八幡「…俺に伊藤誠の霊が取り憑いている?」 (97)

八幡(今俺は親戚の法事でお寺に来ている)


八幡(親と小町は親戚と話し込んでいるし、当然そんな中に入っていける程の対人スキルを持たない俺は適当に暇をつぶしていたところ)


八幡(寺の坊さんに呼び止められたわけだが)


八幡(伊藤誠って誰だよ…最近の霊は固有名詞が付いてるのか?あ、でもリングだとサダコだし呪怨だとカヤコだな)


八幡「…あの、なんですか?」


坊主「だからお前に霊が取り憑いていると言っているのじゃ」


八幡「…はあ」


坊主「…霊は宿主の行動や思考に影響を及ぼすこともある。何ならここで除霊でも…」


八幡(宿主とか行動に影響を及ぼすとか…寄生虫か何かかよ。エメラルドゴキブリバチかよ。ロイコクロリディウムかよ。)


八幡(それに俺は一人でホラー映画を見て恐怖に駆られる年は卒業したんだよ。霊なんて信じるほうがおかしい)







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八幡「いつから取り憑いてるんですか?」


坊主「今日…じゃな」


八幡(この寺に来てからかよ。完全にマッチポンプじゃねーか)


小町「ちょっとお兄ちゃーん!もう行くよー!」


八幡(我が愛しの妹が呼んでいる)


八幡「じゃ、家族にも呼ばれたのでこれで…」


坊主「ちょっと待ちなされ!ちょっと除霊を…!」


八幡(誰が悪徳商法なんぞに引っかかるかよ。俺の人を疑ってかかるスキルは天元突破してるからな)


八幡「あー小町今行く」スタスタ


小町「お兄ちゃんはやくー!」


坊主「女難の相が―」


八幡(まだ何か言っているが俺は愛しの妹の元へと駆けないといけないしな)


比企谷家リビング


小町「なんかお兄ちゃんお寺の人に話しかけられてたけどなんかしたの?」


八幡「何もしてない」


小町「流石のお寺の人もお兄ちゃんの腐った目には声をかけずにはいられなかったとかでしょ」


八幡「まあそんな感じだな」


八幡(霊に取り憑かれたとかいう明らかな嘘をわざわざ言う必要もない)


小町「うわ…お寺の人にまで言われるとか、小町的にポイント低いよ…」


八幡「そろそろ寝るわ、おやすみな小町」


小町「あ、うん。お兄ちゃんおやすみー!」







『…ぐぁっ…うぐ…あっ…』


『ひどいよっ…!』


『うぐぁっ…ぐふぁ…』


『自分だけ…!桂さんと幸せになろうなんてっ…!』


『がっ…ごぁっ…』


サクッ  サクッ  サクッ


『せか…い…』


ビチャッ


八幡「…っ!!」ガバァ


チュンチュン チュンチュン


八幡「…夢かよ」


八幡(誰かもわからない女子に後ろから包丁で刺される夢とかなんなんだよ…)


八幡(衝撃的すぎて忘れたけどその前には女子とニャンニャンしてたような気もする)


八幡(俺、童貞なのに…ピュア谷ピュア幡なのに…)


リビング


小町「あ、お兄ちゃんおはよー」


八幡「おはよう、小町」


小町「…」ジー


八幡「…なんだよ」


小町「お兄ちゃん何かあった?」


八幡「…別に」


小町「小町はお兄ちゃんの妹なんだから、何かあったらいつでも小町を頼っていいんだよ?あっ、今の小町的にポイント高い!」


八幡「はいはい高い高い」


八幡(変な夢を見たとか言うのもな…子供じゃあるまいし)


小町(ホントに何もないのかなー?…雰囲気ちょっと違うし、目もいつもよりマシ?というかかっこよくなってる気がする…)


小町「小町に隠し事したって無駄だよー?小町はお兄ちゃんの事ならなんでも知っているのです!あっ、今のも小町的にポイント高い!」

八幡「…と、そろそろ学校行かないとな」


小町「あっ!小町今日は少し早く学校行かないとだった!」ダッシユ


八幡「おい、そんな急ぐと…」


小町「…わっ」


八幡「…っと…」ダキヨセ- 


小町「…お、お兄ちゃん!?」


八幡「あ…悪い」バッ


小町「…じゃ、じゃあ小町は学校に…ありがとお兄ちゃん」ボソ


八幡「…おう」


小町(なんかお兄ちゃんなのにすごくドキドキする…お兄ちゃんのくせに///)


小町(転びそうになったのを咄嗟に抱き寄せるとか小町的にポイント高すぎだよ…)




八幡(普段だったらいくら妹といえど抱き寄せるとか抵抗を覚えて手が出なかったわ…千葉の兄妹かよ)


八幡(なぜか今回は咄嗟に手が出たけどな。寝起きだから脳がメダパニ状態なのかもしれないが)


八幡「俺もそろそろ学校に行くか」


学校


沙希「…あ」


八幡「あ、ええーと、川…」


沙希「…」ギロ


八幡「…川崎」


沙希「あんた、わざとやってるでしょ」


八幡「…すまん」


沙希「…え、あんた本当に比企谷?」





八幡「十中八九は」


沙希「…そこは100パーセントでしょ」


八幡「…」


沙希「…」ジ-


八幡(こいつといい小町といい、今日はあんな夢を見たせいか俺の目がいつもより悪い方向に研ぎ澄まされているのか…?研ぎ澄まされるのは雪ノ下の毒舌でだけで十分だ)


八幡「…なんだよ」


沙希「…別に。じゃあね」スタスタ


八幡「…なんだったんだ」


沙希「……」チラッ


八幡「…?」


沙希「…」プイッ


八幡「なんなんだよ…」


放課後


八幡(今日も何事もなく放課後に…といきたかったのに今日は妙に視線を感じたな)


八幡(おかけでイヤホンかけながらの寝たふりが非常に効果を発揮した)


八幡(中学の時のように「ヒキガヤキモッ」なんていう言葉のファーストブリットを喰らわなくて済んだしな)


八幡(由比ヶ浜は三浦たちと話してるし…奉仕部に行くか)


奉仕部


ガラララ


八幡「…うっす」


雪乃「…こんにちは」


八幡(雪ノ下は…いつも通りだよな)


八幡「…」ペラッ


雪乃「…」チラッ


八幡「…」ペラッ


雪乃「…」チラッ


八幡(こいつもかよ…)



八幡「…なあ雪ノ下」


雪乃「…なにかしら比企谷くん」


八幡(声を掛けたものの、何て聞いたらいいのかわからん)


雪乃「…声をかけたまま黙るのは不気味だからやめてくれるかしら。不気味谷くん」


八幡(不気味の谷かよ…)


八幡「いや、なんていうか…今日は妙に視線を感じる気がするんだが…」


雪乃「…自意識過剰もいい加減にしないと痛い目を見るわよ」


八幡(痛い目なら中学の時に十分見たわ…なにが「それって、俺のこと?」だよ。でも自意識過剰で済ますには…いやそれこそ自意識過剰なんじゃないか?)


八幡「…そうだな」


雪乃「…ええ」

雪乃「…」ペラッ


八幡「…」


八幡(なんだか、今日は妙に雪ノ下のことが気になる)


八幡(…雪ノ下って、結構…というかかなり美人でかわいい部類に入るよな。自分でもかわいいとか言ってたし)


八幡(もし雪ノ下と付き合えたら…)


八幡(いや、何考えてるんだよ俺は。ついに理性の化け物から性欲の化け物へと路線変更してしまうところだった)


雪乃「…そろそろ下校の時間ね。由比ヶ浜さんは来なかったけれど」


八幡「三浦たちと話し込んでいたし、そのまま遊びにでも行ったんじゃないか?」


雪乃「…そうね。比企谷くん、また明日」


八幡「…おう」

比企谷家


八幡(結局、部活が終わった後から雪ノ下の事ばかり考えていた。恋する乙女かよ)


八幡(恋…か)


八幡(そんなもの、とうの昔に諦めて、忘れて、考えないようにしていた。でも、今はなぜだか…)


小町「お兄ちゃーん!ご飯出来たよー!」


八幡(…なんでだろうな)



八幡「…」モグモグ


小町「…それでねー好きな人のことを、携帯の待ち受け画面にして、三週間隠し通したら想いが叶うんだってー、って聞いてるお兄ちゃん?」


八幡「…え?ああ、待ち受けを三週間にするんだよな」


小町「やっぱり聞いてないー!妹の話を聞かないなんて、小町的にポイント低いよ」


八幡(…おまじない、ね)


八幡「…ごちそうさまでした」


小町「はーい。お兄ちゃん、今日は先にお風呂入っちゃってね」


八幡「おう」

部屋


八幡(俺の写真フォルダには、いつの間に撮っていたのか、雪ノ下の写真が保存されている)


八幡「待ち受けってロック画面とホーム画面どっちのことだよ…流石に両方に設定するのもな」


八幡(霊は信じないのに、おまじないは試してみよう、なんて虫が良すぎるか。まあ日本人はそんなもんだよな。普段は気にも留めないのに、正月なんかだけ参拝したり、お守り買っちゃったりな)


八幡「ロック画面でいいか…」


八幡(俺には世のリア充共のように大それたことはできないが…もしも神が存在するのなら、こうしてささやかなおもじないをするくらいなら許してくれるかもな)


八幡「…そろそろ寝よう」

チュンチュン


八幡「…朝か」


八幡(今日も知らん女子とひたすらニャンニャンしてる夢を見てしまった…刺される夢よりは挿す夢の方がマシか)


八幡(パンツの中は…)


八幡「無事だ良かった」


八幡(小町に八幡の八幡付きパンツを洗わせるわけにはいかないしな)


リビング


小町「お兄ちゃんおはよー」


八幡「おはよう」


小町「…なんか今日はシュっとしてるね」ジ-


八幡(夢の中で何度も童貞卒業したせいか?…まさかな)


八幡「別に、いつも通りだろ」


小町「…うーん。あ、小町は今日も早く学校に行かなきゃなので!」


八幡「わかった。昨日みたいにコケるなよ」


小町「…うん」





キーンコーンカーンコーン


八幡(…早く奉仕部に行くか。雪ノ下のいる奉仕部へ)スタスタ


結衣「…ヒッキー」


優美子「…結衣?どうしたし」


結衣「え?な、何でもないよ!何でも!」


優美子「つーかさ、昨日くらいからなんかヒキオの雰囲気違くない?姫菜もそう思うっしょ?」


姫菜「あー、うん。なんかねー。更にはや×はちが捗りそうな予感が…!」グフフ


優美子「擬態しろし…」


葉山「確かに、少し変わったかもね。何かあったのかな?」


優美子「例えば?」


葉山「…恋とか?」


結衣「さ、さすがにそれはないんじゃないっ?だってヒッキーだし…」


戸部「ヒキタニくん恋で変わるとかマジっべーわ!」


姫菜「二人の性別を超えた禁断の恋…!」ブホォ


優美子「…姫菜、ティッシュ」


葉山「…あはは」

















奉仕部


八幡「…」ペラッ


八幡「…」ペラッ


八幡「…」ペラッ


ガラガラガラ


結衣「やっはろー!ってあれ、ゆきのんは?」


八幡「…今日は来たんだな。雪ノ下ならさっき先生に呼び出しされていったぞ」


結衣「…そっか。あ、昨日はちょっと携帯の充電が切れちゃってて…連絡できなかった。ごめんねヒッキー」


八幡「俺は別にいいけど、後で雪ノ下にも謝っとけよ」


結衣「うん、そうする!」


結衣「…よっと」ストン


八幡「…」ペラッ


結衣「…」ポチポチ


結衣「…あ」


結衣「…携帯の充電切れちゃった…まだ読んでる途中だったのに」


八幡(こいつはどんだけ携帯を酷使してるんだよ…携帯にも労働基準法を適用してやれよ)

結衣「あ、そうだヒッキー!ちょっと携帯貸してよ!続きが気になっちゃって」


八幡(こいつがネットか…どうせろくでもないビッチ御用達の恋愛小説かなにかだろうな。まあいいけど)


八幡「…ほれ」


結衣「ありがと!…にしてもヒッキー、前もそうだったけど、よく迷わず人に携帯渡せるよね…」


八幡「まあ別に見られて困るものも何もないしな。ただの便利な暇つぶしアイテムだし」


結衣「あはは…まあヒッキーだしね」


八幡(あれ…なんか忘れてるような)


八幡「…あ」


結衣「…ヒッキー、これ…」


八幡(終わった…いろいろな意味で終わった…すぐに雪ノ下に報告がいって、明日の今頃には刑務所だ…)


結衣「これ…最近流行ってる奴だよね」


八幡「…ゆ、由比ヶ浜。頼むからこの事は誰にも…特に雪ノ下には」


結衣「…うん、わかった」


八幡(…あれ。いつものように「ヒッキー!マジキモイ!最低!」とか言われるのかと…余りのキモさにそんな事言う気も失せたのか?)


八幡「…助かる」


結衣「…うん」


結衣「…そっか」


結衣(ゆきのんの写真、待ち受けにしてるってことは…あのヒッキーがおまじないに頼っちゃうほど、ゆきのんのことが好きなんだよね)


結衣(ヒッキーがそこまでするなんて…私じゃ、敵わない…よね)


八幡「…由比ヶ浜?」


結衣「ヒッキー、ゆきのんのこと、好きなの?」


八幡「…まあ…そうだな」


結衣「だ、だよ、ね…」


結衣(…ヒッキーだし、否定してくれると思ってたけど…)


結衣(…そうであってほしかったのかな…待ち受けにしてる時点でわかりきってるのに)


結衣(最近、ヒッキーが少しかっこよく変わったのも、ヒッキーがゆきのんへの気持ちに気づいたからだよね…恋は人を変えるって言うし)


結衣(…よし)


結衣「ヒッキー!」


八幡「うおっ、急に大声だすなよ」


結衣「私がヒッキーのこと、手伝ってあげるよ!」


八幡「…え?」


結衣「どうせヒッキーのことだし、こうするくらいでいいやー、とか思ってたんでしょ!」


八幡「…まあ、そうかもな」


結衣「そんなんじゃ何も変わらないし!…ヒッキーはその…ゆきのんと付き合いたいんでしょ?」


八幡「…そう、だな」


結衣「だからあたしが手伝うよ!それに…あたしが見ちゃったから意味無くなっちゃったし!そのお詫び?ってことで」


八幡「いいのか?俺個人の問題だし、俺が携帯渡したのが悪いし…」


結衣「あたしも奉仕部の一員だから、ヒッキーの依頼、ってことでもいいよ!」


八幡「そこまで言うなら…じゃあ、よろしく頼む」


結衣「…うん!いつもヒッキーに助けられてばっかだったから、今度はあたしの番」

ガハマさんの一人称は私じゃなくてあたしだった
途中で直したけど脳内補完頼む

スクイズの展開丸パクり?
オリジナル展開無し?

>>46
似せる所もあるけど丸パクリにはしない

八幡「…で、手伝うって由比ヶ浜は何をするんだ?」


結衣「うーん…アドバイスとか?」


八幡「疑問形かよ…本当に大丈夫なのか?」


結衣「だ、大丈夫だし!じゃあ今からアドバイスするから!」


八幡「…変なこと言い出すなよ」


結衣「そんなの言わないし!…ヒッキーは…」


八幡「…」


結衣「…すぐゆきのんに告白したほうがいいと思うよ。多分ゆきのんも大丈夫だから」


八幡「すぐっていつだよ…」


結衣「今日…とか?」


八幡「今日か…って今日かよ」


結衣「…別にふざけてるわけじゃないよ。ヒッキーは、すぐ先延ばしにしそうだし」


八幡(…くやしい…!でも反論できない…!)ビクンビクン


八幡「仮に今日告白するとして、なんて言えばいいんだよ」


結衣「普通に、ヒッキーの気持ちを伝えればいいと思う。そこは、ヒッキーが考えるところだよ!」


八幡「肝心な所は手伝ってくれないのかよ…まあ確かに…な」


八幡(言葉にして伝える…か)


八幡「本当に今日言って大丈夫なのか?」


結衣「…うん」


八幡(…何かは分からないが、何かが俺をそんな気にさせているのかもしれない)


八幡「…由比ヶ浜の言う通り、今日告白しようと思う」


結衣「…そっか。するんだね」


八幡「…するんだね、ってお前が言い出したんだろ…」


結衣「あはは…」


結衣「…ヒッキー、頑張って!」


八幡「…おう」


ガラガラガラ


雪乃「…あら、由比ヶ浜さん。来てたのね」


結衣「あ、ゆきのん。やっはろー!」


雪乃「…こんにちは」スタスタ


雪乃「…」ストン


結衣「…あっそうだ!私ちょっと用事があるんだった!しばらく時間かかるかも!じゃ、じゃあねゆきのん!ヒッキーも!」メクバセ


八幡(下手くそかよ…)


雪乃「あら、そうなの?ではまた、由比ヶ浜さん」


結衣「う、うん!」


ガラガラガラ バタン


結衣(…寝顔の写真じゃ…ダメだったのかな)パカッ


結衣(…ヒッキー…)


結衣(ゆきのんは、大切な友達だけど…)

結衣(…ヒッキー)


結衣「…うぅっ…」ボロボロ


結衣「…今は、行かなきゃ」グスッ


いろは「…あれ?結衣先輩?」スタスタ


結衣「…」スタスタ


いろは「おーい、結衣せんぱーい!」


結衣「…!い、いろはちゃん!?」


いろは「…あ、気づいた。てっきり結衣先輩に無視されてるのかと思いました」


結衣「えっ?無視なんてするわけないよ!」


いろは「まー、結衣先輩はそういうことしないですよね…で、どうかしたんですか?」


結衣「…あっ、何でもないなんでもない!」ゴシゴシ


いろは(結衣先輩…泣いてたのかな)


結衣「いろはちゃんは、どうしてここに?」


いろは「どうしてって、奉仕部に行こうと思ったんですけど」
(もっと具体的に言えば先輩のところにだけど)


結衣「…今は…行かないほうが、いいかな」


いろは「…そうですね。わかりました。では結衣先輩、また!」
(さすがにここで行くほどの度胸はないし)


結衣「…うん」











言ってなかったけどNTR要素はないから、それを期待して読んでくれていた人には申し訳ない

奉仕部


雪乃「…」ペラッ


八幡「…」


八幡(例え目が腐っていようとも俺も男だしな…)


八幡(普段は八幡調べ嫌いな言葉ランキング殿堂入りを果たしている「男は度胸」なんていう言葉もありだと思えてくるから不思議だ)


雪乃「…」ペラッ


八幡「…雪ノ下」ガタッ


雪乃「…なにかしら?急に立ち上がって。また昨日みたいにおかしな事を言い出すのなら、私の貴重な読書の時間を奪った比企谷くんに、謝罪と賠償を要求することにするわ」


八幡「…今から俺は、雪ノ下にとって、そのおかしな事を言い出すと思う」


雪乃「…比企谷くん?」


八幡「…それでも俺は、お前に、雪ノ下雪乃に聞いて欲しい」


雪乃「……比企谷くん」


八幡「俺が奉仕部に来て…今までいろいろな事があった。中にはお前を傷つけてしまったことも、欺瞞に絆されたこともあった」


雪乃「…」


八幡「そして、俺は…比企谷八幡は…」


八幡「雪ノ下雪乃、お前の事が好きだ。だから俺と…付き合って…ください」


雪乃「…」


雪乃「…最後に怖気づいて敬語になるところが、比企谷くんらしいわね」

雪乃「…由比ヶ浜さんは…知っているのかしら?」


八幡「由比ヶ浜には、もうバレてる。実を言うと、今日こうして告白したのは、あいつの提案でもある」


雪乃「…そう」


雪乃(由比ヶ浜さん、あなたは…)


雪乃「…」


八幡「返事は、今すぐじゃなくても…」


雪乃「…確かに、あなたが奉仕部に来てから、たくさんの事があったわね」


八幡「…」


雪乃「…私も、あなたの事が好きよ。比企谷くん。だから…私と…」


雪乃「…ごめんなさい。私はいつも断ったことしかなかったから、こういう時、なんて言えばいいのかわからないの」


八幡(零号機パイロットかよ…)


八幡「…それじゃあ、今から俺と雪ノ下は…その、恋人同士…でいいんだよな」


雪乃「…そ、そういうことになるわね」





八幡「…もういい時間だな。多分今日は由比ヶ浜も戻ってこないと思うし…一緒に帰らないか?」


雪乃「…そうしましょうか。私は鍵を職員室まで戻しに行ってくるから…」


八幡「下駄箱で待ってる」


雪乃「…わかったわ」


下駄箱


雪乃「…待ったかしら?」


八幡「別にちょっと職員室に行っただけだろ…」


雪乃「ふふっ、そうね」


八幡「…行くか」


雪乃「行きましょうか」

帰り道


八幡「…なあ雪ノ下」


雪乃「なに?比企谷くん」


八幡「…手、繋がないか?」スッ


雪乃「あなた、こういうことができる人だったのね」スッ


八幡「…まあな」


八幡(自分でもびっくりだわ…にしても雪ノ下の手、すべすべだな)


雪乃「…比企谷くんは、こういうことをした経験があるのかしら?」


八幡「いや、あるわけないだろ…雪ノ下が初めてだ」


雪乃「ふふっ、それもそうだったわね」


八幡「それと…」


雪乃「…?」


八幡「流石に学校では俺が耐えられないからやらないけど…こうして二人きりのときは、下の名前で呼んでもいいか?」


雪乃「え、ええ。構わないわ」


八幡「雪ノし…ゆ、雪乃、照れてるのか?」


雪乃「…そんな風に言われたら、逆に呼ばれたこっちの方が恥ずかしいのだけれど」


八幡「あ、ああ…悪い」シュン


雪乃「…まあ少しずつ慣れていけばいいのではないかしら」


八幡「……ありがとな、雪乃」


雪乃「…え、ええ」カアァ

雪乃「…じゃあ、私はここで」


八幡「…雪乃」


雪乃「なにかしら、比企谷く…」


八幡「…」ギュッ


雪乃「…ひっ、比企谷くん!?」


八幡「いざ別れる時になったら、急に名残惜しくなったんだよ…嫌だったか?」ギュウ


雪乃「べ、べつに嫌ではないけれど…」///


八幡「……雪乃」


雪乃「…今度は何を…」


八幡「…」チュッ


雪乃「…!」


八幡「…それじゃ、また明日な」タッタッタ


雪乃「…」ボーゼン

比企谷家リビング


八幡(勢いであんなことしちまった)


八幡(雪ノし…雪乃を抱き寄せた辺りから、意識が朦朧としていた気がする…)


八幡(雪乃の唇、柔らかかったな…)


八幡「…」ムラムラ


小町「…お兄ちゃんさっきから虚空を見つめてるけど、大丈夫?」


八幡「…なあ小町」


小町「なあに、お兄ちゃん」


八幡(いや、流石にそれはダメだろ。本当の千葉の兄妹に…いや、別に偽物でもなく本当に千葉の兄妹ではあるんだが)


八幡(とにかくダメだ)


八幡「…いや、何でもないわ。今日は疲れてるし早めに寝る」


小町「そうしたほうがいいよー。おやすみお兄ちゃん」


八幡「おやすみ」

チュンチュン チュンチュン


八幡(結局昨日はあまり眠れなかった…)


八幡(八幡ジュニアとの協力プレイに勤しんでしまったしな)


八幡(俺ってこんなに興奮しやすかったか…?)


八幡「…学校に行くか」


八幡(放課後になれば雪乃とも会える)


学校 昼休み


戸塚「…それでね、この前の練習で…」


八幡(戸塚は天使。これは不変の真理だな。時代が移り変わろうと、天変地異が起きようとも、戸塚は天使でとつかわいい)


戸塚「…ちょっと聞いてるの八幡!」


八幡「一字一句逃さず俺の脳内レコーダーに保存されてるぞ」


戸塚「そっかぁ…ぼくの話、八幡の脳内レコーダーに保存されてるんだね!」


八幡(やはり天使だ)


結衣「…ヒッキー、ちょっといいかな?ごめんね、さいちゃん」


戸塚「あ、うん!大丈夫だよ。いってらっしゃい、八幡」


八幡「ああ、行ってくるぜ戸塚。必ず帰ってくるからな」

中庭


結衣「…ヒッキー、上手くいったんだね」


八幡(そんなに分かりやすい顔してるか、俺)


八幡「…おかげまでな」


結衣「ちょっとしか手伝えなかったけど…あ、そうだ!どうせヒッキーだし、付き合ってから何したらいいとかわからないと思うし…」


八幡「…そこまでして貰うのもな」


結衣「ヒッキーは大した事に思ってないかもしれないけど…ヒッキーがあたしにしてくれたことは、とても大きなものだったから」


八幡(…その恩返し…か)


八幡「…わかったよ」


結衣「…うん」


八幡「…でも」


結衣「…?」


八幡「流石にして貰ってばかりなのも悪いしな。礼になるかはわからんが、この間言ってたところにでも行くか?別にそれ以外でもできることなら何でもいいけど」


結衣「…じゃあ」

結衣「…」ギュッ


八幡「…!おい、由比ヶ浜…」


結衣「…ヒッキー、なんでもしてくれるんだよね…」


八幡「…」


結衣「しばらく、こうしてるだけで…いいから」ギュウ


八幡「…」ギュ


結衣「…!」


結衣(…これ以上は、ゆきのんに悪いよね)


結衣「…」バッ


結衣「…じゃあね、ヒッキー」


八幡「…俺は、雪ノ下と付き合ったからといって、今の奉仕部を変えるつもりはない」


結衣「…でも今日は、優美子たちと約束があるから」


八幡「…そうか。じゃあな」


結衣「…うん」


廊下


八幡「…」スタスタ


材木座「はちまあぁぁああん!」


八幡「…」スタスタ


材木座「我を無視するとはいい度胸だな八幡よ!…いや待ってくださいお願いします」


八幡「…なんだよ」


材木座「…我には幻視(み)えるぞ八幡よ…八幡が悪鬼と化す未来が…!」


八幡「ラノベならまた読んでやるから…今は材木座に付き合ってる気分じゃないんだよ」スタスタ


材木座「はちまあぁぁああん!」








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