あの日見たキチガイの名前を僕達はとっくに知ってた。 (8)

俺は宿海 仁太。
ついこないだ、めんまが成仏したのをきっかけに、
超平和バスターズの皆と秘密基地に集まることにした。
「ゆきあつ、あのことがあってから不登校になっちまったし、もうここには来れねーかもな…。」
あのこととは、ゆきあつがめんまに女装して、山の中を走って行ったことだ。
あのことがあってから、ゆきあつは精神的に可笑しくなり、学校に行けなくなってしまった。
そんなゆきあつを、成仏する前のめんまは心配していた。
「ゆきあつ…。」
「大丈夫だ、いつかアイツもお前に会いに来るよ…。」
俺は、めんまがゆきあつのことを心配してるのを思い出し、
めんまが可哀想に思えてきた。
「どーせ会えないの、わかってたんだろ…?」
どこかでめんまが泣いているように感じた。

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「じーんーたんっ!」
ベッドから、成仏したはずのめんまがいきなり現れた。
俺は驚いて、ベッドから床に倒れこんだ。
それを見てるはずだが、めんまは話し続ける。
「じんたん、めんままだね、お願い事叶えきれてなかったみたい。」
願い事…もしかして。
「ゆきあつのことか?」
「せいかーい!!」
めんまは手をVサインして、笑顔でこっちを見る。
「めんまね、じんたんを泣かせることだけが願い事だと思ってたの。
 でもね、成仏しようとしたら、神様が『ゆきあつのこともよろしくね』って言ってたから、
 ゆきあつを学校に行かせることも叶えなきゃいけなくなっちゃったんだ。」
「マジかよ…。」
俺達に、またあの時の日常が始まった―――。

一方、安城 鳴子ことあなるは、忙しい日々を送っていた。
「あーもうっ!!!明日期末とか最悪なんだけどー!!!!」
私は馬鹿だから、テストは大の苦手だ。
「鳴子、何か明日、用事でもあるの?」
春子は、私をよく心配してくれる。
「あ…うん、昔よく遊んでた友達と会うことになってて。」
「マジかー。じゃあ、明後日遊ぼうよ!」
「…うん!」
でも、ついこの間まで仲がギクシャクしてた友達とも、復縁することができて良かった。
…これも、めんまのおかげかもね。
「鳴子、バイバイ!」
「うん、また明日ー!」
そして、また皆に会える日も作ってくれた。
「ありがと、めんま…。」
私、やっぱりめんまには敵わないな…。

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