【アイマス】屋上にて (26)

モバマス要素の混入が若干あります
お気に召さなかったらごめんなさい

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差出人 :プロデューサー
宛先 :如月千早
件名 :非常事態

  至急屋上ニ来ラレタシ



千早「(なんでカタカナなのかしら)」

千早「(こういう時はたいてい何かあるのよね)」

P「お、来たな」

千早「突然呼び出して何を企んでいるんですか?」

P「千早からの厚い信頼が痛い」

千早「普段の行いの賜物ですね」

P「眩しい笑顔が余計に怖い」


千早「で、何の用でしょうか」

P「コーヒーと紅茶だと紅茶だよな」

千早「まあ、そうですけど」

P「缶紅茶で悪いけど、ほい」

千早「ありがとうございます。……で?」

P「ん?ああ、夜空が綺麗に見えるから呼んでみた」

千早「そんなことで……まあ、確かに綺麗ですけれど」


P「最近ゆっくり空を見たりしてないだろ」

千早「プロデューサーのお陰で、忙しくさせていただいていますから」

P「いやいや、アイドルが一流だからだよ」

千早「いきなり真顔になるのは卑怯です」

P「ホントのことだからな」

千早「……卑怯です」


P「それとだな。千早、Aランク昇格おめでとう」

千早「さっきの感動を返してください」

P「なんでだ?」

千早「シチュエーションが雑すぎます」

P「すまん、事務所のみんなでお祝いする前に言っときたかったんだ」

千早「プロデューサーがそういう人なのはわかってますけどね」

P「その冷たい目は納得してないよな」

千早「知ってるからって納得できると思います?」

P「後日、正式な場を準備いたしますことをここに約束させていただきます」


千早「……」

P「……」

千早「…………ふふっ」

P「……ははは」

千早「格好つけても似合いませんよ」

P「たまには、な」

千早「期待せずに待ってます」

P「是非そうしてくれ」


千早「それにしても」

P「どうした」

千早「ここまで長かったような短かったような」

P「色々とあったからな」

千早「特に初顔合わせの時なんか」

P「当時の千早は愛想も何もあったもんじゃなかった」

千早「プロデューサーも相当失礼でしたよ?」


P「『歌の仕事以外するつもりはありません』だったか」

千早「『そんな狭い世界で満足とは恐れ入った』ですものね」

P「『何をわかったようなことを』」

千早「『自分がわかること、出来ること以外したくないんだろ』」

P「『違います。私は純粋に歌を歌いたいんです』」

千早「『いくら歌が上手くても、歌う人間が薄っぺらじゃな』……くっ」

P「千早……」

千早「……そんな目で見ないでください」


P「まあ、千早はよくやってくれたよ」

千早「目に映るものすべてを歌のための肥やしにしろって言ったのはプロデューサーですよ」

P「それを実行できるんだから、流石俺が見込んだアイドル」

千早「人間として大きくなれたのはプロデューサーのお陰です」

P「流石俺」

千早「色々な仕事を持ってきましたものね」


P「この前のCGプロとの仕事は大反響だったな」

千早「高垣楓さんですか」

P「ミステリアスな25歳児の渾名は伊達じゃなかった」

千早「とても素敵で、楽しい方でしたね」

P「親父ギャグが一々ツボにはまる千早に会場大盛り上がり」

千早「……」

P「あれがキッカケで爆発的にファン増えてるからな」

千早「……素直に喜べないです」


P「向こうさんも予想以上の収穫があったらしいぞ」

千早「色んな意味で、とても輝いていましたものね、高垣さん」

P「そこで、別の企画が持ち上がっている」

千早「聞きたいような、聞きたくないような……」


P「ミステリアス第2弾。ライラさんと行く商店街ツアーだ」

千早「帰っていいですか?」

P「独特の空気感で話題のライラさんと、不器用だけど面倒見がいい千早のコラボ」

千早「聞いてませんね」

P「千早の新たな可能性が切り拓かれると確信している」


千早「私は何でこんな人を……」

P「何か言ったか?」

千早「いいえなんでも」

P「この仕事で、千早の魅力をより一層世間に知らしめることができるはずだ」

千早「綺麗にまとめれば何とかなると思ってません?」

P「ん?本気でそう思ったから話を進めてるんだが」

千早「余計にタチが悪い気がします」

P「そうか?」


千早「他の仕事で、着せ替え人形させられたのは?」

P「まだ見ぬ千早の表情を引き出すため」

千早「ポニーテールもツインテールも三つ編みも?」

P「そう」

千早「巫女服もメイド服も犬耳も?」

P「勿論」


千早「……」

P「……」

千早「…………プロデューサー?」

P「……すまん俺の趣味」

千早「なんでそう斜め上に全力なんですか」

P「照れながらも何とか頑張ろうとする千早が可愛いもので、つい」

千早「誤魔化されると思います?」

P「紛うこと無き本心だ」

千早「……ご、誤魔化されませんからね」

P「本心なのに」


千早「も、もうこの話はいいです」

P「そうだ、これAランク昇格のお祝い」

千早「なんですか、この細長い箱」

P「開けてみりゃわかる」

千早「ネックレス……ですか」

P「千早に似合いそうな、シンプルな奴にしてみた」

千早「この青い石は?」

P「瑠璃。千早の誕生石。アメジストのほうが一般的らしいけど」


千早「つけてみていいですか?」

P「勿論」

千早「どう、ですか?」

P「似合うよ。やっぱり千早には青が似合う」

千早「……ありがとうございます」


P「Aランクアイドルなんだ、アクセサリの一つくらい身に着けてないとな」

千早「ありがとう、ございます」

P「……おう」

千早「とても、嬉しいです」

P「……」

千早「……照れてます?」

P「……言うな」

千早「ふふ」

P「柄にもないことしたせいで、変な汗が出るよ」


千早「……」

P「……」

千早「……プロデューサー、月が綺麗ですね」

P「……そうだな、こんなに綺麗なのはいつ振りだろう」


千早「…………」

P「…………」

千早「私は、アイドルとしてこの月に負けないくらい輝きたい、とも思っています」

P「そうか」

千早「いつか私が次のステージに進むことが出来たら……」

P「月にでも、行くか」

千早「連れて行ってくれますか?」


P「気色をば あやめて人の 咎むとも うち任せては 言はじとぞ思ふ、なんてな」

千早「プロデューサー?」

P「まずは今のステージを全力で楽しもう、ってこと」

千早「そうですね」

P「よろしくな、千早」

千早「はいっ」


終わろう

短いうえに手垢の付きまくったネタでごめんなさい
軽めに何か書きたくなったもので
思い描いた雰囲気が伝わっていれば良いのですが

お付き合いいただきましてありがとうございます

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