【克服 犬編】【俺ガイル】 (32)



結衣「ゆきのんって犬が苦手だったよね」

雪乃「えぇ、それがどうしたの?」

結衣「最近は犬を飼う人も増えてるしさ、このままだったら色々と大変なんじゃない?」

雪乃「確かに犬を散歩させている人に会うたびに道を迂回するのは大変ね。この前なんかスーパーに買い物に行くのに三時間もかかってしまったわ」

結衣「三時間!?」

八幡「かかりすぎだろ」

雪乃「しかた無いじゃない。止まってやり過ごそうとしても犬の方からこちらに近づいてくるのよ。その度に道を変えていたらいつの間にか三時間も……」



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結衣「犬は好奇心旺盛だからね」

雪乃「朝と夕方は犬を散歩させている人が多くて困るわ」

結衣「というわけで!ゆきのんには犬が苦手なのを克服してもらいます!」

雪乃「遠慮しておくわ」

結衣「えっ! なんで?」

雪乃「特に困ったことは……あるけれど、そこまでではないのだし」

結衣「むぅ、ダメ!」

八幡「あんまり、無理強いはするなよ。本人がいやがってんだし」


結衣「だって……だって……」

雪乃「由比ヶ浜さん?」

結衣「それじゃゆきのんがあたしの家にこれないじゃん」

雪乃「え?」

結衣「だってあたしの家にはサブレがいるから……」

雪乃「別にあなたの家に行けなくても私の家で会えばいいし、他にも外で遊ぶとかすればいいと思うけど」

結衣「いつもゆきのんの家に行ってばっかりじゃ悪よ」

雪乃「別に私は迷惑だとは思っていないのだから、あなたは気にしなくてもいいわ」


結衣「でも……ゆきのんのこと家族にも紹介したいし」

八幡「恋人かよ」

結衣「ヒッキーうっさい!」

雪乃「あなたは黙っていなさい」

八幡「……はい」

結衣「ゆきのーん」

雪乃「……分かったわ」

結衣「!」


雪乃「やってみましょう」

結衣「ゆっきのーん」

雪乃「ゆ、由比ヶ浜さんそんなに乱暴に抱きつかれたら……痛いわ」

結衣「あっ、ごめんね。次は優しくする」

雪乃「お願いね」

八幡「……」

雪乃「比企谷くん、何をニヤけているのかしら?」

八幡「すみません。ごめんなさい」


雪乃「んん、それでは始めましょうか」

結衣「うん」

雪乃「何か方法は考えているの?」

結衣「うーんとまずは犬が映ってる動画とかを見て、その次は偽物の犬に触ったりする感じ」

雪乃「動画はいいとして偽物の犬とは?」

結衣「それは後のお楽しみ」

雪乃「物凄く不安なのだけど」

結衣「大丈夫!大丈夫!」

雪乃「……不安だわ」


結衣「それじゃ、ヒッキー」

八幡「……」

結衣「ちょっと無視しないでよ」

八幡「あぁ、悪い。ボーッとしてた」

結衣「まったく」

八幡「そんで、なんだ?」

結衣「えっとね。ゆきのんの犬嫌いを治すんだけど、まずは犬の動画から慣らしていこうってことになったから、ヒッキーのスマホで動画を見てもいい?あたしはスマホじゃないから」

八幡「いいぞ。ほれ」


結衣「わわ!ありがとうヒッキー」

雪乃「ありがとう比企谷くん」

八幡「どういたしまして」

結衣「ね。どういうのを見せればいいかな」

八幡「まずは子犬とか小型犬の可愛い動画からがいいんじゃねぇの」

結衣「ほぉほぉ」

八幡「そんで中型犬、大型犬って感じで徐々にレベルアップさせてけばいいと思う」

結衣「ふんふん……あっ!これなんかいいんじゃないかな?」


八幡「ん?どれだ?」

結衣「ほら」

八幡「っ!……ゆ、由比ヶ浜、近くないか?」

結衣「じゃないと見えないじゃん」

八幡「いや、二人で見ないで1人ずつ見ればいいだろ」

結衣「それじゃ時間かかっちゃうじゃん」

八幡「別に全部見ないで最初の30秒くらい見れば時間かからないだろ」

結衣「むぅ、ヒッキー!」


八幡「な、なんだよ」

結衣「友情は無限だけど時間は有限なんだよ。だから30秒でも無駄に出来ないの」

八幡「なんだその熱いセリフは」

結衣「中学校のころの国語の先生が言ってた」

八幡「そうかよ」

結衣「とにかく見るの、ほい」

八幡「わかったよ」

結衣「どう?」


八幡「……可愛いな」

結衣「でしょ!」

八幡「くっ、なんだこれ……ふぉお」

結衣「ふはぁ……癒されるぅ」

八幡「やべぇ、なんか俺、犬飼いたくなってきた」

結衣「あたしも!あたしも!」

八幡「お前にはサブレがいるだろ」

結衣「あっ、そっか!」


八幡「サブレ可哀想……」

結衣「サブレごめんね」

雪乃「あの……」

八幡「ん?」

結衣「ほへ?」

雪乃「まだかしら……」

八幡「お、おお。悪い夢中になってた」

結衣「ご、ごめんゆきのん」


雪乃「別にいいわ……ただ、小学生の頃を思い出しただけ……ふふ」

八幡「地雷を踏んじまったな」

結衣「ゆきのん戻ってきてー」

雪乃「それでいいのは見つかったの?」

八幡「あぁ、これなら犬嫌いの雪ノ下でも大丈夫だ」

結衣「あたしとヒッキーがおすすめする動画はこれだよ!じゃっ、じゃーん」



動画視聴中・・・


結衣「どうだった、どうだった?」


雪乃「……可愛いかったわ」

結衣「よっしゃっ!ヒッキーやったよ!」

八幡「これで一歩前進だな」

雪乃「あの……」

結衣「ん?」

雪乃「非常に言いにくいのだけど……子犬や小型犬程度の動画なら問題なく見れるのよ」

結衣「……」

八幡「……」

雪乃「……ごめんなさい」


結衣「先に言ってよぉ……」

雪乃「二人が話してるのは聞こえていたし言おうと思ったのだけど……入る隙がなくて」

結衣「そ、そっか。なら仕方ないね」

雪乃「本当にごめんなさい」

結衣「ゆきのんは悪くないよ。ちょっ、ちょっと弾けすぎちゃったねヒッキー」

八幡「弾けすぎちゃったねってなんだよ。夏の海によくいる大学生かよ」

結衣「気を取り直して中型犬の動画を見よう」

雪乃「その事なのだけど」


結衣「ん?なに?」

雪乃「もう、時間もないし。今日はこの辺して、また今度時間があるときにやるということにしてはどうかしら」

結衣「え?でもまだ一時間はあるよ?」

雪乃「い、一時間しかないのまちがいじゃないかしら?」

八幡「雪ノ下お前……」

雪乃「な、なに?比企谷くん」

八幡「さては、怖いな」

雪乃「な、なにを言うの……こ、怖いなんて……そんなことあるわけないでしょ」


八幡「目がめっちゃ泳いでるぞ」

雪乃「そ、それはあなたの目が泳いでるからそう見えるだけではないのかしら」

八幡「意味わからんし」

雪乃「と、とにかく、今日は解散よ。サヨウナラ」


ガシッ


雪乃「……ゆ、由比ヶ浜さん?」

結衣「だぁーめっ♪」

雪乃「離してもらえる?」


結衣「だめ♪」

雪乃「そ、そういえば、今日はとても大切な用事」

結衣「ゆきのんは嘘つかないんだよね」

雪乃「は無かったわね……」

結衣「ゆきのん」

雪乃「……」

結衣「続き、しよっか?」

雪乃「……はい」

八幡「由比ヶ浜が勝った、だと……」


結衣「ってことで中型犬動画を見よう!」

雪乃「……」

結衣「大丈夫だってさっきと一緒で可愛い系の動画だから」

雪乃「えぇ」

八幡「ほれ、これだ」

結衣「あっ、この動画知ってる!あたしもサブレに同じことやらせようとして何回も見たよ!」

八幡「お前こんなことサブレにやらせたのかよ」

結衣「だって可愛かったから……」


八幡「確かに可愛いけど、サブレの体の大きさじゃ無理だろ」

結衣「そんなの殺ってみなくちゃ分かんないじゃん!」

八幡「なら、結果はどうだったんだよ」

結衣「……………………た」

八幡「あ?聞こえないぞ」

結衣「……………………した」

八幡「もっと大きな声で言わないと聞こえないって」

結衣「うぅ、ヒッキーのいじわるぅ」


八幡「別に意地悪じゃないだろ?俺はただ結果を聞いてるだけなんだからよ」

結衣「意地悪だもん」

八幡「それより、ほら。言ってみ」

結衣「…………で、出来ませんでした」

八幡「だろ?」ドヤッ

結衣「むぅ」

雪乃「あの……」


八幡「ん?」

結衣「ふへ?」

雪乃「まだかしら……」

八幡「わ、悪い」

結衣「ごめん、ゆきのん!」

雪乃「……別にいいのよ。三人一組のグループで他の二人が仲良く話をして私だけで作業をするなんってこと幼稚園のころから経験しているから、まったく、苦ではないわ………まったくね。ふふ」

結衣「ゆきのんごめん。もうしないから戻ってきて」

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