【ごちうさ】ご注文はブルーアイズマウンテンですか?【遊戯王5D’s】 (37)

チノ「デュエルの描写はありません。ご了承ください」

クロウ「デュエルをするんじゃねえのか!?」

遊星「俺とデュエルしろおおおおおおおお!」

鬼柳「こんなんじゃ、満足できねえぜ…」

ジャック「元キングだとお!?」

リゼ「やかましい!」

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~シティ郊外~


ブロロロ


ジャック(ダークシグナーとの戦いから半年、俺たちは、WRGPの準備に追われる日々)

ジャック(シティとサテライトの境界は、もうなくなったと言っていいだろう)

ジャック(随分と平和になった。だというのに…)


キキッ


ジャック「…どうして俺は、こんなところで迷子になっているんだ」

ジャック(そう、あれは数十分ほど前のこと…)


~喫茶店 CAFE LA GEEN~


ジャック「何!? ブルーアイズマウンテンの入荷を止めるだと!?」

ステファニー「はい…なんでも、採算が取れないとかなんとか」

ジャック「知ったことか! 俺が毎日のように飲みに来ているではないか!」

ステファニー「でも、店長がもう決めちゃったので…」

ジャック「ならば、店長に会わせろ! 俺が直々に抗議してやる!」

「ちょっと待ったあああ!」


ステファニー「あれは…」

ジャック「クロウか。どうした?」

クロウ「どうしたじゃねえ! やっぱりここにいたのか!」

クロウ「今日という今日は、仕事を探しに行ってもらうからな!」

ジャック「そういうわけにはいかん。ブルーアイズマウンテンを飲んでいない以上、今日の俺は本気を出せん」

クロウ「まるでいつも本気出してるような言い方…ん? 今日はまだ飲んでねえのか?」

ステファニー「はい、うちでは扱わないことになったので…」

クロウ「ちょうどいいじゃねえか。お天道様も、お前に働けって言ってんだよ」

ジャック「ええい、やかましい! 誰が何と言おうと、俺はブルーアイズマウンテンを飲みに行く!」

クロウ「あ! おい待て、ジャック!」



ジャック(そんな感じで、クロウを撒くついでに喫茶店を探していたはいいが…)

ジャック「見つからぬまま、こんなところに出てしまうとはな。見事に何もない」

ジャック「とはいえ、あれを飲まぬまま帰るわけにもいかん」

ジャック「…」

ジャック「もう少し探してみるとしよう。付き合ってもらうぞ、我がホイールオブフォーチュンよ」

ブロロロ


ジャック「…む、町が見えるな。見たこともないところだが」

ジャック「あそこで探すとしよう」


~???(見慣れぬ町)~


黒服「お待ち下せえ」

ジャック「む? なんだ、貴様は」

黒服「ここから先は、Dホイールの乗り入れは禁止となっておりやす」

ジャック「Dホイールで入れない…!? バカな、そんな場所が存在するとは…」

ジャック「では、この町ではライディングデュエルはできないのか」

黒服「ライディングどころか、スタンディングデュエルしてる人も、ほとんど見かけませんぜ」

ジャック「デュエルをしていない、だと…!? 面妖だな、俺は地獄にでも迷い込んだのか…?」

ジャック「まあ、いい。ところで、この町には喫茶店はあるか?」

黒服「オススメの店がありやすよ。ここからまっすぐ行けば、うさぎの看板を出してる店がありやす」

黒服「名前は…」

ジャック「随分と入り組んだ町だな。なるほど、これではDホイールどころか、自転車で走るのも一苦労だ」

ジャック「なにより…」


ピョンピョン


ジャック「あれを轢いてしまいそうだ。…しかし、野生かあれは? 野良うさぎなど、サテライトでも見かけたことはなかったが」

ジャック「…あの男によれば、このあたりのはずだな」

~ラビットハウス~


カランカラン


ココア「いらっしゃいませ!」

ジャック「ラビットハウスは、ここで間違いないか?」

ココア「はい、そうですよ! あ、お客さん、モフモフ目当てですか!?」

ココア「うちの看板うさぎはガードが固いので、コーヒー一杯につき1モフモフですよ!」

ジャック「間に合っている」

ココア「あ、あれ?」

チノ「ココアさん。初めてのお客さんに変な営業しないでください」

ティッピー「わしは売り物でもないしのお」

ココア「あはは…お客様、ご注文は?」

ジャック「ブルーアイズマウンテン」

チノ「!」

ティッピー「!」

ココア「…!」

ココア「チノちゃん! ブルーアイズマウンテン入りまーす!」

チノ「り、了解です…!」

ジャック「ほう、置いているのか。客が全くいない割には、いい店のようだな」

ティッピー「客がいないは余計じゃ!」

ココア「えへへ…」ニヤニヤ

ジャック「…? どうした」

ココア「実は、ブルーアイズマウンテン、入荷する予定はなかったんですよ」

ジャック「シティでもそういう店ばかりだ。よいコーヒーを飲むには金がかかる。それが分からん奴が喫茶店を経営しているとは、嘆かわしいことだ」

ココア「でも、チノちゃんがどうしてもって、お父さんにお願いして、入れてもらったんです」

ジャック「チノ…あの、白いクリボーを頭に乗せている娘か。なかなか目が高い。この喫茶店は安泰だな」

ココア「私もそう思います! あ、ちなみに、あれはクリボーじゃなくてティッピーっていう…」

チノ「ココアさん、仕事してください」

チノ「お待たせしました。ブルーアイズマウンテンです」

ジャック「うむ。…やはり、香りから違うな」

ココア「そうですよね!」

チノ「ココアさんは、インスタントとそれ以外の違いくらいは分かるようになってください」

ジャック「…」ズズ

ジャック「!? な、なんだ、これは…!?」

ココア「ど、どうかしましたか!?」

ジャック「美味い…! バカな、今まで飲んできたブルーアイズマウンテンをはるかに凌駕している!」

ジャック「このコーヒーを淹れたのは誰だ!?」

チノ「私です」

ココア「さっき、チノちゃんが淹れるとこ見てましたよね…?」

ジャック「くっ、俺としたことが取り乱した…これは言うなれば」

ジャック「マシュマロンを伏せて安心していたら、パワーボンドで融合したサイバーエンドに攻撃された」

ジャック「そういう次元の衝撃だ…!」

ココア「7500ダメージの衝撃…! どうしようチノちゃん、救急車呼んだ方がいいかな!?」

チノ「たとえですから」

ティッピー「淹れる者によって味が変わる、それもコーヒーの醍醐味じゃな」

ジャック「なんということだ、俺は今まで、偽りのブルーアイズマウンテンで満足していたというのか…」

ジャック「このジャック・アトラス、一生の不覚!」

ココア「なんだかよくわからないけど、すっごく喜んでもらえたみたい! よかったね、チノちゃん!」

チノ「はい。ブルーアイズマウンテンのよさをわかってくれる人に、こんなに早く出会えるなんて、夢のようです」

ティッピー(チノがあんなに力強くわがままを言ったのは、初めてじゃったからのお)

ジャック「俺はどうやら、とんでもない穴場を見つけてしまったようだな。豆もある、腕利きのバリスタもいる」

チノ「そんな、バリスタだなんて…」

ジャック「なにより、静かだ。俺の安息の場所は、ここだったのだな」

ジャック「…さておき。まずは」

ジャック「おかわりだ!」

ココア「喜んで!」

~シティ~


クロウ「戻ったぞー」

クロウ「って、遊星。まだやってんのか。ほどほどにしねえと、ぶっ倒れちまうぞ」

遊星「だが、今日できることは今日やっておかなければな。俺たちは、ほかのチームに後れを取っている面が多い」

遊星「マシンの性能や、資金面では特にな」

クロウ「そうだな…で、ジャックはまだなのか?」

遊星「ああ。そろそろ日が沈むが…まあ、ジャックなら大丈夫だろう」

クロウ「俺が心配してるのはあいつの身の安全じゃなくて、このチームの行く末だよ」

クロウ「ちょっと探してくるわ。どぎつい灸をすえてやらなきゃな」

【次回予告】


遊星「俺は友がサティスファクションで」

遊星「若いころから満足とか、いろいろ仕込まれているだけで」

遊星「普通のデュエリストだから信じろ!」

アキ「説得力がないわ…」

アキ「で、遊星。予告は?」

遊星「適当に喋れと言われただけだ。ここでの俺たちの発言は、次回の話とは何の関係もない」

アキ「雑ね…」

~ラビットハウス~


ジャック「うむ、やはりブルーアイズマウンテンはコクが…」

ココア(もう十杯以上だよ、凄まじいカフェイン中毒だね)

チノ(ココアさんがそれを言いますか)

ココア「あはは…ところで、リゼちゃんは?」

チノ「バーのアルバイトを希望する方がいらっしゃったので、面接をしてくれてます」

ココア「…」

ココア「リゼちゃんってバイトだよね」

チノ「父が外出中ですから。せっかく来てくれたのに追い返すわけにもいきませんし」

チノ(実際にはおじいちゃんが許可を出してるので、面接は形式的なものですけど)

~ラビットハウス 別室~


リゼ「どうしてうちで働きたいと思ったんだ?」

鬼柳「俺は、今までと同じ生き方では満足できなくなった。かつてのようにデュエルに明け暮れたところで、あの時の輝きは戻ってこない」

鬼柳「だったら、違う世界で満足するしかないじゃないか…」

リゼ(並々ならぬ事情を抱えていそうだな…それだけに、放ってはおけないか)

リゼ「バータイム希望とのことだが、なにができる?」

鬼柳「オレのハーモニカで、客を満足させることができる。実演しよう」


ー演奏中ー


リゼ「採用」



ガチャ


リゼ「終わったぞー」

チノ「お疲れ様です、リゼさん」

ココア「あ、その人が新しいバイトさん?」

リゼ「ああ。私たちはバーには出ないから、いっしょに働くことはないだろうけど」

ジャック「…!」

ジャック「お前は、鬼柳!」

鬼柳「ジャックか。お前まで、この町に流れ着いていたとはな」

ジャック「半年前、シティを離れ旅に出たお前が、どうしてここに…」

鬼柳「前のことはもういいだろう。俺はここで、ハーモニカ奏者鬼柳として、満足することに決めたんだ」

ココア「知り合い?」

ジャック「ああ、かなり根の深い腐れ縁だ。心配はしていなかったが…変わったな、鬼柳」

鬼柳「そうだろうな。だが、お前も変わった。輝いていないじゃないか」

ジャック「…ふん、俺は俺、ジャック・アトラスだ」

ジャック「店員、会計だ」

ココア「はーい。49000円になりまーす」

ジャック「……………」

ジャック「ん?」

ココア「49000円になりまーす」

リゼ「飲みすぎだろ」

~シティ郊外~


ブロロロロ


クロウ「外に出たって情報があったが…あいつ、どこまで行ったんだ」

クロウ「…ん? 遊星から電話?」

クロウ「どうした?」

遊星『ジャックの居場所が分かった。すぐに向かってくれないか』

遊星『なにやら、先方に迷惑をかけているようだ』

クロウ「マジかよ…世話の焼ける奴だなおい」

クロウ「で、どこだ?」

遊星『地図を転送する。悪いが、クロウ。あとは任せる』

クロウ「あいよ」

~ラビットハウス~


バァン


クロウ「おいジャック! こんなところで何やって」

クロウ「………」

クロウ「は?」

タカヒロ「いらっしゃい」

クロウ「…いや、悪い。間違えた」


バタン


クロウ「………ジャックを連れ戻しに来たつもりだったのに、なんでジャックがウェイターやってて鬼柳がハーモニカ吹いてるんだ」

クロウ「…っていうかなんで鬼柳がいるんだ」



タカヒロ「そうか、君がジャック君の。彼には、コーヒー代が払えなかったものだから、少し働いてもらっているんだ」

タカヒロ「後日でいい、とは言ったんだけどね」

クロウ「コーヒー代50000…2日3日じゃ返しきれねえな」

クロウ「悪かったな、うちのアホが迷惑かけて」

クロウ「金は必ず用意するからよ、今日は引き取らせてくれ」

タカヒロ「ああ、そうしてくれ。実をいうと」


パリーン

「あら、ジャックさん、またやってしまいましたねえ」

「ええい、こんな惰弱な皿を使うこの店に否があるだろう!」


タカヒロ「彼を雇うと赤字になりそうでね」

クロウ「返す言葉もねえ」

クロウ「帰るぞ、ジャック」

ジャック「おお、クロウ。この店のコーヒーは格別だ、お前も一度飲んでみるといい」

クロウ「はいはい、誰かさんが手に職つけて、時間と金に余裕ができたらな」



タカヒロ「鬼柳君は、彼らとは?」

鬼柳「友だった…それでいい。奈落の底に落ちた俺には、今のあいつらは眩しすぎる」

青山「鬼柳さんは、それで満足なんですか?」

鬼柳「…さあな。だが、満足するしかないだろう」

【次回予告】


シャロ「え!? 賞味期限が今日なら、お惣菜は全部半額になるんじゃないの!?」

千夜「お店によっても、商品によっても違う…よって、そのクレームは無効!」

千夜「二割引きで満足してもらうしかないわ!」

シャロ「そんなあああああ」

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