三浦「八幡早く起きろし」八幡「……あと、5分」 (197)


題名通りあーしさんヒロインです
あーしさんと八幡は幼馴染みで、家も近くという有りがち設定です

基本的に小町以外はそんなに絡んで来ません

海老名さんのとは違って淡々とイチャイチャさせていきたいと思ってます


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1445523496


三浦「そう言って結局起きないのなんて分かってるし、ささっと起きないとエルボーかますから」


あーしはずっと同じことをしてきたから。経験で、八幡がこれを言って起きてきたことなんてなかった


八幡「そういうのやめてくれませんか三う…ぐほっ!?」


三浦「ゆ・み・こ…って呼べって何度言ったら分かるし」


起きようとした八幡に軽くエルボーをかます。理由は単純だ、こいつがあーしの名前を呼ばないからで


すごい小さな頃から一緒なのに、こいつは未だにあーしの名前をまともに呼ばない


もう慣れたことではあるけど、やはりいつも名前では呼ばれたいとは思う…


八幡「いや、だからってマジでエルボーかますなよ…」



三浦「じゃあ素直に優美子って呼んだらいいだけじゃん?小町が下で待ってるからあんたも早く着替えなよ」


八幡「…はぁ…はいはい」


いつもように気の抜けた返事がかえってくる。それだけなのに何だが無性に嬉しく感じる


三浦「全く…あーしがいないと本当にダメなんだから」


八幡「ああ、だからこれからも普通でいいから起こしてくれ…」


三浦「はぁ!?い、いきなり何言ってるし‼」


いきなり出た爆弾発言にあーしは一気に体温が上がるのが分かった


別にこいつにとったら何も考えないで言ったことなんだろうけど



三浦「そりゃあ……ずっと…………いいけど」ボソボソ


分かってはいるけど、やっぱりそういうことなのかなと期待だってしてしまう


八幡「いきなり顔赤くしたりして?大丈夫か?」


八幡(実は体調悪かったりするのか?)


三浦「な、何でもないし!?いいからさっさと着替えろ‼」


八幡「ちょ、お前!?うげっ‼」


足元にあった枕を八幡に投げつけて、あーしは乱雑にドアを閉めるとドタドタと下に降りていった



恥ずかしすぎて、これ以上真っ赤に染まってる顔を見られたくなかった


三浦(いや、見られるのが嫌な訳じゃないんだけど…むしろそれは嬉しくて)


三浦「っ…て、あーしは一体何考えてるし!?」


小町「どうしたの優美子お姉ちゃん大丈夫?」


セットしていた髪をガシガシしていると、洗面所から出てきた小町に不審な目で見られた


三浦「うっ、いや大丈夫だから……」


小町「そう?なら良いんだけど、まぁ、またお兄ちゃんが変なことしたんだろうけど」


三浦「そ、そんなこと……そんなことなくもないけど」



さっきの台詞を思い出して、また顔が熱くなってくる


それをこちらを見ていた小町が訝しげな顔から、ニヤニヤした笑みに変わっていく


三浦「も、もうこの話は終わりだし‼早くご飯食べるよ」


そそくさと逃げるように小町から離れていく、ああなった小町は色々としつこいのが分かっているからだ


小町「ふんふん、あんなになってるのに気付かないなんて、お兄ちゃんはいつの間に鈍感系主人公に……って、それは昔からか」


小町(小町的にはポイント低いけど、お姉ちゃん的にはポイント高かったみたいだね)


八幡「どうした小町、洗面所の前で棒立ちして?」


小町(まぁ、当のお兄ちゃんがこんなんじゃ前途多難だなぁ…)


小町「何でもないよ。ただ、ごみぃちゃんだなぁって」


八幡「何で朝から罵倒されなきゃならないの?」


冒頭はとりあえずこれで終わりです
これは真っ直ぐにいこうと思います

海老名さんのなかなか進まないのに体たらくなのに申し訳ないです

あちらも完結出来るよう頑張っていきます
なのに何故新しいの立てたしorz



・・・・・・・・・・

小町「じゃあ小町は先に行くから、お兄ちゃんもお姉ちゃんも遅れないようにね」


三浦「うん、いってらっしゃい」


八幡「ああ、気を付けてな」


何かいいことがあったのか、機嫌良く鼻歌を奏でながら小町は学校に向かっていった


八幡「なぁ、小町なんかあったのか?」


三浦「さぁ?まぁ、いいんじゃない」


お互いに頭の中に謎の小町の機嫌の良さに疑問を浮かべていたが、時間も時間なので


朝ご飯を食べ終えると学校に行く準備をし始めた



八幡「で、なんでいつもいつも自転車の後ろに乗るんですかね?」


三浦「えっ、その方が楽だから?」


八幡「いやいや三浦さんや、疑問系で返されても困るんだが…」


八幡(それに……気付いてないかもしれなが、かなりくっついてきてるから柔らかいのが毎回当たってるからね!?)


三浦「まぁ、いいじゃん。どうせ行くとこも一緒なんだし」


八幡「それはそうなんだけどな……」


八幡(三浦は幼馴染みの贔屓目に見ても、美人の部類に入るだろうし役得ではあるんだが)


八幡「こんなとこ学校の人間に見られて何か言われたらどうするんだよ」



三浦「それでも別にいいし、周りが何て言ってもあーしは気にしないから」


あーしは腕により強く力を込める。離れてやらないっていう意思表示だ


八幡はあーしのあの気持ちにはひどく鈍感だけど、こういった気持ちはすぐ分かってくれる


そういったことで何度もあーしは八幡に助けられてきた。それはまた別の話になるけど


八幡「お前が良くても俺は嫌なんだよ」ボソッ


三浦「八幡何か言った?」


八幡「別に何でもねぇよ」


三浦(本当は聞こえてたけど…そういうことにしといてあげるし)



三浦(そうやってあーしのこと守ろうとしてくれるところは昔から変わらない)


それがすごく嬉しくて、あーしには八幡が必要なんだなって思ってしまう


三浦「……ありがと」ボソッ


あーしはさっきの八幡のように、聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう呟いた


八幡「ん、何か言ったか?」


分かっている。八幡もさっきのがあーしに聞こえてるなんて分かっているんだ


三浦「なんでもないし」


八幡もきっと聞こえてるんだろう。でも、そういうことにしてくれる


お互いに素直じゃないけど、いつかは素直にあの気持ちを伝えたい


あーしは八幡にさらにすり寄って、八幡が苦しくない程度に抱きついてる力を強めた



今更ですが今回は地の文も入っていますので
苦手な方はすみません

最初にいったように今回はあんまり他のキャラ出てこないと思います

イチャイチャさせるだけならこんなにスラスラかけて驚愕です
まだそんなに甘くはないですが


投下していきます
相変わらず数が少なくて申し訳ないです

最初に設定が改変されてることを言わなくてすみませんでした


・・・・・・・・・・

学校に着いてからのあーしと八幡は、家にいるときや登校中とは違って、お互いに干渉しないようにしている


あーしとしては周りの目なんてどうでもいいし、むしろ八幡といられないほうが嫌だけど


八幡はそれを嫌がる


それがあーしのことを嫌いじゃなくて、ただあーしの評判を気にしてっていうことは知っている


小学校の時は教室でも会話することがあったけど、中学に上がってからは八幡の方から自然と避けるようになっていた


そのことについて八幡に問い詰めたことがある。なんで今までのようにあーしと話さないんだと


八幡『小学校の時は、まだ俺たちが幼馴染みってことを知ってる奴のが多かった』


八幡『でも、中学からその関係を知らない奴も出てくる。そんな俺たちを見て周りがどう思うか』



八幡『見た目もよくて、すぐに周りの中心になれるお前が、俺みたいな根暗ぼっちみたいなのに話してたら』


八幡『お前が俺といることをよく思わない奴だって出てくる。俺にくるのは別に構わない』


八幡『けどな…それでお前に何かあったり、言われたりするのが俺は嫌なんだよ…』


八幡『だから……俺の我が儘なんだけど、悪いな…優美子』


こんなことをあの八幡がすごい真剣な表情をして言ってきたのだ


腑に落ちないとこも確かにあったし、納得出来ないとこもあった


けど、あーしの為に八幡がそうしてくれた。それに甘えることになったなんて自分でも分かってる


分かってるけど、普段あーしのことを名前で呼ばないのに、この時はちゃんと名前呼んだ



八幡があーしの名前を呼ぶときは、つい呼んでしまったときと、本気であーしのことを考えてくれてるときだけ


三浦『うん……分かった。ありがとう…八幡』


あーしはその時、そうとしか答えることが出来ない


もの悲しげな表情を浮かべている八幡も、そう答えると柔らかく笑ってくれて、頭を撫でてくれる


八幡のそれはとても心地よくて、ついつい言うことを聞いてしまう


そんなことがあって中学から今までの間に、あーしは事務的なこと以外は殆ど学校内では話すことはない


酷く歪なことかもしれないけど、あーしと八幡にとったらこれが普通になっている


それに高校に入ってからは少しは話す時間も出来た


それは昼休み時間で、八幡曰くベストプレイスだ



八幡「だから…学校じゃあんまり話しかけるなって」


三浦「誰もこんなとこ来ないから大丈夫だし」


八幡「その自信は一体どこから来るんだよ…」


三浦「あーしがそう思ってるんだから別にいいし、それ以上言うと弁当没収するからね」


八幡のお弁当はあーしの手作りだ。お互いに両親が忙しかったから、気付けば自分達で食事を作るようになっていた


朝ご飯は専らあーしが作るようになっているので、ついでにお弁当も一緒に作っている


八幡「それは、困るんだが…」


三浦「ならグチグチ言わない。このやり取りも何回目だと思ってるし」




三浦(むしろ見られて離れていくなら、その程度の相手だったってことだし)


八幡「分かったよ。もうこれについては言わないようにするわ」


三浦「分かるならそれでいいし」


八幡はまた溜め息をつくと、黙々とお弁当を食べ進める


その姿を横目で見ながら、あーしも食べるのを再開する


三浦(あっ、今日の唐翌揚げは上手に出来てる)


感想なんて滅多に言ってくれないけど、こうやって黙々と食べているのは八幡的も美味しいと思っている証拠だ


それだけで頬が弛みそうになってくる


三浦(こんな時間がずっと続けばいいし)


なんて柄にもないことを思うあーしがいて、まったりとした昼休みが終わっていった


ひとまずここまでです
相変わらずの遅筆で申し訳ありません

なるべくペース上がるように頑張っていきます

海老名さんのはそこそこ書き溜めてから投下する予定です


少しずつですが更新しています
今回はオリキャラで三浦母が出てきます

三浦が母親のことをなんて呼んでいるのか分からなかったので、呼び方は適当です


・・・・・・・・・・

最後の授業のチャイムが鳴り、先生が教室から出ていくと、一気に教室が騒がしくなる


部活に行く人や、そのまま直ぐに帰る人、友達とこれからの予定を話す人など


それに今日で今週の授業は終わりで、明日から祝日も合わしたら三連休になる


だから、周りからは明日からどうするかなんて話が大半を占めている


あーしはそんなクラスメイトを横目に見ながら、教室から出ていった。あいつは直ぐに帰る組の一人だしね


出ていくときに何人かの友達に明日からのことで呼び止められたけど、家族で予定があるとその申し出を全て断った


実際は家族での予定なんてなかったけど、まぁ、家族みたいな付き合いの奴とは予定があるので、全てが嘘ってわけでもない


まぁ、そんなのは詭弁だなんて重々判ってはいるのだけれど



朝は一緒に自転車で二人乗りをして来たけど、下校の時はそういうことはしていない


登校する時も学校まで一緒に行ってるわけではなくて、途中で別々に行っている


そんなことなんて気にはしてないと何度も思うが、八幡が本当に頼んできたことをあーしが断れるわけない


でも、一人で歩きながら下校するのはやっぱり何だか物足りない


三浦(八幡からしたらその方が楽だとか言い出すんだろうけどね)


あーし自身は一人でいることはどちらかと云えば嫌いだ。小さい頃から八幡の後ばかり付いて回っていたくらいだ


今ではそんなにないけど、よくお互いの家に泊まったりしていたし


そんなこと考えたりしてると、いつの間にか家に着いていた



三浦「ただいま」


三浦(って言ってもいるわけない……)


三浦母「おかえり~」


三浦「母さん!?」


三浦母「何よ優美子そんなに驚いたりして、そんなにママがいるのが不思議?」


三浦「いや、だって何時もはこんな時間にいないし」


三浦母「そうなんだけどねぇ、なんかたまにはまとまった休みを取りなさいって上に言われてね。全く下の人間は苦労するわぁ……」


三浦「下の人間って母さん責任者くらいの立場じゃん…」



紛らわしいので三浦は優美子と表記します




三浦母「あら?そうだったかしら?」


優美子「はぁ……なんでこんなのが人の上に立ってるのか信じられないし」


普段はのほほんとしている母が、仕事場での立場はそれなりに高いということが未だに分からない


優美子「まぁ、いいんだけど。それよりもご飯は食べてきたの?」


三浦母「ううん、帰ったら何か作ろうと思ったから食べてきてないよ」


優美子「分かった。あーしが作ってあげるから母さんは休んでて」


顔を合わせることが殆どなく、酷いときは一週間会わなかったこともあるくらいだ


滅多にこんなことはないのだから、こういう時くらいは何かしてあげようと思う



三浦母「いいの?学校疲れてるんじゃない?」


優美子「はぁ…その台詞そっくりそのまま返すし」


学校なんてこの母親からしたら、今となっては児戯に等しいことなのかもしれない


そんなに母さんから仕事の話は聞きはしないい。というよりプライベートまで仕事のことなんて持ち出したくはないのだろう


でも、少し聞くだけでもその過酷さが子どものあーしにもひしひし伝わってくる


過酷だからといってブラック企業に勤めているわけではない


母の年齢からしたらかなりの収入を得ているのは確かだし、年中働き詰めというわけでもない


そんな母親をずっと見てきているのだ。親孝行するのはむしろ当たり前のことだと思う


ひとまずここまでです
今日はまた少しですが更新出来ると思います

海老名さんはもう少しお待ちいただけたら嬉しいです

亀更新で申し訳ありません



優美子「あっ、八幡に連絡しないと」


晩ご飯を家で食べることを伝えないと、八幡があーしの分まで作ってしまう


あーしは携帯を取り出して、八幡に電話をかける。3コールくらいしたあと、八幡のだらけた声が電話越しに聞こえてくる


八幡『もしもし…どした?』


優美子「あっ、八幡。今日あーしの分のご飯要らないから」


八幡『ん、友人とでも外で食うのか?』


優美子「違う違う。母さんが帰ってきてるからあーし自分の家で食べるってだけ」


八幡『へぇ、珍しいなこんな時間にいるなんて』


優美子「うん、まぁ、だからご飯くらいは作ってあげようかなって」


八幡『ああ、そうしとけ。じゃあ、今日はこっちにも来ないのか?』



優美子「多分行かないと思う」


八幡『了解。じゃあ、お前のお母さんにもよろしく言っておいてくれ』


優美子「分かった。明日はあーしそっち行くから」


八幡『はいよ。んじゃまたな』


そう言って八幡は電話を切る。携帯を耳元から離して、エプロンを着けて台所に立つと、母さんがニヤニヤしながらこちらを眺めていた


三浦母「今の八幡くん?」


優美子「分かってるならわざわざ訊いてこなくてなくていいし、あと八幡がよろしくだって」


三浦母「ふぅん…ねぇ、優美子。八幡くんは呼ばないのかしら?」



優美子「八幡は八幡でご飯作るから無理でしょ」


三浦母「そう?今日は家で食べたらいいじゃない。八幡くんと小町ちゃんも呼んで」


絶対にこの母親は面白がっている。さっきからニヤニヤした顔を崩してないし、あーしの反応を窺うように見てくる


三浦母「それに私も久しぶりに八幡くんとお話ししたいもの」


こうなった母親は梃子でも動かない。諦めたあーしはため息をつきながらポケットからまた携帯を取り出す


優美子「別にあーしはいいけど、八幡がいいって言わなかったらダメだからね」


言いながらさっきかけた番号に再び連絡する。またさっきと同じように3コール目で八幡が電話に出る


八幡『どした?またかけてきて。やっぱり晩飯いるのか?』


今日はここまでです
明日も出来たら更新していきたいとは思っています


すみません結局大分時間がかかってしまいました
なるべく早く更新出来たらいいんですが
なかなか時間が取れず申し訳ないです

投下していきます



優美子「違うし、なんか母さんが八幡と話したいとかいうから、小町も一緒に良かったら家で晩ご飯食べないかって」


八幡『ああ、なるほどな。おばさんらしいわ。まぁ、俺は良いけどちょっと小町に聞いてみるから、待ってろ』


携帯を何処かに置いて、八幡はその場から離れたのか何も聞こえなくなる。しばらく待っていると、電話越しにまた八幡の声が聞こえてきた


八幡『悪い待たせたな。小町はなんか友達と飯食う予定があるらしいからパスするみたいだ』


三浦「そうなんだ。じゃあ、八幡だけ来るってことでいい?」


八幡『それでいい。むしろ俺だけでもいいのか?』


三浦「まぁ、あの母さんのことだしいいでしょ。じゃあ、あんたの分も作るから準備出来たら家に来てね」


八幡『はいよ。また後でな』



電話を切ると、思わず顔がニヤけてしまっているのにあーしは気付いてなかったけど


三浦母「あら、優美子どうしたのそんな嬉しそうな顔して」


目ざといあの母親がそれを見逃すわけもなく、きっとあーし以上にニヤニヤした顔でこっちを見ていた


優美子「はぁ!?そんな顔してないし‼母さん変なこと言わないでよ‼」


三浦母「別に否定しなくてもいいじゃない。八幡くんが来てくれるのが嬉しいんでしょう?」


優美子「それは……まぁ、そうなんだけどさ」


実際にその通りだから、言い返すことが出来ない。あーしの単純っぷりは、八幡がたまに云うチョロインなんか比較にならないくらいちょろいと思う


三浦母「本当に優美子は八幡くんのこと好きよね」



優美子「……何?八幡のこと好きで悪いの?」


もうずっと前からバレてるし、今更、隠したところで意味なんかないから正直に答える


あまりにも素直に答えたからか、母さんは少しだけ驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った


三浦母「そんなことないわよ。むしろ、ママも八幡くんだったら大歓迎するわね」


三浦母「八幡くんじゃなくてもいいけど、その時は彼と同じかそれ以上じゃないとママは認めないから」


あーしの母さんは八幡に絶大な信頼を置いている。過去にあったとある出来事から救ってくれたのは八幡だからだ


それ以来、母さんは八幡に対して本当の子どものように可愛いがるようになった


八幡の親は今と変わらず多忙だったから、母さんも今より忙しくなる前はよく八幡を呼んで、あーしも一緒にどこかに出掛けたり、今日のようにご飯を食べたりしていた



優美子「あーしには恋愛の自由もないのね」


三浦母「そんなことないわよ。さっきも言ったけど彼みたいな人なら大丈夫。ただ、優美子が八幡くん以外にそんな気持ちになる方が難しいと思うけど?」


優美子「うっ……まぁ、八幡みたいなクセの強いのとずっといたから他の男が薄く見えるのはそうなんだけど…」


別に男友達がいないわけじゃないけど、ただ八幡のようにちゃんと中身見ようとしてくれないし


結局はあーしの容姿だけで近づいてきた男が、今まででそれなりの数はいたし、そんなもんなのかと八幡じゃないけど察するようにはなった


三浦母「ふふ、なんだか嬉しいわ。娘がちゃんと恋愛してるんだなって感じると、なかなか話す機会なんてないからねこういう時に聞いとかないと」


優美子「あーしもあんまり…てかこんな話することないし」


三浦母「あら?友達とこういったお話はしないの?」



優美子「しないわけじゃないけど、あーしは自分のことは話さないから…」


三浦母「……そう…八幡くんも相変わらずね」


これだけでなんとなく母さんは分かったんだろう。八幡がどんな風に学校で過ごしているのか


三浦母「優美子はそれでいいの?」


優美子「いいなんて思ってないし。八幡がそんな風になってるなんて嫌だし…でも…」


八幡『ごめんな優美子』


優美子「八幡がお願いしてきたことを…あーしが無下に出来るわけないし」


三浦母「…優美子も相変わらずね。本当に私なんかより彼の言うことばかり聞くんだから。親としたら少し複雑だわ」


いつものように投下少なくて申し訳ないです

三浦母が八幡に対して信頼を置いてる出来事に関しては、また追々出そうとは思っています


大分時間が空いてすみません
相変わらず遅筆で亀ですがそれでも大丈夫だと思って頂けたら嬉しいです

投下していきます



優美子「そんなことなくない?あーしはそんな反抗なんてしてないし」


三浦母「あら?昔は結構些細なことで拗ねたりしてたわよ。そんなあなたが一発で黙る言葉があったけど」


優美子「…なんだし?」


三浦母「言うこと聞かないならお引っ越しするわよって、そしたら優美子大泣きしてねぇ。その度に八幡くん呼んでたわ」


優美子「はぁ!?そんなことなかったし‼…そりゃ、引っ越しは嫌だったけど、泣いてなんか…」


三浦母「それからは全然反抗なんてなかったわね。そんな簡単に引っ越すなんて出来ないのに、優美子も小さかったから真に受けたんでしょうね」


三浦母「ことあるごとに『お引っ越ししない?八幡と離ればなれにならない?』って泣きそうな顔で言ってきたわ」


優美子「そんなにあーしって単純だったの……自分でもびっくりだし」



三浦母「そこまで信用されてる彼に嫉妬しないわけじゃなかったけど、むしろ安心したわ」


三浦母「彼がいるなら優美子は大丈夫なんだってね」


優美子「……そう」


そんな話を母さんとして、あーしは料理を作りながら八幡が来るのを待った


・・・・・・・・・・


料理を作り終え、使ったものを片付けていると家のインターホンが鳴った


その音に反応して、母さんは誰が来たのかも確認しないで玄関に向かう


まぁ、誰が来たのか分かっていたからそんなことをしたんだろうけど、怪しいセールスとかだったら困るから少しは用心してほしい


優美子(まぁ、母さんにそんな心配しても無駄なんだけど)



三浦母「久しぶりねぇ八幡くん♪」


八幡「そ、そうですね。お久しぶりです…」


やたらとテンションが高い母と、それに着いていけないのか少し戸惑いながら受け答えをする八幡がリビングに戻ってくる


優美子「八幡さっきぶり」


八幡「おう。悪いないつもは俺が作るのに」


優美子「別にいいし、二人分から三人分くらいならあんまり変わらないから。それにちょうど出来たとこだからさっさと座れし」


テーブルの上にはいかにも家庭料理と云われるものばかり並べている。少し豪華にしようとしたら母さんのリクエストで"家庭的な料理"を推された


優美子(仕事でそんなものは食べ飽きてるのかもね)



三浦母「優美子の手料理なんて久しぶりだから楽しみだわ♪」


優美子「はぁ…母さんもさっきからテンション高過ぎ。冷める前に早く食べるよ」


このままじゃいつまで経っても食事が始まらないので、あーしが適当に座って。八幡が自然とその横に座る


母さんはなんだが良いものを見たって顔をしながら、あーしの前に座る。なんとなく想像はつくんだけど、面倒だから無視しよう


三人「「「いただきます」」」


・・・・・・・・・・


食事中はそんなに会話することがなかった……というか、母さんが美味しい美味しいといいながら大皿にあった料理をすごい勢いで食べていったからだ


正直、その姿にあーしも八幡も若干引きながら、ちまちま食べていたらいつの間にかほとんどが母さんの胃袋に吸い込まれていった


昔からよく食べるのに全く太らないのには、同じ女として少し不満に思うけど、あーしの料理を美味しそうに食べてくれる姿は素直に嬉しい



三浦母「あぁ、お腹いっぱい♪優美子の料理美味しいわ。八幡くんが羨ましい」


優美子「はいはい、ありがとう。ほら、片付けるからお皿貸して」


三浦母「はーい、私も手伝おうか?」


優美子「だから、母さんはゆっくりしてって言ってるし、適当にテレビでも観てて」


三浦母「むぅ、家事くらい別に大丈夫なのに…八幡くんからも何か言ってよ」


八幡「はぁ…いいんじゃないですか、こんなときくらい任せて楽にしても」


三浦母「とかいいながら八幡くんはちゃっかり優美子の手伝いしてるのに?」


八幡「本来は俺が作るはずでしたからね。まぁ、これくらいはしないと」



三浦母「もういいもん。お風呂沸かしてくるから」


そう言って母さんは浴室に向かっていった。怒っている雰囲気出しながらだったけど、顔は笑っていたからそんなことはないんだろう


優美子(全く……そんなとこは子どもなんだから)


八幡「変わらないなお前の母さん」


優美子「そうだね。むしろもう少し落ち着いてほしいって思うくらいだし、八幡もあのテンションついてくの大変じゃない?」


八幡「それは…ないこともないが、俺も色々とよくしてもらったからな。だから少しくらいなら大丈夫だ」


優美子「ならいいんだけど、疲れたなら疲れたって言わないとダメだからね」


八幡「分かってるよ。それでお互いにあちこち連れ回されたしな……」



優美子「でも楽しかったでしょ?」


八幡「……そうだな。小町産まれてからは俺の親より可愛がってくれてた気はするわ」


優美子「男の子の子どももほしいみたいなこと昔言ってたし、それもあるんじゃない」


八幡「なるほどな」


食器を二人で洗いながら他愛ない話をする。こんなありきたりなことだけどあーしの心は暖かくなっていく


八幡にとったらこれは本当にありきたりなことで普通なことなんだと思う。でも、それはそれで構わない


八幡「どうかしたのか機嫌良さそうだが?」


優美子「ん?なんでもないし」


この光景が普通になっているなら、あーしからしたら充分に特別なことだから


今回はここまでです
あまりプライベートを引き合いに出したくはないのですが
なかなか時間が上手くとれなくて
更新が滞ってしまって申し訳ないです

頑張っていきますのでよろしくお願いいたします


また大分遅くなりました申し訳ありません
投下していきます


最近リアルが落ち着き出しましたので
投下ペースも上がると思います

海老名さんのほうもそろそろ投下出来ますので
もうしばらくお待ちいただけたら嬉しいです

相変わらずのお泊まりネタになってしまいました
ありきたりですみません…


・・・・・・・・・・

片付けも終わってあーしと八幡、それに母さんを加わって適当にテレビを観ながらダラダラしている


三浦母「そうだ今日は八幡くんどうするの?」


八幡「?どうって…どういうことっすか?」


三浦母「いやぁ、もう少ししたから帰るのかなって」


八幡「まぁ、あんまり遅くならいうちには帰るつもりですけど…」


三浦母「えぇ、前みたいに泊まっていってもいいのに」


優美子「ちょっと‼母さん何言ってるし!?」


三浦母「昔はよくお互いに泊まってたんだからいいじゃない」



優美子「それは……でも、昔みたいに小さい子どもってわけじゃないんだから」


八幡「あぁ…確かにな。それに小町も一人に…ってちょっと悪い」


会話の途中で八幡の携帯が鳴る。八幡の携帯にかかってくるのはあーしか小町、それに八幡の両親くらいなので多分この時間なら小町だろう


八幡「小町か、どうかしたか?」


小町『あっ、お兄ちゃん。小町今日は友達のとこに泊まるから』


八幡「はぁ…そうか、じゃあ、俺は家で一ひと」


小町『…何言ってるのかなこのごみぃちゃんは、折角、優美子お姉ちゃんのお母さんにお呼ばれしたんだからお兄ちゃんもそっちに泊まったらいいじゃん』


八幡「はぁ!?でもな、それはさすがに…」



小町『優美子お姉ちゃんのお母さんだっているんだし、たまにはゆっくり優美子お姉ちゃんとも話したらいいじゃん』


小町『学校じゃほとんど話すことないんでしょ…小町のためにと思ってさ』


八幡「はぁ…分かったよ。でもあいつが全力で嫌だって言ったら無理だからな」


小町『うん、分かってるよ。優美子お姉ちゃんに関してそれはないと思うけどね』


八幡「そうかよ。じゃあ、お前もあんまり迷惑かけんなよ」


小町『はいは~い、お兄ちゃんも迷惑かけちゃダメだよ』


小町からの電話はそこで終わり、いいと云うなら俺もこっちに泊まると伝えると


三浦母「本当‼いやぁ、久しぶりに八幡くんとゆっくり話せるの嬉しいわ♪」



優美子「ちょっと!?なんで勝手に母さんが」


八幡「さすがにこいつが嫌なら俺は帰るつもりですけど…」


優美子「嫌とかじゃないけど…でもほら……」


三浦母「優美子も嫌じゃないならいいじゃない。2対1で八幡くんのお泊まり決定ね」


優美子「はぁ…分かったし。八幡もそれでいい?」


八幡「ああ…こうなったら流れに身を任せるのが一番楽だからな…」


優美子「こういう時の母さんは全然動こうとしないしね」


三浦母「何よ、それじゃあ私が頑固な女って感じじゃない」



優美子「実際に充分頑固だし、まぁ、いいけどさ。それでお風呂どうするの?」


三浦母「じゃあ、先に私入るね。八幡くんもうちでいい?」


八幡「いや、そこまでは。着替えとかも必要ですし、一度家には帰りますよ」


三浦母「別に気にしないでいいのに。それじゃあ、また後でね♪」


そういって母さんは自分の部屋に向かっていった


優美子「はぁ…ごめんね八幡。母さんがいつも強引で」


八幡「別にいい、慣れてるしな。じゃあ、俺は一回帰るけど本当にいいのか?」


優美子「あーしは…その構わないし、それと戻ってこないと母さんがそっちに押しかけるかもしれないから、ちゃんと戻ってくるし」


八幡「ああ、分かってる。また後でな」


・・・・・・・・・・

家に帰り風呂に入って、着替えとその他色々と必要なものを持ってきて、また三浦家に戻る


三浦母「あっ、八幡くんお帰り」


八幡「すみませんお邪魔します…あれあいつは?」


三浦母「優美子はついさっきお風呂に入ったわよ。優美子は長いから一時間くらい入ってるんじゃないかな」


八幡「そうですか…」


三浦母「ねぇ、それより八幡くんお話しましょうよ」


八幡「いいですけど……そんなに面白い話は出来ませんよ」


三浦母「いいのいいの。些細なことでも、学校でのことでも何でもいいからね」



三浦母「あっ、でも一番聞きたいのはあれかな。八幡くんは優美子のこと大事?」


今までとは違って真剣な表情で俺に問いかけてくる。自然と俺もその雰囲気に飲まれて、居住まいを正す


三浦母「そんなに畏まらなくてもいいのよ。ただ君が思ってること言ってくれればいいだけだから」


八幡「そうですか…そりゃあ、あいつの…優美子のことは大事ですよ」


八幡(あいつの親の前で一体何言ってんだ俺?どんな羞恥プレイだよ)


三浦母「そう…なら良かった。あの娘ああ見えて寂しがりやだから。君がいてくれると私も安心するわ」


八幡「買い被り過ぎですよ。俺はただのぼっちなんで、学校じゃほとんど何も…」


三浦母「でも、それは優美子のためなんでしょう?」



八幡「……なんで分かるんですかね」


三浦母「分かるわよ。だってあなたはずっとそうだったから」


三浦母「私はそんな風にしてる君を否定するつもりもないし、いいえ…むしろ否定することなんて出来ないの」


八幡「どうしてですか?そんなことないと思いますけど」


三浦母「だってあなたがそうしてくれたお陰で優美子は救われたから。あなたには辛い思いをさせてしまったのに……」


俯いて顔を悲壮の色に染めながらそう彼女は口にした


八幡「あれは俺が勝手にしたことです。だから気にしないで下さい」


八幡「それに…俺は昔から優美子が泣きそうになったり泣いてる顔を見たくないだけなんです」



八幡「だから俺の都合でしたとも云えますから…」


三浦母「ありがとう。やっぱり君以外に優美子は任せられないみたい」


三浦母「ねぇ、八幡くんは優美子のことどう思ってるの?」


八幡「……ここまで言ったんですから分かると思いますし、それにかなり恥ずかしいんですが」


三浦母「いいじゃない。まだ優美子は出てこないし、それにちゃんと君の口から聞きたいの」


八幡(はぁ…分かってはいたが、やっぱりこの人には勝てないわ)


八幡「俺は優美子のことが…好きですよ」


八幡「…あいつが泣くようなことがあれば、俺は全力で優美子を守りたい。そう思うくらい俺は優美子が好きです」


今回はここまでです

相変わらずの誰だこれ感は目をつぶっていただけるとありがたいです


今回は早く出来ました
投下していきます



三浦母「ありがとう。あなたになら優美子を任せられる。あの娘、色々と難しいとこもあるけど、これからもよろしくね」


八幡「そのつもりですよ。あいつが俺に愛想尽かさない限りはですけど」


三浦母(そんなこと絶対にないけれどね。優美子は君以上に君のことが好きだもの)


三浦母「私とこんな話ししたことは優美子には内緒ね」


八幡「分かってますよ。ていうかこんなの優美子に知れたら恥ずかしさで穴に埋まります」


三浦母「そう?私はとても素敵なことだと思うけどなぁ」


八幡「それとこれとは別です。恥ずかしいものは恥ずかしいですから…」



三浦母「ふふ、それもそうね」


三浦母「じゃあ、改めて優美子のことお願いね八幡くん」


八幡「俺に出来る範囲しか無理ですけど、頑張りますよ」


三浦母(そんなこと言いながら結局はあの娘を助けることになったら必死になるの知ってるのよ)


その後、優美子がお風呂から出てくるまでは、普段の出来事や学校でのことなんか聞いていた


しばらくしてお風呂から上がった優美子が、八幡くんにどんな話しをしていたか問い質して


八幡くんはあの話のことは一切触れないようにして、他愛ない部分だけ話していたことを説明している


そんな些細だけれど暖かな家族というものを感じながら、自然と私の頬が緩み始めた



・・・・・・・・・・


八幡に母さんと何を話したのか訊いたあと、三人でTVを視たり、適当にゲームをしたりしてるといい時間になってきた


母さんは仕事の疲れもあるのか途中で抜けたけど、寝る間際になかなかの爆弾を落としていった


三浦母『あ、八幡くんは優美子の部屋ね。これは家主からのお願いなので拒否権はありません。それじゃあおやすみ~♪』


反論する暇なんて与えず母さんは自分の寝室に入っていった……













八幡「で、なんでこんなことになってるんですかねぇ」


優美子「そんなの母さんに訊くし。訊くだけ無駄だろうと思うけど」


優美子(あーしからしたら全然いいんだけどね母さんありがと)


八幡「はぁ…まぁ、昔みたいにしたいとか言ってたしな。これも含めてそうなんだろうけど…」



優美子「そうなんじゃない?八幡泊まるときはいつもあーしの部屋だったし」


八幡「全く…小さい時ならまだしも二人とも高校生なんだから勘弁してほしい…家主の言うことだから聞くしかないけどよ」


優美子「はいはい、いつまでもうじうじ言わないし。じゃあ、電気消すよ」


八幡は敷いた布団に、あーしは自分のベッドに横になる。小さな時にはそれなりにあった光景だ


この年齢になってこんなことになるなんて思ってなかったけど、懐かしいこの感じに笑みが溢れる


八幡「…どうかしたか?」


その問いかけに上に向けていた身体を八幡の方に翻す。そこにはあーしに背を向けてなっている八幡がいる


優美子「ん、何だか小さい頃に戻った感じがして懐かしいなぁって」



八幡「そうだな…そして何故かお前はいつも俺の布団に…っておい!?」


優美子「これで前と一緒だし…」


そう…よくあーしは小さな頃はよく寝ている八幡の布団に潜り込んでいた


八幡「おい!?…何やって!?」


優美子「いいじゃん…こういう機会ないと…普段は別なんだから」


八幡「……っ‼今回だけだからな…」


優美子「うん、ありがと八幡」


背中から感じる八幡の温かさが、懐かしくて何だか泣きそうになってくる。泣いたら八幡に迷惑かかっちゃうから泣かないけど



優美子(色々と変わったけど、ここは変わらない)


体型はお互いに成長しているから八幡の背中の大きさとか、感触はもちろん変わっているけど


優美子(…やっぱり安心するし)


時が経っても変わらないものを感じながら、その中で変わっていく…いや、どんどんと大きくなっている感情が疼く


優美子(もし…八幡が違ったら?もし…受け入れられなかったら)


不安は絶えない…でも変わらないこの温もりを感じたくて、あーしはこの関係から変わりたいと


怖いけれど…それ以上にあーしは伝えたいと思った


そう頭が考えたら、心はやっと望んだのかと、その想いが一気に溢れ出す



優美子「…八幡」


八幡「どうした?」


優美子「あーしね…八幡のこと好きだよ」


優美子「もちろん幼馴染みとしてじゃなくて異性として好きだから」


あーしが口から出したのは八幡への気持ちだった。さっきまで色々と考えていたのに、それは何の抵抗もなく自然と流れた


優美子「八幡はあーしのこと好き?」


八幡はしばらく無言のままでいたけど、あーしの問いに答えてくれる


八幡「……ああ、俺もみう……優美子のことが好きだ」


八幡「俺も…優美子のこと、ちゃんと一人の女の子として好きだ」



八幡から告げられたあーしへの想い。あーしから告げた八幡への想い


優美子「あーし、こういうのはもっとそういう雰囲気でするんだと思ってたし」


優美子「でも、何でか分からないけど。今日のこの瞬間なら上手くいく気がしたんだ」


八幡「そうか。優美子がそういうならそうなんだろうな」


あーしの方に振り向いて、八幡は微笑みを浮かべている。月明かりに照らされている八幡の顔は儚げでキレイだと思った


優美子「今日から八幡はあーしの彼氏?」


八幡「ああ、俺は優美子の彼氏だな。そして優美子は…」


優美子「あーしは八幡の彼女なんだね」



優美子「……ねぇ、八幡…あーしの名前呼んで?」


八幡「……優美子」


優美子「もっと呼んで」


八幡「…優美子」


優美子「もっともっと…いっぱい呼んで」


八幡「優美子。俺の大好きな優美子」


自然とあーしと八幡の顔が近付く。吐息がかかる距離になって、お互いに少し止まったけど、すぐにまた近付いて…


そっとあーしと八幡の唇が繋がる。触れるだけの優しい口付け



恥ずかしいとか、そんなことは全くなくて。今この時にこうするのが二人とも分かっていたように自然と引かれ合った


しばらくしてあーしと八幡は離れる。少し間が空いてお互いに笑うと、あーしの顔に八幡の手が添えられる


添えられた手にあーしは自分の手を重ねる。それを合図にあーしと八幡はまた口付ける


ファーストキスは触れるだけの拙いキスだったけど、セカンドキスはお互いに感触を確かめるように啄んでいた


優美子(柔らかくて、温かくて、気持ちいい…)


微かに聞こえる唇から漏れる音や吐息が、あーしの気持ちをより高鳴らせる


優美子(八幡…大好き)


そんな気持ちを込めながらあーしは八幡の唇に自分の唇を押し付ける



それに応えてくれたのか、八幡も自分の唇を少しだけ強く押し付けてくる


そうしてくれたのが嬉しくて、あーしは添えられていた手をギュッと握る


どのくらいそうしていたんだろう。時間にしたら一分も経ってないと思うけど、ありきたりな表現をするなら永遠だと感じた時間も終わる


優美子「……キス…しちゃったね」


八幡「そうだな…優美子は嫌だったか?」


優美子「ううん、そんなことないし。むしろすごく嬉しい」


優美子「……八幡…これからもいっぱいいっぱいあーしの傍にいて?」


八幡はゆっくりとあーしの身体を抱きしめると、耳元でそっと囁いた



八幡「ああ、ずっと傍にいる。俺と一緒にいてほしい」


囁かれた言葉と吐息に思わずぞくりとしてしまう。甘い甘いそれはあーしの頭を痺れさせる


優美子「…あーしでいいの?」


八幡「ああ、優美子だからいいんだ」


優美子「あーしも八幡だから…八幡じゃないとやだから」


優美子「やっと…やっと届いたし。大好き八幡。大好き」


何度も口にしても溢れ出てくる想いに任せて、もう一度八幡の唇に自分の唇を重ねる


唇から身体から伝わる八幡の暖かさは変わらないけど、あーしたちの関係は幼馴染みから恋人に変わった


一先ずここまでです
書いて見直してたら安定の誰だこれに

イチャイチャ難しいですね


師走なんてなくなればいいのに…
仕事が一段落したらまた投下していきます

年明けまでには更新していきたいと思いますので
申し訳ないです


明後日あたり仕事が休みなので
投下していきます
何度も遅くなってしまい申し訳ないです
海老名さん側も投下します



・・・・・・・・・・

カーテンから射し込む朝日の明るさでゆっくりと目を覚ます


ぼやける視界の中に真っ先に入る八幡の顔に思わず顔が綻び、手に感じる温もりが何処かこそばゆい


優美子(ああ、恋人になったんだ)


八幡と朝を一緒に迎えるのはこれが初めてじゃないけど、今までとは違うものを感じる


それが嬉しくて、幸せで、つい握っている手に力をいれてしまって。それに反応したのか八幡も目を覚ます


八幡「……はょ…」


優美子「おはよ。ごめん、起こしちゃったし」


八幡「…別にいぃ…」



優美子「まだ寝とく?」


八幡「ん…起きるけど、もう少しこのままで」


八幡はそう言うとあーしを引き寄せる。さっきよりも密着する身体に心臓が高鳴ってしまう


優美子「は、八幡…その…」


八幡「ん…嫌だったか?」


優美子「そんなわけないし‼…でもちょっと恥ずかしいし…」


昨日の夜はキスをしてるのに一体何を言ってるんだって感じだけど、やっぱりそういった雰囲気というのあるのか、何だか無性に恥ずかしい


優美子「てか、八幡がこんな大胆なんて思わなかったし…」



八幡「学校とかじゃ…ほら周りの目があって、そんなにいられないからな」


八幡「やっぱり俺がこういったことするの変か?」


優美子「別に変ってわけじゃないけど…何だか違和感があって。でも…嫌ってわけじゃないし」


優美子「あーしも…その八幡と一緒な気持ちだから」


優美子「だから…もっとぎゅってしてほしいし」


八幡「ああ、分かったよ」


八幡はさっきよりも少し力を入れて抱きしめてくれる。それだけのことであーしの心は満たされる


今のあーしは世界で一番幸せなんじゃないかって思ってしまうくらいだ



しばらくそうやってたけど、そろそろ起きるかってなって八幡が身体を起こす


あーしからしたらもう少しそうしていたかったので、八幡の手を握っているままだ


八幡「優美子起きないのか?」


優美子「起きるけど…その……してほしい」


八幡「?何をしてほしいって?」


優美子「だから‼……キスしてほしいって言ったし…」


八幡「えっ!?…いや、昨日の夜あれだけ…」


優美子「うぅ…だってしたくなったんだから仕方ないし。それに…八幡と一緒なんだって思えるから…」



自分がすごい恥ずかしいことを言っているのは分かっている


分かっているけど…どうしても止められない。ずっと想い続けてやっとそれが叶った


チラッと八幡を見ると、顔を真っ赤に染めているのが見えて恥ずかしいのは自分だけじゃないんだと思えた


八幡「……その…なんだ。俺もしたいけど、なんだかそうすると…それだけのためみたいだと思っちまって。そんなつもりは勿論ないけどな」


優美子「八幡がそういうの気にするくらい分かってるし、でも…八幡が思ってるよりあーしは八幡が好きだから」


優美子「うぅ、朝からすごい恥ずかしいし…」


八幡「はぁ…分かったよ」


そう言うと八幡はあーしの唇に自分のを重ねてくれた。柔らかくて優しくて嬉しくなる


お久しぶりです
新入社員が入ってきたりしてバタバタしてたので更新が滞ってしまいました
少しずつ書き溜めはしてるので
いつもいつも申し訳ないです


更新が大変滞ってしまって
本当に申し訳ないです
GWにも休みなく
しかもGW明けには入ってきた新入社員も辞めていき
やっとのことで仕事が落ち着きました
来週には会社から遅いGWをいただきましたので必ず更新します
少しずつ書き溜めもしていますので
もうしばらく待っていただけると幸いです
見てくれている方がいるか分かりませんが、必ず完結はさせますので
よろしくお願いいたします

八幡厨テンプレ

Q.八幡厨って何?

A.八幡に自己投影して(八幡=自分)を神としている人達の事。葉山アンチ、渋のキッズ(精神年齢的な意味でキッズ)とも呼ばれる。
 主な生息地は渋で大量発生しよくSS速報にも来て暴れだす困った人達。
 渋とはピクシブの事。

Q.この人達毎回話題になるけど何をしたの?

A.NTRや葉雪要素がある作品にて作者へ[ピーーー]などの暴言
 八幡age他のキャラsageが大好きで葉山が出てない作品や葉山が出てるだけで過度の葉山叩きコメント
 コピペ連投荒らしをしてスレを落とす(禁止行為)
 勝手に作品を乗っ取り自分の妄言を垂れ流す(禁止行為)


Q.自分も葉山嫌いなんだけど…

A.好き嫌いは人それぞれなので嫌いでおk。過度の叩きや荒らしをしなけりゃ問題無いよ。


Q.ここは葉山信者が多いって聞いたけど?

A.勝手に八幡厨が決めつけてるだけ。
 八幡厨は自分達が嫌われてる自覚が無く自分達が叩かれると叩いてくる人達全員が敵で葉山信者に見える病気なのでスルーが安定。
 むしろ葉山信者が多いなら何故ここに来るのだろうか?


Q.他のスレ、例えば原作の本スレとかでの反応はどうなの?

A.嫌われてます。八幡厨だけではなく他のキャラのアンチ、厨でさえスレが荒れやすくなるので嫌われてる。
 

Q.最近よく聞く量産型アンチ作品って何?

A.修学旅行の告白から八幡と陽乃が協力して雪乃結衣葉山グループを潰して(八幡=自分)を神にする作品の事。
 八幡厨の大好物。とりあえず葉山を叩けば彼らの精神は安定する。
 量産型アンチ作品の見分け方としては出だしが
 結衣「人の気持ち、もっと考えてよ……」
 雪乃「あなたのやり方嫌いだわ…」
 この場合は量産型アンチ作品の可能性が高い。
 ピクシブにてこの作品を投稿すると無名の書き手でもブクマ50とか入る為、大量に増えた。
 八幡厨以外の読者達にはほとんど飽きられている。
 ちなみにブクマ数=作品のおもしろさではないので注意。
 元ネタは量産型いろはから。


Q.八幡厨の見分け方とかってあるの?

A.八幡厨のキーワード「屑山」「制裁」の言葉を好んでよく使う。
 後は葉雪とか言ってると簡単に釣れ暴れまわる。(煽り目的で言うと荒れやすく他のスレ住民が迷惑するので注意。)


Q.NTR要素や葉雪要素がある作品を書きたいんだけど…、または書いたら葉雪はありえないとか暴言言われたんだけど…

A.二次創作なんだから好きに書け。
 実際ありえない内容の量産型アンチ作品があるのだからどんどん書くべし。
 ただ、煽り目的で書くと荒れる要素になるのでそこだけは注意。
 暴言は渋なら通報安定。ここならスルー安定。
 ここでのコピペ連投、乗っ取りは通報対象なのでしっかり通報する事。



ゆっくりと唇を離すとさっきよりも顔を真っ赤にしている八幡がいて


普段は澄ましていることが多いからこんな八幡は珍しくて何だか可愛く思えた


八幡「もういいだろ…ほら起きるぞ」


優美子「まだあーしは満足してないし」


八幡「はぁ…また今度な」


優美子「あっ、今の聞こえたかんね。後で取り消すとかなしだから」


八幡「はいはい分かったよ。お前も早く降りてこいよ」


そんなことを言いながらテキパキと八幡は布団を片付けると、あーしの部屋から出ていく



優美子(八幡と恋人になったんだ)


ずっとそうなりたいと思っていた


それが叶った昨日の夜。実はそれは夢で朝起きたら隣に八幡はいないかもしれないと


でも、そんな心配は杞憂に終わって、目を覚ますとそこには八幡がいてくれた


優美子(っと、このままじゃずっと考えてしまうし)


軽く髪だけ直すために鏡を取って自分の顔を写す


優美子(あーしも八幡のこと言えないし…)


鏡に写った自分の顔は八幡と同じように真っ赤に染まっていた



・・・・・・・・・・


三浦母「あっ、優美子おはよう」


優美子「うん、おはよう。母さん早いねいつもはもっと寝てるのに」


三浦母「それは八幡くんだっているんだもの少しでもお話したいじゃない」


八幡「昨日結構したと思うですけどね」


三浦母「久しぶりな会ったのにあれだけで私が足りると思う?」


優美子「八幡…諦めろし。こうなった母さんは止めれないから」


優美子「それで朝ご飯はまだだよね?」


三浦母「ええ、そうよ。私もさっき起きたばかりだから」



優美子「分かった。じゃあ、ぱぱっと作るからちょっと待ってて」


八幡「俺も手伝おうか?」


優美子「八幡は母さんの相手してて」


八幡「ん、了解」


冷蔵庫から朝食に必要な食材を取り出して、調理を進めていく


リビングからは母さんの楽しげな声と、八幡が苦笑しているような声が聞こえてくる


どこにでもある朝の日常の風景だけど、それだけであーしの顔からは笑みが零れる


昨日八幡との関係は変わったけど、あーしはこの風景は変わってほしくないと思った



・・・・・・・・・・


三浦母「いやぁ、久しぶりに朝一緒に優美子と食べれるわ」


八幡「休日も一緒じゃないんですか?」


三浦母「最近はそうなのよね。そもそも帰ってきてもすぐに出てったりするし、本当に社会人って嫌だわぁ」


八幡「そんなん聞くとますます働きたくなくなるんすけど」


三浦母「んーでも優美子なら何とかしてくれそうじゃない?」


ニヤニヤしながらそう言ってくるこの人にはもう分かっているんだろう


八幡「はぁ…腹の探りあいはやめましょうよ。多分、言わんとしてること薄々分かりましたから」


三浦母「ああ、やっぱり八幡くんにはバレるか。優美子だったらもっとあたふたするのに」



三浦母「それで昨日の夜は"昔と一緒"だったんだよね?」


八幡「隠しても無駄なんでしょうね。そうですよ」


三浦母「やっぱりね。ふふ、あんなになって今の優美子が我慢出来るはずないもの」


八幡「何も言わないんすか?俺ですよ」


三浦母「昨日言ったじゃない。君か君くらいの子じゃないとダメだって」


三浦母「君にならあの娘を任せられるから。よろしくね」


八幡「こんなあっさり肯定されると何て言おうか悩んでたことが馬鹿らしいですよ」


三浦母「ふふ、親の贔屓目から見ても優美子は可愛いから。羨ましがられるでしょうね」



八幡「あいつが可愛いのは重々分かってますよ。それに俺にそんなこと話すような相手はいません」


三浦母「君も相変わらずね。それが私は気に入ってるとこでもあるけど」


三浦母「それと…良かったわね優美子。可愛いだって」


それを聞いて後ろを振り返ると、顔を真っ赤に染めて作り終えた朝ご飯を持った優美子がいた


優美子「は、八幡‼母さんといったいどんな話ししてたし!?」


八幡「い、いや…それはなんだ…あれだあれ」


優美子「あれじゃ全く分からないし‼」


三浦母「こらこら優美子。八幡くんは悪くないわよ。それと良かったわね八幡くんと恋人になれて」



優美子は朝ご飯を乱雑にテーブルに置きながら答える


優美子「そうだし、八幡とあーしは恋人だし…ってなんで母さんにバレてるの八幡!?」


八幡「…ああ、なんだ…もう分かってたみたいだ。ちなみに俺から言ったわけでもないからな」


優美子「はぁ…もっとちゃんと言いたかったし…」


三浦母「そうなの?なら待ってても良かったかもね。でも、今は朝ご飯食べましょう」


八幡「そうですね。ほら優美子もそんなにしょげるなって」


優美子「この母親なら仕方ないか、八幡にも苦労かけたし」


三浦母「なんか二人とも私をエスパーか何かだと思ってない?まぁ、いいわ。いただきます」


大変待たせたのにこれだけで申し訳ないです

言い訳にしか聞こえないでしょうが
スマホが壊れて中になるデータを取り出せず書き溜めが全て消えるという最悪の事態が起き…

ついでに思いついていた川崎SSも折本SSもオリジナルも全部なくなって絶望しました

ストーリーは頭になんとか入ってるので、出来るだけ早く更新出来るようにします

プライベートや仕事も最近は落ち着き時間が取れるようになりましたので

なるべく早く完結出来るよう頑張っていきます



あと、2・3日で消えてしまったとこくらいまでは復元出来るので
大変待たせてしまって申し訳ないです
これが終わったらサキサキを投稿していきたいと思ってます



・・・・・・・・・・


今日は八幡とゆっくりするつもりだったのに、今は千葉の駅前を二人で歩いている


朝ごはんを食べ終えて、洗い物も終わり。八幡とリビングでTVを観てると自室に戻っていた母さんが来て


三浦母『折角恋人になったのにデートくらい行ってきなさい』


有無を言わさずあーし達を外に出した。もちろん服とかはちゃんとしてだけど


優美子「八幡ごめん。毎度母さんの思い付きに巻き込んで」


八幡「別にいいぞ。もう慣れたし」


優美子「はぁ…家でゆっくりするつもりだったのに」


八幡「まぁ、仕方ない。適当にブラブラするか」



先に歩き出した八幡を追いかける。どこか気だるそうにしてはいたけど、いつもよりは楽しそうにしてくれているみたいなので安心した


優美子(恋人なんだし…いいよね)


ぶらぶらと揺れている八幡の右手を自分の手で掴む


八幡「おいっ、何して」


優美子「恋人なんだしこれくらいしないとダメだし。…嫌なら離すけど」


八幡「別に嫌じゃないが…まぁ、いいか」


そう言ってそっぽを向く八幡の顔は少しだけ赤くなっていって、普段は見れない八幡が見れて嬉しくなる


優美子「ねぇ、八幡」



八幡「ん、どうかしたか?」


優美子「こうやって二人で何処かに行くなんて久しぶりじゃない?」


八幡「…そうだな。大体はお前のお母さんもいたし、小町も一緒だったしな」


優美子「本当はこうやって二人で一緒に歩けたらなって…ずっと前から思ってたし」


八幡「それは…悪かった」


優美子「それはいいし。だって八幡はあーしの為にしてくれたことだから」


八幡「…よくそういうこと言えるな」


優美子「だって本当のことじゃん。でももう我慢しないからね」



八幡「出来るだけお手柔らかに頼む」


優美子「それは八幡次第だし」


優美子「…あーしは八幡のこと大好きなんだから」ボソッ


八幡「ん?何か言ったか?」


優美子「何も言ってないし。とりあえず服見に行こ服‼八幡選んでね」


八幡「いや、お前…俺に服のことなんて分からな…って引っ張るな‼分かったから」


優美子「ふふん最初からそう言えばいいし」


優美子(今日は楽しい一日になるよね)













「えっ、あれって…三浦さん?」



・・・・・・・・・・

ジリリリ……


優美子「ん…もう朝」


鳴り響く目覚まし時計を止める


優美子「はぁ…なんで休みってこうもすぐ終わるし」


優美子「とりあえず準備して八幡の家に行こ」


いつものように髪をセットして、メイクもして、でも一つだけやることが増えた


ネックレススタンドから一つネックレスを取って首にかける。それだけのことなのに笑みがこぼれる


あの日あーしと八幡がデートした日。八幡があーしにプレゼントしてくれた物だ


優美子「…おっといけない。このままじゃ遅れちゃうし」



いつものように八幡を起こし、いつものように三人でご飯を食べて、いつものように八幡と途中まで一緒に学校に登校する


ただいつものと違うのは八幡とは幼馴染みじゃなくって恋人だってこと


その違いがなんで


・・・・・・・・・・


三連休明けの学校は何だか違った気がした。いや、学校が違うというよりあーしを見る目が何だか変だった


教室に入ると皆がよそよそしくあーしを見てくる


優美子(やっぱり変だし)


そう思っているといつも一緒にいる友達が気まずそうに話しかけてくる


「ねぇ…優美子。あんたなんか脅されてるの?」



優美子「はぁ⁉あーしが誰に⁉」


「ちょっと声大きいよ⁉…それは…」


そのタイミングでチャイムが鳴って、担任が教室に入ってくる


「…詳しいことは昼休みに話すから」


優美子「ちょっ…どういうことだし…」


優美子(あーしが誰かに脅されてる…そんなことあるわけないし)


そんなことを言われて授業なんてまるで頭に入ってなんかくるわけなくて


じっと時計を睨み付けながら、もやもやした気持ちで早く昼休みになるのを待った



・・・・・・・・・・


優美子「それであーしが脅されてるってどういうこと。そんなことされてないんだけど」


昼休みになって、あーし達は今屋上にいる。教室じゃ話しづらいからとここに連れてこられた


「えっと…三連休の最初の日に別のクラスの男子の…」


「あっ、そうそうヒキタニだったかな。その人と一緒にいるの服屋で見たって子がいて」


優美子「…それが何で脅されるってことになるし」


「その子はヒキタニって人と同じクラスなんだけど、いつも一人でなんか暗い感じだって」


「だからきっと優美子ちゃんと一緒にいたのも、きっと弱味握って脅したからだって」


優美子「…その話どのくらい広まってんの?」



「少なくとも私達のクラスとその人がいるクラスは」


優美子「はぁ…とりあえずクラスの雰囲気が変だったのはそういうわけ」


優美子「そんな話無視してればいいのに」


「それで実際はどうなの?」


優美子「そんなの全然違うに決まってんじゃん。脅されたからって付き合うわけないし」


「じゃあ何で一緒にいたって話が?」


優美子「…一緒にいるように見えたってだけじゃない。近くにいたのがたまたま男でうちの学校だったってだけで」


「そうかなぁ?まぁ、優美子ちゃん目立つからそんな風に勘違いしただけかもね」



「でも本当に付きまとわれてるなら言ってね。そんな人と優美子ちゃんが見合うわけないし」


優美子「…うん、そうだし…」


優美子「それで噂はそれだけ?なかったらあーしもう少し考えて戻るから先に行ってて」


「うん、分かった。気を落とさないでね」


友達を先に行かせて屋上の扉に背を付けて座り込む


優美子「きっと八幡ももう知ってるよね…またあの時みたいにするのかな」


優美子「あーしがまだ弱いからまた八幡が…」



・・・・・・・・・・


優美子『まただし…靴探さないと』


小学校の時、あーしは今の様な感じじゃなかった。むしろ引っ込み思案で内気な方だった


そんな性格が災いしたのか、小学生によくあるいじめの標的になってしまっていた



優美子『うん…』


八幡『あと、変なとこに靴を置くなよな。裏庭で乾かしてたのか知らないけど』


優美子『えっ…そうそうちょっと授業で濡れちゃって…すっかり忘れてたたし』


優美子『…それと鞄見たら忘れ物してなかったみたいだし。じゃあ、八幡帰ろ?』


八幡『なんだそれ。まぁ、じゃあ帰るか』


それから何度かそういったことがあっても八幡が探してくれたり、さりげなく助けてくれたりした


その頃は今と違って八幡とあーしが幼馴染みっていうことを知ってる子ばかりだったから


あーしらの関係を変に思う子は少なかったとは思う



何とか我慢はしていた。いつか皆飽きてこんなことも終わると


でも弱いあーしは皆が飽きる前に限界がきてしまった…


優美子『八幡…助けて…辛いよ』


八幡『…分かった』


八幡に迷惑がかかる。そんなこと分かりきっていたはずなのに、八幡を頼ってしまった


助けを求めた次の日にそれは起きた


憂鬱な気持ちで学校に向かって、教室に入ろうとすると、教室から怒鳴る声や泣き声が聞こえてきた


恐る恐る教室に入ると、黒板にあーしをいじめていた子たちに対する罵詈雑言が書かれていた



その子たちはあーしの姿を見つけると、鋭い剣幕であーしに詰め寄ってきた


『ちょっと優美子ちゃんこれどういうこと‼なんで私らがこんなこと書かれなきゃいけないのよ‼』


『本当だよね。別にこんなことしてないのに、ただ優美子ちゃんと仲良くしてただけなのに…最低‼』


優美子『あ、あーしはこんなこと書いてない…』


『じゃあ、誰が書いたっていうのよ‼優美子ちゃんにしてきたこと知ってるのなんて私達しか‼』


『私達が何だって?』


後ろを振り返ると、卑屈に笑っていた八幡がそこにいて。何だか怖いと感じた


八幡『ほら私達が…の続きは何だよ』

さじゅよ

『はぁ?何よいきなり。私は今、優美子ちゃんと話してるんだけど』


八幡『別に会話に入るつもりなんかねぇよ。ただその続きが知りたいだけなんだけど?』


八幡『まぁ、そんなの分かりきってるか。私達しか知らないことだからこんなこと書けるのは三浦しかいないって言いたいんだろ』


その言葉に彼女達は口を閉ざした。しばらくして何とか出した言葉も弱々しいものだった


『そ、そんなことあるわけないじゃない…だって優美子ちゃんと私達はとっても仲良しだし』


八幡『そうか仲良しなら靴を隠したり、無視したり、無視させたりするのか。だったらこの世界は仲良しだからけだな』


『だからそんなことしてないって言ってんじゃん‼大体私達がしたって何で分かるのよ』


八幡『そんなの見たからに決まってるだろ。一応写真もあるけど』



『写真なんて嘘よ。そんなのに騙されるわけ』


八幡『信じないなら別にいいけど、この中にあるの先生に持っていくだけだからな』


八幡はポケットから封筒を取り出す


『何よそれ…』


もう完全に声は震えてしまっていて、さっきまでの威勢はなくなっていた


八幡『だから写真だよ。お前らが三浦の靴を隠してる現場のな』

>>180
訂正です

・・・・・・・・・・


優美子『まただし…靴探さないと』


小学校の時、あーしは今の様な感じじゃなかった。むしろ引っ込み思案で内気な方だった


そんな性格が災いしたのか、小学生によくあるいじめの標的になってしまってい

物を隠されたり、無視されたくらいだったけど、小さい頃の事だったからかなり辛かった


八幡『どうかしたのか?』


優美子『な、何でもないし⁉ちょっと教室に忘れ物したから先に帰ってて』


あーしはこの事を八幡に言ってはいなかったけど、きっと八幡は気付いていたんだと思う


八幡『そっか…じゃあ、待ってるから早く取ってきなよ』



『写真なんて嘘よ。そんなのに騙されるわけ』


八幡『信じないなら別にいいけど、この中にあるの先生に持っていくだけだからな』


八幡はポケットから封筒を取り出す


『何よそれ…』


もう完全に声は震えてしまっていて、さっきまでの威勢はなくなっていた


八幡『だから写真だよ。お前らが三浦の靴を隠してる現場のな』


『そ、それをこっちに渡しなさいよ!!』


八幡『嘘だと思ってるんだろ?じゃあ、別に渡す必要ないよな?』



八幡『それともさっき俺が言ったことが全部本当のことで』


八幡『それを知られるものなんてあったら困るから必要なのか?』


『さっきからあんたは…そんなにその子の為にして何なのよ』


『分かった。あんた優美子ちゃんのこと好きなんでしょ?だから優美子ちゃんに良いところ見せようとしてんだ』


彼女達は八幡の言うことに対して答えない。そして分かりやすく挑発をする


でも、そんなこと八幡には通用なんてしない。そんな手段をしてくるなんて八幡には分かりきっていた


八幡『そんなわけねぇだろ。お前ら行動だけじゃなくて、頭までネジ外れてるんだな』


八幡『お前らみたいなのがいるのが鬱陶しいだけだよ。別に三浦の為でもない。俺の為にやってんだ』



八幡『まぁ、そっちがどう思おうが勝手だけどな。時間切れだ』


『はぁ、いきなり何言ってんの?』


八幡『こんな騒ぎになってんのに全然来ないのもあれだけどな。始業の時間くらいはネジ外れてても覚えてろよ』


八幡がそう言った後、すぐにチャイムが鳴り響いた。それと同時に先生が教室に入ってくる


『授業を始めるから早く席に…って何かあったの?』


『い、いや先生何も…』


八幡『先生ごめんなさい。『少し』黒板が汚いんで消しておきますね』


『ん、そうか…何これ?ちょっとどういうこと』



『あなた達‼これは一体どういうことなの⁉』


『それは…その…』


八幡『そこに名前ある人達が三浦さんをいじめてたんで、仕返ししてやろうと俺がしました』


優美子『えっ、はち…⁉』


八幡は私を見て鋭い目で、俺に話しかけるなって言っている気がした


『だから、そんなことしてないって言ってるじゃない‼』


『比企谷くんどういうことか先生に説明してくれる?』


八幡『いいですよ。あと、これ先生に渡します。中には写真があるので』



そこからは何があったのかは、よくは知らない。ただあーしをいじめていた子達は転校することになった


学校もそんなに大きなことにしたくなかったのか、それ以降あーしのことについて触れられることはなくなった


八幡はそのまま同じ学校に在学することになったけど、その件のせいで周りからは敬遠されだした


八幡の友達も彼を避けていたし、女子は近づかないようにしていた


あーしのことを無視していた。ううん、あの子達に無視させられていた友達はあの後謝りにきた


あーしのようにいじめられるのが怖かったみたいで、その気持ちはよく分かる。


あーしの周りには平穏が戻ってきた。八幡が自分を犠牲にしてくれて…


いつしか八幡は独りになってしまった…

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年10月23日 (金) 14:17:39   ID: 2_elvgwo

続き楽しみです♪

2 :  SS好きの774さん   2015年10月26日 (月) 10:35:42   ID: O6GH0Hs8

期待

3 :  SS好きの774さん   2015年10月26日 (月) 20:45:23   ID: OHw_D09r

続きを期待

4 :  SS好きの774さん   2015年10月29日 (木) 23:30:04   ID: 9jIQVVz4

早く続きをオナシャス!

5 :  SS好きの774さん   2015年11月03日 (火) 12:07:45   ID: P1TevM4x

あーしさんとサキサキは、やっぱり良い女だね。(っ´ω`c)

6 :  SS好きの774さん   2015年12月03日 (木) 20:14:49   ID: 4DWKkV_j

SSだから細かいことは気にせず書いてください

7 :  SS好きの774さん   2016年06月07日 (火) 11:33:50   ID: UdvHK4o4

あーしさんヒロインのssに外れはないな

8 :  SS好きの774さん   2016年10月09日 (日) 01:56:39   ID: mTlVx1KR

アルティっこ、小町には遠く及ばないにしてもかなり可愛いんじゃないかなっ?

9 :  SS好きの774さん   2017年01月29日 (日) 22:24:31   ID: HhfHkbK4

あーしさん最高。

10 :  SS好きの774さん   2017年02月20日 (月) 21:17:22   ID: ingflw5C

続きが楽しみです////

11 :  SS好きの774さん   2017年02月26日 (日) 18:42:25   ID: 6y5Iaiyh

おお続きが出ましたね
のんびり待っておりますよ

12 :  SS好きの774さん   2017年06月15日 (木) 18:44:20   ID: Ao0-MREQ

続きおなしゃす

13 :  SS好きの774さん   2017年07月26日 (水) 03:03:01   ID: _PUdjnbF

続きが気になって眠れない!(笑)お願いします( ´ ▽ ` )ノ

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