男「幼馴染なんて幻想だ!」幼馴染「は?」(78)

男「…」スタスタ

幼「おーい、男!待ってよー!」タッタッタ

男「…」スタスタスタ

幼「待ってってば!」タッタッタッタッタ

男「…」スタスタスタスタスタスタ

幼「やぁっと追いついた!男!おはよう!」

幼「なんで今朝に限って、一人で行っちゃうのよっ」

男「…」スタスタスタスタスタスタスタ

幼「…さっきっから待てって言ってんでしょーがっ!」バシッ

男「…」スタスタ

幼「何よ、何で何も言わないの?」

男「俺は…」プイッ

幼「何よ?」

男「昨夜、ついに理解したんだ」ボソッ

幼「何を?」

男「幼馴染なんて幻想だ!」

幼「は?」

男「幼馴染なんて、この世に存在しない、幻なんだよ!」

幼「ちょっと、男、頭大丈夫?受験勉強のし過ぎでおかしくなった?」

男「主人公の事が好きだけど、長年兄妹みたいに接してきたから」

男「男女としての距離感が掴めずにいるうちに…」

男「隣りの席の積極的な女や」

幼「隣りの席のって私じゃん…」

男「む」

男「頼りがいのあるメガネでおさげの女子委員長」

幼「ウチのクラスの委員長、男じゃん…」

男「む」

男「些細な気配りに心惹かれちゃったツンデレ女子」

幼「男、昔から周囲への気配りゼロじゃん」

男「む」

幼「あと、ツンデレって何よ」

男「む」

男「部活のクールな女子部長とキュートな女子後輩」

幼「男、帰宅部でしょーが」

男「む」

男「学校で一番の美人、女子生徒会長」

幼「ウチの学校の生徒会って、全員男子じゃん…」

男「む」

男「外見はギャルっぽいのに、実は密かに心寄せてるギャル娘」

幼「ウチの学校、髪染め禁止でしょ?」

幼「だいたい制服でギャルっぽい外見ってどんなのよ?」

男「む」

男「黒髪ロングで清楚なお嬢様」

幼「だから、ウチの学校、校則で髪伸ばすの禁止じゃん。ロングとかダメじゃん」

幼「あとお嬢様って具体的にどんな人がお嬢様なん?」

幼「本物のお嬢様はもっとレベルの高いお嬢様学校に行くんじゃない?」

男「む」

男「学校のマドンナ先生、もちろん独身」

幼「マドンナ先生って表現古っ!」

幼「ウチの学校の女性教諭、一番若くて40代じゃん…」

幼「…まぁ、独身だけど」

男「む」

男「昔、近所に住んでて、転校して離れ離れになったんだけど」

男「数年ぶりに戻ってきた、美少女転校生」

幼「仮にそんな子が居たとしてさぁ」

幼「男がその子の事を覚えてるとは思えないんだけど」

男「む」

男「実は血の繋がりが無いとわかって、恐ろしく積極的になった義理の妹」

幼「男、一人っ子じゃん…」

男「む」

男「と、とにかく!」

男「…以上の様な人々に」

男「先手を打たれてしまうが」

男「『男が幸せなら…アタシは…』なんて言って」

男「身を引いてしまう…」

男「そんな幼馴染は存在しない!幻想だ!」

幼「まぁ、そんなシチュエーションは滅多にないんじゃない?」ハァ

男「もしくは!」クワッ

幼「まだ続くの?」ハァ

男「クラスのdqnに手篭にされたり」

幼「ドキュンってどういう意味?」

幼「あと、手篭って、またしても表現古っ!」

幼「昭和か!」バシッ

男「む」

男「イケメン先輩に言い寄られたり」

幼「イケメンて」ハハハ

男「む」

男「鈍感な主人公に愛想尽かして」

男「ホイホイついていっちまう!」

男「そんな幼馴染は人間として最低だ!」

幼「幼馴染とか、そういうの以前にさ」

幼「それって普通に恋愛として、アリなんじゃないの?」

男「違う!」カッ

幼「何が?」

男「幼馴染とは!主人公を一途に想い続ける存在なのだ!」

幼「えー?」ハァ

男「幼馴染とはつまり、妖精と同義なのだ!」

幼「何で急に妖精出ちゃった?」

男「この世の中に存在しないという意味で、同じ意味なのだ!」

男「だから幼馴染なんて幻想なんだ!」

幼(あぁ、そんな妄想を…)

男「それが1週間考えに考え抜いた上での結論だ!」

幼(受験生が、貴重な時間を1週間も…そんな事考えてたなんて…)

男「だからお前も幻想だ!」ビシッ

幼「は?バカじゃないの?」

男「お前はただの近所にすむ女子高生aだ!」

男「今はそれ以上でもそれ以下でもない!」

幼「あのさ、男」ハァ

男「なんだ?」

幼「17年、お隣同士で、親同士の仲も良くって」

幼「部屋のカーテン開ければ、お互いの部屋が見えちゃう」

幼「しかも、ちょっと勇気だせば、小学生でも飛び移れちゃうくらい近い距離」

幼「保育園から高校までずーっと同じクラス」

幼「苗字も似てるから、出席番号も近くて」

幼「席替えしても何故か隣りになる事が多く」

幼「朝、忙しい男のお母さんのかわりに」

幼「起こしに行くのと、朝食アンド弁当を準備」

幼「登下校もほぼ毎日一緒」

幼「休日も男の部屋でゲームしたり、バカ話したり」

幼「そんな、昔からの馴染みを『幼馴染』って言うんじゃないの?」

男「だから!」クワッ!

男「そんな絵に描いたような幼馴染が存在するはずがない!」

男「だからお前は幻に違いない!」

幼「…」

男「…」

幼「…」バシッ

男「いたっ!何だよ」

幼「…」グイーーーーー

男「痛い!モミアゲ引っ張るの止めて!」

幼「…」ゲシッゲシッゲシッ

男「痛ったい!無言で太ももに膝蹴り連打するの止めて!」

幼「…で?」

男「はい…」ボロッ

幼「何で今回はそんな事考えちゃった?」

男「あの、プライバシーに関する事なんで、言いたくないんスけど」

幼「いいから!言いなさいよっ!」

幼「アンタ、バカなんだから」

幼「余計な事考えてたら、大学落ちちゃうよ?」

男「…そんなはっきりバカって言われると、オレだって傷つくぞ?」

幼「そんな事はどうでも良いから、何があったの?」

男「実は…」

幼「はぁ?告白された?」

男「…はい」

幼「…」プルプル

幼「…誰に?」プルプル

男「a組の女さんと、b組の委員長さんと、ツンデレさんと」

男「バレー部の先輩女さんと後輩女さんと」

男「学年が1つ下だけど、転校生女さん」

男「隣町の女子校の生徒会長女さんと、ギャル娘さんと、清楚娘さん」

男「あと、向いのアパートに住んでる教師女さん」

男「それと、ウチの母ちゃん再婚して、義理の妹出来た」

男「その義妹ちゃんからも告白された…」

幼「」

男「幼?聞いてる?」

幼「…なんでそんな事になったの?」プルプル

男「まず1週間前」

男「下駄箱に手紙が入っててさ」

男「放課後屋上に来てくださいって書いてあったんで」

男「行ってみたら女さんと、委員長さんと、ツンデレさんが居た」

男「あの3人さ、去年同じクラスだったじゃん?」

男「文化祭の時とか、オレ頑張ったじゃん?」

男「その頃からオレの事好きだったらしくて」

男「3人で告白してきた」

男「誰と付き合っても文句なしって事らしい」

幼「」

男「バレー部の2人は」

男「6日前に体育館裏に呼び出された」

男「前に体育の授業中、俺がサーブ打つ所見てたらしくて」

男「その姿に惚れたらしい」

男「2人で告白してきた」

男「もともと2人、付き合ってるらしいんだけど」

男「2人同時に、同じ人に惚れたって事で」

男「じゃあ3人で付き合っちゃえば良いじゃん!って事になったんだって」

男「どっちが本妻でどっちが愛人でも構わないんだって…」

幼「」

男「転校生女ちゃんの事は…幼、覚えてない?」

男「俺たちの1つ下で、よく俺たちの後ついてきてた子」

男「俺たちが中学に上がる時、転校して行ったじゃん」

男「6日前、この街に引っ越してきたんだって」

男「5日前、偶然学校の廊下で会ってさ」

男「ちょっと立ち話してたらさ」

男「いきなり告白された」

男「昔から、オレの事が好きだったんだって」

男「もしこの街で、再会出来たら、絶対告白するって決めてたらしい」

幼「」

男「生徒会長女さんと、ギャル娘さんと、清楚娘さんは」

男「先月、予備校の帰りにさ」

男「ヤンキー達に絡まれてる所を助けたんだ」

男「で、物騒だから3人とも家まで送って行ったんだけど」

男「最後に送って行った生徒会長女さんがさ」

男「後日、改めてお礼がしたいから連絡先を交換したいって」

男「オレ、断ったんだけど、向こうが必死に聞いてきたもんで」

男「アドレス交換したんだ」

男「そしたら、4日前の日曜に急に連絡あって」

男「駅前の喫茶店に行ったら」

男「ギャル娘さんと、清楚娘さんも居てさ」

男「最初はお礼を言われてたんだけどさ」

男「ギャル娘さんが『好きです、付き合って下さい』って言い出して」

男「生徒会長女さんも『私も君の事が好きになってしまったんだが』って」

男「で、2人が言い合いになっちゃってさ」

男「それをなだめてたら…」

男「清楚娘さんも『わたくしもあなたの事をお慕いしております』とか」

男「結局3人から告白された…」

幼「」

男「教師女さんは、幼も知ってるよね」

男「あの人、昔から誰も見てない所で」

男「オレに色々チョッカイ出してきてたんだけどさ」

男「3日前、夜食買いに行こうとして家を出た時に」

男「バッタリ会っちゃって」

男「夜の10時くらいだったんだけど」

男「教師女さん、酔っ払っててさ」

男「部屋に引っ張りこまれたんだ」

男「『親戚から、お見合いの話しがさー』とか」

男「『男子校のに美人女教師なんて、危ないよねー』とか」

男「めっちゃ愚痴られてさ」

男「眠いなー、腹減ったなーとか思ってたら」

男「『私と結婚しない?』って急に言ってきてさ」

男「『年上は嫌い?』とか『私、魅力ないかなぁ?』とか」

男「何か変な雰囲気になってきたから、走って逃げた」

男「部屋出る時『結婚の話、本気だから!』って…」

幼「」

男「義妹ちゃんとは、2日前に初めて会ったんだけどさ」

男「何か『義理の兄妹って萌えません?』とか」

男「最初から全力でアピールしてきててさ」

男「その日の夜、オレの部屋に来てさ」

男「『お義兄ちゃんになら、いいよ?』とかさ」

男「オレたちは義理とはいえ兄妹になったんだから」

男「そういう事言うの止めなさいって言ったら」

男「『一目惚れなんだもん!しょうがないじゃん!』だって」

幼「」

男「そんな訳で、考えてたんだ」

幼「…オレ様、モテ期キターーーーー?とか?」

男「違う違う!」

男「漫画や小説なんかだとこういう時さ」

男「幼馴染はなぜか身を引く事が多いよな」

幼「…そういう漫画や小説をあまり読んだ事がないので、わかりません」

男「そういうものなんだよ。幼馴染って」

男「先行で、めっちゃ有利なはずなのに、身を引いちゃうんだよ」

男「頑張っても負けちゃうんだよな。その他の登場人物に」

幼「…へぇー」

男「幼はさ」

幼「な、何?」ドキッ

男「オレの幼馴染じゃんか?さっき自分でも言ってたけどさー」

幼「まぁ、幼馴染…だね」

男「これは現実の話しだから関係ないと思うけどもさ」

幼「ん」

男「俺が告白されたって聞いたらさー」

男「もしかしたら幼が身を引いちゃうかもしれないだろ?」

幼「うん…んん?」

男「だからさ…」

幼「ちょっと待った!」ビシッ

男「何?」

幼「何で私がアンタの事を好きな感じで、話し進めようとしてるの?」

男「はい?」

幼「私、男の事が好きとか、言った事あったっけ?」

男「んー。直接言われた事は無いかな?」

幼「間接的にもそんな事言った事ないよっ!」カッ

男「それもそうか?」

幼「そ、そうだよ!私達は単なるご近所さん!」

幼「それ以上でもそれ以下でもないよっ!」

男「お、おう。そうだよな。ご近所さんだよな」

男「てか、それ俺が言っただろ?近所の女子高生aって」

幼「言ってたね…」

男「つまりだな、幼」

幼「うん」

男「オレは幼に、身を引いてほしくないんだよ」

幼「は?意味わかんないんですけど」

男「オレは幼の事が好きなんだよ」

幼「」

男「昔からずっと好きなんだよ」

幼「なっなっ…」カァァァァ

男「だから、オレの事を好きでい続けて欲しいんだよ」

幼「だっだっ…」カァァァァァァ

男「幼、何か言語が崩壊してるぜ?大丈夫か?」

幼「あっあんた!そんなこ、告白を…」

幼「こ、こんな…登校途中に…」

幼「な、な、何の風情もない!」

男「んん?告白?」

男「え?幼、オレの気持ちに気づいてたんじゃなかったの?」

幼「はっ?」

男「で、幼もオレの事、好きでしょ?」

幼「なっ」カァァァ

男「当ってるだろ?」ニヤリ

幼「ア、アンタ…」カァァァァ

男「オレはさ、ずっと幼一筋だからさ」

男「幼もずっとオレの事好きでいてくれよ」

幼「で、でもアンタ、あんな、た、たくさんの人に告白されて…」

男「全部キッパリ断った!」

幼「え?」

男「その場で、全員断ったよ」

幼「マジで?」

男「一筋だからな」フンス

幼「…」グスッ

男「ちょ、泣くなよ!」アセアセ

幼「だって…ずっと片想いだと思ってたから…」グスッ

幼「男の事、鈍感だと思ってたから…」グスッ

幼「わた…わたしの気持ちになんか、ぜんぜん気付かなくて…」

幼「な、何とも思ってないのかなって…」グスッ

男「幼、よくオレに鈍感鈍感言ってるけど」

男「幼の方が鈍感じゃん?」ハハハ

幼「うぅ…」グスグスッ

男「絶対幸せにするからさ」

男「幼馴染としてじゃなくて、一人の女の子として」

男「オレと付き合って下さい」ペコッ

幼「あ、あたしで良ければ…」ペコッ

幼「じゃあさ」

男「何?」

幼「何でさっきちょっと無視したの?」

男「あぁ、あれは…その…」カァ

男「昨日の夜さ、結論に達したんだ」

男「今朝、絶対気持ちを伝えようって」

幼「うん」

男「でもいざ幼の顔みたらさ…」

男「その…恥ずかしかったんだ…」マッカッカ

幼「あ、そ、そう…」マッカッカ

男「つまりさ」

幼「うん?」

男「幼馴染なんて幻想だ!」

幼「は?」

男「今、オレの隣に居るのは」

男「隣の家に住んでいる、オレの大事な彼女だ!」

男「って事だな!?」ハハハ

幼改め彼女「…ハイ」マッカッカ


おわり

スレタイ思いついたときは、
うまいオチも同時に思いついたと思ったんだけど
何か、変なオチになっちゃったなぁ…

誰か読んでてくれれば嬉しいです

次スレ立てるときは
ツン幼「はぁ?」男「いや、だからさ…」
って感じで立てたいと思ってます

この発想はなかった

>>53
良かった、読んでくれた人がいて
どうもありがとう




幼馴染みが

「そんなに告白されたアンタのほうが幻想じゃない?」

「 いや、全部アンタの妄想か」ハハハ

みたいな突っ込み入れるかと思ってたが、いい意味で裏切られた


ハッピーエンドはいいね

おつ


今のところ>>1の書く幼馴染ssは安心して読める

>>55
>>56
>>57
読んでくれてありがとうございます
寝取り、寝取られ、大嫌いです

幼馴染はみんな幸せになったらええんや!

おつ

こーゆーの 大 好 物 で す !



是非>>1には最近の幼馴染み不遇の風潮をどうにかして欲しい。

乙!
やっぱ幼馴染は報われないとね!

おつ

次の幼馴染みも楽しみだ


サクッと読めて良かった

さっぱりしてて読みやすい

>>1乙!
今夜はいい夢見れそうだ

乙乙

おっつん

乙 幼馴染はいいものだ

スペックの高い男にはスペックの高い幼馴染みがいるのねん

おっつおっつ
やっぱ大正義幼馴染だわ
王道こそ一番だね


また幼馴染物書いて欲しいなぁ(チラッ

む 
面白かった

>>37
>男「『男子校のに美人女教師なんて、危ないよねー』とか」

学生の登場人物は全員・・・?

>>73
つまりそういうことだよ

皆さん、読んでくれてありがとうございます。

>>73
『男子校の中に美人女教師なんて、危ないよねー』って書きたかったんです
教師女さんは男と幼が通う学校の先生ではなく、近所の男子校の先生です
男と幼の家のご近所さんで、30代
ショタコンで、昔から男に軽いセクハラしてたって設定です
説明が足りなかったですね

次作も、その次も、今、書いてます
幸せな幼馴染物を書いてます

期待してもらえるなら、いくらでも頑張れる気がします

また読んでもらえると嬉しいです!

ではちょっと仕事行ってきます!

乙! 俺もこんなss書きたい

次回作も期待してます

面白かったよ

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