モバP「桃華が主役になりづらいのはなぜだろうか」 (28)

初SS、初投稿になります。
設定の把握ミス、拡大解釈など至らぬところもあるかと思われますが、ご容赦ください。
桃華ちゃまが主役のSSはあらかた読み尽くした……と思う。

よろしければお付き合いくださいませ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427825371


モバP「ハッピーバースデー桃華!」

桃華「……Pちゃま、わたくしの誕生日は4月の8日ですわ」

モバP「今日はめでたく桃華が誕生日を迎えたということで」

桃華「ですからまだ誕生日ではありませんわ! その、Pちゃまがわたくしをお祝いしてくださることは嬉しいですけど……」

モバP「なぜ桃華は主役になりづらいのかついて考えてみようと思う」

桃華「」ブフッ

モバP「ああっ、桃華が紅茶で大惨事に!」


桃華「い、い、異議ありですわ! どうして誕生日にそんなお話をしなければなりませんの!? いえ誕生日はまだですけれども!」

モバP「まあ落ち着け桃華。それは何も桃華に人気がないとか魅力がないとかそういう話じゃあないんだ」

桃華「……では、どういうことですの?」フキフキ

モバP「ああ、さっき『主役』って言っただろ?」

モバP「主役になりづらいことと、出番が少ないことは必ずしも一致しない」

モバP「脇役としての起用、ということを考えると桃華はわりと使いやすい部類に入る」

桃華「そうなんですの?」


モバP「じゃあ聞こうか、桃華の特徴といえば何だ?」

桃華「わたくしの特徴ですか……? い、いきなり尋ねられると咄嗟には出てきませんわね……」

桃華「……やはり、我が櫻井家のことでしょうか」

モバP「そうだな、その点は実にわかりやすい特徴だ」

モバP「765プロの水瀬伊織はその良い例だな。お嬢様というキャラクターに正統性を与え、さらに舞台装置として資金力や公権力を供給する」

モバP「ちょっとスケールの大きい話を書こうとするなら、なかなか便利な特徴だと言えるだろう」

桃華「わたくしの功績ではありませんから、なんだか気恥ずかしいですけど……」

モバP「大丈夫だ桃華。家のことを抜きにしたって、桃華はとても魅力的な女の子だよ」

桃華「Pちゃま……」


モバP「それじゃ、今度は桃華個人の話をしよう」

モバP「個人としての桃華は、いわゆるロリ系であることが大きな特徴だ」

桃華「……Pちゃま、今なんだかいやらしい視線を感じたのですけれど」ジトッ

モバP「気のせいだ。今言ったようにロリ系であることが桃華の特徴だが――」

モバP「実際に動かしてみると、単なるロリに留まらないことはすぐにわかる」

モバP「桃華、同い年のアイドルを挙げてもらえるか?」

桃華「同い年ですか? ええと…… ありすさん、莉嘉さん、梨沙さん、小春さん、晴さん……ですわね」

モバP「そうだな。彼女たちと一緒にいるシーンを想像してみてくれ」

桃華「……ええ、想像しましたわ」

モバP「その中で桃華はどういう立ち位置にいる?」


桃華「みなさん、元気に遊んでいることでしょうね……。その中だと、ありすさんは少し距離を置いている感じでしょうか……」

桃華「……そうですわね、ではわたくしはありすさんを誘ってお茶でも」

モバP「そう、それだ」

桃華「?」

桃華「Pちゃま? それとはいったいどういうことですの?」

モバP「同じような歳の子と組み合わせると、桃華はだいたい一歩引いた立ち位置になる」

モバP「お姉さんのような立場、というわけだな」

モバP「一人で居るありすを気にかけて、お茶に誘うところなんて実に桃華だ」

桃華「あの、わたくしの名前を形容詞のように使うのはやめてくださいます……?」

モバP「何を言うか、褒めてるんだぞ~」ナデナデ


桃華「ふぁ…… あ……もう、髪が乱れてしまいますわ…… んっ……」

モバP「桃華は他人の気持ちに敏感だ。寂しそうな子がいたら、それを桃華は放っておけないだろう?」

モバP「その観察眼は、アイドルになる前から社交界で生きてきた経験からか……」

モバP「まあ由来はともかく。桃華はよく気がつく良い子だというわけだな」ナデナデ

桃華「んぅ……ふっ、もうPちゃまったら……。そんなに褒めても何も出ませんのよ……?」

モバP(なんかちょっとエロい感じになってきたな……)ナデナデ


モバP「まあ、そんな感じで桃華はお姉さんのようなポジションになりやすい」

モバP「だからいわゆる、メンターの立場に据えやすいという特徴があると言える」

桃華「メンター……というのは、いったい何ですの?」

モバP「詳しく話すと長くなるから簡単に例を挙げて話そう」

モバP「アーサー王に対するマーリン、フロド・バギンズに対するガンダルフ、ハリー・ポッターに対するダンブルドア」

桃華「みんな魔法使いのお爺ちゃんじゃありませんの」

モバP「おっとすまん、だいぶ偏ったな」

モバP「あとはそうだな……シモンに対するカミナとか、灯里に対するアリシアさんとか」

桃華「例えが微妙に古いですわよ……」

モバP「最近日常ものしか見てないんだよ」


モバP「それはさておき、わかるかな桃華。これらのキャラクターの共通点が」

桃華「性別は関係ないようですわね…… あら、お爺ちゃんというほどではないですけれど、みなさん主人公より年上ですのね」

モバP「そうだな、必ずしも年上であるとは限らないが、年上であることが多い」

桃華「ん……Pちゃま、こちらから当てはまりそうな例を挙げてみてもよろしくて?」

モバP「いいぞ、どんと来い」

桃華「浦飯幽助に対する幻海師範、あるいはダイに対するアバン先生……」

モバP「ちょっと待とうか12歳」


モバP「……えー、おほん。でもだいたいわかったみたいだな」

桃華「ええ、Pちゃま。つまり、主人公を導き、成長させる人々のことですわね?」

モバP「正解だ。そして桃華は性格的にそういったポジションになりやすい」

桃華「ウフフ、そう言われて悪い気はしませんわね」

モバP「桃華が脇役として使いやすいというのは、こういった理由もあるということだ」

モバP「小さな子たちの成長物語を書きたいが、そこに大きく歳の離れたアイドルを登場させると違和感があるようなとき……大人びた桃華の存在は実に扱いやすいと言えるだろう」


桃華「ですがPちゃま。わたくしにも一人、そのような立場の方に心当たりがございますわ」

モバP「へぇ……いったい誰のことだ?」

桃華「それはもちろん、他ならぬPちゃまですわ。わたくしを見出し、ここまで導いてくれたパートナー…… 花はみな美しく咲くように生まれるものですけれど、日の光がなければその美しさは誰の目に触れることもなく、枯れ果ててしまいますわ」

桃華「わたくしがこうしていられるのも、Pちゃまがいるからこそ……」

モバP(桃華は相手を立てるのが上手いな……。そんなところも脇役向きなんだが)

モバP「ああ、ありがとな、桃華……」ギュッ

桃華「Pちゃまが寂しいときは、いつでもわたくしが一緒にいて差し上げますわ。だからもっと、わたくしのことも頼ってくださいまし……」

モバP「……」ナデナデ

桃華「//」ポー


モバP「……さて、話を戻すか」

桃華「――いきなりですわね!?」

桃華(良いムードでしたのに……Pちゃまのおばか……)プクー

モバP「まあそうむくれるな。ここも桃華について語る上で大切なところなんだ」

モバP「桃華には割と寂しがり屋な一面がある」

桃華「」ブフッ

モバP「しかし同時に立派な淑女であろうとする面もあるので――」スイッチポチー

桃華『Pちゃまが寂しいときは、いつでもわたくしが一緒にいて差し上げますわ……』

モバP「このように、自分ではなく相手が寂しいのではないか、という流れになる」

桃華「//」カァー


モバP「もちろん、純粋に相手を想ってのことという場合もある」

モバP「そのことについても、自分が寂しいからこそ相手の寂しさによく気がつくということなのかもしれないが――」

桃華「い、い、い……」

モバP「胃が痛い?」

桃華「いったいいつから録音してましたの!?」

モバP「そりゃもう、最初から」ポチー

桃華『Pちゃまがわたくしをお祝いしてくださることは嬉しいですけど……』

桃華「」

モバP(桃華みたいな子にツッコミ役させるのは楽しいなぁ)


モバP「桃華から母性を感じると言われるのも、こういった言動がそう見せているんだろうな」

桃華「」

モバP「実際、大人びてるし面倒見もいいし」

モバP「いつも相手を立てるように振る舞うし……」

モバP「母性的と言われるのも納得だ」

桃華「」ポー

モバP「おーい、桃華? ももかー?」


モバP「仕方ないな」フゥー

モバP「プロデューサーチョップ!」ビシッ

桃華「……はっ、わたくしは何を」

モバP「よしよし、帰ってきたな」

モバP「ここからはちょっと路線が変わるぞ」

モバP「ここまでは脇役としての扱いやすさについて話してきたが」

モバP「核心に切り込むぞ。なぜ主役になりづらいのかだ」

桃華「……」ゴクリ


モバP「それは……桃華がお嬢様であるからだ」

桃華「どういうことですの?」

モバP「キャラを崩しづらい」

桃華「崩し……づらい?」

モバP「お嬢様言葉でセリフを考えるのが難しいというシンプルな理由もあるだろうが」

モバP「桃華は比較的暴走させにくいという面がある」


モバP「今まで話してきたように、桃華は思慮深い、良い子だ」

モバP「積極的な面ももちろんあるし、そこが魅力的であることも否定しない」

モバP「でも本当に、相手に迷惑をかけてでも自分の望むことをしたい……と」

モバP「そう思って行動することは、桃華には難しいはずだ」

桃華「Pちゃま……」

モバP「桃華の言葉遣いは、そういった堅さをより強固に印象付ける」

モバP「どこかの猫かぶりなお嬢様と違って、桃華の淑女としての振る舞いには隙が少ない」

モバP「このことから桃華は、ギャグやコメディ系のSSでは、主役として起用することが難しいんだ……」


モバP「桃華は常識人枠として見るのが素直な見方だ」

モバP「もちろんそうした方がやりやすい」

モバP「だがそうした結果割り振られるのはどんなポジションだ?」

モバP「ツッコミ役さ」

桃華「ツッコミ役……!」

モバP「そうだ……このSSだけで何回ツッコミを入れたか、桃華は覚えているか……?」


モバP「それだけじゃない」

モバP「ギャグ・コメディ系での主役抜擢が難しい以上、シリアス系が占める割合が増えるのは必然」

モバP「シリアスだ……わかるか、この意味が」

モバP「話がシリアスだと必然的にストーリーは長くなる」

モバP「単純にそれだけ書く難易度が上がるということだ」

モバP「それに、なにより……」


桃華「なにより……。なんですの……?」

モバP「シリアスな話だと、桃華が傷つくかもしれないじゃあないか……!」

モバP「俺の大切な桃華が悲しむなんて、そんなの見過ごせるものか!」

桃華「……Pちゃまぁっ!」ムギュゥッ

モバP「桃華っ!」ギュッ


ちひろ(さっきから事務室で何やってるんでしょうねあのバカップル……)


桃華「Pちゃま。わたくし、わかりましたわ……」スリスリ

桃華「アイドルとして、淑女として、常に恥ずかしくない行いを心がけてきましたけれども」

桃華「それだけでは、手の届かないものもあるということを……」

モバP「ああ、そうだな……」ナデナデ

桃華「遠慮ばかりしていては、今この手の中にある大切なものも、失くしてしまうかもしれません……」

桃華「だから……もう、遠慮をするのは止めにいたしますわ……!」

モバP「うんうん……うん?」


桃華「さあPちゃま! いますぐ中東かアフリカの国へ行くのですわ!」

モバP「えっ、えっ?」

桃華「適当にどこか結婚年齢が定められていない国を探して、いますぐ結婚いたしましょう!」

モバP「待て、ちょっと待て桃華!」

桃華「国籍のことなら問題にはなりませんわ! 我が櫻井家の力をもってすれば、その程度のこと、杏さんの手をひねるより簡単ですのよ!」

モバP「お前事務所の先輩相手に何やってるの!?」


桃華「もしもし……あ、お母様? わたくしちょっと今からフィアンセを連れてお家に帰りますわ。ええ、ええ、はい。お父様にもよろしくお伝えくださいまし。それと今すぐ海外旅行の準備を……」

モバP「おいちょっと落ち着いてくれませんか」

桃華「わたくしはもう、Pちゃまからの誓いの言葉以外は何も聞き入れませんのよー!」

桃華「うふふ……。Pちゃまが誕生日プレゼントというのもいいですけれど、赤ちゃんを授かるというのも良いかもしれませんわね……」

モバP「桃華、ももかー! 頼むから帰ってこい! 帰ってこぉぉぉぉぉぉい!」

桃華「今すぐPちゃまの印鑑を用意してまいりますわー! しばらくそこでお待ちになってくださいまし!」タッタッタッ


モバP「あ、ああ……」ガクリ

モバP「桃華はキャラを崩しづらいだなんて、言わなければよかった……」



(おわり)

総選挙が始まったと聞いて居ても立ってもいられなかった。今は反省している。
桃華ちゃまの活躍を心から祈っています。
続きが思い浮かんだらまた書くかもしれません。

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