幼馴染「この気持ち、何だろう…?」(76)


──
───

男母『それにしても、同じ日に同じ時間に産まれるなんて…』

幼母『それも家がお隣同士、凄い偶然ですよね』クスッ

男母『私、驚いちゃった』

幼母『ふふっ、私もです』

幼母『何だか運命を感じますね』

男母『ほんとねー、もしかして結婚しちゃったり…?』

幼母『その時は、よろしくお願いしますね』ペコリ

男母『こちらこそ、よろしくお願いします』ペコリ

オギャー オギャー

男母『あらあら』

幼母『ふふふ』


──
───

屋上

幼馴染「男、起きて」ユサユサ

男「んぅ…ん?」パチ

幼馴染「こんなところで寝てたら風邪引くよ?」

男「……………」

幼馴染「??」

男「……………運命」

幼馴染「……………ベートーベン?」キョトン

男「あっ、いや…何でもないよ」スッ

幼馴染「もうすぐ午後のチャイム鳴るし、教室に戻ろ」

男「うん」

幼馴染「……………」スタスタ

男「幼馴染」スタスタ

幼馴染「何?」

男「わざわざ探しに来てくれたの?」

幼馴染「うん、だってお昼休み終わっちゃうし」

幼馴染「………もしかしてサボりたかった?」

男「いやいや!そういうんじゃなくて」

男「…ありがとう」

幼馴染「……………」クスッ

幼馴染「どういたしまして」

教室

男友「おっ、やっと戻ってきたな」

男「おっす…ふぁぁ」

男友「何だよ寝てきたんじゃねぇのか?」

男「寝たりないんだよ」スタッ

男友「幼馴染にお越しに行かせるとは、良いご身分だなー」グリグリ

男「ちゃんとお礼は言ったよ!」ペシ

幼馴染「私が勝手に行っただけだから」

男友「いや、お礼を言うだけじゃ足りねぇ!」

男友「そこは熱い口づけをだな…」

男「するかぁ!!」ドス

男友「げふっ?!」

幼馴染「??」キョトン

授業中

教師「─────」

男「……………」チラッ

幼馴染「……………」カキカキ

男友「なぁ、男」ヒソッ

男「何?」ヒソッ

男友「ほんとは屋上で幼馴染と何してたんだよ」

男「だから起こしてもらっただけだって」

男友「…ほんとにそれだけか?」

男「……………」コクッ

男友「何だよー、お前めっちゃ嬉しそうな顔してっから何かあったのかと思ったじゃんか」

男「……………」

男(顔に出てたかな?)

教師「じゃあ、幼馴染…この文章を読んでくれ」

幼馴染「はい」スッ

幼馴染「『私は、彼女を一目見た瞬間に恋に落ちた』」

ザワザワ

男友「音読するだけでクラスがざわつくとは…」

男友「やっぱ、学校一の美人は違うねー」

男「……………」

幼馴染「『────この出会いはきっと』」

幼馴染「『運命、だ』」

男(運命…か)

放課後


男友「よっしゃ、終わったー」

男「はぁ、疲れた」

男友「男!この後めちゃ可愛い女子と食事すんだけど、行かね?」

男「パスで」スッ

男友「即答かよ?!」

男友「ま、いいけどよ…じゃあな」タッタッ

男「ほどほどにしとけよー」

幼馴染「男」スタッ

男「ん、帰ろっか」

幼馴染「うん」


──
───

幼馴染「男は行かなくて良かったの?」スタスタ

男「あはは…僕、人見知りだからね」

幼馴染「彼女できるかも」

男「彼女かぁ…」チラッ

幼馴染「……………」スタスタ

男「僕は、まだいいや」

男「幼馴染は彼氏作らないの?」

幼馴染「私は作らないよ」

男「どうして…?」

幼馴染「誰かを好きになるなんて、あり得ないから」

男「……………」

幼馴染「ねぇ、男」

男「ん?」

幼馴染「今日、家行っていい?」

男「……………うん」

男の家

男「どうぞ」ガチャン

幼馴染「お邪魔します」

男「ちらかってるから…」

幼馴染「片付けるね」

男「いつもありがとう」

幼馴染「ううん、私がやりたいだけだから」

幼馴染「ちゃんとご飯食べてる…?」ガサ

男「…ご覧の通り」ガサ

幼馴染「カップラーメンばかりじゃ体に悪いよ」

男「僕、料理苦手だから」

幼馴染「私が作るよ?」

男「いや、毎日は流石に悪いし」

幼馴染「私がやりたいの」

男「……あはは、気持ちだけもらうね」

幼馴染「……………」

幼馴染「そろそろご飯作るね」シュル

男「あっ、僕も手伝うよ」

幼馴染「いいよ、男はおっちょこちょいだし…それに」

幼馴染「怪我したら大変だから」キュッ

男「……………」

男(エプロン似合うなぁ)

幼馴染「………………」トントン

男(料理任せちゃったけど、なにしてようかな)

プルル

男「僕、でるね」スッ

幼馴染「うん、お願い」トントン

男「もしもし」ガチャ

?「あら、天使さん?」

男「………切るよ、母さん」

男母「まぁ、反抗期かしら…昔は───」

男「何のよう?」

男母「ぐすっ、冷たい子」

男母「幼馴染ちゃんとは仲良くしてる?」

男「ん?まぁ、してるよ」

男母「そう、貴方達は運命の糸で結ばれてるんだから大切にしなさい」

男「また、その話…」

男母「貴方には幼馴染ちゃんが必要だし、幼馴染ちゃんには貴方が必要なの」

男母「失ってからじゃ遅いわよ、男」

男「………………」

男母「ふふ、それから────」

───
──

───
──


ガチャン

男「相変わらず長い…」ハァ

幼馴染「お義母さん?」

男「うん、いつも長電話なんだよ」

幼馴染「それは、きっと男のこと心配してるから」コト

男「心配?」

幼馴染「一人暮らしが心配ってこと」

男「僕、もう17だよ」

幼馴染「まだまだ子供」ニコ

男「っ……!」ドキ

幼馴染「どうしたの、男?」

男「へっ、え?」

幼馴染「顔が真っ赤…」

男「あ、あはは…何でもないよ!」

男「ご飯美味しそうだね、早く食べよう」

幼馴染「うん………?」

男(急には反則だよ…)ドキ

───
──


男「あの、幼馴染さん?」

幼馴染「なに?」

男「今日、泊まってくの?」

幼馴染「うん、ダメ?」

男「いや、別にいいけど…何で同じ布団」

男「もう一つ布団あるよ?」

幼馴染「こっちの方が暖かい、もう電気消すよ」パチ

男「あっ、ちょっ………」

男(僕の心臓がもたないよ)

男「………………」

幼馴染「………………」スースー

男(寝付きよすぎない?)

幼馴染「んっ…男………」

男「ん?」

幼馴染「………どうして」

男「………………」

───
──



男「んっ………」パチ

男「ふぁぁ…朝か…」

スースー

幼馴染「…………」スースー

男(ほんとに泊まっていったんだ)

男「顔洗ってこよう」スッ

バシャバシャ

男「うぅ、やっぱり冬の水は冷たい」ブル

男「早起きしたんだし朝御飯でも作ろうかな」

男「たまには料理もしないとね」

男「目玉焼きと豆腐の味噌汁でいいかな」

男「とりあえず豆腐に切れ込みを……」スッ

ザクッ

男「っ…………?!」ポタ

男「うわ、切れ込み入れようとしただけなのに…」

男「ドジ過ぎる……」ハァ

男「とりあえず手当てを────」

幼馴染「何してるの?」

男「び、びっくりした…おはよう幼馴染」ポタ

幼馴染「……それ」ドクン

男「あぁ、料理しようとして切っちゃったんだ」

幼馴染「どうして……」

幼馴染「どうして…そんなことするの」スタスタ

男「早起きしたから作ろうかなって」

幼馴染「私を起こしてよ」

男「いや、起こすのは悪いかなって…」

幼馴染「私を…っ…頼ってよ!」

男「…………え?」

ポタポタ

幼馴染「………………」チュゥゥ

男「幼馴染!汚いから止めた方が……」

幼馴染「………………」ペロ

男(あぁ、ダメだ…夢中になって止血してる)

男(一回夢中になると暫く離さないんだよな)

幼馴染「こっち来て」グイッ

男「………………」スタスタ

ドンッ

男「うわっ?!」ドサッ

幼馴染「………………」ドサッ

男(え、馬乗り?)

───
──


幼馴染「………………」ペロ

幼馴染「………………」ゴク

幼馴染「止まった」

男「あれだけ舐めればね…」

幼馴染「もう二度と包丁は握らないで」

男「幼馴染、大袈裟過ぎるよ」

男「たかが包丁でちょっと切っただけで…」

幼馴染「………………」ピク

男「これくらい気にしなくても……」ゾクッ

幼馴染「………………」ジッ

男「………………」

幼馴染「男はもっと自分の体を大切にするべき」

───
──

学校 昼休み

男友「なぁ、男?」

男「なに?」

男友「今日の幼馴染、何か機嫌悪くね?」

男「……そうかな?」

男友「あんま変わってねぇように見えるけど、何か怒ってるっぽいんだよなー」

男「鋭いなぁ、男友」ボソ

男友「ん?」

男「何でもないよ」スッ

男友「また、屋上か?」

男「うん、ちょっと寝てくる」スタ

男友「授業前には戻って来いよー」

幼馴染「………………」チラ

屋上

ガチャン

幼馴染「………………」

男「………………」スースー

幼馴染「ごめんね」ナデ

男「…………………ん」スースー

幼馴染「私が守るから」

男(守る……?)スースー

───
──

男『幼馴染!髪飾り見つけたよ!』ボロ

男(あぁ、これは夢だ)

男(だって今の僕は高校生だし、この記憶は覚えてる)

幼馴染『うえぇぇぇん!』ポロポロ

男『えぇぇ?!何で泣くの?』

男(きっと髪飾りがボロボロだったからだ)

男(雨が降った砂場の中にあって汚かったし)

男『ちゃんと綺麗にするから!』

幼馴染『うえぇぇぇん!』

男『泣き止んでよー!!』

男(あの後ずっと泣いてたなぁ)

男(何であんなに泣いてたんだろ?)

男「………………」パチ

幼馴染「おはよう、男」

男「あれ、幼馴染?」ムク

幼馴染「こんなところで寝ちゃダメ」

男「ここだと静かで寝やすいんだよ」

幼馴染「でも、体に悪い」キュッ

男「……………」

幼馴染「………?」

男(当たり前のように手繋ぐんだね)

男「今日は授業サボるよ」

幼馴染「どうして?体調でも悪いの?」

男「ううん、何か今日は授業受けたくなくて」

男「幼馴染はちゃんと受けなよ」ニコ

幼馴染「…わかった、帰りは一緒に帰ろう?」

男「うん、待ってるね」

図書室

男「ここなら寝てても大丈夫かな」スッ

男「ふぁぁ…眠い…」

?「ふふ」クスッ

男「っっ?!」ビクッ

?「大きな欠伸ですね」ニコ

男「すみません…」

男(この人いつの間に?!全然、気配がなかった)

?「女です」

男「へっ?」

女「私の名前です」

男「僕は男です」

女「はい、知っています」

女「とある方から良くお話を聞くので」

男(とある方?)

女「お隣よろしいですか?」

男「はい」

女「今は授業中ですけど、おサボりですか?」

男「まぁ、そうですね…女さんもサボりですか」

女「いいえ、違います」ニコ

男「……同学年ですよね?」

女「えぇ、そうです」

女「この高校に特進制度があるのはご存知ですか?」

男「何となく聞いたことはあります」

女「教科のテストを先に終わらせることで授業を受けなくてもいいんです」

女「私は数学と英語は終わらせてるので」

男「凄いんですね」

女「ふふ、男さんは良いんですかサボってしまって」

男「今回だけです」

女「何回かサボってますね」ニコ

男「……………」

女「私は教師ではないので気にしませんよ」

男「気を付けます……」

女「男さんは本はお好きですか?」

男「たまに読むくらいです」

女「この本はご存知ですか?」スッ

男「いえ、知らないです」

男「どんな内容なんですか?」

女「ふふ、興味があるんですね」

男「内容は知りたくなりますよ」

女「では、特別にお貸しします」

女「自分で読んで感想を聞かせて下さい」ニコ

男「僕、読むの遅いですよ」ペラ

女「返却はいつでも良いですよ」

男「どうして僕に貸してくれるんですか?」

女「それは、私の趣味ですよ」

男「趣味……?」

女「同じ物を読んで他者はどう感じたのか……」

女「私はそれを聞くのが大好きなんです」

男「何て言うか知的な趣味ですね」

女「素直に言って下さい」スッ

女「変わってるって」クス

男「………………」

女「そろそろ私は行きますね」

男「はい」

女「おサボりほどほどに」ニコ

ガシャン

男「……不思議な人だったなぁ」

男「眠れなくなっちゃったよ」ハァ

男「………………」ペラ

───
──

───
──


男「んんー!はぁ……」

男「もう放課後か」

男(結局、夢中になって読んじゃったなー)

男「もう帰ろう」

ガラガラ

幼馴染「男」

男「幼馴染?来てくれたんだ」

男「てか、良くわかったね」

幼馴染「屋上以外で寝れるのここくらいだから」

男「なるほど、幼馴染は探偵になれそうだね」

幼馴染「私は助手がいい」

男「助手?」

幼馴染「うん、男の助手として一緒にいたい」

男「あはは、そしたら頼りっきりなっちゃうよ」

幼馴染「いいよ」

幼馴染「私は、そうしてほしい」

男「………………」

男(どうしてって……何で聞けないんだろ)

幼馴染「帰ろ?」

男「……うん」

ガラガラ

男「幼馴染」スタスタ

幼馴染「ん?」

男「今日も、家来る?」

幼馴染「うん」

男「そっか、了解」

幼馴染「男」

男「なに?」

幼馴染「………………」キュッ

男「っっ?!」ビクッ

幼馴染「嫌?」

男「ここ、学校だよ?」

幼馴染「手、繋いでたい」

男「突然だね」

幼馴染「どこにも行かないでね」

男「えっ?」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年04月09日 (土) 21:50:36   ID: UeQINdGM

きたい

2 :  SS好きの774さん   2016年04月10日 (日) 11:04:21   ID: BpgDf8YS

期待

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