P「アイマス日本創生」 (54)

  ─ 天地開闢 ─


 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ・以下高木)

 伊邪那岐命(いざなぎのみこと・以下P)

 伊邪那美命(いざなみのみこと・以下小鳥)


高木「ああ君たち、ちょっといいかな」

P「はい?」

小鳥「なんですか?」

高木「今度、この高天原(たかまがはら・天上)と根之堅州国(ねのかたすくに・地底)の間の世界に国を造ることになってね」

P「国を?」

小鳥「それはまた大変そうですね」

高木「その国産み(プロデュース)を君たちに任せたいんだよ」

P「ええ!?」

小鳥「そんな大任を私たちに!?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434890744

古事記準拠ですが、原典とは異なる展開が多々あります。

男神役も基本765プロアイドルがやってます。

天之御中主神は、天地開闢に関わった五柱の別天津神(ことあまつかみ)の一柱で、その中でも最初に生まれた神です。

この五神は性別がなく、伴侶を持たない独神(ひとりがみ)といわれています。


P「独神……なんだか魔法使いの上位互換みたいな称号ですね」

小鳥「縁起でもないことを……」

高木「ははは、私のことはいいんだよ」

P「ああ、ええと……国産みでしたっけ?」

高木「うむ、やってみてはくれんかね?」

P「そう言われましても……ねえ?」

小鳥「え、ええ」


別天津神に続いてさらに二柱の独神が生まれ、そのあとに男女で対になった五組の神が生まれました。

神世七代(かみよななよ)と呼ばれるその神の中で、最後に生まれたのが伊邪那岐命と伊邪那美命です。


高木「君たちは一番若いことだし、これを機に結婚してだね」

P「けっ……」

小鳥「結婚!?」

高木「どうかね?」

小鳥「そ、そそそんなこと突然言われましても……!」

P「いきなりすぎますよ」

高木「君たちならお似合いだと思ったんだが」

P「はあ」

小鳥「そ、そんな……///」

高木「まあ、どうしても嫌なら無理には……」

小鳥「え? 嫌なんて言ってませんよ?」

P「そうですよ……え?」

高木「そ、そうか」

小鳥「別天津神様に言われたら断れませんよ! ね? ね?」

P「は、はあ……」

高木「では、二柱で力を合わせて国産みに励んでくれたまえ」

小鳥「励んでくれなんて……なに言ってるんですか、もう///」

高木「ははは」

P「……」


別天津神たちは天沼矛(あめのぬぼこ)を二神に与えました。

これより伊邪那岐命と伊邪那美命の国産みが始まります。

  ─ 国産み ─


伊邪那岐命と伊邪那美命は、まず天浮橋(あめのうきはし)に立ち、天沼矛で眼下の渾沌をかき混ぜました。

矛から滴り落ちた雫が積もってできた最初の島を淤能碁呂島(おのごろじま)と言います。


小鳥「これは……さすがに殺風景ですね」

P「仮住まいぐらいはあったほうがいいですね」

小鳥「誰に見られるかわかりませんからね!」

P「俺たち以外、誰もいませんって……」


二神は島に降り、天之御柱(あめのみはしら)と八尋殿(やひろどの)を建てました。

夫婦の営みのためです。


P「……」

小鳥「……」

P小鳥「「あの」」

P小鳥「「あ……」」

P「……」

小鳥「……///」

P「えっと……」

小鳥「そ、そちらからどうぞ……///」

P「い、いや……そちらから」

伊邪那岐命と伊邪那美命は、本邦開闢以来、最初に成立した夫婦です。

つまり、この時点で二神はもちろん、先に生まれたどの神も正しい夫婦の営みを知りませんでした。


小鳥「あ、そういえば!」

P「はい?」

小鳥「別天津神様のところにある薄い木簡(うすいほん)を、少し読んでみたことがあるんですよ」

P「う、薄い木簡?」

小鳥「あれがまさに、今の私たちと同じ状況でした」

P「はあ」

小鳥「あの内容を実践してみましょう」

P「……なんだかすごく如何わしいけど、まあやってみましょうか」


その薄い木簡は、常世(とこよ)の文物とも、外国(とつくに)よりの舶来物とも言われています。

二神はそれに従い、出会ったばかりの男女という態でイメージプレイに興じました。

小鳥「……」

P「……」

小鳥「うまくいきませんね……」

P「そうですね……」


二度の国産みを続けて失敗しましたが、原因がわかりません。

困り果てた二神は、別天津神に助言を請うべく高天原に戻りました。


高木「太占(ふとまに・鹿の骨を使う占い)によると、その木簡の内容が間違っているようだね」

小鳥「えぇ!?」

P「……」


伊邪那美命の主導で行為に及んだのが良くなかったようです。

新たに授かった薄い木簡をもとに、今度は伊邪那岐命の主導で実践したところ……

正しく、次の順に八つの島が生まれ出でました。

 淡道之穂之狭別島(あわぢのほのさわけのしま・淡路島)

 伊予之二名島(いよのふたなのしま・四国)

 隠伎之三子島(おきのみつごのしま・隠岐島)

 筑紫島(つくしのしま・九州)

 伊伎島(いきのしま・壱岐島)

 津島(つしま・対馬)

 佐度島(さどのしま・佐渡島)

 大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま・本州)


これら八島をもって大八島国(おおやしまのくに)と言います。

二神は続けて六島を産みました。


 吉備児島(きびのこじま・児島半島)

 小豆島(あづきじま・小豆島)

 大島(おおしま・周防大島)

 女島(ひめじま・姫島)

 知訶島(ちかのしま・五島列島)

 両児島(ふたごのしま・男女群島)


これらの島や群島です。

これにて国産みが完成されました。


小鳥「自分で言うのもなんですけど、島を産めるなんて、神様ってすごいですね」

P「あはは……次は普通に神産みをしましょう」

  ─ 神産み ─


国産みを終え高天原に戻った二神は、続いて八百万(やおよろず)たる天津神(あまつかみ)を生み出していきました。

大事忍男神(おおごとおしおのかみ)を最初の子として、瞬く間に多くの神が生まれています。

馴初めはともかく、伊邪那岐命と伊邪那美命の夫婦仲はとても良好でした。


小鳥「風の神に、草木の神に……あと、生まれていないのは」

P「火の神……でしょうかね」

小鳥「それだ! 次の子はそうしましょう」

P「ははは、それはどうでしょうね」


果たして、火の神たる火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)が生まれ出でます。

それは、まさしく炎の化身でした。


火之迦具土神の出産で深刻な火傷を負った伊邪那美命は、その悪化から病に伏し、ほどなくして亡くなってしまったのです。

妻の死を嘆き悲しみ乱心した伊邪那岐命は、十拳剣(とつかのつるぎ)『天之尾羽張(あめのおはばり)』で火之迦具土神の首を斬り落としてしまいました。

その血飛沫から生まれた神の一柱が、のちに『国譲り』で名を残す建御雷神(たけみかづちのかみ)です。

  ─ 黄泉国 ─


亡き妻への想いが募り、居ても立ってもいられなくなった伊邪那岐命は、天津神にあるまじき行動に出ました。

伊邪那美命のいる亡者の世、黄泉国(よみのくに)へ足を踏み入れたのです。

二神は再会を果たしました。


P「会いたかった」

小鳥「私もです。でも……」

P「でも?」

小鳥「もっと早く来てくれれば……」

P「え?」

小鳥「いえ、少しだけ時間をください」

P「……? わかりました」


そう言い残したまま、どれほど待てども伊邪那美命は戻って来ません。

しびれを切らした伊邪那岐命は、妻の籠った部屋を覗いてみました。


小鳥「ん~……もうすぐ入稿なのに」

小鳥「急いで書き終えないと……」

P「?」

小鳥「タヂカラオ×タケミナカタ……ふふっ、うふふ」

P「うわぁ……」


伊邪那美命は腐っていました。

いろいろと手遅れだったのです。


小鳥「大きなお世話ですよ!」

P「!?」

小鳥「……見ましたね?」

P「ひぃっ!?」

変わり果てた?妻の姿に恐れをなし、伊邪那岐命は逃げ出しました。

恥をかかされた伊邪那美命も、そのまま見逃してはくれません。

黄泉醜女(よもつしこめ)と呼ばれる鬼女たちに夫を追わせました。


黄泉醜女「フヒヒ……モゲロ……」

黄泉醜女「私ガモテナイノハ…オ前ノセイダタヒネ……」

P「なんでだよ!」


鬼女といいながらも、その様はむしろ喪女です。

伊邪那岐命が剣を振るうと、そこから『刀剣男子』なるものが現れ、黄泉醜女たちを足止めすることができました。


P「こ、ここまで来れば……」


命からがらに辿り着いたのは、あの世とこの世を繋ぐ黄泉比良坂(よもつひらさか)です。

伊邪那岐命はそこに大岩を置き、黄泉の亡者たちが地上に出てこられないようにしました。

そこに、一足遅れて伊邪那美命も駆けつけました。


小鳥「ああ! そういうことするんですか!」

P「あんなのが地上に出てきたら困りますよ!」


大岩を挟んで対峙した夫婦神は、そこで最後の言葉を交わしました。

先に伊邪那美命が「あなたの国の者を一日に千人殺す」と切り出し、続いて伊邪那岐命が「ならば私は一日に千五百の産屋を立てる」と応じたと言われます。

この壮絶な夫婦喧嘩により、神に非ざる短命な人間という種が誕生しました。

  ─ 三貴子誕生 ─


地上に戻った伊邪那岐命は、黄泉国の穢れを落とすべく禊を行いました。

そこからも数多の神々が生まれ、最後に顔を洗い流すと……

左目より天照大御神が、右目より月読命が、鼻より須佐之男命が生まれ出でました。


 天照大御神(あまてらすおおみかみ・以下伊織)

 月読命(つくよみのみこと・以下貴音)

 建速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと・以下美希)


伊織「べ、別に生んでくれなんて頼んでないんだからね!」

貴音「ふふっ、よろしくお願いします」

美希「あふぅ……ミキ眠いの」

P「いや、美希じゃなくて須佐之男だからな」

伊邪那岐命の子の中でも最も貴い神として、この三柱の姉弟神を三貴子(みはしらのうずのみこ)といいます。

その中でも天照大御神は、眩いばかりに光り輝いていました。


伊織「ん?」キラッ

P「ま、眩しい!」

伊織「うるさいわね!」


太陽の化身たる天照大御神に、八百万神々の頂点として高天原の統治を、

伊織「そこまで言うなら、やってあげてもいいけど」


月の化身たる月読命に夜の統治を、

貴音「かしこまりました」


最後に末子の須佐之男命に海原(わたつみ)の統治を委ねました。

美希「すぅ……」zzz…

P「寝るな!」

やがて三貴子も立派な大人の神となり、天照大御神と月読命の二神は、それぞれ委ねられた高天原と夜の統治に能く勤めていました。

ところが須佐之男命だけは、いつになっても海原の統治をしようとしません。


P「また寝てるのか。起きなさい」

美希「むぅ……お昼寝の邪魔しないで」

P「お前はなんで仕事をしないんだ?」

美希「ミキは海よりお布団のほうが好きなの」

P「美希じゃないっての」

美希「そんなの、どっちでもいいと思うな。あふぅ……」

P「よくないだろ。って……おい?」

美希「おやすみ~……」zzz…

P「だから寝るなー!」


いくら言っても、須佐之男命は聞き分けようとしません。

すっかり諦めた伊邪那岐命は、あとのことを天照大御神に任せ、淡海(おうみ・淡路)の多賀に隠棲してしまいました。


美希「じゃあ、デコちゃんのところにいくね」

P「そういうわけだから、頼むぞ」

伊織「はあ? 冗談でしょ?」

高天原には、奔放な須佐之男命を快く思わない者も少なくありません。

天照大御神の気苦労は増えるばかりです。


伊織「アンタ! 今度はなにをやったの!?」

美希「ふ~んだ。ミキは悪くないもん」

伊織「こらっ! 待ちなさい!」

貴音「……」

伊織「まったく……」

貴音「もっとしっかり言い聞かせないと、あの子には通じませんよ?」

伊織「それはわかってるけど……」

貴音「けど?」

伊織「根は悪い子じゃないでしょ?」

貴音「ふぅ……」

伊織「なによ……」


須佐之男命が問題を起こしても、その度に天照大御神が取り成してうやむやにしていました。

なんだかんだで、弟に甘いツンデレ姉だったのです。


伊織「私だって、これ以上庇えないわよ?」

美希「そんなの、ミキは頼んでないの」

伊織「なっ!? アンタね!」

美希「デコちゃんまでそんなこと言うなら、ヨミの小鳥のところに行くからいいよ!」

伊織「小鳥じゃないわよ! ていうかデコちゃんいうな!」


ついに堪忍袋の緒が切れた天照大御神は、高天原の統治を投げ出して天岩戸(あまのいわと)に籠ってしまいました。

  ─ 岩戸隠れ ─


 思金神(おもいかねのかみ・以下律子)


律子「次は一級埴輪鑑定士の資格を……」

貴音「もし……よろしいでしょうか」

律子「あら、月読命じゃない。どうしたの?」

貴音「お知恵を授かりに参りました」

律子「?」


思金神は知性を象徴する神です。

別天津神の一柱、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)の子といわれています。

世紀末的にいうと南斗五車星・海のリハクのような存在です。


律子「いや、全然違うから」

貴音「はて?」

天照大御神が岩戸に隠れてしまったことで、天地(あめつち)より日輪が失われました。

高天原も地上も、明けることのない闇に包まれてしまったのです。

そこで八百万の天津神々が天之安河(あめのやすかわ)に集い、対応を協議することとなりました。


八百万神々「このまま日輪が消えてしまったら、この世はどうなってしまうのでしょうか?」

貴音「それは……このように」


https://www.youtube.com/watch?v=5Dw77QOJ61c

 唄・奇田安岐良命(くしだあきらのみこと)


八百万神々「なんと……怖ろしい」

八百万神々「花は枯れ、鳥は空を捨て……」

八百万神々「神は微笑みを無くすというのか……」

八百万神々「ところで、『いえぇい』とはなんでしょう?」

八百万神々「さあ……?」

律子「そんなものじゃ済まないっての……」

貴音「なんと」


思金神は大掛かりな祭祀が必要として、その祭器となる八咫鏡(やたのかがみ)と八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を造らせました。

ここに草那芸之大刀(くさなぎのたち)を加えて、のちに三種の神器(みくさのかむだから)と呼ばれるようになります。

さらに天児屋命と天宇受賣命を呼び出しました。

天児屋命は祝詞(のりと)を司るとされ、天宇受賣命は舞踊を能く嗜む神です。


 天児屋命(あめのこやねのみこと・以下千早)

 天宇受売命(あめのうずめのみこと・以下響)


響「自分たち?」

千早「なにかしら?」

律子「岩戸の前で天児屋命が歌い、天宇受売命が踊りなさい」

響「へ?」

千早「?」


歌と舞の神代最強ユニット誕生の瞬間です。

それはまた、遠い未来にプロデューサーと呼ばれる人々の始祖・思金P誕生の瞬間でもありました。


律子「あとは……天手力雄」


 天手力雄神(あめのたぢからおのかみ・以下間島P)


間島P「サイドトライセップス!」

律子「いや、そういうのいいから」


天手力雄神は、その名の通り腕力に優れた神です。

選ばれた三柱の神と月読命を集め、思金神は入念に作戦を指示しました。


律子「じゃあ、この手順でお願いね」

響「うん、わかった!」

千早「本当にそれでうまくいくのかしら……」

律子「それを考えるのは私の仕事よ」

千早「そうね……わかったわ」

響「自分、完璧だからなんくるないさー!」

律子「頼んだわよ」

貴音「では、天岩戸へ参りましょう」

月読命に従い、八百万の神々が天岩戸前に集結しました。

これほどの神々が一堂に会するのは、天地開闢以来例がありません。


千早「始めましょう」

響「うん!」


天児屋命の歌声が高らかに響き渡りました。

朗々たるその歌に合わせて、天宇受売命が軽やかでありながら艶やかに舞っています。

瞬きも忘れて見入っていた八百万の神々は、いつしかその歌と舞に酔い痴れ、熱狂していました。


伊織「外が騒がしいわね」


その喧騒と熱気は、岩戸の中の天照大御神にも届くほどです。


伊織「また須佐之男がなにかしたんじゃないでしょうね」

伊織「ふ、ふんっ! いまさらなにをしたって、絶対に出てあげないんだから」


それにしては、どうも様子がおかしいようです。

外の喧騒は、なにやら歓声や拍手喝采のように聞こえます。

疑念と好奇心には勝てず、岩戸を少しだけ開けて外を伺ってみると……


伊織「なによこれ……どういうこと?」

響「あっ」

伊織「あっ」


出会い頭に天宇受売命と目が合ってしまいました。

響「……」

伊織「……」

響「あ……あの」

伊織「……ねえ」

響「な、なに?」

伊織「アンタ、なんでそこで踊ってるのよ?」

響「そ、それは……」

伊織「そもそも、なんで八百万の神が集まってるわけ?」


天宇受売命は思金神の指示を思い出し、教えられた言葉を一字一句そのまま告げました。


響「あ、天照大御神より貴い大神がお生まれになったから、みんなで祝っている(棒)」

伊織「はあ?」

響「お前はもう用済みだ。一生そこに引き籠っていろ(棒)」

伊織「な、なにバカなこと言ってるのよ。どこにそんな……」

響「こ、こちらがそのお方だ(棒)」

千早「……」サッ


天児屋命が八咫鏡を天照大御神に向けてかざしました。

そこには光り輝く高貴な女神が映し出されています。

伊織「私だけど?」

響「えっ」

伊織「鏡に私が映ってるんだけど?」

響「えっ」

伊織「え、じゃない」

響「……」

千早「……」

伊織「アンタたちね、こんな子供だましで……」


作戦は失敗です。

狼狽した天宇受売命は、思金神を顧みて指示を求めました。


律子「落ち着いて! 作戦がダメだったら強硬手段よ!」

響「う、うん!」

伊織「なんなのよ、もう」

響「お、お前の……」

伊織「私の?」

響「お前のうさちゃんを預かった。返してほしければ、おとなしく投降しろ(棒)」

伊織「な、なんですって!?」


天照大御神は思わず身を乗り出してしまいました。

その隙を思金神は見逃しません。


律子「今よ!」

間島P「おう!」


岩戸を押し開けると、天手力雄神は天照大御神の腕を取って、力ずくで外に引き出しました。

天照大御神が姿を現したことで、天地を覆っていた闇が次第に明けていきます。

伊織「ギャー! はなせ、この変態!」ゲシゲシ

間島P「ひぃっ! ありがとうございます!」

伊織「本物の変態じゃないの!」


変態とはいえ、腕力自慢の神です。

さすがの天照大御神も、力ではかないません。


伊織「はーなーせー!」

千早「グダグダね」

律子「結果がすべてよ。でしょ?」

伊織「ぐぬっ……!」

律子「どうする?」

伊織「ああもう! わかったわよ」

律子「ふふっ、もういいわ手力雄」

伊織「憶えてなさいよ、この変態筋肉バカ」

間島P「!?」ゾクゾクッ

貴音「では、これにて手打ちということでよろしいですね」

伊織「ふんっ! 勝手にしなさい」

響「へへっ、一件落着だね」


岩戸は閉ざされ、二度と立ち入ることができないように注連縄で封じられました。

太陽の化身たる使命を取り戻した天照大御神の光が、あまねく世を照らします。


八百万神々「「ま、眩しい!」」

伊織「うるさい!」


こうして天地に日輪が取り戻されました。

  ─ 神逐 ─


須佐之男命は高天原から追放されることになりました。

これを神逐(かんやらい)といいます。

この際、腰まで伸びた豊かな髪は肩で切り落とされ、煌びやかな金色から茶色に染めなおされました。

覚醒美希もとい覚醒須佐之男命です。


美希「うぅ……おなかすいた……」

美希「まずは腹ごしらえからなの」


須佐之男命は早速、食物の神である大宜都比売神のもとへ向かいました。


 大宜都比売神(おおげつひめのかみ・以下やよい)


美希「ゴハンちょうだい!」

やよい「あ、いらっしゃいませー! なににしますか?」

美希「えっとね……おにぎりといちごババロアとキャラメルマキアート!」

やよい「ば、ばばろあ?」


見たことも聞いたこともない料理でしたが、僅かな情報をもとに大宜都比売神は見事に再現してみせました。

見た目だけでなく、味も完璧です。


美希「こ、こんなおいしいの、はじめてなの……」

やよい「えへへ、ありがとうございます」


ただ、食材の入手方法や調理方法は、どれほど聞き出そうとしても頑なに話そうとしません。

そこで須佐之男命は、おかわりを頼んで、その様子を盗み見ることにしました。

やよい「じゃあ、次はこれね」

??「うっうー(低音)」

美希(な、なにあれ?)

??「うー……(低音)」ポンッ

美希(!?)


それはどことなく大宜都比売神に似た、謎の小さな生き物でした。

その頭から次々と食材が生えては、大宜都比売神が収穫しています。

ちょっとしたどころではない怪奇現象です。


美希「そ、それはほんとに食べられるの!? 食べていいものなの!?」

やよい「あっ! 見ちゃダメって言ったじゃないですかー」

??「うー(低音)」

美希「だ、だって、その子の頭から……」

やよい「え?」

??「う?(低音)」

美希「だから、その……」

やよい「わ、私なにかいけないことをしましたか?」グスッ

??「うー……?(低音)」ウルウル

美希「あぅ……」


須佐之男命はそれ以上なにも言い返すことができず、おかわりを美味しくいただきました。

これが『や●い軒』の起源と言われています。

 ───

 ──

 ─


貴音「ごめんください」

千早「こんにちは」

やよい「いらっしゃいませー! なににしますか?」

貴音「らぁめんをお願いします」

千早「私はもやし定食を」

やよい「はーい!」

??「うっうー!(低音)」


高槻さんは天使にして聖域なので、原典の残酷な展開と異なるなんて指摘は無粋なだけです。

  ─ 八俣遠呂智退治 ─


須佐之男命は地上に降り立ちました。

そこを葦原中国(あしはらのなかつくに・日本国)といいます。


出雲の肥河(ひのかわ・斐伊川)へ至り、さらに上流へ上ると、そこでさめざめと泣く一人の娘と出会いました。

その娘は、須佐之男命にも気付かず泣き続けています。


 櫛名田比売(くしなだひめ・以下雪歩)


美希「ど、どうしたの?」

雪歩「え? あ……ごめんなさい」

美希「謝らなくてもいいけど」

雪歩「あの……あなたはいったい?」

美希「ミキは美希だよ」

雪歩「え?」

美希「え?」


須佐之男命が先に名乗ると、娘も自らを国津神・足名椎命(あしなづちのみこと)と手名椎命(てなづちのみこと)の娘、櫛名田比売と名乗りました。

国津神(くにつかみ)とは、高天原の天津神に対する葦原中国の神のことです。

櫛名田比売が話すには……

数年前より毎年、八俣遠呂智(やまたのおろち)という八つ首の蛇のような化け物が、高志(こし・越?)の地から来襲するようになりました。

この化け物は手が付けられないほど強大で、供物として年若い娘を要求してきたそうです。

供物には足名椎命の娘たちが選ばれ、毎年化け物に捧げられてきました。

すでに七人の姉たちは食い殺され、今年は最後に残った櫛名田比売が供物として捧げられることになります。


雪歩「うぅ……私なんて、もう美味しく食べられるだけですぅ……」

美希「おいしいんだ……」

雪歩「え?」

美希「あ、ううん! なんでもないよ」

雪歩「?」

美希「蛇だかトカゲだか知らないけど、女の子を食べるなんて許せないの」

雪歩「でも、本当に恐ろしい化け物で……」

美希「大丈夫! ミキに任せるの!」

雪歩「う、うん」


そうはいっても、八つの頭と尾をもち、八つの谷と丘にまたがるほどの巨体を持つ、想像を絶する化け物が相手です。

さすがの須佐之男命も、真っ向から立ち向かったのでは勝ち目がありません。

そこで、まず櫛名田比売の館に立ち寄って策を練ることにしました。

雪歩「ここだよ」

美希「わ~……お酒臭い!」

雪歩「お酒も一緒に捧げなくちゃいけないから……」

美希「ふ~ん、蛇なのにお酒好きなんだ。蛇って酔っぱらうのかな?」

雪歩「酔わないなら飲まないんじゃないかな」

美希「……」

雪歩「……」

二人「「あっ」」

雪歩「だったら、もっと強いお酒をたくさん飲ませて、酔い潰せば……」

美希「どんな化け物でも怖くないの!」

雪歩「うん!」

美希「あ、でも」

雪歩「え?」

美希「それなら、お酒と一緒に毒を飲ませちゃったほうが早いと思うな」

雪歩「……」

美希「……」

雪歩「ああ」

美希「うん」


作戦は須佐之男命の案で決まりました。

※古事記では酔い潰すだけです。


櫛名田比売は一帯に勢力を持つ覇義倭羅組(発音不明)の姫です。

号令一下、組の若い衆が奔走し、八塩折之酒(やしおおりのさけ・八度醸して造る非常に強い酒)が大量に集められました。

また、どのような伝手からかは不明ですが、これまた大量の於宇(おう・トリカブト)も集められました。


八つ首の動きを、それぞれ抑え込むための工夫も必要です。

須佐之男命の指示で堅牢な石垣と八つの門が造られ、それぞれ設置された巨大な桶になみなみと酒(毒入り)が注がれました。

組の若い衆は土木工事だけでなく、なぜか毒物や特殊な草花の扱いに手馴れているようでした。

そして、昨年までと同じその日……

地響きを立て、行く手の木々や家々をなぎ倒しながら、悠然と八俣遠呂智が現れました。

その様子は、世の終わりとすら思われるほどです。


美希「一人ぐらい食べても、おなかいっぱいにならないんじゃないかな。あんなに大きいと」

雪歩「それを私に聞かれても……」


その巨体に見合うだけの八塩折之酒と於宇は用意できています。

果たして酒の匂いに誘われるまま、八俣遠呂智は八つ首を大桶に突っ込みました。

幸い、於宇が含まれていることに気付く様子はありません。

文字通り怒涛の勢いで毒酒が飲み下され、八つの大桶は瞬く間に空になりました。


いかに巨体とはいえ、酒も毒もとても強いものです。

櫛名田比売を探す間もなく、八俣遠呂智はすぐにもがき苦しみ始めました。

巨大な化け物が血反吐と怒号を吐き出しながらのたうち回る様は、壮絶としか表現しようのないものです。


それが一刻も続いたでしょうか。

次第に力を失い、八俣遠呂智は身じろぎひとつしなくなりました。


雪歩「終わった……のかな?」

美希「口に入って確かめてみる?」

雪歩「や、やだよ!」

美希「あはっ♪ もう終わったから大丈夫だよ」

雪歩「ふぁぁ……よかったぁ」

誰もがこの快挙に歓喜しましたが、喜んでばかりもいられません。

八俣遠呂智の骸を放置したままでは、里の生活に支障が出ます。

組の若い衆が総出で、急ぎ解体作業が始まりました。


若頭「お嬢、ちょっとよろしいですかい?」

雪歩「どうしたの?」


解体作業を指揮する若い衆の頭が、櫛名田比売に声をかけてきました。

尾の一本になにか硬いものが埋まっているらしく、切断が難航しているそうです。

試しに須佐之男命も十拳剣で斬り付けましたが、刃こぼれしてしまい歯が立ちません。


雪歩「あ、だったら私が」

美希「え?」


そういうと櫛名田比売は、どこからともなく不思議な形をした鉄器を取り出しました。

矢を太く大きくしたような形状ですが、高天原でも見たことが無いものです。


美希「な、なにそれ?」

雪歩「えいっ!」ザクッ

美希「!?」


不思議な鉄器を用いて、櫛名田比売は瞬く間に尾を切り開きました。

その可憐な容姿からは信じがたい、凄まじいばかりの掘削力です。

美希「もしかしてミキより強くない……?」

雪歩「あれ? なにか出てきたよ!」


尾の中から一振りの見事な剣が出てきました。

櫛名田比売から須佐之男命が受け取ります。


雪歩「この剣、どうしよう?」

美希「ん~……ミキはよくわからないから、デコちゃんにあげるの」

雪歩「で、でこちゃん?」


こうしてその不思議な剣は、高天原の天照大御神へ献上されました。

これこそ、のちに三種の神器の一つとなる草那芸之大刀です。

またの名を天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)といいます。


美希「そんなことより、もうゴハンの時間なの」

雪歩「ふふっ、そうだね。なにか作ろうか?」

美希「おにぎり!」


この縁により須佐之男命は櫛名田比売を娶り、出雲の須賀に宮を構えました。


二神の最初の子を八島士奴美神(やしまじぬみのかみ)といいます。

そこから五世の孫として、大国主神が生まれました。

  ─ 国譲り ─


大穴牟遅(おおなむぢ)という国津神がいます。

『因幡の白兎』の説話で知られる神です。

彼は数奇な半生を歩み、対立していた兄弟神たちである八十神(やそがみ)を討って、ついに葦原中国の王として君臨しました。


 大国主神(おおくにぬしのかみ・以下黒井)


黒井「八十や八百万というのは『多くの』『無数の』という意味であって、具体的な数字ではないからな」

黒井「勘違いするんじゃないぞ」


彼はとても優秀な為政者で、その治世により葦原中国は繁栄し、国家としての礎が完成されました。

大国主とは、大穴牟遅神を称える王者の称号なのです。


黒井「当然だろう。私を誰だと思っているんだ」

真「あなたが大国主神ですか?」

黒井「ん?」

 建御雷神(たけみかづちのかみ・以下真)

 天鳥船神(あめのとりふねのかみ・以下オウ助)


真「はじめまして。ボクは高天原の使者・建御雷神、こっちは副使の天鳥船神です」

オウ助「ハジメマシテ、ハジメマシテ」

黒井「高天原……だと?」


建御雷神は、高天原の武威を象徴する神です。

雷と剣の力を司り、戦神として八百万の神々にも並ぶ者がありません。


オウ助「オッサン、カオガヨクミエナイゾ」

黒井「お、おっさん?」

真「こら、失礼だよ」

オウ助「マタコヤスカ、マタコヤスカ」

黒井「この鳥はなにを言っているんだ?」

真「さあ……?」


天鳥船神は、鳥の翼を持った天翔ける神です。

神の乗る船の化身ともいわれています。


黒井「用件はなんだ?」

真「はい、これは天照大御神のお言葉として聞いてください」


今後、葦原中国は高天原が統治するので、王座を明け渡すべし、と建御雷神が告げました。

理不尽極まりない要求で、大国主神としても到底承服できる話ではありません。

黒井「天照の言葉だから、なんだというんだ?」

黒井「私と交渉したいなら、使者など寄越さず、天照自ら来ればいいだろう」


と、声には出せないので、大国主神は心の中で吐き捨てました。

葦原中国の勢力が高天原に及ばないことは、遺憾ながらも承知しています。

ちょうど黒井プロと水瀬グループのような力関係です。


オウ助「ヘイ! オッサン、ビビッテル」

真「こらっ!」

黒井「ぐっ……この鳥め……!」

真「失礼。反論が無いのは、承諾と受け取っていいですか?」

黒井「……」


現実的には要求を受け入れざるを得ませんが、だからといって使者ごときに頭を下げるのは王者の矜持が許しません。

そこで大国主神は、自分の子たちに判断を委ねることにしました。


真「それなら……天鳥船、先に行って用件を伝えてくれるかな」

オウ助「ヨウケン、ツタエル」

真「交渉はボクがします。いいですね?」

黒井「好きにしろ」

オウ助「スキニスルゾ」

黒井「くっ……いちいち癇に障る鳥だ」

真「それで、その神の名は?」


大国主神は、言代主神と建御名方神を指名しました。

 言代主神(ことしろぬしのかみ・以下北斗)


北斗「チャオ☆ 俺に用事だって?」

真「え、ええ」


建御雷神は先に言代主神を訪ね、用件だけ手短に伝えました。

軽薄そうに見えて、なかなかに油断ならない神のようです。


北斗「なるほど、俺たちが判断しろってことだね」

真「……」

北斗「高天原に勝てるわけないからね。要求を受け入れるよ」

真「ありがとう。助かります」


言代主神からは、思いのほか簡単に同意を得られました。

大国主神が第一に信頼しているだけあって、愚昧ではないようです。


北斗「そんなことより、今から一緒に……」

真「え、遠慮します」

北斗「話ぐらいは聞いてほしいな」

真「ごめんなさい。次の予定もあるので」

北斗「それは残念。なら、また今度だね」

真「はあ……まあ、機会があったら」

北斗「じゃあ、約束のしるしに……」

真「さ、さようなら!」


これ以上相手をしていると、せっかくまとまった話をこちらから反故にしそうです。

建御雷神は急ぎ立ち去って、続いて建御名方神のもとへ向かいました。

 建御名方神(たけみなかたのかみ・以下冬馬)


真「やあ、君が建御名方?」

冬馬「ああ」


建御雷神はさわやかに笑顔で手を差し出しました。

穏便に話し合いで解決しようという意思表示です。


冬馬「チッ……」

真「?」

冬馬「なんの用だよ?」

真「話は聞いてると思うけど」

冬馬「は? 知らねえな」


応じるつもりのない建御名方神は、その手を強く握り返しました。

握力自慢で相手より優位に立とうとする、中学生あたりがやりがちな示威行為です。


冬馬「で、なんだって?」ニヤッ

真「え? なにが?」ギュッ

冬馬「いっ!?」


何事もないかのように建御雷神が握り返してきた瞬間、建御名方神は悟りました。

この神を怒らせるようなことをしたら、命は無いと。

冬馬「く、国を明け渡せって話だったよな?」

真「なんだ、やっぱり知ってるんじゃないか」ギュッ

冬馬「いぎっ!? い、いま思い出した! 思い出したから手を放してくれ!」

真「ああ、ごめん。痛かった?」

冬馬「い、痛いわけねーし!」

真「あはは、だよね。大して力入れてないし」

冬馬「……」

真「それで、返事は?」

冬馬「あ、ああ……わかった」

真「了承ってことでいいの?」

冬馬「そう聞こえたのなら、そういうことにしといてやるよ」

真「は?」

冬馬「じゃあ、俺はこれで!」

真「あ、ちょっと!」


脱兎のごとく逃げ出した建御名方神は、そのまま遠く科野(しなの・信濃)の州羽(すわ・諏訪)に引き籠ってしまいました。

この神代の力比べが、相撲の起源になったと言われています。


二子が建御雷神に降ったと知り、大国主神も天照大御神への恭順を誓いました。


真「こちらは退去していただきます。新宮はボクらで用意しますよ」

黒井「ふんっ、私にふさわしい荘厳な宮を頼むぞ」


大国主神の住まう天之御舎(あめのみあらか)は、出雲の多芸志(たぎし・地名?)の小浜に建てられました。

これが出雲大社の縁起と言われています。


ついに葦原中国も、高天原によって平定されたのでした。

  ─ 天孫降臨 ─


平定した葦原中国を治めるのは、当初は天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)とされていました。

この神は天照大御神の子です。

天降る直前に子が生まれたため、自らは辞退し、その子に役目を引き継がせました。

子の名を邇邇芸命といいます


 邇邇芸命(ににぎのみこと・以下春香)


春香「えー!? 私が葦原中国を治めるの!?」

伊織「そうよ、頼むわね」

春香「む、無理だよ、そんなの!」

伊織「これは勅命よ。いいわね?」

春香「えぇー……」

響「なんくるないさー。自分たちも一緒に行くからな」

春香「え、ほんと?」

千早「ふふっ、賑やかになりそうね」

春香「ニニギだけに……」ボソッ

千早「な、なに言って……くふっ、くくく……」プルプル


邇邇芸命の従者として、祭祀に関わる神々である五伴緒(いつとものお)が選ばれました。

天児屋命と天宇受売命をはじめ、布刀玉命(ふとだまのみこと)、玉祖命(たまのやのみこと)、伊斯許理度売命(いしこりどめのみこと)の五神です。

円滑な統治のための祭器として、八尺瓊勾玉、八咫鏡、草那芸之大刀も授けられました。

以降、三種の神器と呼ばれ、天孫の証とされます。

伊織「高天原が恋しくなったら、八咫鏡を私だと思いなさい。にひひ♪」

春香「自分が映るだけなんだけど……」

伊織「知ってるわよ。ねえ?」

千早「……」

響「……」


天児屋命と天宇受売命は聞こえないふりをしました。


律子「ちょっと、私たちを置いていくつもり?」

真「まだボクたちの力は必要だよね」

間島P「ダブルバイセッ……」

伊織「キモい!」ゲシッ

間島P「はぅ///」


邇邇芸命の補佐役と政務担当として思金神、軍事の担当として建御雷神と天手力雄神も同行することになりました。

まさに高天原オールスターズとでもいうべき陣容です。


春香「みんな……」

律子「ほら、ボーっとしてないで、言うことがあるでしょ」

春香「はい! えっと……」

一同「「……」」

春香「力を合わせて、葦原中国を弥栄(いやさか)な国にしましょう!」

一同「「おー!!」」


こうして邇邇芸命の一行は、高天原を出立しました。


※古事記では建御雷神が同行したという記述はありません。

邇邇芸命の一行は天浮橋から、日向(ひむか・宮崎県)の高千穂の久士布流多気(くしふるたけ・現在地不明)に降り立ちました。

この先導役を務めたのが国津神・猿田毘古神(さるたひこのかみ)です。

これを天孫降臨といいます。


春香「ここが葦原中国かぁ」

律子「筑紫の日向だから……中心からはだいぶ南西のほうね」


この地には、一帯の有力者である国津神・大山津見神(おおやまつみのかみ)がいます。

邇邇芸命が天孫であることを知ると、その降臨を祝福し、娘たちを嫁がせると申し出てきました。

とても美しいと評判の木花之佐久夜毘売(このはなのさくやひめ)と、その姉の石長比売です。


 石長比売(いわながひめ・以下はるかさん(大))


はるかさん(大)「かっかー」

春香「……」

はるかさん(大)「……」

春香「え~と……」

はるかさん(大)「かっ?」

春香「ごめんなさい」

はるかさん(大)「ヴぁっ!?」


邇邇芸命は美しい木花之佐久夜毘売だけを娶り、何とも形容しがたい姿形の石長比売を親元へ送り返してしまいました。

これを大山津見神は大いに嘆いたといいます。

曰く……姉の石長比売を妻とすれば、邇邇芸命の子孫の天寿は岩のように幾久しいものになる。

妹の木花之佐久夜毘売を妻とすれば、子孫は木の花が咲くように弥栄となる。

妹だけを娶るならば、子孫の天寿は木の花のように儚くなるだろう、と。


こうして、邇邇芸命の子孫は大王(おおきみ)として栄えましたが、神たる悠久の天寿は失われてしまいました。

これよりは、その子孫たちの物語となります。

  ─ 神武東征 ─


邇邇芸命の曾孫として、日向の高千穂宮に神倭伊波礼毘古命が生まれました。

のちの神武天皇です。

伊波礼毘古命は兄の五瀬命と相談し、葦原中国を治めるのにふさわしい地へ遷都することを決めました。


 神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれひこのみこと・以下亜美)

 五瀬命(いつせのみこと・以下真美)


伊波礼毘古命の呼びかけに応じ、多くの民が参集しました。

彼らが新たなる都を目指す軍勢となります。


真美「おお、いっぱい集まったね~」

亜美「まだまだ、もっと集まるっしょ」

真美「お? 余裕っぽい?」

亜美「当然だし?」

二人「「んっふっふ~」」

真美「じゃ、そろそろいこっか」

亜美「うん! いっくよー、兄ちゃんたち!」

群衆「「おーーー!!」」


伊波礼毘古命が拳を突き上げると、群衆が大歓声で応えました。

生まれ育った故郷を発ち、目指すは遥か東のまほろば。


亜美「大和へ……」

二人「「しゅっぱーつ!」」


神話から歴史へ。

神代は終焉し、これより人の歴史が始まります。

 八咫烏(やたがらす・以下あずさ)


あずさ「それじゃ、ここからは私が道案内するわね」

二人「「えっ!?」」

あずさ「うふふ♪」



おわり

セルフ支援絵と、誕生日が近いのでりっちゃんとちっちゃんを。

http://i.imgur.com/ZUCagWy.jpg

http://i.imgur.com/Z0z1xtM.jpg

>>17
youtubeはリンク貼れないんかな?

おまけで、まだ3枚のみだけど前回の支援絵に色を塗ったものです。

http://imgur.com/fYEL1bg,J6T2qjR,XFKTd5x,ZUCagWy,Z0z1xtM#0

pのあとのsぬきゃはれるで
http://www.youtube.com/watch?v=5Dw77QOJ61c

>>47
ありがと。知らなかったわ。

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