勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!」(801)


勇者「僕は元気にやってます!」

勇者「牢獄の中でなーっ!」

勇者「おはようございます!」

勇者「はい、おはようございます勇者様(裏声)」

勇者「微かに聞こえる雨音からして本日のお天気はやや小振りの雨日和ですね!」

勇者「お腹の減り具合からして大体今は午前十一時頃といったところですかね!」

勇者「不摂生はいけませんよ勇者様(裏声)」

勇者「そうですね気を付けます! 旅をしていた頃は日が出るより早く起きて日が沈む前に寝ていたのにすっかり今や」

勇者「嘘はいけませんよ勇者様」

勇者「はいスミマセンでした! 日が沈む頃に魔法使いとギシアンしはじめて日が出る所に精魂尽き果てる生活してました!」

勇者「おかげで旅のペースが遅れるの何のって! ハハハ!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」


勇者「魔法使い。戦士。僧侶。元気でやってますかね!」

勇者「元気に決まっていますよ。なんてったって貴方を売っていい生活を手に入れたようですから(裏声)」

勇者「それもそうですね! 羨ましい! 僕も召使一杯抱えて大きなお屋敷に住んでみたかったなぁ!」

勇者「あなたにはあなたの城があるじゃないですか勇者様(裏声)」

勇者「そう! ここが僕の城! 今日も点検はじめ!」

勇者「ベッド!」

勇者「ありません(裏声)」

勇者「南の窓!」

勇者「西にも東にも北にもありません(裏声)」

勇者「トイレ!」

勇者「部屋の隅っこがトイレといえばトイレですね(裏声)」

勇者「ご飯とかお手紙とか食べるための机!」

勇者「ご飯やお手紙を入れる搬出口ごとありません(裏声)」

勇者「面会に来てくれる人に会いに行く為に必須ぅ! 扉!」

勇者「ここに入れられたときに塗り固められました(裏声)」

勇者「広さ!」

勇者「二十畳ほど(裏声)」

勇者「明かり!」

勇者「完全なる暗闇です(裏声)」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「皆もビックリするでしょうね!」

勇者「何がって?」

勇者「そりゃあ」

勇者「明かりもない、窓もない、食事もない、空気もそのうちなくなる、いや実際牢獄生活三日目で無くなりましたし」

勇者「そんな中でまだ生きている僕のことですよぅ!」

勇者「皆、僕のこと忘れてるかもしれませんけどね!」


勇者「いや! いやいや! でも、戦士に僧侶に魔法使いは僕のこと忘れられない筈ですよ!」

勇者「僕のことをこんな死刑台ならぬ死刑箱に押し込んだのは他ならぬ彼等彼女らですよ!」

勇者「大暴れしましたね(裏声)」

勇者「大暴れしました!」

勇者「戦士は右腕と左足をたたっ斬ってやりましたね(裏声)」

勇者「スカッとしました!」

勇者「僧侶はどうしましたっけ(裏声)」

勇者「声帯を潰して顔面を焼きました!」

勇者「あれではもう神を称えることはできません、やりましたね(裏声)」

勇者「やりました!」

勇者「魔法使いは?(裏声)」

勇者「僕懇親の呪いをかけましたが遅効性だったためどうなっているかわかりませんが!」

勇者「勇者様懇親の呪いです。他二人より酷くはなってもよくはなりません(裏声)」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

パパっとチョチョッと書いたせいで後先何にも考えてない。
続きはそのうち。

応援、ご指摘、ありがとうございます。超嬉しい。嬉しさのあまりちょっと書き足しに来ちゃった。
誤字脱字文章の不自然さ等々見受けられるかと思われますがご容赦下さい。


勇者「でもビックリしましたよね!」

勇者「驚きましたよね(裏声)」

勇者「何と言っても!」

勇者「何と言っても?」

勇者「まさか僕があの三人に負けるとは!」

勇者「それも驚きましたが(裏声)」

勇者「まさか僕をあの三人が裏切るとは!」

勇者「それもやっぱり驚きましたが(裏声)」

勇者「魔王倒して帰ってきたら逆賊扱いときたもんで!」

勇者「それがやはり一番?(裏声)」

勇者「驚きました!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」


勇者「正直ね! 予感はありましたよ!」

勇者「旅するとモンスターに出くわすじゃないですか! 倒すじゃないですか!」

勇者「最初はスライムからでしたね!」

勇者「体当たりが意外と強力でした(裏声)」

勇者「そう! 体当たり! あのぶよんぶよんボディ、力の伝達力っていうんですかアレ半端無くて!」


勇者「でもアレちょっと気持ちいいんですよね!」

勇者「痛いことには痛いのですが(裏声)」

勇者「あのぶよんぶよんホディがすごい勢いで身体にぶつかってぶにゅんっていうかぐにゅんっていうか!」

勇者「痛いには違いないですが(裏声)」

勇者「大きなおっぱいで頬っぺたしばかれたり大きなお尻が顔に乗っかってくるような趣きがありますよね!」

勇者「僕思いましたね!」

勇者「スライムに殺されてる人ってアレが癖になっちゃったんだと!」

勇者「これを『スライムって実は女体風味の法則』と名付けましょう!」

勇者「まんまですね(裏声)」

勇者「まんまです!」

勇者「違うわ! 何の話でしたっけ!?」

勇者「モンスターって強い(裏声)」

勇者「そうでしたその話でした!」

勇者「さすがモンスター(裏声)」

勇者「モンスターという名前は飾りじゃありませんでした!」

勇者「最下級ですらアレでしたからね!」

勇者「スライムより強い魔物なんて山程! それより強い魔物も山程! それよりもさらに強い魔物も山程!」

勇者「お先真っ暗でしたよホント!」


勇者「でも倒すじゃないですか! 愛とか友情とか地道なレベル上げで!」

勇者「生き死にかかった旅ですから緊張感も勃起も半端なくて(裏声)」

勇者「そうそう生き物って死に瀕すると子孫残そうとして勃起ファイヤーってホントで!」

勇者「魔法使いと毎夜燃え上がっても(裏声)」

勇者「仕方ない!」

勇者「戦士と僧侶も隣の部屋で燃え上がっても!」

勇者「仕方ない(裏声)」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「ま! ま! ま!」

勇者「倒すじゃないですか!」

勇者「斬ったり潰したり捻ったりして!」

勇者「焼いたり溺れさせたり毒に侵したりして!」

勇者「いーっぱい!」

勇者「屍量産兵じゃないですか!」

勇者「屍山血河ですね(裏声)」

勇者「レベルアップしますよ! もうドンドン! ドンドコ!」

勇者「わかるんですよね!」

勇者「あ、やべぇ、人間止めてる強さになってるわコレ」

勇者「て!」


勇者「そりゃそうですよ!」

勇者「村とか街どころの話じゃないですよ!」

勇者「街とか大陸とか支配しちゃえる奴等相手にね!」

勇者「真正面から斬った張ったできるレベルまで鍛え上げられちゃうと嫌でも気付きますよ!」

勇者「実際侵攻してきた軍勢と真正面から戦ったからこそ出来る気付きです!」

勇者「正直ビックリしましたよこれ!」

勇者「あ、勝てちゃったよコレ」

勇者「て!」


勇者「街の兵隊さんとかもう動く的かっつーぐらい役立たずでしたからね!」

勇者「ゴミのように蹴散らされてましたね(裏声)」

勇者「あの時は死を覚悟しましたよ!」

勇者「でもやってみたらビックリ!」

勇者「僕ら四人で勝っちゃったよこれ」

勇者「て!」

勇者「ハッハッハ!」

勇者「はっはっは(裏声)」

とりあえずこんだけ。
続きはまたそのうち。

応援ありがとう! 保守ありがとう! 待っていた人がいたらごめんなさい。
最近全然PCにさえ触れてなかったんです。なもので間が開いた割には全然書けてないけど書けた分だけ足しに来ました。


勇者「ざっと僕たち一人あたり!」

勇者「一軍団相当の戦力でした!」

勇者「一軍団相当とは大きく出ましたね(軍団)」

勇者「だってだって! あの時攻めてきた彼等! 数万から居たんですよ!」

勇者「一軍団相当とは謙虚な物言いでしたね(裏声)」

勇者「でしょでしょ!? 人間換算してませんからね!」

勇者「したらエラいことですよ謙虚な僕そんな事出来ません!」

勇者「ご謙遜の使い所が解っていらっしゃいます流石勇者様(裏声)」

勇者「ンフフゥ!」

勇者「んふふぅ(裏声)」


勇者「ま! ま! ま!」

勇者「そんなもんですからね!」

勇者「魔物一個軍団級の戦力が四人ときてます!」

勇者「人間換算するとどえらい戦力が四人も居ますね(裏声)」

勇者「しかもまだまだ!」

勇者「強くなァァァァッ! ッルゥ!!」

勇者「あ、コレ為政者に嫌われるフラグだわ」

勇者「とか! 予感しましたよ!」

勇者「最悪の形で予感が当たりましたね(裏声)」

勇者「いやホントあんな形は無いですよホント!」


勇者「強くなって!」

勇者「腕っ節的な意味で(裏声)」

勇者「長持ちするようになって!」

勇者「持久力的な意味で(裏声)」

勇者「あ、夜の生活的な意味も含んでますよ!」

勇者「魔王城に突撃して(裏声)」

勇者「四天王とかいうの粉々にして!」

勇者「魔王も粉々にして(裏声)」

勇者「意気揚々と凱旋しました! これからはきっと幸せな生活が待ってるぞぅ、フォウ!」


勇者「しかし待っていたのは危険な奴等と判断され、汚名着せられ石もて追われる末路かな(裏声)」

勇者「ちょっと語感いいですね!」

勇者「恐縮です(裏声)」

勇者「僕てっきり最悪でも国外追放だとか思ってましたもの!」

勇者「良くて将軍職とかに付けて飼い殺しとか期待してましたもの!」

勇者「しかも老獪な事に(裏声)」

勇者「そう老害な事に!」

勇者「老獪です勇者様(裏声)」

勇者「ローカイなことに!」

勇者「はい(裏声)」


王様「勇者を差し出すのならばお前達三人は無罪放免としよう」

王様「戦士、僧侶、魔法使い、お前達三人は勇者と違って、元はと言えば我が城の優秀な人材達である」

王様「ソイツだけならともかく、そも、こうやって謂れのない罪を着せるのも心が痛……痛い……?」

勇者「えーとここらへんからちょっと記憶曖昧なんですけれど!」

勇者「何か長ったらしくてわざっとらしくてお涙頂戴みたいな苦労話とかそこらへん話してたような!」

勇者「ところで!」

勇者「似てた!?」

勇者「はい流石勇者様。物真似スキルも超一流(裏声)」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」


勇者「そんでまぁ!」

勇者「コロッとあんなクッソみたいなハナシと、莫大な報酬で寝返っちゃったんですよね!」

勇者「あの三人!」

勇者「正直負けるつもりなかったんですけど舐めてましたね!」

勇者「油断大敵(裏声)」

勇者「スミマセン! 肝に命じております! いいや! 骨に染み込ませております!」

勇者「一度の失敗で肝どころか骨身に反省を染みこませるとは流石は勇者様(裏声)」

勇者「一般人には出来ない度量の深さです(裏声)」

勇者「あんもうハズカシィ!」

勇者「ウフフ!」

勇者「うふふ(裏声)」


勇者「ウフフフフ!」

勇者「フゥー……」

勇者「……フゥ?」

勇者「……フォゥッ!?」

勇者「……」

勇者「フォォォォォォォウ!!?」


勇者「……」

勇者「ゴホン。ん、んん。んー。マイテスマイテス」

勇者「オーケー」

勇者「つかぬことをお伺い致しますが」

勇者「そこ(扉)、いつから開いてました?」

村娘「……」オロオロ

今日はここまで。続きはまたそのうち。
次はもうちょっと早めに書き足しに来たい。

いつでも出れるだろお前ww

このノリ大好き

大好き

一人遊び(意味深)が好きだったんだろ

>>勇者「一軍団相当とは大きく出ましたね(軍団)」

変な合いの手になっててワロタw

そりゃもう軍団相当の多大な合いの手が入ったんだろうさ

他の3人がどうなってるか早く知りたい、特に魔法使い

さぁやってまいりました、ほんのちょっぴり書き足しのお時間! いつもご声援にご感想、感謝!
何かこう何にも考えずに書いちゃってるのが申し訳なくなってくるんですけど、
すみませんやっぱり何にも考えてません!


>>45
どうして出ないかはこの書き足しでちょっと出るよ、待っててね!

>>46
大好きとか、アンタ、やめなさいよね、ドキッとお胸がときめいちゃうでしょ!

>>47
一人遊びが嫌いな男なんて居ないさ!

>>48
変な合いの手になってて私もワロタ。どうしてこうなった!

>>49
ごめんね、出番は用意するつもりだけど早々には来ないの!


勇者「……」

村娘「……」オドオド

勇者「……」

村娘「……」オブオブ

勇者「こわがらずに。さぁ、大きく息を吸って。吐いて。さん、はい」

勇者「扉いつから開いてました?」

村娘「……王様の……物真似……あたりから」

勇者「マジかよ死にてぇ」


勇者「スゴイことですよ貴女」

勇者「これはもうとてつもなくスゴいことですよ貴女」

勇者「僕が死にたいなんて思ったの」

勇者「スライムの体当たりを受けて以来ですよ」

村娘「……えっと……」


勇者「いやね、途中からね、何かちょっと眩しいなーみたいな」

勇者「新鮮な空気入ってきてるーみたいな」

勇者「僕が自分で作ってる以外の空気入ってきてるーみたいな」

勇者「なんかオカしいなと思ったらまさかギャラリーが居るとは」

勇者「ところで貴女」

村娘「え、と、あ、いえ、はい」

勇者「どちら様」

村娘「……ど、ドッカ村の村娘、です」


勇者「これはご丁寧に。ドッカ村の村娘様」

勇者「どっかの村ですかね知りませんけど」

勇者「あぁ」

勇者「勇者です」

村娘「し、知って、ます……」


勇者「クサくないです?」

村娘「い、いえ……」

勇者「老けて見えます?」

村娘「いえ……」

勇者「ですよね。アイドルはうんこもオシッコもしません。女神の使徒たる勇者もしません」

村娘「はぁ……」

勇者「ですよね。アイドルは老けません以下略でお願いします」

村娘「は、はい」


勇者「ま。ま。ま」

勇者「兎にも角にも助けられてしまいましたね、感謝」

村娘「いえ、その、どういたし、まして、それで、あの」

勇者「まったくここときたら貴女のような歳若い人間にも壊せるような造りをしておいて」

村娘「あの……」

勇者「僕ではどうにも出来ないように造られてますからね」

村娘「あの……っ」

勇者「僕をここに留まらせておく。ただ一点それだけにのみ特化した魔法とか誰得?」

勇者「あ、二十年前の世界得か」

勇者「もう機能してませんけど。扉開いただけで解除されちゃうとか特化しすぎでしょ耐久性考えて欲しいですよね」

勇者「耐久性考慮されたら僕出れなくなりますけど」

村娘「あの! 勇者様!」

勇者「はい」

勇者「あ、テンション低いのは気にしないで下さい。死にてぇブルー継続中なだけなんで」

勇者「ひゃっほう……」

勇者「こう、なんというか、一発芸の練習風景を他人に見られた時の切ない気持ちというか……」

勇者「あの日あの子に告白したけど好きな人居るからって断られたセピアな気持ちというか……」

勇者「ひゃっほう……」


勇者「ま。ま。ま」

勇者「して、僕に何かご用でございましょうか、ご主人様」

村娘「は、はい、勇者様にご助力を、え、え、ご、ご主人様っ?」

勇者「僕の力が必要ということですか。承りました、なんなりと、ご主人様」

村娘「え……な、なん……」

勇者「僕今ランプの魔人みたいじゃないですか」

勇者「経緯はさておいてね。こんなところに封印された巨大な力、それがひょんなとからポポンと出て来て」

勇者「何にしても助けられましたからね。借りは返す主義です」

勇者「一度助けられたので一度だけ付き合いますよ」


勇者「そういったワケですので、どうぞ、何なりとお申し付け下さいませ、ご主人様」

村娘「……は、はぁ、いえ、はい。それでは、お、お話させて頂きます。そ、村長曰く」

勇者「カット」

村娘「えっ?」


勇者「ドッカ村は只今絶賛収穫期」

勇者「それも収穫されるのはフルーツということでどうにもその甘い香りをゴブリン共に嗅ぎ付けられたらしく絶賛襲撃され中」

勇者「しかも結構凄い数。村で雇っていた傭兵も数に押されて為す術なし。フルーツだけなら兎も角女子供も攫われる」

勇者「今はなんとか持ち堪えているものの後何度持ちこたえられるかわからない」

勇者「傭兵ギルドにお達ししても中々増援がこない。王国軍に話を付けるにしたって何日かかるやら」

勇者「ということで」

勇者「昔々というほどでもないけど一昔前に、村の外れ、かな~り外れに在るとされるとある場所に封印されている、らしい」

勇者「勇者という輩が居るということを思い出した村長が一か八かで貴女を派遣した」

勇者「貴女は貴女で来てみたら、何か人の気配するな、と、思って入り口壊した」

勇者「したら僕が居た。王様の物真似しながら」

勇者「死にてぇ」


勇者「こんなところでいかがでしょうか、ご主人様」

村娘「……」

勇者「ご主人様?」

村娘「……」

勇者「……」

村娘「……ハッ。あ、す、すみません、合ってます……っ。でも、ど、どうして」

勇者「僕のことを誰だと思って探しにきたんですか、僕は勇者ですよ、不可能などあんまりない、よって、小娘一人の心を読むこと造作もなし」

勇者「流石に二十年間こんなところに居たので二十年前よりかは幾分衰えて不可能が増えたかもしれませんが」


勇者「しかし、そうねぇ、村長がねぇ」

勇者「どう見たって十四、と、七ヶ月と、三日ですか、の、ご主人様」

村娘「(合ってる……)」

勇者「なら兎も角。村長がねぇ」

村娘「村長が、な、何か……?」

勇者「……僕がなんでこんなところに居るのか知らない歳じゃないでしょうに、ねぇ?」

村娘「ねぇ、と、言われましても……た、確かに村長は、その、もう、六十ほどですが……」

勇者「そうですか。前にご尊顔を拝見したときの村長ですね、やっぱり」

勇者「思い出した。そうですか、ドッカ村、そうですかぁ」

勇者「いいでしょう。さぁ、行きましょう、ドッカ村」

勇者「皆殺しにしましょうね」

勇者「……」

勇者「ひゃっほう!」

今日はここまで。続きはまたそのうち。

いつもご声援感謝感謝!
やって参った書き足しのお時間! いつもよりほんのちょっと長め!



――勇者と村娘が出会ってから、半日後――


勇者「はい! はいはいはいはい! やってきましたドッカ村!」

勇者「僕一人だけなら二十秒とちょっとですがご主人様も居るのでゆっくり来ました! ドッカ村!」

勇者「ゴメンナサイちょっと調子こきましたね! 今の僕じゃ二十秒じゃ行けないかもしれませんドッカ村!」


勇者「どうしたのご主人様ったら元気無いよ!? ご主人様ったら元気出して行きましょ! さぁ第一村人発見!」

勇者「こんにちわぁぁぁぁぁ! 勇者デェェェェェェェス!」

第一村人「え!? あ、こ、こんにちわ。こんばんわだけど。村娘? 帰ってきたのか? こちらの方は?」

村娘「ご、ご本人のご申告通りの、そ、村長様が言ってらした、勇者様、です……」

第一村人「本当なのか? 本当にあのへんてこな塔に住んでるっていう?」

第一村人「村長様のお言葉とはいえ眉唾もんだと……いやそれにとても……なんというかその……勇者には見えないような」

大勢の村人「なんだなんだ、こんな時に騒がしい……」「誰だアレ?」「物狂いか何かか?」「老人かと思ったよ、なんだいあの髪」
     「村娘が帰ってきてるぞ」「ってことはアレが村長の言ってた……」「いやンな馬鹿な」「いやしかし、いつか見た勇者様に似とるな……」

勇者「何かモブいっぱい出て来た!」

村娘「も、もぶ?」

勇者「都会用語でっす! 意味は『ごめんなさい、良い人なんだけれど……』ってかんじ!」

村娘「は、はぁ……」

第一村人「……」

勇者「いいじゃないですか! おきましょう! さておきましょう! 村長のところ行きましょう!」


勇者「……」

勇者「時の流れってこわ~い」

村娘「は、はい? な、なんですか、勇者様?」

第一村人「時の流れ?」


勇者「独り言でっす!」

勇者「二十年もあんなとこでビンテージ物になるまで暮らしてりゃ独り言も多くなるってもんでね!」

村娘「あ、ああ……」

第一村人「ビンテージ……」


勇者「で?」

村娘「え?」

勇者「いや。村長のお家どこかなって!」

村娘「あっ。す、すみません、こ、こちらになりますっ。村人さんまたあとでっ」

第一村人「あ、ああ。あとでな」


勇者「……」テクテク

村娘「……」トコトコ

勇者「恋仲?」テクテク

村娘「えっ?」トコトコ


勇者「いや、兄妹には見えませんし、ご近所付き合いってだけにしちゃお二人の目の熱さがちょっとね!」

村娘「え、そ、そそそそ、そんな、そんなこと、な、ないですよっ。目の熱さってなんですかっ」

勇者「お互いを見つめる視線が熱を帯びて――」

村娘「言わなくていいですっ」

勇者「聞かれたから答えたのに答えを遮られた! ご主人様意外とドS! 僕は意外とドM!」

勇者「相性いいですね!?」

村娘「え、えむ……えす……も、もうっ。か、からかわないでくださいっ」


勇者「ハッハッハ~そうですか~お互い幼馴染で? お互い好き合っていたけど? お互い中々言い出せなくて?」

村娘「えっ。ちょ。ちょっとっ」

勇者「言い出せなさすぎて、仕舞いにゃ村の人たちが~? 村娘さんがお嫁に行くって話でっち上げて~?」

村娘「あっ。やっ。やめてっ」

勇者「村人さん奮起させて~。村娘さんにプロボーズさせて~」

勇者「青春ですねぇ」ホッコリ

村娘「も、もうっ。勇者様っ。察しが良すぎて恐いですっ。というか、察しが良いってレベルですかこれっ」

村娘「もしかして、心が読めるって本当なんですかっ!?」


勇者「嘘ですよ!」

村娘「嘘なんですか!?」

勇者「はい!」

村娘「じ、じゃあ、どうして」

勇者「ひ、み、つっ」

村娘「勇者様!」

勇者「ゲヒャヒャヒャヒャ!」

村娘「笑い方が汚いですっ!」


勇者「ご主人様の元気がよくなってきたので僕大変嬉しいです! そしてここが!?」

村娘「村長様の家です!」

村娘「……あっ」

村娘「……そ、村長様。お話いただいた勇者様をお連れしました」ドアコンコン

勇者「この娘元気にさせようとするのマジ大変」ヤレヤレダゼ、ネェ、ウラゴエ=サン



――ドッカ村、村長の家――


勇者「やってまいりました、ドッカ村、村長のお宅ゥ!」

勇者「村長のお宅だけあって大変ご立派ですね!」

勇者「朝目が覚めれば朝日にお出迎えしたいただけるよう配置を考えられた窓に! 臭い対策もバッチリなおトイレ!」

勇者「お手紙かくための机どころかお手紙書くためのお部屋までありましたよ!? 書斎!? 書斎ですかねアレは!」

勇者「ていうかお部屋有り過ぎてビックリしたんですけど! 広いんですけど! 二世帯住宅なんですけれどぉう!?」

勇者「住んでる方々はこちら、村長夫妻、村長の娘夫婦、娘夫婦のお子さん二人にお手伝いさん! あとゴブリン騒動のために間借りしてる傭兵衆!」

勇者「こんにちわ!」

勇者「こんばんわ!」

勇者「そういえば外暗かったですね!」

村長「……」

村娘「……」


勇者「ハッハッハッ! ノリわるし!」

村長「村娘。彼はずっとこの調子で?」

村娘「は、はい、ずっとこの調子、い、いえ、静かな時もたまに」

勇者「なんでございましょう?! ひそひそ話!? 混ぜてー!」


村長「勇者殿」

勇者「ゴブリン退治の話ですか!?」

村長「は? いえ、まだ、何も申しておりませぬが……」

勇者「ゴブリン退治の話ですね!?」


村娘「そ、その、村長様。勇者様はゴブリン退治引き受けてくださると申しているようで……」

勇者「そのとーり!」

村娘「こ、事の成り行きは、ど、道中にお話、というか、その、なんともうしますか。ご理解なされたようで……」

勇者「そのとーりでございます!」


村長「では」

勇者「明日の朝行きますので!」

村長「……はい」

勇者「酒場あります!?」

村長「……はい。報酬などの話は後々にしたほうがよさそうですのう」

勇者「酒場行ってまいります!」

村長「……」

勇者「実は僕今までお酒って飲んだことなかったんですよね!」

勇者「昔の仲間はよく飲んでたんですけど!」

勇者「なので!」


勇者「酒場で夜明かしてから行きますよ!」

勇者「村娘さんと一緒に!」

村娘「へっ?」

勇者「あとそこの傭兵衆も付いて来なさいネ!」

傭兵衆「……うす」

勇者「では解散!」

村娘「ま、まって、まって下さ――」

勇者「ではおやすみなさいませ!」バビュンッ

村娘「勇者様ー!?」キエタッ!?

――ドッカ村の外れ、ゴブリンの巣に向かう道中――


勇者「お酒ってホントこわい!」

勇者「お酒って初めて飲んだんですよね!」

勇者「お酒って意外に美味しいなーって!」

勇者「三杯目までの記憶はあるんですよ!」


勇者「気が付いたら朝でした!」

勇者「独特のやや冷えた空気!」

勇者「鶏や雀の鳴き声!」

勇者「差し込む陽光まあまあまったく二十年ぶりでね!」


勇者「血だるまになった傭兵たちまで一緒に付いてきたのがちょっと頂けませんけど」

勇者「朝から肺に目一杯の鉄錆臭とかいらなかったです」


勇者「後から聞いてみればまぁなんてこともなく!」

勇者「やっかみですってねー! 後からポッと出てきた得体の知れないヤツが自分の仕事掻っ攫うってんで! イラっときて! 喧嘩売っちゃったんですねー!」

勇者「後からポッと出てきた僕にテメェの仕事が掻っ攫われるのはテメェ等の本部が仕事遅いからだっつーんですよ! 喧嘩売られる覚えなんてありませんよ!」


勇者「大体実力差を考えて欲しいですよね! いくら衰えてるにしたってこちとら魔王とガチンコバトルした身ですよ! そういう意味では傭兵衆、君達は大変有能ですね!」

傭兵衆「……」

勇者「わざわざ村長のお宅に部屋用意されているだけあって他の連中よりほんのちょっとお利口さんです! 喧嘩しても勝てないのよく解ってますね!」

傭兵衆「……うす」

勇者「ご主人様」

村娘「……はい」

勇者「朝から大変よろしくないことをお目に入れて申し訳ない、まさか迎えに来て頂けるとは思ってもみず」

村娘「……いえ」

勇者「……」

村娘「……」チラチラ

傭兵衆「……」ムスッ


勇者「どうも、勇者です。僕なんにも悪くないのに僕のせいっぽい空気ただよってて気分ブルー色です」

勇者「テンションすごいさがる」

勇者「まるであの時のようです」

村娘「……」

村娘「……? あの時、ですか?」


勇者「はい。ご主人様も傭兵衆も、多分、村人さんも村民も、村長からしか、僕のことを聞かされていませんよね?」

勇者「僕は本当に勇者なんですよ」

勇者「二十年前に魔王軍を解体した面子の一人だったんですよ」

村娘「は、はぁ……」

傭兵衆「……」


勇者「村長からは、勇者っていう、強い人があのへんてこな塔に住んでるっていう話しか聞いていませんよね」

勇者「住んでたんじゃありません、幽閉されてたんです」

勇者「謀反人だ、反逆者だ、って、言われてね」

勇者「幽閉した塔を造ったのはドッカ村の人達なんですよねぇこれが」

村娘「……え?」

傭兵衆「?」


勇者「勿論あの塔にかけられていた魔法は別口ですよ、でもあの塔を建設したのはご主人様の村の人達です」

勇者「謀反人だ、反逆者だ、って、口々に言われてね。手の空いた人達なんか殴ったり蹴ったりしてきてね」

村娘「……え、えっ?」

勇者「実はこのゴブリン騒ぎ二十年ぶりなんですよね。二十年前にも一度こういうことがありました」

勇者「助けたのは僕たちだったんですよね」

村娘「あ、の」

村娘「(な、に……これ……勇者様がこの話をしはじめてから……息苦しい……っ?)」


勇者「村長が嘘を言っていたワケでも何かを隠していたワケでもないですよ、村民たちもそうですよ」

勇者「勇者っていう強い人がへんてこな塔に住んでる」

勇者「村長も村民も本気でそう思っていたんですよね」

勇者「僕達がドッカ村を救ったことも、僕が謀反人だって呼ばれた時に僕が動けなくなってるのをいいことにタコ殴りにしたことも」

勇者「全部忘れて都合よくそう思っていたんですよね」

村娘「ゆ、勇者、様。あ、の、冗談、ですよね? 勇者様、あ、あの、空気が悪いのは、べつに勇者様のせいで、なくて」

村娘「す、すねて、そういう事、言ってる、だけ……」


勇者「時の流れってホントこわい」

勇者「空気ってホントこわい」

勇者「二十年も経ってしまえばやった方はな~んにも覚えてないんですよね、された僕でさえドッカ村の名前聞くまでドッカ村のこと忘れてましたもの」

勇者「僕は悪くないと僕一人が言っても僕が間違ってるって他の十人が言えば、十人がそういう空気を作る」


勇者「ホントはね。直ぐにドッカ村を滅ぼそうと思ったんです」

勇者「でも出してくれた人、ご主人様ですね、僕を助けた人が僕に助けてくれっていうんですよ」

勇者「なので一度だけは助けることにしました」

勇者「そのあとに殺すつもりでした」

勇者「でもちょっと考えてみて思ったんですよね」


勇者「僕、人間が憎いですが。モンスターも憎いな、って」

勇者「ていうか、僕以外の生き物は全部憎いな、って」

勇者「世界を救ったのに世界は救ってくれませんでしたからねぇ、誰一つ、何一つとしてねぇ、ハッハッハッ。マジ笑える!」

勇者「だからですね」

勇者「憎いから殺すワケですよ、僕一個人の事情で、それ、依頼達成って言えるんですかね」

勇者「ゴブリン退治、言われようと言われまいとやってたんですよ。それ、ご助力下さいってのと併用しちゃいかんと思うんです」

勇者「だから、考えました」


勇者「恩返しは別の方法にしよう、と」

勇者「ご主人様」

村娘「……は……は……」

勇者「僕が何故貴女をこんなところに連れてきているかはもうお分かりですよね」

勇者「貴女だけは殺さないようにって村から引き離したんですよ。あぁ、傭兵衆」

傭兵衆「!」

勇者「身構えなくて結構ですよ、身構えたって無駄ですしね、いやいやしかしご主人様のような村娘が一人でこんなところに残されたら何かとコマリモノ」

勇者「そのための君達です、村は守れんでも小娘一人ぐらいはなんとかなるでしょ、そういうワケで、頑張んなさいね」

勇者「……」

勇者「そんなワケでぇ!」

勇者「ゴブリンは皆殺し!」

勇者「ドッカ村の人間も皆殺し!」


勇者「全速力で行きますよ! さあ! 何秒掛かるかな!?」

勇者「僕がどれだけ衰えてるかの確認も兼ねておりまーす!」

勇者「あぁ! 心配しなくてもドッカ村を滅ぼしたら次の街さらに次の国とこの世全部あの世に送って差し上げますのでドッカ村の人達寂しくないね!」

勇者「僕に下手に関わってる連中はちょっと惨たらしい死に様になりますけどね! 些細なもんです! 皆ゴールは同じ! いいコト言いましたね僕!?」

村娘「や……やめ……」


勇者「やめまっせん!」

勇者「それではまいりましょう! いきますよ! せーの!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「Wonderful!!!!(軍団)」

帰ってきた裏声さん、出しゃばってきた軍団さんを締めに今回はここまで。
続きはまたそのうち。

心配されている方々へ。大丈夫、裏声さんは最後の最後まで勇者と一緒です。終身雇用だからリストラなんてないよ!

ご声援が一杯! ご感想が一杯! ありがとう!
反応して頂けるたびに顔がニマァっと歪む私が今日も書き足しにきましたよ!


――勇者と村娘が出会ってから、五日後――

――王都、王宮――


王様「やはり赤ぶどうはアッチ村、白ぶどうはソッチ村が一番かのう」

王様「うむ」モシャ

王様「うむ」モシャモシャ

王様「美味い」

王様「ぶどう酒にするならばまた別に良いものがあるが生食となればやはりこの二つの村が良い」


王様「これからも良いものを造り良きものを頂きたいものよ」

王様「私は果物に目がなくてなぁ」

王様「おかげで果物作りにかけては国から予算を出しもするし」

王様「私自身が作業に加わることもある」

王様「良きもののためには苦労は惜しまぬし、それが高じてか果物の産地はあら方頭に入った」


王様「……して、大臣よ」

大臣「……はっ」

王様「……ドッカ村がなんと申した。あすこはマンゴーが良いな、うむ、またあれから絞った果汁で以て果実酒など一杯、と、思っとった矢先なのだぞ」

王様「そのドッカ村が集団失踪、とな?」


――勇者と村娘が出会ってから、五日後――

――どこかの村へ向かう街道の道中――


勇者「……」チラッ

勇者「ッィヒ、ッヒ、フッ、ブッフッハハハハハハハハハ!」

勇者「アァァァッハハハハハハハハハッ!」

勇者「ハハハハハッ、ハハッ、ハヒッ、ヒヒッヒハハハハ!」

勇者「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」

勇者「ハハハハハァァァ……ハァ……ァー……ッヒ、ヒヒィ」

勇者「ヒァー……ァァー……」

勇者「アー。腹いってぇー」

勇者「うん!」


勇者「やりましたね!」

勇者「やりましたね勇者様(裏声)」

勇者「疲れましたね!」

勇者「身体が鈍っている証拠ですよ、勇者様(裏声)」


勇者「ゴブリンえーと何匹でしたっけ!?」

勇者「184匹です(裏声)」

勇者「184匹!」

勇者「24秒ほど掛かりましたね(裏声)」

勇者「24秒!?」

勇者「掛かり過ぎ! 鈍り過ぎ!」

勇者「鍛え直さないといけませんねコレは! 万が一魔法使いたちがあれからさらに強くなってたら今の僕だと次こそ死んじゃうかもしれませんからね!」

勇者「頑張りましょう(裏声)」

勇者「頑張ります!」


勇者「しかしやってやりましたよ!」

勇者「しかしやってやりましたね勇者様(裏声)」

勇者「ドッカ村!」

勇者「皆殺し(裏声)」


勇者「何故だー何故私達がこんな目にーって!」

勇者「ずっとおっしゃられておりましたね、皆さん最後の最後まで(裏声)」

勇者「二十年前の僕の顔知ってる人が何人か居ましたからもしかしたら思い当たるかなーなんて思ってたんですけど!」

勇者「最後の最後まで誰も思い付かなかったようで(裏声)」


勇者「村長には特別コースなんてものまで用意してさしあげたというのに! ぷんすかですよ!」

勇者「ぷんすかですね勇者様。ゆっくり、ゆっくりと思い出す時間を作ってあげたというのに村長と来たら(裏声)」

勇者「村民を適当にバラしたあとに先ず娘夫妻を解体しましたよね!」

勇者「直ぐに死んでもらっては困りますから解体中も回復魔法を逐一かけてね(裏声)」

勇者「最後のほうはどっちが娘さんでどっちがお婿さんだか解んなくなっちゃって少し困りました! やりすぎた!」

勇者「お孫さんはまだ幼いですからお尻から頭まで突き刺して飾るだけに留めて(裏声)」

勇者「ちゃんと即死させてあげましたよ!」


勇者「村長思い出すどころかマジギレ!(笑)」

勇者「よくもやってくれたなーこの恨み忘れんぞー七代先まで祟ってやるぞーって!」

勇者「恨み節吐くにしても古臭いんですよね! 七代先まで祟るとか僕はじめて聞きましたよ! あんな古臭い言い回し!」

勇者「大体まぁ?!」チラッ

勇者「まぁ(裏声)」チラッ

勇者「ブハハハハ!」

勇者「やれるものならやってみるといいですよね!」

勇者「出来たら感心してしまいます(裏声)」


勇者「でもやっぱり慣れないことは大変でしたよ!」

勇者「魔王との大戦時代に散々見てきましたけどね! 見ているのと実際『造る』のは勝手が違うってもんで!」

勇者「一日がかりの大作業になりましたが滞り無く終われました、さすがは勇者様多芸多才であられる(裏声)」

勇者「あんもうハズカシイ!」

勇者「事実ですけれど面と向かって言われると照れちゃいますよ!」


勇者「しかし何にしても結構!」

勇者「大変結構でございます!」

勇者「覚えていようが忘れていようが構いやしません!」

勇者「どうせやることは変わりやしませんから(裏声)」


勇者「僕を二十年前あんな箱に叩き込んだ連中はとびきり惨たらしく!」

勇者「勇者様がそんな目に遭っているのに無関心だった世界は(裏声)」

勇者「むごたらしくは可哀想なので出来るかぎりサクッと始末します!」


勇者「さすがは勇者様(裏声)」

勇者「あれだけのことがあっても尚未だ慈悲の心があられるとは世界平和賞を受賞しても可笑しくありません(裏声)」

勇者「褒めても何も出ませんよ!」

勇者「ていうか受賞しましたし!」

勇者「二十年前に! 受け取れなかったけど! 世界を救ったんだから受賞確実でしたし! 受け取れなかったけど!」


勇者「おぉっと!?」

勇者「さぁ皆さん!」チラッ

勇者「次の村が見えてきましたよ! ん~!? 良い香りがしますね!」

勇者「ブドウですかね! ここら一帯はフルーツ産業盛んですからね!」

勇者「皆さんもかつてはフルーツ産業に従事した方も多いでしょうから良心が咎めるかもしれませんが!」

勇者「勇者様のために、行きましょう(裏声)」

勇者「僕のために行ってらっしゃーい!」

勇者「僕が僕のために造った」

勇者「――元ドッカ村の村人衆!」

ゾンビ兵「あ゛―……」

勇者「ハハハハハハハハハハハッッッ!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」


本日はここまで。続きはまたそのうち。

補足。
ゾンビ兵とはゾンビを鎧やら剣やら武装させたもの、素材提供はドッカ村。

ドッカ村でほぼ唯一助かっている村娘が助かった理由はホントにただ単純に、勇者を塔から出してくれたから、その一点のみ。
もしそれがなかったら今頃村娘もゾンビ兵の仲間入り。傭兵衆はそのおこぼれに預かれて本当に運が良かったというわけですね。

村には二十年前に住んでなかった人や関わっていなかった人も少なからず居ます。村娘と同年齢の子や村娘彼氏など、そもそも生まれてなかった人も。
ただ関わっていた人が大勢居たため纏めてこのような悲惨なことに。

纏めなくても、とか、関係ない人を巻き込まなくとも、と、普通なら考えますが。そういう普通で理性的な判断・思考能力はもう勇者の中にないからね。
仕方無いね。
以上補足終わり!

合いのヒャッホウ入れてくれた人ありがとね!

私なんかがこんなにご声援や応援を頂いてしまって良いのか!? 嬉しいから良いや!
書き足しにひゃっほうしにきた!

――勇者と村娘が出会ってから、一月後――


勇者「睡眠や食糧の補給が要らず、死ぬことを恐れず、頭や心臓など急所を貫かれても術者の魔力があれば動き、当然命令には絶対服従(裏声)」

勇者「とっても便利! ゾンビへーい!」

勇者「しかし一番便利なのはこの一点!」

勇者「低コスト(裏声)」

勇者「そう! 死体とちょっとした技能とちょっとした魔力さえあればいいですから!」

勇者「魔王軍との大戦において彼等より面倒くさいものは四天王と魔王ぐらいでした!」


勇者「魔王軍のゾンビ兵はそれに付け加えて、術者の魔力がなくとも瘴気さえあれば自動修復する機能を備えていましたが(裏声)」

勇者「僕のゾンビ兵には自動修復機能がないんですよねぇ残念ながら!」

勇者「瘴気とか操れませんし! 操っちゃ駄目でしょ勇者なんだから!」

勇者「そ・の・か・わ・りぃ!」


勇者「魔王軍のゾンビ兵のような自動修復機能がないかわりに! 女神の加護が一つ『蘇生』機能を付けてみましたー!」

勇者「四肢をもぎ取られるなりしてにっちもさっちも行かなくなった場合に限り一度だけ! 五体満足で復活しますよ!」

勇者「僕や昔の仲間達は何度でも復活できましたが!」

勇者「これだけ大人数になると流石に効能薄いです!」

勇者「ゾンビ兵勇者エディションはこれだけではありませんよ! 自爆機能も搭載しております! 結構強力なやつを!」


勇者「……だからこうやって、何人か集めて、一箇所に集めて、ボンっとすれば、分厚~い外壁もあら簡単茹でたトマトみたくペロッといけます」

勇者「ごきげんよう? ソギャン街の皆々様」

勇者「お勤めご苦労、ソギャン街警備隊諸君」

勇者「アッチにコッチ、ドッチにドッカと色~んな村々+αを全~部ゾンビ兵にしちゃって驀進中の勇者で~っす」


勇者「流石に村四つも集団失踪なんて事件起こしてればどれだけ愚鈍な国の連中でも腰を上げますよねぇ」

勇者「腰を上げ調べてみたら集団失踪じゃなくてゾンビにされて兵隊代わりに使われてるんですからねぇ」

勇者「しかもソレやらかしてるのはな~んとこの僕」

勇者「かつて世界を救ったが魔王との戦い以後悪に心を蝕まれて正気を失いつつあった為、ため、えーと」

勇者「ああそうだ、自ら封印されることを望んだってことになっている勇者ときたもんだから驚きですよ」


勇者「ああ、途中で立ち寄った村で教えてもらったんですよ、これには僕は僕で驚かされましたけどね。まさかそんな風説を流されていたとは」

勇者「どうでもいいですけどね」

勇者「貴方達からしてみれば今の僕は完璧に悪に呑まれて正気を失ってるってことになるんでしょうねぇ」

勇者「どうでもいいですけどね、ホント」


勇者「兎にも角にも今貴方達が防衛線を敷いている相手はこの僕であるということが大事なところです」

勇者「ああ、そうだ、褒めなければいけませんよね?」

勇者「情報がいつこの街に届いたのかは知りませんが」

勇者「わざと中に入れて狭い場所に誘い込んで数で押し潰そう作戦、悪く無いですよ、というか、とてもいいですよ、短い時間でよく考えました」

勇者「精密な動作ができないから狭い場所での戦闘は避けたかったし、自爆もこれじゃ同士討ちすることのほうが多くなりそうだから使えません」


勇者「こっちはたかだか村4つ分と一人、そっちはこっちの五倍強、油断しそうなもんですけどね、油断せずに数の理をちゃんと活かそうとする」

勇者「ソレに付け加えて、まぁ、うん、虚を突いたと思ってたんですけどね。四方の門からじゃそうされると思って外壁ぶち抜いたっていうのに」

勇者「あっという間に取り囲まれちゃってこっちが虚を突かれてしまいました、ぶち抜かれそうな壁の薄い所最初から張ってたとはねぇ~……?」

勇者「貴方の入れ知恵かなぁ~?」

勇者「せ・ん・し、さ~ん」

勇者「……ヒャッホウ」

ゾンビ兵団が村一個分から村四個分に増えた! そしてお待たせ戦士登場! 今日はここまで。続きはそのうち。
最近またペース遅いから速められるよう頑張ります。

ヒャッホウ!

あの、別に無くてもいいけど有っても困るもんじゃないど~でもいい登場人物一覧が! 何故かパワーアップ(リメイク)されて帰ってきた!
そんなことより本編書けって? すいません書いてます頑張ります!

登場人物そのいち。

『勇者』
二十年前、世界を手中に収めんと侵攻してきた魔王軍を討ち果たした英雄たちの一人でありそのリーダー。
しかしその大戦中多くの瘴気に触れ、魔王の悪のカリスマに触れ、正気を失いつつあった為大戦以後は自ら望んで封印された……
ということになっているが実際は世界を救ったという影響力や凄まじい武力を疎ましく思った勇者出生の地アノオー国の国王、
およびその王に金銀財宝や酒池肉林の日々を約束されて目が眩んだ仲間達やその他多くに裏切られて投獄されていた。

二十年後、裏切った面子の一部がうっかりとそのことを忘れて出してしまい、セカンドライフがはじまる。
二十年の獄中生活の間で色々意識の変化が起こったらしく、変化は外見にまで及び白髪レイプ目に、ついでにハスキーボイスになった。おソバ大好き。

現在ソギャン街まで侵攻中。


『裏声さん』
合いの手担当。綺麗なハイトーンボイス。
意外とハスキーボイスな勇者は裏声さんを安定させるのに大分苦労した歴史があるらしい。勇者が他の人間と接触しているときは基本出番がない。


『軍団さん』
そりゃもう軍団相当の多大な合いの手担当。
台詞は少ないが彼等が合いの手を打つ時大地が震える、声がデカすぎて。あと英語で喋る。勇者が他の人間と接触しているときは基本出番がない。

登場人物そのに


『村娘』
ドッカ村出身の十四歳と七ヶ月と三日目の処女。
勇者を助けたため勇者に助けられた、ドッカ村最後の生き残り。現在は傭兵衆に護衛されて傭兵ギルドに一時身を寄せたようだ。


『傭兵衆』
ドッカ村がゴブリン討伐のために呼び寄せた傭兵集団の取り纏め役の五人組。
村娘に護衛が必要とのことで生かされている。村娘に暴行を加えるのではと一部で心配の声があがっていたが、何もしていない。


アッチ、ソッチ、ドッチ、ドッカ村の村人衆
ゾンビ兵勇者エディションにされて勇者の手駒として働かされている。
一度だけの蘇生機能付き、数人集まれば分厚い防壁をペロンと剥けるほど強力な自爆機能も搭載。

登場人物そのさん


戦士
勇者がレイプ目になった原因その一。勇者の手により右腕と左足をたたっ斬られているため、義腕義足。周りには魔王大戦で失ったと言ってある。
二十年前の推定戦力は(かなり控えめに言って)魔物一軍団相当だったが今は多少衰えている。

二十年後、魔王大戦の功績を買われ、また、自身たっての希望もあり国内の兵士たちに剣術や兵法の指導に力を入れている、アノオー国の〝剣聖〟
五体不満足でありながら常軌を逸したと謳われる剣の腕と、どんなに要領の悪い兵士にも諦めず罵らず付きっきりで指導してくれる性根の正しい性格で人気者。
鍛錬は欠かしていないようで多少の衰えはありハンデがあっても未だムキムキマッチョメンのおじさん。甘いもの大好き。

現在、勇者復活の一報を受け、かつ、たまたま近くにいたためソギャン街へと駆け付けて防衛戦の指揮を採ることに。


僧侶
原因その二。練り物大好き。
魔法使い
原因その三。粉物大好き。
王様
原因その四。フルーツ大好き。


四天王と魔王
かつて世界を脅かした者達。その役は現在勇者に取られた。死体は魔王城に封印されている。魔王はおソバ大好き。四天王はおうどん大好き。

しもうた……そのさんだけ人物に『』つけ忘れた……。
ともかく今日はこれだけ。本編はまたそのうち。

フルーツ白玉ぜんざい……す、全ての要望を満たしているっ? 天才か……。
あ、書き足しのお時間です。ヒャッホウ。


戦士「……勇者……」

警備隊長「……お久しぶりです勇者様」

勇者「はいはいお久しぶりです警備隊長、二十年ぶりですね、老けましたねぇ、戦士も」

勇者「というか僕のこと覚えてんですね警備隊長。戦士達は兎も角あの頃の人間がよく覚えて、まぁ、ソギャン街は結構長く滞在してましたけど」


戦士「……」

警備隊長「……あなたに受けたご恩を考えれば当然のことです」

勇者「い、いや、お気になさらず」

勇者「今ちょっと、つい、本気でイラッとしちゃって言葉が詰まりましたが。関係のない貴方は無残に殺したりしませんからね~。約束します~」


勇者「ドッカ村のゾンビ兵以外は綺麗なもんでしょう? なるべく苦しまないよう一撃で仕留めてますからね」

勇者「ドッカ村のゾンビ兵はあっちこっち継ぎ接ぎだらけですけどこれは仕方ないでしょう」

勇者「パーツが足りなくて他の人間から移植したりSAN値チェック必須な外見の方居ますけども、ああほらあれ、全身の皮膚無いの、あれは村長なんですけどね」

勇者「僕の腹の虫が収まりませんでしたから仕方ないでしょう」


勇者「まぁ、それはさておいて」サッサッ

勇者「戦(や)りましょうか?」ハイオキマシター

戦士「やはり、そうだろうな」

警備隊長「……考えなおしていただくわけには」

勇者「いきませんねえ。あと、問答には付き合いませんよ?」

勇者「付き合ってると、ほら、色々言われそうです」



勇者「僕みたいな聖人君子がどうしてこんなんなっちゃったか、とか」

勇者「二十年前お助けできなかったことを今でも悔やんでます、とか」

勇者「次はあなたが世界を滅ぼす気ですか、とか。魔王はもう居ないのをいいことに魔王として君臨する気ですか、とか。闇に進まず戻ってこい、とか」

勇者「どうしてもっていうなら言ってもいいですけど付き合いませんからね。いいんですよ、事情なんて知らなくても。知らないまま、死ねばいいです」


勇者「寧ろそちらの方が自然じゃありませんか? 人間なんて死ぬとき死ぬ理由を悟れることなんてそうそうありません」

勇者「たいていは事情も知らず知らないままに死んじゃいます、病気だ災害だなんだってのはソレを見てた人間がそう言うだけで」

勇者「……」

勇者「う~ん、どうもいけませんね」


勇者「自分以外の人間と喋るのは久しぶりでなんだかんだやっぱり嬉しいんですかね、ご主人様のときもそうでしたが喋りすぎで」

勇者「喋りすぎついでに言っておきますが、馬鹿なことをしましたよ」

勇者「馬鹿正直に平原でゾンビ兵と戦り合ってりゃあいいものを……」

勇者「こんなコトされたら僕が剣を抜かざるを得ないじゃないですか」


勇者「戦士はいいですよ、別に。元からこの剣でお相手しようと思っていましたからね、ゾンビ兵じゃとてもじゃないけど無理だ」

勇者「けれど何も他の人間までこの剣で相手させるなんて、んもう、兵士にとっちゃ最上級の屈辱じゃないですかね、こういうの」

勇者「襲ってくる相手に、為す術もなく、藁のように刈り取られるだなんて――」

警備隊長「……ゾンビ兵が満足に動けぬ今、脅威として残るのは貴方お一人です」

警備隊長「貴方のお力が尋常でないのは存じておるがこの人数を相手に藁のように刈り取る、とは、些か誇張が過ぎるのではありませぬか」


勇者「……」

勇者「戦って死なせてあげたいじゃないですか、仮にも兵士なんだから。ゾンビ兵となら戦って死ねたのに、戦士さんときたら」

勇者「相変わらず鬼畜なんだからぁ~。僕これでも貴方みたいな人以外は苦しませずに死なせてあげようと思ってるんですよ」

勇者「何もそんなプライドずったぼろにされるような苦しい死に方させることないのにね」

戦士「たしかに、お前の相手はこの場にいる者の中では私以外に務まらぬだろうさ」

戦士「たしかに、お前の力量を鑑みてみればこの場にいる者など私以外稲穂のようなものだ」

警備隊長「……」


戦士「しかし、勇者。それはあくまで、すべて、仮定の話だよ」

勇者「ほう」

戦士「お前が彼等の命を刈り取ることなど出来ない、私が居るからだ」

勇者「ふむ」

戦士「そして私はお前に殺されることなど無い。あれから今に至るまでの二十年間、鍛錬を欠かしたことはない」

勇者「おじさんになっちゃってもすっごいムキムキですよね貴方。〝剣聖〟なんていう大層な称号まで貰っちゃって実はちょっと感心してます」


戦士「二十年間鍛錬をし続けてきた私と、二十年もの間幽閉されていたお前では、しかしそれでもお前は特別だ、戦いにこそなるだろうが、勝ちはないと思え」

戦士「お前を私が今度こそ討ち倒し、術者の居なくなった哀れなゾンビ共を根切りにして、この馬鹿げた戦争ごっこは終わりにするつもりだ」

勇者「幽閉されていた、とか、他人事みたいに。いや、他人事ですけどよく言うますねーこの子ってば」

勇者「まぁ、公衆の面前ではとても言えませんよね、まぁまぁ、いいですいいです、まぁまぁまぁ、好きなだけ戯言をのたまえばいいですよ」

勇者「それでは、いざ」


勇者が、ボロ布のような囚人服に巻いたポロキレのような布のベルトに差してある剣を抜く。

かつて手に携えた聖剣でもなければ大戦期の冒険中に手に入れた魔剣でも無く、なんの変哲もない数打ちの剣。
ゾンビ兵を調達しているときに回った村々の、小さな小さな武器屋から持って来たのだろう。

対して。

戦士が抜くソレは大戦期後半より今の今まで持ち堪えてきた、四天王の一人に止めをくれてやったこともある、魔王の片腕を落としてやったこともある、
彼のために用意された彼のためだけの豪剣にして世界一とも言われる鍛冶師渾身の一作であった。

勇者の身体は、二十年もの間幽閉されていたにしては骨張ることもない、いや、それどころか非常に血色もよく均整の取れた肢体である。
着ているもののせいでその筋肉が如何に発達しているかも見て取れるが、そして、何故かあの頃と殆ど変わらぬ容姿であるがしかし、細い。

戦士の身体は、二十年の歳月があるせいか流石に大戦期よりは多少体格が小さくなったものの、それは誤差の範囲内。
分厚い衣類と鎧越しでもわかるほど、これでもかと言わんばかりに人体に肉を詰め込みバランスを取らせればこうなるという極限の修練が見て取れる肉体。


現代まで積み重ねてきた修練の差と、単純に物の良し悪しという装備の差は、歴然である。
――傍目には、だが。


戦士「!」

警備隊長「――」


近づくために踏み込んで、斬るために振る。
剣術がどうというより、武器を振る上で基本である。その基本動作を勇者が行ったことを認識出来たのは戦士、唯一人であったが。戦士でさえ、反応は出来なかった。

一太刀目は、足払い。
戦士の、人間というよりは野生動物染みた太い足を、鋼鉄が仕込まれた義足を、溶けたバターを削ぐように切り払った。
返す太刀は逆袈裟である。
これによって警備隊長の胴体もまた紙切れのように裂き、続く、三の太刀四の太刀と続く、続く続く、風よりも尚疾く――……
警備隊長が絶命するまでに、戦士の足から血が吹き上がる前に、彼等の周りを取り囲む親衛隊達も全て、斬り殺されたと覚える間もなく、切断された。


勇者「……」

勇者「プフゥ」

勇者「良い汗かきました」

勇者「お水が欲しいところですが、大丈夫。僕、水分不足には慣れてます。にしても、まぁ」

勇者「わざわざこんなところまで来るのに一ヶ月近く掛かるとか本気で思ってたんですかね」


時間にしておおよそ五分後。
勇者が爽やかな笑顔を浮かべ、額に浮かぶ汗を拭いながら一息つく頃には、彼の他には戦士以外そこに生きているものは居なかった。


勇者「ゾンビ兵の作成に時間が掛かった?」

勇者「ノンノン」

勇者「一作目は三日もかかりましたがコツは掴めましたからもう半日もあれば街一つぐらいは軽く」


勇者「ゾンビ兵を連れているから道行に時間が掛かる?」

勇者「ノンノン」

勇者「無理して走らせればこんな整備された街道一週間で走破出来ます。壊れたら直せばいいのです、自動修復機能こそありませんが、作者ここに居るんですから」


勇者「僕の力が衰えた?」

勇者「ハーフノン、ハーフイエス」


勇者「僕はたしかに衰えましたが、ならば力を取り戻せばよいだけの話」

勇者「ただ幸いにもこの身体はあの頃の儘、あの大戦を戦い抜いたあの時の儘、今もこうしてここにある」

勇者「身体は問題ないなら技量の問題ですが、一度は覚えた自転車の乗り方を二十年乗ってないからって忘れる人は居やしませんから」

勇者「覚束なくはなりますがね。それを確りさせるだけなのでたいした時間は掛かりやしませんよ。一週間ちょっとぐらいだったかな」


勇者「ここで問題」ザクッ

戦士「ぐぁ……!」ブシュッ

勇者「問題っつってんですから答える努力しましょうね~戦士~」

勇者「何そっちのけで止血作業して転送魔法使おうとしてんです」

勇者「足ぶった斬られるのは二回目ですからさすがに慣れてるところは褒めますけどね。太腿を穴だらけにされたくなかったら無視しなーいのっと」ズボッ

勇者「ああ、そうだそうだ、忘れてた。ゾンビ兵共、邪魔者は居なくなったんで食事してらっしゃい」ユビパッチン

ゾンビ兵「あ゛ー……」ゾロゾロ

戦士「な!? ま、まて、止めろ! この街にどれだけの人間が居ると……!?」

勇者「はーい、いってらっしゃい。いいですかー。生きたまま食べちゃ駄目ですよー。殺してから食べなさいねー」

ゾンビ兵「あ゛い゛ー……」

戦士「勇者! 止めさせろ! こ、答える! 問題でも何でも答えるから!」


勇者「はい? 出血多量でただでさえ回転悪い頭が余計悪くなってません?」

勇者「別に貴方が答える答えないに関わらず最初からこうしますって」

勇者「戦争ごっこだって言ってたじゃないですか、ご自分で。負けたら滅ぼされる、ごっこにありがちな安っぽい結末で実に申し訳ない、ハッハッハ」

勇者「何話してたんでしたっけ?」

勇者「ああそうそう!」

勇者「ここで問題!」

勇者「僕は今まで何してってあの戦士さん。そんな顔で睨まないで問題に答えないとって話進まないでしょーが!」ザクッ

戦士「ぐぅぅぅっ!」


勇者「わかってます!? 何のかんの人と話せて嬉しいって! 言ってるじゃないですか! 貴方相手でも結構嬉しいんですよ! 話させて下さいよ!?」ザクザクザクザクザクッ!

戦士「ぐ、ぎ、ぎぃぃぃ、っぁ!」

勇者「僕あんまり回復魔法得意じゃないし! あんまり刺してると死にそうだし! 加減して刺すの結構難しいんですよ! 軟弱な人間相手だと尚更ね!」ザクゥッ

戦士「ぎぃぃぃぁぁぁあああああ!?」

勇者「あ、ごめんなさい、狙い違えて金的刺しちゃった」

勇者「そ~れ回復魔法~」パァァァ

戦士「っは! は……!」シュゥゥゥ


勇者「まったく手の掛かる人ですねぇ」ナオシタラー

勇者「もういいです、戦士の馬~鹿~」スカサズサスーザクー

勇者「他の人と話すからもういいです。それに答えの一部これから呼びますし。ええと、そうですねぇ、最後に何か言うことはと……」

戦士「ぐっくぅ! ……ふぅ……フゥ……最後……フ、フフ……殺すということか……?」


勇者「二十年っていうのは本当に、本当に本当に怖いですよね。いやあ、覚えててもらったのはいいことなんですけれどもね」

勇者「思い出が美化されすぎじゃないですか、戦士」

勇者「一人じゃ四天王一人も殺せない男が」

勇者「裏切る筈がないとのほほ~んと油断してた馬鹿一人を、三人掛かりで不意打ちしてようやっと動きを封じるのが精一杯だったうちの一人が」

勇者「よくもまあ、たった一人で立ち向かおうと思ったものですよ。圧倒したみたいな感じで記憶書き換えてません?」

戦士「……くっ」


勇者「正直、いやまあ、嬉しいは嬉しいんですよ、これからも恙無く戦争ごっこ出来ますけどね。ただなんていうか警戒してた僕が馬鹿みたいだな~って」

勇者「僕が警戒してたのはあの時より強くなってる可能性のある貴方達三人であって、こうなったら、もう、ねぇ?」

勇者「……わざわざ彼等蘇らせる必要無かったかな」

戦士「……彼、等、だと? ど、どういう、ことだ」

勇者「ああ、いいですいいです、直ぐに紹介しますから。で、貴方の処遇ですが殺しますけど楽には死ねませんよ?」

勇者「とりあえず~」


勇者「改造しましょう!」

勇者「手駒にしちゃいましょう!」

勇者「僧侶あたりにはかなり効くんじゃないですかね!? 今もまだ続いてるんでしょ~!? 貴方達!」


勇者「今も戦士の右耳についてるイヤリングからこっちのこと伺ってますもんね!? 遠視ですか! 此処に来てないってことは間に合わなかったのかな!?」

勇者「それとも戦士みたいにチョコラテ並の甘い脳みそになってて! 戦士一人で十分だと思ったかな!?」

戦士「な!? い、いつ、いつから気付いて……」

勇者「ハハハハハハ! どっちでもいいですけど! 僧侶! ちゃ~んと見てなさいね!」

勇者「では貴方を改造します! 貴方ほど強い人間を改造するのは僕一人では手に余るのでお越しいただいたのはこちら!」ハイ、ココデテンソウジンッ


勇者「大戦期においてゾンビ兵を作って作って造りまくった、ちょっと認めるのは癪ですけど、流石に僕とは年季の違う人体改造のエキスパ~ト!」

勇者「元魔王軍!」

勇者「の大将軍!」

勇者「ていうか幹部の!」

勇者「土の四天王!」ジャジャーン

土の四天王「うぃーす! おぃーす! ひっそしぶりデッス戦士=サン!」センスフルイッスネ、デモ、ジャジャーン

戦士「んなぁぁぁっ!?」

戦士「つ、つ、つ……!?」


勇者「ハハハハハハハハッ!」

勇者「半端に強いってのは悲しいことですね! 麻酔なしでヤッちゃいますけど痛みじゃ死ねませんよ! 出血多量で何度か死にそうになると思いますけど! そのための回復魔法!」

勇者「僧侶! きちんと! 最後まで! 最後の最後の最後まで! 愛する人がグチャグチャにかき混ぜられるところ見てて下さいね!」

勇者「ハハハハハハァッ!」



勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「Exciting!!!!(軍団)」

合いの手ありがとうございました。他にもご声援や応援いつも感謝しております!
今日はここまで。続きはまたそのうち。



 凄惨。この一言に尽きる。

 凄惨という一言はこのときのために用意されたのではと錯覚するほどに。

 戦士の『麻酔なしの改造風景』は惨たらしいものだった。

※グロ注意



 先ず、右腕と左足に残っている肉を肩口と股関節から切断された。
 それが終われば皮を剥ぐ、人間の表面にあるべきそれを欠片残さずべりべりと鶏肉の皮を剥ぐように素手で。剥ぎ残しはメスなどの小さな刃物でぱりぱりと。

 胸を開き白く太い胸骨や肋骨を取り外し、そのかわりに黒く太い黒曜石のようなもので造られた新しい骨を嵌め込む。
 そこから下の内蔵は全て取り払われて、そのかわりにぶよぶよとした紫色のスライムのようなものを流し込むとそのスライムが内蔵の形を模した。

 同じような要領で彼持ち前の骨という骨は脊髄と頭蓋骨を残し肉が割かれては全て、勇者・土の四天王ペアが用意した骨へと再置換して縫合されていく。
 失われた手足には、ミスリル銀ゴーレムの腕と足が人間大の大きさにまで縮められたようなものが溶接される。



※グロ終了



 逐一、勇者と土の四天王が、こうするためにこんなことするんだよ、と、解説を入れてくるがおおよその人間には解説は意味を成さない。
 魔法学や瘴気の扱い方などなどの専門的な言葉が並んでいるせいもあるが、直視に堪えない光景というのもあるが、戦士の絶叫が常に木霊しているからだ。

身体強化魔法のうち生命力強化に重きをおいた魔法をかけられて、どれだけ出血しようと際限なく血液は製造され続け心臓は動き続ける。
 痛みでショック死することもできない、狂うことがないようにと精神保護の魔法までかけられている、叫び続けて喉が潰れては律儀に回復魔法を掛けられる。

 そうして身体の中を弄くり回されつづけ激痛に喘ぎつづける戦士に待っていたのは真っ赤な鎧。


勇者「戦士。戦士~? 聞こえていますね?」

戦士「……」

戦士「コロシテ……クレ……」

勇者「駄~目。聞こえているようなので話をしましょう、その鎧の中に居ると、まあ、まだ、痛いかもしれませんがそのうち痛くなくなります」

勇者「その鎧の中には少々特殊なスライムがどろりべ~ったりと注がれています、まぁ、ちょっと、気持ち悪いかもしれませんけど我慢ガマン」

勇者「ただその痛みが切れているのはスライムが満腹で大人しい時だけ出す分泌液のせいでして」

勇者「空腹になると分泌液は止まり腹を満たそうと貴方の血肉を喰らい始めます」



勇者「そのときの痛みはこの改造作業並です、当然、そう簡単には死ねないよう貴方の身体に細工しておきましたので」

勇者「死にたいならその時にしてください、なに、大体そのスライムが貴方を食べ尽くすまでわずか三日です」

勇者「ちなみにこの改造に掛かった時間は一時間。三日間空前絶後の痛みに悶えながら死ねますよ、ックク」

勇者「ッフフフ、ああいや、失敬失敬。そうなりたくないなら常にスライムを満腹にしておきなさい」

勇者「そいつは簡単。人間の血を注ぎこめばよろしい。ですので当然、魔物達に襲い掛かっても無駄ですし。僕には刃向かえません」

勇者「そのスライムにとって僕は親ですからね、親に逆らわない、いい子なんですよその子」

戦士「……」



勇者「まぁ、こんなかんじで。いかがでしたかね、ご観覧の僧侶。視線の数がなんとなく一人以上に感じるんですけど、誰か居ます、そこに?」

勇者「貴方の愛する彼はこのとおり、よくて戦力外。悪ければこちらの下僕です」

勇者「そして勿論、僕は敵ですし。このとおり、土の四天王も蘇生させましたよ」

土の四天王「敵の敵は味方っていいますシネ。勇者=サンが味方とかテンションマジバク上げ」


勇者「これから、風と、火と、水の四天王。そして最後には魔王をこの世に蘇らせます」

勇者「というか一応、もう、身体と魂はそれぞれ復元済みであとはそれ等を合体させるだけなんですが」

勇者「ちょっと魔王の説得に時間が掛かりそうでしてね。その他三人も主がそんな感じで今合体させると危なくて」

勇者「土さんは意外と簡単にっていうか、戦士の身体イジらせてあげるっていったら即仲間入りしてくれたんですけど」

土の四天王「約束守ってくれる勇者さんマジ勇者=さん! 抱いて! 挿れるなら今っすヨ! あんなイイ身体弄くり回せて今股びしょ濡れっスヨ!」


勇者「あ、ソレじゃ、後でちょっと……」

土の四天王「カマンッ!」

勇者「お世話になりま、いや違くて。えーとなんの話でしたっけ」

土の四天王「カマンッ!! あ、スンマセン、話の腰折っちゃっテ。エート台本どこデス? ここ? あ、ここっス」

勇者「台本とか言っちゃ駄目です、出したらダメです、緊張感が、ああいや、改造風景生中継したからまだ保ててます?」


勇者「ま、ま、ま」

勇者「兎も角、気を取り直して」

勇者「最悪、僕と土さんだけでの進行になりますし、もうぶっちゃけ、それで十分なんですけど世の中何があるか分かりません」

勇者「念には念を、って、やつですよ」

勇者「さぁて、貴女は、人類は、どうしますかね」

勇者「新しい勇者の出生でも待ってみますか、無駄だと知りつつ抗いますか、それとも、諦めますか?」

勇者「どうするか楽しみにしてますので是非お答えを聞かせて下さい、それでは、それまで、ごきげんよう」

勇者「ヒャッホウ」

土の四天王「ひゃっほーゥ! 蘇って良かッタ! いいコトだらケェェェェ!」

さあさあやってまいりました書き足しのお時間。って最初に言うの忘れてた……。
やっちゃいました! 書き足しました!
ご声援ご感想ありがとうございました! 勿論簡単には死なせません、性根の悪さもチートですよーひゃっほう。

今日はここまで。続きはまたそのうち。

1時間とは手際いいな、さすがだ
てか台本まで用意してるなんてノリノリでお楽しみだなーw

勇者と土さんがよろしくやってるあいだに裏声さんはもらっていきますヒャッホウ!(乙)

乙ひゃっほう!

ところで、戦士にへばりついてるスライムに対して、一定間隔でわざと戦士が軽く自分を傷つけてスライムに血液を供給してたらどうなりますか?
一気にスライムに襲われるならいいんですが、大人しくなったら裏技完成しちゃうなって不安になりました。


あと、1日辺りの与える血液量と与える間隔を教えて下さい

――おまけコーナー


勇者「やってまいました突然唐突オマケコーナーのお時間!」ドンドンパフパフー

勇者「司会はこの僕勇者SSの中でも比較的珍しいと評判の! 終始目にハイライトがない系アイドル! 勇者と!」

勇者「勇者様が土の四天王とセックスしている間に>>235さんに身請けされそうな私がお送りいたします(裏声)」

勇者「さてこのコーナー何をするものかと言いますと!」

勇者「実は何も考えていないのですよね(裏声)」

勇者「Exactly!!!(軍団)」

勇者「実は何も考えておりません! 」


勇者「本編同様まったくもって行き当たりばったりです! 本編とかもうタイトル以降ホンット何も考えず! 考えないまま気が向くままに始めて早二月ときた!」

勇者「こんな自転車操業を二ヶ月も続けている本『魔王を倒してから、あれから二十年!』スレッドにご声援下さる皆々様に足を向けて寝られません(裏声)」

勇者「いつもいつもありきたりにありがとう、ありがとうと言い続けて芸がなく心苦しいですが私共一同からも御礼申し上げます(裏声)」

勇者「Thank you!!!(軍団)」

勇者「ノルマもこなしたし! さて! どうしましょうか!」

勇者「ノルマとか言わないで下さい勇者様(裏声)」

勇者「とりあえず>>237さんの質問にでも答えておきましょうか!」

勇者「とりあえずは余計ですがお答えさせて頂きます(裏声)」


勇者「戦士にへばりついてるスライムに対して、一定間隔でわざと戦士が軽く自分を傷つけてスライムに血液を供給してたらどうなりますか?」

勇者「とのことですがご安心下さい! 自分では自分の身体を弄れないよう義手が邪魔してくれますし暗示もかけてあります!」

勇者「それを許しちゃうと自殺しちゃうかもしれませんからね! 実際そんな勇気があるかどうかは別として!」

勇者「1日辺りの与える血液量と与える間隔を教えて下さい」

勇者「という質問も来ていましたがこれはずばり僕のさじ加減次第! 戦士にはスライムたんが自主的にお腹減ったり満腹になるみたいな言い方しましたけれど!」

勇者「分泌液出すのも齧るのもこっちでイジれます! 戦士が戦場に出ている間はずっと齧らせっぱなしにでもしとこうかと思ってます!」


勇者「次!」

勇者「土の四天王さんはおにゃのこなのか?」

勇者「土の四天王さんは女の子というには歳がいえなんでもございません! おにゃのこです!」

勇者「種族は知りませんが人間型のモンスターですね! 外見は大体僕より五か六ぐらいは上ですかね!」

勇者「褐色! 銀髪! ムチムチボイン! 目にクマ! そのせいで僕と目付きちょっと似てるんで僕的には好みのタイプ!」

勇者「大体お分かりかと思われますが改造マニアです。彼女の手にかかった人間は数知れず、ついでに、魔物も数知れず(裏声)」

勇者「敵味方問わず改造してしまう困った魔族さん!」

勇者「戦士さんのようなとても良い素体を手に入れた日には興奮のあまりお股が濡れちゃうホント困ったさん(裏声)」

勇者「これが役に立たないのなら兎も角! 結構有用なものを作るのがこれまた厄介なところでゾンビ兵などは代表例ですね!」


土の四天王「自分が軽いと仰っていた方がいらっシャいましたけれとちょっと違うのデース。魔族魔物の類は基本的に強い者こソ正義でシてー」

土の四天王「もシくは自分の欲求を最大限叶えてくれソうなお方についていく傾向があり」

土の四天王「我等の頂点たる魔王サマより強くて、しかも極上の検体、戦士=サンとか、を提供してくれる勇者=サンは自分的には超★優良物件」

土の四天王「ホイホイついていっちゃいまスし股も開こうってもんでス! 他の三人が魔族らシからず魔王サマに義理だてシスぎなだけなのデス」

勇者「とのことです! 僕的にはこんな美女とズッコンバッコンできれば正直どうでもいいんですけどね!」

勇者「譲れないところがある様子でしたのでご出演頂きました。ところで勇者様、どうでもいいとはぶっちゃけすぎです(裏声)」


勇者「すみませんでした!」

勇者「ところで話すことがなくなってきたので本おまけコーナーは今回ここまで!」

勇者「唐突に始まり唐突に終わるスカスカなコーナー、おまけコーナー、第二回目は未定です(裏声)」

勇者「少々また立て込んでいて本編の制作が遅れていますが! どういう形にせよ完結を目指し失踪はしない予定ですので!」

勇者「引き続きどうぞご愛読を宜しくお願い致します(裏声)」

勇者「それではこれにて!」

勇者「See you again!!!(軍団)」


勇者「そして!」

勇者「ここからは(裏声)」

勇者「ちょっとだけ本編のコーナー! はっじまーるよー!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「Wonderful!!!(軍団)」


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――勇者と村娘が出会ってから、三ヶ月後。魔王城――


勇者「ちょっと戦士強くし過ぎたかもしれません!」

勇者「こっちに逆らわないような工夫に加えて色々と各種能力増強もやりましたが!」

勇者「まさか一直線に走っていって要塞正門から裏門までぶち抜くとか! 鎧の巨人かっつーの!」

勇者「僕もちょっと試してみたんですけどアレ鋼鉄化の呪文かけとかないとメチャクチャ痛いですね!」

土の四天王「いやメチャクチャ痛いで済む勇者=サンもどうかと思いまスよ。鋼鉄化の呪文もなシニ……」

土の四天王「戦士=サンなんかあの鎧着ててもアレやった直後負荷掛かり過ぎて瀕死になってたノニ、あの鎧常時鋼鉄の魔法掛かってる並の防御力なの二」


勇者「勇者に不可能はないッ! それにそのおかげで二つもの砦を一夜にして攻略出来たんですしオッケーオッケー!」

土の四天王「いやいヤ、その気にサえなれば九日ぐらいで世界征服出来るけド、それじゃつまらないからッテゆっくりやろうッテ」

土の四天王「言い出したの勇者=サンじゃないスか。何侵攻開始九日目で人類が誇る大要塞を一気に二つも攻略しちャッテんでスか」

勇者「だって! 戦士がスゴいことするから! 我慢できなくて! 出ちゃったんです!」

土の四天王「勇者=サンのスタートダッシュ(出撃)でうちの陣営がヤバイ」

土の四天王「勇者=サンが率いてたゾンビ兵の八割がスタートダッシュの衝撃で爆散したンでスけド」

勇者「直しゃいいんですよ! でもすみません! 次からはきちんと気をつけますんで!」


勇者「……」

勇者「うっ」

勇者「ふぅ」

勇者「落ち着きました」


土の四天王「?」

土の四天王「あっ」

土の四天王「気が付かなクて申し訳ありまセン、ムラムラしてまシタ? 今からデ良ければお口でジュポジュポしまスヨ」

勇者「えっ。あっ。いやっ、おおおお構いなく」

土の四天王「下のお口ノ方がお好ミでシタ? いいでスよ、下のお口デジュポジュポ。今から脱ギまスので……」

勇者「別にムラムラっとしてそういうこと言ってるわけじゃなくてですね! 冗談です! はい!」


勇者「……」

勇者「土の四天王さんって一度付いていこうって決めたらかなり尽くすタイプなんですよね」

勇者「魔族の特徴なのかもしれませんけど。他の四天王達その他大勢もなんのかんのそれこそ死ぬまで魔王に尽くしたわけですし」

勇者「ドギマギするわ」ウカツニシモネタイエマセンヨ、コレ

土の四天王「はイ?」

勇者「いえなんでも。あ、でも、やっぱりあとでちょっと……上のお口と下のお口で……えへへへ……」

土の四天王「はイ、だから、シテもいいッて言ッてるじャないでスか」


勇者「ま、ま、ま、しかしまぁ」

勇者「戦士ったら可哀想なぐらい必死ですねぇ」

土の四天王「正直ちョッとぐらい抵抗されるもンだと思ってたンで色々用意しテたンですけれどネェ」

勇者「地位や名誉のために僕を裏切る人間ですからね、自分の命を守るためならなんだってしますよ」

土の四天王「何が驚いたッテそれでスヨ。まッさか勇者=サン裏切ッてたトハ……」

勇者「一日に一度は四天王の何方かに言われます」

土の四天王「魔王様なンて最初キレちャッて戦士=サンの下半身吹ッ飛ばしちゃイましタからネ」

勇者「上半身ふっ飛ばされたら修理出来なくなるところだったので危なかったですね、肝冷えた」

勇者「魔王こういうのホント嫌いですよね。いやあ、しかし、この身の上話のおかげで魔王軍再結成が成し得たので結果オーライ……」


勇者「……そう思うと世界滅ぼすために世界救う旅してたことになるんですかね僕」

土の四天王「ハハハ、ウィット効きすぎテル人生ですネ」

勇者「壮大なマッチポンプですよね」

土の四天王「世界規模でネ」


勇者「世界征服終わったら何しましょうか」

土の四天王「魔王様は魔族の国ヲ地上に打ち立てる気でいまスけど、勇者=サンはなにかプランは?」

勇者「ないんですよねぇ。いやね、人間界を滅ぼしたあとは魔界にでも攻め込んでやろうかとは思ってたんですよ」

土の四天王「聞き捨てなラない台詞が飛び出してルンですけド。どうゾ、続けテ」


勇者「人類憎し世界憎し、皆皆滅んじゃえーってね」

勇者「けどねー気紛れでこうしたら人間嫌がるだろうなーと思って魔族復活させたワケじゃないですか」

土の四天王「簡単に言ッてまスけど普通復活サせようと思って復活サせラれるものじャアりまセんからネ。あァいャ、スみまセン、どうゾ」

勇者「利害が一致しているとは言え、復活までさせて、協力もしてもらってる魔族を、それじゃあ用が済んだら皆殺し!」


勇者「って、ねぇ、人としてどうよって感じですし」

土の四天王「ア、よウやく安心できル台詞ガきまシたヨ」

勇者「ええ、そういうわけですので、魔族は免除かなぁって」

土の四天王「安心シまシた」


勇者「なんなら、魔族の国造りを手伝ってもいいです、そのあと、そのあとか、どうしたものですかねぇ」

勇者「天界にでも行きますか」

土の四天王「行けるんですカ」

勇者「さぁ? 試してみないことには分かりませんけどね。行けたら女神には一言物申さなくてはいけません」

勇者「加護にはずいぶんと助けられていますから殺しゃしませんが文句の一つぐらいは言ってもいいでしょう」


土の四天王「言われてみるトですネ」

勇者「はい?」

土の四天王「勇者なんデスから勇者=サンは女神の加護ヲ使えて当たり前だと思ッてたンでスけれド」

勇者「ええ」

土の四天王「人類滅ぼそうとスるワ、私達魔族に協力なンてしちャうわッて色々やッてるのに女神の加護ッて有効なンですネ?」

勇者「ああ、そのことですか」


土の四天王「女神=サンは勇者=サンのやること何でもオッケーみたイナ感じでス? 人類が勇者=サンに滅ぼされるの自業自得でスし」

土の四天王「魔族は協力じャなくて隷属だからオッケー? 実際魔族の現状は勇者=サンの奴隷みたイなもンでスシ

土の四天王「過去には魔物使いの勇者も居たと聞イていまスよ」

勇者「なにそれ魔物使いの勇者とかこっちが初耳なんですけど」


勇者「あー、えー、そうですねぇ。魔族との協力云々のそれは別に明確に駄目って言われてるワケじゃないんですけれど」

勇者「グレーってかんじではありましたね、一度女神様についてその事お聞きしたことがあったんですよ、僕」

土の四天王「まともだッた頃に?」

勇者「まともだった頃に」

勇者「魔物だから、魔族だから等しく悪ってワケじゃないでしょう。善性の魔物や魔族が居たらどうしたらいいですか、と」

土の四天王「ほう、それで、女神様はナんとお答え二?」

勇者「障害となるもののみ排除しなさい、とだけ」

勇者「確りと答えては頂けませんでした。納得いかずに詰めたんですけど酷くお困りになられましてね、仕方ないので聞くの止めました」

勇者「なにかこう、天界のルール的なあれでそれがあるのかもしれませんね。あ、ただ、人類滅ぼすはドアウトです。スーパーブラック」

勇者「女神様のご加護めっちゃ離れようとしてます」

土の四天王「アレ? やッぱリ? でも勇者=サン、今も余裕で使えてまスよネ。使えてるよウで使えテないトカ?」


また最初の挨拶忘れてた……私でしたー! ヒャッホウ!
中途半端なところでスンマセンが、今日はここまで、続きはまたそのうち。

ヒャッホウ!!! 気付けば盆休みもシルバーウィークも終わってた。光陰矢の如しとはこのことか。
保守ありがとう、応援もありがとう、またこれから投稿するよごめんね遅くなって!

中途半端なところをとりあえず一区切り付けるとこまでやるよー。


勇者「いや、簡単な話でして。離れようとしてる加護を僕が全力で僕の身体に抑え込んでるだけです」

勇者「抑え込むのに殆どの魔力を費やしているので今まともな魔法使えないんですよねぇ」

土の四天王「今明かされる衝撃的すギル事実なンですけレど!?」

土の四天王「アレ!? おかしいでスよ!? ゾンビ兵は兎も角とシて私達の復活には莫大な魔力要りまスよね!?」

勇者「要りますね」

土の四天王「でスよネ!? 一山いくらで復活さセられる程私達安くあリませんヨ!?」

土の四天王「待ッて待ッて、ウェイウェイウェイ……」


勇者「結構簡単ですよ、いや、方法は簡単ではありませんが発想は簡単でしたね」

勇者「自分の魔力が使えないなら人の魔力を使えばいいじゃない」

土の四天王「ウェイ」

勇者「所謂……元気玉ですよーこれー!」

土の四天王「ウェイ」

勇者「世界中の皆よおらに元気を分けてくれー! つって! 僕に自主的に協力してくれる生物なんて皆無ですけど!」

勇者「強制的にちょっと拝借させていただいております!」

土の四天王「ウェイ」

勇者「女神の加護はそれはもう便利でしてね! この世界で活動するにあたって大抵なんとか出来る技能が盛りだくさん!」

勇者「僕って結構いい声してません!?」

土の四天王「ウェ……あ、はい、まァ、いイ声だと思いマすヨ。ちょット面に合ッてまセンけどハスキーボイスで」

土の四天王「あレ? でも前お会いした時ハそんな声じャなかッたでスよね、でも私とシては今のほうがステキだと思いマスよ、好みでスし」

勇者「面にあってないは余計ですよ! あとこれは投獄された時に叫びすぎて喉が潰れては再生して叫んで潰して再生してたらこんな感じに」


勇者「……」

勇者「うん?」

勇者「え? 好み? こ、好みかぁ……えへへへ……。……そういえば魔王も結構バリトンボイスでしたね……おソバ好き同士ですしいい奴ですよ彼は……」

勇者「僕の境遇にあれだけぶち切れてくれたのも彼だけでしたからねぇ、あぁ、いや、違くて。いや、今の声も気に入ってますけどそうじゃなくてですね」

勇者「僕の声にはちょっとした力があります」


勇者「声質がいいとかの問題でなくて、生物相手に若干安らぎというか、なんとなく言うこと聞いてあげたいなーって気分にさせる魔力が含まれてます」

土の四天王「ほう。あレ? とすると私が勇者=サンの声好みなノもそのセイ?」

勇者「いや土さん元々低い系の声好きみたいだし、土さんぐらい力のある方だと『あーなんかいい感じの声だな』ぐらいにしか効かないんで」

土の四天王「効いテはいルンですネ、構いまセンけど」


勇者「ありがとうございます、まぁ、つまり、常にちょっとした魅了の魔法放ってるようなもんなんですよね。これオフにはできないけど強弱は付けれるんですよ」

勇者「これは、二十年振りにお外に出てきて鍛錬し直してる間にはじめて気付いたんですけど、最大レベルにまで跳ね上げると世界中に僕の声が届くみたいですね」

勇者「僕自身が強すぎるから最大までいくとこうなのか」

勇者「元々最大レベルまで引き上げるとこうなのかは知りませんけど」

土の四天王「アー。そレでちョッと魔力を世界中かラ掻き集めテ……」

勇者「そゆことです、一人一人、一体一体から取れる魔力なんて微々たるものですがね、あくまで言うこと聞いてあげたいなー程度の効力なんで多くは取れません」

勇者「が、それでも世界中の生物からほんの少しでも取り上げて集めれば莫大といっても過言ではない量ですよ」

勇者「取った人から気取られる心配もないようですしね、現に何度かやってみたけど気付いてる人いないっぽい」

勇者「元仲間達が全盛期だったらあるいは、ですけど、今ダルンダルンですしね、彼等」


勇者「衰えた仲間たち、この二十年ですっかり色々と忘れちゃった人類、対して全盛期の僕と魔王軍と、ついでに全盛期より強くした戦士」

土の四天王「勇者=サンのご意向でゆッくりヤッてまスけれド、二十年前のノウハウもあルしヤろうと思えばさッと片付く戦力差ですヨ~」

勇者「あの時は魔王軍も手探りだったからゆっくりとした侵攻となりゆっくりしている間に僕という勇者が出現し、彼等という仲間が出てきて、覆しましたが」

勇者「今回はどうなるんでしょうね、また、新たな勇者が生まれるのか、その彼あるいは彼女にはどれだけの力が有りどれだけの加護が与えられるのか」

土の四天王「わざわざ勇者=サンの身体から離れヨうとシていルのは、こンな不埒な輩には持たセテおけないとイウ規律なのカ」

勇者「換えが効かないから僕から引剥がして他の勇者に与えようとしている算段か、こちらだと思いますがね」

勇者「女神様はこの世界を司ってあられる方ですけれど、この世界に莫大な影響をポンポン与えられる程の力は無い。そもそも勇者自体、魔王がねぇ……」

土の四天王「その女神より強いから勇者を造らざるを得なかったワケですしね~」

勇者「見ものですよこれは」

土の四天王「イイ趣味してマスよ、勇者=サマ」

勇者「ハッハッハ」

土の四天王「フハハハー」

勇者「ひゃっほう!」

土の四天王「ひゃっほぉぉぉう!!」

合いの手入れてくれた人も、待っていてくれた人も、これから読む人にもありがとー。
中途半端にとりあえずの一区切り。今日はここまで。続きは、一週間以内。



――所変わって――


 彼女は『聖女』と謳われていた。彼女は僧侶として人類の危機に立ち向かった。
 勇者と共に魔王軍に立ち向かい魔王を討ち滅ぼした者たちの一人であった。勇者以外では女神の声を聞けるただ一人の人間だった。

 魔王戦役の折には、顔を焼かれ喉を潰されて無残な傷跡を付けられてしまったが、
 顔を隠して声は剣聖・戦士を通して、常に民の希望として在った。

 飢える者には食糧を。傷付いた者たちには治療を。奴隷があれば彼等を平民として生きられる地位と仕事を与えた。
 目についた不幸には片っ端から全力で当たってきたし、それこそが女神の使徒としての使命、それこそが女神が己に与えた言葉であると訴えた。

 聖女として成り上がった経緯も、傷を与えられた原因も、虚偽であったが。やってきた功績は紛れも無く真実だ。
 勇者を裏切って国王から聖女としての地位を得て、女神の言葉はあれ以降聞こえなくなってしまったが。弱気を助けてきた所業は真実だった。


女神「魔王でさえ私が及ぼせる力ではどうしようもできなかった。今の勇者も、やはり、そのようです、私が及ぼしうる力を大きく超えてしまっている」

女神「加護は回収できません」

僧侶「――」


女神「彼は私の言葉にも最早応えてくれることはありません。彼が私の言葉に応えてくれるのであれば、協力してくれるのであれば、あるいは」

女神「どうして協力などしてくれましょうか、私と貴女達は彼の目には等しく裏切り者として写っているというのに。そしてそれは、事実です」

女神「貴女達は地位に惹かれ、どこかで劣等感もあったからこそ彼を裏切り封印した」

女神「私もまた其れが人類の平和のためであるなら、彼が争いの火種になるのならば、そう思い封印を見過ごしました」

僧侶「――」

女神「私が勇者に与えられる加護とは、あの勇者に与えている加護」

女神「常に全盛期として在れる不老の肉体も、いかなる環境下でも生きられる強靭な肉体も、莫大な魔力のキャパシティも、死ねば蘇生される不死性も。他の全ても。
   新たな勇者がそれを得られる可能性はないでしょう」

僧侶「――」

女神「そうです、僧侶よ。新たな勇者は生まれたとしてもあの勇者よりも大きく劣る」

女神「僧侶よ。どうしようも、ないのです」


 二十年前のあの日以来から降りてきた僧侶への女神の声は、勇者の予想にぴたりと嵌った、人類側への絶望の一手であった。



――それからどーした――


王「……そうか。新たな勇者ではあの勇者には勝てぬか」

大臣「二十年前の悪夢はよりタチが悪くなっておりますな、しかしそれならば、王よ」

王「うむ、それならば別の手を講じるまで。二十年前はたまたま女神様がご助力下さった、いわば偶然」

王「此度は偶然には頼るまい、頼れまい、あの塔に押し込めておけば死んでくれるかと期待していたが」

大臣「死んでくれれば万々歳でしたが、死んでいないのならば、時間を稼げた、と、思うことに致しましょう」


王「我等も忘れていたかったなぁ、戦士達のようにな」

王「しかし、忘れていたにせよ、忘れていたかったにせよ、あの時用意したプランはまだここにある」

王「此れを元手に、あのときのノウハウを元手に一つずつ一つずつ、片付けていこうか。何、絶望を味わうのは二度目だしな、若干気楽でさえあるわ」

王「まずは、戦士からだな。戦士め、あの、大馬鹿者め」


王「都合のいいように忘れているならまだいいにして、都合よく記憶を改竄しているとは、恐れ入った」

王「勇者が居るなら、せめて僧侶と共に行けとあれだけ言い付けておいたというのに一人で行って返り討ちにあって寝返るとはな」

大臣「ええ、困ったものです、が、準備は整えております。何分『施術』したのが一昔前でございますので少々準備に手間取ってしまいましたが」


大臣「次にこちらに侵攻してきたときに発動させられます」

王「宜しい、それでは、そのときに。……あの、大馬鹿者め。大人しく従っていれば生き永らえたものの、大馬鹿の馬鹿者め」

王「魂の友とも言えるような勇者を裏切っておいて、我等が信用すると思っているのなら、大間違いだということを教えてやる」



――そして一、二週間後のこと――


勇者「あ~ビックリした」

勇者「戦士がいきなり爆発しました」

勇者「結構な爆発力でしたね、小さいとはいえ要塞が丸々一個と連れてきてた兵の七割ぐらい吹き飛んじゃいましたよ」

勇者「土の四天王さんも重傷ですし一緒に修理(なお)さないといけませんね、戦士は、もうダメかな。欠片しか残ってない」


勇者「爆心地にメッチャ近いっつーか戦士の横にいた僕と魔王もちょっと焦げちゃいました」

魔王「いや、驚いたなアレは」

勇者「ねー」

魔王「うむ」

ヒャッホウ! ご声援、いつもいつもありがとうございます。
短いけど今日はここまで。続きはまたそのうち、一週間か、長くても二週間にはならない、ハズ!


勇者「まぁ、ちょっと焦げただけってのも驚きましたけど。相変わらず凄いですね、そのマント」

魔王「フ。伸縮自在、縦横無尽、物理魔法共に80%カットのこの魔王お手製のスーパーマントなればこその成果よな」

勇者「……魔王戦役の時はそれにどれだけ苦労させられたやら……あの当時はまさかこれに護られる日が来るとは思いませんでしたが」

魔王「フフフ。我もこのような日が来るとは思ってもみなかったが、ところで、苦労していたか、貴様? 何やら黒光りする手で剥ぎ取られた記憶しかないのだが」


勇者「コレの開発にどれだけの苦労と人件費が掛かったと思ってるんですか。しかもリスクが半端ないんですよコレ。攻撃外したら僕死んじゃう、人を呪わば穴二つとはよく言ったもので」

魔王「……呪殺的なものなのか? ……そちらの方面はむしろ我の得意分野なのだが。待て、そうなると呪法の腕は我以上なのか」

勇者「いやいや。そのムチャクチャな性能のマントを破るためだけに開発して破るだけの術式なんて貴方、開発しないでしょ」

勇者「貴方の発想を僕がその時上回っていた、結果として出来たのが呪法系の術式だった、というだけのハナシです」

魔王「ふーむ。なるほど、応用性の欠片もない術式など滑稽なものだが、事実我はそれで一つ切り札を失っているからな」

魔王「たまにはそういった狂気の沙汰染みたこともやってみても良いかもしれないな、まぁ、それは追々検討するとして」


勇者「ええ」

魔王「一応、念の為に聞いておくが、貴様と土の四天王の仕業ではあるまいな」

勇者「そうでーす、と、言いたいところですが、残念ながら違いますね」

魔王「そうと言われたらげ、激おこ? するところだぞ」

勇者「いや、あの、たしかに僕若いですけどもそれに合わせて無理に若者らしい言葉使わなくていいですからね」


勇者「それにしても、土さんと二人がかりで身体のあっちこっち弄くり回したってぇのに、起動するとはたいしたもんです」

勇者「爆発する直前に腰骨あたりが光ってましたね……あそこに隠されてたのか、いや、やるじゃないですか」

勇者「こんな芸当が出来るのは、魔法使いぐらいのもんかと思っていましたが。思ったより世界は広いんでしょうかね?」


魔王「……何のかんの、仲間を未だ信頼しているのではないか?」

勇者「……はいぃ~?」

魔王「そう不愉快そうな顔をするな、少し聞け。我等はこの世界どころか、魔界、天界迄含めて間違いなく最強の存在であることは間違いはない」

魔王「このマントがなくとも、流石に少し焦げるだけでは済まんだろうが、精々火傷を負うぐらいのものだ。あれぐらいでは四天王すら倒せん」

勇者「土さん重傷食らってますけど。まぁ、彼女はどっちかっていうと戦闘能力より改造能力で抜擢されてますから仕方ないですけど」


魔王「ようは、化け物であるわけだ。我等も、我等と戦って勝利した貴様等も。だが。そのせいでだ、仲間を特別視し過ぎているのではないか?」

魔王「裏切られた経緯もあろう、共に戦ってきた経緯もあろう、色々と複雑な感情についてカウンセリングしてケアしてやるつもりもないが多少の詮索は許せ」

魔王「仲間だけが我等と対抗しうる唯一のものだと認識してはいないか。認識から外してはいないか、お前達が現れる前から、人類は我等とそれなりには渡り合っていたのだぞ」

勇者「渡り合ってたって。褒め過ぎじゃないですか、ジリジリジリジリ、ジリープアー(徐々に不利)になっていただけで……あー……まぁ……」

勇者「たしかに、まぁ、持ち堪えてたところはありますし。直接戦闘は兎も角として、他で僕達より優秀な人も居ましたけどもー」

勇者「……うん? ああ、丁度良かった、詳しいところを聞きたかったのですよね。魔法使いがやったのか、他の誰がやったのか」

勇者「他の誰かってのは誰か。そういえば魔法使いの現状がどうなっているのか戦士に聞きそびれていたのですよ」

勇者「聞こう聞こうと思って、ほら、木っ端微塵になっちゃいましたからグッドタイミングでしたよ」

勇者「というわけで、詳しく聞いていいですかね?」


勇者「貴女様が、人道的にそうはしそうですけれど世界の理的なアレコレでそう出来るとは思えませんし」

勇者「貴女もあの王のために恋人の身体発破するなんていうクチではないでしょう、僕は裏切れても恋人の戦士をどうこうするってのは、まぁ、わかりませんけれど」

魔王「なんだ、藪から棒に」

勇者「違う違う、貴方じゃなくて、あそこ、ほら」

魔王「どこだ、西か?」

勇者「もうちょい東」


勇者「隠身の魔法はホント便利ですよね、現役時代は大層お世話になりました。魔王城突入の時にも役に立って、今だってほら、魔王まだ見えてません」

勇者「もうちょっと近くによってもらっていいですか~僧侶?」

勇者「それと、そちらもまた随分、お久しぶりにございます女神様」

魔王「……おお、見えたぞ。相変わらず見事な隠身であるな、いやしかし、当時より見えにくいのはどういうワケだ?」

魔王「ああ、いや、良い良い。そうか、女神の力を付与されているのか。腐っても女神の使徒よな、勇者程でないにせよ多少なりとも扱えるのか」

僧侶「……」

女神「……」

勇者「で?」


勇者「なんだか嬲り殺されに来たって感じの顔じゃあございませんし、女神様までお連れしてどういうつもりですかね」

勇者「土さんを戦闘不能にしたのは見事ですがぁ、残念、今日は敵情視察に見ての通り魔王が来てますからして」

勇者「絶望通り越して笑える状況ですよ、今、ねぇお二方?」

勇者「ひゃっほう」

魔王「……」

勇者「魔王も一緒に!?」

魔王「……ひゃーほー?」

勇者「……ごめんなさい、無茶を言いました。頑張ってもらっちゃってすみませんでした……」

魔王「……うむ」

ヒャッホウ! 二週間にならないっていったのになってた、不思議! いやマジすんません。
いつもいつもご支援、ご声援ありがとうございます。今日はここまで、続きはまたそのうち。
次はちゃんと二週間以内に収められるといいなぁ。期待せずにのんびりと待ってやって下さい。

私はちゃんと締め切りを確り決めないとダラダラ引き伸ばしちゃう人らしい。
とりあえず今、戦闘入るシーンまで上げちゃって、明後日には戦闘シーン上げようと思います。
いつもご声援、ご支援頂きながらも随分お待たせしちゃって申し訳無い。次からは締め切り決めて投稿します。


女神「……」

僧侶「……」

魔王「……」

勇者「……」


勇者「まあ、気を取り直して、改めてご用件をお伺いいたしましょうか」

勇者「戦士の時も言いましたが、ああ、僧侶は見てましたよね、その後ショッキングな映像を生中継したので忘れちゃいました?」

勇者「説得には応じません、投降もしません、説得もしないし投降も受け付けません、皆纏めてゾンビ兵になるか、我が魔王軍の餌食となるか、自殺でもすればいいですよ」

勇者「楽に殺してあげられるよう努力はいたしますので出来る限り抵抗はしないように、まあ、一般の皆々様の話ですけれどね、当事者は別です、戦士も僧侶も魔法使いも」

勇者「王城の王も、重臣たちも、楽には死なせませんから覚悟だけはしておくようにお願いします。自殺? HAHAHA、蘇らせます、そんでヒドいことしたあとぶっ殺します」

女神「勇者」

勇者「はい?」


女神「お願いです、どうか、このようなことはもうお止め下さい。貴方の行いは、きっと、貴方さえも救わない。今なら――」

勇者「あれ、女神様、話聞いてました? 聞こえてないはずないですよね? 説得には応じないと言ったばかりですけど」

勇者「大体女神様ご本人も半分以上諦めてらっしゃるでしょう」

女神「私が貴方に掛けられる言葉がないということはわかっています。けれど、言わねばなりません、例えこの生命が尽きようと!」

女神「例え無残に殺されるだけであったとしても言わねばなりません。それが、あの時貴方を救えなかった責任のとり方です!」


勇者「救えなかったってなんですか、救えなかったって。救おうとしてたみたいなノリで通そうとされても困るんですけど」

勇者「救わなかった、って、素直に言ってくれればいいのに」

勇者「僕がこうなるのを放っておいたんですから、僕がこのまま何をしようと勝手のはずですよ、とはいえ、まあこんなんなっても現代の女神の第一の使徒」

勇者「一応聞きましょうか。あ、それと、誤解がないように言っておきますけど僕は貴女を殺しゃしませんし平手打ち一つしませんよー女神の使徒ですしー」

女神「……お慈悲に感謝致します、勇者」フワッ、ストッ

魔王「ほう! 我らと同じ大地に足をつけ翼を収めるのか! 滅多に見れるものではないな、勇者よ!」

勇者「僕、女神様と同じ目線で語るの困るんですけど、使徒として。ほら僧侶跪いてますし」

魔王「固いことを言うな。女神の使徒ではあるが魔王軍総帥でもあるのだから堂々としておけ。しかし、良く下りる気になったものだな、女神」

魔王「この世界に直に降り立つということは、まさしく我らと同じ世界に触れるということ、天界暮らしには今の世の空気はさぞ苦痛だろうに」


魔王「……まあ、下りてこないまま大上段からこれ以上物を言うなら我が吹き飛ばしてやったがな」

勇者「勘弁して下さいよ。貴方ぐらい力あると浮いたままの女神様でも殺しかねないんだからー」

勇者「止めなきゃいけない立場わかってくださいよーしょっぺぇー」

魔王「ハハハッ! よくそれで、女神の第一の使徒、とかなんとか名乗ったものだな勇者」

勇者「魔王軍総帥でもありますんで、あれ、というか総帥貴方ですよね」

勇者「……あぁ、使徒だから? 体面気にしてくれたんですね、魔王軍総帥なら跪かなくとも堂々と話したって問題無いだろう、と」


魔王「物の弾みで言ってしまっただけだ、我等は人間のように体面だとか義理などどうでもよいのだ」

勇者「魔王軍総帥は当然我だって言い直せばいいのに言い直さないし、まったく、アンタ方どんだけ僕の涙腺刺激すれば気が済むのか」

魔王「知るか、そんなもの、物の弾みだと言った、くどいぞ勇者」

勇者「まぁ~。お言葉に甘えますけどぉ~。勘弁して下さいよ、そのうち泣いちゃいますよ、そして涙で脱水症状起こして死にますよ」

女神「貴方は、その魔王にこの境遇に付け入れられているだけなのですよ勇者」

女神「その者は魔王、魔界に君臨するために、ありとあらゆる手段を画策してそう成った者、魔の権化。貴方はそんな者に惑わされているに過ぎません」


魔王「ほう」

勇者「はぁ」

女神「貴方の強大な力を己の側に引き入れさせれば勝利は確実となります」

勇者「でしょうねぇ」

魔王「そうだな」


女神「配下の命など己が目的を達成するための道具程度にしか見ない男です、それは」

魔王「間違いではないな」
勇者「間違いないですね」

女神「このままでは、貴方は、貴方は何れ、その男に使い殺されてしまう!」

勇者「マジですか」
魔王「初耳ですが」

女神「貴方ほどの者にそんな末路があってはいけない! 考えてもみてください! その男の非道さを貴方は何度も見てきたではありませんか!」

魔王「見せたな」
勇者「見ました」


魔王「人間の街や村を見つけ次第殺し尽くし破壊し尽くそうとした」

勇者「女子供、老若男女、有象無象の区別なく我の悪意は許しはしないわ的なノリでした」

魔王「たまたま捕えた人間を盾に括り付けて肉壁に使った」

勇者「超攻撃しにくかった。したけど」

魔王「しにくかったのか? 結構ためらいなく攻撃してきたように見えたので当時は驚いたものだ、そうか、あれで一応、躊躇してたのか」

魔王「で、さらにそういうことにも使えそうにない、盾に括り付けて移動している間に死にそうな人間は餌にした」

勇者「人喰い植物とかね、土の四天王さんの作品なので魔王関係ないです、ああアレ一応アイディアは貴方か」

魔王「デザインがダサいし古いしダサいし機能美・造形美敵にまったく美しくないと駄目だしを貰った……あれには落ち込んだな……」

勇者「あの人はあの人的機能美か造形美どっちか満たされていないと極端に辛口ですよね、けどダサい言い過ぎでしょ……ダサいけど」

魔王「……フ。……そうか……。……そうかぁ……ダサいかぁ……」

勇者「ごめんなさい」

魔王「良いのだ……」


女神「どうして王や貴方を裏切ろうとした仲間達の反逆心がその男の手によるものでないと言い切れるでしょうか!」

魔王「言い切れん、あの国の王には一度降伏を勧めた折に面通しはした、勇者の仲間達には決戦の折に長く触れ合っていた」

魔王「あの王は曲者の類ではあるが所詮は人間、人間一人の心を惑わすのはワケもない」

魔王「勇者の仲間とはいえ、人の臨界点だったとはいえ、所詮人間である、時間を掛ければ出来ぬことはない」


女神「証拠は有りません、その男も一見認めたように見えて、そう具体的な可能性を指し示すことであえて己の目的から意識を逸らされるための非道な話術!」

女神「目的を達成できるのならば義理や体面などはどうでもいいのです! 見なさい! 貴方や私達も騙されました、王ともあろう者がまさか、己の死を詐称して……」

女神「部下を見捨て、長き期間をおいて、再び貴方の目の前に現れているその悍ましき醜悪性がそこにある! 信用してよいものなのでしょうか!」

勇者「へぇ」

魔王「ほう」


女神「……ゆ、勇者?」

勇者「なんでしょう?」

女神「で、ですから、貴方は、そんな、魔王になぞ惑わされるべきでは、ないのです。ですから、どうか、こちらに」

勇者「そちらに戻ったら次は人間に使い殺されるじゃないですか。前科ありますよ」

女神「ですから、そんなことは、に、人間は、しません。貴方を……そのような目に遭わせたのは魔王、です」

勇者「操られているようには見えませんでしたし操られているからってやった事を帳消しには出来ませんよ?」

勇者「それに、そもそも、僕を見捨てたうちの悪性が自分たちの善性説いたって説得力ないんですよねぇ……」

女神「そ、それは、誤解なのです、いえ、いえ、たしかに誤解とは言えないかもしれませんが……」

女神「そ、それに。人間に敵対するということは、人間の貴方にとっては、苦痛であることでしょう」

女神「人間である貴方が人間を滅ぼし尽くしたとして一体その先に何があるというのですか」

女神「当事者達に復讐する権利はあります、それがたとえ、魔王の手による悪しき術のものであったとはいえ、確かに操られているとはいえやってはいけないことをしました」

女神「彼等に貴方を疎む気持ちあったからこそ操られてしまったことも否めません」

女神「それは致し方ありません! 言いたくはありません、しかし、彼等に復讐したとしても貴方に非はないと言ってもいい。私も、殺されても、仕方ないと思います」

女神「しかし無関係の者まで、未来ある者を、未来のために礎になってきた者まで、踏み付けていく権利などは貴方にもありません!」

女神「……ですから、どうか。どうか、私達だけで、終わりにしてください」

女神「もし許されるならば、もっと、勇者、貴方と話がしたい。もし望んでいただけるのならば、もっと、このことについて話しあわせて下さい」

女神「今言うべきことの、多くのところは、言えました。けれど、もっと、もっと、深く語り合えるところが、まだあるはずです。ですから、どうか」

女神「……今の言葉に、少しでも、感じるものがあってくださるなら、どうか。……私からは、以上です……」


勇者「ふむ」

魔王「む?」

勇者「ああ、どうぞ」

魔王「む、良いか?」

魔王「では、色々言いたいことはあるとしても、だ、まずは、そうだな、何処から話すべきか」

勇者「最初から」

魔王「良かろう」


魔王「まず、相違ない、我こそが魔王である。実行できうる限りの策と手段で以て、ふん、それが非道と呼ばれるならそれでも良いわ、それにて魔界に君臨した王である」

魔王「我は間違いなく強大であろう、その力を以てしても征服能うことなかった人間界を下す為、征服能うことのなかった要因にして最も大きな力を得て再び覇道を進む――」

魔王「……つもりだったのだが、今や我もまたこの勇者の覇道をなすための一因にしか過ぎぬがな。我が覇道は此奴の覇道がなしていく過程にあるのでお零れを貰う立場だよ」

魔王「何故か、と?」

魔王「逆に問いたい、何故そんな質問が出るというのだ」

魔王「我は魔物であり、魔物が跋扈する世界の王である。そして魔物とは強い者に従う。常識だ」

魔王「此奴のほうが我よりも強い。此奴が我に勝ち得たのは此奴の仲間のおかげかもしれぬが、一人とて、倒される時間が早いか遅いかだ」

勇者「でしょうねぇ。優秀でしたよ、優秀でしたし代わりは居ませんでしたが、居ないとどうにもならないレベルかといえば……ん~……」

勇者「あ、でも、最初の方は助けられちゃいましたし道中も少し楽させてもらったんで、居てもよかったです」

僧侶「……」


魔王「よって、我が勇者を使い殺すなどということはしない、いいや、出来ん。これは魔物の性だ」

魔王「よしんばそれを克服したとしてもまともに挑んでは返り討ち必至、不意打ちしようにもなぁ」

魔王「これだ」

勇者「はい?」

魔王「恐ろしい話ではあるが、此奴は今では常に臨戦態勢のままである。僧侶よ、女神よ、貴様らが余計なことをしてくれたおかげで隙を見せんわ」

勇者「いや、申し訳ないとは思ってるんですよ。こんなによくしてくれてるんだし気を緩めたいとは思うんですけど流石にちょっとトラウマでして」

僧侶「……」

魔王「致し方ない、我とて同じ目に遭えばそうなる」


魔王「でだ、配下として使えぬ男を使い殺してしまえとはこれいかに、ああ、使い殺すという単語もあまり好きではないな、いいや、はっきり言って不愉快だ」

魔王「配下を道具のように扱うといっていたな、そのあたりも言っておこう、何が悪い。配下とは手足と同義である、手足を目的のために使うことの何が悪い」

魔王「人間は包丁を使うときにいちいち手に話しかけて了解を取るのか? 包丁で手を傷つけたときにいちいち手に謝るのか。阿呆らしい」

魔王「しかしそれと、治療をしない、ハンドクリームを塗らない、火を扱うときに火傷対策をしない、寒くとも温めない、それとこれとでは話が別だろうよ」

魔王「そういうことをするのが使い殺すという事だ。我はそんなことはせん、手足を壊死させて何の得があるというのか、阿呆らしい」

勇者「道具を大切にする派ですもんね。ねえねえ見えます女神様に僧侶? あのマントちょっと継ぎ接ぎが見えるんですよ」

勇者「僕に破られたの集めて再利用してんですよ、あの人」

魔王「余計なこと言うな、我が貧乏性みたいであろうが。このマントはそう軽々しく一から作れるようなものでは無いのだ」


魔王「誘惑の件については、残念ながら、反論は出来ぬな。したのしてないのと言い続けても埒が明かん」

勇者「僕はしてないと思ってます」

魔王「勇者がこう言ってくれている。それで良い」

勇者「照れるんですけど。この人が女性だったら僕惚れちゃうんですけど」

魔王「なろうか?」

勇者「なれるの!?」

魔王「嘘だ」

勇者「期待させてくれてんじゃねぇですよこの魔王が!!」

魔王「フッフッフ」

魔王「第一なったとしても第二婦人になってしまうであろうが。土のことを考えろ、上司が上司のまま自分より後に据えられたらたまったものではないぞ」

勇者「あれ僕いつのまにか土さんと結婚することになってる。魔王軍総司令を譲ってもらったと思ったら縁談まで一緒についてきたでござる。ちょべりば」

魔王「ちょべ……? ……嫌か?」

勇者「ちょべりばなんてウソですよ! 嫌じゃないですよ! でももうちょっと、こう、いや、後で良いですそれは。続けて」


魔王「何処まで話したか? ああ、そうだ、我が己の死を偽証してどうのこうのと言っていたな。空いた口が塞がらんわ」

勇者「何をどうしたらあそこまで記憶改竄しちゃえるのか流石の僕もビックリ仰天ですよね」

勇者「Consternation!!!!!(軍団)」

女神「!?」

僧侶「!?」

魔王「うおぉっ!? お、お、驚かすな、勇者。お、お前、たまに凄まじくデカい声が出るな……」

勇者「ごめんなさい」


勇者「でも、ないわ。ないわー女神様……魔王の死体見てるじゃないですか。偽装でも幻術でもないですよ、というか魔王、幻術使えないし」

勇者「僧侶の姿消しすら見破れないレベルですよ、この前も僕は食事のときに姿消してこっそり魔王のかき揚げ蕎麦の掻き揚げ食べましたし」

魔王「ちょっと待て貴様あれいつの間に食べたんだろう我もいよいよ歳かなーとか本気で悩んだぞあれ貴様かおいあれおい」

勇者「魔王のワインも秘密のワインセラーから一本拝借しましたし」

魔王「おい待て何か一本足りないけど気の所為かと思ってたんだぞ」

勇者「他にも色々やりました」

魔王「あとで屋上に来い貴様」

勇者「土さんと一緒に色々やりました」

魔王「貴様と土あとで魔王城の屋上に来い、絶対に来るように」


勇者「あと、別に、苦痛でもなんでもないというか。寧ろ物凄く晴れやかな気持ちというか、なんというか、まあ、色々言いましたけれど」

勇者「魔王が例え何であろうと例え何をしようと人間が僕を裏切ったのは変わりありません」

勇者「生死も運命も分かちあったはずの仲間は、地位と金に目が眩んで、僕を襲いましたし」

勇者「その他大勢は救ってやったのに救ってくれませんでした、世界平和の報酬は、憎まれたり蔑まれたりしながらの獄中生活でしたよ?」

勇者「僕じゃなきゃ死んでるような獄中生活でしたし、なんとまあ、二十年閉じ込められてる間にみぃ~~~~~んなそのこと忘れてたし」

勇者「滅ぼそうと思ったっていいじゃないですか、それにぃ~。未来がどうのこうのと仰られていますが、今この世界に生きている人間が、生きていられるのは、僕のおかげです」

勇者「魔王ったら当時から滅ぼし尽くすって言ってたじゃないですか、僕が居なかったら滅ぼし尽くされてましたよ?」

勇者「僕のおかげで人間は生きている。僕のおかげです、借りです。僕の気が変わったんで借りを若干の利子つけて返してもらうだけのこと。二十年も長生きできたんです、上等でしょ?」

勇者「そういうことです」


勇者「さて、それじゃ、下らないお話タイムも終わりましたし。とりあえず僧侶、死んどこかぁ。また爆発されちゃかなわんので適当に嬲ってから殺したげます、やったね!」

女神「……僧侶」

僧侶「……」

女神「勇者は、やはり、闇に落ちていました。わかっていたことですが……悲しい」

勇者「闇堕ちさせたのあなた方ですけどね」

勇者「さ、無駄話はこれで終わり。やりましょう、やりますよ、それでは魔王……は、ついてこれないのわかってますが、僕一人でもいきます」

勇者「ごほん」

勇者「ひゃっほう!」

魔王「こなくそ! 我もやれば出来る男だというこそを見せてやるぞ!」

勇者「さすが! せーの!」

魔王「ヒャッホー!!!!!」

勇者「声でかい!?」

魔王「どうだ!」

というところで今回はここまでで次回は明後日に投稿します。
ありがとうございました。

しまったのんびりしてたら土曜になっちゃった。
書き足すとこないか、不足なとこないか、もうちょいで見直し終わるんでお待ちを。
見直しても不足あったりしても勘弁して下さい!

いつもご声援、ご支援、ありがとうございます。予定より遅くなっちゃてすみません。締め切り過ぎてもダメな人間だったようです。
投稿はじめさせていただきます。戦士のときより地の文多くなってしまっているので苦手な方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。


 まともに戦ってはいけない相手、まともに戦ってしまえば出鱈目なまでの肉体スペックと技量で粉砕されてしまう相手。
 最盛期の勇者とはそういう男であったということを僧侶と女神は思い出していた、戦士がああなったことで思い出させられていた。

 最盛期の勇者とまともに肉弾戦をこなせるといえるのは炎の四天王ぐらいのもの、肉弾戦で互角近くで戦えるのは魔王ぐらいのもの。
 彼等は元より戦士よりもさらに肉体性能が遥かに劣る僧侶と女神はそれだけに同じ轍は踏まない、踏めない。

 ――策は用意した。


魔王「さて、気合入れも終わったが、あちらも何か仕掛けてくるつもりだぞ勇者よ」

勇者「一緒に踏み潰しましょうか、魔王」


 僧侶にとって幸いと言っても良い点が一つはあった。

 勇者は、昔と今では見た目も有り様も大きく変わってしまっているが、昔も今も戦闘の基本に忠実だということだ。
 そのうちの一つとして、相手の身体の動きそのものも見ているが、相手の目の動きを見て動きの始まりや狙い所を見極めるクセがある。

 ――そこだ。


勇者「では……」 

僧侶「――」


 戦士を斬ったときも戦士の目を勇者は見ていた。己の反応速度についていけない者の目も勇者はしっかりと見ている。
 僧侶たる自分が戦士でも追い切れない動きを見ることはできないが、自分の目をあちらが見ていればそれでいい。

 そういうつもりで、頭を上げた僧侶の目にはやはり、奇跡など起ころうはずもなく勇者の姿は見えていない。

 魔王だけが、たった一歩の踏み込みで距離を潰し、引き抜いた剣を真横に振り被り、僧侶の両足を絶とうとしている勇者の動きが見えていた。


魔王「……ほう」

勇者「――」

僧侶「……」 

女神「成功、しましたか」


 魔王が、意外なものを見た、といった顔で眺める。

 僧侶は、焼かれた顔を隠すための仮面で表情は伺えない。
 女神は、成功したとは言うものの苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 勇者は、無表情のまま、ギリギリ僧侶の足に触れるか触れないかというところで剣を止め、動きを停止させていた。


魔王「お得意の幻の魔法。発動条件は、勇者が僧侶の目を見ること、か?」

魔王「貴様では勇者の動きを捉えて魔法を練り上げて放ち当てるのは至難であるからな、ならばあちらに条件を満たさせてやれば良いと」

魔王「しかしよくもまぁ、彼奴の魔法防御を突破したものだ。状態異常の類には極々類まれなる耐性があるのだが、ッフハ、そうか、前々から仕込んでいたのか」

魔王「それだけの魔力を溜め込んでおいて無事で済むまい、寿命を犠牲にしたのか、どれぐらいだ、いやしかし、勇者の動きが止まるとはなんの幻を見せている?」

女神「……二十年前の、彼の身に起きたことを、二十年間に、彼の身に起きたことを、何度も」

魔王「ッフ。フハハハハハ! 奴がトラウマとわざわざ言うぐらいのアレをか!」

魔王「勇者を止めるならばそれぐらいのドギツイのを叩き込まねばな!」

魔王「フハハハハハハハ! ハッハッハッハッ! ハッハッハ!」

魔王「よくもまあ、勇者にあの仕打ちをして清廉面をするのも笑えたが、こんなことを準備しておいてよく清廉潔白を謳ったものだ! 我らこそが善性と語ったものだ!」


魔王「ようやく貴様に親近感を覚えたぞ女神よ!」

魔王「ハッハッハッハッ、うむ、大変良い!」

魔王「ッフフフフ、ハハハ。いやぁ……次はなんだ、それだけては終わらぬな、うむ、この気配……?」


 手を顔に当て、破顔一笑といった顔を手で隠し、肩を大きく揺らし胸を前後させて、たからかに笑う魔王。
 余程嬉しかったのか楽しかったのか、あるいは怒りでも覚えているのかも分からぬ程犬歯を見せ、目端に涙まで浮かべていた。

 周囲に発生した気配は、転送魔法陣である。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、増える増える、転送魔法陣。

 そこに現れるのは人間だ、鉄の鎧を纏い、鉄の兜を身につけた格好こそは兵士であるが手には剣一つ持っていない。
 彼等の武器たるはそれではなかった、背中、腰骨よりやや上に転送陣とはまた別の魔法陣が輝いていた。

 戦士が爆発直前に浮かび上がらせたものと同等のものであった。


魔王「こう来るか!」


魔王「――面白い」

女神「……許し給う、人の子よ」


 魔王がまた顔を歪める。

 女神が、身を斬られたかのような苦痛に顔を歪める。

 ――その場が爆炎に満たされた。


 ――。

 ――。

 ――。

 おそらくは、この大陸に住まう者であるならばそれはどこからでも見えた。
 生物の生存をどれだけ憎めばそれが起こり得るのか、検討もつかぬほどの、生き物の生存を許さぬという一念だけは、想像しうる……
 轟々と登り立つ巨大な火柱。


魔王「しかし、なんだな、愉快ではあったが、喜劇であったが、余計なケチはつくものだ。……まったく。……褒めたと思えばこれだ」

 爆炎の柱は、立ち上がるまで、ほんの僅か。立ち上がって、数秒。立ち上がったことそのものが無かったかのように、消え去った。

 自慢のマントは膝から崩れ落ちた勇者に被せられていた。
 自慢のマントの下には闇を凝り固めたように黒々とした鎧を纏っていた。
 右手には、吹き上がった爆炎と同じ魔力を持った炎がその中で煌めき燃えていた。
 左手には、爆発に巻き込まれないようにと転送陣にて逃げ出そうとしていたところをひっ捕まえて爆炎を喰らわせ黒焦げになった女神と僧侶を掴んだ――

 魔王が満足感を漂わせながらも虚無感も匂わせた顔で立っていた。


女神「……」

僧侶「……っか。な……」

魔王「なんだ、さすがに潰れてはいても驚けば喋るものだな? 生きているのは褒めぬぞ。ギリギリで治癒しておるからな、我が。それは兎も角馬鹿は貴様等だ」

魔王「面白いとはいったが、わざわざ、律儀に、人間爆弾共が爆発するまで待ってやる道理はない」

魔王「人間爆弾共の爆発の威力はなるほどたいしたものだ、戦士一人であれだ、あれだけ数が居ればひょっとすると無防備な勇者は危なかったかもしれんな」

魔王「我も流石に間に合うか解らなかったので、久々に冷や汗を流した、良い余興であったよ。でだ、マントは勇者に被せたが爆発せんにこしたことはないから焼き払った」


魔王「貴様等との戦いに使わなかったから警戒していなかった、とでも、言いたいのかもしれないが、どれほど馬鹿だ貴様等」

魔王「あそこは我が居城ぞ。こんなもの放ったら我が居城が丸々消し飛ぶわ、見よ、これだけの破壊力だ。目に見える範囲全てを焼く我が火炎の魔法ぞ」

魔王「まったく、本当に、まったくだ。期待していたというのにまさか一発で片付いてしまうとは……てっきり他の手も用意してあるのかと……まったく……」

魔王「……そら、勇者、捕まえたぞ。さっさと僧侶の中に仕込まれた爆弾を、む。ないように見えるが我には解らんのでさっさと……ええい、まだ、戻ってきておらんのか」ガシッ

勇者「!」クェッ

魔王「水の四天王のところに連れて行ってさっさとコイツから治さねば……」ズルズル

勇者「」クェェェェ

魔王「勇者を元に戻したら、僧侶を早く直さんと我の治癒ではそのうち死んでしまう。今ので少し燃えてしまった配下を再生させぬとならし」

魔王「無論配下は出来る限り燃やさぬようにしたが……土もおるし……だがしかし如何せんこれはコントロールが難しくてな……やることは多いぞ!」ズルズル

勇者「」クェェェェェェェ

魔王「まったく! 世話のかかる奴だ!」

勇者「」オテスウオカケシマスゥゥゥゥゥ

魔王、活躍。さすがにあの火炎魔法は何発も何発も連続して使えないとか説明不足があったかもしれませんが僧侶との戦闘編、とりあえず終了。
今回はここまで。続きは年末までにもう一回投稿できればと思います。
その投稿の前にちょっとしたおまけコーナーと、もしかしたらまた登場人物一覧の更新するかも。
ご視聴ありがとうございました。

おまけコーナー


魔王「フッ、勇者よ、貴様に付き従う者としては些か申し訳無いのだが、貴様よりも我のほうがこのスレッドにおけるマスコットキャラクターの座に相応しいのではないか?」
勇者「なんですか、行き成り、藪から棒に。というかどこでマスコットキャラクターなんて言葉、覚えてきたんですか」

魔王「街興しで少しな。名産品を主軸にして外部にアピールしていくのは良い案だが、それだけではやはり昨今の若者の心は動かぬ、そこで提案されたのが古来よりあるおまけ商法――」
勇者「わかりました、わかりましたんでもう結構です。魔界でも街興しあるとか、貴方がそれに関わってるとか、良く分かりましたんで」

魔王
「うむ、それで、マスコットキャラクターの件だが。見よ! 登場してからというもの登りに登った読者からのこの人気よ!」
「貴様の軍に入りたいという者は居らなんだが、我が軍に入隊したいというどころか我の盾にまでなりたいという者まで居るほどだ、ククク、勝ったな」

勇者「あー。はいー。そうっすねー」
魔王「なんだその気の抜けた返事は」

勇者「いやー。そのー。なんていうかー。元々僕はマスコットじゃないですし。裏声さんがそっち系っていうか」マァボクトイエバボクナンデスケドモ
魔王「……裏声さん……?」シンキャラカ?


勇者「それにしても僧侶との戦闘もとりあえず一段落。残るは魔法使いと、あのローガイ共」
魔王「僧侶がどうなったか、女神がどうなるかは、そのうち本編でお見せするとしよう」

勇者「ローガイ共も結構頑張って新生・魔王軍対策を練っているみたいですが、どうなるんでしょうねー」
魔王「風の魔王が作成した腕っ節ランキングにおいてはその上位の殆どを独占している我々ではあるが、油断は禁物だ。あれはあくまで目安に過ぎん」

勇者「策一つで引っ繰り返ることもないわけではありません、事実僕は魔王があの場に居なかったらちょっと危なかったかもしれませんが、しかし目安でも圧倒的な戦力差」
魔王「うむ、上位独占状態の我々からすれば有効な番付ではある。お前一人を策で止めたとしても我がおる、四天王も居る、十位圏内には居ないが百位圏内の魔物も居らんでもない」

勇者「数こそパゥワァ。しかもその数、質も良し」
魔王「勝ったな。と、いっても、過言ではないが。魔王戦役とか呼ばれているあの戦で我はそう言って敗北したからな、敗北させた本人はここに居るが、しかしそれでも油断出来ぬ」


魔王「人間界を制服したあとは、天界にも侵攻してやろうか、とも、思っておるしな。兵の無駄な損耗は出来る限り避けるにこしたことはない」
勇者「人間界を魔界としたあとは天界もそうするおつもりと。人間界と違って未知の領域ですしねぇ、そうそう、そういえばですよ、女神様ね」

魔王「大層評判が悪いな、非常に愉快である」
勇者「愉快である!」

勇者「あ、僕、ホントはこういうこと言っちゃいけないんですけどここ本編とは関係ないしぃ~」
魔王「魔王軍総帥でもあることだしな。我は別に本編でもなんでも好きなように言わせて貰うが」

魔王「無能の謗りを受けても仕方なかろうよ。特に、我が人間を操って勇者をどうのこうのというくだりはな……」
勇者「視聴者=サンにも途中で突っ込み受けてましたけども。あのあたりもうちょっと長~く突っ込むつもりだったんですけどね?」

魔王「他の突っ込みが思ったより長々となってしまってな、あんまりに長々~っとなるのも流石にくどいかと思い、言わなんだが」
勇者「視聴者=サンが入れてくれた突っ込みの通りですよね、ホント。じゃあアンタがなんとかしてくれよ、って話ですよねぇ~」

魔王「奴には流石に魅了の魔法は通じんからな。よしんば他の人間が我に操られたとして、我に操られることのない女神が勇者を見捨てたというのだから尚更悪い」
勇者「マジ無能」


魔王「仕事しろ、仕事。仕事している面して仕事をしないというのはな、まあ、最初から仕事する気がないうちの魔神みたいなのも居るが……」
勇者「年中無休でスリープモードと聞いたときは流石に笑いましたよ。しかも貴方に家建てさせたんですって?」

魔王「ああ。最初はな、あちらから接触して来たのだ、こう、なんだ、我にも加護の一つや予言の一つはくれるのかと思ったのだが……」
勇者「くれるどころか、くれと。しかも、快適に寝れるための場所を」

魔王「我が耳疑ったぞ。何度聞き直しても、答えは変わらなんだので、最終的には諦めたが……」
勇者「というか貴方、家作らされたり、城を島ごと作らされたり、物造りの才かなり使われてますよね。使ってもいますけども」

魔王「どうしてこうなった……」
勇者「……人がいいの見抜かれちゃってんじゃないですかね」

魔王「そんなつもりはないのだが……」
勇者「いやぁ……」

魔王「……なんだ、その、いやぁは。何か物凄く物言いたげだが」
勇者「べつにぃ?」

魔王「」タッ
勇者「」タッ


勇者「……」
勇者「……」キョロキョロ

勇者「ふぅ。あぁ、怖かった! 優しいとか言うと照れ隠しで怒るのは良いんですけどね、可愛いもんですよ!」
勇者「怒って魔法ぶっ放して来るから可愛くない! というか、恐いです! 何とか逃げ切りましたよ……ふぅ」

勇者「そういえば、ですね!」
勇者「どうしてこうなった! と、いえば! いや、どうしてそうなってるかは自業自得のせいで解ってますが!」

勇者「初期から今までずぅっと誤字っちゃってるせいで! 渾身の呪いのはずが! 懇親の呪いとして認識されちゃったんですよ!」
勇者「やらかしてしまいましたね勇者様(裏声)」

勇者「やらかしちまいましたよ! 初期から『懇親じゃなくて渾身な』って視聴者=サンに言われてたのにぃ~!」
勇者「こうなってしまっては最早、魔法使いにかけたのは渾身の呪いではなく、懇親の呪いということにしなければいけません(裏声)」

勇者「なりませんね! 別にいいんですけどね、そっちのほうが面白そう! 良いネタをありがとうございます!」
勇者「ありがとうございます(裏声)」

勇者「折角なので予想していただいた内容から、懇親の呪いのネタを採用させていただこうかと思います(裏声)」
勇者「渾身の呪いのネタばらしは次のおまけコーナーがありましたらその時にでも!」


勇者「さぁ! それでは短いながらこれにてオマケコーナーはお終い! 司会は私本『勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!』のアイドル勇者と!」
勇者「撒いてしまったので此処には居ませんが、魔王と。ちょっぴり出演、久々に登場の裏声の私でお送りいたしました(裏声)」

勇者「これからも不定期かつスローペースの更新となりますが!」
勇者「どうか見捨てずに、生暖かく、それなりの期待と、それなりの期待の無さと共に見て頂ければ幸いです(裏声)」

勇者「ではこれにて! アデュー! ヒャッホウ!」
勇者「あでゅ。ひゃっほう(裏声)」


―― おまけコーナー おわり ――

以上、おまけコーナーでした。いつもご支援・ご声援頂きありがとうございます。
年末までに本編を、それまでに登場人物とおまけコーナーを、という話でしたが。
年末に登場人物&オマケコーナーとなってしまい、本編は末も末で、年明けにはならないと思いますが……

なりそうでしたらまた告知させて頂きます。相変わらずのズレまくりな投降予告で申し訳ございません。
それでは今回はこれにて。ご視聴ありがとうございました。

大丈夫、まだ年明けてない、だいじょうぶ。
これから投降しまーす! いつもご支援・ご声援ありがとうございます!


―― 僧侶・女神捕縛からニ週間後 魔王城 ――


勇者「漸く意識がハッキリしてきました」

勇者「幻術そのものは割とすぐに水さんが解除してくれたらしいんですけど。幻術掛けられてから一時間も経ってないうちに」

勇者「さすがの手際ですよね、僧侶ですら敵にしておくのが勿体無いと嘆いてた世界一の幻術使いの腕はやはりたいしたものですよ」

水の四天王「うふふ、お褒めに預かり光栄ですわ」

水の四天王「けれど、世界最強のお二方を前にして世界一と言われてしまうと、照れくさくもありますが恐れ多いというところも……」

魔王「何を遠慮することがある。我も勇者も総合戦力でもって貴様とぶつかりあえば貴様は当然負ける、というのは、違いないがな」

勇者「僕も魔王も幻術という一分野だけに絞るならば水さんの足元にも及びません、というのも、違いないですね」

水の四天王「い、いえ、その、でも、えっと……」モジモジウゴウゴタプンタプン

魔王「ふはは、照れるな、照れるな」

勇者「蠢いとる、蠢いとる。可愛い」


勇者「ただ、現実では一時間でも、幻術の内容が内容でしょ」

勇者「魔王戦役の祝勝パーティから塔を出る直前までの二十年を五~六回は見ちゃってたもんで体感時間がえらいことに」

勇者「しかも、ほら、いやね、出来れば仔細には思い出したくないような出来事であるわけでして。現実ではもう終わったことだと、幻だと、解っちゃいたんですけど」

勇者「幻だって解ってても、そのうちワケわかんなくなっちゃいましてね。解除されても、目の前にきちんと現実がやってきても、ワケがわかんないまま、と……」

水の四天王「トラウマ誘発系の幻術ではありがちな後遺症ですわね」

水の四天王「トラウマ誘発系は掛けた直後から解除したあとしばらくまで効果が見込めて戦には大変に便利」


魔王「心神喪失状態から意識が回復するまで勇者ですらこれ程時間が掛かったからな」

魔王「超高難易度の魔法なだけはある、厄介だな。しかし、回復して何よりだ」

水の四天王「ええ、本当に。けれどこう言っては失礼ですが……」

水の四天王「茫然自失な無防備そのものな勇者様のお世話が出来たことだけはワタクシ僧侶に感謝しなくては。良い経験でしたわ」


勇者「お、お手数お掛けしました……」

勇者「ではそろそろ働きましょうかね。土さんの治療はどうなってます?」

魔王「我がやっておいた。完治させておいたぞ、あの後直ぐにな。今は僧侶の改造をやっているはずだ」

魔王「改造はその後直ぐに始めていたのだが改造完了の報告は来ておらんな。彼奴にしては珍しく仕事が遅いが……」

勇者「え。ど、どうやって? 完全回復呪文なんて使えないでしょ、あなた」

魔王「初期回復呪文しか使えんでも、そこはほれ、魔力に物を言わせてな」

魔王「言わせすぎて祖父がどこぞの川岸で手を振っておるのが見えたが……」

勇者「無茶しないで下さいよ。貴方に何かあったとき回復させるのにどれぐらい手間掛かると……」

魔王「魔力不足で死ぬ者は居らん」

勇者「わかんないじゃないですかー」


水の四天王「フフフ。そちらもお世話させて頂きましたわ」

水の四天王「勇者様と魔王様のお二人を看病出来るなんてこれだけでワタクシ蘇った甲斐が御座いました」

魔王「うむ、世話になった。褒美は後々取らす」

勇者「僕からも何かあとでお礼の品を」

水の四天王「えっ。あ、いえ、わ、ワタクシはもうこの経験だけで。そんな、これだけでもご褒美でしたのにお礼とかされると立つ瀬と言いますか……っ」

魔王「また蠢き出したな。水で出来ておるせいか少し揺れるだけで身体全体が波打つので見ていて面白い」

勇者「この人、見た目も雰囲気も有閑マダムって感じなのに、中身は褒められ慣れてない女の子ですよね」

魔王「ぎゃっぷもえ、というやつか?」

勇者「ギャップ萌え、というやつです」

水の四天王「ぎ、ぎゃっぷもえ? いえ、ですからね、そんな、お礼なんて」


魔王「渡すとしてだ」
勇者「渡すとしてですね」

魔王「土のところに行ってくるといい、奴も貴様のことを大層心配しておったからな。ああ、改造の様子もついでに見てきてくれ」

勇者「了解しました。それではまた後で、魔王、水さん」

水の四天王「ぅぅぅ……ま、またあとで……」


勇者「というわけで」

勇者「土さんの研究室にやってきたわけですが。相変わらず色々なナマニクが転がってて血腥いです。あと薬品臭い」

勇者「そんなところで特に新鮮な血液が目一杯滴ってるベッドの側で、ドヤ顔してる土さんと、猿轡噛まされて涙目で縛られてる女神様と……」

勇者「……僧侶? ですかね? また随分、若返っちゃってますけども。顔も綺麗さっぱり修復されちゃってお肌もツルツルになっちゃってまぁ……」

土の四天王「あ、勇者=サマ。回復しタようで何よリでスよ」

土の四天王「お世話が出来ズに申し訳ありまセンでシタ。私も綺麗に回復しテもらエまして、そノ、勇者サマも心配しテたんでスけど、そノー……」

勇者「お構い無く。戦士につづいて、僧侶ですからね、土さんにとってはたまらないものもあるでしょうから。で、僧侶なんですが……」


土の四天王「はイ、はい! 見て下さイ! 力作ですよコレェ!」

勇者「僧侶ですよねコレ」

僧侶「……」


土の四天王「はイ! 勇者=サマが僧侶=サンのオ顔台無しにしたと聞いた時は酷く残念でシた。手に入ったラ是非修理してアゲようと思っテテ!」

勇者「修理したと。元々はすごく美人さんでしたからねぇ、台無しにしちゃったのは悪かったかなーなんて思ってました。嘘ですけど」

土の四天王「HAHAHA! ナイスジョーク! 勇者=サマに断りなくヤッちャッてスミマセンでしたが、どうかご勘弁ヲ」

勇者「ヤッちゃったもんは仕方ないですし此れは此れで良いですよ、僧侶の顔まで嫌いとは言いませんし」

勇者「しかし見事に修理しきりましたね。どうやったんです?」

土の四天王「大変でシタよー。若いころの写真なイし黒焦げだッたシ、想像で補わなキャいけなカッたシ」


土の四天王「鎧に入れる前の戦士=サンにしタことはあらカタしまシタ。皮膚とってー。肉はいでー。骨もいでー。骨も肉も皮膚も全部新しイのに取ッ替えテ」

土の四天王「戦士=サンは最初ッかラ長生きサセるつもリも飾るツモりもなかッたんで強化素材をしこたま入れちャいましたケド」

土の四天王「僧侶=サンは少しなり長生きしテもらって動いてるトコ長く見せテもらいたいし死んだあとも飾りタイシ」

土の四天王「僧侶=サンに合うようなパーツ見繕ったンでスけどね。これが大変で大変で……」

土の四天王「全部で四万人ぐらイの人間腑分けして使ッたかナ?」


勇者「四万人? それはまた随分豪勢に行きましたね。選別にも力入れて……」

勇者「……あの。いざってときに、いや、万が一の時のためにですけどね、魔神様にお力添え願うときのためにね」

勇者「生贄用の素材として、そこそこ顔立ちのいい人間、体力がありそうな人間なんかを保管した倉庫あったじゃないですか、倉庫の中身が確かそれぐらい……」

土の四天王「あっ」

勇者「あっ。じゃないですよ!?」

土の四天王「あ、えっと。えーッと。て、てへぺろ?」

勇者「可愛いけど許しませんよ!? 僕が結構苦労して! 結構苦労して選別して取っといたんですよ!?」


土の四天王「えット。そノ。あノ。えー……そ、そウだ、あのホラあれ! トップがないブラとクロッチのないパンティー!」

勇者「乳首丸出しのブラとアソコ丸出しのショーツがなんだっつーんですか!? ていうか行き成り何の話!?」

土の四天王「アレほら私流石に恥ずカシクて着れなカッたケド! 今度勇者=サマの寝室行くとき着てきますカラッ」

勇者「……えっ」

土の四天王「ほ、ホラ、アレで、一度シたいって。私恥ずかしイから無理だって言ッタ……けど、そ、その、着てきまスカラ」

土の四天王「……あ、待ッテ、ヤダ、想像したダケでもう、ち、ちょット、顔赤くないっスか私ー!? は、裸は兎も角アレは……ほ、他の案で……」

勇者「その案採用でチャラにします」

土の四天王「……他の案を……」

勇者「 採 用 で 」

土の四天王「……はィ……」ヤッチマッタ・・・


勇者「それはそれとして。まあ、生け贄素材はまた改めて調達するとして。僧侶の改造も分かりましたけど。僧侶なんでこんな大人しいんです?」

土の四天王「はぃ……あ、はい、麻酔無しの施術は戦士=サンの屈強な身体あッテのもノですから」

土の四天王「僧侶=サンにソレやッたら回復魔法かけテテも死んじャいまスでしょ」

土の四天王「麻酔は掛けたンでスけど。意識はそのママにしトいたンですヨ」

土の四天王「僧侶=サンたらそれスラ耐えレなかッたみたイデ」

勇者「あー。肉体的ショックじゃなくて精神的ショックで逝きましたか。精神が」

土の四天王「軟な構造しテまスよネ。っと、思いまシタけど、私もこンなこトされたら逝っチャウかモ」

勇者「女性にはキツいかな?」


勇者「女神様も綺麗さっぱり、黒焦げにされたそうですけれど、回復してますけど。何でこんなに震えて……」

勇者「あ。見学会させました? この調子だと結構見せられたみたいな感じですけど」

土の四天王「一から十までありったケ」

勇者「納得」

土の四天王「これカラ女神様にも同じ目に遭ッテ貰いまスって脅し文句付きデ」

勇者「あらヒドい」

土の四天王「あ、でも、女神様は魔王様に一応要望も聞いトカなイと。改造却下さレたら……テキトーにゴーモンでもしテ遊びまスか」

土の四天王「女神様の肉体なンて、勇者=サマとかお仲間の皆様方の身体弄ル並に手が届きマセンでしタから。楽しませて貰イたイでス」

勇者「いいですね。間違えた。そんなヒドイ」


勇者「しかしまあ、さぞ悲鳴と苦鳴に脅かされた二週間だったでしょう女神様。すみませんねー、うちの土さんがこんな事してー」

勇者「うちの土さんこれからもこんな事しますけど。僕は女神様にこんなこたぁしませんよ! 改造だなんてとんでもない!」

勇者「そんなヒドいことはねぇ、だって僕。女神様の第一使徒でありますからね!」

土の四天王「っぷ。ぷはっ。ッあハハハハは! この状況でそれ言います!? ッアハハははは!? 止めないのにッ。ハハッ、はヒッ、い、息、苦しッ、ひはハハは!」

勇者「僕はやりませんよ。僕はぁ。ッハハハ」

勇者「ひゃっほう!」

土の四天王「ひゃっほーゥ!」

ちょっと急ぎ足の更新となりましたが本日はここ迄。次回更新は、1月9日予定。
今回は僧侶の改造シーンは戦士とかぶっちゃったので省略させてもらいました。
次回は女神様を弄るところからになるかな?

本年は沢山の暖かいお言葉を頂きながらの投稿を続けてさせて頂けまして、本当に、本当にありがとうございました。
宜しければ来年もまたのんびりまったりと見てやっていただければ幸いです。ご視聴、ありがとうございました。良いお年をー。

まだギリギリ今日の範囲内。これより投降……ならぬ投稿を! 警察とは今年も無縁でいきたいですひゃっほう!
毎度お世話になっております今年も宜しくお願い致します!


―― 僧侶、女神捕縛かに二週間と一日目。魔王城、土の四天王の研究所 ――


勇者「……」

土の四天王「……」

勇者「……」

土の四天王「……えット。勇者=サマ。い、今から、あノ、寝室行きます? 別に夜にシカ営んジャいけなイみたいナことありませんカラ」

勇者「土さんのボディラインまじたわわ。土さんの甲斐性マジたわわ。男心も僕心もガッチリ掴んで離さないって勢いに惚れますよホント」

土の四天王「ソ、それじャ行きまショ? こう、嫌なこトハぱーッとヤッて忘れちャイましョ! ネ!」


魔王「どうした、二人共。今日は随分と大人しいではないか? 基本が騒がしいか無茶やってるか何がしかの貴様等にしては珍しい」ギィ、ガチャ、スタスタ

魔王「勢いで殺そうとした我が言えたことではないが、対・天界戦ではこの女は役に立つであろうから殺させるワケにもいかぬ」

魔王「とはいえ、神族の構造とやらに興味がないワケでなし。命さえ失わない程度の配慮はしつつ」ジャマスルゾ

魔王「つまりいつも通りの無茶苦茶をしない程度に、遊ぶことを許したわけだが……」チャハナイノカ

魔王「……それでも少々心配になって見に来てみれば泡吹いて倒れている女神と落ち込んでいる勇者に土とはどういう状況なのか」チャヲダセ

勇者「ああ、いや、その、なんといいますかね。あ、お茶、僕の分も宜しくお願いします土さん」

土の四天王「はイただ今」

魔王「うむ」

魔王「……」


魔王「……なあ勇者。土の淹れる茶は美味いがな、お前からも何か言ってやってくれんか? いい加減ビーカーに淹れるのは止めろとな」ズズー

勇者「貴方が云十年言っても聞かないんですから僕が言ってもねぇ。たまにはいいじゃないですか、ビーカー茶、成は兎も角味は良いし」ズズー

土の四天王「湯呑み買うぐラいなラそのお金とスペースを他ノ器具に使いたいノです。あァ、そレででスね、いいタイミングというカなんトいうカ」

土の四天王「身体張ルのは吝かデはあリませンけレど、魔王様もちョッと聞いてッテ下さいヨ。愚痴仲間は多い方が宜しイ」

魔王「愚痴仲間にされるのか我は。まあよい、それで? 外傷らしい外傷もないように見受けられるが、この女神」

勇者「気絶してます」

魔王「見れば解る」


魔王「どんな傷を与えたのだ? 修復したにしても中々見事な治り具合だな? 新しい回復呪文でも会得したのか」

勇者「回復も何もまだなにもしてませんよ」

土の四天王「しテまセン」

魔王「……精神的な傷を与えたのか?」

勇者「精神的な傷といえば傷ですけどねぇ、ッハッハッハ……」

土の四天王「疑う気持ちハよく解りマスけレど、残念ながラ、本当に、まだナニもしテないのですネ、コレ」


勇者「魔王の許可も取り付けて、道具も一通り揃えて、さあはじめるぞって時ですよ。僧侶の改造シーン見せたのが余程ショックだったのか、どうなのか」

土の四天王「とりあエずメスで肌を切ってみテ神族っテ怪我したラどう治っテいくか見てミヨウ。ッテ、とこデ、泡吹いて卒倒しちャいまシタ」

魔王「え」

勇者「正直、僕、久々に悪い意味でガチでショックなんですけど」

土の四天王「私もショックか拍子抜けというカ。一応うちの神様ト同じ最高神の一人なンですケドこの人」


魔王「……長らく人間界を護ってきた女なのだがなあ、これは」

魔王「それが、まあ、全身を焼かれて気絶したならまだよいとして。人間の解体現場を見せられて衝撃を受けるのはまだ良いとして」

魔王「いよいよそれを受けて気を失うならまだしも、だ。受ける恐怖に屈して気を失ったとな。あまりに、あんまりに腑抜けた結果だな」

勇者「……もう少しばかり気骨があるところ見せてくれるのかなぁって思ってました。最近では人間爆弾とか昔は僕ポイしたり色々してるワケですし」

勇者「僕のこと戦いに送り出した張本人なワケですよ? こちとら戦いの中で何度、黒焦げになったり酸引っ被って溶けたり生きたまま食われたりして死んでると思ってんですか」


勇者「……」

勇者「僕は死んでも生き返れちゃいますから、女神様に同じ目に遭え、とは、いえませんけど」

勇者「なんというか、もうちょっと、覚悟決めてくれてるのかなってね。まだ買い被りが過ぎたかな?」

魔王「戦士でさえ戦いの中にあっては、まあアレはアレで甘い考えではあったがアレなりに死ぬ覚悟は決めていたというのにな」

魔王「よくもまあ、このザマで、殺される覚悟を決めていると言えたものだ。殺されない程度と目に見えている痛みでこれとは……」

土の四天王「まァ……こッチがちョッと、過度な期待しテたッテいう気もあるンですけレど。いやア、まサカ致す前に気絶すルとは……」


魔王「愚痴仲間がどうというのはよくわかった」

魔王「これを酒の肴に飲んでも構わん、時間を取ろう。土と共に寝所に連れ立っても構わん、時間は取らせる。その前にもう少し居ろ」

魔王「様子見がてら一つ話を持ってきたのでな。急な話ではないが、今のうちに耳に入れておけ」

勇者「良い話ですかね、悪い話ですかね」

魔王「さて、どちらかな」

魔王「遊び相手が増えたという意味では良いが、急なものであるし未知であるが故軍団の我等としては悪くもある。天界軍がな、動き出すやもしれん」

勇者「確かに良いような悪いような。思ったよりも早いといえばいいのか、思ったよりも遅いといえばいいのかも、ついでにわからなくなる話ですねぇ」


勇者「女神様がここに来てから、えーっと二週間? ぐらいですかね? あっちにとっちゃ世界一個守ってる力の持ち主、それなりの地位にいる人物が捕えられて二週間」

勇者「さあ取り返すぞと決めて動き出すには中々の腰の重さ。なんですけどねフツー。あそこは腰の重さにかけちゃ折り紙付きですよ」

勇者「魔王戦役のときもニ~三年様子見してたぐらいですから、そこを考えると中々の腰の軽さ、のような」ミウチヒイキナダケカモー

魔王「その辺りはどうでも良いわ。兎角、軍としては、奴等を相手にする準備はまだ出来ておらん」

魔王「人間界を征服したあとでゆっくりと天界を攻め落とす準備を始めるつもりであったからな」

土の四天王「今、人間界征服に使ッテる兵ッテ、新生・魔王軍の約半分でスから残り半分もあレばどうとデモ対応出来ますけレど。警戒は大事ですネ」


魔王「そういうことだ、万が一ということもある」

魔王「我等の知らぬ戦術で、我等の知らぬ魔法で、我等の常識を超える何かで半分消し飛ばされんとも限らん」

勇者「それは流石に警戒しすぎだと思うんですけど。僕が討ち取ってからというもの、妙に疑り深くなっちゃって……」

魔王「元々そういう気があるのだ、放っておけ」

魔王「それにこちらは王手取る寸前でまさかの逆転負けで殺されておる身だ、分かれ」

土の四天王「いやア、ニ十年も前の話になルんでスねぇ。死んでたカラつい昨日の出来事にしカ思えなイんですけレド」

中途半端ですみませんが今日はここまで。続きは1月18日予定。
いつもご支援・ご声援頂きまして誠にありがとうございます。

本日はお待たせしてしまった上途中の区切りになってしまい申し訳ありませんでした。
次回投稿時にはキッチリキリのいいところまで進めようかと思いますのでどうかご容赦下さい。
それでは、ご視聴ありがとうございました。

誰も彼も幸せになれない物悲しいお話でした、アレは。誰だったか仔細がどうだったかは忘れちゃってますが、日記がすごく辛かったなぁ……。
と、さて、お待たせしました。キリのいいとこまで、短いってのにお待たせしちゃって申し訳ありませんでした、投稿させていただきます


土の四天王「まァまァ、そレより何よリ。それなラそれデ、対人間界用でなクテ対天界用に兵を造って備蓄しトキましョウか?」

魔王「それが良い。魔神のための生け贄用にいくらか人間が備蓄してあったな?」

魔王「あの中から素体を選んでも構わん。生け贄用はまた勇者に頑張らせる、が、ほどほどにな。総て使うなよ?」

土の四天王「……はィ」

勇者「はい、それはもう」


魔王「土、何故赤くなる? 勇者は、なんというか、絶妙な顔だな、面倒臭そうな嬉しそうな……」

土の四天王「……いェ」

勇者「いえ、それはもう」

魔王「なんだというのだ。いや、待て、言わんで良い。聞いたところでろくでもないことに違いないから良いとして、仕事はしろ」


勇者「HAHAHA、イエスサ……」アレ

魔王「む?」ヒガシカ

土の四天王「ン」ホクトウデスヨ

勇者「……先走りですかね」マオウッテバー

魔王「で、あろうな」ウルセェ

土の四天王「天界軍がこンなに早ク行動デきるとハ思えマせんかラねェ」


勇者「数は、五、いや、えーっと、六人ですか」

魔王「中々強い気配だぞ。場合によっては魔王軍への編入を許可してもよい」

土の四天王「編入許可されタッて頷くトハ思えませンけれど。そろそろ到着なサれまスよ」

勇者「いや、僕は許可しませんよ。少数でもおらが大将助けてやんぜって突っ込んでくる心意気は買いますけど……」


天使「聞けい悪逆無道の――!!!」

炎の四天王「Atrocious Attack!!!」ドパンッ

勇者「来た、と、おもったら早速炎さんに一人ぶっ飛ばされた。というか消し飛ばされた」ナンデアノヒト、コンナタイオウハヤイノ

勇者「天使さんがた、結構な上空を結構な速度でかっ飛ばしてきたスペックは認めますよ」

勇者「取り囲まれて攻撃されるのを警戒して地上に降りないのも、上空に浮かんでいても魔法が飛んでこないか警戒しているのも、それなりに油断が無くて宜しい」

勇者「けど世の中、一蹴りで魔法より速く空まで飛び上がってきて、一殴りで爆発四散させるような腕っ節を持った男も居ますからね」マイノリティデスケド

勇者「殴られた天使さんもまあ綺麗に無くなっちゃって、亡くなっちゃって……別にあの人無名じゃないんだから。あんなん居るのによく突っ込んでこれますよね」


魔王「相変わらず炎を全身に纏って参上しているが。アレ、実は結構熱いらしいな」

土の四天王「風サンが風で出来テるみたいに、水サンが水で出来てルみたイに、炎で出来た魔人みたイに振る舞ッテらッしャるけど」

土の四天王「フツーに私と同じ人間型の魔人でスからネあの方。なンか、イメージが大事、ッテ仰ッテ」

勇者「聞いたときは驚きましたよ。僕はてっきり本当に風さんや水さんみたいにそういうので出来た魔人なのかと思ってたんですよ」

勇者「ノリがいいというか、なんというか。Atrocious Attackってあんた……あんな技、持ってないですよね。天使さんが悪逆無道がどうとか言うから……」

魔王「うむ、しかし、そんなことを言っている内にも炎の奴、多段空中飛びを駆使して残りの天使共を次から次へと吹き飛ばしているが」

魔王「しまったな、奴がやってしまっては奴等の正確な実力がよくわからんではないか」


土の四天王「あノ方と戦いニなる生物すラこの世界では希少なほうでスよね。しかモ生憎そういウ生物の多くは私達側に属しテいる」

土の四天王「勝てル生物だッテここに居らッしャいますし」

魔王「魔界に我さえ居らなければ、人間界に勇者さえいなければ、二界において最強の座はあやつのものだったろうな」

勇者「そういえば、天界はどうなんでしょうねぇ。女神様はあくまで人間界の守護者ですから、天界の守護者たる方を見たことはないんですけど」

勇者「ちょっとだけ、いやいや居たら居たで至極面倒臭いですが、僕よりも魔王よりも強いのが居たら酷く面倒臭いですが、ちょっとだけ楽しみなような」

魔王「まあ、わからんでもない。何のかんの我も戦役時は、勇者が目障りで仕方なかったが、勇者程の強者が居ると知っては多少心躍ったものだ」

土の四天王「男の子しテますねェ。女の子の私にハよくわからなイので、居ない事ヲ祈りまスよ」


炎の四天王「ッハッハー! 不意打ち御免! まあ何! 悪逆無道の徒であるゆえ卑怯な手の百や二百は覚悟せねばなるまいて!」

炎の四天王「それに少々、急ぎでな! これから水殿と――」

勇者「あ、終わったみたいですね。お疲れ様でーす!」

魔王「次は勝手に飛び出さぬよう釘を差しとかんと」

炎の四天王「おお、勇者殿! 魔王殿! 目障りな羽虫共を消しておいたぞー! ではこの炎の四天王これより水殿と『でぇと』故これにて失礼!!!」バヒュンッ

勇者「……ああ、何か妙に外に出てくるのが速いと思ったら、お出掛けするために外に出てきたところだったんですね」

魔王「よくよく見てみれば下の方に水が待っているな。ハハハ、炎の奴が大声で逢瀬がどうのと言うせいでまた悶ておるわ」

土の四天王「かわイイものデスよネ。私よりずッと大人ッポイのに中身がアレですもン」


魔王「しかし、先走りとはいえ、天使共を吹き飛ばしたのだ。天界軍の動きが多少なりと早まるやもしれん、我は風と対策でも練ってくるか」

勇者「僕は土さんは寝室に、と、思ったんですけど。やっぱりこういうの、夜のほうがいいですね、昼はもう少しお仕事しましょーか」

土の四天王「平気です、勇者=サマ? 平気でシたら、私も私デ、えー、そう、あのー。備蓄の兵力補充ヲ……あと下着の準備……」ボソッ

勇者「平気になりました、気晴らしに派手なもの見れましたし。……貯蔵庫の人間の補給しなきゃ……」ボソッ

勇者「僧侶を連れていきます。補充がてら、街落としがてら、彼女もこっちの手に堕ちたぞーって人間共にアピールしてきますよ」


勇者「ついでに、戦士が死んじゃったのもお伝えしてきちゃいましょーかね。剣聖も死んだ、聖女はこちらの手に堕ちた、いゃあ~」

勇者「どんな反応してくれるか楽しみですね! 街々の皆様方ねー!」

勇者「ひゃっほう!」

土の四天王「お土産話、楽しみニしテますネ。僧侶=サンを見た反応のトコ詳しくお願いしマス、さ、それじャア私も一仕事!」

土の四天王「ひゃっほーゥ!」

魔王「元気になったようで何よりだが、やはり我は駄目だ、その勢いには付いて行けん……」

魔王「……若返りの秘薬でも探すべきか……?」

今日はここまで。次回は1月30日か31日のどちらか。次回こそは遅れないようにしないと……。
いつもご支援、ご声援、ありがとうございます。ご視聴もありがとうございました!

SSのまとめサイトとかでオススメーみたいな特集組まれてるタイトルならちょくちょく見てる、にわかSS読者な>>1であります。
ああいうとこのコメント欄、偏見かもだけど厳しい方多いよね~。ここは優しい方々多くて安心と言いますか。常々日頃より感謝であります。
いつもご支援・ご声援ありがとうございます。本日の投稿を始めさせて頂きます。

―― 僧侶、女神捕縛かに二週間と一日目。魔王城、土の四天王の研究所 ――


 いくつもの村が、いくつもの街が、いくつもの砦が落とされた今アノオー国の首都は厳戒態勢。
 王宮の内部から周辺まで、街中にも街を守護する壁と外にもずらりと重武装の兵が並び、襲撃に備えていた。

 しかし……


勇者「しかし、まあ。なんというか、まあ。事此処に至ってもまだ対岸の火事ってノリですねぇ、僧侶?」スタスタ

僧侶「はい」スタスタ

勇者「思い返してみれば二十二年前のあの日も、旅立ちの日もこんな感じでしたっけ、ねえ僧侶?」

僧侶「はい」

勇者「兵隊さんは揃っちゃいるけど、そのうち向こうに攻め入ってる兵隊さんがカタつけてくれるだろー的な」

勇者「民草も、そのうちなんとかなるだろー的な感じで気が抜けてるというか何というか。いやはや中々の賑わい、活気、物資」

勇者「一応戦時下なんで普段ほどメッチャクチャに物溢れてるってぇわけじゃあございませんが、平和なもんで――」ドン

勇者「っとと」

―― 僧侶、女神捕縛から二週間と一日目。アノオー国、首都 ――

でした。早速ミスった。すみません。


子供「いてっ」ドサッ

勇者「あら、あららー。これは失礼、荷物が……」

子供「ぼ、僕の方こそごめんなさい。余所見してた……」

勇者「ボサッと突っ立ってた僕が悪い。拾うの手伝いますよ、ほら僧侶もつったってないで手伝いなさいよ」

僧侶「お買い物ですか、少年。お使いでしょうか、えらいですね」

勇者「あ、手伝う気ないですか……そうですか……」

子供「うん、そうだよ。お母さんに頼まれたの」

勇者「そうですかー」ヒョイヒョイ、ヒョヒョイノヒョイ、ハイオワリ


子供「今日はシチューなんだよ、ビーフシチュー! 大好きなんだー、って、はやいねお兄さん」

勇者「袋もこうして紐でギュッとして、はいこれで溢れない。え? ああ、道端に落ちてるもの拾うのは得意なんで。どうぞ」

子供「あ、ありがとう。かわった得意技なんだね」

勇者「落ちてるものを拾うときは落ちてるものの気持ちになるのです。転がったジャガイモやニンジンの気持ちになり、早く拾ってくれという声を聞けば、おのずと手は其処に!」

子供「そ、そうなんだ……ジャガイモやニンジンの声聞こえるんだ……」

勇者「嘘ですけど」

子供「嘘なの!?」

子供「もう! お兄さん!」

勇者「ハハハ、ごめんごめん。でも、余所見には気を付けなきゃ駄目ですよ? 当たったのが僕でよかったものの、兵隊さんにぶつかったらもっと痛いから」

子供「わかってるよ! 兵隊さんにめいわくかけないよ! まおーぐんってのと、ユーシャって悪いやつが居るから、兵隊さん忙しいもん」


勇者「忙しい、ええ、うん、そうですね。坊やも協力してくれてますし、きっとすぐまおーぐんもユーシャもやっつけてくれますよ」

子供「うん、戦いにはいけないけど、いきたいけどお母さんが駄目っていうから、兵隊さんには迷惑かけないようにするんだ」

勇者「いい子だ。それじゃあ、もうお帰り。今度は気をつけるんですよ?」

子供「うん、ばいばい、お兄さん。あ、でも、ねぇお兄さん」

勇者「はい?」

子供「カツラずれてる」

勇者「え゛」


子供「お兄さん、髪真っ白なんだね。お爺ちゃんみたい。だからカツラかぶってるの?」

勇者「……」イソイソ

勇者「……どうです?」

子供「なおった。白髪染めしたら?」

勇者「良い色が中々見つからないんですよ。黒だとなんかホントにお爺ちゃんになった気分だし、金色はなんかわざとらしいし……」

子供「? 髪、だいじにねー。白になったらハゲるっていうし」

勇者「い、いや、それは年齢的必然というか……老いたら皆そう、いやでもふさふさの人も……いやでも僕の母方のお爺ちゃんがハゲだしな……えー……き、気を付けます」

子供「気を付けてね! それじゃーねー!」タッタッタッ


勇者「……」

僧侶「……」

勇者「何か?」

僧侶「いえ」

勇者「この僧侶、もう少し愛想良い人格にしてもらったほうが良いかなぁ……いやそも、とりあえず載っけてみた人格だからか? 後で土さんに相談するとして」

勇者「カツラ一つで驚くぐらい気付かれませんね。カツラなくても気付かれなかったりして」

勇者「僕の手配書ちゃーんとあっちこっちに貼ってあるんですけどね。魔王も、四天王の面々も。僧侶にしたって、んー」

勇者「いやあ、若返っちゃいますけど。僕に焼かれてからというもの顔はずっと隠しっぱなしでしょ、あなた。ならその顔、目立つは目立つと思うんですけど」


僧侶「先程から男性の方中心に、あの人綺麗だな、とか、お前ナンパして来いよ、などの声はあります」

僧侶「振り向かれたりもしますが、まさかこんなところに聖女が居る、勇者が居るとは思わないでしょうから」

勇者「思い込みって怖いですねー」スタスタ

勇者「はい到着、街一番の活気がございます、ここは中央広場~。いやあ、あんな露天こんな露天あったりして目移りしちゃいますが」

勇者「用があるのはさらにこの広場のど真ん中にございます、この無駄にご立派な、あのローガイの国王の銅像。いやあ、何時見ても憎たらしい」

勇者「そしてここに取り出しまするは戦士の剣。人間界一の鍛冶師が精魂と心血を注ぎ込んだ、彼の最高傑作たる、その名もまんま『戦士の剣』~」

勇者「コイツを」

勇者「この銅像に」

勇者「僧侶ごと――」

老人「……そこなお人」

勇者「後で回収にきますからね~、僧侶。安心してぶっ刺され……。……はい?」

老人「……お止めになってはいただけませぬか」

勇者「今からが楽しいところなんですよ。それに夜までには帰らにゃいけませんので少し急ぎで、水差すのは止めていただけますか、ご老体」

勇者「というか、子供にぶつかったり、老人に見咎められたり、少し不調ですねー今の僕ー。流石の僕も……まあ、裏声さんよりも付き合い長かったですしね……」

勇者「しかし子供は子供なりに敏い、何かに引っかかるものでもあったのかもしれませんし。老人は老人でもただの老いぼれではないみたいですので、仕方ないかな?」

勇者「なんともまあ、偶然もあるもので、いやはやお久し振りです。魔法使いの先生。賢者殿?」

勇者「大賢者、魔法使いは元気にしてます? 全ー然足取りも姿も掴めないんですよ、あの女」

老人「……」


改め、賢者「……姿形も、心内も、変わり果てられましたな、勇者殿」

勇者「おかげさまで。あ、このカツラいりますか? 思ったより蒸すんですよね、これ。その禿頭におひとつプレゼント」

賢者「説得などというつもりはございません。戦士も、僧侶も、女神様でさえ、貴方のお心は救えなかった。私如きに何が出来ましょうか」

勇者「フフフ、話を聞いてくれませんね。ノリわるし」


勇者「まあ、よろしい。訂正させて頂きますが、戦士は説得のせの字も出ませんでした、お前を倒すのはこの俺だーつって勘違い特攻してきました」

勇者「僧侶と女神様は、主に女神様は、説得というか公開オナニーショーをぶちかましたあとに、殺しにかかってきましたよ。結構ヤバかったです」

勇者「まあ、二人は見ての通り。戦士は色々あって死にました、僧侶もこれから色々使ったあとに殺します、女神様は……えー。保留」

勇者「とりあえずこの二人はこうなったよって宣伝しに、此処に」

賢者「その宣伝とやら、黙って見ているわけにもいきますまい」

勇者「黙って見ていれば多少なり長生きできますよ」

賢者「死に際に一つしこりが増えますゆえ……」

賢者「後悔というしこりは、死に際を穏やかにはしてはくれませぬ。ただでさえこの老いぼれ、長く生きている分だけそんなものが沢山ございましてな」


勇者「ほほう」

賢者「どうせ悩まされるというならせめて少なく、穏やかにならないなら、ならないなりに少しでもしこりは減らして逝きたく存じ上げます」

勇者「ふむ。いや、話が早くて助かります」

勇者「戦士も僧侶も女神様も、貴方のその姿勢を見習わせたいですよ。ではお互い、説得は無理という線で、ささっとはじめましょうか」

賢者「ふふふ。出来れば……ふとした散歩でばったりと、ではなく。きちんと、それなりの布陣を以て、相対したかったところではございますが……」

勇者「世の中巧くいかないものですよ。僕でさえ巧くいかないことばかりです」

勇者「まあ、でも、悪いことばかりでもありませんか。正直ガッカリするもの見せられたけれど、爽快なものも見れたし」

勇者「ちょっと残った憂さ晴らしがてらのお仕事では、たまにはきちんと覚悟を決めた御仁に出会えた。久々に人間と会った気分ですよ」

勇者「賢者殿に敬意を評して……特別ですよ~? 僧侶と一緒に串刺しにしてあげましょう。死に様を飾って差し上げる」


 カツラを取って捨て、白髪を陽の下に晒しながら、にっかりと笑顔を浮かべる勇者。

 それに何を思うか、皺と髭とに覆われた老賢者の顔は変わらず、ただ細い目を大きく開き。

 ――。



 ほんの数分後、買い物に来ていた主婦が。母のお使いにきていた子供が。ぶらりと散歩していた青年が、街を護っていた兵隊が、其々の悲鳴を上げる。

 中央広場のど真ん中に設えられた国王の銅像に、その胸に突き刺さっているのは戦士の剣。
 縫い付けられているのは年若い女性であった。見る者さえ見ればすぐにわかる、歳こそ不自然ではあるが、それはかつての聖女だった。
 縫い付けられているのは年老いた男性であった。見る者さえ見ればすぐにわかる、かつての大戦の英雄の一人、魔法使いの師、その人だった。

 アノオー国剣聖が、アノオー国聖女が、殺された。
 そしていずれはアノオー国大賢者も同じ目に遭わせると知らしめるように賢者も殺され。
 それをあろうことか厳戒態勢を取っていた筈の首都の、それも首都のど真ん中で行われた宣伝行為に、国は震えることになる。


勇者「爺さんも本望でしょう。男の子の夢的なものありますよね、英雄と共に死す、みたいな? たまにはいいことしますよね、僕も。ハッハッハ」スタスタ

勇者「それにしてもさて、さて、これでいい加減、現実を直視してくれるでしょうねぇ、アノオー国民諸君」

勇者「苦しめて殺すつもりはないんですけど。呆けたまま死なれるんじゃあこっちの気が晴れないんですよ」

勇者「しかし、ん~~~~……い~い悲鳴だ、中央から伝播して、伝播して、伝播して。残る全ての人々に届くと、いいですねぇ」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「Wonderful!!!!!(軍団)」

本日はここまで。次回は2月10日予定。
後二月とちょっとでこのスレはじめて一年が経ちます。それまでになんとか終わらせられれば良いな、とは、思っていますが。
去年の四月から今まで、相変わらず先のことは何にも考えず、ノリだけで書いておりますので終わるかもしれませんし終わらないかもしれませんし。
何にせよどうぞあんまり期待せず、ゆる~くのんびりとご視聴頂ければ幸いです。それでは、ご視聴ありがとうございました。

―― アノオー国、王宮 ――


国王「……」

大臣「……」

国王「……さすがに、応える」

大臣「……は。出国者、脱走兵こそおりませぬが、城内城下問わず不安に飲み込まれております」


国王「ふ。逃げてもどうにもならぬことぐらい誰でも分かる。首都にあっさりと入り込んで僧侶と賢者殿を串刺しにして見せられればのう」

国王「かつてはその数と暴威で逃げられぬと教えられたものだが。今度はよりあからさま手を打ってきた、やったのは勇者だったな」

大臣「目撃者の情報によると、おそらくは」

国王「で、あるか。まあ、それはよい」


国王「死者がたった二人であったことを幸いに思うべきであろう。たった二人、と、数えるには大きな戦力であったが……」

国王「民草に被害は出ておらぬ。勇者が此方にちょっかいを掛けてくるであろうことは予想しておったろう」

大臣「は。奴は最後の最後にここを陥れるつもりでありましょう」

大臣「最後の最後にせよ多少なりと此方にも手を出してくる可能性はありました」

国王「『遊び』でな。その時に『少々やり過ぎて』、結果民の半分ぐらいは持っていかれやしないかと気が気でなかった」

大臣「……遊び程度で進入され、少々やり過ぎた程度で半壊させられてはたまったものではありませぬ」


国王「致し方あるまい。四天王さえ、魔王さえ屠れる怪物であることは解っておったことだ。人と見て推し量ってはいかん」

国王「進入されるのも、最悪半壊はしても、いやそうならなんだは実に僥倖であったが、それはよい」

国王「余が応えると言うたのはそうで無くな」

国王「……僧侶の事よ……」

大臣「……は……」


国王「……おおそうだ、彼女を診た宮廷魔術師達の容態はどうなっておる? 腑分けして事実をその目で確認した彼らの衝撃たるや、報告を聞いただけの余らのそれの比ではあるまい」

国王「何人も倒れたと聞きはしたが、それからどうした」

大臣「ご安心を。休養をとらせております」

国王「目一杯休ませてやるとよい」

国王「勇者が、彼奴が率いる魔王軍が、いよいよをもってここに攻めてきたときには働いて貰わねばならん。今は目一杯休ませておいてやれ」


国王「……」

大臣「……」

大臣「……我々も決して清廉潔白などとは言えませぬ」

国王「うむ。分かっておる。分かっておるさ。人を改造するなど許されぬことだよ」

国王「人爆弾など正気の沙汰でない。勇者をああしたのも我々だ。勇者のことを言えたものではないが」

国王「……しかし……あれは……あんまりではないか。たかが……人形作りのために……何人の人間を使った……」


国王「……僧侶も……おそらくは、戦士のように。意識があるまま……そうされたと、思うと。……いや、しかし」

国王「これまでだ。これまでにしよう。やらなければならぬことがある」

大臣「はい、国王陛下。我等は負けるわけにはいきません」

国王「当然。それに、光明見えぬ道ではない」


大臣「天界の方々との合同戦線ですな、驚きました。まさかあの方々が人間に直々に手を貸すと仰っていただけるとは」

大臣「これより二時間後、代表の大天使様がお越しになられます。陛下とはそこで会談を執り行っていただきたく」

国王「破談になることはないだろうが、さすがに緊張はする。しかし胃痛は治まった」

国王「天軍が味方に付けば今より状況は好転してくれるだろう。女神様をお助けせねばならぬ、それも我等だけでやるのでなければ気も楽だ」

大臣「勇者も愚かなことをしました。まさか天軍がこうも早く……」

国王「待て待て、そういうのもあとにしよう。その勇者に関して確か続きの報告があったな?」

大臣「失礼しました。はい、賢者殿を……その……害する直前に、ですが。雷のような光を纏っているのを見た者がおります」


国王「大天使殿にも報告せねばならんことだ。勇者は魔法を使うときに雷光を纏う。あれはたしか、魔法の扱いが不得手故どうしても力を注ぎ込みすぎて魔力が溢れているからであったな」

大臣「はい。普通ならば溢れた魔力など目には見えぬか、見えても煙のようにぼんやりとした紫色が見えるものですが、勇者はそれが雷のような光として出てくる特異体質でありますれば」

国王「奇怪な体質よな。しかしそれ以上に奇怪なのは、そうあるということは勇者はその時、自分の魔力で魔法を使ったということになる」

国王「女神様のお言葉によれば、加護を引き止めることに己の全ての魔力を割いていて己では魔法は使えないというはずだったのに、だ」

大臣「わからぬのは、他の方法で魔法を使えるというのに自力で魔法を使ったということ。それをわざわざ衆目の場で使った事、ですが」

国王「意図は解らん。罠やもしれんが、それがどのような罠になるかも分からん。唯重要なのは……」

大臣「勇者は今魔力を取り戻している。ということは、女神様の加護を持っていない、かもしれない」

国王「そうだ。これは、新たな勇者が生まれる好機である、かもしれん」


大臣「わからぬことばかりです。加護もないのに奴はまだ若いまま、力も全盛のままのようでありますし」

国王「もともと馬鹿げた魔力の持ち主。大賢者もそれによって不老長寿であるではないか。このあたりも大天使様と協議せねば、だが」

国王「我等が知りえていることも。我等が持っている策も、戦力も。全てを話そうじゃないか」

国王「天軍も女神様を助けねばならん、必死であろう。そこに付け込むようで気が引けるが、あちらにも全て、話してもらおう」

大臣「人間界、天界を守るためでありますれば……」

国王「うむ……」

国王「それと、大臣」

大臣「……は」

国王「大賢者を。魔法使いを、ここに来させよ」

―― アノオー国、国境 ――


勇者「今日この日ここに僕が居るのは、ご加護の力の賜物。女神様のお力の賜物であるのは疑いようもなく……」スタスタ

勇者「どれだけ感謝してもしきれぬ大恩。それを捨てるというのは多少、気が引けんでもありませんね」イマカエリミチデス

勇者「こう、ちょっと、一抹の寂しさが過ぎらないわけでもありません」カゼサンガムカエニキテクレルソウデス

勇者「でも、もう、要らない、あの女には愛想尽き果てました」

勇者「……。訂正します」

勇者「あんな醜態晒した女の力とかいつまで経っても離さないでいたら格好付かないんですよね」


勇者「しかしこれで僕も晴れて一介の一生命。もう不老長寿の力も無い、死んだら誰かが蘇生させてくれないと死にっぱなし、お腹減るし排泄しちゃいます」

勇者「あのチャームボイスは少し勿体無かったかな、ああ、あと、聖剣も聖なる鎧とかも使えませんね」

勇者「今何処にあるのかも知りませんし使いたくても探しようがないとも言いますね、勇者様(裏声)」

勇者「そ、そうですけどぉ~。べ、別に元々使いたくありませんしぃ~」

勇者「デザインちょっと好きだっただけみたいな!」

勇者「デザインはよかったですね(裏声)」

勇者「性能は兎も角ね!」


勇者「しかしこれで僕も晴れて一介の一生命。もう不老長寿の力も無い、死んだら誰かが蘇生させてくれないと死にっぱなし、お腹減るし排泄しちゃいます」

勇者「あのチャームボイスは少し勿体無かったかな、ああ、あと、聖剣も聖なる鎧とかも使えませんね」

勇者「今何処にあるのかも知りませんし使いたくても探しようがないとも言いますね、勇者様(裏声)」

勇者「そ、そうですけどぉ~。べ、別に元々使いたくありませんしぃ~」

勇者「デザインちょっと好きだっただけみたいな!」

勇者「デザインはよかったですね(裏声)」

勇者「性能は兎も角ね!」


勇者「ぶっちゃけ古代の戦士の王が使ってたっていう剣の方が強かったです!」

勇者「天界人の鍛冶技術もたいしたことなかったですね、勇者様(裏声)」

勇者「ちょっと言い過ぎな気もしますが気のせいかと思われます!」

勇者「また古代の戦士の王の剣を取りに行きますか勇者様(裏声)」

勇者「取りに行きましょう!」

勇者「……どこにやりましたっけ、あの剣」


勇者「確か、当時、旅の途中で何処かの街に奉納してきたような、えーと。っあ、それと鎧も作らにゃいけません!」

勇者「魔王におねだりしてみてはいかがでしょうか、勇者様(裏声)」

勇者「おねだりしてみましょうか!」

勇者「何のかんのぶつくさ言いながら作ってくれそ……っと」


勇者「風さんがわざわざ迎えに来てくれたみたいです。向こ~~~のほうの空に風さんのワイバーンが見える」

勇者「本人はまだ見えません。というかあの方近くに居ても見難いんですよね」

勇者「風で出来てますからね(裏声)」

勇者「ね。それでは、帰りましょうか、我が家に。風さんにも火さんにも水さんにも土さんにも、魔王にも、魔力戻ったっていってビックリさせちゃいましょう」


勇者「きっとビックリしてくれますよ勇者様(裏声)」

勇者「反応が楽しみです、おーい、風さーん」

風の四天王「勇者殿~。迎えに上がりましたぞ~」

勇者「わざわざありがとうございます。いやあ、一人でも走って帰れるんですけど、やっぱ空の旅って気持ちいいですよね」

風の四天王「フホホ。お気に召して頂けたようで何よりですぞ。さ、どうぞどうぞ、お乗り下され」

勇者「ありがとうございます。ああ、行ってきましたよ、アノオー国首都。お土産話も色々あります、まずはね――……」

いつもご支援・ご声援ありがとうございます。本日の投稿はここまでとなります。続きは多分2月20日。伸びる可能性もありますのでその時はまたお知らせさせて頂きます。

賢者の今わの際の台詞とか出そうと思ったんですけど、串刺しにされたあとベラベラ喋るのもなんだし、回避しようとしたら地の文多くなっちゃったんで断念を。
もしかしたらまた別の形で出てくるかもしれません。

本日もご視聴ありがとうございました!

―― アノオー国首都の事件から一日後、魔王城 ――


勇者「……」ア~

勇者「……」イ~

勇者「……」ウ~

勇者「えお! かさたなはまやらわ! わ・お・ん! ヮ(゚д゚)ォ!」

勇者「……」ヨイショ

勇者「……」ヨイショ

勇者「……」ヨイショ

勇者「懐かしいですね。この静けさ」


勇者「なんかヘンテコな方便使うてた触手娘な料理番さん」

勇者「動きませんね!」ヨイショ

勇者「メッチャいかつい顔してるけど気は優しいガーゴイルの警備隊長さん」

勇者「動きませんね!」ヨイショ

勇者「なんでか本を濡らさずベタつかせず運ぶ天才スライムの図書司書さん」

勇者「動きませんね!」バシャーット


勇者「動けるようにしてあげますからね。すぐにね」

勇者「すぐですから。だからちょっと待ってて下さい。つーかガーゴイルさんすっげぇ重いな……」

勇者「……触手娘さんびっくりするぐらい軽いですね。スライムさんはこれえーっとば、バケツで」

勇者「掴めないんですよ。水状になっちゃって。変なもの混ざらないといいんですけども。そう。水さんもね」


勇者「水さんは……差別するわけじゃないですけど。こう。なんていうか。食器で運んであげようと思います」タプタプ

勇者「風さんは……どうしよう。えーっと。どこらへんで消えてるのか。とりあえず思いっきり空気吸い込みます」

勇者「ピンクの丸い生物も!」

勇者「かくやというぐらい!」

勇者「吸い込みます!」ギュオー

勇者「……」

勇者「吐き出します!」ボバー

勇者「そしてこちらが吐き出した空気を溜め込んでいく革袋になります。パンッパン。こん中に居てくれると良いんですが」


勇者「……」

勇者「炎さん。お部屋に行きますよ。なんかこうおもったより普通の部屋ですね? とか言っちゃって以降入れてくれなくなりましたけど」

勇者「勘弁して下さいよ。水さんが入ってるスープ皿ここの机に置いときますからね。目が覚めた時には目覚めのファックでもかまして貰って……」

勇者「……あれ? あの二人、まだそういう関係じゃないんでしたっけ? 清い交際とかぼく憧れます。爛れた交際も大好きなんですけどね、えへへ」

勇者「……」


勇者「……」

勇者「土さん。ぼくのお部屋のベッドにいきましょ。睡眠姦とかもいいと思いますけど睡眠姦つーか今これ死姦ですしちょっとね」

勇者「でもパンツは拝……ぶっは! マジすか! あそこ丸出しのショーツどころかもうノーパンですか貴女! マジすか……!」

勇者「落ち着け。落ち着けぼく。流石に死んでる間にアレコレあかんだろ静まれよ股間のぼくよ……!」

勇者「はー……ふー……ああ、取り乱した。ところでなんでぼくの部屋にいるんですかね魔王」

勇者「ん。なに。なんか手に握られてますね。メモ用紙? 書き置きがあります。事切れる前になんとか書き殴ったのかメチャ見辛い」

勇者「なになに」


勇者「お前の装備を作り直すのは間に合わなかった? うんうん」

勇者「我が身体から鎧と剣を剥ぎ取れ? ……うん」

勇者「お前の身体にも合うはず? ……え」

勇者「健闘を祈る。 あ、はい」


勇者「……」

勇者「いや、おっさん、アンタ自分の体のサイズとぼくの身体のサイズ分かってます?」バイクライチガウンデスケド

勇者「……」

勇者「まあ、物は試しに。それじゃちょっと失礼して。あれこれどう外すのかな……あーっとこうして……ああして……」

勇者「……」ガチャガチャ


勇者「うん。なんていうかこう。すごいですね。一応ね。物の試しみたいな感じでね。着てみたら」

勇者「まさかジャストサイズフィットになるまで縮むとはね」

勇者「じゃーん」

勇者「勇者with魔王装備!」


勇者「漆黒の鎧! を纏い、漆黒の剣! を持つ、ぼく!」

勇者「姿見見てみて自分で自分に惚れかけました。なにこれ超格好いい!!」

勇者「元々魔王の装備ってカッコイイと思ってたんですよね! トゲトゲいっぱいついてて! ゴツゴツしてて! 手の先とか尖ってて!」

勇者「ゴツいくせに何か細い所はキュッと細くて遠い未来だとコジマ粒子で動いてそうな外見なんでめっちゃカッコイイとか思ってたの!」

勇者「っうううううううううん!」

勇者「ヒャッホウ!」

勇者「ひゃっほう(裏声)」

勇者「Wonderful!!!!!!!(軍団)」

勇者「テンションまじ爆上げ! 殺意は最初から噴火している火山が如し! 各位の死体それぞれのお部屋にセットよーし!」

勇者「各位の死体を黄泉帰らせる準備もそれとなくよーし! テンションオーケー! 殺意オーケー! 色々オーケー出撃準備オールグリーン!」

勇者「さぁ、行きますよ!」

勇者「さあ、逝かせますよ!」

勇者「さあってば! ほら!」

勇者「……」ペタン

勇者「……」アハ、スワッチャイマシタ

勇者「行きますし」

勇者「逝かせますし」

勇者「……さあってば……」


勇者「……」

勇者「ナメたらあっかーんーとか思うててもまだナメてましたよナメてたところを大打撃二回目なんですけど喰らいましたよ」

勇者「……まさかね。……先走って突っ込んできて炎さんに爆発四散させられてそこらへんに散らばってた天使共の欠片をね」

勇者「片付けきれてない欠片を媒体にそこから天界の門を開くとは思いませんでした。雪崩込んできて。取り囲んで。一気に……」

勇者「……転阻法。まあ。ぶっちゃけると。生き返った奴皆殺し結界ですわな。あれ発動するとは思いませんでしたよね~」


勇者「しかも。アノオー国から帰って来た直後にするとは。おもいっきり油断してました。ぼく以外みんなまた死んじゃった」

勇者「ぼく一人。この魔王城でぼくはまた一人です。この魔王城を……いつでも攻撃に取り掛かれるように囲んでる天使の軍勢も」

勇者「最前線で陣頭指揮を張ってると思わしきローガイも。初めてお目にかかる大天使様も。茫然自失してる間に取り返された女神さまも」

勇者「なつかしき……あの日の姿がなぜかそのままの魔法使いも……取るに足らないことです。……また、一人……」

勇者「……」


勇者「テンションあがったのに。殺意ばりばりなのに。身体。力、入んない」

勇者「……これ」

勇者「……やばいかも」

勇者「……ヒャッホウ」

ひゃっほう! とかもうどの面下げて言えばいいのか解らない!
こんなにお待たせしてもうこの面出しにくかったけどエタらないって約束もしました、すみません守らせて下さい。
お待たせしすぎて頭上げられません。一年前みたく面白く書けるかもわからないです。すみません。お待ち下さった方、ありがとうございます。
今日はひとまずここまで。続きはそのうち。次は一年も待たせません。

―― アノオー国首都の事件から一日後、魔王城周辺 ――


大天使「正義は我らにあり、否、我らこそが正義そのもの、故に」

大天使「我らが屈することはなく、我らに寵愛された人間もまた屈するはずもなく、正義なき魔王軍ごときに正義たる天軍と人間軍が……」

大天使「と、実に怠慢と傲慢とが合わさって動かずじまい。見かねた女神さまが動かれたのを、見てやはり『ああ勝った』と動かず仕舞い」

大天使「魔王戦役における天界とはまさしくそのような有り様でありました」

大天使「勇者戦役でまたもそのような失態を演じるわけにはいかないのです」

大天使「此度もまたなのだろう、今回もまたなのだろう、どうせ愚鈍で恐れるにも足らない楽観主義者の集まりは何も出来ない」

大天使「勇者に、十分にそう思わせるために半月もの間これまでの惨状を見て見ぬふりをしてまいりました」

大天使「勇者が、人に何をしようとも……何人もの尊い命を奪おうとも……」

大天使「彼が塔から出てきた其の日に気付いていたのに……!」

大天使「……しかし、その、おかげで……見事に……不意を……」

国王「……」

国王「大天使殿」


国王「お気持ちは察する。余とて正味を言えばそれに何と思う気持ちはある、が、余にそれを言う資格が無いのも分かる」

国王「いや、そのような議論も何もかもを今は置き、初動の成功に浮かれず気を引き締めなおしましょうぞ」

国王「……相手はあの勇者でありますからな。どれだけ気を引き締めても足りぬ、それに……」

国王「早速予定外のことが起きておりますでな。奇襲、包囲、転阻法の起動からなる初動……」

国王「と、同時に、隠密作戦部隊投入による女神さまの奪還と。此の作戦に気づかれぬよう、怒りで飛び出してきた勇者を集中砲火しての足止め」

国王「奴が飛び出してこない挙句に隠密作戦部隊があっさりと女神さまを救出できたのはよいことですがな。女神さまの身柄的な意味でも弾の節約的な意味でも」

国王「のう、大賢者殿」


大賢者「ええ。女神様も何かされたような様子も無いとの事、ご無事であることお喜び申し上げます。それに勇者のあの様子」

大賢者「隠密作戦部隊からの報告を受け、あらため、透視魔法で確認してみたところ本当に呆けている様子ですわ」

大賢者「……」

大賢者「ワタクシが、こう、口にするのも少々憚られますが……」

大賢者「……二度目の、仲間たちの消失は相当堪えた様子で……」

大賢者「……」

大賢者「想定していた状況とは大きく異なりますが勝率は上がったかと。しかし大天使様、国王様」


大天使「承知致しております」

国王「うむ、軍を抱える身で一個人に負けるとは言いたくないが」

国王「空を埋め尽くすほどの天軍と。海を埋めるが如き船団、我らが人間軍の総員と。この完全なる奇襲、でもって」

国王「それに。女神さま。大賢者殿。大天使殿が揃って漸く……魔王一人に勝てるかどうか、と。なれば勇者相手にはまだ不足だと」

魔神「的確やね」

国王「無論そのことは弁えておるしその差を埋めるための策も幾つも有る。しかしこれならばと期待は出来る、呆けている今ならば」

大賢者「然り。想定外の事態でありますが運気はこちらに。出し惜しみはなしでいきましょう、ワタクシの活動時間もそう長く御座いません」

魔神「それもそうやね」

大賢者「今のうちに総攻撃を……」

大賢者「……」


大賢者「!?」

大天使「はっ!?」

国王「んぶぁっ!?」

魔神「どしたん? 総攻撃かけへんの? あ、そのまえにちょっと話聞いてくれへん?」

大天使「ま」

大賢者「ま……じ……っ」

国王「……っ」

魔神「魔神やでぇ。おっす、おっす!」ネブクロカタテニー

大天使「……魔神……さま……」

魔神「おっす!」ワテケンザン!


魔神「皆の衆元気してまっかー?」

魔神「天使長とかどやね。間違いを認められるようなったんは成長の証やね、せや! おっちゃん小遣いやろか!」

天使長「い、いえ、その、お、おおお、お構いなく……」

魔神「なんや! 若いもんが遠慮するこたないで! べつにおっちゃんの事昔あれやほらほれ女神派やから言うてほれー」

魔神「このくそアマを天界の長とするためにワテに色々難癖つけて魔界に放逐したときのこととかもう忘れてええねんて」

天使長「……」

女神「……」


魔神「アノオー国の王様いうんは君か! 立派な体格しとるな! 年柄年中ワインとか甘いモン採っとるからかえらい贅肉だるっだるんやな!」

国王「……初めてお目にかかりまする、余、いえ、私めは仰る通り――」

魔神「ええ、ええ! まどろっこしいのなしや! 贅肉ぽってりボデー仲間同士仲良くしよや! ワテもほれ食っちゃ寝しとるからこの通り!」

国王「ハ、ハハ……」

魔神「HAHAHA!」

魔神「あ、トモダチにはなるけど野球と政治の話は勘弁やで! 特に政治な! 君ほど頭も心も悪うとかようならんわ! 魔神の称号あげよか?」

国王「……」


魔神「魔法使いちゃんはどうやったっけ、会うたことあったっけか。あ、なかったわ、でもええねんて。こっそり見とったでー!」

魔神「ようもまあ同じ釜の飯食うどころか粘膜擦りおうとった恋人裏切ったなコイツー! みたいな。な!」

魔法使い「……」

魔神「でもええでー許したる、勇者くんに懇親の呪いかけられとんやったっけ、あれすっごいドギツイな!」

魔神「確か一日の始まりから一日の終わりまで二十才から九十歳ぐらいまでいーっきに加速するんやない?」

魔神「キッツいな! なんとか女神の加護と持ち前の魔力で全盛期の時間伸ばしとるみたいやけどー」

魔神「もう年老いると認知症とか骨粗鬆症とか発症して大変なんやろ。たまに耐えかねて発狂しとるもんな」

魔神「あれワテ思うんやけど『自分が送れない人生を送ってもらおう』的な意図になっとるんやないの。恨み篭ってえっらい方向に捩じ曲がっとるけどー」

魔神「キツイわー! ちょっと救けたろかしらと何度迷ったことか! でも自業自得やしこれからも元気に年老いとくとええわー」

魔法使い「……」


魔神「あ、女神ちゃん起きたんや? 何さっきからずーっと黙りこくっとんの」

魔神「あ、やから言うて喋らんで良え、貴様の声なんぞ耳に入れたら昼飯全部出るわ」

女神「……」

魔神「最初から、私は手段を選びません、私は人々のためになるなら如何なる手段も講じます、と、公言するならまだ潔いものを……」

魔神「仕方なかった、やるしかなかった、ああだここだ、ひとしきり言い訳並べて善人面のその醜い面見るだけでも吐き気がする!!」

女神「……」

魔神「あかん。つい素で喋ってもた、ともかく黙っとれ、黙っとるな、よし。んでな、皆の衆、こっからが本題やで?」


魔神「勇者くん。わての加護、与えることにしたから」

魔法使い「えっ」

大天使「!?」

国王「?」

女神「……!!?!!???」

魔神「勇者くん、わての加護でさらにパウワァアップ! ついでについでに! 今なら! 初回特典で!」


魔神「……」

魔神「いや、というか、これはスタンダードについていて当然だとは思うんだが。何故か女神が入れてないからやたら特別感出るだけでな……」

魔神「加護を与える以上もはや彼は我が息子にも等しいわけだな、で、息子に手を出されて憤怒せん親はそう居るまい? というわけで、だな」

魔神「あの子に手ぇ出したらワテ暴れ出すさかいに」

魔神「よろしゅうな」ニカッ

皆様方の暖かすぎるお言葉の数々に色々な意味で悶絶しつつ。時たま覗き直してニヤニヤしつつ。
ご心配してくだすった方、ご期待して下すった方、お待ち頂いていた方、ありがとうございます。
本当にありがとうございます! 一年前でも今日でも投稿の前の挨拶は基本忘れる私でしたー!
今日はここまで続きはそのうち! 大丈夫、次も一年なんて待たせない。

因みに私は関西出身やありまへんので関西弁はなんちゃってのそれやさかいに、これおかしくね? 思うても勘弁してくだせぇな!

ひゃっほう!! お待たせいたしました! 作者にございます。
お待ちいただいた方、踊っていらした方にお気遣い頂いた方に保守して下さった皆々様いつもいつもありがとうございます。
九月末日、三十日ぎりっぎりのギリになってしまいましたが。予告通り短い形になってしまいましたがこれより投稿させて頂きます。

―― アノオー国首都の事件から一日後、魔王城正門前 ――


魔神「――とは、いうてみたもののなーそらなー来るわなー」

魔神「めがっさ進行準備進めとるやん」

魔神「めっちゃ隊列組んどるやんけー」

魔神「なんやえらいゆっくりしとるけどええんかアレ。素人目に見てもゆっくりやぞ、ゆっくりしていっとるね!?」

魔神「練度不足っちゅーことかな。天使どもも大天使も女神も賢者ちゃんもワンマンプレーできるもんやさかいなぁ」

魔神「程度の違いはあれど個々で強いと集の戦闘てあんまやらんもんな。そー思うと魔王くん優秀やったんやなぁ」

魔神「天使よりふつーに強い魔族ふつーに集軍して行軍させとったもんな、ああ人間界オワタわとか思うたもん」

魔神「しかし来てまうかーワシ懇親もとい渾身の脅し文句やったんやけどな」

魔神「けどまーなこのチャンス逃してもうたらもう勇者くん討つチャンスあらへんかもしれへん」

魔神「勇者くんただでさえ笑ろてまうほど強いんに魔王くんと四天王おったら無理ゲーやもんな」

魔神「魔王くんと四天王おらへん今がチャンスや、そやそや! ワシみたいな黒豚おっても問題あらへん!」

魔神「って」

魔神「ナメとんのかーーーー!!! そやむっちゃくっちゃナメられとるんやんやなワシ! 黒豚て! ひどいわ! あんまりや!」

大天使「……」

魔神「黒豚がどれほど愛されとる思うてんねん焼いてよし似てよし揚げてよし、メインからトッピングに酒のアテまで大人気やぞ!」

魔神「黒豚=ワシいうことはワシ=黒豚でありワシ=愛されやろ!? 愛して! 愛する黒豚が皆に警告しとんねんで!」

魔神「味に免じて、ここはひとつ黒豚の顔を立て……とかならんのか!? ほんっま天界集も人界集も愛が足りん!」

魔神「味に免じてたら世界崩壊の危機やもしれんから気持ちわかるけどな! ガッハッハッハ!」

魔神「やもしれんやなくて、危機やったわーワシうっかりーガッハッハッハー!」

魔神「……」

魔神「むなしい」


魔神「え、一人でノリツッコミしすぎるのこんなむなしいの。ワシもう限界よ? ワシたった数分でもう限界よ?」

魔神「二十年間も一人ノリツッコミしつづけまくる勇者くんてどないなっとんねん……」

魔神「二十年どころかそういや出てきてからもよう一人でぶつくさ言うとったな……」

魔神「……ようやく一人で喋らなくても済むようになった途端にコレやもんなほんっと天界集あたまおかしいんと違うか」

魔神「せめてあの時殺してやればよかったものを。殺せもせんのに中途半端に殺しに掛かるからこないことなってんねや」


魔神「つーかな。ちょっとそこの。ワシが黒豚ノリしとるときから居んの知ってんねんで」

大天使「……いや、その」

魔神「気の毒そうな目で見るんやめぇや! おどれが居るからワシボケとんのにおどれ何気まずそうな顔して突っ立っとんやコラァ!」

大天使「その……」

魔神「そのやあらへんわ! 突っ込まんかい! 突っ込めや! 突っ込んで! 手に持っとるその槍飾りかおい!?」

大天使「この槍で突っ込むのですか魔神様!?」

魔神「それや!」

大天使「これで!?」

魔神「違う!」

大天使「何が!?」


魔神「何がってお前こうあるやろ!」

魔神「ボケたら突っ込む、トークの基本やろ!」

魔神「誰もほんとにその槍でぶっ刺せ言わんわ痛いやろが!」

大天使「痛いで済む問題ではございませんけれども!」

魔神「それや! なんでそれせーへんのやさっき! ワシめっちゃ寂しかったやろが!」

魔神「ほんっともう君らとは解っとったけどノリ合わへん! コンビ解消させて貰います!」

大天使「コ、コンビも何も魔神様はとっくに天界から去られてえーと魔神様いうところのコンビは解散してますが……」

魔神「気持ちの問題や! もう君ら敵な敵! あんなこと言うたし天界から追放された恨みもあるけどほんまは元同族やし色々思うとこあってん!」

魔神「もうええ! 最後の一線きれてもうた! 宣戦布告とか律儀にしにきたんはえらいけど帰って全軍突撃してこんかい! 返り討ちじゃー!!」


魔神「……」

魔神「……ってまだ隊列出来てへんのかい! 君らこの期に及んでまだ勇者くんのこと舐めとるのか!?」

勇者「なめてますね」

魔神「なめとんな!」

魔神「せやななめとんな!」

勇者「せやろなめとるやろ」

魔神「な!」

勇者「な!」

天使長「な――!?」

魔神「ぎゃーーー!」

勇者「ぎゃーー!?」


魔神「え、ええ!? ちょっと勇者くん!? 何で居るの! さっきまで玉座の間でどえりゃあ凹んどったやろ!?」

勇者「いや、なんか正門の前むちゃくちゃ喧しいなって」

魔神「あ、ご、ごめんな」

勇者「ええんやで」

魔神「ありがとな」

魔神「やなくて! 立ち直り早やない!?」アトナンデチョットクチョウウツッテンネン

勇者「いや僕のメンタルどないなっとんねん言ったの貴方ですよ。僕のメンタルはもうオリハルコンもビックリですよ」

勇者「オリハルコンもビックリなぐらい固いのに折れても綿あめみたいにぴとっとくっつく脅威の新素材メンタルですよ僕のメンタル」

魔神「綿あめちぎってくっ付けても歪なんやけど! 元に戻ってそうで元に戻ってへん……」

魔神「……ああそっか、まだちょっと落ち込んでんのな」

勇者「はい」

魔神「わかったそこで大人しゅうしとき。ちょっとの間ワシやっとくから」

勇者「はい」ホンット、キョウイノニンジョウヤナ、マカイシュウ


魔神「じゃ、帰ってええで、大天使。それとも先に一戦、やっとくか?」

大天使「……はい?」

魔神「いくら力が衰えとるたぁ言え神は神、魔神は魔神。軍隊ぶつけりゃ勝てるやろーけど損害出るなー厭やなー」

魔神「私が先に戦って消しておけば勇者戦も恙無く済むなー」

魔神「とか、考えとったやろ? 勇者くんが居るんで出鼻挫かれたみたいやけど。勇者くんはほれ今こう無気力状態やし」

勇者「そふぁあああああ」

魔神「見い。人をダメにするソファもってきて寛ぎはじめてもうた!」

勇者「そふぁぁぁぁぁぁ」

魔神「ふざけとるようにしか見えんけど声がマジ死んどるからな……」

魔神「手出しして来ぃへんやろし。ちうかできひんやろし。ええんやでぇ大天使? 黒豚消しにかかってもええねんでー?」


大天使「……」

魔神「せやせや、そうこなな、こっすいこと考えとる癖して見た目凛々しく槍構えとるとこ見るとほんま己もあの女の眷属や思うわ」

魔神「ええでぇええでぇ。そんならやろか? やろうやろう。フフフ、ワシもなんやかんや優しいもんやで……」

魔神「……同族と、信奉した女が殺されてくとこ見んで済むようにしたるたぁなぁ。来いやあ!」

魔神「Hee!」

勇者「Haw!」

おーしょーうーがーつー。のーまえのー。
ひゃっほう! 投下いくぜー! トリップどうつけるか分かんないから此の儘だけど!

―― アノオー国首都の事件から一日後、魔王城正門前 の ソファァァァァァァ――


勇者「……」ソファァァァァ

勇者「……」ソファァァ

勇者「……」ソファ!

勇者「……」

勇者「……」


勇者「……」ウツラウツラ

勇者「……」コックリコックリ

勇者「……ん? ……眠い? ……あ、これ、魔法? やっば……ァー」スヤァ

勇者「……」

勇者「――」


勇者「ぼく、ゆーしゃ!」

父「うむ、お前は勇者だ!」

勇者「ちちうえ、まおー!」

父「うむ、父さん魔王だ!」


父「って、えー! 父さんまた魔王か! 父さんもたまには戦士とかやりたいよ!」

勇者「やーだー!」

父「んもう! しょうがないなー! しかしお前はほんとに勇者ごっこが好きだな」

勇者「だいすけ!」

父「うむうむ、いいことだ。勧善懲悪、世に悪は栄えた試しなしというし」

父「……ところでそれを言うならだいすけじゃなくて大好きだぞ、勇者よ」

勇者「ゆーすけ!」

父「さらに離れたな! フハハハそのざまではこの魔王を倒すことなど出来んぞ!」

勇者「でたなまおー! うおおお! これからのかつやくにごきたいくださいー!」

父「って、えー!!? 終わった! 終わった!? えっ? ちょっと待って今終わった!?」


勇者「おひるごはんですって。ははうえがよんでいます」

勇者「ざんねんだけどまたこんど、つきあってください」

父「お昼ご飯か! 母さんが呼んでるならしかたないな」

父「なあ勇者、それなら今度こそ父さん戦士をだな……」

勇者「ゆくぞまおー!」

父「はい」


父「……」

勇者「……」

父「なあ、父さん、戦士を」

勇者「なんですか、まおー」

父「なんでもないですはい」

勇者「ちちうえだいすき」

父「応よ魔王だろうがなんだろうがやったらぁ!」


父「――でねー! 勇者ってば父さんに全然主役やらせてくれねぇの!」

母「うふふふふ。いつもいつもノセられちゃってるあなたが悪いのよー」

父「かなぁ!? でもあの笑顔を見てると……」

母「かわいいわよねぇ、ついつい言うこと聞いてあげちゃうのよねー」

父「さすが母さんの子だ!」

母「あらあら、あなたの息子でもありますわよ、さすが私達の子です」

父「そう俺達の息子マジ天使!」

勇者「そしてそんなことめのまえでいわれるぼくは、まじはずか死」

父「ひゃっほう! そんな勇者もマジかわゆす!」


勇者「――」

勇者「……ぬありゃあ!!」カクセイ!!

勇者「……なんつー昔の夢を……郷愁の思い余りまくって死にたくなってきた……!」

勇者「くそったれめこの感触は女神様と魔法使いか! コロッといってるうちにサクッと作戦!?」

勇者「眠りの魔法とか子供だましみたいな魔法使ってくるとか思わなくてフッツーに油断してた!」

勇者「つーか僕は阿呆か! つーか僕は底抜けの阿呆だ! 油断してやらかしてんの何度目だってんですか学習しろー!」


勇者「お父様に叱られてしまいますね、勇者様(裏声)」

勇者「父上に叱られるどころか拳骨で頭蓋陥没させられますよ! あの方怒ったらほんっと恐いんですから!」

勇者「しかし、失敗を苦にして踏み出せないとさらに叱られてしまいますよ勇者様(裏声)

勇者「父上にさらに叱られるどころか母上にまで説教コースかもしれませんね! 精神的頭蓋が爆裂不可避です!」

勇者「では、勇者様(裏声)」

勇者「はい、気を取り直します!」


勇者「しっかし気分的に落ち込んでたらあんな魔法まで効くほど耐性落ちるとか僕の身体どうなって、って……」

勇者「やっばい魔神様! というかしまったまたやらかしたこんなことやってる場合じゃないんですって!」

勇者「こーゆーパターンのときは大概味方側がやられてるもんなんですよ!」

勇者「……あ、でも、魔神様のことだし天使長程度サクッと……」

魔神「おぶぶぶぉぉぉ……ゆ゛ゔじゃぐん、ぐっぼーじん……」

勇者「あ、メチャクチャボコられてますね」


勇者「……」

勇者「魔神様ァァァァア!?」

勇者「ちょっと! 予想を遥かに超えるボコられっぷりなんですけど!」

勇者「魔神様なのか黒餅様なのかわかんない顔になっちゃってるんですけど!」

魔神「……がいめいずるが……」

勇者「改名しなくていいです!」

勇者「というか大天使様の得物って槍ですよね! 槍と戦って刺し傷一つもないくせに顔面殴られ痕だらけってどういうことなんですか!」

魔神「……」

勇者「……ん? あ、耳貸せって?」


勇者「……はい、はい? なんとか不意打ちで槍を奪ったはいいけど? 手も足も出ない? 運動不足で?」

魔神「……」

勇者「……はい、はい? 思った以上に身体が鈍ってて? 色々大口叩いたのに手も足も出ないとか死にたい?」

魔神「ぐすっ」

勇者「あ、泣かないで、大丈夫、大丈夫ですから。ね! 僕、がんばりますから!」


勇者「僕、勇者ですよ」

勇者「ね、勇者ですから」

勇者「弱き者のために立つとかむしろ本懐ですし? なんかホントに力湧いて来たし?」ワレナガラホントドウナッテルンダロ、ボク

魔神「あかん……もうホントあかん……こないなっとる勇者君引っ張り出すとか……ワシ、改名する……」クロモチサマニナル・・・

勇者「いやたしかに黒餅っぽい体系ですけどっていうか顔徐々に戻ってきてるのは凄いですね!」


勇者「……致し方ありません。黒餅様を魔神様に改名し直させるという大事はあとで魔王たちに丸投げするとして」

勇者「僕はこっちの連合軍(しょうじ)を片付けますか。まったく、勇者も楽じゃありませんが、良いでしょう」

勇者「そこの大天使、むこうの女神様に魔法使いに王様たちに天使達全員に言ってますよ聞こえてますね?」

勇者「落ち込んでる暇なくなりました」

勇者「選手、交代です」


勇者「……というか、根が甘ちゃんなのか、戦闘ってもんを知らないのか、ミックスされて手がつけられない説推しますが」

勇者「いや、待っていて下さるのはありがたいのですけれども、待っていなくてもよろしいですよ、大天使様」

大天使「いいえ。迂闊に手が出せなかっただけですよ、今更仁義に悖るだとかいったことは言いません」

大天使「貴方はどう出るかわからない、そも、私一人では貴方に勝てない」

大天使「幸い、こちらの浮足立っていた陣営も、貴方が騒ぎはじめてから漸く気を取り直して攻撃態勢を整えたところです」

勇者「ああ、なんだ、また僕の悪い癖が出てるだけですか。すみませんね、どうも、僕は油断しまくり相手舐めまくりの傾向強いみたいで」

勇者「魔王と戦っているときにはこんなことなかったんですけれど。ああでも、申し訳ない、それで一つ思い出したことがございましてね」


勇者「数揃えても無駄ですよ」

大天使「……」

勇者「あ、いや、幾ら数があろうと質が駄目ってのもあるんですけど数を揃える事が先ず駄目なんです」

大天使「……はい?」

勇者「僧侶と女神様と僕と魔王のタッグ戦ってお聞きになりました?」

大天使「……はい」


勇者「魔王が、僕ら、僕と魔法使いと戦士と僧侶のパーティがね、見たことない魔法ぶっぱなしてたじゃないですか」

勇者「周りの被害を一切顧みないことで漸く使える、周囲殲滅型の魔法ね。まあ皆々様も色々と用意してきたみたいですが……」

勇者「……いや、しんどいですよ? ……だって、魔王城も、魔王城の中にいる皆も吹っ飛ばす羽目になっちゃいますからねぇ」

勇者「でもこの状況、たった一発で、どーんってね?」

大天使「!」

勇者「黒餅様」

黒餅「あいよ」

勇者「後で必ず、蘇生しますから」

黒餅「うん、よろしくな。準備どれぐらい掛かる?」


勇者「一分」

黒餅「うん。大天使に、女神に魔法使い相手に一分か。しんどいけどまぁなんとかなるやろ、命守る必要ないなら」

勇者「では」

黒餅「またな、勇者君」


勇者「……使うのは、初めてですね。……あ、魔法使いはなんか感づいたっぽいかな? 血相変えてら、ハハハ」

勇者「ああ、無駄無駄。流石にいくら鈍ってても魔神が捨て身で掛かっていけばレジストしてる暇無いです」

勇者「魔法使いもこういうの持ってるんでしょ? 女神様があとなんとかギリギリかな」

勇者「使う暇もありませんけどね、というか黒餅様凄いな、いくら捨て身になったからって大天使引っ張って突撃してっちゃった……」

勇者「……こうなると、先に戦士と僧侶と賢者殿やっといてよかったですね。あの三人が残っていたら成功しなかったかも」

勇者「なんかほんっと色々策練ってきてたみたいで。真正面から戦り合ったら勝てなかったかもしんないですから」

勇者「……やだなあ、皆、吹っ飛ばしちゃうの……」

勇者「……名前、どうしましょう。魔王のは、日輪よ喘げ、でしたっけ。魔王らしいニックネームというかなんというか」


勇者「じゃあ僕は勇者らしく。――光あれ」

勇者「ヒャッホウ」

なんとか、なんとか年内には投稿出来た! 今回はここまで。続きは期限を設けて達成できるかがわからないのでまたその内に。
大丈夫、失踪だけはしない。
今年も沢山のご支援・ご声援ありがとうございました。来年もまた盛り沢山のご迷惑をかけるかと思われますがどうか宜しくお願い致します。
皆様、良いお年を! ヒャッホウ!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年05月15日 (金) 18:40:01   ID: 6gilmQmf

ウゼェ〜。読んでてイライラする。
さっさと話進めろや。

2 :  SS好きの774さん   2015年05月20日 (水) 23:03:01   ID: gB2dMWkh

続きが気になります。

3 :  SS好きの774さん   2015年05月25日 (月) 23:57:12   ID: _8XHQFqg

さっさと話書けや
ボケが(怒)

4 :  SS好きの774さん   2015年05月27日 (水) 13:55:47   ID: TSyoiLK-

木になるやろが

5 :  SS好きの774さん   2015年06月16日 (火) 15:10:30   ID: lV43TuiF

面白れー!
更新待ってます!

6 :  SS好きの774さん   2015年07月11日 (土) 03:01:41   ID: FmtXVlnV

ウゼェ

7 :  SS好きの774さん   2016年01月10日 (日) 01:46:18   ID: 0QYrCL7m

スカッとするわ

8 :  SS好きの774さん   2016年01月10日 (日) 21:42:17   ID: fz4KB3xs

こう言うの良いわ~
スカッとして

9 :  SS好きの774さん   2017年05月13日 (土) 23:59:29   ID: UZFMQH3t

ひゃつほー

10 :  SS好きの774さん   2017年09月11日 (月) 17:30:16   ID: vud5ePcx

頼むよ続きが見たくてしょうがないんだ

11 :  SS好きの774さん   2018年01月10日 (水) 03:51:54   ID: RHsFL4rA

だんだん勇者の残虐さが薄れてきてるな。仮想通貨の今日この頃。

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