モバP「深紫伝説」 (15)

お久しぶりです。前作は「ドラフト会議をやろう」などがあります。



モバP「もう20年か…。あっという間だなあ…」



凛「何が20年なの?プロデューサー?」



モバP「凛は王様を知っているか?」



凛「知らない…」



モバP「まあ、知る人ぞ知るって感じだから、難しいかもなあ…」



凛「王様って何者?」



モバP「簡単に言うと、洋楽の曲を日本語に直訳して歌っていたんだ」



凛「へえ…。それじゃ、夏樹や李衣菜も知ってるかな?」



モバP「もしかしたら夏樹は知ってるかもな。李衣菜は…まあ」

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凛「代表曲は何があるの?」



モバP「一番は深紫伝説だな。ディープパープルの代表曲をを直訳ロックでメドレーにしたんだ」



凛「ディープパープル。深紫…。本当に直訳なんだね。面白いね」



モバP「興味あるなら貸してやろうか?CDあるんだけど」



凛「うん。ちょっと聞いてみてもいいかな?」



モバP「いいけど、あまり大きな音量で聞くなよ」



凛「うん。聞いてくるね」



――休憩室



王様「おーれはーこうそくどうろのーほしー♪」



凛「何この歌…」コンコン



卯月「あ、凛ちゃんここにいたんですね!」



夏樹「なんだ。ここで曲聞いていたのかよ。しかもCDなんて…」



凛「卯月に夏樹。随分珍しい組み合わせだね」

卯月「【つき】繋がりでラジオに出演していましたから!」



凛「そっか。夏樹のラジオに卯月がゲストだったんだ。――そうだ。夏樹はこの曲知ってる?」



王様「もえろーーーーーー♪」



夏樹「うん?ディープパープルの『Burn』だろ?でも、何だか…」



王様「湖上のけむーりー♪」



夏樹「スモーク・オンザ・ウォーターだけど…。なんかカッコ悪いな…」



凛「さすが夏樹だね。原曲知ってるんだね」



卯月「えっと…。何ですかこの曲は?」



凛「王様って人が歌ってるんだって。日本語直訳ロックだって」



夏樹「王様ね。凛にしちゃ随分いい趣味してるね」



凛「私のじゃないよ。プロデューサーから借りて聞いてたの。でも、面白いね。本当に直訳なんだね」



卯月「さっきから、『おいで♪』『おいで♪』『あかちゃーん♪』って歌ってますけど…」



夏樹「…多分、『カモン♪』『カモン♪』『ベイビー♪』ってことだろうな」



卯月「これは…。かっこ悪いですね…」

夏樹「こうして聞くと、洋楽なんて結構、際どい所を突き抜けてるな。駄目だろ『女をはべらせSMプレイ♪』なんて」



凛「今の時代、PTAが黙ってないね。『ブラウンシュガー』は『茶色いお砂糖』か…」



モバP「おっと。夏樹と卯月もここにいたのか。お疲れ」



卯月・夏樹「お疲れ様です」



夏樹「プロデューサーさんがこういうの聞いてるんだね。結構意外だったよ」



モバP「昔な、親父がきいていたんだよ。ディープパープルの『ハイウェイスター』を直訳ロックで『高速道路の星』。初めて聞いた時は爆笑もんだったぜ」



夏樹「でも、これって演奏は本家ではないよな?もしかして…」



モバP「ああ。ギターはガチだぞ。ライヴで一度でいいから見てみたいもんだ。王様の生ギターソロを」



凛「20年って言ってたけど、王様は何歳なの?」



モバP「55歳。今でも、精力的にライヴをやっているんだ。本当にすごいと思う」



卯月「この白のTシャツに、赤いマント。紅いかぼちゃパンツに白タイツ…。ちょっと変わってますけどね」



夏樹「でも、バンドマンとしてこうして全国回れるってすごいな」



モバP「有名なのは『深紫伝説』だが、他にも『鉛の飛行船伝説』や『転石伝説』『接吻伝説』なんてのもあるぞ」



夏樹「レッドツェッペリンにローリングストーンズ、KISSか。超有名なロックバンドばっかりだな」



モバP「コレも、全部日本語直訳だぞ」

凛「ネットで探すといっぱいCD出てくるね。――カブトムシ伝説ってなに?」



モバP「それはビートルズだ。有名なる前の曲ばかりだが、聞いたことある曲が多いんじゃないか?」



夏樹「『ひねってワオ!』は分かんねえな…。ん?『月光おじさん』ってもしかして…」



モバP「『月光おじさん』は『ミスタームーンライト』だ。一度聞いてみると勉強になるんじゃないか?本当に直訳だからな。誰かさんが好きな『ロックンロール』なんて、『ゆるゆるでぐるぐる』になっちまうからな」



夏樹「本当にそのまんま訳してるんだな。日本語に直すと、かっこいいと思っていた曲も、一転ダサくなるな…」



卯月「歌詞も結構えっちなのも多いですし…」



モバP「まあ、そう言うな。ダサいかもしれないが、原曲と遜色ない出来だし、きちんと本家をリスペクトして作ってるんだ。こういう発想はとても面白いじゃないか」



夏樹「でも、アタシはこの曲で歌いたくないなあ…」



モバP「じゃあ、李衣菜にやらせるか。曲を聞いたら『ロックですね!』って言ってくれるぞ」



凛「~~~」(想像して笑いをこらえている)



夏樹「――こういう凛も見たくなかったな…」

夏樹「でもだりーならやってくれそうだな」



卯月「なんせ『直訳ロック』ですもんね。エッチな歌詞があるのは嫌がるかもしれませんが、それ以外なら」



凛「私、それ生で見たいな李衣菜が『湖上の煙』を歌うところ見てみたい」



モバP「よし。じゃあ、李衣菜には『湖上の煙』と『深紫伝説』を練習させて、夏樹がギターやらせる」



夏樹「えー?本人いる前でやらせるってことは無いだろ…」



モバP「なーに。本家のハードロックの空気に触れてみるのもいいと思うぞ」



夏樹「まあ、最近こういうハードロックの曲やってなかったから、久しぶりに血が騒ぐぜ!」



――数日後


モバP「李衣菜。新しいロックな仕事だ」



李衣菜「お!ついにロックなアイドルらしい仕事ですね!それでどんな仕事ですか?」



モバP「夏樹とライヴだ。楽曲は2曲『深紫伝説』と『湖上の煙』という曲だ」



李衣菜「伝説!何だかカッコいいですね。ロックな響きがバンバンしますよ!」



モバP「――曲聞いたら、どんな反応するかな」



李衣菜「♪~」

――李衣菜自宅


李衣菜「久しぶりにプロデューサーさんからロックな仕事貰ったから、気合を入れてやらなきゃね!早速聞き込みだ!」



♪~♪



李衣菜「おお唸るようなギターリフ!これだよこれが――」



王様「おれの車にゃだれもーのれぬ♪」



李衣菜「!?ええ!日本語!」



王様「愛してる!必要だ!首ったけだー!」



李衣菜「」



王様「ギターソロ中」



李衣菜「でも、ギターは凄いね…。なつきちこれやるんだ…。すごいな…」



王様「火事起きて 町燃える♪女の炎が空まで届く♪嘘だと思ったら女の叫びが」



王様「きーこーえるー♪」



会場「もえろー♪」



李衣菜「」

李衣菜「ちょ、ちょっとこれを私がやるの…。かっこ悪い…。プロデューサーさんに抗議だよ!」



モバP『はい。どうした李衣菜?』



李衣菜「ちょっとプロデューサーさん!なんですかこのふざけた歌は!」



モバP『その様子だと、もう聞き込みを開始したか。感心だぞ』



李衣菜「ギターは凄いかもしれませんが、この歌詞は何ですか!日本語で『赤ちゃん』とか『おいでー』とか全然ロックじゃないですよ!」



モバP『これはこの人しか出来ていない、日本語直訳ロックというジャンルだ』



李衣菜「日本語直訳ロック…。もしかして、これは元々洋楽なんですか?」



モバP「そうだ。お前も聞いたことあるだろう。ディープパープル。これのメドレーが深紫伝説だ」



李衣菜「ディープパープル…。なつきちのCDにあったような…」



モバP「そうだ。歌詞はふざけているが、演奏は本物だったろ?」



李衣菜「う、うん…。ギターソロの速弾きは思わず絶句しちゃった…」



モバP「そうだ。夏樹にも言ったが、日本にもこういう形のロックがあるということを伝えたいんだ。それはロックアイドルのお前らの出番だろ?」



李衣菜「そ、そうだね!さすがプロデューサーさん!分かってるね!私頑張るね!」



モバP「――ちょろい」

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