盗賊と不思議な宝石 (195)


世界は不思議で溢れている。

色んな国に色んな人。

不思議な国に不思議な人。







この物語りは

不思議な世界を旅する一人の盗賊のお話し。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433996687


門兵1「ご職業は?」

???「言わなきゃダメ?」

???「あんまり言いたくないんだけど……」

門兵1「国に入る際の決まりですので、お願いします」

???「えっと……盗賊、なんだけど」

門兵1「盗賊は……えー……あなが初めてですね」

???「(だろうな、普通は名乗らないだろうし)」



門兵1「では、あなたのナマエは『盗賊』になります」



盗賊「……分かった」

門兵1「では、お通り下さい」

盗賊「え、いいのか?オレ、盗賊なのに」

門兵1「何か問題でも?」

盗賊「いや、ないけどさ……」

門兵1「では盗賊さん、お入り下さい」

ギギィ…

盗賊「……あんた、ナマエは?」

門兵1「門兵1ですが?」


盗賊「(ウワサ通り、職業がナマエになるのか)」



盗賊「……ヘンな国だな」ボソ

門兵1「盗賊さん?」

盗賊「あ、いや。確かに盗賊だけどさ、本当に入っていいの?」

盗賊「あんた、怒られたりしないのか?」



門兵1「我が国に職業差別は存在しません。どうぞお入り下さい」



盗賊「ふーん、そりゃありがたいね」ザッ

ザッザッザッ

門兵1「……………」



ギギィ…バタンッ!



ガヤガヤ…ザワザワ…


『兵士13、行くぞ』


『大工娘31、何食べる?』

『鍛冶屋息子8、これを運んでくれ』

『殺人犯2、まだ捕まんないのか、怖いな』



『こら、兵士41!!しゃきっとしろ!!」



誰も彼もが職業で呼ばれてる。

誰も彼もが職業でナマエを呼んでる。

すれ違う奴みんな、番号まで振られてら……



つーか、服に番号書いてあるし。

うわっ、100番台とかもいんのかよ、呼びづらそうだな。


猫179「にゃあ」


……すげえ、猫にまで番号ある。

普通なら不満の一つでもありそうなもんだけどな。

て言うか、さっきからオレのこと見過ぎじゃねえか?


そんなに目立つ格好してねえんだけどな……


盗賊「……こりゃ見られるわけだ」


いつの間にか、オレにも番台振られてら。

00か、門兵のおっさんも『盗賊は初めてです』とか言ってたしな。

どうやら、国に入ったら自動的に番号振られるみてえだ。



盗賊「なるほど、ナマエのない国か。さて、どんなもんだろうね」グゥ

盗賊「……(腹減ってるし、何か食うか)」スタスタ



>>>>

看板娘25「いらっしゃいませ!!」ニコッ

盗賊「えーと、これと……あとこれ」

看板娘25「はい、少々お待ち下さい」ペコッ


盗賊「(番号は25、看板娘25か?呼びづれえだろうなぁ)」


看板娘25「お待たせしました」

盗賊「早いなあ。じゃあ、いただきます」

看板娘25「………」ジー


盗賊「ん?なに?」


看板娘25「いえ、00なんて初めて見たので……」

盗賊「あぁ、そっか。やっぱ珍しいの?」

看板娘25「はい、とっても珍しいです」



盗賊「ふーん、あんまり気分良くねえけどなぁ」モグモグ



看板娘25「あ、あのっ、やっぱり外から来た方ですよね……」

盗賊「うん、そうだけど?」モグモグ

看板娘25「ナマエ、あるんですか?」



盗賊「そりゃあるさ」


看板娘25「……羨ましいな」ポツリ

盗賊「変わった奴だな」

看板娘25「えっ?」



盗賊「いや、ナマエに疑問持ってる奴なんていないと思ってたからさ」



看板娘25「………」

盗賊「ごちそうさま。はい、これ」スッ

看板娘25「ちょうど、ですね。またお越し下さい」ペコッ



盗賊「おう、美味かったぜ。じゃあなー」



看板娘25「……あ、あのっ!!」

盗賊「なんだ?」

看板娘25「ナマエ、訊いてもいいですか?」

盗賊「ナマエ?盗賊だけど?」

看板娘25「盗賊……あの、そうじゃなくて『あなた』のナマエです」



盗賊「あぁ、そっちか、オレは



定食屋34「おい、いつまで喋ってる。さっさと仕事に戻りなさい」

盗賊「親父さんが呼んでるぜ?オレはもう行くよ」



ザッザッザッ…



看板娘25「あっ……」

定食屋34「まったく、よそ者に構うなと言ってるだろう?」

看板娘25「お父さん、ごめんなさい」シュン

定食屋34「気にするな、これからは気を付けなさい」

看板娘25「うん」

定食屋34「しかし……」

定食屋34「いずれ彼も、近い内に私達と同じになるのか。まだ若いのに、可哀想に……」



看板娘25「………」


盗賊「……おかしいな」

オレはあの子に名乗ろうとしたのに、ナマエを言えなかった。



自分のナマエは分かるし、忘れちゃいない。

どういうわけか口に出せなかった。

歩きながら何度も口にしようとしたけど結果は同じ。

職業がナマエになる、か。

まさかナマエを盗まれるなんてなぁ……

取り敢えず、あのウワサは本当だったみてえだ。

まあ、誰かが何かをしてるんだろうけど……



此処にはいない人間に訊いてみるか。



※※※※


大臣「王様、新たに入国しました」

王様「ほぉ、久方ぶりじゃ。で、今回は?」

大臣「盗賊です」

王様「なんじゃ盗っ人か。つまらん人間じゃのぉ」

大臣「しかし、今までの盗賊とは違うようですよ?」

王様「ふむ、申してみよ」



大臣「初日で奪名者に接触し、国の仕組みを暴こうとしているようです」



王様「ほー、それは面白い。盗っ人にも頭の回る者はいたのか……」

王様「随分前に来た盗賊は呆気なかったからのぅ」

王様「出来れば名を失う前に、儂の所まで来て欲しいもんじゃ」



大臣「辿り着いた者は過去にも何名かいます」



大臣「あまり期待なされない方が宜しいのでは?」

王様「まあ、その時はナマエコレクションが増えるだけじゃからな」

大臣「……王様」

王様「大臣、儂は富も地位も生まれた時から持っておった」



王様「大した努力をせずとも欲しい物は手に入った」


王様「そこで集めだしたのがナマエ、他人の人生じゃ……ふふっ…」

王様「人の名を奪うというのは、中々に楽しい」

大臣「………」






王様「その盗っ人のナマエは、なんじゃろうなぁ」ニタァ


続きは夜、多分短いと思う

面白そうやん

期待


※※※※

盗賊「此処で間違いねえな。つーか陰気くせえ場所だな」

薄暗がりでジメジメしてらぁ。

まさか国の一画にこんな場所があるとはな……



奪名者

文字通り、名を奪われ居場所すら亡くした連中。

そいつ等を隔離してんのがこの場所だ。

ナマエのある奴は絶対に近付かない、国公認のゴミ箱。


奪名者「……新入りか」ヌッ

盗賊「びっくりしたぁ!!いきなり出てくんなよ!!」



奪名者「00……お主、まだ名があるな?」

奪名者「ナマエ持ちが何故こんなとこに来た」

盗賊「この国の色々を知りたくて来たのさ」

盗賊「爺さん、何でナマエを盗られたか教えてくれねえか?」




奪名者「帰れ」クルッ



盗賊「ち、ちょっと待った!!」

盗賊「オレのナマエも盗られそうなんだよ、何でもいいから教えてくれ」

奪名者「そうか、お主は余所者か……」

盗賊「分かんの?」

奪名者「奴は、王は余所者のナマエを優先的に奪うからな」

盗賊「王様ね……ふーん、そりゃまた何で?」

奪名者「人生に飽いているのだ」




盗賊「人生に飽きた?こんなにおもしれえのに?」



奪名者「!!」

奪名者「……お主は、何者だ?」

奪名者「そんな目をした者は見たことがない」



盗賊「盗賊00さ、もうナマエは言えねえよ」



奪名者「そうか、もう其処まできているのか……」

盗賊「……なあ、爺さん」

奪名者「何だ」



盗賊「ナマエ盗られた奴は皆此処にいんのか?」



奪名者「……そうだ」

盗賊「にしちゃあ少ねえけど?」

奪名者「…………」

盗賊「殺しだろ?」

奪名者「!!」

盗賊「やっぱりな、『殺人犯2』なんてナマエ、おかしいと思ってたんだよ」




奪名者「奴は、ナマエ欲しさに罪を犯す愚か物だ」


奪名者「しかしナマエを失い、己が何者かさえ分からなくなる」

奪名者「そんな言い知れぬ恐怖、怯える日々から逃げ出したい」

奪名者「その気持ちは分からんでもないがな……」



盗賊「爺さん、あんたこそ何者だ?」



盗賊「そこらで寝転がってる奴等と違って、意識がしっかりしてる」

奪名者「このゴミ箱の中で正気を保っていられるのは苦痛でしかない」

奪名者「これは儂への罰」

盗賊「罰?」



奪名者「ああ、友を狂わせた……罰だ」







盗賊「なあ、訊かせてくれねえか?爺さんの、人生をさ」






奪名者「!!」

奪名者「長くなるが……構わんか?」

盗賊「おう、何時間でも付き合ってやるよ」ニッ

奪名者「ふっ、ますます妙な奴だ」






盗賊「なあ、聞かせてくれねえか?爺さんの、人生をさ」








奪名者「!!」

奪名者「長くなるが……構わんか?」

盗賊「おう、何時間でも付き合ってやるよ」ニッ

奪名者「ふっ、ますます妙な奴だ」


※※※※※

殺人犯2「俺は兵士157だった、兵士157だったんだ」ユラァ

兵士41「ヒッ、や、止めてくれ!!」

殺人犯2「なあ答えてくれよ?お前も兵士なんだろ?」

兵士41「最近兵士になったばかりなんだ!!知らないよ!!」



殺人犯2「………なあ、俺を知らないか?」ズイッ



兵士41「くっ、来るなっ!!」

殺人犯2「お前、兵士だよな?」ジャキッ

兵士41「頼む、お願いだから、止めてくれ」


殺人犯2「ああ、分かった、分かったよ」スッ

兵士41「……(た、助かった)」ホッ



殺人犯2「……お前のナマエを貰えばいいんだ……」



兵士41「え?」

グサッ…

兵士41「…お母……さ…ん…」ドサッ

殺人犯2「そう、俺は兵士。兵士だった……」ブツブツ





???「君、そこで何を……!!」


殺人犯2「誰だぁ?」グルッ

兵士41「た…す………」

???「!!(まだ息がある、油断してる今なら……)」ダッ

殺人犯2「俺は兵士157だ、誰か、ナマエを呼んで

ドンッ

殺人犯2「がはっ…ナ…マエ…を…」ドサッ



兵士41「…げふっ…あ、あなたは…」

???「止すんだ、無理に喋るんじゃあない」

兵士41「………」コクン



???「よし、どうだ?何とか立てるかい?」


兵士41「……」フルフル

???「なら私に掴まるんだ。ゆっくりでいい、立ちなさい」

兵士41「…あり…がとう…ございます」

???「礼はいい、早く行こう」ガシッ



グサッ……



???「ぐっ…!!」

殺人犯2「ちょうどいい、お前のナマエも、よこせ」

ザクッ…ザクッ…ザクッ……

殺人犯2「ナマエがあれば、いい。あんな場所は、イヤだ」

殺人犯2「ナマエは殺人犯2?兵士157?俺は……私は僕は?俺は…」ザッ


ザッザッザッ…





???「……娘……す……まな…い…」



>>24×愚か物
○愚か者
また後で


※※※※

盗賊「…あーあ…ふわぁ…」ノビー

奪名者「起きたか」

盗賊「おぉ…爺さんか、おはよう。昨日はありがとな」

奪名者「礼には及ばんよ……」

奪名者「しかし、良くこんな場所で眠れたな」

盗賊「爺さんの話しがいい子守歌になったのさ」ウン

奪名者「お主、寝ていたのか……」





盗賊「安心しろ、友達の目はオレが覚ましてやる」


奪名者「!!」

奪名者「とぼけた顔して、よく分からん奴だ」

盗賊「へへっ、さてと……腹減ったしメシ食いに行ってくる」



盗賊「あ、そうだ、爺さんも一緒に来るか?」



奪名者「よいのか?」

盗賊「教えてくれた礼さ、気にすんな」

奪名者「……有り難い」


盗賊「うっし、じゃあ行こうぜ」

奪名者「………」

盗賊「どうした?」

奪名者「いや……外は久しぶりでな」

奪名者「長らく此処から出たことがないのだ」

盗賊「……そっか…まあ、美味いもん食えば忘れるさ」

奪名者「お主は……」

盗賊「ん?」






奪名者「……お主は何故笑っていられる?」



盗賊「はぁ?」

奪名者「名を失うことが恐くはないのか?」

盗賊「恐くない、わけじゃねえよ?」

盗賊「ただ……」

奪名者「?」

盗賊「ただ、それ以上に楽しいのさ」




盗賊「この状況も爺さんとの会話も、全部ひっくるめてな」ニッ


奪名者「……お主なら、本当に変えられるかもしれんな」

盗賊「いや、変えやしない。盗むのさ」

奪名者「ぬ、盗む?」

盗賊「ああ、だってオレは盗賊だぜ?」

奪名者「し、しかし何を盗むというのだ」

奪名者「お主が期待するような金銀財宝などないぞ?」

盗賊「ある!!」

奪名者「だから、『ない』と言っているだろうが!!」

盗賊「へっ、あるじゃねえか」








        ナマエ
盗賊「国民全員の宝石がさ」


私はクサい台詞が好きです、鼻についたらごめん
また後でな

期待


>>>>

『二人共、滅多刺しだってな』

『殺人犯2か、外出は控えよう』

『しかし兵士まで殺されるなんて……』

『奴は元兵士って話しだ』

『奪名者……』

『ゴミ箱なんて作らず、殺せばいいんだ』

『だが、あの娘さんも……』






『奪名者になるだろうな、可哀想に』



『娘さん、まだ若いのにねえ』

『兵士41、まだ入ったばかりなのに……』

『母親想いの良い子だったよ』

『故人1309か、まあ、番号貰えるだけマシだな』

『ああ、奪名者にだけはなりたくないね』







盗賊「……爺さん、ありゃあ何だ」

奪名者「おそらく、奴による殺人だ」


盗賊「んなことは分かってるさ!!」

盗賊「定食屋の娘は、看板娘25はどこへ連れてかれる!?」

奪名者「それは……」

盗賊「……爺さん?」

奪名者「定食屋がなくなれば『看板娘』もなくなる」

奪名者「つまりは、その……彼女は己のナマエを失ったことになる」

盗賊「じゃあ、あの娘は…」






奪名者「彼女は、ゴミ箱行きだ……」


盗賊「メシ食いに来て良かったぜ、くそったれが!!」ダッ

奪名者「待て、早まるな!!」

ピタッ…

盗賊「なあ爺さん、さっきも言ったけどオレは盗賊だ」



盗賊「オレはオレの盗みたいもんを盗む。それが何でもあれ盗むと決めたら盗む」



奪名者「!!」

盗賊「でもな……死んだ奴からは何も盗めねえ」

盗賊「だから、どいつもこいつも生きてもらわなくちゃ困るのさ!!」ダッ



奪名者「まさか彼は……」


>>>>

隊長7「行くぞ」

娘「……はい」

盗賊「お嬢さん、大丈夫かい?」

娘「……はい……えっ!?」

隊長7「なっ!?キサマ、何者だ!!」ジャキッ

盗賊「ナマエは盗賊00、この娘を盗みに来たのさ」グイッ

娘「きゃっ!!」




隊長7「……ふざけるなよ、フンッ!!」


ガギンッ…

隊長7「(私の剣を短剣で受けた!?この男、何者だ?)」

盗賊「てめーこそ、ふざけんな」

隊長7「!!」ビクッ

盗賊「この娘が怪我したらどうすんだ!!」

娘「(盗む……ううん、助けに来てくれたの?)

娘「(ウチで一度ご飯食べただけ、ナマエも知らないのに?)」





隊長7「奴は手練れだ!!全員で囲んで捕らえろ!!」




娘「!!」ビクッ

盗賊「安心しな」

娘「で、でも兵士がたくさんいます……」



盗賊「お前はオレの物だ、絶対に傷つけさせやしない」




娘「………」

盗賊「返事は?」



娘「はっ、はい!!」



隊長7「待て……逃がしはせんぞ」ジャキッ

盗賊「あんた女だろ?」

隊長7「だったら何だ……」



盗賊「あんまり怖い顔すんな、綺麗なのに勿体無いぜ?」



隊長7「ッ、なめるな!!」ダッ

盗賊「よいしょっ……と」スッ

隊長7「なにっ…」グラッ

ガシッ…


盗賊「大丈夫かい?」ニコッ



隊長7「黙れ!!くっ、離せ!!」ジダバタ

盗賊「さあ皆様方、道を開けたまえ」


ゾロゾロ……


隊長7「ぐっ、はな、せっ…」グイッ

盗賊「何もしやしない、だから暴れんな」

隊長「くっ……(線は細いのになんて力だ。びくともしない!!)」

盗賊「爺さん、まだいるんだろ!!早くこっちに来いよ!!」




盗賊「早く来ないと行っちまうぜ!?」






『ちょっと、ちょっと退いてくれ!!』

ダダダッ…




奪名者「はぁ、はぁ、年寄りを、走らせ、るな」

盗賊「へへっ、わりぃわりぃ。爺さんは背中に掴まれ」

奪名者「あ、ああ分かった」

盗賊「よっしゃ、じゃあ行くか」

娘「え?行くって何処へですか?」

盗賊「いいからいいから」



盗賊「絶対にオレから離れるな、いいな?」



娘「……はいっ」ギュッ

盗賊「あんたもだ、隊長さん」

隊長7「何故私

盗賊「さーて行くぜ!!」バシュッ

奪名者「ロープ、いやワイヤーか!?」

隊長7「ちょっと待て、私は高いのが苦手



盗賊「しっかり掴まってろ!!」

ギシッ…ギュラララ…



隊長7「苦手なんだああああ!!」ガシッ

娘「うわぁ、もう人が小さく見える……」



奪名者「……(抜け目なさ、視野の広さ、手際の良さ、やはり彼は……)」

なんだか長くなってきた、また後で書くかも

補足 盗賊はとても男前です、キラキラしてます。
   歩けば花が咲くくらいです。

これは面白い

仮に男前じゃなかったとしてもこれはほれるだろ


※※※※

大臣「王様、例の盗賊ですが……」

王様「なんじゃ?何をした?申してみよ」

大臣「隊長7と共に娘を連れ去ったようです」

王様「ほほう、中々面白い奴じゃな」

大臣「ですが王様、例の奪名者も共にいるようです」




王様「……そうか、奴も一緒か……」



大臣「どうなさいます?」

王様「そうじゃなぁ……」

王様「お、そうじゃ、そうじゃった!!」

大臣「?」

王様「殺人犯2に名を与えよう」




大臣「彼は一度ナマエを剥奪された身、精神に異常があります」



王様「それが良いのではないか、分かってないのぉ」

大臣「申し訳ありません、名は何としますか?」

王様「確か昔……」ペラッ



王様「これじゃ、快楽殺人00。こやつも中々面白い奴じゃったなぁ」



大臣「……それは、流石に危険なのでは?」

王様「今の奴には似合いの名だろう?」

大臣「は、はぁ……」





王様「では、新しい人生を歩ませてやろうではないか!!」


※※※※※

隊長7「ウーン…落…ち…ウーン…」



奪名者「ゴミ箱へ逃げるとは、考えたな」

盗賊「今夜一晩過ぎれば見つかるさ、思ったより早く片付けねえと」

奪名者「……そうか、そうじゃな」

盗賊「しっかし、三人も担ぐのは流石に疲れたぜ」

娘「あの、ごめんなさい」






盗賊「気にすんな。親父さん、残念だったな……」



娘「それが……」グスッ

盗賊「おい、どうした?」

奪名者「……おそらく、父の名を思い出せないのだろう」

盗賊「!!」

奪名者「名を奪われたのなら本人が消える」



奪名者「しかし死して名を奪われた場合、記憶から消える」



盗賊「死んでから奪われた?」

奪名者「いや、名が変わったと言うべきか……」




奪名者「定食屋は消え、故人1309へと変わったのだ」



奪名者「父の記憶が故人1039へと変われば……」

盗賊「記憶からも消えちまうのか?何でそんなことを?」

奪名者「……悲しまない為、だろうな」

盗賊「つくづく馬鹿な野郎だな、お友達は……」

娘「盗賊…さ…ん」グスッ



娘「お父さんは消えたんですか?」

娘「お父さんは、私の中から消えたんですか?」

娘「思い出も声も、全部全部忘れちゃうんですか!?」





奪名者「……っ」



娘「お父さんは、私のお父さんはっ…」グスッ

盗賊「消えやしないさ」

娘「…えっ、でも記憶から消えるって……」



盗賊「お前の親父さんは消えない、オレが消させない」

盗賊「オレが必ず取り戻す、だから泣くな」



娘「!!……はいっ…」グシグシ

隊長7「……随分、簡単に言うのだな」ムクッ



盗賊「あ、起きたの?早速だけど、もう帰っていいぜ?」


隊長7「なっ、キサマ、どこまで馬鹿にすれば……」

盗賊「あ、そうだ忘れてた」

隊長7「……何をだ」

盗賊「殺人犯2って知ってるよな?」

隊長7「!!」

娘「お父さんを殺した、犯人……」

奪名者「(なる程、だから彼女も連れ去ったのか)」




隊長7「……知っている。私の部下だった男だ」



隊長7「礼儀正しく、真面目な男だった」

隊長7「しかし、突然王に名を奪われたのだ……」

娘「そんなっ…」



盗賊「で、今はナマエを求める殺人犯か、救われねえな」



隊長7「……っ、何が知りたいんだ」

盗賊「ナマエを知りたい、口には出せなくても『書ける』だろ?」

奪名者「…………」




盗賊「この石で地面に書いてくれ」スッ


隊長7「……分かった」

ガリッガリッ…

盗賊「そいつが殺人犯2のナマエか……」

隊長7「彼を、どうするつもりだ?」

盗賊「逝かせてやるのさ」



盗賊「殺人犯2としてじゃなく、本人のナマエでな」



奪名者「……殺人犯とは言え、元は彼もナマエを奪われた者」

奪名者「彼も人生を、人格を狂わされた男……」




娘「!!」


娘「……私は…」

盗賊「ん?」

娘「私は誰を恨んで、誰を憎めばいいんですか……」

娘「この気持ちを、どこにぶつけたらいいんですか?」

隊長7「…っ」

盗賊「辛いか?」

娘「はい……辛くて、悔しくて、悲しいです」




盗賊「じゃあ、それをオレに寄越せ」



娘「そんなの、無理です……」

盗賊「……いいか、それはお前のもんだ」

盗賊「お前だけが持つ物なんだ、誰にも手を出せねえ」

娘「………」



盗賊「だからそれだけは、お前が何とかしなくちゃならねえ」

盗賊「誰も恨むなとは言わねえ」

盗賊「だけどな、絶対に自分を壊すような真似はするな」



娘「………」コクン


盗賊「……気の利いたこと言えなくて、悪いな」

娘「そんな、謝らないで下さい……あのっ」

盗賊「どうした?」

娘「私は盗賊さんが何をするか知りません」

娘「けど、やるべきことが全部終わったら……」

盗賊「?」

娘「全部終わったら、ナマエを教えて下さい」ニコッ




盗賊「ははっ、いいぜ……!?」ピクッ



隊長7「どうした?」

盗賊「……隊長さん、娘と爺さんを連れて逃げろ」

奪名者「兵士か?」

盗賊「いや、違う。こいつは……」

ザッザッザッ…



快楽殺人「みーつけた」ニタァ



隊長7「兵士……157…」

盗賊「っ、ぼさっとしてねえでさっさと逃げろ!!」



隊長7「しかし!!」



盗賊「あんたに奴は斬れねえだろう!?」

盗賊「いいからさっさと行け!!」

隊長7「っ!!」ギリッ

奪名者「この辺りの道は儂の方が詳しい、こっちだ」

隊長7「……頼む」

娘「盗賊さん!!」ダッ

隊長7「駄目だ行くな、一緒に来るんだ!!」グイッ




娘「盗賊さんも、盗賊さんも一緒に!!」



盗賊「心配すんな、すぐ会えるさ」ニコッ

娘「盗賊さんっ!!」

隊長7「行くぞ!!」

奪名者「娘さん、急がんと彼の足手まといになるだけだ!!」

娘「っ……」

タタタッ…


快楽殺人「オウサマに新しいナマエもらった、これで安心安心」

盗賊「00、何の00だい?」

快楽殺人「快楽、殺人?」ニコッ





盗賊「……本当に、悪趣味な奴だな」


快楽殺人「殺す職業、それがナマエ……」ダッ

盗賊「へっ、安心しな……」ダッ

ガギィッ…

盗賊「オレが逝かせてやる。そんで……」

快楽殺人「?」

盗賊「お前の痛み苦しみ、全部オレが盗んでやるよ」ググッ

ギャリッ…

快楽殺人「はじ、はじ弾かれた?」




盗賊「行くぜ……」ダッ



快楽殺人「ぬがぁっ!!」ブンッ

ザシュッ…

盗賊「ちっ、はええな……」ブシュ

ボタボタッ…

快楽殺人「ひ、やはり血は良い、良い良い」ペロッ

盗賊「おいおい、そりゃあ『オレの物』だぜ?」

快楽殺人「!?」



ズズズ…

盗賊「盗賊足るもの、自分の躯くらい自由に出来ねえとな」



快楽殺人「ヒッ…はッ、エヒッ?」

盗賊「赤の剣、綺麗だろ?」ザッ

快楽殺人「…ヒッ、お前、お前の、俺のナマエは…?」ガクガク




ザッザッザッ……ピタッ…




盗賊「お前のナマエは『ライモンド』だ」



快楽殺人「ソう……そう、そうだ、俺はライモンド……兵士だった男」

快楽殺人「……名を奪われて、それから、それからそれからそれから……殺、した?」

盗賊「……ああそうだ、お前が殺した…」

ライモンド「私はなんて、なんてことを、済まない済まない、済まないっ……」ガクン

ライモンド「頼む、私のままで、終わらせてくれ、頼む……」

盗賊「……ああ、任せな」

ザンッ…

ライモンド「あ…り……が…と…う」ズシャ

盗賊「礼は隊長さんに伝えとく」







盗賊「向こうでゆっくり休め。じゃあな、ライモンド……」

ここまで、眠い。明日で終わる
かもしれない

見直して、今更だけど能力高過ぎかなと思い始めた
クサい台詞も好きだが厨二も好きなんだ……すまねえ

>>60×1039
   ○1309


能力高いぐらい気にならんから完結まで頑張れ

乙!


>>>>

ザァァァァ…

盗賊「降って来やがった……」

盗賊「……まだゴミ箱の中にいるはずだ、急がねえと」ザッ

タタタッ…










隊長7「遅かったな……」

盗賊「……立てよ、座ってんじゃねえ」

隊長7「……済まんな、起きれそうにないんだ」


盗賊「………」トスン

隊長7「……彼は、彼として逝けたか?」

盗賊「ああ、ライモンドは逝ったよ」

隊長7「……そうか、なら良いんだ」



盗賊「隊長さん、あんた、奴のこと好きだったんだろ?」

隊長7「分かるのか……意外に鋭いんだな」







盗賊「ナマエ書いてる時の顔、可愛かったからな」


隊長7「ふっ…からかうな」

盗賊「からかっちゃいねえさ……」

盗賊「本当に好きだったんだな、奴のこと…」

隊長7「ああ、好きだったさ……」

隊長7「だがな、ナマエを呼べないんだ……」

盗賊「………」

隊長7「こんな、こんな時にさえ…」






隊長7「愛した男の名を呼んで泣くことすら出来ないんだ……」



盗賊「なあ、隊長さん」

隊長7「?」

盗賊「自分のナマエ、まだ言えるかい?」



隊長7「ミレイアだ……確か、そんな名だった……」



盗賊「ミレイア、あんたはいい女だ」

ミレイア「?」

盗賊「娘、元・看板娘25の前だから、あんた堪えてたよな……」

盗賊「娘の前だから、擁護しなかった」


ミレイア「………」

盗賊「それに、ナマエを奪われたライモンドを哀れんじゃいなかった」

盗賊「奴だって、同情されるなんてまっぴらだったはずさ」

ミレイア「……ああ、彼はそうだろうな…」

盗賊「ミレイア」

ミレイア「……何だ?」







盗賊「……きっと、ライモンドもあんたを愛してたよ」



ミレイア「何故そんなことが言える?」

盗賊「簡単さ、俺が奴なら惚れてた」

ミレイア「ふふっ、そうか……」

盗賊「ああ、きっとそうさ……」

ミレイア「……もう行け……私のことは、いい……」

盗賊「………」






ミレイア「二人は、城へ……連れて行かれた」


盗賊「……ああ、分かってる」

ミレイア「……守れなくて…済まない…な…」

盗賊「……謝んな、仕方ねえさ」

ミレイア「……盗賊」

盗賊「……何だ?」



ミレイア「彼のこと、あり…が……とう」



盗賊「……礼はいいよ」

ミレイア「………」

盗賊「……起きろよ」

ミレイア「………」




盗賊「……そんな満足した顔で、笑顔で死ぬなよ」



ザァァァァ…

ミレイア「…………」

盗賊「死んじまったら終わりなんだぜ?」

ミレイア「…………」

盗賊「……なあ…」

ミレイア「………」

盗賊「……死んでんじゃねえよ」

ミレイア「…………」

盗賊「…………」スクッ



ザァァァァ……









盗賊「…………」ザッ

ザッザッザッ…

続き夜、今日中に終わると思う

乙!


>>>>

王様「久し振りだな」

王様「こうして話すのは、いつ以来だ?」

奪名者「……さて、いつだったかな」



王様「……儂の唯一の友だった男が、時を経て儂の前にいる」



王様「まあ、椅子に縛られた状態で、だがな」

奪名者「…………」

王様「例えようのない、不思議な気分だ」


奪名者「……満足か?」

王様「いやいや、満足などせんよ」

王様「様々なナマエを奪い、人生を垣間見ても尚、満たされない」

奪名者「……もう止せ」

王様「何?」



奪名者「ナマエ……人生を奪い、民を狂わせるのは止せ」



奪名者「そう言っているのだ」

王様「あの頃ならいざ知らず、今は名無し、奪名者……」


王様「そんなお前が、儂に何を言える?」

奪名者「………」

王様「現に儂のナマエを呼ぶことすら出来ずにいるではないか」

奪名者「………」

王様「ふん、己のナマエを失った男が儂に何を説くというのだ?」

奪名者「勘違いするな、儂はお前に何かを説く気などない」





奪名者「ただただ、己の過ちを後悔しているだけだ」


王様「過ち、過ちだと?」

王様「奪名者の分際で、何をおかしなことを……」

奪名者「お前には分からん、検討も付かんことだろう」









奪名者「そう、全てを忘れた……お前には……」


>>>>

まだ王様が王様になる前

まだ皆にナマエがあった頃のお話しです。

王様には、とっても仲の良いお友達がいました。



身分も何もかもが違いましたが、特別で大事なお友達です。



二人は人の目を盗んで、隠れて遊んでいました。

王様はお友達と一緒にいると、王様であることを忘れられました。

お友達は王様と一緒にいると、貧しさを忘れることが出来ました。



密かな友情は、大きくなってからも続いていました。


しかし王様のお父さんが倒れ

王様が王様になってから、会う回数は段々と減っていきました。

若くして王様なった為に、とても忙しかったのです。

お友達も、自分の生活だけで手一杯でした。



いつしか王様は、『王様』としか呼ばれなくなりました……



お友達はナマエで呼んでくれたのに……

城にいる誰もが……

いや、この国の誰も彼もが……









王様をナマエで呼ぶことはありませんでした。



自分にもナマエある。

王様ではなく、自分だけのナマエがある。

王様はそれが寂しくて、それが苦しくて……

何より心が痛くて痛くて……

けれど王様は王様を続けました。

ナマエのない王様であり続けました。










しかし一日が過ぎ、また一日が過ぎていく

その中で、王様の心には少しずつ傷が付いていきました。


時が経ち、王様が王様に慣れてきた頃

不思議な格好をしたお爺さんが、お城にやってきました。

そのお爺さんは、王様に不思議な本を見せました。





『その本を使えばナマエを取り換えられる』

『そうすれば、他人の生き方を体験出来る』





お爺さんはそう言いました。

王様はその本に惹かれて、お爺さんから不思議な本を貰いました。


王様は王様の暮らしに

ナマエを呼ばれない毎日にうんざりしていたのです。



それからすぐ、王様はお友達を呼びました。

王様はお友達に本のことを説明して

一日だけナマエを入れ代えて欲しいとお願いしました。





貧しくとも、王様はお友達の生き方が羨ましかったからです。



お友達は王様の願いを快く受け入れました。



お友達も王様の生き方、裕福な暮らしが羨ましかったからです。



二人は何度かナマエを入れ換えました。



ですがある日を境に

二人のナマエが入れ換わることは二度となくなりました。

それは、お友達が王様のナマエを奪ってしまったからです。




貧しい暮らしは嫌だ……

そうだ、だったらナマエを奪えば良いんじゃないか?

お友達は、そう考えてしまったのです。








きっと、お友達も王様と同じ……

長い間会っていなかったお友達の心も、

貧しさの中で、少しずつ少しずつ、傷付いていたのでしょう……


こうして…

王様だった王様は

ナマエを失い、居場所も失ってしまったのでした……



ザァァァァ

盗賊「……」ザッ

兵士82「止まれ、こんな夜更け…お前は!!」

盗賊「……俺は盗賊00、『宝石』盗みに来たぜ」

兵士82「城には入れるな、兵士5、隊長達を呼んでこい!!」

兵士5「了解!!」ダッ

盗賊「………」

ザァァァァ…



『儂は、愚か者だ』

『友の人生を狂わせた、大馬鹿者だ……』



ザァァァァ…



『済まんな、つまらん話しを聞かせてしまって……』



ザァァァァ…



盗賊「……んなことねえよ」

盗賊「爺さん……娘……待ってな。今行くぜ!!」ダッ

続きは夜、今日こそ終わるはず

乙!

乙乙


>>>>

娘「………」

兵士32「奪名間近の娘の見張りに回された時は腹がだったけど……」

娘「………」グタリ

兵士32「っ、いいオンナだ。カラダも顔も、僕の好みだ」ゴクッ

兵士32「僕のような男は相手にされないだろう……『普通』なら」

兵士32「……けど今なら、今ならこのオンナを好きに出来る」ニヤ






娘「…んうっ……えっ…?」



兵士32「ハァ、ハァ…」ズイッ

娘「きゃっ!!」

ドンッ…

兵士32「いたいなぁ、足も縛れば良かった……」ジロ

娘「ひっ…」

兵士32「暴れないでよ、別に傷付けるつもりはないんだ」ニコッ

娘「!!」ゾクッ





兵士32「黙っていれば、すぐに、終わるよ」スッ


娘「やめてくださいっ!!」

兵士32「動かないで?優しくするから、ね?」

娘「いやっ、やめて、来ないで!!」



兵士32「あぁ、そんな顔も可愛いなんて……」ガシッ



娘「やめて、お願い……」

兵士32「……ふ、ふふっ…」ゾクゾクッ

ビリッ…ビリビリッ…



娘「……っ、やめて…やめてください」グスッ


兵士32「大丈夫、安心してよ」

娘「………」ガクガク

兵士32「結婚すれば兵士の嫁としてナマエが貰えるんだよ?」

兵士32「僕が、君の旦那さんになってあげる」

ギュッ…

娘「………」

兵士32「そうすれば、奪名者にならずに済むんだよ?」

娘「…い…で……」





兵士32「え、何だい?」


娘「馬鹿にしないで!!」

兵士32「!!」

娘「ナマエの為に、それだけの為に……」

娘「あなたのような人に体を許すなんて出来るわけない!!」

兵士32「へえ、ゴミ箱で自我を失った奴等に犯される方がいいんだ?」

娘「!!」ビクッ




『お前はオレの物だ、絶対に傷付けさせやしない』





娘「……私は……奪名者になるのなんて怖くない!!」

娘「怖いのは、ナマエの為に私を捨てること!!」


兵士32「へえ、見た目と違って気が強いんだね」

兵士32「でも吠えたところで結果は変わらないよ?」

娘「っ…」ギロッ



兵士32「君は、本当に綺麗だね……」



娘「触らないで!!」

兵士32「それは無理だよ」

兵士32「だって君は、もう僕のモノなんだから」グイッ





娘「…っ、あなたに何をされようと、私はあなたの物になんてならない」


兵士32「もしかして恋人いるの?」

兵士32「でも、そんなことは関係ないよね?」



娘「私は……私の心は、あの人だけの物……」



兵士32「聞いてないや、まあいいけ

ズズンッ…

兵士32「な、何だ!?」

娘「!!」ピクッ

シーン……

兵士32「音が止んだ…何だったんだ?」

娘「………」






兵士32「あれ、観念したのかな?」



娘「……」プイッ

兵士32「………ジュル…」

兵士32「怒った顔も可愛いなんて、物語りの中だけだと思ってたよ……」

盗賊「ああそうだな、オレもそう思ってたところさ」

兵士32「!!」ビクッ



娘「(盗賊さん、やっぱり来てくれたんだ……)」グスッ



盗賊「ったく、こんな分かりやすい小悪党がいるなんてなあ」

盗賊「遅れちまって悪い、怪我はねえか?」






娘「……はいっ…私、こんなの平気ですっ」グシグシ


盗賊「……てめえ…」クルッ

兵士32「死ねえッ!!!」ブンッ

盗賊「っと、ガキじゃねえんだ、やけになるなよ」



兵士32「死ね!!死ねえ!!僕の邪魔をするな!!」ブンッ

ガスッ…



兵士32「えっ?なんで…」

盗賊「お前は見たままの馬鹿だな……」

盗賊「こんな所で振り回せばそうなることぐらい分かるだろうが」




兵士32「うわあぁ!!!」ダッ


盗賊「つーかさぁ……」タンッ

兵士32「!?どこにいっ

盗賊「オレのもんに気安く触んじゃねえ!!!」

ドズンッ

兵士32「たへぎッ!??」



盗賊「……馬鹿野郎が、そもそも間違ってんだよ」



盗賊「女が欲しいなら、女が欲しがるような男になりな」

兵士32「………」ビクビクッ

盗賊「ったく……おい、大丈夫か?」

娘「………」ブルブル



盗賊「……そのまま後ろ向いてな、今から縄解いてやる」

スルッ…


盗賊「少し休め、オレも疲れ

娘「……盗賊さんっ!!」クルッ

盗賊「ちょっ…揺れてる!!見えてるから!!」

娘「えっ…あっ!?」バッ



盗賊「……これ着とけ」



娘「あっ…ありがとうございます…」

盗賊「濡れてるし、ボロいコートだけどさ」

娘「……あったかいです」

盗賊「はあ?んなわけねえだろ」






娘「……あったかいです…とってもとってもあったかいです」ギュゥ



盗賊「そ、そっか……」

娘「………」

盗賊「(間が保たねえ、どうすっかなぁ…)」

娘「盗賊さん」クイッ

盗賊「ん?」

ギュッ…







盗賊「……大丈夫…じゃねえよな、怖かったろ?」



娘「……」コクン

盗賊「遅くなって悪かったな」

盗賊「怪我させねえとか言っといて、こんな思いさせちまってさ……」

娘「謝らないでください、私なら大丈夫ですから」

盗賊「無理すんな、まだ震えてるじゃねえか」



盗賊「まあ…今はオレがいるし、もう怖くねえだろ?」



娘「(今は……やっぱり、何処かに行っちゃうのかな?)」

娘「(ずっと傍ににいてください、なんて言えたらいいのに……)」ギュゥ

盗賊「なっ、大丈夫だろ?」ニコッ







娘「(けど、この笑顔だけで十分だって思っちゃう……不思議な人……)」

今日中に終わるのはちょっと厳しいと思う
また後でかなあ


>>>>

ダダダッ…

娘は隠したし、下の兵士も大体片付けた。

後は爺さんを見付けて、本を盗めば終わりだ。

けど、さっきから静か過ぎる。



かなり登ったってのに兵士の一人も現れやしねえ……



逃げ出したわけじゃねえだろうし、何か策があるんだう。

オレを止める為の何かが居るに違いねえ。




上には『何が』待ってやがるんだ?



あーあ……

螺旋階段ってのはやっぱり気が滅入る。

あんまり登ってる気がしねえし、やたらなげえし……

単純に面白くねえんだな、多分。

あ、まだ雨降ってるな。

もうじき夜明けなんだろうが、これじゃあ分かんねえや。






???「来たな」ヒュッ

盗賊「なっ!?」ブシュ


ボタボタッ…

盗賊「……いるんだろ?出て来いよ」

スゥ…

盗賊「まーた00かよ、つーか透明人間とかいたんだな」

透明人間「……私は大臣、つい先程までは大臣だった!!」

盗賊「うるせっ…」キーン

透明人間「私は貴様の所為で、この姿に変えられた!!」

盗賊「王様なんかと一緒にいるからそうなったんじゃねえの?」

透明人間「黙れ盗っ人!!」






透明人間「貴様さえ現れなければ私はッ!!」



盗賊「喚くな、うるせえんだよ!!」

透明人間「!?」

盗賊「間違いの上に乗っかって甘い汁吸ってた罰だ!!」



盗賊「『そうなる覚悟』もねえクセに『そっち側』に行くからそうなるんだろうが!!」



透明人間「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!」

盗賊「…………」

透明人間「黙れッ!!」






盗賊「だから黙ってんだろうが、アホかお前は」



透明人間「お前を殺せば元に戻れる、ナマエを取り戻せる」

盗賊「なら、さっさと掛かって来いよ」

盗賊「てめえみたいな奴は嫌いだから一瞬で終わらせてやる」

透明人間「見えないのに、か?」ニヤ

スゥ…

透明人間「(奴に私は見えていない、首を掻き切ってやる)」

盗賊「(触ってる物まで消えてんのか?便利だな……)」

透明人間「(死ね)」

ガシッ…





盗賊「はい、終わり」



透明人間「な、なんで、見えてないはず

盗賊「お前みたいな奴は後ろから斬りつけるんだ……」

盗賊「自分が安全な場所からじゃねえと攻撃出来ねえからな!!」ガシッ

透明人間「ぐっ…はっ、離せ!!」

盗賊「いいから掴まれよ」



盗賊「今から、お前が見たことのない景色を見せてやるからさ」ニコッ



透明人間「正気か!?貴様も死ぬんだぞ!?」

透明人間「馬鹿な、そんな真似、出来るわけが

タンッ…

盗賊「いいから来いよ」グイッ





透明人間「ヒッ!?ギャアアアア!!!」


ヒュウゥゥ…

盗賊「やっぱり登るより落ちる方が楽だなぁ」

透明人間「はははせッ、離してくれええ!!」



盗賊「これがお前の大嫌いな『危険』ってやつだ!!覚えとけ!!」



透明人間「ヒッ、離ッ、ヒィアアアアッ!!」

盗賊「分かった分かった、離してやるよ」パッ

ギシッ…ギリリッ

盗賊「じゃあな、半端者」

透明人間「へ…?イヤだ!!ヒッ、アアアア!!!」


ズドンッ…




盗賊「……後は、ナマエのない王様二人か」

盗賊「仲直りしてお終いって風には、行かねえだろうな……」


ここまで、続きは明日

思ったより長くなってしまったけど今度こそ明日で終わります
見てる人ありがとうございます

乙!


>>>>

盗賊「大体、階段で襲うこと事態間違ってんだよ」ブラン

盗賊「広い部屋とかで襲えば、楽に殺せただろうに……」

盗賊「まあ、殺されてやるわけにはいかねえけど」チラッ

透明人間「………」グチャッ

盗賊「……いや、ナマエを盗られて追い詰められてたのかもしれねえな」

盗賊「さて、行くか!!」バシュッ

ガギャッ…ギャリリリ…






盗賊「ったく、最初からこうして登ってりゃあ良かったぜ」



ギャリリリッ…スタッ…

盗賊「……爺さんは此処か」

嫌な静けさだな、扉開けんのがこええ。



想像したかねえけど、爺さんが殺されててもおかしくねえ。

王様は『初めから』王様だと思ってるって言ってたしな……

しかも爺さん以外の人間のナマエも奪ってる。

そんで、奪った人生を体験してたわけだ。

なら、もう自分が何者かさえ分からねえんじゃねえか?





王様は王様を忘れたかったから、友達のナマエを借りた。

友達は裕福な暮らしがしてえから、王様のナマエを奪っちまった。


皮肉なもんだな……

貧しさを抜け出して王様になったのに、自分のナマエを忘れちまってんだから。

まあいいや、行かなきゃ始まらねえし。

ガチャ…

広間か、暗いけどこんくらいなら見える。

誰も、いねえよな……

てっきり待ち待ち伏せしてるかと思ってたんだけどな。



爺さんは、此処にいないのか?



???「………」チラッ

???「…………」コクン

カチリ…

盗賊「!!」ピクッ

???「(気付いたか、勘の良い奴だ。だが、もう遅い)」

盗賊「まずっ…!!」バッ

ドガガガガガッ…






盗賊「がっ…くっ…ってえ…」ガクン



隊長17「……待ちくたびれたぞ、盗賊」

隊長9「どうだ?鉛玉はキクだろう?」ニヤ

盗賊「クソが……」



隊長17「突然の銃撃、動揺して当然だが……その程度なのか?」



盗賊「………」ググッ

盗賊「(9はそうでもねえが、17が厄介だな。つーか、銃の口径違うのか……)」

隊長17「銃の所持は選ばれた兵士のみ許されている」

隊長9「剣だのナイフだの、下っ端の奴が使う物なんだよ!!」

ガガガガッ…

盗賊「!!」ダッ





隊長9「はははっ、穴だらけのクセして上手く避けるじゃないか!!」



盗賊「避けなきゃ死ぬだろうが、アホか」タンッ

隊長9「なっ、跳ん

ガガガガッ

盗賊「………(浮いた所を狙われた)」ドサッ

隊長11「気を抜くな」

隊長9「はいはい、分かりましたよ」

盗賊「はぁ、はぁ……」ユラ

隊長9「まだ立つのか、凄いな」

隊長11「………」




盗賊「間抜けな相方と違っていい目してるぜ、あんた」


隊長9「やれやれ、口の減らない奴だねえ」

隊長11「黙れ、隊長9……」

隊長9「うっ…」ビクッ



盗賊「……どうした?撃たねえのかよ?」



隊長11「奴はどうした」

盗賊「奴?誰のことだよ」

隊長11「私の妹、隊長7だ」






盗賊「……あんた、ミレイアの兄貴か?」



隊長11「どうしたと訊いている、質問に答えろ」

盗賊「今囚われてる爺さんを守ろうとして、ミレイアは死んだ」

隊長11「!!」

盗賊「今の話しを信じるかどうかは別として、取り敢えず言っとく」

隊長11「……何だ」



盗賊「オレはあんまり嘘吐かねえし、女は極力殺さないようにしてる」



隊長9「隊長7が奪名者二人守って死んだだって?」

隊長9「はははっ、馬鹿馬鹿しい事を言うな」チャキ






盗賊「お前にゃ話してねえ、オレはミレイアの兄貴に言ったんだ」


隊長9「ッ!!殺すぞクソガ

盗賊「死ぬのは、てめえの方だ……」スッ


グサグサッ…


隊長9「ぎッあああッ!??」

隊長11「!!」

隊長11「(掌を突いた瞬間、床から赤い槍が……何だあれは…)」



盗賊「……ミレイア殺したのは、てめえだな?」



隊長9「なに言ってる、そんなわけ

盗賊「オレは爺さんとしか言ってない、奪名者とも言ってない……」





盗賊「なのにてめえは『奪名者二人』と言った。おかしくねえか?」


隊長9「だから何だって言う

盗賊「ミレイアは銃で撃たれて死んだ!!」

隊長9「他にも銃を持ってる奴はいる。隊長11、さっさと撃ってくれ……」

隊長11「…………」チャキ

盗賊「……なら、これをやるよ」スッ

カラン…



盗賊「それはミレイアを殺した銃弾。で、これが……」ズルリ

カラン…



盗賊「てめえの撃った銃弾だ」

隊長9「!?」


盗賊「よく見な、てめえの弾と同じ型だ」





隊長9「ぐっ…チクショウがあああッ!!」チャキ



ガガガガッ…

隊長9「なっ…んで?…」ズルッ

隊長11「仇に銃弾を打ち込む、それに理由が必要か?」



隊長9「あいつの…言葉…を、信じるのか?」

隊長11「言葉ではない、証拠を信じただけだ」

隊長9「へ、ふはっ、兄妹揃って馬鹿にしやがって……」

隊長9「あの女の顔、見せてやりたかった

ザンッ…



隊長9「ぜッ!!?」

盗賊「喋り過ぎだ、さっさと地獄へ行きな」

ブシャッ…ゴロ…ゴロ…




盗賊「……あっ…やべえな…これ…」フラッ

ドサリ……

また夜に

おっつおっつ

>>131の隊長17は隊長11です、間違えた

乙!


>>>>

盗賊「ってて……」ムクッ

コツンッ…

盗賊「ん、何だこれ?」チラッ

隊長11「…………」ズーン

盗賊「うわっ!?」

盗賊「なっ、何だよ、いるなら何か言えよな!!」

隊長11「……考えていた」

盗賊「え、何を?」





隊長11「妹が何を思って貴様に組みしたか、考えていた」



盗賊「あんた、アタマかてえなぁ……」

隊長11「…………」

盗賊「あのなあ、幾ら考えたって答えなんて出やしないぜ?」

盗賊「だって決めたのはあんたじゃなく、ミレイアなんだからさ」

隊長11「……そうだな、確かにその通りだ」

盗賊「でもさ、ミレイアを連れ去ったのオレだ……」

盗賊「だから、あんたに何をされても文句はねえ」





隊長11「何故貴様に、盗賊に協力したのか、それは確かに分からん」


隊長11「ただ、死に様がどうだったか知りたい」

盗賊「……生きてると、オレが嘘吐いてるとは思わねえのか?」

隊長11「生きていると信じたい、しかし……」

隊長11「私には、お前があの状況で嘘を吐くような男には見えない」

盗賊「……あんた、ヘンな奴だな」

隊長11「答えろ、妹は……どうだった…」






盗賊「笑ってたよ……」



隊長11「…………」

盗賊「ライモンドとして逝かせてやったって言ったんだ」

盗賊「そしたら満足そうに笑って、逝っちまった……」

隊長11「元兵士157……確か妹の…そうか、そうだったのか……」

盗賊「これが、オレの見たミレイアの最期だ」

隊長11「…………」





盗賊「納得出来ないなら…いや、普通出来るわけねえよな」



盗賊「……なんなら、撃っても構わねえ」

隊長11「そう言う割に、目は戦う気だな」

盗賊「まあな、此処で死んでらんねえんだ」



盗賊「死んだ奴、生きてる奴、泣いてる奴、笑ってる奴……」




盗賊「とにかく、そいつ等のナマエを取り戻すまでは死ねねえよ」

隊長11「ナマエを、取り戻す……」






盗賊「ああ、取り戻すっつーか……盗むんだけどさ」ウン



隊長11「その躯でか?」

盗賊「そりゃそうさ、この躯以外に使えるもんはねえからな」

隊長11「(笑っている。この状況で……不思議な男だ)」

隊長11「一つ訊きたい」

盗賊「何だ?」

隊長11「あれだけの銃弾を浴びて、何故生きていられる?」





盗賊「答えたら見逃してくれんのか?」



隊長11「…………」

盗賊「やっぱダメ?」

隊長11「答えたら、王様の居場所を教えよう」



盗賊「いやいや、何でそうなるんだよ?」



盗賊「そんなことしてオレがやられたら、あんたがどうなるか分か

隊長11「負けると言うなら、この場で撃ち殺す」

盗賊「げっ、おいおい……オレは盗賊だぜ?」






盗賊「カミサマに愛された勇者様やなんかじゃねえんだぞ?」



隊長11「……私は、妹が信じた男を信じる」

盗賊「!!」

隊長11「その男が負けるつもりならば、私がこの手で殺す」

盗賊「あんた、何でそこまで……」



隊長11「お前は、血を分けた妹が信じた男……」



隊長11「私が信じることに、何か特別な理由でも必要なのか?」

盗賊「へえ、格好いいこと言うじゃねえか……」

盗賊「分かったよ、あんたには教える」

隊長11「…………」







盗賊「オレはーーーー」



>>>>

まだ上があったのか…

教えられなけりゃ気付かなかったな。

王様ってなんでこう、妙な造りにしたがるんだろうな。

王様と爺さんがいるのは、でっけえ時計のある部分だ。

言ってみりゃあ、屋根裏みたいなとこ。

もっと分かりやすい場所にいろよ、めんどくせえな。







まあ、すぐ会える場所に王様がいても妙なもんだけどさ……



でも、高い所が好きなのは分かる気がする。

空が近くて、何処までも飛んでけるような気分になれるから。

王様は、何を考えて其処にいるんだろう……



……おっ、ようやく着いた。



あ、夜も明けてらあ。

さーてこっからが本番、盗賊としての仕事だ。

でも、盗賊が王様と戦うとか色々間違ってんだよな……

普通はささっと盗んで、華麗に去るもんだ。





こういうのには、もっと相応しい役がいんだろうがよ。



それこそ勇者だ旅人だ魔法使いだの……

挙げればキリがねえくらいにさ。

今回は特別だ。

だから、目一杯暴れさせてもらうぜ?

ガチャッ…



ギイィィ……

王様「おお、良く来たな!!」

王様「どうじゃ、座って紅茶でも飲まんか?」

盗賊「いらねえ、爺さんはどうした」





王様「なんじゃ、つまらん奴のぉ……」



盗賊「どこだって言ってんだよ、答えろ」

王様「ほれ、此処におるではないか」

盗賊「………ナメてんのか」

王様「ん?分からんのか?」

王様「まあ、お前には分からんだろうなぁ」

盗賊「………(本を使えばナマエを交換出来る)」






盗賊「(……本はナマエを奪う、本はナマエを与える……)」



王様「そうじゃ、存分に考えるがよい」

盗賊「……まさか、てめえ…」

王様「もう分かったのか?素晴らしい……」ギシッ

盗賊「椅子にしたのか……」



王様「儂の椅子、玉座になれるのなら幸せじゃろう……」



盗賊「……気が変わった」

盗賊「てめえの命は盗まねえ、この世界から消してやる」ザッ








王様「……止まれ、ビト・アバスカル」



盗賊「……ちっ、やっぱりか…」

王様「ほう、分かっていて来たのか!!益々面白い……」

盗賊「爺さんにナマエ奪うって聞いた時から、予想はしてたさ」



王様「なら何故来た?答えろ」



盗賊「例え何も出来なくても……」

盗賊「宝石を目の前にして逃げるのは盗賊じゃねえからな」

王様「……そろそろだな、お前のナマエは儂の物になる」ザッ

ザッザッザッ…ピタッ…







王様「最期に、何か言うことはあるか?」




盗賊「……てめえの心は何処にある」

王様「何だと?」



盗賊「他人のナマエを貼り付けただけの、貧しい心は何処にある」



盗賊「そう言ったのさ」

王様「王に向かっ

盗賊「違う、王様を盗んだ貧乏人だ」

王様「王様は儂だ!!生まれた頃から!!」





盗賊「それはてめえの記憶じゃねえ」



王様「っ…何故、何故儂が……」グラ

盗賊「次はオレの番、てめえは何故、この場所を選んだ?」

王様「此処が最上階

盗賊「残念、そうじゃねえ」

王様「!!」

盗賊「此処は、王様になったばかりの王様が寂しくて泣いてた場所」







盗賊「そして、友達と二人で何度も遊んだ場所だ」



王様「ぐっ…うぅっ」ガクン

盗賊「思い出したか、王様のお友達君」

王様「違う、違う違う違うッ!!!」

王様「儂は王だ……お前なんぞ、ナマエコレクションに加えん……」

盗賊「最初から加わるつもりはねえよ!!」

ズドンッ…

王様「ぶへッ!!?」







盗賊「アホ、本当に何の策もないまま来たと思ったのか?」



王様「何故動ける!!止まれ止まれ止ま

ドガッッ…

王様「はぎゃッ!!」

ドサッ…パタン…

盗賊「これが例の本か……」

ペラペラッ…… 

盗賊「早速ナマエを

???「返せ……」

盗賊「……ちっ、懲りねえ奴だなぁ」

盗賊「で、貼り付けたナマエは何だ?一応聞いてやるよ」








???「ビト・アバスカル」




盗賊「ふーん、でも耐えれんの?」

ビト「なにをいっテイ…るがッ!?」



盗賊「オレのナマエは、オレだけのもんじゃないんだ」



ビト「何を、現に『お前』は其処に

盗賊「何つーかオレの親父、爺ちゃん、そのまた爺ちゃん……」

盗賊「全員が、ビト・アバスカルなのさ」

ビト「馬鹿な、そんなことガあるか!!」

盗賊「あるんだよ、確か…血の継承……だっけか」






盗賊「で?てめえが奪ったのは、どのオレだい?」



ビト「ぐっ、ぬううっ…」ググッ

ビト「そうだとしてもナマエは奪った!!動けるわけがない!!!」

盗賊「そうだな、確かにナマエは奪われた」



盗賊「けど、もう一つの心は奪われちゃいない」



ビト「!!?」

盗賊「オレに預けてくれた娘の心、それがオレを動かしてくれる」

ビト「何故動け…な…い?(心…心?頭が、割れソ、う…だ…)」

盗賊「教えてやるよ王様、本当の盗賊ってのは……」ダッ











盗賊「見えない宝石を盗むのさ!!」


おしまい

今日は終わりだよな?また明日続きくるんだよな?

爺さんは永遠に椅子のままだったとさ

ーーー
ーー


『トビアス隊長、どうしました?』

『ラッシの馬鹿……今日は隊長の妹さんの…』

『あっ、申し訳ありません!!』

『気にするな、それに……』

『?』

『何かあったんですか?』





『今日、この国に盗賊ビト・アバスカルが来る』



『えっ、本当ですか!?』

『すげえ、生きる伝説じゃないですか!!』

『……私からすれば、ただの盗賊だがな』

『隊長も凄いっすね……』

『当たり前だ、隊長はあの夜の生き残りだぞ?』

『(あの夜…いや、全てが変わった夜明けか……)』




『……ラッシ、セリオ、行くぞ』





『『了解!!』』



>>>>

『王様、入国したようです』

『会うのは久し振りだな』

『あの、本当に盗賊などと会うのですか?』

『儂にとって彼は盗賊ではなく友人、命の恩人だ……』

『ですが、ビト・アバスカルと言えば……』

『世界を騒がす盗賊かな?』





『私にはそうとしか思えませんが……』



『それは間違いだ』

『えっ?』

『彼が盗むのは何も金銀財宝だけではない』

『では何を?』

『ふむ……』

『何でしょうか?』



『君は女性だから、会えばすぐに分かる』



『?』

『とにかく、盗まれないように気を付けたまえ』




『は、はい……』



>>>>

『いらしゃいませ!!』

ガヤガヤ…ワイワイ…

『シェイラちゃん、今日も盛況だねえ』

『皆さんのお陰です』ニコッ



『シェイラちゃんの料理は美味しいなぁ』

『嫁に来て欲しいよ、家のは下手で下手で……』

『お前に嫁がいることが奇跡なんだ、高望みすんな』





『でも、シェイラちゃんってさ……』



『言うな、分かってるから』



『『本当に可愛いよなぁ……』』



『でもさ、最近綺麗になってきたよな?』

『……大変な思いしたのに、健気だしな』

『分かるッ…分かるぞぉ!!』

『酔っ払い、嫁さんに殺されるぞ?』

『シェイラちゃあん、おかわりー』




『はーい(うん、みんな笑顔だね……)』




『店長、あの……』

『トリシアちゃん、どうかしたの?』

『新しいお客様が来たんですけど……』

『?』




『シェイラを盗みに来た、とか言ってて…』





『!!』ダッ

『えっ?て、店長!?』

『(盗賊さん!!)』

ガララッ…



『よっ、久し振

『ッ!!』

パァンッ

『……悪かった』



『いきなりいなくなって、いきなり現れて…』グスッ



『今日がいいかと思ってさ』

『あの時、ずっと待ってたのに……』

『………』

ギュッ…

『盗…ビトさん……ずっと、私の傍にいて下さい』

『ああ……』









「もう離さねえから安心しな』

おしまい

超乙

          ,、L,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,-‐‐‐''''"~´_____,,,,、、-‐'r゛
      , -‐'    ________,,,,,,,、、、-=;;''''ヽ| ,,、-‐''"
     < ―‐'''!'''''''h''T'''廿'i= .r廿´| { r~
       ̄ ̄ |⌒i r ヽ-- '   |i‐‐‐'  }|

          |λ|{        ヽ    .|
.          |ヽi |       , r.'    |
          lV r            |        奴はとんでもないものを盗んでいきました
          `、 !   ‐‐''''''''"""'   !
           ヽト     ""     /                   あなたの心です
             |\         ,.!
           ,,、rl  '''''''ー‐_"''''""_´└ 、
         // __`-‐''""~   /    丶-、__


ええもん読ませてもろたわ

後日談含め、これで終わりです。
誤字脱字結構あるみたいで申し訳ない。

ありがとうございました。

乙!!

独特の世界観が良いな
でもクライマックスはもっと書いて欲しかったな、ちょっと消化不良だわ


文の中で説明しようとしたんですが
戦闘が二回続いてるのと、王様との最後は長くなりそうなので省きました。

血液を武器にする、または今までに盗んだ武器を血液の中に……
という説明をしようとしましたが、省略。

あまり考えずに設定を追加してしまった為
まとめのコメントでもあるように、かなり雑だったかと思います。

下手に設定を追加せず
最後まで盗賊として書けば良かったかなと思いました。




とても長くなりましたが、感想等ありがとうございます。

>>178 次は盛り上がるようにしてみます、ありがとうございました









盗賊と

   嗚呼、美しき、声なきウタヒメ 編










盗賊「ふー、やっと撒いたか……」




あんなにしつこく追いかけ回されるとは思わなかったぜ。

たかが食い逃げで怒るなよ……

いや…まあ、大小関係なく罪は罪なんだけどさ。

よりによって財布を落としちまうとは……

中身は寂しいもんだったけど、デザインは気に入ってたんだんだよな。

随分と前のもんだから、きっともう何処の店にも置いてねーだろう。




まっ、仕方ねーか、財布のことは諦めよう。



……しかし、走ったなぁ。

警官って、足はえーんだな……

必死こいて逃げてたら、目的の街に着いちまった。

目的って言っても盗みに来たわけじゃない。

一人の女を捜して

その女の歌を聴きたくて、オレはこの街にやってきたんだ。









千年に一人の歌姫・ルジェナ



彼女は最近、ここらの街で活動しているらしい。

歌が好きで、歌えるなら何処でも構わねーっていう根っからの歌手。

だからこそ、どんな場所でも彼女のコンサートは評判がいい。

それは勿論、手抜きをしないからだ。








どんな小さい場所でも

ヤニ臭い場所でも

酔っ払いの前でも……彼女は全力で歌う。



歌声もさることながら

その美貌も高く評価されている……らしい。




なんせ、千年に一人と言われるぐらいだからな。

とある酒場の店主から聞いた話しによれば、だけど……

とまあ、こんな感じで彼女の噂を知って、興味を持った。

で、近くまで来たから一目見ようかと思ったわけだ。





まさか途中で追われる羽目になるとは思わなかったけど……



でも何でだ?

あの警官の連中、街の手前で急に引き返したよな?



思えば、妙に焦ってたような気もした。

この街に入ったらいけねえ理由でもあんのか?

違う街だから捕らえるにもお偉方の許可がいる、とか?

盗賊「……まっ、いいか…」ノビー








せっかく来たんだ

千年に一人の歌声、聴いていくとするか。



盗賊「…………」スタスタ

シーン…

盗賊「静かな街だ、てっきりお祭り騒ぎかと思ってたんだけど……」

盗賊「(騒がしいよりはずっとマシだけどさ。つーか、本当にこの街にいんのか?)」

盗賊「歌姫がいるってのに、こりゃあいくら何でも静か

ツンツン

盗賊「?」クルッ

少女「助け…て……」フラッ

ガシッ…





盗賊「あぶねぇなあ…おい、どうし…た…!?」


続きキター


ユラリ…グラリ…


盗賊「あの鐘、音が……壊れ…いや、違う……」

少女「お願い……ルジェナお姉ちゃんを助けて」

盗賊「……ルジェナ…?……ルジェナだって?!」

グラリ…ユラリ…

盗賊「…どうなってんだ……」




グラリ…ユラリ…

グラリ…ユラリ……






揺れる鐘……

その音は、いつまで待っても聞こえてこない。

どれだけ経っても届いてこない。

待てども待てども鳴りはしない。

揺らせど揺らせど鳴りはしない。







鐘の音は、もうとっくに期限切れ。



>>>>

         コエ
美しい鐘の音は彼の物

小鳥の囀りから爺さんの欠伸まで……




         コエ
どれもこれもが彼の物




   コエ
君の心臓は大丈夫かい?

取られちゃいないかい?

彼は気に入った音は必ず手に入れる。

気付かぬ内に録られてしまう。

録音したら絶対に逃がさない。






蓄音機……

いや、録音奇怪は、狙った獲物を逃がさない。






ーー夜の奇怪な蓄音機の詩


思い付いたので書いてみた
もう依頼出してるけど書けるとこまで書こうかなあと思ってる
jingは好きだけど掛け合いとか色々と無理そうだし、このままで書いていきます

書いてみたけどこれならjingで書いた方が良さそう
しかし、二次書いたことないし難しそうだしやめときます。
これ書いた後に単行本買って、読んだばかりで影響されてるし……
ありがとうございました

乙!

いや面白そうだけど、依頼出した後も書き続けるってアリなのか?

新しいスレでやります
そのスレの中で思い付いたやつを続けて書いていこうかと思っています
盗賊とーー編 みたいな形で。

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