男「お嬢様聖水?」 (20)

開発担当「そうです! 新幹線の中で突然頭に降臨したんです! もう神の啓示みたいでしたよ!!」

男「いや、ちょっとまってよ開発担当くん……」

開発担当「もう、思わず車内で叫んでしまいそうになるくらいビビっときましたね!」

男「いやいや、だから少し落ち着いてよ開発担当…………」

開発担当「俺早速企画にまとめて、部長に提出してみます!!」ダダダ.....

男「おーい……」




※このssはフィクションです

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開発担当「男さん、部長からOK貰ってきましたよ!」

男「マジで!?」

開発担当「最初は“聖水”って聞きなれない言葉に難しい顔をしてたんですけど」

男(そりゃ反応に困るもの……)

開発担当「『女性の美をサポートする聖なる水はお嬢様にピッタリの“プリンセスホーリーウォーター”です!」
開発担当「きっとお嬢様シリーズに新たなる風を吹き込んでくれます』って力説したら分かっていただけましたよ」

男(俺はネーミングの否定をしきれなかったからだと思う)

男「部長」

部長「おお、男くんか」

男「開発担当くんが言ってたプロジェクトマジで進めるんですか?」

部長「うん、まあ会社の主旨としては間違ってないからね」

男「でもお嬢様“聖水”ですよ?」

部長「……男くんは何か引っかかる理由でもあるのかい?」

男「え……イヤイヤイヤ、ベツニナニモアリマセンケド!?」

部長「ははは、大丈夫。私もアレが何を意味するかは分かってるよ」

男「部長ォ……」

部長「すまんすまん。しかしネーミングにインパクトがあるってのは重要な事だ」

男「ありすぎやしませんかね」

部長「大丈夫、私たちは女性向けの製品を作っているんだ。何ら、問題になることなどないさ……多分」

男(多分て……)

男「現代の食生活で不足しがちな発酵食品を、“植物発酵エキス”お手軽に摂取―――か」

開発担当「以前からあった“お嬢様酵素”にベースにしてカフェインやガラナエキス、アルギニン酸とかを配合して毎日飲みやすい形にしてみたんだ」

男「一日一本ってのは確かに分かりやすいな」

開発担当「現代女性の生活を華やかに彩るその姿は、まさしく美(酵素)の女神が舞い降りたようだね!」

男「酵素は大事だよね」

開発担当「内なる宇宙を旅する私」

男「うん?」

開発担当「心引き裂かれそうな夜もある」

男「おーい」

開発担当「あの日の涙がキレイな虹に変わるとき」

男「開発担当くーん」

開発担当「私の中の女神が目覚める」

男(駄目だこいつ…早くなんとかしないと…)

開発担当「デザイン案が届きましたよー」

男「お、どんなの?」

開発担当「えーっと、コレとコレとコレに……」

男(うーん……内容的に際どいのが多いな)

開発担当「コレで全部ですね。ただ、部長は恐らくコレになるんじゃないかって言ってました」

男(裸に涙……か。まあお嬢様酵素の流れだとだと妥当なんだろうけど、涙がなければどこからの聖s―――っていかんいかん)

開発担当「男さん何かおかしなところでもありました?」

男「べ、別に!!」

開発担当「製品見本が届きました」

男「なんだか色々早いな」

開発担当「この黄色の泡立ち……」

男「……うん」

開発担当「まさにエナジードリンクって感じですね!」

男「うーん……」

開発担当「でもこれはお嬢様の飲料ですし、刺激的になり過ぎない優しい味わいにはできてると自負してますよ」

男「それは俺も散々試飲してたから知ってる」

開発担当「早くこの感動を、全国のお嬢様方へお届けしたいですね!」

男「届くかなぁ……」

開発担当「もっと自信を持ってくださいよ男さん! 絶対届きますって!!」

男「ソウダネ、キットトドクネ」

男(このネーミングにパッケージ、そして中身……どうしても俺は“アレ”と結びついちゃうんだが……)

男「や、開発担当くん」

開発担当「あ……男さん」

男「元気ないけど、どうしたのさ?」

開発担当「…………お嬢様聖水」

男「……もしかして売れてないの?」

開発担当「いえ、売れてはいるみたいなんですけど」

男「ど?」

開発担当「男性の方から大反響を受けていて……」

男「あー……」

開発担当「僕は全国のお嬢様へ向けて開発してたのに!」

男「ま、まあ売れてるのならいい事じゃない?」

開発担当「そうなんですけど、売れ方も変なんですよね」

男「変?」

開発担当「ええ、『家族に見つかると困るから梱包形態で送ってほしい』とか、『会社まで買いに行ってもいいですか』とか」

男「う、うん……まあ新しい売れ方の一つとして今度の参考にしていけばいいじゃない」

開発担当「ですかねえ」

男「聞いたら今度コンビニ展開もするらしいじゃないの」

開発担当「まだ噂レベルの話ですけどね」

男「いやいや、開発担当くんがあそこまで情熱を持ってつくったんだからきっといけるって!」

男(名前のインパクトもあるし)

開発担当「……ですよね。僕が弱気になっちゃダメですよね!」

男「そうともさ!」

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8月18日 某コンビニにて

店員「ッシャイマセー」

>>1「アー、喉かわいたなぁ……ん、なんだこれ」



>>1「お嬢様聖水?」

衝撃的な出会いから、気づけば飲みながら文字を打ってた。
黄色で泡立ちがあり少し酸味のあるエナジー飲料。
少し温めて飲んでみるのも一興じゃないかな!?

お嬢様聖水は株式会社リバランドから発売中。



構想も何もなかったから、開発担当の口調が気づいたらバラけしまった……。

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