【安価】提督が鎮守府に着任しました【コンマ】 (143)

E-7丙諦めたので初スレ立てです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441189972

大淀「提督が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮をお願いします」

間宮「どんな方なのでしょうか……楽しみですね」

明石「んー……書類によれば確か、前職が↓2な人ですよ!」

大淀「ちなみに、秘書艦には↓3さんをつけておきました」

 
 
 
提督の前職 ↓2

1.警察官
2.科学者
3.ロボット
4.異邦人


秘書艦 ↓3
1.木曾
2.利根
3.ビスマルク
4.レ級
※コンマ以下が好感度

ずっと待ってたんだから>>9の続きやってくれよ
酉そのままって事はそういう事だろ?

――――――――――
横須賀鎮守府

 
 
 
??「……これが近々我が鎮守府に着任予定の?」


???「ええ、イタリア製の駆逐艦……どうですか、この洗練された船体は」

??「実に素晴らしい。これは着任次第ハイエースして地中海的なダンケダンケをしなくては」

??「これも貴官が手を回してくれたおかげだ……」

???「いえいえ、貴方の名声があれば根回しも容易いこと……フフフ」

 
 
 
バタァン!

提督「そこまでだ!」

??「ッ!?」

???「な、き、貴様……!?」

ビスマルク「動かないで。さっきのやり取りはしかと聞いたわよ」

提督「やっと尻尾を掴んだぜ。ここ数ヶ月、横須賀鎮守府に配属される駆逐艦への誘拐事件……」

提督「憲兵隊はどうせ提督の仕業と考え、俺に疑いがかかったが、まったく証拠を掴めず……」

提督「だが犯人は提督じゃなかった……真犯人は別にいたんだ」



提督「長門型戦艦一番艦、長門! お前が駆逐艦をハイエースしていたんだな!」

長門「……!」

ビスマルク「その犯人がまさか貴女だったとはね……残念だわ」

提督「軍官僚まで抱き込んで、駆逐艦を優先的にウチに回すよう手配していたとはな」

軍官僚「わ、私は知らん! この艦娘が勝手にやったこと……」

提督「往生際が悪いぞ! お前が朝潮型の写真と引き替えに長門に協力したのはわかってる」

提督「駆逐艦淫行、ならびに命令文書偽造の罪でお前達を逮捕する!」

ビスマルク「さあ、ナガト。世界のビッグセブンの誇りがあるなら大人しくお縄につきなさい」

長門「……フッ、私もこれまでということか」スッ

提督「香取の再教育センターでみっちり躾けてもらうんだな」手錠ガチャッ

軍官僚「ぐっ……ううっ……! 私の出世がこんな……!」

ビスマルク「貴方は軍法会議を楽しみにしていることね。余罪もありそうだし」グイッ

――――――――――
憲兵隊詰所

 
 
 
提督「さて長門。何か言い残したことはあるか」


長門「……見事だ、提督。憲兵隊をも欺いた私を真犯人だと見破るとはな」

長門「だがお前はひとつだけ勘違いをしている」

提督「なんだと?」

長門「私もまた、駆逐艦の魅力に踊らされただけの犠牲者の一人にすぎないということさ……」

提督「……」

憲兵「……提督殿、ここからは我々が」

提督「ああ……丁重に連行してくれ」

ビスマルク「……虚しい事件だったわね」

提督「ああ。まさかあのビッグセブンがながもんと化していたなんてな……」

ビスマルク「私、こんなしょうもない事件を解決する手伝いをするためにドイツから来たんじゃないんだけど」

提督「いや、しょうもないってのは言いすぎじゃない? こう、軍内部の腐敗というか癒着というか」

ビスマルク「日本のMPも質が低いものね……まあ、いいわ」

ビスマルク「ところで提督。私、今回の事件の捜査に休日返上で臨んだのだけど、何か言うことはないの?」

提督「えっ?」

ビスマルク「」ジトー

提督「あー……えーと、お疲れさん?」

ビスマルク「Nein.」

提督「うーん……どこか別の日に休みを用意させるぞ?」

ビスマルク「それで?」

提督「ドイツ艦の仲間と一緒に遊びでも」

ビスマルク「私の求めている答えではないわね」

提督「……ま、間宮の甘味券でどうだ」

ビスマルク「とりあえずそれでいいわ……もう。でも今日の埋め合わせはちゃんとしてもらうわよ」

提督「お、おう」

提督(……数ヶ月前、刑事だった俺は突然海軍のスカウトを受けた)

提督(今、海軍は提督の適性がある人間を積極的に登用し、艦隊司令官に任命している)

提督(海からやってくるバケモノ、深海棲艦を倒すため)

提督(深海棲艦に対抗できる唯一の存在、艦娘を指揮して戦わせるために)

提督(誘いを受けた時、俺は迷ったが……)

提督(組織が変わっても、市民の平和と安全を守るために働く、それは変わらない)

提督(俺は海軍に入隊し、やがて横須賀鎮守府の提督に任ぜられたのだが……)

 
 
 
提督「……なんでこういう妙な事件ばかり起こるんだかなぁ」ハァ

前スレの続きあくしろよ

次回イベント安価

登場艦娘 ↓1~2

速い(確信)
今日はここまでになります


>>12
>>21
要望が多ければ警察官提督が終わった後に再開しようかと思います

――――――――――
執務室

 
 
 
提督「……資材申請書、よしっと」ポン


ビスマルク「次はこっちに目を通して。例の軽巡洋艦の慰問に関する書類なんだけど」ピラッ

提督「ああ、あの那珂ちゃんっていう……本当にウチにライブを打診してくるとはな」

ビスマルク「……それにしても、書類仕事ばかりで退屈ね。提督は平気なの?」

提督「警察官だって何をやるにも書類書類だったよ。慣れたもんさ」ポン

ビスマルク「ふぅん……はい、次はこれよ」ピラッ

提督「瑞雲改修計画案……? おい、どこの航空戦艦の悪戯だ? それとも航空巡洋艦か」

????「次はこれであります」ススッ

提督「はいはい……えぇと、陸軍憲兵隊への転属願。ここに俺のサインと判子を……」サラサラ

提督「……ってオイ! なんだこの書類!?」ガタッ

????「ちっ、気づかれたであります……しかし署名だけでも手に入ればこっちのもの!」パッ

提督「コラ待て、その書類渡せ! ビスマルク、捕まえろ!」

ビスマルク「Jawohl! アキツマル、貴女いつの間に執務室に入り込んだの!」

あきつ丸「ふはは、帝国陸軍を舐めてもらっては困るでありますなぁ!」

 
 
 
マテー!

マチナサーイ!
ツカマエテゴランデアリマース

ビスマルク「まったく、油断も隙もないわね……」ギュッギュッ

あきつ丸「あっ、も、もっと優しくしてほしいのであります。乙女の柔肌を何と心得るでありますか」シバラレ

提督「執務室に忍び込んで妙な書類にサインさせようとする奴が乙女ねぇ」

あきつ丸「まあまあ。それはそうと提督殿。いい加減に観念して憲兵隊に来てほしいでありますよ」

提督「あのなぁ……その話は何度も断ってるだろうが」

あきつ丸「しかしながら、自分は提督殿の能力は海軍よりむしろ陸軍で活かされるべきと愚考する次第」

あきつ丸「特に麻のごとく乱れた海軍の綱紀粛正のためには憲兵隊に転属するのが一番であります」フンス

ビスマルク「ずいぶんな言いようね。陸軍出身とはいえ、貴女も今は海軍の所属じゃない」

あきつ丸「陸軍への技術供与の見返りにこっちで働いているだけであります」シレッ

提督「お前の言い分もわかるが……今の俺は艦隊司令官だ。みんなの命を預かる責任がある」

ビスマルク「わかってるじゃない。貴方は私のAdmiral、勝手に辞めるなんて許さないわ」

あきつ丸「ふむ。提督殿はその高慢ちきな独逸女にそれほど未練がおありですか」

ビスマルク「……なんですって? 陸軍の雌犬が、あまり調子に乗らないで」キッ

あきつ丸「ふふ、怖い怖い……愛されておりますなぁ、提督殿」ニヤ

提督「二人ともその辺にしておけ。ビスマルク、あんまり感情的になるな」

ビスマルク「……ふんっ」

提督「あきつ丸、俺は憲兵隊へ転属するつもりはない。俺を買っているのは嬉しいがこの件は忘れろ」

あきつ丸「……仕方がありませんなぁ。では今日のところは退散するであります」パサッ

ビスマルク「えっ?」

提督「……あれ? 今何した? 縄できつく縛ってたのに……」

あきつ丸「陸軍を舐めてはいけないのでありますよ、提督殿。縄抜けなど朝飯前であります」

提督「マジ!? 陸軍すごくない!?」

ビスマルク(日本の陸軍はニンジャだって噂は本当なのかしら……?)

あきつ丸「転属の話はまた後日ゆっくりと。では失敬」

提督「ちょっと待て」ヒョイッ

あきつ丸「あっ」

提督「この書きかけの転属願もちゃんと処分しとかなきゃな。何食わぬ顔で持ち帰ろうとしやがって」ビリビリ

あきつ丸「あぁ……提督殿はいけずであります」ショボン

ビスマルク「さっさと行きなさい。書類仕事がまだ残ってるのよ」シッシッ

あきつ丸「むぅー」

 
 
 
バタン

ビスマルク「まったく、アキツマルときたら……提督、食卓塩はあるかしら?」

提督「執務室にあるわけないだろ」

ビスマルク「じゃあ食堂に取りに行ってくるわよ。マミヤに言えば貸してくれるでしょ」

提督「一応聞いておくけど、どうするつもりだ」

ビスマルク「日本式に倣うのよ。塩撒いてやるわ!」プンスカ

提督「……やめとけ、後で掃除するのが面倒だろう」ヤレヤレ

――――――――――

 
 
 
提督「ビスマルクの奴、本当に食堂に塩借りに出て行っちまった」


提督「書類仕事が残ってるって言ったのは自分だろうに……ま、仕方ないか」

提督(……ビスマルク級戦艦1番艦・ビスマルク。特種船丙型揚陸艦・あきつ丸)

提督(片やドイツからやってきた超弩級戦艦。片や陸軍から出向してきた揚陸艦)

提督(それに加えて、司令官の俺は元刑事……か)

提督(どいつもこいつも海軍の者じゃないくせに、気づけばウチの艦隊の中心人物か。不思議なもんだ)

提督(しかし、あきつ丸もなぁ……参謀役としては申し分ないが、俺を陸軍に入れたがるのは……)

コンコン

 
 
提督「? 誰だ」



ガチャ


朝雲「私よ、司令」

提督「朝雲? なんだ珍しいな、お前が執務室に来るなんて」

朝雲「まあ、ちょっとね。ところでさっきビスマルクさんとすれ違ったんだけど」

提督「怖い顔でもしてたか?」

朝雲「ええ。あきつ丸さんと喧嘩した時によくする顔。そうでしょ?」

提督「ドンピシャだ。厄除けに食卓塩を借りてくるんだとさ」

朝雲「何それ」

提督「それで、何の用なんだ?」

朝雲「実はね、ちょっと相談があるのよ。山雲のことなんだけど……」

提督「山雲、っていうと……余所の鎮守府にいるっていうお前の姉妹だっけ」

朝雲「そうよ。今は扶桑さんと山城さんが率いる西村艦隊のメンバーと一緒に呉にいるわ」

朝雲「別々の艦隊にいて会えないから、最近よく手紙のやり取りをしてたの」

提督「手紙か……まあ、艦娘部隊の構成員は電話や電子メールの使用も制限されるからな」

朝雲「それでね……この間、山雲の手紙に綺麗な押し花の栞が同封してあったの!」ジャーン

提督「へぇ……こりゃカモミールの花か。山雲って花が好きなのか?」

朝雲「山雲はガーデニングが趣味なの。向こうに家庭菜園を作ってるらしいし」

朝雲「それで、せっかくだから私も、山雲に送る手紙に何か添えてみようかなって思って」エヘヘ

提督「なるほど。何がいいか一緒に考えてくれってことか」

朝雲「私としては、あんまり手間のかかるものじゃなくて、すぐ作れるものがいいと思ってるんだけど……」

提督「? そりゃまたどうして」

朝雲「それは……その、わ、私、山雲に比べると、ちょっと手先が不器用っていうか……」

朝雲「山雲が作るようなのに比べると、なんか恥ずかしいっていうか……」///

提督「気後れすることなんかないだろ。要は気持ちの問題なんだから」

朝雲「……それに、手紙だってちゃんと届かないかもしれないし……」

提督「届かないってこたぁないだろ。切手を貼って正しい宛先を書けば」

朝雲「今は戦時下よ。つい2週間前にだって、民間の連絡貨物船が沈められたじゃない」

提督「ん……ああ、あの事件か。でも横須賀から呉なら陸路で配達するから大丈夫だって」

朝雲「でもその貨物船にしたって、安全なはずの航路で深海棲艦と遭遇して沈められたって話でしょ?」

朝雲「昨日当たり前だったことが今日もそうだとは限らないの。戦争やってるんだから」

提督「まあ……それは確かに、な」

朝雲「届かないかもしれないなら、代えの効くものの方がいいわ。無駄になるよりは全然マシ」

朝雲「もう少し平和な時代だったら……こんな心配しなくてもいいんだろうけど」

提督「ま、その平和を取り戻すのが俺達の仕事だな。市民が安心して暮らせる世の中にしたいもんだ」

提督「それはともかく差し当たっては朝雲の相談だが……そうだな、せっかくだし他の奴にも聞いてみるか」

朝雲「艦隊のみんなに?」

提督「三人寄れば文殊の知恵ってやつさ」

朝雲「船頭多くして船山に上る、にならないといいんだけど?」

提督「そこはまあ、なんとかうまくやるよ。さて、この時間帯ならどこに集まってそうかな……」ガチャ

  
  
  
大淀「ビスマルクさん! なんで執務室前の廊下にお砂糖をバラ撒いてるんですか! 何考えてるんです!?」


ビスマルク「えっ、あ、これ砂糖の容器……ち、違うのよオオヨド。これは魔除けのおまじないで……」アタフタ

大淀「言い訳は結構です! 今すぐ綺麗に掃除してください!」

 
 
 
提督「……あーあ」


朝雲「……ねえ司令、ビスマルクさんホントに何やってたの?」

提督「言ったろ、厄除けだよ……除けるどころか寄ってきたみたいだけどな」

提督 前職:警察官

ビスマルク(秘書艦) 好感度76
あきつ丸 好感度84
朝雲 好感度50

【好感度の目安】
00~09 殺意、不倶戴天の敵
10~19 嫌悪、無視
20~29 苦手、無関心
30~39 知り合い、友達
40~49 親友、誤解される仲
50~59 気になる
60~69 尊敬、微妙な関係
70~79 好き
80~89 運命の人
90~99 相思相愛



次回登場艦娘 ↓1~3

――――――――――
横須賀鎮守府
艦娘宿舎・談話室

 
 
 
木曾「……――――♪」



朝雲「あっ、いたいた」

提督「鼻歌なんて歌って上機嫌だな。おーい、木曾ー」

木曾「ん? ……なんだ、ボスじゃないか」

提督「ボスはやめろって言ってるだろ? 提督って呼んでくれよ」

木曾「どうにもしっくりこないんだよ。あんたは海の男って感じがしないからな」

木曾「ところでボス、ビスマルクはどうした? とうとう相棒も鞍替えか」

提督「心配には及ばない。ビスマルクは大淀に説教されながら廊下の掃除だ」

木曾「なんだそりゃ」

提督「お前に相談したいことがあってな。大丈夫か?」

木曾「これから飯にするところだ。少し待ってくれ」ガサッ

朝雲「何その紙袋……FUSOUバーガー?」

提督「おい、それどこで買ってきた? 外出許可を出した覚えはないぞ」

木曾「外の警備兵に言って買ってこさせたんだよ。暇そうだったからな」カサカサ

木曾「見てみろよ。FUSOUバーガーの目玉商品、5段重ねの違法建築艦橋バーガーだ!」ジャーン

木曾「ちゃんとフライドポテトとコーラも買ってこさせたし、まったく完璧だな……」フッ

朝雲「いや、完璧だな……じゃないから。最近食堂で見ないと思ったら買い食いしてたの?」

木曾「ピザとかハンバーガーとか、一週間に3回は食べないと落ち着かなくてな」ハムッ モグモグ

提督「お前、いつの間にそんなアメリカナイズされた食生活を……」

朝雲「……それにしても、こう言っちゃなんだけど」

木曾「ん?」ゴクゴク

朝雲「ハンバーガーにコーラなんて資本主義とアメリカ帝国主義の象徴みたいな食べ物なのに」

朝雲「それを私達みたいな艦娘が喜んで食べるなんてね。変なの!」

木曾「ハンバーガーに罪はないだろ。第一、FUSOUバーガーは日本の会社だ」モグモグ

木曾「戦後生まれのボスならわかるだろ? 美味けりゃどこの国の料理だって関係はないのさ」

提督「それを戦前生まれのお前が言うかね」

木曾「あの戦争から70年も経ったんだ。いつまでも米英憎しとは言ってられんだろ」

木曾「今じゃアメリカが日本の最大の同盟国ときてる。時代は変わるもんさ」

提督(……球磨型軽巡洋艦5番艦、木曾)

提督(改装されて重雷装巡洋艦になったこいつは、俺のことを提督ではなくボスと呼ぶ)

提督(ボス……親分、親方、社長、所長、主任、首領、支配者)

提督(若手の下っ端刑事だった俺にとっちゃ、どうにも重苦しい呼び方だ)

提督(有能な部下だし、大事な友人でもあるんだが……まだ少し距離があるようにも思える)

提督(ハンバーガーを買いに行く程度の外出許可なら与えてやっても……いやいや、待て)

提督(仲良くなりたいからってご機嫌取りのような真似をして何になる。まったく俺って奴は……)

木曾「……ふぅ、食った食った。ご馳走さん」

提督「お粗末さん。それで、相談なんだけど」

木曾「あんたの相談じゃなくて朝雲の相談だろ?」

朝雲「えっ……どうしてわかったの?」

木曾「ボスがビスマルク以外の艦娘を連れてる時は、そいつの頼みを聞いてやってる時だからな」

提督「わかってるんなら話は早い。朝雲が姉妹に宛てて送る手紙に何か添えたいって言っててな」

木曾「へぇ? そういえば、山雲と文通してるって言ってたっけな」

提督「木曾ならどうする? 球磨型の姉妹に何を贈りたい」

木曾「そうさなぁ……俺なら写真でも同封するかな。鎮守府の普段の様子を写した写真を」

朝雲「写真かぁ。それなら手軽だし、いいかも」

木曾「しかしまあ、妙なものが映ってたら一発でアウトだからな。気をつけろよ」

朝雲「妙なものって何よ?」

木曾「まあ、色々さ。俺達は存在自体が海軍の重要機密だ」

木曾「万が一にも改装設計図や作戦指令書か何かが写り込んでみろ。大変なことになる」

朝雲「そんなの、さすがに情報部が検閲で弾くんじゃないの?」

木曾「そうでなくても近頃海軍は艦娘絡みの不祥事が多い。世間の風当たりも強まってるところだ」

木曾「つけ込まれる隙を作らないように気をつけないとな。だろ、ボス?」

提督「ああ。何故か俺がその不祥事案件を片付ける羽目になったりするしな」

木曾「あきつ丸じゃないが、憲兵隊の方が天職なんじゃないか?」ククッ

木曾「……さて。腹も膨れたし、訓練にでも行くとするか」スック

提督「ちょっと待て木曾。警備兵にパシリをやらせた件についてはまだ未解決だぞ」ガシッ

提督「艦娘にハンバーガーを買ってやるのはウチのスタッフの業務内容には含まれてない」

木曾「固いこと言うなよボス。食事は軍隊の大事な娯楽、つまり艦娘のメンタルケアの一環だ」

朝雲「ものは言いようね……」

提督「なあ木曾、お前、自分なら手紙に写真を入れるって言ったな?」

提督「なら、お前の普段の生活態度や食生活について写真付きの手紙をしたためてやろうか」

提督「お前の姉の球磨や多摩はどこの鎮守府にいるんだっけ? 大井や北上でもいいぞ」

木曾「つ……告げ口なんて男らしくないぜ。なあ、ボス?」アセアセ

提督「だったらハンバーガーは我慢しろ。休日に外出許可を貰って自分で買いに行け」ポン

木曾「……わかった。でも、せめて食堂のメニューにハンバーガーやホットドッグを」

提督「間宮や鳳翔にそんなこと言ったら俺まで飯抜きにされちまうわい」

提督「安心しろよ、コーラだったら明石の酒保に入荷するから」

木曾「はあ、仕方ねぇか……それじゃあな、ボス、朝雲」スタスタ


朝雲「……木曾さんがあんなにジャンクフード好きになってたなんてねぇ」

提督「あいつの姉が見たら驚くよ、きっと。朝雲も山雲が驚くような変化があったりするのか?」

朝雲「あったとしても木曾さんには負けるわよ。多分……」

――――――――――
横須賀鎮守府
艦娘宿舎・娯楽室

 
 
 
『いいですね~このお肉! 脂身と赤身の比率が……』ピッ

『違うだろ! いい加減にしろ!』ワハハハ ピッ
『タカシさん! 私、あなたのことが……』ピッ


ヴェールヌイ「……Хорошо.」

提督「響……いやヴェールヌイ。またテレビか?」

ヴェールヌイ「あ、司令官。朝雲」

朝雲「ホント好きよね、テレビ。面白い番組でもあった?」

ヴェールヌイ「いや、あんまり。ただテレビは私達には馴染みの薄いものだからね」

提督「テレビが広く普及しだしたのは1964年の東京オリンピックがきっかけらしいからな」

ヴェールヌイ「テレビ放送が開始されたこと自体戦後のことだし、まるで浦島太郎になった気分さ」ピッ

『――中国やロシアが2020年の東京五輪への不参加を示唆している問題についてですが……』
『彼らの主張の焦点はまさに艦娘に関してでしょうな』
『艦娘建造技術を有しているのは、今のところ日本・ドイツ・イタリアの3国だけですね』
『ええ。艦娘の戦略的価値は計り知れんところです。それは深海棲艦との戦闘だけでなく、国家間でも』
『例えば、アメリカでは艦娘が携行可能なサイズの核兵器の開発が進められているという話が……』ピッ


提督「……スポーツを外交上の駆け引きに利用するってのも、気分のいい話じゃないな」

朝雲「かと言って政治と無関係でもいられないと思うわ。選手達も国の代表なんだから」

ヴェールヌイ「まあ、周辺国の反応としては予想できたことさ。軽いジャブみたいなものだろう」

ヴェールヌイ「往年の枢軸国……日独伊三国同盟が戦後の覇権を握るなんて、向こうからすれば許せない」

ヴェールヌイ「しかし深海棲艦に対抗しうるのは艦娘だけだからね」

朝雲「だからせめて、こうして揺さぶりをかけておこうって?」

提督「まったく、この世界中が大変な時にバカバカしい話だ」

ヴェールヌイ「艦娘や深海棲艦というまったく新しい未知の存在に世界中が戸惑っているのさ」

『基礎代謝を上げて痩せる体を作ろう! 正しいダイエット法で健康的に痩せる!』
『まずは2ヶ月! 体験コースのご案内は……』ピッ


ヴェールヌイ「それに……私達だって、戸惑っているさ」

提督「え?」

ヴェールヌイ「こうして人間と同じような身体を得てしまって、知らないことわからないことだらけ」

ヴェールヌイ「眠くなったりお腹が空いたり……誰かを好きになったり」

ヴェールヌイ「そのいちいちがひどく煩わしくて面倒くさくて、愛おしい」

ヴェールヌイ「全部、艦娘になったからこそ感じることができたこと。だから、みんな戸惑っているんだ」

ヴェールヌイ「暁や雷や電……彼女達はもう単なる同型艦じゃない。姉妹で家族なんだ」

ヴェールヌイ「だから虚心ではいられない自分がいる……君もそうだろう、朝雲」

朝雲「そうね……その通りよ。実はヴェールヌイに会いに来たのも山雲のことなの」

提督「朝雲が山雲と文通してるのは知ってるか?」

ヴェールヌイ「Да、知っているよ。朝雲はよく山雲のことを話すからね」

朝雲「山雲への手紙になにか添えたいんだけど、いいものはないかなって」

ヴェールヌイ「なるほど。そういうことかい」

提督「木曾の奴は、写真なんかいいんじゃないかって言ってたぞ」

ヴェールヌイ「ふうん……なら私はこれかな」スッ

朝雲「これ……カセットテープ?」

提督「今どきカセットテープかよ」

ヴェールヌイ「それに君のメッセージを吹き込むんだ。私達は普段、電話とかじゃ話せない」

ヴェールヌイ「なんならテープレコーダーも貸してあげるよ」

提督「朝雲の元気そうな声を聞かせてやれば、山雲も喜ぶか?」

朝雲「それ、いいかも! ありがとうヴェールヌイ」

ヴェールヌイ「ただし、吹き込む内容には注意することだね。内容は検閲されるし、音声解析にもかけられる」

ヴェールヌイ「各音域の信号解析、音源の逆回転、回転数の変更、語彙の偏りやイデオロギー的傾向」

ヴェールヌイ「キッチリすべてチェックされてから向こうに送られるから、あまり個人的なことを言うと恥をかくよ」

朝雲「うえぇ……防諜上の理由とはいえ、そこまでやるの?」

提督「仕方ないさ。木曾も言ってたが、最近の海軍は艦娘絡みの不祥事が多い」

提督「それは艦娘自身が起こす不祥事も含まれる……この間のハイエース事件のようにな」

朝雲「つまり私達も疑われてるってことでしょ!」

ヴェールヌイ「私達を人間と変わりなく扱ってるってことでもあるさ。逆説的だけどね」

提督「ともあれ、肉声のメッセージもいいアイディアだ。サンキューな」

ヴェールヌイ「Пожалуйста……ああ、そうだ。司令官、これを」スッ

提督「ん? またカセットテープか……」

【Любимый】

朝雲「何これ、ロシア語?」

提督「おいヴェールヌイ、俺ロシア語はさっぱりだぞ」

ヴェールヌイ「いいさ、わからなくても。私から司令官へのメッセージだよ」

提督「? じゃあ、あとで聞いてみるか……」



提督(さて、余談だ。そのテープに吹き込まれていたメッセージもまた、全部ロシア語だったわけだが……)

提督(内容が気になって、執務の合間にビスマルクやあきつ丸に手伝ってもらって翻訳した結果)

提督(メッセージの内容はある著名なロシアの詩人の愛の詩を朗読したものだったことが判明)

提督(そして、ラベルに書かれていた言葉の意味も……)

提督(……『愛しい人よ』、か。子供のくせに、まったく……)

――――――――――
横須賀鎮守府
エントランスホール

 
 
 
朝雲「あれぇ? 愛宕さん、どこに行ったのかしら」キョロキョロ


提督「宿舎にも食堂にもいなかったし、かといって訓練の時間でもないし外出許可も出てない……」

提督「う~ん、愛宕がいそうな場所といっても皆目見当も……ん?」prrr prrr

朝雲「司令の通信機、鳴ってるわよ」

提督「誰だ? ……はい、こちら提督」カチャ ピッ

あきつ丸『提督殿。あきつ丸であります』

提督「あきつ丸? どうした、何かあったのか」

あきつ丸『提督殿のお耳に入れたい案件が。至急、地下格納庫へ来て頂きたい』

提督「なに? ……わかった。すぐ行く」ピッ

提督「すまん朝雲、ちょっと急な用事だ。執務室で待っててくれ」

朝雲「今の、あきつ丸さんからよね? どうしたのかしら……」

提督「さあな。ただ少なくとも、あいつの持ち込む『急な用事』はロクなもんじゃないと相場が決まってる」

提督(あきつ丸は陸軍憲兵隊はもちろん情報部とも繋がりがある)

提督(どうやら秘密裏に海軍の内部調査を行っているらしく、時折俺のもとに妙な情報を持ってきたりする)

提督(そして、それらは皆ろくでもない情報なのだ。良いニュースなどあった試しがない)

提督「遅くなりそうなら連絡するよ。そろそろビスマルクも戻ってるだろうし……」

朝雲「了解。途中で愛宕さんに会ったら聞いといてね」

提督「了解。じゃ、行ってくる」

――――――――――
横須賀鎮守府
工廠地下・資材格納庫

 
 
 
カツーン……カツーン……



提督「いたな、あきつ丸」

あきつ丸「提督殿! 急にお呼び立てして申し訳ないであります」ピシッ

提督「いや、いい。今回はどんな話だ? またどこかの戦艦が駆逐艦を誘拐でもしたか」

あきつ丸「ある意味それより大変な話でありますよ。さあ、こちらへ」


ガチャッ ギィィィー……


提督(格納庫の通用口のドアを開けると、資材コンテナの林立する中にパイプ椅子がぽつんと置かれていた)

提督(そして手錠をかけられ椅子に座らせられているのは……俺の予想もしない人物だった)

提督「……愛宕!?」

愛宕「提督! お願い、あきつ丸ちゃんを説得してぇ!」

あきつ丸「黙るであります! 貴様は聞かれたことのみに答えればよい」

提督「おいあきつ丸、どういうことだ! どうして愛宕を拘束してる」

あきつ丸「それについてはこれから申し上げる。まずはこれを」ドサッ

提督(そう言ってあきつ丸が出したのは、見覚えのあるデザインのダンボール箱だ)

提督(有名な通販サイトのロゴマークが描かれたそれの、伝票の部分をあきつ丸が指差して見せる)

 
あきつ丸「ここに書かれている宛名、確かに提督殿のものですな?」

提督「ん……送り先はこの鎮守府だが、宛名は俺だな……しかし」

あきつ丸「しかし、提督殿はここ最近、通信販売などしてはいらっしゃらない。そうでしょう」

提督「ああ。というか、俺が個人的な買い物をするのにこの鎮守府の住所を使うわけがない」

愛宕「て、提督。あのね、それは違うのよぉ」

あきつ丸「黙れというのがわからんのか!」

提督「よせ、あきつ丸! ……愛宕が何か知ってるのか?」

愛宕「あの、そのぉ……」

 
あきつ丸「こ奴は提督殿の名を使い、通販サイトで自分の個人的な買い物をしていたようなのであります」

提督「なんだって?」

あきつ丸「携帯電話やパソコン等の情報機器の使用制限に抵触するのは当然、防諜上も大問題ですな」

あきつ丸「先週の休日に外出し、街のインターネットカフェから注文したのは調べがついています」

提督「おいおい……警備兵にハンバーガー買いに行かせる木曾より性質が悪いな」

あきつ丸「しかも!」


バッ ドサドサ


愛宕「あぁっ! ダメぇ!」

 
提督(あきつ丸がダンボール箱をひっくり返すと、中からは数冊の本が落ちてきた)

提督(その表紙には……まあ、その、なんだ)

提督(例えば上半身裸の線の細い美少年であったりとか、そういう感じのが描かれている漫画や小説)

提督(これは所謂ショタものというんだろうか……その手の書籍だった)

愛宕「やだぁ、もぉ~! あきつ丸ちゃんひどぉーい!」ジタバタ

あきつ丸「酷いのはどちらでありますか。提督殿の名を騙ってこんないやらしい書籍を買うなど」

愛宕「だって大本営がこういうの買っちゃダメっていうじゃない!」

提督「まあ、艦娘が購入できる物品に関しても様々な規定や審査があるが……」

 
あきつ丸「郵便物の検閲を担当する情報部の士官が怪訝な顔をしておりましたよ」

提督「だろうな。俺宛てに届きそうな代物じゃない」

あきつ丸「あと、お若い提督殿は禁欲生活のせいで少年趣味に目覚めたのか、とも」

提督「もうツッコむのもめんどくさいな」

愛宕「ホモとショタが嫌いな女の子なんていないわよぉ」フンス

あきつ丸「自分にはまったく理解できませぬ」

提督「それに俺は男の子なんだが」

愛宕「だったら目覚めればいいじゃない! さあ提督もジョイナス!」パンパカパーン

提督「ノーサンキューだ」

あきつ丸「それにしても下手人はまったく反省の色がありませんな」

 
提督「はぁ、こいつときたらまったく……」

あきつ丸「提督殿、こ奴の処分はいかがなさいましょう」

提督「ん……そうだな。とりあえずあきつ丸、手錠の鍵をくれ。愛宕の拘束を解く」

あきつ丸「よろしいのですか?」

提督「キツく注意はしておくさ。お前も宿舎に戻れ。もう遅い」

あきつ丸「提督殿がそうおっしゃるのならば、自分は提督殿の判断に従います。ですが」

提督「不服そうだな」

あきつ丸「自分ごときが差し出がましいことを……と承知しておりますが……」

あきつ丸「今後もこのようなことが続くのであれば、提督殿は司令官として鼎の軽重を問われましょう」

あきつ丸「艦娘に頼りきった今の海軍は規律の箍が緩んでおります。部下に寛容であるばかりでは」

提督「わかってる。お前の忠告、肝に銘じておくよ」ポン

あきつ丸「……提督殿のご寛容とご器量は流石というものですが、それが仇にならぬことを祈ります。では」

提督「ああ、俺もそうであって欲しいよ。じゃあな」

あきつ丸「失礼するであります」ピシッ

提督「さて、愛宕。俺に何か言うことはないか」ジロッ

愛宕「……ごめんなさぁい。提督に悪いと思ったんだけど、抑えきれなくって」シュン

提督「まあ、お前みたいな趣味の女性も世の中には大勢いるもんだし、理解もするが……」

提督「しかしお前達艦娘は少しばかり複雑な立場にいる。自由に買い物もできないのは仕方ないんだ」

提督「そして俺も立場上、お前に罰を与えなきゃならない。わかってくれるな?」

愛宕「はぁーい……」

提督「よし。なら、お前には向こう一ヶ月外出許可を出さない。出撃以外では鎮守府から出るなよ」カチャカチャ

提督「あと、その手の本を朝雲やヴェールヌイには見せるな。あいつらにはまだ早い……っと」ガチャン

愛宕「やっと外れた……んもう、あきつ丸ちゃんったら。彼女、いきなり部屋に踏み込んできたのよぉ」

提督「強襲揚陸艦がよく重巡洋艦を取り押さえられたもんだな……」

 
提督「とにかく、この話はこれで終わりだ。猛省しろ」

提督「……で、だ。実はこれとは別件でお前を探してたんだ。聞いてくれるか」

愛宕「? いいけど……あっ、ひょっとして朝雲ちゃんのこと?」

提督「なんだ、知ってたのか?」

愛宕「木曾ちゃんに聞いたのよぉ。姉妹に宛てる手紙について相談されたって」

提督「だったら話は早い。お前なら、姉妹――高雄、摩耶、鳥海だったか。彼女達に何を贈る?」

愛宕「そうねぇ……ちょっとした小物とか、アクセサリーなんてどうかしら?」

提督「アクセサリーか」

愛宕「髪飾りとかブレスレットとか。艦娘だって人間と同じ女の子なんだから、そういうの、嬉しいものなのよ」

提督「なるほど。問題はそのアクセサリーをどこで調達するかだな」

 
愛宕「お店で買えばいいじゃない。そもそも、どうして艦娘が自由にお買いものしちゃいけないのよぉ?」

愛宕「買い物だけじゃなく、ありとあらゆる行動に制限があって、監視までつくし……」

提督「艦娘の行動が制限される理由か……お前はどう思うんだ?」

愛宕「知らなぁい。そう言う提督の見解はどうなの?」

提督「……なんと言うかな。艦娘に余計な知恵を付けさせたくないんじゃないかって俺は思ってる」

愛宕「余計な知恵って……提督、そんなこと考えてたのぉ?」ジトー

提督「睨むな、俺の勝手な想像と解釈だ……それはともかく、人間は艦娘を恐れてるってことさ」

提督「言ってしまえば、艦娘はひどく歪な生き物だ。生物学的に雌しかいないってこともそうだが」

提督「最低でも小学校高学年程度、高ければ20代そこそこの身体を持って生まれてくる」

提督「海での戦い方はよく知っているくせに、現代社会の知識も常識も皆無」

提督「それでいて、人間よりもはるかに頑健な肉体を持つ……」

提督「艦娘は、本質的に深海棲艦と同一視されている。建前じゃなく本音のところでな」

 
愛宕「そんなこと言われたって、私達にはどうしようもないわ。そういう風に生まれるんだもの」

提督「ああ、同感だ。それはお前達のせいじゃない」

提督「だがお偉いさんは、艦娘が人間に酷似しているがゆえに、恐れているんだと思う」

提督「人間と同じ欲望、人間と同じ思考。それでいて人間よりも強い……恐れずにはいられないだろう」

愛宕「それは私達が……人間に向かって牙を剥くかもしれない、ってこと?」

提督「ハッキリ言えばそうだ。極端な話、仮に艦娘同士が結託してクーデターでも起こされてみろ」

提督「おそらく止めようがない。止められるにしても大きな犠牲は免れない」

提督「そして、それに至る道はどこから通じているのか。それも俺達には知りようがない」

提督「だから大本営は艦娘が妙な情報に触れて思想的に悪影響を受けないよう、そういうのを遮断してるんだ」

 
愛宕「要するに、大本営は艦娘を、深海棲艦と戦うための兵器のままにしておきたいってことなのね」

提督「まあ、あくまでこれは俺の勝手な解釈だ。真実がどうかは知らない」

提督「だが艦娘による多数の規則破り……あるいはそれに留まらない大小の犯罪行為」

提督「大本営が、これら艦娘関係の不祥事を重く見ているのは確かだな」

愛宕「実際規則破りをした私が言うのもなんだけど、勝手な話ね」プンスカ

提督「普遍的なテーマさ。人間以外の知性への恐れ……小説にも映画にもありふれてる」

愛宕「なら、提督も私達を恐れているのかしら」

提督「……さあな。でも俺は、お前達と信頼関係を築けていると思ってるよ」

提督「俺にとってはみんな大事な友人で、仲間だ。それじゃあダメか?」

愛宕「誤魔化しにもなってないわよぉ? まあ、悪い気はしないけどね」

 
提督「それじゃ、お前も宿舎に戻って寝ろ。もうこういうことは二度とするなよ」

愛宕「はぁーい。あーあ、お気に入りの作家の新刊がもうすぐ発売なのにぃ」ハァ

提督「そう落ち込むなって。外出禁止の期間が終わったらお前の買い物に付き合ってやってもいい」

愛宕「えっ、いいの?」

提督「お前だけに外出させるのはダメだが、監視役が同伴するなら大丈夫だ」

愛宕「……ふぅーん。ひょっとして私、デートに誘われてるのぉ?」ニヤニヤ

提督「デートじゃない。その証拠に飯代は割り勘だからな」

愛宕「提督も意外とケチねぇ。それともビスマルクさんやあきつ丸ちゃんには奢ってあげるのかしら?」

提督「どうだかな。じゃあ、俺は執務室に戻るよ。おやすみ」

愛宕「おやすみなさーい♪」

急遽安価

下1~3 最もコンマが低い艦娘

 
――――――――――
横須賀鎮守府
正門広場

 
 
 
提督「愛宕にも困ったもんだぜ、まったく……」テクテク


提督「……」

提督(艦娘による規則破りや犯罪……)

提督(彼女達は人間と何も変わらない。知性も理性も感情も、他者へ共感する力もある)

提督(人間と変わらないからこそ、邪な心もある。人間に服従し続けることを期待する方が間違いなんだろう)

提督(人間だっていい奴もいれば悪い奴もいる。艦娘だって……)

提督「だからこそ本当の信頼関係ってやつが必要になる、か」

提督「……ん?」

 
ブロロロ……キキィッ

バタン ザッザッザッ



提督「なっ……!? あの部隊は」

提督(鎮守府の正門前に黒塗りの装甲車数台が停まり、ライオットアーマーを着込んだ部隊が展開した)

提督(装甲車やアーマーに描かれた部隊章には見覚えがある……陸軍が誇る精鋭・武装憲兵隊だ)

提督(そして30人近い戦闘員を引き連れて正門をくぐってきたのは……)

?「竹内司令官さん。お久しぶりなのです。響お姉ちゃんやあきつ丸さんはお元気ですか?」

提督「……ええ、おかげさまで。特Ⅲ型駆逐艦4番艦・電……憲兵隊長殿」

電「そんなに畏まらなくても結構なのです! 司令官さんも電も少将待遇、階級上は同格なのです」

提督「そりゃどうも……」

 
提督(特Ⅲ型駆逐艦4番艦・電。ウチのヴェールヌイの妹でもある……あ、竹内ってのは俺の名字だ)

提督(俺の指揮下の艦娘は変わり者が多いと評判だが、こいつにゃ負けるだろう)

提督(元々とある提督の副官だった彼女だが、そこの鎮守府はとんでもないブラック鎮守府)

提督(その提督は艦娘を感情のない兵器、あるいはいくらでも補充の効く捨て駒としか考えておらず)

提督(劣悪な環境で艦娘をこき使い、裏ではかなり悪どいことをやっていたらしい)

提督(そんなブラック提督に見切りをつけた電は不満分子を糾合、反乱を扇動し鎮守府を占拠)

提督(提督を拘束し、提督に媚びへつらい付き従っていた艦娘らをも粛清した後、自身は憲兵隊に出頭)

提督(そして提督の悪事の証拠をぶちまけた上で、自分の調査・指揮能力を憲兵隊に売り込んだという)

提督(その豪胆さを憲兵総監に気に入られた電は、鎮守府解体後、新設された武装憲兵隊の隊長に抜擢された)

提督(今じゃ武装憲兵隊は末端の一兵卒に至るまで、彼女の従順な犬だとか……)

 
提督「しかし完全武装の特殊部隊が装甲車で乗り付けてくるとは穏やかじゃないな。いったい何事だ?」

電「あきつ丸さんから聞いてないのです? 電は横須賀鎮守府に裏切り者がいると聞いてやってきたのです」

電「通信機器使用制限条項の無視、軍事機密漏洩とくれば、我ら武装憲兵隊の出番なのです!」フンス

提督「その話はもう終わったよ。しでかした奴には厳重注意の上、罰を与えた」

電「雷撃処分ですか? それとも解体?」

提督「いや、一ヶ月の外出禁止を言い渡した」

電「……相変わらず司令官さんはお優しいのです。でも優しいだけでは法の公正は保てないのですよ?」

提督「わかってるよ。さっきあきつ丸にも似たようなことを言われたからな」

電「ええ、元警察官の司令官さんにそのことがわからないわけはないのです」

電「警察官は公共の正義のため、軍人は国家の安寧のため。私情に駆られて判断を誤ってはいけないのです」

提督「……やれやれ。自分よりこんなに背の小さい女の子に諭されるようじゃ、俺もまだまだだな」

電「むっ、身長のことは言わないで欲しいのです! 毎朝牛乳だって飲んでるのです!」プンスカ

 
提督「だが、今日のところはお引き取り願いたいな。向こうも初犯のようだし、反省もしてる」

提督「艦娘を必要以上に監視・束縛する規則の方にも原因があるだろうし、情状酌量の余地はあると判断した」

電「……まあ、司令官さんがそう言うならいいのです」

電「響お姉ちゃんがああも信頼を寄せる人なら信用に値すると思いますし……」

電「皆さん、今日のところは帰りましょう。各員、装甲車にて待機なのです!」


「「「了解!!」」」


ザッザッザッ……


提督(……流石だな。初の女性、しかも艦娘の憲兵隊長か)

 
電「武装憲兵隊は陸軍でも指折りの精鋭揃いなのです。憲兵総監さんの人事は見事と言うべきなのです」

提督「自分も含めて?」

電「当然なのです」キリッ

提督「その陸軍屈指の精鋭をああもまとめ上げてるんだ。どうやら否定のしようもないな……」

電「それでは、電はこれで失礼するのです。司令官さん」ピシッ

提督「ああ。電も身体に気をつけてな」ピシッ

提督(……ややぎこちなく敬礼し合った後、電は正門前に待たせた装甲車へ歩いていった)

提督(陸軍憲兵隊の所属になっても、電の敬礼は海軍式のままだった)

提督(ブラック鎮守府で海軍内部の闇を垣間見た彼女だ。その心中は複雑だろう……)

 
提督(だが艦娘を蔑ろにする提督に対しての抵抗であったとしても、艦娘が反乱を起こした事実は事実)

提督(俺はその反乱以降にスカウトされたから詳細はよく知らないが……)

提督(電の扇動した反乱が、結果として、大本営の艦娘への不信感を強め)

提督(現在の艦娘を必要以上に束縛する状況を招いてしまったのではないだろうか)

提督(だとすればあるいは、彼女が憲兵隊に転属して海軍内部の腐敗を取り締まるのは)

提督(自分のしたことで仲間達に迷惑が及んでいることへの罪滅ぼしなのか?)

提督「……いや、わかるもんかよ。単に出世に欲が出ただけかもしれないしな」

提督「それにしても艦娘が憲兵か。確かに、これ以上の適材もいないかもな……」

今週中には続き投下します

 
――――――――――
横須賀鎮守府
執務室

 
 
 
提督「まったく、愛宕といい電といい人騒がせな……」


提督「他所の鎮守府はもっと騒がしいもんだっていうけど、どんなもんだか一度見てみたいもんだ」

ガチャッ

提督「朝雲、いるかー?」

朝雲「あっ、司令。何してたのよ、遅かったじゃない」

提督「ちょっとお客さんの相手をな。ところでビスマルクは?」

朝雲「掃除が終わって執務室に戻ってきたんだけど、司令がいないってわかったら拗ねて部屋に帰っちゃった」

朝雲「『私への労いの言葉ひとつ用意していないなんて、Admiralも偉くなったものね!』……なんて」

提督「似てないぞ、朝雲。ていうか子供かあいつは」

朝雲「せっかくだからビスマルクさんにも聞いておこうと思ったんだけど、すぐ行っちゃって」

提督「アレでも一応秘書艦で、艦隊旗艦なんだけどなぁ……」

 
朝雲「それで、用事は済んだの?」

提督「ああ。危うく憲兵沙汰だったけどな」ヨッコイショ

提督「武装憲兵隊の電、知ってるだろ? ヴェールヌイの妹。あいつと会ったよ」

朝雲「電って、あの……」

提督「艦娘が大体少佐~大佐待遇だってことを考えると、あいつは少将だ。出世頭だな」

朝雲「……事情はともかく、あまり好きにはなれないわ。ヴェールヌイには悪いけど」

提督「彼女が自分とこの鎮守府を売って武装憲兵隊の隊長の座に収まったからか?」

朝雲「そうじゃなくて、得体が知れないというか……平気な顔をして憲兵隊にいるのが信じられないのよ」

提督「言ってやるなよ。電の本心がどうなのかは俺達には計り知れんことさ」

 
提督「それから愛宕にも会ってきた。お前の相談ごとについて意見を聞いてきたよ」

朝雲「ホント? 愛宕さんはなんて?」

提督「小物やアクセサリーがいいんじゃないかってさ」

朝雲「女子力高そうな愛宕さんらしいわね」

提督(あいつは女子は女子でも腐ってる方の女子なんだが……まあ、言わないでおこう)

提督「アクセサリーの類が欲しいならカタログを取り寄せてやるが?」

朝雲「そうね、どうせ貯金はたくさんあるもの」クスッ

提督「へえ、いくらくらいだ?」

朝雲「新車が買える程度には持ってたはずだけど。司令は?」

提督「実は俺もだ。高い給料を使うヒマがないのはお互い様だな」フフッ

 
提督「とりあえず一通り聞いて回ってきたが、結局どうする?」

朝雲「それなんだけどね、司令を待ってる間に考えたんだけど……」

朝雲「木曽さんとヴェールヌイの案を両方取って、ビデオを撮るのはどうかなって思うの」

提督「なるほど。動画なら声も姿も伝えられるわけだ」

朝雲「司令やみんなの日常を山雲に見せてあげられるし、いいアイディアでしょ?」

提督「木曽も言ってたが、変なもん映してくれるなよ? 例えば不貞腐れて布団にくるまってるビスマルクとか」

朝雲「それ、今現在のビスマルクさんでしょ。ていうかわかるの?」

提督「大体想像はつく。前にも俺の部屋のベッドを占領して譲らなかったことがあるからな」

朝雲「そ、それで? 一緒に寝たの?」ゴクッ

提督「まさか。ベッドは諦めてソファで寝たよ。かくのごとく、あいつは意地っ張りで見栄っ張りなんだ」

 
提督「じゃあ、方針も固まったところで……っと。どこに置いたっけな」ゴソゴソ

朝雲「司令? なに探してるのよ」

提督「あったあった、演習の申込書類……山雲がいるの、呉だったっけか? 演習の段取りをつけてやるよ」

朝雲「えっ、いいの?」

提督「任せとけよ。演習が終わった後にでも山雲とゆっくり話して来ればいい」

提督「それから向こうと連絡を取り合って、お前達の休暇の日にちを調整したりもできると思う」

提督「監視や護衛はつくだろうが、姉妹で出かけることもできるぞ」

朝雲「ホント!?」

提督「ああ。少なくとも一~二ヶ月は先の話になっちまうけどな」

 
朝雲「司令……ありがとう。でもどうしてそこまで?」

提督「いつだって現場で頑張ってんのはお前達だ。少しくらい希望を叶えてやらないとな」ポン

提督「まあ、規則上勝手にやるわけにもいかないから何かと手続きが必要だけど」

朝雲「仕事が増えるのは大変じゃないの?」

提督「書類を書いたりハンコを押すのも慣れたもんさ。刑事も提督もペーパーワークが多いからな」

提督「しかしまあ……木曾や愛宕も、一言くらい俺に相談してくれりゃあなぁ」ポリポリ

提督「バカな規則破りをしなくても何とかしてやれるのかもしれないのにな。まったく」

朝雲「ふふっ……足りないんじゃない? 好感度ってものが」クスクス

提督「なにをぉ? こいつ、この野郎ぉ」ワシャワシャ

朝雲「あっ、ちょっとやめてよ! もう……!」ジタバタ

 
――――――――――
横須賀鎮守府
提督の寝室前

 
 
 
提督「ん゛んっ……今日はまた一段と疲れたな、しかし」ノビー


提督「ウチの鎮守府に武装憲兵隊が乗り込んでくるのはこれっきりにしてほしいもんだ……」ガチャッ

提督「……ん?」

 
 
 
ビスマルク「」気絶


あきつ丸「」気絶

 
 
 
提督「……え?」

 
~~数分後~~

 
 
 
提督「……で? なんだって俺の寝室のベッドの上で、お前達二人がダブルノックダウンしてたんだ?」


ビスマルク「この陸軍の雌犬が悪いのよ」フンッ

あきつ丸「この独逸の女狐めが悪いのであります」シレッ

提督「責任の所在はこの際どうでもいいから、ここに至る経緯を話してくれないか……」ハァ

提督「とりあえず一人ずつ事情聴取と行くか。ビスマルク、何があったんだ?」

ビスマルク「私に非はないわよ! 提督がいつまでも朝雲に構っているから!」プンスカ

提督「別に朝雲を構ってたわけじゃなくて、あいつの頼みをだな」

ビスマルク「知らないわ。この私をほったらかしにしたことへの正当な抗議よ!」

提督「子供かお前は」

ビスマルク「そうしたらアキツマルがやってきて、わけのわからないことを言い出すから……」

あきつ丸「ふん、わけのわからないのはどちらでありますか。我が儘にも限度がありましょう」

ビスマルク「なんですって!」

提督「OK、わかった。次はあきつ丸、お前の番だ」

 
あきつ丸「今日は武装憲兵隊の件もあって提督殿に色々とご迷惑をおかけしましたから」

あきつ丸「せめてものお詫びとして、このあきつ丸が同衾して差し上げようかと思いまして」キリッ

ビスマルク「」イラッ

提督「ほほう、そいつは夢のある話だな。それで?」

あきつ丸「寝所にて提督殿をお待ちしようと思いこちらへ伺ったのですが、そこにビスマルク殿がおりまして」

あきつ丸「聞けば、廊下の掃除を終えた後も提督殿が執務室に戻ってこなかったと不平不満を鳴らし」

あきつ丸「あまつさえベッドを占領して提督殿を困らせてやろうなどと幼稚な悪戯を企む始末」

あきつ丸「かような不忠者を看過するなど横須賀鎮守府第一艦隊の名折れ。叩き出してやろうとして……」

提督「見事ダブルノックダウンってわけか。よくドイツの誇る大戦艦を相打ちに持ち込めたな……」

あきつ丸「ふふん」ドヤッ

提督「だが上官の寝室に忍び込んで喧嘩をやることで俺に更なる迷惑をかけてるからな?」

あきつ丸「う……まあ、それを言われると一言もありませぬが……」

 
提督「そもそも艦娘同士が私闘に及ぶこと自体問題だ。仲間だろ、俺達は」

ビスマルク「……ふんっ、仕方ないわね。提督に免じて、今日のところは許してあげるわ」

提督「お前もだ、あきつ丸。お前とビスマルクの反りが合わんことくらい、俺としても百も承知だが……」

あきつ丸「……ええ。自分も提督殿のご迷惑になるのは本意ではありませんからな」

提督「よし。今はそれでいい。すぐに仲直りが難しいなら、せめて軍務に関する限りは私的感情を抑えろ」

提督「規律は規律。こういう趣旨のことをお前自身が言ってただろうが」

あきつ丸「これは参りました……偉そうなことを言って、自分もまだまだということでありますか」

提督「俺も規則を守らせ自他の行動を律する立場にいるが、あまりうるさくするのも好かない」

提督「艦隊の中心的存在であるところのお前達が率先して仲間割れしてるようじゃ困るんだよ。な?」ポン

ビスマルク「……そうね。覚えておくわ、Admiral」

 
提督「さあ、それじゃいい加減に寝るとするか。明日も早いしな」

あきつ丸「そうですな。では提督殿、不肖このあきつ丸が添い寝して差し上げましょう」イソイソ

ビスマルク「あっ、貴女ねぇ! まだそんなことを……」

提督「ああ、それだがな、あきつ丸。添い寝ならビスマルクにしてやれ。俺はソファで寝るから」ヨッコイショ

あきつ丸「なっ、何故でありますか!? ならば自分もソファで」

提督「悪いなあきつ丸、このソファは一人用だ。二人仲良くベッドで寝るんだな」ヒラヒラ

ビスマルク「アキツマルと一緒のベッドで寝ろだなんて趣味が悪いわよ、まったく……」

提督「俺なりの懲罰とでも思っとけ。消灯時間はもう過ぎてるんだ、さっさと寝ろよ」ニヤニヤ

 
 
 
提督(寝室の照明を落としてしばらくは、狭いだのあっち行けだのと言った小声の罵り合いが聞こえた)


提督(しかし俺の手前もあって、再びビスマルクとあきつ丸が取っ組み合いになることもなく)

提督(一時間もしたら悪口雑言は寝息にとって代わり、ほどなくして俺も眠りについた)

好感度一覧

ビスマルク:76(好き)

あきつ丸:84(運命の人)

朝雲:50(気になる)

木曾:33(友達)

響:84(運命の人)

愛宕:38(友達)

電:68(微妙な関係)

【イベント】
艦娘と交流し好感度を上げます。内容は安価。

【イベント登場艦娘】
イベントのメインキャラ(主役)とサイドキック(脇役)を決め、
その艦娘の好感度のみアップします。
メインキャラはコンマの数字の下二桁の合計、サイドキックはコンマの下一桁の数字だけ
好感度がアップします。
>>1のその日の気分で裏設定が生えたり生えなかったりします。

【ケッコン可能状態】
好感度が100を超えた艦娘はケッコン可能状態となります。
ケッコン可能な艦娘がイベントのメインキャラに選ばれた場合、
二人は幸せなキスをして終了となります。

【二人は幸せなキスをして終了イベント】
要するにエンディングです。

↓1 次回メインキャラ
↓2~3 次回サイドキック

↓5 イベント内容



なお過度のエロ、基地外はキャンセルだ

艦娘は>>115の面々からお願いします

再安価
↓1 メインキャラ
↓2 サイドキック

メインキャラ:愛宕(38→54)
サイドキック:雷(68→71)、ビスマルク(76→77)

イベント内容:パーティー


今日はこれまで
せっかくなんで那珂ちゃんと五月雨も出したいと思います(願望)

土日中には投稿します。たぶん

 
――――――――――
横須賀鎮守府
食堂

 
 
 
『――次のニュースです。冬を彩るイルミネーションに、今年新たなスポットが登場しました』

『京都府舞鶴市の舞鶴鎮守府では、約20万個のLED電球で夜の鎮守府を飾る電飾イベントを……』


提督「イルミネーションねぇ……戦時中だってのに呑気なもんだな」

ビスマルク「そうかしら? いいじゃない、現場の士気にも関わることよ?」

ビスマルク「第一次大戦ではクリスマス休戦なんて出来事もあったくらいだし、基地の飾りつけくらい」

提督「そりゃ人間同士の話だ。深海棲艦にもクリスマスを祝う文化があれば話は別だが……」

提督「夜でも電飾をつけてるなんて夜襲してくれと言ってるようなもんだろ。危ないんじゃないか?」

ビスマルク「……職務に忠実なのは評価するけれど、つまらない言い分ね」

提督「自覚はある。一日も早く、こういうことを気にしなくていい世の中にしたいもんだぜ」ヤレヤレ

 
提督「……まあ、今からイルミネーションなんて飾ろうとしても、色々な許可や手続きで年を跨いじまうしな」

ビスマルク「官僚組織の迂遠さね。どこの軍隊でも似たようなものよ」

提督「俺の一存でやってもいいが、事後承諾で事を起こすと後が面倒だしな……」

ビスマルク「でも、ウチでもクリスマスパーティーくらいは企画してるでしょう? 年末年始の休暇も」

提督「ああ。ビスマルク、お前はどうだ? しばらくドイツに里帰りとか」

ビスマルク「面白くない冗談ね、提督。秘書艦の私がいなくてどうするというの?」

提督「別に秘書艦の業務なら、例えばあきつ丸辺りに代わってもらってもいいだろ」

ビスマルク「ダメ、ダメよ! よりによってアキツマルなんて、提督が許しても私が許さないわ」プンッ

提督「……お前らの溝は深いな。前も言ったが、俺の前でくらいは友達のふりをしてみろよ」

ビスマルク「軍務に支障をきたすようなことはしない、それだけよ。仲間であっても友達ではないわ」ツーン

 
タッタッタッ


愛宕「あっ、いたいた。提督ー? ちょっといいかしらー?」

ビスマルク「アタゴ?」

提督「どうした愛宕、何か用か」

愛宕「お客様を連れてきたのよ。提督に会いたいんですって」

ビスマルク「提督に?」

愛宕「ええ。お客さんは提督も知ってる人よ」

提督「俺も知ってる……? 誰だ?」

愛宕「会ってみればわかるわよぉ。応接室で待ってもらってるから、早く来てね」

提督「わかった。すぐに行こう」

 
タッタッタッ


愛宕「あっ、いたいた。提督ー? ちょっといいかしらー?」

ビスマルク「アタゴ?」

提督「どうした愛宕、何か用か」

愛宕「お客様を連れてきたのよ。提督に会いたいんですって」

ビスマルク「提督に?」

愛宕「ええ。お客さんは提督も知ってる人よ」

提督「俺も知ってる……? 誰だ?」

愛宕「会ってみればわかるわよぉ。応接室で待ってもらってるから、早く来てね」

提督「わかった。すぐに行こう」

 
――――――――――
横須賀鎮守府
応接室

 
 
 
ガチャッ



愛宕「ぱんぱかぱーん♪ 提督のおなーりー♪」

提督「そういうのはいらないから」ペシッ

愛宕「あ痛ったぁ! もう、ほんのジョークよぉ」

ビスマルク「仮にも外出禁止処分中の身でしょうに、少しは自重しなさい」

愛宕「二人ともお堅いのねぇ……五月雨ちゃん、提督を連れてきたわよぉ」

提督「なに?」



五月雨「竹内少将! お久しぶりです!」

 
提督「五月雨……五月雨じゃないか! 久しぶりだな、元気でやってたか?」

五月雨「はい、おかげさまで。少将もお変わりなく」

ビスマルク「……提督、この子は?」

提督「ああ、紹介するよ。こいつは五月雨、俺の元秘書艦だ」

五月雨「五月雨です。よろしくお願いします!」ペコッ

ビスマルク「元? じゃあ彼女はここの艦娘なのかしら」

愛宕「ええ。ビスマルクちゃんがウチに来るちょっと前の時期に他所の鎮守府に異動になったのよね」

提督「さっきテレビでやってた舞鶴鎮守府だ。なんでも新しい提督候補者が見つかったとかでさ」

提督「錬度の高い駆逐艦が必要になったからって、五月雨に白羽の矢が立ったわけだ」

提督「五月雨、向こうではドジってないか? コーヒーに砂糖と間違えて塩入れたりしてないか?」

五月雨「だ、大丈夫ですっ! 艦隊のみなさんにご迷惑はおかけしませんから!」

 
提督「しかし、五月雨が舞鶴に行ってもう2年くらいになるか。何回か手紙は送ったんだが……」

五月雨「すみません、こっちから返信はできなかったんです。機密保持の名目で色々制限されてて」

愛宕「私達、何かと秘密ばっかりで、便りがないのは元気な証拠とも限らないものね」

提督「舞鶴の提督はどんな奴なんだ? 会う機会もないし、俺はよく知らないんだが」

五月雨「えぇと……なんていうか、個性的、というか」

提督「すると俺みたいに外部からスカウトされたのかね」

五月雨「はい。異動してしばらくは、香取さんや大井さんと提督の教導にかかりきりでした」

提督「あー、あいつらか……俺の時もかなりキツかったよなぁ」

愛宕「最近多いわよねぇ、スカウト組。呉鎮守府もそうだったんじゃないかしら」

提督「妖精さんとコミュニケーションできる能力を持った人間もそう多くはないらしいからな」

五月雨「妖精さん達は私達の装備の運用を一手に担ってくれてますから、どうしても必須の技能ですからね」

提督「実際、見えはするが何を言ってるかわからなかったり、そもそも見えなかったりじゃ仕事にならん」

愛宕「そういう人を外部から探してきて提督にするくらい、今の海軍に人材がないってことでもあるわねぇ」

 
ビスマルク「……サミダレ? 久しぶりに会って話が弾むのもわかるけど、世間話をしにきたのではないでしょう?」

五月雨「あっ、は、はい! そうでした!」

提督「おいおいビスマルク、そういう言い方はないだろ」

ビスマルク「提督。時間は有限なのよ。彼女の話し相手になって他の業務が遅滞するようでは困るわね」

ビスマルク「それに貴方の秘書艦はこのビスマルクよ。どちらを優先すべきかはわかるわよね?」フンス

愛宕「……あらぁ~? ね、提督。ビスマルクちゃんったら妬いてるわよぉ」ウフフ

ビスマルク「アタゴ!」

愛宕「きゃあっ、怖~い♪」

提督「……あー、まあ、ビスマルクの言う通りか。すまないな、五月雨」

五月雨「いえ、わたしもすっかり夢中になっちゃって……」

提督「それで、今日はどうしてこっちに来たんだ? 向こうで何かトラブルでもあったのか?」

五月雨「トラブルとかじゃなくて……はい、どうぞ」スッ

 
提督「これは……カードキーか?」

愛宕「提督の名前が書いてあるわね。それに、舞鶴鎮守府クリスマスパーティーって……」

五月雨「パーティーの招待状です。今日は竹内少将をお招きするようにと命じられて来ました」

提督「俺を? そりゃまたどうして」

五月雨「実は、パーティーの企画段階で私が提督にお願いしたんです。少将を招待できませんかって」

五月雨「少将の活躍は提督もご存じだったらしくて、興味があるから会ってみたいと言われて……」

ビスマルク「それで、提督に招待状を届ける遠征任務を仰せつかったというわけね」

提督「光栄なこった。で、このカードキーはすぐに使えるのか」

五月雨「そのカードキーで舞鶴鎮守府のセキュリティを通過できます。12月25日まで限定ですけど」

提督「期間限定か。なるほど、手が込んでるもんだな……」

ビスマルク「横須賀鎮守府ではこの手のセキュリティシステムは導入してないものね」

愛宕「ウチより厳重なのねぇ。舞鶴の方が新しい鎮守府だからかしら?」

 
五月雨「パーティーは2週間後の24日ですが、提督は竹内少将に前日までに来て頂きたいと……」

提督「しかし鎮守府を留守にするにしても手続きが面倒だな。大本営への報告も」

五月雨「大丈夫、その点については問題ありません。提督が既に大本営に根回しをしてるはずですから」

五月雨「あと、招待状はもう1枚用意してありますから、誰か一人を随員としてお連れしてくださいね」スッ

提督「……ずいぶん用意周到だな」

五月雨「今年のクリスマスは提督が妙に張り切ってて……イルミネーションも提督の発案なんですよ」

ビスマルク「そういえばその話、さっきのニュースでやってたわね」

愛宕「素敵よねぇ。新しい京都名物なんて言われてるんだから」

提督「……言っとくがウチじゃやれないからな。さっきビスマルクにも言ったけど」

愛宕「大丈夫♪ 最初っから期待してないから」ウフフ

提督「おっ、愛宕は外出や物品購入の許可が要らないみたいだな。俺も手続きしなくていいから楽だけど」

愛宕「あらあら、提督ったらよく見たら男前ねぇ。素敵よ☆」

 
提督「……まあ、茶番はこのくらいにして……五月雨、せっかくだし今日は泊まってけ」

五月雨「えっ? よろしいんですか?」

提督「もちろん。木曾やヴェールヌイにも会っていったらいい」

提督「お前がここにいた時に使ってた宿舎の部屋は今は朝雲が使ってるから、客室になるが……」

五月雨「いえ、ありがとうございます! じゃあ泊まる旨を提督に報告しておきますね」

提督「それから舞鶴のパーティーの随員だが」

ビスマルク「わかってるわよ提督。当然、この私が……」キリッ

提督「愛宕に頼もうと思う。ビスマルクは22日か23日辺りの日程を調整してくれ」

愛宕「はぁーい♪」

ビスマルク「ちょっ……どうして私を置いていくのよ! 秘書艦なのよ!?」

提督「だからこそだ。提督と秘書艦が揃って鎮守府を空けるのはよくないだろ」

提督「それに25日はウチのクリスマスパーティーもある。留守の間は提督代行として鎮守府を仕切ってくれ」

ビスマルク「ぐぬぬ……わ、わかったわ」

 
愛宕「私をパーティーに連れていってくれるなんて、ひょっとして提督、私のこと口説いてる?」ウフフ

提督「バーカ、そんなんじゃないっての」

提督「ビスマルクは俺の秘書艦、あきつ丸はウチの参謀格、木曾に朝雲にヴェールヌイは大小の任務で忙しい」

提督「一方お前は年明けまで外出禁止、最近は出撃もなく実質謹慎中だ。暇そうなのがお前しかいないんだよ」

愛宕「暇だなんて失礼しちゃうわね! 外出禁止でなければ予定でいっぱいだったわよぉ」プンプン

提督「はいはいわかったわかった。じゃあクリスマスまでに準備しとけよ」

愛宕「はぁーい。うふふ、楽しみねぇ♪」

提督「五月雨、客室に案内……ていうか、お前ならウチのことはなんでも知ってたか」

五月雨「えへへ……ここに来たのも久しぶりだから、色々わからないと思いますよ」

提督「いいさ。積もる話もあるし、変わったところもついでに教えるって。みんなでさ」

五月雨「はい! わたしもみんなに会うのが楽しみです!」

ビスマルク「むー……いいわよっ。私も秘書艦の仕事があるもの」プイッ

 
 
 
提督(……とまあ、そういうわけで、俺と愛宕は舞鶴鎮守府のクリスマスパーティーに行くことになった)


提督(俺に会いたいという舞鶴の提督……いったいどういう奴なんだか。楽しみやら怖いやら)

提督(そして、あっという間に時間は過ぎていった)

電隊長と那珂ちゃんはまた後で出ます
今日はここまで

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