翔鶴「幸先に至る縁」 (11)

注意書き

・この物語はフィクションであり実在の(以下略っぽい
・艦これSS初な>>1は原作知識をあんまり持ち合わせてないっぽい
・しかもアニメとゲームの設定を微妙にシェイクしちゃってるっぽい?
・地の文主体にするだけで何となくシリアステイストっぽい
・事と次第によっては悲惨な展開もあるっぽい・・・
・なので日常もの以外受けつけない提督はあっち向いてぽい
・キャラ崩壊の可能性大なので贔屓の艦娘がいる提督はくれぐれもご了承っぽいぽい

・ぽいぽい言ってるわりにメインは鶴姉妹&提督っぽい

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出だしからトリップミスったorz
今回は触りのみ投下します


プロローグ


――19××年。某国の株価の大幅下落を発端に壊滅的な打撃を蒙った世界経済。

買い手がつかず山となった不良在庫。債務不履行を恐れて銀行が資本の抱え込みに走る。
滞る融資。連鎖的に倒産していく企業。街に溢れ返った失業者。高まる政治への不信、不満。
財政の復旧に努めようと苦心惨憺する政治家、資本家たち。打ち出される急場しのぎの施策。
代償として切り捨てられていくもの。その筆頭――外交政策。
先進国――国民の不満解消の術を模索。国外へ転嫁しようと画策。消費を加速させるために手頃な敵対国を欲する。
なされた挑発的行為の数々――輸出入の差し止め、融資の差し戻し。
加速度的にきな臭くなっていく国際情勢。もはや戦争は避けられないといった空気が漂い始める。

すべてを覆す分岐点。

ある時期を境にして、太平洋を航行する貨物船舶、旅客船、遠洋漁船の沈没が相次いで報告される。
仮想敵対国の暗躍を疑い、先進諸国から調査と銘打って派遣された駆逐艦、軽巡洋艦。そのことごとくが沈められる。
異変が人ならざる存在によってもたらされたのだと気づくまでに、時を要することはなかった。
救命ボートで運よく近くの島に流れ着いた船員、軍人たちの証言。
直情的、退廃的。支離滅裂のようでいて、しかし一致するその概要。


『見たこともない化け物が襲ってきた。海に投げ出された全員、あいつらに食われちまった』


かくして行き着いた思考。別段、戦う相手が人間である必要はない。
対外的な影響力の増進を図る先進国、速やかに討伐軍が編成される。
当時としては最高峰の電波探信儀(以下電探)、砲撃兵器を搭載した軍艦。過去の大戦を生き延びた歴戦の兵士たち。
幕僚たちの激励を受け、海へ送り出される大艦隊の威容。見送る人々の歓声――化け物たちの駆逐を確信。


その数週間後、軍務大臣の執務机に山と積み上げられた書類――敗戦報告書。
被害規模、遺族補償、傷病者手当ての試算――桁違いの数字。卒倒ものの大敗北を喫する。

海には何物も浮かばせないとばかりに船を沈め、人を食す化け物たち。
細切れにされたシーレーン。ずたずたにされた同盟国間の連携。
生き物と無機物を掛け合わせたような異様さ。その造形がどこか船に似ていることからつけられた呼称、『深海棲艦(しんかいせいかん)』。
その猛威は止まるところを知らず、遠洋のみならず近海での出没が確認されるようになる。

多くの漁師――廃業を余儀なくされる。
観光業の衰退――白い砂浜から海水浴客とゴミが消える。
太平洋、インド洋、大西洋、地中海――もはや安全な海域は存在せず。

被害拡大――世界の最先端を行くと自負する某国の試み。
開発中の航空機を軸としたエアラインの新規開拓に乗り出す。一年を待たずに頓挫する。
離島への食糧支援のために飛ばした輸送機が、正体不明の飛行物体によって立て続けに撃墜されたがため。
敵の行動範囲は海のみならず空にまで及んでいた。

明らかになる敵艦載機の性能――護衛戦闘機をものともしない取り回しと火力。
傷つけられるや我が身を惜しまず相手の動力部目掛けて突っ込んでいく攻撃姿勢。
機動性、耐久力、数量、いずれを比較しても太刀打ちできず。
新兵器の開発に一縷の望みを見出すも費用の確保が叶わず、設計図の大半は眠ったままに。

滞る物資の輸送、生産能力の低下、経済の低迷に伴い、衰退の一途を辿る枢軸国。
各々が事態の打開を目指すも満足な成果は上げられず。人の居住区域――海岸線から遠ざかる一方。


さらなる追い打ち――やむをえず内陸部へ移住した者たちを嘲笑うかのように始まった空襲。
目についた人工被造物を片っ端から爆撃し、海へ向かって悠然と飛び去っていく敵機の群れ。
生活の困窮――物価の高騰、食料の高騰。
家を失った者や身寄りをなくした子どもたちが、列車の駅や地下道に溢れ返る。買い物に出かけて物乞いの声を聞かぬ日はなくなる。

打開策を見い出せぬ首脳たち。彼らに見切りをつけた側近。一族郎党を引き連れて中央アジアの国々に亡命。
都市――しばしば暴動が起こるようになる。そのほとんどが鎮圧される。双方に怪我人と犠牲者が出る。
より険悪になっていく官民の関係。治安の著しい悪化を招く――世界中。

抜け出せない負の連鎖。相次いで台頭し、失脚していく指導者たち。入れ替わり立ち代わる内閣の顔ぶれ、年に数回のスパン。
方針転換の度に混乱し、振り回される官僚たち。普遍的な政策の立案、施行さえ困難な状況に。上に立とうとする誰も彼もが支持を失う。
ある意味納得の事象。世界滅亡を説く類の、自称救世主が蔓延る。深海棲艦を神と仰いでありがたがる信者たちが現れる。
そのどちらにも無慈悲な死が与えられる。


そんなかつてない混迷期にあって、ある朝、人々の目を釘付けにするニュースが舞い込む。
その発端――地方紙の一面を飾った見出し。


『帝国海軍、深海棲艦を撃退か』


戦端が開かれて以来ほとんどなかった、無傷での戦果報告例。
情報の真偽を疑う者は決して少なくなかった。
本当にいるかもわからぬ勝利の立役者――誰もがいかつい軍人の姿を想像した。


だがしかし、事実は違った。

さんさんと照りつける太陽。波風の加減に従い、宝石箱のようにきらめく翡翠色の海。
東西南北、見渡す限りの水平線。くっきりとした入道雲。海と空の距離、ひどく近接しているように見える。

原初の景色に混じる異物。船の残骸と思しき板材が波に揺られている。翡翠色の海を汚すまだらの帯――流出した燃料。激戦の名残。

ふいに、潮騒に混ざる異音。何かが水を掻き分けていく音。
二人の少女の姿――手を取り合うようにして海面を滑っていく。


「……ひどいわね、どこもかしこも」

「うん……、隊のみんな、無事に逃げられたかな」


手を引く少女。紅の鉢巻でまとめられた、腰にも届きそうな白髪。気品漂う物腰の柔らかさ。第五航戦艦隊、翔鶴。
手を引かれる少女。ツーサイドアップに結い上げられた碧髪、凛々しさを感じさせる瞳。同航戦、翔鶴の妹、瑞鶴。
二人ともに純白の道着に革の胸当て、膝上丈の紅袴、背中に弓。まるで巫女のような装いだが、服としての機能を維持しているかは微妙だ。
ことに瑞鶴のほうは深刻だった。大きく裂けた裾から覗く下腹、剥き出しになった二の腕、左ふともも。
まるで爆発にでも巻き込まれたかのように、全身が薄らと煤けてもいる。

身贔屓を差し引いた翔鶴の寸評――単独での生還は絶望的。


しきりに周囲を警戒する二人の視界が映し出すもの。クラゲのように海を漂う、友軍によって掃討された敵の遺骸。
『深海棲艦』と名付けられた異形たち。そしてそれよりはずっと数の少ない、見覚えのある装備類――戦闘中に剥がれ落ちただろう仲間の艤装。
目にするだけで後ろ髪を引かれる思い。連想――基地に戻った際、間違いなく読み上げられるだろう犠牲者名簿。

頭に浮かんだ光景を追いやり、翔鶴が進行方向に目を戻した。自分たちとて、まだ生還できると決まったわけではない。
敵部隊との交戦中、撤退路の確保を任された別働隊が北面に布陣していた敵艦隊を撃破した旨を、無線で伝えられていた。
待望の知らせ、敵が敷いていた包囲網の突破。今頃は方々に散った仲間たちがこぞって北の海域を目指していることだろう。


「二航戦は無事、か」

「……翔鶴姉? 何か言った?」

「……ううん、何でも。もう少し速度を上げても平気?」

「うん、翔鶴姉に任せ――――ッ、左手に敵艦ッ!」

「――確認ッ! って、こいつら、速いッ!?」


仲間の亡骸と一緒に波に揺られていた異形たち――突如、水面に浸けていた顔を上げる。目の前を横切る獲物に向かって驀進する。
その禍々しい容貌、まるで金属で覆われた鮫、与えられた忌名に相応しい姿。
上下に開かれ、露わになった口腔。虚のような喉の奥から突き出した銃口が、振り返った二人に照準を合わせる。

波音に紛れる発砲の音。海面を薙ぎ払うような掃射。立ち上がる水柱の接近を見、咄嗟に翔鶴が瑞鶴に覆い被さった。
ばら撒かれた弾丸の一部が翔鶴の左肩を掠める、そのままもつれ合うように倒れ込む。


「しょ、翔鶴姉っ!?」

「――この、程度でっ!」


躓いた拍子に手をつくように、転倒寸前だった翔鶴が水面を手のひらで弾く。身につけている巫女服――霊的艤装による障壁が展開される。
寄せ書きのように連なる神代の文字、円陣の形成、海面に波紋が広がる、瞬く間。
反発力を用いた急加速。顔から海面に突っ込まんばかりの前傾姿勢を揚力で持ち直す。速度低下を最小限に食い止める。


「翔鶴姉ッ! 大丈夫ッ!?」

「掠り傷よ! しっかり掴まってなさい!」


被弾した肩から手を放す。露わになった細い線、風になぶられる雪のような肌。未だ慣れることができない感覚。
攻撃を受けるたびに剥がされていく衣服――霊的装甲。これが完全破壊されたそのとき、自分たち『艦娘』は、与えられた能力と命を喪失する。

二隻の深海棲艦――まさかの死んだふり――逃げる姉妹の後背につく。水を大きく蹴散らしながら追随する。
海風になびく前髪をぐいと掻き上げる翔鶴――行く先へ目を眇める。膨れ上がる不安と恐怖――力づくで抑えつける。

追う者と追われる者。
この日、この海域で、何度繰り広げられたかもわからぬ命がけの逃走劇。

本日は以上になります
時系列的にはMI作戦からの話が多くなるかと思います
次回投下は13日22:00の予定ですが帰りが早くなれば今夜にでも

おつ

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