった」

数日後・甘兎庵前

千夜「あら、リゼちゃん。シャロちゃんなら今バイト中よ」

リゼ「ああ、丁度良いや。じゃあこれ、シャロに渡しておいてくれないか?」

千夜「これは……お料理?」

リゼ「シャロのやつ、最近随分元気無さそうでさ。事情を聞いても「ダイエット中」の一点張りだし」

リゼ「でも、どう見てもダイエットするほど太ってないから、食費に困ってるんじゃないかって……」

リゼ「さすがに余計なお世話とも思ったけどな。心配だし……」

千夜「シャロちゃん……私の前ではそんな素振り見せないのに」

千夜「あら、それ」

リゼ「この間のグッズだ。みんなのストラップ、一つずつつけておきたくてさ」

リゼ「さすがに五つつけるとじゃらじゃらするけど、誰か欠けてるのも嫌だからな」

千夜「私も。やっぱりみんな一緒がいいわよね」

千夜「ココアちゃんはお部屋に飾ってるらしいわよ」

リゼ「ああ、ココアは……この間部屋の中見たら、コルクボードがチノグッズばかりでな……」

リゼ「「他の子に取られたくない、この姉心」とか言ってたけど、ありゃあほとんど買占めたな」

リゼ「しかもまだ増えてるらしい……最近は「チノぐるみ」とかいうのを作ってるとか」

千夜「まあ」

リゼ「でも驚かされたのはチノだな」

リゼ「一見グッズなんか持って無さそうに見えるのに、この間空いてたカバンをちょっと見たら、ココアグッズがぎっしりと……」

リゼ「何のために作ったんだと思ったよ」

千夜「…………」

千夜「リゼちゃんは、誰かのグッズを買い占めたりしたの?」

リゼ「わ、私はそんなマネしてないぞ! 私は……」

リゼ「……うさぎたちは、結構買ったかな……」

千夜「そう、そっか」

千夜「またね、リゼちゃん」

リゼ「おお、またな」


千夜(……ココアちゃんはチノちゃんの、チノちゃんはココアちゃんのグッズをほぼ買い占めていた)

千夜(リゼちゃんはうさぎグッズを、シャロちゃんは……多分、無理してリゼちゃんのグッズを多く買った)

千夜(私もシャロちゃんのは多めに買ったけれど……シャロちゃんが一番人気ってことかしら?)

千夜(ううん、そんなことより)

千夜(……シャロちゃんったら、うそつきなんだから)

シャロ「た……だいま……」フラッ

シャロ(もやし生活は、やっぱりきついわ……)

シャロ(お風呂も二日に一回くらいしか入れてないし、電気はつけられないから勉強も学校でしかできないし)

シャロ(でも、自分で選んだ道だもの。後悔はしてないわ)

千夜「シャロちゃーん。うちで一緒にご飯食べましょー」

シャロ「うわ、何これ美味しっ!」

千夜「今日、リゼちゃんがご飯持って来てくれたのよ」

千夜「シャロちゃんが無理なダイエットしてるって」

シャロ「り、リゼ先輩が!?」

千夜「……無理しちゃ駄目よ、シャロちゃん」

シャロ「う……うん」

千夜「ところで、実は今週、食材を買いすぎちゃって」

千夜「良かったら、しばらくうちで一緒に食べない?」

シャロ「えっ、良いの?」

千夜「無駄にしちゃうより良いもの。ついでに、お風呂も一緒に入りましょ」

シャロ「そう、それなら……お言葉に甘えちゃおうかしら」

千夜「ねえシャロちゃん」

シャロ「ん?」

千夜「大好きよ」

シャロ「な、何よいきなり!」

千夜「ふふふ、だーい好きっ!」

シャロ「もー、千夜ーっ!!」

どこかの家

青山「ラバーストラップを下から見ても、虚しいだけですね……」

青山「やはり、本物が一番ということですか」

担当「先生、何してるんですか」

青山「ちょっと参考資料を眺めてました」ジャラジャラ

担当「どうみても資料じゃないですよね!? 同じようなのをこんなに買って!!」

青山「これ経費で」

担当「落ちません!!」


おしまい

雑なストーリーですが、お楽しみいただけたら幸いです。

グッズは五人分+マメ+青山さん+兎三匹分揃えような。

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