結衣「あかりの飲みかけのぴっちょんオレンジ」 (50)

――ごらく部部室


ガラガラッ

あかり「こんにちわぁ~……ってあれ?」

結衣「こんにちわ、あかり」

あかり「まだ結衣ちゃんしか来てないの?」

結衣「京子は用事があるからってもう帰ったよ」

あかり「ちなつちゃんも日直のお仕事で遅れるんだって」

結衣「そうなんだ、じゃあ二人でゆっくりしてよっか」

あかり「うん!」

あかり「あっそうだ! あかり今日ね、お姉ちゃんからお菓子と飲み物もらってきたんだぁ」ガサガサ

あかり「お友達とみんなで食べてね、って!」ドサッ

結衣「こんなにたくさん……今度会ったときお礼しないとな」


あかり「結衣ちゃん、飲み物どれにする?」

結衣「じゃあブラックコーヒーもらおうかな」

あかり「えへへ、あかりはぴっちょんオレンジにしよっとぉ」


結衣「いただきます」

あかり「あかりもいただきまぁす」

結衣「このチョコレートおいしいな」

あかり「こっちのポッキーもおいしいよぉ」

あかり「結衣ちゃん、はいあーん」

結衣「……」パクッ

あかり「どう、結衣ちゃん。おいしい?」

結衣「もぐもぐ……うん、おいしい」

あかり「えへへぇ」


結衣「じゃ、お返しにあかりも、はい」

あかり「わぁい! あーん」パクッ

あかり「もぐもぐ……わ、おいしい~!」パアッ

結衣「ふふっ」

――


結衣「よいしょっと」スクッ

あかり「あれ? 結衣ちゃんどこか行くの?」

結衣「ちょっとトイレ行ってくるね」

あかり「そっかぁ、いってらっしゃーい」

ガラガラッパタン


あかり「……」

あかり「……」

あかり「……」

あかり「……」チラッ


あかり「……結衣ちゃんの飲みかけのブラックコーヒー」

あかり「えへへぇ、本当はちょっと飲みたかったんだよねぇ、ブラックコーヒー」

あかり「前は結衣ちゃんのを分けてもらって、結局だめだったけど……」

あかり「でも、今度こそ行けそうな気がするよぉ!」

あかり「結衣ちゃんのいない隙に、ちょっとだけ、ちょっとだけ……」ドキドキ


あかり(あれ、でもこれって)

あかり(結衣ちゃんと、間接キス……?)ドキッ


あかり「はっ! な、なに考えてるんだろ……あかりってば」ブンブン

あかり「前は普通に分けてもらえてたのに、なんでこんなに意識してるの」


あかり(でも、さっきの食べさせあいっこも、本当はすごくどきどきして……)

あかり(最近結衣ちゃんのこと考えると、なんだか胸がぎゅうってなるんだよね……)ドキドキ

あかり「と、とりあえず戻ってこないうちにちょっとだけ……」ドキドキ

あかり「……」ゴクッ

あかり「! う……や、やっぱりあかりにはまだ早いみたいだよぉ……」

あかり「うぅ苦い……あ、早く戻しておかなk」ガラガラッ

結衣「ふぅーただいまー。あれ、まだちなつちゃん来てないんだ」

あかり「わっ! ゆゆゆ結衣ちゃん!」アワアワ

結衣「へ? どうしたのあかり」

あかり「な、なんでもないよぉ! あ、あかりお花のお水替えるの忘れてたから、ちょっと教室行ってくるねっ!」

ガラガラッバタン


あかり(うぅ……恥ずかしくなって飛び出してきちゃった……勝手に飲んじゃってごめんねぇ結衣ちゃん)

あかり(でも、結衣ちゃんと間接キスできてちょっと嬉しいかも……ってあかりったらさっきから何考えてるんだろ!)カアッ

バタバタバタ…


結衣「? 変なあかり……」

結衣「ふう……一人でいると暇だな」

結衣「あかりは教室に行っちゃったし、ちなつちゃんは遅いし、京子はそもそも休みだし」

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」


結衣「あれ、ブラックコーヒーがいつの間にあんなところに」スッ

結衣「しかもちょっと少なくなってる気が」

結衣「もしかして、さっきのあかりの様子は……」

結衣「……」

結衣「……」チラッ


結衣「あかりの飲みかけのぴっちょんオレンジ」

結衣「いや、別にあかりの飲みかけだから、ってわけじゃないから」

結衣「あかりに私のブラックコーヒー飲まれたお返し、ってだけだから」

結衣「別にあかりと間接キスしたいとか思ってないから」

結衣「……」


結衣「……」キョロキョロ

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」ゴクッ


結衣「ふぅ、おいしい」

結衣「……」ポフッ

結衣「……」

結衣「……」

結衣「座布団もふもふ」

結衣「……」

結衣「あかりの座ってた座布団と交換しよ」ゴソゴソ


結衣「……」ポフッ

結衣「……」

結衣「あかりのにおいがする」クンクン

結衣「甘い感じのいいにおい」

結衣「やっぱり、あかりは落ち着くな」


結衣「……あかり、早く戻ってこないかな」

――


ガラガラッ

あかり「結衣ちゃんおまたせ~……って、あれ?」

結衣「すー……すー……」

あかり「ふふっ、寝ちゃってる」クスクス

あかり「ひとりぼっちにしちゃってごめんねぇ、結衣ちゃん」ナデナデ

結衣「……うーん……むにゃ」


あかり「……結衣ちゃんの寝顔、かわいいなぁ」

あかり「そういえば、結衣ちゃんになでなでしてもらうことはあっても、結衣ちゃんをなでなでするのってあんまりないよねぇ」

あかり「えへへ、なんか新鮮な気分」ナデナデ

結衣「ん……あかり……」

あかり「!」パッ

あかり(お、起こしちゃったかな……?)ドキドキ


結衣「……すきだよ……あかり……」


あかり「……」

あかり「え、えぇっ……!?」ドキッ


あかり(ゆ、結衣ちゃんがあかりのことを……!?)ドキドキ

あかり(すき、って友達としてってこと……? そ、それとも……)ドキドキ


あかり「ゆ、結衣ちゃ……」ドキドキ

結衣「むにゃ……すー……」


あかり「……あれ、ね、寝言?」

あかり「はあ……なんだぁ寝言かぁ……」フゥ

あかり「あかりったら期待しちゃってばかみたいだなぁ、えへへ」


あかり(あれ、期待……? ってことは、あかりは結衣ちゃんに告白される期待をしてたってこと?)



あかり(そっか……さっき間接キスしたときのどきどきや、結衣ちゃんのことを考えたときのどきどきは、)

あかり(友達の好きじゃなく、恋愛の意味で結衣ちゃんが好きって気持ちからだったんだ……)



あかり(……うぅ、あかりってば何で今まで気づかなかったんだろう……鈍感さんだよぉ)

あかり(しかも自覚したらまたどきどきしてきたよぉ……)ドキドキ


結衣「すー……すー……」

あかり「……全く結衣ちゃんってば、あかりをこんな気持ちにさせてるのに幸せそうな寝顔しちゃって」プニ

結衣「ん、へへ……すぅ……」

あかり「ふふっ、結衣ちゃんのほっぺた、ぷにぷにでやわらかいなぁ」

あかり「ふぁあ……なんだか結衣ちゃん見てたらあかりも眠くなってきちゃったよぉ」

あかり「ちなつちゃんが来るまで、ちょっとだけ寝ようかな」ゴロン

あかり「座布団を枕にして、っと」ポス

あかり「わ、座布団ふかふかだぁ……これじゃあ結衣ちゃんもぐっすりになるわけだよねぇ」


あかり「……」

あかり「……」ゴロゴロ

あかり「……」


あかり(あかりの気持ち、結衣ちゃんが知ったらどう思うのかな)

あかり(女の子同士なのに、気持ち悪いって思われるかな)

あかり(もう、元の関係に戻れなくなるのかな)

あかり(……それだけは嫌だよ……)


あかり(……この気持ちは心の奥に閉じ込めておかなくちゃ)

あかり(結衣ちゃんとずっと一緒にいたいから……)

あかり(……結衣ちゃん……)

――


結衣「ん……あれ」

結衣「いつの間に寝てたんだろ」

結衣「あ、あかりも寝ちゃってる……」


あかり「すぅ……すぅ……」


結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」キョロキョロ

結衣「……」スクッ

結衣「……」トコトコ

結衣「……」ストン

結衣「……」

あかり「すぅ……すぅ……」

結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」ナデナデ

あかり「……むにゃ……えへへ……」

結衣「ふふ……かわいいな、あかり」


結衣「……」

結衣「……」

結衣「……」キョロキョロ


結衣「よいしょ」ゴロン

結衣「ちょっとだけ、いいよね」

ギュッ

あかり「ん……」

結衣「あかり……やわらかくて、あたたかい」ナデナデ

結衣「ほんと、あかりは癒されるな」



あかり「すぅ
……」

結衣「……」

結衣「あかりもいつか好きな人ができて、私たちから……私から、離れて行っちゃうのかな」

結衣「私たちは女の子同士だから、それは仕方のないこと……わかってるけど、やっぱり寂しいな……」

あかり「……ゆいちゃんってば……なにいってるの……」

結衣「えっ」ビクッ

あかり「……あかりはずっと……ゆいちゃんといっしょにいるよぉ、むにゃ……」


結衣「ね、寝言か……びっくりした」ドキドキ


結衣「……ふふっ、あかり……ありがとね」ギュッ

結衣「だいすきだよ、あかり」

――


ガラガラッ

ちなつ「結衣せんぱーいっ! 遅れてごめんなさ……え」


結衣あか「すー……すー……」ギュー


ちなつ「」



おしまい

ss
なんて初めて書くから色々不安だったけど、ナチュラルに変態な結衣が書けて楽しかったわ
支援してくれた人ありがとう

おまけに描いた結あかでもよかったら

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