【艦これ】艦娘誰でしょう?【クイズ形式】 (131)

コンセプト:艦娘の名前を出さずに表現、誰か当てさせる。
*あまり直接的に原作セリフを入れない、尚且つわかるようにすることが目標。

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436693444

①???

いくら撫で付けても跳ねちゃうんだ、と彼女は諦めたように口にした。

ピョコンと天に向かって跳ねた前髪は、穏やかな顔立ちと彼女が持つ静かな雰囲気にそぐわない、ただ一つの要素。


提督が、そういう髪型なのかと指摘して返ってきたのが、先ほどの苦笑交じりの答えというわけだ。

この様子を見るに、きっと今までも真っ直ぐになるように何度も工夫してきたのだろう。


その成果は、どうやら彼女の様子を見る限り期待できそうにないが。

もう気にしてないけどね、という言葉とは裏腹に、彼女は先程から提督の前で跳ねた髪の毛を押さえつけている。

いったいいつまで押さえつけているつもりだろうかと、今度は提督が苦笑する番だった。


単に気になっただけで、別にその髪型がみっともないだとか、そういう意味で言ったつもりはないというのに…。


「やっぱりヘン、かなあ?」

両手で髪を抑えながら、探るようにして提督を覗き見る瞳には不安が宿っていて、どう考えても自分の反応を気にしているのがまるわかりだ。

「いや、可愛らしくて良いと思うぞ」


お世辞でも何でもなく、提督は思ったことをそのまま口にした。艦種が艦種なので、実は戦場を駆け巡る時の彼女の動きはかなり激しい。

だから、彼女のそういう動的な部分をピョコンと跳ねた前髪が表していると思えば、むしろ似合っているのではないかと思ったからだ。


静かな雰囲気の中に、動きを表す特徴がひとつ。なるほど、艦娘らしくていいじゃないか。

提督が一言そう言うと、何を驚いたのだろうか、彼女が顔を上げてまじまじとこちらを見てくる。


その反動で押さえつけていた両手が頭から外れたせいで、彼女の前髪がピョコンと跳ねて定位置に戻った。

「ね、ねえ」

「なんだ?」

「そういうこと、あまり言わない方が良いと思うよ」



せっかく変じゃないと褒めてやったのに、どういう訳か拗ねる彼女を見て。

女の子の機嫌の取り方は難しいなと、提督は首を傾げるのであった。

3人称視点を取り入れてはどうかという助言を頂いたので、人物描写の練習も兼ねて。
難しいですね、これ。

前髪ピョコンでわかる方もいれば、意外と知らない方もいるようです。
嫁艦だった場合はリコン(ガチ)されますのでお気をつけください。
コンセプト上分かって頂けた方がありがたいですがバレバレってのは避けたいですね、答え合わせの仕方は考え中です
やらないと意味がないし、かといって早々にしてしまっては後から読んでもらった方に申し訳がないので

では取り敢えず次です

②??? (?の数は関係無)



演習場へと続く鎮守府内の廊下を、提督は秘書艦である彼女と二人きりで歩いている。

鎮守府の新人を、その艦娘がどういう娘か知るために、なるべく早い段階で秘書艦に割り振る様にしているのだ。


そして、彼女の着任から三日目。

今日初めて秘書艦にした肝心の隣の彼女はといえば…あまりにも上官を、提督を舐めていると感じられた。


まあ、これは彼女に限った話ではない。何故かここの艦娘は提督という存在に対してとる態度が軽い。

それが自分の持つ親しみやすさのか、単に頼りなく見えるのだけなのかということは敢えて考えないようにして、提督は尋ねた。

「何で俺には敬意を払わないの?分かってるのかな…俺一応お前の上官だよ?」

「あ…ああ、失礼、提督。でもあなたに尊敬出来る要素が一つでもあるかしら?」



返ってくるのはこれ以上ないくらいにバカ正直な答え。

おいおい、といった表情を浮かべて提督は隣の新米秘書艦を見やる。


生真面目で、外れたことを許さない性格の割に提督である自分に対する態度はこんなもの。

今みたいに、どちらでも良いことでも細かいほど気を使うくせに、俺自身に対する扱いは雑すぎないだろうかと提督は肩を落とした。

上官とはキリリとしていて、ひたすら任務に忠実な存在でなきゃいけないという、そんな理想を抱いているのだろう。

その、自分の理想像とは余りにも違う出来の悪い上官を糾弾してやったと言わんばかりに、目の前のコイツは胸を張ってみせる。



スラリとした、女の子としてはかなり高い背丈に発育の良い体躯。

艤装の露出度も相まって正直、そんな風に無防備に胸を張られると目のやり場に困るのだが…。

生真面目なくせに、いや、生真面目な性格だからか、男のそうした視線には疎いのだろう。



「この間、海域攻略しただろう?」

それでも尊敬には至りませんかね、と提督が水を向けた。

なるべく胸を見ないように視線をそらしながらそう言うと、彼女から返ってきたのは元気の良いこんな答え。



「あら、私ならもっと上手いこと指揮してみせたもの」



高飛車とは少し違う自信に満ちた声に、提督は苛立つどころか逆に心を弾ませた。

期待のニューフェイスは、期待以上に新しい風を鎮守府にもたらしてくれそうだ。

「一応、鎮守府のエースと練りに練った作戦を実行したんだけどな」


話題を膨らませると、こちらの誘いにまんまと乗ってくるのが未熟な証拠。

駆逐の動かし方はこうじゃないとだとか、敵空母の対策は自分ならこうするだとか。


そんな事を今、自分の前で得意げに口にする時点で、前が見えていないんだよ、と提督は内心で微笑む。

それなりに戦力が整った鎮守府に着任した艦娘が何をされるのか、まるで想像出来ていないらしい。


そうなるとこの娘は、しゃんとしているようで意外と隙だらけだ。

第一印象では面白みのない真面目人間――この場合は艦娘か――と心配したが、この様子だと仲良くやっていけそうである。

「なる程、大変参考になったよ。今後は俺やエースじゃなくて、君の作戦を使わせてもらおうか」

「あら、話が分かるじゃない。完璧な勝利を上げてみせるわ」



そう息巻く彼女に…ただし、と提督はイタズラっぽく付け加える。

その、ウチのエースと演習して勝てたらの話だけどなと。



「へ!?ど、どういう事?」

「Hey,待ちくたびれたネー!」

丁度演習場へと着くと、お待ちかね、鎮守府のエースがテンション高く出迎えてくれた。

鎮守府のエース、金剛は英国淑女を気取っているとは思えない気さくさで、演習相手に挨拶をまくし立てる。

得意の英語を使うのは構わないが、多分それでは伝わっていないだろう。


「艦隊戦の演習をするっていうことさ。金剛とお前が旗艦同士でな」

「割り振るのは駆逐2隻と重巡1隻。これならお前も指揮しやすいだろう?」



まだ状況を飲み込めていない彼女に説明してやる。

どうやら突発的な事態に遭遇するのは苦手らしく、彼女はまだ戸惑っている。

「金剛、作戦練るぞ。コイツの癖はさっき全部聞いて学習済みだから」

「なっ、ちょ…ズルイわよ、この卑怯もの!日本人なら真面目に…」

「ほら、作戦タイム開始だ、お前は向こう側」



そんなもん初めから持ち合わせていない。なので相手にしない。

今日の秘書艦業務の中で、俺という人間をきちんと見抜けなかった証拠だと、提督は漏らす。

提督の方針はいたって簡単だ。

要はみんな無事で帰ってきて、オマケに勝てばいいのだ、多少小ずるいことをしたとしても。

それが分かっちゃいないのだったら、鎮守府のエースは金剛のままかな。

5分後に演習開始だ、配下の艦隊と作戦を練っておけと言い残して提督は金剛のもとへ。


「テートクも酷いことするネ」

「部下のしつけは最初が肝心、ってね」


遠くで何を言っているか分からないが、多分自分を罵倒しているのであろう言葉を背中に受けて。

提督は、長年の相棒と共に生意気な新人の鼻っ柱を折ることに全力を傾けるのだった。

②は以上です、長編書いてた時からずっとやりたかったネタ。
>>15の時点で見破った方がいたとしたらかなり鋭いです。
多分分かる・・・ハズ。

海外艦いないから長門か陸奥かと思いながら見てた

そろそろ答えを発表して行きましょうか?
答えを投下するときはそのレスの先頭に【答え】と書き込むことにします
見るのが嫌という方はそのレスを避けるなりNGワードに入れておくなりして下さい

次レスで①の答え合わせです
こういった読者参加型?のスレをやるのは初めてなので手探りです

【答え】 

①時雨

改二絵を見れば一目瞭然、分かった方も多いようです。黒髪ロングの天使ですが前髪だけは大人しくありません。
比叡や睦月型、球磨なんかも跳ねていますが文中の口調、物静かな雰囲気などの表現で分かって頂けるかと思います。
時雨は拗ねる時もストレートに感情表現するのではなく、持って回った言い方をするイメージです。

1は結構分かった
しかし出題する側も難しそう。いわゆる説得力ある「別解」作らないようヒントをほどほどに出さないといけないっていう面倒さ

語尾に限らず口調、交友関係なんかでも一発バレしますから本当に難しいですね
>>40の言うよに「それ○○でも通用するじゃん」ってなったら興ざめですし

では②の答えを書いてきます。②答えは今日中、③は書けたら投下(書くとは言っていない)

【答え】

② ビスマルク

時雨とは違い沢山ネタを仕込んでおります。

>>15の「あ…ああ、失礼、提督」
母国語で「admiral」と言いかけて、ここは日本だからと「提督」と呼び直すビス子。
どちらでも意味は伝わるのにわざわざ日本式に訂正する律儀さに提督も苦笑しています。
ここで分かったという方は推理小説とか好きなタイプではないでしょうか?

付け袖(グローブ?)なのに肩出しの艤装とかいう死ぬほど性的な服装。アカン。

第一印象はドイツ人らしく真面目、でも自信家かつ隙が多くて憎めない人柄

金剛の英語挨拶が伝わらない⇒日本語で言わなきゃ、でなく独語で言わなきゃという意味
提督「遠くで何を言ってるか分からないが多分自分への罵倒」⇒距離でなく言語の問題

着任仕立てのビス子が指揮しやすい駆2重1⇒Z1、Z3、プリンツ という顔なじみ

解答する前に分かっている方がいて何よりです、これじゃあ分かりにくいよという表現があったら言ってくれて良いですよ(投下真っ最中以外なら)
>>33 えっ、海外艦持っていない提督とかいないよね?(煽り)

ビスマルクは本当に好きです。金髪ロング、ツンデレも不器用もこなせる逸材にしてCV遠藤綾、完璧。

では次です、正直①②は分かる人は分かるだろうという自信ありましたが③はどうかなあ?
修行のために投下します

③??? (?の数は関係無)


膝まづいて瞬間、提督は勢いよくトイレの便器に吐瀉物をぶちまけた。

ぜい、ぜいと荒い息遣いを繰り返しながら、毎回の様に取るこの行動。



自分以外はみんな女の子、という環境で良かったと改めて思う瞬間だった。

ここには男である自分以外入ってこないから…こんな無様な姿を誰かに見られることはないだろうと。



全てを出し切ったあと、口元を拭いながら提督は思う。情けない息遣いはそのままに。

いつもいつも、彼女の期待に答えようとするから自分は押しつぶされそうになるのだ。

もうやめよう、彼女に本当の自分を打ち明けてしまおうと…そう思いながらも結局、無茶をしてここに来るハメになるのだから懲りないものだ。

懲りない、というだけならばまだ良い。馬鹿な自分を責めるだけだ。

この事が原因で冷静な艦隊運営が出来なくなるようであれば…提督失格だ。それでは結局、彼女を失うことに変わりはない。


ドッドッドッドッド、と心臓が飛び出さんばかりに脈打っている。

ああ、とかうう、だとか意味のないうめき声をあげているのに今更気がついて。

ああ、これはもう末期だなと…これまた制御しきれない大声を上げた。


こうして死にそうになるほど身を削らせて、いつもいつも後悔するのだ。もうやめようと。

だが…提督にとっては死の恐怖よりも、彼女の期待に答えられない方が万倍も怖いのだ。

なんだ、お前はつまらん奴だなと烙印を捺される位ならば、いっそ死んだほうがマシというものだ。

「ハハ、そんな言い方はしないか、アイツは」



締め切った個室トイレのドアに身体を預けて、提督は自嘲する様に天井を見上げた。

ぼう、っと上手く働かない頭で、必死に今後の展開を考える。どう取り繕おうか、と。



生真面目な彼女との唯一の接点を無くさないように必死になる自分は、端からみると滑稽だろう。

だけど、自分はこの時間を失いたくはない。彼女と過ごすこの時間を。

だから…だから、とそこまで考えてまたもや限界が来たのか、提督は嘔吐を繰り返した。

勝手に部屋を出てきて大分時間が経つ。それに気づいたアイツは何と言うだろう?

まさか吐いて苦しんでいたとは言えないが、トイレに行ったのは事実なのだ。

用を足していたと言えば追求されまい、なんとか誤魔化せるだろう。



さあ、あと少ししたら口を濯いで…涙目になった目元を拭いて。

まるで平気だぞという顔をして、自分は部屋へと戻るのだ。

相変わらず提督はトイレのドアに身体を傾けたまま、部屋に帰るのが遅れた言い訳をうわごとの様に繰り返す。

「すまない、遅れたな。ちょっとトイレに行っていて」
彼女はいったいどういう反応をするだろう?


「すまない、遅れたな。ちょっとトイレに行っていて」
なら仕方ないな、と言って続きを再開するだろうか。


「すまない、遅れたな。ちょっとトイレに行っていて」
もう提督のことなど忘れて、別の仲間たちと話し込んでいいるのかもしれない。



そういえば今日は瑞鳳と出撃していたから、今頃はその話で持ち切りだろうか。

そんな不安があるから、いつもいつも自分はこんな馬鹿な事をしてしまうのだ。

強がっている間は、彼女は自分に笑顔を向けてくれる。楽しい時間を共に過ごせる。

本当は無茶をしていると知れたら…もう見向きもされなくなるだろうか?



それは嫌だ、彼女の笑顔が自分へと向けれられないなんて、それこそ死んでも嫌だ。

だから結局、これからも自分は同じ過ちを繰り返すのだろう…。



そんな事を思いながら、提督の意識は闇へと落ちていく…。

「…ここは?」


提督が目を覚ますと、視界が天井の広がりを捉えていた。

トイレの、ではなく…これは鎮守府の中の医務室のものだ。

結局自分はあれから部屋に戻るのではなく、あそこで倒れ込んでしまったのだろう。


だとしたら、自分をここまで運んだのはいったい?



「ふん、やっと目が覚めたか」



ああ。

それは聞き慣れた彼女の声。任務の最中に聞くような、お堅くてややせっかちな声。

求めてやまなかった、でも今の提督には恐怖を与える声だ。だって、その声には…怒りが込められているのだから。

「お前がここまで運んでくれたのか?」

「すまなかった」



取り繕うような提督の言葉に重なったのは、予想だにしなかった彼女からの謝罪の言葉。

こちらが謝ることはあろうとも、彼女から謝られるとは思っていなかった。


ポカン、と口を開けて何も答えられない提督に、彼女が続ける。

気まずそうに、ガシガシとこめかみを抑えて頭をかきながら。

「千歳も反省していたが…一番やりすぎたのは私だ」


お前はもっと強いものだと思い込んでいたからな、と。

そう言われた瞬間、提督は自分の嘘が全て彼女にバレてしまったのを察した。



「実は、いつも限界だったんだ。強がって平気なフリをしていた」

「だろうな」


頭を抱えながら、提督は懺悔を続ける。

つまらん奴だと一蹴されてしまうのが、たまらなく怖い。

視界の先に移るのは、行き場がなく目の前で組まれた腕を包む彼女の白手袋だけ。

「その、だな」


だが、彼女から漏れたのは歯切れの悪いことばだけ。

もしこの時提督が勇気を出して顔を上げ、彼女のことを見ていたのなら。

彼女の頬が、夕焼けに染まった様に燃えていたのが分かっただろう。



「何故だ?」

「へ?」


ようやく提督が顔を上げた頃にはもう、彼女はそっぽを向いてしまっていた。

自分でも分かるほどに頬が熱を帯びていて、当人もこれは見せられたものではないと気づいたのだろう。

後ろ手に束ねられた長い長い髪を揺らして、彼女が問う。

「何故、こんなになるまで無茶をしたのかと聞いている!」


早口で、ぶっきらぼうに叫ばれて。

そんな真っ直ぐな問いに提督は、これまでにないくらい正直に、自分の答えを述べた。



「そうしている間は、ずっとお前の隣にいられるからだ」

「そ、それで倒れては話にならないだろう!」


照れを含んだ返しを杓子定規に受け止めて。

すまなかったなと返事をするあたり、提督は彼女の真意を何も分かっていなかった。

「と、とにかく、次からはこんな無茶はするな!」


ああ、と…今度こそ提案は反省の意思を込めて頷く。

これで彼女との接点は、上官と部下というかたちでしかなくなるのかと、そう思いながら。



「わ、私もな」


もう話は終わったものだと勝手に思い込んでいた提督に、彼女からことばが紡がれる。

彼女の上ずった声が幾分、緊張を含んでいるということに、ふさぎ込んでいた彼は気づけただろうか?

「一人で一本、というのはやり過ぎだと思っていたところだ」

「次からは、二人で一本にしよう」



「それってどういう――?」


謎めいたことを口にすると、彼女はそっぽを向いたまま、提督と顔を合わせることなく部屋を出て行った。

終始、普段の凛とした佇まいを感じさせない浮ついた態度だったことに、提督はモヤモヤとした引っかかりを覚えて。

彼女が退室したあと…先ほどの会話を、提督はベッドに寝転んだまま一人で反芻する。

ぼうっと天井を見上げて、二人で一本、二人で一本と繰り返して。

そうして突然、答えに行き着いたのか、彼はあっと声を上げて起き上がった。



「二人で一本、だって…?」


それはいったい、誰と誰のことなのか。

それはいったい、誰と誰がどうするつもりなのか。

彼女のその提案が結局、何の解決にもなっていないことに気づく。

それでも、提督の顔はだらしなく緩んでしまって。

ククク、と短い笑いを抑えながら、もうとっくに彼女が出て行った方を見やって、一言。



「俺は下戸だって言ってるだろ」


いや、言ってなかったんだよな。

だから、こんな事になったのだと。


そんな取り留めのないことを一人で繰り返し考えて、笑った。

③終わりです、基本的に終わりに近づくにつれ分かるようになっているはずです。
それでは答えはまた明日、よろしくどうぞ

【答え】


③那智

どうやらバレバレだったようです。酒ということばは出さず、なるべく隠すように頑張ってみましたが難しい。白手袋はちょっとやりすぎました。

「そんな言い方はしないか、アイツは」⇒那智呼び方は勿論「貴様」

お堅い口調に早口、千歳や瑞鳳という飲み友達と後ろに束ねた長い髪、ここまでくれば那っきゅんしかいませんね。

ちなみに自分も相当酒には弱く、飲む趣味もないので達磨がどうとか言われても分からんです。

あぁ~、「瑞鳳のお酒が飲めないのぉ?」とか言われて無理やり飲まされたい。
言い忘れました
④は多分今日のうちに投下です

投下はじめます、バレッバレかもしれませんが分かっちゃったらちゃんと描写出来ているか、その艦娘っぽいかをお楽しみください

④??? (?の数は関係無)




気を付けなければいけないのはいつも見積もりなんだと、提督は思っている。

例えばそれは、任務達成までに要する日数や資材の量だったり。

例えばそれは、本部への申請が通るか通らないかのさじ加減だったり。



そして。



例えばそれは、艦娘との適切な距離感だったりする。

ちょっと手ごわい艦娘だな、と…その艦娘が着任した時は思ったものだ。

提督は、手元のノートにその艦娘に関する考えを書き込みながらそう思い返す。


鎮守府の艦娘も、大分数が増えてきて大所帯になってきた。

艦娘たちの人員配置を考える必要も出てきたし、ここらで一度彼女たちに対する考えを整理しておこうという試みだ。

いつまでも10人ばかしの艦娘で旗艦や秘書艦をまわすわけにもいくまいという現実的な事情もある。


特に激務になる秘書艦の枠は、ローテーションの数を増やして、当番を色々な艦娘に割り振れば既存の秘書艦組は負担が減って喜ぶだろう。

そこまで考えて、そういえば今まさにデータを書き込んでいるコイツも秘書艦だったよなと、提督は先ほど抱いた感想をもう一度反芻する。

何よりもまず思い出すのは…着任した時の彼女の様子だ。

赴任先の上官への興味が無さそうな冷めた視線と、あの棘のある、これまた冷めた声を真正面から受け止めて平気でいられた人間はまずいまい。



事実、大抵のことは笑って済ますのが特技の提督ですら、何か悪いことをしただろうかと思い悩んだ程だ。

後に彼女の事をいくらか知るようになると、あれは単に愛想が無いだけで、曙の様に憎まれ口を叩いたり、山城の様に無防備な姉を自分から遠ざけようとするあまり喧嘩腰になる訳ではない事が分かった。



かといって無表情だったり、孤高の存在という訳でもない。

仲の良い艦娘たちいるときの彼女の、蕾がほころんだみたいな上品な笑顔を見たときにそう気がついた。

もっとも、提督が見ていることに彼女が気づいた途端に、その花びらは風に吹かれた様に飛んで行ってしまったが。

そうなると、問題は自分にあるのだろうか、と提督は戸惑う。

当初の頃の無関心は見受けられないものの、好かれている方なのか嫌われている方なのかは全く分からないでいるのだ。



でも、と提督は思い直す。まてよ、手際が良いのを買って秘書艦に抜擢した時は嬉しそうだったぞと。

あの時は、やれ自分の実力からすれば当然だの、頼り切りにされたら困るだのと言って珍しく得意げだったのを覚えている。

自分の能力に誇りを持っているのだと思って、秘書艦がそんなに嬉しいのかと聞いた瞬間怒鳴られたという、余計ないわくまでついた記憶だが。

そうなると、秘書艦になって自分といる時間が長くなるのも、そんなに嫌がられてはいないのかもしれない。

かと言って、仕事終わりに食事に誘っても連れない返事ばかりでもどかしい。

早く寝ろ、明日の仕事に触るなどという、お前は俺の母親かというようなおせっかいまでされた。


これが金剛や赤城なら二つ返事で付いてきてくれるのだが、彼女とプライベートを共にしたことはない。

仕事とそれは別、というドライな考えを持っているのだろうか?

確かに彼女の仕事は完璧だ。秘書艦にして良かったと心から思う。

他の艦娘のこともよく見ているし、提督がそろそろあの資料が欲しいなと思う頃には、当然の様にそれらが彼の執務机に揃えて置いてあるのだ。


すごいじゃないか、と提督が褒めても当然よと答えて目も合わせない。

あくび交じりにさっさと読めと言われるだけで、彼女はというと次に提督が書くであろう申請書の用意をはじめていくのだ。

その資料はこれを書くためなんでしょう、という生意気な態度に逆らったことは一度もない。

提督としても、彼女の献身に恥じない努力と結果を示しているつもりだ。

だからこそ彼女も、上官としての自分を良く補佐してくれているのかもしれない。

仕事の相棒としての評価しか貰えていないのかもしれないが、それでいいのかもしれない。



何も鎮守府の艦娘全員と仲良くしなくても、提督としてしっかりしていれば問題はないのだから。

そんな言い訳としか思えない戯言を、提督は自身で否定する。

だって、それはあまりにももったいないことだから。

綺麗事ではなく、もっと彼女の事を知っていたいという純粋な思いと。

あの、普段の彼女の表情からは想像もつかない笑顔を自分にも向けてほしいという不純な思いがごちゃ混ぜになって、提督の心をかき乱した。



案外、ちゃんと誘ってみれば上手くいくんじゃなかろうか?



そんな馬鹿なことを思っていると、執務室の扉がガチャリと音を立てて開いた。

入ってきたのは、件の秘書艦だった。そういえば今日はコイツが当番だったなと今更ながらに思って声をかける。

「丁度、誰かを新しく秘書艦に加えようと考えていたところなんだ」


お前は誰が良いと思う、と聞いてみると。

フン、と鼻を鳴らして、どうせもう決まっている癖に、何を聞くんだという答えが返ってくる。



無駄な事がお嫌いな秘書艦さまは、他愛ないお遊びにも乗るつもりが無いらしい。

真面目、というよりも…少しめんどくさがりの気があるのかもしれない。

提督もいつもはここで引き下げるのだが、今日は先ほどの感傷が残っていたのか、少しだけ彼女の方へ踏み込んでみることにした。

挑発するように、どうせ分からないのだろうと言ってやると…切れ長の瞳をすっと細めて、

自分を誰だと思っているのかと食いついてきた。


その凍てつくような視線に、いつもなら嫌われているのかと悩んでしまう提督だが。

今日ばかりは何故か、そんな事を感じずにいた。



対する秘書艦はというと、自分が提督の考えを分かっていないと思われる方が、無駄なお遊びに付き合うよりも耐えられないらしい。

両手に抱えた本をいじりながら、早く問題を出してみろとうずうずしている。

そんな彼女の仕草をみて、案外子供っぽい所もあるんだなと苦笑しながら、提督はもう一度彼女に問う。

新しく秘書艦にするのは、誰だと思うと。


「何人?」

「二人」


それだけ聞くと、彼女は口の端を僅かに緩めて、即座に答えを返して見せた。


「瑞鶴は見送ったのね」


起用するかどうか迷った“三人目”を言い当てるというかたちで。

驚きが大きすぎて、提督は馬鹿みたいに口を開けたまま、即座に言葉を発することが出来ない。

ようやく理性を取り戻したところで、おそるおそるもう一度最初の質問をしてみると。

これまた見事に新たに秘書艦に任命する二人を言い当てた。


「瑞鶴は、秘書艦よりも戦場の方が輝くタイプだから迷ったんだ」



たまらず白旗を上げて、提督は人事の内容について語りだす。

瑞鶴は、旗艦も秘書艦もこなす加賀を意識してるのだろう。


その背中を追いかけさせてやりたいが…まずは一つの事を極めて欲しいと思って決断したのだ。

多分相当不貞腐れるだろうが。


そうやって理由を述べても、さも当然という顔をしているあたり…そうした提督の考えまでもお見通しだったのだろう。

…でも、本当に良く分かったなという提督の感嘆に対して。

提督の考えていることなど、見ていれば分かると返された瞬間。


「お前を秘書艦にして良かったよ」


ポロリと、そんな素直な感想が口から漏れていた。

慌てて口を押えるも、時すでに遅しというやつだ。


これから来るである叱責に、提督は思わず目を瞑って身構える。

やれセクハラだの、上官が部下に媚びるなだの、口説くなら仕事が終わってからにしろだの。

そんないつもの呆れと怒りを含んだお説教は、ついぞ提督のもとへ届くことはなかった。

ドサドサ、っと、彼女が両腕に抱えていた分厚い本が落ちる音がして。

急な音に提督が驚いて顔を上げると、そこには…。



「な、なな・・・な、何言ってるのよ!?」



普段は無愛想な顔を真っ赤に染め上げて。

本ではなく、自分の肩を抱くようにか細い両腕を織り交ぜながら、潤んだ目でこちらを見上げてくる女の子の姿があった。


その様子は、呆れているだとか怒っているだとか言うよりも、明らかに照れていて。

自分と同じく、ただひたすら湧き出る感情をどう対処したら良いのか分からずに立ち尽くしていた。

紅耀石の瞳を見つめて、提督は息をのむ。

そして、あることに遅まきながら気がついたのだ。


単なる上官と部下、という意味ではなくて。

ああ、自分は“こういう意味で”彼女と仲良くなりたいと思ったんだなという…。



至極当然の、純粋で不純な自分の気持ちに…やっと、気がついたのだ。

気を付けなければいけないのはいつも見積もりなんだと、提督は思っている。

例えばそれは、任務達成までに要する日数や資材の量だったり。

例えばそれは、本部への申請が通るか通らないかのさじ加減だったり。



そして。



「なあ」

「…なによ」


例えばそれは、艦娘との適切な測り方だったりする。


「今度、二人でどこかに行かないか」

「バカ」


もっとも…最後の一つは、盛大に見誤ってしまいそうだが。

④終わりです、また明日答え合わせに来ます。

【茶番】

???「ふっふっふ~、誰か分かるまいクマ~」

さて、では答えを書いてきます。

【答え】

④叢雲

バレバレだったようで。”分かる様に描写する”が目標なのに見破られると何か悔しい。

提督から見た彼女の雰囲気で序盤から何人かの無愛想艦娘に絞れるかと思いますが、鋭い方は>>81で特定出来ます。『月に叢雲、花に風』ですね。


着任時から愛想が無い、でも嫌われている訳でもなく。そんな叢雲が加賀と違うのは秘書艦として献身的であろうとするところでしょうか。(加賀は多分ここでも不器用)

「紅耀石の瞳」…叢雲(改まで)の瞳は赤、周りがオレンジかな?



・食事に誘ってもつれない
・アンタの事なんてお見通しよという態度
・提督の賛辞にそっぽを向きあくび交じりに返事
・「バカ」

これがどの程度無愛想でどの程度照れデレなのかは読み手にお任せします。

ちなみに、④が満潮ではないかと意見でたのでツンデレ三大艦娘への印象

曙…憎まれ口を叩きつつその場に立ち尽くす、逃げはしないが近づいても来ない
満潮…構ってあげないと勝手に拗ねて遠ざかってしまう。見えなくなってからも強がる
叢雲…気づけばすぐ後ろに控えている。あれこれ世話を焼いてくれるくせに指摘するとそっぽを向く

どうでしょうか、皆さんと同じでしょうか、それとも…?

叢雲は>>1が一番描きやすい艦娘です。
他のSSでも随所で主役を張ったり秘書艦として登場してくれています。嫁です。

なんだこの高度な心理戦
ちょっとネタが切れてしまったので、小ネタを投下して終わろうかと思います

*注意



この先、ある大好きなゲームをネタにしたおまけ投稿です。読むとネタバレになります。

人気作であり、多数ある感想・考察サイトですら自身がネタバレすることを恐れ”プレイ後に読んでください”と言われるほどの出来ですので、将来プレイされる予定がある方が読むのはお勧め出来ません。

【ゲーム】をNGワードにして頂ければいいのかなと思います。

答え合わせでネタバレにならないようにタイトルだけ明かします。

【ゲーム】


ゆー「あい、あむ、ゆー、だって」

Z1「あはは、ゆーと同じ名前の人が出てくるゲームなんだね」


ビス子「ふうん、内容はというと…謎解き系のゲームみたい?」

プリンツ「ニホンには色々なゲームがありますね、ビスマルク姉さま!」

ビス子「ええ。せっかくの休暇だし、みんなで挑戦してみましょう」

プリンツ「はい!」


ゆー「あい、あむ、ゆー…」

Z1「ふふ、気に入っちゃったみたいだね」



【ゲーム】

Z3「これは…正直…」

Z1「うん、分かっちゃうのがもどかしいね」

ゆー「あい、あむ、ゆー…」


プリンツ「私たちがニホン人なら、もっと楽しめたかもしれないです」

Z1「多分ここがこうなって…ああ、やっぱり知らないと騙されちゃうんだ」

Z3「そう考えると黒髪の彼女の不自然な態度も納得いくわ」


プリンツ「ドイツ人だとみんな分かっちゃ―――」

ビス子「ううーん、難しいわね。サッパリ分からないわ」

Z1、Z3、プリンツ「えっ…!?」

ゆー「ニブイ人だと気づかないかもって、ゆーは思うな」

しばらくしたらタイトルだけ紹介し、締めようと思います。

『艦娘誰でしょう?』はやってみて楽しかったので、またアイデアが浮かべばやろうかと考えてます。立てたときはまたよろしくどうぞ。

また、自分もやってみたいという方がいればチャレンジしてみてはどうでしょうか。

では最後にネタにしたゲームだけ紹介していきます、いやいや聞かせるなという方は次レス見ないようにしてください

【答え】


作品名は『ever17』


既プレイ者ならば前フリの時点で「だろうな」と思ったでしょう。

ノベルゲーでありギャルゲーですが本領はそこじゃない、いやキャラも良いんだけど。

とにかく買え、調べずに買えといったところ。調べていいのはキャラの推奨攻略順だけ。


海洋テーマパークに取り残されたキャラクターたちが脱出を図る、そして各√に進めば進むほど逆に深まる謎がキモ。

浅川悠、保志総一朗など魅力的な声優陣の演技もグッド。

これだけで興味を持ったら買え、今すぐ買え。あとプレイするのは時間がある時に、眠れなくなります。

さて、やりたいこと全部やったのでお開きにします
このテーマはやってて面白いのでネタが思いつけばまたやります
嫁艦レベルじゃないと描写するのシンドイのが難点ですね

それではここまでお付き合い下さった方がいましたら、ありがとうございました。

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